説明

(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、その製造方法、およびそれを含む有機半導体材料および発光材料

【課題】融点が比較的低く、また種々の溶媒に対する溶解性に優れた(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを含む有機半導体材料および発光材料、並びに、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法の提供。
【解決手段】 式(1):
【化1】


(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、R、RおよびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物である(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを含む有機半導体材料および発光材料、並びに、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子用電荷輸送材料、有機薄膜トランジスタ材料およびレーザー発振用発光材料等として、導電性オリゴマーや導電性ポリマー等の有機電子材料が提案されている。
【0003】
これら有機電子材料は、豊富な機能を有するだけでなく、柔軟性・耐衝撃性に優れること、大面積に適応可能であること、製造コストが比較的安価であること等といった特徴を持ち合わせていることから非常に有望視され、例えば、有機半導体レーザー、有機LED、有機ELディスプレイ、有機薄膜太陽電池、フレキシブルシートディスプレイ、電子ペーパー、ICカード、情報タグ、バイオセンサ、アクチュエーター等への応用が検討されている。
【0004】
このような有機電子材料として、種々の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーが提案され、これらが有する種々の特性について報告されている(特許文献1および非特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、特定の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーが発光材料やレーザー材料として有用であることが開示されている。また、非特許文献1には特定の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーについて、半導体材料としての特性が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−26451号公報
【非特許文献1】X.M.Hong, H.E.Katz, A.J.Lovinger, B.Wang, K.Raghavachari, Chem. Mater. 2001, 13, 4686
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機電子材料の用途は今後もますます多様化し、それに対応するための多種多様な材料の出現が望まれているなかで、これまで提案されている(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、一般に、融点が比較的高く、また種々の溶媒に対する溶解性に劣るといった特性から、用途範囲が限定される懸念があった。これらの特性は、例えば、大画面表示パネルを製造する際の大きな障害であり、また、インクジェット等の種々の塗布法や印刷法を採用する際の適用容易性を妨げるものである。
【0007】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、融点が比較的低く、また種々の溶媒に対する溶解性に優れた(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを含む有機半導体材料および発光材料、並びに、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に示すとおりの、(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを含む有機半導体材料および発光材料、並びに、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法に関する。
【0009】
項1.
式(1):
【0010】
【化1】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、R、RおよびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー。
【0011】
項2.
項1に記載の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを含む有機半導体材料。
【0012】
項3.
項1に記載の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを含む発光材料。
【0013】
項4.
式(2):
【0014】
【化2】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。nは0または1の整数を示す。Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。)で表される化合物と、式(3):
【0015】
【化3】

(R12〜R15は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。nは上記式(2)と同じ整数であり、0または1の整数を示す。mは1〜3の整数を示す。(m−n)個のR12は同一であっても異なっていてもよく、(m−n)個のR13は同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物とを、金属触媒の存在下で反応させることを特徴とする、式(4):
【0016】
【化4】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。nは0または1の整数を示す。mは1〜3の整数を示す。R10〜R15はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。(m−n)個のR12は同一であっても異なっていてもよく、(m−n)個のR13は同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するR10、R11、(m−n)個のR12、(m−n)個のR13、R14、R15およびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。
【0017】
項5.
式(5):
【0018】
【化5】

(式中、R16、R17はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。pは0または1の整数を示す。)で表される化合物と、式(6):
【0019】
【化6】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。R18〜R21はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。pは上記式(5)と同じ整数であり、0または1の整数を示す。(m−p)個のR18は同一であっても異なっていてもよく、(m−p)個のR19は同一であっても異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表される化合物とを、金属触媒の存在下で反応させることを特徴とする、式(7):
【0020】
【化7】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。pは0または1の整数を示す。mは1〜3の整数を示す。R16〜R21はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。(m−p)個のR18は同一であっても異なっていてもよく、(m−p)個のR19は同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するR16、R17、(m−p)個のR18、(m−p)個のR19、R20、R21およびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。
【0021】
項6.
式(8):
【0022】
【化8】

(式中、Bはフェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。)で表される化合物と、式(9):
【0023】
【化9】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表される化合物とを、金属触媒の存在下で反応させることを特徴とする、式(10):
【0024】
【化10】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Bはフェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、R、RおよびBのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。
【0025】
項7.
式(11):
【0026】
【化11】

(式中、Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。)で表される化合物と、式(12):
【0027】
【化12】

(式中、mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。X、Xはそれぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表される化合物とを、金属触媒の存在下で反応させることを特徴とする、式(13):
【0028】
【化13】

(式中、mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、RおよびRのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。
【0029】
項8.
金属触媒が、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)である項4〜7のいずれかに記載の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、下記式(1)で表される化合物である。
【0031】
【化14】

式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、R、RおよびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。
【0032】
〜Rで示される炭素数1〜16のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、sec−ヘキシル基、sec−オクチル基、sec−デシル基、sec−ドデシル基、sec−ヘキサデシル基、t−ブチル基、t−ヘキシル基、t−オクチル基、t−デシル基、t−ドデシル基およびt−ヘキサデシル基等が挙げられる。
【0033】
〜Rで示される炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、iso−プロポキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基およびt−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0034】
〜Rで示される炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−へプタフルオロプロピル基、n−パーフルオロブチル基、n−パーフルオロペンチル基およびn−パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
【0035】
〜RおよびAで示される炭素数1〜16のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、sec−ヘキシル基、sec−オクチル基、sec−デシル基、sec−ドデシル基、sec−ヘキサデシル基、t−ブチル基、t−ヘキシル基、t−オクチル基、t−デシル基、t−ドデシル基およびt−ヘキサデシル基等が挙げられる。
【0036】
本発明に係る(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの具体例を以下に示す。
【0037】
【化15】

