説明

麺線より掛け装置および口金連動機構

【課題】回転口金の回転と反転が急激に切り替わることを防止して、より均一性の高い麺線になるような麺線より掛け装置を提供する。
【解決手段】回転口金を反転駆動させるための口金連動機構9が、機枠の左右方向に沿って固定され表面に磁極を有する着磁ラック体91Mと、回転口金が連動する伝動軸82に設けられ外周部に磁極を有する最終着磁回転体92Mと、着磁ラック体91Mと最終着磁回転体92Mの間に非接触状態で配設されるように往復動枠6に軸支された、外周部に磁極を有する少なくとも一つの中間着磁回転体93Mと、を備えることで、往復動枠6の左右往復スライド運動と連動して、着磁ラック体91Mとの間に生じた磁力の作用によって中間着磁回転体93Mが回動するとともに、この回動運動が伝動軸82に取り付けられた最終着磁回転体92Mに磁力の作用によって伝達されることで、回転口金が回動するように構成した麺線より掛け装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺線を所定の細さに引き延ばして製麺するために、機械的に2本一対の麺掛棒に麺線を綾掛け(8の字掛け)する麺線より掛け装置、およびこの様な麺線より掛け装置に用いられる口金連動機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
麺の製法として普及している代表的なものは、手延べ式製麺方法と機械式製麺方法の2種類がある。そのうち手延べ式製麺方法は、まず最初に、多加水状の生地を1本の太い麺棒状に切り出し、段階的に引き延ばしと熟成を交互に数回繰り返して除々に細くして麺線を製造する。次に、麺線より掛け装置(かけば機とも称される)で2本の麺掛棒に麺線を8の字掛けに連続して引っ掛ける。そして、熟成を重ねるごとに2本の麺掛棒を順次大きく開いて麺線を更に引き延ばし、グルテン繊維を細長くしめあげて麺の強靱性を高めるという方法である。
【0003】
ここで、2本の麺掛棒へ麺線を綾掛け(8の字掛け)するための麺線より掛け装置としては、2本の麺掛棒を挿着した揺動腕を一定角度左右に揺動しながら後退させ、その反転する一対の麺掛棒の間をぬって麺線誘導管を左右に往復直線運動させて、麺線誘導管を通してその先端から供給される麺線を両麺掛棒に8の字掛けするものがある。
【0004】
このような麺線より掛け装置においては、麺掛棒への麺線より掛け(綾掛け)に関して、麺線の誘導及びより掛けを円滑にするためなどの目的で、麺線誘導管の先端部に回転口金を設けて麺線に捻りを加えることが多い。この回転口金は通常、麺線誘導管の左右往復直線運動と連動して回転及び反転を繰り返す回転運動(回動又は回動運動とも称する)を行うように構成されており、このような回動する回転口金を備えた麺線より掛け装置としては、下記特許文献1(従来技術として開示)や特許文献2に記載されたものがある。
【0005】
ここで、図5(特許文献1における図5に準拠)に示すように回転口金8には口金ギヤ81が設けられており、この口金ギヤ81に噛み合う伝動ギヤ83が取り付けられた伝動軸82を麺線誘導管の左右往復直線運動と連動して回動させる従来のメカニズム(従来の口金連動機構)について、図6(特許文献1において従来例を示す図7から引用)を用いて説明する。
【0006】
図6に示すように、従来の口金連動機構はいわゆるラック・アンド・ピニオン方式を用いたものであり、機枠にラックcを固定し、麺線誘導管aを支持した左右往復スライド運動する往復動枠dに前記ラックcに噛み合うギヤeとこのギヤeから順次噛み合う数枚の中間ギヤfを軸支し、この中間ギヤfのうち最後のギヤを最終ギヤとして伝動軸(図5では82)に取り付けて、伝動軸(82)を正逆反転回転させることで、回転口金b(図5では8)を回動させる構成としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2512688号公報(請求項2、図7)
【特許文献2】特開平9−117248号公報(実施例、図1〜図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述したような、麺線誘導管の左右往復直線運動(往復動枠の左右往復スライド運動)と連動して回動する回転口金を備えた従来の麺線より掛け装置では、いわゆるラック・アンド・ピニオン方式を利用した口金連動機構を用いていたため、麺線誘導管が左右に方向転換する際に回転口金の回転方向が一気に反転して麺線に急激な力が作用してしまい、麺線の均一性が損なわれることがあった。麺線誘導管が左右に方向転換する際に、麺線に急激な力が作用しにくくして、より均一性の高い麺線になるような麺線より掛け装置が求められていた。
【0009】
