説明

鼻孔装着型暖房防寒具

【課題】無燃料、無電力で人体の表面ではなく体内部より温暖化せしめる暖房防寒具を得る。
【解決手段】本鼻孔装着型暖房防寒具は、中枢側に開孔管を有し、中央部の暖房防寒具本体内には呼気とともに排出される呼気熱を一時的に貯熱する紙製、布製又は樹脂製の中空様貯熱槽がある。この中空様貯熱槽の呼吸抵抗は極めて少ない。
新たに熱源を付与することなく両側の外鼻孔部に設置して、呼気とともに排出される熱が一時的に中空様貯熱槽に貯熱され、呼気時に熱を再吸収リサイクルし、人体を温暖化させる。
人体の内腔たる鼻腔、口腔、気管を経て、肺、肺血管さらに深奥の心臓、頚部動脈を通じて、脳の体感中枢を、又は鼻腔より隣接する脳底部を経て脳の体感中枢を温め、無燃料、無電力にて実際の暖房と温感を得る装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体より排熱される体表面、発汗、大便、屁,小便、呼気の経路のうち、呼気を通じて排出される熱エネルギーを再吸収し、皮下脂肪というバリアーを経ずに直接的に体腔内より暖房する暖房防寒具である。
【背景技術】
【0002】
暖房については、人体の存在する環境、室内全域を加温して人体の表面を温める暖房が主体をなしている。この際、熱エネルギーの一部は呼吸を通じて体内にも吸収されている。また、特開2000−186824号公報に示されているように、床暖房やホットカーペットによる部分暖房も存在する。
【特許文献1】特開2000−186824号公報
【0003】
最近は人体又は衣類の表面に加温物質を貼付して、体表面の暖房を図ることも行われている。
【0004】
また、人体の表面を断熱材たる衣類、帽子、手袋、足袋等を被覆して体表面より放散する熱エネルギーを制限して体温の低下を阻む防寒具も一般に用いられている。
【0005】
一部には鼻孔、口唇部を被覆するマスクを用いて呼気の排熱を再吸収している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、化石燃料・電力の使用が世界的に増加し、それによる地球温暖化現象が一大問題となっている。このため、地球温暖化の現況たるCO削減のためにも、化石燃料使用の逓減化が望まれる。
【0007】
人体の暖房についても環境全体域を暖房するに際しても、その設定温度を低くして、化石燃料の使用を減少させようと諸国は努めている。
【0008】
また、個人の充分な衣服の着用も求められている。
【0009】
体表面より温熱を加えて暖房する、または断熱材たる衣服を着用して防寒することは、熱の吸収と再吸収にとって、人体の皮下に存在する脂肪組織がバリアーをなし、熱エネルギーの吸収の効率を妨げている。
【0010】
つまり、外部環境暖房型で体表面暖房型の暖房防寒形態を現今は行っている。
【0011】
これらの形態によらない無燃料、無電力の新種の暖房機構が望まれている。
【0012】
本発明は、鼻孔より排出される熱エネルギーのみを再吸収リサイクルし、皮下脂肪組織という断熱材を経ないで、直接的に人体深奥の肺心臓大血管に熱を再吸収し、人体の暖房防寒に効果が得られる鼻孔装着型暖房防寒具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、本発明の下記構成(1)〜(5)の鼻孔装着型暖房防寒具によって達成される。
(1) 鼻孔に装着されて使用される鼻孔装着型暖房防寒具であって、円筒状の暖房防寒具本体、この暖房防寒具本体内に収納された貯熱槽、および前記暖房防寒具本体一端部に連続してこれと一体に形成され、外鼻孔に挿入密着される開孔管を備えており、前記貯熱槽は、鼻孔を介しての呼吸の際の呼気吸気の流通が可能であり、鼻孔からの呼気の持つ熱エネルギーを前記貯熱槽に貯熱し、次の鼻孔を介しての吸気の際に、この吸気を前記貯熱槽の熱エネルギーにより加温し、この加温した吸気を体内に導入して、身体の暖房防寒を行うことを特徴とする鼻孔装着型暖房防寒具。
(2) 前記暖房防寒具本体は断熱性が高く軽量な物質で構成され、前記貯熱槽は貯熱性の高い紙製、布製又は樹脂製で多数の襞を有する所定の長さを持つウエブを巻いて形成したものであり、暖房防寒具本体の軸方向に延びる無数の導管状の空隙を有し、呼吸抵抗が極めて少ないものである上記(1)の鼻孔装着型暖房防寒具。
(3) 前記暖房防寒具本体の他端に、呼吸量を制限する絞り弁が設けられている上記(1)または(2)の鼻孔装着型暖房防寒具。
