説明

1以上の材料の測定を行うためのシステム及び方法

【課題】 シース液のような消耗品を必要せずに、1つ以上の材料の測定を行い得るシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】 システムは、1つ以上の材料を1つ又はそれ以上の貯蔵容器から測定装置の撮像ボリュームに移送するように構成される。別のシステムは、測定装置の撮像ボリューム内の1つ又はそれ以上の材料を撮像するように構成される。更なるシステムは、1つ又はそれ以上の材料を測定装置の撮像ボリューム内に実質的に固定化するように構成される。更なるシステムは、1つ又はそれ以上の材料を1つ又はそれ以上の貯蔵容器から測定装置の撮像ボリュームに移送し、撮像ボリューム内の1つ又はそれ以上の材料を撮像して、1つ又はそれ以上の材料を撮像ボリューム内に実質的に固定化し、又はこれらの幾つかの組合せを行う、ように構成される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に1つ又はそれ以上の材料の測定を行うためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、1つ又はそれ以上の材料を1つ又はそれ以上の貯蔵容器から測定装置の撮像ボリュームに移送させ、撮像ボリューム内の1つ又はそれ以上の材料を撮像し、1つ又はそれ以上の材料を撮像ボリューム内に実質的に固定化し、又はこれらの幾つかの組合せを行うように構成されたシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明及び実施例は、このセクションに含まれることによって従来技術とみなされるものではない。
【0003】
フローサイトメトリにおいて典型的に使用される計測器は、蛍光染料、フルオロフォア又は蛍光標識が結合された内部染色マイクロスフェア(又は他の粒子)の1つ又はそれ以上の特性を測定する(すなわち「インタロゲーション」をする)ための実行可能なシステムを備える。マイクロスフェアに結合した蛍光染料、フルオロフォア又は蛍光標識は、マイクロスフェアの表面において生じる生物学的反応を示すことができ、及び/又はその生物学的反応にほぼ比例することができる。このような計測器の実施例は、引用により本明細書に全体的に記載されるかのように組み込まれる、Chandler他の米国特許第5,981,180号明細書(特許文献1)に記載されている。テキサス州オースチン所在のLuminex Corporationから市販されているLuminex 100系の計器は本質的に、かなり高い感度及び特異性を達成できるフローサイトメータである。
【0004】
フローサイトメータは典型的には、半導体レーザ、精密シリンジポンプ、光電子増倍管(PMT)及びアバランシェ・フォトダイオードといった、幾つかの比較的高機能で高価な装置を含む。このようなシステムの性能はかなり高いが、計器のコストは市場によっては高額なものになる可能性がある。その上、フローサイトメータは物理的に大型で、重量があり、比較的壊れやすく、典型的には、設置現場にはフローサイトメータの調整を行うために熟練した技術者が待機していなければならない。フローサイトメータは更に、粒子ストリームを比較的狭いコア内に流体力学的に集束させるために比較的大量のシース液を利用する。
【0005】
バイオテクノロジー用途で用いられる幾つかの現在利用可能な計器では、電荷結合素子(CCD)検出器のような検出器を用いた撮像が利用されている。市販のシステムの多くは、標的ヒト(又は他の動物)細胞を撮像するように構成されている。このようなシステムは、細胞の同一性又はその細胞が属するサブセットを判定するために異なる波長の光を用いて像を生成するためには利用されていない。細胞の蛍光発光を測定するためにCCD検出器が用いられる多重用途では、細胞又は他の粒子のサブセット又はクラスは、波長組成のような蛍光発光の特性ではなく、画像内の蛍光発光の絶対位置に基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,981,180号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、現在用いられているシステムよりも安価であり、現在用いられているシステムよりも機械的に安定したあまり複雑でない光学構成を有することによりシステムの輸送及び設置がより容易であり、現在用いられているシステムよりも小さく、現在用いられているシステムよりも高感度で、現在用いられているシステムよりも取得時間が短く且つスループットが高く、現在用いられているシステムよりもシース液のような消耗品の使用が少なく、測定が行われる1つ又はそれ以上の材料の最終洗浄が可能であり、或いはこれらの幾つか組み合わされた、1つ又はそれ以上の材料の測定を行うためのシステム及び方法を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記で概略的に述べた課題は、主として本発明のシステム及び方法によって対処される。本システムは、粒子の特性を測定するために粒子の撮像及び分析を行うように構成される。本システムは、粒子を撮像チャンバに移送させ、該粒子を撮像平面上に固定化して、粒子の像を撮像するように構成される。本システムは、試料を装置に装填して該装置から取り出すため、及び装置又は試料をクリーニングするための流体処理サブシステムを含む。光学サブシステムは、複数のLEDのような照明構成と、1つ又はそれ以上の撮像センサなどの集光構成とを含む。最後に、固定化サブシステムは、測定間隔の間試料を保持するために利用される。好ましい形態において、固定化サブシステムは磁石を含み、試料は磁気ビーズを含み、ここで磁石は、撮像中に磁気ビーズを固定化するように選択的に動作することができる。別の形態において、撮像中の試料に対する収集構成及び照明構成の位置が最適化される。
【0009】
本発明の他の目的及び利点は、以下の詳細な説明を読み且つ添付図面を参照すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】撮像システムの流体処理サブシステムの概略図である。
【図2a】試料貯蔵容器を内部に有し得る貯蔵容器プラットフォームであって、該貯蔵容器からウェルプレート保持装置が離間して配置された状態にある、繰り出し位置にある貯蔵容器プラットフォームの斜視図である。
【図2b】貯蔵容器を内部に有し、ウェルプレート保持装置によって固定した状態の、引き込み位置にある図2aに描かれた貯蔵容器プラットフォームの斜視図である。
【図2c】図2a及び図2bに示された貯蔵容器プラットフォーム及びウェルプレート保持装置の下面図である。
【図2d】ウェルプレート保持装置のためのバネ装荷プッシュバーの構成を示す図である。
【図2e】ウェルプレート保持装置のためのバネ装荷プッシュバーの構成を示す図である。
【図2f】ウェルプレート保持装置のためのバネ装荷プッシュバーの構成を示す図である。
【図3】試料プローブの位置を貯蔵容器プラットフォーム上に配置された貯蔵容器の貯蔵ウェルに対して較正するための方法の流れ図を示す。
【図4】撮像システムの流体フロースルーチャンバの断面図を示す。
【図5】気泡がチャンバの入口と出口との間を移動している、図4に描かれた流体フロースルーチャンバを示す図である。
【図6】撮像システムの固定化サブシステムの断面図を示す。
【図7】図6に描かれた固定化サブシステムの機構が磁石を流体フロースルーチャンバに近接して移動させる位置を較正するための方法の流れ図である。
【図8】撮像システムの光学サブシステムの概略図である。
【図9】六角形の光源配置を有する光学サブシステムによって生成される集光及び照明角空間の概略図である。
【図10】感光検出サブシステムの焦点位置を撮像レンズの温度に対して調節するための方法の流れ図である。
【図11】照明サブシステムの1つ又はそれ以上の照明源の動作電流を同定するための方法の流れ図である。
【図12】感光検出器の積分時間を調節するための方法の流れ図である。
【図13】撮像システムのためのフィルタホイール組立体の例示的な構成を示す。
【図14】図13に描かれたフィルタホイール組立体のホームポジションを較正するための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は種々の修正及び代替形態の余地があるが、その特定の実施形態は、各図面において例示として示され、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、図面及びその詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、反対に、その意図は、添付の請求項によって定義される本発明の技術的思想及び範囲内に含まれる全ての修正形態、均等形態及び代替形態を保護するものである点を理解されたい。
【0012】
本明細書において幾つかの実施形態は、粒子、ビーズ及びマイクロスフェアに関して説明しているが、本明細書に記載される全てのシステム及び方法は、粒子、マイクロスフェア、ポリスチレンビーズ、微粒子、金ナノ粒子、量子ドット、ナノドット、ナノ粒子、ナノシェル、ビーズ、マイクロビーズ、ラテックス粒子、ラテックスビーズ、蛍光ビーズ、蛍光粒子、着色粒子、着色ビーズ、組織、細胞、微生物、有機物、非有機物、又は当該技術分野で公知の他の何れかの離散的物質と共に用いることができる点を理解すべきである。粒子は、分子反応の媒体(vehicle)として機能することができる。適切な粒子の実施例は、引用により本明細書に全体的に記載されるかのように組み込まれる、Fultonの米国特許第5,736,330号明細書、Chandler他の米国特許第5,981,180号明細書、Fultonの米国特許第6,057,107号明細書、Chandler他の米国特許第6,268,222号明細書、Chandler他の米国特許第6,449,562号明細書、Chandler他の米国特許第6,514,295号明細書、Chandler他の米国特許第6,524,793号明細書及びChandlerの米国特許第6,528,165号明細書において例示されている。本明細書に記載のシステム及び方法は、これらの特許に記載された粒子の何れかと共に用いることができる。更に、本明細書に記載の方法及びシステムの実施形態で使用するための粒子は、テキサス州オースチン所在のLuminex Corporationのような製造者から入手することができる。用語「粒子」、「マイクロスフェア」及び「ビーズ」は本明細書において同義的に用いられる。
【0013】
更に、本明細書に記載のシステム及び方法に適合する粒子のタイプは、粒子の表面に付着した又は会合した蛍光物質を有する粒子を含む。これらのタイプの粒子は、分類蛍光(classification fluorescence)(すなわち、粒子の同一性又は粒子の属するサブセットについて判定をするために測定され使用される蛍光放射)を提供するために蛍光染料又は蛍光粒子が粒子の表面に直接結合され、引用により本明細書に全体的に記載されるかのように組み込まれるChandler他の米国特許第6,268,222号明細書及びChandler他の米国特許第6,649,414号明細書に例示されている。本明細書に記載の方法及びシステムで用いることができる粒子のタイプはまた、粒子のコア内に取り込まれた1つ又はそれ以上の蛍光色素又は蛍光染料を有する粒子を含む。本明細書に記載の方法及びシステムで用いることができる粒子は更に、1つ又はそれ以上の適切な光源に曝露されたときに1つ又はそれ以上の蛍光信号をこれら自体が示す粒子を含む。その上、粒子は、励起時に粒子が多重蛍光信号を示すように製造することができ、その蛍光信号の各々を個別に又は組み合わせて用いて、粒子の同一性を判定することができる。
【0014】
本明細書に記載の実施形態は、「発明が解決しようとする課題」までの記載において言及した問題点を克服すると同時に、フローサイトメータの性能と実質的に同等又はそれを上回る性能を達成することが可能である。本明細書に記載の実施形態は、広範囲にわたる2つの撮像法を用いた幾つかの構成を含む。蛍光検出又は集光において、フローサイトメータで通常使用されているように、検出波長当たりに1つの光電子倍増管(PMT)又はアバランシェ・フォトダイオード(APD)のような単一センサを利用することができる。しかしながら、特に好ましい実施形態は、蛍光検出のために、一次元又は二次元の電荷結合素子(CCD)又は他の適切なアレイ型検出器を想定している。励起源(エキサイテーション・ソース)は、発光ダイオード(LED)のような光源によって放射され、測定装置の撮像ボリューム内の1つ又はそれ以上の材料に直接又は光ファイバを介して伝送される光を用いて、広範囲にわたる照明(すなわち、測定装置の撮像ボリュームの比較的広い範囲にわたって(例えば測定装置の撮像ボリューム全体に)同時にもたらされる照明)を提供するように構成することができる。或いは、励起源は、測定装置の撮像ボリューム内に比較的小さいスポットの照明を提供するように構成することができ、システムは、撮像ボリューム全体にわたって比較的小さいスポットを走査するように構成することができる。この方式においては、照明は、1つ又はそれ以上のLED、1つ又はそれ以上のレーザ、1つ又はそれ以上の他の適切な光源、或いはこれらの組合せから生じる集束光の比較的「小さいフライングスポット」として構成することができる。
【0015】
本明細書に記載の実施形態はまた、1つ又はそれ以上の材料の測定を行うための他のシステム及び方法よりも優れた幾つかの利点を提供する。例えば、本明細書に記載の実施形態は、有利には、他のシステム及び方法よりも安価である。特に、本明細書に記載の幾つかの構成において、本実施形態は、光子検出器としてPMTではなく比較的安価なCCD、レーザの代わりに比較的単純なLED、流体を動かすために精密シリンジポンプの代わりに比較的安価なポンプ、又はこれらの幾つかの組合せを含むことができる。その結果、本明細書に記載の実施形態の総コストは、およそ一桁削減することができる。更に、本明細書に記載の実施形態は、フローサイトメトリで典型的に用いられる光学構成よりも実質的により単純な光学構成であるため、本明細書に記載の実施形態が実質的に機械的安定となることにより有利である。このような機械的安定性は、本明細書に記載のシステムの実施形態を標準的な配送サービス(例えば、UPSタイプのサービス)で配送することを可能にする。更に、このような機械的安定性は、本明細書に記載のシステムの実施形態を、技術的に熟達したサービス要員でない可能性があるユーザによって設置可能にする。その上、本明細書に記載の実施形態は、システムの実施形態を実質的に小型に(例えば、場合によってはポケットカメラのサイズ)することができるので有利である。
【0016】
本明細書に記載の実施形態の別の利点は、この実施形態が、レーザベースのフローサイトメータ型のシステムを使用した場合に典型的な数マイクロ秒よりも遙かに長い時間にわたって光子を積分する能力を提供することである。従って、本明細書に記載の実施形態は、現在用いられているシステム及び方法の場合よりも、表面上に又はそれ以外に結合している蛍光分子が少ない粒子を検出することができる。従って、本明細書に記載の実施形態は、有利には、現在用いられている他のシステム及び方法よりも高い感度を有することができる。更に、本明細書に記載の実施形態は、現在用いられているシステムよりも実質的に短い測定値取得時間と、従って、より高いスループットとを有することができる。例えば、CCD/LED「フラッド照明」構成を用いるように構成された実施形態において、試料測定値の取得は、粒子1つずつ逐次測定するのではなく試料全体又は粒子の全集団を2つ又は3つの画像又は「ピクチャ」で測定できるので、より迅速である。別の実施例において、比較的高スループットのソリューションを望むユーザには、CCD/LEDベースのシステムは、比較的安価なシステムを提供し、場合によっては、単一のマイクロタイタープレート又は他の試料を迅速に処理するために並列で動作することができる。
【0017】
本明細書に記載の実施形態の更に別の利点は、フローサイトメトリのように粒子を流体力学的に集束するためにシース液を用いないことである。本明細書に記載の実施形態の更に別の利点は、測定を妨げる遊離蛍光色素又は他の材料を粒子の周囲液体から除去し、これにより測定装置によって(例えば、測定装置の撮像センサによって)検出されるバックグラウンド光を低減するために、測定が行われる1つ又はそれ以上の材料の最終「洗浄」がシステム内で実施可能であることである。
【0018】
本明細書において更に提示される実施形態の説明は、全体的に3つのサブセクションに分かれており、そこでは異なるシステムの実施形態が説明される。例えば、1つのサブセクションは、本明細書に記載のシステムの実施形態に含めることができる流体構成に関する。流体処理構成は、1つ又はそれ以上の材料(例えば、1つ又はそれ以上の反応がビーズの表面上で行うことができた後のビーズ及び/又は他の試薬)を1つ又はそれ以上の貯蔵容器から測定装置の撮像ボリュームに導入又は移送させるのに用いることができる。別のサブセクションは、本明細書に記載のシステムの実施形態に含めることができる光学構成に関する。一般に、光学構成は、励起源及び光子検出器の種々の組合せを含むことができ、これらは、本明細書においてそれぞれ照明サブシステム及び感光検出サブシステムと呼ばれる場合もある。更なるサブセクションは、本明細書に記載のシステムの実施形態に含めることができ又はシステムの実施形態が用いることができる、粒子固定化構成及び方法に関する。撮像システムにおいて粒子は測定間隔の間に実質的に動かないことが好ましいので、本明細書に記載のシステムはこのような粒子固定化構成を含むことができる。上記のサブシステムに記載のシステム構成の何れかの組合せを組み合わせて、最終撮像システムの実施形態を生成できる点に留意されたい。
【0019】
以下でより詳細に説明するように、本明細書に記載のシステムのサブセクションに関連する幾つかの方法及びルーチンが提供される。一般に、本方法は自動化されるので、従って、コンピュータを通じて実装され、より具体的には、コンピュータプロセッサが実行可能なプログラム命令によって実装される。その結果、本明細書に記載の撮像システムは、自動化されたルーチン、特に図3、図7、図10、図12及び図14を参照して説明される方法を実施するためにプロセッサによって実行可能なプログラム命令を含む。プログラム命令は、記憶媒体を介して伝送され又は該記憶媒体上に格納することができる。記憶媒体は、限定ではないが、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気もしくは光学ディスク、又は磁気テープを含むことができる。本明細書に記載の撮像システムは、場合によっては、本明細書に具体的に記載されたプロセス以外のプロセスを行うように構成することができ、従って、本明細書に記載のコンピュータに実装された方法及びプログラム命令は、必ずしも図3、図7、図10、図12及び図14の説明に限定されるものではない点に留意されたい。
