説明

魚釣用リール

【課題】リール本体から側板を取り外すことができる構成でありながら、側板の内側における内部機構部品等のレイアウトの自由度を高める。
【解決手段】リール本体1の側板間にスプール5が回転自在に支持された魚釣用リールであって、側板は、スプール5のスプール軸5c周りに回動させることにより、リール本体1のフレーム2aに対して着脱可能に設けられており、側板には、フレーム2に対して当該側板を係止するための係止機構20が設けられており、係止機構20は、リール本体1の竿延在方向におけるスプール軸5cの前側において、側板の下部領域A2に設けられている構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプールの側方の側板を取り外すことができる取り外し機構が設けられた両軸型の魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な両軸型の魚釣用リールは、リール本体と、釣糸が巻回されるスプールと、リール本体の側方に装着され、スプールに挿通されたスプール軸の一端側を支持する側板(外側板)とを備えて構成されている。
【0003】
そして、スプールの交換やスプールのメンテナンス等をスムーズに行うために、外側板には、これを取り外すための係止機構が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の魚釣用リールにおける係止機構は、外側板の表面に露出するように設けられたプッシュ式のボタンと、外側板の内側に設けられ、前記ボタンが操作された際に連動して作動する係止部材とを備えている。係止部材は、リール本体側に設けられた受部に係止されるようになっており、前記ボタンが操作されることで、リール本体側の受部に対する係止部材の係止が解除されるように構成されている。
このような魚釣用リールによれば、ボタンを操作することで、リール本体から外側板をワンタッチで取り外すことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−263033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の魚釣用リールでは、前記したように、ボタンを操作することで、リール本体から外側板をワンタッチで取り外せるので取り外し操作が簡単である。
しかしながら、ボタンは、スプール軸の前方において外側版の上下方向の略中央部に設けられていたため、外側板の中央部の広いスペースを係止機構が占め外側板の内側スペースを効率よく利用することができなかった。これにより、内部機構部品(例えば、スプールを制動するための操作部品)等の設置に制限が生じ易く、レイアウトの自由度が低かった。
【0006】
本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、リール本体から側板を取り外すことができる構成でありながら、側板の内側における内部機構部品等のレイアウトの自由度を高めることができる魚釣用リールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する本発明の魚釣用リールは、リール本体の側板間にスプールが回転自在に支持された魚釣用リールであって、前記側板は、前記スプールのスプール軸周りに回動させることにより、前記リール本体のフレームに対して着脱可能に設けられ、前記側板には、前記フレームに対して当該側板を係止するための係止機構が設けられており、前記係止機構は、前記リール本体の竿延在方向における前記スプール軸の前側において、前記側板の下部領域に設けられていることを特徴とする。
【0008】
この魚釣用リールによれば、リール本体のフレームに対して側板を着脱することができ、側板に設けられた係止機構により、フレームに対して側板を係止することができる。
そして、係止機構は、リール本体の竿延在方向のスプール軸の前側において、側板の下部領域に設けられているので、スプール軸の前側における側板の中央領域や上部領域を内部機構部品の設置用のスペースとして利用することができる。
【0009】
また、本発明は、前記係止機構が、操作ボタンと、前記操作ボタンの操作に連動して作動する係止部材とを備え、前記係止部材は、前記フレーム側に設けられた受部に係止されて前記側板を前記フレームに係止し、前記操作ボタンの操作に連動して作動することで前記受部との係止を解除して前記フレームに対する前記側板の離脱を可能にすることを特徴とする。
【0010】
この魚釣用リールによれば、操作ボタンと、操作ボタンの操作に連動して作動する係止部材とにより係止機構を簡単に構成することができる。
また、係止機構が、操作ボタンと、係止部材とを備えて構成されているので、これらを材質の異なる部材で構成することができる。
【0011】
また、本発明は、前記操作ボタンが、前記スプール軸方向から見て略三角形状とされており、少なくともその一辺が、前記側板の下部領域において当該側板の下縁に沿うように配置されていることを特徴とする。
【0012】
この魚釣用リールによれば、スプール軸方向から見て略三角形状とされた操作ボタンの少なくともその一辺が、側板の下部領域において側板の下縁に沿うように配置されているので、側板の下縁に近づけるようにして操作ボタンを配置することができる。
【0013】
また、本発明は、前記係止部材は、前記操作ボタンに連結される一端部と、前記受部に係脱する他端部と、前記一端部と前記他端部との間に設けられ、前記他端部が前記受部に対して係脱するように当該係止部材を揺動可能に支持する一対の支持腕と、を備えており、一対の前記支持腕は、前記側板の下縁から離れる側と前記側板の下縁に近い側とにそれぞれ突設されており、一対の前記支持腕のうち、前記側板の下縁から離れる側の前記支持腕を支持する第1支持部と、前記側板の下縁に近い側の前記支持腕を保持する保持部材が装着される第2支持部と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0014】