【0038】
【化16】

【0039】
【化17】

【0040】
【化18】

【0041】
【化19】

【0042】
【化20】

【0043】
本発明に係る(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、チオフェン環に少なくとも1つのアルキル基を有することから、チオフェン環にアルキル基を持たない類似の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーと比べて、融点が低く、また種々の溶媒に対する溶解性が優れるという特性を有する。ここで、本発明に係る(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーが優れた溶解性を示す溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトンおよびアセトニトリル等を挙げることができる。
【0044】
本発明に係る(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、融点が比較的低く、種々の溶媒に対する溶解性に優れている特性を有し、高いキャリア注入・輸送機能を有し、また輝度が高い光を発することができることから、当該化合物単独で、あるいは任意の他の化合物と組み合わせることにより、適用範囲の広い有機半導体材料および発光材料として用いることができる。本発明に係る(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを用いることにより、各種の基板上に蒸着、スパッタリングおよび熱転写することが容易になり、インクジェット等の塗布法や印刷法への適用が容易になり、さらに各種の樹脂との混練が容易になるため、種々のデバイスを容易に製造することができる。
【0045】
本発明に係る前記式(1)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、下記式(4)でも表現することができる。式(4)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、例えば、下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物とを金属触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0046】
【化21】

【0047】
【化22】

【0048】
【化23】

【0049】
式(4)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。nは0または1の整数を示す。mは1〜3の整数を示す。R10〜R15はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。(m−n)個のR12は同一であっても異なっていてもよく、(m−n)個のR13は同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するR10、R11、(m−n)個のR12、(m−n)個のR13、R14、R15およびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。
【0050】
式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。nは0または1の整数を示す。Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。
【0051】
で示される、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基の具体例としては、例えば、ボロン誘導体基、ハロゲン化金属基およびトリアルキルスズ基等が挙げられる。ボロン誘導体基としては、ボロン酸基、ジメチルボラン基、ジエチルボラン基、ジフェニルボラン基、ピナコリルボラン基、カテコールボラン基、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノニル基およびトリフルオロホウ素基等が挙げられる。ハロゲン化金属基としては、塩化マグネシウム基、臭化マグネシウム基、ヨウ化マグネシウム基、塩化亜鉛基、臭化亜鉛基およびヨウ化亜鉛基等が挙げられる。またトリアルキルスズ基としては、トリメチルスズ基、トリエチルスズ基およびトリブチルスズ基等が挙げられる。
【0052】
式(3)中、R12〜R15は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。nは上記式(2)と同じ整数であり、0または1の整数を示す。mは1〜3の整数を示す。(m−n)個のR12は同一であっても異なっていてもよく、(m−n)個のR13は同一であっても異なっていてもよい。
【0053】
式(2)および式(3)で表される化合物は、市販品を用いてもよいし、公知の方法およびそれに準拠した方法により適宜必要に応じて製造したものを使用してもよい。
式(2)で表される化合物の製造方法としては、例えば、式(2)中におけるRがトリフルオロメチル基であり、R、R、R、R、R10およびR11が全て水素原子であり、nが1であり、Yが塩化亜鉛基である5−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−チエニル亜鉛クロリドは、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)チオフェンにn−ブチルリチウムおよび塩化亜鉛を順次反応させる方法(特開2007−197358号公報)等の公知の方法により製造することができる。
【0054】
【化24】

【0055】
また、式(2)中におけるRがメトキシ基であり、R、R、R、R、R10およびR11が全て水素原子であり、nが1であり、Yが塩化亜鉛基である5−(4−メトキシフェニル)−2−チエニル亜鉛クロリドは、2−(4−メトキシフェニル)チオフェンにn−ブチルリチウムおよび塩化亜鉛を順次反応させる方法((K.Takahashi, T. Suguki, K.Akiyama, Y.Ikegami, Y.Fukazawa, J. Am. Chem. Soc., 1991, 113, 4576)等の公知の方法により製造することができる。
【0056】
【化25】

【0057】
また、式(2)中におけるRがヘキシル基であり、R、R、R、R、R10およびR11が全て水素原子であり、nが1であり、Yが臭化マグネシウム基である5−(4−ヘキシルフェニル)−2−チエニルマグネシウムブロミドは、2−(4−ヘキシルフェニル)チオフェンとN−ブロモコハク酸イミドとを反応させ2−ブロモ−5−(4−ヘキシルフェニル)チオフェンとし(S.E.Fritz, S.Mohapatra, B.T.Holmes, A.M.Amderson, C.F.Prendergast, C.D.Frisbie, M.D.Ward, M.F.Toner, Chemistry of Materials, 2007, 19, 1355)、さらにマグネシウムを反応させる等、公知の方法により製造することができる。
【0058】
【化26】

【0059】
また、式(2)中におけるRがメトキシ基であり、R、R、R、R、R10およびR11が全て水素原子であり、nが1であり、Yがホウ酸基である5−(4−メトキシフェニル)−2−チエニルボロン酸は、2−(4−メトキシフェニル)チオフェンとn−ブチルリチウムとを反応させ、さらにホウ酸トリエチルを反応させた後、塩酸で処理する(特開2004-143133)等、公知の方法により製造することができる。
【0060】
【化27】

【0061】
また、例えば、式(2)中におけるRがn−デシル基であり、R、R、R、R、R10およびR11が全て水素原子であり、nが1であり、Yがトリブチルスズ基である5−(4−デシルフェニル)−2−チエニルトリブチルスズは、2−(4−デシルフェニル)チオフェンにn−ブチルリチウムおよび塩化トリブチルスズを順次反応させる方法(特開2004-303890)等の公知の方法により製造することができる。
【0062】
【化28】

【0063】
式(3)で表される化合物の製造方法としては、例えば、式(3)中におけるR14、R15およびAが水素原子であり、(m−n)が0であり、nが1であり、Xが臭素原子である2−(4−ブロモフェニル)チオフェンは、2−チオフェンボロン酸とp−ジブロモベンゼンを触媒下で反応させる方法(Xia Hao, Xing-yu Yang, Zi-Xung Shan, De-Jie Zhao, 合成化学(Hecheng Huaxue) 2000, 8, 355)等の公知の方法により製造することができる。
【0064】
【化29】

