説明

1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンおよびその塩の製造方法

【課題】1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンおよびその塩の製造方法を提供する。
【解決手段】式(I)で表される1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンおよびその生理学上問題のない塩を製造するもので、


(ただし、nは0ないし2を、HXは有機酸あるいは無機酸を表す)まず、2−メトキシメチル−4−ニトロフェノールをハロゲンアセトアミドと反応させて2−(2−メトキシメチル−4−ニトロ−フェノキシ)−アセトアミドに変換し、次いで2−メトキシメチル−4−ニトロアニリンに転換し、さらに触媒の作用下に還元することによって式(I)に変換し、nが0でない場合には、無機酸あるいは有機酸を用いて酸付加物に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン並びにこれと有機酸あるいは無機酸との生理学上問題のない塩の製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
2の位置の置換された1、4−ジアミノベンゼンの製造方法は特許文献1において公知である。この場合は相応のニトロアニリンが触媒の作用の下に還元される。しかしこの方法による1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンの製造においては、遊離の塩基が非常に酸化されやすいということと相俟って、最終製品の精製に多額の費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第2273564号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンの簡単な製造方法を提供すること、さらにその場合に酸化に対して不活性な塩を簡単に製造することができるような製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、驚くべきことに、式(I)で表される1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン並びにその塩が
【0006】
【化1】



(ただし、nは0ないし2を、HXは有機酸あるいは無機酸を表す)、式(IV)で表されるニトロフェノールから出発し、これを式(V)で表される相応のフェノキシアセトアミドに変換し、次いで式(VI) で表されるニトロアニリンに転換し、次いで還元することによって、簡単に、しかも高収量で得られることを見い出した。
【0007】
すなわち本発明は、まず式(IV) で表される2−メトキシメチルメチル−4−ニロトフェノールをクロルアセトアミドと反応させて式(V)で表される2−(2−メトキシメチル−4−ニトロ−フェノキシ)−アセトアミドに変換し、次いで式(V)で表されるこの2−(2−メトキシメチル−4−ニトロ−フェノキシ)−アセトアミドを式(VI) で表される2−メトキシメチル−4−ニトロアニリンに転換し、次いで式(VI) で表されるこの2−メトキシメチル−4−ニトロアニリンを触媒の作用下に還元することによって式(I)で表される1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンに変換し、さらに必要に応じて酸を用いて相応の酸付加物(nが0でない場合)に誘導することを特徴とする、式(I)で表される1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン並びにその生理学上問題のない塩の製造方法を対象とする。
【0008】
【化2】

