説明

1ゲージ法によるひずみ測定回路

【課題】 ブリッジ回路の非直線性誤差の発生しない測定回路を提供すると共に、定電流電源を1ゲージ法における共通の電源とし、2線式,3線式,4線式のいずれの接続方法による測定をも可能にし、回路規模の縮小、コストの削減ならびに測定の作業効率をそれぞれ向上させ得る1ゲージ法によるひずみ測定回路を提供すること。
【解決手段】 第1の切り替えスイッチSW1は、回路を1ゲージ法2線式のひずみ測定回路とする場合のみオンとしてそれ以外のひずみ測定回路の場合はオフとする。第2の切り替えスイッチSW2は、回路を1ゲージ法3線式のひずみ測定回路とする場合のみオンとして、それ以外の場合はオフとする。第3の切り替えスイッチSW3は、回路が1ゲージ法2線式または1ゲージ法3線式の場合は、出力端子aとcを選択し、回路が1ゲージ法4線式の場合は、出力端子bとdを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1ゲージ法によるひずみ測定回路に関し、特に、1ゲージ法の励振電源として定電流電源を使用すると共に、切り替えスイッチを付加することにより、1ゲージ法による2線式、3線式および4線式のいずれの接続方法による測定をも可能にした1ゲージ法によるひずみ測定回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のひずみ測定方法としては、例えば図5に示すようなものがある。
図5は、1ゲージ法2線式によるひずみ測定方法を原理的に説明するためのひずみ測定回路の結線図である。
同図に示すひずみ測定回路は、回路全体がホイートストンブリッジ回路(以下、単に「ブリッジ回路」と略称することがある)を構成しており、その1辺は抵抗Raを有するひずみゲージ91(センサ本体)と、2本のリード線を備えたリード線部92とで構成され、他の3辺は、ひずみゲージ91から離れた場所に配置されるブリッジ回路構成用抵抗素子である抵抗Rb,Rc,Rdとで、それぞれ構成されている。リード線は、1本当たり抵抗値rの内部抵抗を有するものとする。
電源電圧(一般に「ブリッジ電圧」と称される)Eは、抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続部分の両端部に印加され、測定される測定電圧eoutは、抵抗Rcと抵抗Rdとの直列接続部分の両端部から取り出されるが、その値は、ひずみゲージ91(センサ本体)が受けるひずみ量に対応して変化するので、予め、この変化特性を把握しておくことにより、ひずみゲージ91(センサ本体)が受けるひずみ量を測定することができる。
【0003】
図6は、定電圧電源を使用した1ゲージ法2線式のひずみ測定回路の一例を示す回路図である。
同図は、図5に示す1ゲージ法2線式のひずみ測定回路に接続端子や演算増幅器が付加されてなるひずみ測定回路であるが、測定対象側(入力側)であるひずみゲージ91(抵抗Raを有する)と、中継部であるリード線部92と、測定器側回路93とを、それぞれ分離して示している。
なお、測定器側回路93には、ひずみゲージ91からのリード線を接続するための接続端子A,B,Cが設けられている。また、演算増幅器IC1と電源Eとの結線部分は、定電圧源を構成している。さらに、ひずみ量を示す電圧は、差動増幅器IC2を介して測定電圧eoutとして出力される。
図5,図6に示す回路の結線方法では、ブリッジ回路の1辺に、ひずみゲージに接続される2本のリード線の抵抗値rがひずみゲージ91の抵抗値Raと直列に存在する。したがって、抵抗値(r+r=2r)が、ひずみゲージ91の抵抗値Raに加算されるので、ブリッジ回路の初期不平衡値に影響を及ぼす作用がある他、リード線の抵抗値rが周囲温度によって変化することにより、みかけひずみが発生し、測定に誤差を生じてしまうという問題点があった。
【0004】
また、ブリッジ回路が、定電圧電源によって励振されているため、仮に荷重が加わることによるひずみゲージの抵抗値Raの変化により、ひずみゲージ91を流れる電流値が変化し、このため、ブリッジ回路の出力(測定電圧eout)が、ひずみゲージ91の抵抗値Raの変化に対して直線的にならないという問題点もあった。
即ち、真のひずみ量(ε)と、実際のブリッジ出力(eo)との関係は(1)式で示される。
ε=eo/(1−eo)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
図7は、真のひずみ量(ε)と、実際のブリッジ出力(eo)との関係を示すグラフである。
同図に示される誤差は、「1ゲージ法におけるブリッジ回路の非直線性誤差」と呼ばれており、従来、この誤差が無視できない場合には、測定と同時、若しくは測定後に、(1)式に従った補正が必要であった。
【0005】
図8は、1ゲージ法3線式によるひずみ測定方法を原理的に説明するためのひずみ測定回路の結線図である。 同図に示すひずみ測定回路は、図5に示す1ゲージ法2線式のひずみ測定回路の結線に加えて、ひずみゲージ91の一端から、さらに抵抗値rの抵抗を有する1本のリード線が引き出され、測定電圧eoutは、このリード線の終端と、ブリッジ回路を形成する抵抗Rbと抵抗Rcとの接続点との間の電位差(電圧値)として取り出される。リード線部94は、3本のリード線で構成される。なお、電源電圧Eは、抵抗Rbと抵抗Rcとの直列接続部分の両端部に印加される。
図9は、定電圧電源を使用した1ゲージ法3線式のひずみ測定回路の一例を示す回路図である。
【0006】
図9は、図8に示すひずみ測定回路に接続端子や演算増幅器等が付加されてなる1ゲージ法3線式のひずみ測定回路の構成を示す回路図であるが、測定対象側(入力側)であるひずみゲージ91と、中継部であるリード線部94と、測定器側回路93とを、それぞれ分離して示している。リード線部94は、3本のリード線を備え、この3本のリード線は、それぞれ抵抗値rの内部抵抗を有する。