この魚釣用リールによれば、係止部材の一対の支持腕のうち、側板の下縁から離れる側の支持腕を支持部の第1支持部に支持し、側板の下縁に近い側の支持腕を保持部材で保持するようにして、これを支持部の第2支持部に装着することで、支持部に係止部材を揺動可能に支持することができる。
【0015】
また、本発明は、前記操作ボタンが、固定部材を介して前記係止部材の一端部に固定されることを特徴とする。
【0016】
この魚釣用リールによれば、固定部材により操作ボタンを係止部材の一端部に固定することで、操作ボタンを係止部材に連結することができる。また、操作ボタンと固定部材とを異なる材料で、例えば、操作ボタンを樹脂材で形成し、固定部材を金属材で形成することができる。
【0017】
また、本発明は、前記側板は、前記スプールの回転を制動する制動装置と、この制動装置における制動力を調節する調節つまみと、を備え、前記係止機構は、前記制動装置と前記調節つまみとの下方においてこれらの両方に亘るように設けられていることを特徴とする。
【0018】
この魚釣用リールによれば、係止機構は、制動装置と調節つまみとの下方においてこれらの両方に亘るように設けられているので、スプール軸の前側における側板の下部領域において、制動装置と調節つまみとに亘るスペースを好適に利用した配置が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、リール本体のフレームに対して側板を着脱することができ、側板に設けられた係止機構により、リール本体のフレームに対して側板を係止することができるので、スプールの交換やスプールのメンテナンス等を簡単かつスムーズに行うことができる。
係止機構が、リール本体の竿延在方向のスプール軸の前側において、側板の下部領域に設けられており、スプール軸の前側における側板の中央領域や上部領域を内部機構部品の設置用のスペースとして利用することができるので、これらのスペースを利用して内部機構部品(例えば、スプールを制動するための操作部品等)を側板の内側に設置することができる。また、リール本体のフレーム側に設けられる機構や部品等をこれらのスペースを利用して収容することもできる。したがって、側板の内側スペースを内部機構部品の設置用のスペースとして効率よく利用することができる魚釣用リールが得られる。
したがって、リール本体から側板を取り外すことができる構成でありながら、側板の内側における内部機構部品等のレイアウトの自由度を高めることができる。また、魚釣用リールのコンパクト化を図ることもできる。
また、係止機構は、リール本体の竿延在方向のスプール軸の前側において、側板の下部領域に設けられているので、例えば、係止機構の操作ボタンをこの下部領域において側板に露出するように設けることによって、側板の側方から手をあてがうようにして、係止機構の操作ボタンを指で操作することができ、側板を取り外す際の操作が行い易い魚釣用リールが得られる。
【0020】
また、本発明によれば、操作ボタンと係止部材とにより係止機構を簡単に構成することができるので、生産性に優れ、また部品点数も少なく、製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、操作ボタンと、係止部材とを材料の異なる部材で構成することができるので、例えば、操作ボタンを樹脂製とし、係止部材を金属製として、これらを組み付けることも可能であり、操作し易く、しかも高強度で剛性を備えた係止機構が得られる。これにより、側板の係止操作を長期間にわたって安定して行うことが可能であり、操作性に優れる。
【0021】
また、スプール軸方向から見て略三角形状とされた操作ボタンの少なくともその一辺が、側板の下部領域において側板の下縁に沿うように配置されている構成では、側板の下縁に近づけるようにして操作ボタンを配置することができるので、スプール軸の前側における側板の下部領域において容易に操作ボタンが収まるようになり、係止機構のさらなる省スペース化を実現することができる。これによって、側板の内側スペースを内部機構部品等の設置用のスペースとして一層効率よく利用することができるようになり、より一層の魚釣用リールのコンパクト化を図ることもできる。
【0022】
また、係止部材が一対の支持腕を有し、一対の支持腕のうち、側板の下縁から離れる側の支持腕を支持する第1支持部と、側板の下縁に近い側の支持腕を保持する保持部材が装着される第2支持部と、を備えた構成では、係止部材を支持部に組み付ける際に、側板の下縁に近い側の支持腕のみを保持部材で保持すればよいので、組み付けが簡単で生産性に優れ、また、部品点数も少なくなって、製造コストの低減を図ることができる。
【0023】
また、操作ボタンが、固定部材を介して係止部材の一端部に固定される構成では、固定部材により操作ボタンを係止部材の一端部に固定することで連結することができるので、係止部材に対する操作ボタンの連結が簡単であり生産性に優れる。
また、操作ボタンが二部材で構成されているので、例えば、ボタン部を樹脂材で形成し、固定部を金属材で形成することができ、指に触れる部分を樹脂製の風合いとしつつ、固定する部分を金属製として係止部材に対する強固な固定を実現することができる。これにより、操作し易く、しかも高強度で剛性を備えた係止機構が得られる。これにより、側板の係止操作を長期間にわたって安定して行うことが可能であり、操作性に優れる。
【0024】
また、係止機構が、制動装置と調節つまみとの下方においてこれらの両方に亘るように設けられている構成では、スプール軸の前側における側板の下部領域において、制動装置と調節つまみとの間に形成されるスペースを利用して係止機構を配置することができるので、スプール軸の前側における側板の中央領域や上部領域に、制動装置と調節つまみとを配置しつつ、係止機構も好適に配置することができ、側板の内側スペースを内部機構部品の設置用のスペースとして効率よく利用することができる魚釣用リールが得られる。これによって、魚釣用リールのコンパクト化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る魚釣用リールの内部構造を示す上面図、(b)は制動装置を示した平断面図である。