【0009】
酸として無機酸あるいは有機酸を使用することができるが、この場合に好ましい酸として、塩酸、硫酸、ホウ酸、クエン酸および酒石酸が挙げられる。これらの中でも塩酸および硫酸が特に好ましい。式(IV)で表される2−メトキシメチル−4−ニトロフェノールは加熱下にハロゲンアセトアミドによって置換される。この場合にヨードアセトアミドが特に有用であり、さらに多少反応性が落ちるがブロムアセトアミドも有用である。費用の理由から安価なクロムアセトアミドを使用したい場合は、たとえばヨウ化ナトリウムあるいはヨウ化カリウムのようなヨウ化物を用いて触媒作用下に反応を行うことが好ましい。高い置換率を得るためには10%(モル)をはるかに超える量のヨウ化物を添加する必要がある。この場合ヨウ化物の量は50%(モル)であれば全体的に充分であることが判明している。反応は常法に従って単純双極性溶剤中において還流温度下に実施される。双極性溶剤として、たとえばアセトン、あるいはモノあるいはポリエチレングリコールのジ(C1 ないしC6 )アルキルエーテル(たとえばエチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテルあるいはポリエチレングリコールジアルキルエーテル)を使用することができるが、この場合はアセトンあるいは200℃以下の沸点を有するモノあるいはポリエチレングリコールのジ(C1 ないしC6 )アルキルエーテル、特にアセトンあるいはエチレングリコ−ルジメチルエーテルを使用することが好ましい。これによって得られる式(V)で表される2−(2−メトキシメチル−4−ニトロ−フェノキシ)−アセトアミドの式(VI) で表されるニトロアニリンへの転換は、W.R.Baker、J.Org.Chem.1983、48、5140に従って、式(V)で表される化合物を、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドあるいはN−メチル−ピロリドンのような溶剤中において、塩基を添加しながら加熱することによって実施される。塩基として、上記の文献に挙げられている化合物のほかに、炭酸ナトリウムあるいは炭酸カリウムのような炭酸塩も有用である。炭酸塩は反応条件下においては懸濁状態で存在するので、できるだけ微粉末状のものを2ないし5倍過剰に使用することが好ましい。反応は広い温度範囲において実施可能であるが、80℃以下では置換反応が低下すること、および140℃以上では分解生成物によって反応混合物が黒ずむことを、留意する必要がある。この理由から反応温度は80℃ないし120℃が好ましい。次ぎの式(I)で表される1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンへの触媒還元反応は、通常の方法に従って、少し高めの水素圧下、室温ないしは少し高めの温度において、触媒としてパラジウム/活性炭を使用の下に、実施される。最終反応工程において妨げとなる副生成物がまったく生じないこと、およびそれに付随して精製工程が不要であることは、本発明の方法の大きな利点である。式(I)で表される化合物は、遊離の塩基の形態では酸化に対して非常に不安定であるために、有機酸あるいは無機酸、たとえば塩酸あるいは硫酸との塩の形態で(nが0でない場合)分離することが好ましい。酸は、式(I)において両アミノ基を陽性化することが出来るように、それぞれ酸性基の数を考慮した上で、少し過剰に添加される。一塩基酸の場合は2ないし2.5当量の添加が有効であり、二塩基酸の場合は1ないし1.5当量が合目的である。塩形成に対する溶剤としては、一般的に、一方で酸を良好に溶解することができ、他方で酸付加物を容易に結晶化することができるという理由から、アルコール並びにエーテルが好ましい。
【0010】
式(I)で表される化合物はケラチン繊維の酸化系における染色に対する染料前駆体として非常に有用である。そこで本発明は、式(I)で表される化合物をケラチン繊維、たとえば羊毛、絹あるいは毛髪、特に人毛に対する染色剤において使用することも、対象とする。式(I)で表される化合物は特にケラチン繊維の染色に有用であるが、原則的にその他の天然繊維あるいは合成繊維、たとえば木綿あるいはナイロン66もこの化合物で染色することが可能である。
【0011】
式(I)で表される化合物は単独でも、あるいは繊維素材の酸化染色系において一般的に用いられている公知の特定の顕色成分および/あるいはカップリング成分と組み合せても、使用することができる。
【0012】
有用なカップリング成分として、特にN−(3−ジメチルアミノ−フェニル)−尿素、2、6−ジアミノ−ピリジン、2−アミノ−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−アニソール、2、4−ジアミノ−1−フルオル−5−メチル−ベンゼン、2、4−ジアミノ−1−メトキシ−5−メチル−ベンゼン、2、4−ジアミノ−1−エトキシ−5−メチル−ベンゼン、2、4−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メチル−ベンゼン、2、4−ジ[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1、5−ジメトキシ−ベンゼン、2、3−ジアミノ−6−メトキシ−ピリジン、3−アミノ−6−メトキシ−2−(メチルアミノ)−ピリジン、2、6−ジアミノ−3、5−ジメトキシ−ピリジン、3、5−ジアミノ−2、6−ジメトキシ−ピリジン、1、3−ジアミノ−ベンゼン、2、4−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2、4−ジアミノ−1−(3−ヒドロキシプロポキシ)−ベンゼン、1−(2−アミノエトキシ)−2、4−ジアミノ−ベンゼン、2−アミノ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−メチルアミノ−ベンゼン、2、4−ジアミノフェノキシ−酢酸、3−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−アニリン、4−アミノ−2−ジ[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−エトキシ−ベンゼン、5−メチル−2−(1−メチルエチル)−フェノール、3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−アニリン、3−[(2−アミノエチル)アミノ]−アニリン、1、3−ジ(2、4−ジアミノフェノキシ)−プロパン、ジ(2、4−ジアミノフェノキシ)−メタン、1、3−ジアミノ−2、4−ジメトキシ−ベンゼン、2、6−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−トルエン、4−ヒドロキシ−インドール、3−ジメチルアミノ−フェノール、3−ジエチルアミノ−フェノール、5−アミノ−2−メチル−フェノール、5−アミノ−4−フルオル−2−メチル−フェノール、5−アミノ−4−メトキシ−2−メチル−フェノール、5−アミノ−4−エトキシ−2−メチル−フェノール、3−アミノ−2、4−ジクロル−フェノール、5−アミノ−2、4−ジクロル−フェノール、3−アミノ−2−メチル−フェノール、3−アミノ−2−クロル−6−メチル−フェノール、3−アミノ−フェノール、2−[(3−ヒドロキシフェニル)アミノ]−アセトアミド、5−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチル−フェノール、3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−フェノール、3−[(2−メトキシエチル)アミノ]−フェノール、5−アミノ−2−エチル−フェノール、2−(4−アミノ−2−ヒドロキシフェノキシ)−エタノール、5−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−2−メチル−フェノール、3−[(2、3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−メチル−フェノール、3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチル−フェノール、2−アミノ−3−ヒドロキシ−ピリジン、5−アミノ−4−クロル−2−メチル−フェノール、1−ナフトール、1、5−ジヒドロキシ−ナフタリン、1、7−ジヒドロキシ−ナフタリン、2、3−ジヒドロキシ−ナフタリン、2、7−ジヒドロキシ−ナフタリン、2−メチル−1−ナフトール−アセテート、1、3−ジヒドロキシ−ベンゼン、1−クロル−2、4−ジヒドロキシ−ベンゼン、2−クロル−1、3−ジヒドロキシ−ベンゼン、1、2−ジクロル−3、5−ジヒドロキシ−4−メチル−ベンゼン、1、5−ジクロル−2、4−ジヒドロキシ−ベンゼン、1、3−ジヒドロキシ−2−メチル−ベンゼン、3、4−メチレンジオキシ−フェノール、3、4−メチレンジオキシ−アニリン、5−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1、3−ベンゾジオキソール、6−ブロム−1−ヒドロキシ−3、4−メチレンジオキシ−ベンゼン、3、4−ジアミノ−安息香酸、3、4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−1、4(2H)−ベンゾキサジン、6−アミノ−3、4−ジヒドロ−1、4(2H)−ベンゾキサジン、3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン、5、6−ジヒドロキシ−インドール、5、6−ジヒドロキシ−インドリン、5−ヒドロキシ−インドール、6−ヒドロキシ−インドール、7−ヒドロキシ−インドールおよび2、3−インドリンジオン、あるいはこれらの塩を挙げることができる。
【0013】
