説明

鼻栓

【課題】空気中の異物の吸引を抑制する鼻栓に関し、鼻から取り外す際に一部が鼻腔内に残ってしまうおそれがなく、息苦しさも軽減できる鼻栓を提案する。
【解決手段】本発明の鼻栓は、左右の鼻腔内に挿入される一対の挿入部2を有し、この一対の挿入部2を、連結部3を介して一体連結させており、挿入部2は、表裏を貫通する複数の開孔2bを有する円板状の天壁2aと、天壁2aの縁部より垂下される周壁2cとからなり、天壁2aの表壁面2a及び裏壁面2aの少なくとも一方に、開孔2bを除いて粘着剤5を設けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔内に挿入されて、空気中に浮遊する埃や塵、花粉等の吸入を抑制する鼻栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気中に浮遊する、例えば埃や塵、花粉等の異物は、鼻から吸引されてその内側の粘膜に接触すると、くしゃみや鼻水等の症状を引き起こす場合がある。このような症状の予防や軽減を目的とするものとしては、例えば特許文献1に示すような、鼻に保持するための保持部材を有し、その保持部材の一端部にフィルター部材を係止させた鼻栓が知られている。この鼻栓によれば、フィルター部材を鼻腔内に挿入することで、空気中の異物の吸引を抑制することが期待できる。
【0003】
ところで上記の鼻栓は、保持部材の一端部をT字状とし、さらにその表面に凸部を設けることで、フィルター部材が保持部材から外れてしまうことを防止しようとしているが、保持部材の引き抜き加減によっては、フィルター部材を鼻腔内に残したまま外れてしまうことがあった。また、フィルター部材を直接鼻腔内に挿入するため、息苦しさを感じることもあった。この場合、目の粗いフィルター部材を用いて通気性を良くすることも考慮されるが、目の粗いフィルターでは、保持部材との接触面積も減少してより一層外れやすくなる懸念があり、未だ改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3052457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、空気中に浮遊する埃や塵、花粉等の異物の吸入を抑制する鼻栓に関し、その鼻栓を鼻から取り外す際に、鼻栓の一部が鼻腔内に残ってしまうおそれがなく、しかも、鼻栓を鼻腔内に挿入したことによる息苦しさを軽減することもできる新規な鼻栓を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、左右の鼻腔内に挿入される一対の挿入部を有し、該一対の挿入部を連結部を介して一体連結させた鼻栓であって、
前記挿入部は、表裏を貫通する複数の開孔を有する円板状の天壁と、該天壁の縁部より垂下される周壁とからなり、
前記天壁の表壁面及び裏壁面の少なくとも一方に、前記開孔を除いて粘着剤を設けることを特徴とする鼻栓である。
【0007】
前記天壁に、前記粘着剤を覆い隠す保護フィルムを設けることが望ましい。
【0008】
前記連結部は、前記周壁の開放端にそれぞれつながる一対の棒状体と、左右の鼻腔の外側にて各棒状体を差し渡すブリッジとからなることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る鼻栓は、左右の鼻腔内に挿入される一対の挿入部を、連結部を介して一体連結させているので、鼻腔内から鼻栓を取り出す際に、挿入部が連結部から外れてしまうことがなくなる。また、この挿入部の天壁に、表裏を貫通させて複数の開孔を形成するとともにこの開孔を除いた部位に粘着剤を設けたことにより、通常の鼻栓の挿入部となる不織布やスポンジ等に対して開孔径が大きくなる一方、粘着剤の作用下で空気中の異物を捕集することができるので、息苦しさの軽減を図りつつ、鼻腔内に侵入する異物を減らすことができる。
【0010】
挿入部の天壁に、この天壁に設けられた粘着剤を覆い隠す保護フィルムを配設する場合は、使用直前まで粘着剤が外気に触れることがないので、異物への粘着効果を十分に発揮させることができる。
【0011】
連結部を、周壁の開放端にそれぞれつながる一対の棒状体と、左右の鼻腔の外側にて各棒状体を差し渡すブリッジとからなるものとする場合は、外部から直接見える部分がブリッジだけとなるので、鼻腔内に装着している状態でも鼻栓が目立ちにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に従う鼻栓の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すA−Aに沿う断面図である。
【図3】図2に示す断面図の拡大図であって、保護フィルムを鼻栓から剥がす途中の状態を示す図である。
【図4】本発明に従う鼻栓の他の実施の形態を示す、図1のA−Aに準じた断面図である。
【図5】図1、図4に示す鼻栓の使用状態を示す略線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う鼻栓の実施の形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示すA−Aに沿う断面図であり、図3は、図2に示す断面図の拡大図であって、保護フィルムを鼻栓から剥がす途中の状態を示す図であり、図4は、本発明に従う鼻栓の他の実施の形態を示す、図1のA−Aに準じた断面図であり、図5は、図1、図4に示す鼻栓の使用状態を示す略線断面図である。
【0014】
図1において、1は本発明に従う鼻栓の一実施例である。鼻栓1は、左右の鼻腔内に挿入される一対の挿入部2と、これらの挿入部2を相互に一体連結する連結部3とを備えている。また、図示の例で、鼻腔内に挿入する際に先に挿入されることになる挿入部2の表側には、一対の挿入部2を跨いで配設される矩形状の表側保護フィルム4a(図1の二点鎖線部分)が設けられている。更に、表側保護フィルム4aの裏面には、粘着剤5が塗布されている。ここで挿入部2及び連結部3は、ともに合成樹脂にて形成されている。
