説明

1,3−二置換ピラゾール化合物の調製方法

1,3-二置換ピラゾール化合物を調製する方法。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【化1】

【0002】
(式中、Xは水素、分岐又は非分岐のC1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル又はC3-C8-アルキニル;C3-C8-シクロアルキル、アリール又はヘタリール、ここで、アリール又はヘタリールは非置換であるか、C1-C8-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-ハロアルキルチオ、C3-C8-シクロアルキル、アルケニル及びアリール、カルボニトリル並びにカルボン酸エステルからなる群より互いに独立して選択される1以上の置換基を含んでいてもよい;又はCX1X2X3基(式中、X1、X2及びX3は、互いに独立して、水素、フッ素又は塩素であり、X1はC1-C6-アルキル又はC1-C4-ハロアルキルであってもよい)である;
R6は分岐又は非分岐のC1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル又はC3-C8-アルキニル;C3-C8-シクロアルキル、アリール又はヘタリールであり、ここで、アリール又はヘタリールは非置換であるか、ハロゲン、ヒドロキソ、アミノ、メルカプト、C1-C8-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-ハロアルキルチオ、C3-C8-シクロアルキル、アルケニル、アリール、カルボニトリル、カルボン酸エステル及びアルデヒドからなる群より互いに独立して選択される1以上の置換基を含んでいてもよい;
R8は水素、メチル、ヒドロキシメチレン、ハロゲン、CHO、CN、NO2又はCO2R8a基(式中、R8aはC5-C6-シクロアルキル、置換されていてもよいフェニル又はC1-C6-アルキルであり、C1-C4-アルコキシ、フェニル又はC3-C6-シクロアルキルで置換されていてもよい)である)の化合物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
式Iのピラゾールは、多くの医薬活性成分や作物保護活性成分、特に、特許文献1〜8等に記載されるような1,3-二置換ピラゾール-4-イルカルボキサニリドのための重要な出発材料である。
【0004】
式Iの1,3-二置換ピラゾール化合物は、典型的に、好適な1,3-二官能性化合物を置換ヒドラジン化合物で環化するか、1,3-二官能性化合物をヒドラジンと反応させ、続いてアルキル化を行い、窒素(1位)上に置換基を導入することによって調製される。この方法の根本的な欠点は、1,3-二官能性化合物を置換ヒドラジン化合物で環化する際に位置選択性を欠くことであり、また、ピラゾールのN-アルキル化の位置選択性を欠くことであり、その結果、両方の場合で、所望のピラゾール化合物だけでなく、1,5-二置換化合物も生成する。
【化2】

【0005】
選択性を欠くことによって収率が損失するにも関らず、式Iの1,3-異性体と式I’の1,5-異性体は分離され得るが困難であることが多い。従って、許容可能な選択性を達成するためには、低温で反応を行わなければならず、このことは装置の複雑さを相当に増加させる。また、その位置選択性は低温条件下でも満足のいくものではない。
【0006】
特許文献1には、特に、(3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-イル)カルボン酸エステルを調製する方法が記載されており、α-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エステルをメチルヒドラジンで環化することで、そのピラゾール化合物が得られる。特許文献4には、4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エステルをオルトギ酸トリエチル及びメチルヒドラジンと徐々に反応させることで、中間体としてエトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソオキソ酪酸エステルが生成する、類似の方法が開示されている。その所望の異性体の選択性は十分ではない。
【0007】
特許文献9及び特許文献10には、2-ハロアシル-3-アミノアクリル酸エステルをアルキルヒドラジンで環化することで、1-アルキル-3-ハロアルキルピラゾール-4-カルボン酸エステルが得られることが記載されている。その所望の異性体の選択性は十分ではない。
【0008】
特許文献11には、1-置換3-(ジハロメチル)ピラゾール-4-カルボン酸エステルを調製する方法が記載されており、そこでは、α-(ハロメチル)ジフルオロメチルアミンをルイス酸存在下でアクリレートと反応させることによって得られる、ビニル性のアミジニウム塩を、置換ヒドラジンと反応させている。その所望の異性体の選択性は十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US 5,498,624
【特許文献2】EP 545099 A1
【特許文献3】EP 589301 A1
【特許文献4】WO 92/12970
【特許文献5】WO 03/066610
【特許文献6】WO 2006/024389
【特許文献7】WO 2007/003603
【特許文献8】WO 2007/006806
【特許文献9】WO 2003/051820
【特許文献10】WO 2005/042468
【特許文献11】WO 2008/022777
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、冒頭で引用した式Iの1,3-二置換ピラゾール化合物を調製する方法を提供することであり、それによって所望される式Iの1,3-異性体を高収率・高選択性で得られる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、冒頭で定義した式Iの1,3-二置換ピラゾール化合物は、下記の式IIの好適なアミナール化合物を、下記の式IIIの化合物と反応させる場合に、所望の1,3-異性体を高収率・高位置選択性で簡潔な方法により調製できることを見い出した。
【0012】
従って、本発明は、以下の工程を含む、冒頭で定義した式Iの1,3-二置換ピラゾール化合物を調製する方法に関する:
(i)式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させる工程
【化3】

