説明

1種以上の薬剤を異なった放出速度で放出することのできる薬用錠剤

【課題】一種以上の薬剤を異なった放出速度で放出することのできる薬用錠剤の提供。
【解決手段】1種以上の薬剤と、速放性あるいは放出制御型の処方剤とを含有する第1層、第1層と同一あるいは異なる一種以上の薬剤と、徐放性の処方剤とを含有する第2層、ならびに、第1層と第2層の間に設けられており、必要に応じて薬剤を含有している低浸透性の遮断材型の層から構成される薬用錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種以上の薬剤を異なった放出速度で放出することのできる薬用錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
製剤技術では、最近、ヒトならびに動物に薬剤を投与する際の革新的な剤形を開発することに、研究の相当の部分が振り向けられている。この領域の主要な革新の一つが、薬剤を治療を行う特定の部位に対して放出させ、および/または薬剤を制御された速度で放出させることである。
【0003】
こうした技術は、ヒトや動物の健康にとって重要であるばかりでなく、農業にとっても重要性が高い。
【0004】
すでに開発され、特許に開示されている剤形の極めて多くは、薬剤を零次の速度論にしたがって放出するものである。
【0005】
こうした剤形の場合、製剤技術の当業者にはすぐわかるように、薬剤は製剤から一定の速度で、所定の時間にわたって放出される。すなわち、薬剤の放出は下記の経験式:
Mt/M=Kt
にしたがって生じうるものであり、ここで、Mt/Mは放出された物質の割合であり、Kはマトリクス中での拡散係数に応じて決まる定数であり、nは膨潤する重合鎖とその膨潤面での弛緩速度に応じて決まる定数である。
【0006】
こうした剤形の例は、文献にも数多く報告されており、一例を挙げると、プレスコットら( L.F. Prescottand W.S. Nimmo)著、「新規なドラッグデリバリーならびにその治療への応用(Novel drug delivery and its therapeutical application )」、J.ウィリー( J. Wiley )、ニューヨーク、1989がある。こうした事例としては、各種の経路、すなわち経口、経皮、経膣、ならびに眼を経た経路での投与が可能な剤形が挙げられている。
【0007】
明らかに、薬剤の経口投与が極めて重要で、また広範に利用されていることから、数多くの多岐にわたる態様が、胃腸への投与に関するものとなっている。
【0008】
広く知られ、使用されている態様として、米国特許第4,160,020号(1979)に開示されたOROSシステムを挙げておくべきであろう。
【0009】
この領域のさらなる成果が、米国特許第4,839,177号(1989)ならびにその後のイタリア国特許第22694号(1989年12月14日)に開示された剤形である。この特許は、薬剤を一定の放出速度で、すなわち、零次の速度論にしたがって放出しうる経口投与用剤形の製剤をクレームしている。
【0010】
上掲の特許は、特に、最も単純な剤形として、薬剤と、この薬剤の持続的な放出を可能とする適当な賦形剤とを含有している親水性のマトリクスからなる錠剤の調製を開示し、クレームしている。
【0011】
薬剤の持続的な放出は、ゲル化が可能な親水性の重合体によって実現されたもので、このゲル化が可能な親水性重合体は、水および/または水性流体と接触すると膨潤してゲル化した層となり、この層から、薬剤がフィック型の速度論にしたがって放出される。
【0012】
上掲の特許でクレームされている剤形は、水にも水性溶媒にも不溶性の重合体フィルムからなる薬剤非浸透性の遮断材によって、マトリクスが部分的に被覆されていることを特徴としている。この遮断材は、また、重合体混合物あるいは顆粒素材と、技術上の佐材とを混合し、この混合物を圧縮によって製剤に付着させたもととすることもできる(イタリア国特許出願第22694/89号)。得られた遮断材は、少なくとも4−8時間は薬剤非浸透性であるので、被覆面からの薬剤の放出が防止されることになる。
【0013】
したがって、親水性の薬剤は、製剤の被覆されていない領域から、通常は、一定の速度で排他的に放出されることになる。
【0014】
しかし、この従来技術は、一種以上の薬剤が異なった速度で放出されうるような製品、あるいは、2種の異なった薬剤が順次放出されうるような製品、すなわち、第一の薬剤も第二の薬剤も同一の剤形中に含有されているのに、第一の薬剤が放出されて、はじめて、第二の薬剤が放出されるような製品を得る可能性を想定しているものではない。
【0015】
治療によっては、2種の薬剤を順次投与することが必要なものもあり、その際には、複雑な投薬計画を作成し、患者がその計画を厳重に遵守することが必要となる。投薬計画を厳重に遵守することは極めて難しく、こうした要件を満たしうるのが、医者やパラメディカルな専門家の注意深い監視のもとにある入院患者のみであることも多い。
【0016】
周知のように、複雑な治療計画は、在宅の患者にとっては受入れがたいものであり、遵守されることはまずない。投薬計画が遵守される割合は、治療の複雑さならびに1日あたりの薬の服用回数に反比例しているのである。
【0017】
実際、順次作用する複数の薬剤を用いて治療する必要のある症状は数多い。たとえば、リューマチの夜間痛の治療に際しては、痛みの開始時に服用する薬剤と、その後服用する薬剤とを2回にわたって投与するか、2つ目の薬剤がゆっくりと放出され、十分に高い血漿レベルが保たれるようにした剤形を用いて治療を行う必要がある。こうした事例では、薬剤の排出速度と等しい速度で、薬剤を放出しうる剤形を用いる必要がある。
【0018】
周知のように、ステロイドならびに非ステロイドの抗炎症剤は、胸焼けおよび/または胃粘膜の刺激を生じることがある。スクラルファート、アルミニウムグリシネート、活性化アタパルジャイト、ハイドロタルサイトをはじめとする薬剤によって前もって胃粘膜を保護しておいてから、胃をいためる可能性のある薬剤を投与すると、その薬剤に対する患者の寛容性を増大させることができる。
【0019】
同様のことが、大抵は一日に何度も投与される抗生物質の投与に関してもあてはまる。
【0020】
活性成分が、その薬剤の代謝産物であって、代謝が各種の器官で異なった速度で進行するような薬剤でも、同様の問題と直面することになる。
【0021】
その代表的な例が、パーキンソン病の治療に際して使用されるL−ドーパである。L−ドーパは、生体内で、薬剤の活性成分であるドーパミンに代謝される。しかし、血液−脳の障壁を通過することができるのは、未変性形態のもの、すなわちL−ドーパのみである。
【0022】
L−ドーパは、速やかに胃腸管に吸収され、中枢神経系をはじめとする各種の器官や組織に拡散する。L−ドーパの血漿半減期は約1時間で、主に脱カルボキシル化によってドーパミンに転化される。
【0023】
L−ドーパは、胃腸管中でも急速に脱カルボキシル化されてドーパミンとなるので、中枢神経系に到達するL−ドーパの量は極めて少ない。さらに、中枢神経系以外の器官で進行する周辺的な脱カルボキシル化によって生じた過剰なドーパミンの存在によって、甚大な副作用が生じることもある。
【0024】