【0020】
ここで図面を参照するが、各図は縮尺通りに描かれていない点に留意されたい。特に、各図の要素の一部の縮尺は、その要素の特徴を強調するために大幅に誇張されている。各図は同じ縮尺で描かれていない点にも留意されたい。1つよりも多い図に示され、同様に構成できる要素には同じ参照番号を用いて示されている。
【0021】
図1、図6及び図8は、流体アッセイを分析するための1つのシステムに組み合わせることができるサブシステムの例示的な実施形態を示している。特に、図1は、流体処理サブシステム6の機能的構成要素を示す。図6は、固定化サブシステム9の構成要素を示し、図8は光学サブシステム8の機能的構成要素を示す。流体処理サブシステム6、粒子固定化サブシステム9及び光学サブシステム8の構成は、必ずしも図1、図6及び図8に描かれたものに限定されない点に留意されたい。特に、流体処理サブシステム6、粒子固定化サブシステム9及び光学サブシステム8は、追加の又は異なる構成要素を含むことができ、及び/又は図1、図6及び図8に描かれたものとは異なる様式で配置された構成要素を有することができる。従って、図1、図6及び図8は流体処理サブシステム6、粒子固定化サブシステム9及び光学サブシステム8の単なる実施例の例示に過ぎず、必ずしも本明細書に記載されたシステムを限定するものではない。
【0022】
流体処理サブシステム6は、一般に、1つ又はそれ以上の材料を1つ又はそれ以上の貯蔵容器から流体フロースルーチャンバの撮像領域に移送するように構成される。図1に示すように、試料は、試料貯蔵容器12から試料採取プローブ15によって撮像システム内に移送することができる。二方向ポンプ14、ポンプ弁20、試料ループ16及び試料弁18を用いて、流体処理サブシステム6は、採取した試料を流体フロースルーチャンバ10に送ることができる。特に、二方向ポンプ14は、試料プローブ15によって採取された試料を試料ループ16に吸い込み、その後、流体を試料ループからチャンバ10内に送ることができる。試料ループ16は、ポンプ14と試料弁18との間の配管の長さを指し、これは採取された試料のリザーバとしての役割を果たす。配管は、何れかの適切な構成を有することができる。更に、二方向ポンプ14は、当該技術分野で公知の何れかの適切なポンプを含むことができる。
【0023】
試料弁18の機能は、試料を試料貯蔵容器12から吸引するときに試料プローブ15を試料ループ16に接続し、試料をチャンバ内に入れるときに試料ループ16をチャンバ10に接続することである。ポンプ弁20は、貯蔵容器22から試料ループ16内に溶液(例えば、駆動溶液又は洗浄溶液)を導入するために、試料ループ16のポンプ端部で使用される。試料ループ16内に溶液を導入するために追加の貯蔵容器をシステム内に組み込むことができ、従って、本システムは貯蔵容器22の組み込みに限定されない。他の場合において、貯蔵容器22はシステムから省略してもよい。何れの場合においても、ポンプ弁20及び試料弁18は、当該技術分野で公知の何れかの適切な弁を含むことができる。幾つかの実施形態において、システムは、試料を試料貯蔵容器12から試料ループ16内に自動的に吸引するためプロセッサによって実行可能なプログラム命令を含む。追加的に又は代替的に、システムは、試料を試料ループ16からチャンバ10内に装填するためのプロセッサによって実行可能なプログラム命令を含むことができる。何れの場合においても、システムは一般に、分析後に流体フロースルーチャンバ10から溶液を排出するように構成することができ、幾つかの実施形態において、システムは、排出された溶液を収集するためのコンテナ24を含むことができる。
【0024】
上述のように、試料は、試料貯蔵容器12から試料プローブ15によってシステム内に移送させることができる。試料貯蔵容器12は、例えばマイクロタイタープレートのような当該技術分野で公知の何れかの適切なアッセイ試料コンテナとして構成することができる。一般に、特に図1−図3に関して本明細書で記載されるシステムは、アッセイを収容する試料貯蔵容器を受けて固定するように構成された貯蔵容器プラットフォームを含むことができる。より具体的には、本明細書に記載のシステムは、システムの動作中に、特に試料プローブ15を用いてそこから試料を取り出すときに、試料貯蔵容器12の移動を防ぐように構成された貯蔵容器プラットフォームを含むことができる。従来のアッセイ分析システムにおいては、試料貯蔵容器は、貯蔵容器プラットフォーム上で支持されることが多いが、容器は一般に移動を防ぐために固定されてはいない。試料プローブと貯蔵容器を覆う穿刺可能カバーとの間の摩擦に起因して、試料貯蔵容器は、試料を取り出すためにカバーを穿刺し、更に試料貯蔵容器から回収される試料採取プローブの動作によって取り除かれる場合がある。しかしながら、本明細書に記載のシステムは、図2a−図2fを参照して以下でより詳細に論じられるように、このような問題に対処するよう構成された貯蔵容器プラットフォームを含む。
【0025】
図2a及び図2bを参照すると、試料貯蔵容器を受けて固定するように構成された貯蔵容器プラットフォームが示されている。特に、貯蔵容器プラットフォーム30は、支持ベース32を有し、図2a及び図2bに示されるように、その支持ベース32は、貯蔵容器34を収容するために部分フレーム状に構成されている部分フレーム領域を備えている。貯蔵容器プラットフォーム30は、支持ベース32から延びて部分フレーム領域の境界を定める位置決め特徴部36と、支持ベース32内に一体化されたバネ装荷プッシュバー40とを含む。流体リザーバ37が部分フレーム領域に隣接して設けられ、一般には、貯蔵容器34内に保持されたアッセイ試料のための保守管理流体を貯蔵するように構成される。貯蔵容器プラットフォーム30に付随して、システムは、該システムで、具体的にはシステムのケーシングの開口部38の外側及び内側に、貯蔵容器プラットフォームを繰り出し及び引き込むための機構を含む。この機構は、当該技術分野で公知の何れかの適切な構成を含むことができる。例えば、幾つかの場合において、この機構は、従来のコンパクトディスクプレーヤに用いられる構成と類似することができる。
【0026】
以下でより詳細に説明するように、貯蔵容器34を支持ベース32の部分フレーム領域内に固定するための貯蔵容器プラットフォーム30の構成は、貯蔵容器プラットフォーム30がシステム内に引き込まれたときに貯蔵容器34の側壁に力を加えるためのバネ装荷プッシュバー40の特定の設計及び配置を含む。貯蔵容器34のシステムからの取り外しを可能にするために、バネ装荷プッシュバー40は更に、貯蔵容器プラットフォーム30がシステムから取り出されているときには加えられた力を解放するように構成される。バネ装荷プッシュバー40のこのような構成は、部分42及び44の設計、並びにバネ48の設計及び位置(図2cに図示)を含み、これらの全ては図2a−図2fを参照して以下でより詳細に説明する。
【0027】
バネ装荷プッシュバー40の設計及び配置に加えて、支持ベース32の部分フレーム領域内に貯蔵容器34を固定するための貯蔵容器プラットフォーム30の構成は、粗面を有する位置決め特徴部36の内面の少なくとも一部を含む。特に、位置決め特徴部36の内面(すなわち、支持ベース32の部分フレーム領域に対して内向きに面する表面)上の粗面は、一般に、バネ装荷プッシュバー40が貯蔵容器34の側壁に対して力を加えるときに、貯蔵容器34の対応する側壁を固定するのに十分な摩擦をもたらすことができる。位置決め特徴部36のうちの何れか1つ又はそれ以上がその内面上に粗面を含むことができる。しかしながら、場合によっては、バネ装荷プッシュバー40が力を加える貯蔵容器34の側壁とは反対側の側壁に接する位置決め特徴部上に粗面化された内面を有することが特に有利なことがある。このような実施形態は、貯蔵容器34を支持ベース32の部分フレーム領域の少なくとも一方向に沿って固定するのに有利とすることができる。
【0028】
図2a及び図2bは支持ベース32の部分フレーム領域のコーナーにある位置決め特徴部36を示しているが、位置決め特徴部36の構成、数及び位置は、必ずしもこのように限定されるものではない。特に、貯蔵容器プラットフォーム30は、貯蔵容器プラットフォームがシステム内に引き込まれているときにバネ装荷プッシュバー40が貯蔵容器34の側壁に力を加えるための少なくとも1つの開口部が設けられる限り、貯蔵容器34を受け入れる領域の境界を定めるためにあらゆる数及びサイズの位置決め特徴部を含むことができる。従って、貯蔵容器プラットフォーム30は、追加の位置決め特徴部、異なる位置の位置決め特徴部、及び/又は貯蔵容器34を受け入れるための領域を枠組みする代替構成の位置決め特徴部を含むことができる。例えば、貯蔵容器プラットフォーム30は、貯蔵容器34を受け入れるための領域の側部全体に沿って延びる位置決め特徴部を含むことができ、幾つかの場合においては、貯蔵容器34を受け入れるための領域の3つの側部と、可能であれば、バネ装荷プッシュバー40が作動される側部の一部とに沿って延びる位置決め特徴部を含むことができる。或いは、貯蔵容器プラットフォーム30は、貯蔵容器34を受け入れる領域の側部に沿って配置された1つ又はそれ以上の分離した位置決め特徴部を含むことができ、すなわち、貯蔵容器34を受け入れるための領域のコーナーに位置決め特徴部が位置付けられる場合があり、又は位置付けられない場合もある。何れの場合においても、支持ベース32の部分フレーム領域は、図2a及び図2bにおける貯蔵容器34について描かれているような96ウェル・マイクロタイタープレートを収容するものに限定されない点に留意されたい。特に、支持ベース32の部分フレーム領域は、任意のサイズの貯蔵容器を収容するように構成することができ、一般にシステムの仕様に応じて変わる可能性がある。
【0029】
貯蔵容器34を貯蔵容器プラットフォーム30内に固定するようにバネ装荷プッシュバー40の構成と位置決め特徴部36の内面とを相関付けると、バネ装荷プッシュバーは一般に、貯蔵容器の側壁を位置決め特徴部の粗面に対して固定するのに十分に大きく、且つ貯蔵容器34が変形しないように十分に小さい力を加えるように構成される。場合によっては、バネ装荷プッシュバー40によって加えられる力は、位置決め特徴部36の粗面によって提供される摩擦係数と併せて、試料プローブ及び貯蔵容器34を覆うカバー間の摩擦力を特に打ち消すように構成される。このような力を加えるバネ装荷プッシュバー40の構成は、図2d−図2fを参照して以下でより詳細に説明される。一般に、試料プローブと貯蔵容器34を覆うカバーとの間の摩擦力は、システム設計並びに貯蔵容器及びカバーの重量のばらつきに起因して、システム及びプロセス実行毎に異なる可能性がある。本明細書に記載の貯蔵容器プラットフォームの開発の際には、試料プローブと貯蔵容器34を覆うカバーとの間の摩擦力はおよそ18グラム又はそれ以下と推定されたので、従って、以下で説明される構成は、一般にこのような摩擦力を打ち消すように設計される。しかしながら、以下で述べる構成は、より大きな摩擦力を打ち消すのに好適とすることができ、又はそのように修正することもできる点に留意されたい。
【0030】
本明細書に記載の貯蔵容器プラットフォームの開発の際に見出されたバネ力の例示的な範囲は、約0.8ポンド(0.3629Kg)〜約1.0ポンド(0.4536Kg)の間であったが、システムの設計仕様に応じてより大きい又はより小さい力も考慮することができる。特定の最小摩擦係数をもたらす位置決め特徴部36の粗面の構成は、粗度並びに粗さ曲線を含むことができ、この両方は、システムの設計仕様(例えば、位置決め特徴部36のサイズ、粗面の面積、貯蔵容器のサイズ、その他)に応じて異なることができる。本明細書に記載の貯蔵容器プラットフォームの開発の際に見出された例示的な最小摩擦係数は約0.12であったが、これよりも大きい又は小さい係数も考慮することができる。更に、刻み付き面は、本明細書に記載の貯蔵容器プラットフォームに好適であることが分かっており、場合によっては、下向きに傾斜した歯を有する鋸歯状刻み付き面が、貯蔵容器を内部に固定するのに特に有利であると証明された。
【0031】
特定の力を加えるためのバネ装荷プッシュバー40及び最小摩擦係数をもたらす位置決め特徴部36の粗面の構成に加えて、バネ装荷プッシュバー40及び位置決め特徴部36の材料が、貯蔵容器34を貯蔵容器プラットフォーム30内に固定するのを助け、並びにバネ装荷プッシュバー40の動作を維持するのを助けることができる。一般に、バネ装荷プッシュバー40及び位置決め特徴部36は、耐腐食性及び耐変形性の材料を含むことができる。例示的な材料には、アルミニウム及びステンレス鋼のような金属、及びポリオキシメチレンのような自己潤滑性材料が含まれる。場合によっては、自己潤滑性材料は、バネ装荷プッシュバー40のかじりの低減に特に有益とすることができる。ポリオキシメチレンは、DuPont社から商標名Delrinで市販されている。
【0032】
図2a−図2cは、バネ装荷プッシュバー40の例示的な設計及び位置を示しており、貯蔵容器プラットフォーム30がシステム内に引き込まれたときに、貯蔵容器の第1の側壁に力が加わり、更に、貯蔵容器プラットフォーム30がシステムから取り出されているときには、加えられた力が解放される。特に、図2aは、具体的にはバネ装荷プッシュバー40の部分42が貯蔵容器34から離間され、バネ装荷プッシュバー40の部分44が、ケーシング枠組み開口部38の側壁に接触している、繰り出し位置の貯蔵容器プラットフォーム30を示している。このような場合、バネ装荷プッシュバー40は貯蔵容器34に力を加えておらず、従って、貯蔵容器は貯蔵容器プラットフォーム30内に固定されていない。このような状況は、貯蔵容器34を貯蔵容器プラットフォーム30に装填又は装填解除されているときに適用することができる。何れかのケースでの貯蔵容器プラットフォームの動作は、バネ装荷プッシュバー40の部分44が窓38の縁部を捕らえて、バネ装荷プッシュバー40の動きを停止させ、一方、貯蔵容器プラットフォームの他の部分は最終繰り出し位置に移動することを含む。このようにして、部分44は、バネ装荷プッシュバー40と貯蔵容器34の部分フレーム領域との間の間隔に影響を及ぼす。幾つかの実施形態において、この間隔は、機械式アームが妨げられることなく貯蔵容器34をその領域との間で効果的に装填/装填解除できるような十分なクリアランスを有するものとすることができる。
【0033】
図2bは、具体的にはバネ装荷プッシュバー40の部分42が貯蔵容器34の相対する側壁を対応する位置決め特徴部36に接して固定するのに十分な力を貯蔵容器34の側壁に加えている、部分的に又は完全に引き込んだ位置の貯蔵容器プラットフォーム30を示している。図2bには示されていないが、バネ装荷プッシュバー40の部分44は、貯蔵容器プラットフォーム30が部分的又は完全に引き込んだ位置にあるときには、ケーシング枠組み開口部38の側壁に接していない点に留意されたい。このような状況は、貯蔵容器プラットフォーム30がサンプリングのためにシステム内に引き込まれているとき、或いは貯蔵容器プラットフォーム30がシステムから取り出されているが、バネ装荷プッシュバー40の部分44が開口部38の縁部を捕える前のときに適用することができる。
【0034】
図2cは、下側から見た貯蔵容器プラットフォーム30を示し、支持ベース32内へのバネ装荷プッシュバー40の一体化を表している。特に、このような視点からは、バネ装荷プッシュバー40がビーム46と該ビームを支持ベース32に接続するバネ48とを含むことが示される。ビーム46は一般に、バネ装荷プッシュバー40の部分42及び部分44を接続することができる。バネ48は、圧縮バネ又は引張バネを含むことができる。場合によっては、動作中のバネの座屈を避けるために、引張バネを利用することが有利となる場合がある。図2cには示されていないが、貯蔵容器プラットフォーム30は、ビーム46及び/又はバネ48を覆う下側シールドを含むことができる。幾つかの実施形態において、下側シールドは、貯蔵容器プラットフォーム30がシステム内に引き込まれ、貯蔵容器がプラットフォーム上に配置されていないときに、バネ装荷プッシュバー40の移動を停止させるプッシュバー止め部を含むことができる。プッシュバー止め部の目的は、貯蔵容器が貯蔵容器プラットフォーム30上に配置されていないときに、バネ装荷プッシュバー40の部分42が、該部分42がその中を移動するスロットの端部に接触するのを防ぐことである。
【0035】
バネ装荷プッシュバー40の部分42は、貯蔵容器プラットフォーム30がシステム内に引き込まれたときに、貯蔵容器34の側壁に力を加えるのを助ける幾つかの構成を含むことができる。例えば、幾つかの場合において、バネ装荷プッシュバー40の部分42は、貯蔵容器34の側壁に接触するための粗面を有することができる。このような場合には、部分42の粗面は、位置決め特徴部36の粗面によって提供される摩擦係数並びにバネ48によって提供される力と併せて最小摩擦係数をもたらし、試料プローブと貯蔵容器34を覆うカバーとの間の摩擦力を打ち消すように構成することができる。部分42に対する粗面の摩擦係数を描出する粗度並びに粗さ曲線は、システムの設計仕様に応じて異なることができる。幾つかの実施形態において、部分42の粗面は、位置決め特徴部36の粗面について上記で説明したものと同様の粗度及び/又は粗さ曲線を含むことができる。簡潔にするために、このような特徴を繰り返して説明しない。
【0036】
貯蔵容器プラットフォーム30がシステム内に引き込まれたときに貯蔵容器34の側壁に対する力の印加を助ける付加的な又は代替的な構成は、貯蔵容器の側壁に対して角度付きの下向きの力を作用させるように、バネ装荷プッシュバー40の部分42が角度付き面を有するようにすることである。一般に、部分42は、角度付きの下向きの力を加えるために、貯蔵容器34の側壁に沿った任意の点に接触するように構成することができる。しかしながら、幾つかの実施形態において、貯蔵容器34のコーナー点で接触するように部分42を構成することが特に有利とすることができる。特に、このような構成は一般に、貯蔵容器の垂直方向の側壁に沿った非コーナー点への接触に比べて、バネ48によって加わる所与の力で貯蔵容器により大きな下向きの力を加えることができる。コーナーの接点は貯蔵容器の上部とすることができ、或いは、貯蔵容器の底部フランジのコーナー点とすることもできる。アッセイを保持するのに用いられる貯蔵容器は、容器の底部の輪郭を描く底部フランジを含むことが多い。実際に、米国規格協会(American National Standard Institute(ANSI))は、ANSI文書ANSI/SBS3−2004において、マイクロプレートの底部外側フランジの3つの標準高さ、すなわち、2.41mm+/−0.38mmの低フランジ高さ、6.10+/−0.38mmの中フランジ高さ、及び7.62+/−0.38mmの高フランジ高さを明らかにしている。
