説明

魚類による蛋白質の製造方法

【課題】組換え蛋白質の発現方法として、酵母や大腸菌等の微生物による発現方法や、哺乳動物の培養細胞等による発現方法が知られている。しかし、微生物による発現方法では、異種の蛋白質の正確なグリコシル化や折り畳みができず、生物学的に不活性な蛋白質が得られることが多い。魚類蛋白質を発現させるためのベクター及びこれを用いることによる蛋白質、特に生物学的に活性な(ネイティブな)膜蛋白質の製造方法の提供。
【解決手段】特定の塩基配列の一部又は全部をプロモーター配列として含むベクターを作成し、これを魚類に挿入することで、蛋白質を製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類に蛋白質を発現させるためのベクター及びこれを用いることによる蛋白質の製造方法に関する。特に膜蛋白質であって、生物学的に活性な(ネイティヴな)蛋白質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組換え蛋白質の発現方法として、酵母や大腸菌等の微生物による発現方法や、哺乳動物の培養細胞等による発現方法が知られている。
しかし、微生物による発現方法では、異種の蛋白質の正確なグリコシル化や折り畳みができず、生物学的に不活性な蛋白質が得られることが多い。このような不活性な蛋白質は、目的とする活性が得られないために利用価値が低い。また、その機能や構造を解析することができないという問題があった。また一方、哺乳動物の培養細胞等による発現方法では、このような問題は解決できるが、細胞の培養に時間がかかるため、大量の蛋白質を発現させ、回収及び/又は精製するには、非常に高価であるという問題があった。
【0003】
さらに、トランスジェニックウシやヒツジのミルク中に異種の組換え蛋白質を製造する方法(例えば、特許文献1参照)や、トランスジェニックニワトリの卵中に異種の組換え蛋白質を製造する方法(例えば、非特許文献1参照)が知られている。
しかし、これらは動物の飼育に手間がかかり、発現方法ならびに組換え体を確立するまでに時間がかかるという問題があった。また、ミルク中の溶解酵素によって、得られた蛋白質が加水分解されてしまい、蛋白質の回収が効率的でないという恐れがあった。
【0004】
最近、トランスジェニック魚による異種の組換え蛋白質を製造する方法も開発されている。例えば、ラットミオシン重鎖遺伝子由来筋肉特異的エレメントが隣接するヒトFVII配列を含むプラスミドを用い、アフリカナマズ又はゼブラフィッシュにヒトFVII配蛋白質を発現している(例えば、特許文献2参照)。
魚類を用いて組換え蛋白質を製造することは、1)大量に生産でき、安価であること、2)多数の技術が利用できること、3)人と魚の両方に感染するウイルスあるいはプリオンは知られていないので疾患の伝染の可能性は非常に低いこと等の利点があり、有用であるといえる。
しかし、現在知られている方法では、導入された魚の全身で蛋白質を発現させており、局在的に発現させる方法は知られていない。また発現を確認した後、蛋白質を回収及び/又は精製して利用できるとする旨の示唆はあるものの、実際に十分に利用できる量の蛋白質を回収及び/又は精製した例はみられていない。従って、魚類を用いる方法において、短い時間で十分量の蛋白質を製造できる蛋白質の製造方法の提供が望まれている。
【特許文献1】特開平9−294586号公報
【特許文献2】特表2001−501482号公報
【非特許文献1】日経バイオビジネス,p56〜59,05,2005.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、魚類に膜蛋白質を発現させるためベクター及び魚類による蛋白質の製造方法の提供を課題とする。特に膜蛋白質であって、生物学的に活性な(ネイティヴな)蛋白質の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、配列表配列番号1に記載の塩基配列の一部又は全部をプロモーター配列として含むベクターを作成し、このベクターを魚類に挿入することで、蛋白質の製造方法を構築できることを見出し、本発明を完成するに至った。これらのベクターによる蛋白質の発現では、蛋白質が局在化されて発現するため、回収及び/又は精製が容易である。
【0007】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(15)に関する。
(1)魚類に膜蛋白質を発現させるためのプロモーター配列を有するベクター。
(2)プロモーター配列が配列表配列番号1〜3のいずれかに記載の配列である上記(1)に記載のベクター。
(3)プロモーター配列が、魚類の一部に局在化して膜蛋白質を発現させるものである上記(1)に記載のベクター。
(4)さらに、プロモーター配列により発現される膜蛋白質を回収及び/又は精製するためのタグ配列を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のベクター。