【0013】
(式中、X、R6及びR8は各々式Iで定義した通りである;
R1、R2、R3、R3a、R4、R5及びR7は、互いに独立して、水素、分岐又は非分岐のC1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル又はC3-C8-アルキニル;C3-C8-シクロアルキル、アリール又はヘタリールであり、ここで、アリール又はヘタリールは非置換であるか、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、C1-C8-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-ハロアルキルチオ、C3-C8-シクロアルキル、アルケニル、アリール、カルボニトリル、カルボン酸エステル及びアルデヒドからなる群より互いに独立して選択される1以上の置換基を含んでいてもよい;
Yは酸素、NRy1基又は[NRy2Ry3]+Z-基(式中、Ry1、Ry2及びRy3は、互いに独立して、C1-C8-アルキル、C3-C8-シクロアルキル、置換されていてもよいフェニル又は置換されていてもよいフェニル-C1-C4-アルキルであるか、Ry2及びRy3は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、N-結合、5〜8員、飽和の、置換されていてもよい複素環であって、該複素環は、窒素原子の他に、環原子としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子をさらに含んでいてもよく、Z-はアニオンである)である;
R9はハロゲン、OR9a、SR9aもしくはNR9bR9c基(式中、R9a、R9b及びR9cは、互いに独立して、C1-C8-アルキル、C3-C8-シクロアルキル、置換されていてもよいフェニル又は置換されていてもよいフェニル-C1-C4-アルキルであるか、R9b及びR9cは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、N-結合、5〜8員、飽和の、置換されていてもよい複素環であって、該複素環は、窒素原子の他に、環原子としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子をさらに含んでいてもよい);又はCX1X2X3基(式中、X1、X2及びX3は、互いに独立して、水素、フッ素又は塩素であり、X1はC1-C8-アルキル又はC1-C4-ハロアルキルであってもよい)である;
R10は水素、ハロゲン又はC1-C8-アルキルである);
(ii)水の存在下又は非存在下で、得られた反応生成物を酸で処理する工程。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方法は、所望の1,3-二置換ピラゾールが、所望される式Iの1,3-異性体に基づいて高収率・高位置選択性で調製されることから、非常に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
可変基の定義において有機基で用いられる用語は、例えば、語句「ハロゲン」があるが、これは有機単位のこれらの基に属する個々の構成員を表す集合語である。
【0016】
接頭辞Cx-Cyは個々の場合に取り得る炭素原子の数を表す。
【0017】
ハロゲン:フッ素、臭素、塩素又はヨウ素、特にフッ素、塩素又は臭素;
【0018】
アルキル、及びアルコキシ、アルキルアミノ、アルコキシカルボニル等の複合基のアルキル部分:1〜4個、6個又は8個の炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、例えば、C1-C6-アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル及び1-エチル-2-メチルプロピル;
【0019】
ハロアルキル:1〜2個、4個、6個又は8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基であって(上記の通り)、上記の通り、これらの基の水素原子の幾つか又は全てがハロゲン原子に置き換わっている基。一実施形態では、該アルキル基は、少なくとも一部又は全部が特定のハロゲン原子、好ましくはフッ素、塩素又は臭素によって置換されている。別の実施形態では、該アルキル基は、異なるハロゲン原子によって部分的に又は完全にハロゲン化されている;混合のハロゲン置換の場合、塩素及びフッ素の組合せが好ましい。特に好ましくは、(C1-C3)-ハロアルキル、より好ましくは(C1-C2)-ハロアルキル、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル又は1,1,1-トリフルオロプロプ-2-イルである;
【0020】
アルケニル、及びアルケニルオキシ等の複合基中のアルケニル部分:2〜4個、2〜6個又は2〜8個の炭素原子及び任意の位置に1つの二重結合を有する不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基。本発明では、好ましくは小さいアルケニル基、例えば(C2-C4)-アルケニルを使用することができる;一方、より大きいアルケニル基、例えば(C5-C8)-アルケニルを使用することも好ましい。アルケニル基としては、例えば、C2-C6-アルケニル、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-1-ブテニル、2-メチル-1-ブテニル、3-メチル-1-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル2-プロペニル、1,2-ジメチル-1-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-1-ペンテニル、2-メチル-1-ペンテニル、3-メチル-1-ペンテニル、4-メチル-1-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3-メチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-1-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-1-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-1-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、3,3-ジメチル-1-ブテニル、3,3-ジメチル-2-ブテニル、1-エチル-1-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニル、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル及び1-エチル-2-メチル-2-プロペニルが挙げられる;
【0021】
アルキニル及び複合基中のアルキニル部分:2〜4個、2〜6個又は2〜8個の炭素原子と、任意の位置に1又は2個の三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、例えば、C2-C6-アルキニル、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-メチル-2-ブチニル、1-メチル-3-ブチニル、2-メチル-3-ブチニル、3-メチル-1-ブチニル、1,1-ジメチル-2-プロピニル、1-エチル-2-プロピニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-メチル-2-ペンチニル、1-メチル-3-ペンチニル、1-メチル-4-ペンチニル、2-メチル-3-ペンチニル、2-メチル-4-ペンチニル、3-メチル-1-ペンチニル、3-メチル-4-ペンチニル、4-メチル-1-ペンチニル、4-メチル-2-ペンチニル、1,1-ジメチル-2-ブチニル、1,1-ジメチル-3-ブチニル、1,2-ジメチル-3-ブチニル、2,2-ジメチル-3-ブチニル、3,3-ジメチル-1-ブチニル、1-エチル-2-ブチニル、1-エチル-3-ブチニル、2-エチル-3-ブチニル及び1-エチル-1-メチル-2-プロピニル;
【0022】
シクロアルキル及び複合基中のシクロアルキル部分:3〜8個、特に3〜6個の炭素環員を有する単環式又は二環式の飽和炭化水素基、例えば、C3-C6-シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル。二環式の基としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル及びビシクロ[3.2.1]オクチルが挙げられる。これに関連して、置換されていてもよいC3-C8-シクロアルキルとは、少なくとも1個の水素原子、例えば、1、2、3、4又は5個の水素原子が反応条件下で不活性である置換基によって置き換わっている、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。不活性置換基としては、例えば、CN、C1-C6-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキル及びC1-C4-アルコキシ-C1-C6-アルキルが挙げられる;
【0023】
アルコキシ:好ましくは1〜8個、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、酸素を介して結合する、上記で定義されるアルキル基。例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシ又は1,1-ジメチルエトキシ、及びまた、例えば、ペントキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、3-メチルブトキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、1-エチルプロポキシ、ヘキソキシ、1-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、4-メチルペントキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシ、3,3-ジメチルブトキシ、1-エチルブトキシ、2-エチルブトキシ、1,1,2-トリメチルプロポキシ、1,2,2-トリメチルプロポキシ、1-エチル-1-メチルプロポキシ又は1-エチル-2-メチルプロポキシが挙げられる;
【0024】
ハロアルコキシ:上記で定義されるアルコキシであって、これらの基中の幾つか又は全ての水素原子が、ハロアルキルにおける上記のハロゲン原子、特に、フッ素、塩素又は臭素によって置き換わっているアルコキシ。例えば、OCH2F、OCHF2、OCF3、OCH2Cl、OCHCl2、OCCl3、クロロフルオロメトキシ、ジクロロフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2-ブロモエトキシ、2-ヨードエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2-クロロ-2-フルオロエトキシ、2-クロロ-2,2-ジフルオロエトキシ、2,2-ジクロロ-2-フルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、OC2F5、2-フルオロプロポキシ、3-フルオロプロポキシ、2,2-ジフルオロプロポキシ、2,3-ジフルオロプロポキシ、2-クロロプロポキシ、3-クロロプロポキシ、2,3-ジクロロプロポキシ、2-ブロモプロポキシ、3-ブロモプロポキシ、3,3,3-トリフルオロプロポキシ、3,3,3-トリクロロプロポキシ、OCH2-C2F5、OCF2-C2F5、1-(CH2F)-2-フルオロエトキシ、1-(CH2Cl)-2-クロロエトキシ、1-(CH2Br)-2-ブロモエトキシ、4-フルオロブトキシ、4-クロロブトキシ、4-ブロモブトキシ又はノナフルオロブトキシ;及びまた、5-フルオロペントキシ、5-クロロペントキシ、5-ブロモペントキシ、5-ヨードペントキシ、ウンデカフルオロペントキシ、6-フルオロヘキソキシ、6-クロロヘキソキシ、6-ブロモヘキソキシ、6-ヨードヘキソキシ又はドデカフルオロヘキソキシである;
【0025】
6〜10員アリール:6、7、8、9又は10個の炭素原子を有する芳香環。好ましいアリールとしては、例えば、フェニル又はナフチルが挙げられる;
【0026】
置換されていてもよいフェニル:非置換のフェニル、又は1、2、3、4もしくは5個、特に1、2もしくは3個の、反応条件下で不活性である置換基を有するフェニル。不活性な置換基としては、例えば、ハロゲン、特にフッ素、塩素又は臭素、CN、NO2、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキル及びC1-C4-アルコキシ-C1-C6-アルキルが挙げられる;
【0027】
置換されていてもよいフェニル-C1-C6-アルキル:水素原子の1つが置換されていてもよいフェニル基で置き換わっているC1-C6-アルキル。例えば、ベンジル、4-メチルベンジル、フェニルエチル等である;
【0028】