なお、測定器側回路93には、ひずみゲージ91に連結されたリード線を接続するための接続端子A,B,Cが設けられている。また、演算増幅器IC1と電源電圧Eとの結線部分は、定電圧源を構成している。さらに、ひずみ量を示す電圧は、差動増幅器IC2を介して測定電圧eoutとして出力される。
図8,図9に示すひずみ測定回路では、ひずみゲージ91が3本のリード線で接続され、抵抗値rを有するリード線の抵抗は、ブリッジ回路の1辺だけではなく、相隣る辺にも入るように接続されるため、ブリッジ回路の初期不平衡値への影響が無く、リード線の抵抗rの温度による影響も相殺される。しかしながら、この測定回路も定電圧電源によってブリッジ回路を励振しているため、前述の「1ゲージ法におけるブリッジ回路の非直線性」が発生し、よって補正が必要となる。
【0007】
図10は、1ゲージ法4線式によるひずみ測定方法を原理的に説明するためのひずみ測定回路の結線図である。
同図に示すひずみ測定回路は、ひずみゲージ91の一端から、抵抗値rの内部抵抗を有する2本のリード線が引き出され、他端からも抵抗値rの内部抵抗を有する2本のリード線が引き出される。測定電圧eoutは、リード線部95の4本のリード線の内の2本のリード線の終端間の電圧値として取り出される。このように、1ゲージ法4線式によるひずみ測定方法では、前述の1ゲージ法2線式や1ゲージ法3線式のひずみ測定方法とは違って、ブリッジ回路は使用されず、単にひずみゲージの出力端子間の電位差だけが測定される。また、この電位差を測定するための測定器の入力側は、一般にハイインピーダンスであり、回路電流を流させないようにしている。
【0008】
図10に示すひずみ測定回路におけるひずみの測定方法は、抵抗に一定の電流を流し、その時に抵抗の両端に発生する電位差を測定し、この測定値から前記抵抗の抵抗値を求める方式である。ひずみゲージは、基本的には抵抗値の変化を測定するものであるため、抵抗値Raの抵抗を有するひずみゲージ91に定電流電源から一定の電流Iを供給し、この時の、ひずみゲージ91の両端に発生する電位差(電圧値eout)を測定することにより、抵抗値の変化=ひずみ量を測定することが可能となる。図10に示すひずみ測定回路では、定電流電源を使用していることにより、リード線の抵抗rの影響をまったく受けないという長所を有する他、ブリッジ回路を構成していないため、前述の「1ゲージ法におけるブリッジ回路の非直線性」が発生しないという長所を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記背景技術で述べた従来のひずみ測定回路にあっては、前述のとおり、1ゲージ法2線式、1ゲージ法3線式、1ゲージ法4線式のひずみ測定回路における基本的な結線が異なるために、これら3通りのひずみ測定回路を用意しておき、測定環境に応じて使い分ける必要があったので、使用者側における設備コストの負担が大きくなるという問題点があった。
また、前記の3通りのひずみ測定回路毎に、リード線の張り替えと共に複数のリード線を切り換える必要がある場合には、その都度、リード線の本数に対応させてひずみ測定回路を取り替えると共に、リード線を接続し直さなければならないので、使い勝手が極めて悪いという問題点があった。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、ブリッジ回路の励振電源として定電流電源を使用することで、ブリッジ回路の非直線性誤差の発生を除去できるようにすると共に、この定電流電源を1ゲージ法における共通の電源とし、この測定回路に切り替えスイッチを付加することで、2線式、3線式および4線式の1ゲージ法によるひずみ測定回路を1つの合理的な測定回路として実現することを可能として、回路規模の縮小、コストの削減および測定の作業効率を向上し得る1ゲージ法によるひずみ測定回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載した本発明に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路は、上述した目的を達成するために、
ひずみゲージをリード線を介して接続するための第1、第2、第3および第4の接続端子と、
前記1つの接続端子と前記リード線を介して前記ひずみゲージに供給する定電流を生成するための共通の定電流電源と、
1ゲージ法2線式および1ゲージ法3線式のひずみ測定回路を構成する場合に、前記ひずみゲージと共にホイートストンブリッジ回路を構成する少なくとも3個の抵抗素子と、
1ゲージ法4線式のひずみ測定回路を構成する電位差測定回路素子と、
外部の電圧測定回路に測定電圧を選択的に出力するための4個の出力端子と、 本回路を前記1ゲージ法2線式、前記1ゲージ法3線式または前記1ゲージ法4線式のいずれか1つのひずみ測定回路に切り替えるための複数の切り替えスイッチと、
を具備し、 1つの定電流電源を用いて前記1ゲージ法2線式と前記1ゲージ法3線式と前記1ゲージ法4線式のひずみ測定を行い得るように構成したことを特徴としている。
【0011】
また、請求項2に記載した本発明に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路は、前記ひずみゲージの一端をリード線を介して前記第1の接続端子に接続し、他端を他のリード線を介して前記第2の接続端子に接続して1ゲージ法2線式の測定回路の入力側を構成し、
前記ひずみゲージの一端をリード線を介して前記第1の接続端子に接続し、他端を他のリード線を介して前記第2の接続端子に接続すると共に、さらに他端をさらに他のリード線を介して、前記第3の接続端子に接続して1ゲージ法3線式の測定回路の入力側を構成し、
前記ひずみゲージの一端を別々のリード線を介して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子にそれぞれ接続し、前記ひずみゲージの他端をさらに別々のリード線を介して前記第3の接続端子と前記第4の接続端子にそれぞれ接続して1ゲージ法4線式の測定回路の入力側を構成したことを特徴としている。
【0012】
