説明

魚釣り用浮き

【課題】浮きに掛かる多岐にわたる情報を確実に検知し、充分実現可能な状態で遠隔位置にいるユーザに報知する。
【解決手段】浮きに掛かる加速度を検知する加速度センサ12と、加速度センサ12での検知信号を音声信号に変換する制御部11と、得た音声信号をFM搬送波に重畳して無線送信するFMトランスミッタ部16と、上記各部への電源供給を行なう電池17とを水密構造のケーシング内に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば視界のきかない夜釣りや視覚障害者の使用等に適した魚釣り用浮きに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣り用の浮きに送信機、電池と、コイル及び振動片を組み合わせた共振回路とを搭載し、魚が掛かって浮きが振動すると上記コイルに対して振動片が変位し、共振回路の共振周波数も変化するために、この周波数変動を送信回路より無線発信するものが考えられている。この技術では、浮きに対してユーザは、予め携帯した受信機でこれを受信し、音、光、または振動等に変換することでユーザに魚が掛かったことを報知する。(特許文献1)
【特許文献1】登録実用新案第3020391号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載された技術は、振動を検知する共振回路近傍部分の構造が記載されているものの、例えば魚が掛からない状態でも浮きが水面位置で傾きを生じることでコイルと振動片であるスプリングが接触する場合などを想定しておらず、また「波動による周期的信号とパルス状の魚信(段落「0005」)」「金属音に対応する周波数変調波(段落「0006」)」「電波受信器が発生する音・光・振動などから魚信の判別が可能」等きわめて曖昧な表現しかされていないなど、得られる信号に対する具体的な動作、信号の処理内容に関する記載が著しく欠けており、記載されている通りの作用効果が実現可能であるとは到底思われない。
【0004】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、浮きに掛かる多岐にわたる情報を確実に検知し、充分実現可能な状態で遠隔位置にいるユーザに報知することで、視界のきかない夜釣りや視覚障害者の使用等に適した魚釣り用浮きを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、浮きに掛かる加速度を検知する加速度センサと、上記加速度センサでの検知信号を音声信号に変換する信号変換手段と、上記変換手段で得た音声信号を所定の搬送波に重畳して無線送信する送信手段と、上記加速度センサ、変換手段及び送信手段への電源供給を行なう電池と、少なくとも上記加速度センサ、信号変換手段、送信手段及び電池を収納した水密構造のケーシングとを具備したことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記信号変換手段は、上記加速度センサでの検知信号を、第1の閾値となる周波数より高い高域成分と、第2の閾値となる周波数より低い低域成分とにフィルタリング処理し、上記高域成分及び低域成分それぞれを音声信号に変換することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、浮きに掛かる水圧を検知する圧力センサと、上記圧力センサでの検知信号を音声信号に変換する信号変換手段と、上記変換手段で得た音声信号を所定の搬送波に重畳して無線送信する送信手段と、上記圧力センサ、変換手段及び送信手段への電源供給を行なう電池と、少なくとも上記圧力センサ、信号変換手段、送信手段及び電池を収納した水密構造のケーシングとを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、浮き外部の音声を集音する音声センサとしてのマイクロホンと、上記マイクロホンで得た音声信号を所定の搬送波に重畳して無線送信する送信手段と、上記送信手段への電源供給を行なう電池と、少なくとも上記マイクロホン、送信手段及び電池を収納した水密構造のケーシングとを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、上記請求項1,3,4いずれかに記載の発明において、上記電池の残容量を監視し、該残容量が所定の値以下となった場合に音声信号を発信する電源監視手段をさらに具備し、上記送信手段は、上記電源監視手段の発信した音声信号を所定の搬送波に重畳して無線送信することを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、上記請求項1,3,4いずれかに記載の発明において、上記送信手段は、音声信号を既存のラジオ放送の周波数帯域内の搬送波に重畳して該ラジオ放送と同じ電波形式で無線送信することを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、上記請求項1,3,4いずれかに記載の発明において、上記ケーシング内に封入され