説明

黒煙検知システム

【課題】 煙突やフレア・スタックから排出される排出煙の中から自動的に黒煙が存在する排出煙を検知することができる黒煙検知システムを提供する。
【解決手段】 煙突からの排出煙の時間的に連続した動画像がITVカメラを用いて撮影される。撮影画像Aは画質調整部31で画質調整された後、ベクトル計算部33によって、オプティカルフロー推定が計算される。さらに、ベクトル計算部33では、オプティカルフロー推定に基づいた速度ベクトルが計算され、当該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルが求められる。次に、排出煙領域決定部34によって、速度場ベクトルの方向に応じて速度場の存在する領域のみが抽出され、抽出される各領域に基づいた所定の領域が排出煙領域とされる。そして、黒煙判断部35によって、排出煙領域内の全画素の輝度ヒストグラムが計算され、当該排出煙領域内の黒煙が存在の有無が判断される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、工場等のフレア・スタックおよび煙突から排出される黒煙の自動検知に用いて好適な黒煙検知システムに関する。
【0002】
【従来の技術】化学プラント工場、火力発電所、塵燃焼施設におけるフレア・スタックや煙突からは燃焼炎や煙が大気中に排出される。これらの排出煙の状態によって、被燃焼物等の燃焼状態を判断することができる。すなわち、フレア・スタック等から突発的に黒煙が排出されたときは、当該被燃焼物等が燃焼途中で不完全燃焼になったものと推測される。そこで、従来はフレアースタックや煙突からの排煙状況を監視員が常時モニタによる監視を行っていた。また、このような排出煙を検出するための方法として、排出煙と背景輝度との輝度差、あるいは煙と背景の色調や色相の差によって画像処理によって排出煙の検出を行う方法が知られている。
【0003】例えば、ITVカメラ等の監視カメラによって煙突等の先端部の排出煙を撮影し、得られた画像の輝度情報等を用いて排出煙監視を行う方法として、次に示すような方法が知られている。例えば、特開平10−232198号に開示されている発明では、カラーカメラから得られた色調情報から色差を求めることにより、煙突から放出される煙の有無および可視性を表示する煙監視装置を提案している。また、特開平8−315113に開示されている発明では、排出煙の撮影画像を複数のブロックに分割して、一定時間間隔ごとに求めた各ブロックの平均輝度と参照領域の平均輝度の平均値との差に基づいて発煙を検出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、撮影された画像中の発煙自体や背景領域は、夜明けから日没までの時間的な日照の変化や雲、風雨等の気象条件の変化によって輝度や色が大きく変化するので、黒煙の同定に輝度情報や色情報だけで対応することは難しいという問題がある。また、オプティカルフロー推定は剛体の移動速度を推定することが主目的であるため、外縁が特定できない発煙等の検知においては輪郭等を特定することが難しく、したがって、従来の手法をそのまま適用することは煙の移動を推定することができない、正しい動きベクトルが検出ができないという問題が生ずるので難しいと考えられる。
【0005】この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、煙突やフレア・スタックから排出される排出煙の中から黒煙が存在する排出煙を検知することができる黒煙検知システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、フレア・スタックおよび煙突からの排出煙の状況を時間的に連続して撮影された時系列2画像を用いて、両画像間で演算したオプティカルフロー推定から前記排出煙の移動で生じた画像内局所の速度ベクトルを求め、該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルを構成するベクトル計算手段と、前記速度場ベクトルを構成する画像内局所である画素ごとの速度ベクトルを方向ごとに分類して抽出された画像空間領域に基づいて前記画像における移動する前記排出煙の存在領域を決定する排出煙の実在領域決定手段と、前記排出煙の存在領域内の画素であって所定の輝度値を有する画素を選別しその画素数に基づいて黒煙の規模を判断する黒煙判断手段とを備えることを特徴とする