特に自然な色合いおよび現代的な赤色系の色合いを製出するには、式(I)で表される化合物と共に顕色成分を組み合せて使用することが好ましい。この場合顕色成分としてパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール並びに4、5−ジアミノ−ピラゾールあるいはこれらの塩が考慮される。特に次ぎのような顕色成分を挙げることができる。すなわち1、4−ジアミノ−ベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1、4−ジアミノ−2−メチル−ベンゼン(p−トルエン−ジアミン)、1、4−ジアミノ−2、6−ジメチル−ベンゼン、1、4−ジアミノ−2、5−ジメチル−ベンゼン、1、4−ジアミノ−2、3−ジメチル−ベンゼン、2−クロル−1、4−ジアミノ−ベンゼン、4−フェニルアミノ−アニリン、4−ジメチルアミノ−アニリン、4−ジエチルアミノ−アニリン、4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−アニリン、4−[(2−メトキシエチル)アミノ]−アニリン、4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−アニリン、1、4−ジアミノ−2−(2−ヒドロキシエチル)−ベンゼン、1、4−ジアミノ−2−(1−メチルエチル)−ベンゼン、1、3−ビス[(4−アミノフェニル)−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパノール、1、8−ビス(2、5−ジアミノフェノキシ)−3、6−ジオキサオクタン、4−アミノ−フェノール、4−アミノ−3−メチル−フェノール、4−メチルアミノ−フェノール、4−アミノ−2−(アミノメチル)−フェノール、4−アミノ−2−[(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]メチル−フェノール、4−アミノ−2−(メトキシメチル)−フェノール、4−アミノ−2−(2−ヒドロキシエチル)−フェノール、5−アミノ−サリチル酸、2、5−ジアミノ−ピリジン、2、4、5、6−テトラアミノ−ピリミジン、2、5、6−トリアミノ−4−(1H)−ピリミドン、4、5−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピラゾール、4、5−ジアミノ−1−(1−メチルエチル)−1H−ピラゾール、4、5−ジアミノ−1−[(4−メチルフェニル)メチル]−1H−ピラゾール、1−[(4−クロルフェニル)メチル]−4、5−ジアミノ−1H−ピラゾール、4、5−ジアミノ−1−メチル−1H−ピラゾール、4、5−ジアミノ−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール、4、5−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−1H−ピラゾール、2−アミノ−フェノール、2−アミノ−6−メチル−フェノールおよび2−アミノ−5−メチル−フェノール、あるいはこれらの塩を挙げることができる。
【0014】
自明のことであるが、式(I)で表される化合物は一般的に用いられているアニオン性、カチオン性あるいは中性の直接染料と組み合せて使用することもできる。好ましいアニオン性染料として、たとえば6−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)アゾ]−2−ナフタリンスルホン酸−ジナトリウム塩(CI15985;食用黄No.3;FD&CイエローNo.6)、2、4−ジニトロ−1−ナフトール−7−スルホン酸−ジナトリウム塩(CI10316;アシッド・イエローNo.1;食用黄No.1)、2−(インダン−1、3−ジオン−2−イル)キノリン−x、x−スルホン酸(モノスルホン酸とジスルホン酸の混合物)(CI47005;D&CイエローNo.10;食用黄No.13;アシッド・イエローNo.3)、5−ヒドロキシ−1−(4−スルホフェニル)−4−[(4−スルホフェニル)アゾ]ピラゾール−3−カルボン酸−トリナトリウム塩(CI19140;食用黄No.4;アシッド・イエローNo.23)、9−(2−カルボキシフェニル)−6−ヒドロキシ−3H−キサンテン−3−オン(CI45350;アシッド・イエローNo.73;D&CイエローNo.8)、5−[(2、4−ジニトロフェニル)アミノ]−2−フェニルアミノ−ベンゼンスルホン酸−ナトリウム塩(CI10385;アシッド・オレンジNo.3)、4−[(2、4−ジヒドロキシフェニル)アゾ]−ベンゼンスルホン酸−モノナトリウム塩(CI14270;アシッド・オレンジNo.6)、4[(2−ヒドロキシナフト−1−イル)アゾ]−ベンゼンスルホン酸−ナトリウム塩(CI15510;アシッド・オレンジNo.7)、4−[(2、4−ジヒドロキシ−3−((2、4−ジメチルフェニル)アゾ)フェニル)アゾ]−ベンゼンスルホン酸−ナトリウム塩(CI20170;アシッド・オレンジNo.24)、4−ヒドロキシ−3−[(4−スルホナフト−1−イル)アゾ]−1−ナフタリン−スルホン酸−ジナトリウム塩(CI14720;アシッド・レッドNo.14)、6−ヒドロキシ−5−[(4−スルホナフト−1−イル)アゾ]−2、4−ナフタリン−ジスルホン酸−トリナトリウム塩(CI16255;ポンソウ4R;アシッド・レッドNo.18)、3−ヒドロキシ−4−[(4−スルホナフト−1−イル)アゾ]−2、7−ナフタリン−ジスルホン酸−トリナトリウム塩(CI16185;アシッド・レッドNo.27)、8−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(フェニルアゾ)−3、6−ナフタリン−ジスルホン酸−ジナトリウム塩(CI17200;アシッド・レッドNo.33)、5−(アセチルアミノ)−4−ヒドロキシ−3−[(2−メチルフェニル)アゾ]−2、7−ナフタリン−ジスルホン酸−ジナトリウム塩(CI18065;アシッド・レッドNo.35)、2−(3−ヒドロキ−2、4、5、7−テトライオド−ジベンゾピラン−6−オン−9−イル)−安息香酸−ジナトリウム塩(CI45430;アシッド・レッドNo.51)、N−[6−(ジエチルアミノ)−9−(2、4−ジスルホフェニル)−3H−キサンテン−3−イリデン]−N−エチルエタナミニウム−ヒドロオキサイド−分子内塩−ナトリウム塩(CI45100;アシッド・レッドNo.52)、8−[(4−(フェニルアゾ)フェニル)アゾ]−7−ナフトール−1、3−ジスルホン酸−ジナトリウム塩(CI27290;アシッド・レッドNo.73)、2’、4’、5’、7’−テトラブロム−3’、6’−ジヒドロキシスピロ[イソベンゾフラン−1(3H)、9’(9H)−キサンテン]−3−オン−ジナトリウム塩(CI45380;アシッド・レッドNo.87)、2’、4’、5’、7’−テトラブロム−4、5、6、7−テトラクロル−3’、6’−ジヒドロキシスピロ[イソベンゾフラン−1(3H)、9’(9H)−キサンテン]−3−オン−ジナトリウム塩(CI45410;アシッド・レッドNo.92)、3’、6’−ジヒドロキシ−4’、5’−ジイオドスピロ[イソベンゾフラン−1(3H)、9’(9H)−キサンテン]−3−オン−ジナトリウム塩(CI45425;アシッド・レッドNo.95)、(2−スルホフェニル)ジ[4−(エチル((4−スルホフェニル)メチル)アミノ)−フェニル]−カルベニウム−ジナトリウム塩、ベタイン(CI42090;アシッド・ブルーNo.9;FD&CブルーNo.1)、1、4−ビス[(2−スルホ−4−メチルフェニル)アミノ]−9、10−アンスラキノン−ジナトリウム塩(CI61570;アシッド・グリーンNo.25)、ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−(3、7−ジスルホ−2−ヒドロキシナフト−1−イル)カルベニウム−分子内塩−モノナトリウム塩(CI44090;食用緑No.4;アシッド・グリーンNo.50)、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル](2、4−ジスルホフェニル)カルベニウム−分子内塩−ナトリウム塩(2:1)(CI42045;食用青No.3;アシッド・ブルーNo.1)、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル](5−ヒドロキシ−2、4−ジスルホフェニル)カルベニウム−分子内塩−カルシウム塩(2:1)(CI42051;アシッド・ブルーNo.3)、1−アミノ−4−(シクロヘキシルアミノ)−9、10−アンスラキノン−2−スルホン酸−ナトリウム塩(CI62045;アシッド・ブルーNo.62)、2−(1、3−ジヒドロ−3−オキソ−5−スルホ−2H−インドール−2−イリデン)−2、3−ジヒドロ−3−オキソ−1H−インドール−5−スルホン酸−ジナトリウム塩(CI73015;アシッド・ブルーNo.74)、9−(2−カルボキシフェニル)−3−[(2−メチルフェニル)アミノ]−6−[(2−メチル−4−スルホフェニル)アミノ]キサンチリウム−分子内塩−モノナトリウム塩(CI45190;アシッド・バイオレットNo.9)、1−ヒドロキシ−4−[(4−メチル−2−スルホフェニル)アミノ]−9、10−アンスラキノン−ナトリウム塩(CI60730;D&CバイオレットNo.2;アシッド・バイオレットNo.43)、ビス[3−ニトロ−4−((4−フェニルアミノ)−3−スルホ−フェイルアミノ)−フェニル]−スルホン(CI10410;アシッド・ブラウンNo.13)、5−アミノ−4−ヒドロキシ−6−[(4−ニトロフェニル)アゾ]−3−(フェニルアゾ)−2、7−ナフタリン−ジスルホン酸−ジナトリウム塩(CI20470;アシッド・ブラックNo.1)、3−ヒドロキシ−4−[(2−ヒドロキシナフト−1−イル)アゾ]−7−ニトロ−1−ナフタリン−スルホン酸−クロム錯化合物(3:2)(CI15711;アシッド・ブラックNo.52)、3−[(2、4−ジメチル−5−スルホフェニル)アゾ]−4−ヒドロキシ−1−ナフタリン−スルホン酸−ジナトリウム塩(CI14700;食用赤No.1;ポンソウSX;FD&CレッドNo.4)、4−(アセチルアミノ)−5−ヒドロキシ−6−[(7−スルホ−4−((4−スルホフェニル)アゾ)ナフト−1−イル)アゾ]−1、7−ナフタリン−ジスルホン酸−テトラナトリウム塩(CI28440;食用黒No.1)、3−ヒドロキシ−4−(3−メチル−5−オキソ−1−フェニル−4、5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル−アゾ)−ナフタリン−1−スルホン酸−ナトリウム塩−クローム錯化合物(アシッド・レッドNo.195)が挙げられる。
【0015】
好ましいカチオン性染料としては、たとえば9−(ジメチルアミノ)−ベンゾ[a]フェノキサジ−7−イウム−クロライド(CI51175;ベーシック・ブルーNo.6)、ジ[4−(ジエチルアミノ)フェニル][4−(エチルアミノ)ナフチル]カルベニウム−クロライド(CI42595;ベーシック・ブルーNo.7)、3、7−ジ(ジメチルアミノ)フェノチアジン−5−イウム−クロライド(CI52015;ベーシック・ブルーNo.9)、ジ[4−(ジメチルアミノ)フェニル][4−(フェニルアミノ)ナフチル]カルベニウム−クロライド(CI44045;ベーシック・ブルーNo.26)、2−[(4−(エチル(2−ヒドロキシエチル)アミノ)フェニル)アゾ]−6−メトキシ−3−メチル−ベンゾチアゾリウム−硫酸メチル(CI11154;ベーシック・ブルーNo.41)、8−アミノ−2−ブロム−5−ヒドロキシ−4−イミノ−6−[(3−(トリメチルアンモニオ)フェニル)アミノ]−1(4H)−ナフタリノン−クロライド(CI56059;ベーシック・ブルーNo.99)、ビス[4−(ジメチルアミノ)−フェニル][4−(メチルアミノ)フェニル]カルベニウム−クロライド(CI42535;ベーシック・バイオレットNo.1)、トリス(4−アミノ−3−メチルフェニル)−カルベニウム−クロライド(CI42520;ベーシック・バイオレットNo.2)、トリス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]カルベニウム−クロライド(CI42555;ベーシック・バイオレットNo.3)、2−[3、6−(ジエチルアミノ)ジベンゾピラニウム−9−イル]−安息香酸−クロライド(CI45170;ベーシック・バイオレットNo.10)、ジ(4−アミノフェニル)(4−アミノ−3−メチルフェニル)カルベニウム−クロライド(CI42510;ベーシック・バイオレットNo.14)、1、3−ビス[(2、4−ジアミノ−5−メチルフェニル)アゾ]−3−メチルベンゼン(CI21010;ベーシック・ブラウンNo.4)、1−[(4−アミノフェニル)アゾ]−7−(トリメチルアンモニオ)−2−ナフトール−クロライド(CI12250;ベーシック・ブラウンNo.16)、1−[(4−アミノ−3−ニトロフェニル)アゾ]−7−(トリメチルアンモニオ)−2−ナフトール−クロライド(CI12251;ベーシック・ブラウンNo.17)、3、7−ジアミノ−2、8−ジメチル−5−フェニル−フェナジニウム−クロライド(CI50240;ベーシック・レッドNo.2)、1、4−ジメチル−5−[(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ]−1、2、4−トリアゾリウム−クロライド(CI11055;ベーシック・レッドNo.22)、2−ヒドロキシ−1−[(2−メトキシフェニル)アゾ]−7−(トリメチルアンモニオ)−ナフタリン−クロライド(CI12245;ベーシック・レッドNo.76)、2−[2((2、4−ジメトキシフェニル)アミノ)エテニル]−1、3、3−トリメチル−3H−インドール−1−イウム−クロライド(CI48055;ベーシック・イエローNo.11)、3−メチル−1−フェニル−4−[(3−(トリメチルアンモニオ)フェニル)アゾ]−ピラゾール−5−オン−クロライド(CI12719;ベーシック・イエローNo.57)、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]フェニルカルベニウム−硫酸水素塩(1:1)(CI42040;ベーシック・グリーンNo.1)が挙げられる。