(5)膜蛋白質を回収及び/又は精製するためのタグ配列がHis−tag又はGSTをコードする塩基配列である上記(4)に記載のベクター。
(6)さらに、プロモーター配列により発現される膜蛋白質が発現されたことを確認するための配列を有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のベクター。
(7)膜蛋白質が発現されたことを確認するための配列が、GFPをコードする塩基配列である上記(6)に記載のベクター。
(8)魚類がゼブラフィッシュである上記(1)〜(7)のいずれかに記載のベクター。
(9)膜蛋白質がCD81である上記(1)〜(8)のいずれかに記載のベクター。
(10)魚類に膜蛋白質を発現させる蛋白質の製造方法。
(11)上記(1)〜(9)のいずれかに記載のベクターを魚類の受精卵又は胚に導入する蛋白質の製造方法。
(12)蛋白質を魚類の一部に局在して発現させる上記(10)又は(11)に記載の蛋白質の製造方法。
(13)魚類がゼブラフィッシュである上記(10)〜(12)のいずれかに記載の蛋白質の製造方法。製造方法
(14)配列表配列番号1〜3のいずれかに記載のプロモーター配列。
(15)上記(1)〜(9)のいずれかに記載のベクターが導入されたトランスジェニック魚類。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法を用いることにより、蛋白質を大量に製造することができる。また、本発明の方法では、生物学的に活性な(ネイティヴな)蛋白質が得られることから、ゲノムライブラリーなどにおいて塩基配列は既知であるが、構造や機能が未知な蛋白質を製造し、解析することで、有用な蛋白質をスクリーニングすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のベクターは、魚類において蛋白質を発現できるベクターであればいずれのものも用いることができ、蛋白質を発現するための調節配列と、蛋白質をコードする塩基配列を含むことが好ましい。
調節配列には、少なくともプロモーター配列を含み、さらにプロモーターのレギュレーター、プロモーターのエンハンサー、及び/又は翻訳開始部位の一部あるいは全部のようなその他のエレメントを含むことが好ましい。また、3´から核酸コード配列に機能可能なように結合したポリアデニル化(ポリA)シグナル、例えばSV40ポリAシグナルあるいはチヌークサーモンポリAシグナルを含んでいてもよい。
そして、蛋白質の発現にあたり、その塩基配列をプロモーター配列の下流にそのまま組み込むか、導入するためのMCS(マルチクローニングサイト:multi cloning site)を含むことが好ましい。さらに、蛋白質の発現を検出し、回収及び/又は精製するための塩基配列を含むことが好ましい。
このような塩基配列がコードする蛋白質としては、従来知られているいずれのものも用いることができるが、例えばGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ:Glutathione S−transferase)、GFP(緑色蛍光蛋白質:Green Fluorescent Protein)、His−tag、糖結合ドメイン、多糖結合ドメイン、レクチン、蛋白質相互作用ドメイン、核酸結合ドメイン等を挙げる事ができる。このGFPにはEGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein)も含まれる。このうちGST又はHis−tagは主に発現させた蛋白質の回収及び/又は精製に用いられ、GFPは主に導入された遺伝子をコードする蛋白質の細胞内発現の確認に用いられる。
【0010】
本発明のベクターは、蛋白質を発現できるベクターであれば、任意の種類のものを用いることができる。ベクターは直線形態のものであってもよく、環状形態のものであってもよい。例えば、本発明で設計したpZex−GST又はpZex−GFPを用いることが好ましい。
【0011】
本発明のプロモーター配列は、魚類において蛋白質を発現できるプロモーター配列であればいずれのものも用いることができる。プロモーター配列の選択によって、蛋白質の発現箇所を、魚類の全体又は一部とすることができる。
魚類の一部とは、魚体の特定の組織や、細胞のことをいい、例えば、魚類の特定の組織に局在して発現させたい場合には、その組織に特異的なプロモーター配列を用いることが好ましい。胚外組織の細胞である、卵黄シンシチウム層(Yolk syncytial layer:YSL)又は被覆層(Enveloping layer:EVL)等の細胞に局在して発現させるような場合には、魚類本体に及ぼす影響が少ないと考えられ、好ましい。
【0012】
このように、本発明のプロモーター配列は、発現させる部位によって、いずれのものも用いることができるが、例えば、孵化腺(hatching gland)に局在して発現する孵化プロテアーゼ(hatching gland enzyme)をコードする遺伝子のプロモーター配列である配列表配列番号1に記載の塩基配列を用いることができる。
