説明

1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ならびに1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンおよび1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンの少なくとも1つの調製法

1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、ならびに少なくとも1つの1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)の製造プロセスを開示する。このプロセスは、(a) HF、Cl、および式CXCCl=CX(式中、各Xは、独立して、FまたはClである)の少なくとも1つのハロプロペンを反応させて、CFCClCFおよびCFCClFCClFの両方を含む生成物を生成する工程と、(b) (a)で生成したCFCClCFおよびCFCClFCClFを水素と反応させて、CFCHCF、ならびにCHFCHFCFおよびCFCHFCFからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む生成物を生成する工程と、(c) (b)で生成した生成物から、CFCHCF、ならびにCHFCHFCFおよびCFCHFCFからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を回収する工程とを含む。(a)において、ZnCr/結晶性α−酸化クロム組成物、フッ素化剤で処理されたZnCr/結晶性α−酸化クロム組成物、ハロゲン化亜鉛/α−酸化クロム組成物、および/またはフッ素化剤で処理されたハロゲン化亜鉛/α−酸化クロム組成物を含むクロロフルオロ化触媒の存在下で、CFCClCFおよびCFCClFCClFが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンおよび1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンの合成に関する。
【背景技術】
【0002】
地球のオゾン層に対して、多くの塩素含有ハロカーボンが有害であると考えられている。有効な代替品として役割を果たし得る、より低いオゾン枯渇潜在性を有する材料を開発する努力が世界的になされている。例えば、冷凍システムにおいて、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)の代替品として、ヒドロフルオロカーボン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)が使用されている。塩素をほとんど含有しないか、または塩素を含有しないハロゲン化炭化水素を提供する製造プロセスが必要とされている。ヒドロフルオロカーボン(すなわち、炭素、水素およびフッ素のみを含有する化合物)の生成は、溶媒、膨張剤、冷却剤、洗浄剤、エーロゾル推進剤、伝熱媒体、誘電体、消火剤およびパワーサイクル作業流体として使用するための環境的に望ましい生成物を提供するために非常に関心のある主題である。例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンは消火剤および冷却剤として実用性を有し、および1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンは冷却剤として実用性を有し、および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンは消火剤および推進剤として実用性を有する。
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第60/511,353号明細書
【特許文献2】米国特許第3,878,257号明細書
【特許文献3】米国特許第5,036,036号明細書
【特許文献4】米国特許出願第60/511,284号明細書
【特許文献5】米国特許第5,068,472号明細書
【特許文献6】米国特許第5,057,634号明細書
【特許文献7】米国特許第6,540,933号明細書
【非特許文献1】サターフィールド(Satterfield)著、ヘテロジニアス キャタリシス イン インダストリアル プラクティス(Heterogenous Catalysis in Industrial Practice),第2版(マグローヒル(McGraw−Hill),ニューヨーク(New York),1991)の第95頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、ならびに1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物の製造プロセスを提供する。このプロセスは、(a) HF、Cl、および式CXCCl=CX(式中、各Xは、独立して、FおよびClからなる群から選択される)の少なくとも1つのハロプロペンを反応させて、CFCClCFおよびCFCClFCClFを含む生成物を生成する工程であって、前記CFCClCFおよびCFCClFCClFが、(i)ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含む組成物、(ii)ハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む組成物、および(iii)フッ素化剤(例えば、無水フッ化水素)で処理された(i)または(ii)の組成物からなる群から選択される少なくとも1つの組成物を含むクロロフルオロ化触媒の存在下で生成される工程と、(b) (a)で生成したCFCClCFおよびCFCClFCClFを、任意選択的にHFの存在下で、水素と反応させて、CFCHCF、ならびにCHFCHFCFおよびCFCHFCFからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む生成物を生成する工程と、(c) (b)で生成した生成物から、CFCHCF、ならびにCHFCHFCFおよびCFCHFCFからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を回収する工程とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、CFCHCF(HFC−236fa)およびCFCHFCHF(HFC−236ea)の調製プロセスを提供する。本発明は、HFC−236faおよびCFCHFCF(HFC−227ea)の調製プロセスも提供する。