、ケーシング外部からの非接触操作により、上記電池による電源の投入と切断、上記送信手段での送信周波数の変更、上記センサの感度、及び上記信号変換手段における各種パラメータの少なくとも1つを変更設定可能な操作手段をさらに具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、上記請求項7記載の発明において、上記操作手段は、ケーシングを隔てて外部から非接触で操作可能なスイッチング素子を有することを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、上記請求項7記載の発明において、上記操作手段は、不揮発性メモリと無線通信回路を含む集積回路を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、浮きに掛かる多岐にわたる情報を確実に検知し、充分実現可能な状態で遠隔位置にいるユーザに報知することで、視界のきかない夜釣りや視覚障害者の使用等に適した魚釣り用浮きを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明の一実施形態に係る魚釣り用浮きについて説明する。
【0016】
なお、本実施形態に掛かる魚釣り用浮き10の外観構成、及び魚釣り用浮き10の外殻で水密構造となる、例えばプラスチック製のケーシングに関しては、中空構造の一般的な比較的大型の魚釣り用浮きとほぼ同様であるものとし、なんら特徴を有さないものとして、ここではその説明について省略する。
【0017】
次に、図1を用いて上記魚釣り用浮き10のケーシング内に設けられる電子回路の構成を説明する。同図で、11がこの魚釣り用浮き10全体の動作制御を司る制御部であり、具体的にはCPUとプログラムメモリ、データメモリ、入出力部、及びクロック発生器などを1チップに集積した1チップマイクロコントローラで構成される。
【0018】
この制御部11に対して、加速度センサ12、リードスイッチ(SW)13、圧力センサ14、電源監視部15、及びFMトランスミッタ部16が接続される。
【0019】
加速度センサ12は、例えば3軸加速度センサで構成されるもので、その検知信号からこの魚釣り用浮き10に与えられる振動や重力加速度(鉛直)方向に対するこの魚釣り用浮き10の傾斜角度等を検知することができる。
【0020】
なお、加速度センサ12は、3軸加速度センサのみならず、1軸あるいは2軸加速度センサで構成するものとしても良い。
【0021】
リードスイッチ13は、ガラス管内に封入した2片のリード片が外部から与えられる磁気に応じて接続/非接続の状態となる磁気式の非接触開閉スイッチであり、魚釣り用浮き10のケーシング内に収納されており、魚釣り用浮き10のケーシング外部から磁石を当該位置に当接することで非接触に操作することができる。
【0022】
このリードスイッチ13は、魚釣り用浮き10で電源スイッチ、その他後述する各種変更設定の操作スイッチとして設けられるもので、釣行の現場においては別途用意した永久磁石(図示せず)を上述した如くケーシング外部から当接して非接触に操作する。
【0023】
圧力センサ14は、魚釣り用浮き10のケーシングの一部に形成された貫通孔を介して圧力導入口の先端がケーシング外部に突出し、該導入口を介して掛かる水圧をケーシング内に配設されたセンサ本体で検知する。
【0024】
電源監視部15は、この魚釣り用浮き10の電源となる電池17の消耗度合いを予め設定した電圧値以下となったか否かにより監視している。
【0025】
FMトランスミッタ部16は、同じくケーシング内に収納される制御部11から与えられる音声信号をFM周波数帯域(例えば日本国内では76[MHz]〜90[MHz])中の予め設定された周波数でFMアンテナ18を介して送信する。
【0026】
また、FMトランスミッタ部16にはマイク部19が接続される。このマイク部19は音声センサとして機能するもので、例えば電源供給を必要としないダイナミックタイプのマイクロホンで構成され、この魚釣り用浮き10の電源が投入されている間、魚釣り用浮き10のケーシングの一部肉薄加工した部分で集音動作して、その音声信号をFMトランスミッタ部16へ出力する。
【0027】
FMトランスミッタ部16は、制御部11から与えられる音声信号とマイク部19での実音声信号とをミキシングしてFM搬送波に重畳してFMアンテナ18より送信する。
【0028】
なお、FMトランスミッタ部16の送信するFM搬送波は、制御部11から周波数が変更可能であり、上記リードスイッチ13の操作毎に0.2[MHz]単位で送信周波数を増大あるいは減少させるものとする。
【0029】
電池17は、例えば単4型乾電池1本で構成し、その供給電圧は上記電源監視部15へ送られる一方で、電源制御部20により1.5[V]から3.0[V]まで昇圧されて上記制御部11を含む各回路へ分配される。
【0030】
上記のような回路構成にあって、制御部11が制御する動作について説明する。
