説明

鳥害防止具

【課題】本発明は、屋外構造物上に簡易に設置することで鳥がその屋外構造物上で巣を作れないようにすることを目的とする。
【解決手段】本発明に係る鳥害防止具は、屋外構造物上で鳥が巣作りするのを防止するための鳥害防止具であって、基端部が屋外構造物に固定される支柱12と、支柱12に対して傘の骨状に広げられた状態で配置される多数の線状部材14と、支柱12の先端部にフランジ状に取付けられており、多数の線状部材14の端部を支柱12の先端部に連結する円板状の連結部材20とを有しており、線状部材14の端部は、連結部材20の周縁に形成された孔部に収納された状態でその連結部材に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外構造物上で鳥が巣作りするのを防止するための鳥害防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
これに関連する鳥害防止具が特許文献1に記載されている。
特許文献1の鳥害防止具100は、図8に示すように、電気機器(図示省略)を支持する電柱110の腕金112上に取付けられている。鳥害防止具100は、腕金112上に固定された取付け部103と、直線状部材104と、その直線状部材104と共に束ねられる複数本(図では4本)の線状部材106とから構成されている。線状部材106は、途中位置に弾性部分106xを備えており、その弾性部分106xよりも先端側が揺動可能な自由端部分106fとなっている。そして、線状部材106の基端部が直線状部材104と共に起立した状態で束ねられて前記取付け部103に支持されている。これにより、線状部材106は弾性部分106xの位置で重力により逆U字形に曲げられて、その線状部材106の自由端部分106fが傘の骨状に垂れ下がるようになる。これにより、鳥が線状部材106の自由端部分106fに止まるようなことがなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、線状部材106は弾性部分106xの位置で重力により逆U字形に曲げられる構成のため、自由端部分106fを長くしても、鳥害防止具100の半径方向の寸法を大きくするのは難しい。このため、前記鳥害防止具100により広い範囲で鳥の巣作りを禁止するのは難しい。
さらに、鳥害防止具100の上端部分は、直線状部材104と、線状部材106の逆U字形の曲げ部分とから構成されるため、例えば、巣の材料である木の枝等が掛かり易い。このため、鳥害防止具100の上端部分を足がかりにして巣作りが行なわれる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、屋外構造物上に簡易に設置することで鳥がその屋外構造物上で巣を作れないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、屋外構造物上で鳥が巣作りするのを防止するための鳥害防止具であって、基端部が前記屋外構造物に固定される支柱と、前記支柱に対して傘の骨状に広げられた状態で配置される多数の線状部材と、前記支柱の先端部にフランジ状に取付けられており、前記多数の線状部材の端部を前記支柱の先端部に連結する円板状の連結部材とを有しており、前記線状部材の端部は、前記連結部材の周縁に形成された孔部に収納された状態でその連結部材に連結されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、多数の線状部材は、支柱に対して傘の骨状に広げられた状態で、その支柱の先端部に連結されている。このため、線状部材の長さ寸法を大きくすることで鳥害防止具の半径方向の寸法を大きくすることができ、屋外構造物の上面を広い範囲で鳥害防止具によって覆うことができる。
また、前記線状部材の端部を支柱の先端部に連結する連結部材は、円板状に形成されてその周縁の孔部に線状部材の端部を収納できるように構成されている。このため、連結部材の周縁の部分に線状部材の端部が連結されることによる凸部が生じなくなり、この部分に鳥の巣の材料が掛けられるようなこともなくなる。さらに、前記多数の線状部材は、支柱に対して傘の骨状に配置されているため、仮に、それらの線状部材の上に前記巣の材料が乗せられても、前記巣の材料は滑り落ちるようになる。したがって、鳥害防止具を利用してその上に鳥が巣を作るような不具合も発生しない。
【0008】
請求項2の発明によると、連結部材には、キャップが被せられており、前記キャップにより前記連結部材の孔部に収納された前記線状部材の端部が覆われていることを特徴とする。