【0006】
本発明のプロセスの工程(a)において、1つまたは複数のハロプロペン化合物CXCCl=CX(式中、各Xは、独立して、FおよびClからなる群から選択される)を塩素(Cl)およびフッ化水素(HF)と反応させて、CFCClCF(CFC−216aa)およびCFCClFCClF(CFC−216ba)を含む生成物の混合物を生成する。従って、本発明は、簡単に入手可能な出発材料からのCFCClCF(CFC−216aa)およびCFCClFCClF(CFC−216ba)の混合物の調製プロセスを提供する。
【0007】
本発明のプロセスのために適切な出発材料としては、CFCCl=CF(CFC−1215xc)、E−およびZ−CFCCl=CClF(CFC−1214xb)、CFCCl=CCl(CFC−1213xa)、CClFCCl=CCl(CFC−1212xa)、CClFCCl=CCl(CFC−1211xa)ならびにCClCCl=CCl(ヘキサクロロプロペン、HCP)またはそれらの混合物が挙げられる。
【0008】
本発明のプロセスのために好ましい出発材料は、それらの迅速な接近性に基づき、CFCCl=CCl(CFC−1213xa)およびCClCCl=CCl(ヘキサクロロプロペン、HCP)である。
【0009】
好ましくは、加熱管型反応器中、気相中で、HFおよびClとハロプロペンCXCCl=CXとの反応を実行する。反応器の水平または垂直配向を含む多くの反応器の配置が可能であり、およびハロプロペン出発材料と、HFおよび塩素との様々な接触様式が可能である。好ましくは、HFおよび塩素は実質的に無水である。
【0010】
工程(a)の一実施形態において、クロロフルオロ化触媒を含有する反応器にハロプロペン出発材料を供給する。ハロプロペン出発材料を最初に蒸発させ、および気体として反応器に供給してもよい。
【0011】
工程(a)のもう1つの実施形態において、予備反応器中でハロプロペン出発材料をHFと接触させてよい。予備反応器は空(すなわち、未充填)であってもよいが、好ましくは、CXCCl=CXおよびHF蒸気の効率的な混合を可能にする、モネル(Monel)(商標)またはハステロイ(Hastelloy)(商標)ニッケル合金ターニングもしくはウール、またはHClおよびHFに対して不活性な他の材料のような適切なパッキングによって充填されている。
【0012】
予備反応器へのハロプロペン出発材料の液体供給を使用する場合、予備反応器を垂直に配向することが好ましく、CXCCl=CXが反応器の上部から入り、および予熱されたHF蒸気は反応器の底部で導入される。
【0013】
予備反応器の適切な温度は、約80℃〜約250℃、好ましくは、約100℃〜約200℃の範囲内である。これらの条件下で、例えば、ヘキサクロロプロペンは、主にCFC−1213xaを含有する混合物へと変換される。反応器の長さおよび直径、温度、ならびに予備反応器内で所望されるフッ素化度によって、出発材料供給速度は決定される。所定の温度において供給速度が遅いほど、接触時間を増加させ、および出発材料の変換量を増加させる傾向があり、また生成物のフッ素化度を増加させる傾向がある。
【0014】
用語「フッ素化度」は、CXCCl=CX出発材料中でフッ素原子が塩素置換基を置換する範囲を意味する。例えば、CFCCl=CClFは、CClFCCl=CClより高いフッ素化度を表し、およびCFCClCFは、CClFCClCFより高いフッ素化度を表す。
【0015】
予備反応器または工程(a)の反応領域に供給されるHFと、工程(a)で供給されるハロプロペン出発材料とのモル比は、典型的に、ほぼ化学量論比から約50:1である。化学量論比は、ハロプロペン出発材料の平均フッ素化度次第であり、および典型的に、CClの形成を基準とする。例えば、ハロプロペンがHCPである場合、HFとHCPとの化学量論比は6:1であり、ハロプロペンがCFC−1213xaである場合、HFとCFC−1213xaとの化学量論比は3:1である。好ましくは、HFとハロプロペン出発材料との比率は、(CClの形成を基準として)HFとハロプロペンとの化学量論比の約2倍から約30:1である。HFとハロプロペンとのより高い比率は特に有利ではなく、より低い比率によってCClの収率減少が生じる。
【0016】
予備反応器中でハロプロペン出発材料をHFと接触させる場合、工程(a)の反応領域において、予備反応器からの流出物は塩素と接触する。
【0017】
本発明のもう1つの実施形態において、予備反応器中でハロプロペン出発材料をClおよびHFと接触させてよい。予備反応器は空(すなわち、未充填)であってもよいが、好ましくは、CXCCl=CX、HFおよびClの効率的な混合を可能にする、モネル(Monel)(商標)またはハステロイ(Hastelloy)(商標)ニッケル合金ターニングもしくはウール、活性化炭素、またはHCl、HFおよびClに対して不活性な他の材料のような適切なパッキングによって充填されている。
【0018】
典型的に、飽和ハロプロパンが得られるようにオレフィン結合にClを添加することによって、ならびにハロプロパンおよび/またはハロプロペン中のCl置換基の少なくとも一部をFで置換することによって、予備反応器中で少なくとも一部のハロプロペン出発材料をClおよびHFと反応させる。本発明の本実施形態における予備反応器の適切な温度は、約80℃〜約250℃、好ましくは、約100℃〜約200℃の範囲内である。温度が高いほど、反応器に入るハロプロペンから飽和生成物への変換が高く、および出発材料のハロゲン化度が高い。HFの存在下、より高い予備反応器温度において、フッ素化度も増加する。
【0019】
用語「ハロゲン化度」は、ハロカーボン中の水素置換基がハロゲンによって置換され、および炭素−炭素二重結合がハロゲンによって飽和される範囲を意味する。例えば、CFCClCClFは、CFCCl=CClより高いハロゲン化度を有する。またCFCClFCFは、CFCHClCFより高いハロゲン化度を有する。