【図2】(a)は魚釣用リールの側面図、(b)は図2(a)におけるX1−X1線断面図である。
【図3】(a)は外側板の内側の構成を示した側面図、(b)は外側板を取り外した状態の側面図、(c)は図2(a)におけるX2−X2線断面図である。
【図4】(a)は係止機構の拡大側面図、(b)は図4(a)におけるX3−X3線断面図、(c)は図4(a)におけるX4−X4線断面図である。
【図5】外側板を取り外す際の作用を示す図であり、(a)は操作ボタンを操作する前の状態を示す断面図、(b)は操作ボタンを操作した状態を示す断面図、(c)は操作ボタンを操作した後に外側板を回動させた状態を示す側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る魚釣用リールの外側板の内側を示す側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る魚釣用リールの側面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る魚釣用リールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る魚釣用リールの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前後」「左右」を言うときは、図1に示した方向を基準とし、「上下」を言うときは、図2(a)に示した方向を基準とする。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0027】
(第1実施形態)
図1に示すように、魚釣用リールのリール本体1は、釣糸が巻回されるスプール5を回転可能に支持した左右側板2A,2Bを備え、左側板2Aを構成する左外側板3aには、リール本体1の左フレーム2aに対してこの左外側板3aを取り付け取り外し可能とする係止機構20(図2(a)(b)参照)が設けられている。
ここで、リール本体1の「側板」は、図1に示すように、スプール5の軸方向の両端に位置する部材であり、本実施形態では、各種部材が支持されるフレーム体を構成する左右フレーム2a,2bと、これら左右フレーム2a,2bに所定の空間をもって夫々装着される左右外側板(カバー体)3a,3bとから構成される。左フレーム2a,2bと左右外側板3a,3bとの間には内部空間が形成され、このうち左フレーム2aと左外側板3aとの間に形成される内部空間には、前記した係止機構20(図2(a)(b)参照)の他、制動装置30、調整つまみ40等が設置されるようになっている。また、右フレーム2bと右外側板3bとの間に形成される内部空間には、駆動機構10、クラッチ機構50、バックラッシュ防止機構60等が設置されるようになっている。なお、左右フレーム2a,2bと左右外側板3a,3bとの形状については、適宜変形することが可能であり、それらを構成する材料は適宜設定することができる。
【0028】
左右フレーム2a,2bは、図示しない複数の支柱を介して一体化されており、そのうちの下部に設けられた支柱には、釣竿のリールシート(不図示)に装着される釣竿取付脚1aが設けられている。
また、左右フレーム2a,2b間には、軸受5a,5bを介してスプール軸5cが回転可能に支持されており、このスプール軸5cにスプール5が取り付けられている。
スプール5は、ハンドル7を回転操作することによって回転させることができるように構成されており、ハンドル7は、右外側板3bから突出したハンドル軸7aの端部に取り付けられて、右外側板3bとの間に介在された逆転防止機構7b(転がり式一方向クラッチ)によって、クラッチON操作時に釣糸巻き取り方向にのみ回転可能となっている。
なお、スプール軸5cを回転可能に支持する軸受5aは、左外側板3aに設けられた制動装置30の有底円筒状の支持部材31の中央部に配設されている。また、軸受5bは、右フレーム2bに配設されている。なお、軸受5bは、右外側板3bに配設されていてもよい。
【0029】
右フレーム2bと右外側板3bとの間には、前記したように、ハンドル7の回転運動をスプール軸5c、およびレベルワインド機構15の螺軸16に伝達する駆動機構10、駆動力の伝達を継脱するクラッチ機構50(図4参照)のほか、魚釣時にスプール5から釣糸が繰り出された際に、スプール5にドラグ力を付与するバックラッシュ防止機構(ドラグ機構)60等が収容されている。
【0030】
駆動機構10は、公知のように、ハンドル軸7aに回転可能に支持された駆動歯車11と、この駆動歯車11に噛合するピニオン12とを備えている。ピニオン12は、スプール軸5cと同軸上に設置されており、ピニオン軸12cに沿って軸方向に移動可能となっている。また、ピニオン12の外周には、円周溝12aが形成されており、この円周溝12aに、クラッチ機構50のヨーク51が係合して、ピニオン12を軸方向に移動させるようになっている。すなわち、ピニオン12が軸方向に移動することで、スプール軸5cとの間で継脱がなされ、動力伝達状態(クラッチON状態)/動力遮断状態(クラッチOFF状態)に切り換えられるようになっている。
【0031】
スプール5の前方において、リール本体1の左右側板2A,2B間には、レベルワインド機構15が配置されている。レベルワインド機構15は、駆動機構10を介して回転駆動される螺軸16と、螺軸16に装着されて左右方向に往復動可能に設けられた釣糸案内体17と、この釣糸案内体17に設けられたラインガイド18とを備えている。
螺軸16は、左右側板2A,2B間に回転可能に支持されており、駆動機構10を介して回転駆動されるようになっている。螺軸16の端部には、連動歯車16aが取り付けられており、この連動歯車16aには、ハンドル軸7aの駆動歯車11に隣接して設けられた歯車11aが噛合している。これにより、ハンドル7を巻き取り回転操作すると、ハンドル軸7aの回転が、歯車11aおよび連動歯車16aを通じて螺軸16に伝わり、螺軸16が回転駆動される。
【0032】