【0007】この発明によれば、煙突やフレア・スタックから排出される黒煙を含んだ排出煙の時間的に連続した動画像がITVカメラを用いて撮影される。そして、ベクトル計算手段によって、撮影画像の中から時間的に連続した時系列2画像を用いて、各画像のあらかじめ定められた範囲内の各画素に対してオプティカルフロー推定が計算される。さらに、ベクトル計算手段では、計算されたオプティカルフロー推定に基づいた速度ベクトルが計算され、当該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルが求められる。次に、排出煙領域決定手段によって、速度場ベクトルの方向に応じて速度場の存在する領域のみが抽出され、抽出される各領域に基づいた所定の領域が排出煙領域とされる。そして、黒煙判断手段によって、排出煙領域内の全画素の輝度ヒストグラムが計算され、当該領域内に所定の輝度値よりも暗い輝度値を有する画素が一定画素数以上存在する場合、当該排出煙領域内に黒煙が存在すると判断される。したがって、煙突やフレア・スタックから排出される排出煙の中から自動的に黒煙が存在する排出煙を検知することが可能となる。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ベクトル計算手段が、前記オプティカルフロー推定演算で速度場の滑らかさを評価するパラメータを所定範囲に限定して該オプティカルフローを計算することを特徴とする。この発明によれば、オプティカルフロー推定の計算に用いられる速度場の滑らかさを評価するパラメータを完全剛体の場合に用いる数値の半分以下の数値に限定することによって、外縁が明瞭でない排出煙が撮影された時系列2画像からオプティカルフロー推定が計算される。したがって、外縁が明瞭でない排出煙に対してもオプティカルフロー推定を計算することが可能となる。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記オプティカルフロー推定に基づいて計算された前記速度ベクトルの大きさが所定範囲内の大きさであって、かつ、前記速度ベクトルの方向が所定範囲内の角度である場合にのみ前記速度ベクトルを有効とする速度ベクトル選別手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】この発明によれば、速度ベクトル選別手段が、請求項1または2で計算されたオプティカルフロー推定に基づいた速度ベクトルにおいて、その大きさがあらかじめ設定された上限値と下限値との間の範囲内にある速度ベクトルであって、その方向があらかじめ設定された角度の範囲内にある速度ベクトルだけを有効な速度ベクトルとし、残りの速度ベクトルは無効とする。したがって、背景の雲の移動等で生じる微速度成分、煙突付近を飛行する鳥の移動や動画像撮影用のITVカメラの防雨用ワイパーの動きで生じる速度成分等の外乱ノイズを除去し、排出煙のオプティカルフロー推定だけを抽出することが可能となる。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1から3までのいずれかの項に記載の発明において、前記オプティカルフロー推定に基づいて計算された前記速度ベクトルを座標配列し、該速度ベクトルの終点から始点方向への延長線がフレア・スタックの先端に設けた所定の領域を通過するとき、前記速度ベクトルを有効な速度ベクトルとし、残りの速度ベクトルを無効とする速度ベクトル選別手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】この発明によれば、オプティカルフロー推定に基づいて計算された速度ベクトルを座標配列し、その速度ベクトルの終点から始点への仮想延長線がフレア・スタックの先端に設けられた所定の領域を通過するならば、当該速度ベクトルを有効な速度ベクトルとし、残りの速度ベクトルを無効とする。したがって、黒煙検知対象のフレア・スタックおよび煙突から排出された煙の移動速度ベクトルのみ選別することができ、フレア・スタックおよび煙突の周辺にある他のフレア・スタックおよび煙突から流れてくる排出煙の移動速度ベクトルを除去することが可能となる。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項1から4までのいずれかの項に記載の発明において、前記黒煙判断手段が、前記排出煙の領域の各走査列ごとに平均輝度値を計算する手段と、前記平均輝度値に基づいて設定された値よりも小さい輝度の画素数を計算する手段と、前記画素数に基づいて前記排出煙の領域内に黒煙が存在するか否かを判断する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】この発明によれば、黒煙判断手段によって、排出煙の領域内の縦・横方向の各走査列ごとの平均輝度値を計算し、その平均輝度値に所定の定数を乗じた値よりも小さい輝度値を有する画素数を計算し、その画素数があらかじめ設定された評価値よりも大きい場合に当該排出煙の領域内に黒煙が存在すると判断され、そうでない場合は黒煙は存在しないと判断される。したがって、特定の形状をしていない黒煙であっても、画素数に基づいて黒煙が発生していると判断することが可能となる。
【0015】請求項6に記載の発明は、請求項1から5までのいずれかの項に記載の発明において、前記黒煙判断手段が、前記排出煙の領域に黒煙が存在すると判断した場合に、警報を鳴らすための警報処理手段をさらに備えることを特徴とする。この発明によれば、排出煙の中に黒煙が含まれていると黒煙判断手段が判断したとき、黒煙検知信号が黒煙判断手段から黒煙検知システムにさらに備えられた警報処理手段に送信され、この警報処理手段は受信した黒煙検知信号に基づいて離隔した位置に設置されている付属の警報機から警報音を鳴らす。したがって、別の場所にいる監視員にも自動的に警報を鳴らすことによって黒煙発生を知らせることが可能となる。
