説明

1,2,4‐トリアジンを含むゴム組成物

本発明は、1種以上のジエンエラストマー、1種以上の補強用充填剤および加硫系をベースとし、上記加硫系が下記の式を有する1種以上の1,2,4‐トリアジン化合物を含むことを特徴とする、タイヤ製造用のゴム組成物に関する:
【化1】


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にタイヤまたはタイヤ用の半製品(トレッドのような)の製造において使用することのできるゴム組成物に関し、この組成物は、ジエンエラストマー、補強用充填剤および特定の1,2,4‐トリアジン化合物を含む加硫系をベースとする。
【0002】
ジエンエラストマーのイオウによる加硫は、ゴム工業において、特に、タイヤ工業において広く使用されている。ジエンエラストマーを加硫するには、イオウ以外に、ベンゾチアゾール環系を含むスルフェンアミドのような一次加硫促進剤と、各種の二次加硫促進剤または加硫活性化剤、特に、単独でまたは脂肪酸と一緒に使用する酸化亜鉛(ZnO)のような亜鉛誘導体とを含む比較的複雑な加硫系を使用する。
【0003】
一次加硫促進剤として使用するベンゾチアゾール環系を含むスルフェンアミドは、例えば、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド (“CBS”と略記する)、N,N‐ジシクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド (“DCBS”と略記する)、N‐tert‐ブチル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド (“TBBS”と略記する)およびこれらの化合物の混合物である。
【0004】
加硫促進剤は、遅延段階(誘導時間)、即ち、加硫反応の開始に必要な時間の達成において主要な役割を果し、当業者にとっては、このパラメーターは調整するが極めて困難であることが知られている。従って、さらなる補助促進剤の添加によって、必要に応じて調整できる長い遅延段階を誘導する加硫促進剤を取得することは当業者にとって特に有利である。
【発明の概要】
【0005】
本出願法人は、ジエンエラストマー、補強用充填剤および長い遅延段階を有し且つ通常のゴム組成物特性を保持しながら満足し得る架橋を示す加硫系をベースとする、特にタイヤ、特にトレッドの製造において使用し得る新規なゴム組成物を発見した。
【0006】
従って、本発明の主題は、1種以上のジエンエラストマー、1種以上の補強用充填剤および加硫系をベースとする、タイヤの製造用のゴム組成物であり、上記加硫系が、下記の式を有する1種以上の1,2,4‐トリアジン化合物を含むことを特徴とする:
【化1】

(I)