螺軸16の外周面には、螺旋溝16bが形成され、この螺旋溝16bには、釣糸案内体17に設けられた図示しない摺動子が係合している。これにより、釣糸案内体17のラインガイド18は、螺軸16が連動歯車16aによって回転駆動されることで、螺旋溝16bに係合する図示しない摺動子を介して左右往復動するようになっている。
【0033】
左フレーム2aと左外側板3aとの間に収容された制動装置30は、スプール5の回転を制動するものであり、図1(b)に示すように、左外側板3aの内側に嵌着固定された支持部材31と、この支持部材31の環状部31aの外側に固着された内側磁極環体32と、支持部材31に回動自在に支承された保持体33と、この保持体33の内側に固着された外側磁極環体34とを備えて構成されている。なお、支持部材31の環状部31aの内側には、スプール軸5cの左端を支持する軸受5aが装着されている。
【0034】
内側磁極環体32は、例えば、径方向のNS極を円周方向に等間隔で交互逆向きにかつ相対向して形成した環状磁石と、その内周面に嵌着された鉄等の磁性材料で形成された環状継鉄とから構成されている。
また、外側磁極環体34は、例えば、内側磁極環体32の環状磁石のNS極と夫々相対向した径方向のNS極を交互逆向きに相対向して形成した環状磁石と、その外周面に嵌着された鉄等の磁性材料で形成された環状継鉄から構成されている。そして、外側磁極環体34は、保持体33に固着された状態で、内側磁極環体32の径方向外側に同心円状に間隔を隔てて配置されており、このように間隔を隔てて配置された内側磁極環体32と外側磁極環体34との間には、スプール軸5cに固着された円筒状の導電環体5dが配置されるようになっている。導電環体5dは、例えば、アルミ、銅などの非磁性材料からなる。
【0035】
保持体33の外周部には歯部33aが形成されている。
一方、左外側板3aには、スプール軸5cの前側において、調節つまみ40が回動可能に軸支されており、この調節つまみ40に取り付けられた歯車41の歯部42が、保持体33の前記した歯部33aと噛合している。これにより、調節つまみ40を回動させることにより、保持体33の外側磁極環体34を内側磁極環体32に対して回動させることができ、内側磁極環体32と外側磁極環体34との対向しているNS極の関係を変更できるように構成されている。
なお、外側磁極環体34が内側磁極環体32に対して、異極同士が対向すると、空隙磁束密度は最大となり、導電環体5dに発生する渦電流が最大となって最大量の制動力を発揮する。そして、この状態から外側磁極環体34が回動されると、回動角の増大に伴って制動力が漸次減じられ、異極同士が対向したときの制動力がゼロになる。
【0036】
本実施形態では、調節つまみ40や係止機構20が、図2(a)に示すように、左外側板3aをスプール5(スプール軸5c)の軸心O1方向から見たときに、次の領域に配置されている。
すなわち、スプール5の軸心O1を通る2つの水平面K1と垂直面K2とを基準面として、左外側板3aの軸心O1の前側における領域を、上部領域A1と下部領域A2とに分けると、調節つまみ40の軸心O2は、上部領域A1に位置している。
一方、係止機構20は、左外側板3aの軸心O1の前側における領域において、全体が水平面K1の下側となる下部領域A2に位置しており、制動装置30と調節つまみ40との下方においてこれらの両方に亘るように設けられている。別言すれば、水平面K1を挟んで上側に調節つまみ40の軸心O2が位置し、下側に係止機構20の操作ボタン21を含む係止機構20の全ての構成要素が配置されている。
なお、調節つまみ40の上部40aは、左外側板3aに形成された開口部3cを通じて露出しており、この開口部3cを通じて操作可能となっている。
【0037】
また、調節つまみ40の下部40bは、水平面K1を超えて下部領域A2に達しており、係止機構20の操作ボタン21の上方近傍に位置している。
係止機構20の操作ボタン21は、制動装置30と調節つまみ40との下方において、制動装置30の支持部材31の外周縁31dと、調節つまみ40の外周縁40cと、左外側板3aの下縁3fと、で囲われる、側面視で略三角形状のスペースA3に配置されている。
ここで、操作ボタン21は略二等辺三角形とされており、略二等辺となる二つの辺21a,21bが、制動装置30の支持部材31の外周縁31dと、調節つまみ40の外周縁40cとにそれぞれ沿うようにして対向するように配置されている。つまり、制動装置30と調節つまみ40との下方に形成される略三角形状のスペースA3を無駄なく利用して、操作ボタン21が配置されている。
また、操作ボタン21の外表面は、左外側板3aの外表面と面一となるように形成されている。これによって、糸絡み等のトラブルを回避でき、把持性の向上を図ることができるとともに、実釣時に操作ボタン21が誤って押し込まれる等の誤操作も防止できる。
【0038】
ここで、図3(a)に示すように、制動装置30の支持部材31には、その円筒状の外周縁31dに、円周方向に所定の間隔(略90度間隔)を置いて、舌片状の係合片31cが突設されている。また、図3(b)に示すように、左フレーム2aには、前記した係合片31cに対応する位置に、前記各係合片31cが係合可能な溝状の係合部2cがそれぞれ設けられている。これにより、左外側板3aを左フレーム2aに装着する際には、左フレーム2aの側面に左外側板3aを合わせるようにして、スプール軸5c(軸心O1)を中心として回動させることで、各係合部2cに左外側板3aの係合片31cがそれぞれ係合し、これによって、左フレーム2aに脱落不能に左外側板3aが装着されることとなる。
【0039】
係止機構20は、図2(a)(b)に示すように、操作ボタン21と、この操作ボタン21の操作に連動して揺動する係止部材22とを備えて構成されている。操作ボタン21は、前記したように、スプール軸5cの軸方向から見て二辺21a,21bの長さが略等しい二等辺三角形状とされており、また、下辺21cは、左外側板3aの下縁3fに沿うように、これと略平行に配置されている。
操作ボタン21は、樹脂製であり、図2(b)に示すように、左外側板3aに形成されたボス部3gの凹部3e内にばね部材26を介して押し下げ操作可能に収容されている。なお、操作ボタン21は、これに連結される係止部材22によって、凹部3eから抜け落ちることが防止されている。