【0065】
また、例えば、式(3)中における、Aがフェニル基であり、nが0であり、(m−n)が1であり、R12〜R15が水素原子であり、Xが臭素である2−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンは、2−(4−ブロモフェニル)チオフェンと5−フェニル−2−チエニルマグネシウムブロミドとを反応させ2−フェニル−5−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンとし(S.Hotta、H.Kimura、S.A.Lee、T.Tamaki、J. Heterocyclic Chem., 2000, 37, 281)、さらに、N−ブロモコハク酸イミドを反応させる方法等、公知の方法により製造することができる。
【0066】
【化30】

【0067】
前記式(2)で表される化合物と前記式(3)で表される化合物とを金属触媒の存在下で反応させる、前記式(4)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法において、式(2)で表される化合物の使用割合は、特に限定されないが、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.5〜10モルの割合であることが好ましく、0.8〜2モルの割合であることがより好ましい。式(2)で表される化合物の使用割合が0.5モル未満の場合は、収率が低下するおそれがある。また、式(2)で表される化合物の使用割合が10モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0068】
前記金属触媒としては、特に限定されず、例えば、パラジウム触媒およびニッケル触媒等が挙げられる。パラジウム触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリブチルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、パラジウム(0)カーボン、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、ジアセトビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジアセト[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)、ジアセト[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)、ジアセト[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)およびジアセト[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)]フェロセン]パラジウム(II)等が挙げられる。
【0069】
また、ニッケル触媒としては、例えば、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]ニッケル(II)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ジブロモ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)、ジブロモ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]ニッケル(II)、ジブロモ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、ジブロモ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)等が挙げられる。
【0070】
これらの金属触媒の中でも、反応性が高い観点から、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)が好適に用いられる。
【0071】
金属触媒の使用割合は、特に限定されないが、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.001〜0.5モルの割合であることが好ましく、0.01〜0.15モルの割合であることがより好ましい。金属触媒の使用割合が0.001モル未満の場合は、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、金属触媒の使用割合が0.5モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0072】
式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応に用いられる反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられる。中でも、ヘキサン、トリクロロベンゼン、テトラヒドロフランおよびシクロペンチルメチルエーテルが好適に用いられる。
【0073】
前記反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(3)で表される化合物100重量部に対して、20〜20000重量部であることが好ましく、100〜10000重量部であることがより好ましい。反応溶媒の使用量が20重量部未満の場合は、反応生成物が析出して撹拌が困難となるおそれがある。また、反応溶媒の使用量が20000重量部を超える場合は、使用量に見合う効果がなく容積効率が悪化し経済的でない。
【0074】
反応温度は、通常、−80〜200℃であり、好ましくは−20〜150℃であり、より好ましくは−10〜120℃である。反応温度が−80℃未満の場合は、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が200℃を超える場合は、副生成物が増加するおそれがある。また、反応時間は、反応温度により異なるが、通常0.5〜50時間である。
【0075】
かくして得られる(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、反応液を濃縮し固体を析出させる方法や反応液を冷却して固体を析出させた後にろ過する方法等により容易に単離することができる。
【0076】
本発明に係る前記式(1)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、下記式(7)でも表現することができる。式(7)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、例えば、下記式(5)で表される化合物と下記式(6)で表される化合物とを金属触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0077】
【化31】

【0078】
【化32】

【0079】
【化33】

【0080】
式(7)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。pは0または1の整数を示す。mは1〜3の整数を示す。R16〜R21はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。(m−p)個のR18は同一であっても異なっていてもよく、(m−p)個のR19は同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するR16、R17、(m−p)個のR18、(m−p)個のR19、R20、R21およびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。
【0081】
式(5)中、R16およびR17はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。pは0または1の整数を示す。
【0082】
で示される、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基の具体例としては、前記式(2)においてYで示される、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基の具体例と同じ基を挙げることができる。
【0083】
式(6)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。R18〜R21はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。pは上記式(5)と同じ整数であり、0または1の整数を示す。(m−p)個のR18は同一であっても異なっていてもよく、(m−p)個のR19は同一であっても異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0084】
式(5)および式(6)で表される化合物は、市販品を用いてもよいし、公知の方法およびそれに準拠した方法により適宜必要に応じて製造したものを使用してもよい。
【0085】
式(5)で表される化合物の製造方法としては、例えば、式(5)中におけるR16、R17およびAが水素原子であり、pが1であり、Yが臭化マグネシウム基である4−(2−チエニル)フェニルマグネシウムブロミドは、2−チオフェンボロン酸とp−ジブロモベンゼンを触媒下で反応させ(Xia Hao, Xing-yu Yang, Zi-Xung Shan, De-Jie Zhao, 合成化学(Hecheng Huaxue) 2000, 8, 355)、マグネシウムと反応させる等の公知の方法により製造することができる。
【0086】
【化34】

【0087】
式(6)で表される化合物の製造方法としては、例えば、式(6)中におけるpが1であり、(m−p)が0であり、Rがヘキシル基であり、R〜R、R〜RおよびR20〜R21が全て水素原子であり、Xが臭素である、2−ブロモ−5−(4−ヘキシルフェニル)チオフェンは、2−(4−ヘキシルフェニル)チオフェンとN−ブロモコハク酸イミドとを反応させる(S.E.Fritz, S.Mohapatra, B.T.Holmes, A.M.Amderson, C.F.Prendergast, C.D.Frisbie, M.D.Ward, M.F.Toner, Chemistry of Materials, 2007, 19, 1355)等、公知の方法により製造することができる。
【0088】
【化35】