O、N及びSからなる群より選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む、5、6、7、8員の飽和又は部分不飽和の複素環であって、該複素環は、炭素原子を介して、又は存在する場合、窒素原子を介して結合してもよい。特に:
【0029】
・環員としてO、N及びSからなる群より選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む、5又は6員の飽和又は部分不飽和の複素環:例えば、炭素環員の他に、1、2もしくは3個の窒素原子並びに/又は1個の酸素原子もしくは硫黄原子又は1もしくは2個の酸素原子及び/もしくは硫黄原子を含む、単環式の飽和又は部分不飽和の複素環、例えば、2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-テトラヒドロチエニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、3-イソオキサゾリジニル、4-イソオキサゾリジニル、5-イソオキサゾリジニル、3-イソチアゾリジニル、4-イソチアゾリジニル、5-イソチアゾリジニル、3-ピラゾリジニル、4-ピラゾリジニル、5-ピラゾリジニル、2-オキサゾリジニル、4-オキサゾリジニル、5-オキサゾリジニル、2-チアゾリジニル、4-チアゾリジニル、5-チアゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、1,2,4-オキサジアゾリジン-3-イル、1,2,4-オキサジアゾリジン-5-イル、1,2,4-チアジアゾリジン-3-イル、1,2,4-チアジアゾリジン-5-イル、1,2,4-トリアゾリジン-3-イル、1,3,4-オキサジアゾリジン-2-イル、1,3,4-チアジアゾリジン-2-イル、1,3,4-トリアゾリジン-2-イル、2,3-ジヒドロフル-2-イル、2,3-ジヒドロフル-3-イル、2,4-ジヒドロフル-2-イル、2,4-ジヒドロフル-3-イル、2,3-ジヒドロチエン-2-イル、2,3-ジヒドロチエン-3-イル、2,4-ジヒドロチエン-2-イル、2,4-ジヒドロチエン-3-イル、2-ピロリン-2-イル、2-ピロリン-3-イル、3-ピロリン-2-イル、3-ピロリン-3-イル、2-イソオキサゾリン-3-イル、3-イソオキサゾリン-3-イル、4-イソオキサゾリン-3-イル、2-イソオキサゾリン-4-イル、3-イソオキサゾリン-4-イル、4-イソオキサゾリン-4-イル、2-イソオキサゾリン-5-イル、3-イソオキサゾリン-5-イル、4-イソオキサゾリン-5-イル、2-イソチアゾリン-3-イル、3-イソチアゾリン-3-イル、4-イソチアゾリン-3-イル、2-イソチアゾリン-4-イル、3-イソチアゾリン-4-イル、4-イソチアゾリン-4-イル、2-イソチアゾリン-5-イル、3-イソチアゾリン-5-イル、4-イソチアゾリン-5-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-1-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-2-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-3-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-4-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-5-イル、3,4-ジヒドロピラゾール-1-イル、3,4-ジヒドロピラゾール-3-イル、3,4-ジヒドロピラゾール-4-イル、3,4-ジヒドロピラゾール-5-イル、4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル、4,5-ジヒドロピラゾール-3-イル、4,5-ジヒドロピラゾール-4-イル、4,5-ジヒドロピラゾール-5-イル、2,3-ジヒドロオキサゾール-2-イル、2,3-ジヒドロオキサゾール-3-イル、2,3-ジヒドロオキサゾール-4-イル、2,3-ジヒドロオキサゾール-5-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-2-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-3-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-4-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-5-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-2-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-3-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-4-イル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、1,3-ジオキサン-5-イル、2-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-ヘキサヒドロピリダジニル、4-ヘキサヒドロピリダジニル、2-ヘキサヒドロピリミジニル、4-ヘキサヒドロピリミジニル、5-ヘキサヒドロピリミジニル、2-ピペラジニル、1,3,5-ヘキサヒドロトリアジン-2-イル及び1,2,4-ヘキサヒドロトリアジン-3-イル並びにその対応するイリデン基;
【0030】
・環員としてO、N及びSからなる群より選択される、1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む、7員の飽和又は部分不飽和の複素環:例えば、炭素環員の他に、1、2もしくは3個の窒素原子並びに/又は1個の酸素原子もしくは硫黄原子又は1もしくは2個の酸素原子及び/もしくは硫黄原子を含む、7環員を有する、単環式及び二環式複素環、例えば、テトラ-及びヘキサヒドロアゼピニル、例えば、2,3,4,5-テトラヒドロ[1H]アゼピン-1-,-2-,-3-,-4-,-5-,-6-又は-7-イル、3,4,5,6-テトラヒドロ[2H]アゼピン-2-,-3-,-4-,-5-,-6-又は-7-イル、2,3,4,7-テトラヒドロ[1H]アゼピン-1-,-2-,-3-,-4-,-5-,-6-又は-7-イル、2,3,6,7-テトラヒドロ[1H]アゼピン-1-,-2-,-3-,-4-,-5-,-6-又は-7-イル、ヘキサヒドロアゼピン-1-,-2-,-3-又は-4-イル、テトラ-及びヘキサヒドロオキセピニル、例えば、2,3,4,5-テトラヒドロ[1H]オキセピン-2-,-3-,-4-,-5-,-6-又は-7-イル、2,3,4,7-テトラヒドロ[1H]オキセピン-2-,-3-,-4-,-5-,-6-又は-7-イル、2,3,6,7-テトラヒドロ[1H]オキセピン-2-,-3-,-4-,-5-,-6-又は-7-イル、ヘキサヒドロアゼピン-1-,-2-,-3-又は-4-イル、テトラ-及びヘキサヒドロ-1,3-ジアゼピニル、テトラ-及びヘキサヒドロ-1,4-ジアゼピニル、テトラ-及びヘキサヒドロ-1,3-オキサアゼピニル、テトラ-及びヘキサヒドロ-1,4-オキサアゼピニル、テトラ-及びヘキサヒドロ-1,3-ジオキセピニル、テトラ-及びヘキサヒドロ-1,4-ジオキセピニル並びにその対応するイリデン基;
【0031】
置換されていてもよい複素環:環窒素原子を介して結合し、5、6、7又は8個の環原子を有する飽和複素環であって、窒素原子の他に、環原子がさらに非置換であるか、1、2、3、4又は5個、特に1、2又は3個の、反応条件下で不活性である置換基を有する複素環。不活性な置換基としては、例えば、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキル及びC1-C4-アルコキシ-C1-C6-アルキルが挙げられる。該複素環は、1位の窒素原子及び環炭素原子の他に、環原子としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子をさらに含んでいてもよい。N-結合、5〜8員、飽和の、置換されていてもよい複素環としては、例えば、ピロリジン-1-イル、ピペルジン-1-イル、モルホリン-4-イル、ピペラジン-1-イル及びN-メチルピペラジン-1-イルが挙げられる;
【0032】
アルキルチオ:S原子を介して結合する、上記で定義したアルキル;
【0033】
アミノ:N原子を介して結合するNR1R2基(式中、R1及びR2は、上記で定義したアルキル、アリール又はヘテロアリール);
【0034】
アルキルアミノ:N原子を介して結合する、上記で定義したアルキル;
【0035】
ハロアルキルチオ:S原子を介して結合する、上記で定義したハロアルキル;
【0036】
ヒドロキソ:O原子を介して結合するOH基;
【0037】
カルボニトリル:C原子を介して結合するCN基;
【0038】
アルデヒド:C原子を介して結合するCHO基;
【0039】
カルボン酸エステル:C原子を介して結合するCOOR1基(R1は、上記で定義したアルキルアリール又はヘテロアリールであり得る);
【0040】
メルカプト:S原子を介して結合するSH基。
【0041】
本発明の方法は、特に、式I(式中、XはCX1X2X3基(式中、X1、X2及びX3は各々上記で定義した通りである)である)の化合物を調製するのに適している。より具体的には、X1及びX2基の少なくとも1つは、水素とは異なる。より具体的には、X1及びX2は各々フッ素である。X3は、好ましくは水素、フッ素又は塩素である。好ましいCX1X2X3基としては、例えば、ジクロロメチル、クロロフルオロメチル、ジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル及びトリフルオロメチルが挙げられる。特定の実施形態の場合では、XはCHF2基である。
【0042】
さらに、本発明の方法は、特に、式I(式中、R6はC1-C8-アルキル、特にC1-C6-アルキルである)の化合物を調製するのに適している。より具体的には、本発明の方法は、特に、式I(式中、R6はC1-C3-アルキルである)の化合物を調製するのに適している。好ましい置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピルが挙げられる。特定の実施形態では、R6はメチルである。
【0043】
本発明の好ましい実施形態は、式I(式中、R8はCN基又は特にCOOR8a(式中、R8aは上記で定義した通りであり、特に、C1-C6-アルキル、とりわけC1-C4-アルキルである)である)のピラゾール化合物の調製に関する。
【0044】
本発明の他の実施形態は、式I(式中、R8は水素である)のピラゾール化合物の調製に関する。
【0045】
上記で定義した式Iのピラゾール化合物は、式IIの化合物及び式IIIの化合物を用いて調製される。
【0046】
上記で定義した式Iのピラゾール化合物は、好ましくは、式II(式中、R1、R2、R3、R3a、R4及びR5は、互いに独立して、非置換のアリールであるか、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、C1-C8-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-ハロアルキルチオ、C3-C8-シクロアルキル、アルケニル、アリール、カルボニトリル、カルボン酸エステル又はアルデヒドからなる群より互いに独立して選択される1以上の置換基を含んでいてもよいアリールである)の化合物を用いて調製される。より具体的には、上記で定義した式Iのピラゾール化合物は、式II(式中、R1、R3及びR4は、各々非置換のアリールであるか、上記で定義した1以上の置換基を含んでいてもよいアリールであり、R2、R3a及びR5は各々水素である)の化合物を用いて調製される。好ましいアリール置換基としては、例えば、フェニル、4-メトキシフェニル、2-フリル及び2-チエニルが挙げられる。特定の実施形態では、R1、R3及びR4は各々フェニルであり、R2、R3a及びR5は各々水素である。
【0047】
上記で定義した式Iのピラゾール化合物は、好ましくは、式II(式中、R6及びR7は各々C1-C8-アルキルであり、特にC1-C6-アルキルである)の化合物を用いて調製される。より具体的には、上記で定義した式Iのピラゾール化合物は、好ましくは、式II(式中、R6及びR7は各々C1-C3-アルキルである)の化合物を用いて調製される。好ましい置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピルが挙げられる。特定の実施形態では、R6及びR7は各々メチルである。
【0048】
本発明の第一の実施形態では、式Iのピラゾール化合物は、式III(式中、Yは酸素であり、R10は水素である)の化合物を用いて調製される。かかる化合物は、以下、化合物IIIaともいう。式IIIa(式中、R8はCOOR8a基(式中、R8aは上記で定義した通りであり、特にC1-C6-アルキルであり、とりわけC1-C4-アルキルである)である)の化合物は、以下、化合物IIIa.1ともいう。式IIIa(式中、R8は水素である)の化合物は、以下、化合物IIIa.2ともいう。
【化4】