この塩基配列の全部をプロモーター配列として用いることもできるが、発現させる目的や発現量、ベクターの作成上における制限等に応じて、その一部とすることもでき、蛋白質を発現できれば長さは特に問わない。例えば、発現量を少量としたい場合には、配列表配列番号2又は配列表配列番号3の塩基配列をプロモーター配列として用いることもできる。
【0013】
なお、配列表配列番号1〜3のいずれかの塩基配列をプロモーターとして用いる場合、孵化腺に局在して蛋白質が発現できる。そのため、蛋白質の発現が、魚類の発生に合わせて受精卵又は胚等にベクターを導入した後、概ね12〜72時間(以下、hpfとする)でみられる。特に48hpfで著しい発現がみられる傾向がある。これらの蛋白質の発現時間は発現する蛋白質の種類によって異なるが、本発明のベクターによって孵化腺に局在して蛋白質を発現できることは、短い時間で必要な蛋白質を得ることを可能とするため好ましい。
【0014】
さらに、本発明のベクターは、複製可能なベクター、例えば複製可能な発現ベクターであることが好ましい。本発明で設計したベクターを、細菌宿主細胞又は酵母宿主細胞のような宿主細胞中で複製することで、魚類への安定した導入が行える。
またベクターは、ベクターが導入された形質転換体を同定するために、マーカー遺伝子として、例えばアンピシリン耐性遺伝子やネオマイシン耐性遺伝子、又は酵母形質転換体の選択を可能とするためのマーカー遺伝子を含むことが好ましい。
【0015】
本発明では、真核生物の蛋白質において、正確なグリコシル化や折り畳みがなされた生物学的に活性な(ネイティヴな)蛋白質を発現し、製造することができる。従って、これらを発現、製造の対象とする蛋白質とすることが好ましい。例えばCD81のような4回膜貫通型蛋白質等を挙げることができる。このような、発現、製造の対象とする蛋白質は、いずれの蛋白質でもよく、同種(魚類)の蛋白質でも、哺乳類等の異種の蛋白質であってもよい。
また、ゲノムライブラリーで塩基配列が解明されたが、遺伝子工学的な手法において生物学的に活性な(ネイティヴな)蛋白質の発現ができなかった蛋白質等も発現、製造の対象とする蛋白質とすることができる。ゲノムのライブラリーにおいて、構造や機能が未知の蛋白質を発現させ、それらを解明することで、医薬等の開発に有用な蛋白質のスクリーニングも可能となる。
逆に、医薬等への有用性が既知の蛋白質であれば、本発明の方法によって生物学的に活性な(ネイティヴな)蛋白質を発現させることにより製造でき、ヒト又は動物の患者の疾患あるいはその他の病理的状態の治療、予防、又は緩和等に用いることができる。
【0016】
発現、製造の対象とする蛋白質をコードする塩基配列をベクターに組み込むにあたり、その塩基配列はDNAあるいはRNAのいずれでもよいが、DNAであることが好ましく、特にゲノムDNAあるいはcDNAであることが好ましい。
ベクターに組み込む塩基配列としては、発現、製造の対象とする蛋白質が生物学的に活性な(ネイティヴな)完全な形態で発現され得る全てをコードする塩基配列であってもよいし、例えば抗原認識部のように機能的に活性な部分等の一部の塩基配列をコードするものであってもよい。また、誘導体等の変異体をコードするものであってもよく、ネイティヴなものとは1以上のアミノ酸において異なるポリペプチドをコードするものであってもよい。又は、核酸配列はネイティヴな配列とは異なるが、同じアミノ酸配列をコードするものであってもよい。
【0017】
本発明の蛋白質の製造方法とは、発現、製造の対象とする蛋白質をコードする塩基配列を組み込んだベクターを、魚類の受精卵や胚等に導入することで発現させ、回収及び/又は精製することをいう。
ベクターの導入には、一般的に行われているいずれの導入方法も利用することができる。例えばベクターをレトロウイルス粒子、ラムダウイルス粒子にパッケージして、これを細胞中に移入することができる。また、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈降、バイオリスティック法(例えばタングステンボンバードメント)により、あるいは裸の核酸ベクターもしくは構築物を溶液中の細胞と接触させることにより導入することができる。このうち、マイクロインジェクションによる導入が特に好ましい。マイクロインジェクションは受精の前、受精後、卵割後の二細胞、四細胞、もしくは八細胞期に行うことができる。
【0018】
本発明の蛋白質を発現するための受精卵又は胚は、魚類であればいずれのものでも用いることができる。このうち、硬骨魚類が好ましく、分類としては、Cyprinidae、Cichlidae、Salmonidae、Claridae、Siluridae及びIctaluridae等の硬骨魚類が挙げられる。
特に好ましい魚の種類としては、コイ(例えばCyprinus carpio)、ゼブラフィッシュ(Danino rerio)、アフリカナマズ(Clarias gariepinus)、テラピア(Oreochronis niloticus)、タイセイヨウサケ(Salmo Salar)、ニジマス(Oncorhyncus mykiss)、メダカ(Oryzias latipes)が挙げられる。