【0016】
色調整を良好に行うためには、また特殊な色合いを得るためには、次の群に属する非イオン性染料が特に有効である。すなわち1−アミノ−2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−5−ニトロベンゼン(HCイエローNo.5)、1−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−5−ニトロベンゼン(HCイエローNo.4)、1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCイエローNo.2)、2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−メトキシ−5−ニトロベンゼン、2−アミノ−3−ニトロフェノール、1−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルアミノ−4−ニトロベンゼン、2、3−(ジヒドロキシプロポキシ)−3−メチルアミノ−4−ニトロベンゼン、2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−5−ニトロフェノール(HCイエローNo.11)、3−[(2−アミノエチル)アミノ]−1−メトキシ−4−ニトロベンゼン−塩酸塩(HCイエローNo.9)、1−[(2−ウレイドエチル)アミノ]−4−ニトロベンゼン、4−[(2、3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−3−ニトロ−1−トリフルオルメチル−ベンゼン(HCイエローNo.6)、1−クロル−2、4−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−5−ニトロベンゼン(HCイエローNo.10)、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ−1−メチルベンゼン、1−クロル−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロベンゼン(HCイエローNo.12)、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ−1−トリフルオルメチル−ベンゼン(HCイエローNo.13)、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ−ベンゾニトリル(HCイエローNo.14)、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ−ベンズアミド(HCイエローNo.15)、1−アミノ−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCレッドNo.7)、2−アミノ−4、6−ジニトロ−フェノール、2−エチルアミノ−4、6−ジニトロ−フェノール、4−アミノ−2−ニトロ−ジフェニルアミン(HCレッドNo.1)、1−アミノ−4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン−塩酸塩(HCレッドNo.13)、1−アミノ−5−クロル−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン、4−アミノ−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCレッドNo.3)、4−アミノ−3−ニトロフェノール、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニロトフェノール、1−[(2−アミノエチル)アミノ]−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ニトロベンゼン(HCオレンジNo.2)、4−(2、3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCオレンジNo.3)、1−アミノ−5−クロル−4−[(2、3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCレッドNo.10)、5−クロル−1、4−[ジ(2、3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCレッドNo.11)、2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4、6−ジニトロ−フェノール、4−エチルアミノ−3−ニトロ−安息香酸、2−[(4−アミノ−2−ニトロフェニル)アミノ]−安息香酸、2−クロル−6−メチルアミノ−4−ニトロフェノール、2−クロル−6−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−ニトロフェノール、2−クロル−6−エチルアミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−6−クロル−4−ニトロフェノール、4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−3−ニトロフェノール、2、5−ジアミノ−6−ニトロピリジン、1、2、3、4−テトラヒドロ−6−ニトロキノキサリン、7−アミノ−3、4−ジヒドロ−6−ニトロ−2H−1、4−ベンゾキサジン(HCレッドNo.14)、1、4−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン、1−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロ−4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−ベンゼン(HCブルーNo.2)、1−アミノ−3−メチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6−ニトロベンゼン(HCバイオレットNo.1)、4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン−塩酸塩(HCブルーNo.12)、4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−[(2−メトキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCブルーNo.11)、1−[(2、3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−4−[メチル−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCブルーNo.10)、1−[(2、3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン−塩酸塩(HCブルーNo.9)、1−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCバイオレットNo.2)、1−メチルアミノ−4−[メチル−(2、3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCブルーNo.6)、2−[(4−アミノ−2−ニトロフェニル)アミノ]−5−ジメチルアミノ−安息香酸(HCブルーNo.13)、1、4−ジ[(2、3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−9、10−アンスラキノン、1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−メチルアミノ−9、10−アンスラキノン(CI61505;ディスパース・ブルーNo.3)、2−[(2−アミノエチル)アミノ]−9、10−アンスラキノン(HCオレンジNo.5)、1−ヒドロキシ−4−[(4−メチル−2−スルホ−フェニル)アミノ]−9、10−アンスラキノン、1−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−メチルアミノ−9、10−アンスラキノン(HCブルーNo.8)、1−[(3−アミノプロピル)アミノ]−9、10−アンスラキノン(HCレッドNo.8)、1、4−ジアミノ−2−メトキシ−9、10−アンスラキノン(CI62015;ディスパース・レッドNo.11;ソルベント・バイオレットNo.26)、1、4−ジヒドロキシ−5、8−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−9、10−アンスラキノン(CI62500;ディスパース・ブルーNo.7;ソルベント・ブルーNo.69)、1−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−メチル−4−[(4−ニトロフェニル)アゾ]−ベンゼン(CI11210;ディスパース・レッドNo.17)、4−[(4−アミノフェニル)アゾ]−1−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−メチルベンゼン(CHイエローNo.7)、2、6−ジアミノ−3−[(ピリジン−3−イル)アゾ]−ピリジン、2−[(4−(アセチルアミノ)フェニル)アゾ]−4−メチルフェノール(CI11855;ディスパース・イエローNo.3)の群に属する非イオン性染料が有効である。
【0017】
直接染料群の中でも特に2−アミノ−4、6−ジニトロフェノール、2−エチルアミノ−4、6−ジニトロフェノール、2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4、6−ジニトロフェノールおよび下記式(VII)で表される染料が有効である。
【0018】
【化3】