また、請求項3に記載した本発明に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路は、電源と演算増幅器からなり定電流を第1の接続端子と前記リード線を介して前記ひずみゲージに供給する定電流電源と、
前記第1の接続端子と第1の抵抗素子との間に接続されたボルテージフォロアを構成する演算増幅器と、
前記第2の接続端子と第3の接続端子との間の電位差を演算する差動増幅器と、
前記第2の接続端子と前記第3の接続端子との間に挿入される第1のスイッチおよび前記第3の接続端子と前記第4の接続端子との間に挿入される第2のスイッチの2つが連動し、前記第2、第3および前記第4の接続端子間を同時にオンまたはオフする第1の切り替えスイッチと、
前記第2の接続端子と前記第4の接続端子との間に挿入され、前記第2の接続端子と前記第4の接続端子との間をオンまたはオフする第2の切り替えスイッチと、
第1から第4までの4個の出力端子の内の前記第1および前記第3の出力端子に接続されたときは、前記外部の電圧測定回路へ出力される前記測定電圧として前記ホイートストンブリッジ回路の対角線上の接続点間の電位を出力し、前記第2および前記第4の出力端子に接続されたときは、前記リード線と前記抵抗素子とを介した前記ひずみゲージの両端間の電位差を前記測定電圧として出力する前記第3の切り替えスイッチと、
前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点に接続された前記第1の出力端子と
前記第3の抵抗素子と前記差動増幅器の出力端子との接続点に接続された第2の出力端子と、
前記第2の接続端子に接続された第3の出力端子と、
前記第3の接続端子に接続された第4の出力端子と、
を具備したことを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に記載した本発明に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路は、前記第1の切り替えスイッチがオンであり、かつ前記第2の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第3の切り替えスイッチにより、前記第1および前記第3の出力端子とが選択されたときには、前記測定電圧として前記ホイートストンブリッジ回路の対角線上の接続点間の電位が選択されて、前記ひずみゲージの前記電位をリード線を介して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子との間に受けて、1ゲージ法2線式のひずみ測定回路を構成することを特徴としている。
また、請求項5に記載した本発明に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路は、前記第1の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第2の切り替えスイッチがオンであり、かつ前記第3の切り替えスイッチにより、前記第1および前記第3の出力端子とが選択され、前記測定電圧として前記ホイートストンブリッジ回路の対角線上の接続点間の電位が選択されたときには、前記ひずみゲージの前記電位をリード線を介して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子と前記第3の接続端子との間に受けて、1ゲージ法3線式のひずみ測定回路を構成することを特徴としている。
【0014】
さらに、請求項6に記載した本発明に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路は、前記第1の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第2の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第3の切り替えスイッチにより、前記第2および前記第4の出力端子とが選択されたときには、前記測定電圧として、前記ひずみゲージの両端間の電位差を出力し得るように選択されて、1ゲージ法4線式のひずみ測定回路を構成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、ひずみゲージをリード線を介して接続するための第1、第2、第3および第4の接続端子と、
前記1つの接続端子と前記リード線を介して前記ひずみゲージに供給する定電流を生成するための共通の定電流電源と、
1ゲージ法2線式および1ゲージ法3線式のひずみ測定回路を構成する場合に、前記ひずみゲージと共にホイートストンブリッジ回路を構成する少なくとも3個の抵抗素子と、
1ゲージ法4線式のひずみ測定回路を構成する電位差測定回路素子と、
外部の電圧測定回路に測定電圧を選択的に出力するための4個の出力端子と、 本回路を前記1ゲージ法2線式、前記1ゲージ法3線式または前記1ゲージ法4線式のいずれか1つのひずみ測定回路に切り替えるための複数の切り替えスイッチと、
を具備し、 1つの定電流電源を用いて前記1ゲージ法2線式と前記1ゲージ法3線式と前記1ゲージ法4線式のひずみ測定を行い得るように構成したので、従来の測定回路のように定電流電源または定電圧電源を個別に用いるのではなく、電源は定電流電源を1個共通に使用し、2線式、3線式および4線式のすべての1ゲージ法によるひずみ測定を1つの簡単な測定回路として構成することができると共に、ブリッジ回路の非直線性誤差の発生しない測定回路を提供することができ、さらには、回路規模の縮小化、コストの削減化が可能となり、ユーザ側としては設備コストの削減および測定の作業効率を大幅に向上させ得る1ゲージ法によるひずみ測定回路を提供することができる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、
前記ひずみゲージの一端をリード線を介して前記第1の接続端子に接続し、他端を他のリード線を介して前記第2の接続端子に接続して1ゲージ法2線式の測定回路の入力側を構成し、