【0040】
操作ボタン21の端部には、ねじ穴21eが形成されている。このねじ穴21eには、金属製のねじ部材(固定部材)23が螺合可能であり、このねじ部材23を介して、操作ボタン21の端部が係止部材22の一端部22aに連結されている。なお、ねじ部材23は、樹脂製でもよい。
【0041】
係止部材22は、平板状の金属製の部材であり、図4(a)に示すように、側面視(左外側板3aを内側から見た側面視)で、一端部22a側に対して他端部22b側が左外側板3aの下縁3fと略平行となるように折曲形成された略く字形状を呈している。また、係止部材22は、図4(b)(c)に示すように、一端部22a側の軸線(不図示)に直交する略前後方向から見たときに、一端部22a側に対して他端部22b側が左外側板3aの内面側方に向けて突出するように折曲形成された略く字形状を呈している。
【0042】
係止部材22は、一端部22aが操作ボタン21に連結され、他端部22bが左フレーム2aの取付穴2dに設けられた受部2e(図2(a)(b)参照)に係脱可能とされており、一端部22aと他端部22bとの間に設けられた一対の支持腕25a,25bを支点として、左外側板3aに揺動可能に支持され、この揺動により、他端部22bが左フレーム2aに対して出没するようになっている。
【0043】
一端部22aは、図4(a)に示すように、側面視でリング状とされており、操作ボタン21の端部に螺合されるねじ部材23の頭部に係止されている。一端部22aは、薄肉状とされており、後記するように、操作ボタン21が押し下げられたときのねじ部材23の押し下げ移動に弾性的に追従するようになっている。なお、一端部22aは、操作ボタン21が押し下げられたときのねじ部材23の押し下げ移動に追従する遊び(隙間)を備えて、ねじ部材23の頭部に係止されるように構成してもよい。また、一端部22aは、ねじ部材23の移動に弾性的に追従するものであればよく、例えば、側面視でC字形状としてもよい。また、図示しないピン等を介して、ねじ部材23に連結されていてもよい。
【0044】
また、他端部22bは、前記したように左フレーム2aに設けられた受部2e(図2(a)(b)参照、以下同じ)に係脱可能に設けられており、その先端部22b2は、受部2eの外周面に対応した湾曲凹状に形成されている。
なお、図4(a)に示すように、左外側板3aには、先端部22b2との間に受部2eを受け入れ可能な湾曲凹部3kが形成されている。湾曲凹部3kは、受部2eの先端外周面に対応した内周面を有している。
【0045】
ここで、図4(c)に示すように、他端部22b側に形成された傾斜面22b1には、後記するように、左フレーム2aに左外側板3aを装着する際に、受部2eが他端部22bの先端部22b2に係止されるまでの間、受部2eが一時的に当接するようになっている。この場合、傾斜面22b1に受部2eが当接することにより、係止部材22の他端部22b側は、左外側板3aに向けて没することとなり、反対側となる一端部22aが左フレーム2a側に揺動する。これにより、固定ねじ23が左フレーム2a側に引っ張られ、ばね部材26が一時的に圧縮される状態となる。そして、左外側板3aの装着時の回動(図5(c)において図中矢印B2方向の回動)にともなって、傾斜面22b1上から受部2eが外れて先端部22b2側に移動すると、左外側板3aに向けて没していた他端部22bが、ばね部材26のばね力により受部2e側に突出するように復帰され、これによって、他端部22bの先端部22b2が受部2eに係止される状態となる。
なお、操作ボタン21の外周縁部の一部である辺21cに沿う方向と、係止部材22の一部である他端部22bに沿う方向とが略一致するように操作ボタン21と係止部材22とが配置されている。
【0046】
一対の支持腕25a,25bは、図4(a)に示すように、係止部材22の長手方向の略中央部において係止部材22の両側方へ突出形成されており、左外側板3aの内面に突設されたボス部(第1支持部)3g1,ボス部(第2支持部)3g2に対してそれぞれ支持されるようになっている。
一方のボス部3g1は、図4(b)に示すように、係止部材22の一側に配置されており、係止部材22の支持腕25a(左外側板3aの下縁3fから離れる側の支持腕25a)に対向する部分に、この支持腕25aを受け入れて支持する支持穴3hが形成されている。
また、他方のボス部3g2は、図4(c)に示すように、係止部材22の他側に配置されており、係止部材22の支持腕25b(左外側板3aの下縁3fに近い側の支持腕25b)に対向する部分に、支持腕25bが挿入支持される支持凹部3jを有している。支持凹部3jの側方には固定ねじ24(保持部材)が螺着され、この固定ねじ24の頭部で、支持凹部3jの開口の一部が塞がれるようになっている。これにより、支持凹部3j内から支持腕25bが脱落することが防止されている。
したがって、係止部材22を支持する際には、一方のボス部3g1の支持穴3hに係止部材22の支持腕25aを先に挿入支持しておいてから、他方のボス部3g2の支持凹部3jに支持腕25bを挿入し、その上から固定ねじ24をボス部3g2に螺着する。これによって、係止部材22が支持腕25a,25bを介してボス部3g1,3g2に揺動可能に支持されることとなる。
【0047】
次に、左外側板3aを左フレーム2aから取り外す際の操作について説明する。
ここで、左フレーム2aに左外側板3aが取り付けられている状態では、図5(a)に示すように、係止部材22の他端部22bが受部2eに向けて突出しており、他端部22bの先端部22b2が受部2eの外周面に係止されている。
この状態から、係止機構20の操作ボタン21を押し下げ操作すると、図5(b)に示すように、操作ボタン21が左外側板3aに形成された凹部3e内を左フレーム2a側に向けて移動し、この移動により、係止部材22の一端部22aが左フレーム2aに向けて押される。そうすると、一対の支持腕25a,25bを支点として係止部材22が揺動し、他端部22bが左外側板3aの内面へ向けて移動する(没する)。これによって、他端部22bの先端部22b2が左フレーム2aの受部2eから外れ、これらの係止状態が解除される。