【0049】
式IIIa、IIIa.1及びIIIa.2において、R9及びXは各々上記で定義した通りである。
【0050】
より具体的には、式IIIa、IIIa.1及びIIIa.2中のXは、CX1X2X3基(式中、X1、X2及びX3は各々上記で定義した通りである)である。特に、該X1及びX2基の少なくとも1つは、水素とは異なる。より具体的には、X1及びX2は各々フッ素である。X3は、好ましくは水素、フッ素又は塩素である。特に好ましいCX1X2X3基としては、例えば、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、フルオロクロロメチル及びジフルオロメチルが挙げられる。特定の実施形態では、XはCHF2基である。
【0051】
本発明の第二の実施形態では、式Iのピラゾール化合物は、式III(式中、Yは[NRy2Ry3]+Z基であり、R10は水素である)の化合物を用いて調製される。かかる化合物は、以下、化合物IIIbともいう。式IIIb(式中、R8はCOOR8a基(式中、R8aは上記で定義した通りであり、特にC1-C6-アルキルである)である)の化合物は、以下、化合物IIIb.1ともいう。式IIIb(式中、R8は水素である)の化合物は、以下、化合物IIIb.2ともいう。
【化5】

【0052】
式IIIb、IIIb.1及びIIIb.2において、Ry2、Ry3、Z、R9及びXは各々上記で定義した通りである。
【0053】
より具体的には、式IIIb、IIIb.1及びIIIb.2中のXは、CX1X2X3基(式中、X1、X2及びX3は各々上記で定義した通りである)である。より具体的には、該X1及びX2基の少なくとも1つは、水素とは異なる。より具体的には、X1及びX2は各々フッ素である。X3は、好ましくは水素、フッ素又は塩素である。特に好ましいCX1X2X3基としては、例えば、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、フルオロクロロメチル及びジフルオロメチルが挙げられる。より具体的には、式IIIb、IIIb.1及びIIIb.2中のCX1X2X3基は、CHClF又はCHF2である。
【0054】
Ry2及びRy3は、特にC1-C4-アルキルであり、とりわけメチルである。
【0055】
Z-はアニオン又はアニオン等価物であり、好ましくは、ルイス酸、例えばMgF2、BF3、BCl3、AlCl3、AlF3、ZnCl2、PF5、SbF5、BiCl3、GaCl3、SnCl4又はSiCl4に由来し、例えば、フッ化物、[MgF3]-、[BF4]-、[BCl3F]-、[AlF4]-、[AlCl3F]-、[ZnCl2F]-、[PF6]-、[SbF6]-、[BiCl3F]-、[GaCl3F]-、[SnCl4F]-又は[SiCl4F]-である。
【0056】
本発明の方法の第一の変態は、式III、IIIa、IIIa.1及びIIIa.2、IIIb、IIIb.1及びIIIb.2中のR9は、OR9a基である。この場合、R9aは上記で定義した通りであり、特にC1-C4-アルキルであり、とりわけメチル又はエチルである。
【0057】
本発明の方法の第二の変態において、式III、IIIa、IIIa.1及びIIIa.2、IIIb、IIIb.1及びIIIb.2中のR9は、NR9bR9c基である。この基において、R9b及びR9cは、各々上記で定義されている通りであり、特にC1-C4-アルキルであり、とりわけメチル又はエチルであるか、R9b及びR9cは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、N-結合、5〜8員、飽和の複素環であって、該複素環は、該窒素原子の他に、環原子として、N、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子をさらに有していてもよく、場合により、1又は2個のC1-C4-アルキル基を有していてもよい。後者の環状NR9bR9c基としては、例えば、ピロリジン-1-イル、モルホリン-4-イル、ピペリジン-1-イル及び4-メチルピペラジン-1-イルが挙げられる。
【0058】
本発明の方法の工程(i)では、式IIの化合物を式IIIの化合物と、典型的に-20〜180℃、特に20〜100℃の範囲の温度で反応させる。
【0059】
この反応において、化合物II及びIIIは、好ましくは反応の化学量論に相当する割合で用いられるが、その化学量論から逸脱してもよい。典型的に、化合物IIと化合物IIIのモル比は、5:1〜1:5であり、しばしば3:1〜1:3であり、特に2:1〜1:2の範囲である。
【0060】
典型的に、工程(i)の反応は不活性有機溶媒中で行われる。不活性有機溶媒の例としては、特に、非プロトン性有機溶媒、例えば芳香族炭化水素及びハロ炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、クロロベンゼン及びtert-ブチルベンゼン、環状又は非環状エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、tert-ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)又はジオキサン、ニトリル、例えばアセトニトリル及びプロピオニトリル、脂肪族ハロ炭化水素、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン及びそれらの混合液が挙げられる。
【0061】
式IIの化合物と式IIIの化合物との反応において、その手順は一般的に、好ましくは上記不活性有機溶媒の一つの溶液形態である式IIの化合物を、同様に好ましくは上記不活性有機溶媒の一つの溶液形態で使用される式IIIの化合物と混合する。この場合、式IIの化合物を有機溶媒中の溶液として初めに投入し、化合物IIIを好ましくは溶液として添加することができる。あるいは、式IIIの化合物を有機溶媒中の溶液として初めに投入し、式IIの化合物を好ましくは溶液として添加することができる。式IIの化合物及び式IIIの化合物は、上記温度範囲で混合することができる。その手順としては、しばしば、化合物II及びIIIを20〜80℃の範囲の温度で混合することができる。反応時間は、典型的に0.5〜15時間の範囲である。
【0062】
工程(ii)では、酸、特にブレンステッド酸の存在下で反応を行う。好ましい酸は、25℃の希薄(例えば0.01M)水溶液において、4以下、特に3以下又は2以下のpKaを有する。好ましい酸は、ハロゲン化水素酸、例えばHF、HCl及びHBr(特にそれらの水溶液の形態で)、硫酸、リン酸、HBF4、及び有機スルホン酸、例えば式Ar-SO3H(式中、Arは、置換されていてもよいフェニルである)の芳香族スルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸、並びにまた、脂肪族スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸である。同様に、脂肪族及び芳香族カルボン酸、例えばギ酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、サリチル酸及び2-クロロ安息香酸も好適である。上記酸の混合物も好適であることは理解されるだろう。
【0063】
工程(ii)の反応では、一般的に、酸は触媒量で足りる。しかし、酸は、化学量論量で又は化学量論量を超えて(superstoichiometric amount)用いてもよい。一般的に、酸は、1molの化合物IIに対して、0.01から10molの量で、特に0.02から5molの量で用いられ、あるいは、化合物IIをin situ調製する場合は、1molの化合物IIに対して、0.01から10molの量で、特に0.02から2molの量で用いられる。
【0064】
典型的に、工程(ii)の反応は、有機溶媒又は溶媒混合液の存在下で行われる。工程(ii)の反応に適している有機溶媒は、プロトン性極性溶媒、例えば、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノールもしくはtert-ブタノール、又はカルボン酸、例えば酢酸、又は芳香族極性溶媒、例えば芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、クロロベンゼン、ニトロベンゼンもしくはtert-ブチルベンゼン、非プロトン性極性溶媒、例えば環状もしくは非環状エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、tert-ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン、環状もしくは非環状アミド、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンもしくはテトラメチル尿素、又は脂肪族ニトリル、例えばアセトニトリルもしくはプロピオニトリル、並びに上記溶媒の混合液である。
【0065】
本発明の方法の工程(ii)の反応は、典型的に0〜150℃、特に10〜80℃の範囲の温度で行われる。反応時間は、典型的に0.1〜15時間である。
【0066】
工程(ii)では、所望の1,3-二置換ピラゾール化合物Iが高収率で得られる。
【0067】
所望のピラゾール化合物Iは、反応混合物から慣用の方法、例えば沈殿、結晶もしくは蒸留によって単離することができ、又は反応混合物の形態で変換生成物へさらに処理することができ、あるいは、精製することなしにさらなる合成工程に使用することができる。
【0068】
本発明の方法で用いられる式II及びIIIの化合物は、例えば、冒頭で引用される先行技術から公知であり、又はそこに記載される方法と同様に調製することができる。
【0069】
式IIのアミナール化合物は、典型的に、モノアルキルヒドラジン、特にモノメチルヒドラジンを、例えばChem.Ber.,1898,56〜64頁に記載されるようなアルデヒドと反応させることによって調製される。
【0070】
式III(式中、Yは酸素であり、R8はOR8a基である)の化合物は、例えばUS 5,498,624、JACS,73,3684、WO 92/12970、Chem.Ber.1982,115,2766、Journal of Medicinal Chemistry, 2000,Vol.43,No.21並びに以前の出願WO 2008/053043及びEP 07109463.5より公知であり、又はそこに記載される方法と同様に、例えば、以下のスキーム1に従って、式VI(R8=H)のアルキルビニルエーテルもしくは式VI(R8=CN又はCO2R8a)のアクリル化合物を式VIIのハロゲン化アシル(Q =ハロゲン)もしくはアシル無水物(Q=OC(O)X)と反応させることによって、又は以下のスキーム2に従って、式VIII(R8=CO2R8a)のβ-ケトエステルもしくはβ-ケトニトリルVIII(R8=CN)を式IXのオルトギ酸エステルと反応させることによって調製することができる。
【0071】
スキーム1
【化6】

【0072】
スキーム2
【化7】

【0073】
スキーム1及び2において、可変基R8、R9a及びXは各々上記で定義した通りである。Qは、特にフッ素、塩素又はOC(O)X基(式中、Xは上記の定義の一つを有する)である。
【0074】
式III(式中、Yは酸素であり、R9はNR9bR9c基である)の化合物は、例えばWO 03/051820、WO 2005/042468並びに以前の出願WO 2008/077907、EP 08155612.8及びEP 08155611.0より公知であり、又はそこに記載される方法と同様に調製することができる。例えば、式III(式中、R8= H、R9=NR9bR9c)の化合物は、式XC(O)-CH2-CHOのβ-ホルミルケトンのアルカリ金属塩、特にそのナトリウム塩を、第二級アミンHNR9bR9cの塩酸塩と反応させることによって調製することができる。式III(式中、R8=CN又はCO2R8a)の化合物は、例えば、スキーム3に示される反応によって、対応する3-アミノアクリル化合物Xをスキーム1に記載の式VIIのアシル化合物と反応させることによって調製することができる。
【0075】
スキーム3
【化8】

【0076】
式III(式中、Yは[NRy1Ry2]Z-基である)の化合物(化合物IIIb)は、例えばWO 2008/022777及び以前の出願EP 07110397に記載の方法によって調製することができる。これらの方法によると、式III(式中、Yは[NRy1Ry2]Z-基である)の化合物は、スキーム4に示される方法によって、典型的に、式XIのα,α-ジフルオロアミンを式XIIのオレフィン化合物と、ルイス酸、例えばMgF2、BF3、BCl3、AlCl3、AlF3、ZnCl2、PF5、SbF5、BiCl3、GaCl3、SnCl4又はSiCl4の存在下で反応させることによって調製される。
【0077】
スキーム4
【化9】

