説明

(メタ)アクリル酸の精製方法

【課題】(メタ)アクリル酸の精製工程において実質的に重合防止措置をすることなく、(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を精製する方法を提供する。
【解決手段】i) メタ)アクリル酸水溶液と有機溶剤を混合する工程、ii)有機溶剤と混合した(メタ)アクリル酸水溶液を有機層と水層に分離する工程、iii)工程ii)において分離した有機層を冷却し、(メタ)アクリル酸を晶析する工程、を有する(メタ)アクリル酸の精製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を精製分離する、(メタ)アクリル酸の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリル酸水溶液から水を分離して(メタ)アクリル酸を精製する際には、(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を抽出溶剤により抽出し、抽出溶剤と
(メタ)アクリル酸とを蒸留により分離する方法が広く知られている。
【0003】
特許文献1には、炭素原子を3〜4個有するアルカン、アルカノール、アルケン及びアルケナールのグループ及び第三級ブタノールのメチルエーテル(MTBE)から選択され、(メタ)アクリル酸に変換することができる少なくとも1種の抽出剤が開示されており、得られた有機層を蒸留することにより(メタ)アクリル酸を精製する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、(メタ)アクリル酸メチルまたは(メタ)アクリル酸メチルとn−ヘプタンの混合溶媒が開示されており、得られた有機層を蒸留することにより(メタ)アクリル酸を精製する方法が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ベンゼン、トルエン、キシレンから選ばれた芳香族炭化水素と、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンから選ばれた脂肪族炭化水素とを含み、該芳香族炭化水素の含有量が20〜70質量%である混合溶媒が開示されており、得られた有機層を蒸留することにより(メタ)アクリル酸を精製する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2001−514643号公報
【特許文献2】特許第3246216号公報
【特許文献3】特開昭63−211249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、(メタ)アクリル酸水溶液に抽出溶剤を加え有機層と水層とに層分離させた後、有機層から(メタ)アクリル酸を蒸留で分離するためには、一般的にはまず抽出溶剤を留出成分として得た後、(メタ)アクリル酸が主成分である缶出成分を再度蒸留することで、最終的に(メタ)アクリル酸を留出成分として取得する必要があった。
【0008】
(メタ)アクリル酸は易重合性物質として知られており、蒸留操作の際には各種重合防止剤の添加や、高真空を利用した蒸留温度の低下など、(メタ)アクリル酸の重合を防止するために煩雑な措置が必要であった。
【0009】
本発明は前記事情を鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリル酸の精製工程において実質的に重合防止措置をすることなく、(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を精製する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、抽出溶剤と(メタ)アクリル酸水溶液を混合することで有機層と水層とに二層分離させ、(メタ)アクリル酸を含有した有機層を得た後、該有機層を晶析処理することにより、実質的に重合防止措置をすることなく、(メタ)アクリル酸を重合させることなく精製分離できることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を精製する方法において、
i) メタ)アクリル酸水溶液と有機溶剤を混合する工程、
ii)有機溶剤と混合した(メタ)アクリル酸水溶液を有機層と水層に分離する工程、
iii)工程ii)において分離した有機層を冷却し、(メタ)アクリル酸を晶析する工程、
を有する(メタ)アクリル酸の精製方法、である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の(メタ)アクリル酸の精製方法によれば、(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を精製分離する際に、特別な重合防止措置を施すことなく(メタ)アクリル酸を重合させずに精製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による(メタ)アクリル酸の精製方法の一例を示すフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の(メタ)アクリル酸の精製方法では、i) (メタ)アクリル酸水溶液と有機溶剤を混合する工程、ii)有機溶剤と混合した(メタ)アクリル酸水溶液を有機層と水層に分離する工程、iii)工程ii)において分離した有機層を冷却し、結晶として(メタ)アクリル酸を取得する工程、を有する。