【0048】
この状態で、左外側板3aをスプール軸5c(軸心O1)を中心として、図5(c)中矢印B1方向に回動させる(スプール軸5c周りに回動させる)。そうすると、制動装置30の支持部材31に設けられた舌片状の係合片31cが、左フレーム2aに設けられた係合部2cからそれぞれ外れ、これらの係合状態が解除される。
これによって、左フレーム2aに対する左外側板3aの装着状態が解除され、左フレーム2aから左外側板3aを取り外すことができる。
【0049】
また、左フレーム2aに対して左外側板3aを装着する際には、左外側板3aを左フレーム2aにあてがって、左外側板3aをスプール軸5c(軸心O1)を中心として、図5(c)中矢印B2方向に回動させる(スプール軸5c周りに回動させる)。そうすると、制動装置30の支持部材31に設けられた舌片状の係合片31cが、左フレーム2aに設けられた係合部2cにそれぞれ係合し、左フレーム2aに対して左外側板3aが装着される。
【0050】
一方、このような装着時において、左外側板3aをスプール軸5c(軸心O1)を中心として、図5(c)中矢印B2方向に回動させると、左フレーム2aの受部2eの端部が係止部材22の他端部22bの先端部22b2に係止されるまでの間、受部2eの端部が一時的に当接する。これにより、係止部材22の他端部22b側が、左外側板3aに向けて没し、これによる係止部材22の揺動で、前記したように、ばね部材26が一時的に圧縮される状態となる。
【0051】
その後、左外側板3aの装着時の回動(図5(c)において矢印B2方向の回動)にともなって、傾斜面22b1上から受部2eが外れて先端部22b2側に移動すると、左外側板3aに向けて没していた他端部22bが、ばね部材26のばね力により受部2e側に突出するように復帰され、これによって、他端部22bの先端部22b2が受部2eに自動的に係止されることとなる。
これによって、左フレーム2aに対して左外側板3aが装着(係止)される。
【0052】
以上説明した本実施形態の魚釣用リールによれば、リール本体1のフレーム2aに対して左外側板3aを着脱することができ、左外側板3aに設けられた係止機構20により、リール本体1のフレーム2aに対して左外側板3aを係止することができるので、スプール5の交換やスプール5のメンテナンス等を簡単かつスムーズに行うことができる。
そして、係止機構20は、リール本体1の竿延在方向のスプール軸5cの前側において、左外側板3aの下部領域A2に設けられているので、スプール軸5cの前側における左外側板3aの中央領域や上部領域A1を内部機構部品の設置用のスペースとして利用することができる。これにより、これらのスペースを利用して内部機構部品(例えば、操作つまみ40や歯車41等のスプール5を制動するための操作部品等)を左外側板3aの内側に設置することができる。
なお、リール本体1の左フレーム2a側に設けられる機構や部品等をこれらのスペースを利用して収容することもできる。したがって、左外側板3aの内側スペースを内部機構部品の設置用のスペースとして効率よく利用することができる魚釣用リールが得られる。これによって、魚釣用リールのコンパクト化を図ることもできる。
【0053】
また、係止機構20は、リール本体1の竿延在方向のスプール軸5cの前側において、左外側板3aの下部領域A2に設けられているので、左外側板3aの側方から操作ボタン21に手をあてがうようにして、操作ボタン21を指で押し下げ(押し込み)操作することができ、左外側板3aを取り外す際の操作が行い易い。
【0054】
また、操作ボタン21と係止部材22とにより係止機構20を簡単に構成することができるので、生産性に優れ、また部品点数も少なく、製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、操作ボタン21と、係止部材22とが材料の異なる部材で構成することができるので、操作し易く、しかも高強度で剛性を備えた係止機構20が得られる。これにより、左外側板3aの係止操作を長期間にわたって安定して行うことが可能であり、操作性に優れる。
【0055】
また、スプール軸5c方向から見て略三角形状とされた操作ボタン21の一辺21cが、左外側板3aの下部領域A2において左外側板3aの下縁3fに沿うように配置されているので、左外側板3aの下縁3fに近づけるようにして操作ボタン21を配置することができる。
また、左外側板3aの下縁3fに近づけるようにして操作ボタン21をレイアウトすることができるので、スプール軸5cの前側における左外側板3aの下部領域A2において容易に操作ボタン21が収まるようになり、係止機構20のさらなる省スペース化を実現することができる。これによって、左外側板3aの内側スペースを内部機構部品の設置用のスペースとして一層効率よく利用することができるようになり、より一層の魚釣用リールのコンパクト化を図ることもできる。
【0056】
また、係止部材22をボス部3g1,ボス部3g2に組み付ける際には、一対の支持腕25a,25bのうち支持腕25bのみを固定ねじ24で保持すればよいので、組み付けが簡単で生産性に優れ、また、部品点数も少なくなって、製造コストの低減を図ることができる。
【0057】
また、係止部材22の他端部22b側は、左外側板3aの下縁3fに沿うように配置されているので、この下縁3fに近づけるようにして係止部材22を配置することができる。
したがって、スプール軸5cの前側における左外側板3aの下部領域A2において容易に係止部材22が収まるようになり、係止機構20のさらなる省スペース化を実現することができる。これによって、左外側板3aの内側スペースを内部機構部品の設置用のスペースとして一層効率よく利用することができるようになり、より一層の魚釣用リールのコンパクト化を図ることもできる。
【0058】
また、操作ボタン21の外周縁部の一部である辺21cに沿う方向と、係止部材22の一部である他端部22bに沿う方向とが略一致しているので、これらを揃えるようにして、スプール軸5cの前側における左外側板3aの下部領域A2に、操作ボタン21と係止部材22とを配置することができる。
