説明

魚釣用電動リール

【課題】 本発明は魚釣用電動リールに係り、船釣りに広く使用される魚釣用電動リールにに改良を加えて、ティザーの回収に使用可能な魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
【解決手段】 リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータを備えた魚釣用電動リールに於て、上記リール本体に、釣船の進路や速度等の走航情報を発信する外部送信手段からの信号を受信する受信手段と、当該受信手段で受信された走航情報を基に、前記スプール駆動モータを駆動制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚釣用電動リールに係り、詳しくはトローリングに於けるティザー(集魚器)の回収作業に使用可能な魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、クルーザの走航によるトローリングは、一般にクルーザのデッキ上にリールを装着した複数本のトローリングロッドを据え付け、夫々のリールから引き出した釣糸を、ロッド先端よりクリップを通して水中に繰り出して行われている。
そして、何れかのロッドから繰り出した釣糸の仕掛けに表層部を回遊するカジキやマグロ,キハダ等の大物がヒットすると、船長または船員は釣人に他のロッドの仕掛けの回収を指示したり自ら仕掛けを回収し、魚の引きに合わせて船の進路や速度を調節している。
【0003】
また、一般にトローリングでは、釣果を上げるため、所定長さの糸の先端に結び付けたティザーをクルーザの後部中央から水中に流しているが、船長または船員は魚のヒットと同時に、釣り操作の邪魔にならないようにこのティザーを仕掛けと共に急いで手繰り寄せや巻取具等で回収しているのが現状である。
【特許文献1】特開昭59−34832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、魚がヒットすると、上述したように船長や船員は、他のロッドの仕掛けの回収を指示したり、ティザーと仕掛けの回収作業をしなければならないため、負担が一度に集中して大変であり、ティザーの回収タイミングを失うと、船の進路の変更や速度調節を適切に行うことができずに釣果に支障を来してしまう等の課題が残されていた。
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、船釣りに広く使用される魚釣用電動リールに改良を加えて、ティザーの回収に使用可能な魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータを備えた魚釣用電動リールに於て、上記リール本体に、釣船の進路や速度等の運航情報を発信する外部送信手段からの信号を受信する受信手段と、当該受信手段で受信された釣船の運航情報を基に、前記スプール駆動モータを駆動制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、釣船(クルーザ)の進行方向や進行速度等の運航情報データに基づいて、スプールを巻取り駆動するスプール駆動モータを制御可能としたので、トローリング時のティザーの回収作業を魚の引き具合に応じて自動的に行うことができ、この結果、ティザーを手繰り寄せや巻取具等で回収する必要がなくなり、船上での魚の取り込みに関わるその他の作業を支障なく円滑に行えることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は請求項1の一実施形態に係る魚釣用電動リール(以下、「電動リール」という)を示し、図中、1はリール本体3のフレーム、5,7は当該フレーム1の左右に取り付く側板で、両側板5,7とフレーム1によって魚釣用リール8のリール本体3が形成されている。そして、両側板5,7間に軸受を介してスプール軸が支持され、当該スプール軸にスプール9が回転可能に支持されている。
【0008】
スプール9は、スプール駆動モータ(図2中、符号11)の駆動やハンドル13の巻取り操作で回転して釣糸が巻回されるようになっており、スプール駆動モータ11はスプール9前方のフレーム1に一体成形されたモータケース内に収納されている。
そして、ハンドル13側の側板7の上部前方には、特許第2977978号公報で開示された電動リールと同様、スプール駆動モータ11のモータ出力を調節するレバー形状のモータ出力調節体(以下、「パワーレバー」という)15がハンドル13と同方向へ回転操作可能に取り付けられており、当該パワーレバー15の操作で、制御ボックス17内に装着した図2のマイクロコンピュータ(制御手段)19が、モータ駆動回路21を介してスプール駆動モータ11のモータ出力をモータ停止状態から高出力値まで連続的に増減して、スプール9の巻取り速度を制御するようになっている。
