(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送するための方法
(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、円形の断面積QFを有する配管を通じて輸送するための方法であって、前記配管には制流子Bが配置されており、当該制流子は、開放断面積QFの部分面積を閉鎖する一方で、断面積QFの部分面積(TF)を開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的で制流子(Blende)Bが配置されており、当該制流子は、そこで円形の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお当該箇所に、液体流Fを貫流させるための断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法に関する。
【0002】
「(メタ)アクリルモノマー」という記載様式は、本明細書においては、「アクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマー」の略称である。本明細書においてアクリルモノマーという言葉は、アクリル酸、アクリル酸のエステル、及び/又はアクリロニトリルの略称である。本明細書においてメタクリルモノマーという言葉は、メタクリル酸、メタクリル酸のエステル、及び/又はメタクリロニトリルの省略形である。
【0003】
前述のエステルに属するのは特に、アクリル酸と、炭素数1〜12のアルコールとから得られるエステル、またメタクリル酸と、炭素数1〜12のアルコールとから得られるエステルである。ここでアルコールとしては、一価アルコール(1個の−OH基を有するもの)と同様に多価アルコール(2個以上の−OH基を有するもの)も考慮される。これらのアルコールに属するのは、炭素数が1〜12、好ましくは1〜8である、一価及び多価のアルコールである。
【0004】
この定義は必ずしも、これらのエステルの製造が、相応するアルコールと各場合における酸との反応によって行われなければならないことを含むわけではない。むしろ製造法として、その他の反応、例えばエステル交換反応または付加反応も考慮される。
【0005】
本明細書では特に、以下の(メタ)アクリル酸エステルが、(メタ)アクリルモノマーに含まれる:ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートである。
【0006】
さらに、「(メタ)アクリルモノマー」という概念に含まれるのは、モノマーのアクロレインとメタクロレインであり、これらは特に中間生成物として(例えばアクリル酸及びメタクリル酸の製造のために)重要である。
【0007】
その他には、(メタ)アクリルモノマー(特に、個別に列挙したもの)が、ポリマー製造のために重要な出発化合物であり、これらは例えば接着剤として用いられる。
【0008】
(メタ)アクロレイン、また(メタ)アクリル酸は、大規模工業では主に適切なC3〜C4前駆体化合物の不均一系接触部分気相酸化によって、アクロレインの場合(一段階の部分酸化で)、アクリル酸の場合(アクロレインを中間生成物として、一段階又は二段階の部分酸化で)は、特にプロペンとプロパンから、及び/又はメタクロレインの場合(一段階の部分酸化で)、及びメタクリル酸の場合(メタクロレインを中間生成物として、一段階又は二段階の部分酸化で)は、イソブテン及びイソブタンから、製造される。しかしながら、プロペン、プロパン、イソブテン、及びイソブタンの他にも、炭素数が3又は4の別の化合物、例えばイソブタノール、n−プロパノール、又はイソブタノールのメチルエーテルが、出発物質として適している。
【0009】
ここでは通常、生成物の混合物が得られ、当該混合物から、(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を、吸収法、精留法、抽出法、及び/又は結晶法によって分離しなければならない(例えばDE-A 10 224 341参照)。相応する方法では、(メタ)アクリロニトリルが、前述のC3/C4前駆体化合物を接触アンモ酸化し、引き続き、生成ガス混合物から分離することによって得られる。
【0010】
(メタ)アクリル酸のエステルは例えば、(メタ)アクリル酸を相応するアルコールと直接反応させることによって得られる。ただしこの場合には、まず生成混合物を沈殿させ、その混合物から(メタ)アクリル酸エステルを、例えば精留及び/又は抽出によって分離しなければならない。
【0011】
前記分離との関連では特に、(メタ)アクリルモノマーを多少なりとも純粋な形で、又は溶液で存在させて輸送することが、常に必要となる(本明細書では一般的に、(メタ)アクリルモノマー含有液体Fと呼ぶ)。
【0012】
ここでこの溶剤は、水性であっても、また有機溶剤であってもよい。溶剤の種類の特定は、本発明によれば、基本的に重要ではない。もちろんまた、(メタ)アクリルモノマー自体、溶剤、及び不純物(副成分)が、溶解体を形成し得る。輸送すべき液体F(特に溶液)の(メタ)アクリルモノマー含分は、例えば、≧5質量%、又は≧10質量%、又は≧20質量%、又は≧40質量%、又は≧60質量%、又は≧80質量%、又は≧90質量%、又は≧95質量%、又は≧99質量%であり得る(特に、本発明による方法の範囲でも)。
【0013】
(メタ)アクリルモノマー含有液体Fの輸送は通常、輸送ポンプPによって(例えばDE-A 10 228 859参照)配管を通じて流れる流量そのものとして行われる。
【0014】
ここで配管の内部は通常、円形状の開放断面QFを有し、これを通じて液体流Fが流れる。ここで「輸送ポンプP」という用語は、本明細書では常に、液体(つまり、ほとんど非圧縮性の媒体)を輸送するためのポンプのことである。このポンプは通常、吸込側と吐出側とを有する。吸込側と接続された配管を通じて、輸送ポンプPは輸送すべき液体流をここで吸い込む。輸送ポンプPにおいて、輸送すべき液体は引き続き圧力が高められ、その吐出側と接続された配管を通じて、所望の輸送方向へと押し出される。ここで(メタ)アクリルモノマー含有液体Fを輸送するために適しているのは、特にDE-A 10 228 859、及びDE-A 10 2008 054 587に記載された輸送ポンプである(特に、これらの文献に記載された放射状循環ポンプ)。
【0015】
(メタ)アクリルモノマーの製造を固定して稼働させる場合は特に、(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fの輸送が、輸送ポンプPによって配管を通じて、稼働時間にわたってほぼ一定の流速で行われることが、通常重要になる。流速の変動は(例えば製造工程での製造条件の変動に起因し得る)、例えば各輸送ポンプPの吸込側又は吐出側への到達が、相応する設備によって可変的に開放又は遮断可能なことによって、その作用を打ち消すことができる。つまり、必要な輸送流速の調整は、設備の開放度を適合させることによって行うことができる。しかしながら輸送ポンプPはしばしば、応用技術的に有利には「回転数」制御型の輸送ポンプである。この場合、必要な輸送流速の調節は、設備における開放断面の適合によってではなく、輸送ポンプの回転数を適合させることによって行う。もちろん、両方の種類の流速調整を組み合わせて適用することもできる。
【0016】
しかしながら輸送流速を調整する前に、配管を通じて輸送される液体流Fの流速が、あるべき数値からどれくらい逸脱しているかを確定する測定法が必要となる。
【0017】
流れる液体の流量測定のためには、様々な測定法が発展してきた。ここで、体積流の測定法と、質量流の測定法とは、区別される。輸送される液体Fの質量密度を知る際には、両方が相互に換算可能である。
【0018】
配管内で輸送される液体Fの体積流測定方法であって、応用技術的に特に有利なのは、いわゆる差圧法である。この方法では、配管内に配置された差圧器が、差圧(differential pressure)をもたらし、この差圧を、連結された装置(流量測定器又は差圧測定変換器)が検知する。この差圧器は通常、配管内に配置された流量抵抗部であり、差圧とは、流れ方向で流量抵抗部の直前に存在する圧力と、流れ方向で流量抵抗部の直後に存在する圧力の差である。これら2つの圧力の伝達は例えば、配管内に配置された穿孔によって、またこの穿孔と結合された差圧管によって差圧捕捉器まで行うことができ、この捕捉器は例えば、直接差圧を表示する差圧マノメーターであり得る。それからこの差圧を用いて、ベルヌーイの方程式により、体積流量を計算する。
【0019】
応用技術的では目的に応じて、差圧器として有孔板が用いられる。有孔板は原則的には、鋼板のディスク(例えばステンレス鋼板製のもの)であり、中央部に円形状の開口部を有するものである(図13参照)。配管内に構造物を組み込むことにより、配管の内径が構造物部分で、比較的大きな値からより小さな値に減少し、これによって液体流Fの流量のチョーキング作用がもたらされる。しかしながら液体流Fに対して透過性の断面積は、配管内に有孔板が設置された箇所では依然として円形状であり、ここで円の中心は、配管の対称軸に存在する。
【0020】
しかしながら有孔板は、配管を通じて輸送される液体流Fの流速を測定するためだけに配管内に設置されているわけではない。有孔板の組み込みはしばしば、配管内ではむしろ、配管を通じて輸送される流れの流速を、その輸送圧に対して制限する目的で行われる。輸送性能の維持に必要となる比較的高い輸送圧により、液体Fの輸送方向で配管内に配置された有孔板(またリング板)が、有孔板の前方に存在する輸送区間で、例えば高圧の調整が可能になる。高圧の調整によって例えば、温度上昇によって被輸送液体Fを沸騰させることなく、輸送される液体Fの温度を比較的大きく向上させることができる。この原則は、例えば強制循環式放圧蒸発器を用いる領域では慣用であり、例えばEP-A 854 129、DE-A 102008054587、及びDE-A 102009027401で例示的に説明されている。
【0021】
(メタ)アクリルモノマーを製造するための他の目的設定は、通常、この方法が可能な限り長い稼働時間にわたって問題なく稼働可能なことにある。(メタ)アクリルモノマー製造法の中断が時々必要となる原因としては、輸送ポンプPにより(メタ)アクリルモノマー含有液体Fを輸送する配管が、詰まることである。これは、配管を通じて輸送される(メタ)アクリルモノマー含有流Fを測定する目的及び/又は当該含有流Fの流速を制限する目的で、配管内に有孔板が配置されている場合、特にそうである。
【0022】
本発明の課題は、上記欠点を少なくとも減らすことにあった。
【0023】
これに従って、(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的で制流子Bが配置されており、当該制流子は、そこで円形の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお当該箇所に、(液体流Fを貫流させるための)断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法が提供され、当該方法は、前記配管内に配置された制流子Bが、残存開放面積RFの構成要素として、円形状の断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線(本明細書では輪郭線Uとも呼ぶ)の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする。ここで液体Fは、溶液(光学的に均質な、通常は透明な系)、また異なる相の不均一な混合物(例えば気相と液層、しかし好適には固相無し)であり得る。円周上に任意の点を2つ定めると、これらの点は円周をたどる最短の円周線で結ばれ、これらの2点を結ぶ円周線を、本明細書では円弧と呼ぶ。断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1とは、円の輪郭(円形輪郭線U)上にある2つの点P1とP2との間にある円弧Z(この円弧上に点TPがある)であり、これらの点は円形状断面積QFの中心点Mと二等辺三角形を形成し、この三角形で中心点Mを有する角αは、角の属する点で36°であり、ここで角の角度を二分し、中心点M、及び円形状断面積QFの最深点を通る直線がgである(図1参照)。本発明によれば有利には、部分面積TFの輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも20%、好適には少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも40%、有利には少なくとも50%、より良好には少なくとも60%、又は少なくとも70%、さらに良好には少なくとも80%、又は少なくとも90%、及び最良には100%、包含する。
【0024】
特に有利には、ここで部分面積TFの輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、この円弧上には、断面積QFの円形状輪郭線の(幾何学的に)最深点TPがある。
【0025】
これに従って本発明による方法では特に、(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的で制流子Bが配置されており、当該制流子は、そこで円形の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお、当該箇所に断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法が提供され、当該方法は、前記配管内に配置された制流子Bが、残部開放面積RFの構成要素として、円形状の断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1にあることを特徴とする。
【0026】
