説明

鳥類の性別の調節方法

本発明は、鳥類の性別の調節のための核酸及び方法に関する。特に本発明は、雌鳥の生産を増大するためのdsRNA分子、特にsiRNAのin ovo送達に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥類の性別の調節のための核酸及び方法に関する。特に本発明は、雌鳥の生産を増大するためのdsRNA分子、特にsiRNAのin ovo送達に関する。
【背景技術】
【0002】
人類は、動物を家畜にして以来、多くの世代に亘って種禽の選択を通じて家畜動物の表現型の特徴を改変してきた。これは体のサイズや筋肉重量のような量的な生産パラメーターの改善を導いている。家禽の生産特徴の改変、及び/または病原菌に対する耐性の改善のより最近の革新は、トランスジェニックアプローチに焦点を当てているが、消費者の多くが遺伝的に改変された生物について心配を有している。
【0003】
ニワトリ生産者は、初生びなの性別を識別する有効で経済的な方法を求めている。ベントでの性別わけ及び羽毛での性別わけは各種の生産者によって使用されているが、これらの方法は、雌鳥から雄鶏を分離する際の必要とされる実質的な時間及び労力のコストのため、実質的な経済的欠点を有することが見出されている。プローブの使用(US 5,508,165)もまた高価な方法であって実際に経済的とはいえない。ニワトリの肛門領域の光感覚法(US 4,417,663)はニワトリの性別を識別する別の方法であるが、各ニワトリを扱って操作しなければならないため、それも高価で時間が掛かる方法である。羽毛で性別わけ可能な専門家の利用が使用されているが、そのような専門家はコストが掛かり羽毛での性別わけは時間を浪費する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US 5,508,165
【特許文献2】US 4,417,663
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トリのゲノムのトランスフォーメーションを引き起こさないが、高スループットプロセッシングになじむ鳥類の生物の改変のための核酸及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、in ovoで鳥類の生物を改変するために使用できる核酸分子、特にdsRNA分子を同定した。
【0007】
従って一つの特徴点では、本発明は、鳥類の卵に投与された際に、少なくとも一つのRNA分子及び/またはタンパク質のレベルを減少する二本鎖領域を含む単離された及び/または外因性の核酸分子を提供し、ここで卵の胚が雄であれば、前記単離された及び/または外因性の核酸分子の投与の後に性別を雌に改変し、ここで前記単離された及び/または外因性の核酸分子は、以下のものから選択される配列及びそれらのいずれかの変異体を含まない:
【化1】

【0008】
別の特徴点では、本発明は、配列番号(SEQ ID NO)11から3431に提供されるヌクレオチドの配列の一つ以上またはそれらのいずれかの一つ以上の変異体を含む単離された及び/または外因性の核酸分子を提供し、ここで前記単離された及び/または外因性の核酸分子は、以下のものから選択される配列及びそれらのいずれかの変異体を含まない:
【化2】