【0089】
前記式(5)で表される化合物と前記式(6)で表される化合物とを金属触媒の存在下で反応させる、前記式(7)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法において、式(5)で表される化合物の使用割合は、特に限定されないが、式(6)で表される化合物1モルに対して、0.5〜10モルの割合であることが好ましく、0.8〜2モルの割合であることがより好ましい。式(5)で表される化合物の使用割合が0.5モル未満の場合は、収率が低下するおそれがある。また、式(5)で表される化合物の使用割合が10モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0090】
前記金属触媒としては、前記した、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応に用いられる金属触媒と同じものを挙げることができる。
【0091】
金属触媒の使用割合は、特に限定されないが、式(6)で表される化合物1モルに対して、0.001〜0.5モルの割合であることが好ましく、0.01〜0.15モルの割合であることがより好ましい。金属触媒の使用割合が0.001モル未満の場合は、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、金属触媒の使用割合が0.5モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0092】
式(5)で表される化合物と式(6)で表される化合物との反応に用いられる反応溶媒としては、前記した、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応に用いられる反応溶媒と同じものを挙げることができる。
【0093】
前記反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(6)で表される化合物100重量部に対して、20〜20000重量部であることが好ましく、100〜10000重量部であることがより好ましい。反応溶媒の使用量が20重量部未満の場合は、反応生成物が析出して撹拌が困難となるおそれがある。また、反応溶媒の使用量が20000重量部を超える場合は、使用量に見合う効果がなく容積効率が悪化し経済的でない。
【0094】
反応温度は、通常、−80〜200℃であり、好ましくは−20〜150℃であり、より好ましくは−10〜120℃である。反応温度が−80℃未満の場合は、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が200℃を超える場合は、副生成物が増加するおそれがある。また、反応時間は、反応温度により異なるが、通常0.5〜50時間である。
【0095】
かくして得られる(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、反応液を濃縮し固体を析出させる方法や、反応液を冷却して固体を析出させた後にろ過する方法等により、容易に単離することができる。
【0096】
本発明に係る前記式(1)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーのうち、Aがフェニル基または炭素数1〜16のアルキル基に限定される場合、下記式(10)でも表現することができる。式(10)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、例えば、下記式(8)で表される化合物と下記式(9)で表される化合物とを金属触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0097】
【化36】

【0098】
【化37】

【0099】
【化38】

【0100】
式(10)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Bはフェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、R、RおよびBのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。
【0101】
式(8)中、Bはフェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。
【0102】
で示される、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基の具体例としては、前記式(2)においてYで示される、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基の具体例と同じ基を挙げることができる。
【0103】
式(9)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0104】
式(8)および式(9)で表される化合物は、市販品を用いてもよいし、公知の方法およびそれに準拠した方法により適宜必要に応じて製造したものを使用してもよい。
例えば、式(9)中における、mが1であり、R〜Rが全て水素原子であり、Xが臭素である2−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンは、2−(4−ブロモフェニル)チオフェンと5−フェニル−2−チエニルマグネシウムブロミドを反応させ2−フェニル−5−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンとし(S.Hotta、H.Kimura、S.A.Lee、T.Tamaki、J. Heterocyclic Chem., 2000, 37, 281)、さらに、N−ブロモコハク酸イミドを反応させる方法等、公知の方法により製造することができる。
【0105】
【化39】

【0106】
前記式(8)で表される化合物と前記式(9)で表される化合物とを金属触媒の存在下で反応させる、前記式(10)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法において、式(8)で表される化合物の使用割合は、特に限定されないが、式(9)で表される化合物1モルに対して、0.5〜10モルの割合であることが好ましく、0.8〜2モルの割合であることがより好ましい。式(8)で表される化合物の使用割合が0.5モル未満の場合は、収率が低下するおそれがある。また、式(8)で表される化合物の使用割合が10モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0107】
前記金属触媒としては、前記した、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応に用いられる金属触媒と同じものを挙げることができる。
【0108】
金属触媒の使用割合は、特に限定されないが、式(9)で表される化合物1モルに対して、0.001〜0.5モルの割合であることが好ましく、0.01〜0.15モルの割合であることがより好ましい。金属触媒の使用割合が0.001モル未満の場合は、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、金属触媒の使用割合が0.5モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0109】
式(8)で表される化合物と式(9)で表される化合物との反応に用いられる反応溶媒としては、前記した、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応に用いられる反応溶媒と同じものを挙げることができる。
【0110】
前記反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(9)で表される化合物100重量部に対して、20〜20000重量部であることが好ましく、100〜10000重量部であることがより好ましい。反応溶媒の使用量が20重量部未満の場合は、反応生成物が析出して撹拌が困難となるおそれがある。また、反応溶媒の使用量が20000重量部を超える場合は、使用量に見合う効果がなく容積効率が悪化し経済的でない。
【0111】
反応温度は、通常、−80〜200℃であり、好ましくは−20〜150℃であり、より好ましくは−10〜120℃である。反応温度が−80℃未満の場合は、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が200℃を超える場合は、副生成物が増加するおそれがある。また、反応時間は、反応温度により異なるが、通常0.5〜50時間である。
【0112】
かくして得られる(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、反応液を濃縮し固体を析出させる方法や、反応液を冷却して固体を析出させた後にろ過する方法等により、容易に単離することができる。
【0113】
本発明に係る前記式(1)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーのうち、R〜Rが全て水素原子、Aがフェニル基に限定される場合、下記式(13)でも表現することができる。式(13)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、例えば、下記式(11)で表される化合物と下記式(12)で表される化合物とを金属触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0114】
【化40】