断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1とは、円の輪郭(円形輪郭線U)上にある2つの点P3とP4との間にある円弧Z*(この円弧上に点TPがある)であり、これらの点は円形状断面積QFの中心点Mと二等辺三角形を形成し、この三角形で中心点Mを有する角αは、角の属する点で18°であり、ここで角の角度を二分し、中心点M、及び円形状断面積QFの最も下部にある点を通る直線がgである。
【0027】
ここで部分面積TFの輪郭線は好ましくは、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を少なくとも20%、好適には少なくとも30%、特に好適には少なくとも40%、有利には少なくとも50%、良好には少なくとも60%、又は少なくとも70%、さらに良好には少なくとも80%、又は少なくとも90%、及び最良の場合には100%、包含する。
【0028】
特に有利には、ここで輪郭線の部分面積TFはまた、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、この円弧上には、断面積QFの円形状輪郭線の(幾何学的に)最深点TPがある。
【0029】
原則的には、残存開放面積RFが本発明による方法では、断面積QFの少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%であり得る。しかしながら通常、残存開放面積RFは、断面積QFの≦90%、しばしば≦80%、多くは≦70%、たびたび≦60%、時には≦50%である。ここで断面積QFとは、本明細書では常に、制流子Bが配置されている配管内の箇所の円形状断面積である。
【0030】
さらに、部分面積TFとは、本発明による方法では、残存開放面積RFと同一であり得る。部分面積TFはもちろん、本発明による方法ではまた、残存面積RFの一部にのみにわたって(例えば5〜95%、又は10〜90%、又は20〜80%、又は30〜70%、又は40〜60%)広がっていてよい。
【0031】
本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの様々な実施態様が、図2〜12に示されている。ここで網掛けの面積は、制流子Bに対する正面図(前面図)を示す。ここで白い面積が、残存面積RFに対する正面図を示し、開放部分面積TFの正面図を(少なくともその部分面積として)示す。これらの図にはさらに、それぞれ最深点TPが示されている。
【0032】
図1は概略図で、円形状断面積QF、それに付随する輪郭線U、円周上の点P1とP2、円形状断面積QFの中心点M、角α=36°、円形状断面積QFの円形状輪郭線Uの最深点TP、また断面積QFの円形状輪郭線Uの下部10分の1であるZを示す。図13は、従来技術による有孔板を示す。従来技術における有孔板の使用は、特にその対称性が高いことに起因する。応用技術では適切に、図2〜12に記載の網掛けの面積を配管の断面積に溶接した鋼板(例えばDIN 1.4539又は1.4571の鋼板)として実現される。鋼板の厚さは典型的には2〜15mm、しばしば5〜10mmである。
【0033】
もちろん、部分面積TFの輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含することができ、例えば断面積QFの円形状輪郭線の下部半分の100%が、これに相当する(例えば図2参照)。
【0034】
本発明に従って(メタ)アクリルモノマー含有液体Fの輸送が行われる配管が、その全長にわたって一様な管断面積を有している必要は、必ずしも無い。また前記配管は、断面が円形ではない区間を有することができる。しかしながら本発明によれば、配管内に制流子Bが組み込まれた箇所でその断面が円形であり、かつ断面積QFを有することが重要である。ここで制流子Bは本発明によれば、輸送ポンプPの吸込側につながる配管内に、及び/又は輸送ポンプPの吐出側から排出される配管に組み込まれていてよい。
【0035】
円形状断面積QFに属する配管の内径(この中で(メタ)アクリルモノマー含有液体の輸送が行われる)は、1〜100cm、しばしば10〜90cm、又は20〜80cm、又は30〜70cm、又は40〜60cmであり得る。本発明によれば好ましくは、輸送ポンプPとして、循環ポンプ(特に放射状循環ポンプ)を使用し、これらは、DE-A 10228859及びDE-A 102008054587で推奨されている。
【0036】
本発明による方法は、本明細書で言う(メタ)アクリルモノマーを少なくとも1種含有するあらゆる液体Fの場合に適している。
【0037】
本発明により輸送される液体Fには通常、ラジカル重合禁止剤が添加されており、この禁止剤は、液体F中に含まれる(メタ)アクリルモノマーの不所望なラジカル重合作用を打ち消すものである。このような不所望のラジカル重合は例えば、温度、光、又はその他の自発的に始まるラジカル形成によって起こり得る。本発明により輸送される液体Fに対して使用される重合禁止剤は好ましくは、例えばp−メトキシフェノール(MEHQ)、フェノチアジン(PTZ)、ヒドロキノン、フェノール(例えば2,4−ジメチル−6,6−ブチルフェノール)、キノン、ブチルブレンツカテキン、ジフェニルアミン、p−フェニレンジアミン、ニトロキシルラジカル(例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−OH−THEMPO))、及び/又はニトロソ化合物、例えばニトロソフェノール(またWO00/64947の中で挙げられるその他の全ての重合禁止剤)である。本発明により輸送すべき液体Fに対する典型的な重合禁止剤含分は、液体Fの質量に対してそれぞれ、50〜2000質量ppm、しばしば100〜1000ppmである。
【0038】
有孔板Bを用いることに比べて、本発明による方法の利点は恐らく、本発明により輸送される(メタ)アクリルモノマー含有液体F自体が、当該液体に溶解されて含有される重合禁止剤の存在下で、不所望の(メタ)アクリルモノマーのラジカルポリマー及び/又はオリゴマーを僅少量、溶解された形で含有することに起因する。ここで「溶解された形で」とは、「分子状で溶解された」ことも、「コロイド状で溶解された」ことも意味する。しかしながらそのいずれも、溶解した形が、輸送すべき液体中で視覚的に(すなわち裸眼で)観察可能でない場合にのみ限る。
【0039】
(メタ)アクリルモノマー含有液体F(例えば溶液)を、有孔板の組み込みによって残る、断面積QFの開放残存面積を通じて輸送する際には、液体F中に分子状及び/又はコロイド状に溶解されて含有される不所望の(メタ)アクリルモノマーのポリマー及び/又はオリゴマーのクリーム化(Aufrahmen)につながる。これは、液体Fのための制流子の周辺環状部(有孔板の開口部を取り囲んでいる)が、非透過性であることに起因する。このポリマー及び/又はオリゴマーは、時間の経過とともに流れ方向で、有孔板の前に存在する空間の前にある近隣領域に含まれる液体F中で増加する(ポリマー及び/又はオリゴマーが豊富に含まれる液体Fの「クリーム」形成につながる)。しかしながら独自の調査から、特に液体F中に溶解された形で含まれるオリゴマーとポリマーは(巨視的に見えるポリマーとは異なり)、著しい重合促進作用を(メタ)アクリルモノマーにもたらすことがわかっている(アクリル酸の場合は特に)。このことは特に、溶解ポリマー及び/又はオリゴマーの相対分子量が、原子の水素について≧1000、又は≧2000、又は≧3000である場合に当てはまる。稼働時間の経過中に、有孔板の有孔開口部が閉塞してしまう可能性(これにより、方法を中断する必要が生じる)が高くなる。しかしながらこのような閉塞は通常、速度が高まるにつれて形成される。
【0040】
これに対して本発明による方法では、制流子Bにより閉鎖された断面積QFの部分面積で、クリーム形成と並行的に、開放部分面積TFを通じてクリームが流れ去ることにより、連続的に脱クリーム化が起こる。これにより、同じ大きさの残存面積RFで、閉塞傾向がより少なくなる。
【0041】
既に述べたように、本発明による方法は、配管を通じて輸送される(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fの流速の測定(特定)との関連のみで重要なわけではない。
【0042】
むしろ本発明の方法は特に、(メタ)アクリルモノマー含有液体F中における熱エネルギー供給要素として重要であり、これによって、制流子Bによりチョーキングされる強制循環式放圧装置を通じて液体Fを輸送すること(EP-A 854129参照)が実現される。
【0043】
よって本発明は特にまた、熱的分離装置における、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物流Gの連続的な熱的分離方法も包含し、前記装置は、
・吸込側と、吐出側とを有する輸送ポンプP、
・間接的な循環式熱交換器UW、当該熱交換器は、二次空間Sと、前記二次空間Sと物質的な隔壁Tにより分離された一次空間PRとを有し、この一次空間は、入口Eと出口Aとを有し、
・供給箇所ZUと、排出箇所RTとを有する分離作用のある空間R、当該空間Rは、前記供給箇所ZUで混合物流Gが連続的に導入される1つ又は複数の分離作用のある構造物を有するか、又は有さず、
・第一の輸送結合部F1、当該結合部F1は、分離作用のある空間Rから輸送ポンプPの吸込側につながっており、
・第二の輸送結合部F2、当該結合部F2は、輸送ポンプPの吐出側から、循環式熱交換器UWの一次空間PRへの入口Eにつながっており、
・第三の輸送結合部F3、当該F3は、循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aから、分離作用のある空間R内の返送箇所RTへと返送し、かつ円形状の開放断面積QFを有する配管RLを有し、
・制流子B、当該制流子は、輸送結合部F3の配管RL内に、熱交換器UWの一次空間からの出口Aと、分離作用のある空間R内に設置された箇所にある返送箇所RTとの間に配置されており、かつその場所で、配管RLの円形状開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによりこの箇所でなお開放されている断面積QFの残存面積RFが輸送結合部F3の配管RL内に残存し、
を有し、ここで、分離作用のある空間R内で、混合物Gを熱により分離するために必要なエネルギーの少なくとも一部が、前記空間Rに投入され、
前記輸送ポンプPは、分離作用のある空間Rから連続的に、液状の、温度がTSIである(メタ)アクリルモノマー含有物質流STを吸い込み、
輸送ポンプPは、当該ポンプから吸い込まれた物質流STを、輸送結合部F2、循環式熱交換器UWの一次空間PR、並びに輸送結合部F3を通じて、分離作用のある空間R内にある返送箇所RTに返送し、
同時に二次空間Sを通じて液体の熱媒WT(二次空間S内を流れるその温度TWTは、一次空間PR内にある入口Eで物質流STの温度TSEよりも高い)を、循環式熱交換器UWの一次空間PRの出口Aからの物質流STが、液状で残存面積RFに流れ込むように、かつ残存面積RFを温度TSII>TSIで貫流するように通す、
前記方法において、輸送結合部F3の配管RL内に組み込まれた制流子Bが、開放残存面積RFの構成要素として、円形状断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする。
【0044】
本発明によれば有利には、ここで部分面積TFの輪郭線はまた、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも20%、好適には少なくとも30%、特に好適には少なくとも40%、有利には少なくとも50%、良好には少なくとも60%、又は少なくとも70%、さらに良好には少なくとも80%、又は少なくとも90%、及び最良の場合には100%、包含する。
【0045】
特に有利には、ここで部分面積TFの輪郭線はまた、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、この円弧上には、円形状輪郭線の(幾何学的に)最深点TPがある。
【0046】
従って、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物流Gを、上述の種類の熱的分離装置で連続的に熱による分離する本発明による方法の特徴は、特に、輸送結合部F3の配管内に組み込まれた制流子が、開放残存面積RFの構成要素として、円形状断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、その輪郭線が断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1に存在することである。
【0047】
本発明によればこの場合、部分面積TFの輪郭線はまた、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1の少なくとも20%、好適には少なくとも30%、特に好適には少なくとも40%、有利には少なくとも50%、良好には少なくとも60%、又は少なくとも70%、さらに良好には少なくとも80%、又は少なくとも90%、及び最良の場合には100%を包含する。
【0048】
特に有利には、ここで部分面積TFの輪郭線はまた、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、この円弧上には、断面積QFの円形状輪郭線の(幾何学的に)最深点TPがある。
【0049】
その他の点では、輸送ポンプPを用いて、制流子Bを備え、かつ断面積QFを有する配管を通じて(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送するための本発明による方法には、関連する上述の箇所が対応する形ですべて当てはまる。
【0050】
分離作用のある空間Rは通常、供給箇所ZUの他に、返送箇所RT、さらに少なくとも1つの排出部AU1(この排出部から、(メタ)アクリルモノマーが増加して含まれる物質流1が排出される)、及び少なくとも1つの排出部AU2(この排出部から、(メタ)アクリルモノマーが減少して含まれる物質流2が排出される)を有する。
【0051】
輸送結合部F1、F2、及びF3は、それぞれ相互に独立して最も単純な場合、それぞれ配管である。しかしながら、このような輸送結合部は基本的に、配管の組み合わせから、又は配管とチューブとの接続部から、又は例えば直角断面を有する輸送チューブから成りうる。