本発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、従来の麺線より掛け装置における口金連動機構を改良することによって、回動している回転口金の回転と反転がマイルドに切り替わるようにし、これによって、麺線の仕上がりをより均一にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の麺線より掛け装置は、機枠と、この機枠に対して前進後退可能な移動台と、この移動台に取付けられ一定角度左右に揺動する揺動腕と、この揺動腕に支持された左右一対の麺掛棒と、機枠に左右にスライド運動自在に取付けられた往復動枠と、この往復動枠に取付けられ、往復動枠の左右往復スライド運動に伴って左右往復直線運動する麺線誘導管と、この麺線誘導管の先端部に取付けられた回転口金と、この回転口金に設けた口金ギヤに噛み合う伝動ギヤが取り付けられ、往復動枠に支持された伝動軸と、この伝動軸を往復動枠の左右往復スライド運動と連動させて正逆反転回転させることで回転口金を回動させる口金連動機構と、を備え、麺掛棒の揺動の間をぬって麺線誘導管が左右往復直線運動するように往復動枠を左右に往復スライド運動させることで、回転口金を回動させながら、麺掛棒に麺線を綾掛けする麺線より掛け装置を前提としており、口金連動機構が、機枠の左右方向に沿って固定され表面に磁極を有する着磁ラック体と、伝動軸に設けられ外周部に磁極を有する最終着磁回転体と、着磁ラック体と最終着磁回転体の間に非接触状態で配設されるように往復動枠に軸支された、外周部に磁極を有する少なくとも一つの中間着磁回転体と、を備えることで、往復動枠の左右往復スライド運動と連動して、着磁ラック体との間に生じた磁力の作用によって中間着磁回転体が回動するとともに、この回動運動が伝動軸に取り付けられた最終着磁回転体に磁力の作用によって伝達されることで、回転口金が回動するように構成した麺線より掛け装置とした。
【0011】
この麺線より掛け装置は、口金連動機構が、着磁ラック体と中間着磁回転体と最終着磁回転体とを備え、磁力の作用によって非接触で伝動軸を正逆反転回転させるため、回転口金に麺線の負荷がかかった状態において、回転口金の回転と反転がマイルドに切り替わるようになる。
また、従来の麺線より掛け装置では、中間ギヤ等の摩耗粉が麺線に付着する可能性があったが、非接触で動力伝達を行うため、回転ギヤの摩耗粉等が麺線に付着する可能性が低い麺線より掛け装置を提供することができる。
さらに、口金連動機構が、非接触で伝動軸に動力伝達を行うため、回転口金への動力伝達が静かに行われ、騒音を低減できる麺線より掛け装置とすることができる。
【0012】
このとき詳細には、着磁ラック体は、表面にN極とS極の磁極が左右長手方向に沿って交互に連続形成されており、最終着磁回転体及び中間着磁回転体は、外周面にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている、麺線より掛け装置とすることができる。
【0013】
またこのとき、中間着磁回転体を複数個備え、複数個の中間着磁回転体が順次連動して最終着磁回転体に回動運動を伝達するように構成した麺線より掛け装置とすることもできる。
【0014】
この麺線より掛け装置は、複数個の中間着磁回転体が順次連動して最終着磁回転体に回動運動を伝達することによって、より一層、回転口金の回転と反転がマイルドに切り替わるようになる。
【0015】
またこのとき、伝動軸に取り付けられた伝動ギヤに換えて外周面にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている伝動着磁回転体を用い、回転口金に設けた口金ギヤに換えて外周面にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている口金着磁回転体を用いることで、伝動着磁回転体の回動運動が口金着磁回転体に非接触で伝達されるように構成した、麺線より掛け装置とすることもできる。
【0016】
この麺線より掛け装置は、より一層、回転口金の回転と反転がマイルドに切り替わるようになる。また、従来の麺線より掛け装置では、麺線付近に位置している口金ギヤと伝動ギヤの摩耗粉等が麺線に付着する可能性があったが、本発明の麺線より掛け装置では、このような心配がない。
【0017】
また、前記課題は、上述した麺線より掛け装置における口金連動機構によっても解決される。さらに、前記課題は、上述した麺線より掛け装置における口金連動機構の構成要素である、最終着磁回転体、少なくとも一つの中間着磁回転体、及び最終着磁回転体の組合せ品を提供することによっても解決される。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、回転口金の回転と反転がマイルドに切り替わり、これによって、麺線の仕上がりを従来よりも均一にしやすい麺線より掛け装置および口金連動機構を提供することができる。
また、本発明により、ギヤの摩耗粉等が麺線に付着する可能性が低い麺線より掛け装置および口金連動機構を提供することができる。