周辺的な脱カルボキシル化を抑制する薬剤、たとえばベンセルアジドあるいはカルビドーパを、L−ドーパとともに、あるいはL−ドーパを投与する前に投与した場合には、L−ドーパのドーパミンへの周辺での転化は劇的に低減し、もっと多くの量のL−ドーパが、全身循環系、そして脳、すなわち、L−ドーパがドーパミンに転化されて所望の治療効果を生じる部位まで到達することとなる。したがって、はるかに少ない投与量のL−ドーパで高い治療効果をあげることが可能となり、同時に、副作用を低減することも可能となる。
【0025】
こうした複雑な病理学的状況では、異なった薬剤を順次放出しうる製剤組成物を使用できるようになれば、治療上の問題が解決されることとなり、治療対象が主に高齢者であるだけに、社会に与える影響も大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
1種以上の薬剤を含有しており、この薬剤が異なった放出速度で放出される新規な薬用錠剤を見いだした。この薬用錠剤は、これまで薬用錠剤が有していた問題を解決するものである。
【0027】
上記錠剤によって、
−単一の薬剤の一部を短時間に放出させたり、残りの部分をもっと長い時間をかけて放出させたり、
−2種の薬剤あるいは薬剤の組み合わせを異なった速度で放出させたりして、
投与することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の錠剤は3つの層、すなわち、
−1種以上の薬剤と、水性流体と接触すると速やかに膨潤および/または溶解および/または浸食される重合体物質、ならびに佐剤から構成される速放性あるいは放出制御型の処方剤とを含有する第1層、
−第1層と同一あるいは異なる一種以上の薬剤と、水性流体と接触すると膨潤および/またはゲル化および/または浸食される重合体物質、ならびに佐剤から構成される徐放性の処方剤とを含有する第2層、
−第2層をコートするか、第1層と第2層の間に設けられており、この遮断材型の層が、重合体物質、佐剤、可塑剤、ならびに必要に応じて薬剤から構成されている低浸透性の遮断材型の層から構成されている。
【0029】
錠剤には、腸溶コーティングを施すこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下の詳細な説明は、本発明の請求の範囲に記載された、1種以上の薬剤を異なった速度で放出しうる薬用錠剤の特性ならびに、この薬用錠剤によって提供される種々の利点を説明するものである。
【0031】
この錠剤は、
−1種以上の薬剤と、速放性あるいは放出制御型の処方剤とを含有する第1層、
−第1層と同一あるいは異なる一種以上の薬剤と、徐放性の処方剤とを含有する第2層、ならびに
−上記の第2層をコートするか、上記の第1層と第2層の間に設けられており、必要に応じて薬剤も含有している、低浸透性の遮断材である第3層
から構成されている。第3層は、隣接する層の表面からの薬剤の放出を制限する役目をはたす。
【0032】
本発明の好適実施態様を、図1、2、ならびに3に示す。
【0033】
速放性あるいは放出制御型の層の処方剤は、水性の流体と接触すると迅速に膨潤および/または溶解および/または浸食される重合体物質、ならびに適切な佐剤から構成されている。
【0034】
この重合体物質は、架橋ポリビニルピロリドン、低分子量および中程度の分子量のヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプン、メタクリル酸カリウム−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、微晶質セルロースおよびセルロース誘導体、β−シクロデキストリンおよびデキストリン誘導体よりなる群から選ばれるものである。第1層中のこの重合体物質の量は、1.0−90重量%、好ましくは20−70重量%である。上記の佐剤は、通常の製剤の際に実際に現在使用されれいる一連の物質、たとえば希釈剤、緩衝剤、吸着剤等、特に、デンプン、プレゲル化デンプン、リン酸カルシウム、マンニトール、ラクトース、サッカロース、グルコース、ソルビトール、微晶質セルロース、ならびに結合剤、たとえばゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、デンプン溶液、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガカントゴムよりなる群から選ばれるものである。佐剤としては、通常製剤の際に使用されている上記以外の賦形剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、コロイド状シリカ、モノステアリン酸グリセリル、水添カスター油、ワックス、ならびにモノ−、ビ−、およびトリ置換グリセリドを使用することもできる。
【0035】
徐放性の層の処方剤は、水性の流体と接触すると速やかに膨潤および/またはゲル化および/または浸食される重合体物質、ならびに佐剤から構成されている。
【0036】
この重合体物質は、分子量が1,000−4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、分子量が2,000−2,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニル重合体、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、キサンタン、アルギニン酸およびその誘導体、重合体ならびに共重合体、たとえばポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸無水物)、カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、エチルセルロース、メチルセルロース、ならびにセルロース誘導体一般よりなる群から選ばれるものである。
【0037】
この重合体物質の、層の総重量に占める量は、5−90重量%、そして好ましくは5−50重量%である。
【0038】
上掲の各種重合体は全て、それぞれに異なった物理化学的特性、可溶性、ならびにゲル化特性の特徴を有しており、市販されている。特に、各種の分子量(1,000−4,000,000)ならびに各種の置換度を有する種々のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用することが可能である。これらの重合体は、重合体鎖の置換度に応じて、主に浸食性とも主にゲル化性ともなるので、異なった特性を示すことになる。徐放性の層の佐剤は、速放性あるいは放出制御型の層についてさきに述べたのと同じ群から選ばれる。
【0039】
遮断材型の層の処方剤は、重合体物質、佐剤、ならびに可塑剤から構成されている。
【0040】
遮断材型層の重合体物質は、分子量が1,000−4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、分子量が2,000−2,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニル重合体、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、キサンタン、カルボキシメチルセルロースならびにその誘導体、エチルセルロース、メチルセルロース、ならびにセルロース誘導体一般よりなる群から選ばれるものである。この重合体物質の、層の総重量に占める量は、5−90重量%、そして好ましくは50−85重量%である。