【0020】
予備反応器または工程(a)の反応領域に供給されるClと、工程(a)で供給されるハロプロペン出発材料とのモル比は、典型的に、約1:1〜約10:1である。1:1の比率未満でClを供給することによって、反応器流出物中に相対的に多量の不飽和材料および水素含有副生物の存在が生じる。
【0021】
工程(a)の好ましい実施形態において、好ましくはHFの存在下で、ハロプロペン出発材料を蒸発させ、および予備反応器中でHFおよびClと接触させ、次いで、クロロフルオロ化触媒と接触させる。予備反応器中で好ましい量のHFおよびClが供給される場合、反応領域中で追加的なHFおよびClは必要とされない。
【0022】
工程(a)の反応領域における適切な温度は、約230℃〜425℃以下、好ましくは、約250℃〜約400℃の範囲内である。より高温によって、CXCCl=CX出発材料のより高い変換が生じるが、CFCClFCFのような過フッ素化生成物の形成も生じ、これは触媒寿命の低下に寄与する。実施例において説明される通り、好ましい温度範囲は、触媒活性にいくらか依存する。約250℃より低温では、低収率のCFC−216aaおよびCFC−216baが得られる。未変換の出発材料および6未満のフッ素化度を有する生成物を反応領域へと戻して再生利用してもよい。
【0023】
本発明の気相の実施形態のために適切な反応器圧力は、約1気圧〜約30気圧の範囲内であってよい。プロセスの工程(b)において、他の反応生成物からHClの分離を促進するために、約5気圧〜約20気圧の反応器圧力が有利に使用され得る。
【0024】
本発明のプロセスで使用されるクロロフルオロ化触媒は、好ましくは、ZnCr(亜クロム酸亜鉛)および結晶性α−Cr(α−酸化クロム)を含む組成物、またはZnCr(亜クロム酸亜鉛)および結晶性α−Cr(α−酸化クロム)を含む前記組成物のフッ素化剤による処理によって得られる組成物である。これらの組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛の量は、好ましくは、約1原子%〜約25原子%である。
【0025】
ZnCr(亜クロム酸亜鉛)と結晶性α−酸化クロムとを含み、ZnCrが、組成物中の約10原子パーセントと67原子パーセントとの間のクロムと、組成物中の少なくとも約70原子パーセントの亜鉛とを含有し、および組成物中でクロム酸化物として存在するクロムの少なくとも約90原子パーセントが、ZnCrまたは結晶性α−酸化クロムとして存在するクロム含有触媒組成物に注目すべきである。およびまた、ZnCr(亜クロム酸亜鉛)と結晶性α−酸化クロムとを含むかかる組成物のフッ素化剤による処理によって調製されるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、ZnCrと結晶性α−酸化クロムとを含み、ZnCrが、組成物中の約20原子パーセントと約50原子パーセントとの間のクロムを含有する、かかるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、ZnCrと結晶性α−酸化クロムとを含み、ZnCrが、組成物中の少なくとも約90原子パーセントの亜鉛を含有する、かかるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、亜クロム酸亜鉛と結晶性α−酸化クロムとを含み、亜クロム酸亜鉛としては存在しないクロムの95原子パーセントより多くが結晶性α−酸化クロムとして存在する、かかるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、ZnCr(亜クロム酸亜鉛)および結晶性α−酸化クロムから本質的になるかかるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。
【0026】
これらの組成物は、例えば、か焼を伴う共沈法によって調製され得る。
【0027】
典型的な共沈手順において、亜鉛およびクロム(III)塩の水溶液が調製される。前記水溶液中の亜鉛およびクロム(III)塩の相対濃度は、最終触媒において所望されるクロムに対しての亜鉛の容積による原子パーセントによって示される。水溶液中のクロム(III)の濃度は、典型的に、1リットルあたり0.3〜3モルの範囲であり、1リットルあたり0.75〜1.5モルが好ましい濃度である。様々なクロム(III)塩を使用してよいが、硝酸クロム(III)または[Cr(NO(HO)]のようなその水和物型が前記水溶液の調製のために最も好ましいクロム(III)塩である。
【0028】
前記水溶液の調製のために様々な亜鉛塩を使用してよいが、本発明のプロセスに関する触媒の調製のために好ましい亜鉛塩としては、硝酸亜鉛(II)および[Zn(NO(HO)]のようなその水和物型が挙げられる。
【0029】
次いで、真空下または高温のいずれかで、クロム(III)および亜鉛塩の水溶液をエバポレーションし、固体を得て、次いで、これをか焼する。
【0030】
水酸化物として亜鉛およびクロムを沈殿させるために、水酸化アンモニウム(アンモニア水)のような塩基でクロム(III)および亜鉛塩の水溶液を処理することが好ましい。ナトリウムもしくはカリウムの水酸化物または炭酸塩のようなアルカリ金属を含有する塩基を使用してもよいが、好ましくない。クロム(III)および亜鉛塩の水溶液へのアンモニアの添加は、典型的に、1〜12時間の期間で徐々に実行される。塩基添加の間、溶液のpHを監視する。最終pHは、典型的に、6.0〜11.0、好ましくは、約7.5〜約9.0、最も好ましくは、約8.0〜8.7の範囲である。亜鉛およびクロムの水酸化物混合物の沈殿は、典型的に、約15℃〜約60℃、好ましくは、約20℃〜約40℃の温度で実行される。アンモニアの添加後、典型的に24時間まで混合物を撹拌する。沈殿されたクロムおよび亜鉛の水酸化物は、ZnCrおよびα−酸化クロムへの前駆体として有用である。
【0031】