【0016】請求項7に記載の発明は、請求項1から6までのいずれかの項に記載の発明において、前記黒煙は、可燃性ガスの不完全燃焼によって発生するものであって、消煙蒸気によってフレア・スタックから大気中に放出された前記可燃性ガスを大気中に拡散し、該可燃性ガスの濃度を下げて、空気との混合を良くして前記可燃性ガスの燃焼状況を改善するために供給する前記黒煙の抑制手段をさらに備え、前記黒煙判断手段が、前記排出煙の領域に黒煙が存在すると判断した場合に、前記消煙蒸気を前記可燃性ガスの燃焼部に噴射することを制御して前記可燃性ガスの燃焼状態を改善し、黒煙発生を抑制することを特徴とする。
【0017】この発明によれば、黒煙判断手段によって、排出煙の領域に黒煙を含むと判断された場合、消煙蒸気供給手段から消煙蒸気を供給させ、煙突口から黒煙の発生源である燃焼炎に対して供給した燃焼状態を改善する消煙蒸気を噴射させる。したがって、黒煙が検知された場合は、さらに自動的に黒煙の発生源である燃焼炎の燃焼状態を改善するための消煙蒸気を自動的に供給し、燃焼状態の改善を行うことが可能となる。
【0018】請求項8に記載の発明は、フレア・スタックおよび煙突からの排出煙が時間的に連続して撮影された時系列2画像を用いて、両画像間で演算したオプティカルフロー推定結果に基づいて速度ベクトルを計算し、該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルを構成する第1の過程と、前記速度場ベクトルを構成する各速度ベクトルの方向ごとに分類して抽出された領域に基づいて前記画像中に含まれる前記排出煙の領域を決定する第2の過程と、前記排出煙の領域内の画素であって所定の輝度値を有する画素を集計した画素数に基づいて黒煙の存在を判断する第3の過程とを備えることを特徴とする。
【0019】この発明によれば、フレア・スタックおよび煙突から排出される黒煙を含んだ排出煙を撮影した時間的に連続した時系列2画像を用いて、第1の過程によって、各画像のあらかじめ定められた範囲内の各画素に対応したオプティカルフロー推定が計算される。さらに、第1の過程では、計算されたオプティカルフロー推定に基づいた速度ベクトルが計算され、当該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルが求められる。次に、第2の過程によって、速度場ベクトルの方向に応じて速度場の存在する領域のみが抽出され、抽出される各領域に基づいた所定の領域が排出煙領域とされる。そして、第3の過程によって、排出煙領域内の全画素の輝度ヒストグラムが計算され、当該領域内に所定の輝度値よりも暗い輝度値を有する画素が一定画素数以上あった場合、当該排出煙領域内に黒煙が存在すると判断される。したがって、請求項1と同様の効果が得られる。
【0020】請求項9に記載の発明は、コンピュータに、フレア・スタックおよび煙突からの排出煙が時間的に連続して撮影された時系列2画像を用いて、両画像間で演算したオプティカルフロー推定結果に基づいて速度ベクトルを計算し、該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルを構成する第1の機能と、前記速度場ベクトルを構成する各速度ベクトルの方向ごとに選別して抽出された領域に基づいて前記画像中に含まれる前記排出煙の領域を決定する第2の機能と、前記排出煙の領域内の画素であって所定の輝度値を有する画素の画素数に基づいて黒煙の存在を判断する第3の機能とを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【0021】この発明によれば、フレア・スタックおよび煙突から排出される黒煙を含んだ排出煙を撮影した時間的に連続した時系列2画像を用いて、第1の機能によって、各画像のあらかじめ定められた範囲内の各画素に対応したオプティカルフロー推定が計算される。さらに、第1の機能では、計算されたオプティカルフロー推定に基づいた速度ベクトルが計算され、当該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルが求められる。次に、第2の機能によって、速度場ベクトルの方向に応じて速度場の存在する領域のみが抽出され、抽出される各領域に基づいた所定の領域が排出煙領域とされる。そして、第3の機能によって、排出煙領域内の全画素の輝度ヒストグラムが計算され、当該領域内に所定の輝度値よりも暗い輝度値を有する画素が一定画素数以上あった場合、当該排出煙領域内に黒煙が存在すると判断される。したがって、請求項1と同様の効果が得られる。