(式中、R1およびR2は、個々に、H、或いは線状、枝分れまたは環状のアルキル基およびアリール基から選ばれ、必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断されたC1〜C25炭化水素基を示し、R1およびR2は、一緒になって環を形成し得;
R3は、
・必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断され、且つ必要に応じて1個以上の環状C3〜C10アルキルまたはC6〜C12アリール基によって置換されている線状または枝分れのC1〜C25アルキル基;または、
・必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断され、且つ必要に応じて1個以上の線状、枝分れまたは環状のC1〜C25アルキルまたはC6〜C12アリール基(これらの基は必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断されている)によって置換されている環状のC3〜C10アルキル基;
を示す)。
【0007】
本発明のもう1つの主題は、下記の段階を含む、上記で定義したようなタイヤ製造用のゴム組成物の製造方法である:
・1種以上の補強用充填剤を、1種以上のジエンエラストマー中に、第1の“非生産”段階において混入し、全てを、1回以上、130℃と200℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練する段階;
・混ぜ合せた混合物を100℃未満の温度に冷却する段階;
・その後、第2の“生産”段階において、加硫系を混入する段階;および、その後の、
・全てを120℃未満の最高温度まで混練する段階。
【0008】
本発明のもう1つの主題は、本発明に従う組成物の、タイヤ、内部タイヤ安全支持体、ホイール、ゴムスプリング、弾性接合部または他の懸架および振動防止要素のような自動車接地系を意図する最終物品または半製品の製造における使用である。特に、本発明に従う組成物は、トレッド、クラウン補強用プライ、側壁、カーカス補強用プライ、ビード、プロテクター、下地層、ゴムブロック並びにタイヤの上記領域間の結合および界面を構成することを意図する他の内部ゴム、特に、デカップリングゴムのような、タイヤを意図するゴム半製品の製造において使用し得る。
【0009】
本発明のさらなる主題は、本発明に従う組成物を含む、自動車の接地系を意図する最終物品または半製品、特に、タイヤおよびタイヤ用の半製品である。本発明に従うタイヤは、特に、乗用車;または、バン類、重量車両(即ち、地下鉄列車、バス、重量道路輸送車両(トラック、トラクターもしくはトレーラー)または道路外車両)、農業用車両または土木機械、航空機、または他の輸送もしくは操作車両から選ばれた産業用車両を意図する。
【0010】
本発明の最後の主題は、1種以上のジエンエラストマー、1種以上の補強用充填剤および加硫系をベースとする組成物における、加硫促進剤としての、式(I)を有する1種以上の1,2,4‐トリアジン化合物の使用である。
本発明およびその利点は、下記の説明および実施例に照らして容易に理解し得るであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
I. 使用する測定および試験法
1,2,4‐トリアジン加硫促進剤を試験するゴム組成物は、以下で示すように、硬化の前後において特性決定する。
【0012】
ムーニー可塑度:
フランス規格NF T 43‐005(1991年)に記載されているような振動(oscillating)稠度計を使用する。ムーニー可塑度測定は、次の原理に従って実施する:生状態(即ち、硬化前)の組成物を100℃に加熱した円筒状チャンバー内で成形する。1分間の予熱後、ローターが試験標本内で2回転/分で回転し、この運動を維持するための仕事トルクを4分間の回転後に測定する。ムーニー可塑度(ML 1 + 4)は、“ムーニー単位”(UM、1UM = 0.83ニュートン.メートル)で表す。
【0013】
流動度測定:
測定は、規格DIN 53529:パート3 (1983年6月)従い、振動ディスクレオメーターによって150℃で実施する。時間の関数としての流動度測定トルクの変化(Δトルク)によって、加硫反応の結果として組成物の剛化の変化を説明する。測定値を規格DIN 53529:パート2 (1983年3月)従い処理する:t0は、誘導時間、即ち、加硫反応を開始するのに必要な時間であり;tα(例えば、t99)は、α%の転換率、即ち、最低トルクと最高トルクとの差のα%(例えば、99%)を達成するのに必要な時間である。また、加硫速度の評価を可能にする、第1順位であり、30%と80%の転換率の間で算出したK (分-1で表す)で示す転換速度定数も測定する。
【0014】
引張試験:
これらの引張試験は、弾性応力および破断点諸特性の測定を可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1988年9月のフランス規格 NF T 46‐002に従って行う。公称割線モジュラス(即ち、MPaでの見掛け応力)を、10%伸び(MA10と記す)、100%伸び(MA100と記す)および300%伸び(MA300と記す)において、2回目の伸びにおいて(即ち、測定自体で目論んだ伸びの度合においての順応サイクル後に)測定する。
破壊応力(MPaでの)および破断点伸び(%での)も測定する。これらの引張測定は、全て100±2℃において、また、標準の湿度条件(50±5%相対湿度)下に、フランス規格NF T 46‐101 (1979年12月)に従って実施する。
【0015】
動的特性:
動的特性(ΔG*およびtan(δ)max)は、規格ASTM D 5992‐96に従って、粘度アナライザー(Metravib VA4000)において測定する。単純な交互正弦剪断応力に10Hzの周波数で規格ASTM D 1349‐99に従う標準温度条件(23℃)または場合によっては異なる温度に供した加硫組成物のサンプル(厚さ4mmおよび400mm2の断面積を有する円筒状試験片)の応答を記録する。歪み振幅掃引を、0.1%から45%まで(外向きサイクル)、次いで45%から0.1%まで(戻りサイクル)で実施する。使用する結果は、複素動的剪断モジュラス(G*)および損失係数tan(δ)である。tan(δ)maxで示す観察されたtan(δ)の最高値および0.1%歪みでの値と45%歪みでの値間の複素弾性率の差(ΔG*) (パイネ効果)は、戻りサイクルにおいて示される。
【0016】
II. 本発明を実施するための条件
上記で説明したように、本発明に従う組成物は、1種以上のジエンエラストマー、1種以上の補強用充填剤および加硫系をベースとする。
“ベースとする”組成物なる表現は、使用する各種構成成分の混合物および/または反応生成物を含む組成物を意味するものと理解すべきである;これらベース構成成分のある種のものは、上記組成物の種々の製造段階において、特に、その加硫中に、少なくとも部分的に互いに反応し得るか或いは反応するように意図する。
【0017】
本説明においては、特に明確に断らない限り、パーセント(%)は、全て質量%である。さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aよりも大きくからbよりも小さいまでに及ぶ値の範囲を示し(即ち、限界値aとbを除く)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aからbまでに及ぶ値の範囲を意味する(即ち、厳格な限定値aおよびbを含む)。
【0018】
II‐1 ジエンエラストマー
用語“ジエン”エラストマーまたはゴムは、知られている通り、ジエンモノマー(共役型であり得るまたはあり得ない2個の炭素‐炭素二重結合を担持するモノマー)に少なくとも一部由来するエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解すべきである。
【0019】
これらジエンエラストマーは、2つのカテゴリー、即ち、“本質的に不飽和”または“本質的に飽和”に分類し得る。用語“本質的に不飽和”とは、一般に、15%(モル%)よりも多いジエン起源(共役ジエン類)の単位量を有する共役ジエンモノマー類に少なくとも一部由来するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい;従って、ブチルゴムまたはEPDMタイプのジエン類とα‐オレフィン類とのコポリマーのようなジエンエラストマーは、上記の定義には属さず、特に“本質的に飽和”のジエンエラストマー(常に15%未満である、低いまたは極めて低いジエン起原単位量)として説明される。“本質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、用語“高不飽和”ジエンエラストマーとは、特に50%よりも多いジエン起源(共役ジエン)の単位量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。
