説明

鳥害防止器

【課題】架空送配電線への設置及び撤去を容易に行うことができる鳥害防止器を提供する。
【解決手段】架空送配電線100への鳥類の着線を防止するために架空送配電線100に設けられる鳥害防止器10において、一体化した閉鎖端部として形成された一端部22、一端部22から2本に分岐して所定長さ伸長する伸長部24、伸長部24から所定長さ延在して互いに対向する開放端部を有する他端部30、を有する本体部20と、本体部20の一端部22を挿通させた状態で伸長部24に装着され、伸長部24を互いに近接させて締め付けることで対向する他端部30の間で架空送配電線を挟持させるリング部材40と、を備える。これにより、リング部材40による締め付けによって他端部30で架空送配電線100を簡易に挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害防止器、特に、架空送配電線に取り付けられる鳥害防止器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、山林の伐採や都市開発の進行の影響により、鳥類が架空送配電線や送電鉄塔、電柱等の送配電設備、典型的には架空送配電線に止まったり、営巣したりすることが多く見受けられる。これら架空送配電線等の送配電設備に鳥類が停まるようになると、糞害が発生したり、鳴き声による騒音が発生したりする。また、鳥類によって、架空送配電線に営巣される際に、営巣のための材料が落下して、落下した材料が架空送配電線に接触して地絡事故や短絡事故を誘発するおそれがある。そこで、鳥類が架空送配電線に停まったり営巣したりすることを抑制して鳥害の発生を防止する技術が、種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、架空送配電線に鳥類が止まったり営巣したりすることを防止する突起部が形成された架空送配電線の外周面に装着される環状のベース部材と、このベース部材に対して若干大径に形成されてベース部材の外周面を締め付けてベース部材を架空送配電線に固定する環状の固定部材とを有する鳥害防止器が開示されている。この鳥害防止器によると、突起部を有するベース部材を架空送配電線の外周面に沿って装着させたうえで、ベース部材の外周面に上方から固定部材を装着させることによって、固定部材でベース部材を締め付ける。これにより、鳥害防止器が架空送配電線に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−219251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の鳥害防止器によると、鳥害防止器の取付の際に、架空送配電線の外周面にベース部材を取り付けた上で、ベース部材とは別体で構成された固定部材を取り付ける必要があることから、取付作業が煩雑になる。特に、架空送配電線は比較的高所に架設されるものであることから、高所において別体の部材を複数組み合わせて鳥害防止器を取り付ける作業には多大な困難性が伴うこととなる。一方、設置した鳥害防止器を撤去する場合にも、設置する場合と同様の問題が生じることとなる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、架空送配電線への設置及び撤去を容易に行うことができる鳥害防止器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明による鳥害防止器は、架空送配電線への鳥類の着線を防止するために前記架空送配電線に設けられる鳥害防止器において、一体化した閉鎖端部として形成された一端部、該一端部から2本に分岐して所定長さ伸長する伸長部、該伸長部から所定長さ延在して互いに対向する開放端部を有する他端部、を有する本体部と、該本体部の前記一端部を挿通させた状態で前記伸長部に装着され、該伸長部を互いに近接させて締め付けることで前記対向する他端部の間で前記架空送配電線を挟持させるリング部材と、を備え、前記他端部は、前記架空送配電線の外周面に沿う湾曲形状を有し、前記開放端部が互いに近接するまで延在し、前記伸長部は、前記対向する他端部が前記架空送配電線の外径より大きく離間可能となるように可撓性を有して形成されたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、本体部に形成された伸張部が可撓性を有することから、伸長部に装着されたリング部材で伸長部を互いに近接させることによって、伸長部から延在する他端部が互いに近接して架空送配電線を挟持し、互いに近接するまで延在する他端部の開放端部によって架空送配電線が保持される。従って、伸長部をリング部材によって互いに近接させて締めつける簡易な動作によって、鳥害防止器を架空送配電線に容易に設置することができる。