【0078】
式Iのピラゾール化合物は、以下の工程を含む、式Ia
【化10】

【0079】
(式中、X及びR6は各々式Iで定義した通りである)の化合物の調製において重要な中間体である:
a)本明細書に記載した本発明の方法によって式Iのピラゾール化合物を提供する工程、
b)その化合物Iを式Iaの1,3-二置換ピラゾールカルボン酸に変換する工程。
【0080】
R8基がCO2R8a又はCN基である場合、この変換は典型的に加水分解によって行われる。従って、本発明の好ましい実施形態は、以下の工程を含む方法に関する:
a)本明細書に記載される本発明の方法によって式Iの化合物を提供する工程、及び
b)化合物Iを加水分解して、式Iaの1,3-二置換ピラゾールカルボン酸を生成する工程。
【0081】
加水分解は、酸触媒下又は塩基による手法その他の手法によって行うことができる。化合物Iは、それ自体として、即ち、単離後に用いることができる。しかし、工程a)で得られた反応混合物を、さらに精製することなく、適宜溶媒等の揮発性成分を除去した後に、加水分解に用いることもできる。
【0082】
化合物Iの塩基加水分解については、典型的に、式Iの化合物を、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウム、好ましくはアルカリ金属水酸化物水溶液、特にNaOH水溶液又はKOH水溶液で、好ましくは加熱しながら、完全にエステルが加水分解するまで処理することができる。
【0083】
塩基加水分解において、式Iの化合物と塩基とのモル比は典型的に10:1〜1:10の範囲、特にほぼ等モル(即ち1.5:1〜1:1.5の範囲)であるが、比較的大過剰の塩基、例えば、1molの化合物Iに対して最大で5molが有利となる場合もある。
【0084】
典型的に、塩基加水分解は希釈剤又は溶媒中で行われる。好適な希釈剤又は溶媒は、水の他に、アルカリに対して安定な有機溶媒及び水とのその混合液もある。アルカリに安定な有機溶媒は、例えば、特に上記のC1-C4-アルカノール及び上記の非環状エーテル及び環状エーテルが挙げられる。その加水分解は、水相中、即ち、水又は水と上記の有機溶媒の一つとの混合液中で行うことが好ましく、その場合、水相中の有機溶媒の含有量は、典型的に、水及び有機溶媒の全量に対して一般的に30体積%を超えない。
【0085】
塩基加水分解は、20〜100℃の温度で行うことが好ましい。一般的に、反応を周囲気圧で行う場合、上限温度は用いる溶媒の沸点である。反応温度は、100℃、特に90℃を超えないことが好ましいだろう。ここで、反応時間は、反応温度、濃度及び特定のエステル結合の安定性に依存する。一般的に、反応条件は、反応時間が1〜12時間、特に2〜8時間の範囲となるように選択される。
【0086】
本発明の特に好ましい実施形態では、式Iaの化合物の調製のために、工程a)で得られるピラゾール化合物Iを、R8がCO2R8a又はCNである場合、中間体を単離することなく、有利には有機溶媒と一緒に、アルカリ金属水酸化物水溶液と反応させることになる。生成するピラゾールカルボン酸Iaのアルカリ金属塩は、有機相の他に水相としても得られ、相分離によって回収することができる。用いた有機溶媒のリサイクルも行うことができる。相分離で得られる水相は、一般的に溶解した形態で、1,3-二置換酸Iaのアルカリ金属塩を含む。続いて、その塩は、上記に記載したような溶液を酸性化することによって遊離酸Iaに変換することができる。一般的に、酸Iaは固体として得られ、ろ過で単離することができ、場合により乾燥することができる。この手順では、1,3-二置換ピラゾールカルボン酸が高純度で、非常に高収率で得られる。
【0087】
化合物Iの酸加水分解は、公知のエステル酸加水分解と同様な方法、即ち、触媒量又は化学量論量の酸及び水の存在下で行うことができる(例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry, 2nd Ed., 334-338, McGraw-Hill, 1977及びその文献で引用されている文献を参照のこと)。その反応は、水及び非プロトン性有機溶媒(例えば上記で特定されるようなエーテル)の混合液中で行うこともある。酸としては、例えば、ハロゲン化水素酸、硫酸、有機スルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸及び酸性アニオン交換体等が挙げられる。
【0088】
好適な加水分解触媒はまた、アルカリ金属ヨウ化物、例えばヨウ化リチウム、トリメチルヨードシラン又はトリメチルクロロシランとアルカリ金属ヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウム)との混合物である。
【0089】
その際、酸Iaは、慣用の分離方法、例えばpHを調節することによる沈殿又は抽出によって単離される。
【0090】
R8基が水素である場合、化合物Iのそのカルボン酸Iaへの変換は、典型的に、式Ib
【化11】

【0091】
(式中、X及びR6は各々上記で定義した通りであり、R8bは塩素、又は特に臭素である)の1,3-二置換4-ハロピラゾール化合物を得るための臭素化工程又は塩素化工程を含む。
【0092】
その後、化合物Ibは、慣用の方法で、例えば、そのGrignard化合物を介して、CO2との反応を行い、場合によって遷移金属触媒を用いて、対応する式Iaのピラゾールカルボン酸に変換することができる。
【0093】
従って、本発明の別の好ましい実施形態は、以下の工程を含む方法に関する:
a)本明細書に記載される本発明の方法によって、式I(式中、R8はHである)の化合物を提供する工程、
b.1)化合物I(R8=H)をハロゲン化して、化合物Ibを得る工程、及び
b.2)そのハロゲン化合物Ibを式Iaのピラゾールカルボン酸に変換する工程。
【0094】
ピラゾール化合物I(R8=H)のハロゲン化は、典型的に、好適な塩素化剤又は臭素化剤、例えばN-クロロスクシンイミド(NCS)、塩化スルフリル、Cl2、Br2、N-ブロモスクシンイミド(NBS)もしくは1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DDH)又はHBr/H2O2からなる系を用いた反応によって行うことができる。
【0095】
好ましくは、式I(R=H)の化合物の臭素化が行われ得る。好ましい臭素化剤は、臭素元素(Br2)である。その場合、好ましくは、不活性溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン中で臭素化を行う。この場合、反応温度は、好ましくは-5〜50℃の範囲であり、特に室温である。本目的に同様に適合するさらなる反応条件は、当業者に公知である。式I(R=H)の化合物の臭素化は、好ましくは、N-ブロモスクシンイミド(NBS)又は1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DDH)、特にNBSを用いて同様に行うことができる。この目的に適している溶媒は、特に極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、ジメチルエチレン尿素、ジメチルプロピレン尿素(DMPU)もしくはテトラメチル尿素又はこれらの溶媒の混合液である。その反応温度は、典型的に-10〜50℃の範囲内である。
【0096】
ハロゲン化ピラゾール化合物Ibの、そのピラゾールカルボン酸Iaへの後続の変換は、有機化学の通常の方法によって行うことができる。例えば、ピラゾール化合物Ibは、マグネシウム又は有機マグネシウム化合物との反応によってそのGrignard化合物に変換され、続いてそのGrignard化合物をCO2と反応させることによって、カルボン酸Iaを得ることができる。かかる方法は、例えばJ. March, Advanced Organic Chemistry, 3rd ed. J. Wiley and Sons, New York 1985, p. 826 ff.及びその文献で引用されている文献の通り、当業者に公知である。
【0097】
式Iのピラゾール化合物、特に式Iaのピラゾールカルボン酸だけでなく、式Ibの化合物も、1,3-二置換ピラゾール基を有している活性成分の調製における、特に下記の式V:
【化12】

【0098】
(式中、X及びR6は、各々式Iの化合物で定義されている通りであり、
Mは、ハロゲン置換基を有していてもよいチエニル又はフェニルであり;
Qは、直接結合、シクロプロピレン、縮合したビシクロ[2.2.1]ヘプタン又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環であり;
R11は水素、ハロゲン、C1-C8-アルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、置換されていてもよいC2-C6-アルキニル、モノ〜トリ置換フェニル、ここで、該置換基は互いに独立してハロゲン及びトリフルオロメチルチオから選択される、又は置換されていてもよいシクロプロピルである)の活性殺菌成分の調製における重要な中間体である。
【0099】
従って、本発明は、以下の工程を含む、式Vの化合物を調製するための方法に関する:
a)本発明の方法によって式Iのピラゾール化合物を提供する工程、
b)その化合物Iを、式Ia
【化13】

【0100】
(式中、X及びR6は各々上記で定義した通りである)の1,3-二置換ピラゾールカルボン酸に変換する工程;
c)適宜、その化合物Iaをその酸ハロゲン化物に変換する工程、及び
d)式Iaの化合物又はその酸ハロゲン化物を式IV
【化14】