【0041】
佐剤は、モノステアリン酸グリセリルおよび半合成トリグリセリド誘導体、半合成グリセリド、水添カスター油、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ならびに製剤技術の当業者には周知の他の天然および合成物質、すなわち、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルク、安息香酸ナトリウム、硼酸、ポリオキシエチレングリコール、ならびにコロイド状シリカよりなる群から選ばれるものである。
【0042】
後述の実施例にさらに詳しく例示するように、希釈剤、滑沢剤、緩衝剤、抗閉塞・潤滑材(anti-blocking, gliding agent)をはじめとする、この層に所望の特性をもたらしうる物質を、以下の実施例でも記載するように使用することが可能である。
【0043】
可塑剤は、水添カスター油、脂肪酸、置換トリグリセリドおよびグリセリド、通常400−60,000の範囲の各種の分子量を有するポリオキシエチレングリコールおよびその誘導体よりなる群から選ばれる。可塑剤は、遮断材型の層を必要に応じて弾性とする役目を果たす。
【0044】
遮断材型の層を生成するにあたって、重合体物質を、重合体物質以外の佐剤と組み合わせて使用すると、該層は隣接する層の薬剤に対し4〜6時間にわたって非浸透性となる。
【0045】
本発明の圧縮錠剤の3つの層の処方剤は、数種の薬剤を含有することができ、たとえば、抗炎症性のステロイドならびに非ステロイドの抗炎症剤(NSAID)、たとえばジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジフルニサル、ピロキシカム、ナプロキセン、フルルビプロフェン、トルメチンナトリウム、抗生物質、たとえばアンピシリン、アモキシシリン、セフラジン、クラブラン酸、セファクロル、セファレキシン、クロキサシリン、エリスロマイシン、ならびにその塩および誘導体、尿性器用抗微生物剤、たとえばニトロフラントイン、ナリジクス酸、オキソリニク酸、ピペミド酸およびその誘導体、催眠剤および鎮静剤、たとえばジアゼパム、ニトラゼパム、フルラゼパム、オキサゼパム、クロルジアゼポキシド、メダゼパム、ロラゼパム、狭心症および高血圧の発作の予防剤、たとえばジルチアゼム、トラピジル、ウラピジル、ベンズヨーダロン、ジピリダモール、リドフラジン、シュウ酸ナフチドロフリル、マレイン酸ペルヘキセリン、塩酸オキシフェドリン、ならびに抗ヒスタミン剤および/または抗ぜんそく薬、たとえばエフェドリン、テルフェナジン、テオフィリン、およびクロルフェニラミンを含有することができる。
【0046】
本発明の圧縮錠剤は、顆粒状の混合物から、通常の製造方法によって製造することができる。したがって、商業規模の錠剤の製造も直ちに行うことが可能である。
【0047】
たとえば、圧縮錠剤の製造は、ロータリープレスを1000−5000kg/cm の圧力で運転することによって行うことができる。完成した圧縮錠剤を、胃では分解されず、腸で分解されるような重合体フィルムでさらに覆うこともでき、この場合、薬剤は、腸管まで達した後に、活性化され、放出されることになる。
【0048】
速放性の層は、厚さ0.5−5.0mmで、1−90重量%の薬剤を含有している。
【0049】
徐放性の層は、厚さ0.5−5.0mmで、0.5−80重量%の薬剤を含有している。
【0050】
遮断材型の層は、厚さ0.1−4.5mmで、通常は薬剤を含有していない。しかし、この層は、0.5−20重量%の薬剤を含有することもできる。
【0051】
図示してあるように、遮断材型の層は、圧縮錠剤の主要面の一方、圧縮錠剤の側面、あるいは圧縮錠剤の主要面の一方および側面を覆うことができる。
【0052】
本発明の錠剤は、あらかじめ決定しておいたスケジュール通りに1種以上の薬剤を放出するという利点を有しているので、従来の放出持続型の錠剤と比べて薬剤の投与量を減らすことができる。このように、いたずらに多量の薬剤を投与することが防止され、活性成分を順次放出させることによって治療上の特定の要件を満足することが可能となる。
【0053】
本発明の錠剤は、たとえば、1種以上の薬剤を異なった時期に投与する必要のある場合や、一方の薬剤が直ちに作用し、もう一方の薬剤が長期にわたって作用する必要のある場合に、治療上、極めて重要な用途を有するものである。
【実施例】
【0054】
以下の実施例は本発明を例示するものであって、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
塩酸エフェドリン(100mg)を除放性の処方剤とともに含有する層5、遮断材型の層6、ならびに、上記とは別の100mgのエフェドリンを速放性の処方剤とともに含有する層4から構成される、図2のような圧縮錠剤。
1−a 層5に用いる顆粒状素材の調製
塩酸エフェドリン(B.15910100、C.エルバ(Erba)) 100.0mg
マンニトール(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 68.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセル
(Methocel)(登録商標)K4M、コロルコン(Colorcon)
(英国、オルピングトン)) 20.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(Plasdone)
(登録商標)K29−32、ガフ社(Gaf Corp. )
(米国ニューヨーク州ウェイン)) 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム
(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 2.0mg
コロイド状シリカ(シロイド(Syloid)244、
グレース社(Grace GmbH)(ドイツ、ウォルムス)) 1.0mg
合計 201.0mg
塩酸エフェドリン、マンニトール、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、滑沢剤ならびにシリカを加え、10分間渦攪拌した。
【0055】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(A1)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
1−b 遮断材型の層(6)に用いる顆粒状素材の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K100M、コロルコン
(英国、オルピングトン)) 79.8%
水添カスター油(クティナ(Cutina)HR、
ヘンケル(Henkel)(ドイツ、デュッセルドルフ)) 13.5%
エチルセルロース(エトセル(Ethocel )(登録商標)
14cP、BDHケミカル社(BDH Chem. Ltd.)