【0020】
これらの定義を考慮すると、本発明に従う組成物において使用することのできる用語ジエンエラストマーとは、さらに詳細には、下記を意味するものと理解されたい:
(a) 4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーを重合させることによって得られる任意のホモポリマー;
(b) 1種以上の共役ジエンを他のジエンまたは好ましくは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物と共重合させることによって得られる任意のコポリマー;
(c) 例えば、エチレンと、プロピレンと、特に1,4‐ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンのような下記のタイプの非共役ジエンモノマーとから得られるエラストマーのような、エチレンと、3〜6個の炭素原子を有するα‐オレフィンとを、6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーと共重合させることによって得られる3成分コポリマー、;および、
(d) イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、さらにまた、このタイプのコポリマーのハロゲン化形、特に、塩素化または臭素化形。
本発明は、任意のタイプのジエンエラストマーに当てはまるけれども、タイヤ技術における熟練者であれば、本発明は、好ましくは、特に上記のタイプ(a)または(b)の本質的に不飽和のジエンエラストマーと一緒に使用するものであることを理解されたい。
【0021】
以下は、特に、共役ジエンとして適している:1,3‐ブタジエン;2‐メチル‐1,3‐ブタジエン;例えば、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、2,3‐ジエチル‐1,3‐ブタジエン、2‐メチル‐3‐エチル‐1,3‐ブタジエンまたは2‐メチル‐3‐イソプロピル‐1,3‐ブタジエンのような2,3‐ジ(C1〜C5アルキル)‐1,3‐ブタジエン;アリール‐1,3‐ブタジエン;1,3‐ペンタジエンまたは2,4‐ヘキサジエン。以下は、例えば、ビニル芳香族化合物として適している:スチレン;オルソ‐、メタ‐またはパラ‐メチルスチレン;“ビニルトルエン”市販混合物;パラ‐(tert‐ブチル)スチレン;メトキシスチレン;クロロスチレン;ビニルメシチレン;ジビニルベンゼンまたはビニルナフタレン。
【0022】
上記コポリマーは、99質量%と20質量%の間のジエン単位および1質量%と80質量%の間のビニル芳香族単位を含み得る。上記エラストマーは、使用する重合条件、特に、変性剤および/またはランダム化剤の存在または不存在並びに使用する変性剤および/またはランダム化剤の量に依存する任意のミクロ構造を有し得る。これらのエラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列エラストマーであり得、分散液中、エマルション中または溶液中で調製し得る;これらのエラストマーは、カップリング剤および/または星型枝分れ化剤(star‐branching agent)或いは官能化剤によってカップリングしおよび/または星型枝分れし或いは官能化し得る。カーボンブラックにカップリングさせるには、例えば、C‐Sn結合を含む官能基、または、例えばアミノベンゾフェノンのようなアミノ化官能基を挙げることができ;シリカのような補強用無機充填剤にカップリングさせるには、例えば、シラノール官能基またはシラノール末端を有するポリシロキサン官能基(例えば、FR 2 740 778号、US 6 013 718号またはWO 2008/141702号に記載されているような)、アルコキシシラン基(例えば、FR 2 765 882号またはUS 5 977 238号に記載されているような)、カルボキシル基(例えば、WO 01/92402号またはUS 6 815 473号、WO 2004/096865号またはUS 2006/0089445号に記載されているような)、或いはポリエーテル基(例えば、EP 1 127 909号、US 6 503 973号、WO 2009/000750号またはWO 2009/000752号に記載されているような)を挙げることができる。また、他の官能化エラストマーの例としては、エポキシ化タイプのエラストマー(SBR、BR、NRまたはIRのような)も挙げることができる。
【0023】
以下が、適している:ポリブタジエン、特に、4%と80%の間の1,2‐単位含有量(モル%)を有するポリブジエンまたは80%よりも多いシス‐1,4‐単位含有量(モル%)を有するポリブタジエン;ポリイソプレン;ブタジエン/スチレンコポリマー、特に、0℃と−70℃の間、特に−10℃と−60℃の間のTg (ガラス転移温度、ASTM D3418に従って測定)、5質量%と60質量%の間、特に20質量%と50質量%の間のスチレン含有量、4%と75%の間のブタジエン成分1,2‐結合含有量(モル%)および10%と80%の間のトランス‐1,4‐結合含有量(モル%)を有するコポリマー;ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に、5質量%と90質量%の間のイソプレン含有量および−40℃〜−80℃のTgを有するコポリマー;または、イソプレン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間のスチレン含有量および5℃と−50℃の間のTgを有するコポリマー。ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマー類の場合は、5質量%と50質量%の間、特に10質量%と40質量%の間のスチレン含有量、15質量%と60質量%の間、特に20質量%と50質量%の間のイソプレン含有量、5質量%と50質量%の間、特に20質量%と40質量%の間のブタジエン含有量、4%と85%の間のブタジエン成分1,2‐単位含有量(モル%)、6%と80%の間のブタジエン成分トランス‐1,4‐単位含有量(モル%)、5%と70%の間のイソプレン成分1,2‐+3,4‐単位含有量(モル%)および10%と50%の間のイソプレン成分トランス‐1,4‐単位含有量(モル%)を有するコポリマー、さらに一般的には、−5℃と−70℃の間のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが、特に適している。
【0024】
要するに、本発明に従う組成物の1種以上のジエンエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエン(“BR”と略記する)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーの混合物からなる高不飽和ジエンエラストマーの群から選択する。そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選択する。
【0025】
特定の実施態様によれば、上記ジエンエラストマーは、主として(即ち、50phrよりも多くにおいて)、SBR(エマルジョン中で調製したSBR(“ESBR”)または溶液中で調製したSBR(“SSBR”)のいずれか)であるか、或いはSBR/BR、SBR/NR(またはSBR/IR)、またはBR/NR(またはBR/IR)、またはSBR/BR/NR(またはSBR/BR/IR)のブレンド(混合物)である。SBR(ESBRまたはSSBR)エラストマーの場合、特に、例えば20質量%と35質量%の間の中度のスチレン含有量または例えば35質量%〜45質量%の高スチレン含有量、15%と70%の間のブタジエン成分ビニル結合含有量、15%と75%の間のトランス‐1,4結合含有量(モル%)および−10℃と−55℃の間のTgを有するSBRを使用する;そのようなSBRは、有利には、好ましくは90%(モル%)よりも多いシス‐1,4結合を有するBRとの混合物として使用し得る。
【0026】
もう1つの特定の実施態様によれば、上記ジエンエラストマーは、主として(50phrよりも多くにおいて)、イソプレンエラストマーである。この態様は、特に、本発明の組成物を、タイヤにおいて、ある種のトレッド(例えば、産業車両用の)、クラウン補強用プライ(例えば、作動プライ、保護プライまたはフーププライ)、カーカス補強用プライ、側壁、ビード、プロテクター、下地層、ゴムブロックおよびタイヤの上記領域間の界面を提供する他の内部ゴムのゴムマトリックスを構成させることを意図する場合である。
【0027】
