説明

(メタ)アクリル系樹脂の製造方法および(メタ)アクリル系樹脂

【課題】全光線透過率を維持しつつ、光沢を低減できる耐衝撃性改質剤を提供する。
【解決手段】アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、芳香族ビニル化合物、及びラジカル重合可能な不飽和結合を2つ以上持つ多官能単量体を含む単量体混合物Aを重合して得られた重合体の存在下で、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルを含む単量体混合物Bを重合する工程を含む(メタ)アクリル系樹脂の製造方法であって、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルが(メタ)アクリル系樹脂を構成する全単量体の0.9〜2.0質量%である(メタ)アクリル系樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル系樹脂の光沢を低下させる効果を有する耐衝撃性改質剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリル系樹脂から製造された成形品で、耐衝撃性を有し、全光線透過率を維持し光沢を低減した性能が要求される用途として、例えば、自動車の内外層部品、家庭用電気機器の外層部品、照明カバーなどがある。
【0003】
(メタ)アクリル系樹脂の光沢を低下させる方法として、特許文献1には
、(メタ)アクリル系樹脂に無機系微粒子を配合する方法が記載されている。
【0004】
また特許文献2には、(メタ)アクリル系樹脂に、特定の粒径の架橋アクリル系樹脂粒子を添加することで、全光線透過率が高く艶消し性に優れたアクリル系樹脂を得る方法が記載されている。
【特許文献2】特開平5−92529号公報
【特許文献1】特表2000−212293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、光沢の低減の効果はあるが、全光線透過率も大幅に低下し、光沢の低減に必要な量の無機粒子を添加することで耐衝撃性も不十分となりやすい。
【0006】
また、特許文献2の方法では、架橋粒子とマトリックス樹脂の屈折率の差で艶消し性を付与するものであるが、アクリル樹脂粒子を重合する際の単量体として(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルを使用する記載はなく、屈折率の差のみによる光沢低減の効果は不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、芳香族ビニル化合物、及びラジカル重合可能な不飽和結合を2つ以上持つ多官能単量体を含む単量体混合物Aを重合して得られた重合体の存在下で、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルを含む単量体混合物Bを重合する工程を含む(メタ)アクリル系樹脂の製造方法であって、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルが(メタ)アクリル系樹脂を構成する全単量体の0.9〜2.0質量%である(メタ)アクリル系樹脂の製造方法にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂の改質剤として(メタ)アクリル系樹脂成形品の耐衝撃性を向上し、全光線透過率を維持しつつ、光沢を低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明では、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、芳香族ビニル化合物、及びラジカル重合可能な不飽和結合を2つ以上持つ多官能単量体を含む単量体混合物Aを重合して得られた重合体の存在下で、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルを含む単量体混合物Bを重合ことが必要である。
単量体混合物A中の、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。その中でも耐衝撃性の点でn−ブチルアクリレートを使用することが好ましい。
【0010】
該アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートは、単量体混合物A中の70〜89.9質量%が好ましく、75〜84質量%がより好ましい。
【0011】
該アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートが70質量%以上であると、耐衝撃性が良好となり、89.9質量%以下であると透明性が良好となる。
【0012】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、入手しやすさの点からスチレンを使用することが好ましい。
【0013】
該芳香族ビニル化合物は、単量体混合物A中の10〜29.9質量%が好ましく、15〜24質量%がより好ましい。
【0014】
該芳香族ビニル化合物が10質量%以上であると、透明性が良好となり、29.9質量%以下であると耐衝撃性が良好となる。
ラジカル重合可能な不飽和結合を2つ以上持つ多官能単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、アリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレートを使用することが耐衝撃性の点で好ましい。
【0015】
該多官能単量体は、単量体混合物A中の0.1〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。該多官能単量体が0.1〜5質量%であると、耐衝撃性が良好となる。
さらに単量体混合物Aには、その他の共重合可能な単量体として、例えば、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、アクリルアミドなどを含んでいてもよく、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
単量体混合物Aの重合は、公知の乳化重合で行なうことができる。
【0017】
乳化重合に用いる乳化剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれの乳化剤も使用できる。アニオン系の乳化剤としてはオレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム等のカルボン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0018】
乳化剤の量は、使用する乳化剤、単量体成分の種類や配合比、重合条件によって適宜決めることができるが、重合体を構成する単量体の全使用量100質量部に対して0.1質量部以上とすることが好ましく、0.5質量部以上とすることがより好ましい。また、重合体への残存量を抑えるため、単量体成分100質量部に対して10質量部以下とすることが好ましく、5質量部以下とすることがより好ましい。
【0019】