【0115】
【化41】

【0116】
【化42】

【0117】
式(13)中、mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、R、Rのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。
【0118】
式(11)中、Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。
【0119】
で示される、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基の具体例としては、前記式(2)においてYで示される、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基の具体例と同じ基を挙げることができる。
【0120】
式(12)中、mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。X、Xはそれぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0121】
式(11)および式(12)で表される化合物は、市販品を用いてもよいし、公知の方法およびそれに準拠した方法により適宜必要に応じて製造したものを使用してもよい。
【0122】
前記式(11)で表される化合物と前記式(12)で表される化合物とを金属触媒の存在下で反応させる、前記式(13)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法において、式(11)で表される化合物の使用割合は、特に限定されないが、式(12)で表される化合物1モルに対して、0.5〜20モルの割合であることが好ましく、1.6〜4モルの割合であることがより好ましい。式(11)で表される化合物の使用割合が0.5モル未満の場合は、収率が低下するおそれがある。また、式(11)で表される化合物の使用割合が20モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0123】
前記金属触媒としては、前記した、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応に用いられる金属触媒と同じものを挙げることができる。
【0124】
金属触媒の使用割合は、特に限定されないが、式(12)で表される化合物1モルに対して、0.002〜1モルの割合であることが好ましく、0.02〜0.3モルの割合であることがより好ましい。金属触媒の使用割合が0.002モル未満の場合は、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、金属触媒の使用割合が1モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0125】
式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物との反応に用いられる反応溶媒としては、前記した、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応に用いられる反応溶媒と同じものを挙げることができる。
【0126】
前記反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(12)で表される化合物100重量部に対して、20〜20000重量部であることが好ましく、100〜10000重量部であることがより好ましい。反応溶媒の使用量が20重量部未満の場合は、反応生成物が析出して撹拌が困難となるおそれがある。また、反応溶媒の使用量が20000重量部を超える場合は、使用量に見合う効果がなく容積効率が悪化し経済的でない。
【0127】
反応温度は、通常、−80〜200℃であり、好ましくは−20〜150℃であり、より好ましくは−10〜120℃である。反応温度が−80℃未満の場合は、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が200℃を超える場合は、副生成物が増加するおそれがある。また、反応時間は、反応温度により異なるが、通常0.5〜50時間である。
【0128】
かくして得られる(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、反応液を濃縮し固体を析出させる方法や、反応液を冷却して固体を析出させた後にろ過する方法等により、容易に単離することができる。
【発明の効果】
【0129】
本発明によると、融点が比較的低く、また種々の溶媒に対する溶解性に優れた(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを含む有機半導体材料および発光材料、並びに、当該(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0130】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0131】
製造例1 2−(4−ブロモフェニル)−4−ヘキシルチオフェン
【0132】
【化43】

【0133】
撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた2000mL容の四つ口フラスコにp−ブロモヨードベンゼン28.3g(100mmol)、トルエン400ml、水400mlおよびエタノール400mlを仕込んだ。これに室温、窒素雰囲気下で、文献(T. Kirschbaum, C.A.Briehn, P. Bauerle, J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 2000, 1211-1216)の記載に従って合成した4−ヘキシル−2−チエニルボロン酸29.0g(137mmol)、炭酸ナトリウム38.0g(359mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3.5g(3.0mmol)を添加し、60℃に昇温して5時間撹拌することにより反応液を得た。
【0134】
次に前記反応液に水550ml、酢酸エチル350mlを添加して30分撹拌し、分液して有機層を得た後、これに水100mlを加えて30分撹拌し、再度分液して有機層を得た。この有機層を濃縮することにより2−(4−ブロモフェニル)−4−ヘキシルチオフェンの粗体を得た。得られた粗体を展開溶媒としてヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、2−(4−ブロモフェニル)−4−ヘキシルチオフェン25.5g(79mmol)の無色油状物を得た。p−ブロモヨードベンゼンに対する収率は79%であった。
【0135】
製造例2 2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−4−ヘキシルチオフェン
【0136】
【化44】

【0137】
攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた100mL容の四つ口フラスコにマグネシウム0.31g(13mmol)およびシクロペンチルメチルエーテル20mlを仕込んだ。次に2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン2.1g(8.5mmol)を量りとり、その約1/10量を前記フラスコ内に室温、窒素雰囲気下で添加し、反応液が白濁したところで、さらに残りの2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェンを30分かけて滴下した後、5時間撹拌し、3−ヘキシル−2−チオフェンマグネシウムブロミドのシクロペンチルメチルエーテル溶液を得た。
【0138】
別途、撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに2−(4−ブロモフェニル)チオフェン2.2g(9.2mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)0.2g(0.3mmol)およびシクロペンチルメチルエーテル20mLを仕込んだ。これに室温、窒素雰囲気下で、前記3−ヘキシル−2−チオフェンマグネシウムブロミドのシクロペンチルメチルエーテル溶液の全量を30分かけて滴下した後、2時間撹拌して反応液を得た。
【0139】
次に、前記反応液に2.5%塩酸120mlを添加して30分撹拌し、分液して有機層を得て、これに水100mlを加えて30分撹拌した。これを分液し、得られた有機層を濃縮し、減圧蒸留(40Pa、150〜170℃)することにより、黄色油状物である3−ヘキシル−2−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェン1.0g(3.1mmol)を得た。3−ヘキシル−2−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンの2−(4−ブロモフェニル)チオフェンに対する収率は34%であった。
【0140】
次に、撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、前記3−ヘキシル−2−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェン1.0g(3.1mmol)およびジメチルホルムアミド50mLを仕込み、室温、窒素雰囲気下でN−ブロモスクシンイミド1.4g(8.0mmol)を少量ずつ分割して加えた。これを4時間撹拌した後、濃縮し、メタノール30mlを添加して濾過した後、さらに、メタノールを添加して再結晶を行い、淡黄色結晶の2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−4−ヘキシルチオフェン1.0g(2.1mmol)を得た。2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−4−ヘキシルチオフェンの3−ヘキシル−2−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンに対する収率は68%であった。
【0141】
製造例3 2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−3−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−3−ヘキシルチオフェン
【0142】
【化45】

【0143】
撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、マグネシウム1.4g(58mmol)、シクロペンチルメチルエーテル100mlを仕込んだ。次に2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン13.6g(55mmol)を量りとり、その約1/10量を前記フラスコ内に室温、窒素雰囲気下で添加し、反応液が白濁したところで、さらに残りの2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェンを30分かけて滴下した後、5時間撹拌し、3−ヘキシル−2−チオフェンマグネシウムブロミドのシクロペンチルメチルエーテル溶液を得た。
【0144】
別途、撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに製造例1で合成した2−(4−ブロモフェニル)−4−ヘキシルチオフェン16.2g(50mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)1.4g(2.5mmol)およびシクロペンチルメチルエーテル75mLを仕込んだ。これに室温、窒素雰囲気下で、前記3−ヘキシル−2−チオフェンマグネシウムブロミドのシクロペンチルメチルエーテル溶液の全量を1時間かけて滴下した後、5時間撹拌して反応液を得た。