【0015】
図1、図2に示すように挿入部2は、円板状の天壁2aを有している。天壁2aには、その天壁2aの表裏を貫通する複数の開孔2bが形成されている。従来、鼻腔内に挿入する挿入部としては、細い繊維を絡み合わせてシート状にした不織布や、内部に複数の孔が形成されている、例えばスポンジ等の多孔質体が用いられているが、本発明に係る鼻栓1の開孔2bは、貫通孔であるので、天壁2aの表裏間の空気の通過を容易にすることができる。また、挿入部2は、天壁2aの縁部より垂下される周壁2cを有しており、天壁2a及び周壁2cによって区画凹所空間Mを形成している。そして、区画凹所空間Mの開放口となる周壁2cの縁部が開放端2cとなっている。
【0016】
連結部3は、図1、図2に示すように、一端側が各周壁2cの開放端2cにそれぞれ連結する一対の棒状体3aと、各棒状体3aを、それらの他端側で差し渡して連結させたブリッジ3bとから形成されていて、全体としてU字状となっている。また図示のように棒状体3a及びブリッジ3bは、挿入部2に対して十分に細くなっている。
【0017】
天壁2aの表側の表壁面2a及び裏側の裏壁面2aの少なくとも一方には、開孔2bを除いて粘着剤5が設けられる。図2及び図3は、天壁2aの表壁面2aに粘着剤5を設ける場合を示し、図4は、天壁2aの裏壁面2aに粘着剤5を設ける場合を示している。また、粘着剤5を保護する保護フィルム4として、図2及び図3に示す例では表側保護フィルム4aを設け、図4に示す例では、裏側保護フィルム4bを設けている。表側保護フィルム4aは、上述したように矩形状であり、裏側保護フィルム4bは、図4に示すように、天壁2aの裏壁面2aと略同一形状の円板に舌片を連結した形状であるが、使用態様に応じて種々の形状を選択することができる。
【0018】
ここで粘着剤5は、天壁2aに直接塗布して設けても良いが、開孔2bを塞いでしまうおそれがある。このため、例えば図3に示すように、予め表側保護フィルム4aの面上に粘着剤5を塗布しておき、粘着剤5側を天壁2aに向けた状態で、表側保護フィルム4aを鼻栓1に貼りつけることが好ましい。これにより、図3に示すように使用時に表側保護フィルム4aを剥がすことで、開孔2b上の粘着剤5を取り除くことができる。また裏側保護フィルム4bを用いる場合も、表側保護フィルム4aと同様にして粘着剤5を設けることが好ましい。ここで粘着剤5は、空気中に浮遊する埃や塵、花粉等の異物が触れると、これらを捕集して再び空気中に戻さないようにするためのものであり、粘性のある各種のものを使用することができる。なお粘着剤5を、天壁2aの表壁面2a及び裏壁面2aの両面に設ける場合は、より確実に空気中に浮遊する異物を取り除くことができる。
【0019】
上記のような構成となる鼻栓1を使用するに当たっては、保護フィルム4を剥がした状態で、図5に示すように各挿入部2を左右の鼻腔内に挿入する。鼻栓1は、周壁2cと鼻腔との接触、及びU字状の連結部3が挿入時にわずかに広げられることによる挟持力により、鼻腔内に保持される。そして使用者が鼻から吸引すると、外気が区画凹所空間Mを経由して、開孔2bから鼻腔内に吸引される。この時、区画凹所空間Mに対して各開孔2bは狭くなっているので、外気が開孔2bを通り抜ける際に外気の流れに乱れが生じることとなる。このため、従来の不織布等を用いた場合よりも開孔径が大きくなる開孔2bを用いていても、外気が粘着剤5上を満遍なく通過することとなり、外気中の異物を効率よく捕集することができる。これにより、鼻腔内に挿入部を挿入したことによる息苦しさの軽減を図りつつ、鼻腔内に侵入する異物を減らすことが可能となる。また挿入部2と連結部3とが一体連結しているので、連結部3を引っ張ると、挿入部2を確実に鼻腔から取り出すことができ、使い勝手を損なうことがない。
【0020】
また図5に示すように、鼻栓1を鼻腔内に装着している際に外部から直接見える部分は、連結部3のうち、ブリッジ3bのみとなる。上述したようにブリッジ3bは細くなっているので目立ちにくくなっている。さらに、ブリッジ3bを肌に近い色で形成することで、より目立ちにくくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によれば、空気中に浮遊する埃や塵、花粉等の異物の吸入を抑制する鼻栓に関し、その鼻栓を鼻から取り外す際に、鼻栓の一部が鼻腔内に残ってしまうおそれがなく、しかも、鼻栓を鼻腔内に挿入したことによる息苦しさを軽減することもできる。
【符号の説明】
【0022】
1 鼻栓
2 挿入部
2a 天壁
2a 表壁面
2a 裏壁面
2b 開孔
2c 周壁
3 連結部
3a 棒状体
3b ブリッジ
4 保護フィルム
5 粘着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の鼻腔内に挿入される一対の挿入部を有し、該一対の挿入部を連結部を介して一体連結させた鼻栓であって、
前記挿入部は、表裏を貫通する複数の開孔を有する円板状の天壁と、該天壁の縁部より垂下される周壁とからなり、
前記天壁の表壁面及び裏壁面の少なくとも一方に、前記開孔を除いて粘着剤を設けることを特徴とする鼻栓。
【請求項2】
前記天壁に、前記粘着剤を覆い隠す保護フィルムを設けた請求項1に記載の鼻栓。
【請求項3】
前記連結部は、前記周壁の開放端にそれぞれつながる一対の棒状体と、左右の鼻腔の外側にて各棒状体を差し渡すブリッジとからなる、請求項1または2に記載の鼻栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−179126(P2012−179126A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42893(P2011−42893)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】