【0037】
一般に、部分42は、異なる高さの底部フランジを有する貯蔵容器、並びに底部フランジの上方の側壁の高さ及び/又は角度が様々である貯蔵容器を含む、異なる構成の貯蔵容器に対応するよう設計することが有利となる。しかしながら、底部フランジ及び貯蔵容器全体としての高さのばらつき、並びに底部フランジ及び貯蔵容器の側壁の角度のばらつきは、貯蔵容器のコーナー点における接触を実現しようする試みに対し課題を提示する。更に、貯蔵容器プラットフォーム上の貯蔵容器の下方にヒータプレートを含める選択肢は、この問題を更に困難にする。このような課題に取り組む例示的な構成を図2d−図2fに示す。特に、図2d−図2fは、一般に、特にマイクロプレートについてのANSI標準に準拠した貯蔵容器の種々の構成のコーナー点における接触を実現させるバネ装荷プッシュバー40の部分42の異なる構成を示している。
【0038】
例えば、図2dは、貯蔵容器プラットフォーム内に置かれた貯蔵容器54の側壁に対して角度付きの下向きの力を加えるための角度付き面52を有する構成50を示す。一般に、角度付き面52は、構成50が貯蔵容器54のコーナー点に接触するような寸法にされる。幾つかの場合において、角度付き面52は、図2dに示されるように貯蔵容器54の底部フランジのコーナー点に接触することができる。他の実施形態において、角度付き面52は、構成56について図2eに示されているように、貯蔵容器の頂部(すなわち、貯蔵容器54の底部フランジの上方の部分)のコーナー点に接触することができる。図2eは、バネ装荷プッシュバー40の部分42の異なる構成を表すことができる点に留意されたい。特に、図2eは、部分42が比較的低い高さの底部フランジを有する貯蔵容器に適用されたときの構成を表すのに用いることができる。或いは、図2eは、以下でより詳細に説明するように、大部分の貯蔵容器の底部フランジとの間にクリアランスが存在する底面を有するような特定の寸法にされた構成を表すのに用いることができる。
【0039】
貯蔵容器の底部フランジのコーナー点に接触するような構成50の改作は、中フランジ高さ(例えば、ANSI文書ANSI/SBS3−2004による6.10+/−0.38mm)及び高フランジ高さ(例えば、ANSI文書ANSI/SBS3−2004による7.62+/−0.38mm)を有する貯蔵容器に特に適用することができる。対照的に、貯蔵容器の頂部のコーナー点に接触するような構成50の改作は、低フランジ高さ(例えば、ANSI文書ANSI/SBS3−2004による2.41+/−0.38mm)を有する貯蔵容器に特に適用することができる。何れの場合においても、異なるサイズの底部フランジを有する貯蔵容器でこのような接点を実現するために、構成50の垂直軸に対する角度付き面52の角度は、約10.0度以下とすることができ、場合によっては約7.0度以下とすることができ、別の場合においては、約5.0度以下とすることができる。しかしながら、より大きい角度も考慮することができる。
【0040】
バネ装荷プッシュバー40の部分42の代替の構成は、特に貯蔵容器の上のコーナーと接触できるように、部分42の寸法を貯蔵容器の底部フランジとの間にクリアランスが存在するようにすることができる。このような実施形態の例示的な図が図2eに示されており、ここでは角度付き面57が貯蔵容器59の頂部コーナーに接触する。上述のように、図2eは、バネ装荷プッシュバー40の部分42の異なる構成を表すことができる。特に、図2eは、図2dを参照して上で説明された構成が比較的低い高さの底部フランジを有する貯蔵容器に適用された場合の構成を表すのに用いることができる。このような構成の場合、図2eにおける構成56は、底面58が存在する貯蔵容器プラットフォームの頂面との間にクリアランス(例えば、約1又は2mm)が存在するような寸法にすることができる。或いは図2eは、角度付き面57が貯蔵容器の底部フランジのコーナー点ではなく貯蔵容器の頂部のコーナーに一貫して接触できるように、貯蔵容器の底部フランジとの間にクリアランスが存在する底面を有するような特定の寸法にされた構成を表すのに用いることができる。
【0041】
ANSI標準に準拠するマイクロプレートの後者の構成を実現するためには、構成56は、底面58が貯蔵容器プラットフォームの上側表面の少なくとも3.0mm上方、場合によっては貯蔵容器プラットフォームの上側表面の少なくとも7.0mm上方、更に他の実施形態では貯蔵容器プラットフォームの上側表面の少なくとも8.5mm上方に配置されるような寸法にすることができる。幾つかの場合において、構成56は、貯蔵容器がヒータプレートの上に配置されたときに底面58が貯蔵容器の底部フランジとの間にクリアランスが存在するように配置されるような寸法にすることができる。このような実施形態の例示的な寸法は、貯蔵容器プラットフォームの上側表面の少なくとも13.0mm上方に配置された底面58を含むことができる。このような場合の何れにおいても、角度付き面57は、図2dにおいて角度付き面52について説明したような角度を成すことができる。特に、構成56の垂直軸に対する角度付き面57の角度は、約10.0度以下とすることができ、場合によっては約7.0度以下とすることができ、別の場合においては、約5.0度以下とすることができる。更に大きい角度も考慮することができる。
【0042】
バネ装荷プッシュバー40の部分42についての別の代替的な構成は、図2fに示される構成60の形態とすることができる。図2fに示されるように、構成60は、角度付き面62の下側縁部に面取り面64を含む。面取り面64は、構成60の垂直軸に対して角度付き面62よりも大きい角度を成している。その結果、面取り面64は、角度付き面62と比べて、バネ装荷プッシュバー40の所与のバネ力において貯蔵容器66に作用するより大きな下向きの力を実現することができる。面取り面64は、図2fに示されるように、構成60が貯蔵容器66の底部フランジのコーナー点に接触するような寸法にすることができる。構成60の垂直軸に対する面取り面64の角度は、システムの設計仕様に応じて異なることができるが、例示的な範囲は、約5〜約45度の間とすることができる。
【0043】
貯蔵容器34に対するバネ装荷プッシュバー40の部分42の高さは、一般に、貯蔵容器プラットフォーム30をシステムから繰り出しおよびシステム内に及び引き込むことができるように、開口部38内に確実に収まるような寸法にすることができる点に留意されたい。幾つかの実施形態において、バネ装荷プッシュバー40の部分42の高さは、特にバネ装荷プッシュバーがプラットフォームの別の構成要素の下に配置されるような場合には、更に制限されることが必要となる場合がある。特に、貯蔵容器プラットフォーム30は、代替的にバネ装荷プッシュバー40が流体リザーバ37の下に配置されるような構成にされる場合があり、従って、このような状況ではバネ装荷プッシュバー40の部分42の高さが特に制限される可能性がある。場合によっては、バネ装荷プッシュバー40を流体リザーバ37の下に配置することは、バネ装荷プッシュバー40の部分42が移動するスロットの汚染を防ぐのに有利な場合がある。
【0044】
上述のように、一般に、本明細書に記載の撮像システムの貯蔵容器プラットフォームが異なる構成の貯蔵容器に対応することが有利である。このような対応により、撮像システムの他の構成要素も適応可能にすることができる。例えば、種々のマイクロタイタープレートは、様々な深さのウェルを有する。貯蔵容器又は試料プローブに損傷を与えることなく種々の貯蔵容器のウェルから適切に試料を吸引することを保証するために、試料プローブを異なる貯蔵容器に対して異なる垂直方向位置に位置決め可能にすることが有利となる。従って、本明細書に記載の撮像システムは、貯蔵容器プラットフォーム内に配置された貯蔵容器のウェルに対して試料プローブの位置を較正する自動化システムを含むことができる。より具体的には、本明細書に記載の撮像システムは、このような手順を行うためにプロセッサによって実行可能なプログラム命令を含むことができる。一般に、プログラム命令は、貯蔵容器ウェル内の基準位置を識別し、識別された基準位置に対するサンプリングプローブの標的垂直方向位置を適切な較正ルーチンの動作を通じて指定するよう構成される。例示的な較正ルーチンが図3に示されており、以下でより詳細に説明する。本明細書に記載の撮像システム用に考慮される較正ルーチンは、図3に示されたものに対して付加的及び/又は代替手順を含むことができ、従って、試料プローブ位置を求める本明細書に記載の較正ルーチンは、必ずしも図3に描かれたものに限定されるものではない点に留意されたい。
【0045】
図3に示されるように、試料プローブ位置を求めるための較正ルーチンはブロック70を含み、ブロック70では、試料プローブが撮像システムの貯蔵容器プラットフォームに対して、より具体的には貯蔵容器プラットフォーム上に配置の貯蔵容器のウェルに対して、相対的な較正開始位置に位置させられる。このプロセスは、試料プローブ及び/又は貯蔵容器プラットフォームを移動させることを含むことができる。較正開始位置は、貯蔵容器又は貯蔵容器プラットフォームの何れかのx−y位置とすることができ、一般には所定の位置である。幾つかの場合において、較正開始位置は、システム内に配置された貯蔵容器のタイプに応じて決めることができる。更なる又は代替の実施形態において、較正開始位置は、貯蔵容器及び/又は貯蔵容器プラットフォーム上の位置合わせマーカを用いて決定することができる。何れの場合においても、試料プローブに連結されたモータは、ブロック72に示されるように、較正開始位置から設定されたステップ数を動いて、試料プローブを貯蔵容器のウェルに向かって下向きに駆動するよう命令される。モータに対しては、システムの仕様、及び貯蔵容器ウェル内の基準位置を識別するのに望ましい精度に応じて、単一ステップ又は複数ステップを含む幾つかのステップ数を動くよう命令することができる。モータに対し動くように命令した後及び/又はそれと同時に、較正ルーチンは、貯蔵容器ウェルに対する試料プローブの位置をモニタする1つ又は2つの方式を含むことができる。特に、較正ルーチンは、図3のブロック74−78を参照して以下でより詳細に説明するようにモータのステップロスをモニタすることを含むことができ、及び/又は図3のブロック80−86を参照して以下でより詳細に説明するように試料プローブと貯蔵容器プラットフォームとの間のキャパシタンスをモニタすることを含むことができる。
【0046】
ブロック74に示されるように、ステップロス検出プロセスは、モータに対して動くよう命令される個別のステップの数と、これに対するモータに接続されてモータの実際の物理的運動を測定するエンコーダからのフィードバックとをモニタすることを含む。ブロック76において、このような比較を用いて、プリセット数とエンコーダからのフィードバックとの間の差が所定の閾値よりも大きいか否かに関する判定がなされる。所定の閾値は、システムの仕様、及び貯蔵容器ウェル内の基準位置を識別するための望ましい精度に応じて、単一ステップ又は複数ステップを含む何れかのステップ数とすることができる。ブロック77及び78にそれぞれ示されるように、プリセット数とエンコーダからのフィードバックとの間の差が所定閾値よりも大きい場合には、ステップロスが検出され、逆に、この差が所定閾値よりも小さい場合には、ステップロスは検出されない。
【0047】
ステップロスの検出は一般に、試料プローブがウェルの底部又はウェル内に置かれた硬い物体のような硬いストップに当接したことに起因してそれ以上駆動できないことを示している。このようなプロセスは一般に、比較的耐久性のある材料(例えば、硬質ポリマー材料)で作られたウェルを有する貯蔵容器に好適であるが、比較的脆弱な材料(例えば、濾過紙材料)で作られたウェルを有する貯蔵容器の場合には問題を引き起こす可能性がある。特に、モータは、ウェルの底部への接触又はウェル内に置かれた硬い物体への接触の後に試料プローブを引き続き駆動するので、ステップロス検出プロセスは、比較的脆弱な材料で作られたウェルの損傷又は変形を生じやすい。より具体的には、試料プローブは、ステップロス検出プロセスの間にモータによって駆動されているときに、ウェルの材料を延伸し、ウェルの材料を薄くし、ウェルを突き通して穴をあけ、及び/又はウェル材料の破断を引き起こすことがある。従って、比較的脆弱な材料で作られたウェルを有する貯蔵容器を用いて作業する場合、ステップロス検出プロセスを避けることが有利な場合がある。
【0048】
比較的脆弱な材料で作られたウェルを有する貯蔵容器に対する損傷を避けることができる、試料プローブ位置を求める代替の方式は、試料プローブと貯蔵容器プラットフォームの間のキャパシタンスをモニタし、ウェルの底部から離間した試料プローブの位置を示すキャパシタンスを検出したときにモータに印加される駆動電流を除去することである。一般に、キャパシタンスは、試料プローブが貯蔵容器プラットフォームの近くに引き寄せられるにつれて増大する。従って、ウェル内の所望の基準位置(例えば、ウェルの底部から離間したある位置)を示す閾値を設定することができる。このような閾値は、モータに印加される駆動電流を停止して、プローブがウェルに損傷を与えるのを防ぐことができるようにするポイントとすることができる。しかしながらこのようなプロセスの欠点は、試料プローブ先端(すなわち、貯蔵容器プラットフォームに最も接近する試料プローブのポイント)の表面積が比較的小さくなる可能性があるので、キャパシタンスの増大は一般に漸次的で、大きさが極めて小さい場合がある点である。このようなキャパシタンスを正確に検出するように構成されたセンサは高価な場合があり、及び/又は実現不可能な場合もあり、従って、このような検出プロセスは、試料吸引用に構成されたシステムにおいては実施可能ではない可能性がある。
【0049】
このような問題を未然に防ぐために、本方法の修正形態は、貯蔵容器が貯蔵容器プラットフォーム内に配置される前に、該貯蔵容器のウェル内に導電性材料を配置することを含むことができる。貯蔵容器を貯蔵容器プラットフォーム内に配置した後、試料プローブと貯蔵容器プラットフォームとの間のキャパシタンスをモニタして、試料プローブと導電性材料との接触を検出することができる。特に、導電性材料をウェル内に配置することで、有利には、試料プローブとの接触時に試料プローブに関連する導電性領域を増大させるポイントをウェル内に設けることができ、これにより、試料プローブと貯蔵容器プラットフォームとの間のキャパシタンスの有意且つ即時的な増大が生じる。この劇的なキャパシタンスの増大を検出したときに、モータに印加される駆動電流を停止することができ、従って、ウェルに損傷を与えることなくウェル内の試料プローブの既知の位置を確立することができる。導電性材料によって提供されるウェルの底部の上方のスペース、並びにキャパシタンスの劇的な増大により、このようなプロセスの間にウェルが損傷を受けるのが防止される点に留意されたい。特に、導電性材料によって提供されるスペースは、試料プローブがウェルの底部を穿孔するのを防ぎ、キャパシタンスの劇的な増大は、試料プローブが導電性材料を押し続けてウェルに損傷を与えることがないように駆動電流を迅速に停止させるべきポイントを提供する。
【0050】
一般に、導電性材料は、固体又は流体の形態とすることができる。例えば、幾つかの実施形態において、導電性材料は、例えば塩水のような導電性流体を含むことができる。試料プローブは流体を通って貫通するが、ウェルの底部よりも上方ではウェルの変形を引き起こさないので、導電性流体はウェルの変形を阻止するのに有利とすることができる。しかしながら、導電性流体を用いることの欠点は、使用流体によっては、試料プローブ、ウェル、及び場合によっては貯蔵容器の他のウェルが汚染されるリスクがあることである。従って、代替の実施形態において、剛性材料及び本質的に展性の材料を含む導電性固体材料を用いることができる。貯蔵容器の他のウェルの汚染のリスクは、導電性固体材料を用いると軽減されるが、固体材料は、特に試料プローブに印加される駆動電流が固体材料の接触時にも即時には停止されない場合には、ウェルの変形がより生じ易い可能性がある。本質的に展性の材料(例えば、ゲル)は、試料プローブが下向きに駆動されたときに、当該圧力をウェルに伝達するのではなく変形可能であるので、変形に関する懸念を軽減することができる。使用する導電性材料のタイプの選択は、限定ではないが、貯蔵容器のウェルの材料及び構成を含む、幾つかの事柄に応じて決めることができ、従って、用途毎に異なる可能性がある。
【0051】
貯蔵容器のウェル内に配置された導電性材料を検出するためにキャパシタンスをモニタするプロセスの実施例が、図3のブロック80−86に示される。このようなプロセスは例示的なものであり、付加的又は代替のステップをこのようなプロセスに対して利用することができる点に留意されたい。ブロック80に示されるように、このプロセスは、試料プローブと貯蔵容器プラットフォームとの間のキャパシタンスを該試料プローブと貯蔵容器プラットフォームとの間に結合されたキャパシタンスセンサによってモニタすることを含む。幾つかの場合において、ブロック80に示されるモニタプロセスは、キャパシタンスを直接モニタ及び/又は測定することを含むことができる。しかしながら、他の実施形態において、ブロック80に示されるキャパシタンスのモニタプロセスは、これらに限定されないが、電流、電圧又は周波数など、キャパシタンスに比例する特性をモニタ及び/又は測定することを含むことができる。後者のような場合には、システムは一般に、キャパシタンスに対応する特性(例えば、電流、電圧又は周波数)を測定するアナログ−デジタル変換器を含む。
【0052】
一般に、キャパシタンスをモニタするための試料プローブ及び貯蔵容器プラットフォーム上の基準点は、これらの構成要素上に何れかの導電性特徴部を含むことができ、これには、試料プローブ及び貯蔵容器プラットフォームに固定取付けされた又は取り外し可能であるものが含まれる。例えば、幾つかの実施形態において、貯蔵容器プラットフォームは、場合によっては導電性ヒータを装備しており、その結果、このヒータは、幾つかの実施形態においてはキャパシタンス測定のための基準点としての役割を果たすことがある。或いは、貯蔵容器プラットフォームの支持ベースがキャパシタンス測定の基準点としての役割を果たすこともできる。何れの場合においても、キャパシタンスは、試料プローブの移動中又はその後でモニタすることができる。幾つかの場合においては、キャパシタンスは連続的にモニタすることができるが、他の場合においては、キャパシタンスは、モータが単一ステップ又は複数ステップを含む所定のステップ数を動いた後など、断続的にモニタすることができる。
【0053】