【0019】
(ただしRは水素原子、メチル、エチルあるいはヒドロキシエチルを表す。)上に述べた本発明による式(I)で表される化合物と毛髪用酸化染料前駆体および/あるいは直接性染料の組み合せ物は、有用な染色担体混合物として染色に供される。
【0020】
従って本発明は、使用直前に染色担体混合物を酸化剤と混合することによって製造される毛髪の酸化染色用薬剤において、式(I)で表される化合物を一個以上並びに必要に応じて他の染料前駆体および/あるいは直接染料を含有することを特徴とする毛髪の酸化染色用薬剤も対象とする。
【0021】
式(I)で表される化合物並びに染料前駆体は本発明による薬剤中に、合計約0.01ないし10重量パーセント、好ましくは0.2ないし6重量パーセント含有される。直接染料の合計含有量は約0.1ないし10重量パーセント、好ましくは0.1ないし5重量パーセントである。
【0022】
染色担体混合物中には、他に、酸化防止剤、香油、錯化合物形成剤、湿潤剤、乳化剤、浸透剤、緩衝系、保存剤、増粘剤、保護剤、およびその他の化粧品添加剤が含有され得る。
【0023】
染色担体混合物並びに使用に供する毛髪用酸化染色剤の調合形態として、たとえば溶液、特に水溶液あるいは水−アルコール溶液の形態を採ることができる。しかし特に好ましい調合形態は、クリーム、ゲル、あるいはエマルジョンである。この組成物は染料成分とこのような調合物に対して一般的に使用されている添加剤との混合物である。
【0024】
溶液、クリーム、ゲルあるいはエマルジョンに対して一般的に使用されている添加剤として、たとえば水あるいは低級脂肪族アルコール(たとえばエタノール、n−プロパノールあるいはi−プロパノール)のような溶剤、グリセリンあるいは1、2−プロピレングリコールのようなグリコール類、たとえば脂肪族アルコールスルヘート、オキシエチル化脂肪族アルコールスルヘート、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルベタイン、オキシエチル化脂肪族アルコール、オキシエチル化ノニルフェノール、脂肪酸アルカノールアミドあるいはオキシエチル化脂肪酸エステルのようなアニオン性、カチオン性、両性あるいは非イオン性界面活性剤の群に属する湿潤剤ないしは乳化剤、たとえば高級脂肪族アルコール、澱粉あるいはセルロース誘導体のようは増粘剤、さらにはワセリン、パラフィンオイルおよび脂肪酸、その他、たとえばカチオン性樹脂、ラノリン誘導体、コレステリン、パントテン酸あるいはベタインのような保護剤が挙げられる。上に挙げた成分は、このような目的に対して通常用いられている量において、用いられる。染色担体混合物に関して、たとえば湿潤剤ないしは乳化剤は約0.5ないし30重量パーセントの濃度、増粘剤は約0.1ないし25重量パーセントの量、保護剤は約0.1ないし5.0重量パーセントの濃度で用いられる。
【0025】
本発明による使用に供する毛髪用染色剤は、使用直前に染色担体混合物と液状酸化剤をと混合することによって調合される。
【0026】
酸化剤として主に過酸化水素あるいはその、尿素、メラミンあるいは臭素酸ナトリウムに対する付加化合物が、1ないし12パーセント水溶液、好ましくは6パーセント水溶液の形態で、用いられる。この場合に特に好ましいのは過酸化水素である。
【0027】
染色担体混合物および酸化剤は5:1ないし1:3の重量比で混合される。特に好ましい重量比は1:1ないし1:2である。本発明による使用に供する毛髪用染色剤のpH−値は、好ましくはアルカリ性に調整された染色担体混合物と通常酸性に調整された酸化剤を混合する場合に、染色担体混合物中のアルカリ量および酸化剤中の酸量さらにはこれらの混合割合に基づいて、調整される。使用に供する毛髪用染色剤のpH−値は約3ないし11、好ましくは6ないし10.5である。
【0028】
染色担体混合物および酸化剤のpH−値の調整には、それぞれ、所望のpH−値に応じて、たとえば燐酸、アスコルビン酸あるいは乳酸のような希薄有機酸あるいは無機酸、あるいは、たとえばモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、アンモニア、苛性ソーダ、苛性カリあるいはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのようなアルカリが用いられる。
【0029】
上に挙げた染色担体混合物と酸化剤の混合後、これによって得られる毛髪用酸化染色剤は、毛髪の染色処理に対して充分な量、毛髪の実質量に応じて一般に約60ないし200グラム、毛髪上に塗布される。
【0030】
本発明による染色剤は、15ないし50℃において約10ないし45分間、好ましくは40℃において30分間毛髪に作用させた後、水を用いて毛髪から洗い流す。必要に応じてこの洗浄に続いて毛髪をシャンプーで洗い、さらに場合によっては、たとえばクエン酸あるいは酒石酸のようは希薄弱有機酸ですすぐ。最後に毛髪を乾燥させる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次ぎに実施例に基づいて本発明の対象をさらに詳しく説明する。しかし本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0032】
実施例1:1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン−二塩酸塩の製造
第一段階:2−(2−メトキシメチル−4−ニトロ−フェノキシ)−アセトアミド
2−メトキシメチル−4−ニトロ−フェノール25g 、クロルアセトアミド14g、炭酸カリウム18.9g およびヨウ化カリウム12.5gをアセトン150ml中において還流下に4時間加熱する。次いで反応混合物を室温に冷却し、水450ml上に流し入れる。析出沈殿物を濾別し、水で洗浄し、乾燥させる。これによって157ないし158℃の融点を有する淡黄色の生成物が20g 得られる。
H−NMR(DMSO−d:δ=3.40ppm(s、3H);4.60ppm(s、2H);4.65ppm(s、2H);7.09ppm(d、 HH=9.1Hz、1H);7.47ppm(s広幅、2H);8.15ppm(d、 HH=2.55Hz、1H);8.18ppm(dd、HH=9.1Hz、HH=2.55Hz、1H)
CHN分析:(C1012 ;分子量=240.21)
. C% H% N%
. 計算値: 50.00 5.04 11.66
. 実験値: 50.10 5.05 11.43
【0033】
第二段階:2−メトキシメチル−4−ニトロアニリン
第一段階で得られた2−(2−メトキシメチル−4−ニトロ−フェノキシ)−アセトアミド20gをN−メチル−ピロリドン55mlに溶解し、炭酸カリウム29gを加え、3時間100℃に加熱する。次いで室温に冷却した後、減圧下に60ないし80℃において溶剤を除去する。得られた残留物に水を100ml添加して結晶化させる。これによって90ないし92℃の融点を有する黄色の製品が8.8g 得られる。
H−NMR(DMSO−d:δ=3.30ppm(s、3H);4.35ppm(s、2H);6.51ppm(s広幅、2H);6.68ppm(d、HH=8.85Hz、1H);7.92ppm(dd、HH=8.85Hz、HH=2.6Hz、1H);7.98ppm(d、HH=2.6Hz、1H)
CHN分析:(C10 ;分子量=182.18)
. C% H% N%
. 計算値: 52.74 5.53 15.38
. 実験値: 52.77 5.63 15.17
【0034】
第三段階:1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン−二塩酸塩
第二段階で得られた2−メトキシメチル−4−ニトロアニリン8g をエタノール100mlに溶解し、パラジウム(活性炭上10%)0.8gを加え、少し高めの水素圧下において水素添加する。約6時間後、水素添加を終了し、濾過によって触媒を取り除き、無色の溶液を得る。これに塩化水素ガスを導入することによって塩酸塩を析出させる。沈殿物を吸引濾過し、少量のエタノールで洗浄し、減圧下に乾燥させる。これによって280℃以上の融点を有する薄ベージュ色の結晶が7.2g得られる。
H−NMR(DMSO−d:δ=3.35ppm(s、3H);4.55ppm(s、2H);7.27ppm(dd、HH=8.30Hz、HH=2.30Hz、1H);7.33ppm(d、HH=2.6Hz、1H);7.36ppm(d、HH=8.30Hz、1H);9.37ppm(s非常に広幅、6H+水)
CHN分析:(C12O×2HCl;分子量=225.12)
. C% H% N%
. 計算値: 42.68 6.27 12.44
. 実験値: 42.80 6.39 12.03
【0035】
実施例2:1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン−硫酸塩の製造
実施例1の第二段階において得られた2−メトキシメチル−4−ニトロ−アニリン3.65gをテトラヒドロフラン35mlに溶解し、パラジウム(活性炭上10%)0.3gを加え、少し高めの水素圧下において水素添加を行う。約5時間後、水素添加を終了し、濾過によって触媒を取り除き、無色の溶液を得る。テトラヒドロフラン50ml中において硫酸を1.2g添加することによって酸付加物を析出させる。塩を吸引濾過し、少量のテトラヒドロフランで洗浄し、減圧下に乾燥させる。これによって206ないし212℃(崩壊)の融点を有する薄ベージュ色の結晶が3.3g得られる。
H−NMR(DMSO−d:δ=3.30ppm(s、3H);4.32ppm(s、2H);6.79ppm(d、HH=8.55Hz、1H);6.89ppm(d広幅、HH=8.55Hz);6.95ppm(s、広幅、1H)
CHNS分析:(C12 O×HSO;分子量=250.27)
結晶水1.21%を考慮の下