【0019】
発現させた蛋白質の回収には、一般的に行われているいずれの回収方法も利用することができる。例えば、蛋白質の発現が確認された組織等を切り出し、そこから回収する方法や、ウェスタンブロッティングにおいて蛋白質の発現が確認された領域を切り出し、そこから抽出する方法などが挙げられる。
さらに回収した蛋白質の精製では、従来知られているいずれの精製方法でも行うことができる。従来知られている精製方法としては、カラムクロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィーが挙げられ、これらを用いることにより蛋白質の精製ができる。
市販のアフィニティークロマトグラフィーとしては、GSTtrap HPやHisTrap HP(いずれもアマシャムバイオサイエンス製)等が挙げられる。
本発明によって、発現され、回収及び/又は精製された蛋白質は、その後の使用目的にもよるが、少なくともμgオーダー以上であることが好ましい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって制限されない。
【実施例1】
【0020】
試料の調製
<ベクターの作成>
1.ベクターの設計
1)プロモーター配列の調製
ゼブラフィッシュゲノムDNAライブラリー(LambdaPS Genomic Library from zebrafish;Mo Bi Tec製)より、PCRによって配列表配列番号1に記載の塩基配列をプロモーター配列として単離した。
配列表配列番号1に記載の塩基配列を鋳型として、TAKARA EXTaqを用い、配列表配列番号6及び配列番号7のプライマーを用いて表1に記載の条件でPCRを行った。増幅されたDNA断片の塩基配列は、DNAシークエンサー(ベックマン製)を用いて決定した。これによって単離された配列表配列番号1に記載の塩基配列は、Hatching gland enzymeであるHE1遺伝子の約1kb上流のプロモーター領域であった。
配列表配列番号6のプライマーは5´側にXhoIサイトを有し、配列表配列番号7に記載のプライマーは5´側にBanHIサイトを有する。これらのプライマーを用いたことで、増幅されたプロモーター配列もこのXhoI−BamHIサイトを有することになり、ベクターに組み込むことができる。
【0021】
【表1】

【0022】
2)ベクターの調製
ベクターは研究用ベクターpXI−GFP(参考文献;Johnson AD,Krieg PA.pXeX,a vector for efficient expression of cloned sequences in Xenopus embryos.Gene. 1994 Sep.)をベースとした。このベクターのXhoI−BamHIサイトに連結されていたプロモーター配列(ツメガエルEF1−αプロモーター)を除き、上記1)で増幅したXhoI−BamHIサイトを有するプロモーター配列を組み込んだ。
【0023】
3)蛋白質の検出、回収及び/又は精製のための塩基配列の調製
a.GST マダイのGSTをコードする塩基配列(National Center for Biotechnology Information(NCBI)データベース;アクセッションナンバーAB158410)を用いた。ベクターへ導入するために末端をBamHI−ClaIサイトとした。
b.GFP
研究用ベクターpXI−GFPに含まれるクロンテック社のGFPをコードする塩基配列をそのまま用いた。
c.His−tag
Hisをコードする塩基配列を6つつなげてHis−tagとした。ベクターへ導入するために末端をBamHI−ClaIサイトとした。
【0024】
4)蛋白質の調製
また発現、製造の対象とする蛋白質の一つとして、配列表配列番号5に記載の4回膜貫通型蛋白質CD81をコードする塩基配列(NCBIデータベース;アクセッションナンバーNM131518)を用いた。ベクターへ導入するために末端をNotI−ClaIサイトとした。
【0025】
2.ライゲーション及び大腸菌の形質転換
上記1.で調製した各塩基配列を導入遺伝子として、DNA Ligation Kit Ver.2(TAKARA)I液を用いてベクターとライゲーションした。本発明における各ベクターは、図1の組成になるように作成した。
図1では、a.pXI−GFPの組成、b.pZex−GFPの組成及びc.pZex−GSTの組成を示している。また、d.pZex−GFPの組成及びe.CD81の塩基配列を組込んだpZex−GFPの組成を示している。
まず、b.pZex−GFPの作成にあたり、a.pXI−GFPをベースとして、XhoI−BamHIサイトに連結されているプロモーター配列(ツメガエルEF1−αプロモーター)をこれらの制限酵素より切り出した。次にXhoI−BamHIサイトを有するように調製したプロモーター配列をベクターに組込み、pZex−GFPを作成した。