図3を再び参照すると、試料プローブと貯蔵容器プラットフォームの間のキャパシタンスをモニタした後、プロセスはブロック82に進み、そのブロック82で、所定の閾値よりも大きなキャパシタンスの変化が検出されているか否かに関して判定がなされる。ブロック82で参照される所定の閾値は一般に、システムの仕様及び貯蔵容器ウェル内の基準位置を識別するために望ましい精度に応じて選択することができ、従って、システム間で異なることができる。ブロック80を参照して上述したように、試料プローブと貯蔵容器プラットフォームとの間のキャパシタンスのモニタは、これらに限定されないが、電流、電圧又は周波数など、所与のキャパシタンス検出器からのキャパシタンスに比例する何れかの出力信号をモニタすることを含むことができる。このような場合、ブロック82において、出力信号の変化が所定の閾値よりも大きいかどうかについて判定が行われる。キャパシタンス検出器は、キャパシタンスを順方向又は逆方向の相関特性に変換するよう構成することができる点に留意されたい。例えば、電圧はキャパシタンスに逆相関するので、キャパシタンス検出器は、キャパシタンスが増大するにつれて電圧が減少することを示すことができる。しかしながら、代替の実施形態において、キャパシタンス検出器は、キャパシタンスの変化に正比例する電圧信号を出力することもできる。
【0054】
何れの場合においても、ブロック84及び86をそれぞれ参照すると、所定の閾値を超えた場合にはウェル内に配置された導電性材料が検出され、逆に、所定の閾値を超えない場合には導電性材料は検出されない。上述のように、ウェル内の導電性材料との接触は、試料プローブと貯蔵容器プラットフォームとの間のキャパシタンスの急激な増大(又は、キャパシタンス検出器からの電圧などの出力信号の急激な変化)により検出される。このようなポイントでは、プローブを更に下降させることによる貯蔵容器への損傷を防ぐために、モータを停止させることができる。
【0055】
上述のように、本明細書に記載の撮像システムは、好ましくは、異なるタイプのウェル用材料を有する貯蔵容器を含む、異なる構成の貯蔵容器を収容するように構成される。試料プローブの位置を求めるための上記のキャパシタンスモニタ方法は、脆弱な材料で作られたウェルを有する貯蔵容器に特に好適とすることができるが、本方法は、剛性材料で作られたウェルを有する貯蔵容器と共に用いることもできる。従って、キャパシタンスモニタ方法は、異なる材料のウェルを有する貯蔵容器に適合させることができる。その結果、幾つかの場合において、キャパシタンスモニタ方法を単独で用いて、貯蔵容器のウェルに対する試料プローブの位置を較正することができる。しかしながら、上記のキャパシタンスモニタ方法の欠点は、伝導性材料を貯蔵容器のウェル内に配置する時間及び動作にある。特に、このようなステップは、剛性材料で作られたウェルを有する貯蔵容器が用いられる場合には特に可能であればスキップすることが一般に有利である。
【0056】
貯蔵容器のウェルに対する試料プローブの位置を較正するためにキャパシタンスモニタ法のみを利用することに対する代替方法は、試料プローブ位置を較正するためにステップロス検出法及びキャパシタンスモニタ法の両方を利用することである。特に、本明細書に記載の撮像システムは、幾つかの実施形態において、試料プローブの移送の間又はその後に試料プローブと貯蔵容器プラットフォームとの間のキャパシタンスをモニタすること、並びに、モータが試料プローブを動かすステップ数と、これに対してモータに試料プローブを動かすように命令した設定ステップ数とをモニタすることの両方についてのプロセッサによって実行可能なプログラム命令を含む。このような場合、撮像システムは更に、キャパシタンスの変化が所定の閾値と等しいか又はそれを上回ることが検出されたとき、又はモータがプリセットされたステップ数を動いていない場合の試料プローブの位置を記録するプログラム命令を含む。
【0057】
図3は、ステップロス検出法及びキャパシタンスモニタ法の両方が試料プローブ位置の較正に用いられるケースを例示するために利用することもでき、又はステップロス検出法もしくはキャパシタンスモニタ法のどちらかを含むケースを例示するのに利用することもできる点に留意されたい。何れの場合においても、図3に描かれたプロセスは、ステップロス検出法及びキャパシタンスモニタ法の何れか又は両方が行った後、ブロック88に進むことができる。ブロック88において、ステップロスが検出されたか又は導電性材料が検出されたか否かについての判定がなされる。検出された場合、プロセスはブロック89に進み、試料プローブの位置を較正する。特に、ブロック89に関連付けられたプロセスは、キャパシタンスの変化が所定の閾値と等しいか又はそれを上回ったことが検出されたとき(例えば、試料プローブと貯蔵容器プラットフォームとの間のキャパシタンスに関連付けられた電圧の変化が所定の閾値と等しいか又はそれを上回ったことが検出されたとき)、或いは、モータがプリセットされたステップ数を動かなかったときに、現在の試料プローブの位置を基準位置として記録するプログラム命令を含むことができる。更に、ブロック89に関連付けられたプロセスは、基準位置に基づいて貯蔵容器のウェルから流体アッセイを取り出するための試料プローブの標的垂直方向位置を指定するプログラム命令を含むことができる。
【0058】
一般に、試料プローブの基準位置に対する、試料プローブの指定された標的の垂直方向位置の距離は、システムの仕様に応じて選択することができ、従って、システム間で異なることができる。しかしながら、指定された標的垂直方向位置の一般的な目的は、試料プローブがウェル内に収容されている試料を吸引できるようにすることであり、従って、指定された標的垂直方向位置は、好ましくは、ウェルの下半分においてウェルの底面の上方に間隔を置いて配置することができる。幾つかの場合において、標的垂直方向位置は、基準位置から、貯蔵容器プラットフォームから離れる方向に設定された距離の位置で指定することができる。このような状況は、試料プローブの基準位置がウェルの底部にある場合(すなわち、導電性材料がウェル内に配置されておらず、ステップロス法を用いて試料プローブの基準位置が求められる場合)に特に適用することができる。特に、試料を貯蔵容器のウェルから効果的に吸引するためには、試料プローブの開口部が塞がれないように、試料プローブをウェルの底面から離間させるのが一般に有利である。
【0059】
他の実施形態において、試料プローブの基準位置は、該試料プローブの標的垂直方向位置として指定することができる。このような状況は、試料プローブの基準位置がウェルの底部から離間している場合(すなわち、導電性材料がウェル内に配置され、キャパシタンスモニタ法又はステップロス法の何れかを用いて試料プローブの基準位置が求められる場合)に特に適用することができる。特に、導電性材料がウェル内に配置されている場合、導電性材料の検出は一般に、試料プローブの基準位置をウェルの底面の上方に設定することができ、幾つかの場合において、基準位置は、試料をウェルから吸引するのに好適とすることができる。しかしながら、他の場合において、標的垂直方向位置は、ウェル内の導電性材料が検出に基づいて記録された基準位置から離れた距離に指定することができる。このような場合、標的垂直方向位置は、記録された基準位置に対してウェルの底面から更に離れて又は近接して指定することができる。特に、導電性材料によってウェルの頂部にある基準位置が記録された場合、標的垂直方向位置をウェル内のより深い位置で且つウェルの底面より上方の位置に指定することが有利とすることができる。逆に、ウェルの底面に極めて近い基準位置が記録された場合、幾つかの実施形態において、標的垂直方向位置はウェルの底面から更に離れて指定することが有利とすることができる。
【0060】
ウェル内の試料プローブの基準位置を求めるためにキャパシタンス及びステップロスの両方がモニタされる場合には、本明細書に記載の撮像システムは、試料プローブの基準位置を設定するために2つの方法のうちのどちらが検出されたかに基づいて、基準位置からの距離が異なる標的垂直方向位置を選択的に指定するように構成することができる。より具体的には、撮像システムは、幾つかの実施形態において、所定の閾値と等しいか又はそれよりも大きいキャパシタンスの変化が検出されたか否か(或いは、所定の閾値と等しいか又はそれよりも大きい電圧のようなキャパシタンスに関連する出力信号の変化が検出されたか否かとして言い換えることができる)、又はモータが設定ステップ数を動かないことが検出されたか否かに基づいて、基準位置からの距離が異なる標的垂直方向位置を選択的に指定するプログラム命令を含むことができる。特に、上述のように、基準位置を求めるために用いられる方法に応じて、記録された基準位置からの距離が異なる標的垂直方向位置を指定することが有利とすることができ、従って、このような選択性を撮像システムのプログラム命令に与えることが有利とすることができる。
【0061】
本明細書に記載の撮像システムについての更なる実施形態は、モータが設定ステップ数だけ動かないことが検出されたときに(すなわち、ステップロス検出によって)、モータに印加にされる駆動電流を解除し、駆動電流の解除の後で且つ基準位置を記録する前に、設定時間量を一時停止するプログラム命令を含むものである。このような実施形態は、試料プローブがウェルの底面又はウェル内に配置された固体物質の何れかに接触したときに、貯蔵容器プラットフォームが試料プローブの力により屈曲する傾向があるシステムにおいて有利とすることができる。特に、貯蔵容器プラットフォームはこのような力で屈曲する傾向があり、試料プローブを移動させることができる深さを歪め、従って、試料プローブの基準位置を歪ませることができる。このような不正確さを避けるために、本明細書に記載の撮像システムは、試料プローブを動かすモータに印加される駆動電流を中断させ、その結果、貯蔵容器プラットフォームにかかる力を除去して、貯蔵容器プラットフォームを変形させてその正規の位置に戻すように構成することができる。変形のために特定の時間量を与えた後、試料プローブのより正確な基準位置を記録することができる。
【0062】
再び図3を参照すると、ブロック88でステップロスも所定の閾値を上回るキャパシタンスの変化(又は所定の閾値よりも大きい電圧変化)も何れも検出されなかった場合には、較正ルーチンは、ブロック72に戻り、プローブを新たな設定モータ・ステップ数だけ動かすようモータに命令する。モータ・ステップ数は、ブロック72を以前に通ったときの数と同じであっても、異なっていてもよい。その後、ルーチンは、キャパシタンス及び/又はモータが動かすステップ数のモニタを、ブロック80−86及び74−78でそれぞれ概説したようにして繰り返す。一般に、ブロック72、74−78及び/又は80−86において概説したプロセスは、標的垂直方向位置が指定されるまで、又はプロセスの所定数の反復が行われるまで繰り返される。
【0063】
本明細書に記載の撮像システムの更なる目的は、システムの流体フロースルーチャンバ内に実質的に均一に分散した粒子を導入し固定化することである。このような目的は、磁石と、その磁石を流体フロースルーチャンバの撮像領域に近接して選択的に位置決めする機構とを有する固定化システムの構成を含む、幾つかの方式で達成することができる。更に、流体フロースルーチャンバは、チャンバ内に導入される流体の実質的に均一な速度分布をもたらすような寸法及び幾何学的形状で構成することができる。更に、流体フロースルーチャンバの撮像領域の内側背部は、粒子を撮像領域内に固定化するのを助ける粗面を含むことができる。これらの構成の各々に関する仕様は、以下で詳細に説明する。本明細書に記載の撮像システムはこのような構成の何れか1つ又は組合せを含むことができ、従って、本明細書に記載の撮像システムは全ての構成を合わせた集成物に限定されるものではない点に留意されたい。
【0064】
チャンバ内に導入された流体の実質的に均一な速度分布をもたらすための例示的な設計を表す流体フロースルーチャンバ10の例示的な構成が図4に示される。更に、図4は、粒子の固定化を助けるための粗面を有する流体フロースルーチャンバ10の撮像領域の内側背部を示す。一般に、流体フロースルーチャンバ10は、支持構造部92内に配置された微小流体フロースルーチャネル90を含む。支持構造部92は、チャネル90を支持し、且つその中に固定化された粒子を撮像可能にするのに好適なあらゆる材料及び構成を含むことができる。特に、支持構造部92は一般に、チャネル90を支持するための支持ベースを含み、更にチャネル90の撮像領域94に至る光学的に透明な経路を提供することができる。幾つかの場合において、チャネル90は覆われていないことがある(すなわち、支持構造部92は、単にチャネル90を支持するための支持ベースを含むに過ぎない場合がある)。しかしながら、他の実施形態において、チャネル90は、撮像領域94の汚染を防止するため、及び/又は流体フロースルーチャンバ10内に導入された流体がチャンバから外部に溢れるのを防止するために密封されることが有利とすることができる。従って、支持構造部92は、幾つかの場合には、内部にチャネルが存在する支持ベースに加えてカバーも含むことができる。特定の実施形態において、支持構造部92は、それぞれカバー及び支持ベースに対応する、互いに融合された頂部スライド及び下部スライドを含むことができる。このような構成は、流体フロースルーチャンバ10の製造の観点において、チャネル90を支持ベース内に形成し、その後、支持ベースにカバーを融合することによってシールして、確実で安定した流体フロー構造をチャンバ10に提供される点で有利とすることができる。
【0065】
何れの場合においても、支持構造部92は単一の種類の材料又は複数の材料から構成することができる。幾つかの実施形態において、支持構造部92のカバー及び/又は支持ベースは、照明ビームがカバー又は支持ベースを透過して、チャネル内に固定化された粒子を撮像することができるように、特にチャネル90の撮像領域94の近傍において、光学的に透明な材料(限定ではないが、例えば、光学的に透明なガラス)を含むことができる。幾つかの場合において、少なくとも撮像領域94に対応する支持構造部92の背部は、光学サブシステム8の照明サブシステムによって放射される光の波長に関して無視できる反射率及び透過率をもたらすように構成することができる。例えば、少なくとも撮像領域94に対応する支持構造部92の背部は、光学サブシステム8の照明サブシステムによって放射される光の波長に関して無視できる反射率及び透過率をもたらすように構成されたコーティングで被覆することができる。他の実施形態において、少なくとも撮像領域94に対応する支持構造部92の背部は、光学サブシステム8の照明サブシステムによって放射される光の波長に関して無視できる反射率及び透過率をもたらすように構成された構造材料を含むことができる。本明細書において用いられる「構造材料」という用語は一般に、当該構造部又は構造部の部分のバルク構造を構成する材料を指すことができる。本明細書で用いられる語句「支持構造部92の背部」とは一般に、内部に固定化された粒子を撮像するために撮像領域94に照明ビームが与えられる側とは反対側の支持構造部92の側部を指すことができる。
【0066】
光学サブシステム8の照明サブシステムによって放射される光の波長に関して無視できる反射率及び透過率をもたらすコーティング又は構造材料の構成は、画像取得の際のバックグラウンドノイズを有意に且つ有利に低減する。特に、このようなコーティング又は構造材料がない場合、撮像プロセス中に撮像領域94内に固定化された粒子を通過した光は、粒子から反射された光と共に反射して戻り、粒子分析のために光学サブシステム8によって集められる光を歪ませる場合がある。図8を参照して以下で詳細に説明するように、光学サブシステム8は、チャンバ10の撮像領域94を撮像領域の平面に対して鋭角に照明するように構成された照明サブシステムを含む。更に、光学サブシステム8は、照明されたときに撮像領域94を撮像するように構成された感光検出サブシステムを含む。感光検出サブシステムは、撮像領域内に固定化された粒子から反射した光を集めるように構成され、従って、流体フロースルーチャンバ10に対して照明サブシステムと同じ側に配置される。後でより詳細に記載されるように、固定化サブシステム9は一般に、粒子を撮像領域94内に固定化できるように、流体フロースルーチャンバ10の他方の側の近傍において磁石を選択的に動かすように構成される。流体フロースルーチャンバ10の「他方の側」とは、本明細書では、流体フロースルーチャンバ10の背部のことを指し、支持構造部92の背部に対応する。このような支持構造部92の背部が光学的に透明又は半透明である場合には、撮像プロセス中に撮像領域94内に固定化された粒子を通過した光は、固定化サブシステム9の磁石を通過し、反射して感光性検出システムの検出器に戻り、粒子分析におけるバックグラウンドノイズを生じさせる可能性がある。しかしながら、支持構造部92の背部において上記のようなコーティング又は構造材料を含めることで、大部分は光が吸収され、このようなバックグラウンドノイズが有意に低減されることになる。
【0067】
一般に、無視できる反射率及び透過率をもたらすコーティング又は構造材料の構成は、光学サブシステム8によって放射される光の波長に依存し、従って、コーティング又は構造材料についての選択肢は、システム間で異なることができる。暗色のコーティング及び構造材料は、光の幾つかの波長に好適とすることができ、従って、支持構造部92の背部の優れた選択肢とすることができる。例示的なコーティングとしては、限定ではないが、黒色酸化クロム、黒色ペイント及び黒色エポキシが挙げられる。例示的な構造材料としては、限定ではないが、黒色エポキシ及び黒色石英が挙げられる。コーティング又は構造材料は、支持構造部92の内部又は外部に配置することができ、場合によっては、コーティング及び/又は構造材料は両面を構成することができる。幾つかの場合には、コーティング又は構造材料を支持構造部92の内部に配置することは、以下で詳細に説明するように、有利には、撮像に適した粒子の分布を促進するように撮像領域94に特定の粗度を与えるのを助けることができる。しかしながら、支持構造部の内部に配置されたコーティングは、移動する流体及び粒子に曝されることに起因して、特に浸食の影響を受けやすい場合がある。支持構造部の再コーティング及び/又は置換をしなければならない事態を避けるために、支持構造部の外側表面に付加的に又は代替的にコーティングを使用するか、及び/又は支持構造部の背部に構造材料を利用することが有利とすることができる。
【0068】