【0009】
好ましい実施態様では、前記核酸分子はdsRNAである。より好ましくは、前記dsRNAはsiRNAまたはshRNAである。
【0010】
好ましい実施態様では、前記核酸分子は、鳥類の卵におけるDMRT1遺伝子、ASW遺伝子、またはr−スポンジン遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルを減少する。
【0011】
二つの上記特徴点の好ましい実施態様では、前記核酸は、RNA分子またはそれらをコードするcDNAの全長オープンリーディングフレームを含まない。関連する実施態様では、好ましくは前記核酸は、配列番号2、4または6で提供されるヌクレオチドの配列、または各T(チミジン)がU(ウラシル)で置換されている配列番号2、4または6で提供されるヌクレオチドの配列を含まない。
【0012】
当業者が予測するであろう通り、前記核酸は二本鎖であるため、それはここで提供される関連するヌクレオチドの配列の対応する逆の相補体をも含むであろう。
【0013】
本発明に係る核酸分子またはその一本鎖をコードするベクターもまた提供される。そのようなベクターは、本発明の方法のために有用である核酸分子を提供するために、宿主細胞またはセルフリー発現系において使用できる。
【0014】
別の特徴点では、本発明は、本発明の外因性核酸分子またはその一本鎖及び/または本発明のベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0015】
別の特徴点では、本発明は、本発明の核酸分子またはその一本鎖、本発明のベクター及び/または本発明の宿主細胞を含む組成物を提供する。
【0016】
更なる特徴点では、本発明は、本発明の少なくとも一つの核酸分子を鳥類の卵に投与することを含む、鳥類の性別の改変方法を提供する。
【0017】
好ましくは前記核酸は、卵の非細胞性部位に投与される。より好ましくは、前記非細胞性部位は、気嚢、卵黄嚢、羊膜腔または卵膜羊膜液である。
【0018】
更に好ましい実施態様では、前記卵はエレクトロポレーションされない。
【0019】
好ましくは前記核酸は、前記核酸分子をコードするベクターを投与することによって送達されない。
【0020】
好ましくは、投与される前記核酸分子はdsRNAである。
【0021】
好ましくは前記核酸は、注射によって投与される。
【0022】
完全には、前記核酸は本発明の組成物で投与されて良い。
【0023】
好ましい実施態様では、前記方法は、雄から雌へ卵の胚の性別を改変する。
【0024】
鳥類は、鳥綱のいずれかの種であることができる。例としては、ニワトリ、アヒル、七面鳥、ガチョウ、チャボ、及びウズラが含まれるがこれらに制限されない。特に好ましい実施態様では、鳥類はニワトリである。
【0025】
更なる特徴点では、本発明は、本発明の方法を使用して生産された鳥類を提供する。
【0026】
別の特徴点では、本発明は、本発明の方法を使用して生産されたニワトリを提供する。
【0027】
更なる特徴点では、本発明は、本発明の核酸分子またはその一本鎖、本発明のベクター及び/または本発明の宿主細胞を含む鳥類の卵を提供する。
【0028】
別の特徴点では、本発明は、本発明の核酸分子またはその一本鎖、本発明のベクター、本発明の宿主細胞及び/または本発明の組成物を含むキットを提供する。
【0029】
明らかであろう通り、本発明の一つの特徴点の好ましい特性及び特徴は、本発明の多くの他の特徴点に適用可能である。
【0030】
本明細書を通じて、用語「含む」または「含んでいる」または「含まれる」のような変形例は、記載されたエレメント、数字または工程、あるいはエレメント、数字または工程の群の包含を意味するものと理解されるが、いずれかの他のエレメント、数字または工程、あるいはエレメント、数字または工程の群を排除するものではない。
【0031】
本発明は以下の非制限的な実施例の態様によって、及び添付の図面を参考にして、以下に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、EGFP−Dmrt1遺伝子融合発現のための選択されたshRNAを示す。各トランスフェクション条件についての平均蛍光強度が、pEGFP−Dmrt1に対して表されている。各バーは、三重で実施された各個々の実験に対して計算された標準誤差を示す。
【図2】図2は、サイレンシングが引き続くDMRT1遺伝子発現のqPCR分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
配列表の説明
配列番号1:部分的ニワトリDMRT1タンパク質配列(Genbank AF123456)
配列番号2:ニワトリDMRT1をコードする部分的ヌクレオチド配列(Genbank AF123456)
配列番号3:ニワトリWPKCI(ASW)(Genbank AF148455)
配列番号4:ニワトリWPKCI(ASW)をコードするヌクレオチド配列(Genbank AF148455)
配列番号5:ニワトリr−スポンジン(Genbank XM_417760)
配列番号6:ニワトリr−スポンジンをコードするヌクレオチド配列(Genbank XM_417760)
配列番号7:ニワトリU6−1プロモーターのヌクレオチド配列
配列番号8:ニワトリU6−3プロモーターのヌクレオチド配列
配列番号9:ニワトリU6−4プロモーターのヌクレオチド配列
配列番号10:ニワトリ7SKプロモーターのヌクレオチド配列
配列番号11から3430:ニワトリDMRT1、ASWまたはr−スポンジン遺伝子をサイレンシングするための表1から3に提供されたRNA配列
配列番号3431から3434:ニワトリDMRT1遺伝子をサイレンシングするのに適したRNA配列
配列番号3435から3485:ニワトリDMRT1の標的領域
配列番号3486から3499:オリゴヌクレオチドプライマー及びプローブ
【0034】
一般的方法及び定義
他に特別に記載がなければ、ここで使用されるすべての技術的及び科学的用語は、当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有すると考慮されるべきである(例えば細胞培養物、分子遺伝学、鳥類生物学、RNA干渉、及び生化学)。
【0035】
他に記載がなければ、本発明で利用される組換えタンパク質、細胞培養物及び免疫学的方法は、当業者に周知である標準的な方法である。そのような方法は、例えばJ. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984), J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989), T.A. Brown (editor), Essential Molecular Biology: A Practical Approach, Volumes 1 and 2, IRL Press (1991), D.M. Glover and B.D. Hames (editor), DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes 1-4, IRL Press (1995 and 1996),及びF.M. Ausubel et al. (editor), Curresnt Protocols in Molecular Biology, Greene Pub, Associates and Wiley-Interscience (1988, 現在までの全ての改訂版を含む), Ed Harlow and David Lane (editor)といった出典の文献を通じて記載され説明される。
【0036】
ここで使用される用語「鳥類」は、鳥網の分類の生物のいずれかの種、亜種または子孫を指し、例えばニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、並びにダチョウ、エミュー及びヒクイドリを含む走鳥類といった生物を含むがこれらに制限されない、この用語は、Gallus gallus(ニワトリ)の各種の既知の株、例えば白色レグホン、褐色レグホン、バードロック、サセックス、ニューハンプシャー、ロードアイランド、オーストラロープ、コーニッシュ、ミノルカ、アムロックス、カリフォルニアグレー、イタリアンパートリッジカラード、並びに七面鳥、キジ、ウズラ、アヒル、ダチョウ、及び商業的な品質で一般的に飼育されている他の家禽を含む。
【0037】
ここで使用される用語「卵」は、鳥類によって産み落とされた受精卵を指す。典型的に鳥類の卵は、固い楕円形の外側の卵殻、「卵白」またはアルブミン、卵黄、及び各種の薄膜からなる。更に「in ovo」は卵中での意味を有する。
【0038】
ここで使用される用語「非細胞性部位」は、胚以外の卵の部分を指す。
【0039】
ここで使用される用語「減少する」、「減少」またはその変形例は、ここに規定される核酸を投与されていない同種の鳥類、より好ましくは鳥類の株または品種、更により好ましくは同一の鳥類から得た卵と比較して、卵中の標的RNA及び/または標的タンパク質の量が測定可能に減少していることを指す。好ましくは、標的RNA及び/または標的タンパク質のレベルの減少は、少なくとも約10%である。とり好ましくは前記減少は少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、80%、90%、更により好ましくは約100%である。
【0040】
ここで使用される用語「核酸分子が減少を引き起こす」またはその変形例は、卵中の核酸分子の存在が、「RNA干渉」または「遺伝子サイレンシング」として当該技術分野で既知の方法によって、卵中のホモローグRNAの分解を誘導することを指す。更に、前記核酸分子は直接的に減少を引き起こし、所望の効果を生ずるためにin ovoで転写されない。
【0041】
「少なくとも一つのRNA分子」は、鳥類卵中に存在する、及び/または鳥類卵中で生産されるいずれかのタイプのRNAであることができる。例としては、mRNA、snRNA、マイクロRNA、及びtRNAを含むがこれらに制限されない。
【0042】
本発明の核酸分子の「変異体」は、一つ以上の異なるヌクレオチドの各種のサイズの分子、及び/または一つ以上の異なるヌクレオチドを有する分子であって、標的遺伝子をサイレンシングするために使用可能である分子を含む。例えば変異体は、更なるヌクレオチド(例えば1、2、3、4以上)またはより少ないヌクレオチドを含んで良い。更に、数個のヌクレオチドが、標的遺伝子をサイレンシングする核酸の能力に影響することなく置換されていても良い。一つの実施態様では、前記変異体は、対応する標的RNA分子に相同で、及び/または核酸分子の安定性を増大する更なる5’及び/または3’ヌクレオチドを含む。別の実施態様では、核酸分子は4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更により好ましくは1以下の、ここに提供される配列と比較した際のヌクレオチドの差異を有する。更なる実施態様では、核酸分子は2以下、より好ましくは1以下の、ここで提供される配列と比較した際の内部付加及び/または欠失ヌクレオチドを有する。一つの実施態様では、本発明の核酸は、一つ、好ましくは二つの、5’及び/または3’末端での付加非標的ヌクレオチド、例えば3’末端での付加UUを有する。そのような付加は、in ovoでの分子の半減期を増大できる。
【0043】
用語「単離された核酸分子」は、天然の状態でそれが会合または結合している核酸分子から少なくとも部分的に分離されている核酸分子を意味する。好ましくは単離された核酸分子は、それが天然で会合している他の成分から少なくとも60%フリー、好ましくは少なくとも75%フリー、最も好ましくは少なくとも90%フリーである。更に用語「ポリヌクレオチド」は、用語「核酸」とここで互換的に使用される。
【0044】
核酸分子の文脈における用語「外因性」は、改変された量で細胞またはセルフリー発現系で存在する際の核酸分子を指す。好ましくは前記細胞は、前記核酸分子を天然で含まない細胞である。しかしながら前記細胞は、前記核酸分子の増大した量を引き起こす外因性核酸分子を含む細胞であって良い。本発明の外因性核酸分子は、それが存在する組換え細胞またはセルフリー発現系の他の成分から分離されていない核酸分子、及び少なくともいくつかの他の成分から後に精製されるそのような細胞またはセルフリー系で生産される核酸分子を含む。
【0045】
性別決定
本発明は、in ovoでの鳥類の性別の改変に関する。鳥類の性別を変更するために標的となり得る遺伝子の例は、DMRT1遺伝子、ASW(WPKCI)遺伝子、R-スポンジン遺伝子、Fox9遺伝子、及びβ−カテニン遺伝子を含むが必ずしもそれらに制限されない。
【0046】
好ましい実施態様では、前記核酸分子は、DMRT1遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルを減少する。DMRT1は、門の間で配列保存を示す性別決定に関与する第一の分子であった。DMRT1の鳥類ホモローグは、ニワトリのZ(性)染色体で見出され、雄と雌のニワトリの胚の生殖隆起で異なって発現される(Raymond et al., 1999; Smith et al., 1999)、DMRT1は、発現の厳密な生殖パターンを有するようである哺乳動物性別決定に深く関与する数個の遺伝子の一つである(Raymond et al., 1999)。
【0047】
ニワトリDMRT1タンパク質及びそれをコードするmRNAのレベルを減少するために使用できる核酸分子の例は、表1に提供されたヌクレオチドの配列の一つ以上(配列番号11から1644)またはそれらの一つ以上の変異体を含む核酸を含むがそれらに制限されず、但し前記核酸は以下のものから選択される配列及びそれらのいずれか一つの変異体を含まない:
【化3】