用語“イソプレンエラストマー”とは、知られている通り、イソプレンホモポリマーまたはコポリマー、換言すれば、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、各種イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。特に、イソプレンコポリマーのうちでは、イソブテン/イソプレンコポリマー(ブチルゴム;IIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)またはイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)が挙げられる。このイソプレンエラストマーは、好ましくは、天然ゴムまたは合成シス‐1,4‐ポリイソプレンである;これらの合成ポリイソプレンのうちでは、好ましくは90%よりも多い、さらにより好ましくは98%よりも多いシス‐1,4‐結合量(モル%)を有するポリイソプレンを使用する。
【0028】
もう1つの特定の実施態様によれば、特に、タイヤ側壁またはチューブレスタイヤの気密内部ゴム(または他の空気不透過性部品)を意図する場合、本発明に従う組成物は、少なくとも1種の本質的に飽和のジエンエラストマー、特に、少なくとも1種のEPDMコポリマーまたは少なくとも1種のブチルゴム(必要に応じて塩素化または臭素化した)を含み得る;これらのコポリマーは、単独で或いは上述したような高不飽和ジエンエラストマー、特に、NRもしくはIR、BRまたはSBRとの混合物として使用する。
【0029】
本発明のもう1つの好ましい実施態様によれば、上記ゴム組成物は、−70℃〜0℃のTgを示す1種以上の“高Tg”ジエンエラストマーと−110℃〜−80℃、より好ましくは−105℃〜−90℃のTgを示す1種以上の“低Tg”ジエンエラストマーとのブレンドを含む。高Tgエラストマーは、好ましくは、S‐SBR、E‐SBR、天然ゴム、合成ポリイソプレン(好ましくは95%よりも高いシス‐1,4‐構造量(モル%)を示す)、BIR、SIR、SBIRおよびこれらエラストマーの混合物からなる群から選ばれる。低Tgエラストマーは、好ましくは、少なくとも70%に等しい量(モル%)に従うブタジエン単位を含む;低Tgエラストマーは、好ましくは、90%よりも多いシス‐1,4‐構造量(モル%)を示すポリブタジエン(BR)からなる。
【0030】
本発明のもう1つの特定の実施態様によれば、上記ゴム組成物は、例えば、30〜100phr、特に50〜100phrの高Tgエラストマーを、0〜70phr、特に0〜50phrの低Tgエラストマーとのブレンドとして含む;もう1つの例によれば、上記ゴム組成物は、100phrの全体において、溶液中で調製した1種以上のSBRを含む。
本発明のもう1つの特定の実施態様によれば、本発明に従う組成物のジエンエラストマーは、90%よりも多いシス‐1,4‐構造量(モル%)を示すBR(低Tgエラストマーとして)と1種以上のS‐SBRまたはE‐SBR(高Tgエラストマーとして)とのブレンドを含む。
【0031】
本発明に従う組成物は、単独のジエンエラストマーまたは数種のジエンエラストマーの混合物を含み得、これらの単独または複数のジエンエラストマーは、ジエンエラストマー以外の任意のタイプの合成エラストマーと、実際にはエラストマー以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーとさえ組合せて使用することが可能である。
【0032】
II‐2. 補強用充填剤
タイヤの製造において使用することのできるゴム組成物を補強するその能力について知られている任意のタイプの補強用充填剤、例えば、カーボンブラックのような有機充填剤、シリカのような補強用無機充填剤、またはこれら2つのタイプの充填剤のブレンド、特にカーボンブラックとシリカとのブレンドを使用することができる。
【0033】
全てのカーボンブラック、特に、タイヤにおいて通常使用されるHAF、ISAFまたはSAFタイプのブラック類(“タイヤ級”ブラック類)が、カーボンブラックとして適している。さらに詳細には、後者のうちでは、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375ブラック類のような100、200または300シリーズの補強用カーボンブラック類(ASTM級)が、或いは、目標とする用途次第では、より高級シリーズのブラック類(例えば、N660、N683またはN722)も挙げられる。カーボンブラックブラックは、マスターバッチの形で、イソプレンエラストマー中に既に混入させていてもよい(例えば、出願 WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
カーボンブラック以外の有機充填剤の例としては、出願 WO‐A‐2006/069792号およびWO‐A‐2006/069793号に記載されているような官能化ポリビニル芳香族有機充填剤を挙げることができる。
【0034】
用語“補強用無機充填剤”とは、本特許出願においては、定義によれば、カーボンブラックに対比して“白色充填剤”、“透明充填剤”または“非黒色充填剤”としてさえも知られており、それ自体単独で、中間カップリング剤以外の手段によることなく、タイヤ製造を意図するゴム組成物を補強し得る、換言すれば、通常のタイヤ級カーボンブラックとその補強役割において置換わり得る、その色合およびその起源(天然または合成)の如何にかかわらない任意の無機または鉱質充填剤を意味するものと理解すべきである;そのような充填剤は、一般に、知られているとおり、その表面でのヒドロキシル(‐OH)基の存在に特徴を有する。
補強用無機充填剤を供給する物理的状態は、粉末、マイクロビーズ、顆粒、ビーズまたは任意の他の適切な濃密化形のいずれの形状であれ重要ではない。勿論、補強用無機充填剤なる用語は、種々の補強用無機充填剤、特に下記で説明するような高分散性シリカ質および/またはアルミナ質充填剤の混合物を意味することも理解されたい。
【0035】
シリカ質タイプの鉱質充填剤、特にシリカ(SiO2)、またはアルミナ質タイプの鉱質充填剤、特にアルミナ(Al2O3)が、補強用無機充填剤として特に適している。使用するシリカは、当業者にとって既知の任意の補強用シリカ、特に、共に450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/gであるBET表面積とCTAB比表面積を示す任意の沈降または焼成シリカであり得る。高分散性(“HDS”)沈降シリカとしては、例えば、Degussa社からのUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ類;Rhodia 社からのZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ類;PPG社からのHi‐Sil EZ150Gシリカ;Huber社からのZeopol 8715、8745または8755シリカ類;または、出願 WO 03/16837号に記載されているような高比表面積を有するシリカ類が挙げられる。
本発明に従う組成物を、低転がり抵抗性を有するタイヤトレッド用に意図する場合、使用する補強用無機充填剤は、特にシリカである場合、好ましくは45m2/gと400m2/gの間、より好ましくは60m2/gと300m2/gの間のBET表面積を有する。
【0036】
好ましくは、補強用充填剤全体(カーボンブラックおよび/またはシリカのような補強用無機充填剤)の量は、20phrと200phrの間、より好ましくは30phrと150phrの間であり、最適量は、知られている通り、目標とする特定の用途によって異なる:例えば、自転車タイヤに関して期待される補強レベルは、継続的に高速走行し得るタイヤ、例えば、モーターサイクルタイヤ、乗用車用タイヤ、または重量車両のような実用車両用タイヤに関して要求される補強レベルよりも勿論低い。
【0037】
本発明の好ましい実施態様によれば、30phrと150phrの間、より好ましくは50phrと120phrの間の無機充填剤、特にシリカおよび任意構成成分としてのカーボンブラックを含む補強用充填剤を使用する;カーボンブラックは、存在する場合、好ましくは20phr未満、より好ましくは10phr未満(例えば、0.1phrと10phrの間)の量で使用する。
【0038】
補強用無機充填剤をジエンエラストマーにカップリングさせるためには、知られている通り、無機充填剤(その粒子表面)とジエンエラストマー間に化学および/または物理的性質の十分な結合を与えることを意図する少なくとも二官能性のカップリング剤(または結合剤)、特に、二官能性オルガノシランまたはポリオルガノシロキサン類を使用する。
特に、例えば出願 WO03/002648号(またはUS 2005/016651号)およびWO03/002649号(またはUS 2005/016650号)に記載されているような、その特定の構造によって“対称形”または“非対称形”と称されるシランポリスルフィドを使用する。
【0039】
下記の一般式(III)に相応する“対称形”シランポリスルフィドは、以下の定義に限定されることなく、特に適している:

(III) Z ‐ A ‐ Sx ‐ A ‐ Z

[式中、xは、2〜8 (好ましくは2〜5)の整数であり;
Aは、2価の炭化水素基(好ましくはC1〜C18アルキレン基またはC6〜C12アリーレン基、特にC1〜C10、特にC1〜C4アルキレン基、特にプロピレン)であり;
Zは、下記の式の1つに相応する:
【化2】

(式中、R1基は、置換されていないかまたは置換されており、互いに同一かまたは異なるものであって、C1〜C18アルキル、C5〜C18シクロアルキルまたはC6〜C18アリール基(好ましくはC1〜C6アルキル、シクロヘキシルまたはフェニル基、特にC1〜C4アルキル基、特にメチルおよび/またはエチル)を示し;
R2基は、置換されていないかまたは置換されており、互いに同一かまたは異なるものであって、C1〜C18アルコキシルまたはC5〜C18シクロアルコキシル基(好ましくは、C1〜C8アルコキシルおよびC5〜C8シクロアルコキシルから選ばれる基、さらにより好ましくはC1〜C4アルコキシルから選ばれる基、特にメトキシルおよびエトキシル)を示す)]。
【0040】
上記式(III)に相応するアルコキシシランポリスルフィド類の混合物、特に、商業的に入手可能な通常の混合物の場合、“x”指数の平均値は、好ましくは2と5の間、より好ましくは4に近い分数である。しかしながら、本発明は、例えば、アルコキシシランジスルフィド(x = 2)によっても有利に実施し得る。
【0041】
さらに詳細には、シランポリスルフィドの例としては、例えば、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドのような、ビス((C1〜C4)アルコキシル(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルキル)ポリスルフィド類(特に、ジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド類)が挙げられる。特に、これらの化合物のうちでは、式[(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2を有するTESPTと略称されるビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、または式[(C2H5O)3Si(CH2)3S]2を有するTESPDと略称されるビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを使用する。また、好ましい例としては、特許出願WO 02/083782号(または、US 2004/132880号)に記載されているような、ビス(モノ(C1〜C4)アルコキシルジ(C1〜C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド類(特にジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド類)、特に、ビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドも挙げられる。
【0042】
アルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤の例としては、特に、特許出願WO 02/30939号(またはUS 6 774 255号)およびWO 02/31041号(またはUS 2004/051210号)に記載されているような、二官能性POS (ポリオルガノシロキサン)類またはヒドロキシシランポリスルフィド(上記式(III)において、R2 = OH)、或いは、例えば、特許出願WO 2006/125532号、WO 2006/125533号およびWO 2006/125534号に記載されているような、アゾジカルボニル官能基を担持するシランまたはPOS類が挙げられる。
本発明に従うゴム組成物においては、カップリング剤の含有量は、好ましくは4phrと12phrの間、より好ましくは3phrと8phrの間の量である。
【0043】
当業者であれば、もう1つの性質、特に、有機性を有する補強用充填剤を、この補強用充填剤がシリカのような無機層で被覆されているか、或いは、その表面上に、充填剤とエラストマー間の結合を形成させるためにカップリング剤の使用を必要とする官能部位(特にヒドロキシル)を含むかを条件として、この項において説明した補強用無機充填剤と等価の充填剤として使用し得ることを理解されたい。
【0044】
II‐3. 加硫系
適切な加硫系は、イオウ(またはイオウ供与剤)と一次加硫促進剤をベースとする。この基本加硫系に、後述するような第1の非生産段階中および/または生産段階中に混入する各種既知の二次加硫促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸または等価の化合物、或いはグアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)を追加する。
イオウは、本発明の組成物を、本発明の好ましい形態に従い、トレッドを構成することを意図する場合、好ましくは0.5phrと10phrの間、より好ましくは0.5phrと5phrの間、特に0.5phrと3phrの間の量で使用する。
【0045】
一次加硫促進剤は、ゴム組成物の架橋を、工業的に許容し得る時間内で、ゴム組成物を早期の加硫(“スコーチ”)のリスクなしで成形することができる最低限の安全期間(“スコーチ時間”)を保持しながら可能にしなければならない。
【0046】
本発明によれば、上記加硫系は、一次加硫促進剤として、下記の式を有する1種以上の1,2,4‐トリアジン化合物を含む:
【化3】

(式中、R1およびR2は、個々に、H、或いは線状、枝分れまたは環状のアルキル基およびアリール基から選ばれ、必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断されたC1〜C25炭化水素基を示し、R1およびR2は、一緒になって環を形成し得;
R3は、
・必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断され、且つ必要に応じて1個以上の環状C3〜C10アルキルまたはC6〜C12アリール基によって置換されている線状または枝分れのC1〜C25アルキル基;または、
・必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断され、且つ必要に応じて1個以上の線状、枝分れまたは環状のC1〜C25アルキルまたはC6〜C12アリール基(これらの基は必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断されている)によって置換されている環状のC3〜C10アルキル基;
を示す)。
【0047】
式(I)を有する上記化合物は、通常使用するスルフェンアミド化合物と、全体的にまたは部分的に有利に置換わり得る。
用語環状アルキル基は、1個以上の環からなるアルキル基を意味するものと理解されたい。
上記1個以上のヘテロ原子は、窒素、イオウまたは酸素原子であり得る。
【0048】
R1およびR2は、個々に、H、メチル基またはフェニル基を示す。
有利には、R1またはR2はフェニル基を示す。好ましくは、R2はフェニル基を示し、R1は水素を示す。
有利には、R3は、シクロヘキシル基またはtert‐ブチル基を示す。
好ましくは、R3は、シクロヘキシル基を示す。
【0049】
従って、式(I)を有する好ましい化合物は、R1がHを示し、R2がフェニル基を示し、R3がシクロヘキシルを示す化合物である。この場合、式(I)を有するトリアジン化合物は、3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンである。
【0050】
好ましい実施態様によれば、R3は、tert‐ブチル基を示す。
従って、式(I)を有するもう1つの好ましい化合物(I)は、R1が水素を示し、R2がフェニル基を示し、R3がtert‐ブチル基を示す化合物である。そのような化合物は、3‐[(t‐ブチルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンである。
式(I)を有する1種以上の化合物は、一般に0.1〜10phr、好ましくは0.5〜7phr、さらにより好ましくは0.5〜5phr(ジエンエラストマーの100質量部当りの質量部)を示す。
【0051】
本発明に従う組成物中に存在する1種以上の1,2,4‐トリアジン化合物は、下記の段階を含む合成方法に従って調製し得る:
出発化合物は、下記の式を有する化合物(A)である段階:
【化4】