さらに、本発明により、回転口金への動力伝達が静かに行われ、騒音を低減できる麺線より掛け装置および口金連動機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の口金連動機構を示す概略拡大図である。
【図2】本発明の麺線より掛け装置の概略正面図である。
【図3】本発明の麺線より掛け装置の一部を切欠した概略左側面図である。
【図4】本発明の麺線より掛け装置の概略背面図である。
【図5】麺線の麺掛け状態を示す平面図である。
【図6】従来の口金連動機構を示す概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図5を用いて本発明の麺線より掛け装置等を例示説明する。なお、図1は、図3におけるA−A‘断面の矢印方向から往復動枠6側を見た状態を示す拡大図であり、図3は、説明の便宜上、一部を切欠して、本来図中右上に存在するギヤボックス2及びプーリー25などを省略した状態を示してある。
また、以下の実施形態はあくまで本発明を例示説明するものであって、本発明は、以下の具体的な実施形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明の麺線より掛け装置は、後述する口金連動機構9の他に、機枠1、移動台3、揺動腕4、左右一対の麺掛棒5、往復動枠6、麺線誘導管7、回転口金8及び伝動軸82を備える。まず最初に口金連動機構9以外の構成要素について説明する。
【0022】
[口金連動機構以外の構成要素]
図2〜5において、ベースとなる機枠1の前後方向(正面図である図2においては図に向かって手前〜奧方向)に沿って一対の平行案内軸11が互いに平行に架設されている。また、機枠1には平行案内軸11と平行に送りネジ軸12が設けられている。そして、図3に示すように、送りネジ軸12に対する係合レバー13の係合又は外脱操作により平行案内軸11に沿って一定速度で後進又は一気に前進できる移動台3が設けてある。
【0023】
この移動台3には、図4に示すように、左右一対の麺掛棒5を概ね水平に挿着できる支持部41を両端部に備え、それぞれ中央の支軸40を中心に一定角度左右に揺動される揺動腕4が上下に二段取り付けられている。
【0024】
この揺動腕4は、機枠1の一方側上部に設けたギヤボックス2から取り出された駆動軸21およびクランク運動機構22で機枠1に軸架した反転軸23を左右に回動させ、連杆24で左右に揺動するように構成されている。
【0025】
一方、図2に示すように、機枠1の前方側上部(手前側上部)には、機枠に対して左右に往復スライド運動自在の往復動枠6が設けられている。この往復動枠6は、上下平行に架設された案内軸16に沿って、ギヤボックス2より取り出された駆動軸21に固定されたプーリー25の回転によって、連杆26を介して左右水平に往復スライド運動するように構成されている。
【0026】
往復動枠6には、上下に二段の麺線誘導管7が、それぞれの基端部が往復動枠6に固定されて先端部が一対の麺掛棒5の基端方向を向くように、麺掛棒5と概ね平行に延設されている。この麺線誘導管7の先端部には、それぞれ回転口金8が装着されている(図3及び図5)。
【0027】
図5に示すように、回転口金8の基端部には口金ギヤ81が設けられており、この口金ギヤ81と噛み合う伝動ギヤ83が先端部に取り付けられた伝動軸82が麺線誘導管7に沿って架設されている。伝動軸82の基端部は、伝動軸82が正逆反転回転自在となるように往復動枠6に支持されている(図1)。上記構成により、伝動軸82を正逆反転回転させることによって、これと連動して回転口金8が回動することになる。
【0028】
[口金連動機構]
次に、本発明の特徴である新規構成の口金連動機構について説明する。口金連動機構9は、往復動枠6の左右往復スライド運動と連動させて回転口金8を回動させるために、往復動枠6の左右往復スライド運動と連動させて伝動軸82を正逆反転回転させる機構である。前述した通り、従来の口金連動機構はラック・アンド・ピニオン方式を用いていた。以下、本発明の口金連動機構9について図1を用いて説明する。
【0029】
本発明の口金連動機構9は、着磁ラック体91Mと最終着磁回転体92Mと中間着磁回転体93Mとを備えている。着磁ラック体91Mは、表面にN極とS極の磁極が長手方向に沿って交互に連続形成されている長尺体であり、機枠1の左右方向に沿って固定されている。本実施例では、磁極が上方を向くように着磁ラック体91Mが機枠1に固定されている。
【0030】
一方、最終着磁回転体92Mは、外周部にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている扁平円柱体であり、伝動軸82の基端部側に取り付けられている。
【0031】