(英国、プール)) 5.0%
20%FCFアルミニウム、レーキイエロー、
EEC110 、コロルコン(英国、オルピングトン)) 0.5%
ステアリン酸マグネシウム(米国薬局方等級、
C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 1.0%
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 0.5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロースならびに水添カスター油を乳鉢ですりつぶし、染剤を十分に分散させた。混合物をエチルセルロースの5%エタノール溶液で湿らせ、25メッシュの篩網を通してふるい、炉中で30℃にて約2時間乾燥させ、再度25メッシュの篩網を通してふるい、コロイド状シリカならびにステアリン酸Mgを加え、15分間渦攪拌した。
【0056】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(B1)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
1−c 層(4)に用いる顆粒状素材の調製
塩酸エフェドリン(B.15910100、C.エルバ) 100.0mg
ラクトース(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 40.0mg
コーンスターチ(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 60.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(登録商標)K29−32、
ガフ社(米国ニューヨーク州ウェイン)) 12.0mg
カルボキシメチルデンプン(エクスプロタブ
(Explotab)(登録商標)、エドワード・メンデル社
(Edward Mendell Co., Inc.)(米国ニューヨーク州
カーメル)) 10.0mg
架橋ポリビニルピロリドン(ポリラスドン
(Polylasodone)XL(登録商標)、ガフ社
(米国ニューヨーク州ウェイン)) 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 2.0mg
コロイド状シリカ(シロイド244、
グレース社(ドイツ、ウォルムス)) 1.0mg
合計 235.0mg
エフェドリン、ラクトース、コーンスターチを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、ならびにコロイド状シリカを加え、15分間渦攪拌した。
【0057】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(C1)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
1−d 圧縮錠剤の調製
図2に示す圧縮錠剤の製造にあたっては、マネスティー(Manesty )(英国、リバプール)のドライ−コータ(Dry-Cota)ロータリープレス機を使用した。当業者には周知のように、このプレス機は、2つのロータリープレス機が連結されたものである。使用したこのプレス機は、層5を形成するための円形の凹面ポンチ(直径8.0mm、R=10.0mm)と、層4および6を形成するための円形の凹面ポンチ(直径12.0mm、R=10.0mm)とを備えている。
【0058】
本実施例ならびに以下の実施例では、Rはポンチの曲げ半径を示すものとする。
【0059】
第一のプレス機の供給用ホッパーに、顆粒素材A1を入れ、第二のプレス機の2つの供給用ホッパーに、それぞれ顆粒素材B1およびC1を入れた。第一プレス機は、201mgの顆粒素材A1の層(薬剤100mgに相当)が生成されるよう設定した。第二プレス機の第一ホッパーは、230mgの顆粒素材B1が供給されるように、第二ホッパーは、235mgの顆粒素材C1(100mgの薬剤に相当)が供給されるように設定した。稼動圧力は、2,000kg/cm とした。得られた圧縮錠剤の平均重量は666mgで、200mgの塩酸エフェドリンを含有していた。
【0060】
得られた錠剤を、以下に記載する溶解試験に供した。
1−e 溶解試験
錠剤からの薬剤の放出特性を、米国薬局方XXIIに開示された装置1(かご)を100rpmで運転することによって評価した。溶解用の液は37℃の脱イオン水(500ml)とした。薬剤の放出は、自動サンプリング・測定システムならびにデータ処理用の自動プログラム(スペクトラコンプ(Spectracomp )602、アドバンスト・プロダクツ(Advanced Products)(イタリア、ミラノ))を使用して、257nmに設定した紫外線分光光度計によって監視した。
【0061】
得られた結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

上記のデータは、錠剤が含有していた200mgの薬剤のうち、一部が20−30分以内に放出され、残りの部分が10−12時間以内に放出されたことを立証するものである。
実施例2
塩酸エフェドリン(100mg)を除放性の処方剤とともに含有する層5、遮断材型の層6、ならびに、100mgのテオフィリンを放出制御型の処方剤とともに含有する層4から構成される、図2のような圧縮錠剤。
2−a 層5に用いる顆粒状素材の調製
塩酸エフェドリン(B.15910100、C.エルバ) 100.0mg
マンニトール(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 68.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K4M、コロルコン
(英国、オルピングトン)) 20.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(登録商標)K29−32、
ガフ社(米国ニューヨーク州ウェイン)) 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 2.0mg
コロイド状シリカ(シロイド244、
グレース社(ドイツ、ウォルムス)) 1.0mg
合計 201.0mg
塩酸エフェドリン、マンニトール、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、滑沢剤ならびにシリカを加え、10分間渦攪拌した。
【0063】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(A2)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
2−b 遮断材型の層(6)に用いる顆粒状素材の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K100M、コロルコン(英国、
オルピングトン)) 79.8%
水添カスター油(クティナHR、ヘンケル
(ドイツ、デュッセルドルフ)) 13.5%
エチルセルロース(エトセル(登録商標)14cP、
BDHケミカル社(英国、プール)) 5.0%
20%FCFアルミニウム、レーキイエロー、
EEC110、コロルコン(英国、
オルピングトン)) 0.5%
ステアリン酸マグネシウム(米国薬局方等級、
C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 1.0%
コロイド状シリカ(シロイド244、
グレース社(ドイツ、ウォルムス)) 0.5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロースならびに水添カスター油を乳鉢ですりつぶし、染剤を十分に分散させた。混合物をエチルセルロースの5%エタノール溶液で湿らせ、25メッシュの篩網を通してふるい、炉中で30℃にて約2時間乾燥させ、再度25メッシュの篩網を通してふるい、コロイド状シリカならびにステアリン酸Mgを加え、15分間渦攪拌した。
【0064】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(B2)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
2−c 層4に用いる顆粒状素材の調製
無水テオフィリン(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 100.0mg
ラクトース(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 50.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)E5プレミアム(Premium )、
コロルコン(英国、オルピングトン)) 60.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(登録商標)K29−32、
ガフ社(米国ニューヨーク州ウェイン)) 12.0mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 2.0mg
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 1.0mg
合計 225.0mg
テオフィリン、ラクトース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、ステアリン酸マグネシウムならびにコロイド状シリカを加え、15分間渦攪拌した。
【0065】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(C2)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
2−d 圧縮錠剤の調製
図2に示す圧縮錠剤の製造にあたっては、実施例1に記載したマネスティー(英国、リバプール)のドライ−コータロータリープレス機を使用した。
【0066】