【0022】請求項10に記載の発明は、黒煙を検知するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、フレア・スタックおよび煙突からの排出煙が時間的に連続して撮影された時系列2画像を用いて、両画像間で演算したオプティカルフロー推定結果に基づいて速度ベクトルを計算し、該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルを構成する第1のステップと、前記速度場ベクトルを構成する各速度ベクトルの方向ごとに選別して抽出された領域に基づいて前記画像中に含まれる前記排出煙の領域を決定する第2のステップと、前記排出煙の領域内の画素であって所定の輝度値を有する画素の画素数に基づいて黒煙の存在を判断する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0023】この発明によれば、フレア・スタックおよび煙突から排出される黒煙を含んだ排出煙を撮影した時間的に連続した時系列2画像を用いて、第1のステップによって、各画像のあらかじめ定められた範囲内の各画素に対応したオプティカルフロー推定が計算される。さらに、第1のステップでは、計算されたオプティカルフロー推定に基づいた速度ベクトルが計算され、当該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルが求められる。次に、第2のステップによって、速度場ベクトルの方向に応じて速度場の存在する領域のみが抽出され、抽出される各領域に基づいた所定の領域が排出煙領域とされる。そして、第3のステップによって、排出煙領域内の全画素の輝度ヒストグラムが計算され、当該領域内に所定の輝度値よりも暗い輝度値を有する画素が一定画素数以上あった場合、当該排出煙領域内に黒煙が存在すると判断される。したがって、請求項1と同様の効果が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による黒煙検知システムを説明するための概要図である。図1において、黒煙検知システムは、屋外に設置されるITVカメラ1と、屋内に設置される装置群とから構成される。ITVカメラ1は、屋外防水型のカメラケースに格納され、半固定雲台に取り付けられているので、レンズのズームによる撮影対象の拡大縮小の他に撮影方向を変化することができる。また、防雨用ワイパーが取り付けられている場合がある。
【0025】また、屋内には、ITVカメラ1のズームや撮影方向を制御するためのカメラコントロール装置2、ITVカメラ1で撮影した画像を監視員やカメラコントロール装置2の操作員等が撮影状態をモニタするための映像モニタ3が設置されている。さらに、屋内には、ITVカメラ1で撮影した動画像から黒煙を自動的に検知する処理装置4と、処理装置4における処理に必要な各種パラメータの設定等を行うための操作・表示装置5が設置される。さらにまた、処理装置4には、離隔した場所等にいる監視員等に対して黒煙発生時に警告音を鳴らすための警報器6が接続されている。
【0026】図2は、本実施形態におけるITVカメラ1の撮影状況を説明するための図である。図2において、ITVカメラ1はフレアースタック7の先端方向に向けられ、例えば、フレア・スタック7の先端と排出される燃焼炎と燃焼状態によって発生する排出煙21、22とを撮影する。次に、処理装置4の構成について詳細に説明する。図3は、撮影画像Aを用いて黒煙を自動的に検知する処理を行う処理装置4の細部構成を説明するためのブロック図である。図3において、処理装置4は、ITVカメラ1で撮影された撮影画像Aの輝度、コントラスト等の画質を調整する画質調整部31と、撮影画像Aを一時的に記憶する撮影画像記憶部32と、連続する時系列2画像から排出煙の動きベクトルであるオプティカルフロー推定を求めるベクトル計算部33と、動きベクトルの方向に応じて画像中における排出煙の領域を決定する排出煙領域決定部34と、排出煙の領域から黒煙の存在の有無を判断する黒煙判断部35とから構成される。
【0027】さらに、処理装置4は、発生した黒煙に関する情報を記憶する黒煙情報記憶部36と、黒煙を含んだ撮影画像Aを記憶する検知画像記憶部37と、黒煙の発生を検知したときに警報器6に警報を鳴らすための信号を発生させる警報発生部38と、フレア・スタック7に取り付けられた燃焼状態を改善するための消煙蒸気制御部39とを備える。
【0028】次に、図面を参照して、上述した実施形態の動作について詳細に説明する。まず、本実施形態による黒煙検知システムの利用者は黒煙を検知するためのフレア・スタック7の先端から排出される排出煙を撮影するために、ITVカメラ1の向き、ズームの度合いを映像モニタ3を見ながら調整する。そして、映像モニタ3に映し出されるフレアースタック7と排出煙22等が適切な大きさで撮影できるようにカメラコントロール装置2を操作して固定する。
【0029】図4は、上述した実施形態においてITVカメラ1で撮影された撮影画像Aの一例を示す図である。本実施形態における撮影画像Aの大きさは、横方向が640画素、縦方向が480画素から構成される8ビット(256階調)のRGB画像である。図4に示すように、本実施形態ではフレアースタック7の先端と燃焼炎および排出煙が同一画像に含まれるように画像を撮影できるように、ITVカメラ1の向きとズームを調節する。また、一度調節されたITVカメラの向きやズームの度合い等は原則として以下の処理では変化させる必要はない。