次にc.pZex−GSTの作成にあたり、b.pZex−GFPのBamHI−ClaIサイトに連結されているGFPをこれらの制限酵素より切り出した。次にBamHI−ClaIサイトを有するGSTをベクターに組込んだ。GSTの下流にHis−tagを付加し、pZex−GSTを作成した。
また、発現、製造の対象とする蛋白質としてCD81の塩基配列を組込んだpZex−GFPの作成にあたり、d.pZex−GFPのNotI−ClaIサイトにCD81の塩基配列を組込んだ。CD81の下流にHis−tagを付加し、e.pZex−GFPを作成した。
【0026】
3.ベクターの複製 上記2で調製したベクターを用いて、E.coli DH5αを宿主として形質転換を行った。
E.coli DH5αの菌体培養にはLB培地(1% Tryptone,0.5% Yeast extract,1.0% NaCl;pH7.2)に終濃度50mg/mlのアンピシリンを添加し、寒天を1.5%添加しLB平板培地とした。
形質転換体の選択及びインサートのチェックは次のように行った。すなわち、上記のLB平板培地に形質転換体を接種し、37℃で一晩培養し、コロニーからのダイレクトPCR法によりインサートが組込まれたことを確認した。
ダイレクトPCR法は、配列表配列番号6及び7に記載のプライマーを用いた。一晩培養したコロニーをようじで取り上げ、表2の組成のPCR溶液に懸濁して反応を行った。反応条件は表3に示した。アニーリング温度はプライマーのTm値に依存し、Extension Temp.72℃は挿入DNA断片の鎖長により反応時間を調整した。
【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
得られた形質転換体を、終濃度50μg/mlとなるようにアンピシリンを加えたLB液体培地に接種し37℃で一晩培養した。この液体培地から形質転換体を集菌し、QIAprep Miniprep Kit(QIAGEN製)を用いて菌体からベクターDNAを抽出し、ジデオキシ法により塩基配列を解析し、遺伝子が正確にサブクローニングされていることを確認した。
【0030】
4.塩基配列決定及び解析
シーケンシング反応は、DTCS Quick Start kit(BECKMAN製)を用いてジデオキシ法で行った。
塩基配列の決定は、CEQ2000XL(BECKMAN製)を用いて行い、塩基配列の解析にはGENETYX(ソフトウェア開発製)及びCEQ2000 DNA Analysis System(BECKMAN製)を用いた。
【0031】
PCR増幅断片の分画はアガロースゲル電気泳動により行った。また、泳動はサブマリン型電気泳動装置(Advance製)を用いて適当時間行った。DNA断片の塩基対数に対応したアガロース濃度のゲルを用い、アガロースの溶解及び泳動にはTAE緩衝液を用いた。泳動緩衝液及びゲルには終濃度0.5μg/mlとなるようにエチジウムブロマイドを加えた。サイズマーカーとしてMarker 6(ニッポンジーン製)及び100bp DNA ladder(TOYOBO製)を用いた。泳動後、ゲルに300nmのUV光を照射し、目的のサイズに位置するバンドを切り出した。
ゲルから切り出した増幅DNA断片の回収は、Wizard SV Gel and PCR Clean−Up System(Promega製)を使用して行った。
【0032】
5.ベクターDNAの調製
ベクターDNAの抽出は、QIAprep Miniprep Kit(QIAGEN製)を用いて行った。すなわち、5mlのLB液体培地にてそれぞれのベクターによって形質転換された大腸菌を37℃で16時間培養した。その後15000×gにて3分間遠心分離を行い、大腸菌を集菌した。この大腸菌ペレットに250μlのP1 Bufferを加えて再攪拌した。次に、250μlのP2 Bufferを加えて上下に5回ほどよく攪拌した。さらに350μlのN3 Bufferにて菌体を破壊した後に14000×gで10分間遠心分離を行った。この上清をキット付随のSpin columnに入れて1分間室温で静置した。14000×gにて45秒間遠心分離を行い、次に500μlのPB Bufferを加えた。14000×gにて45秒間遠心分離を行い、その廃液を除去した後に750μlのPE Bufferを加えて再び14000×gにて45秒間遠心分離を行った。廃液を除去し、乾燥させるために14000×gにて1分間遠心分離を行い、新しいチューブにカラムを移した。30μlのdHOを加えて室温で1分間静置させ、14000×gにて45秒間遠心分離してベクター溶液の溶出を行った。
【0033】
<ゼブラフィッシュの成育>
ゼブラフィッシュは水温28℃、明期14時間、暗期10時間で飼育されたものを使用した。受精卵は、任意に選んだ健康な雌雄数組が産んだ直後のものを採取し、飼育水をHoltfreter’s Solution(HS)に置換して28℃で飼育した。HSは表4に示す組成で調製した。