【0052】
混合物Gは基本的に、関連する熱的分離法の場合、供給箇所ZUのところで気体状で、分離作用のある空間Rに導入することができる。しかしながら混合物Gは通常、供給箇所ZUのところで液状で、分離作用のある空間Rに導入される。しかしながらこの供給はしばしば、気相と液相との混合物としても行われる。関連する熱的分離法に特徴的なのは、当該分離法による分離作用が、熱エネルギーの供給を必要とすることである。熱的分離作用の達成自体は、原則的に分離作用のある空間で達成することができ、当該空間は、例えば単純な蒸留の場合のように、分離作用のある構造物を有さないものである(例えば空のカラム)。ここで液状混合物は一部が気化し、この際に発生する液状混合物以外の組成物を有する蒸気相は、蒸気状の形態、及び/又は凝縮した形態で分離される。しかしながらこの熱による分離作用はしばしば、分離作用のある構造物を併用して達成され、ここで通常は気体状物質流(たいていは上昇性)、及び液状物質流(たいていは下降性)が、分離作用のある空間で(例えば構造物を有する分離塔)、並流又は向流で導入される。物質流の間に存在する非平衡状態の結果、熱交換と物質交換が起こり、この物質交換が最終的に、所望の分離を条件付ける。分離作用のある構造物は通常、分離塔内に分離作用空間Rとして存在する。よって本発明によれば特に精留が、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物Gの重要な熱的分離となる。分離作用のある構造物としては例えば、トレー(例えばデュアルフロートレー、泡鐘型トレー、弁型トレー)、規則充填物、及び不規則充填物が考慮される。ここで詳細には、DE-A 10332758に記載されたように行うことができる。
【0053】
本発明による熱的分離法で輸送接続部F3の配管内に組み込まれた制流子Bは、輸送ポンプPの吐出側と、循環式熱交換器UWの一次空間PRの出口Aとの間で、圧力基準を調整するための基礎を形成し、この圧力基準は、返送箇所RTにおいて、分離作用のある空間Rに存在する圧力を超えるものである。温度TSIIは、この温度を有する物質流STが、一次空間PRからの当該熱交換器の出口Aのところで、液状で(すなわち、沸騰していない状態で)、循環式熱交換器UWを出て、液状で制流子Bへと流れ、そして流れ方向で制流子Bの後方で初めて、そこに存在する圧力水準が原因で沸騰状態に移行し、返送箇所RTのところで、分離作用のある空間Rに流れ込むように選択する。循環式熱交換器UWとしては、本発明による熱的分離法の場合、好適には管束熱交換器を使用する(これは、一列に、又は複数列に構成されていてよい)。物質流STは好適には、熱交換管を通じて(こうすると、全ての交換管の全内容積が一次空間PRを形成する)、液状熱媒WTは、熱交換管を取り囲む二次空間Sを通じて導入される。液状熱媒WTとして好適には、温度を高めた水蒸気を用いる。管束熱交換器の代わりに、例えばまた伝熱プレート式熱交換器を使用することもできる。その他の点は、EP-A 854129、DE-A 102008001435、及びDE-A 102008054587に記載のように行うことができる。
【0054】
典型的な流速は、輸送ポンプPを用いて、配管を通じて(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送するための本発明による方法の場合、100〜500,000l/hである。本発明により輸送される液体Fの通常の温度は、50〜160℃である。輸送圧力は、常圧を上回っても、下回ってもよい。輸送圧力は通常、常圧を上回る(>1atm)。
【0055】
本発明による方法で組み込まれた制流子Bを有する配管の延伸は、水平であっても、また輸送ポンプPから出発して上方又は下方に傾いて延伸していてよい。下方に傾いた延伸、又は水平の延伸は、本発明によれば有利である。応用技術的には目的に応じて、熱的分離装置で、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物流Gを熱により連続分離する本発明による方法では、以下のように行うことができる。循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aから出発して、輸送結合部F3が、まず傾斜して下から上に延伸する。制流子Bが組み込まれた配管は、後続で輸送結合部F3の要素として、基準高度(Niveau)より高くなったら、水平に延伸させる。輸送結合部F3の、分離作用を有する空間Rへの返送は、これに引き続きこの基準高度より高い箇所から下方に傾ける。輸送ポンプPの脱落につながる場合、また輸送結合部F3の上記延伸により、本発明により稼働する輸送結合部F3が実質的に完全に空になってしまう場合、このことは、その中で輸送される(メタ)アクリルモノマー含有液体Fの場合、この特徴的な傾きに基づき、不所望のラジカル重合に対して有利である。
【0056】
TSIIと、TSIとの差は、本発明による熱的分離法の場合、最大30℃、又は30℃超であり得る。この差はしばしば、1〜20℃、又は2〜15℃、又は3〜12℃である。
【0057】
よって本発明は特に、以下の実施態様を包含する:
1.(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的でライニングが配置されており、当該ライニングは、そこで円形の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお当該箇所に、(液体流Fを貫流させるための)断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法が提供され、当該方法は、前記配管内に配置されたライニングBが、残存開放面積RFの構成要素として、円形状の断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする、前記方法。
【0058】
2.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも10%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0059】
3.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも30%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0060】
4.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも40%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0061】
5.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも60%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0062】
6.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも80%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0063】
7.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を全部包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0064】
8.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1にあることを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0065】
9.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を少なくとも10%包含することを特徴とする、実施態様8に記載の方法。
【0066】
10.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を少なくとも30%包含することを特徴とする、実施態様8に記載の方法。
【0067】
11.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を少なくとも50%、又は少なくとも70%包含することを特徴とする、実施態様8に記載の方法。
【0068】
12.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を全部包含することを特徴とする、実施態様8に記載の方法。
【0069】
13.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧上に、断面積QFの円形状輪郭線の最深点TPが存在することを特徴とする、実施態様1から12までのいずれか1つに記載の方法。
【0070】
14.開放残部面積RFが断面積QFの10〜90%であることを特徴とする、実施態様1から13までのいずれか1つに記載の方法。
【0071】
15.開放残部面積RFが断面積QFの20〜80%であることを特徴とする、実施態様1から13までのいずれか1つに記載の方法。
【0072】
16.開放残部面積RFが断面積QFの30〜70%であることを特徴とする、実施態様1から13までのいずれか1つに記載の方法。
【0073】
17.部分面積TFが、開放残部面積RFの5〜95%であることを特徴とする、実施態様1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0074】
18.部分面積TFが、開放残部面積RFの20〜80%であることを特徴とする、実施態様1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0075】
19.部分面積TFが、開放残部面積RFの30〜70%であることを特徴とする、実施態様1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0076】
20.部分面積TFが、開放残部面積RFと同一であることを特徴とする、実施態様1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0077】
21.液体Fが、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルジアクリレート、グリシジルジメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、及びN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートから成る群から選択される(メタ)アクリモノマーを少なくとも1種含有することを特徴とする、実施態様1から20までのいずれか1つに記載の方法。
【0078】
22.液体Fが、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸と炭素数が1〜12のアルコールから得られるエステル、及びメタクリル酸と炭素数が1〜12のアルコールから得られるエステルのうち少なくとも1種のモノマーを含有することを特徴とする、実施態様1から20までのいずれか1つに記載の方法。
【0079】
23.液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧5質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0080】
24.液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧20質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0081】
25.液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧40質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0082】
26.液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧60質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0083】
27 液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧80質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0084】
28.液体Fが溶液であることを特徴とする、実施態様1から27までのいずれか1つに記載の方法。
【0085】
29.液体Fの温度が、50〜160℃であることを特徴とする、実施態様1から28までのいずれか1つに記載の方法。
【0086】
30.円形状断面積QFに属する直径が、1〜100cm、又は10〜90cm、又は30〜70cmであることを特徴とする、実施態様1から29までのいずれか1つに記載の方法。
【0087】
31.配管を通じて輸送される液体Fの流速が、100〜500,000l/hであることを特徴とする、実施態様1から30までのいずれか1つに記載の方法。
【0088】
32.輸送される液体F中の圧力が、1atm超であることを特徴とする、実施態様1から31までのいずれか1つに記載の方法。
【0089】
33.少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物流Gを、熱的分離装置で熱により連続的に分離するための方法であって、当該熱的分離装置は、
・吸込側と吐出側とを有する輸送ポンプP、
・間接的な循環式熱交換器UW、当該熱交換器は、二次空間Sと、前記二次空間Sと物質的な隔壁Tにより分離された一次空間PRとを有し、この一次空間は、入口Eと出口Aとを有し、