このため、連結部材の上面が前記キャップの働きで、さらに滑らかになり、この部分に鳥の巣の材料が掛かり難くなる。
【0009】
請求項3の発明によると、線状部材は、樹脂製であり、外力により曲げられた後、その曲げ形状を保持できるように構成されていることを特徴とする。
このため、設置場所の周囲の状況に合わせて、例えば、他の部材と干渉する線状部材の一部を曲げることが可能になる。したがって、鳥害防止具の設置位置の自由度が向上する。
また、鳥害防止具を搬送する際に、前記線状部材を曲げて傘を閉じた状態にし、鳥害防止具を設置する際に前記線状部材を曲げて傘状に広げることが可能になる。
請求項4の発明によると、支柱と連結部材との間には、前記支柱に対する前記連結部材の高さ位置を調整可能な位置調整機構が設けられていることを特徴とする。
このため、設置場所の周囲の状況に合わせて、線状部材の高さ調整が可能になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、屋外構造物上に簡易に設置できるようになり、鳥がその屋外構造物上で巣を作れなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1に係る鳥害防止具を屋外構造物上に設置した状態を表す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る鳥害防止具の全体斜視図である。
【図3】図2のIII部拡大図である。
【図4】図3のIV-IV矢視分解断面図である。
【図5】前記鳥害防止具に使用される線状部材の側面図である。
【図6】前記鳥害防止具に使用される連結部材の縦断面図(図A)、及びA図のB-B矢視図(図B)である。
【図7】前記鳥害防止具に使用されるキャップの縦断面図(図A)、及びキャップを下方から見た平面図(図B)である。
【図8】従来の鳥害防止具を屋外構造物上に設置した状態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態1]
以下、図1〜図7に基づいて本発明の実施形態1に係る鳥害防止具の説明を行なう。
本実施形態に係る鳥害防止具10は、電柱110上の変圧器や断路器115上に鳥が巣を作るのを防止するためのものであり、図1に示すように、電柱110の腕金112上に取付けられている。
【0013】
<鳥害防止具10の全体構成について>
鳥害防止具10は、図2に示すように、支柱12と、その支柱12に対して傘の骨状に広げられた状態で配置される多数(本実施形態では16本)の線状部材14と、前記支柱12の先端部(上端部)にフランジ状に取付けられて、前記線状部材14の端部を支柱12の先端部に連結する円板状の連結部材20と、その連結部材20に被せられるキャップ30とから構成されている。
支柱12は、例えば、直径12mm、長さ寸法が700mmのネジ軸により構成されており、図1に示すように、その支柱12の基端部(下端部)が固定具11により前記腕金112に固定できるように構成されている。
線状部材14は、樹脂製の細い丸棒であり、図5等に示すように、丸棒本体部14mと頭部14hとから構成されている。丸棒本体部14mは、先端部分が半球状に面取りされており、後記する連結部材20の周縁貫通孔24に通し易く形成されている。また、頭部14hは、丸棒本体部14mの基端部にフランジ状に形成されており、その頭部14hと丸棒本体部14m間にリング状の段差14fが形成されている。
線状部材14は、例えば、ポリカーボネイト(PC)製であり、図5の二点鎖線に示すように、外力により曲げられた後、その曲げ形状を保持できるように構成されている。さらに、線状部材14は、黒色に着色されており、紫外線による経年劣化を低減できるように配慮されている。また、線状部材14の長さ寸法は、例えば、700mm、丸棒本体部14mの外径寸法は6mmに設定されている。
【0014】
<鳥害防止具10の連結部材20について>
鳥害防止具10の連結部材20は、16本の線状部材14を傘の骨状に広げた状態で、それらの線状部材14を前記支柱12の先端部に取付ける部材であり、図6(A)等に示すように、円錐台状に形成されている。連結部材20には、中心軸方向に短管16(図4参照)を介して支柱12が通される中央貫通孔22が形成されており、周縁位置に前記線状部材14が通される周縁貫通孔24が円周方向に等間隔(22.5°間隔)で16個形成されている。周縁貫通孔24は、線状部材14の丸棒本体部14mが通される小径貫通孔部24xと、線状部材14の頭部14hが収納される大径貫通孔部24rとから構成されており、両貫通孔24x,24rの間に線状部材14の段差14fが当接するリング段差24dが形成されている。そして、連結部材20の中央貫通孔22と周縁貫通孔24との成す角θが、例えば、45°に設定されている。