第一プレス機の供給用ホッパーに、顆粒素材A2を入れ、第二プレス機の2つの供給用ホッパーに、それぞれ顆粒素材B2およびC2を入れた。第一プレス機は、薬剤(エフェドリン)100mgに相当する201mgの顆粒素材A2の層が生成されるよう設定した。第二プレス機の第一ホッパーは、230mgの顆粒素材B2が供給されるように、第二ホッパーは、薬剤(テオフィリン)100mgに相当する225mgの顆粒素材C2が供給されるように設定した。作動圧力は、約2,000kg/cm とした。得られた圧縮錠剤の平均重量は656mgで、100mgの塩酸エフェドリンと100mgのテオフィリンを含有していた。
【0067】
得られた錠剤を、以下に記載する溶解試験に供した。
2−e 溶解試験
錠剤からの2種の薬剤の放出特性を、米国薬局方XXIIに開示された装置1(かご)を100rpmで運転することによって評価した。溶解用の液は37℃の脱イオン水(1000ml)とした。薬剤の放出の監視は、自動サンプリング・測定システムならびにデータ処理用の自動プログラム(スペクトラコンプ602、アドバンスト・プロダクツ(イタリア、ミラノ))を使用して、エフェドリンについては257nmに、テオフィリンについては271nmに設定した紫外線分光光度計によって行うか、クロマトグラフィーを用いた制御方法(HPLC)によって行った。
【0068】
得られた結果を表2に示す。
【0069】
【表2】

上記のデータは、層4(テオフィリン)からの放出制御型の薬剤放出が約2時間かかって生じた後に、層5(エフェドリン)からの薬剤放出が生じたことを立証するものである。
実施例3
ケトプロフェン(100mg)を除放性の処方剤とともに含有する層5、遮断材型の層6、ならびに、上記とは別の100mgのケトプロフェンを速放性の処方剤とともに含有する層4から構成される、図2のような圧縮錠剤。
3−a 層(5)に用いる顆粒状素材の調製
ケトプロフェン(イタリア医学会(Soc. It. Med. )、
スカンディッチ(Scandicci )
(イタリア、フィレンツェ)) 100.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K4M、コロルコン(英国、
オルピングトン)) 75.0mg
マンニトール(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 40.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(登録商標)K29−32、
ガフ社(米国ニューヨーク州ウェイン)) 14.5mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 1.0mg
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 0.5mg
合計 231.0mg
ケトプロフェン、マンニトール、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、ステアリン酸マグネシウムならびにコロイド状シリカを加え、15分間渦攪拌した。
【0070】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(A3)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
3−b 遮断材型の層6に用いる顆粒状素材の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K100M、コロルコン(英国、
オルピングトン)) 79.8%
水添カスター油(クティナHR、ヘンケル
(ドイツ、デュッセルドルフ)) 13.5%
エチルセルロース(エトセル(登録商標)14cP、
BDHケミカル社(英国、プール)) 5.0%
20%FCFアルミニウム、レーキイエロー、
EEC110 、コロルコン(英国、オルピングトン)) 0.5%
ステアリン酸マグネシウム(米国薬局方等級、
C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 1.0%
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 0.5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロースならびに水添カスター油を乳鉢ですりつぶし、染剤を十分に分散させた。混合物をエチルセルロースの5%エタノール溶液で湿らせ、25メッシュの篩網を通してふるい、炉中で30℃にて約2時間乾燥させ、再度25メッシュの篩網を通してふるい、コロイド状シリカならびにステアリン酸Mgを加え、15分間渦攪拌した。
【0071】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(B3)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
3−c 層4に用いる顆粒状素材の調製
ケトプロフェン(イタリア医学会、スカンディッチ
(イタリア、フィレンツェ)) 100.0mg
コーンスターチ(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 80.0mg
メチルセルロース(500−600cps、
BDHケミカル社(英国、プール)) 1.0mg
カルボキシメチルデンプン(エクスプロタブ(登録商標)、
エドワード・メンデル社(米国ニューヨーク州
カーメル)) 19.5mg
架橋ポリビニルピロリドン(ポリラスドン
(Polylasodone)XL(登録商標)、ガフ社
(米国ニューヨーク州ウェイン)) 20.0mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 1.0mg
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 0.5mg
合計 222.0mg
ケトプロフェンならびにコーンスターチを乳鉢ですりつぶし、1%メチルセルロース水溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、ならびにコロイド状シリカを加え、15分間渦攪拌した。
【0072】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(C3)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
3−d 圧縮錠剤の調製
図2に示す圧縮錠剤の製造にあたっては、実施例1に記載したマネスティー(英国、リバプール)のドライ−コータロータリープレス機を使用した。第一プレス機の供給用ホッパーに、3−aに記載した顆粒素材A3を入れ、第二プレス機の2つの供給用ホッパーに、3−bに記載した顆粒素材B3および3−cに記載した顆粒素材C3をそれぞれ入れた。第一プレス機は、薬剤(ケトプロフェン)100mgに相当する231mgの顆粒素材A3の層が生成されるよう設定した。第二プレス機の第一ホッパーは、230mgの顆粒素材B3が供給されるように、第二ホッパーは、222mgの顆粒素材C3(薬剤100mgに相当)が供給されるように設定した。作動圧力は、2,000kg/cmとした。得られた圧縮錠剤の平均重量は683mgで、200mgのケトプロフェンを含有していた。
【0073】
得られた錠剤を、以下に記載する溶解試験に供した。
3−e 溶解試験
錠剤からの2種の薬剤の放出特性を、米国薬局方XXIIに開示された装置1(かご)を100rpmで運転することによって評価した。溶解用の液は、酵素を含まない37℃の模擬腸液(米国薬局方XXII)(1000ml)とした。薬剤の放出は、自動サンプリング・測定システムならびにデータ処理用の自動プログラム(スペクトラコンプ602、アドバンスト・プロダクツ(イタリア、ミラノ))を使用して、264nmに設定した紫外線分光光度計によって監視した。
【0074】
得られた結果を表3に示す。
【0075】
【表3】

上記のデータは、薬剤の50%が30分以内に放出され、残りの50%が約24時間以内に放出されたことを立証するものである。
実施例4
薬剤(塩酸エフェドリン)を速放性の処方剤とともに含有する層1、層1と同じ薬剤を徐放性の処方剤とともに含有する層2、ならびにその下側の層からの薬剤の放出を制限する遮断材型の層3から構成される、図1に示す特徴を有する圧縮錠剤。
錠剤の調製にあたっては、下記の性状をそれぞれ有する3種の異なる顆粒状素材を使用した。
4−a 層1に用いる顆粒状素材
塩酸エフェドリン(B.15910100、C.エルバ) 100.0mg
ラクトース(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 40.0mg
コーンスターチ(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 60.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(登録商標)D29−32、
ガフ社(米国ニューヨーク州ウェイン)) 12.0mg
カルボキシメチルデンプン(エクスプロタブ(登録商標)、
エドワード・メンデル社(米国ニューヨーク州
カーメル)) 10.0mg
架橋ポリビニルピロリドン(ポリラスドンXL(登録商標)、
ガフ社(米国ニューヨーク州ウェイン)) 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 2.0mg
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 1.0mg
合計 235.0mg
塩酸エフェドリン、ラクトース、ならびにコーンスターチを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、ならびにコロイド状シリカを加え、15分間渦攪拌した。
【0076】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(A4)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
4−b 層2に用いる顆粒状素材
塩酸エフェドリン(B.15910100、C.エルバ) 100.0mg