したがって、下部領域A2における設置スペースの省スペース化を図ることができ、スプール軸5cの前側における左外側板3aの中央領域や上部領域A1の内側スペースを内部機構部品の設置用のスペースとして効率よく利用することができる。これによって、魚釣用リールのコンパクト化を図ることもできる。
【0059】
また、ねじ部材23により操作ボタン21を係止部材22の一端部22aに固定することで、操作ボタン21を係止部材22に連結することができ、連結が簡単で生産性に優れる。
操作ボタン21とねじ部材23との二部材で固定部分が構成されているので、指に触れる操作ボタン21を樹脂製の風合いとしつつ、固定する部材であるねじ部材23を金属製とすることができ、係止部材22に対する強固な固定を実現することができる。これにより、操作し易く、しかも高強度で剛性を備えた係止機構20が得られる。これにより、左外側板3aの係止操作を長期間にわたって安定して行うことが可能であり、操作性に優れる。
【0060】
また、係止機構20は、制動装置30と調節つまみ40との下方においてこれらの両方に亘るように設けられているので、スプール軸5cの前側における左外側板3aの下部領域A2において、制動装置30と調節つまみ40との間に形成されるスペースを好適に利用した配置が可能となる。
したがって、スプール軸5cの前側における左外側板3aの中央領域や上部領域に、制動装置30と調節つまみ40とを配置しつつ、係止機構20も好適に配置することができ、左外側板3aの内側スペースを内部機構部品の設置用のスペースとして効率よく利用することができる魚釣用リールが得られる。これによって、魚釣用リールのコンパクト化を図ることもできる。
【0061】
また、スプール軸5cの軸方向から見て、水平面K1の上側に調節つまみ40の軸心(つまみ軸)O2が位置するとともに、水平面K1の下側に係止機構20が位置するので、水平面K1の上側となる左外側板3aの中央領域や上部領域に、調節つまみ40を配置することができ、また、水平面K1の下側となる左外側板3aの下部領域A2に係止機構20を好適に配置することができ、スプール軸5cの前側における左外側板3aの内側スペースを内部機構部品の設置用のスペースとして効率よく利用することのできる魚釣用リールが得られる。これによって、魚釣用リールのコンパクト化を図ることもできる。
【0062】
(第2実施形態)
図6を参照して第2実施形態の魚釣用リールについて説明する。
本実施形態の魚釣用リールが前記第1実施形態と異なるところは、ボス部3g1に固定ねじ27を螺着して支持腕25aの脱落を防止した点である。
【0063】
ボス部3g1には、係止部材22の支持腕25aに対向する部分に、支持腕25aが挿入支持される支持凹部3m(図4(c)に示す支持凹部3jと同様のもの)が設けられている。そして、この支持凹部3mの側方には、固定ねじ27が螺着され、この固定ねじ27の頭部で、支持凹部3mの開口の一部が塞がれるようになっている。これにより、支持凹部3m内から支持腕25aが脱落することが防止されている。
【0064】
したがって、係止部材22を支持する際には、例えば、一方のボス部3g1の支持凹部3mに係止部材22の支持腕25aを挿入し、他方のボス部3g2の支持凹部3jに支持腕25bを挿入し、これらの上から固定ねじ27,24をボス部3g1,3g2にそれぞれ螺着する。これによって、係止部材22が支持腕25a,25bを介してボス部3g1,3g2に揺動可能に支持されることとなる。なお、いずれか片側を固定してから残りの片側を固定するようにしてもよい。
【0065】
以上説明した本実施形態の魚釣用リールによっても前記第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果を有する。
また、固定ねじ27,24を固定することで係止部材22をボス部3g1,3g2に揺動可能に支持することができるので、係止部材22の組み付けが簡単であり、生産性に優れる。また、固定ねじ27,24の頭部により支持凹部3j,3mの開口の一部が塞がれることとなるので、支持腕25a,25bの脱落を確実に防止することができる。
【0066】
(第3実施形態)
図7を参照して第3実施形態の魚釣用リールについて説明する。
本実施形態の魚釣用リールが前記第1,第2実施形態と異なるところは、係止機構20の操作ボタン21Aを側面視で略四角形状とした点である。
【0067】
操作ボタン21Aは、左外側板3aの支持部材31の環状部31aに沿う第1辺21a1と、調節つまみ40の外周縁40cに沿う第2辺21a2と、左外側板3aの前側に向く第3辺21a3と、左外側板3aの下縁3fに略平行に沿う第4辺21a4と、を備えている。
第2辺21a2および第4辺21a4は、緩やかに湾曲する凹状とされており、これによって、操作ボタン21Aの上下方向における小型化が図られている。
また、第1辺21a1と第3辺21a3とは略平行となるようにされている。
【0068】
以上説明した本実施形態の魚釣用リールによっても前記第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果が得られる。
また、係止機構20の操作ボタン21Aは、側面視で略四角形状とされているので、指に触れる部分の面積を前記第1,第2実施形態で説明した略二等辺三角形状のものよりも大きく設定することができ、操作性の向上を図ることができる。
また、操作ボタン21Aは、制動装置30と調節つまみ40との下方において、制動装置30の支持部材31の外周縁31dと、調節つまみ40の外周縁40cと、左外側板3aの下縁3fと、で囲われる、側面視で略三角形状のスペースA3に配置されているので、略四角形状とされて、指に触れる部分の面積が大きく設定された構成でありながら、スペースA3内に好適に配置することができる。これによって、操作性を図りながらコンパクト化を図ることができる魚釣用リールが得られる。
【0069】
(第4実施形態)
図8を参照して第4実施形態の魚釣用リールについて説明する。