【0009】
更に、図1に示すようにスプール9後方の側板5,7間には、側板7内に装着したクラッチ機構を操作するクラッチレバー23が下方向へ押圧操作可能に取り付けられており、当該クラッチレバー23の押圧操作で、クラッチ機構がクラッチONからクラッチOFFに切り換わるようになっている。
そして、このクラッチOFF状態でハンドル13を巻取り方向へ回転させると、図示しない周知の復帰機構を介してクラッチ機構がクラッチONに復帰するように構成されており、このクラッチ機構のクラッチON/OFFの切換えでスプール9が巻取り可能状態とスプールフリー状態とに切り換わって、スプール9へのスプール駆動モータ11やハンドル13の動力が伝達/遮断されるようになっている。
【0010】
また、図1中、25はスプール9の回転数とその回転方向を検出する回転検出手段で、回転検出手段25は、フレーム1に装着された一対のホール素子27と、これに対向してスプール9の一端側周縁部に固着されたマグネット29とで構成されており、ホール素子27はマイクロコンピュータ19のCPUに接続されている。
而して、CPUは、特開平5−103567号公報で開示された糸長計測プログラムと同様、ホール素子27から出力されるスプール9の正転,逆転の判定信号を取り込んで釣糸の繰出しか巻取りかを判定すると共に、ホール素子27から取り込むスプール9の回転パルス信号をカウントして、この計数値を基にマイクロコンピュータ19のROMに記憶された糸長計算式を演算実行するようになっている。
【0011】
そして、CPUは、表示駆動回路31を介してその演算結果を、制御ボックス17の操作パネル33上に設けた表示器35に表示させるようになっており、釣人は斯かる表示を確認し乍ら、所定の水深に仕掛けを繰り出したり、ハンドル13やパワーレバー15の操作で釣糸を巻き上げることができる。
また、操作パネル33上には、表示器35に隣接してボタン式のリセットスイッチ37やモードスイッチ39,棚メモスイッチ41,コマセスイッチ43等が装着されており、図3に示すようにモードスイッチ39の押圧操作で、マイクロコンピュータ19は「実釣モード」,「自船位置表示モード」,「相対位置表示モード」,「トローリング使用モード」に順次切り換わるようになっている。
【0012】
即ち、既述したようにマイクロコンピュータ19は、ホール素子27から取り込むスプール9の回転パルス信号をカウントし、この計数値を基に糸長計算式を演算実行して演算結果を表示器35に表示させるが、図4に示すように表示器35には、上カラ表示部45と棚カラ表示部47が設けられており、図4に示す「実釣モード」や図6に示す「相対位置表示モード」に於て、マイクロコンピュータ19はホール素子27からの回転パルス信号を基に釣糸の繰出し量(糸長)を演算して、この演算結果を上カラ表示部45に表示する。
【0013】
また、実釣開始時に、釣糸が竿先から水面まで繰り出された処で釣人がリセットスイッチ37を押圧操作すると、上カラ表示部45の表示値が「0.0」にリセットされるようになっている。
この後、釣人が釣糸を繰り出していくと、計測された繰出し量が上カラ表示部45に表示され、そして、釣糸が例えば95.5m繰り出された処で棚メモスイッチ41を押圧操作すると、棚カラ表示部47に「0.0」が表示されて棚位置が設定され、以後、釣糸の巻上げに伴う棚位置からの仕掛けの位置と水面からの繰出し量が、上カラ表示部45と棚カラ表示部47に表示されるようになっている。
【0014】
更に、図4に示すように表示器35には、デジタル表示部49と、当該デジタル表示部49を囲む8片のセグメント51とで構成されたタイマ表示部53が設けられており、上述したコマセスイッチ43の押圧操作でマイクロコンピュータ19内のタイマが作動し、計時された時間がタイマ表示部53(デジタル表示部49と8片のセグメント51)に表示されてコマセの詰替え時期が確認できるようになっている。
【0015】
そして、このタイマ表示部53は、更に「相対位置表示モード」に於て、釣船と設定したポイントまでの距離を表示させると共に、セグメント51を用いてポイントの方向を表示する機能に切り換わるように構成されている。
即ち、釣りを行っている間に釣船は潮の流れでポイントから流され、仕掛けの投入位置と所定のポイントとの間に誤差が生じる。そして、海上には周囲にランドマークが少ないためポイントの位置を認識することが難しく、釣人はポイントに仕掛けを正確に投入するのに経験と勘に頼らざるを得ない。