未受精卵は産卵前の胚と定義し、産卵期に入った雌の卵巣をHSで洗浄して採集した。また、12、24及び48hpfの胚は、採取時間の前後15分間を含む30分間以内に採取した受精卵を0hpfとして、HSにおいて28℃で飼育した場合の各時間後の胚と定義した。
【0034】
【表4】

【実施例2】
【0035】
<pZex−GSTを用いた蛋白質の発現及び回収>
ベクターの導入
上記実施例1で作製したpZex−GST(図1c)を用い、上記実施例1で得たゼブラフィッシュの0hpfの受精卵にマイクロインジェクションにより導入した。導入の際のベクターの濃度は0.02μg/μlに調製して行い、受精卵一個当たりに概ね50−200eggs/μlで行った。 導入したゼブラフィッシュの受精卵をHS中、28℃で飼育し、ウェスタンブロッティングによってマダイのGSTの発現を確認した。
【0036】
<ウェスタンブロッッティング>
1.試料の調製
1)胚
ベクターを導入した受精卵を、飼育水をHSに置換し、28℃で48hpfまで飼育した。
飼育後発生した初期胚を回収してHSで洗浄後、PBS bufferを添加して4℃で10分間ホモジナイズした。12000×g、4℃、10分間遠心分離後、残さ(不溶物)を取り除いて粗蛋白質溶液を得た。この蛋白質溶液に、予めPBS bufferで平衡化しておいたニッケル(Ni)レジンを添加して穏やかに攪拌後、4℃で一定時間(本実験ではovernight:16時間)静置した。6000×g、4℃、10分間遠心分離後、ニッケル(Ni)レジンを回収してPBS bufferを添加して穏やかに攪拌後、再度6000×g、4℃、10分間遠心分離した。この操作を2、3回行い、最終的に溶出用緩衝液(PBS buffer+500mMイミダゾール)を添加して、穏やかに攪拌後、4℃で30分間静置した。6000×g、4℃、10分間遠心分離後、上清をベクターにより発現した蛋白質画分とした。
【0037】
2)市販抗体
GSTの検出はアルカリフォスファターゼ法により、GSTに融合してあるHis−tagを検出することにより行った。1次抗体として、Anti−His 抗体(アマシャム製)を用い、2次抗体としてHRP標識ラビット抗ヤギIg’s(BIOSOURCE製)を用いた。これらの抗体は、1次及び2次抗体ともに500倍希釈で使用したものを用いた。また、発色基質には、DAB(同仁化学研究所製)を用いた。
【0038】
2.ウェスタンブロッティング
Laemmliらの方法にしたがい、胚より抽出した蛋白質を12.5%ゲルで分離した。電気泳動条件は、ゲル1枚あたり20mA定電流で泳動した。また、蛋白質の染色はCoomasie brilliant blue R−250を用い、分子量マーカーはLow−molecular−weight SDS calibration kit(Pharmacia製)を用いた。ブロッティング装置はホライズブロット(ATTO製)を用い、メンブランはクリアブロット・P膜(ATTO製)を用いた。図2Aに導入したベクターの概要及び図2BにGSTの発現の結果を示した。図2Bに示したように、本発明のベクターの導入により、GSTが局在して発現することが確認された。
【実施例3】
【0039】
<pZex−GFPを用いた蛋白質の発現及び回収>
1.ベクターの導入
上記実施例1で作製したpZex−GFP(図1b)を用い、上記実施例1と同様に、ゼブラフィッシュの0hpfの受精卵一個当たりに概ね50−200eggs/μlとなるようにマイクロインジェクションにより導入した。
【0040】
2.蛋白質の発現の確認
ベクターを導入した受精卵をHS中、28℃で飼育し、GFPの発現を調べた。図3Aに導入したベクターの概要及び図3BにGFPの発現の結果を示した。図3Bに示したように、比較として用いたpXI−GFPでも発現は見られるが、本発明のベクターを用いた場合では、GFPが局在して発現することが確認された。
【実施例4】
【0041】
<pZex−GFPにおけるプロモーターのレポーターアッセイ>
1.ベクターの作成
pZex−GFPを用い、図4Aに示したようにプロモーター配列として配列表配列番号1に記載の塩基配列を全部又は一部を含むpZex−GFP I〜IVを作成した。pZex−GFP Iには配列表配列番号1に記載の塩基配列、pZex−GFP IIには配列番号2に記載の塩基配列、pZex−GFP IIIには配列番号3に記載の塩基配列及びpZex−GFP IVには配列番号4に記載の塩基配列をそれぞれプロモーター配列として用いた。
それぞれのプロモーター配列をベクターに導入するために、配列番号3及び4に記載の塩基配列は末端をBamHI−XhoIサイトとして実施例1と同様の方法により増幅した。配列番号3に記載の塩基配列の増幅には、配列表配列番号7及び配列番号8に記載のプライマーを用い、配列番号4に記載の塩基配列の増幅には、配列番号7及び9に記載のプライマーを用いた。
また、配列番号2に記載の塩基配列は配列表配列番号1のプロモーター配列をEcoRIで切断することでEcoRI−XhoIサイトを有するプロモーター配列とした。これらの各塩基配列を導入遺伝子として、実施例1と同様にライゲーションし、ベクターの複製を行った。