. C% H% N% S%
. 計算値:37.93 5.71 11.06 12.66
. 実験値:37.70 5.60 10.90 13.00
【0036】
実施例3:クリーム状の塩基性毛髪用酸化染色剤
セチルステアリルアルコール(50/50) 15.00g
グリセリンモノステアレート 5.00g
コカミドDEA 2.00g
ナトリウムラウリルエーテルスルヘート(28%水溶液) 10.00g
アスコルビン酸 0.30g
亜硫酸ナトリウム 0.40g
アンモニア(25%水溶液) 4.50g
1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン−二塩酸塩 0.56g
表1に記載のカップリング成分 Xg
水(脱鉱物) 合計を100gとする量
このクリームのpH−値は10ないし10.5である。
使用直前に上記の染色担体混合物100gを6%の過酸化水素水溶液100g と混合し、これによって得られる毛髪用酸化染色剤を、必要量、漂白毛髪に塗布する。40℃において30分間作用させた後、毛髪をシャンプーで洗浄し、水ですすぎ、乾燥させる。得られる色合いおよび色濃度を表1 にまとめて示す。
【0037】
【表1】

【0038】
実施例4:クリーム状の酸性毛髪用酸化染色剤
セチルステアリルアルコール(50/50) 15.00g
グリセリンモノステアレート 5.00g
コカミドDEA 2.00g
ナトリウムラウリルエーテルスルヘート(28%水溶液) 10.00g
アスコルビン酸 0.30g
亜硫酸ナトリウム 0.40g
1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン−硫酸塩 0.56g
表2に記載のカップリング成分 Xg
水(脱鉱物) 合計を100gとする量
使用直前に上記の染色担体混合物100gを6%の過酸化水素水溶液100g と混合し、これによって得られる毛髪用酸化染色剤を、必要量、漂白毛髪に塗布する。40℃において30分間作用させた後、毛髪を染色保護シャンプーで洗浄し、水ですすぎ、乾燥させる。得られる色合いおよび色濃度並びに染色剤のpH−値を表2にまとめて示す。
【0039】
【表2】