・供給箇所ZUと、排出箇所RTとを有する分離作用のある空間R、当該空間Rは、前記供給箇所ZUで混合物流Gが連続的に導入される1つ又は複数の分離作用のある構造物を有するか、又は有さず、
・第一の輸送結合部F1、当該結合部F1は、分離作用のある空間Rから輸送ポンプPの吸込側につながっており、
・第二の輸送結合部F2、当該結合部F2は、輸送ポンプPの吐出側から、循環式熱交換器UWの一次空間PRへの入口Eにつながっており、
・第三の輸送結合部F3、当該結合部F3は、循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aから、分離作用のある空間R内の返送箇所RTへと返送し、かつ円形状の開放断面積QFを有する配管RLを有し、
・制流子B、当該制流子は、輸送結合部F3の配管RL内に、循環式熱交換器UWの一次空間からの出口Aと、分離作用のある空間R内に設置された箇所にある返送箇所RTとの間に配置されており、かつその場所で、配管RLの円形状開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによりこの箇所でなお開放されたままの断面積QFの残存面積RFが輸送結合部F3の配管RL内に残存し、
を有し、前記方法では、分離作用のある空間R内で、混合物Gを熱により分離するために必要なエネルギーの少なくとも一部が、前記空間Rに投入され、これにより
前記輸送ポンプPは、分離作用のある空間Rから連続的に、液状の、温度がTSIの(メタ)アクリルモノマー含有物質流STを吸い込み、
輸送ポンプPは、当該ポンプから吸い込まれた物質流STを、輸送結合部F2、循環式熱交換器UWの一次空間PR、並びに輸送結合部F3を通じて、分離作用のある空間R内にある返送箇所RTに返送し、
同時に二次空間Sを通じて液体の熱媒WT(二次空間S内を流れるその温度TWTは、一次空間PR内にある入口Eで物質流STの温度TSEよりも高い)を、循環式熱交換器UWの一次空間PRの出口Aからの物質流STが、液状で残存面積RFに流れ込むように、かつ残存面積RFを温度TSII>TSIで貫流するように通す、
前記方法において、輸送結合部F3の配管RL内に組み込まれた制流子Bが、開放残存面積RFの構成要素として、円形状断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする、前記方法。
【0090】
34.分離作用のある空間Rが、少なくとも1つの排出部AU1(この排出部から、(メタ)アクリルモノマーが増加して含まれる物質流1が排出される)、及び少なくとも1つの排出部AU2(この排出部から、(メタ)アクリルモノマーが減少して含まれる物質流2が排出される)を有することを特徴とする、実施態様33に記載の方法。
【0091】
35.配管RLを通じた液状物質流STの輸送が、実施態様1〜32のいずれか1つに記載された方法であり、ここで、実施態様1〜32に記載の液状物質流STが、輸送されるべき液体流Fであることを特徴とする、実施態様33又は34に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】円形状断面積QF、それに付随する輪郭線U、円周上の点P1とP2、円形状断面積QFの中心点M、角α=36°、円形状断面積QFの円形状輪郭線Uの最深点TP、また断面積QFの円形状輪郭線Uの下部10分の1であるZを示す。
【図2】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図3】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図4】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図5】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図6】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図7】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図8】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図9】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図10】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図11】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図12】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図13】従来技術による有孔板を示す。
【0093】
実施例及び比較例
アクリル酸含有混合物流Gを、熱的分離装置で熱により連続的に分離する方法
液状混合物Gの含分は、以下の通りである:
アクリル酸 4.49質量%、
酢酸 0.0253質量%、
水 0.0099質量%、
ジフィル 55.77質量%、
ジメチルフタレート 37.85質量%、
ギ酸 0.0003質量%、
アクロレイン 0.0025質量%、
プロピオン酸0.0007質量%、
フルフラール0.0023質量%、
アリルアクリレート 0.0001質量%、
ベンズアルデヒド 0.0291質量%、
無水マレイン酸 0.01374質量%、
安息香酸 0.366質量%、
ジアクリル酸 0.966質量%、
フェノチアジン 0.280質量%、及び
分子状酸素 0.0001質量%。
【0094】
混合物Gの温度は、152.4℃であった。前記混合物Gは、吸収塔の塔底領域から取り出した。吸収法は、プロペンをアクリル酸にする不均一系接触気相部分酸化の生成混合物から、アクリル酸を分離する目的で、DE-A-10336386に記載のように行った。
【0095】
液状混合物Gを8902kg/h、熱的分離装置に供給し、この装置は、分離作用のある空間Rとして分離塔を有し、また循環式熱交換器UWと、輸送ポンプPを有するものであった。
【0096】
循環式熱交換器UWは、704個の熱交換管を有する、8フローの管束熱交換器であった。管の内径は21mmと一定であり、壁厚は2mm、管長は2500mmであった。
【0097】
仕上げ材は、DIN材料1.4571であった。円筒形状熱交換器の内径は、1100mmであった。熱媒としては、熱交換管を取り囲む、管束熱交換器の二次空間に、飽和水蒸気(29bar、231℃)を1800kg/h、供給した。7つの円形状偏向板を用いて(開放断面積対閉鎖断面積の比は、それぞれ3:8)、管束熱交換器内の水蒸気流を熱交換管の周囲に導入した。熱交換器内で形成される水蒸気濃縮物は、200℃の温度で熱交換器から排出した。
【0098】
強制循環をもたらす輸送ポンプPは、閉鎖されたプロペラ付きの放射状循環ポンプであった(Sulzer社、ZE 200/400型)。遮断液体としては、グリコール50質量%と、水50質量%との混合物を使用した。
【0099】
分離塔は、内径2200mmの円筒形状断面を有していた。円筒形部の高さは、7402mmであった。
【0100】
仕上げ材は、DIN材料1.4571であり、壁厚は12mmであった。上部排出パイプの内径は900mmであり、下部排出パイプの直径は、400mmであった。分離塔は、分離作用のある構造物を有さなかった。上部の出口パイプは、558mmの長さで、分離塔に通じていた。塔に通じるパイプを囲んで、分離塔の上端から下方に突出して、さらに環状のカラー(Kragen)が設置され、そのカラーの長さは500mmであった。分離塔の塔頂圧は、85mbarに調整されていた。分離塔は、還流液体無しで稼働した。分離塔は、液面を制御して(standgeregelt)稼働させた。分離塔の下端に堆積した(なおアクリル酸を含有する)液体の最大水準は、1932mmであり、最小水準は900mmであった。分離塔への液状混合物Gの供給は、適切な方法で周期的に行った。分離塔の上部排出パイプの塔頂を通じて、塔内で形成された蒸気を8642kg/h、180℃の温度で排出した。
【0101】
この水蒸気流の含分は、以下の通りであった:
アクリル酸 4.346質量%、
酢酸 0.0260質量%、
水 0.0102質量%、
ジフィル 56.46質量%、
ジメチルフタレート 37.279質量%、
ギ酸 0.0003質量%、
アクロレイン 0.0025質量%、
プロピオン酸0.0007質量%、
フルフラール 0.0024質量%、
アリルアクリレート 0.0001質量%、
ベンズアルデヒド 0.0299質量%、
無水マレイン酸 0.141質量%、
安息香酸 0.369質量%、
ジアクリル酸 1.244質量%、
グリオキサール 0.0004質量%、及び
分子状酸素 0.0001質量%。
【0102】
輸送ポンプPによって、分離塔の下部排出パイプから、温度TSI=180℃で、液状の(なおアクリル酸を含有する)物質流Sを204176kg/h吸い込む。この部分流量は排出され、焼却部に供給される。残っている液状残部流量203916kg/hは、循環式熱交換器UWの熱交換管を通じて給送した。残部流量は189℃の温度で、液状で熱交換管から流した(循環式熱交換器UWの一次空間PRに)。配管(開放断面積が196250mm2、内容積1.8m3のもの)を通じて、189℃の液状残部流量を、分離塔の方向に流した。配管全長のほぼ3分の2を過ぎたところで、前記配管に有孔板が設置されていた。この開孔部の断面積は、49063mm2であった。(下から)約3563mmの高さで、過熱した残部流量(その圧力は、熱交換器管からの出口で4barであった)を、分離塔に返送した。この高さで、混合物Gを分離塔に供給した。
【0103】
2ヶ月と3週間プラス4日の稼働時間後に、熱による分離法を中断しなければならなかった。というのも、有孔板の開孔部が閉塞してしまったからである。
【0104】
有孔板を、図3に記載の制流子B(その開放残部面積は、同様に49063mm2)で置き換えると、4ヶ月の稼働期間後でも、制流子Bの閉塞は形成されなかった。
【0105】
米国特許仮出願番号61/292509号、出願日2010年1月6日は、本願において参照をもって開示されたものとする。上述の教示に関して、本発明の多様な変更及び変化が可能である。従って本発明は、添付された特許請求の範囲内で、この中で特に記載される以外の形で実施できることを前提にすることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的で制流子(Blende)Bが配置されており、当該制流子は、そこで円形の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお当該箇所に、液体流Fを貫流させるための断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法に関する。
【0002】
「(メタ)アクリルモノマー」という記載様式は、本明細書においては、「アクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマー」の略称である。本明細書においてアクリルモノマーという言葉は、アクリル酸、アクリル酸のエステル、及び/又はアクリロニトリルの略称である。本明細書においてメタクリルモノマーという言葉は、メタクリル酸、メタクリル酸のエステル、及び/又はメタクリロニトリルの省略形である。
【0003】
前述のエステルに属するのは特に、アクリル酸と、炭素数1〜12のアルコールとから得られるエステル、またメタクリル酸と、炭素数1〜12のアルコールとから得られるエステルである。ここでアルコールとしては、一価アルコール(1個の−OH基を有するもの)と同様に多価アルコール(2個以上の−OH基を有するもの)も考慮される。これらのアルコールに属するのは、炭素数が1〜12、好ましくは1〜8である、一価及び多価のアルコールである。
【0004】
この定義は必ずしも、これらのエステルの製造が、相応するアルコールと各場合における酸との反応によって行われなければならないことを含むわけではない。むしろ製造法として、その他の反応、例えばエステル交換反応または付加反応も考慮される。
【0005】
本明細書では特に、以下の(メタ)アクリル酸エステルが、(メタ)アクリルモノマーに含まれる:ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートである。
【0006】
さらに、「(メタ)アクリルモノマー」という概念に含まれるのは、モノマーのアクロレインとメタクロレインであり、これらは特に中間生成物として(例えばアクリル酸及びメタクリル酸の製造のために)重要である。
【0007】
その他には、(メタ)アクリルモノマー(特に、個別に列挙したもの)が、ポリマー製造のために重要な出発化合物であり、これらは例えば接着剤として用いられる。
【0008】
(メタ)アクロレイン、また(メタ)アクリル酸は、大規模工業では主に適切なC3〜C4前駆体化合物の不均一系接触部分気相酸化によって、アクロレインの場合(一段階の部分酸化で)、アクリル酸の場合(アクロレインを中間生成物として、一段階又は二段階の部分酸化で)は、特にプロペンとプロパンから、及び/又はメタクロレインの場合(一段階の部分酸化で)、及びメタクリル酸の場合(メタクロレインを中間生成物として、一段階又は二段階の部分酸化で)は、イソブテン及びイソブタンから、製造される。しかしながら、プロペン、プロパン、イソブテン、及びイソブタンの他にも、炭素数が3又は4の別の化合物、例えばイソブタノール、n−プロパノール、又はイソブタノールのメチルエーテルが、出発物質として適している。
【0009】
ここでは通常、生成物の混合物が得られ、当該混合物から、(メタ)アクロレイン及び/又は(メタ)アクリル酸を、吸収法、精留法、抽出法、及び/又は結晶法によって分離しなければならない(例えばDE-A 10 224 341参照)。相応する方法では、(メタ)アクリロニトリルが、前述のC3/C4前駆体化合物を接触アンモ酸化し、引き続き、生成ガス混合物から分離することによって得られる。
【0010】