【0101】
(式中、M、Q及びR11は各々式Vで定義した通りである)のアミン化合物と反応させる工程。
【0102】
カルボン酸を調製するのに適した方法及びカルボン酸又はハロゲン化カルボニルと芳香族アミンとの反応に適した方法は、例えば冒頭で引用した先行技術(US 5,498,624、EP 545099 A1、DE 19531813 A1、EP 589301 A1、DE 19840322 A1、WO 92/12970、WO 03/066610、WO 2006/024389、WO 2007/003603、WO 2007/006806を参照のこと)並びにJ. March, Advanced Organic Chemistry, 3rd ed. J. Wiley and Sons, New York 1985, p. 370-386及びその文献で引用されている文献、及びOrganikum, 21st edition, Wiley-VCH, Weinheim 2001, p. 481-484及びその文献で引用されている文献より当業者に公知であり、同様な方法でピラゾールカルボン酸Ia又はその酸ハロゲン化物とアミン化合物IVとを反応させることによる化合物Vの本発明の調製に適用できる。
【0103】
しばしば、手順として初めに、式Iaのピラゾールカルボン酸をその酸ハロゲン化物(例えばその酸塩化物)に変換して、その酸ハロゲン化物を式IVのアミン化合物と反応させることがある。ピラゾールカルボン酸は、有機化学の標準的な方法と同様な方法、例えば、塩化チオニルと反応させることによって、その酸塩化物に変換することができる。酸ハロゲン化物とアミン化合物IVとの後続の反応は、典型的に補助塩基(例えば第三級アミン)の存在下で行われる。あるいは、式Iaのピラゾールカルボン酸は、例えば以前の特許出願WO 2008/077907(その開示は参照により本明細書に明確に組み込まれる)に記載されるように、好ましくは脱水剤、例えば1,1'-カルボニルジイミダゾール、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスホリルクロライド、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドの存在下にて、補助塩基(例えば第三級アミン)の存在下でアミン化合物IVと直接反応させて、化合物Vを得ることもできる。
【0104】
本発明はまた、以下の工程を含む、式Vの化合物を調製するための方法に関する:
a')本発明の方法によって、式I(R8はHである)のピラゾール化合物を提供する工程、
b')その式I(R8はHである)の化合物を塩素化剤又は臭素化剤と反応させることによって、式Ibのピラゾール化合物を得る工程、
c')式Ibの化合物を、パラジウム触媒の存在下で、一酸化炭素及び式IVのアミン化合物と反応させる工程。
【0105】
パラジウム触媒の存在下における、化合物Ibと一酸化炭素及び化合物IVとの反応は、以前の出願EP 07109463.5(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0106】
この目的を達成するため、工程c'において、式Ib及びIVの化合物は、好ましくは、モル比Ib:IVが0.5:1〜2:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1で用いられる。特に、式IVの化合物は、化合物Ibに対して若干過剰、即ちモル比Ib:IVが<1、例えば0.5:1〜<1:1の範囲で、特に0.8:1〜0.95:1の範囲で用いられる。
【0107】
式Ibの化合物と式IVの化合物との反応に適しているパラジウム触媒は、パラジウムが0又は2の酸化状態を有しているパラジウム化合物である。
【0108】
0の酸化状態を有しているパラジウム化合物としては、例えば、パラジウム(0)-リガンド錯体、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、テトラキス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム(0)又はビス(DIPHOS)パラジウム(0)、又は担持されていてもよい金属パラジウムが挙げられる。金属パラジウムは、好ましくは、担体、例えば活性炭素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム又は炭酸カルシウムに担持される。金属パラジウムの存在下での反応は、好ましくは、好適な錯体リガンドの存在下で行われる。
【0109】
2の酸化状態を有するパラジウム化合物としては、例えば、パラジウム(II)-リガンド錯体、例えばパラジウム(II)アセチルアセトネート、又は式PdX2L2(式中、Xはハロゲンであり、Lは一価のリガンド、特に下記に示される式(A)又は(B)のリガンドである)の化合物、及びまた、パラジウム(II)塩、例えば酢酸パラジウム又は塩化パラジウム、好ましくは塩化パラジウムが挙げられる。
【0110】
パラジウム(II)塩が用いられる場合、その反応は、好ましくは、好適な錯体リガンド、特に下記に示される式(A)及び(B)の錯体リガンドの存在下で行われる。
【0111】
パラジウム触媒は、完成したパラジウム触媒形態で、又は反応条件下でプレ触媒として好適なリガンドと一緒に触媒活性化合物を形成するパラジウム化合物として用いることができる。
【0112】
式Ibの化合物と式IVの化合物との本発明の反応に適している錯体リガンドは、例えば、以下に示される式(A)及び(B)の一座又は二座ホスフィンである
【化15】