【0040】
実施例5:ゲル状毛髪用酸化染色剤
オレイン酸 15.00g
グリセリン 3.00g
イソプロパノール 7.00g
アスコルビン酸 0.50g
亜硫酸ナトリウム 0.40g
水酸化ナトリウム 0.40g
アンモニア(25%水溶液) 10.00g
1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン−二塩酸塩 0.56g
表3に記載のカップリング成分 Xg
水(脱鉱物) 合計を100gとする量
使用直前に上記の染色担体混合物100gを6%の過酸化水素水溶液100g と混合し、これによって得られる毛髪用酸化染色剤を、必要量、漂白毛髪に塗布する。40℃において30分間作用させた後、毛髪をシャンプーで洗浄し、水ですすぎ、乾燥させる。得られる色合いおよび色濃度並びに染色剤のpH−値を表3にまとめて示す。
【0041】
【表3】

【0042】
実施例6:塩基性のpH−値を有する毛髪用染色液
エタノール 10.00g
ナトリウムラウリルエーテルスルヘート(28%水溶液) 10.00g
アンモニア(25%水溶液) 10.00g
アスコルビン酸 0.30g
1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン−硫酸塩 0.62g
表4に記載のカップリング成分 Xg
水(脱鉱物) 合計を100gとする量
使用するに当たって上記の染色液10gを6%の過酸化水素水溶液10g と混合する。これによって得られる毛髪用酸化染色剤を漂白毛髪に塗布する。40℃において30分間作用させた後、毛髪を染色保護シャンプーで洗浄し、水ですすぎ、乾燥させる。得られる色合いおよび色濃度並びに染色剤のpH−値を表4にまとめて示す。
【0043】
【表4】