【0015】
本発明の(メタ)アクリル酸の精製方法で使用できる(メタ)アクリル酸水溶液としては特に制限されず、例えば、プロパン、プロピレン、アクロレイン、イソブチレン、t−ブタノールまたはメタクロレインを分子状酸素により気相酸化あるいは液相酸化させることにより(メタ)アクリル酸を合成することにより得られる水溶液などが使用できる。
【0016】
例えば、プロパン、プロピレン、アクロレイン、イソブチレン、t−ブタノールまたはメタクロレインを分子状酸素により気相酸化することにより得られた気体状の(メタ)アクリル酸は、水を主成分とする吸収液により吸収され、(メタ)アクリル酸水溶液として回収される。
【0017】
(メタ)アクリル酸水溶液には、(メタ)アクリル酸および水以外の化合物が含まれていても構わない。例えば、(メタ)アクリル酸の合成に起因する不純物が含まれていても構わない。
【0018】
イソブチレン、t−ブタノールまたはメタクロレインの気相酸化あるいは液相酸化で生じる不純物としては、例えば、イソブチレン、t−ブタノール、アクロレイン、メタクロレイン、アセトン、酢酸、アクリル酸、無水(メタ)アクリル酸などが挙げられる。プロパン、プロピレンまたはアクロレインの気相酸化で生じる不純物としては、例えばプロピオン酸、酢酸、マレイン酸、アセトン、アクロレイン、フルフラール、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。
【0019】
(メタ)アクリル酸水溶液の濃度は特に限定されないが、濃度が低すぎると後の抽出工程における負荷が増大するため、(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸の濃度は10質量%以上とすることが好ましい。(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸の濃度は高くても特に問題はなく、(メタ)アクリル酸水溶液を取得する工程における負荷を考慮したうえで、任意に定めることができる。
【0020】
本発明の方法によると、i)このようにして得られた(メタ)アクリル酸水溶液と有機溶剤(以下抽出溶剤ともいう)を混合し、ii)(メタ)アクリル酸水溶液を有機層と水層に分離する。
【0021】
本発明における抽出溶剤は、水への溶解度が低いものが好ましい。また、後述する晶析工程における冷却エネルギーを低減させる観点から、より高温で(メタ)アクリル酸の結晶析出が起こるものが好ましい。
【0022】
具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素類、ターシャリブチルメチルエーテルなどのエーテル類、n−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−アミルアルコール、3−ペンタノール、メチルアミルアルコールなどのアルコール類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルなどのエステル類、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの環式脂肪族炭化水素類、イオン性液体などを使用することができる。
【0023】
これら抽出溶剤は単独で使用しても良く、二種類以上を任意に混合して使用しても良い。
【0024】
(メタ)アクリル酸水溶液からの(メタ)アクリル酸抽出量は、抽出温度、抽出圧力、抽出装置等の抽出条件および抽出溶剤の使用量により制御することができる。
【0025】
一般的には、抽出温度は低温になるほど、(メタ)アクリル酸抽出効率は向上する。しかし、抽出温度が低温になるほど冷却のためのエネルギーが多くなることから、抽出温度の下限としては0℃以上が好ましい。抽出温度が高すぎると(メタ)アクリル酸の重合を引き起こす可能性が生じることから、抽出温度の上限としては60℃以下が好ましい。
【0026】
抽出圧力としては、大気圧、加圧、減圧のいずれでもよいが、抽出装置および操作が簡便になることから大気圧付近が好ましい。
【0027】
抽出溶剤の使用量としては特に限定されないが、後の晶析分離工程において(メタ)アクリル酸を結晶として効率的に取得するため、抽出工程により得られる有機層中の(メタ)アクリル酸濃度が(メタ)アクリル酸と抽出溶剤との共晶組成以上になるよう定めることが好ましい。ここで共晶組成とは、(メタ)アクリル酸と抽出溶剤の二元系状態図における液相線の交点のことである。この操作により、晶析工程において有機層から析出する結晶を、主に(メタ)アクリル酸からなるものとすることができる。
【0028】
抽出装置としては二層分離操作ができれば特に限定されず、例えば、ミキサーセトラー型抽出装置、回転円盤抽出塔、多孔板抽出塔などを使用できる。所望の(メタ)アクリル酸抽出率が得られるよう、これら装置は組み合わせて使用しても良く、複数使用しても良い。
【0029】