即ち、連結部材20の周縁貫通孔24が本発明の孔部に相当する。
連結部材20は、図6(A)等に示すように、中央貫通孔22が形成された中央部分220と、周縁貫通孔24が形成された周縁部分240との間が下方に開放された空間部Sとなっており、前記中央部分220と周縁部分240との間に8枚の補強リブ部25が放射状に形成されている。また、連結部材20は、線状部材14と同様に樹脂製であり、紫外線による経年劣化を低減できるように、黒色に着色されている。
【0015】
<鳥害防止具10のキャップ30について>
キャップ30は、連結部材20の上面を覆う黒色樹脂部材であり、図7(A)(B)に示すように、中央に貫通孔31hを備える円錐台状のキャップ本体31と、そのキャップ本体31の内側中央に同軸に設けられ、前記貫通孔31hと等しい径寸法の貫通孔32hを備える円筒部32とから構成されている。そして、キャップ30のキャップ本体31と円筒部32とが等しい高さ寸法に設定されている。さらに、キャップ30の下端部の外径寸法は、図4等に示すように、連結部材20の上端部の外径寸法に等しく設定されている。また、キャップ30の貫通孔31h,32hの径寸法は、連結部材20の中央貫通孔22の径寸法と等しい値に設定されている。そして、キャップ30の貫通孔31h,32hと連結部材20の中央貫通孔22との内側に、図4に示すように、短管16が通されるようになっている。ここで、短管16の長さ寸法は、キャップ30の高さ寸法と連結部材20の高さ寸法の和に等しい値に設定されている。また、短管16の内径寸法は、前記支柱12を通すことができる寸法に設定されている。
このため、キャップ30の貫通孔31h,32hと連結部材20の中央貫通孔22とに短管16が通された状態で、図3等に示すように、連結部材20の上面をキャップ30で覆えるようになる。
【0016】
<鳥害防止具10の組立について>
鳥害防止具10を組立てるには、先ず、図4に示すように、連結部材20の各々の周縁貫通孔24に線状部材14を通すようにする。即ち、線状部材14の丸棒本体部14mを周縁貫通孔24の小径貫通孔部24xに通し、丸棒本体部14mの先端を引っ張りながら、線状部材14の頭部14hを周縁貫通孔24の大径貫通孔部24rに収納する。これにより、線状部材14の頭部14hが連結部材20の上面から突出するようなことがなくなる。前述のように、連結部材20の各々の周縁貫通孔24は、中央貫通孔22に対して成す角θが45°に設定されて、円周方向に等間隔で配置されているため、各々の線状部材14が各々の周縁貫通孔24にセットされた段階で、それらの線状部材14は中央貫通孔22の中心を仮想中心線とする頂角90°(半頂角45°=θ)の仮想円錐面上に配置される。即ち、線状部材14は、前記仮想中心線に対して傘の骨状に広げられた状態で配置される。
次に、連結部材20の上部にキャップ30が被せられ、キャップ30の貫通孔31h,32hと連結部材20の中央貫通孔22とに短管16が通される。次に、前記短管16に支柱12が通された後、前記支柱12に対して上下からワッシャ19が装着され、さらに支柱12の雄ネジに上下からナット18が螺合される。そして、前記ナット18が上下から締め付けられることで、連結部材20及びキャップ30が支柱12に対する所定高さ位置に固定される。ここで、支柱12に対する上下のナット18の位置を調整することで、支柱12に対する連結部材20及びキャップ30の高さ位置を調整することが可能になる。そして、この状態で、図1に示すように、支柱12の基端部(下端部)を固定具11により電柱110の腕金112に固定することで鳥害防止具10の取付けが完了する。
即ち、支柱12の雄ネジ及び上下のナット18が本発明の位置調整機構に相当する。
【0017】
<本実施形態に係る鳥害防止具10の長所について>
本実施形態に係る鳥害防止具10によると、多数の線状部材14は、支柱12に対して傘の骨状に広げられた状態で、その支柱12の先端部に連結されている。このため、線状部材14の長さ寸法を大きくすることで鳥害防止具10の半径方向の寸法を大きくすることができ、屋外構造物(断路器115等)の上面を広い範囲で鳥害防止具10によって覆うことができる。