【0048】
特に好ましい実施態様では、ニワトリDMRT1タンパク質のレベルを減少するために使用できる核酸分子は、GAGCCAGUUGUCAAGAAGA(配列番号251)、GACUGCCAGUGCAAGAAGU(配列番号116)、CUGUAUCCUUACUAUAACA(配列番号476)、及びCUCCCAGCAACAUACAUGU(配列番号602)、またはそれらのいずれか一つの変異体から選択される配列を含む。より好ましくは、ニワトリDMRT1タンパク質のレベルを減少するために使用できる核酸分子は、GAGCCAGUUGUCAAGAAGA(配列番号251)、またはGAGCCAGUUGUCAAGAAGAUU(配列番号3431)といったそれらの変異体の配列を含む。
【0049】
性別を改変するために標的となり得る遺伝子の更なる例はWPKCI遺伝子である。鳥類遺伝子WPKCIは、鳥類W染色体に広く保存されており、性腺分化の開始前に雌のニワトリ胚で活発に発現されることが示されている。WPKCIは、PKCIの機能と干渉することによって、または核で独特の機能を発揮することによって、雌の性腺の分化で役割を果たすであろうことが示唆されている(Hori et al., 2000)。この遺伝子は、ASW(鳥類性特異的W結合的;avian sex-specific W-linked)としても同定されている(O’Neill et al., 2000)。
【0050】
ニワトリASW(WPKCI)タンパク質、及びそれをコードするmRNAのレベルを減少するために使用できる核酸分子の例は、表2に提供されたヌクレオチドの配列(配列番号1654から2209)またはそのいずれか一つ以上の変異体の一つ以上を含む核酸を含むがそれらに制限されない。
【0051】
性別を改変するために標的となり得る遺伝子のまた別の例はr−スポンジン遺伝子である。ニワトリr−スポンジンタンパク質、及びそれをコードするmRNAのレベルを減少するために使用できる核酸分子の例は、表3に提供されたヌクレオチドの配列(配列番号2210から3430)またはそのいずれか一つ以上の変異体の一つ以上を含む核酸を含むがそれらに制限されない。
【0052】
遺伝子サイレンシング
用語「RNA干渉」、「RNAi」または「遺伝子サイレンシング」は、二本鎖RNA(dsRNA)分子が、当該二本鎖RNA分子が実質的なまたは完全なホモロジーを有する核酸配列の発現を減少する工程を一般的に指す。しかしながら、遺伝子サイレンシングは、非RNA二本鎖分子を使用して達成できることがより最近示されている(例えばUS 20070004667を参照)。
【0053】
RNA干渉(RNAi)は、特定のRNA及び/またはタンパク質の生産を特異的に阻害するために特に有用である。理論によって限定されることを望むものではないが、Waterhouse et al., (1998)は、dsRNA(二本鎖RNA)がタンパク質生産を減少するために使用できるメカニズムについてのモデルを提供している。この方法体系は、mRNAが興味あるポリペプチドをコードする場合、興味ある遺伝子またはその一部のmRNAに本質的に同一である配列を含むdsRNA分子の存在に依存している。簡便には、dsRNAは、組換えベクターまたは宿主細胞における単一のプロモーターから生産でき、そこでセンス配列とアンチセンス配列は非関連の配列によって並べられており、非関連の配列はセンス配列とアンチセンス配列がハイブリダイズできるようにし、ループ構造を形成する非関連の配列を有するdsRNA分子を形成できる。本発明について適切なdsRNA分子のデザイン及び生産は、当業者の能力の範囲内に十分存在し、特にWaterhouse et al., (1998), Smith et al, (2000), WO 99/32619, WO 99/53050, WO 99/49029, 及びWO 01/34815を考慮のこと。
【0054】
本発明は、遺伝子サイレンシングのための二本鎖領域を含む及び/またはコードする核酸分子を含む。前記核酸分子は典型的にRNAであるが、DNA、化学的に変性されたヌクレオチド、及び非ヌクレオチドを含んでも良い。
【0055】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表1−13】