【0030】図5は、上述した実施形態による黒煙検知システムの動作を説明するためのフローチャートである。すなわち、まず最初に上述したシーンの動画像が撮影される(ステップS1)。このようにしてITVカメラ1で撮影された撮影画像Aは、一画素が赤成分、青成分、緑成分の3の情報を有するRGB画像である。このRGB画像は、次に画質調整部31で色座標変換されて輝度情報だけからなる画像(以下、「Y画像」と称す。)が作成される。Y画像は、赤成分を30パーセント、青成分を11パーセント、緑成分を59パーセントの割合で混合することによって得ることができる。
【0031】さらに、撮影画像Aにおけるあらかじめ定められた範囲である測定領域Bにおいて平均輝度とコントラストの幅等を求め、あらかじめ定められた標準画像と比較することによって、常に同一の画質を持つ画像に変換する(ステップS2)。この測定範囲Bは本黒煙検知システムを運用する前に利用者が操作・表示装置5を用いてあらかじめ位置と大きさを設定しておくか、処理装置4に記憶させる処理プログラムに記憶させておく。このようにして、夜明けから日没まで等の日照条件や雨の日や晴れの日等の気象条件に関係がない画質を同一にしたY画像を使用することで、黒煙検出のための処理を同一条件で行うことができる。
【0032】上述した手順で画質が調整されたY画像は撮影画像記録部32に一時的に保存される。そして、連続する2枚のY画像を用いてベクトル計算部33で煙の発生を検知するために、動きベクトルであるオプティカルフロー推定が求められる(ステップS3)。一般に、フレア・スタック7等からの排出煙は、無風状態では上昇気流によって必ず上空に立ち上がり、その他の状態では排出口付近の風向や風力に従った流れになる。すなわち、排出煙の流れには必ず速度場が存在し停滞状態はない。ベクトル計算部33では、このような速度場を求めるためのオプティカルフロー推定演算を使用して、排出煙の推定速度を画素単位で抽出する。すなわち、画素単位で抽出された推定速度の集合体が燃焼炎と煙であり、燃焼炎が風向風力になびく方向が煙の流れる方向といえる。
【0033】オプティカルフロー推定とは、観測者が感じる画面上にある物質の見かけ速度分布をさし、それを決定する基本式は2つの仮定から導出される。1つ目は「対象となる物理点の持つ輝度値が運動に際して一定に保たれる」ということである。時刻tにおける画面上にある点(x,y)の輝度値をP(x,y,t)とし、微小時間Δt後に当該物理点が点(x+Δx,y+Δy)まで移動し、その輝度値をP(x+Δx,y+Δy,t+Δt)とする。このとき次式が成り立つ。
【数1】


この式(1)をテイラー展開し、Δtを0に限りなく近づけると次式が得られる。
【数2】


ここで、(u,v)は見かけ速度ベクトルであり、Px,Py,Ptはそれぞれx,y,tに対する偏微分である。
【0034】もう一つの仮定は、「見かけ速度は滑らかに変化する」ことである。速度の滑らかさは、速度ベクトルのラプラシアンの和で評価され、次式のように表すことができる。
【数3】


しかし、実際の計算においては、(2)式のPx,Py,Ptは有限差分で近似するため誤差が発生する。また、(3)式も離散化する必要があるので、実際の計算においては、速度の滑らかさを次式で表す。
【数4】


ここで、u,vは、近傍速度の平均値であり、次式で表すことができる。
【数5】


【0035】さらに、滑らかさの重み係数α2を導入して、(4)式と(5)式を用いて次式のような誤差評価式が得られる。
【数6】


(8)式を用いることによって、誤差Eが最小値を取る条件で速度分布の計算式が得られる。そして、次式を反復して収束することによって速度分布を求める。
【数7】


但し、kは反復回数とする。
【0036】本実施形態においては、フレア・スタック7から排出される燃焼炎と黒煙の動きを求めるためのオプティカルフロー演算の演算条件として、滑らかさの重み係数αの値は30から50の値を用いる。この値は検出対象が剛体の場合は、通常100以上の値を用いるが、本実施形態では対象が燃焼炎や黒煙といった空間輝度勾配が低い移動ではあまり大きな値を用いることはできない。しかし、実証実験で求めた50以下の値を用いることによって、見かけ速度ベクトル(u,v)を十分に求めることができる。反復係数kについても同様の理由で本実施形態では50に設定した。すなわち、ベクトル計算部33では、このような方法で連続する2枚のY画像内の測定領域内の全画素(x,y)についての動きベクトル(u,v)を求める。
【0037】次に、排出煙領域決定部34では、ベクトル計算部33で抽出した全速度ベクトルに対して、当該ベクトルの大きさがあらかじめ設定した下限値以下の場合に除去する処理をする。これによって、外乱ノイズの除去や背景の雲の移動で生じる微速度成分を除外するという効果が得られる。次に、ベクトル計算部33で抽出した全速度ベクトルに対して、当該ベクトルの大きさがあらかじめ設定した上限値以上の場合に除去する処理をする。これによって、外乱ノイズの除去やフレア・スタック付近を飛ぶ鳥や飛行機、防雨用ワイパーの動き成分等を除去することができるという効果が得られる。さらに、明らかに矛盾する速度ベクトルを除去する。