【0016】
しかし、近年、海上に於ける自船位置を把握するためにGPS等の位置検索システムが釣船に備わっており、図2に示すように釣船55では、GPS受信機57で受信した複数のGPS衛星59からの電波をマイクロコンピュータ61で演算処理して、自船の現在位置が把握できるようになっている。
そこで、本実施形態では、本出願人が特開2003−274830号公報で開示した従来例と同様、釣船55にジャイロ63を装着し、これをマイクロコンピュータ61に接続することで釣船55の現在位置と進路(進行方向)を判断すると共に、単位時間当たりの移動距離から釣船55の進行速度を求めて、これらの運航情報のデータを送信機65から電動リール8側に無線で送信させるようになっており、本明細書に於て、釣船55に艤装したGPS受信機57やマイクロコンピュータ61,送信機65等を総称して「外部送信手段」という。
【0017】
一方、電動リール8には、送信機65からの運航情報の送信データを受信する受信機(受信手段)67が装着されており、受信機67は受信した運航情報のデータをマイクロコンピュータ19に入力する。
尚、本実施形態は、運航情報のデータを送信機65から電動リール8側へ無線で送信させたが、有線でデータを送信機65から電動リール8側へ送信させてもよい。
【0018】
そして、釣人がモードスイッチ39を押圧操作して、図3の如くマイクロコンピュータ19を「実釣モード」から「自船位置表示モード」に切り換えると、図5に示すようにマイクロコンピュータ19は、釣船55側から受信した電動リール8(乗船している釣船55)の現在位置を、表示駆動回路31を介して上カラ表示部45と棚カラ表示部47に、夫々、表示させるようになっており、本実施形態では、上カラ表示部45に経度(東経)、棚カラ表示部47に緯度(北緯)を夫々表示させている。
【0019】
そして、斯かる「自船位置表示モード」で釣人がモードスイッチ39を長押しすると、この現在位置がポイントとしてマイクロコンピュータ19のRAMに記憶されて、マイクロコンピュータ19が「相対位置表示モード」に移行するようになっている。
而して、既述したように釣りを行っている間に釣船55は、図7に示すように潮の流れや風の影響で設定したポイントPから流され、仕掛けの投入位置とポイントPとの間に誤差が生じる。
【0020】
そこで、「相対位置表示モード」に於てマイクロコンピュータ19は、釣船55側からの運航情報のデータ(釣船55の現在位置と進路)に基づき、電動リール8の現在位置と設定したポイントPとを比較して、図6及び図7に示すようにタイマ表示部53のデジタル表示部49にポイントPまでの距離を表示させると共に、セグメント51を用いてポイントPの方向を表示させるようになっている。
【0021】
尚、セグメント51は船首が上に設定されており、図6に示すようにマイクロコンピュータ19は、この「相対位置表示モード」で上カラ表示部45と棚カラ表示部47を、釣糸の繰出しに伴う糸長計測値の表示に切り換えるようになっている。
そして、本実施形態に係る電動リール8の大きな特徴は、上述の如き通常の船釣りに加え、電動リール8をトローリングに於けるティザーの回収作業に使用できることにある。
【0022】
図8はトローリングに使用するクルーザを示し、図中、69はクルーザ71のデッキ73上に据え付けた複数本のトローリングロッドで、夫々のトローリングロッド69に装着したリール(図示せず)から引き出した釣糸75が、トローリングロッド69先端のクリップ(図示せず)を通して水中に繰り出されている。
そして、クルーザ71の後部中央のデッキ73上に前記電動リール8が単体で装着されており、スプール9に巻回された釣糸77の先端にティザー79が結び付けられて水中に繰り出されている。
【0023】
而して、ティザー79の繰出しは、通常の仕掛けの繰出しと同様、マイクロコンピュータ19を「実釣モード」に切り換え、クラッチレバー23の押圧操作でクラッチ機構をクラッチOFFにしてスプール9から繰り出せばよく、既述したようにマイクロコンピュータ19は、ホール素子27から取り込むスプール9の回転パルス信号をカウントし、この計数値を基に糸長計算式を演算実行して演算結果を上カラ表示部45に表示させるため、斯かる表示値を基に、ティザー79を所定量繰り出した処で船長や釣人がクラッチ機構をクラッチONに切り換えればよい。
【0024】