(メタ)アクリル酸のエステルは例えば、(メタ)アクリル酸を相応するアルコールと直接反応させることによって得られる。ただしこの場合には、まず生成混合物を沈殿させ、その混合物から(メタ)アクリル酸エステルを、例えば精留及び/又は抽出によって分離しなければならない。
【0011】
前記分離との関連では特に、(メタ)アクリルモノマーを多少なりとも純粋な形で、又は溶液で存在させて輸送することが、常に必要となる(本明細書では一般的に、(メタ)アクリルモノマー含有液体Fと呼ぶ)。
【0012】
ここでこの溶剤は、水性であっても、また有機溶剤であってもよい。溶剤の種類の特定は、本発明によれば、基本的に重要ではない。もちろんまた、(メタ)アクリルモノマー自体、溶剤、及び不純物(副成分)が、溶解体を形成し得る。輸送すべき液体F(特に溶液)の(メタ)アクリルモノマー含分は、例えば、≧5質量%、又は≧10質量%、又は≧20質量%、又は≧40質量%、又は≧60質量%、又は≧80質量%、又は≧90質量%、又は≧95質量%、又は≧99質量%であり得る(特に、本発明による方法の範囲でも)。
【0013】
(メタ)アクリルモノマー含有液体Fの輸送は通常、輸送ポンプPによって(例えばDE-A 10 228 859参照)配管を通じて流れる流量そのものとして行われる。
【0014】
ここで配管の内部は通常、円形状の開放断面QFを有し、これを通じて液体流Fが流れる。ここで「輸送ポンプP」という用語は、本明細書では常に、液体(つまり、ほとんど非圧縮性の媒体)を輸送するためのポンプのことである。このポンプは通常、吸込側と吐出側とを有する。吸込側と接続された配管を通じて、輸送ポンプPは輸送すべき液体流をここで吸い込む。輸送ポンプPにおいて、輸送すべき液体は引き続き圧力が高められ、その吐出側と接続された配管を通じて、所望の輸送方向へと押し出される。ここで(メタ)アクリルモノマー含有液体Fを輸送するために適しているのは、特にDE-A 10 228 859、及びDE-A 10 2008 054 587に記載された輸送ポンプである(特に、これらの文献に記載された放射状循環ポンプ)。
【0015】
(メタ)アクリルモノマーの製造を固定して稼働させる場合は特に、(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fの輸送が、輸送ポンプPによって配管を通じて、稼働時間にわたってほぼ一定の流速で行われることが、通常重要になる。流速の変動は(例えば製造工程での製造条件の変動に起因し得る)、例えば各輸送ポンプPの吸込側又は吐出側への到達が、相応する設備によって可変的に開放又は遮断可能なことによって、その作用を打ち消すことができる。つまり、必要な輸送流速の調整は、設備の開放度を適合させることによって行うことができる。しかしながら輸送ポンプPはしばしば、応用技術的に有利には「回転数」制御型の輸送ポンプである。この場合、必要な輸送流速の調節は、設備における開放断面の適合によってではなく、輸送ポンプの回転数を適合させることによって行う。もちろん、両方の種類の流速調整を組み合わせて適用することもできる。
【0016】
しかしながら輸送流速を調整する前に、配管を通じて輸送される液体流Fの流速が、あるべき数値からどれくらい逸脱しているかを確定する測定法が必要となる。
【0017】
流れる液体の流量測定のためには、様々な測定法が発展してきた。ここで、体積流の測定法と、質量流の測定法とは、区別される。輸送される液体Fの質量密度を知る際には、両方が相互に換算可能である。
【0018】
配管内で輸送される液体Fの体積流測定方法であって、応用技術的に特に有利なのは、いわゆる差圧法である。この方法では、配管内に配置された差圧器が、差圧(differential pressure)をもたらし、この差圧を、連結された装置(流量測定器又は差圧測定変換器)が検知する。この差圧器は通常、配管内に配置された流量抵抗部であり、差圧とは、流れ方向で流量抵抗部の直前に存在する圧力と、流れ方向で流量抵抗部の直後に存在する圧力の差である。これら2つの圧力の伝達は例えば、配管内に配置された穿孔によって、またこの穿孔と結合された差圧管によって差圧捕捉器まで行うことができ、この捕捉器は例えば、直接差圧を表示する差圧マノメーターであり得る。それからこの差圧を用いて、ベルヌーイの方程式により、体積流量を計算する。
【0019】
応用技術的では目的に応じて、差圧器として有孔板が用いられる。有孔板は原則的には、鋼板のディスク(例えばステンレス鋼板製のもの)であり、中央部に円形状の開口部を有するものである(図13参照)。配管内に構造物を組み込むことにより、配管の内径が構造物部分で、比較的大きな値からより小さな値に減少し、これによって液体流Fの流量のチョーキング作用がもたらされる。しかしながら液体流Fに対して透過性の断面積は、配管内に有孔板が設置された箇所では依然として円形状であり、ここで円の中心は、配管の対称軸に存在する。
【0020】
しかしながら有孔板は、配管を通じて輸送される液体流Fの流速を測定するためだけに配管内に設置されているわけではない。有孔板の組み込みはしばしば、配管内ではむしろ、配管を通じて輸送される流れの流速を、その輸送圧に対して制限する目的で行われる。輸送性能の維持に必要となる比較的高い輸送圧により、液体Fの輸送方向で配管内に配置された有孔板(またリング板)が、有孔板の前方に存在する輸送区間で、例えば高圧の調整が可能になる。高圧の調整によって例えば、温度上昇によって被輸送液体Fを沸騰させることなく、輸送される液体Fの温度を比較的大きく向上させることができる。この原則は、例えば強制循環式放圧蒸発器を用いる領域では慣用であり、例えばEP-A 854 129、DE-A 102008054587、及びDE-A 102009027401で例示的に説明されている。
【0021】
(メタ)アクリルモノマーを製造するための他の目的設定は、通常、この方法が可能な限り長い稼働時間にわたって問題なく稼働可能なことにある。(メタ)アクリルモノマー製造法の中断が時々必要となる原因としては、輸送ポンプPにより(メタ)アクリルモノマー含有液体Fを輸送する配管が、詰まることである。これは、配管を通じて輸送される(メタ)アクリルモノマー含有流Fを測定する目的及び/又は当該含有流Fの流速を制限する目的で、配管内に有孔板が配置されている場合、特にそうである。
【0022】
本発明の課題は、上記欠点を少なくとも減らすことにあった。
【0023】
これに従って、(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的で制流子Bが配置されており、当該制流子は、そこで円形の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお当該箇所に、(液体流Fを貫流させるための)断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法が提供され、当該方法は、前記配管内に配置された制流子Bが、残存開放面積RFの構成要素として、円形状の断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線(本明細書では輪郭線Uとも呼ぶ)の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする。ここで液体Fは、溶液(光学的に均質な、通常は透明な系)、また異なる相の不均一な混合物(例えば気相と液層、しかし好適には固相無し)であり得る。円周上に任意の点を2つ定めると、これらの点は円周をたどる最短の円周線で結ばれ、これらの2点を結ぶ円周線を、本明細書では円弧と呼ぶ。断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1とは、円の輪郭(円形輪郭線U)上にある2つの点P1とP2との間にある円弧Z(この円弧上に点TPがある)であり、これらの点は円形状断面積QFの中心点Mと二等辺三角形を形成し、この三角形で中心点Mを有する角αは、角の属する点で36°であり、ここで角の角度を二分し、中心点M、及び円形状断面積QFの最深点を通る直線がgである(図1参照)。本発明によれば有利には、部分面積TFの輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも20%、好適には少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも40%、有利には少なくとも50%、より良好には少なくとも60%、又は少なくとも70%、さらに良好には少なくとも80%、又は少なくとも90%、及び最良には100%、包含する。
【0024】
特に有利には、ここで部分面積TFの輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、この円弧上には、断面積QFの円形状輪郭線の(幾何学的に)最深点TPがある。
【0025】
これに従って本発明による方法では特に、(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的で制流子Bが配置されており、当該制流子は、そこで円形の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお、当該箇所に断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法が提供され、当該方法は、前記配管内に配置された制流子Bが、残部開放面積RFの構成要素として、円形状の断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1にあることを特徴とする。
【0026】
断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1とは、円の輪郭(円形輪郭線U)上にある2つの点P3とP4との間にある円弧Z*(この円弧上に点TPがある)であり、これらの点は円形状断面積QFの中心点Mと二等辺三角形を形成し、この三角形で中心点Mを有する角αは、角の属する点で18°であり、ここで角の角度を二分し、中心点M、及び円形状断面積QFの最も下部にある点を通る直線がgである。
【0027】
ここで部分面積TFの輪郭線は好ましくは、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を少なくとも20%、好適には少なくとも30%、特に好適には少なくとも40%、有利には少なくとも50%、良好には少なくとも60%、又は少なくとも70%、さらに良好には少なくとも80%、又は少なくとも90%、及び最良の場合には100%、包含する。
【0028】
特に有利には、ここで輪郭線の部分面積TFはまた、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、この円弧上には、断面積QFの円形状輪郭線の(幾何学的に)最深点TPがある。
【0029】
原則的には、残存開放面積RFが本発明による方法では、断面積QFの少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%であり得る。しかしながら通常、残存開放面積RFは、断面積QFの≦90%、しばしば≦80%、多くは≦70%、たびたび≦60%、時には≦50%である。ここで断面積QFとは、本明細書では常に、制流子Bが配置されている配管内の箇所の円形状断面積である。
【0030】
さらに、部分面積TFとは、本発明による方法では、残存開放面積RFと同一であり得る。部分面積TFはもちろん、本発明による方法ではまた、残存面積RFの一部にのみにわたって(例えば5〜95%、又は10〜90%、又は20〜80%、又は30〜70%、又は40〜60%)広がっていてよい。
【0031】
本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの様々な実施態様が、図2〜12に示されている。ここで網掛けの面積は、制流子Bに対する正面図(前面図)を示す。ここで白い面積が、残存面積RFに対する正面図を示し、開放部分面積TFの正面図を(少なくともその部分面積として)示す。これらの図にはさらに、それぞれ最深点TPが示されている。
【0032】
図1は概略図で、円形状断面積QF、それに付随する輪郭線U、円周上の点P1とP2、円形状断面積QFの中心点M、角α=36°、円形状断面積QFの円形状輪郭線Uの最深点TP、また断面積QFの円形状輪郭線Uの下部10分の1であるZを示す。図13は、従来技術による有孔板を示す。従来技術における有孔板の使用は、特にその対称性が高いことに起因する。応用技術では適切に、図2〜12に記載の網掛けの面積を配管の断面積に溶接した鋼板(例えばDIN 1.4539又は1.4571の鋼板)として実現される。鋼板の厚さは典型的には2〜15mm、しばしば5〜10mmである。
【0033】
もちろん、部分面積TFの輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含することができ、例えば断面積QFの円形状輪郭線の下部半分の100%が、これに相当する(例えば図2参照)。
【0034】
本発明に従って(メタ)アクリルモノマー含有液体Fの輸送が行われる配管が、その全長にわたって一様な管断面積を有している必要は、必ずしも無い。また前記配管は、断面が円形ではない区間を有することができる。しかしながら本発明によれば、配管内に制流子Bが組み込まれた箇所でその断面が円形であり、かつ断面積QFを有することが重要である。ここで制流子Bは本発明によれば、輸送ポンプPの吸込側につながる配管内に、及び/又は輸送ポンプPの吐出側から排出される配管に組み込まれていてよい。
【0035】
円形状断面積QFに属する配管の内径(この中で(メタ)アクリルモノマー含有液体の輸送が行われる)は、1〜100cm、しばしば10〜90cm、又は20〜80cm、又は30〜70cm、又は40〜60cmであり得る。本発明によれば好ましくは、輸送ポンプPとして、循環ポンプ(特に放射状循環ポンプ)を使用し、これらは、DE-A 10228859及びDE-A 102008054587で推奨されている。
【0036】
本発明による方法は、本明細書で言う(メタ)アクリルモノマーを少なくとも1種含有するあらゆる液体Fの場合に適している。
【0037】