亜鉛およびクロムの水酸化物混合物の沈殿の完了後、エバポレーションによって混合物を乾燥する。適切な温度でホットプレートもしくはスチームバス上、またはオーブンもしくは炉中のオープンパン中で、混合物を加熱することによって、これを実行してよい。適切な温度としては、約60℃〜約130℃(例えば、約100℃〜約120℃)の温度が挙げられる。あるいは、例えば、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で乾燥工程を実行してよい。
【0032】
任意選択的に、沈殿された亜鉛およびクロムの水酸化物混合物を回収し、および所望であれば脱イオン水で洗浄してよい。好ましくは、乾燥工程の前に、沈殿された亜鉛およびクロムの水酸化物混合物を洗浄しない。
【0033】
亜鉛およびクロムの水酸化物混合物から水を除去した後、次いで、約250℃〜約350℃で固体を加熱することによって硝酸塩を分解する。次いで、得られた固体を、約400℃〜約1000℃、好ましくは、約400℃〜約900℃の温度でか焼する。
【0034】
本発明で有用な亜鉛およびクロム組成物に関するさらなる情報は、2003年10月14日出願の米国特許公報(特許文献1)[CL2244 US PRV]に提供されており、これによって、この文献は全体的に本明細書に援用される(対応する国際出願PCT/US2004/______号パンフレットも参照のこと)。
【0035】
本発明のか焼された亜クロム酸亜鉛/α−酸化クロム組成物を、パッキング反応器に使用するためのペレットのような様々な形状にプレスしてもよい。粉末の形態で使用されてもよい。
【0036】
典型的に、ハロゲン化炭素化合物のフッ素含量を変化させるための触媒として使用する前に、か焼された組成物をフッ素化剤で前処理する。典型的に、四フッ化硫黄、フッ化カルボニルおよびフッ素化炭素化合物、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタンまたは1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンのような他の材料を使用してもよいが、このようなフッ素化剤はHFである。例えば、本発明のプロセスを実行するために使用される反応器であり得る適切な容器中に触媒を配置し、その後、乾燥されたか焼触媒上にHFを通過させ、HFで触媒を部分的に飽和させることによって、このような前処理を完了することができる。例えば、約200℃〜約450℃の温度で、例えば、約0.1〜約10時間の期間で、触媒上にHFを通過させることによって、これは都合よく実行される。それにもかかわらず、この前処理は必須ではない。
【0037】
工程(a)のクロロフルオロ化に適切な他の触媒は、ハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む組成物、ならびにハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む前記組成物のフッ素化剤による処理によって得られた組成物である。米国特許公報(特許文献2)は、かかる触媒の例を開示している。これらの組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛量は、好ましくは、約0.1原子%〜約25原子%であり、およびより好ましくは、約2原子%〜約10原子%である。ハロゲン化亜鉛がα−酸化クロムを含む担体上に担持されている組成物に注目すべきである。好ましくは、米国特許公報(特許文献3)に従ってα−酸化クロムを調製する。か焼亜クロム酸亜鉛/α−酸化クロム組成物に関して上記された通り、フッ素化剤による前処理を実行することができる。
【0038】
工程(a)のクロロフルオロ化プロセスで生成される化合物としては、ハロプロパンCFCClCF(CFC−216aa)およびCFCClFCClF(CFC−216ba)が挙げられる。
【0039】
工程(a)で生成され得るCFC−216aaおよびCFC−216baよりも高いフッ素化度を有するハロプロパン副生物としては、CFCClFCF(CFC−217ba)およびCFCFCF(FC−218)が挙げられる。
【0040】
CFC−216aaおよびCFC−216baよりも低いフッ素化度および/またはハロゲン化度を有する、工程(a)で形成され得るハロプロパンおよびハロプロペン副生物としては、CFCClCClF(CFC−215aa)、CFCClFCClF(CFC−215bb)、CFCClCClF(CFC−214ab)およびCFCCl=CF(CFC−1215xc)が挙げられる。
【0041】
工程(b)の前に、工程(a)の反応領域からの流出物からのCFCClCF、CFCClFCClF(および任意選択的にHF)は、典型的に、流出物の低沸点成分(典型的に、HCl、Cl、HFおよびCFCClFCFのような過フッ素化生成物を含む)、ならびに流出物のアンダー−フッ素化(under−fluorinated)成分(典型的に、CCl異性体、CCl異性体、ならびに/またはCCl異性体およびCFCCl=CClのようなアンダー−ハロゲン化(under−halogenated)成分を含む)から分離される。より高沸点の成分は工程(a)に戻されてよい。
【0042】
本発明の一実施形態において、アンダー−フッ素化成分としては、2003年10月14日出願の米国特許公報(特許文献4)[CL2320 US PRV](対応する国際出願PCT/US2004/______号パンフレットも参照のこと)に記載されるようにCFCHCHF(HFC−245fa)およびCFCHFCHF(HFC−245eb)に変換される、CFC−215aaおよびCFC−215bbが挙げられる。
【0043】
本発明のもう1つの実施形態において、工程(a)からの反応器流出物は蒸留カラムに送達され、ここで、より高沸点の成分がカラムの底部から除去されながら、HClおよびいずれのHCl共沸混合物もカラムの上部から除去される。次いで、第1の蒸留カラムの底部から除去された生成物は第2の蒸留カラムに送達され、ここで、HF、ClおよびいずれのCFC−217baも第2の蒸留カラムの上部で回収され、および残留HFならびにCFCClCFおよびCFCClFCClFを含む有機生成物を蒸留カラムの底部で回収する。第2の蒸留カラムの底部から回収された生成物がさらなる蒸留カラムに送達されてもよく、または有機物の豊富な相とHFの豊富な相との分離を可能にするために適切な温度に制御されたデカンターに送達されてもよい。HFの豊富な相を蒸留して、HFを回収し、次いでこれを工程(a)に再生利用してもよい。次いで、有機物の豊富な相を工程(b)に送達してよい。