そして、クルーザ71には、前記GPS受信機57とマイクロコンピュータ61,ジャイロ63,送信機65が装着されており、既述したようにマイクロコンピュータ61は、GPS情報とジャイロ63からクルーザ71の現在位置と進路(進行方向)を判断し、また、単位時間当たりの移動距離からクルーザ71の進行速度を求めて、これらの運航情報のデータを送信機65から外部に無線で送信する。
【0025】
一方、電動リール8のマイクロコンピュータ19のROMには、予め工場出荷段階で、
[1]単位時間当たりの急加速量の設定値
[2]単位時間当たりの急減速量の設定値
[3]船の後進検出
等の設定条件が設定,記憶されている。
【0026】
即ち、一般にトローリングでは、魚がヒットすると、針掛かりをよくしたり、魚の引き具合に合わせてクルーザを急加減速したり、クルーザを後進させたりして、状況に応じクルーザの進行速度や進行方向を変更している。
そこで、ティザー79を水中に繰り出した後、船長や船員がモードスイッチ39を押圧操作してマイクロコンピュータ19を図3の如く「トローリング使用モード」に切り換えると、マイクロコンピュータ19は、送信機65からの運航情報のデータと上記[1]〜[3]の設定条件を比較するようになっており、トローリングは電動リール8を「トローリング使用モード」に設定して行う。
【0027】
尚、運航情報のデータを、有線で送信機65から電動リール8へ送信させてもよい。
そして、この「トローリング使用モード」でトローリングを行っている際に、カジキやマグロがヒットしてクルーザ71を急加速或いは急減速させた結果、クルーザ71の急加速量が[1]の設定値に達し、或いは急減速量が[2]の設定値に達したと判定すると、マイクロコンピュータ19はモータ駆動回路31に指令を送出してスプール駆動モータ11を駆動し、釣糸77をスプール9に巻回させてティザー79を回収するようになっている。
【0028】
一方、徐々に減速していたクルーザ71が後進を始めたと判定([3]の設定条件に一致)すると、マイクロコンピュータ19は、スプール駆動モータ11をデューティ制御して、更に速い巻取り速度で釣糸77をスプール9に巻回してティザー79を回収するようになっているおり、この「トローリング使用モード」に於ける表示器35の表示態様は図4と同様であるが、タイマ表示部53は非表示状態にある。
【0029】
そして、いずれの場合も、上カラ表示部45の表示値が所定量(例えば、繰出し量が「1メートル」)になった処で、マイクロコンピュータ19はスプール駆動モータ11の駆動を停止して、ティザー79の回収作業を停止させるようになっている。
尚、本実施形態では、単位時間当たりのクルーザ71の急加速量が[1]の設定値に達し、また、単位時間当たりの急減速量が[2]の設定値に達したときに、所定のモータ出力でスプール駆動モータ11を作動させるように構成し、更にまた、クルーザ71が後進を始めた場合には、これより速い巻取り速度でスプール駆動モータ11を作動させるように構成したが、急加速量や急減速量,後進速度に応じたモータ出力のマップをマイクロコンピュータ19のROMに設定,記憶して、より細かなスプール駆動モータ11の駆動制御を行ってもよい。
【0030】
そして、トローリングを終えて、後日、図7の如き釣船55で一般的な船釣りを行う場合には、通常のロッドに電動リール8を装着して、既述したように図3の「実釣モード」,「自船位置表示モード」,「相対位置表示モード」で実釣ができるようになっている。
本実施形態に係る電動リール8はこのように構成されているから、図7の如き釣船55で一般的な船釣りを行う場合には、上述したように通常のロッドに電動リール8を装着して、図3の「実釣モード」,「自船位置表示モード」,「相対位置表示モード」に於て、一般的な電動リールと同様に船釣りを行えばよい。
【0031】
一方、電動リール8をトローリングに於けるティザー79の回収作業に利用する場合は、図8に示すようにクルーザ71の後部中央のデッキ73上に電動リール8を単体で装着して、釣糸77の先端にティザー79を接続する。そして、トローリングに当たり、ティザー79を電動リール8のスプール9から所定量繰り出してクラッチ機構をクラッチONに切り換え、モードスイッチ39を押圧操作してマイクロコンピュータ19を「トローリング使用モード」に切り換えておけばよい。
【0032】
而して、斯かる手順を経てトローリングを行うと、クルーザ71側の送信機65から電動リール8の受信機67に運航情報のデータが送信され、マイクロコンピュータ19は受信機67で入力した運航情報のデータと前記[1]〜[3]の設定条件を比較する。