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤であるベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物。アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物。過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物。過塩素酸化合物、過ホウ酸化合物、過酸化物と還元性スルホキシ化合物との組み合わせからなるレドックス系開始剤などを挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤の添加量は、用いるラジカル重合開始剤や単量体成分の種類や配合比によって異なるが、単量体成分100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましい。
【0020】
単量体及び重合開始剤等は、一括添加法、分割添加法、連続添加法、モノマー添加法、エマルション添加法等各種の方法で添加することができる。反応を円滑に進めるために反応系を窒素置換する、あるいは残存単量体を除去するために反応終了後に必要に応じて選択した触媒を添加するなどの方法をとってもよい。
【0021】
さらにアルキルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いても良く、アルキルメルカプタンの例としては、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等が挙げられ、単量体混合物100質量部に対して、0.1〜2質量部用いることが好ましい。
【0022】
また、乳化重合を行なう際には、pH調製剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を共存させることができる。
【0023】
なお単量体混合物Aの重合は、他の(メタ)アクリル系重合体の存在下で行っても良く、(メタ)アクリル系共重合体としては、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、多官能単量体、その他の共重合可能な単量体からなる単量体混合物を重合して得られるものであることが好ましい。
本発明では、該単量体混合物Aを重合して得られた重合体の存在下で、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルを含む単量体混合物Bを重合することことにより、最終的に得られる重合体にリン酸エステル含む単量体単位が組み込まれる。
【0024】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂(A)を改質剤として、マトリクスとなる(メタ)アクリル系樹脂(B)に添加すると、メタ)アクリル系樹脂(A)がリン酸エステルを含むことにより(メタ)アクリル系樹脂(B)中で凝集し、微細な凹凸を有する粒子が形成されることで、光沢の低減が可能になると考えられる。
単量体混合物B中の(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルとしては、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。光沢低減効果の点で2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートが好ましい。
【0025】
さらに本発明では、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルが(メタ)アクリル系樹脂を構成する全単量体の0.9〜2.0質量%であることが必要である。光沢低減の点から高い方が好ましく、耐衝撃性向上の点から低い方が好ましい。
【0026】
また、単量体混合物Bに含まれる他の単量体としては、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、アクリルアミドなどがの共重合可能な単量体が挙げられる。
【0027】
(メタ)アクリル系樹脂の熱安定性の点からアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートが、単量体混合物B中に50〜99.4質量%含まれていることがが好まい。
【0028】
なお、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート等が挙げられる。
【0029】
単量体混合物Bの重合は、単量体混合物Aと同様の乳化剤、開始剤等を用いて公知の乳化重合で行えばよい。
【0030】
単量体混合物Aと単量体混合物Bの重量比は40:60〜90:10が好ましい。単量体混合物Aが40未満では耐衝撃性が不十分となりやすく、90を超えると外観が低下しやすい。
【0031】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂は、単量体混合物Bの重合を行った後のラテックスから回収する。
【0032】
ラテックス中の固形分の量は、重合体の生産性を高くするために、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが好ましい。また、ラテックス中の固形分の量は、ラテックスの安定性を損なわないために、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
【0033】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂を回収するには公知の方法を用いることができ、例えば、塩析凝固、凍結凝固、噴霧乾燥などの方法がある。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂(A)をマトリクスとなる(メタ)アクリル系樹脂(B)に添加した耐衝撃性(メタ)アクリル系樹脂組成物は、公知の熱可塑性樹脂の混合方法を使用することができる。例えば、(メタ)アクリル系樹脂(A)、(メタ)アクリル系樹脂(B)及び必要に応じて他の成分をヘンシェルミキサー等で混合し、一軸または二軸押出機、ニーダー等を用いて溶融混練する方法などがある。
【0034】
(メタ)アクリル系樹脂(B)としては、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上含むものが好ましく、80質量%以上含むものがより好ましい。
【0035】
また(メタ)アクリル系樹脂(A)と(メタ)アクリル系樹脂(B)との質量比は10/90〜80/20であることが好ましい。多段階重合体の含有率を10質量%以上とすることで、耐衝撃性をより十分なものにすることが可能となり、80質量%以下とすることで、射出成型等の成型が容易な流動性を確保でき、かつ、成形品の外観(透明性など)が優れたものとなる
また本発明の耐衝撃性(メタ)アクリル系樹脂組成物は、射出成型等の公知の成型方法で成型することが可能である。
【実施例】
【0036】
以下に本発明の実施例を示す。
また、分析評価方法、実施例中で用いる単量体、添加剤等は以下の通りである。
なお、実施例中の質量部は、使用する全単量体の合計量を100部とした値である。
【0037】
(試験片の作製)
装置:東芝機械(株)製 射出成形機 EC20PNII(商品名)
シリンダー温度:250℃ 試験片サイズ:50mm×50mm×3mm厚
(表面光沢の評価)
下記装置で試験片の60度表面光沢度を測定した。
光沢度は90以下であれば光沢低減の効果ありとした。
光沢度測定機器:村上色彩研究所製光沢計GM−26D