【0044】
本発明のもう1つの実施形態において、米国特許公報(特許文献5)および米国特許公報(特許文献6)に開示される通り、過フッ素化副生物として回収されたCFC−217baをヘキサフルオロプロペン(HFP)へと変換してもよい。
【0045】
プロセスの工程(b)において、CFCClCFおよびCFCClFCClFを、第2の反応領域において水素(H)と接触させる。CFCClCFおよびCFCClFCClFを、少なくとも一部で、HFとのそれらの共沸混合物として、反応器領域へと供給してよい。
【0046】
工程(b)の一実施形態において、本明細書に援用される米国特許公報(特許文献7)に記載のように、CFCClCFおよびCFCClFCClFを含む混合物を、気相中で水素と一緒に、ニッケル、鉄、チタンまたはそれらの合金製の反応器へと送達する。適切な形態で金属によって任意選択的に充填されたこれらの材料の反応容器(例えば、金属管)も使用されてよい。合金について言及される場合、ニッケル合金は1〜99.9%(重量%)のニッケルを含有し、鉄合金は0.2〜99.8%(重量%)の鉄を含有し、およびチタン合金は72〜99.8%(重量%)のチタンを含有することを意味する。ニッケル、あるいは40%〜80%のニッケルを含有するもの、例えば、インコネル(Inconel)(商標)600ニッケル合金、ハステロイ(Hastelloy)(商標)C617ニッケル合金またはハステロイ(Hastelloy)(商標)C276ニッケル合金のようなニッケルの合金製の空(未充填)の反応容器の使用が注目される。
【0047】
充填のために使用される場合、金属または金属合金は、粒子、または穿孔プレート、リング、ワイヤ、スクリーン、チップ、パイプ、ショット、ガーゼまたはウールのような成形品であってよい。
【0048】
工程(b)の本実施形態における反応の温度は、約350℃〜約600℃の間であり得、および好ましくは、少なくとも約450℃である。
【0049】
水素と、反応領域に供給されるCFC−216aa/CFC−216ba混合物とのモル比は、CFC−216異性体1モルあたり約0.1モルのHからCFC−216異性体1モルあたり約60モルのHの範囲、より好ましくは、CFC−216異性体1モルあたり約0.4〜10モルのHでなければならない。HとCFC−216異性体との比率が高いほど、形成されるCFCHFCHFが多い。
【0050】
あるいは、水素化触媒の存在下で、水素とCFC−216aaおよびCFC−216baの混合物、ならびに任意選択的にHFとの接触を実行する。工程(b)の本実施形態において、気相中で水素と一緒に、水素化触媒を含有する反応領域へと前記混合物は送達される。本実施形態で使用するために適切な水素化触媒としては、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムおよび白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む触媒が挙げられる。前記触媒金属成分は、典型的に、炭素もしくは黒鉛、または金属担体がマグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄およびランタンからなる群から選択される金属酸化物、フッ素化金属酸化物、金属フッ化物担体のような担体上で担持される。
【0051】
(非特許文献1)で記載されるように、触媒金属の溶解性塩(例えば、塩化パラジウムまたは硝酸ロジウム)による担体の含浸によるような当該分野で既知の従来法によって、担持金属触媒を調製することができる。担体上の触媒金属の濃度は、典型的に、触媒の約0.1重量%〜約5重量%の範囲である。
【0052】
前記水素化触媒を含有する反応領域のための適切な温度は、約110℃〜約400℃、好ましくは、約125℃〜約350℃の範囲である。より高い温度によって、典型的に、CFC−216aaおよびCFC−216baのより高い変換が得られ、およびCHClF異性体のような部分的に塩素化された中間体はより少ない。125℃〜300℃の範囲の反応領域温度において、ヒドロ脱塩素化プロセスの主生成物はHFC−236faおよびHFC−236eaであり、および温度が増加すると、CFCClFCClF、ならびに中間体化合物CFCClFCHF(HCFC−226ba)およびCFCHFCClF(HCFC−226ea)のより高い変換のため、HFC−236eaの量は増加する。
【0053】
約400℃より高い温度によって、炭素−フッ素および炭素−炭素結合の水素化分解が引き起こされ得るが、約125℃より低い温度では、ハロプロパンの変換は低く、および部分的に塩素化された中間体が多量に形成される。
【0054】
前記水素化触媒を含有する反応領域へ供給される水素(H)の量は、典型的に、ジクロロヘキサフルオロプロパン1モルあたり約1モルのHから、ジクロロヘキサフルオロプロパン1モルあたり約20モルのH、好ましくは、ジクロロヘキサフルオロプロパン1モルあたり約2モルのHから、ジクロロヘキサフルオロプロパン1モルあたり約10モルのHである。
【0055】
工程(b)の反応領域において使用される圧力は重要ではなく、および約1気圧〜30気圧の範囲であってもよい。他の反応生成物からHClの分離を促進するために、約20気圧の圧力が有利に使用され得る。
【0056】
工程(b)でのHFC−227eaの生成を促進するために、水素化触媒を含有する反応領域へと無水フッ化水素(HF)を同時供給してもよい。水素と一緒に反応領域へと同時供給されるHFの量は、CFC−216異性体1モルあたり約0.2モルのHFからCFC−216異性体1モルあたり約4モルのHFであってよい。これらの条件下で、反応領域の温度を変化させることによって、HFC−236faおよびHFC−236eaを主に含有する生成物の混合物、またはHFC−236faおよびHFC−227eaを主に含有する生成物の混合物を得ることが可能である。125℃〜約250℃の反応領域の温度では、生成物混合物はHFC−236faおよびHFC−236eaを主に含有する。約275℃〜約350℃の反応領域の温度では、生成物混合物はHFC−236faおよびHFC−227eaを主に含有する。従って、生成物混合物の内容物は、CCl/HF/Hの供給比および反応領域温度の操作によって調節可能である。