【0038】図6は、明らかに矛盾する速度ベクトルを除去するための角度フィルタを説明するための図である。図6に示すように、本システムではあらかじめ操作・表示装置5を用いて画像の垂直真下方向から左右に一定の角度m1およびm2を設定しておく。そして、速度ベクトルの方向があらかじめ設定された角度m1およびm2よりも下方に向いている場合は、明らかに矛盾する速度ベクトルとして当該速度ベクトルを除去する。そして、角度m1およびm2よりも上方に向いている速度ベクトルだけを有効なものとする。
【0039】そして、このようにして選別された速度ベクトルに対して、特願2000−257935に記載した速度場ラベリング処理を行う(ステップS4)。すなわち、計算された動きベクトルを座標配列して速度場ベクトルを求める。この速度場ベクトルは、概略同じ方向を向いているが、中には反射光量の変化やノイズ等によって異なる方向を向いているものがある。そこで、このベクトルを方向性に応じて所定の範囲内で同一と認められるベクトルごとに領域分割する速度場ラベリングを行う。そして、各ラベル領域について移動方向ごとに分類し、その分類結果から同一方向のラベルの外接四辺形を決定する(ステップS5)。本実施形態では、この外接四辺形に存在する速度ベクトルの画素集団を排出煙の領域とし、排出煙領域決定部34で行う処理とする。
【0040】図7は、上述した実施形態において求められた外接四辺形を説明するための図である。図7における処理は、撮影画像Aに対してではなくY画像Cに対する処理となる。上述した手順によって、排出煙21に対しては外接四辺形71が作成され、排出煙22に対しては外接四辺形72が作成される。
【0041】排出煙領域決定部34で排出煙の領域を外接四辺形に囲まれた領域として抽出した後、黒煙判断部35で各外接四辺形の領域に対して黒煙の有無を判定する。黒煙判断部35は、上述した手順で作成された各外接四辺形ごとに黒煙の存在の判断が行われる。すなわち、図7においては外接四辺形71、72に対してそれぞれ黒煙の存在の判断が行われる。外接四辺形71、72に対して、画像のx方向(横方向)とy方向(縦方向)の各列ごと走査することによって各列の平均輝度値Pxi(ave)、Pyi(ave)を計算する。
【0042】次に、x方向とy方向のそれぞれの方向の平均輝度値Pxi(ave)、Pyi(ave)に係数wを乗算した値を判定値とする。例えば、係数wの値として0.7から0.9までの値を与えることができる。そして、x方向とy方向のそれぞれの方向の速度ベクトルの存在する画素の輝度値Pxi、Pyiと判定値との比較を行う。その結果、各画素の輝度値が平均輝度値Pxi(ave)、Pyi(ave)に係数wを乗算した判定値よりも小さい場合の画素数を各走査列ごとに計算する。
【0043】そして、当該外接四辺形内で速度ベクトルが存在する画素について適用し、上述した条件を満たす画素数をDとする。この画素数Dがあらかじめ設定された黒煙判定面積よりも大きい場合は、当該外接四辺形内に黒煙が存在するものと判断する(ステップS6)。すなわち、黒煙の存在を判断するための所定の速度ベクトルの存在と所定の輝度値を有する画素の画素数とは、平均輝度値Pxi(ave)、Pyi(ave)に係数wを乗算した判定値よりも小さい輝度値を持つ画素の画素数である。なお、この黒煙判定面積である画素数は、利用者がシステムの利用に先立って操作・表示装置5から入力するか、あらかじめプログラムされているものである。
【0044】そして、黒煙が発生された場合は、発生した黒煙に関して発生時刻、黒煙面積(画素数)、黒煙の平均輝度値、画像中の位置情報等を黒煙情報記憶部36へ保存する。さらに、当該黒煙が発生したとされた元のRGB画像を発生時刻と対応させて検知画像記憶部37へ保存する。なお、上述した手順ではxy方向への輝度情報を投影した方法について説明したが、8近傍画素の空間フィルタ処理を施して黒煙の濃さを評価してもよい。また、フレア・スタック、煙突の先端の排出口付近の風向や風力の推定を燃焼炎および煙の流れ方向および拡散方向で生じる速度場の平均で推定し、自然環境の変化を観測することもできる。
【0045】次に、黒煙判判断35で黒煙が発生したと判断されたときは、黒煙検知信号が警報発生部38に送信される。警報発生部38では、処理装置4に接続され、監視員が監視する監視場所や作業員等の待機場所に設置された警報器6を鳴らすための指示信号を送信する。これによって、黒煙が発生したときには自動的に警報音が発生する。また、警報発生部38は電話回線に接続することによって,上述したように警報音を発生させると同時に電話回線を介してあらかじめ指定された監視員等が所持する携帯電話やPHSに自動的に警報音や警報発生情報を通報することができる。さらに、音声情報だけでなく同時に黒煙画像等の画像情報を送信することもできる。
【0046】次に、上述した黒煙を検知する機能に加えて、発生した黒煙および燃焼炎を自動的におよび遠隔地より手動的に燃焼状態を改善する機能を備えた実施形態について説明する。図8は、黒煙を検知した場合に自動的に消煙蒸気の量を制御して燃焼状態を改善する機能を備えた実施形態について説明するための図である。図8において、フレア・スタック7の先端には消煙蒸気の噴射装置が付属された高温である消煙蒸気パイプ84が設置されている。この消煙蒸気パイプ84は、フレア・スタック7から離隔した位置まで延長され、消煙蒸気供給部81に接続している。消煙蒸気供給部81は、制御バルブ部82を開放している間、消煙蒸気を供給することができる。