(ガードナー衝撃強度の測定)
下記装置でASTM−D5420に準拠して測定した。
ガードナー衝撃強度が30以上であれば耐衝撃性の効果ありとした。
測定機器:衝撃試験器(BYKガードナー社製)
(全光線透過率の測定)
下記装置でJIS K7361に準拠して測定した。
全光線透過率が90%以上であれば透明性ありとした。
測定機器:ヘーズメーターHR-100(色彩研究所社製)
(単量体、添加剤等)
MMA:メチルメタクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
ST:スチレン
AMA:アリルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
BD:1,3ブタンジオールジメタクリレート
NOM:n−オクチルメルカプタン
t−BH:t−ブチルハイドロパーオキサイド
CHP :クメンハイドロパーオキサイド
FE:硫酸第一鉄
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
SFS:ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
RS:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩(東邦化学(株)製フォスファノールRS610NA(商品名))
MR:2−メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート混合物(大八化学(株)製MR−200(商品名))
(製造例1)
重合体(1)の製造
攪拌機、還流冷却機、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、以下の成分1を入れた。
【0038】
(成分1)
脱イオン水 :118質量部
SFS :0.246質量部
FE :2.46×10−5質量部
EDTA :7.38×10−5質量部
次に系を混合攪拌下、窒素置換しながら80℃に昇温した後、下記の組成の混合物(1)のうちの10質量%を投入し、80℃に保ったまま15分保持した。
【0039】
混合物(1)
MMA :13.72質量部
BA :9.84質量部
ST :1.05質量部
AMA :0.09質量部
BD :0.74質量部
t−BH :0.04質量部
RS :0.91質量部
次に混合物(1)の残り90質量%を108分かけて投入し、80℃に保ったまま15分間保持して、重合体の重合を完結させ、ラテックス(1)を得た。
引き続き下記の成分2を上記ラテックス(1)に加えて、15分間保持した後、下記の組成の混合物(a−1)を180分かけて滴下し、105分保持して重合体の重合を完結させ、ラテックス(a−1)を得た。
【0040】
(成分2)
脱イオン水 :0.84質量部
SFS :0.12質量部
混合物(a−1)
BA :30.45質量部
ST :6.46質量部
AMA :0.65質量部
BD :0.09質量部
CHP :0.10質量部
RS :0.30質量部
引き続き、下記成分3を、上記ラテックス(a−1)に加えて、15分間保持した後、下記の組成の混合物(b−1)を120分間かけて滴下し、80℃で60分保持して重合を完結させ、ラテックス(b−1)を得た。
【0041】
(成分3)
脱イオン水 :0.84質量部
SFS :0.12質量部
混合物(b−1)
MMA :33.20質量部
MA :1.75質量部
MR :1.97質量部
t−BH :0.06質量部
NOM :0.11質量部
得られたラテックス(b−1)を室温まで冷却した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)製L−8型)を用いて、入口温度125℃、出口温度70℃、アトマイザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥し、重合体(1)を得た。
【0042】
(製造例2〜4)
重合体(2)〜(4)の製造
重合体の最終段階に用いる混合物(b−1)を表1に示す(b−2)〜(b−4)のように変更した以外は製造例1と同様にして、重合体(2)〜(4)を製造した。なお、各単量体の数値は本発明の(メタ)アクリル系樹脂を構成する全単量体に対する質量%である。
【0043】
(実施例1〜2、比較例1〜2)
(メタ)アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、アクリペットVH(商品名))76質量部、製造例1〜4の重合体24質量部、酸化防止剤((株)ADEKA製、アデカスタブ2112(商品名)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)0.15質量部、紫外線吸収剤(チバ・ジャパン(株)製、チヌビン P(商品名)、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール)0.05質量部、の混合物を外形30mmφの2軸スクリュー型押し出し機((株)池貝製、PCM−30型(商品名)、L/D=25)を使用し、シリンダー温度240℃、ダイ温度240℃で溶融混練して、樹脂組成物のペレットを作製した。
【0044】
続いて、このペレットを用いて試験片を作製し、60度表面光沢度およびガードナー衝撃強度、全光線透過率を評価した。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

比較例1では、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルが(メタ)アクリル系樹脂を構成する全単量体の2.0質量%を超えるため、耐衝撃性が低下し、比較例2では、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルを含まないため、光沢度が低下しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、芳香族ビニル化合物、及びラジカル重合可能な不飽和結合を2つ以上持つ多官能単量体を含む単量体混合物Aを重合して得られた重合体の存在下で、
(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルを含む単量体混合物Bを重合する工程を含む(メタ)アクリル系樹脂の製造方法であって、
(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルが(メタ)アクリル系樹脂を構成する全単量体の0.9〜2.0質量%である(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法によって得られた(メタ)アクリル系樹脂。
【請求項3】
請求項2の(メタ)アクリル系樹脂を含む耐衝撃性(メタ)アクリル系樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3記載の耐衝撃性(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる成形品。

【公開番号】特開2010−285490(P2010−285490A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138798(P2009−138798)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】