(式中、R1およびR2は、上記で定義したとおりである);
この1,2,4‐トリアジン‐3‐チオールは、限定するものではないが、1,2‐ジカルボニル化合物とチオセミカルバジド間の、例えば、Journal of Organic Chemistry, Vol. 52, No. 19, 1987, pp. 4280‐4287において、或いはthe work Progress in Science and Technology, Organic Chemistry Series, published in 1990 by Viniti, Moscowの22巻の“1,2,4‐Triazines”と題した章においてL. M. MironovichおよびV. K. Promonenkovによって説明されている一般的方法に従う縮合によって得ることが可能である;
化合物(A)を、塩基性組成物と反応させる段階;この塩基性組成物は、有機または無機塩基の水溶液、例えば、水酸化ナトリウム水溶液であり得る;その後、
式R3NH2の第一級アミン(式中、R3は上記で定義したとおりである)を反応媒体に添加し、酸化カップリングを、酸化性化合物の存在下に実施する;酸化性化合物、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、次亜ハロゲン酸、または、例えば、次亜塩素酸ナトリウムのようなそれらのアルカリ金属塩のようなハロゲン化合物であり得る。
好ましくは、R1は水素を示し、R2はフェニル基を示す。
好ましくは、R3は、シクロヘキシル基を示す。
【0052】
本発明に従う組成物中に存在する式(I)の1種以上の1,2,4‐トリアジン化合物は、下記の段階を含む合成方法に従い調製することができる:
a) 式R3NH2の第一級アミン(式中、R3は上記で定義したとおりである)を、酸化性化合物と反応させる段階;その後の、
b) 上記塩基組成物を含む組成物、式R3NH2の第一級アミンおよび下記の式(A)の化合物(この化合物は上述したようにして得ることができる)を、工程a)において得られた反応媒体に添加する工程:
【化5】

(式中、R1およびR2は、上記で定義したとおりである)。
好ましくは、R1は水素を示し、R2はフェニル基を示す。
好ましくは、R3は、tert‐ブチル基を示す。
【0053】
上記塩基性組成物は、有機または無機塩基の水溶液、例えば、水酸化ナトリウム水溶液であり得る。
上記酸化性化合物は、ハロゲン化合物、好ましくは、塩素、臭素またはヨウ素、および次亜ハロゲン酸並びにそれらのアルカリ金属塩から選択し得る。特に、次亜塩素酸ナトリウムを挙げることができる。
また、本発明に従う組成物の加硫系は、1種以上のさらなる一次促進剤、特に、チウラム群の化合物、ジチオカルバミン酸亜鉛誘導体、またはチオホスフェートも含み得る。
【0054】
II‐4. 各種添加剤
また、本発明に従うゴム組成物は、例えば、可塑剤または増量剤オイル(後者は、性質的に芳香族系または非芳香族系のいずれかである);顔料;オゾン劣化防止ワックス(Cire Ozone C32 STのような)、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤(N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N'‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン)のような保護剤;疲労防止剤;補強用樹脂;出願WO 02/10269号に記載されているような、メチレン受容体(例えば、ノボラックフェノール樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M)のような、タイヤ、特に、トレッドの製造を意図するエラストマー組成物において一般的に使用する通常の添加剤の全部または1部も含み得る。
【0055】
好ましくは、本発明に従う組成物は、好ましい非芳香族系または極めて僅かに芳香族系の可塑剤として、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、MESオイル、TDAEオイル、グリセリンエステル (特にトリオレアート)、好ましくは30℃よりも高い高Tgを示す可塑化用炭化水素樹脂、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。
【0056】
また、本発明に従う組成物は、カップリング剤以外に、補強用無機充填剤に対するカップリング活性化剤;知られている通り、ゴムマトリックス中での無機充填剤の分散性を改良し組成物の粘度を低下させることによって、生状態における組成物の加工特性を改良することのできるより一般的な加工助剤も含有し得る;これらの薬剤は、例えば、アルキルアルコキシシラン(特にアルキルトリエトキシシラン)のような加水分解性シラン;ポリオール;ポリエーテル (例えば、ポリエチレングリコール);第一級、第二級または第三級アミン類(例えば、トリアルカノールアミン類);ヒドロキシル化または加水分解性POS類、例えば、α,ω‐ジヒドロキシポリオルガノシロキサン類(特にα,ω‐ジヒドロキシポリジメチルシロキサン類);例えば、ステアリン酸のような脂肪酸である。
【0057】
II‐5. ゴム組成物の製造
本発明に従うゴム組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の一般手順に従う以下の2つの連続する製造段階を使用して製造する:130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階とも称する);および、その後の、典型的には120℃未満の、例えば、60℃と100℃の間の低めの温度で機械加工する第2の段階(“生産”段階とも称する);この仕上げ段階において、架橋または加硫系を混入する。
【0058】
本発明の好ましい実施態様によれば、加硫系を除いた本発明の組成物の全てのベース構成成分、即ち、1種以上の補強用充填剤および適切な場合のカップリング剤を、混練により、1種以上のジエンエラストマー中に、上記第1の“非生産”段階において緊密に混入する、即ち、少なくともこれらの各種ベース構成成分を、ミキサー内に導入し、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度に達するまで、1回または数回の工程において熱機械的に混練する。
【0059】
例えば、第1の(非生産)段階は、1回の熱機械段階において実施し、その間に、必要とする構成成分の全て、任意成分としての付加的な加工助剤および加硫系を除いた各種他の添加剤を、標準の密閉ミキサーのような適切なミキサー内に導入する。この非生産段階における総混練時間は、好ましくは、1分と15分の間である。その後、第1の非生産段階においてそのようにして得られた混合物を冷却した後、加硫系を、一般的には開放ミルのような開放ミキサー内で、低温にて混入する;次いで、全てを、数分間、例えば、2分と15分の間の時間混合する(生産段階)。
【0060】
そのようにして得られた最終組成物は、その後、特に実験室での特性決定用の、例えばシートまたはプラークの形にカレンダー加工するか、或いは、例えば、乗用車用のタイヤトレッドとして使用することのできるゴム形状要素の形に押出加工する。
【0061】
III. 本発明の実施例
III‐1. 3‐[(t‐ブチルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン
以下、下記の式を有する3‐[(t‐ブチルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン (化合物C)の調製方法を説明する:
【化6】

【0062】
このスルフェンアミドの調製は、下記の合成スキームに従う、5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン‐3‐チオールとtert‐ブチルアミンとの間の酸化カップリングをベースとする:
【化7】