また、線状部材14の端部を支柱12の先端部に連結する連結部材20は、円板状に形成されてその周縁の孔部(周縁貫通孔24)に線状部材14の端部を収納できるように構成されている。このため、連結部材20の周縁の部分に線状部材14の端部が連結されることによる凸部が生じなくなり、この部分に鳥の巣の材料が掛けられるようなこともなくなる。さらに、多数の線状部材14は、支柱12に対して傘の骨状に配置されているため、仮に、それらの線状部材14の上に巣の材料が乗せられても、巣の材料は滑り落ちるようになる。したがって、鳥害防止具10を利用してその上に鳥が巣を作るような不具合も発生しない。
【0018】
また、連結部材20には、キャップ30が被せられており、キャップ30により連結部材20の周縁貫通孔24に収納された線状部材14の頭部14hが覆われているため、連結部材20の上面がキャップ30の働きで、さらに滑らかになり、この部分に鳥の巣の材料が掛かり難くなる。
また、線状部材14は、樹脂製であり、外力により曲げられた後、その曲げ形状を保持できるように構成されているため、設置場所の周囲の状況に合わせて、例えば、他の部材と干渉する線状部材14の一部を曲げることが可能になる。したがって、鳥害防止具10の設置位置の自由度が向上する。
また、鳥害防止具10を搬送する際に、線状部材14を曲げて傘を閉じた状態にし、鳥害防止具10を設置する際に線状部材14を曲げて傘状に広げることが可能になる。
さらに、支柱12と連結部材20との間には、支柱12に対する連結部材20の高さ位置を調整可能な位置調整機構(支柱12の雄ネジとナット18等)が設けられているため、設置場所の周囲の状況に合わせて、線状部材14の高さ調整が可能になる。
【0019】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、線状部材14を連結部材20により支柱12に対して一定角度(θ=45°)で取付ける例を示したが、線状部材14を角度調整可能なように連結部材20を介して支柱12に取付けることも可能である。
また、連結部材20に16本の線状部材14を連結する例を示したが、線状部材14の本数は適宜変更可能である。さらに、連結部材20の長さ寸法、外径寸法も適宜変更可能である。
また、支柱12の雄ネジに螺合されるナット18で連結部材20、キャップ30を上下から挟んで、前記連結部材20、キャップを高さ方向に位置決めする例を示したが、連結部材20、キャップ30の中央貫通孔22等に雌ネジを形成し、支柱12の雄ネジを前記雌ネジに直接的に螺合させて前記連結部材20、キャップを高さ方向に位置決めする構成でも可能である。
【符号の説明】
【0020】
10・・・・鳥害防止具
12・・・・支柱(位置調整機構)
14・・・・線状部材
14m・・・丸棒本体部
14h・・・頭部
16・・・・短管
18・・・・ナット(位置調整機構)
20・・・・連結部材
22・・・・中央貫通孔
24・・・・周縁貫通孔
24r・・・大径貫通孔部
24x・・・小径貫通孔部
30・・・・キャップ
31・・・・キャップ本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外構造物上で鳥が巣作りするのを防止するための鳥害防止具であって、
基端部が前記屋外構造物に固定される支柱と、
前記支柱に対して傘の骨状に広げられた状態で配置される多数の線状部材と、
前記支柱の先端部にフランジ状に取付けられており、前記多数の線状部材の端部を前記支柱の先端部に連結する円板状の連結部材とを有しており、
前記線状部材の端部は、前記連結部材の周縁に形成された孔部に収納された状態でその連結部材に連結されていることを特徴とする鳥害防止具。
【請求項2】
請求項1に記載された鳥害防止具であって、
前記連結部材には、キャップが被せられており、前記キャップにより前記連結部材の孔部に収納された前記線状部材の端部が覆われていることを特徴とする鳥害防止具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された鳥害防止具であって、
前記線状部材は、樹脂製であり、外力により曲げられた後、その曲げ形状を保持できるように構成されていることを特徴とする鳥害防止具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された鳥害防止具であって、
前記支柱と連結部材との間には、前記支柱に対する前記連結部材の高さ位置を調整可能な位置調整機構が設けられていることを特徴とする鳥害防止具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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