(4) 前記暖房防寒具本体の径が前記開口管の径より大きい上記(1)〜(3)のいずれかの鼻孔装着型暖房防寒具。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかの鼻孔装着型暖房防寒具を2つ備え、これらの鼻孔装着型暖房防寒具を保持するために両側の耳介部にひきかける眼鏡の弦様構造物が取り付けられた鼻孔装着型暖房防寒具。
【発明の効果】
【0014】
本発明の鼻孔装着型暖房防寒具は、上記したような構造であるので、本来放出していた呼気が持つ熱エネルギーを有効に利用でき、他の熱源を用いずに有効な暖房防寒が可能である。
【0015】
外気温の低下した寒冷時には、明らかに温暖な呼気が鼻腔内に拡散するのが自覚できる。人体の暖房防寒の役を充分に果たしている。
【0016】
このため、室内の暖房設定温度を低下することができる。
【0017】
広く社会的に見ると、暖房設定温度を低下させた家々が増加することによって、電力、石油燃料の使用を減少させることができる。
【0018】
現今問題となっている地球温暖化現象に対して本装置は無電力、無燃料で効果を示すため、社会全体のCOの排出量を低減させる。よって、地球環境の改善に資することができる。
【0019】
また、本発明の暖房防寒具を戸外で使用すると他の暖房防寒具の使用とあいまって、さらに効果的な防寒となり、戸外の労働、役務、軍務に当たって、より効果が認められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態による鼻孔装着型暖房防寒具10について説明する。
本鼻孔装着型暖房防寒具10は、円筒状の暖房防寒具本体12、この暖房防寒具本体内に収納された貯熱槽16、および前記暖房防寒具本体10の一端部(ヒトから見て中枢側)に連続してこれと一体に形成され、外鼻孔に挿入密着される開孔管14を備えている。本鼻孔装着型暖房防寒具10は、図に示したように暖房防寒具本体12の他端(ヒトからみて抹消側)にも開孔管18を有していてもよい。
【0021】
本鼻孔装着型暖房防寒具10の上記暖房防寒具本体12、開孔管14、18は、全体として断熱性が高く軽量な物質、例えばプラスチック、布、紙等で構成されている。
【0022】
上記中枢側の開孔管14は、容易に外鼻孔に挿入できて鼻孔周囲の軟部組織に密着できるものであることが好ましい。この開孔管14は鼻孔装着型暖房防寒具10が外鼻孔部より脱落しないような太さの外径をもっていることが好ましい。したがって、何種類かの径の開孔管14を準備することが好ましい。
【0023】
呼吸に際して抵抗とならないように、この開孔管14の内径は外鼻孔の断面に相当する径をもっていることが好ましい。
【0024】
本鼻孔装着型暖房防寒具10の中央部に位置する暖房防寒具本体12は、貯熱槽16を収容留置するに必要な円柱状の内腔をもっている。したがって、暖房防寒具本体の径は、中枢側と末梢側の開孔管14、18の径に比して大きい。
【0025】
上記暖房防寒具本体12の内腔に収容された貯熱槽16は、貯熱性の高い紙製、布製又は樹脂製で多数の襞を有する所定の長さを持つウエブを巻いて形成したものであり、暖房防寒具本体の軸方向に延びる無数の導管状の空隙(この導管状の空隙を通って呼気吸気が往来する)を有し、呼吸抵抗が極めて少ないものである。
【0026】
上記貯熱槽16に呼気とともに排熱される熱エネルギーが貯熱され、吸気とともに低温の外気が貯熱槽16に貯熱された熱エネルギーが加温され、鼻腔内に進入する。
【0027】
中枢側の開孔管14、中央部の暖房防寒具本体12、末梢側の開孔管18は密閉連続しており、呼気吸気が抵抗少なく通気する。しかし、末梢側の開孔管18は、ある程度絞り弁の作用をなし、貯熱槽16への貯熱を助ける。あるいは、別に絞り弁を設けてもよい。
【0028】
図2に示したように、2つの本鼻孔装着型暖房防寒具10(図2には片側の鼻孔装着型暖房防寒具10のみを示した)を左右の外鼻孔に挿入し、鼻孔よりの呼吸動作を行うことにより体内への熱エネルギーの再吸収ができる。
【0029】
本鼻孔装着型暖房防寒具10は極めて軽量に製作されるものであり、そのままの鼻孔への装着でも容易に外れるものではないが、図3に示したように、本鼻孔装着型暖房防寒具10を二つ並列に組合せ、それらの中央部の暖房防寒具本体12の左右の外壁(一方の暖房防寒具本体の右側の外壁、他方の暖房防寒具本体の左側の外壁)に、眼鏡の弦様の構造体20、20を取り付け、鼻孔装着型暖房防寒具10の鼻孔への装着時に上記構造体20、20を耳介上部にひきかけて、保持するようにするようにすることが好ましい。これにより日常も活動作、歩行、走行時にも本鼻孔装着型暖房防寒具10、10は脱落しない。本鼻孔装着型暖房防寒具は、極めて軽量であるので、転倒時に顔面鼻孔部の損傷をもたらすことも少ない。