加速度センサ12の検知出力は、フィルタリング処理によりカットオフ周波数fco(例えば、8[Hz])を超える高域周波数成分を、魚釣り用浮き10に対する振動として認識するもので、その検出出力が可変設定可能な閾値を超える場合に周波数f1(例えば、884[Hz])の矩形波による音声信号を発生させる。
【0031】
一方、加速度センサ12の検知出力で、上記カットオフ周波数fco以下の低域周波数成分に関しては、魚釣り用浮き10の傾きとして認識し、上記周波数f1より低い周波数f2(例えば、221[Hz])、持続時間t2on(例えば、0.06[sec])の矩形波を間歇的に発生する。
【0032】
この点で、重力加速度の方向(鉛直方向)に対する傾斜角度が大きくなるのに対応して発生間隔t2offが変化し、魚釣り用浮き10が横(水平)に近い角度まで傾斜する場合には発生間隔t2offを長く、起き上がるに連れて発生間隔t2offを短くなるようにする。
【0033】
また、水深を検知するための圧力センサ14の検知信号に関しては、例えば水深10[cm]に対応する水圧を閾値としてその閾値を超えた場合に、周波数f3(例えば、941[Hz])の矩形波を連続的に発生し、さらに魚釣り用浮き10が沈み込んで水圧が高まるに連れて上記周波数f3を無段階に高くなるように設定する。
【0034】
さらに、上記電源監視部15は、電池17からの供給電圧が一定値、例えば1.10[V]を下回ると制御部11にその旨の検出信号を送出するもので、制御部11はこれに対応してモールス符号によるメッセージ、例えば「・・・―――・・・(3短音3長音3短音」の音声信号を生成し、FMトランスミッタ部16に出力する。
【0035】
なお、制御部11が電源監視部15からの信号を受けて出力する音声信号は、上述したようなモールス符号によるものではなく、予め録音しておいた「電池が消耗しています」などの音声メッセージを出力するものとすれば、この魚釣り用浮き10のユーザはより容易に内容を理解できる。
【0036】
上記マイク部19は、魚釣り用浮き10の周囲に発生している音声を集音するものであり、FMトランスミッタ部16は制御部11からの各種音声信号とマイク部19からの音声信号とをミキシングした上でFM搬送波に重畳して送信する。
【0037】
以上、制御部11が電源監視部15からの信号を受けて予め録音しておいた音声メッセージを出力させる点を除いて、全て実機により動作検証を完了している。
【0038】
上記詳述した如く本実施形態によれば、この魚釣り用浮き10を使用するユーザは、FMトランスミッタ部16が送信するFM搬送波の周波数に予めチューニングしておいたFMラジオ受信機や、FMラジオ機能を有する携帯電話端末等を別途用いることで、容易に魚釣り用浮き10に発生している各種情報、具体的には振動、傾き、及び水深を音声信号化したもの、及び魚釣り用浮き10周囲の直接の音声を容易に聴取することができる。
【0039】
そのため、視界がきかない夜釣りや視覚障害者の使用、あるいは厳冬期に魚の当たりがあるまで自動車内で車載のFMラジオを用いて暖を採りながら待機するなど、直接浮きの動きを視認せずとも遠隔位置から浮きの動きを把握することができ、ユーザの広い用途に応じた魚釣り用浮きを提供できる。
【0040】
以下、各構成要素毎にその作用効果について述べておく。
【0041】
加速度センサ12により浮き10の動きを検知するものとした。その検知信号をフィルタリング処理することで、振動による高域成分と、傾斜による低域成分とを抽出し、それぞれを異なる周波数帯の音声信号に変換するものとした。
【0042】
これにより、使用者は魚が餌を突つく段階で生じる浮き10の振動、釣り糸を引き込む段階で生じる浮き10の傾斜を、波動による振動、傾斜とは異なる音声信号の発生パターンによりそれぞれ識別することができる。
【0043】
圧力センサ14により浮き10の存在する水深を検知するものとした。その検知信号により、上記加速度センサ12による検知信号に基づく音声信号とは異なる周波数の音声信号に変換するものとした。
これにより、ユーザは魚が釣り糸を強く引き込む段階での浮き10の沈み込みを容易に認識することができる。
【0044】
音声センサとしてのマイク部19により魚釣り用浮き10の周囲に発生している音声を直接聴取することができる。これにより、上述した浮き10の振動、傾斜、水深と合わせて直接の音声を聴取することで、魚の状態を視覚に頼ることなく詳細に知ることができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、マイク部19がダイナミック式のマイクロホンで構成され、電源供給を行なう必要がないものとして説明したが、本発明はこれに限ることなく、より感度の高いコンデンサ型のマイクロホンを用い、電源制御部20から電源供給を行なって集音動作するものとしても良い。
【0046】
電源監視部15により電源である電池17の残容量を監視し、消耗した状態を検出して上記各種センサでの検出信号に基づいた音声とは異なる音声信号を発信し、電池17の交換を促すものとした。
【0047】
これによりユーザは、電池17の消耗による浮きとしての機能が損なわれてしまうことを事前に知ることができると共に、不必要な電池交換を回避して、電池交換の手間とランニングコストを削減することができる。