抽出溶剤と(メタ)アクリル酸水溶液との混合方法は特に限定されず、ラインミキサーを使用して配管中で抽出溶剤と(メタ)アクリル酸水溶液とを混合した後に抽出装置に導入する方法、タンクに抽出溶剤と(メタ)アクリル酸水溶液を導入し攪拌混合した後に抽出装置へ導入する方法、抽出溶剤と(メタ)アクリル酸水溶液をそれぞれ抽出装置内へ直接導入する方法、などを実施することができる。混合する順番も特に限定されず、(メタ)アクリル酸水溶液に抽出溶剤を添加しても良く、抽出溶剤に(メタ)アクリル酸水溶液を添加しても良い。
【0030】
(メタ)アクリル酸水溶液と抽出溶剤を混合した際に、(メタ)アクリル酸水溶液に溶解していた重合物などが固体として析出する場合には、(メタ)アクリル酸水溶液と抽出溶剤とをあらかじめ接触させることで固体を析出させ、析出した固体を濾過など公知の技術により分離した後に、液体成分のみを抽出装置に導入することが好ましい。
【0031】
本発明の方法によると、上記抽出工程において得られた有機層を冷却し、結晶として(メタ)アクリル酸を取得することが好ましい。本操作により、(メタ)アクリル酸と抽出溶剤とを分離精製し、高純度の(メタ)アクリル酸を得ることができる。
【0032】
抽出工程を実施することなく、(メタ)アクリル酸水溶液を冷却する場合は、(メタ)アクリル酸が水との共晶組成よりも高い濃度でないと(メタ)アクリル酸を結晶として析出させることができない。(メタ)アクリル酸と水との共晶組成は(メタ)アクリル酸濃度が70−80質量%の領域であるため、例えばプロパン、プロピレン、アクロレイン、イソブチレン、t−ブタノールまたはメタクロレインを分子状酸素により気相酸化することにより得られた気体状の(メタ)アクリル酸を水により吸収回収して得られた(メタ)アクリル酸水溶液を用いることは極めて困難である。
【0033】
一方、本発明の方法によると、(メタ)アクリル酸水溶液はまず有機層と水層に分離されるため、いかなる組成の(メタ)アクリル酸水溶液も使用することが可能である。
【0034】
iii)工程の(メタ)アクリル酸を含む有機層の晶析方法としては冷却晶析が好ましい。冷却することにより、易重合性である(メタ)アクリル酸を安定に取り扱うことが可能であり、従来実施されてきた蒸留分離で使用されたような重合防止剤の添加を回避することができる。
【0035】
冷却方式は直接冷却式でもジャケットまたはコイルなどによる間接冷却式でも良い。実施形態としては回分式または連続式のいずれでも良い。
【0036】
回分式の冷却晶析装置としては公知のものを使用することができ、例えば温度制御用ジャケットまたはコイルを具備した攪拌槽型装置、管群やプレートからなる伝熱面を具備した槽型装置または塔型装置などを使用することができる。これら装置は単独で使用しても良く、任意に組み合わせて使用しても良い。
【0037】
連続式の冷却晶析装置としては公知のものを使用することができ、例えば温度制御用ジャケットまたはコイルを具備した掻取攪拌槽型装置、掻取式熱交換器、ブロディ型分別晶析装置、塔型晶析装置、横型多段冷却晶析装置CDC(株式会社クレハエンジニアリング)、などを使用することができる。これら装置は単独で使用しても良く、任意に組み合わせて使用しても良い。
【0038】
晶析温度は、抽出溶剤の種類や有機層の組成によって決定される。以下、二成分の単純共晶系を例に取り説明する。未飽和状態の二成分混合溶液を冷却していくと、一方の成分が溶解度を超え、暫く過飽和状態を保った後に核化が生じ結晶が析出し始める。この際、結晶析出温度は、有機層を形成する抽出溶剤の種類および(メタ)アクリル酸との液組成により決定されるものである。結晶析出開始後、さらに冷却を続け温度を下げることにより結晶析出量は増加する。さらに冷却を続けていくと、いずれ液体成分が全て結晶化する温度(共晶温度)が存在する。従って、高純度の(メタ)アクリル酸を取得するためには、共晶温度以上の温度で晶析させることが好ましい。
【0039】
結晶析出前の全溶液質量に対する析出結晶質量の割合を結晶濃度と定義すると、晶析装置内における結晶濃度の下限は5質量%以上が好ましい。結晶濃度が低いということは、結晶成分すなわち(メタ)アクリル酸の取得量が減るため経済的に問題がある。一方、晶析装置内における結晶濃度の上限は60質量%以下が好ましい。結晶濃度を高くしすぎると、結晶が合一し固化しやすくなるため、晶析装置からのスラリー抜き出しやその後の配管の閉塞など、装置上のトラブルが生じやすいという問題がある。
【0040】
晶析時の操作圧力は特に限定されないが、経済的観点から大気圧付近が好ましい。晶析装置内に気相部が存在する場合は、有機ガスによる爆発防止の観点から、低酸素濃度ガスや窒素ガスにより連続的にパージすることが好ましい。
【0041】
晶析操作により析出した主に(メタ)アクリル酸からなる結晶は、必要に応じて固液分離し、結晶洗浄や発汗による不純物除去などの精製操作を施すことができる。
【0042】
固液分離装置としては公知のものを使用することができ、例えばベルトフィルター、加圧濾過器、遠心分離器などを使用することができる。これら装置は単独で使用しても良く、組み合わせて使用しても良い。
【0043】
これら装置における固液分離時には、任意の洗浄液を結晶に接触させることで結晶に付着している不純物を洗浄除去しても良い。洗浄液の種類は特に限定されないが、不純物混入を抑制する観点から、所望の製品純度相等の(メタ)アクリル酸を使用することが好ましい。
【0044】