【0009】
一方、鳥害防止器を架空送配電線から撤去する場合は、リング部材が伸長部を締め付けている状態を解除すると、互いに近接された伸長部が互いに離間して他端部も互いに離間することから、他端部による架空送配電線の挟持が解除される。その結果、高所における鳥害防止器の設置または撤去作業を容易に行うことができ、作業時の安全性を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載の鳥害防止器は、請求項1に記載の鳥害防止器において、前記伸長部は、常態において前記一端部から前記対向する他端部側に向かうに従って漸次離間距離が拡大して形成され、前記リング部材による締め付けは、前記対向する他端部側に移動することによって行われることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、伸張部に装着されたリング部材を対向する他端部側に移動させると、一端部から対向する他端部側に向かうに従って漸次離間距離が拡大する伸長部の離間距離が近接して対向する他端部で架空送配電線を挟持させることができる。すなわち、リング部材を対向する他端部側に移動させる簡易な動作によって、伸長部の対向する他端部側を容易に締め付けることができる。
【0012】
請求項3に記載の鳥害防止器は、請求項2に記載の鳥害防止器において、前記伸張部は、前記対向する他端部側の前記離間距離が狭められた締付部を有し、前記リング部材が前記締付部を締め付けている際に前記リング部材が前記一端部側に移動することを規制することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、伸長部は、離間距離が狭められた締付部を有することから、リング部材が締付部を締め付けている際には、リング部材が対向する他端部側から一端部側に意図せずに移動してしまうことを規制することができる。従って、鳥害防止器を、架空送配電線に設置した状態で安定的に維持することができる。
【0014】
請求項4に記載の鳥害防止器は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鳥害防止器において、前記伸張部は、絶縁性のプラスチック樹脂によって被覆されたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、伸長部が絶縁性のプラスチック樹脂に被覆されていることから、鳥害の効率的な防止のために伸長部を細長い尖状形状に形成することに伴う、伸張部からの気中コロナ放電の発生を抑制することができる。その結果、気中コロナ放電に基づくコロナ雑音の発生を防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の鳥害防止器は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鳥害防止器において、前記対向する他端部の内周面は、前記架空送配電線の外周面に倣った形状に形成されたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、対向する他端部の内周面は、架空送配電線の外周面に倣った形状に形成されていることから、他端部の内周面と架空送配電線の外周面とが適切に係合する。従って、強風等によって、鳥害防止器が位置ずれしたり、対向する他端部による架空送配電線の挟持が解除されて落下したりすることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、鳥害防止器を簡易な動作によって架空送配電線に容易に取り付けあるいは取り外すことができることから、高所作業時の作業負担を大幅に削減することができる。その結果、高い安全性を確保したうえで作業効率を向上させることができ、作業時間を削減させ、ひいては作業コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る鳥害防止器の概略を説明する図である。
【図2】同じく、本実施の形態に係る鳥害防止器の概略を説明する図である。
【図3】同じく、本実施の形態に係る鳥害防止器の取付方法を説明する図である。
【図4】同じく、本実施の形態に係る鳥害防止器が架空送電線に取り付けられた状態を示す図である。