【0057】
工程(b)の反応領域からの排出物は、典型的に、HCl、未反応水素、CFCF=CF(HFP)、CFCHCF(HFC−236fa)、CFCHFCHF(HFC−236ea)およびCFCHFCF(HFC−227ea)、ならびに工程(a)または工程(b)から持ち越されたいずれものHFを含む。加えて、少量のCFCFCHF(HFC−236cb)、CFCCl=CF(CFC−1215xc)、ならびにCFCHClCF(HCFC−226da)、CFCClFCHF(HCFC−226ba)、CFCHFCClF(HCFC−226ea)を含むCHClF異性体のような部分的に塩素化された副生物が形成され得る。
【0058】
工程(c)において、所望の生成物は回収される。工程(b)からの反応器排出物は、個々に、混合物として、またはそれらのHF共沸混合物として、CFCHCFおよびCFCHFCHFおよび/またはCFCHFCFを回収する分離ユニットに送達されてよい。
【0059】
いずれの未変換のCFC−216baおよびCFC−216aaも含む、部分的に塩素化された副生物は回収されて、工程(a)へと戻されるか、または工程(b)の水素化反応器に戻されてよい。ヘキサフルオロプロペンは別々に回収されるか、工程(a)もしくは(b)に戻されてよい。
【0060】
本発明のプロセスの適用時に使用される反応器、蒸留カラム、ならびにそれらの関連供給ライン、流出ラインおよび関連装置は、フッ化水素および塩化水素に耐性を有する材料から構成されなければならない。構造の典型的な材料はフッ素化の分野で周知であり、ステンレス鋼、特に、オーステナイト型のもの、モネル(Monel)(商標)ニッケル−銅合金、ハステロイ(Hastelloy)(商標)ニッケルベース合金およびインコネル(Inconel)(商標)ニッケル−クロム合金のような周知の高ニッケル合金、ならびに銅−クラッド鋼が挙げられる。
【0061】
以下の具体的な実施形態は単なる実例として解釈されるべきであり、および本開示の残りの部分をいずれかの形式に制約することはない。
【実施例】
【0062】
【表1】

【0063】
(触媒調製)
(比較調製例1)
(100%クロム触媒の調製(400℃))
1000mLの脱イオン水中400gのCr(NO[9(HO)](1.0モル)の溶液を、477mLの7.4Mアンモニア水によって滴下処理し、pHを約8.5まで高めた。スラリーを室温で一晩撹拌した。アンモニアによってpHを8.5まで再調節した後、混合物を蒸発皿中に注ぎ入れ、および空気中120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中400℃でか焼すると、得られた固体の重量は61.15gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および比較例3で28.2g(20mL)を使用した。
【0064】
(比較調製例2)
(アルミナ触媒上の2%亜鉛の調製)
460mLの蒸留水中に溶解された20.85gのZnCl(0.153モル)の溶液に酸化アルミニウム(4.90モル、ハッーショー(Harshaw)3945、110℃で乾燥)を添加した。撹拌しながら混合物から水を蒸発させ、次いで、110℃で3日間乾燥させた。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および比較例1で21.1g(30mL)を使用した。
【0065】
(調製例1)
(クロム酸化物上に担持された2%塩化亜鉛の調製)
125mm×65mmのガラス皿中に含有される60mLの脱イオン水中1.20gのZnCl(8.81ミリモル)の溶液を、60.00g(0.357モル)の12〜20メッシュCrで処理した。この皿を加温されたホットプレート上に置き、および時々撹拌しながらスラリーを乾燥させた。次いで、得られた固体を一晩130℃で乾燥させると、得られた固体の重量は60.42gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例10で41.5g(30mL)を使用した。
【0066】
(調製例2)
(95%クロム/5%亜鉛触媒の調製(450℃))
1000mLの脱イオン水中で、380.14gのCr(NO[9(HO)](0.950モル)および14.87gのZn(NO[6(HO)](0.050モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1時間かけて処理すると、pHが1.7からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中450℃で20時間か焼すると、得られた固体の重量は76.72gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例11で38.5g(25mL)を使用した。
【0067】
(調製例3)
(90%クロム/10%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、360.13gのCr(NO[9(HO)](0.900モル)および29.75gのZn(NO[6(HO)](0.100モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1.4時間かけて処理すると、pHが1.9からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で20時間か焼すると、得られた固体の重量は75.42gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例5および6で42.3g(25mL)を使用した。
【0068】
(調製例4)