前記ひずみゲージの一端をリード線を介して前記第1の接続端子に接続し、他端を他のリード線を介して前記第2の接続端子に接続すると共に、さらに他端をさらに他のリード線を介して、前記第3の接続端子に接続して1ゲージ法3線式の測定回路の入力側を構成し、
前記ひずみゲージの一端を別々のリード線を介して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子にそれぞれ接続し、前記ひずみゲージの他端をさらに別々のリード線を介して前記第3の接続端子と前記第4の接続端子にそれぞれ接続して1ゲージ法4線式の測定回路の入力側を構成したので、共通の第1〜第4の接続端子に1ゲージ法の2線式、3線式および4線式に応じたひずみゲージの結線ができるので、従来の測定回路のように、異なるひずみ測定回路を準備する必要がなく、作業者がひずみ測定回路を弁別して接続する必要がなく、延いては測定法とは異なったひずみ測定器を選択して測定を失敗する、といった事態が生じ得ない1ゲージ法による測定回路を提供することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、
電源と演算増幅器からなり定電流を第1の接続端子と前記リード線を介して前記ひずみゲージに供給する定電流電源と、
前記第1の接続端子と前記第1の抵抗素子との間に接続されたボルテージフォロアを構成する演算増幅器と、
前記第2の接続端子と第3の接続端子との間の電位差を演算する差動増幅器と、
前記第2の接続端子と前記第3の接続端子との間に挿入される第1のスイッチおよび前記第3の接続端子と前記第4の接続端子との間に挿入される第2のスイッチの2つが連動し、前記第2、第3および前記第4の接続端子間を同時にオンまたはオフする第1の切り替えスイッチと、
前記第2の接続端子と前記第4の接続端子との間に挿入され、前記第2の接続端子と前記第4の接続端子との間をオンまたはオフする第2の切り替えスイッチと、
第1から第4までの4個の出力端子の内の前記第1および前記第3の出力端子に接続されたときは、前記外部の電圧測定回路へ出力される前記測定電圧として前記ホイートストンブリッジ回路の対角線上の接続点間の電位を出力し、前記第2および前記第4の出力端子に接続されたときは、前記リード線と前記抵抗素子とを介した前記ひずみゲージの両端間の電位差を前記測定電圧として出力する前記第3の切り替えスイッチと、
前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点に接続された前記第1の出力端子と
前記第3の抵抗素子と前記差動増幅器の出力端子との接続点に接続された第2の出力端子と、
前記第2の接続端子に接続された第3の出力端子と、
前記第3の接続端子に接続された第4の出力端子と、
を具備しているので、上記請求項1に記載の発明と同様に、
電源を1個共通に使用し、2線式、3線式および4線式のすべての1ゲージ法によるひずみ測定を1つの簡単な測定回路として構成することができると共に、ブリッジ回路の非直線性誤差の発生しない測定回路を提供することができ、さらには、回路規模の縮小化、コストの削減化が可能となり、ユーザ側としては設備コストの削減および測定の作業効率を大幅に向上させ得る1ゲージ法によるひずみ測定回路を提供することができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明によれば、
前記第1の切り替えスイッチがオンであり、かつ前記第2の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第3の切り替えスイッチにより、前記第1および前記第3の出力端子とが選択されたときには、前記測定電圧として前記ホイートストンブリッジ回路の対角線上の接続点間の電位が選択されて、前記ひずみゲージの前記電位をリード線を介して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子との間に受けて、1ゲージ法2線式のひずみ測定回路を構成することにより、上記請求項1〜3に記載の発明の奏する効果に加え、1ゲージ法2線式の特有の効果、即ち、1ゲージ法におけるブリッジ回路の非直線性誤差の発生しない1ゲージ法によるひずみ測定回路を提供することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、前記第1の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第2の切り替えスイッチがオンであり、かつ前記第3の切り替えスイッチにより、前記第1および前記第3の出力端子とが選択され、前記測定電圧として前記ホイートストンブリッジ回路の対角線上の接続点間の電位が選択されたときには、前記ひずみゲージの前記電位をリード線を介して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子と前記第3の接続端子との間に受けて、1ゲージ法3線式のひずみ測定回路を構成することにより、上記請求項1〜3に記載の発明の奏する効果に加え、1ゲージ法3線式の特有の効果、即ち、リード線の内部抵抗による周囲の温度変化の影響は回路上キャンセルできると共に、1ゲシー法におけるブリッジ回路の非直線性誤差の発生しない1ゲージ法によるひずみ測定回路を提供することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、