【0042】
2.GFPの発現
上記でのpZex−GFP I〜IVを用い、上記実施例1と同様に得たゼブラフィッシュの0hpfの受精卵にマイクロインジェクションにより導入した。この受精卵をHS中、28℃で飼育し、GFPの発現を確認した。
図4Bに示すように、pZex−GFP I〜IIIを導入した受精卵において、GFPが局在して発現することが確認された。ベクターに含まれるプロモーター配列によって、pZex−GFPIを導入した胚が、最も強いGFPの発現を示した。
【実施例5】
【0043】
<pZex−GFPを用いた膜蛋白質の発現及び回収>
1.ベクターの導入
上記実施例1で作製したpZex−GFP(図1e)を用い、上記実施例2と同様に、ゼブラフィッシュの0hpfの受精卵一個当たりに概ね50−200eggs/μlとなるようにマイクロインジェクションにより導入した。 導入したゼブラフィッシュの受精卵をHS中、28℃で飼育し、抗His−tag抗体による免疫染色によって膜蛋白質の発現を確認した。
【0044】
<免疫組織染色>
1.試料の調製
1)胚
a, 胚の処理
ベクターを導入した受精卵をHS中で、28℃で48hpfまで飼育した。シャーレに胚を移し、卵膜はピンセットを用いて取り除いた。以降の操作は1.5ml容チューブにて行った。この卵膜除去を施した胚を4%パラホルムアルデヒドin PBSに浸漬し、4℃で24時間静置した。PBSTw(0.1% Tween20 in PBS)に置換し、5分間洗浄した。これを計4回行い、100%メタノールに置換後、−20℃で保存した。この状態で数ヶ月保存が可能となった。なお、PBSの組成は表4に示した。
b, 再水和反応
−20℃にて保存した胚を室温に戻し、66%メタノールin PBSTwに置換して、室温に5分間静置後、33%メタノールin PBSTwでも同様の操作を行った。続いて、PBSTwで同様の操作を2回行った。
c, Proteinase処理
胚の内部まで試薬を浸透させるため、終濃度10μg/mlのProteinase(SIGMA製)により胚の適度な消化を行った。再水和反応後の胚を10μg/ml Proteinase in PBSTwに置換し、処理する胚が24hpfの胚であった場合においては6分間28℃に静置後、2mg/mlグリシンin PBSTwで2回洗浄した。
d, 再固定
Proteinase処理した胚をグリシンin PBSTwから4%パラホルムアルデヒドin PBSに置換し、4℃で20分間静置して固定した。その後、PBSTwで5分間静置し、計5回洗浄した。
【0045】
【表5】

【0046】
2)市販抗体
膜蛋白質の発現は、アルカリフォスファターゼ法により、Anti−His抗体(アマシャム製)を用いてHis−tagを検出することにより行った。2次抗体はHRP標識ラビット抗ヤギIg’s(BIOSOURCE製)を用いて検出した。また、発色基質には、DAB(同仁化学研究所製)を用いた。
【0047】
2.ホールマウント抗体ハイブリダイゼーション
500倍希釈になるようにAnti−His−tag抗体を1ml ハイブリダイゼーション緩衝液(50% ホルムアミド,5×SSC,50μg/ml ヘパリン(Saponin製),0.1% Tween20,5mg/ml torula RNA)に調整し、室温で一晩反応を行った。
【0048】
1)プロトコル
Whole mount antibody staining
1133162343531_4.html
,)を参照して行った。
具体的には、
a.26時間の胚を、2つのピンセットで注意深くDechorionateし、PBSTwに入れた。1時間、4℃で固定を行った。
b.5ml 0.1% BSA in PBSで10分間洗浄し、さらに5ml PBSで10分間ずつ3回洗浄した。
c.0.2%サポニンと0.5mLの一次抗体を含むPBS中で、4℃で一晩インキュベートした。
d.0.2%サポニンを含むPBSを数回置換しながら、少なくとも2時間洗浄した。
e.ペルオキシダーゼ(HRP)(Goat anti−mouse IgG+IgM−HRP)1/500を結合した0.5mlの二次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。
f.0.2%サポニンを含むPBSを数回置換しながら、少なくとも2時間洗浄した。
g.1ml HRP基質バッファーで洗浄した。
h.HRP基質をDevelopし、5分後に解剖顕微鏡(dissecting microscope)でモニターした。茶色が明確に確認されたところで、PBSでの洗浄によって反応を止めた。
i.1:1グリセロール:CMFETに浸し、続いて1:4 グリセロール:CMFETに浸すことによって、胚をクリアーにした。解剖顕微鏡(dissecting microscope)で観察した。mount with depression slidesは、複合顕微鏡で観察した。
【0049】
2)洗浄