本発明により輸送される液体Fには通常、ラジカル重合禁止剤が添加されており、この禁止剤は、液体F中に含まれる(メタ)アクリルモノマーの不所望なラジカル重合作用を打ち消すものである。このような不所望のラジカル重合は例えば、温度、光、又はその他の自発的に始まるラジカル形成によって起こり得る。本発明により輸送される液体Fに対して使用される重合禁止剤は好ましくは、例えばp−メトキシフェノール(MEHQ)、フェノチアジン(PTZ)、ヒドロキノン、フェノール(例えば2,4−ジメチル−6,6−ブチルフェノール)、キノン、ブチルブレンツカテキン、ジフェニルアミン、p−フェニレンジアミン、ニトロキシルラジカル(例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−OH−THEMPO))、及び/又はニトロソ化合物、例えばニトロソフェノール(またWO00/64947の中で挙げられるその他の全ての重合禁止剤)である。本発明により輸送すべき液体Fに対する典型的な重合禁止剤含分は、液体Fの質量に対してそれぞれ、50〜2000質量ppm、しばしば100〜1000ppmである。
【0038】
有孔板Bを用いることに比べて、本発明による方法の利点は恐らく、本発明により輸送される(メタ)アクリルモノマー含有液体F自体が、当該液体に溶解されて含有される重合禁止剤の存在下で、不所望の(メタ)アクリルモノマーのラジカルポリマー及び/又はオリゴマーを僅少量、溶解された形で含有することに起因する。ここで「溶解された形で」とは、「分子状で溶解された」ことも、「コロイド状で溶解された」ことも意味する。しかしながらそのいずれも、溶解した形が、輸送すべき液体中で視覚的に(すなわち裸眼で)観察可能でない場合にのみ限る。
【0039】
(メタ)アクリルモノマー含有液体F(例えば溶液)を、有孔板の組み込みによって残る、断面積QFの開放残存面積を通じて輸送する際には、液体F中に分子状及び/又はコロイド状に溶解されて含有される不所望の(メタ)アクリルモノマーのポリマー及び/又はオリゴマーのクリーム化(Aufrahmen)につながる。これは、液体Fのための制流子の周辺環状部(有孔板の開口部を取り囲んでいる)が、非透過性であることに起因する。このポリマー及び/又はオリゴマーは、時間の経過とともに流れ方向で、有孔板の前に存在する空間の前にある近隣領域に含まれる液体F中で増加する(ポリマー及び/又はオリゴマーが豊富に含まれる液体Fの「クリーム」形成につながる)。しかしながら独自の調査から、特に液体F中に溶解された形で含まれるオリゴマーとポリマーは(巨視的に見えるポリマーとは異なり)、著しい重合促進作用を(メタ)アクリルモノマーにもたらすことがわかっている(アクリル酸の場合は特に)。このことは特に、溶解ポリマー及び/又はオリゴマーの相対分子量が、原子の水素について≧1000、又は≧2000、又は≧3000である場合に当てはまる。稼働時間の経過中に、有孔板の有孔開口部が閉塞してしまう可能性(これにより、方法を中断する必要が生じる)が高くなる。しかしながらこのような閉塞は通常、速度が高まるにつれて形成される。
【0040】
これに対して本発明による方法では、制流子Bにより閉鎖された断面積QFの部分面積で、クリーム形成と並行的に、開放部分面積TFを通じてクリームが流れ去ることにより、連続的に脱クリーム化が起こる。これにより、同じ大きさの残存面積RFで、閉塞傾向がより少なくなる。
【0041】
既に述べたように、本発明による方法は、配管を通じて輸送される(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fの流速の測定(特定)との関連のみで重要なわけではない。
【0042】
むしろ本発明の方法は特に、(メタ)アクリルモノマー含有液体F中における熱エネルギー供給要素として重要であり、これによって、制流子Bによりチョーキングされる強制循環式放圧装置を通じて液体Fを輸送すること(EP-A 854129参照)が実現される。
【0043】
よって本発明は特にまた、熱的分離装置における、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物流Gの連続的な熱的分離方法も包含し、前記装置は、
・吸込側と、吐出側とを有する輸送ポンプP、
・間接的な循環式熱交換器UW、当該熱交換器は、二次空間Sと、前記二次空間Sと物質的な隔壁Tにより分離された一次空間PRとを有し、この一次空間は、入口Eと出口Aとを有し、
・供給箇所ZUと、排出箇所RTとを有する分離作用のある空間R、当該空間Rは、前記供給箇所ZUで混合物流Gが連続的に導入される1つ又は複数の分離作用のある構造物を有するか、又は有さず、
・第一の輸送結合部F1、当該結合部F1は、分離作用のある空間Rから輸送ポンプPの吸込側につながっており、
・第二の輸送結合部F2、当該結合部F2は、輸送ポンプPの吐出側から、循環式熱交換器UWの一次空間PRへの入口Eにつながっており、
・第三の輸送結合部F3、当該F3は、循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aから、分離作用のある空間R内の返送箇所RTへと返送し、かつ円形状の開放断面積QFを有する配管RLを有し、
・制流子B、当該制流子は、輸送結合部F3の配管RL内に、熱交換器UWの一次空間からの出口Aと、分離作用のある空間R内に設置された箇所にある返送箇所RTとの間に配置されており、かつその場所で、配管RLの円形状開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによりこの箇所でなお開放されている断面積QFの残存面積RFが輸送結合部F3の配管RL内に残存し、
を有し、ここで、分離作用のある空間R内で、混合物Gを熱により分離するために必要なエネルギーの少なくとも一部が、前記空間Rに投入され、
前記輸送ポンプPは、分離作用のある空間Rから連続的に、液状の、温度がTSIである(メタ)アクリルモノマー含有物質流STを吸い込み、
輸送ポンプPは、当該ポンプから吸い込まれた物質流STを、輸送結合部F2、循環式熱交換器UWの一次空間PR、並びに輸送結合部F3を通じて、分離作用のある空間R内にある返送箇所RTに返送し、
同時に二次空間Sを通じて液体の熱媒WT(二次空間S内を流れるその温度TWTは、一次空間PR内にある入口Eで物質流STの温度TSEよりも高い)を、循環式熱交換器UWの一次空間PRの出口Aからの物質流STが、液状で残存面積RFに流れ込むように、かつ残存面積RFを温度TSII>TSIで貫流するように通す、
前記方法において、輸送結合部F3の配管RL内に組み込まれた制流子Bが、開放残存面積RFの構成要素として、円形状断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする。
【0044】
本発明によれば有利には、ここで部分面積TFの輪郭線はまた、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも20%、好適には少なくとも30%、特に好適には少なくとも40%、有利には少なくとも50%、良好には少なくとも60%、又は少なくとも70%、さらに良好には少なくとも80%、又は少なくとも90%、及び最良の場合には100%、包含する。
【0045】
特に有利には、ここで部分面積TFの輪郭線はまた、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、この円弧上には、円形状輪郭線の(幾何学的に)最深点TPがある。
【0046】
従って、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物流Gを、上述の種類の熱的分離装置で連続的に熱による分離する本発明による方法の特徴は、特に、輸送結合部F3の配管内に組み込まれた制流子が、開放残存面積RFの構成要素として、円形状断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、その輪郭線が断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1に存在することである。
【0047】
本発明によればこの場合、部分面積TFの輪郭線はまた、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1の少なくとも20%、好適には少なくとも30%、特に好適には少なくとも40%、有利には少なくとも50%、良好には少なくとも60%、又は少なくとも70%、さらに良好には少なくとも80%、又は少なくとも90%、及び最良の場合には100%を包含する。
【0048】
特に有利には、ここで部分面積TFの輪郭線はまた、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、この円弧上には、断面積QFの円形状輪郭線の(幾何学的に)最深点TPがある。
【0049】
その他の点では、輸送ポンプPを用いて、制流子Bを備え、かつ断面積QFを有する配管を通じて(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送するための本発明による方法には、関連する上述の箇所が対応する形ですべて当てはまる。
【0050】
分離作用のある空間Rは通常、供給箇所ZUの他に、返送箇所RT、さらに少なくとも1つの排出部AU1(この排出部から、(メタ)アクリルモノマーが増加して含まれる物質流1が排出される)、及び少なくとも1つの排出部AU2(この排出部から、(メタ)アクリルモノマーが減少して含まれる物質流2が排出される)を有する。
【0051】
輸送結合部F1、F2、及びF3は、それぞれ相互に独立して最も単純な場合、それぞれ配管である。しかしながら、このような輸送結合部は基本的に、配管の組み合わせから、又は配管とチューブとの接続部から、又は例えば直角断面を有する輸送チューブから成りうる。
【0052】
混合物Gは基本的に、関連する熱的分離法の場合、供給箇所ZUのところで気体状で、分離作用のある空間Rに導入することができる。しかしながら混合物Gは通常、供給箇所ZUのところで液状で、分離作用のある空間Rに導入される。しかしながらこの供給はしばしば、気相と液相との混合物としても行われる。関連する熱的分離法に特徴的なのは、当該分離法による分離作用が、熱エネルギーの供給を必要とすることである。熱的分離作用の達成自体は、原則的に分離作用のある空間で達成することができ、当該空間は、例えば単純な蒸留の場合のように、分離作用のある構造物を有さないものである(例えば空のカラム)。ここで液状混合物は一部が気化し、この際に発生する液状混合物以外の組成物を有する蒸気相は、蒸気状の形態、及び/又は凝縮した形態で分離される。しかしながらこの熱による分離作用はしばしば、分離作用のある構造物を併用して達成され、ここで通常は気体状物質流(たいていは上昇性)、及び液状物質流(たいていは下降性)が、分離作用のある空間で(例えば構造物を有する分離塔)、並流又は向流で導入される。物質流の間に存在する非平衡状態の結果、熱交換と物質交換が起こり、この物質交換が最終的に、所望の分離を条件付ける。分離作用のある構造物は通常、分離塔内に分離作用空間Rとして存在する。よって本発明によれば特に精留が、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物Gの重要な熱的分離となる。分離作用のある構造物としては例えば、トレー(例えばデュアルフロートレー、泡鐘型トレー、弁型トレー)、規則充填物、及び不規則充填物が考慮される。ここで詳細には、DE-A 10332758に記載されたように行うことができる。
【0053】
本発明による熱的分離法で輸送接続部F3の配管内に組み込まれた制流子Bは、輸送ポンプPの吐出側と、循環式熱交換器UWの一次空間PRの出口Aとの間で、圧力基準を調整するための基礎を形成し、この圧力基準は、返送箇所RTにおいて、分離作用のある空間Rに存在する圧力を超えるものである。温度TSIIは、この温度を有する物質流STが、一次空間PRからの当該熱交換器の出口Aのところで、液状で(すなわち、沸騰していない状態で)、循環式熱交換器UWを出て、液状で制流子Bへと流れ、そして流れ方向で制流子Bの後方で初めて、そこに存在する圧力水準が原因で沸騰状態に移行し、返送箇所RTのところで、分離作用のある空間Rに流れ込むように選択する。循環式熱交換器UWとしては、本発明による熱的分離法の場合、好適には管束熱交換器を使用する(これは、一列に、又は複数列に構成されていてよい)。物質流STは好適には、熱交換管を通じて(こうすると、全ての交換管の全内容積が一次空間PRを形成する)、液状熱媒WTは、熱交換管を取り囲む二次空間Sを通じて導入される。液状熱媒WTとして好適には、温度を高めた水蒸気を用いる。管束熱交換器の代わりに、例えばまた伝熱プレート式熱交換器を使用することもできる。その他の点は、EP-A 854129、DE-A 102008001435、及びDE-A 102008054587に記載のように行うことができる。
【0054】
典型的な流速は、輸送ポンプPを用いて、配管を通じて(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送するための本発明による方法の場合、100〜500,000l/hである。本発明により輸送される液体Fの通常の温度は、50〜160℃である。輸送圧力は、常圧を上回っても、下回ってもよい。輸送圧力は通常、常圧を上回る(>1atm)。
【0055】
本発明による方法で組み込まれた制流子Bを有する配管の延伸は、水平であっても、また輸送ポンプPから出発して上方又は下方に傾いて延伸していてよい。下方に傾いた延伸、又は水平の延伸は、本発明によれば有利である。応用技術的には目的に応じて、熱的分離装置で、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物流Gを熱により連続分離する本発明による方法では、以下のように行うことができる。循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aから出発して、輸送結合部F3が、まず傾斜して下から上に延伸する。制流子Bが組み込まれた配管は、後続で輸送結合部F3の要素として、基準高度(Niveau)より高くなったら、水平に延伸させる。輸送結合部F3の、分離作用を有する空間Rへの返送は、これに引き続きこの基準高度より高い箇所から下方に傾ける。輸送ポンプPの脱落につながる場合、また輸送結合部F3の上記延伸により、本発明により稼働する輸送結合部F3が実質的に完全に空になってしまう場合、このことは、その中で輸送される(メタ)アクリルモノマー含有液体Fの場合、この特徴的な傾きに基づき、不所望のラジカル重合に対して有利である。