前記第1の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第2の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第3の切り替えスイッチにより、前記第2および前記第4の出力端子とが選択されたときには、前記測定電圧として、前記ひずみゲージの両端間の電位差を出力し得るように選択されて、1ゲージ法4線式のひずみ測定回路を構成することにより、上記請求項1〜3に記載の発明の奏する効果に加え、1ゲージ法4線式の特有の効果、即ち、リード線の抵抗値の温度変化による影響を受けず、また、ひずみゲージの接続部分やスイッチの接続部分の接触抵抗の影響も完全に排除することができ、そのため簡易型コネクタ(例えばモジュラープラグ等)の使用も可能となり、さらには、1ゲージ法におけるブリッジ回路の非直線性も発生しない1ゲージ法によるひずみ測定回路を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の1ゲージ法によるひずみ測定回路の最良の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路の構成を示す回路図である。
同図において、第1、第2、第3および第4の接続端子A、B、CおよびDには、入力側(図1において左側)にリード線を介してひずみゲージ1が、後述するように1ゲージ法2線式、1ゲージ法3線式および1ゲージ法4線式の結線に応じてひずみゲージが結線される。
一方、ひずみ測定器側において、第1の接続端子Aには、定電流電源を構成する演算増幅器1C1の出力端が接続されると共に、ボルテージフォロアを構成する演算増幅器1C2の非反転入力端が接続される。演算増幅器1C1の非反転入力端には電源Eの正極側が接続されており、電源Eの負極側は、ブリッジ回路の一辺を形成する第3の抵抗素子Rdに接続されている。
【0022】
第2の接続端子Bには、第3の出力端子Cが接続されると共に、双極双投型の第1の切り替えスイッチSW1の第1のスイッチSW1aの可動接片側と、単極単投型の第2の切り替えスイッチSW2の可動接片側にそれぞれ接続され、且つ差動増幅器1C3の非反転入力端に接続されている。
第3の接続端子Cは、第4の出力端子dに接続されると共に、第1の切り替えスイッチSW1を構成する第1スイッチSW1aの固定接片と、第2スイッチSW1bの可動接片と、ブリッジ回路の一辺を形成する第3の抵抗素子Rdの一端に、それぞれ接続されている。
第4の接続端子Dは、第1のスイッチSW1の第2のスイッチSW1bの固定接片と第2の切り替えスイッチSW2の固定接片および差動増幅器1C3の反転入力端にそれぞれ接続されている。
ボルテージフォロアを構成する演算増幅器1C2の出力端と差動増幅器1C3の出力端の間には、ブリッジ回路の2辺を形成する第1の抵抗素子Rbと第2の抵抗素子Rcからなる直列抵抗が接続されている。この第1の抵抗素子Rbと第2の抵抗素子Rcとの接続点は、第1の出力端子aに接続されている。
【0023】
差動増幅器1C3の出力端子と上記第2の抵抗素子Rcとの接続点は、第2の出力端子bに接続されている。第3および第4の出力端子cおよびdは、上述した通り、第2の接続端子Bおよび第3の接続端子Cに各々接続されている。
双極双投型の第3の切り替えスイッチSW3の2つの可動接片eと可動接片fは、第3の切り替えスイッチSW3の第1の出力端子aと第3の出力端子cに接続されるか、第2の出力端子bと第4の出力端子dに接続されるかが、選択的に行われる。
次に、ひずみゲージ1が第1〜第4の接続端子A〜Dにどのように接続されるかにつき説明する。
1ゲージ法2線式のひずみ測定回路を形成する場合、図2に示すように、ひずみゲージ1の一端をリード線を介して第1の接続端子Aに接続し、他端を他のリード線を介して第2の接続端子Bに接続する。
また、1ゲージ法3線式のひずみ測定回路を形成する場合、図3に示すように、前記ひずみゲージ1の一端をリード線を介して前記第1の接続端子Aに接続し、他端を他のリード線を介して前記第2の接続端子Bに接続すると共に、さらに他端をさらに他のリード線を介して、前記第3の接続端子Cに接続する。
【0024】
1ゲージ法4線式のひずみ測定回路を形成する場合、図4に示すように、前記ひずみゲージ1の一端を別々のリード線を介して前記第1の接続端子Aと前記第2の接続端子Bにそれぞれ接続し、前記ひずみゲージ1の他端をさらに別々のリード線を介して前記第3の接続端子Cと前記第4の接続端子Dにそれぞれ接続する。
次の表1は、第1,第2および第3のスイッチSW1、SW2およびSW3の状態によって、前記1ゲージ法によるひずみ測定回路3が2線式、3線式および4線式の回路に切り替えられることを示した真理値表である。
【0025】
【表1】

【0026】
第1の切り替えスイッチSW1は、接続端子B−C間と接続端子C−D間に挿入され、接続端子B−C間と接続端子C−D間を同時にオン/オフする。回路を1ゲージ法2線式のひずみ測定回路とする場合、第1の切り替えスイッチSW1をオンにする。また、回路を1ゲージ法3線式、または1ゲージ法4線式のひずみ測定回路とする場合、第1の切り替えスイッチSW1をオフにする。
第2の切り替えスイッチSW2は、接続端子B−D間に挿入され、接続端子B−D間をオン/オフする。回路を1ゲージ法3線式のひずみ測定回路とする場合、スイッチSW2をオンにする。また、回路を1ゲージ法2線式、または1ゲージ法4線式のひずみ測定回路とする場合、第2の切り替えスイッチSW2をオフにする。
第3の切り替えスイッチSW3は、電圧値eoutを取り出す出力端子を選択するための切り替えスイッチであり、回路が1ゲージ法2線式または1ゲージ法3線式の場合は、ブリッジ回路によるひずみ検出電圧を検出するために、第1の出力端子aと第3の出力端子cを選択する。また、回路が1ゲージ法4線式の場合は、単に定電流によるひずみゲージの電圧降下(出力端子間の電位差)を測定するために、第2の出力端子bと第4の出力端子dを選択する。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路3を用いた1ゲージ法2線式のひずみ測定回路全体の結線図を示している。
この場合のスイッチの設定は、上述したように、第1の切り替えスイッチSW1は、オンとし、第2の切り替えスイッチSW2は、オフとし、第3の切り替えスイッチSW3は、可動接片eは第1の出力端子aに可動接片fは、第3の出力端子cに接続されている。
以下、図2に示す1ゲージ法2線式のひずみ測定回路の動作を説明する。