そして、カジキやマグロがヒットすると、船長または船員はクルーザ71を急加速或いは急減速させたり、クルーザ71を後進させるが、クルーザ71の急加速量が[1]の設定値に達し、或いは急減速量が[2]の設定値に達したと判定すると、マイクロコンピュータ19はスプール駆動モータ11を作動し、釣糸77をスプール9に巻回させてティザー79を回収する。
【0033】
また、徐々に減速していたクルーザ71が後進を始めたと判定([3]の設定条件に一致)すると、マイクロコンピュータ19は、スプール駆動モータ11をデューティ制御して、更に速い巻取り速度でスプール駆動モータ11を駆動してティザー79を回収する。
そして、いずれの場合も、上カラ表示部の表示値所定量(例えば、繰出し量が「1メートル」)になった処で、マイクロコンピュータ19はスプール駆動モータ11の駆動を停止してティザー79の回収作業を停止させる。
【0034】
このように本実施形態に係る電動リール8は、受信したクルーザ71の進行方向や進行速度等の運航情報データに基づいて、スプール9を巻取り駆動するスプール駆動モータ11を制御可能としたので、通常の船釣りに加え、トローリング時のティザー79の回収作業を魚の引き具合に応じて自動的に行うことができ、この結果、クルーザ71を操縦する船長や船員はティザー79を手繰り寄せや巻取具等で回収する必要がなくなり、船上での魚の取り込みに関わるその他の作業を支障なく円滑に行えることとなる。
【0035】
尚、既述したように上記実施形態では、釣船55やクルーザ71に艤装されたGPS受信機57やマイクロコンピュータ61,送信機65を外部送信手段としたが、GPSに代え、例えば釣船やクルーザに装着される周知の水流センサやドップラーソナー等で検出した進行方向や進行速度等の運航情報データを、釣船やクルーザ側の送信機から電動リールの受信機に無線や有線で入力させるように構成してもよく、この実施形態では、水流センサやドップラーソナー,送信機等が「外部送信手段」を構成する。
【0036】
また、上記実施形態では、本出願人が特開2003−274830号公報で開示した従来例と同様、電動リール8に図3の「実釣モード」,「自船位置表示モード」,「相対位置表示モード」で船釣りを行う機能を持たせたが、斯かる機能を省略し、ティザー79の巻取りのみに使用できる電動リールとしてもよいし、ティザー79の巻取り機能以外のその他の機能は、電動リールの仕様に応じて種々選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】請求項1の一実施形態に係る電動リールの平面図である。
【図2】電動リールの制御ブロック図である。
【図3】モードスイッチの押圧操作によるマイクロコンピュータのモード変化を示すフローチャートである。
【図4】「実釣モード」に於ける表示器の表示状態を示す説明図である。
【図5】「自船位置表示モード」に於ける表示器の表示状態を示す説明図である。
【図6】「相対位置表示モード」に於ける表示器の表示状態を示す説明図である。
【図7】ポイントに対する釣船の位置と表示器の表示状態を示す説明図である。
【図8】トローリングに於ける電動リールの使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
3 リール本体
8 電動リール
9 スプール
11 スプール駆動モータ
15 パワーレバー
19,61 マイクロコンピュータ
23 クラッチレバー
25 回転検出手段
35 表示器
37 リセットスイッチ
39 モードスイッチ
41 棚メモスイッチ
43 コマセスイッチ
45 上カラ表示部
47 棚カラ表示部
49 デジタル表示部
51 セグメント
53 タイマ表示部
55 釣船
57 GPS受信機
59 GPS衛星
63 ジャイロ
65 送信機
67 受信機
69 トローリングロッド
71 クルーザ
73 デッキ
75,77 釣糸
79 ティザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータを備えた魚釣用電動リールに於て、
上記リール本体に、釣船の進路や速度等の運航情報を発信する外部送信手段からの信号を受信する受信手段と、当該受信手段で受信された釣船の運航情報を基に、前記スプール駆動モータを駆動制御する制御手段とを備えたことを特徴とする魚釣用電動リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−116934(P2007−116934A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311036(P2005−311036)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】