幾つかの場合において、照明サブシステムによって放射される光の波長に関して無視できる反射率及び透過率をもたらすために支持構造部の背部にコーティングを利用することは、光学的に透明及び/又は半透明な背部を有する支持構造部に対して有利とすることができる。例えば、上側スライド及び下側スライドを互いに融合して支持構造部92が作成される上記の構成において、特にこのようなスライドが同じ光学的に透明な材料で作られる場合、有利には、支持構造部の背部の内部又は外部をコーティングする(すなわち、スライドを互いに融合する前又は後で)ことが有利とすることができる。付加的又は代替的に、支持構造部の背部にコーティングを利用することは、光学的に透明及び/又は半透明の背部を有する支持構造部を改造するのに有利とすることができる。他の場合において、照明サブシステムによって放射される光の波長に関して無視できる反射率及び透過率をもたらすために支持構造部の背部に構造材料を利用することは、構造材料が浸食の影響を受けにくい場合があり、従って、このような選択肢では保守管理の必要性が少ない場合があるので、有利とすることができる。
【0069】
上述のように、撮像領域94の内側背部は、撮像領域内に粒子を固定化するのを助ける粗面を含むことができる。本明細書で用いられる語句「撮像領域94の内側背部」は一般に、チャネル90に対して内部にあり粒子がその上に固定化される撮像領域94の部分を指すことができる。以下に記載するように、このような内側背部は撮像領域94の背側に対応し、該撮像領域94の背側とは、磁石が流体フロースルーチャンバ10に近接したときに磁石100に隣接する撮像領域94の側部のことを指す。別の言い方をすれば、撮像領域94の背側は、内部に固定化された粒子を撮像するために撮像領域94に照明ビームが当てられる流体フロースルーチャンバ10の側とは反対側であり、本明細書では「撮像領域94の前側」と呼ばれることがある。本明細書に記載のシステムは、固定化システムが流体フロースルーチャンバ10の下側に位置付けられる(例えば図8参照)ように構成することができ、従って、「撮像領域94の背部」は、幾つかの実施形態において撮像領域の「フロア」と呼ばれることがある点に留意されたい。しかしながら、本明細書に記載のシステムは、必ずしもそのように限定されず、代替的に、流体フロースルーチャンバ10の上側に位置付けられる固定化システム(及びチャンバの下側に位置付けられる光学サブシステム)を有することができる。更に他の実施形態において、流体フロースルーチャンバ10は横向きに位置付けることができる(例えば図1参照)。
【0070】
最適には、撮像領域94の背部に沿った表面粗度は、粒子を固定化システムの磁石によって撮像領域のフロアに接触させたときに、該粒子が撮像領域94の背部に沿って摺動するのを防ぐのに十分である。このような表面粗度がないと、粒子は撮像領域の背部に沿って摺動する傾向があり、撮像領域の下方端部流域において粒子のクラスター化を引き起こす可能性がある。一般に、粒子の近傍は測定可能な反射を誘起する場合があり、更にクラスターから集められる光は一般に粒子毎に区分するのが困難であるので、粒子のクラスター化は望ましくない。利用される表面粗度は粒子が撮像領域94の背部に沿って摺動するのを防ぐのに十分なものとすることができるが、表面粗度は、全ての固定化された粒子が同じ撮像平面上に確実に入るように、撮像領域フロアのレベルに影響を及ぼすべきではない点に留意されたい。粒子の摺動を防ぐのに好適であることが示された撮像領域94の背部についての表面粗度の例示的な範囲は、約0.4ミクロン二乗平均と約1.0ミクロン二乗平均との間であり、より好ましくは約0.6ミクロン二乗平均と約0.8ミクロン二乗平均との間である。しかしながら、限定ではないが、流体の流量、粒径、及び固定化システムで利用される磁石の強度を含む、幾つかの事柄に応じて、表面粗度のより小さい又はより大きい大きさを利用してもよい。
【0071】
表面粗度は、例えば、支持構造部92内のチャネル90、又はより具体的には撮像領域94をエッチング(例えばマイクロブラスチング)するなど、チャネル90を特定の表面粗度をもたらす方法で製作することを含む、幾つかの方法で製作することができる。或いは、チャネル90、又はより具体的には撮像領域94は、撮像領域94の背部に沿って粒子が摺動するのを防ぐのに十分な表面粗度を有する材料から製作することができる。更に他の実施形態において、チャネル90、又はより具体的には撮像領域94は、撮像領域94の背部に沿って粒子が摺動するのを防ぐのに十分な表面粗度を与える要素を有するコーティングで被覆することができる。上述のように、幾つかの実施形態において、撮像領域94のフロア上に表面粗度を与えるのに用いられる材料は更に、光学サブシステム8の照明サブシステムによって放射される光の波長に関して無視できる反射率及び透過率をもたらす役割を果たすことができる。何れの場合においても、チャネル90が密封された(すなわち支持構造部92がカバーを含む)実施形態においては、撮像領域94の前側の内面及び外面は両方とも実質的に平滑な表面を含む(例えば、約0.025ミクロン二乗平均又はこれ未満の表面粗度を有する)点に留意されたい。平滑面は一般に、歪みが少ないか全くない画像を得ることができるので有利である。
【0072】
図4に示されるように、チャネル90は、流体アッセイを、撮像領域94中に導入する入口チャネル96、該撮像領域94から排出する出口チャネル98を、それぞれ含むことができる。更に、チャネル90は、流体アッセイを流体フロースルーチャンバ10に受け入れ、そして該流体フロースルーチャンバ10から排出するための、チャネル96及び98にそれぞれ連結された入口ポート及び出口ポートを含むことができる。入口及び出口ポートは支持構造部92の下側に図示されているが、流体フロースルーチャンバ10は必ずしもそのように限定されるものではない。上述のように、流体フロースルーチャンバ10、より具体的にはチャネル90は、チャンバ内に導入される流体の実質的に均一な速度分布をもたらすような寸法及び幾何学的形状で構成することができる。特に、図4に示されるように、入口チャネル96及び出口チャネル98のチャネル幅は、撮像領域94の幅に対してテーパを付けることができる。このようなテーパ付けは一般に、チャネル90を通って導入される流体アッセイの均一な速度分布を生成するのを助けることができる。特に、チャネル90内に導入される流体アッセイは、チャネルを通って流れるにつれて徐々に分散され、流体の実質的に均一な速度分布を生成することができ、その結果、全体的に粒子を特に撮像領域94内により均一な方法で分布させることができる。幾つかの場合において、チャネル90は、該チャネル90内での流体アッセイの均一な速度分布を更に促進するために、丸みのある縁部を有することができる。特に、丸みのある縁部は、チャネル90内の流体流を望ましくない乱れを生じさせる場合がある、望ましくないチャネル90内の渦流の可能性を低減又は排除することができる。
【0073】
一般に、チャネル90の寸法は、システムの設計仕様及び動作条件に応じて異なることができる。入口及び出口ポートにおけるチャネル96及び98の例示的な幅は、それぞれ、約0.5mmとすることができ、撮像領域94において徐々に4mmまで拡がり、又は4mmから狭くなることができる。撮像領域94の幅は一般に変化しないものとすることができる。入口/出口ポート、チャネル96及び98、及び撮像領域94に対して、より狭い幅又はより広い幅を考慮することもできる。チャネル90の深さは、システム間で変えることもできるが、一般に撮像される粒子の幅よりも大きくすることができ、試料を吸引するのに用いられる試料プローブがフィルタを含む幾つかの場合には、チャネルの深さは、フィルタ孔の幅よりも大きくすることができる。チャネル90内の均一な速度分布を促進するのを助けるために、チャネルの深さを、限定ではないが約800ミクロン未満に制限することが有利な場合がある。本明細書に記載の撮像システムに特に好適なものとすることができるチャネル90の例示的な深さの範囲は、約200ミクロンと約600ミクロンとの間とすることできるが、より浅い及びより深い深さを考慮してもよい。均一な速度分布を生成するためのチャネルの幾何学的形状の構成は、チャネル90内の流体の体積流量に依存し、一般に、粒子をチャネル内に導入するためには8μl/秒と12μl/秒との間の範囲とすることができ、チャンバのクリーニングのためには最大で約250μl/秒まで増大させることができる。しかしながら、より小さい又はより大きい体積流量を用いることもできる。
【0074】
試料を流体フロースルーチャンバ10に装填するために流体処理サブシステム6を動作させる2つの主要モード、すなわち試料洗浄ありの装填手順と試料洗浄なしの装填手順とがある。図1を参照すると、試料洗浄なしの装填手順は、一般に以下のように行われる。
【0075】
システムのクリーニング
1)容器22からポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
2)駆動溶液を装填する。
3)試料ループ16にポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
4)チャンバ10にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
5)磁石をチャンバ10から離す方向に動かす。
6)駆動溶液をチャンバに通してポンプ輸送し、チャンバ10をクリーニングする。
7)プローブ15にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
8)駆動溶液をプローブ15に通してポンプ輸送し、プローブをクリーニングする。
【0076】
試料の装填
1)容器22からポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
2)駆動溶液を装填する。
3)試料ループ16にポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
4)プローブ15からポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
5)プローブ15を試料ウェル12に降下させる。
6)試料を試料ループ16内に装填する。
7)プローブ15を上昇させ、空気が試料弁18にあり、試料全体が試料ループ16内に入るまで吸引する。
8)チャンバ10にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
9)磁石をチャンバ10に向かって動かす。
10)試料を試料ループ16からチャンバ10内へポンプ輸送し、磁気ビーズを捕捉する。
11)固定化された試料の画像を撮影する。
【0077】
システムのクリーニング
1)容器22からポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
2)駆動溶液を装填する。
3)試料ループ16にポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
4)チャンバ10にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
5)磁石をチャンバ10から離す方向に動かす。
6)駆動溶液をチャンバに通してポンプ輸送し、チャンバ10をクリーニングする。
7)プローブ15にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
8)駆動溶液をプローブ15に通してポンプ輸送し、プローブをクリーニングする。
【0078】
試料洗浄ありの装填手順は一般に以下のように行われる。
【0079】
システムのクリーニング
1)容器22からポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
2)駆動溶液を装填する。
3)試料ループ16にポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
4)チャンバ10にポンプ輸送するよう試料弁を位置付ける。
5)磁石をチャンバ10から離す方向に動かす。
6)駆動溶液をチャンバに通してポンプ輸送し、チャンバ10をクリーニングする。
7)プローブ15にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
8)駆動溶液をプローブ15に通してポンプ輸送し、プローブをクリーニングする。
【0080】
洗浄溶液の事前装填
1)容器22からポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
2)駆動溶液を装填する。
3)試料ループ16にポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
4)チャンバ10にポンプ輸送するよう試料弁を位置付ける。
5)洗浄溶液をチャンバに通してポンプ輸送する。
6)プローブ15にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
7)洗浄溶液をプローブ15に通してポンプ輸送する(試料ループ16及びプローブ15は洗浄溶液で事前装填される)
【0081】
試料の装填
1)容器22からポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
2)駆動溶液を装填する。
3)試料ループ16にポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
4)プローブ15からポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
5)プローブ15を試料ウェル12に降下させる。
6)試料を試料ループ16内に装填する。
7)プローブ15を上昇させ、空気が試料弁18にあり、試料全体が試料ループ16内に入るまで吸引する。
8)チャンバ10にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
9)磁石をチャンバ10に向かって動かす。
10)試料を試料ループ16からチャンバ10内へポンプ輸送し、磁気ビーズを捕捉する。
11)試料ループ16内で試料の後ろにある洗浄溶液を捕捉された磁気ビーズの上にポンプ輸送し、ビーズを「洗浄」する。
12)固定化された試料の画像を撮影する。
【0082】
システムのクリーニング
1)容器22からポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
2)駆動溶液を装填する。
3)試料ループ16にポンプ輸送するようポンプ弁20を位置付ける。
4)チャンバ10にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
5)磁石をチャンバ10から離す方向に動かす。
6)駆動溶液をチャンバに通してポンプ輸送し、チャンバ10をクリーニングする。
7)プローブ15にポンプ輸送するよう試料弁18を位置付ける。
8)駆動溶液をプローブ15に通してポンプ輸送し、プローブをクリーニングする。
【0083】
フローサイトメータとは異なり、本発明のシステムは、ビーズを取り巻く流体を省き、これにより遊離蛍光色素を洗い流す能力を提供する。このことは、ビーズが、基材に磁気的に付着され(磁石がチャンバの背後に接触しているとき)、新たに「新鮮な」流体プラグがチャンバ内に注入されることによって蛍光色素を含んだ液体を置き換える場合でもそのまま残存するので可能である。処理を簡便にするために、一部のアッセイは、この最終洗浄ステップを実施せず、その結果、外来のフルオロフォアが励起し、ビーズ由来のアッセイ応答を測定するときに「バックグラウンド」信号が増大することになる。しかしながら、これらの洗浄なしアッセイは、洗浄アッセイよりも検出限界が不十分である。従って、幾つかの事例では、ビーズの表面に結合されていない蛍光色素を周囲溶液から除去するために試料を「洗浄する」、上記で詳細に説明した第2の装填手順を用いることが有利であることが見出される場合がある。
【0084】
磁気粒子を捕捉し撮像すると、次のステップは、磁気粒子の新たなセットを流し入れ、捕捉し、撮像することができるように、これらをチャンバから除去することである。幾つかの実施形態において、粒子を撮像領域94内に固定化するのに用いた磁場を解除して固定化した粒子が撮像領域の表面から解放されるようにする(例えば、磁石を撮像領域から離れる方向に動かすことによる)ことによって、粒子を流体フロースルーチャンバ10から除去することができる。このような解放プロセスの後又はその間に、気泡をチャンバに流し、解放された粒子がチャンバから除去されるようにすることができる。このようなプロセスの中間段階を図5に示す。特に、図5は、撮像領域94内の気泡97が粒子に接触し、該気泡がチャネル90を横切ってチャネル96及び98に連結された入口/出口ポート間を進むにつれて該粒子を同伴して押し進めることを示している。
【0085】
幾つかの場合において、気泡97は、チャンバを移動すると同時に、チャネル90の断面積にわたるのに十分なサイズである。このようにして、気泡は、チャネル90の全ての側部の流体を置き換えるのに十分な大きさとすることができ、その結果、チャネルの表面積全体に及ぶ気液界面を形成するようになる。一般に、気液界面は、比較的高い表面張力を有するので、気泡97がチャネル90を通って移動するときに、通過時に粒子をチャネルの外に一掃するプランジャのように機能するようになる。従って、上記の装填手順において、粒子を撮像した後のチャンバのクリーニングは、撮像実施後のシステム・クリーニングルーチンにおけるステップ5が行われた後、及び任意選択的にチャンバに駆動溶液を流した後で、流体フロースルーチャンバ10を通して気泡を流すことを含むことができる。何れの場合においても、気泡97は、限定ではないが、空気又は窒素を含む、実質的に何らかの不活性ガスを含むことができる。
【0086】
上述のように、本明細書に記載の撮像システム用の固定化システムは、磁石と、該磁石を流体フロースルーチャンバの撮像領域に近接して選択的に位置決めする機構とを含むことができる。図6を参照すると、このような構成要素を含む固定化サブシステム9の例示的な構成が概略的に図示されている。特に、図6において、光学サブシステム8とは反対側の流体フロースルーチャンバ10の側に位置付けられた固定化サブシステム9が示されている。図6には、図面を簡素化するために光学サブシステム8が示されていないが、光学サブシステム8及び固定化サブシステム9の流体フロースルーチャンバ10に対する相対的な配置が図8に示されている点に留意されたい。更に、図6における流体フロースルーチャンバ10の描写は、チャネル90の側方から見た図であり、入口チャネル96が底部に、出口チャネル98が頂部に描かれており、流体の流れの方向を示している。
【0087】