(95%クロム/5%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、380.14gのCr(NO[9(HO)](0.950モル)および14.87gのZn(NO[6(HO)](0.050モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1時間かけて処理すると、pHが1.7からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で20時間か焼すると、得られた固体の重量は70.06gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例1および2で25.3g(14mL)を使用した。
【0069】
(調製例5)
(98%クロム/2%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、392.15gのCr(NO[9(HO)](0.980モル)および5.94gのZn(NO[6(HO)](0.020モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で0.58時間かけて処理すると、pHが1.67からpH8.35へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で21時間か焼すると、得られた固体の重量は66.00gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例7で44.9g(23mL)を使用した。
【0070】
(調製例6)
(クロム酸化物上に担持された10%塩化亜鉛の調製)
170mm×90mmのガラス皿中に含有される300mLの脱イオン水中6.0gのZnCl(44ミリモル)の溶液を、60.00g(0.357モル)の12〜20メッシュCrで処理した。この皿を加温されたホットプレート上に置き、および時々撹拌しながらスラリーを乾燥させた。次いで、得られた固体を一晩130℃で乾燥させると、得られた固体の重量は65.02gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例8で37.5g(25mL)を使用した。
【0071】
(調製例7)
(98.1%クロム/1.9%亜鉛触媒の調製(550℃))
ホットプレート上で静止している1Lビーカー中、500mLの脱イオン水中で、516.46gのCr(NO[9(HO)](1.29モル)および7.31gのZn(NO[6(HO)](0.0246モル)の溶液を調製した。次いで、この混合物をパイレックス(Pyrex)(商標)容器に移し、および容器を炉の中に配置した。10℃/分で容器を室温から125℃まで加熱し、次いで6時間125℃で保持した。1℃/分で容器を125℃から350℃まで加熱し、次いで6時間350℃で保持した。1℃/分で容器を350℃から550℃まで加熱し、次いで24時間550℃で保持した。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例9で29.9g(20mL)を使用した。
【0072】
(調製例8)
(80%クロム/20%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、320.12gのCr(NO[9(HO)](0.800モル)および59.49gのZn(NO[6(HO)](0.200モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1時間かけて処理すると、pHが1.7からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で22時間か焼すると、得られた固体の重量は75.80gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例3および4で41.7g(25mL)を使用した。
【0073】
(実施例1〜11および比較例1〜4)
(CFCCl=CClのクロロフルオロ化に関する一般手順)
計量された量のペレット化された触媒を、流動砂浴中で加熱された直径5/8インチ(1.58cm)インコネル(Inconel)(商標)ニッケル合金反応管中に配置した。窒素流(50cc/分;8.3(10)−7/秒)中で約1時間かけて、管を50℃から175℃まで加熱した。次いで、50cc/分(8.3(10)−7/秒)の流速でHFを反応器に加えた。0.5〜2時間後、窒素流を20cc/分(3.3(10)−7/秒)まで減少させ、HF流を80cc/分(1.3(10)−6/秒)に増加させ、この流れを約1時間維持した。次いで、3〜5時間かけて、徐々に反応器温度を400℃まで増加させた。この期間の終わりに、HF流を停止し、および20sccm(3.3(10)−7/秒)の窒素流の下で反応器を300℃まで冷却させた。ポンプから、約118℃に維持された蒸発器までCFC−1213xaを供給した。モネル(Monel)(商標)ターニングによって充填された直径0.5インチ(1.27cm)のモネル(Monel)(商標)ニッケル合金管において、CFC−213xa蒸気を適切なモル比のHFおよびClと組み合わせた。次いで、反応剤の混合物を反応器に加えた。特記されない限り、接触時間は30秒であった。1気圧の公称圧力で全反応を実行した。いくつかの触媒上でクロロフルオロ化されたCFC−1213xaの結果を表1に示す。分析データはGC面積%の単位で与えられる。
【0074】
(実施例12〜18)
(CFCClCF(49.7%)/CClFCClFCF(50.3%)混合物のヒドロ脱塩素化)
フッ化アルミナ触媒上に担持された市販の1%Pd上でのCFCClCFおよびCFCClFCClFの混合物のヒドロ脱塩素化の結果を表2に示す。生成物の分析データはGC面積%の単位で与えられる。公称触媒床体積は15mLであり、接触時間は30秒であった。ヒドロ脱塩素化を開始する前に、2時間400℃で20sccm空気による処理によって触媒を活性化した。次いで、2.2時間150℃〜200℃で25sccm水素流中で触媒を還元し、続いて、3.5時間200℃〜400℃でHF(80sccm)および窒素(20sccm)の混合物によって処理した。次いで、触媒を200℃で窒素パージした。ポンプから、約65℃〜70℃に維持された蒸発器までCFC−216aa/216ba混合物を供給した。モネル(Monel)(商標)ターニングによって充填された直径0.5インチ(1.27cm)のモネル(Monel)(商標)ニッケル合金管において、CFC−216蒸気を適切なモル比のHFと組み合わせた。次いで、反応剤の混合物を反応器に加えた。特記されない限り、接触時間は30秒であった。1気圧の公称圧力で全反応を実行した。