尚、P1〜P9は、回路上のポイントを示すものとする。
まず、ひずみ測定回路3により、ポイントP1より電圧Eを供給することにより、(2)式が成立する。
〔ポイントP5の電圧〕=E・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
また、第3の抵抗素子である内部基準抵抗Rd(抵抗値Rd)に流れる電流値Iの電流は、(3)式で示される。
【0028】
I=E/Rd ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
この電流値Iの電流は、ポイントP2からポイントP3,ポイントP4,ポイントP5を経由するため、ひずみゲージ1に電流値Iの電流が流れる。つまり電圧Eと内部基準抵抗Rd(抵抗値Rd)により、定電流回路が形成され、リード線抵抗r1(抵抗値r1)およびリード線抵抗r2(抵抗値r2)に関係無く、ひずみゲージ1には一定の電流が流れる。
ここで、ひずみゲージ1の抵抗値をRa+ΔRaとし、第1の切り替えスイッチSW1のオン抵抗値をRSW1とすると、ポイントP2の電圧は、(4)式で示される。
〔ポイントP2の電圧〕=I(Ra+ΔRa+r1+r2+Rd+RSW1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
また、ポイントP6の電圧は(5)式、ポイントP7の電圧は(6)式で、それぞれ示される。
〔ポイントP6の電圧〕=I(Rd+RSW1)・・・・・・・・(5)
〔ポイントP7の電圧〕=IRd・・・・・・・・・・・・・・・(6)
(5),(6)式より、ポイントP8の電圧は、(7)式で示される。
【0029】
〔ポイントP8の電圧〕=〔ポイントP6の電圧〕−〔ポイントP7の電圧〕 =IRSW1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
また、〔ポイントP9の電圧〕は、抵抗値の等しい抵抗Rbと抵抗Rcの分圧なので、(4),(7)式より、まず、
〔ポイントP9の電圧〕=(〔ポイントP2の電圧〕−〔ポイントP8の電圧〕)/2+〔ポイントP8の電圧〕
={I(Ra+ΔRa+r1+r2+Rd+RSW1)−IRSW1}/2+IRSW1
={I(Ra+ΔRa+r1+r2+Rd) }/2+IRSW1
となる。
【0030】
ここで、Ra=Rdとすると、上記の関係より(8)式が得られる。
{I(ΔRa+r1+r2+2Ra)}/2+IRSW1・・・・・・(8)
よって、出力eoutは、(5),(8)式より、
出力eout=〔ポイントP9の電圧〕−〔ポイントP6の電圧〕={I(ΔRa+r1+r2+2Ra)}/2+IRSW1−I(Ra+RSW1)となる。
ここで、(3)式より、(9)式が得られる。
出力eout={E(ΔRa+r1+r2+2Ra)}/2Ra−(ERa)/Ra
=E(r1+r2)/2Ra+EΔRa)/2Ra・・・・・・(9)
以上述べたように、ひずみゲージ1と測定器(即ち、1ゲージ法によるひずみ測定回路3)とを1ゲージ法2線式のひずみ測定回路として接続するのは容易であるが、(9)式の第1項から、リード線抵抗値“r1+r2”の存在により、周囲の温度変化の影響を受けるため、本結線方法は、周囲温度変化が無い場所で使用するか、もしくはリード線の温度影響を考慮に入れなくてはならない。
【0031】
但し、定電流電源を使用してブリッジ回路を励振しているため、ひずみゲージを流れる電流が一定となるので、図6に示す「定電圧電源を使用した1ゲージ法2線式のひずみ測定回路」に生じるような「1ゲージ法におけるブリッジ回路の非直線性誤差」は発生しない。
図3は、本発明の実施の形態に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路3を用いた1ゲージ法3線式のひずみ測定回路全体の結線図を示している。
この場合のスイッチの設定は、上述したように、第1の切り替えスイッチSW1は、オフとし、第2の切り替えスイッチSW2は、オンとし、第3の切り替えスイッチSW3は、可動接片eは第1の出力端子aに可動接片fは、第3の出力端子Cに接続されている。
以下、図3に示す1ゲージ法3線式のひずみ測定回路の動作を説明する。
まず、ひずみ測定回路3により、ポイントP1より電圧Eを供給することにより、ポイントP5の電圧は(10)式で定まる。
【0032】
〔ポイントP5の電圧〕=E・・・・・・・・・・・・・・・・・(10)
また、第3の抵抗素子である内部基準抵抗(抵抗値Rd)に流れる電流値Iの電流は、(11)式で定まる。
【0033】
I= E/Rd・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
この電流値Iの電流は、ポイントP2からポイントP3、ポイントP4およびポイントP5を経由するため、ひずみゲージ1に電流値Iの電流が流れる。つまり、電圧Eと内部基準抵抗Rdにより定電流回路が形成され、リード線部2におけるリード線の抵抗値r1、r3とは関係無く、ひずみゲージ1には一定の電流が流れる。 ここで、ひずみゲージ1の抵抗値をRa+ΔRaとすると、ポイントP2の電圧は、(12)式で定まる。 〔ポイントP2の電圧〕=I(Ra+ΔRa+r1+r3+Rd)・(12)
また、ポイントP8の電圧は、(13)式で定まる。
〔ポイントP8の電圧〕=〔ポイントP6の電圧〕−〔ポイントP7の電圧〕
=I(r3+Ra)−I(r3+Ra)=0・・・・・・・・・・(13)
さらに、ポイントP9の電圧は、抵抗値の等しいRbとRcの分圧なので、(12)式および(13)式より、
〔ポイントP9の電圧〕=〔ポイントP2の電圧〕/2
={I(Ra+ΔRa+r1+r3+Rd)}/2
が成立する。
【0034】
ここで、(11)式より、
〔ポイントP9の電圧〕={E( Ra+ΔRa + r1 + r3 + Rd)}/(2Rd)
となる。
また、Ra=Rd とすると、(14)式が成立する。
〔ポイントP9の電圧〕={E(ΔRa+r1+r3+2Ra)}/(2Ra)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(14)