【0063】
NaOCl水溶液 (136ml、17.4%活性塩素で分析した)を、−10℃と−5℃の間(浴温度)に維持した350mlのtert‐ブチルアミンに、滴下により45分に亘って添加する。添加する間全体に亘って、浴の温度を−10℃と−5℃の間に維持する。水 (350ml)中の5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン‐3‐チオール (40.30g、0.213モル;純度:およそ98モル%、NMRによって測定)、水酸化ナトリウム (16.96g、0.424モル)およびtert‐ブチルアミン (50ml)の溶液を、0℃に維持したこの溶液に90分に亘って滴下により添加する。反応媒の温度は、依然として0℃と+6℃の間に維持されたままである。その後、反応媒を+5℃と+10℃の間の温度で1時間、その後、周囲温度で2時間撹拌する。
【0064】
その後、この媒質を0.7 lの冷水 (約4℃)で希釈する。この懸濁液をさらに10分間撹拌し、その後、得られた生成物の沈降物を濾別し、フィルター上で水洗し(10×500ml)、その後、空気下に48時間乾燥させる。73℃の融点を有する黄色固形物 (49.5g、0.190モル、収率89%)を得る。1H NMRによって測定したモル純度は、95%である。
【0065】
反応を薄層クロマトグラフィーによってモニターする:
Rf生成物 = 0.52、Rfジスルフィド不純物 = 0.61 (上記TLCの特徴:SiO2;EtOAc:ヘプタン = 1:1;UVおよびI2による可視化)。
【0066】
生成物を、NMRによって完全に特性決定する。d6‐DMSO中での1Hおよび13C NMRによって得られる化学シフトを下記の表に示している。較正をDMSO (1Hにおいて2.44ppm、13Cにおいて39.5ppm)に対して実施する。
【化8】

【0067】
結果は、下記の表1に示している。

表1

【0068】
III‐2. 3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐l,2,4‐トリアジン
III‐2. 3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン
以下の実施例においては、本発明を、下記の式を有する3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン(化合物B)によって実施する:
【化9】

【0069】
III‐2.1. トリアジン化合物Bの合成
この化合物は、5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン‐3‐チオールとシクロヘキシルアミンから、下記の合成スキームに従って調製する:
【化10】

【0070】
5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン‐3‐チオール (CAS番号[15969‐28‐5])は商業的に入手可能であり、また、下記の文献に記載された手順に従って得ることができる:
1). Daunis, J. et al.; Bulletin de la Societe Chimique de France; 1969, 10; 3675‐3678;
2). Joshi, K. C., Dubey, K. and Dandia, Anshu, Heterocycles 198116, 9, 1545‐1553。
【0071】
シクロヘキシルアミン(107.6g、1.09モル)を、H2O (700ml)中の5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン‐3‐チオール(41.0g、0.22モル)と水酸化ナトリウム(20.0g、0.50モル)の溶液に添加する。混合物を0℃と−5℃の間の温度に冷却し、その後、NaOCl水溶液(4%活性塩素) (477 ml)を、30分に亘って滴下により添加する。反応媒の温度は、0℃と−4℃の間のままである。その後、反応媒を0℃と5℃の間の温度で1時間30分〜2時間撹拌する。
【0072】
石油エーテル(100ml、40/60℃留分)を添加し、その後、反応媒を0℃と−4℃の間の温度で15〜30分間撹拌する。沈降物を濾別し、水 (200ml)と石油エーテル(50ml、40/60℃留分)で洗浄し、最後に、減圧下に2〜3時間乾燥させる。
125〜127℃の融点を有する白色固形物(42.9g、0.15モル、収率68%)を得る。
モル純度は97%よりも高い(1H NMR)。
純度が不十分である場合、酢酸エチルからの結晶化が、純粋生成物を得ることを可能にする。
【0073】
生成物をNMRによって完全に特性決定する。d6‐DMSO中での1Hおよび13C NMRによって得られた化学シフトを下記の表に示している。較正をDMSO (1Hにおいて2.44ppm、また、13Cにおいて39.5ppm)に対して実施する。
【0074】
【化11】

【0075】
結果を、下記の表2に示している。

表2

【0076】
III‐2.2. 組成物の製造
以下の試験における手順は、次のとおりである:1種以上のジエンエラストマー、1種以上の補強用充填剤および必要に応じてのカップリング剤を、さらにその後、1〜2分の混練後、加硫系を除いた各種他の成分を、70%満たし、およそ90℃の出発容器温度を有する密閉ミキサーに導入する。その後、熱機械加工 (非生産段階)を、1段階(およそ5分に等しい総混練時間)において、およそ165℃の最高“落下”温度に達するまで実施する。そのようにして得られた混合物を回収し、冷却し、その後、加硫系 (イオウと1,2,4‐トリアジン化合物)を、70℃の開放ミキサー(ホモフィニッシャー)に添加し、全てをおよそ5〜6分間混合する(生産段階)。
その後、そのようにして得られた組成物を、その物理的または機械的性質の測定のためのゴムのプラーク(2〜3mm厚)または薄シートの形に、或いは、所望の寸法に切断および/または組立てた後、例えば、タイヤ用の半製品として、特に、タイヤトレッドとして直接使用することのできる形状要素の形にカレンダー加工する。
【0077】
III‐2.3. 特性決定試験(結果)
【実施例1】
【0078】
本実施例の目的は、主要補強用充填剤としてカーボンブラックを含み、タイヤトレッドの製造において使用することができ、3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン(化合物B)を一次加硫促進剤として含むゴム組成物(組成物2)の性質を、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド (“CBS”)を含むゴム組成物(組成物1)の性質と比較することである。
【0079】
各ゴム組成物の配合を、下記の表3に示している。量は、エラストマー100質量部当りの質量部(phr)で表している。

表3

* CBS (Flexsys社からの“Santocure CBS”)
** 3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン
(1) 天然ゴム;
(2) 0.7%の1,2‐、1.7%のトランス‐1,4‐、98%のシス‐1,4‐を含むポリブタジエン (Tg = −105℃) (モル%);
(3) ブタジエン/スチレンコポリマー:25%のスチレン、59%の1,2‐ポリブタジエン単位および20%のトランス‐1,4‐ポリブタジエン単位を含むSSBR (溶液中で調製したSBR) (Tg = −24℃) (モル%);乾燥SBRとして表した量 (9質量%のMESオイルで増量したSBR、即ち、76phrに等しいSSBR+オイルの合計量);
(4) カーボンブラック;
(5) 酸化防止剤 6‐p‐フェニレンジアミン。
【0080】
3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンを含むゴム組成物2は、組成物1と同一であり、CBSを等モル量の3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンと置換えていることを理解されたい。
【0081】
150℃での流動度測定特性を、下記の表4に示す。
【0082】
表4