【0056】
TSIIと、TSIとの差は、本発明による熱的分離法の場合、最大30℃、又は30℃超であり得る。この差はしばしば、1〜20℃、又は2〜15℃、又は3〜12℃である。
【0057】
よって本発明は特に、以下の実施態様を包含する:
1.(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的でライニングが配置されており、当該ライニングは、そこで円形の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお当該箇所に、(液体流Fを貫流させるための)断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法が提供され、当該方法は、前記配管内に配置されたライニングBが、残存開放面積RFの構成要素として、円形状の断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする、前記方法。
【0058】
2.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも10%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0059】
3.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも30%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0060】
4.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも40%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0061】
5.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも60%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0062】
6.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を少なくとも80%包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0063】
7.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1を全部包含することを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0064】
8.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1にあることを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
【0065】
9.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を少なくとも10%包含することを特徴とする、実施態様8に記載の方法。
【0066】
10.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を少なくとも30%包含することを特徴とする、実施態様8に記載の方法。
【0067】
11.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を少なくとも50%、又は少なくとも70%包含することを特徴とする、実施態様8に記載の方法。
【0068】
12.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の下部20分の1を全部包含することを特徴とする、実施態様8に記載の方法。
【0069】
13.部分面積TFの輪郭線が、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧上に、断面積QFの円形状輪郭線の最深点TPが存在することを特徴とする、実施態様1から12までのいずれか1つに記載の方法。
【0070】
14.開放残部面積RFが断面積QFの10〜90%であることを特徴とする、実施態様1から13までのいずれか1つに記載の方法。
【0071】
15.開放残部面積RFが断面積QFの20〜80%であることを特徴とする、実施態様1から13までのいずれか1つに記載の方法。
【0072】
16.開放残部面積RFが断面積QFの30〜70%であることを特徴とする、実施態様1から13までのいずれか1つに記載の方法。
【0073】
17.部分面積TFが、開放残部面積RFの5〜95%であることを特徴とする、実施態様1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0074】
18.部分面積TFが、開放残部面積RFの20〜80%であることを特徴とする、実施態様1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0075】
19.部分面積TFが、開放残部面積RFの30〜70%であることを特徴とする、実施態様1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0076】
20.部分面積TFが、開放残部面積RFと同一であることを特徴とする、実施態様1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0077】
21.液体Fが、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルジアクリレート、グリシジルジメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、及びN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートから成る群から選択される(メタ)アクリモノマーを少なくとも1種含有することを特徴とする、実施態様1から20までのいずれか1つに記載の方法。
【0078】
22.液体Fが、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸と炭素数が1〜12のアルコールから得られるエステル、及びメタクリル酸と炭素数が1〜12のアルコールから得られるエステルのうち少なくとも1種のモノマーを含有することを特徴とする、実施態様1から20までのいずれか1つに記載の方法。
【0079】
23.液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧5質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0080】
24.液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧20質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0081】
25.液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧40質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0082】
26.液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧60質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0083】
27 液体Fの(メタ)アクリルモノマー含分が、≧80質量%であることを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0084】
28.液体Fが溶液であることを特徴とする、実施態様1から27までのいずれか1つに記載の方法。
【0085】
29.液体Fの温度が、50〜160℃であることを特徴とする、実施態様1から28までのいずれか1つに記載の方法。
【0086】
30.円形状断面積QFに属する直径が、1〜100cm、又は10〜90cm、又は30〜70cmであることを特徴とする、実施態様1から29までのいずれか1つに記載の方法。
【0087】
31.配管を通じて輸送される液体Fの流速が、100〜500,000l/hであることを特徴とする、実施態様1から30までのいずれか1つに記載の方法。
【0088】
32.輸送される液体F中の圧力が、1atm超であることを特徴とする、実施態様1から31までのいずれか1つに記載の方法。
【0089】
33.少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー含有混合物流Gを、熱的分離装置で熱により連続的に分離するための方法であって、当該熱的分離装置は、
・吸込側と吐出側とを有する輸送ポンプP、
・間接的な循環式熱交換器UW、当該熱交換器は、二次空間Sと、前記二次空間Sと物質的な隔壁Tにより分離された一次空間PRとを有し、この一次空間は、入口Eと出口Aとを有し、
・供給箇所ZUと、排出箇所RTとを有する分離作用のある空間R、当該空間Rは、前記供給箇所ZUで混合物流Gが連続的に導入される1つ又は複数の分離作用のある構造物を有するか、又は有さず、
・第一の輸送結合部F1、当該結合部F1は、分離作用のある空間Rから輸送ポンプPの吸込側につながっており、
・第二の輸送結合部F2、当該結合部F2は、輸送ポンプPの吐出側から、循環式熱交換器UWの一次空間PRへの入口Eにつながっており、
・第三の輸送結合部F3、当該結合部F3は、循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aから、分離作用のある空間R内の返送箇所RTへと返送し、かつ円形状の開放断面積QFを有する配管RLを有し、
・制流子B、当該制流子は、輸送結合部F3の配管RL内に、循環式熱交換器UWの一次空間からの出口Aと、分離作用のある空間R内に設置された箇所にある返送箇所RTとの間に配置されており、かつその場所で、配管RLの円形状開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによりこの箇所でなお開放されたままの断面積QFの残存面積RFが輸送結合部F3の配管RL内に残存し、
を有し、前記方法では、分離作用のある空間R内で、混合物Gを熱により分離するために必要なエネルギーの少なくとも一部が、前記空間Rに投入され、これにより
前記輸送ポンプPは、分離作用のある空間Rから連続的に、液状の、温度がTSIの(メタ)アクリルモノマー含有物質流STを吸い込み、
輸送ポンプPは、当該ポンプから吸い込まれた物質流STを、輸送結合部F2、循環式熱交換器UWの一次空間PR、並びに輸送結合部F3を通じて、分離作用のある空間R内にある返送箇所RTに返送し、
同時に二次空間Sを通じて液体の熱媒WT(二次空間S内を流れるその温度TWTは、一次空間PR内にある入口Eで物質流STの温度TSEよりも高い)を、循環式熱交換器UWの一次空間PRの出口Aからの物質流STが、液状で残存面積RFに流れ込むように、かつ残存面積RFを温度TSII>TSIで貫流するように通す、
前記方法において、輸送結合部F3の配管RL内に組み込まれた制流子Bが、開放残存面積RFの構成要素として、円形状断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする、前記方法。
【0090】
34.分離作用のある空間Rが、少なくとも1つの排出部AU1(この排出部から、(メタ)アクリルモノマーが増加して含まれる物質流1が排出される)、及び少なくとも1つの排出部AU2(この排出部から、(メタ)アクリルモノマーが減少して含まれる物質流2が排出される)を有することを特徴とする、実施態様33に記載の方法。
【0091】
35.配管RLを通じた液状物質流STの輸送が、実施態様1〜32のいずれか1つに記載された方法であり、ここで、実施態様1〜32に記載の液状物質流STが、輸送されるべき液体流Fであることを特徴とする、実施態様33又は34に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】円形状断面積QF、それに付随する輪郭線U、円周上の点P1とP2、円形状断面積QFの中心点M、角α=36°、円形状断面積QFの円形状輪郭線Uの最深点TP、また断面積QFの円形状輪郭線Uの下部10分の1であるZを示す。
【図2】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図3】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図4】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図5】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図6】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図7】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図8】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図9】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図10】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図11】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図12】本発明によって配管内に適切に導入された制流子Bの一実施態様を示す。