【0075】
【表2】

【0076】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ならびに1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンおよび1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物の製造方法であって、
(a) HF、Cl、および式CXCCl=CX(式中、各Xは、独立して、FおよびClからなる群から選択される)の少なくとも1つのハロプロペンを反応させて、CFCClCFおよびCFCClFCClFを含む生成物を生成する工程であって、前記CFCClCFおよびCFCClFCClFが、(i)ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含む組成物、(ii)ハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む組成物、および(iii)フッ素化剤で処理された(i)または(ii)の組成物からなる群から選択される少なくとも1つの組成物を含むクロロフルオロ化触媒の存在下で生成される工程と、
(b) (a)で生成したCFCClCFおよびCFCClFCClFを、任意選択的にHFの存在下で、水素と反応させて、CFCHCF、ならびにCHFCHFCFおよびCFCHFCFからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む生成物を生成する工程と、
(c) (b)で生成した生成物から、CFCHCF、ならびにCHFCHFCFおよびCFCHFCFからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を回収する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
予備反応器中で前記ハロプロペン反応剤をClおよびHFと接触させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予備反応器中で前記ハロプロペン反応剤をHFと接触させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
約350℃〜約600℃の温度で、ニッケル合金が充填されていないか、充填されている反応領域において(b)の反応を実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
約100℃〜約350℃の温度で、水素化触媒を含有する反応領域において(b)の反応を実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)において、前記触媒が、(i)ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含む組成物、および(iii)フッ素化剤で処理された(i)の組成物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
触媒組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛の量が、約1原子%〜約25原子%であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒が、(i)ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含む組成物であって、ZnCrが、前記組成物中の約10原子パーセントと67原子パーセントとの間のクロムと、前記組成物中の少なくとも約70原子パーセントの亜鉛とを含有し、および前記組成物中でクロム酸化物として存在するクロムの少なくとも約90原子パーセントが、ZnCrまたは結晶性α−酸化クロムとして存在する組成物、ならびに(iii)フッ素化剤で処理された(i)の組成物からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)において、前記触媒が、(ii)ハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む組成物、ならびに(iii)フッ素化剤で処理された(ii)の組成物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
触媒組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛の量が、約0.1原子%〜約25原子%であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒が、(ii)α−酸化クロムを含む担体上にハロゲン化亜鉛が担持されている組成物、および(iii)フッ素化剤で処理された(ii)の組成物からなる群から選択され;および、触媒組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛の量が、約2原子%〜約10原子%であることを特徴とする請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2007−508375(P2007−508375A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535419(P2006−535419)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/034447
【国際公開番号】WO2005/037742
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】