そして、中間着磁回転体93Mは、外周部にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている扁平円柱体であり、着磁ラック体91Mとの間に生じた磁力の作用によって得られる中間着磁回転体93Mの回動運動が同じく磁力の作用によって最終着磁回転体92Mに伝達されるように、着磁ラック体91Mと最終着磁回転体92Mそれぞれとの間に僅かな間隔をおいて両者と非接触状態で配設されるよう往復動枠6に軸支されている。ここで、上記僅かな間隔としては、磁力の作用によって動力伝達される範囲であれば特に制限されず、また磁力の強さとも深く関係するが、0.1〜10mmが好ましく、0.2〜2mmが更に好ましい。
【0032】
本実施形態では、上下二段の麺線誘導管7を備えており、上側の伝動軸82に取り付けられた最終着磁回転体92Mと着磁ラック体91Mとの間には一つの(第一の)中間着磁回転体93Mが、着磁ラック体91Mと最終着磁回転体92Mの両者と非接触状態で配設されている。
【0033】
一方、下側の伝動軸82に取り付けられた最終着磁回転体92Mと着磁ラック体91Mとの間には、前記(第一の)中間着磁回転体93Mと、この(第一の)中間着磁回転体93Mの回動運動が磁力の作用によって伝達されて、これと連動して回動する薄厚の(第二の)中間着磁回転体93Mと、この(第二の)中間着磁回転体93Mの回動運動が磁力の作用によって伝達されて、これと連動して回動する(第三の)中間着磁回転体93Mと、の合計三つの中間着磁回転体93Mが互いに非接触状態で配設されており、これら複数個の中間着磁回転体が順次連動して最終着磁回転体92Mに回動運動を伝達するように構成されている。
なお、本実施形態では、着磁ラック体91Mと(第二の)中間着磁回転体93Mの厚みを薄くして、両者を重ねた厚みが(第一の)中間着磁回転体93Mの厚みとほぼ等しいか若干薄くなるように構成されている。また、着磁ラック体91Mと、これに一部が重なっている(第二の)中間着磁回転体93Mとの間には、磁気シールドプレートや磁場シールドプレートを配設することが好ましい。例えば、着磁ラック体91Mの裏側面((第二の)中間着磁回転体93Mを向く面)にこれらのプレートを貼付することができる。
【0034】
このような構成により、往復動枠6の左右往復スライド運動と連動して、着磁ラック体91Mから受けた磁力の作用によって中間着磁回転体93Mが非接触で回動するとともに、この中間着磁回転体93Mの回動運動が磁力の作用によって最終着磁回転体92Mに非接触で伝達される。その結果、往復動枠6の左右往復スライド運動と連動して伝動軸82が正逆反転回転し、麺線誘導管7の先端部の回転口金8が回動するのである。
【0035】
なお、僅かな間隔をおいて対向する着磁ラック体91Mと中間着磁回転体93M、中間着磁回転体93M同志、及び中間着磁回転体93Mと最終着磁回転体92Mの磁極の長さがほぼ同じになるように、着磁ラック体91Mの磁極の長さ、並びに中間着磁回転体93M及び最終着磁回転体92Mの磁極の長さや径などが決定されることが好ましい。
【0036】
[麺線より掛け装置の使用方法]
上記本発明の麺線より掛け装置は、前述した従来の麺線より掛け装置と同様の手順によって、麺線を一対の麺掛棒に綾掛け(8の字掛け)することができる。
【0037】
具体的には、まず、麺線誘導管7の基端開口から麺線Mを内部に導入通過させ、麺線誘導管7の先端部に設けられた回転口金8から麺線Mの先を出す。次に、この麺線Mの先を、移動台3に枢架した揺動腕4の両端部に挿着した2本一対の麺掛棒5の何れかに巻き止める。そして、支軸40を中心に揺動腕4を一定角度左右に揺動しながら、送りネジ軸12の回転と、このネジ軸12への係合操作によって所定速度で後進する移動台3を介して後退させつつ、一対の麺掛棒5の揺動の間をぬって、往復動枠6に取り付けられた麺線誘導管7を左右往復直線運動させることによって、麺線Mを一対の麺掛棒5に綾掛けするのである。この際、前述したように、往復動枠6の左右往復スライド運動と連動して回転口金8が回動する(回転と反転を繰り返す)ため、これと連動して麺線Mに左右交互に捻りが加わることになる。
【0038】
移動台3が所定位置に後退して上下各一対の麺掛棒5の所定幅に麺線Mの綾掛けが終われば、揺動腕4の左右に新しい麺掛棒5を挿入して差し替え、移動台3を一気に麺線誘導管7側の所定位置まで移動させ、麺線誘導管7から出た麺線Mの端を巻き止めした後、上記と同様の作業を繰り返して一対の麺掛棒に綾掛けするのである。
【0039】
上記麺線より掛け装置では、磁力の作用によって非接触で伝動軸を正逆反転回転させるため弾性的に動力伝達できるようになり、回転口金に麺線の負荷がかかった状態において、回転口金の回転と反転が一気に切り替わりにくくマイルドに切り替わるようになり、従来よりも均一な状態の麺線を麺掛棒に綾掛けすることができた。これによって、後工程で麺掛棒を順次大きく開いて麺線を引き延ばす際に、麺線が切れにくくなったり太さが揃いやすくなったりする効果が期待できる。