マンニトール(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 68.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K4M、コロルコン(英国、
オルピングトン)) 20.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(登録商標)K29−32、
ガフ社 (米国ニューヨーク州ウェイン)) 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 2.0mg
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 1.0mg
合計 201.0mg
塩酸エフェドリン、マンニトール、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、滑沢剤ならびにシリカを加え、10分間渦攪拌した。
【0077】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(C4)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
4−c 遮断材型の層3に用いる顆粒状素材
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K100M、コロルコン
(英国、オルピングトン)) 79.8%
水添カスター油(クティナHR、ヘンケル
(ドイツ、デュッセルドルフ)) 13.5%
エチルセルロース(エトセル(登録商標)14cP、
BDHケミカル社(英国、プール)) 5.0%
20%FCFアルミニウム、レーキイエロー、
EEC110、コロルコン
(英国、オルピングトン)) 0.5%
ステアリン酸マグネシウム(米国薬局方等級、
C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 1.0%
コロイド状シリカ(シロイド244、
グレース社(ドイツ、ウォルムス)) 0.5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロースならびに水添カスター油を乳鉢ですりつぶし、染剤を十分に分散させた。混合物をエチルセルロースの5%エタノール溶液で湿らせ、25メッシュの篩網を通してふるい、炉中で30℃にて約2時間乾燥させ、再度25メッシュの篩網を通してふるい、コロイド状シリカならびにステアリン酸Mgを加え、15分間渦攪拌した。
【0078】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(B4)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
【0079】
上述のようにして得られた3種の顆粒状素材を、直径10mmの円形で平坦なポンチを備えた三層錠剤の作製に適したロータリープレス機(レイヤー−プレス(Layer-press )、マネスティー(英国、リバプール))の3つの供給用ホッパーに入れた。プレス機は、第一充填位置に、薬剤100mgに相当する235mgの顆粒素材A4が供給され、第二充填位置に、薬剤100mgに相当する201mgの顆粒素材C4が供給され、第三充填位置に、60mgの顆粒素材B4が供給されるように設定した。B4のこの量は、重合体層を4−6時間以上にわたって薬剤非浸透性とするのに十分な量であることが立証された。
【0080】
したがって、このプレス機によって、第一層から100mgのエフェドリンが短時間で放出され、第二層から100mgのエフェドリンがもっと時間をかけて放出される三層錠剤が、自動的に作製されることになる。
【0081】
製剤は、溶解試験を、装置(かご、100rpm)を用い、米国薬局方XXIIに開示された方法にしたがって行うことによって監視した。溶解用の液は37℃の蒸留水とした。
【0082】
【表4】

上記のデータによって、錠剤から最初の一部(100mg)が直ちに放出され、残りの部分(100mg)が徐々に放出されたことが立証される。比較の目的、ならびに層3の有効性を評価する目的で、層3を有さない圧縮錠剤、すなわち、層1ならびに層2のみからなる圧縮錠剤も調製した。
【0083】
上述の手順にしたがって溶解試験を行ったところ、以下の結果が得られた。
【0084】
【表4a】

このデータを上掲のデータと比べると、圧縮錠剤からの薬剤の第2の部分の放出速度が、遮断材型層によって相当低下していることがわかる。
【0085】
この結果をさらに裏付けるために、速放性の層7と徐放性の層9の間に遮断材型層8が位置している圧縮錠剤を調製した(図3)。得られた錠剤から薬剤が放出される速度は、表1に示した速度に相当するものであり、錠剤からの薬剤放出速度が遮断材層によって低下していることが、さらに立証された。
実施例5
ケトプロフェン(100mg)を除放性の処方剤とともに含有する層5、遮断材型の層6、ならびに、200mgのスクラルフェートを速放性の処方剤とともに含有する層4から構成される、図2に示すような圧縮錠剤。
5−a 層5に用いる顆粒状素材の調製
ケトプロフェン(イタリア医学会、スカンディッチ
(イタリア、フィレンツェ)) 100.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K4M、コロルコン(英国、
オルピングトン)) 75.0mg
マンニトール(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 40.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(登録商標)K29−32、
ガフ社(米国ニューヨーク州ウェイン)) 14.5mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 1.0mg
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 0.5mg
合計 231.0mg
ケトプロフェン、マンニトール、ならびにヒドロキシプロピルセルロースを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、ステアリン酸マグネシウムならびにコロイド状シリカを加え、15分間渦攪拌した。
【0086】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(A5)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
5−b 遮断材型の層6に用いる顆粒状素材の調製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)E5、コロルコン
(英国、オルピングトン)) 79.8%
水添カスター油(クティナHR、ヘンケル
(ドイツ、デュッセルドルフ)) 13.5%
エチルセルロース(エトセル(登録商標)14cP、
BDHケミカル社(英国、プール)) 5.0%
20%FCFアルミニウム、レーキイエロー、
EEC110、コロルコン(英国、
オルピングトン)) 0.5%
ステアリン酸マグネシウム(米国薬局方等級、
C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 1.0%
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 0.5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロースならびに水添カスター油を乳鉢ですりつぶし、染剤を十分に分散させた。混合物をエチルセルロースの5%エタノール溶液で湿らせ、25メッシュの篩網を通してふるい、炉中で30℃にて約2時間乾燥させ、再度25メッシュの篩網を通してふるい、コロイド状シリカならびにステアリン酸Mgを加え、15分間渦攪拌した。
【0087】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(B5)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
5−c 層4に用いる顆粒状素材の調製
スクラルフェート 200.0mg
コーンスターチ(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 100.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(登録商標)K29−32、
ガフ社 (米国ニューヨーク州ウェイン)) 15.0mg
カルボキシメチルデンプン(エクスプロタブ(登録商標)、
エドワード・メンデル社(米国ニューヨーク州
カーメル)) 25.0mg
タルク(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 2.0mg
合計 346.0mg
スクラルフェートおよびコーンスターチを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの20%アルコール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、カルボキシメチルデンプン、タルク、ならびにステアリン酸マグネシウムを加え、15分間渦攪拌した。
【0088】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(C5)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
5−d (圧縮による)完成系の調製
図2に示す圧縮錠剤の製造にあたっては、実施例1に記載したマネスティー(英国、リバプール)のドライ−コータロータリープレス機を使用した。第一プレス機の供給用ホッパーに、顆粒素材A5を入れ、第二プレス機の2つの供給用ホッパーに、それぞれ顆粒素材B5およびC5を入れた。第一プレス機は、(薬剤100mgに相当する)231mgの層が生成されるよう設定した。第二プレス機の第一ホッパーは、230mgの顆粒素材B5が供給されるように、第二プレス機の第二ホッパーは、(薬剤200mgに相当する)346mgの顆粒素材C5が供給されるように設定した。作動圧力は、2,000kg/cm とした。