【0044】
実施例7:塩基性のpH−値を有する毛髪用染色液
エタノール 10.00g
ナトリウムラウリルエーテルスルヘート(28%水溶液) 10.00g
アンモニア(25%水溶液) 10.00g
アスコルビン酸 0.30g
1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン−二塩酸塩 0.38g
表5に記載のカップリング成分 Xg
水(脱鉱物) 合計を100gとする量
使用するに当たって上記の染色液10gを6%の過酸化水素水溶液10g と混合する。これによって得られる毛髪用酸化染色剤を漂白毛髪に塗布する。40℃において30分間作用させた後、毛髪を染色保護シャンプーで洗浄し、水ですすぎ、乾燥させる。得られる色合いおよび色濃度並びに染色剤のpH−値を表5にまとめて示す。
【0045】
【表5】

【0046】
実施例8:染色剤
実施例3に基づいて得られるクリーム状染色剤を、表6に記載の織物に塗布する。40℃において30分間作用させた後、中和し、水で丁寧にすすぐ。
【0047】
【表6】

【0048】
実施例9:ゲル状毛髪剤
オレイン酸 15.25g
グリセリン 3.15g
エタノール 7.80g
アスコルビン酸 0.50g
表7に記載の染料 Xg
アンモニア(25%水溶液) 10.40g
水(脱鉱物) 合計を100gとする量
使用するに当たって上記の染色担体混合物100gを6%の過酸化水素水溶液100g と混合する。これによって得られた毛髪用酸化染色剤を漂白毛髪に塗布する。40℃において30分間作用させた後、毛髪を染色保護シャンプーで洗浄し、水ですすぎ、乾燥させる。得られた染色結果を表7にまとめて示す。
【0049】
【表7】

【0050】
実施例10:クリーム状の塩基性毛髪用染色剤
セチルステアリルアルコール(50/50) 15.00g
グリセリンモノステアレート 5.00g
ナトリウムラウリルエーテルスルヘート(28%水溶液) 10.00g
亜硫酸ナトリウム 0.30g
アンモニア(25%水溶液) 5.00g
表8に記載の染料 Xg
水(脱鉱物) 合計を100gとする量
使用直前に上記の染色担体混合物100gを6%の過酸化水素水溶液100gと混合する。これによって得られた毛髪用酸化染色剤を普通の天然金髪に塗布する。40℃において30分間作用させた後、毛髪を染色保護シャンプーで洗浄し、水ですすぎ、乾燥させる。得られた染色結果を表8にまとめて示す。
【0051】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンおよびその生理学上問題のない塩の製造方法であって
【化1】


(ただし、nは0ないし2を、HXは有機酸あるいは無機酸を表す)、まず、2−メトキシメチル−4−ニトロフェノールをハロゲンアセトアミドと反応させて2−(2−メトキシメチル−4−ニトロ−フェノキシ)−アセトアミドに変換し、次いでこの2−(2−メトキシメチル−4−ニトロ−フェノキシ)−アセトアミドを2−メトキシメチル−4−ニトロアニリンに転換し、次いでこの2−メトキシメチル−4−ニトロアニリンを触媒の作用下に還元することによって式(I)で表される1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンに変換し、nが0でない場合には、無機酸あるいは有機酸を用いて酸付加物に変換することを特徴とする、1、4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼンおよびその生理学上問題のない塩の製造方法。
【請求項2】
ハロゲンアセトアミドとしてブロムアセトアミドあるいはヨードアセトアミドが選択されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
酸として塩酸あるいは硫酸が選択されることを特徴とする請求項1あるいは2記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−149674(P2009−149674A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40714(P2009−40714)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【分割の表示】特願2000−311846(P2000−311846)の分割
【原出願日】平成12年10月12日(2000.10.12)
【出願人】(591011627)ウエラ アクチェンゲゼルシャフト (64)
【氏名又は名称原語表記】WELLA AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】