【0030】
本鼻孔装着型暖房防寒具を両外鼻孔に挿入して鼻呼吸を行うのであるが、寒冷な気候の時期に装用使用する。
【0031】
本鼻孔装着型暖房防寒具を両外鼻孔に呼吸気が漏出しないように密着させて装用使用する。
【0032】
装用使用の際には口唇を閉鎖し、鼻腔鼻孔を通じる呼吸を行う。一時に多量の呼吸気を要する時は口唇を開け、口腔からの呼吸を行う。
【0033】
本鼻孔装着型暖房防寒具を装用使用する際には、熱再吸収を効率よく行うために緩徐な呼吸を行うことが好ましい。
【0034】
本鼻孔装着型暖房防寒具の中央部の貯熱槽が湿潤化し、熱の再吸収が良好に行えないときは、新しいものと交換する。
【0035】
体温と外気温との差が著しくなる程再吸収される熱は増加し、本鼻孔装着型暖房防寒具の効用がより明らかとなる。
【0036】
外気温の低下した寒冷時には、明らかに温暖な呼気が鼻腔内に拡散するのが自覚できる。人体の暖房防寒の役を充分に果たしている。
【0037】
このため、室内の暖房設定温度を低下することができる。
【0038】
広く社会的に見ると、暖房設定温度を低下させた家々が増加することによって、電力、石油燃料の使用を減少させることができる。
【0039】
現今問題となっている地球温暖化現象に対して本装置は無電力、無燃料で効果を示すため、社会全体のCOの排出量を低減させる。よって、地球環境の改善に資する。
【0040】
また、本鼻孔装着型暖房防寒具を戸外で使用すると他の暖房防寒具の使用とあいまって、さらに効果的な防寒となり、戸外の労働、役務、軍務に当たって、より効果が認められる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(a)は本発明の実施の形態による鼻孔装着型暖房防寒具の縦断面図、(b)は図1(a)の線I−Iに沿う断面図、(c)は図1(a)の線II−IIに沿う断面図、(d)は図1(a)の線III−IIIに沿う断面図である。
【図2】図1の鼻孔装着型暖房防寒具を鼻孔に装着した状態を示す概略図である。
【図3】2つ一組の鼻孔装着型暖房防寒具に眼鏡の弦状の構造体を取り付け、これを耳介上部にひきかけて、保持した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0042】
10 鼻孔装着型暖房防寒具
12 暖房防寒具本体
14、18 開孔管
16 貯熱槽
20 構造体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻孔に装着されて使用される鼻孔装着型暖房防寒具であって、円筒状の暖房防寒具本体、この暖房防寒具本体内に収納された貯熱槽、および前記暖房防寒具本体一端部に連続してこれと一体に形成され、外鼻孔に挿入密着される開孔管を備えており、前記貯熱槽は、鼻孔を介しての呼吸の際の呼気吸気の流通が可能であり、鼻孔からの呼気の持つ熱エネルギーを前記貯熱槽に貯熱し、次の鼻孔を介しての吸気の際に、この吸気を前記貯熱槽の熱エネルギーにより加温し、この加温した吸気を体内に導入して、身体の暖房防寒を行うことを特徴とする鼻孔装着型暖房防寒具。
【請求項2】
前記暖房防寒具本体は断熱性が高く軽量な物質で構成され、前記貯熱槽は貯熱性の高い紙製、布製又は樹脂製で多数の襞を有する所定の長さを持つウエブを巻いて形成したものであり、暖房防寒具本体の軸方向に延びる無数の導管状の空隙を有し、呼吸抵抗が極めて少ないものである請求項1の鼻孔装着型暖房防寒具。
【請求項3】
前記暖房防寒具本体の他端に、呼吸量を制限する絞り弁が設けられている請求項1または2の鼻孔装着型暖房防寒具。
【請求項4】
前記暖房防寒具本体の径が前記開口管の径より大きい請求項1〜3のいずれかの鼻孔装着型暖房防寒具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの鼻孔装着型暖房防寒具を2つ備え、これらの鼻孔装着型暖房防寒具を保持するために両側の耳介部にひきかける眼鏡の弦様構造物が取り付けられた鼻孔装着型暖房防寒具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−142450(P2009−142450A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322726(P2007−322726)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(503046035)
【出願人】(308014961)
【Fターム(参考)】