同様に、ポイントP4の電圧として、(15)式が成立する。 〔ポイントP4の電圧〕=I(r3+Ra)
={E(r3+Ra)}/Ra・・・・・・・・・・・・・・・・・(15)
よって、出力eoutは、(14)式および(15)式より、(16)式で定まる。
【0035】
出力eout=〔ポイントP9の電圧〕−〔ポイントP4の電圧〕
={E(ΔRa+r1+r3+2Ra)}/(2Ra)−{E(r3+Ra)}/Ra
=E(r1−r3)/2Ra +(EΔRa)/2Ra・・・・・・(16)
以上述べたように、(16)式の第1項から、1ゲージ法3線式においては、リード線抵抗値“r1−r3”により、1ゲージ法2線式と比較すると、r1=r3であれば、周囲の温度変化の影響はキャンセルすることができる。しかし、コネクタ部分の接触抵抗の変動等による測定誤差は排除することができない。但し、本回路も定電流電源を使用してブリッジ回路を励振しているため、「1ゲージ法におけるブリッジ回路の非直線性誤差」は発生しない。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路3を用いた1ゲージ法4線式のひずみ測定回路全体の結線図を示している。
この場合のスイッチの設定は、上述したように、第1の切り替えスイッチSW1はオフとし、第2の切り替えスイッチSW2もオフとし、第3の切り替えスイッチSW3は、可動接片eは、第2の出力端子bに、可動接片fは、第4の出力端子dに接触されている。
以下、図4に示す1ゲージ法4線式のひずみ測定回路の動作を説明する。
まず、ひずみ測定回路3により、ポイントP1より電圧Eを供給することにより、(17)式が成立する。
〔ポイントP5の電圧〕=E・・・・・・・・・・・・・・・・・(17)
また、第3の抵抗素子としての内部基準抵抗(抵抗値Rd)に流れる電流値Iは、(18)式で定まる。
I=E/Rd・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(18)
この電流値Iの電流は、ポイントP2からポイントP3、ポイントP4およびポイントP5を経由するため、ひずみゲージ1に電流値Iの電流が流れる。つまり電圧Eと内部基準抵抗Rdにより定電流回路が形成され、リード線の内部抵抗値に関係無く、ひずみゲージ1には、一定の電流が流れる。
【0037】
ここで、ひずみゲージ1の抵抗値をRa+ΔRaとすると、ポイントP6の電圧は、(19)式で定まる。
〔ポイントP6の電圧〕=I(Ra+ΔRa+r3+Rd)・・・(19)
同様に、ポイントP7の電圧は、(20)式で定まる。
〔ポイントP7の電圧〕=I(r3+Rd)・・・・・・・・・・(20)
(19)式および(20)式により、ポイントP8の電圧は、
〔ポイントP8の電圧〕=〔ポイントP6の電圧〕−〔ポイントP7の電圧〕
=I(Ra+ΔRa+r3+Rd)−I(r3+Rd)
=I(Ra+ΔRa)となる。 ここで、(18)式より、(21)式が得られる。 〔ポイントP8の電圧〕=(E/Rd)(Ra+ΔRa)・・・・(21)
よって、出力eoutは、(21)式および(17)式より、
出力eout=〔ポイントP8の電圧〕−〔ポイントP5の電圧〕
=(E/Rd)(Ra+ΔRa)−E
として定まる。
【0038】
ここで、Rd=Ra、E=(1/2)E’とすると、(22)式が得られる。
出力eout=(E’ΔRa)/2Ra・・・・・・・・・・・・(22)
したがって、(22)式で表されるブリッジ回路の出力にリード線の抵抗値rが含まれないため、抵抗値rの温度変化による影響を受けず、より正確な測定が可能となる。実際には、このリード線の抵抗値rには、ひずみゲージ1の接続部分に発生する接触抵抗も含まれるが、本回路ではこの影響も完全に排除できるため、簡易型コネクタ(例えば、モジュラープラグ等)の使用も可能となる。また、ブリッジ回路を構成しないで、定電流電源を使用しているため、「1ゲージ法におけるブリッジ回路の非直線性誤差」も発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路を用いた1ゲージ法2線式のひずみ測定回路全体の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路を用いた1ゲージ法3線式のひずみ測定回路全体の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る1ゲージ法によるひずみ測定回路を用いた1ゲージ法4線式のひずみ測定回路全体の構成を示す回路図である。
【図5】1ゲージ法2線式によるひずみ測定方法を原理的に説明するためのひずみ測定回路の構成を示す回路図である。
【図6】定電圧電源を使用した1ゲージ法2線式の従来のひずみ測定回路の一例を示す回路図である。
【図7】真のひずみ量(ε)と、実際のブリッジ回路の出力(eo)との関係を示すグラフである。
【図8】1ゲージ法3線式による従来のひずみ測定方法を原理的に説明するためのひずみ測定回路の結線図である。
【図9】定電圧電源を使用した1ゲージ法3線式の従来のひずみ測定回路の一例を示す回路図である。
【図10】1ゲージ法4線式によるひずみ測定方法を原理的に説明するためのひずみ測定回路の結線図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ひずみゲージ
2 リード線部
3 1ゲージ法によるひずみ測定回路
A,B,C,D, 第1、第2、第3、第4の接続端子(入力端子)
IC1 定電流電源を形成するための演算増幅器
IC2 ボルテージフォロアを構成する演算増幅器
IC3 差動増幅器
SW1 第1の切り替えスイッチ(双極双投スイッチ素子)
SW1a 第1スイッチ
SW1b 第2スイッチ
SW2 第2の切り替えスイッチ(単極単投スイッチ素子)
SW3 第3の切り替えスイッチ(双極双投スイッチ素子)