【0047】そこで、黒煙判断部35が黒煙が存在すると判断した場合は、黒煙検知信号が消煙蒸気制御部39に送信される。消煙蒸気制御部39は、黒煙検知信号を受信したことを条件としてバルブ制御部83を制御して制御バルブ部82の開度を増加させる。これによって、消煙蒸気量が増加し、消煙蒸気パイプ84を介して、フレア・スタック7の先端の消煙蒸気量が自動的に制御される。これによって、燃焼状態を改善し黒煙を除去することができる。また、上述した携帯電話機やPHS(登録商標)のあらかじめ割り当てられたボタンを押すことにより、消煙蒸気制御部39に黒煙検知信号を送信し、バルブ制御部83を遠隔地より手動で制御して、燃焼状態を改善し、黒煙を除去することもできる。
【0048】なお、図1における処理装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより黒煙検知を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0049】また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、煙突やフレア・スタックから排出される排出煙の中から自動的に黒煙が存在する排出煙を検知することができる。請求項2の発明によれば、外縁が明瞭でない排出煙に対してオプティカルフロー推定を計算することができる。請求項3の発明によれば、背景の雲の移動等で生じる微速度成分、煙突付近を飛行する鳥や飛行機の移動や動画像撮影用のITVカメラの防雨用ワイパーの動きで生じる速度成分等の外乱ノイズを除去し、排出煙のオプティカルフローだけを抽出することができる。
【0051】請求項4の発明によれば、黒煙検知対象のフレア・スタックおよび煙突から排出された煙の移動速度ベクトルのみ選別することができ、フレア・スタックおよび煙突の周辺にある他のフレア・スタックおよび煙突から流れてくる排出煙の移動速度ベクトルを除去することができる。請求項5の発明によれば、特定の形状をしていない黒煙であっても、画素数に基づいて黒煙が発生していると判断することができる。請求項6の発明によれば、別の場所にいる監視員にも自動的に警報を鳴らすことによって黒煙発生を知らせることができる。請求項7の発明によれば、黒煙が検知された場合は、さらに自動的に黒煙の発生源である燃焼炎の燃焼状態を改善するための消煙蒸気量を自動的に制御する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態による黒煙検知システムを説明するための概要図である。
【図2】 本実施形態におけるITVカメラ1の撮影状況を説明するための図である。
【図3】 撮影画像Aを用いて黒煙を自動的に検知する処理を行う処理装置4の細部構成を説明するためのブロック図である。
【図4】 上述した実施形態においてITVカメラ1で撮影された撮影画像Aの一例を示す図である。
【図5】 上述した実施形態による黒煙検知システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】 明らかに矛盾する速度ベクトルを除去するための角度フィルタを説明するための図である。
【図7】 上述した実施形態において求められた外接四辺形を説明するための図である。
【図8】 黒煙を検知した場合に自動的に消煙蒸気を供給して燃焼状態を改善する機能を備えた実施形態について説明するための図である。
【符号の説明】
1 ITVカメラ
2 カメラコントロール装置
3 映像モニタ
4 処理装置
5 操作・表示装置
6 警報器
7 フレア・スタック
21、22 排出煙
33 ベクトル計算部
34 排出煙領域決定部
35 黒煙判断部
38 警報発生部
39 消煙蒸気制御部
81 消煙蒸気供給部
82 制御バルブ部
83 バルブ制御部
84 消煙蒸気パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 フレア・スタックおよび煙突からの排出煙の状況を時間的に連続して撮影された時系列2画像を用いて、両画像間で演算したオプティカルフロー推定から前記排出煙の移動で生じた画像内局所の速度ベクトルを求め、該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルを構成するベクトル計算手段と、前記速度場ベクトルを構成する画像内局所である画素ごとの速度ベクトルを方向ごとに分類して抽出された画像空間領域に基づいて前記画像における移動する前記排出煙の存在領域を決定する排出煙の実在領域決定手段と、前記排出煙の存在領域内の画素であって所定の輝度値を有する画素を選別しその画素数に基づいて黒煙の規模を判断する黒煙判断手段とを備えることを特徴とする黒煙検知システム。
【請求項2】 前記ベクトル計算手段が、前記オプティカルフロー推定演算で速度場の滑らかさを評価するパラメータを所定範囲に限定して該オプティカルフローを計算することを特徴とする請求項1に記載の黒煙検知システム。