【0040】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、麺線誘導管及び揺動腕が上下二段の場合について説明したが、これに限定されず、一段のみや上下二段以上であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、回転口金に口金ギヤを設けるとともに伝動軸に伝動ギヤを取り付けて接触状態で動力伝達されるように構成したが、これに限定されず、伝動ギヤに換えて外周面にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている伝動着磁回転体を用い、口金ギヤに換えて外周面にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている口金着磁回転体を用いることで、伝動着磁回転体の回動運動が口金着磁回転体に非接触で伝達されるように構成してもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、麺線誘導管の基端開口から麺線を内部に直接導入したが、これに限定されず、導入される麺線をガイドするローラを備えた麺線誘導枠を麺線誘導管の基端開口側に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 機枠
12 送りネジ軸
2 ギヤボックス
3 移動台
4 揺動腕
5 麺掛棒
6 往復動枠
7 麺線誘導管

8 回転口金
81 口金ギヤ
82 伝動軸
83 伝動ギヤ

9 口金連動機構
91M 着磁ラック体
92M 最終着磁回転体
93M 中間着磁回転体

M 麺線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠と、
この機枠に対して前進後退可能な移動台と、
この移動台に取付けられ一定角度左右に揺動する揺動腕と、
この揺動腕に支持された左右一対の麺掛棒と、
前記機枠に左右にスライド運動自在に取付けられた往復動枠と、
この往復動枠に取付けられ、往復動枠の左右往復スライド運動に伴って左右往復直線運動する麺線誘導管と、
この麺線誘導管の先端部に取付けられた回転口金と、
この回転口金に設けた口金ギヤに噛み合う伝動ギヤが取り付けられ、前記往復動枠に支持された伝動軸と、
この伝動軸を前記往復動枠の左右往復スライド運動と連動させて正逆反転回転させることで前記回転口金を回動させる口金連動機構と、を備え、
麺掛棒の揺動の間をぬって麺線誘導管が左右往復直線運動するように往復動枠を左右に往復スライド運動させることで、回転口金を回動させながら、麺掛棒に麺線を綾掛けする麺線より掛け装置であって、
前記口金連動機構が、
前記機枠の左右方向に沿って固定され表面に磁極を有する着磁ラック体と、
前記伝動軸に設けられ外周部に磁極を有する最終着磁回転体と、
前記着磁ラック体と前記最終着磁回転体の間に非接触状態で配設されるように前記往復動枠に軸支された、外周部に磁極を有する少なくとも一つの中間着磁回転体と、を備えることで、
往復動枠の左右往復スライド運動と連動して、着磁ラック体との間に生じた磁力の作用によって中間着磁回転体が回動するとともに、この回動運動が伝動軸に取り付けられた最終着磁回転体に磁力の作用によって伝達されることで、回転口金が回動するように構成した麺線より掛け装置。
【請求項2】
着磁ラック体は、
表面にN極とS極の磁極が左右長手方向に沿って交互に連続形成されており、
最終着磁回転体及び中間着磁回転体は、
外周面にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている、
請求項1記載の麺線より掛け装置。
【請求項3】
中間着磁回転体を複数個備え、複数個の中間着磁回転体が順次連動して最終着磁回転体に回動運動を伝達するように構成した、請求項1又は2記載の麺線より掛け装置。
【請求項4】
伝動軸に取り付けられた伝動ギヤに換えて外周面にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている伝動着磁回転体を用い、回転口金に設けた口金ギヤに換えて外周面にN極とS極の磁極が交互に連続形成されている口金着磁回転体を用いることで、前記伝動着磁回転体の回動運動が前記口金着磁回転体に非接触で伝達されるように構成した、
請求項1〜3何れか記載の麺線より掛け装置。
【請求項5】
請求項1〜4何れか記載の麺線より掛け装置における、口金連動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−200721(P2010−200721A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52987(P2009−52987)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(390009634)株式会社スズキ麺工 (4)
【Fターム(参考)】