【表1−14】

【表1−15】

【表1−16】

【表1−17】

【表1−18】

【表1−19】

【0056】
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

【表2−6】

【表2−7】

【0057】
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】

【表3−5】

【表3−6】

【表3−7】

【表3−8】

【表3−9】

【表3−10】

【表3−11】

【表3−12】

【表3−13】

【表3−14】

【0058】
二本鎖領域は、少なくとも19の連続したヌクレオチド、例えば約19から23のヌクレオチドであるべきであり、またはより長く、例えば30または50のヌクレオチド、あるいは100以上のヌクレオチドでも良い。完全な遺伝子転写産物に対応する全長配列が使用されても良い。好ましくはそれらは、約19から約100のヌクレオチドの長さ、より好ましくは約19から約50ヌクレオチドの長さ、更により好ましくは約19から約23ヌクレオチドの長さである。
【0059】
標的転写産物に対する核酸分子の二本鎖領域の同一性の度合いは、少なくとも90%、より好ましくは95−100%であるべきである。核酸分子の同一性の%は、GAP(Needleman and Wunsch, 1970)分析(GCGプログラム)によって測定され、ここでギャップ作製ペナルティー=5、及びギャップ伸張ペナルティー=0.3を使用する。好ましくは、前記二つの配列は、その全長に亘って整列される。
【0060】
もちろん核酸分子は、分子の安定化のために機能して良い標的とは関連しない配列を含んでも良い。
【0061】
ここで使用される用語「低分子干渉RNA」または「siRNA」は、例えば配列特異的な態様でRNAiを介在することによって、遺伝子発現を阻害または下流調節することが可能なリボヌクレオチドを含む核酸分子を指し、ここで前記二本鎖部分は50ヌクレオチド未満の長さ、好ましくは約19から約23ヌクレオチドの長さである。例えば、siRNAは、自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域を含む核酸分子であることができ、ここでアンチセンス領域は、標的核酸分子またはその一部におけるヌクレオチド配列と相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を有する。siRNAは、二つの別個のオリゴヌクレオチドから集合することができ、ここで一方の鎖はセンス鎖であり、他方はアンチセンス鎖であり、アンチセンス鎖とセンス鎖は自己相補的である。
【0062】
ここで使用される用語「siRNA」は、配列特異的なRNAiを介在できる核酸分子を記載するために使用される他の用語、例えばマイクロRNA(miRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉改変オリゴヌクレオチド、化学的に変性されたsiRNA等と同等に使用される。更に、ここで使用される用語「RNAi」は、配列特異的なRNA干渉を記載するために使用される他の用語、例えば転写後遺伝子サイレンシング、翻訳阻害、または後成と同等に使用される。例えば、本発明のsiRNA分子は、転写後のレベルまたは転写前のレベルの両者で、遺伝子を後成的にサイレンシングするために使用できる。非制限的な例では、本発明のsiRNA分子による遺伝子発現の後成的な調節は、遺伝子発現を変更するためのクロマチン構造のsiRNA介在的な変性から由来することができる。
【0063】
好ましいsiRNA分子は、標的mRNAの約19から23の連続したヌクレオチドと同一であるヌクレオチド配列を含む。一つの実施態様では、標的mRNA配列は、ジヌクレオチドAAで開始し、約30−70%(好ましくは30−60%、より好ましくは40−60%、より好ましくは約45%−55%)のGC含量を含み、例えば標準的なBLASTサーチによって測定すると、それが導入される鳥類(好ましくはニワトリ)のゲノム中で標的以外のいずれのヌクレオチド配列とも高いパーセンテージの同一性を有さない。
【0064】
用語「shRNA」または「ショートヘアピンRNA」は、約50ヌクレオチド未満、好ましくは約19から約23ヌクレオチドが、同じRNA分子に位置する相補的配列と塩基対を形成し、前記配列と相補的配列は、少なくとも約4から15ヌクレオチドの対を形成しない領域によって分離されており、当該領域が、塩基相補性である二つの領域によって作製されるステム構造の上に一本鎖ループを形成する構造を有するsiRNA分子を意味する。一本鎖ループの配列の例は、5’ UUCAAGAGA 3’及び5’ UUUGUGUAG 3’である。
【0065】
shRNAは、二重またはバイフィンガー及びマルチフィンガーヘアピンdsRNAを含み、そこではRNA分子は、一本鎖スペーサー領域によって分離された二つ以上のそのようなステム−ループ構造を含む。
【0066】
siRNAは、組換え酵素、例えばT7RNAポリメラーゼ、及びDNAオリゴヌクレオチドテンプレートを使用することによりin vitroで生産でき、または例えば培養細胞においてin vivoで調製できる。好ましい実施態様では、前記核酸分子は合成的に生産される。
【0067】
例えばRNAポリメラーゼIIIプロモーターを含むベクターからヘアピンsiRNAを生産するためのストラテジーが記載されている。H1−RNAまたはsnU6 RNAプロモーターのいずれかを使用する宿主細胞におけるヘアピンsiRNAの生産のために、各種のベクターが構築されている(配列番号7から9を参照)。上記記載されたRNA分子(例えば第一の部分、リンキング配列、及び第二の部分)は、そのようなプロモーターに機能的に結合できる。RNAポリメラーゼIIIによって転写されると、第一及び第二の部分はヘアピンの二本鎖ステムを形成し、リンキング配列はループを形成する。pSuperベクター(OligoEngines Ltd., Seattle, Wash.)も、siRNAを生産するために使用できる。
【0068】
ヌクレオチドの修飾またはアナログを、本発明の核酸分子の特性を改善するために導入することができる。改善される特性は、増大したヌクレアーゼ耐性、及び/または細胞膜を透過する増大した能力を含む。従って、用語「核酸分子」及び「二本鎖RNA分子」は、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチル-、2-プロピル-、及び他のアルキル-アデニン、5-ハロウラシル、5-ハロシトシン、6-アザシトシン及び6-アザチミジン、シュードウラシル、4-チウラシル、8-ハロアデニン、8-アミノアデニン、8-チオールアデニン、8-チオールアルキルアデニン、8-ヒドロキシルアデニン及び他の8-置換アデニン、8-ハログアニン、8-アミノグアニン、8-チオールグアニン、8-チオアルキルグアニン、8-ヒドロキシルグアニン及び他の置換グアニン、他のアザ及びデアザアデニン、他のアザ及びデアザグアニン、5-トリフルオロメチルウラシル及び5-トリフルオロシトシンのような合成的に変性された塩基を含むがこれらに制限されない。
【0069】
ベクター及び宿主細胞
本発明は更に、本発明の二本鎖領域を含む核酸分子、またはその一本鎖をコードするベクターを提供する。好ましくは前記ベクターは、宿主細胞及び/またはセルフリー系において、dsRNAをコードするオープンリーディングフレームを発現可能な発現ベクターである。宿主細胞は、細菌、真菌、植物、または動物の細胞のようないずれかの細胞タイプであることができ(これらに制限されない)、好ましくは鳥類細胞である。
【0070】
典型的に本発明のベクターは、本発明の核酸分子、またはその一本鎖をコードするオープンリーディングフレームに機能的に結合したプロモーターを含む。
【0071】
ここで使用される用語「プロモーター」は、機能的に結合した核酸分子の直接的な転写が可能である核酸配列を指し、例えばRNAポリメラーゼII及びRNAポリメラーゼIIIプロモーターを含む。この定義には、細胞タイプ特異的、組織特異的、または時間特異的な態様で、プロモーター依存的な遺伝子発現を制御可能下するのに十分であり、または外的な試薬またはシグナルによって誘導可能である、転写調節エレメント(例えばエンハンサー)も含まれる。
【0072】
ここで使用される用語「機能的に結合した」は、二つ以上の核酸(例えばDNA)セグメントの間の機能的な関係を指す。典型的にこの用語は、転写される配列に対する転写調節エレメントの機能的な関係を指す。例えばプロモーターは、適切な細胞においてコード配列の転写を刺激または介在するのであれば、コード配列、例えばここに定義される二本鎖RNA分子をコードするオープンリーディングフレームに機能的に結合する。一般的に、転写される配列と機能的に結合したプロモーター転写調節エレメントは、転写される配列と物理的に連続する、即ちそれらはシスに作用する。しかしながら、エンハンサーのようないくつかの転写調節エレメントは、それらが転写を促進するコード配列に物理的に連続する、または緊密に近接して配置される必要はない。
【0073】
用語「RNAポリメラーゼIIIプロモーター」または「RNA polIIIプロモーター」または「ポリメラーゼIIIプロモーター」または「polIIIプロモーター」は、いずれかの無脊椎動物、脊椎動物、または哺乳動物プロモーター、例えばニワトリ、ヒト、ネズミ、ブタ、ウシ、霊長類、サル等のプロモーターを意味し、細胞におけるその本来の文脈で、RNAポリメラーゼIIIと会合または相互作用して、天然のまたは操作されたその機能的に結合した遺伝子またはその変異体を転写し、RNAポリメラーゼIIIを有する選択された細胞内で相互作用し、機能的に結合した核酸配列を転写するものを意味する。U6プロモーター(例えばニワトリU6、ヒトU6、ネズミU6)、H1プロモーター、または7SKプロモーターは、いずれかの無脊椎動物、脊椎動物、または哺乳動物プロモーターまたは天然で見出される多型変異体またはミュータントを意味し、RNAポリメラーゼIIIと相互作用して、その同系RNA産物、即ちU6RNA、H1RNAまたは7SKRNAをそれぞれ転写するものを意味する。適切なプロモーターの例は、cU6−1(配列番号7)、cU6−3(配列番号8)、cU6−4(配列番号9)、及びc7SK(配列番号10)を含む。
【0074】
大腸菌を宿主細胞として使用する場合、前記ベクターが、大腸菌(例えばJM109、DH5α、HB101またはXL1Blue)におけるベクターの増幅と大量生産をするための「オリ」と、トランスフォームした大腸菌を選択するためのマーカー遺伝子(例えばアンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン、またはクロラムフェニコールのような薬剤によって選択される薬剤耐性遺伝子)とを有するべきである点を除いて何の制限もない。例えば、M13シリーズのベクター、pUCシリーズのベクター、pBR322、pBluescript等が使用できる。pGEM−T、pDIRECT、pT7等もまた、dsRNAをコードする遺伝子、並びに上述のベクターのサブクローニング及び摘出のために使用できる。
【0075】
大腸菌における使用のための発現ベクターに関して、そのようなベクターは、JM109、DH5α、HB101またはXL1Blueを含み、前記ベクターはlacZプロモーター、araBプロモーター、またはT7プロモーターのよなプロモーターを有すべきであり、それらは大腸菌における所望の遺伝子の発現を効率的に促進できる。ベクターの他の例は、「QIAexpressシステム」(Qiagen)、pEGFP及びpETである(このベクターBL21については、T7RNAポリメラーゼを発現する株が宿主として好ましく使用される)。