図6に描かれているように、固定化サブシステム9は、磁石100と、該磁石100を流体フロースルーチャンバ10の撮像領域94に近接して選択的に位置決めするための機構102とを含むことができる。図6には単一の磁石が示されているが、固定化サブシステム9は、1つよりも多くの磁石を含むことができ、その各々は、光学サブシステム8とは反対の側の流体フロースルーチャンバ10の側部に近接して位置付けられる点に留意されたい。更に、磁石100は円筒形磁石として示されているが、磁石100は異なる寸法構成であってもよい。更に、機構102の構成は、図6に示されているものに対して変えることができる点に留意されたい。特に、磁石100を流体フロースルーチャンバ10の方向に及びこれから離れる方向に動かするための代替の機構も考慮することができ、これには、以下でより詳細に説明するような表面に垂直な平面に沿ってではなく、流体フロースルーチャンバ10の隣接する表面に平行な平面に沿った方向で磁石を動かす機構が含まれる。
【0088】
一般に、磁石100は、永久磁石(例えば、円筒軸に沿って分極したネオジムN42円筒形磁石)のような当該技術分野で公知の磁石とすることができ、磁気応答性粒子を流体フロースルーチャンバ10の撮像領域94の表面に沿って引きつけて実質的に固定化するのに好適な磁場を発生させるように構成することができる。例えば、磁石100は一般に、粒子がチャネル96及び98内に固定化されるのを防ぐことができるように、撮像領域94の撮像平面と等しい、又は同様の、もしくはそれよりも小さい断面寸法(撮像領域94の撮像面に対して平行な平面に沿って見た)を有することができる。更に、磁石100によって発生される磁場の強度は、撮像システムの設計特性に応じて変わることができるが、一般には、粒子のクラスター化を引き起こすことなく磁気応答性粒子を撮像領域94の撮像面に向かって引き寄せるのに十分な強度とすることができる。特に、磁石100の強度は、粒子が、磁石100に隣接する撮像領域94の表面に引きつけられて、分散した状態で固定化されるように選択されるのが好ましい。
【0089】
図4を参照して上で説明したように、実質的に均一な速度分布の流体がその中を通るように誘起する流体フロースルーチャンバ10のチャンネル90の構成に起因して、チャンバ内に導入される水溶液中に懸濁された粒子は、撮像領域94に近づくにつれてチャネル全体にわたって一様に分布することができる。磁気応答性粒子が磁石100によって発生した磁場を通って流れると、粒子は、磁石に向かって撮像領域94の撮像面に引き寄せられて所定位置に保持される。図4を参照して上記で更に詳細に説明されたように、粒子の固定化は、幾つかの実施形態において、印加磁場と撮像領域の粗面との組合せを伴うことができる。
【0090】
機構102は一般に、磁石100を流体フロースルーチャンバ10の撮像領域94に向かって、及び該撮像領域94から離れる方向に選択的に移動させるための何らかの構成を含むことができる。より具体的には、機構102は、磁石100をアクティブ位置(すなわち、磁石100によって生じた磁場に基づいて磁気応答性粒子を撮像領域の表面に対して引きつけて実質的に固定化するのに十分に撮像領域94に近接した位置)と、非アクティブ位置(すなわち、磁石100によって生じた磁場に基づいて粒子を撮像面から解放するのに十分に撮像領域94から離れた位置)との間で移動させるための何らかの構成を含むことができる。図6に示されるように、機構102は、磁石100のこのような移動をもたらすリニア・アクチュエータ104(例えば、スライド)を含むことができるが、物体を移動させる当該技術分野で公知の他のアクチュエータを用いてもよい。
【0091】
何れの場合においても、機構102は、幾つかの実施形態において、磁石が撮像領域94に近接して位置付けられたときに該磁石100が流体フロースルーチャンバ10と接触するのを防ぐように構成することができる。例えば、機構102は、図6に示されるように、磁石100が流体フロースルーチャンバ10の近傍に移動したときにリニア・アクチュエータ104の動きを停止するために、流体ライン・ハウジング109内にハードストップ106を含むことができる。代替の実施形態において、機構102は、磁石100の経路に沿って流体フロースルーチャンバ10から短い距離だけ離間したハードストップを含むことができ、磁石100がチャンバの近傍に移動したときに、該磁石100の動きを停止できるようにする。このような実施形態におけるハードストップ106の流体フロースルーチャンバ10に対する間隔は、システム毎に異なることができるが、一般には、約1.0mmよりも小さいか又はそれに等しく、好ましくは約0.3mmと約0.7mmとの間とすることができる。何れの場合においても、磁石100が流体フロースルーチャンバ10と接触できるようにすることで、特に反復動作によってチャンバに損傷を生じさせる可能性があり、従って、機構102内にこのような接触を防止する構成を組み込むことは有利とすることができる。
【0092】
幾つかの実施形態において、機構102は、磁石100が撮像領域に近接して位置付けられたときに磁石100の分極軸が撮像領域94の中心点と位置合わせされるように磁石100を位置決めするよう構成することができる。他の事例において、以下でより詳細に説明され且つ図6に示されるように、機構102は、磁石が撮像領域に近接して位置付けされたときに分極軸108が撮像領域94の中心点110に対して下流側に配置されるように、磁石100を位置付けることが有利とすることができる。このような実施形態において、磁石100は一般に、撮像領域94の撮像平面と等しい、又は同様である、もしくはそれよりも小さい断面寸法を有するので、機構102は更に、磁石を撮像領域に近接して位置付けたときに磁石の前縁112が撮像領域94の前縁114に対して下流側に配置されるように構成することができる。一般に、本明細書で用いられる「前縁」という用語は、特にシステム内の流体の流れの方向に関して、システム内の別の構成要素領域に対するある構成要素又は領域の最も先頭の縁部を指すことができる。例えば、本明細書で用いられる磁石100及び撮像領域94の前縁に関する言及は、流体フロースルーチャンバ10のチャネル90の入口チャネル96に対する磁石100及び撮像領域94の最も先頭の縁部のことを指すことができる。何れの場合においても、撮像領域94の中心点に対する磁石100の特定のオフセットした空間位置は、システムの設計特性及び動作パラメータ(例えば、磁石のサイズ、及び流体が流体フロースルーチャンバを通してポンプで送られる流量)に応じて、システム毎に異なることができる。
【0093】
予想されることとは反対に、磁石100の分極軸108と撮像領域94の中心点110との共位置合わせでは、磁力線は磁石自体よりも広い表面積にわたって延びるので、撮像領域94内の粒子の最適な分布は生じない。その結果、チャンバを通って流れる粒子は、撮像領域94に到達する前に磁石の磁場による影響を受け始める。しかしながら、磁石の分極軸を撮像領域の中心点に対して下流側にオフセットさせること、及び磁石の前縁を撮像領域の前縁の下流側に離間させることでこのような問題に有利に対処することができ、撮像領域内でのより多数の粒子の固定化促進の助けとなり得ることが、本明細書に記載のシステムを開発する間に発見された。
【0094】
幾つかの実施形態において、磁石100が流体フロースルーチャンバ10の近傍に移動する目的とする位置は予め定めることができ(すなわち、磁石100をチャンバの近傍に持ち込むときの磁石100と流体フロースルーチャンバ10との間の間隔を予め定めることができる)、幾つかの場合には、較正ルーチンによって設定することができる。例示的な較正ルーチンを図7に示す。後で更に詳細に説明するように、このようなルーチンを実施するために機構102は、流体フロースルーチャンバ10の近くに装着されたホール効果センサのような磁場強度センサ105を含むことができる。更に、システムは、このルーチンを行うため、具体的には機構102を用いて流体フロースルーチャンバ10の撮像領域94に近接して磁石を選択的に移動させる磁石100の位置を較正する、プロセッサによって実行可能なプログラム命令を含むことができる。図7のブロック120、122及び124に示されるように、較正ルーチンは、モータを駆動して磁石を流体フロースルーチャンバの撮像領域に向かって移動させることを含むことができ、磁石が撮像領域に向かって移動している間に、磁場強度センサの出力電圧を測定しバッファ内に格納することができる。バッファは、限定ではないが、サーキュラーバッファを含む当該技術分野で公知の何れかの較正を含むことができる。このようなプロセスステップについて図6を参照すると、リニア・アクチュエータ104が磁石100を流体フロースルーチャンバ10に向かって並進させると、磁場強度センサ105の電圧出力は、磁石の極性に応じて増大又は減少する。
【0095】
磁石がハードストップ106に到達すると、磁場強度センサ105の電圧出力は一定になる。従って、較正ルーチンは、図7のブロック126に示されるように、磁場強度センサによる出力電圧の無視できる変化を検出したときにモータを停止することを含む。このようなポイントにおいて、ブロック128に示すように、格納された出力電圧のうちの1つは、流体フロースルーチャンバ10の撮像領域94の近傍への磁石の選択的移動に到達させる機構102の基準電圧として指定することができる。一般に、格納された出力電圧のうちの何れかを基準電圧として指定することもできるが、ブロック126で検出された電圧の無視できる変化に関連する電圧とは異なる電圧を指定する(すなわち、磁石がハードストップ106に到達する前に測定された電圧を指定する)ことが特に有利とすることができる。特に、磁石100が流体フロースルーチャンバ10の近傍に移動される位置をハードストップ106から離間するように較正し、磁石100又は機構102がシステムの動作中にハードストップ106と繰り返し接触しないようにすることが有利とすることができる。特に、磁石100又は機構102をハードストップ106と繰り返し接触可能にすると、磁石、機構及び/又はハードストップに対して損傷を生じる可能性がある。
【0096】
磁石100を流体フロースルーチャンバ10の近傍に移動させる位置を較正するための代替的な方法は、ブロック126を参照して電圧の無視できる変化が検出された後に、流体フロースルーチャンバの撮像領域から離れる方向に所定のモータ・ステップ数だけ磁石を駆動させることである。より具体的には、モータを所定のモータ・ステップ数だけ駆動させて、磁石をチャンバの撮像領域から離れる方向に動かすことができる。上述のように、ハードストップ106は、流体フロースルーチャンバ10に対して所定の位置にあり、従って、磁石100の位置を較正する基準位置として用いることができる。所定のモータ・ステップ数は、システムの仕様に応じて、単一ステップ又は複数ステップを含めてあらゆるステップ数とすることができる。磁石を所定のモータ・ステップ数だけ動かした後、磁場強度センサの出力電圧を測定し、測定した出力電圧は、流体フロースルーチャンバの撮像領域の近傍への磁石の選択的移動に到達させる機構の基準電圧として指定することができる。このようなルーチンは、格納された出力電圧の取り出しに依存しないので、従って、幾つかの実施形態において、図7のブロック124で概説したプロセスは、磁石を駆動して所定のモータ・ステップ数だけ戻すことを含む較正ルーチンから省くことができる。
【0097】
利用される較正ルーチンに関係なく、本明細書に記載のシステムは、流体フロースルーチャンバ10の撮像領域94に近接する位置に関連付けられた基準電圧(例えば、上記の較正ルーチンのうちの何れかによって指定された基準電圧)に対して磁石100の移動を停止させるように機構102に命令する自動化ルーチン(すなわちプロセッサによって実行可能なプログラム命令)を含むことができる。幾つかの場合において、機構102に磁石100の移動を停止させるように命令する自動化ルーチンは、機構のモータを駆動させて磁石100を流体フロースルーチャンバ10の撮像領域94に向かって移動させ、磁石が移動している間、磁場強度センサの出力電圧をモニタし、基準電圧を検出するとモータを停止させることを含むことができる。
【0098】
他の実施形態において、機構102に磁石100の移動を停止させるように命令する自動化ルーチンは、機構のモータを所定のステップ数だけ駆動させて磁石を流体フロースルーチャンバの撮像領域に向かって移動させ、モータが所定のステップ数だけ動いた後に、磁場強度センサの出力電圧を測定することを含むことができる。測定された出力電圧と基準電圧との差が所定の閾値未満であることが検出されると、機構102を駆動させるモータを停止させることができる。反対に、測定出力電圧と基準電圧との差が所定の閾値よりも大きいことが検出されると、修正動作を実施することができる。修正動作は、限定ではないが、試料ランを停止すること、又は測定出力電圧と基準電圧との差が所定の閾値未満になるまでモータをプリセットされたステップ数だけ繰り返し駆動させることを含む、様々な動作を含むことができる。何れの場合においても、所定の閾値は一般に、システムの仕様及び磁石を指定された基準位置に対して移動させるための望ましい精度に基づくものとすることができ、従って、システム毎に異なることができる。
【0099】
測定デバイスによる信号取得の後、磁場を除去することができ(磁石を非アクティブ位置に移動させることによる)、粒子は、上記のチャンバクリーニングルーチン及び図5を参照して説明したような気泡の導入を用いて、流体フロースルーチャンバ10から除去することができ、その後、次の試料からチャンバ内に新たな粒子を導入することができる。本明細書に記載の何れかの実施形態を用いて、流体フロースルーチャンバ10内の粒子を除去することができ、粒子をチャンバに導入することもできる。
【0100】
概略的に言えば、図1−図14を参照して説明される撮像システムの動作方法は、関心のある検体をビーズ集団に曝露して試料を作製することを含み、この試料は図1に示されるように試料貯蔵容器12に貯蔵される。試料は、例えば、上記の試料処理ステップを用いて流体フロースルーチャンバ10内に装填される。試料は、機構102の選択的な動作によって流体フロースルーチャンバ10内で固定化される。任意選択的に、固定化された試料を洗浄し、外来の蛍光色素を除去することができる。試料がチャンバ10内に固定化された状態では、照明モジュールを動作して試料を励起させる。感光検出器が画像を取り込み、該画像を処理する(例えば、引用により本明細書に全体的に記載されるかのように組み込まれる、Rothによる、2005年9月21日に出願された「Method and Systems for Image Data Processing」という名称の米国特許出願番号第60/719,010号を参照されたい)。画像取得後、機構102は、磁石100をチャンバ10から離れる方向に移動させることによって粒子を解放し、チャンバはクリーニングされる。
【0101】
上述のように、図8は、光学サブシステム8のための構成要素の例示的な較正を示す。図8に描かれたシステムは、光源132及び134(及び必要に応じて追加の光源)を含み、これらは、異なる波長又は異なる波長帯を有する光を放射するように構成される(例えば、光源のうちの1つは赤色光を放射するように構成することができ、他方の光源は緑色光を放射するように構成することができる)。光源132及び134によって放射される光は、例えば、可視及び非可視波長のスペクトルのうちの何れかの部分の光を含むこともできる。光源132及び134は、発光ダイオード(LED)又は当該技術分野で公知の何れかの他の適切な光源を含むことができる。光源132及び134は、流体フロースルーチャンバ10の周縁部の上方に配置される。更に、光源は、各光源が流体フロースルーチャンバ10内の粒子に対して異なる方向から光を配向することができるように、チャンバの上方に配置される。図8に示されるシステムは2つの光源を含むが、システムは任意の適切な数の光源を含むことができる点を理解されたい。幾つかの実施形態において、6つの光源(132、134及び4つの追加光源(図示せず))は、撮像平面上に光を配向するように円周形又は六角形の配置で位置付けることができる。このようにして、照明「リング」を提供するように光源を構成することができる。
【0102】
システムは、フィルタ136及び138も含む。フィルタ136及び138は、帯域通過フィルタ又は当該技術分野で公知の他の何れかの適切なスペクトルフィルタとすることができる。このようにして、システムは、光源132及び134並びにフィルタ136及び138を用いて、粒子を異なる波長又は異なる波長帯の光で逐次的に照明することができる。例えば、赤色光を用いて、粒子の内部に存在し得る分類染料を励起することができ、緑色光を用いて、粒子の表面に結合したレポーター分子を励起することができる。分類用照明はレポーター測定の間は暗くされているので(すなわち、上記の例では、緑色光が粒子に配向されている間、赤色光は粒子に配向されない)、システムの検体測定感度は、帯域光以外からのクロストークに起因して低減されることはない。図8に示されるシステムは、各光源に関連付けられた2つのレンズを含むが、システムは、各光源にあらゆる好適な数のレンズを含むことができる点を理解されたい。例えば、幾つかの実施形態において、システムは、光源から出る光をできる限り多く集光し、この光をフィルタに提示する前に準コリメートするように、各光源に3つの屈折レンズを含むことができる。単一の正常屈折レンズを用いることができるが、集光角を大きくし、より効率的な照明システムを提供するためには2つ又はそれ以上のレンズが有利とすることができる。
【0103】
図8に示されるように、システムはまた、照明「リング」の中心(又はほぼ中心)に位置付けされた撮像レンズ140を含む。撮像レンズ140は、当該技術分野で公知の何れかの適切な反射光学素子を含むことができる。撮像レンズ140は、粒子からの散乱された光及び/又は蛍光を発した光を、以下で検討するように光学帯域通過フィルタを含むことができる1つ又はそれ以上の光学素子を介して感光検出器144上に結像させるように構成される。幾つかの場合には、撮像レンズ140は、ハウジングに固定取り付けすることができ、更なる実施形態において、流体フロースルーチャンバ10が固定取り付けされたハウジングに固定取り付けすることができる。従って、後者の実施形態において、撮像レンズ140と流体フロースルーチャンバ10との間の間隔は固定にすることができる。幾つかの場合において、システムは、図8に示されるように撮像レンズ140の鏡胴に配置された温度センサ142を含むことができる。このような温度センサは、図10を参照して以下でより詳細に説明するように、撮像レンズの温度に関連して光検出サブシステムの焦点位置を調節するのに有利とすることができる。
【0104】