【0083】
3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン含む組成物2において得られた流動度測定特性は、CBSを含む組成物1において得られた流動度測定特性と等価である。さらに、遅延段階(誘導時間t0)は、3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンを含む組成物2の場合においてより長く、有利であることに注目されたい。
さらにまた、化合物B、一般的には式(I)の化合物は、有利なことに、環境的影響に関しては、メルカプトベンゾチアゾール環系を含むスルフェンアミドと、このスルフェンアミドとは対照的に硬化中の分解時にメルカプトベンゾチアゾールを発生させないことによって取って代っていることに注目されたい。
【実施例2】
【0084】
本実施例の目的は、主要補強用充填剤としてシリカを含み、タイヤトレッドの製造において使用することができ、3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン (化合物B)を一次加硫促進剤として含むゴム組成物(組成物4)の性質を、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“CBS”)を含むゴム組成物 (組成物3)の性質と比較することである。
【0085】
各組成物の配合を、下記の表5に示している。量は、エラストマーの100質量部当りの質量部(phr)で表している。

表5

* CBS (Flexsys社からの“Santocure CBS”)
** 3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジン
(1) 0.7%の1,2‐;1.7%のトランス‐1,4‐;98%のシス‐1,4‐を含むポリブタジエン (Tg = −105℃)(モル%);
(2) 25%のスチレン、59%の1,2‐ポリブタジエン単位および20%のトランス‐1,4‐ポリブタジエン単位を含むブタジエン/スチレンコポリマーSSBR (溶液中で調製したSBR) (Tg = −24℃) (モル%);乾燥SBRとして表した量 (9質量%のMESオイルで増量したSBR、即ち、76phrに等しいSSBR+オイルの合計量);
(3) カーボンブラックN234;
(4) Rhodia社からのシリカ“Zeosil 1165MP”、“HDS”タイプ (BETおよびCTAB:およそ160m2/g);
(5) 酸化防止剤 6‐p‐フェニレンジアミン;
(6) 可塑化用オイル“軽度抽出溶媒和物(Medium Extracted Solvates)”(Shell社からのCatenex SNR);
(7) オゾン劣化防止剤;
(8) Kolon社から販売されている脂肪族樹脂(C5ピュア)“Hikorez A−1100”;
(9) カップリング剤;
(9) ジフェニルグアニジン (Flexsys社からのPerkacit DPG)。
【0086】
3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンを含むゴム組成物4は、組成物3と同一であり、CBSを等モル量の3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンと置換えていることを理解されたい。
【0087】
150℃における流動度測定特性を下記の表6に示している。

表6

【0088】
3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンを含有する組成物4において得られた流動度測定特性は、CBSを含む組成物3において得られる流動度測定特性と等価である。さらに、遅延段階(誘導時間t0)は、3‐[(シクロヘキシルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンを含む組成物4の場合においてより長く、有利であることに注目されたい。
匹敵し得る結果は、3‐[(t‐ブチルアミノ)チオ]‐5‐フェニル‐1,2,4‐トリアジンによっても得ることができる。
【0089】
結論として、1種以上の補強用充填剤を含むゴム組成物における加硫促進剤として使用した本発明の1,2,4‐トリアジン化合物は、遅延段階(誘導時間t0)を改良することを可能にしている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のジエンエラストマー、1種以上の補強用充填剤および加硫系をベースとする、タイヤの製造用のゴム組成物であって、前記加硫系が、下記の式を有する1種以上の1,2,4‐トリアジン化合物を含むことを特徴とするゴム組成物:
【化1】

(I)

(式中、R1およびR2は、個々に、H、或いは線状、枝分れまたは環状のアルキル基およびアリール基から選ばれ、必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断されたC1〜C25炭化水素基を示し、R1およびR2は、一緒になって環を形成し得;
R3は、
・必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断され、且つ必要に応じて1個以上の環状C3〜C10アルキルまたはC6〜C12アリール基によって置換されている線状または枝分れのC1〜C25アルキル基;または、
・必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断され、且つ必要に応じて1個以上の線状、枝分れまたは環状のC1〜C25アルキルまたはC6〜C12アリール基(これらの基は必要に応じて1個以上のヘテロ原子によって遮断されている)によって置換されている環状のC3〜C10アルキル基;
を示す)。
【請求項2】
R1およびR2が、個々に、H、メチル基またはフェニル基を示す、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
R1又はR2が、フェニル基を示す、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
R1が水素を示し、R2がフェニル基を示す、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
R3が、シクロヘキシル基またはtert‐ブチル基を示す、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記1種以上の1,2,4‐トリアジン化合物が、0.1〜10phr、好ましくは0.5〜7phr、さらにより好ましくは0.5〜5phr(ジエンエラストマー100質量部当りの質量部)を示す、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記1種以上のジエンエラストマーが、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーの混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
前記ジエンエラストマーが、天然ゴムとポリブタジエンもしくはポリブタジエン/スチレンコポリマーとのブレンドまたはポリブタジエンとブタジエン/スチレンコポリマーのブレンドである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記補強用充填剤が、シリカ、カーボンブラックまたはこれらの混合物から選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
前記補強用充填剤が、20phrと200phrの間、好ましくは30phrと150phrの間の量で存在する、請求項1〜9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
下記の段階を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に定義したとおりのタイヤ製造用のゴム組成物の製造方法:
・補強用充填剤を、ジエンエラストマー中に、第1の“非生産”段階において混入し、全てを、1回以上、130℃と200℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練する段階;
・混ぜ合せた混合物を100℃未満の温度に冷却する段階;
・次いで、第2の“生産”段階において、加硫系を混入する段階;および、次いで
・全てを120℃未満の最高温度まで混練する段階。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物の使用であって、自動車の接地系を意図する最終物品または半製品の製造における使用。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物を含む、自動車の接地系を意図する最終物品または半製品。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項記載のゴム組成物を含む、タイヤ。
【請求項15】
1種以上のジエンエラストマー、1種以上の補強用充填剤および加硫系をベースとする組成物における、加硫促進剤としての、請求項1〜5のいずれか1項に定義したとおりの式(I)を有する1種以上の1,2,4‐トリアジン化合物の使用。

【公表番号】特表2013−507470(P2013−507470A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532607(P2012−532607)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065069
【国際公開番号】WO2011/042522
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】