【図5】同じく、本実施の形態に係る鳥害防止器が架空送配電線に取り付けられた状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について、図1〜図5に基づいて説明する。なお、本実施の形態において、架空送配電線が、鋼心アルミを撚って形成された絶縁被覆の施されていない架空送電線100であって、送電鉄塔に架設されている場合を例として説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る鳥害防止器10の概略を説明する図である。図示のように、鳥害防止器10は、鳥類が架空送電線100に着線することを防止するために架空送電線100に設置される本体部20を備える。この本体部20は、一端部22、伸長部24、他端部30を備え、一端部22は、一体化して閉鎖端部として形成され、この一端部22から2本に分岐して所定長さ伸長する伸長部24、伸長部24から所定長さ延在して互いに対向する開放端部を有する他端部30が形成される。本実施の形態では、他端部30は、架空送電線100の外周面100aに沿う湾曲形状を有し、開放端部が互いに近接するまで延在して形成される。更に本実施の形態では、伸長部24は、他端部28が架空送電線100の外径より大きく離間可能となるように形成される。
【0022】
一方、鳥害防止器10は、本体部20の一端部22を挿通させた状態で伸長部24に装着され、伸長部24を近接させて締めつけるリング部材40を備える。このリング部材40は、本実施の形態では、伸長部24における他端部30側を締め付けることで、他端部30によって架空送電線100を挟持させるように構成されている。
【0023】
次に、本実施の形態における鳥害防止器10の各部の具体的構成について説明する。
【0024】
一端部22は、2本の棒状材20−1及び20−2の一方の端部が接合されて本体部20の一端部22を構成し、棒状材20−1及び20−2が、一端部22側から他端部30側に向かうに従って互いに離間距離が漸次拡大して形成される。特に、本実施の形態では、伸長部24は、一端部22と他端部30との間で一端部22に対して外方に膨出する膨出部26を備えている。この膨出部26は、棒状材20−1及び20−2の互いの離間距離が最大となる離間距離最大部分26aを有し、この離間距離最大部分26aから連続するとともに棒状材20−1及び20−2が互いに近接する方向に屈曲する屈曲部分26bを有して形成される。更に伸長部24は、この膨出部26の屈曲部分26bから連続して棒状材20−1及び20−2が互いに近接する方向に折曲して他端部30側の離間距離が狭められるとともに、一端部22から離間する方向に折曲して互いに対抗して延在する締付部28を有する。
【0025】
この伸長部24は、可撓性を有するとともに弾発性を有する金属材料で形成され、本実施の形態では、その全域が絶縁性のプラスチック樹脂によって被覆されて形成されている。
【0026】
本体部20に形成される他端部30は、伸長部24の締付部28から連続して形成される。すなわち、他端部30は、締付部28が形成された棒状材20−1の他方の端部に他端部片30−1が形成されるとともに、棒状材20−2の他方の端部に他端部片30−2が形成され、この他端部片30−1及び30−2が互いに対向して構成される。
【0027】
他端部片30−1及び30−2は、断面視略円形の架空送電線100の外周面100aに沿って湾曲して形成されるとともに、それぞれの他端部片30−1及び30−2の先端部分が互いに対向して近接する方向に屈曲して、先端部分同士が離間する開放端部を有して形成される。この他端部片30−1及び30−2は、断面視略円形の架空送電線100の外周面に沿って湾曲して形成される。特に、本実施の形態では、他端部片30−1及び30−2の内周面30aは、鋼心アルミを撚って形成された架空送電線100の外周面100aに倣った形状に形成されている。すなわち、他端部片30−1及び30−2の内周面30aには、架空送電線100の外周面に沿って、架空送電線100の長手方向Aに亘って延在する凹状の溝部30bがらせん状に複数形成されている。
【0028】
リング部材40は、本実施の形態では、伸長部24を軌道として伸長部24上を往復移動可能に形成されている。すなわち、図2で示す図1のB部拡大図で示すように、リング部材40は、リング状の外枠部42を主要構成としており、外枠部42の径方向に形成された仕切部44によって形成された第1開口部46及び第2開口部48を有して構成されている。この第1開口部46及び第2開口部48に、棒状材20−1及び20−2がそれぞれ挿通されて、リング部材40が伸長部24上を移動可能に構成されている。
【0029】
次に、本実施の形態に係る鳥害防止器10を架空送電線100に取り付ける方法及び取り外す方法について、図3を用いて説明する。なお、図3(a)及び(b)において、他端部30の内周面30a、架空送電線100の外周面100aの具体的な形状は、図の視認性の向上のため省略する。
【0030】
図3(a)で示すように、鳥害防止器10を架空送電線100に取り付ける場合は、まず、リング部材40を、本体部20の一端部22側に移動させておき、伸長部24の締付部28の締め付けを緩めておいて棒状材20−1及び20−2の互いの離間距離d1を確保するようにする。これにより、他端部片30−1及び30−2も互いに対向した状態で離間して、他端部片30−1と他端部片30−2との間の離間距離P1が確保される。この状態において、架空送電線100の上方から鳥害防止器10を挿入する。