【0089】
得られた圧縮錠剤の平均重量は807mgで、100mgのケトプロフェンと200mgのスクラルフェートを含有していた。
【0090】
得られた錠剤を、以下に記載する溶解試験に供した。
5−e 崩壊ならびに溶解試験
錠剤からの2種の薬剤の放出特性を調べた。スクラルフェートを含有する層の崩壊時間を、米国薬局方にしたがって作製した装置によって測定した。ケトプロフェンの溶解試験を、USPXXIIに記載された装置1(かご、100rpm)を用いて、酵素を含まない37℃の模擬腸液(米国薬局方XXII)1000ml中で実施した。薬剤(ケトプロフェン)の放出の監視は、自動サンプリング・測定システムならびにデータ処理用の自動プログラム(スペクトラコンプ602、アドバンスト・プロダクツ(イタリア、ミラノ))を使用して、264nmに設定した紫外線分光光度計によって行った。
【0091】
ケトプロフェンについて得られた結果を表5に示す。
表5
スクラルフェート含有層の崩壊時間: 5分
ケトプロフェンの溶解試験:
【0092】
【表5】

この結果によって、ケトプロフェンが約24時間で放出されたことが立証された。
【0093】
スクラルフェートの放出量は、Pharmacopeial Forum 、1992年5−6月号、3389ページに記載された方法によって測定した。得られた結果によって、スクラルフェートが速やかに放出されたことが立証された。
実施例6
アモキシシリン三水和物を速放性の処方剤とともに含有する層1、層1と同じ薬剤を徐放性の処方剤とともに含有する層2、ならびに遮断材型の層の下層からの薬剤放出速度を下げる役目を果たす当該遮断材型の層3から構成される、図1に示すような圧縮錠剤。
6−a 層1の製剤用の混合物
アモキシシリン三水和物(アモキシリン250mgに相当)
(リボン(Ribon )、(イタリア、ミラノ)) 287.0mg
微晶質セルロース(アビセル(Avicel)PH102 ) 100.0mg
カルボキシメチルデンプン(エクスプロタブ(登録商標)、
エドワード・メンデル社(米国ニューヨーク州
カーメル)) 20.0mg
タルク(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 40.0mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 15.0mg
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 10.0mg
合計 452.0mg
アモキシシリン三水和物、微晶質セルロース、カルボキシメチルデンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、およびコロイド状シリカを15分間渦攪拌した。得られた混合物A6はサラサラで、直接圧縮すると良好な圧縮性を示した。この混合物を、後述するようにして圧縮した。
6−b 層2に用いる顆粒状素材の調製
アモキシシリン三水和物(アモキシシリン250mgに相当)
(リボン(イタリア、ミラノ)) 287.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K15M、コロルコン(英国、
オルピングトン)) 100.0mg
マンニトール(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 50.0mg
ポリビニルピロリドン(プラスドン(登録商標)K29−32、
ガフ社(米国ニューヨーク州ウェイン)) 20.0mg
タルク(C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 5.0mg
ステアリン酸マグネシウム(C.エルバ
(イタリア、ミラノ)) 2.0mg
合計 464.0mg
アモキシシリン三水和物、マンニトール、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースを乳鉢ですりつぶし、ポリビニルピロリドンの10%エタノール溶液で湿らせた。混合物を25メッシュの篩網を通してふるい、重量が一定となるまで炉で乾燥し、再度同一の篩網を通してふるい、ステアリン酸Mgならびにタルクを加え、15分間渦攪拌した。
【0094】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(C6)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
6−c 遮断材型の層3に用いる顆粒状素材
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトセル(登録商標)K100M、コロルコン(英国、
オルピングトン)) 74.6%
水添カスター油(クティナHR、ヘンケル
(ドイツ、デュッセルドルフ)) 15.4%
エチルセルロース(エトセル(登録商標)14cP、
BDHケミカル社(英国、プール)) 8.0%
FCFブルー、EEC133、(コロルコン
(英国、オルピングトン)) 0.5%
ステアリン酸マグネシウム(米国薬局方等級、
C.エルバ(イタリア、ミラノ)) 1.0%
コロイド状シリカ(シロイド244、グレース社
(ドイツ、ウォルムス)) 0.5%
ヒドロキシプロピルメチルセルロースならびに水添カスター油を乳鉢ですりつぶし、染剤を十分に分散させた。混合物をエチルセルロースの5%エタノール溶液で湿らせ、25メッシュの篩網を通してふるい、炉中で30℃にて約2時間乾燥させ、再度25メッシュの篩網を通してふるい、コロイド状シリカならびにステアリン酸Mgを加え、15分間渦攪拌した。
【0095】
サラサラした圧縮性の良い顆粒状の素材(B6)が得られ、この素材を後述するようにして圧縮した。
【0096】
上述のようにして得られた3種の顆粒状素材を、楕円形の凹面ポンチを備えた三層錠剤作製用のロータリープレス機(9.0x19.0mm、R=10.0mm)(レイヤー−プレス(Layer-press )、マネスティー(英国、リバプール))の3つの供給用ホッパーに入れた。
【0097】
プレス機は、第一充填位置に、薬剤250mgに相当する452mgの混合物A6が供給され、第二充填位置に、薬剤250mgに相当する464mgの顆粒素材C6が供給され、第三充填位置に、112mgの顆粒素材B6が供給されるように設定した。B6のこの量は、重合体層を4−6時間以上にわたって薬剤非浸透性とするうえで十分な量であることが立証された。
【0098】
したがって、このプレス機によって、第一層から250mgのアモキシシリンが短時間のうちに放出され、第二層から250mgのアモキシシリンがもっと時間をかけて放出される三層錠剤が自動的に作製されることとなる。
【0099】
装置(かご、100rpm)を用い、米国薬局方XXIIに開示された方法にしたがって溶解試験を行うことによって製剤を監視した。溶解用の液は37℃の0.1NHCl(1000ml)とした。薬剤の放出は、自動サンプリング・測定システムならびにデータ処理用の自動プログラム(スペクトラコンプ602、アドバンスト・プロダクツ(イタリア、ミラノ))を使用して、230nmに設定した紫外線分光光度計によって監視した。
【0100】
得られた結果を、表6に示す。
【0101】
【表6】

この例では、薬剤の最初の部分が直ちに(5分以内)に放出され、第二の部分が約12時間で放出された。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】1.速放性あるいは放出制御型の層。2.徐放性の層。3.遮断材型の層。
【図2】4.速放性あるいは放出制御型の層。5.徐放性の層。6.遮断材型の層。
【図3】7.速放性あるいは放出制御型の層。8.遮断材型の層。9.徐放性の層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3層からなり、
第1層が、1種以上の薬剤と、水性流体と接触すると速やかに膨潤および/または溶解および/または浸食される重合体物質、ならびに佐剤から構成される速放性あるいは放出制御型の処方剤とを含有し、
第2層が、第1層と同一あるいは異なる一種以上の薬剤と、水性流体と接触すると膨潤および/またはゲル化および/または浸食される重合体物質、ならびに佐剤から構成される徐放性の処方剤とを含有し、
低浸透性の遮断材型の層が第2層をコートするか、第1層と第2層の間に設けられており、この遮断材型の層が、重合体物質、佐剤、可塑剤、ならびに必要に応じて薬剤から構成されている、
1種以上の薬剤を異なった速度で放出することができる薬用圧縮錠剤。
【請求項2】
上記第1層の重合体物質が、架橋ポリビニルピロリドン、低分子量および中程度の分子量のヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプン、メタクリル酸カリウム−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、微晶質セルロースおよびセルロース誘導体、β−シクロデキストリンおよびデキストリン誘導体よりなる群から選ばれるものである請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項3】
上記第1層の重合体物質が、この層の1.0−90重量%を構成する請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項4】
上記第1層の佐剤が、デンプン、プレゲル化デンプン、リン酸カルシウム、マンニトール、ラクトース、サッカロース、グルコース、ソルビトール、微晶質セルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、デンプン溶液、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガカントゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、コロイド状シリカ、モノステアリン酸グリセリル、水添カスター油、ワックス、ならびにモノ−、ビ−、およびトリ置換グリセリドよりなる群から選ばれるものである請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項5】