【0048】
また、上記実施形態ではFMトランスミッタ部16を用いて、音声信号を広く一般に普及しているFMラジオ周波数帯域内の搬送波に重畳して無線送信するものとした。
【0049】
これにより、魚釣り用浮き10の受信機のコストを大幅に削減することができ、さらには単体のFMラジオ受信機だけではなく、上述したようにFMラジオ受信機能を有する携帯電話端末や自動車用のラジオなども利用することができる。
【0050】
さらに上記実施形態では、他の回路と同様に水密構造のケーシング内に収納されたリードスイッチ13を非接触操作により外部から操作可能であるものとした。このようなリードスイッチ13を設けることにより、特別な防水構造を施した開口等を設ける必要がないため、水密構造のケーシングをより安価に作製することができると共に、リードスイッチ自体は非常に簡素な構造であるため、壊れにくく安定した動作を維持できる。
【0051】
さらに、上記リードスイッチ13により、上述した電源の投入と切断、上記FMトランスミッタ部16の送信周波数の変更と、加えて上記各センサ12,14,15の動作の閾値の可変設定に感度の設定を行なうことができる。
【0052】
上記リードスイッチ13の操作は、釣行の現場で永久磁石をリードスイッチ13の位置するケーシングの外部に当接するものとして説明したが、上記各種詳細な設定を行なうには、下記に説明するようなカスタマイズ設定を行なうことも考えられる。
【0053】
図2は、自宅で魚釣り用浮き10のカスタマイズを行なうための専用のインタフェースを用いる場合について説明する図である。
【0054】
同図で、31はこの魚釣り用浮き10用のドライバソフトウェアをインストールしたパーソナルコンピュータ(以下「PC」)であり、このPC31とUSBケーブル32を介して魚釣り用浮き10専用のインタフェース33を接続する。
このインタフェース33は、魚釣り用浮き10を挿入する挿入口部が形成され、魚釣り用浮き10を矢印Aで示す如く該挿入口部に挿入した状態で上記リードスイッチ13と対向する位置に電磁石33aが埋設されている。
【0055】
PC31にインストールした魚釣り用浮き10用のドライバソフトウェアを実行してインタフェース33の電磁石33aで高速、正確なリードスイッチ13の非接触操作を行なうことが可能となる。
【0056】
この場合、インタフェース33を用いて設定した内容に対応する音声信号をFMトランスミッタ部16より送信出力させるものとすれば、カスタマイズした結果を即時FMラジオ受信機34で確認することができ、誤設定のまま現地へ魚釣り用浮き10を持ち込むことを回避できる。
【0057】
なお、別構成として、上記FMラジオ受信機34を用いず、魚釣り用浮き10からの応答をインタフェース33に内蔵したFM受信回路により受信し、USBケーブル32を介してPC31へ転送し、操作結果をPC31の画面で表示すれば、ユーザは操作結果をより正確、且つ容易に確認することができる。
【0058】
さらに、魚釣り用浮き10とPC31との接続に関しては、USBケーブル32を用いる場合に限定するものではなく、有線、無線の各種データ通信方式を採用できるものとする。
【0059】
しかるに、釣行に際しては現地のFM放送局の周波数と輻輳しないFMトランスミッタ部16の送信周波数、対象魚の挙動の性質や現地の波の状況などに応じた各種感度など、予め設定可能な点は自宅のPC31を用いて事前にカスタマイズ設定しておくことで、現地では電源の投入と切断等、簡単な操作のみを手持ちの永久磁石で行なうことにより、詳細なカスタマイズ機能を活かしながら充分対応することが可能となる。
【0060】
また、図3は、上記PC31とインタフェース33の機能を合わせた専用のポータブルインタフェース41を用いることも考えられる。同図でポータブルインタフェース41は、例えば液晶パネルによるディスプレイ41aと各種設定項目毎のキー入力部41b、矢印Bで示す如く魚釣り用浮き10を装着するための挿入口部41c、及び該挿入口部41cに魚釣り用浮き10を挿入した状態で上記リードスイッチ13と対応する位置に埋設された電磁石41d、その他各種電子回路と電源等からなり、ポータブルインタフェース41単体で魚釣り用浮き10のカスタマイズ設定を可能とするものである。
【0061】
釣行の現場でこのポータブルインタフェース41を用いる場合も、設定した内容に対応する音声信号を魚釣り用浮き10内のFMトランスミッタ部16より送信出力させるものとすれば、カスタマイズした結果を即時手持ちのFMラジオ受信機34等で確認することができる。
【0062】
なお、別構成として、ポータブルインタフェース41内にも魚釣り用浮き10からの応答を受信するFM受信回路を設け、このFM受信回路で受信した浮き10からの応答をディスプレイ41aで表示すれば、ユーザは操作結果をより正確、且つ容易に確認することができる。
【0063】