【0031】
そして、図3(b)で示すように、一端部22側に移動しているリング部材40を伸長部28上で他端部30側に移動させる。このとき、可撓性を有する棒状材20−1及び20−2は、本体部20の一端部22側から他端部30側に向かうに従って漸次互いに離間していることから、リング部材40が他端部30側に移動していくにつれて棒状材20−1及び20−2が第1開口部46及び第2開口部48に摺接しつつ、リング部材40が棒状材20−1及び20−2を互いに近接する方向に押圧する。これにより、棒状材20−1と20−2との離間距離d1が漸次縮小する。
【0032】
リング部材40の第1開口部46の周面及び第2開口部48の周面が棒状材20−1及び20−2に摺接して棒状材20−1及び20−2を互いに近接する方向に押圧しながら、このリング部材40が膨出部26を乗り越えると、リング部材40は締付部28に圧着する。この状態で、棒状材20−1と20−2の締付部28における離間距離d1は、d1より縮小したd2となる。同時に、他端部片30−1と30−2とが互いに近接して他端部片30−1と30−2との間の離間距離P1は、P1より縮小したP2となり、他端部片30−1及び30−2の内周面30aが架空送電線100の外周面に押接する。これにより、他端部片30−1及び30−2によって、架空送電線100が挟持保持される。図4は、鳥害防止器10が架空送電線100に取り付けられた状態を示す図である。
【0033】
鳥害防止器10が架空送電線100に取り付けられると、締付部28に圧着したリング部材40は、棒状材20−1及び20−2に膨出部26が形成されていることから、リング部材40を本体部20の一端部22側に移動させようとすると、リング部材40が膨出部26に当接して、リング部材40の本体部20における一端部22側への移動が規制される。従って、鳥害防止器10の架空送電線100への安定的な取付状態が維持される。
【0034】
このとき、他端部片30−1及び30−2の内周面30aには、架空送電線100の外周面に倣った凹状の溝部30bが形成されていることから、それぞれの溝部30bが、架空送電線100を構成する1本の撚り線の外周面にそれぞれ接合する。従って、強風等によって鳥害防止器10が位置ずれしたり、挟持が解除されて落下したりすることが規制される。
【0035】
次に、鳥害防止器10を架空送電線100から取り外す場合について説明する。
【0036】
まず、締付部28に圧着したリング部材40を本体部20の一端部22側に移動させる。このとき、上述のように、リング部材40の本体部20における一端部22側への移動は膨出部26によって規制されることから、棒状材20−1及び20−2を更に互いに近接させて締付部28を近接させることで膨出部26における棒状材20−1及び20−2同士の離間距離を縮小させる。これにより、リング部材40が締付部28に圧着している状態が解除され、リング部材40の第1開口部46の周面及び第2開口48の周面が膨出部26上を通過可能となる。
【0037】
リング部材40の締付部28への圧着を解除して、他端部30側にあるリング部材40を本体部20側に移動させる。このとき、棒状材20−1及び20−2は、リング部材40によって、弾発力に抗して互いに近接せしめられていることから、リング部材40が本体部20における一端部22側に移動すると棒状材20−1及び20−2が第1開口部46の周面及び第2開口部48の周面に非摺接状態となる。すなわち、リング部材40による棒状材20−1及び20−2の近接状態が解除されることから、弾発力の作用によって、他端部片30−1及び30−2による架空送電線100の挟持が解除される。これにより、棒状材20−1と20−2との離間距離d2が漸次拡大する。
【0038】
棒状材20−1と20−2との離間距離d2が拡大して離間距離d1となると、他端部片30−1と30−2とが互いに離間して他端部片30−1と30−2との間の離間距離P2が拡大してP1となり、他端部片30−1及び30−2の内周面30aが架空送電線100の外周面から離間する。これにより、他端部片30−1及び30−2による架空送電線100の挟持保持が解除される。
【0039】
このように、本実施の形態に係る鳥害防止器10によると、他端部片30−1及び30−2の間に架空送電線100を挿入した状態で、伸長部24に係合して一体となったリング部材40を本体部20における一端部22側から他端部30側に移動させる簡易な動作によって、鳥害防止器10を架空送電線100に容易に取り付けることができる。一方、架空送電線100から鳥害防止器10を取り外す場合は、リング部材40を伸長部24上の他端部30側から一端部22側に移動させる簡易な動作によって、鳥害防止器10を架空送電線100から容易に取り外すことができる。従って、高所における鳥害防止器10の取り付け及び取り外し作業を容易化することができ、作業コスト及び作業負担を軽減することができる。