【0145】
次に、前記反応液に2.5%塩酸200mlを添加して30分撹拌し、分液して有機層を得て、これに水50mlを加えて30分撹拌した。これを分液し、得られた有機層を濃縮し、展開溶媒としてヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、橙色油状物である2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−3−ヘキシルチオフェン15g(37mmol)を得た。2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−3−ヘキシルチオフェンの2−(4−ブロモフェニル)−4−ヘキシルチオフェンに対する収率は74%であった。
【0146】
次に、撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに前記2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−3−ヘキシルチオフェン14g(34mmol)およびジメチルホルムアミド40mLを仕込み、室温、窒素雰囲気下でN−ブロモスクシンイミド12.0g(68mmol)を少量ずつ分割して加えた。これを4時間撹拌した後、ヘプタン50ml、水100mlを添加し、分液して有機層を得た。これに水30mlを添加し、30分撹拌し、再度分液して有機層を得た。この有機層を濃縮することにより、黄色油状物の2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−3−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−3−ヘキシルチオフェン17g(30mmol)を得た。2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−3−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−3−ヘキシルチオフェンの2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−3−ヘキシルチオフェンに対する収率は88%であった。
【0147】
実施例1 2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェン
【0148】
【化46】

【0149】
撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた100mL容の四つ口フラスコにマグネシウム0.88g(36mmol)、シクロペンチルメチルエーテル15mlを仕込んだ。2−ブロモ−5−フェニルチオフェン7.9g(33mmol)とシクロペンチルメチルエーテル15mlとの溶液を調製し、その1/10量を前記フラスコ内に室温、窒素雰囲気下で添加し、反応液が白濁したところで、さらに残りの2−ブロモ−5−フェニルチオフェンのシクロペンチルメチルエーテル溶液を1時間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌し、5−フェニル−2−チエニルマグネシウムブロミドのシクロペンチルメチルエーテル溶液とした。
【0150】
別途、撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに製造例1で得られた2−(4−ブロモフェニル)−4−ヘキシルチオフェン9.7g(30mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)0.81g(1.5mmol)およびシクロペンチルメチルエーテル60mLを仕込み、室温、窒素雰囲気下で、前記5−フェニル−2−チエニルマグネシウムブロミドのシクロペンチルメチルエーテル溶液全量を1時間かけて滴下した後、4時間撹拌して反応液を得た。
【0151】
次に、前記反応液に2.5%塩酸90mlを添加して30分撹拌し、シクロペンチルメチルエーテルを150ml添加後、60℃に昇温し、分液して有機層を得た。これに水60mlを加えて30分撹拌し、これを分液し、得られた有機層を5℃に冷却後、濾過、乾燥し、黄色固体を得た。これを展開溶媒としてヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンの淡黄色結晶を9.8g(24mmol)を得た。2−(4−ブロモフェニル)−4−ヘキシルチオフェンに対する収率は80%であった。
【0152】
得られた淡黄色結晶が、2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンであることを下記の分析結果により確認した。
融点:173℃
H−NMR(400MHz, THF-d8):δ0.90 (t, 3H), 1.31-1.41 (m, 6H), 1.67 (quintet, 2H), 2.62 (t, 2H), 6.96 (d, 1H), 7.25 (tt, 1H), 7.30 (d, 1H), 7.36 (t, 2H), 7.39 (d, 1H), 7.41 (d, 1H), 7.62-7.68 (m, 6H)
【0153】
実施例2 3−ヘキシル−5−[4−(5−フェニル−2−チエニル)フェニル]−2−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェン
【0154】
【化47】

【0155】
撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、実施例1で得られた2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェン6.0g(15mmol)およびジメチルホルムアミド400mLを仕込み、60℃、窒素雰囲気下でN−ブロモスクシンイミド2.7g(15mmol)を少量ずつ分割して加えた。これを2時間撹拌した後、5℃に冷却し濾過、乾燥することで、2−[4−(5−ブロモ−4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンの淡黄色結晶6.7g(14mmol)を取得した。2−[4−(5−ブロモ−4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンの2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンに対する収率は93%であった。
【0156】
次に、撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに上記で得られた2−[4−(5−ブロモ−4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェン2.4g(5.0mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)0.14g(0.26mmol)およびテトラヒドロフラン80mLを仕込み、室温、窒素雰囲気下で、4−(2−チエニル)フェニルマグネシウムブロミドの1.0Mシクロペンチルメチルエーテル溶液10ml(10mmol)を1時間かけて滴下した後、3時間撹拌して反応液を得た。
【0157】
次に、前記反応液について40℃で溶媒を減圧留去し、シクロペンチルメチルエーテル100mlを添加し、次いで、2.5%塩酸20mlを添加して30分撹拌した後、分液して有機層を得た。この有機層に水20mlを加えて30分撹拌し、分液した後、得られた有機層を濃縮し、茶色固体を得た。これを展開溶媒としてヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、黄色結晶である3−ヘキシル−5−[4−(5−フェニル−2−チエニル)フェニル]−2−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンを0.10g(0.18mmol)得た。3−ヘキシル−5−[4−(5−フェニル−2−チエニル)フェニル]−2−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンの2−[4−(5−ブロモ−4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンに対する収率は4%であった。
【0158】
得られた黄色結晶が、3−ヘキシル−5−[4−(5−フェニル−2−チエニル)フェニル]−2−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンであることを下記の分析結果により確認した。
融点:199℃
1H−NMR(400MHz, THF-d8):δ 0.88 (t, 3H), 1.29-1.39 (m, 6H), 1.60-1.68 (m, 2H), 2.74 (t, 2H), 7.09 (dd, 1H), 7.25 (tt, 1H), 7.35-7.40 (m, 5H), 7.43-7.45 (m, 2H), 7.51 (d, 2H), 7.66-7.72 (m, 8H)
【0159】
実施例3 2−[4−(5−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェン
【0160】
【化48】