【図13】従来技術による有孔板を示す。
【0093】
実施例及び比較例
アクリル酸含有混合物流Gを、熱的分離装置で熱により連続的に分離する方法
液状混合物Gの含分は、以下の通りである:
アクリル酸 4.49質量%、
酢酸 0.0253質量%、
水 0.0099質量%、
ジフィル 55.77質量%、
ジメチルフタレート 37.85質量%、
ギ酸 0.0003質量%、
アクロレイン 0.0025質量%、
プロピオン酸0.0007質量%、
フルフラール0.0023質量%、
アリルアクリレート 0.0001質量%、
ベンズアルデヒド 0.0291質量%、
無水マレイン酸 0.01374質量%、
安息香酸 0.366質量%、
ジアクリル酸 0.966質量%、
フェノチアジン 0.280質量%、及び
分子状酸素 0.0001質量%。
【0094】
混合物Gの温度は、152.4℃であった。前記混合物Gは、吸収塔の塔底領域から取り出した。吸収法は、プロペンをアクリル酸にする不均一系接触気相部分酸化の生成混合物から、アクリル酸を分離する目的で、DE-A-10336386に記載のように行った。
【0095】
液状混合物Gを8902kg/h、熱的分離装置に供給し、この装置は、分離作用のある空間Rとして分離塔を有し、また循環式熱交換器UWと、輸送ポンプPを有するものであった。
【0096】
循環式熱交換器UWは、704個の熱交換管を有する、8フローの管束熱交換器であった。管の内径は21mmと一定であり、壁厚は2mm、管長は2500mmであった。
【0097】
仕上げ材は、DIN材料1.4571であった。円筒形状熱交換器の内径は、1100mmであった。熱媒としては、熱交換管を取り囲む、管束熱交換器の二次空間に、飽和水蒸気(29bar、231℃)を1800kg/h、供給した。7つの円形状偏向板を用いて(開放断面積対閉鎖断面積の比は、それぞれ3:8)、管束熱交換器内の水蒸気流を熱交換管の周囲に導入した。熱交換器内で形成される水蒸気濃縮物は、200℃の温度で熱交換器から排出した。
【0098】
強制循環をもたらす輸送ポンプPは、閉鎖されたプロペラ付きの放射状循環ポンプであった(Sulzer社、ZE 200/400型)。遮断液体としては、グリコール50質量%と、水50質量%との混合物を使用した。
【0099】
分離塔は、内径2200mmの円筒形状断面を有していた。円筒形部の高さは、7402mmであった。
【0100】
仕上げ材は、DIN材料1.4571であり、壁厚は12mmであった。上部排出パイプの内径は900mmであり、下部排出パイプの直径は、400mmであった。分離塔は、分離作用のある構造物を有さなかった。上部の出口パイプは、558mmの長さで、分離塔に通じていた。塔に通じるパイプを囲んで、分離塔の上端から下方に突出して、さらに環状のカラー(Kragen)が設置され、そのカラーの長さは500mmであった。分離塔の塔頂圧は、85mbarに調整されていた。分離塔は、還流液体無しで稼働した。分離塔は、液面を制御して(standgeregelt)稼働させた。分離塔の下端に堆積した(なおアクリル酸を含有する)液体の最大水準は、1932mmであり、最小水準は900mmであった。分離塔への液状混合物Gの供給は、適切な方法で周期的に行った。分離塔の上部排出パイプの塔頂を通じて、塔内で形成された蒸気を8642kg/h、180℃の温度で排出した。
【0101】
この水蒸気流の含分は、以下の通りであった:
アクリル酸 4.346質量%、
酢酸 0.0260質量%、
水 0.0102質量%、
ジフィル 56.46質量%、
ジメチルフタレート 37.279質量%、
ギ酸 0.0003質量%、
アクロレイン 0.0025質量%、
プロピオン酸0.0007質量%、
フルフラール 0.0024質量%、
アリルアクリレート 0.0001質量%、
ベンズアルデヒド 0.0299質量%、
無水マレイン酸 0.141質量%、
安息香酸 0.369質量%、
ジアクリル酸 1.244質量%、
グリオキサール 0.0004質量%、及び
分子状酸素 0.0001質量%。
【0102】
輸送ポンプPによって、分離塔の下部排出パイプから、温度TSI=180℃で、液状の(なおアクリル酸を含有する)物質流Sを204176kg/h吸い込む。この部分流量は排出され、焼却部に供給される。残っている液状残部流量203916kg/hは、循環式熱交換器UWの熱交換管を通じて給送した。残部流量は189℃の温度で、液状で熱交換管から流した(循環式熱交換器UWの一次空間PRに)。配管(開放断面積が196250mm2、内容積1.8m3のもの)を通じて、189℃の液状残部流量を、分離塔の方向に流した。配管全長のほぼ3分の2を過ぎたところで、前記配管に有孔板が設置されていた。この開孔部の断面積は、49063mm2であった。(下から)約3563mmの高さで、過熱した残部流量(その圧力は、熱交換器管からの出口で4barであった)を、分離塔に返送した。この高さで、混合物Gを分離塔に供給した。
【0103】
2ヶ月と3週間プラス4日の稼働時間後に、熱による分離法を中断しなければならなかった。というのも、有孔板の開孔部が閉塞してしまったからである。
【0104】
有孔板を、図3に記載の制流子B(その開放残部面積は、同様に49063mm2)で置き換えると、4ヶ月の稼働期間後でも、制流子Bの閉塞は形成されなかった。
【0105】
米国特許仮出願番号61/292509号、出願日2010年1月6日は、本願において参照をもって開示されたものとする。上述の教示に関して、本発明の多様な変更及び変化が可能である。従って本発明は、添付された特許請求の範囲内で、この中で特に記載される以外の形で実施できることを前提にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的で制流子Bが配置されており、当該制流子は、そこで円形状開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお、当該箇所に断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法において、
前記配管内に配置された制流子Bが、残存開放面積RFの構成要素として、円形状の断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物流Gを、熱的分離装置で連続的に熱により分離するための方法であって、
当該熱的分離装置は、
・吸込側と吐出側とを有する輸送ポンプP、
・間接的な循環式熱交換器UW、当該熱交換器は、二次空間Sと、当該二次空間Sとは物質的な隔壁Tによって分離された一次空間PRを有するものであり、当該一次空間PRは、入口Eと、出口Aを有するものであり、
・供給箇所ZUと、返送箇所RTとを有する分離作用がある空間R、当該空間Rは、分離作用がある構造物を有するか、又は有さず、当該空間Rへは、供給箇所ZUで連続的に混合物流Gが導入され、
・第一の輸送結合部F1、当該結合部F1は、分離作用のある空間Rから輸送ポンプPの吸込側につながっており、
・第二の輸送結合部F2、当該結合部F2は、輸送ポンプPの吐出側から、循環式熱交換器UWの一次空間PR内にある入口Eにつながっており、
・第三の輸送結合部F3、当該結合部F3は、循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aから、分離作用のある空間R内に存在する返送箇所RTへと返送し、かつ円形状の開放断面積QFを有する配管RLを有し、及び
・制流子B、当該制流子Bは、輸送結合部F3の配管RL内で、循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aと、返送箇所RTとの間に、分離作用のある空間R内に敷設された箇所に配置されており、かつそこで、配管RLの円形状の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお、当該箇所では断面積QFの残存開放面積RFが輸送結合部F3の配管RL内に残存している、
を有するものであり、前記方法では、分離作用のある空間R内で混合物Gの熱による分離のために必要なエネルギーの少なくとも一部が、前記空間R内に投入され、
輸送ポンプPが、分離作用のある空間Rから、温度がTSIである液状の(メタ)アクリルモノマー含有物質流STを連続的に吸い込み、
輸送ポンプPが、当該ポンプによって吸い込まれた物質流STを、輸送結合部F2、循環式熱交換器UWの一次空間PR、及び輸送結合部F3を通じて、返送箇所RTで分離作用のある空間Rに返送し、
同時に、二次空間Sを通じて、液状の熱媒体WT(二次空間Sに導入される温度Twtは、一次空間PRにおける入口Eでの物質流STの温度TSEよりも高い)を導入して、循環式熱交換器UWの一次空間PRの出口Aからの物質流STが、液状で残存面積RFに流れ込み、残存面積RFをTSII>TSIの温度で貫流する、前記方法において、
輸送結合部F3の配管RL内に組み込まれた制流子Bが、残存開放面積RFの構成要素として、円形状断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする、前記方法。
【請求項1】
(メタ)アクリルモノマー含有液体流Fを輸送ポンプPによって、配管を通じて輸送するための方法であって、前記液体流Fに対して透過性の、前記配管の開放断面積QFが円形状であり、前記液体流Fの輸送方向で、前記輸送ポンプPの後方及び/又は前方に敷設された箇所に、前記配管を通じて輸送される液体流Fの速度を測定及び/又は制限する目的で制流子Bが配置されており、当該制流子は、そこで円形状開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお、当該箇所に断面積QFの残存開放面積RFが残存している、前記方法において、
前記配管内に配置された制流子Bが、残存開放面積RFの構成要素として、円形状の断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマーを含有する混合物流Gを、熱的分離装置で連続的に熱により分離するための方法であって、
当該熱的分離装置は、
・吸込側と吐出側とを有する輸送ポンプP、
・間接的な循環式熱交換器UW、当該熱交換器は、二次空間Sと、当該二次空間Sとは物質的な隔壁Tによって分離された一次空間PRを有するものであり、当該一次空間PRは、入口Eと、出口Aを有するものであり、
・供給箇所ZUと、返送箇所RTとを有する分離作用がある空間R、当該空間Rは、分離作用がある構造物を有するか、又は有さず、当該空間Rへは、供給箇所ZUで連続的に混合物流Gが導入され、
・第一の輸送結合部F1、当該結合部F1は、分離作用のある空間Rから輸送ポンプPの吸込側につながっており、
・第二の輸送結合部F2、当該結合部F2は、輸送ポンプPの吐出側から、循環式熱交換器UWの一次空間PR内にある入口Eにつながっており、
・第三の輸送結合部F3、当該結合部F3は、循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aから、分離作用のある空間R内に存在する返送箇所RTへと返送し、かつ円形状の開放断面積QFを有する配管RLを有し、及び
・制流子B、当該制流子Bは、輸送結合部F3の配管RL内で、循環式熱交換器UWの一次空間PRからの出口Aと、返送箇所RTとの間に、分離作用のある空間R内に敷設された箇所に配置されており、かつそこで、配管RLの円形状の開放断面積QFの部分面積を閉鎖し、これによってもなお、当該箇所では断面積QFの残存開放面積RFが輸送結合部F3の配管RL内に残存している、
を有するものであり、前記方法では、分離作用のある空間R内で混合物Gの熱による分離のために必要なエネルギーの少なくとも一部が、前記空間R内に投入され、
輸送ポンプPが、分離作用のある空間Rから、温度がTSIである液状の(メタ)アクリルモノマー含有物質流STを連続的に吸い込み、
輸送ポンプPが、当該ポンプによって吸い込まれた物質流STを、輸送結合部F2、循環式熱交換器UWの一次空間PR、及び輸送結合部F3を通じて、返送箇所RTで分離作用のある空間Rに返送し、
同時に、二次空間Sを通じて、液状の熱媒体WT(二次空間Sに導入される温度Twtは、一次空間PRにおける入口Eでの物質流STの温度TSEよりも高い)を導入して、循環式熱交換器UWの一次空間PRの出口Aからの物質流STが、液状で残存面積RFに流れ込み、残存面積RFをTSII>TSIの温度で貫流する、前記方法において、
輸送結合部F3の配管RL内に組み込まれた制流子Bが、残存開放面積RFの構成要素として、円形状断面積QFの部分面積TFを開放したままにし、前記制流子の輪郭線は、断面積QFの円形状輪郭線の円弧を包含し、当該円弧は、断面積QFの円形状輪郭線の下部10分の1にあることを特徴とする、前記方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−516440(P2013−516440A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547497(P2012−547497)
【出願日】平成23年1月3日(2011.1.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050023
【国際公開番号】WO2011/083104
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月3日(2011.1.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050023
【国際公開番号】WO2011/083104
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】
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