【0040】
次に、本実施の形態に係る鳥害防止器10の具体的な設置箇所について説明する。図5は、本実施の形態に係る鳥害防止器10が架空送電線100に取り付けられた状態を説明する図である。図示のように、鳥害防止器10は、送電鉄塔110を介して架設された架空送電線100に取り付けられている。具体的には、架空送電線100は、送電鉄塔110の腕金120の先端に設置された碍子122を介して複数の送電鉄塔110間で架設されており、架空送電線100における碍子122に吊下された箇所の近傍において、鳥害防止器10が複数設置されている。
【0041】
すなわち、架空送電線100の架設方向における緊張状態が最も高い箇所は、碍子122に吊下された箇所であり、その箇所及びその近傍は、鳥類が停まったり営巣したりする頻度が最も高い場所である。かかる場所に鳥害防止器10を設置することで、鳥類が架空送電線100に停まったり、営巣したりすることを効率的に抑制することができる。また、棒状材20−1及び20−2は、絶縁性のプラスチック樹脂によって外表面が被覆されていることから、鳥害の効率的な防止のために棒状材20−1及び20−2を尖状に形成することに伴う、棒状材20−1及び20−2からの気中コロナ放電の発生を抑制することができる。これにより、気中コロナ放電に基づくコロナ雑音の発生を防止することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上記実施の形態では、鳥害防止器10が、送電鉄塔110の間に架設された架空送電線100に取り付けられる場合を例として説明したが、例えば、市街地に架設される配電線に取り付けてもよい。すなわち、鳥害の発生が予測される、比較的高所に設置される架空送配電線であればよい。
【符号の説明】
【0043】
10 鳥害防止器
20 本体部
20−1、20−2 棒状材
22 一端部
24 伸長部
26 膨出部
28 締付部
30 他端部
30−1、30−2 他端部片
30a 内周面
30b 溝部
40 リング部材
100 架空送電線
110 送電鉄塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空送配電線への鳥類の着線を防止するために前記架空送配電線に設けられる鳥害防止器において、
一体化した閉鎖端部として形成された一端部、該一端部から2本に分岐して所定長さ伸長する伸長部、該伸長部から所定長さ延在して互いに対向する開放端部を有する他端部、を有する本体部と、
該本体部の前記一端部を挿通させた状態で前記伸長部に装着され、該伸長部を互いに近接させて締め付けることで前記対向する他端部の間で前記架空送配電線を挟持させるリング部材と、を備え、
前記他端部は、前記架空送配電線の外周面に沿う湾曲形状を有し、前記開放端部が互いに近接するまで延在し、
前記伸長部は、前記対向する他端部が前記架空送配電線の外径より大きく離間可能となるように可撓性を有して形成されたことを特徴とする鳥害防止器。
【請求項2】
前記伸長部は、
常態において前記一端部から前記対向する他端部側に向かうに従って漸次離間距離が拡大して形成され、
前記リング部材による締め付けは、
前記対向する他端部側に移動することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の鳥害防止器。
【請求項3】
前記伸長部は、
前記対向する他端部側の前記離間距離が狭められた締付部を有し、
前記リング部材が前記締付部を締め付けている際に前記リング部材が前記一端部側に移動することを規制することを特徴とする請求項2に記載の鳥害防止器。
【請求項4】
前記伸長部は、絶縁性のプラスチック樹脂によって被覆されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鳥害防止器。
【請求項5】
前記対向する他端部の内周面は、
前記架空送配電線の外周面に倣った形状に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鳥害防止器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−170203(P2012−170203A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28103(P2011−28103)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】