【請求項3】 前記オプティカルフロー推定に基づいて計算された前記速度ベクトルの大きさが所定範囲内の大きさであって、かつ、前記速度ベクトルの方向が所定範囲内の角度である場合にのみ前記速度ベクトルを有効とする速度ベクトル選別手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の黒煙検知システム。
【請求項4】 前記オプティカルフロー推定に基づいて計算された前記速度ベクトルを座標配列し、該速度ベクトルの終点から始点方向への延長線がフレア・スタックの先端に設けた所定の領域を通過するとき、前記速度ベクトルを有効な速度ベクトルとし、残りの速度ベクトルを無効とする速度ベクトル選別手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から3までのいずれかの項に記載の黒煙検知システム。
【請求項5】 前記黒煙判断手段が、前記排出煙の領域の各走査列ごとに平均輝度値を計算する手段と、前記平均輝度値に基づいて設定された値よりも小さい輝度の画素数を計算する手段と、前記画素数に基づいて前記排出煙の領域内に黒煙が存在するか否かを判断する手段とを備えることを特徴とする請求項1から4までのいずれかの項に記載の黒煙検知システム。
【請求項6】 前記黒煙判断手段が、前記排出煙の領域に黒煙が存在すると判断した場合に、警報を鳴らすための警報処理手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から5までのいずれかの項に記載の黒煙検知システム。
【請求項7】 前記黒煙は、可燃性ガスの不完全燃焼によって発生するものであって、消煙蒸気によってフレア・スタックから大気中に放出された前記可燃性ガスを大気中に拡散し、該可燃性ガスの濃度を下げて、空気との混合を良くして前記可燃性ガスの燃焼状況を改善するために供給する前記黒煙の抑制手段をさらに備え、前記黒煙判断手段が、前記排出煙の領域に黒煙が存在すると判断した場合に、前記消煙蒸気を前記可燃性ガスの燃焼部に噴射することを制御して前記可燃性ガスの燃焼状態を改善し、黒煙発生を抑制することを特徴とする請求項1から6までのいずれかの項に記載の黒煙検知システム。
【請求項8】 フレア・スタックおよび煙突からの排出煙が時間的に連続して撮影された時系列2画像を用いて、両画像間で演算したオプティカルフロー推定結果に基づいて速度ベクトルを計算し、該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルを構成する第1の過程と、前記速度場ベクトルを構成する各速度ベクトルの方向ごとに分類して抽出された領域に基づいて前記画像中に含まれる前記排出煙の領域を決定する第2の過程と、前記排出煙の領域内の画素であって所定の輝度値を有する画素を集計した画素数に基づいて黒煙の存在を判断する第3の過程とを備えることを特徴とする黒煙検知方法。
【請求項9】 コンピュータに、フレア・スタックおよび煙突からの排出煙が時間的に連続して撮影された時系列2画像を用いて、両画像間で演算したオプティカルフロー推定結果に基づいて速度ベクトルを計算し、該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルを構成する第1の機能と、前記速度場ベクトルを構成する各速度ベクトルの方向ごとに選別して抽出された領域に基づいて前記画像中に含まれる前記排出煙の領域を決定する第2の機能と、前記排出煙の領域内の画素であって所定の輝度値を有する画素の画素数に基づいて黒煙の存在を判断する第3の機能とを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】 黒煙を検知するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、フレア・スタックおよび煙突からの排出煙が時間的に連続して撮影された時系列2画像を用いて、両画像間で演算したオプティカルフロー推定結果に基づいて速度ベクトルを計算し、該速度ベクトルを座標配列した速度場ベクトルを構成する第1のステップと、前記速度場ベクトルを構成する各速度ベクトルの方向ごとに選別して抽出された領域に基づいて前記画像中に含まれる前記排出煙の領域を決定する第2のステップと、前記排出煙の領域内の画素であって所定の輝度値を有する画素の画素数に基づいて黒煙の存在を判断する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2001−256475(P2001−256475A)
【公開日】平成13年9月21日(2001.9.21)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2001−132522(P2001−132522)
【出願日】平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願人】(500404155)株式会社シー・イー・デー・システム (3)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)