【0076】
大腸菌のためのベクターに加えて、例えばベクターは、哺乳動物由来発現ベクター(例えばpcDNA3(Invitrogen)、pEGF−BOS、pEF及びpCDM8)、昆虫細胞由来ベクター(例えば「BACバキュロウイルス発現システム」(GibcoBRL)及びpBacPAK8)、植物由来発現ベクター(例えばpMH1及びpMH2)、動物ウイルス由来発現ベクター(例えばpHSV、pMV及びpAdexLcw)、レトロウイルス由来発現ベクター(例えばpZIPneo)、酵母由来発現ベクター(例えば「Pichia発現キット」(Invitrogen)、pNV11及びSP−Q01)、またはBacillus subtilis由来発現ベクター(例えばpPL608及びpKTH50)であって良い。
【0077】
動物細胞、例えばCHO、COS、Vero及びNIH3T3において核酸分子を発現するために、ベクターはそのような細胞における発現に必要であるプロモーター、例えばSV40プロモーター、MMLV−LTRプロモーター、EF1αプロモーター、CMVプロモーター等を有すべきであり、より好ましくはトランスフォーマントを選択するためのマーカー遺伝子を有する(例えば薬剤(例えばネオマイシン、G418等)によって選択される薬剤耐性遺伝子)。これらの特徴を有するベクターの例は、pMAM、pDR2、pBK−RSV、pBK−CMV、pOPRSV及びpOP13を含む。
【0078】
本発明の二本鎖領域を含む核酸分子は、例えば適切なベクターに前記核酸をコードするオープンリーディングフレームを挿入し、レトロウイルス法、リポソーム法、カチオン性リポソーム法、アデノウイルス法等によって前記ベクターを導入することによって、鳥類のような動物において発現できる。使用されるベクターは、アデノウイルスベクター(例えばpAdexlcw)及びレトロウイルスベクター(例えばpZIPneo)を含むがこれらに制限されない。遺伝子操作、例えば本発明の核酸のベクターへの挿入のための一般的な方法は、従来法に従って実施できる。
【0079】
本発明はまた、典型的に本発明のベクターにおける外因性核酸分子を導入されている宿主細胞を提供する。本発明の宿主細胞は、例えば核酸分子を生産または発現するための生産システムとして使用できる。in vitro生産のため、真核生物細胞または原核生物細胞が使用できる。
【0080】
有用な真核生物宿主細胞は、動物、植物、または真菌細胞であって良い。動物細胞として、哺乳動物細胞、例えばCHO、COS、3T3、ミエローマ、ベビーハムスター腎細胞(BHK)、HeLa、またはVero細胞、MDCK細胞、DF1細胞、両生類細胞、例えばXenopus卵細胞、または昆虫細胞、例えばSf9、Sf21、またはTn5細胞が使用できる。DHFR遺伝子を欠いているCHO細胞(dhfr−CHO)またはCHOP K−1もまた使用されて良い。前記ベクターは、例えばリン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、カチオン性リポソームDOTAP(Boehringer Mannheim)法、エレクトロポレーション、リポフェクション等によって宿主細胞に導入できる。
【0081】
有用な原核生物細胞は、細菌細胞、例えば大腸菌、例えばJM109、DH5α及びHB101、またはBacillus subtilisを含む。
【0082】
DMEM、MEM、RPMI−1640またはIMDMのような培養培地は、動物細胞のために使用されて良い。培養培地は、胎児ウシ血清(FCS)のような血清サプリメントを有すまたは有さずに使用できる。培養培地のpHは、好ましくは6から8の間である。細胞は典型的に約30から40℃で約15から200時間培養され、培養培地は交換、曝気、または必要であれば攪拌しても良い。
【0083】
組成物
本発明は更に、鳥類の卵に投与できる二本鎖領域を含む核酸分子を含む組成物を提供する。二本鎖領域を含む核酸分子を含む組成物は、組成物を投与に適したものとするために製薬学的に許容可能な担体を含んで良い。
【0084】
適切な製薬学的な担体、賦形剤及び/または希釈剤は、ラクトース、スクロース、デンプンパウダー、タルクパウダー、アルコノール酸のセルロースエステル、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、結晶性セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、グリシン、アルギン酸ナトリウム、抗菌剤、抗真菌剤、アラビアゴム、アカシアゴム、リン酸及び硫酸のナトリウム及びカルシウム塩、ポリビニルピロリドン及び/またはポリビニルアルコール、塩水、及び水を含むがこれらに制限されない。一つの実施態様では、担体、賦形剤及び/または希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水または水である。
【0085】
一つの実施態様では、前記組成物はトランスフェクション促進剤を含んでも良い。生存細胞への核酸の取り込みを容易にするために使用されるトランスフェクション促進剤は当業者に周知である。トランスフェクション促進剤は、ポリカチオン、デンドリマー、DEAEデキストラン、ブロックコポリマー、及びカチオン性脂質のタイプの化学的ファミリーを含む。好ましくはトランスフェクション促進剤は、脂質含有化合物(または製剤)であり、それはミセルまたはリポソーム、並びにリポポリアミンとして一般的に既知のベシクルに水溶液中で自己アセンブリーできる、正に荷電した親水性領域と、脂肪アシル疎水性領域とを提供する。
【0086】
別の実施態様では、前記組成物はポリマー状生体材料、例えばキトサンを含む。
【0087】
いずれかの従来の媒体または試薬が、本発明の組成物または方法と不適合ではない範囲で使用されて良いことが理解される。
【0088】
投与
二本鎖領域を含む核酸分子の投与(二本鎖領域を含む核酸分子を含む組成物の投与を含む)は、卵への注射、一般的には卵膜尿膜液への注射によって従来達成される。気嚢はin ovoの投与の好ましい経路であるにも関わらず、卵黄、気嚢または羊膜腔(羊膜)のような他の領域も注射によって接種されて良い。孵化能力の割合は、気嚢が投与の標的ではない場合にわずかに減少するかもしれないが、必ずしも商業的に許容可能ではないレベルではない。注射のメカニズムは本発明の実施に対して必須ではないが、針が卵、または発育中の胚の組織及び器官、または胚を取り囲む胚外膜に過度の損傷を引き起こさないことが好ましい。
【0089】
好ましくは、核酸物質は産み落とされた卵の4日目までに投与される。
【0090】
一般的に、約22ゲージの針を備えた皮下注射用シリンジが適している。本発明の方法は、US 4,903,635、US 5,056,464、US 5,136,979、及びUS 20060075973に記載されたもののような自動化注射システムの使用のために特に適合している。
【0091】
核酸分子は、投与された卵の少なくともいくつかにおいて性別を改変するのに十分な有効量で投与される。改変は、本発明の方法に供されたサンプルの適切な数を、供されていない同様の数と比較することによって検出できる。二つの群の間の鳥類の性別の統計的に有意な変異は、有効量が投与されていることの証明となるであろう。性別に対する有効量を測定する他の手段は、当業者の能力の範囲内に十分に存在する。
【0092】
好ましくは約1ngから100μg、より好ましくは約100ngから1μgの核酸が卵に投与される。更に、投与される核酸は、約1μlから1ml、より好ましくは約10μlから500μlの体積で存在することが好ましい。
【実施例】
【0093】
実施例1:ニワトリにおけるDMRT1タンパク質生産を下流調節するshRNA分子の同定
DMRT1を標的とするshRNA配列の選択
本発明者らは、ニワトリDmrt1を標的とする51個の予測されるshRNA配列を同定した(表4)。
【0094】
特異的な標的遺伝子に対する潜在的なsiRNA配列を選択するために利用可能ないくつかのアルゴリズムが存在する。Taxman et al. (2006)は有効なshRNA分子を予測するためのアルゴリズムを特異的にデザインし、本発明者らはshRNA予測を改善するために前記アルゴリズムに自分で変更をなした。Taxmanアルゴリズムを使用するshRNA選択のために4つの指標が存在する。指標の3つは4点の最大数からスコアされる。これらの指標は、1)配列の5’末端のCまたはG=1点;5’末端のAまたはT=−1点;2)3’末端のAまたはT=1点;3’末端のCまたはG=−1点;3)7個の3’塩基の5個以上のAまたはT=2点、7個の3’末端の4個のAまたはT=1点、である。最高スコアを有するshRNA配列が好ましい。第4の指標は、shRNA配列の6個の中央の塩基の自由エネルギーについての計算に基づく(アンチセンス鎖の9−14塩基にハイブリダイズしたセンス鎖の6−11塩基)。中央二本鎖のΔG>−12.9kcal/molを有するshRNAが好ましい。
【0095】
shRNAデザイナーウェブサイトはこのアルゴリズムを使用して、各shRNA標的に対するスコアを提供する。前記アルゴリズムとその計算されたΔG値に基づいて、本発明者らは、Dmrt1遺伝子発現をノックダウンする能力について試験するために、潜在的に有効なshRNAとして、shRNA標的を発見するshRNA配列の4個を選択した。選択された配列は、表5において5’−3’配列で示されている。これらの4個の配列を使用して、6個のshRNAの発現のためのddRNAiプラスミドを構築した。
【0096】
選択されたshRNAの発現のためのddRNAiプラスミドの構築
Dmrt1 shRNA発現構築物を構築するために、互いに相補的な二つのオリゴヌクレオチドをデザインし、それらはセンス、ループ、アンチセンス、及び末端シグナル、引き続きスペーサー配列(GGAA)、及びスクリーニングのためのBamHI制限部位を含む。更に、「ボトムオリゴ(B)」または逆オリゴヌクレオチドは、ニワトリポリメラーゼIIIプロモーターcU6−4(DQ531570)を含む発現ベクターへの挿入のために、5’末端でSalI突出部を含んだ。表6は、それらの対応するオリゴヌクレオチドに対するshRNA標的を記載している。各標的shRNAに対する相補的オリゴヌクレオチドを共にアニリングし、PmeI−SalI切断されたpU6−4ベクターにライゲーションした。BamHI切断によって直線化したら、全長クローンはポジティブであった。全てのshRNA発現ベクターを配列確認した。4つの構築物は、図1に示されている通り、105sh、240sh、465sh及び591shと称された。非サイレンシングコントロールshRNA構築物(NSsh)を同じ態様でデザインした。しかしながら使用された配列は、関連しない標的のものであった(即ちインフルエンザNP遺伝子)。
【0097】
各ddRNAiプラスミドを、各shRNA配列が天然のU6snRNA転写産物の+1位置で開始するように構築した。全ての最終shRNA発現ベクターは、全長ニワトリU6プロモーター、shRNAセンス配列、ループ配列、shRNAアンチセンス配列、ターミネーション配列、及びBamHI部位のそれぞれ一つからなった。全てのshRNAで使用されたループ配列は、5’ UUCAAGAGA 3’であった。
【0098】
【表4】