上述のように、光学サブシステム8は感光検出器144を含むことができる。感光検出器144は、CCD、CMOSもしくは量子ドットカメラ、又は像を生成するように構成された当該技術分野で公知の他の何れかの適切な撮像装置とすることができる。図8に示されるシステムは、単一の感光検出器を含むが、本システムは、任意の適切な数の感光検出器並びに像の生成を助ける任意の数のフィルタ及びレンズを含むことができ、本明細書ではこれらを総称して「光検出サブシステム」と呼ぶことができる点を理解されたい。例示的なシステムにおいて、光検出サブシステムは、検出器144と撮像レンズ140との間に配置された基板146を含むことができる。基板146は、検出フィルタ148を含むことができ、これは、帯域通過フィルタ又は当該技術分野で公知の他の何れかの適切なスペクトルフィルタとすることができる。幾つかの場合において、基板146は、撮像レンズ140から出射する光の光路内に異なるフィルタを交互させるように構成された装置を含むことができる。例えば、基板146は、図8に示され、以下でより詳細に説明されるようにフィルタホイール組立体149を含むことができる。
【0105】
特に、フィルタホイール組立体149は、ホイールマウントに取り付けられた回転可能なフィルタホイールと、回転可能なフィルタホイールの円周に整列された複数の検出フィルタとを含むことができる。検出フィルタの各々は、異なる波長又は異なる波長帯の光を透過するように構成される。従って、感光検出器144によって取得される粒子の像の波長又は波長帯は、フィルタホイール組立体の位置に応じて変わる可能性があり、この位置は、撮像レンズ140から出射する光の光路内のフィルタに対応する。このようにして、粒子の複数の像は、該粒子を撮像し、フィルタホイールの位置を交互にし、関心のある各波長又は波長帯における像が感光検出器144によって取得されるまで、上記撮像ステップと交互ステップとを繰り返すことによって逐次的に形成することができる。従って、図8に示されるシステムは、関心のある幾つかの波長における粒子の蛍光発光を表す複数又は一連の像を生成するように構成することができる。
【0106】
幾つかの場合において、システムは、粒子の蛍光発光を表す複数又は一連のデジタル画像をプロセッサ(すなわち、処理エンジン)に供給するように構成することができる。システムはプロセッサを含む場合があり、又は含まない場合もある。プロセッサは、感光検出器144から画像データを取得(例えば受信)するように構成することができる。例えば、プロセッサは、当該技術分野で公知の何れかの適切な方式で感光検出器144に結合することができる(例えば、伝送媒体、又はアナログ−デジタル変換器のような1つ又はそれ以上の電子部品を介して)。好ましくは、プロセッサは、これらの画像を処理及び分析して、粒子の分類及び粒子表面上で行われる反応に関する情報など、粒子の1つ又はそれ以上の特性を判定するように構成される。この1つ又はそれ以上の特性は、各波長について各粒子の蛍光の大きさに関するエントリを有するデータアレイのような、何れかの適切なフォーマットでプロセッサから出力することができる。具体的には、プロセッサは、画像の処理及び分析のための方法の1つ又はそれ以上のステップを実行するように構成することができる。システムによって生成された画像を処理及び分析するための方法の実施例は、引用により本明細書に全体的に記載されるかのように組み込まれる、Rothによる2005年9月21日に出願された「Method and Systems for Image Data Processing」という名称の米国特許出願番号第60/719,010号に例示されている。本明細書に記載のシステムは更に、本特許出願に記載されているように構成することができる。更に、本明細書に記載の方法は、本特許出願に記載された何れの方法の何れかのステップを含むこともできる。
【0107】
プロセッサは、典型的なパーソナルコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーションなどに一般に含まれているようなプロセッサとすることができる。一般に、「コンピュータシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ又はそれ以上のプロセッサを有するあらゆる装置を包含するものとして広く定義することができる。プロセッサは、他の何れかの適切な機能的ハードウェアを用いて実装することができる。例えば、プロセッサは、ファームウェア内に固定プログラムを有するデジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、或いは、超高速集積回路(VHSIC)ハードウェア記述言語(VHDL)のような高水準プログラム言語で「記述された」順次論理を利用する他のプログラム可能ロジックデバイス(PLD)を含むことができる。別の実施例において、上で参照した特許出願に記載されたコンピュータ実装方法の1つ又はそれ以上のステップを実行するため、プロセッサ上で実行可能なプログラム命令(図示せず)は、必要に応じてC++におけるセクション付きのC♯、ActiveXコントロール、JavaBeans、Microsoft Foundation Class(「MFC」)、又は所望に応じて他の技術もしくは方法論などの高水準言語でコード化することができる。プログラム命令は、とりわけ、手続ベース技術、コンポーネントベース技術、及び/又はオブジェクト指向技術を含む、種々の方法の何れかで実装することができる。本明細書に記載のプロセス、ルーチン、較正技術を実装するプログラム命令は、キャリア媒体(図示せず)を介して伝送され、或いはキャリア媒体上に格納することができる。キャリア媒体は、有線、ケーブル、又は無線伝送リンクのような伝送媒体とすることができる。キャリア媒体はまた、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気もしくは光学ディスク、又は磁気テープのような記憶媒体とすることもできる。
【0108】
本明細書に記載の撮像システムの好ましい実施形態において、光源132及び134に対する感光検出器144の位置並びにチャンバ10及び固定化サブシステム9の位置は、撮像ビーズについて最適化される。ビーズは、特徴のある特性を有し、すなわち、どのような優先的な方向もなしで(全ての角度にわたって一様に)光子を吸収及び再放射するビーズ内の染料及びビーズ上のレポーター分子を有する。撮像領域94及び感光検出器144に関して六角形配置で均等に位置付けされた光源の好ましい配置は、撮像センサの視野(FOV)内のあらゆるビーズ(感光検出器144から見ることができるあらゆるビーズ)の「角空間(angle space)」を最適化するように選択される。固定化サブシステム9が流体フロースルーチャンバ10の背後にあるので、照明及び光検出サブシステムが利用できる角空間は、撮像領域の上方の半球部である。これは図9に示されており、ここで「集光(collection)」150は、感光検出器144によって集光される立体角であり、「照明角空間(illumination angle space)」152は、照明モジュール(例えば、光源132、134及びフィルタ136、138)が占有可能な空間である。この照明角空間152上での照明光学素子によるカバレッジが大きいほど、撮像中により大きな光力がビーズに与えられる。同様に、集光角空間150上の集光角(開口数)が高いほど、撮像レンズ140が集光し感光検出器144に伝送できる光束がより多くなる。従って、感光センサ及び照明システムに割り当てられる角度間の最適バランスを達成することができる。
【0109】
低コストの製造性のためには、撮像レンズ140の開口数についての実際上の限界は、倍率4に対して約0.3である。より高い倍率では、撮像レンズ140の開口数は、同じコスト・ガイドラインを維持する限りは増大することができる。撮像レンズ140のコストに影響を及ぼす他の因子は、視野及び波長帯の広さである。開口数0.3は、おおよそ35度全角度である。ビーズに伝送される励起光の量は、実際上、光源の輝度と、光源による光の全ての光線を伝送するのに十分に物理的に大きな励起フィルタのコストとによって制限される。光源のエテンデューが、視野(FOV)にわたって最大光束を与えるのにビーズの角空間がどれだけ必要とされるかを規定することになる。(エテンデューは、光源の面積と光源の立体角との積である。これは、放射される光束の幾何学的特性を定義する。)FOVが比較的大きい場合、必要とされる角空間はより小さく、従って、より多くの及び/又はより明るい光源を用いることができる。しかしながら、光源を多くするとシステムのコストが付加されることになる。この場合も同様に、コストと性能のバランスを決定する必要がある。輝度の保存は、ある光学系において効率を最大化するためにエテンデューを保持しなければならないことを規定する。この副次的影響は、像サイズが結像光学素子倍率と共に、照明モジュールの視野を規定することである。輝度式を用いて、照明モジュールに必要とされる角空間を光学素子のFOVから計算することができる。この角空間が、最大光束(パワー)をFOVに提供するのに必要とされる、所与の強度の光源の最小数を決定可能にする。照明及び撮像システムにより使用される角空間の最適化は、輝度式を適用することによって達成することができる。
【0110】
本明細書に記載のシステムの動作中に、周囲温度の変化(例えば、システムによって発生する熱に起因する)が感光検出サブシステムの焦点位置の変化を引き起こす場合がある。従って、幾つかの実施形態において、撮像システムの動作は、感光検出サブシステムの焦点位置を撮像レンズの動作温度に基づいて調節する方法を含むことができる。このことは、図8を参照して上述した温度センサ142の使用によって達成することができる。更に、較正ルーチンは自動化することができ、従って、本明細書に記載のシステムは、較正ルーチンに関与するプロセスを実施するためのプログラム命令を含むことができる。撮像レンズの温度に相対的に基づいて感光検出サブシステムの焦点位置を調節する例示的な較正ルーチンを図10に示す。特に、図10は、ブロック154において、較正ルーチンが、撮像レンズ(例えば、図8の撮像レンズ140)に対する感光検出器(例えば、図8の感光検出器144)の第1の位置を記録し、更に試料がシステムの流体フロースルーチャンバ(例えば、図8の流体フロースルーチャンバ10)内に注入される前に、撮像レンズの第1の温度を記録することを含むことができることを示している。更に、較正ルーチンは、ブロック156に示されるように、試料が流体フロースルーチャンバ内に注入されている間に撮像レンズの第2の温度を測定することを含むことができる。
【0111】
ブロック158に示すように、記録された第1の位置、記録された第1の温度、及び測定された第2の温度に基づいて、感光検出器の第2の位置を計算することができる。計算は、感光検出器の位置を撮像レンズの温度に関連付ける所定の式に基づくものであり、この式は一般にシステム間で異なる可能がある。ブロック158における計算に用いることができる例示的な式は、
F(2nd)=F(1st)+[T(2nd)−T(1st)]×C
であり、式中
・F(2nd)は感光検出器の計算された第2の位置であり、
・F(1st)は感光検出器の第1の位置であり、
・T(2nd)は撮像レンズの測定された第2の温度であり、
・T(1st)は撮像レンズの記録された第1の温度であり、
・Cはシステム毎に予め定められた一定の補償係数である。
【0112】
ブロック158で用いられる計算は線形式に限定されるものではない点に留意されたい。特に、ブロック158で用いられる計算は、指数及び対数ベースの式を含むがこれらに限定されない、何れかの数学式を含むことができる。上述のように、ブロック158のために用いられる計算はシステム間で異なるものとすることができる。従って、幾つかの実施形態において、ブロック158で用いられる式は、上記の等式における変数Cのような、システム毎に所定の補償係数を含むことができる。しかしながら、ブロック158で用いられる等式は、代替的にこのような係数を含まない場合がある。
【0113】
上述のように、撮像レンズ140は、ハウジングに固定取り付けすることができ、幾つかの実施形態において、撮像レンズ140及び流体フロースルーチャンバ10は、同じハウジングに固定取り付けすることができ、従って、互いに対して固定された配置とすることができる。撮像レンズ140は固定位置にあるので、感光検出サブシステムの焦点位置を調整するために動かすことができない。しかしながら、感光検出器は撮像レンズに対して移動可能であるので、従って、図10に概説される較正ルーチンは、流体フロースルーチャンバの撮像領域が感光検出サブシステムによって撮像される前に、感光検出器の第1の位置を計算された第2の位置に調整するブロック159を含む。
【0114】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の撮像システムは、感光検出器144の位置と撮像レンズ140の温度との間の関係をモニタして、感光検出サブシステムの焦点位置を調節し、この関係が変化した場合には、ブロック158を参照して使用する式を調整するよう構成することができる。特に、本明細書に記載のシステム内の構成要素のうちの一部の特性及び/又は動作は、経時的に変化する可能性があり、幾つかの実施形態において、この変化は、感光検出サブシステムの焦点位置を調節するため感光検出器144の位置と撮像レンズ140の温度との間の関係に影響を及ぼす可能性がある点も企図される。従って、本明細書に記載の撮像システムは、感光検出器の最適な位置を決定し、このような位置が決定されたときに、最適位置及び関連する撮像レンズの温度を記録及び格納し、感光検出器の位置を撮像レンズの温度に関連付けるためにシステムによって用いられる式を格納されたデータに基づいて調整する自動化されたルーチン(すなわち、プログラム命令による)を含むことができる。一般に、このようなルーチンは、機械の「寿命」全体の間実施することができ、従って、このようなルーチンは、システムを製作しているときに使用されるものに限られない。むしろ、このルーチンは、撮像システムが消費者に所有されているときに「現場」で実行することができる。
【0115】
感光検出器の最適位置の決定は、感光検出器の異なる位置の実験的反復と、最も鮮明な像を生成する位置の選択とを含むことができる。最適位置及び関連付けられた撮像レンズ温度の決定、記録及び格納は、複数のデータが格納されてこれを参照可能になるように、繰り返すことができる。このプロセスの繰り返しは、プリセットされた周期的スケジュールに従って行うこともでき、又は撮像システムのユーザの命令に基づいて行うこともできる。何れの場合においても、自動化ルーチンは、格納されたデータの全て又はサブセットを分析して、感光検出サブシステムの焦点位置を調節するための感光検出器の位置と撮像レンズの温度との間の関係が、このようなパラメータを関連付けるためにシステムによって用いられるプリセットされた式(すなわち、図10のブロック158を参照して用いられる所定の式)と比べて変化しているかどうかを判定することを含むことができる。分析されることになるデータの選択は、プリセットされた時間パラメータに基づくことができ、又は撮像システムのユーザが選択することもできる。感光検出サブシステムの焦点位置を調節するための感光検出器の位置と撮像レンズの温度との間の関係における変化が検出されると、自動化ルーチンは、感光検出サブシステムの焦点位置を調節するための新たな式を設定することができる。このようなプロセスは、以前の式の改良(例えば、上記の例示的な式において一定の補償係数Cを調節すること)を含むこともでき、又は格納されたデータに基づいて全く新たな式を単独に作成することを含むこともできる。
【0116】
本明細書に記載の撮像システムの最適な性能において、異なる機器から得られた結果と、同じ機器の別の動作ランから得られた結果とを比較することができるのが有用であろう。しかしながら、幾つかの因子が、撮像システムによって検出される蛍光信号の大きさに影響を及ぼすことがある。これらの因子のうちの一部は、個々の光源間の光束の変動を含み、その結果、所与の動作電流において、それ以外は同一の動作条件下で測定された同一のビーズから放射される観測ビーズ蛍光(OBF)における比例的な変動が生じる。更に、周囲温度のばらつきは、所与の電流に対する光源出力における差異を誘起する可能性がある。従って、目標OBFに対応する光源電流が各蛍光チャネルについて同定された場合、標的OBFをシステムの動作温度範囲にわたって維持する方法が利用可能であることが有用となる。
【0117】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の撮像システムの動作は、撮像システムの1つ又はそれ以上の照明源についての動作電流を同定する較正ルーチンを含むことができる。このような較正ルーチンは自動化することができ、従って、本明細書に記載のシステムは、較正ルーチンに関与するプロセスを行うプログラム命令を含むことができる。照明サブシステムの1つ又はそれ以上の照明源についての動作電流を同定するための例示的な較正ルーチンが図11に示される。特に、図11は、ブロック160において、較正ルーチンが、流体フロースルーチャンバ(例えば、図8の流体フロースルーチャンバ10)の撮像領域を照明するために1つ又はそれ以上の照明源(例えば、図8の光源132及び134)に電流を印加することを含むことができることを示している。更に、ルーチンは、ブロック162及び164にそれぞれ示されるように、印加電流を用いて撮像領域が照明されている間に、撮像領域内に固定化された粒子のセットを撮像し、更に、撮像ステップの間に集められた光の統計的表現値(statistical representative measure)を計算することを含む。光の統計的表現値は、限定ではないが、集められた光の平均値又は中央値の強度を含む、集められた光に適用可能な何らかの統計的算出値(statistical measure)を含むことができる。
【0118】
ブロック166で述べたように、電流を印加し、撮像領域内に固定化された粒子のセットを撮像し、光の統計的表現値を計算するステップ(すなわち、ブロック160−164に概説されたプロセス)を1つ又はそれ以上の異なる電流について繰り返す。プロセスを繰り返す回数はプリセットすることができ、又は別の言い方をすれば、評価される異なる電流の数はプリセットすることができる。このプロセスのために考慮される異なる電流は、幾つかの実施形態において、その光源に対して用いられるように選択された電流範囲の最小電流及び最大電流を含むことができる。ブロック160−164に概説されるプロセスをプリセットされた回数実施した後、較正ルーチンはブロック168に進み、印加電流と計算された統計的表現値との関係を描出する。このような関係は、限定ではないが、線形、指数及び対数ベースの式を含む何れかの数式とすることができる。定義された関係を用いて、ブロック170に示されるように目標とする統計的表現値に対応する動作電流を同定することができ、次に、ブロック172に示されるように、同定された動作電流を1つ又はそれ以上の照明源に印加して試料を分析することができる。
【0119】