a,b,c,d 第1、第2、第3、第4の出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひずみゲージをリード線を介して接続するための第1、第2、第3および第4の接続端子と、
前記1つの接続端子と前記リード線を介して前記ひずみゲージに供給する定電流を生成するための共通の定電流電源と、
1ゲージ法2線式および1ゲージ法3線式のひずみ測定回路を構成する場合に、前記ひずみゲージと共にホイートストンブリッジ回路を構成する少なくとも3個の抵抗素子と、
1ゲージ法4線式のひずみ測定回路を構成する電位差測定回路素子と、
外部の電圧測定回路に測定電圧を選択的に出力するための4個の出力端子と、 本回路を前記1ゲージ法2線式、前記1ゲージ法3線式または前記1ゲージ法4線式のいずれか1つのひずみ測定回路に切り替えるための複数の切り替えスイッチと、
を具備し、 1つの定電流電源を用いて前記1ゲージ法2線式と前記1ゲージ法3線式と前記1ゲージ法4線式のひずみ測定を行い得るように構成したことを特徴とする1ゲージ法によるひずみ測定回路。
【請求項2】
前記ひずみゲージの一端をリード線を介して前記第1の接続端子に接続し、他端を他のリード線を介して前記第2の接続端子に接続して1ゲージ法2線式の測定回路の入力側を構成し、
前記ひずみゲージの一端をリード線を介して前記第1の接続端子に接続し、他端を他のリード線を介して前記第2の接続端子に接続すると共に、さらに他端をさらに他のリード線を介して、前記第3の接続端子に接続して1ゲージ法3線式の測定回路の入力側を構成し、
前記ひずみゲージの一端を別々のリード線を介して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子にそれぞれ接続し、前記ひずみゲージの他端をさらに別々のリード線を介して前記第3の接続端子と前記第4の接続端子にそれぞれ接続して1ゲージ法4線式の測定回路の入力側を構成することを特徴とする請求項1に記載の1ゲージ法によるひずみ測定回路。
【請求項3】
電源と演算増幅器からなり定電流を第1の接続端子と前記リード線を介して前記ひずみゲージに供給する定電流電源と、
前記第1の接続端子と第1の抵抗素子との間に接続されたボルテージフォロアを構成する演算増幅器と、
前記第2の接続端子と第3の接続端子との間の電位差を演算する差動増幅器と、
前記第2の接続端子と前記第3の接続端子との間に挿入される第1のスイッチおよび前記第3の接続端子と前記第4の接続端子との間に挿入される第2のスイッチの2つが連動し、前記第2、第3および前記第4の接続端子間を同時にオンまたはオフする第1の切り替えスイッチと、
前記第2の接続端子と前記第4の接続端子との間に挿入され、前記第2の接続端子と前記第4の接続端子との間をオンまたはオフする第2の切り替えスイッチと、
第1から第4までの4個の出力端子の内の前記第1および前記第3の出力端子に接続されたときは、前記外部の電圧測定回路へ出力される前記測定電圧として前記ホイートストンブリッジ回路の対角線上の接続点間の電位を出力し、前記第2および前記第4の出力端子に接続されたときは、前記リード線と前記抵抗素子とを介した前記ひずみゲージの両端間の電位差を前記測定電圧として出力する前記第3の切り替えスイッチと、
前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点に接続された前記第1の出力端子と
前記第2の抵抗素子と前記差動増幅器の出力端子との接続点に接続された第2の出力端子と、
前記第2の接続端子に接続された第3の出力端子と、
前記第3の接続端子に接続された第4の出力端子と、
を具備したことを特徴とする請求項1または2に記載の1ゲージ法によるひずみ測定回路。
【請求項4】
前記第1の切り替えスイッチがオンであり、かつ前記第2の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第3の切り替えスイッチにより、前記第1および前記第3の出力端子とが選択されたときには、前記測定電圧として前記ホイートストンブリッジ回路の対角線上の接続点間の電位が選択されて、前記ひずみゲージの前記電位をリード線を介して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子との間に受けて、1ゲージ法2線式のひずみ測定回路を構成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の1ゲージ法によるひずみ測定回路。
【請求項5】
前記第1の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第2の切り替えスイッチがオンであり、かつ前記第3の切り替えスイッチにより、前記第1および前記第3の出力端子とが選択され、前記測定電圧として前記ホイートストンブリッジ回路の対角線上の接続点間の電位が選択されたときには、前記ひずみゲージの前記電位をリード線を介して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子と前記第3の接続端子との間に受けて、1ゲージ法3線式のひずみ測定回路を構成することを特徴とする請求項2記載の1ゲージ法によるひずみ測定回路。
【請求項6】
前記第1の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第2の切り替えスイッチがオフであり、かつ前記第3の切り替えスイッチにより、前記第2および前記第4の出力端子とが選択されたときには、前記測定電圧として、前記ひずみゲージの両端間の電位差を出力し得るように選択されて、1ゲージ法4線式のひずみ測定回路を構成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の1ゲージ法によるひずみ測定回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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