結晶洗浄・発汗装置としては公知のものを使用することができ、例えばピストン型精製搭、クレハ連続結晶精製装置KCP(株式会社クレハエンジニアリング)などを使用することができる。これら装置は単独で使用しても良く、任意に組み合わせて使用しても良い。
【0045】
得られた(メタ)アクリル酸の純度が不十分な場合には、(メタ)アクリル酸を再度晶析工程にて精製することができる。この操作により、極めて高純度の(メタ)アクリル酸を取得することができる。
【0046】
晶析操作の上限は特に限定されない。複数回実施することで(メタ)アクリル酸を高純度化することができるが、増大する消費エネルギーの観点から10回以下とすることが好ましい。
【0047】
晶析工程において取得された(メタ)アクリル酸の結晶は、融解させ液体として回収することが出来る。
【0048】
融解温度は融点以上であれば特に限定されないが、融解中に(メタ)アクリル酸が重合しないよう、50℃以下とすることが好ましい。融解により得られた液体状の(メタ)アクリル酸には、貯蔵中の重合を抑制する目的で公知の重合防止剤を添加することができる。
【0049】
以下、図面により本発明を説明する。
【0050】
吸収装置Aには(メタ)アクリル酸水溶液1と抽出溶剤2が供給され、主に(メタ)アクリル酸と抽出溶剤から構成される有機層3と水層4に分離される。有機層3は晶析装置Bに供給され、(メタ)アクリル酸結晶5が取得される。(メタ)アクリル酸結晶5は熱交換器Cにより融解され、液状の(メタ)アクリル酸6が取得される。
【0051】
本発明の方法によれば、易重合性である(メタ)アクリル酸に特別な重合防止措置を施すことなく、(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を精製することができる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。実施例及び比較例において、メタクリル酸(MAA)と抽出溶剤の定量にはガスクロマトグラフィーを使用し、水の定量にはカールフィッシャー水分計を使用した。
【0053】
(実施例1)
MAA水溶液(MAA:20.0質量%、水:80.0質量%)172.92gに、抽出溶剤としてn−ヘプタン82.12gを加え、室温にて1時間攪拌してMAAを抽出した。約5時間静置させ、主に抽出溶剤およびMAAからなる上層と主に水からなる下層を分取した。表1および表2に上層と下層の組成を示す。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
次いで上層をフラスコにとり、攪拌しながら−72℃に冷却し、主にMAAからなる結晶を取得した。得られた結晶は減圧濾過により母液を除去した後、室温にて融解させた。結晶融解液の分析結果を表3に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
一連の操作においては、いかなる重合防止剤も加えなかった。得られた結晶融解液に塩化ナトリウム25%水溶液を同質量加え振盪させたが、ポリマー状白濁物の析出は確認されなかった。
【0059】
(実施例2)
実施例1で取得した結晶融解液をフラスコにとり、攪拌しながら−13℃に冷却し、主にMAAからなる結晶を取得した。得られた結晶は減圧濾過により母液を除去した後、室温にて融解させた。結晶融解液の分析結果を表4に示す。
【0060】
【表4】

【0061】
一連の操作においては、いかなる重合防止剤も加えなかった。得られた結晶融解液に塩化ナトリウム25質量%水溶液を同質量加え振盪させたが、ポリマー状白濁物の析出は確認されなかった。
【0062】
(比較例1)
主に抽出溶剤およびMAAからなる上層を得るまでは実施例1と同様の方法を実施した。得られた上層をフラスコにとり、ロータリーエバポレーターでn−ヘプタンを除去した。この際、加熱用オイルバスの設定温度を100℃とし、系内圧力は1.33×10Paになるまで徐々に減圧していった。1.33×10Paに到達した時点で操作を終了し、主にMAAからなるフラスコ残液を取得した。加熱時間は合計7時間であった。
一連の操作においては、いかなる重合防止剤も加えなかった。得られたフラスコ残液を10gとり、塩化ナトリウム25質量%水溶液を10g加え振盪させたところ、ポリマー状白濁物の析出が確認された。
【符号の説明】
【0063】
1 (メタ)アクリル酸水溶液
2 抽出溶剤
3 有機層
4 水層
5 (メタ)アクリル酸−結晶
6 (メタ)アクリル酸−液体
7 残渣
A 吸収装置
B 晶析装置
C 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を精製する方法において、
i) (メタ)アクリル酸水溶液と有機溶剤を混合する工程、
ii) 有機溶剤と混合した(メタ)アクリル酸水溶液を有機層と水層に分離する工程、
iii) 工程ii)において分離した有機層を冷却し、(メタ)アクリル酸を晶析する工程、
を有する(メタ)アクリル酸の精製方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−225460(P2011−225460A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94657(P2010−94657)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】