通常の機器使用の間の動作温度の変動を補償するために、本明細書に記載の撮像装置内の感光検出器の積分時間を調整して、周囲の動作温度変化に起因する光源出力の変化を補償することができる。積分時間と観測輝度との間、並びに光源輝度と温度との間には線形の関係があることが認められた。従って、感光検出器の積分時間と温度との間の比例関係もまた確立することができる。その結果、システムの動作温度にかかわらず、最適なOBFが達成されるのを保証するために、感光検出器の積分時間を測定された動作温度変化に従って調整することができる。このことは、システム内の温度センサを用いて達成することができる。温度センサはシステム内の任意の位置に配置することができる。幾つかの実施形態において、図8を参照して記載したように撮像レンズ140の鏡胴上に配置された温度センサ142を用いて、感光検出器の積分時間を調節することができる。しかしながら、他の場合において、感光検出器の積分時間を調整するプロセスは、システム内の別の場所に配置された温度センサを利用することができ、従って、本明細書に記載の撮像システムは、幾つかの実施形態において2つの温度センサを含むことができる。何れの場合においても、システムの温度に基づいて感光検出器の積分時間を調節するためのルーチンを使用することができる。このルーチンは自動化することができ、従って、本明細書に記載の撮像システムは、このルーチンに関与するプロセスを実施するためのプログラム命令を含むことができる。
【0120】
撮像システム内の感光検出器の積分時間を調節するための例示的なルーチンを図12に示す。特に、図12は、ブロック174において、試料が撮像システムの流体フロースルーチャンバ(例えば、図8の流体フロースルーチャンバ10)内に注入されている間に撮像システムの基準温度を記録することを示している。ルーチンは更に、ブロック176に示されるように、試料が流体フロースルーチャンバ内で処理及び分析されている間に、撮像システムの温度をモニタすることを含む。温度変化がプリセットされた閾値よりも大きいと検出されると、ルーチンはブロック178に進み、システム内の感光検出器(例えば、図8の感光検出器144)の積分時間を調整する。プリセットされる閾値は、システムの仕様及び感光検出器の積分時間を調節するための望ましい精度に応じた何れかの温度デルタとすることができる。幾つかの実施形態において、ブロック178に示される感光検出器の積分時間を調整するプロセスは、検出された温度変化に比例した量だけ感光検出器の積分時間を調整することを含むことができる。
【0121】
図8を参照して上述したように、本明細書に記載の撮像システムの感光検出サブシステムは、フィルタホイール組立体149を含むことができ、該フィルタホイール組立体は、基板146内に配置された複数の検出フィルタ148を含み、撮像レンズ140と感光検出器144との間に配置される。フィルタホイール組立体149の目的は、関心のある異なる波長又は異なる波長帯の像が感光検出器144によって取得できるように、撮像レンズ140から出射する光の光路内に異なるフィルタを配置することにある。フィルタホイール組立体149の例示的でより詳細な構成を図13に示す。特に、フィルタホイール組立体149は、図13に示され、ホイールマウント182に取り付けられた回転可能なホイール180と、回転可能なホイールの円周に整列配置された異なるスペクトル特性の複数のフィルタ148とを含む。更に、図13は、2つのフィルタ148の間で回転可能なホイール180上に配置されたフィルタホイール磁石184を含み、更に、ホイールマウント182上に配置された磁場強度センサ186を含むフィルタホイール組立体149を描いている。このような構成要素の全ては、基板146内または基板146上に配置される。
【0122】
撮像のために用いられるフィルタ148の数及び選択は一般に、異なる試料分析間で様々とすることができ、従って、回転可能なホイール180の「ホームポジション」を指定して、フィルタ148の各々のアドレスがアクセスのために既知である(すなわち、「ホームポジション」に対して)ようにすることが有利とすることができる。幾つかの場合において、フィルタホイール磁石184と磁場強度センサ186との近接整列は、回転可能なホイール180の「ホームポジション」として指定することができる。特に、磁場強度センサ186は、フィルタホイール磁石184によってもたらされる磁場を検出又は測定し、磁場が所定の閾値を超えたときに、磁石がホームポジションの近傍にあるか否かを示す離散的信号(高又は低)を送信するよう機能することができる。フィルタホイールが回転すると、磁石は、磁場強度センサに対する位置が変化し、センサによって検出される磁場はこれに従って変化する。より具体的には、磁場強度センサ186は、フィルタホイール磁石184がセンサの近傍にあるときには比較的高磁場を検出し、磁石がセンサから離れているときにはより低い磁場を検出することになる。特定の磁場強度閾値を用いて、フィルタホイール磁石184が磁場強度センサ186の近傍に接近している、又は遠ざかっているときを示すことができる。しかしながら、このような遷移点は、回転可能なホイール180の回転毎に、センサに対する磁石の僅かに異なる位置で発生する傾向にある。従って、試料を撮像する前に回転可能なホイール180のホームポジションを較正するルーチンを行うことが一般に有利とすることができる。図14に概説される例示的な較正ルーチンにおいて記載したように、複数ランにわたって遷移点が発生する位置を記録することによって、回転可能なホイール180の最も頻繁に測定される「ホーム」ポジションを求めることが可能である。
【0123】
図14のブロック190及び192にそれぞれ示されているように、フィルタホイール組立体の回転可能なホイール(例えば、図13の回転可能なホイール180)のホームポジションを較正する方法は、回転可能なホイールを動かして、該回転可能なホイールが動いている間に、フィルタホイール磁石(例えば、図13のフィルタホイール磁石184)の磁場強度を磁場強度センサ(例えば、図13の磁場強度センサ186)を介してモニタすることを含むことができる。ブロック190に示される回転可能なホイールを動かすプロセスは、幾つかの実施形態において、回転可能なホイールを全回転で回転させることを含むことができる。しかしながら、幾つかの場合において、回転可能なホイールを動かすことは、ブロック194及び196を参照して以下で言及する所定の閾値を超える遷移点間で回転可能なホイールを往復させることを含むことができる。幾つかの実施形態において、このようなケースの組合せを用いることができる。例えば、較正ルーチンは、回転可能なホイールを所定の回転数にわたって全回転で回転させることにより開始し、その後、ホイールの往復に切り換えることができる。
【0124】
何れの場合においても、本方法は、それぞれブロック194及び196に示されているように、所定の閾値を超えてこれを上回る磁場強度が検出されたときに回転可能なホイールの第1の位置を記録すること、及び所定の閾値を跨いでこれを下回る磁場強度が検出されたときに回転可能なホイールの第2の位置を記録することを含むことができる。所定の閾値は一般に、システムの仕様、並びに回転可能なホイールのホームポジションを較正するための望ましい精度に依存することができ、従って、異なるシステム間で異なることができる。記録された第1及び第2の位置はそれぞれ、フィルタホイール磁石が磁場強度センサの近傍に来たときの遷移点、及び磁石がセンサから離れて移動するときの遷移点を表す。特に、回転可能なホイールが動いている間に磁石が磁場強度センサに近づくにつれて、センサによって検出される磁場の強度は増大し、最終的には所定の閾値を超えてこれを上回ることになる。対照的に、磁石が磁場強度センサから離れる方向に動くにつれて、センサによって検出される磁場の強度は減少し、最終的には所定の閾値を跨いでこれを下回ることになる。
【0125】
図14に概説された方法を続けると、ブロック198に示されるように、回転可能なホイールが動いている間に、回転可能なホイールの第1及び第2の位置を記録するプロセス(すなわち、ブロック194及び196に概説されたプロセス)を繰り返すことができる。このプロセスが繰り返される回数は、一般にプリセットすることができ、回転可能なホイールのホームポジションを較正する望ましい精度に応じたあらゆる数とすることができる。複数の第1及び第2の位置を記録した後、ブロック200に示されるように、記録された第1及び第2の位置を統計的に分析して、回転可能なホイールのホームポジションを指定する。一般に、ブロック200のプロセスは、幾つかの異なる方式で行うことができ、これらのうちの3つを図14のブロック200から延びる分岐構造で概説する。特に、記録された第1及び第2の位置を統計的に分析して回転可能なホイールのホームポジションを指定する1つの方式は、ブロック202及び204にそれぞれ示されているように、逐次的に記録された第1及び第2の位置の各セットについて回転可能なホイールの中点位置をコンピュータで計算し、回転可能なホイールのホームポジションをコンピュータ計算された中点位置の統計的算出値に基づいて指定することである。コンピュータ計算された中点位置の統計的算出値は、限定ではないが、コンピュータ計算された中点位置の平均値又は中央値を含む任意の統計的算出値を含むことができる。
【0126】
記録された第1及び第2の位置を統計的に分析して回転可能なホイールのホームポジションを指定するための更に別の方式は、それぞれブロック206及び208に示されるように、記録された第1の位置の統計的算出値に基づいて回転可能なホイールの第1の基準位置を同定し、記録された第2の位置の統計的算出値に基づいて回転可能なホイールの第2の基準位置を同定することである。記録された第1及び第2の位置の統計的算出値は、限定ではないが、第1及び第2の位置の平均値又は中央値を含む任意の統計的算出値を含むことができる。このプロセスは更に、第1及び第2の基準位置の間の中点位置をコンピュータで計算し、該コンピュータ計算された中点位置を回転可能なホイールのホームポジションとして指定するブロック210及び212を含む。更に他の実施形態において、ブロック200で概説された記録された第1及び第2の位置を統計的に分析して回転可能なホイールのホームポジションを指定するためのプロセスは、図14のブロック214に示されるように、記録された第1及び第2の位置に関連付けられる基準位置の度数分布を分析することを含むことができる。何れの場合においても、図14に概説されたルーチンは自動化することができ、従って、本明細書に記載の撮像システムは、このルーチンに関与するプロセスを行うためのプログラム命令を含むことができる。
【0127】
本明細書に記載の測定は一般に、粒子の1つ又はそれ以上の像を分析して、多重検出波長における粒子の蛍光発光の大きさを表す数値など、粒子の1つ又はそれ以上の特性を決定するための画像処理を含む。1つ又はそれ以上の数値を用いて、粒子が属する多重サブセットを表すトークンID、及び/又は粒子の表面に結合した検体の存在及び/又は量を表すレポーター値を求めるような、粒子の1つ又はそれ以上の特性の後続の処理は、引用により本明細書に全体的に記載されるかのように組み込まれる、Fultonの米国特許第5,736,330号明細書、Chandler他の米国特許第5,981,180号明細書、Chandler他の米国特許第6,449,562号明細書、Chandler他の米国特許第6,524,793号明細書、Chandler他の米国特許第6,592,822号明細書、及びChandler他の米国特許第6,939,720号明細書に記載された方法に従って実施することができる。1つの実施例において、Chandler他の米国特許第5,981,180号明細書(特許文献1)に記載の技術は、単一の試料中の多重検体の分析のために粒子がサブセットに分類される多重化スキームで、本明細書に記載の蛍光測定と共に用いることができる。
【0128】
本開示の利益を享受する当業者には、本発明が1つ又はそれ以上の材料の測定を行うためのシステム及び方法を提供することを理解されるであろう。本発明の更なる修正形態及び種々の態様の代替の実施形態は、本説明を鑑みて当業者には明らかであろう。従って、本説明は、単なる例示としてのものであり、当業者に対して本発明を実施する一般的な方法を教示する目的のものとして解釈すべきである。本明細書で示され且つ説明された本発明の形態は、現時点で好ましい実施形態とみなすべきである点を理解されたい。本発明のこの説明の恩恵を享受した後に当業者には全て明らかであるように、本明細書において例示され説明された要素及び材料は置き換えることができ、部分及びプロセスは逆にすることができ、本発明の特定の特徴は独立して使用することができる。添付の特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された要素に対して変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0129】
6 流体処理サブシステム; 8 光学サブシステム; 9 固定化サブシステム;
10 流体フロースルーチャンバ; 12、34、54、59、66 試料貯蔵容器;
14 二方向ポンプ; 22 貯蔵容器; 24 コンテナ;
30 貯蔵容器プラットフォーム; 32 支持ベース; 36 位置決め特徴部;
40 バネ装荷プッシュバー; 90 チャネル; 92 支持構造部;
94 撮像領域; 97 気泡; 100 磁石; 102 機構;
105、186 磁場強度センサ; 132、134 光源; 140 撮像レンズ;
142 温度センサ; 144 感光検出器; 149 フィルタホイール組立体;
180 回転可能なホイール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体アッセイを分析するためのシステムであって、
流体フロースルーチャンバと
磁石と、前記流体フロースルーチャンバの撮像領域に近接して前記磁石を選択的に位置付けるための機構と、
前記流体フロースルーチャンバの撮像領域を照明するように構成された照明サブシステムと、
照明時に前記流体フロースルーチャンバの撮像領域を撮像するように構成された感光検出サブシステムと
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
アッセイが収容された貯蔵容器を受け入れて固定するように構成された貯蔵容器プラットフォームと、
前記貯蔵容器プラットフォームを繰り出し且つ前記システム内に引き込むための機構と
を更に備え、
前記貯蔵容器プラットフォームには、
貯蔵容器を収容するための部分フレーム領域を有する支持ベースが含まれ、
前記部分フレーム領域の境界を定め、前記支持ベースから延びた位置決め特徴部が含まれ、前記部分フレーム領域に対して内部にある前記位置決め特徴部の表面が粗面を有しており、
前記支持ベース内に一体化されたバネ装荷プッシュバーが含まれており、そのバネ装荷プッシュバーが次のように構成されている、
すなわち、前記貯蔵容器プラットフォームが前記システム内に引き込まれているときには、前記部分フレーム領域内に受けられた貯蔵容器の第1の側壁に対して、前記貯蔵容器の相対する第2の側壁を前記粗面を有する前記位置決め特徴部の面に対して固定するのに十分な力を加え、且つ、前記貯蔵容器プラットフォームが前記システムから取り出されているときには、前記加えられた力を解放する、
ように構成されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
貯蔵容器プラットフォームと、
試料プローブと、
前記試料プローブの位置を前記貯蔵容器プラットフォーム内に配置された貯蔵容器のウェルに対して較正するためプロセッサによって実行可能なプログラム命令と、
を更に備え、
前記試料プローブの位置を較正するためのプログラム命令が、
設定ステップ数を動かすようにモータに命令し、前記試料プローブを前記ウェルに向けて駆動し、
前記試料プローブの移動の間又はその後に、前記試料プローブと前記貯蔵容器プラットフォームとの間のキャパシタンスをモニタし、
前記モータが前記試料プローブを駆動させたステップ数を、前記モータが動かすように命令された前記設定ステップ数に対してモニタし、
キャパシタンスの変化が所定の閾値と等しいかそれよりも大きいことが検出されると、又は前記モータがプリセットされたステップ数を動かさなかったことが検出されると、前記試料プローブの現在位置を基準位置として記録し、
前記基準位置に基づいて、前記貯蔵容器のウェルから流体アッセイを取り出すための、前記試料プローブの標的垂直方向位置を指定し、
前記モータに動くよう命令し、キャパシタンスをモニタし、前記モータが動かしたステップ数をモニタする前記ステップの繰り返しを、前記標的垂直方向位置が指定されるか、又は前記ステップの所定回数の反復が行われるまで行うようにする、
ものであることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記照明サブシステムの1つ又はそれ以上の照明源の動作電流を同定するためプロセッサによって実行可能なプログラム命令を更に備え、
前記動作電流を同定するための前記プログラム命令が、
前記流体フロースルーチャンバの撮像領域を照明するために1つ又はそれ以上の照明源に電流を印加し、
前記撮像領域が前記印加電流を用いて照明されている間に、前記撮像領域内に固定化された粒子のセットを撮像し、
前記撮像ステップの間に集められた光の統計的表現値を計算し、
電流を印加し、撮像領域内に固定化された粒子のセットを撮像し、光の統計的表現値を計算する前記ステップを1つ又はそれ以上の異なる電流について繰り返し、
前記印加電流と計算された前記統計的表現値との関係を描出し、
目標統計的表現値に対応する動作電流を前記関係によって同定し、
前記照明サブシステムの1つ又はそれ以上の照明源に前記同定された動作電流を印加する、
ものであることを特徴とするシステム。
【請求項5】
複数の磁気応答性粒子を含む流体試料をチャンバ内に注入し、
前記粒子の少なくとも一部が前記撮像領域内の前記チャンバの表面に接して固定化されるように、前記チャンバの撮像領域に近接して磁場を印加し、
前記固定化された粒子を照明し、
前記照明された粒子を撮像する、
ことを含むアッセイ分析方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記固定化された粒子が前記チャンバの表面から解放されるように、前記チャンバの撮像領域の近傍の前記磁場を解除し、
前記解放された粒子が前記チャンバから除去されるように、前記チャンバを通して気泡を流す、
ことを更に含む方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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