【0099】
【表5】

【0100】
Dmrt1遺伝子発現のノックダウンのための選択されたshRNAの試験
レポーター遺伝子発現アッセイを使用して、Dmrt1のサイレンシングについてshRNAを試験した。レポーター遺伝子は、pEGFP−C(Clontech)中の増幅緑色蛍光タンパク質(EGFP)遺伝子の3’末端の下流に挿入されたDmrt1の転写遺伝子融合物であった。レポータープラスミドを以下のように構築した:Dmrt1のcDNAを4日齢の胚から単離された全RNAから逆転写し、pCMV−Script(Stratagene)のマルチクローニングサイトにクローン化した。Dmrt1挿入物をNotI−EcoRI断片としてクローニングベクターから摘出し、pEGFP−C(Clontech)中のEGFP遺伝子の下流にクローン化した。生成したプラスミドをpEGFP−Dmrt1と命名した。このプラスミドをニワトリDF−1細胞内にトランスフェクトし、転写遺伝子誘導物の発現を以下に記載のようにフローサイトメトリーを使用してEGFP蛍光を測定することによって確認した。
【0101】
Dmrt1遺伝子サイレンシングアッセイを、pEGFP−Dmrt1レポータープラスミド、及びDmrt1特異的shRNA及びコントロールshRNAを発現するddRNAiプラスミドのそれぞれで、DF−1細胞を共トランスフェクトすることによって実施した。共トランスフェクション実験は以下のように実施した:DF−1細胞(ATCC CRL-12203、ニワトリ線維芽細胞)を、4.5g/lのグルコース、1.5g/lの炭酸水素ナトリウム、10%の胎児ウシ血清(FCS)、2mMのL−グルタミンを含み、ペニシリン(100U/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を補ったダルベッコ修飾イーグルス培地(DMEM)で37℃で5%二酸化炭素を含む湿潤雰囲気下で維持した。DF1細胞を、0.25%(w/v)トリプシン−エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を使用して必要なように継代培養した。
【0102】
【表6】