本実施形態の魚釣用リールは前記第1実施形態の変形例であり、係止機構20の略三角形状とされた操作ボタン21Bの前部を幅広に形成した点である。
【0070】
操作ボタン21Bは、左外側板3aの支持部材31の環状部31aに沿う第1辺21b1と、調節つまみ40の外周縁40cに沿う第2辺21b2と、左外側板3aの下縁3fに略平行に沿う第3辺21b3と、を備えており、第2辺21b2と第3辺21b3との間が円弧状に幅広(上下方向に幅広)に形成されている。
【0071】
本実施形態の魚釣用リールによっても前記第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果が得られる。
また、係止機構20の操作ボタン21Bは、前部が幅広に形成されているので、指に触れる部分の面積を前記第1,第2実施形態で説明した略二等辺三角形状のものよりも大きく設定することができ、操作性の向上を図ることができる。
また、操作ボタン21Bは、制動装置30と調節つまみ40との下方において、制動装置30の支持部材31の外周縁31dと、調節つまみ40の外周縁40cと、左外側板3aの下縁3fと、で囲われる、側面視で略三角形状のスペースA3に配置されているので、前部が幅広とされて、指に触れる部分の面積が大きく設定された構成でありながら、スペースA3内に好適に配置することができる。したがって、操作性を図りながらコンパクト化を図ることができる魚釣用リールが得られる。
【0072】
また、前各記実施形態においては、係止機構20の操作ボタン21の設置位置が、スプール軸5cの前側における下部領域A2であるので、魚釣時にリールに手を添えているときに、操作ボタン21が手の平に当ることがなく、違和感なしに快適に釣りが行える。
なお、前記各実施形態において制動装置30は、磁気ブレーキ方式のものを例にとって説明したが、これ以外の公知の遠心力ブレーキ方式等を採用することもできる。
また、前記各実施形態においては、左外側板3aに係止機構20を設置される例を示したが、これに限られることはなく、右外側板3bに係止機構20が設けられていてもよい。
【0073】
また、前記各実施形態では、係止部材22が、操作ボタン21(21A,21B)の操作に連動して揺動するものを例示したが、これに限られることはなく、操作ボタン21(21A,21B)の操作に連動して作動することで受部2eとの係止を解除するものであれば種々の機構や構造を採用し得る。
【符号の説明】
【0074】
1 リール本体
2A 左側板
2a 左フレーム
2b 右フレーム
3a 左外側板
3f 下縁
3g1 ボス部(第1支持部)
3g2 ボス部(第2支持部)
3j 支持凹部
3m 支持凹部
5 スプール
5c スプール軸
20 係止機構
21 操作ボタン
21A 操作ボタン
21B 操作ボタン
22 係止部材
22a 一端部
22b 他端部
25a,25b 支持腕
30 制動装置
A1 上部領域
A2 下部領域
A3 スペース
K1 水平面
K2 垂直面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体の側板間にスプールが回転自在に支持された魚釣用リールであって、
前記側板は、前記スプールのスプール軸周りに回動させることにより、前記リール本体のフレームに対して着脱可能に設けられ、
前記側板には、前記フレームに対して当該側板を係止するための係止機構が設けられており、
前記係止機構は、前記リール本体の竿延在方向における前記スプール軸の前側において、前記側板の下部領域に設けられていることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記係止機構は、操作ボタンと、前記操作ボタンの操作に連動して作動する係止部材とを備え、
前記係止部材は、前記フレーム側に設けられた受部に係止されて前記側板を前記フレームに係止し、前記操作ボタンの操作に連動して作動することで前記受部との係止を解除して前記フレームに対する前記側板の離脱を可能にすることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記操作ボタンは、前記スプール軸方向から見て略三角形状とされており、少なくともその一辺が、前記側板の下部領域において当該側板の下縁に沿うように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記係止部材は、前記操作ボタンに連結される一端部と、前記受部に係脱する他端部と、前記一端部と前記他端部との間に設けられ、前記他端部が前記受部に対して係脱するように当該係止部材を揺動可能に支持する一対の支持腕と、を備えており、
一対の前記支持腕は、前記側板の下縁から離れる側と前記側板の下縁に近い側とにそれぞれ突設されており、
一対の前記支持腕のうち、前記側板の下縁から離れる側の前記支持腕を支持する第1支持部と、前記側板の下縁に近い側の前記支持腕を保持する保持部材が装着される第2支持部と、を備えて構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
前記操作ボタンは、ボタン部と、このボタン部を前記係止部材の一端部に固定するための固定部材とを備えてなることを特徴とする請求項4に記載の魚釣用リール。
【請求項6】
前記側板は、前記スプールの回転を制動する制動装置と、この制動装置における制動力を調節する調節つまみと、を備え、
前記係止機構は、前記制動装置と前記調節つまみとの下方においてこれらの両方に亘るように設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の魚釣用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−105593(P2012−105593A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257220(P2010−257220)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】