また、上記実施形態では非接触操作を行なうスイッチ機構として磁気式のリードスイッチ13を使用する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、他の非接触操作手段を用いるものとしても良い。
【0064】
例えば、近時はパーソナルコンピュータの多くの機種で、電子マネーやプリペイド型の電子乗車カードで使用される、Felica(登録商標)に代表される不揮発性メモリと無線通信回路を含む非接触IC(集積回路)カードの接続ポートが標準装備されていることを勘案すると、無線タグや非接触ICを上記磁気式のリードスイッチ13に代えて設けるものとすれば、上記図2で示したインタフェースの構造を簡略化することができ、パーソナルコンピュータで直接魚釣り用浮き10の詳細なカスタマイズ設定を実行できる。
【0065】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る魚釣り用浮きのケーシング内に収納される電子回路の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係る専用のインタフェース装置の実現例を示す図。
【図3】同実施形態に係る専用のインタフェース装置の実現例を示す図。
【符号の説明】
【0067】
10…魚釣り用浮き、11…制御部、12…加速度センサ、13…リードスイッチ、14…圧力センサ、15…電源監視部、16…FMトランスミッタ部、17…電池、18…FMアンテナ、19…マイク部、20…電源制御部、31…パーソナルコンピュータ(PC)、32…USBケーブル、33…インタフェース、34…FMラジオ受信機、41…ポータブルインタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮きに掛かる加速度を検知する加速度センサと、
上記加速度センサでの検知信号を音声信号に変換する信号変換手段と、
上記変換手段で得た音声信号を所定の搬送波に重畳して無線送信する送信手段と、
上記加速度センサ、変換手段及び送信手段への電源供給を行なう電池と、
少なくとも上記加速度センサ、信号変換手段、送信手段及び電池を収納した水密構造のケーシングと
を具備したことを特徴とする魚釣り用浮き。
【請求項2】
上記信号変換手段は、上記加速度センサでの検知信号を、第1の閾値となる周波数より高い高域成分と、第2の閾値となる周波数より低い低域成分とにフィルタリング処理し、上記高域成分及び低域成分それぞれを音声信号に変換することを特徴とする請求項1記載の魚釣り用浮き。
【請求項3】
浮きに掛かる水圧を検知する圧力センサと、
上記圧力センサでの検知信号を音声信号に変換する信号変換手段と、
上記変換手段で得た音声信号を所定の搬送波に重畳して無線送信する送信手段と、
上記圧力センサ、変換手段及び送信手段への電源供給を行なう電池と、
少なくとも上記圧力センサ、信号変換手段、送信手段及び電池を収納した水密構造のケーシングと
を具備したことを特徴とする魚釣り用浮き。
【請求項4】
浮き外部の音声を集音する音声センサとしてのマイクロホンと、
上記マイクロホンで得た音声信号を所定の搬送波に重畳して無線送信する送信手段と、
上記送信手段への電源供給を行なう電池と、
少なくとも上記マイクロホン、送信手段及び電池を収納した水密構造のケーシングと
を具備したことを特徴とする魚釣り用浮き。
【請求項5】
上記電池の残容量を監視し、該残容量が所定の値以下となった場合に音声信号を発信する電源監視手段をさらに具備し、
上記送信手段は、上記電源監視手段の発信した音声信号を所定の搬送波に重畳して無線送信する
ことを特徴とする請求項1,3,4いずれかに記載の魚釣り用浮き。
【請求項6】
上記送信手段は、音声信号を既存のラジオ放送の周波数帯域内の搬送波に重畳して該ラジオ放送と同じ電波形式で無線送信することを特徴とする請求項1,3,4いずれかに記載の魚釣り用浮き。
【請求項7】
上記ケーシング内に封入され、ケーシング外部からの非接触操作により、上記電池による電源の投入と切断、上記送信手段での送信周波数の変更、上記センサの感度、及び上記信号変換手段における各種パラメータの少なくとも1つを変更設定可能な操作手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1,3,4いずれかに記載の魚釣り用浮き。
【請求項8】
上記操作手段は、ケーシングを隔てて外部から非接触で操作可能なスイッチング素子を有することを特徴とする請求項7記載の魚釣り用浮き。
【請求項9】
上記操作手段は、不揮発性メモリと無線通信回路を含む集積回路を有することを特徴とする請求項7記載の魚釣り用浮き。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−118809(P2009−118809A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298252(P2007−298252)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(507273541)特定非営利活動法人グローバリスジャパン (1)
【Fターム(参考)】