【0103】
EGFP−Dmrt1融合サイレンシングアッセイのためのpEGFP−Dmrt1とddRNAiプラスミドの共トランスフェクションを、フローサイトメトリー分析のための24穴培養プレート(Nunc)で80−90%の集密に生育したDF−1細胞で実施した。Lipofectamine(登録商標)2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用してウェル当たり全体で1μgのプラスミドDNAで細胞をトランスフェクトした。三重で実施したトランスフェクション物のフローサイトメトリー分析を使用して、トランスフェクション後60時間でトランスフェクトしたDF−1細胞でEGFP発現を分析した。100μlの0.25%トリプシン−EDTAを使用して細胞をトリプシン処理し、2000rpmで5分間ペレット化し、1mlの冷却リン酸緩衝生理食塩水−A(PBSA)(Oxoid)で一度、1mlのFACS洗浄溶液(PBSA+1%FCS)で二度洗浄し、250μlのFACS洗浄溶液に再懸濁した。FACScalibur(Becton Dickinson)蛍光活性化セルソーターを使用して、フローサイトメトリーサンプリングを実施した。三重の共トランスフェクションサンプルについてのデータの獲得と平均蛍光強度(MFI)値の計算を、CELLQuestソフトウェアー(Becton Dickinson)を使用して実施した。遺伝子サイレンシングアッセイの結果が図1に示されている。NSshから発現したネガティブコントロールの無関係なshRNAと比較して、Dmrt1特異的shRNAは、各種のレベルにレポーター遺伝子の発現をノックダウンすることが観察された。Dmrt1 shRNA 240shは、約60%の最大レベルの遺伝子サイレンシングを誘導した。
【0104】
実施例2:ニワトリにおけるDMRT1遺伝子発現のin ovo調節
ニワトリDMRT1遺伝子の保存エクソンに標的化するsiRNAを、Ambion siRNA Target Finderツール(www.ambion.com)を使用してデザインした。選択されたsiRNAは、DMRT1−343−siRNA(5’-GAGCCAGUUGUCAAGAAGAUU-3’)(配列番号3431)と命名された。siRNAを合成しQiagenから得た。
【0105】
in ovo送達のため、製造者の説明書に従ってリポフェクトアミン2000(Invitrogen)でsiRNAを製剤化した。次いでここで複合体化したsiRNAを100pmolまたは200pmolのいずれかの用量でin ovoで送達した。siRNAを、静脈内(I.V.)経路を介して胚を有する卵に、または胚発生4.5日(E4.5)で羊膜に直接注射した。I.V.と羊膜送達の両者について、膜、静脈、及び動脈を避けるために卵の平滑末端の上部に開口部(1cm×1cm)を作製し、4μlの体積で100pmolまたは200pmolを、マイクロキャピラリーピペットを使用して静脈内または羊膜腔内に直接注射した。1mmの直径のマイクロキャピラリーを注射のために使用し、その先端を22.5°の傾斜先端を有する40ミクロンの直径に引っ張った。注射の後、加熱メス刃を使用して、適切なサイズの四角いパラフィルムで卵における穴を閉じた。
【0106】
全体では、286個の胚を有する卵(E4.5)をこの実験で使用した:
第1群:48個の卵をコントロールとして使用し、DMRT1−343−siRNA製剤で注射されなかった;
第2群:51個の卵を100pmolのsiRNAでI.V.注射した;
第3群:53個の卵を200pmolのsiRNAでI.V.注射した;
第4群:81個の卵を100pmolのsiRNAで羊膜内に注射した;及び
第5群:53個の卵を200pmolのsiRNAで羊膜内に注射した。
【0107】
全ての胚をE10日までインキュベートした。E10で、全ての胚を生存能力について評価し、次いで卵から取り出した。コントロールの第1群は100%は胚生存能力を有した;第2群は76%の生存能力を有した;第3群は94%の生存能力を有した;第4群は40%の生存能力を有した;第5群は75%の生存能力を有した。各胚から得た単一の肢芽を摘出し、性別測定PCR試験で使用し、肺が雄または雌の遺伝子型を有するか測定した。各胚から得た下肢芽を室温で50μlのPCR切断バッファー(50mMのKCl;10mMのTris−HCl、pH8.3;0.1mg/mlのゼラチン;0.45%のNonidet P-40Tween-20;0.2mg/mlのプロテイナーゼK;−20℃でストック貯蔵)に回収し、最小1時間55℃で切断し、次いで10分間95℃で処理し、ゲノムDNAを放出した。
【0108】
性別識別をClinton et al. (2001)の方法を使用してPCRによって実施した。PCRミックスは、1μlの切断ミックス、10×RedTaq反応バッファー(Sigma-Aldrich)、1.5mMのMgCl(Promega)、1ユニットのRedRaqDNAポリメラーゼ(Sigma-Aldrich)、及びMilli−Q水(Millipore)で全部で20μlからなった。反応をMasterサイクラーS(Eppendorf)PCR機械で実施した。生成物を1.5%の1×Tris-ボレート(TBE)アガロースゲルで分離した。
【0109】
性別PCR試験が完了して分析すると、胚を遺伝子型的に雄または雌のいずれかであると区別してラベルした。次いで胚を解剖により開き、性腺形成の巨視的観察のため性腺を曝露した。全てのコントロール胚の性腺形成は予測どおり通常であった。コントロールの雌の胚は、大きな左の卵巣とより小さな退行した右の性腺によって特徴づけされる典型的に非対称の形成を示した。コントロールの雄の胚は全て典型的な対称の精巣を有した。siRNAノックダウン群(第2−5群)由来の全ての雌の胚は、正常な性腺形成を有した。対照的に、siRNAノックダウン群由来のいくつかの雄の胚は、性腺の巨視的なレベルの観察で、各種の度合いの雌様の非対称を示した。DMRT1−343−SiRNAの雌化効果は、小さいサイズの右の精巣とより大きなサイズの雌化した左の性腺によって特徴づけされた(表7)。雌化は第2、3及び5群の数多くの雄の胚で観察され、これらの群における雌様性腺を有する胚の割合の増加を引き起こした。
【0110】
【表7】