上記第2層の重合体物質が、分子量が1,000−4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、分子量が2,000−2,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニル重合体、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、キサンタン、アルギニン酸およびその誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、ポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸無水物)、エチルセルロース、メチルセルロース、ならびにセルロース誘導体よりなる群から選ばれるものである請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項6】
上記第2層の重合体物質が、この層の5−90重量%を構成する請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項7】
上記第2層の佐剤が、上記第1層の佐剤と同一の群から選ばれたものである請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項8】
上記遮断材型層の重合体物質が、分子量が1,000−4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、分子量が2,000−2,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニル重合体、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、キサンタン、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ならびにメチルセルロースよりなる群から選ばれるものである請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項9】
上記遮断材型層の重合体物質が、この層の5−90重量%を構成する請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項10】
上記遮断材型層の佐剤が、モノステアリン酸グリセリル、半合成グリセリド、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルク、安息香酸ナトリウム、硼酸、ならびにコロイド状シリカよりなる群から選ばれるものである請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項11】
上記遮断材型層の可塑剤が、水添カスター油、脂肪酸、置換トリグリセリドおよびグリセリド、分子量が400−60,000のポリオキシエチレングリコールおよびその誘導体よりなる群から選ばれるものである請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項12】
上記薬剤が、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジフルニサル、ピロキシカム、ナプロキセン、フルルビプロフェン、トルメチンナトリウム、アンピシリン、アモキシシリン、セフラジン、クラブラン酸、セファクロル、セファレキシン、クロキサシリン、エリスロマイシンならびにその塩および誘導体、ニトロフラントイン、ナリジクス酸、オキソリニク酸、ピペミド酸およびその誘導体、ジアゼパム、ニトラゼパム、フルラゼパム、オキサゼパム、クロルジアゼポキシド、メダゼパム、ロラゼパム、ジルチアゼム、トラピジル、ウラピジル、ベンズヨーダロン、ジピリダモール、リドフラジン、シュウ酸ナフチドロフリル、マレイン酸ペルヘキセリン、塩酸オキシフェドリン、エフェドリン、テルフェナジン、テオフィリン、およびクロルフェニラミンよりなる群から選ばれるものである請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項13】
上記第1層が、厚さ0.5−5mmで、1−90重量%の薬剤を含有している請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項14】
上記第2層が、厚さ0.5−5mmで、0.5−80重量%の薬剤を含有している請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項15】
上記遮断材型層が、厚さ0.1−4.5mmで、0−20重量%の薬剤を含有している請求項1に記載の圧縮錠剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の薬剤を異なった速度で放出することができ、3層からなり、顆粒成分の混合物を圧縮することにより得られる薬用圧縮錠剤。
ここで当該錠剤は、第1層、第2層、および低浸透性の遮断材型層を含み、
当該第1層は、1種以上の薬剤と、水性流体と接触すると速やかに膨潤もしくは溶解する重合体物質ならびに佐剤を含む速放性あるいは放出制御型の処方剤とを含有し、
当該重合体物質が、架橋ポリビニルピロリドン、低分子量および中程度の分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、および微晶質セルロースよりなる群から選択され、第1層の1.0−90重量%を構成しており、
当該第2層は、第1層と同一あるいは異なる一種以上の薬剤と、水性流体と接触すると膨潤もしくはゲル化もしくは浸食する重合体物質ならびに佐剤を含む徐放性の処方剤とを含有し、
当該重合体物質は、分子量が1,000−4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンよりなる群から選択され、第2層の5−90重量%を構成しており、
当該低浸透性の遮断材型層は、第1層と第2層の間に設けられており、(i)重合体物質、(ii)佐剤、および(iii)可塑剤を含み、
当該重合体物質は、分子量が1,000−4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびエチルセルロースよりなる群から選択され、遮断材型層の5−90重量%を構成しており、
当該可塑剤は、水添カスター油ならびに脂肪酸もしくはその塩よりなる群から選択される、
上記薬用圧縮錠剤。
【請求項2】
上記第1層の佐剤が、デンプン、プレゲル化デンプン、リン酸カルシウム、マンニトール、ラクトース、サッカロース、グルコース、ソルビトール、微晶質セルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、デンプン溶液、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガカントゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、コロイド状シリカ、モノステアリン酸グリセリル、水添カスター油、ワックス、ならびにモノ−、ビ−、およびトリ置換グリセリドよりなる群から選ばれるものである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項3】
上記第2層の佐剤が、上記第1層の佐剤と同一の群から選ばれたものである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項4】
上記遮断材型層の佐剤が、モノステアリン酸グリセリル、半合成グリセリド、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルク、安息香酸ナトリウム、硼酸、ならびにコロイド状シリカよりなる群から選ばれるものである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項5】
上記第1層が、厚さ0.5−5mmである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項6】
上記第2層が、厚さ0.5−5mmである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項7】
上記遮断材型層が、厚さ0.1−4.5mmである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項8】
上記薬剤が、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジフルニサル、ピロキシカム、ナプロキセン、フルルビプロフェン、トルメチンナトリウム、アンピシリン、アモキシシリン、セフラジン、クラブラン酸、セファクロル、セファレキシン、クロキサシリン、エリスロマイシンならびにその塩および誘導体、ニトロフラントイン、ナリジクス酸、オキソリニク酸、ピペミド酸およびその誘導体、ジアゼパム、ニトラゼパム、フルラゼパム、オキサゼパム、クロルジアゼポキシド、メダゼパム、ロラゼパム、ジルチアゼム、トラピジル、ウラピジル、ベンズヨーダロン、ジピリダモール、リドフラジン、シュウ酸ナフチドロフリル、マレイン酸ペルヘキセリン、塩酸オキシフェドリン、エフェドリン、テルフェナジン、テオフィリン、およびクロルフェニラミンよりなる群から選ばれるものである、請求項1に記載の圧縮錠剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−160762(P2006−160762A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32801(P2006−32801)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【分割の表示】特願平6−507808の分割
【原出願日】平成5年9月21日(1993.9.21)
【出願人】(505201593)ヤゴテック アーゲー (1)
【Fターム(参考)】