【0161】
撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、後述する比較例1の記載に従って合成した2−フェニル−5−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェン0.6g(1.9mmol)およびジメチルホルムアミド100mLを仕込み、60℃、窒素雰囲気下でN−ブロモスクシンイミド0.4g(2.2mmol)を少量ずつ分割して加えた。これを2時間撹拌した後、5℃に冷却し濾過、乾燥することで、2−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンの淡黄色結晶0.7g(1.8mmol)を取得した。2−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンの2−フェニル−5−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンに対する収率は95%であった。
【0162】
次に、撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに、上記で得られた2−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェン0.60g(1.5mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)0.08g(0.15mmol)およびシクロペンチルメチルエーテル200mLを仕込み、室温、窒素雰囲気下で、1−ヘキシルマグネシウムブロミドの1.0Mシクロペンチルメチルエーテル溶液7.5mlを1時間かけて滴下した後、2時間撹拌し反応液を得た。
【0163】
次に、前記反応液に2.5%塩酸20mlを添加して30分撹拌した後、分液して有機層を得た。この有機層に水20mlを加えて30分撹拌し、分液した後、得られた有機層を濃縮することで、茶色固体を得た。これを展開溶媒としてヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、黄色結晶である2−[4−(5−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンを0.15g(0.37mmol)得た。2−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンに対する収率は25%であった。
融点:193℃
H−NMR(400MHz, THF-d8):δ0.91 (t, 3H), 1.32-1.42 (m, 6H), 1.67-1.76 (m, 2H), 2.83 (t, 2H), 6.77 (d, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.24-7.27 (m, 1H), 7.34-7.41 (m, 4H), 7.59 (d, 2H), 7.61-7.67 (m, 4H)
【0164】
実施例4 3−ヘキシル−5−フェニル−2−[4−(5−フェニル−2−チエニル)フェニル]チオフェン
【0165】
【化49】

【0166】
撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた100mL容の四つ口フラスコに製造例2で得られた2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−4−ヘキシルチオフェン0.9g(1.9mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)0.05g(0.09mmol)およびシクロペンチルメチルエーテル20mLを仕込み、室温、窒素雰囲気下で、フェニルマグネシウムブロミドの1.0Mシクロペンチルメチルエーテル溶液10mlを1時間かけて滴下した後、2時間撹拌して反応液を得た。
【0167】
次に、前記反応液に2.5%塩酸50mlを添加して30分撹拌した後、分液して有機層を得た。この有機層に水20mlを加えて30分撹拌し、分液した後、得られた有機層を濃縮することで、茶色固体を得た。これを展開溶媒としてヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、黄色結晶である3−ヘキシル−5−フェニル−2−[4−(5−フェニル−2−チエニル)フェニル]チオフェンを0.6g(1.3mmol)得た。2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−2−チエニル)フェニル]−4−ヘキシルチオフェンに対する収率は66%であった。
【0168】
得られた黄色結晶が、3−ヘキシル−5−フェニル−2−[4−(5−フェニル−2−チエニル)フェニル]チオフェンであることを下記の分析結果により確認した。
融点:117℃
H−NMR(400MHz, THF-d8):δ0.88 (t, 3H), 1.31-1.38 (m, 6H), 1.66-1.70 (m, 2H), 2.74 (t, 2H), 7.22-7.29 (m, 2H), 7.34-7.42 (m, 6H), 7.46 (d, 1H), 7.52 (d, 2H), 7.63-7.69 (m, 4H), 7.75 (d, 2H)
【0169】
実施例5 3−ヘキシル−2−フェニル−5−[4−(3−ヘキシル−5−フェニル−2−チエニル)フェニル]チオフェン
【0170】
【化50】

【0171】
撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに製造例3で得られた2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−3−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−3−ヘキシルチオフェン5.7g(10mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)0.27g(0.5mmol)およびシクロペンチルメチルエーテル30mLを仕込み、室温、窒素雰囲気下で、フェニルマグネシウムブロミドの1.0Mシクロペンチルメチルエーテル溶液50mlを1時間かけて滴下した後、2時間撹拌して反応液を得た。
【0172】
次に、前記反応液に2.5%塩酸100mlを添加して30分撹拌した後、分液して有機層を得た。この有機層に水50mlを加えて30分撹拌し、分液した後、得られた有機層を濃縮することで、茶色油状物を得た。これを展開溶媒としてヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、黄色油状物である3−ヘキシル−2−フェニル−5−[4−(3−ヘキシル−5−フェニル−2−チエニル)フェニル]チオフェンを4.0g(7.1mmol)得た。2−ブロモ−5−[4−(5−ブロモ−3−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−3−ヘキシルチオフェンに対する収率は71%であった。
【0173】
得られた黄色油状物が、3−ヘキシル−2−フェニル−5−[4−(3−ヘキシル−5−フェニル−2−チエニル)フェニル]チオフェンであることを下記の分析結果により確認した。
融点:室温で油状物
H−NMR(400MHz, THF-d8):δ0.87 (m, 6H), 1.22-1.40 (m, 12H), 1.63-1.70 (m, 4H), 2.66-2.74 (m, 4H), 7.22 (t, 1H), 7.29-7.42 (m, 7H), 7.48 (t, 4H), 7.61-7.65 (m, 2H), 7.70 (d, 2H)
【0174】
比較例1 2−フェニル−5−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェン
【0175】
【化51】