【0111】
各処理群における雄と雌の胚の両者から得た性腺を、定量的RT−PCR分析を使用してDMRT1遺伝子発現について評価した。雌と雄の性腺の両者を各群から別個にプールし、cDNA合成とqPCR分析のためRNAを抽出した。プールした性腺を1mlのTrizolに添加し、全ての性腺組織が分解するまで室温でピペッティングとボルテックスによって十分にホモジナイズした。200μlのクロロホルムを添加し、15秒間サンプルを逆さまにすることによってよく混合した。次いでサンプルを室温で3分間インキュベートし、4℃で12000gで15分間遠心分離した。サンプルの水性相を新しいチューブに移し、次いで500μlのイソプロパノールを添加し、逆さまにしてよく混合した。次いで混合物を室温で10分間インキュベートし、4℃で12000gで10分間遠心分離した。RNAペレットを破壊しないように上清を注意深くチューブから取り出し、ペレットを1mlの70%エタノールで洗浄した。次いでチューブを4℃で7500gで5分間遠心分離し、上清を再び注意深く取り出し、RNAペレットを室温で10分間風乾した。RNAペレットを25μlのRAアーゼを含まない水に再懸濁し、RNAの最終濃度をNanoDrop BD-1000分光光度計(Thermo Scientific)を使用して測定した。Promega Reverse Transcriptionキット(Promega)を使用してRNAを相補的なDNA(cDNA)に逆転写した。反応ミックスは1μgのRNA、ランダムヘキサマー(1μl)、dNTP(2μl)、AMV逆転写酵素(Promega)(0.5μl)、及び20μlの全反応体積に添加されたヌクレアーゼを含まない水を含んだ。ミックスを42℃で1時間インキュベートし、次いで酵素の不活性化のために95℃で10分間インキュベートした。
【0112】
次いでcDNAを使用して、各処理群から得たプールした雄及び雌の性腺における相対的DMRT1遺伝子発現レベルを定量した。qPCRプライマー及びプローブは、Primer Express(Applied Biosystems)ソフトウェアーを使用してデザインし、配列は表8に示されている。2×TaqMan qRT PCRマスターミックス(Applied Biosystems)、1μlのプライマー/プローブミックス、1μlのcDNAサンプル、及び最終体積になるまでのヌクレアーゼを含まない水(Promega)を含む20μlの反応体積でセットアップした。PCRサイクルは、95℃で1分間、その後95℃で15秒間;61℃で30秒間、68℃で30秒間の40サイクルで実施した。全ての反応物について0.2の標準閾値でCt値を得た。この閾値は、全ての増幅プロットの対数フェーズの中間点に対応する。Ct値は、比較Ct法を使用して相対的遺伝子発現の分析するためのMicrosoft Excelに外挿した。
【0113】
【表8】

【0114】
DMRT1 mRNAの相対的レベルを、全てのcDNAサンプルで共通のニワトリハウスキーピング18S rRNA種と比較した(図2)。定量的RT−PCR分析により、DMRT1 mRNA発現が、コントロール第1群と比較した際に雄の胚の全てのプールした群で特異的に減少していることが確認された。ほぼ40%のDMRT1遺伝子発現ノックダウンが、DMRT1−343−siRNAで処理された第3群の雄の胚で観察された。第3群は、巨視的レベルでの雄の性腺のもっとも大きい雌化が観察された群でもあることを記載することは興味深い。
【0115】
数多くの変形例及び/または変更が、広く記載されている本発明の精神及び範囲から離れることなく、特異的な実施態様で示された本発明になすことができることは、当業者に明らかであろう。それ故ここでの実施態様は、全ての点において説明的なものであり、制限的なものではないと考慮されるべきである。
【0116】
ここで議論及び/または参照される全ての文献は、全体としてここに取り込まれる。
【0117】
本願は、2008年12月17日に出願されたUS 61/138,235の優先権の利益を享受し、その文献の全内容は参考として取り込まれる。
【0118】
本明細書に含まれている文献、技術、材料、装置、論文等のいずれの議論も、単に本発明の文脈を提供するための目的のみを有する。これらの事項のいずれかまたは全ては、本願の各請求項の優先日前に存在していたため、従来技術の一部を形成する、または本願と関連する技術分野の共通の一般的知見であることを認めると考慮されるべきではない。
【0119】
[参考文献]


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥類の卵に投与された際に、少なくとも一つのRNA分子及び/またはタンパク質のレベルを減少する二本鎖領域を含む単離された及び/または外因性の核酸分子であって、卵の胚が雄であれば、前記単離された及び/または外因性の核酸分子の投与の後に性別を雌に改変し、前記単離された及び/または外因性の核酸分子は、以下のもの:
【化1】

から選択される配列及びそれらのいずれかの変異体を含まない、核酸分子。
【請求項2】
配列番号11から3431に提供されるヌクレオチドの配列の一つ以上またはそれらのいずれかの一つ以上の変異体を含む単離された及び/または外因性の核酸分子であって、ここで前記単離された及び/または外因性の核酸分子は、以下のもの:
【化2】

から選択される配列及びそれらのいずれかの変異体を含まない、核酸分子。
【請求項3】
dsRNA分子である、請求項1または2に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記dsRNAがsiRNAまたはshRNAである、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項5】
鳥類の卵におけるDMRT1遺伝子、ASW遺伝子、またはr−スポンジン遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルを減少する、請求項1から4のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子またはその一本鎖をコードするベクター。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の外因性核酸分子またはその一本鎖及び/または請求項6に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子またはその一本鎖、請求項6に記載のベクター及び/または本請求項7に記載の宿主細胞を含む組成物。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも一つの核酸分子を鳥類の卵に投与することを含む、鳥類の性別の改変方法。
【請求項10】
前記核酸が卵の非細胞性部位に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記非細胞性部位が気嚢、卵黄嚢、羊膜腔または卵膜羊膜液である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記卵がエレクトロポレーションされない、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記核酸が、前記核酸分子をコードするベクターを投与することによって送達されない、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
投与される前記核酸分子がdsRNAである、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記核酸が注射によって投与される、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記鳥類がニワトリ、アヒル、七面鳥、ガチョウ、チャボ、及びウズラから選択される、請求項9から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項9から16のいずれか一項に記載の方法を使用して生産された鳥類。
【請求項18】
請求項9から16のいずれか一項に記載の方法を使用して生産されたニワトリ。
【請求項19】
請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子またはその一本鎖、請求項6に記載のベクター及び/または請求項7に記載の宿主細胞を含む鳥類の卵。
【請求項20】
請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子またはその一本鎖、請求項6に記載のベクター、請求項7に記載の宿主細胞及び/または請求項8に記載の組成物を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−511915(P2012−511915A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541021(P2011−541021)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001627
【国際公開番号】WO2010/068978
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(305039998)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション (92)
【出願人】(509336266)オーストラリアン ポールトリー シーアールシー ピーティーワイ リミテッド (4)
【Fターム(参考)】