洗浄溶液1(50% ホルムアミド,2×SSC,0.1% Tween20)に置換し、室温10分間、洗浄溶液2(2×SSC,0.1% Tween20)に置換し、室温10分間、洗浄溶液3(0.2×SSC,0.1% Tween20)に置換して室温30分間の洗浄を各2回ずつ行った。
【0050】
3)ブロッキングと染色
5%Sheep serum in PBSTwに置換し、室温で1時間静置してブロッキングを行った。2000倍希釈したAnti−Digoxigenin AP Fab fragment(ロシュ・ダイアグノスティックス製)100μlに置換し、4℃で一晩静置した後、PBSTwを用いて室温で20分間の洗浄を6回行った。さらに、PBSで室温5分間洗浄し、BM purpleに置換して室温で反応させ、随時染色の具合を顕微鏡で確認し、適度な濃さに染まったところで、PBSTwに置換して2回洗浄した。
【0051】
4)透明化と観察
33%メタノールin PBSTwに置換して室温5分間、66%メタノールin PBSTwに置換して室温5分間静置した後、さらに100%メタノールに置換した。再度100%メタノールに置換した後、BABB(10ml ビンジルアルコール,20ml ベンジルベンゾエイト)に置換することにより胚を透明化した。これを顕微鏡で観察した。図5Aに導入したベクターの概要及び図5Bに蛋白質の発現の結果を示した。図5Bに示したように、矢印の部分に局在して蛋白質の発現が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の方法は生物学的に活性な(ネイティヴな)蛋白質を大量に製造することができることから、有用な蛋白質のスクリーニングなどに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】各ベクターの組成を示した図である(実施例1)。
【図2】A:導入したベクターの概要を示した図である(実施例2)。 B:SDS−PAGE によるGSTの発現を示した図である(実施例2)。
【図3】A:導入したベクターの概要を示した図である(実施例3)。 B:GFPの発現を示した図である(実施例3)。
【図4】A:プロモーターのレポーターアッセイにおけるプロモーター配列の概要を示した図である(実施例4)。 B:プロモーターのレポーターアッセイにおけるGFPの発現を示した図である(実施例4)。
【図5】A:導入したベクターの概要を示した図である(実施例5)。 B:ホールマウント抗体ハイブリダイゼーションによるHis−tagの発現を示した図である(実施例5)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類に膜蛋白質を発現させるためのプロモーター配列を有するベクター。
【請求項2】
プロモーター配列が、配列表配列番号1〜3のいずれかに記載の配列である請求項1に記載のベクター。
【請求項3】
プロモーター配列が、魚類の一部に局在化して膜蛋白質を発現させるものである請求項1に記載のベクター。
【請求項4】
さらに、プロモーター配列により発現される膜蛋白質を回収及び/又は精製するためのタグ配列を有する請求項1〜3のいずれかに記載のベクター。
【請求項5】
膜蛋白質を回収及び/又は精製するためのタグ配列がHis−tag又はGSTをコードする塩基配列である請求項4に記載のベクター。
【請求項6】
さらに、プロモーター配列により発現される膜蛋白質が発現されたことを確認するための配列を有する請求項1〜5のいずれかに記載のベクター。
【請求項7】
膜蛋白質が発現されたことを確認するための配列が、GFPをコードする塩基配列である請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
魚類がゼブラフィッシュである請求項1〜7のいずれかに記載のベクター。
【請求項9】
膜蛋白質がCD81である請求項1〜8のいずれかに記載のベクター。
【請求項10】
魚類に膜蛋白質を発現させる蛋白質の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載のベクターを魚類の受精卵又は胚に導入する蛋白質の製造方法。
【請求項12】
蛋白質を魚類の一部に局在して発現させる請求項10又は11に記載の蛋白質の製造方法。
【請求項13】
魚類がゼブラフィッシュである請求項10〜12のいずれかに記載の蛋白質の製造方法。
【請求項14】
配列表配列番号1〜3のいずれかに記載のプロモーター配列。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載のベクターが導入されたトランスジェニック魚類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−143497(P2007−143497A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343862(P2005−343862)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(504039742)
【Fターム(参考)】