【0176】
2−フェニル−5−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンを文献(J. Heterocyclic Chem., 2000,281)の記載に従って合成した。
撹拌機、温度計および冷却器を備え付けた50ml容の四つ口フラスコにマグネシウム0.4g(16mmol)、シクロペンチルメチルエーテル10mlを仕込み、2−ヨード−5−フェニルチオフェン3.7g(13mmol)とシクロペンチルメチルエーテル20mlとの溶液を調製し、その約1/10量を室温、窒素雰囲気下で添加した。反応液が白濁したところで、さらに残りの2−ヨード−5−フェニルチオフェンのシクロペンチルメチルエーテル溶液を1時間かけて滴下した。室温で2時間攪拌し、5−フェニル−2−チエニルマグネシウムヨージドのシクロペンチルメチルエーテル溶液とした。
【0177】
別途、攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた100ml容の四つ口フラスコに2−(4−ブロモフェニル)チオフェン3.0g(13mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)0.3g(0.6mmol)およびシクロペンチルメチルエーテル30mlを仕込み、室温、窒素雰囲気下で、上記で合成した5−フェニル−2−チエニルマグネシウムヨージドのシクロペンチルメチルエーテル溶液全量を1時間かけて滴下した後、10時間攪拌して反応液を得た。
【0178】
次に、前記反応液に2.5%塩酸150mlを添加して30分攪拌した。その後、シクロペンチルメチルエーテルを250ml添加後、分液して有機層を得た。得られた有機層を5℃に冷却後、ろ過、乾燥し、2−フェニル−5−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンの淡黄色結晶2.5g(8mmol)を得た。2−(4−ブロモフェニル)チオフェンに対する収率は60%であった。
【0179】
比較例2 1,4−ビス(5−フェニル−2−チエニル)ベンゼン
【0180】
【化52】

【0181】
1,4−ビス(5−フェニル−2−チエニル)ベンゼンを特許文献(特開2003−040886)の記載に従って合成した。
攪拌機、温度計、および冷却器を備え付けた5L容の四つ口フラスコに、1,2,4−トリクロロベンゼン1050g、4重量%炭酸ナトリウム水溶液761g(0.289モル)、1,4−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)ベンゼン14.5g(0.036モル)、フェニルボロン酸17.7g(0.145モル)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)5.5g(4.8ミリモル)を仕込み、80℃で6時間反応させた。
【0182】
反応終了後、反応溶液を冷却し、析出した生成物を濾過し、結晶を水およびアセトンで洗浄し、減圧乾燥して1,4−ビス(5−フェニル−2−チエニル)ベンゼン12.0g(0.030モル)を得た。1,4−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)ベンゼンに対する収率は83%であった。
【0183】
評価
[融点および溶媒に対する溶解性]
実施例1および実施例4で得られた2−[4−(4−ヘキシル−2−チエニル)フェニル]−5−フェニルチオフェンおよび3−ヘキシル−5−フェニル−2−[4−(5−フェニル−2−チエニル)フェニル]チオフェン並びに比較例1および比較例2で得られた2−フェニル−5−[4−(2−チエニル)フェニル]チオフェンおよび1,4−ビス(5−フェニル−2−チエニル)ベンゼンの融点、およびテトラヒドロフランに対する25℃での溶解度を測定した。それぞれの測定結果を表1に示す。
【0184】
【表1】

【0185】
表1から、実施例1および実施例4で得られた(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、従来より知られている類似構造の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーと比較して、融点が低くテトラヒドロフランに対する溶解性に優れていることがわかる。
[発光特性]
【0186】
実施例1〜5で得られた(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーについて、発光材料としての有用性を評価した。評価方法としては、実施例1〜5で得られた各結晶物の数片を試料管に入れて密栓し、試料管の外部から紫外光(365nm)を照射して、当該結晶物から発せられる蛍光の色調を目視で観察した。これらの結果を表2に示す。
【0187】
【表2】

【0188】
表2から、実施例1〜4で得られた(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーは、発光材料として有用であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、R、RおよびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー。
【請求項2】
請求項1に記載の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを含む有機半導体材料。
【請求項3】
請求項1に記載の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーを含む発光材料。
【請求項4】
式(2):
【化2】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。nは0または1の整数を示す。Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。)で表される化合物と、式(3):
【化3】

(式中、R12〜R15は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。nは上記式(2)と同じ整数であり、0または1の整数を示す。mは1〜3の整数を示す。(m−n)個のR12は同一であっても異なっていてもよく、(m−n)個のR13は同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物とを、金属触媒の存在下で反応させることを特徴とする、式(4):
【化4】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。nは0または1の整数を示す。mは1〜3の整数を示す。R10〜R15はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。(m−n)個のR12は同一であっても異なっていてもよく、(m−n)個のR13は同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するR10、R11、(m−n)個のR12、(m−n)個のR13、R14、R15およびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。
【請求項5】
式(5):
【化5】

(式中、R16およびR17はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。pは0または1の整数を示す。)で表される化合物と、式(6):
【化6】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。R18〜R21はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。pは上記式(5)と同じ整数であり、0または1の整数を示す。(m−p)個のR18は同一であっても異なっていてもよく、(m−p)個のR19は同一であっても異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表される化合物とを、金属触媒の存在下で反応させることを特徴とする、式(7):
【化7】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Aは水素原子、フェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。pは0または1の整数を示す。mは1〜3の整数を示す。R16〜R21はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。(m−p)個のR18は同一であっても異なっていてもよく、(m−p)個のR19は同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するR16、R17、(m−p)個のR18、(m−p)個のR19、R20、R21およびAのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。
【請求項6】
式(8):
【化8】

(式中、Bはフェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。)で表される化合物と、式(9):
【化9】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。Xは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表される化合物とを、金属触媒の存在下で反応させることを特徴とする、式(10):
【化10】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。Bはフェニル基または炭素数1〜16のアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、R、RおよびBのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。
【請求項7】
式(11):
【化11】

(式中、Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子とクロスカップリング可能な置換基を示す。)で表される化合物と、式(12):
【化12】

(式中、mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。X、Xはそれぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表される化合物とを、金属触媒の存在下で反応させることを特徴とする、式(13):
【化13】

(式中、mは1〜3の整数を示す。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。m個のRは同一であっても異なっていてもよく、m個のRは同一であっても異なっていてもよい。但し、チオフェン環に結合するm個のR、m個のR、RおよびRのうち、少なくとも1個は炭素数1〜16のアルキル基である。)で表される(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。
【請求項8】
金属触媒が、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)である請求項4〜7のいずれかに記載の(チオフェン/フェニレン)コオリゴマーの製造方法。

【公開番号】特開2010−24191(P2010−24191A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188486(P2008−188486)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】