【0113】
(式中、R12〜R19は、互いに独立して、C1-C6-アルキル、C5-C8-シクロアルキル、アダマンチル、アリール-C1-C2-アルキル、又は好ましくはC1-C4-アルキル又はC1-C4-アルコキシによって置換されていてもよいフェロセニル又はアリールであり、Aは、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する、非置換又は置換されていてもよい、直鎖の二価の炭化水素基であって、該二価の炭化水素基は、同様に非置換であるか、置換基をさらに有していてもよい単環又は二環の環の一部であってもよい)。
【0114】
式(A)及び(B)の化合物中のAは、特にC2-C4-アルキレン、C0-C1-アルキレンフェロセニル、1,1'-ビフェニル-2,2'-ジイル又は1,1'-ビナフチル-2,2'-ジイルであり、ここで、後者の四つの基は、C1-C4-アルキル又はC1-C4-アルコキシで置換されていてもよく、また、C1-C4-アルキレンはさらに、C3-C7-シクロアルキル、アリール又はベンジルから選択される1以上の置換基を有していてもよい。これに関連して、アリールはナフチル又は置換されていてもよいフェニルを表す。アリールは、好ましくはフェニル又はトルエン、より好ましくはフェニルを表す。
【0115】
C0-C1-アルキレンフェロセニルは、特に、フェロセンジイル、ここで、2個の該リン原子のうちの1つがフェロセンの各シクロペンタジエンに結合している、又はメチレンフェロセニル、ここで、該リン原子の1つがメチレン基を介してシクロペンタジエンに結合しており、第二のリン原子が同じシクロペンタジエンに結合しており、かつ、該メチレン基がC1-C4-アルキルから選択される1又は2個の置換基をさらに有していてもよい、を表す。
【0116】
式Ibの化合物と式IVの化合物とを反応させるための本発明の方法における錯体リガンドとして、好ましくは、二座ホスフィン、例えば1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(DPPP)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン(DCPP)、JosiPhos型のフェロセニル含有ホスフィン、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)又は2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン及びより好ましくは2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンが用いられる。
【0117】
そのパラジウム触媒は、本発明の方法において、使用される式Ibのピラゾールの量に対して、好ましくは0.01〜5mol%の量、より好ましくは0.1〜1mol%の量で用いられる。
【0118】
好ましい実施形態において、式Ibの化合物と式IVの化合物とを反応させるための本発明の方法は、補助塩基の存在下で行われる。
【0119】
好適な補助塩基は、例えば、塩基性アルカリ金属塩及び第三級アミンである。塩基性アルカリ金属塩としては、例えば、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸カリウム又は酢酸ナトリウムが挙げられる。そのアルカリ金属は、好ましくは実質的に無水であるべきである。特に好ましくは、乾燥した炭酸カリウム又はリン酸カリウムが用いられる。この実施形態において、アルカリ金属塩は、好ましくは、使用される式Ibのピラゾール化合物の量に対して、少なくとも1モル当量、より好ましくは1〜4モル当量、特に約2モル当量の量で用いられる。好適な第三級アミンは、例えば、トリ(C1-C6-アルキル)アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミン、N-メチルピペリジン、ピリジン、置換ピリジン、例えば2,4,6-トリメチルピリジン(コリジン)、2,6-ジメチルピリジン(ルチジン)、2-メチルピリジン(α-ピコリン)、3-メチルピリジン(β-ピコリン)、4-メチルピリジン(γ-ピコリン)及び4-ジメチルアミノピリジン、及びまた、二環式アミン、例えば1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エンである。特に好ましくは、トリエチルアミン、ピリジン又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンが用いられる。第三級アミンは、使用される式Ibのピラゾール化合物の量に対して、0.1〜4モル当量の量で用いることができる。
【0120】
本発明の方法の好ましい実施形態では、式Ibの化合物を、少なくとも1つの第三級アミン及び少なくとも1つのアルカリ金属塩の存在下で、式IVの化合物と反応させる。
【0121】
この実施形態において、アルカリ金属塩は、好ましくは、使用される式Ibのピラゾール化合物の量に対して、1〜4モル当量、特に約2モル当量の量で用いられる。この実施形態において、第三級アミンは、好ましくは、使用される式Ibのピラゾール化合物の量に対して、0.1〜4モル当量、好ましくは0.2〜0.7モル当量の量で用いられる。
【0122】
この実施形態において、補助塩基は、好ましくは、使用される式Ibのピラゾール化合物の量に対して、2〜5モル当量の総量で用いられる。
【0123】
式Ibの化合物は、好ましくは有機溶媒中で、式IVの化合物と反応させる。式Ibの化合物と式IVの化合物との反応に適している溶媒は、極性溶媒、例えばアミド、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、又はN-メチルピロリドン、尿素、例えば1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMEU)もしくは1,4-ジメチルヘキサヒドロ-2-ピリミジノン(DMPU)、エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)及び1,4-ジオキサン、スルホラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)又はニトリル、例えばアセトニトリルもしくはプロピオニトリル、及びこれらの溶媒の混合液である。好ましくは、ニトリル、特にアセトニトリルが用いられる。使用される溶媒は、好ましくは実質的に無水である、即ち、溶媒が1000ppm未満、特に100ppm以下の含水率を有する。
【0124】
本発明の方法において式Ibの化合物と式IVの化合物との反応は、好ましくは、100〜150℃の温度、より好ましくは110〜130℃の温度で行われる。
【0125】
式Ibの化合物と式IVの化合物との反応におけるCO分圧は、好ましくは、0.9〜100barの範囲内、より好ましくは2〜20barの範囲内、特に5〜10barの範囲内である。
【0126】
式Ibの化合物の反応で得られる反応混合物は、一般に、水性条件下でワークアップする、即ち、得られた反応混合物を水又は水溶液に接触させる。そうして得られた水性反応混合物を酸性化した後、式IVの化合物は、一般に、有機溶媒により抽出して、その有機溶媒を除去することにより単離することができる。場合によって、特にその反応のための水混和性溶媒を使用する場合、例えば蒸留によって、抽出前に少なくとも部分的にその溶媒を除去することが有利となり得る。
【0127】
以下に、本明細書に記載される方法によって調製することができる式Vの化合物を例示する:
N-(2-ビシクロプロピル-2-イル-フェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド(Sedoxane)、
N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-1,3-ジメチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-フルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-(クロロフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-(クロロジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(2',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-1,3-ジメチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(2',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-フルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(2',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-(クロロフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(2',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(2',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-(クロロジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(2',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-3-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-3-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジフルオロ-3-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(3',4'-ジフルオロ-3-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3'-クロロ-4'-フルオロ-3-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-4-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジフルオロ-4-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-4-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジフルオロ-4-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3'-クロロ-4'-フルオロ-4-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド(Bixafen)、
N-(3',4'-ジフルオロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジフルオロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3'-クロロ-4'-フルオロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-フルオロ-4-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-フルオロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-クロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-メチル-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-フルオロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-クロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-メチル-5-フルオロビフェニル-2-イル)-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-フルオロ-6-フルオロビフェニル-2-イル)-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-[2-(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロポキシ)-フェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-[4'-(トリフルオロメチルチオ)ビフェニル-2-イル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-[4'-(トリフルオロメチルチオ)ビフェニル-2-イル]-1-メチル-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド、
3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-N-[1,2,3,4-テトラヒドロ-9-(1-メチルエチル)-1,4-メタノナフタレン-5-イル]-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド(Isopyrazam)、
N-(3'-クロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-クロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-クロロビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-ブロモビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(4'-ヨードビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(2-ヨード-4-フルオロフェニル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド及び
N-[2-(1,3-ジメチルブチル)フェニル]-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-イルカルボキサミド(Penfluen);
N-[2-(1,3-ジメチルブチル)-3-チエニル]-1-メチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(Pentiopyrate)。
【0128】
以下の実施例は本発明をさらに例証する役割を有する。
【0129】
調製例1:エチル3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート
アミナール(200 mg, 0.56 mmol)をトルエン(1.3 mL)に懸濁させた。エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(249 mg, 1.12 mmol)を加えた後、メタンスルホン酸(11mg, 0.11mmol)を加えた。この溶液を50℃で一晩攪拌した後、全ての揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2, ヘキサン/EtOAc)により精製したところ、エチル3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレートを無色固体として得た(176 mg, 0.86 mmol, 収率77%)。
【0130】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 8.41 (s, 1 H); 7.20 (t, J = 54 Hz, 1 H); 4.25 (q, J = 7.0 Hz, 2 H); 3.94 (s, 3 H); 1.29 (t, J = 7.0 Hz, 3 H)。
【0131】
13C NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 161.4; 145.1 (t = 24 Hz); 136.3; 112.0 (t, J = 3 Hz); 109.7 (t = 234 Hz); 60.3; 39.3; 14.1。
【0132】
19F NMR (470 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 126.2 (d, J = 54 Hz)。
【0133】
mp = 64 ℃
【0134】
調製例2:エチル3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート
密閉管中で、アミナール(200 mg, 0.56 mmol)をトルエン(1.3 mL)に懸濁させた。エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(249 mg, 1.12 mmol)を加えた後、トルエンスルホン酸一水和物(21 mg, 0.11 mmol)を加えた。その溶液を22℃で2時間攪拌した。続いて、試料を取り出し、GC分析(内部標準としてドデカンで校正した)により変換率を測定した。GCによると、エチル3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレートに71%変換したことが観察された。
【0135】
a)同様にして、反応を1当量(10 mg)の水の存在下で行った。GC(内部標準としてドデカンで校正した)によると、エチル3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレートに83%変換したことが観察された。
【0136】
b)同様にして、反応を2当量(20 mg)の水の存在下で行った。GC(内部標準としてドデカンで校正した)によると、エチル3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレートに83%変換したことが観察された。
【0137】
c)同様にして、反応を5当量(51 mg)の水の存在下で行った。GC(内部標準としてドデカンで校正した)によると、エチル3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレートに84%変換したことが観察された。
【0138】
d)同様にして、反応を10当量(101 mg)の水の存在下で行った。GC(内部標準としてドデカンで校正した)によると、エチル3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレートに80%変換したことが観察された。
【0139】
調製例3:中間体の単離/精製を行わない3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸 (3工程、アジニウム塩からのワンポットシークエンス(one-pot sequencce))
アジニウム塩(10.0 g, 29.9 mmol)を50 mLのトルエンに懸濁させた。50 mLの水中のNaOH(1.44 g, 36.0 mmol)溶液を加え、その二相混合液を60℃に3時間加熱した。続いて、その混合液を室温に冷却し、相を分割して、水相を20 mLのトルエンで抽出した。合わせた有機相を、精製をさらに行わずに次の工程で用いた。トルエン中のアミナール溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(6.64 g, 29.9 mmol)及びp-TsOH一水和物(0.57 g, 3.0 g)を加えた。その溶液を室温で一晩攪拌した後、60℃に一時間加熱した。その溶液を室温に冷却して、30 mLの飽和NaHCO3 溶液で抽出した。有機相は、精製をさらに行わずに次の工程で用いた。その有機相に、10% KOH溶液(24.1 g)を加えた。その二相混合液を60℃に加熱し、エステルの消失をGCで確認した。そのエステルが完全に消失したとき、溶液を室温に冷却した。続いて、相を分割して、水相を55℃に加熱した。その後、30% H2SO4溶液(16 g)を加えて、60分間攪拌を継続した。その溶液を5℃に冷却して、沈殿した生成物をろ過にて回収した。その沈殿物を冷水で洗浄して、減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(2.87 g, 16.3 mmol, アジニウム塩に対して収率55%)。
【0140】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 8.33 (s, 1 H); 7.22 (t, J = 54 Hz, 1 H); 3.93 (s, 3 H) 。
【0141】
13C NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 163.0; 145.1 (t, J = 24 Hz); 136.1; 113.0 (t, J = 3 Hz); 109.6 (t, J = 234 Hz); 39.2。
【0142】
19F NMR (470 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = -126.0 (d, J = 54 Hz) 。
【0143】
mp = 205 ℃
純度(HPLCによる計算): 97.1%(0.4% iso-DFP酸)。
【0144】
調製例4:中間体の単離/精製を行わない3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸 (4工程、アジンからのワンポットシークエンス)
ジベンザルアジン(25.0 g, 120 mmol)を100 mLのトルエンに懸濁させた。その懸濁液を50℃に加熱して、全てのアジンを溶液にした。Me2SO4 (22.7 g, 180 mmol)を加えて、溶液を85℃に加熱して、その温度で一晩(16 h)攪拌を継続した。その間、生成物は黄色沈殿物として分離した。混合液を40℃に冷却し、200 mLの水中のNaOH(9.6 g, 240 mmol)を加えた。その二相混合液を60℃に加熱して、3時間攪拌した。その溶液を室温に冷却して、相を分離し、水相をトルエン(60 mL)で洗浄した。その有機相を混合して次の工程で用いた。上記の調製した溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(24.0 g, 108 mmol)、p-TsOH(1.03 g, 5.4 mmol)及び水(1.95 g, 108 mmol)を加えた。その混合液を60℃に3時間加熱した(その際、GCは完全な変換を示した)。室温に冷却後、その有機相を飽和NaHCO3溶液(60 mL)で抽出した。その有機相に10% KOH(121 g)を加えて、二相混合液を60℃に3時間加熱して、室温で一晩攪拌した(翌日、GCはエステルの完全なけん化を示した)。その相を分割し、有機相を60 mLの水で分離した。合わせた水相を55℃に加温し、30% H2SO4(71.0 g) を加えた。その温度で1時間攪拌後、溶液を5℃に冷却して、沈殿した酸をろ過にて分離し、氷冷水で洗浄した(2×25 mL)。その生成物を減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(12.5 g, 71.0 mmol, アジンに対して収率59%)。
【0145】
純度(HPLCによる計算): 97.4%(iso-DFP酸なし)。
【0146】
調製例5:中間体の単離/精製を行わない3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸 (5工程、ヒドラジンからのワンスポットシークエンス)
ベンズアルデヒド(24.0 g, 226 mmol)を240 mLのトルエンに溶解した。ヒドラジン水和物(5.0 g, 100 mmol)を滴下した後、その溶液を90℃に加熱して、3時間攪拌を継続した。続いて、Dean-Stark装置を取り付け、共沸蒸留で水を留去した。その後、溶液を70℃に冷却し、Me2SO4(18.9 g, 150 mmol)を加えた。その溶液を85℃に一晩加熱した。その間、黄色沈殿が生成した。その混合液を40℃に冷却して、100 mLのトルエンを加えた後、170 gの水中のNaOH(8.0 g, 200 mmol)溶液を加えた。その二相混合液を60℃に加熱し、その温度でさらに3時間攪拌した。その溶液を室温に冷却し、相を分割し、水相をトルエン(50 mL)で洗浄した。その有機相を混合し、次の工程で用いた。上記の調製した溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(20.0 g, 90.0 mmol)、p-TsOH(0.9 g, 4.5 mmol)及び水(1.62 g, 90.0 mmol)を加えた。その混合液を60℃に3時間加熱した(その際、GCは完全な変換を示した)。室温に冷却後、有機相を飽和NaHCO3溶液(60 mL)で抽出した。その有機相に10% KOH(101 g)を加え、二相混合液を60℃に3時間加熱し、室温で一晩攪拌した(翌日、GCはエステルの完全なけん化を示した)。その相を分割し、有機相を50 mLの水で分離した。合わせた水相を55℃に加温して、30% H2SO4(59.0 g)を加えた。その温度で1時間攪拌した後、溶液を5℃に冷却して、沈殿した酸をろ過で分離し、氷冷水で洗浄した(2×25 mL)。その生成物を減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(11.2 g, 63.5 mmol, ヒドラジンに対して収率64%)。
【0147】
純度(HPLCによる計算): 96.7%(iso-DFP酸なし)。
【0148】
調製例6:エチル3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート
アミナール(1.00 g, 2.81 mmol)を7 mLのトルエンに溶解した。続いて、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(1.25 g, 5.62 mmol)及びp-TsOH(107 mg, 0.56 mmol)を加え、水(101 mg, 5.62 mg)を加えた。その混合液を室温で90分間攪拌した後、GCコントロールはピラゾールへの変換率について>97%を示した。その反応混合液を水(2×1 mL)で抽出した後、有機相を減圧下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2, シクロヘキサン/EtOAc 100:0 -> 70:30)で精製したところ、生成物を無色固体として得た(840 mg, 4.12 mmol, 収率73%)。
【0149】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 8.41 (s, 1 H); 7.20 (t, J = 54 Hz, 1 H); 4.25 (q, J = 7.0 Hz, 2 H); 3.94 (s, 3 H); 1.29 (t, J = 7.0 Hz, 3 H)。
【0150】
13C NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 161.4; 145.1 (t = 24 Hz); 136.3; 112.0 (t, J = 3 Hz); 109.7 (t = 234 Hz); 60.3; 39.3; 14.1。
【0151】
19F NMR (470 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = -126.2 (d, J = 54 Hz)。
【0152】
mp = 64 ℃
【0153】
調製例7a:中間体の単離/精製を行わない、N,N’-ジベンジリデン-N-メチルヒドラジニウムメチルサルフェートから3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製(3工程、アジニウム塩からのワンポットシークエンス)
アジニウム塩(10.0 g, 29.9 mmol)を50 mLのトルエンに懸濁させた。50 mLの水中のNaOH(1.44 g, 36.0 mmol)溶液を加え、その二相混合液を60℃に3時間加熱した。その混合液を室温に冷却し、相を分割して、水相を20 mLのトルエンで抽出した。合わせた有機相を、精製をさらに行わずに次の工程で用いた。トルエン中のアミナール溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(6.64 g, 29.9 mmol)及びp-TsOH一水和物(0.57 g, 3.0 mmol)を加えた。その溶液を室温で一晩攪拌し、60℃に1時間加熱した。続いて、その溶液を室温に冷却し、30 mLの飽和NaHCO3溶液で抽出した。その有機相を、精製をさらに行わずに次の工程で用いた。その有機相に10% KOH溶液(24.1 g)を加えた。その二相混合液を60℃に加熱し、エステルの消失をGCで確認した。そのエステルが完全に消失したとき、溶液を室温に冷却した。続いて、相を分割して、水相を55℃に加熱した。その後、30% H2SO4溶液(16 g)を加え、60分間攪拌を継続した。その溶液を5℃に冷却し、沈殿した生成物をろ過にて回収した。その沈殿物を冷水で洗浄して、減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(2.87 g, 16.3 mmol, アジニウム塩に対して収率55%)。
【0154】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 8.33 (s, 1 H); 7.22 (t, J = 54 Hz, 1 H); 3.93 (s, 3 H) 。
【0155】
13C NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = 163.0; 145.1 (t, J = 24 Hz); 136.1; 113.0 (t, J = 3 Hz); 109.6 (t, J = 234 Hz); 39.2。
【0156】
19F NMR (470 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) = -126.0 (d, J = 54 Hz) 。
【0157】
mp = 205 ℃
純度(HPLCによる計算): 97.1%(0.4% iso-DFP酸)
【0158】
調製例7b:中間体の単離/精製を行わない、2-フランカルボキサルデヒドから3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製(3工程、アジニウム塩からのワンポットシークエンス)
アジニウム塩(5.0 g, 15.3 mmol)を25 mLのトルエンに懸濁させた。25 mLの水中のNaOH(0.74 g, 18.4 mmol)溶液を加え、二相混合液を室温で6時間加熱した。その相を分割し、水相を20 mLのトルエンで抽出した。合わせた有機相を、精製をさらに行わずに次の工程で用いた。トルエン中のアミナール溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(5.4 g, 24.5 mmol)及びp-TsOH一水和物(0.23 g, 1.2 mmol)を加えた。その溶液を室温で一晩攪拌し、50℃に6時間加熱した。続いて、その溶液を室温に冷却し、30 mLの飽和NaHCO3溶液で抽出した。その有機相を、精製をさらに行わずに次の工程で用いた。その有機相に10% NaOH溶液(61.2 g)を加えた。その二相混合液を60℃に加熱し、エステルの消失をGCで確認した。そのエステルが完全に消失したとき、溶液を室温に冷却した。続いて、相を分割して、水相を55℃に加熱した。その後、30% H2SO4溶液(16 g)を加え、60分間攪拌を継続した。その溶液を5℃に冷却し、沈殿した生成物をろ過にて回収した。その沈殿物を冷水で洗浄して、減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(0.63 g, 3.6 mmol, アジニウム塩に対して収率24%)。
【0159】
純度(HPLCによる計算):72.5%
【0160】
調製例7c:中間体の単離/精製を行わない、N,N’-ジベンジリデン-N-エチルヒドラジニウムエチルサルフェートから3-ジフルオロメチル-1-エチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製(3工程、アジニウム塩からのワンポットシークエンス)
アジニウム塩(8.4 g, 20.0 mmol)を40 mLのトルエンに懸濁し、3℃に冷却した。38 mLの水中のNaOH(1.6 g, 40.0 mmol)を加え、その二相混合液を室温で1時間加温した。その混合液を室温に冷却して、相を分割して、水相を20 mLのトルエンで抽出した。合わせた有機相を、精製をさらに行わずに次の工程で用いた。トルエン中のアミナール溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(4.4 g, 20.0 mmol)及びp-TsOH一水和物(0.19 g, 1.0 mmol)を加えた。その溶液を室温で30分間攪拌後、60℃に5時間加熱した。続いて、その溶液を室温に冷却し、30 mLの飽和NaHCO3溶液で抽出した。その有機相を、精製をさらに行わずに次の工程で用いた。その有機相に10% KOH溶液(22.4 g)を加えた。その二相混合液を60℃に加熱し、エステルの消失をGCで確認した。そのエステルが完全に消失したとき、溶液を室温に冷却した。続いて、相を分割して、水相を55℃に加熱した。その後、30% H2SO4溶液(16 g)を加え、60分間攪拌を継続した。その溶液を5℃に冷却し、沈殿した生成物をろ過にて回収した。その沈殿物を冷水で洗浄して、減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄褐色粉末として得た(1.5 g, 7.9 mmol, アジニウム塩に対して収率40%)。
【0161】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) = 10.40 (s, 1 H); 8.01 (s, 1 H); 7.11 (t, J = 67 Hz, 1 H); 4.26 (q, J = 9.0 Hz, 2 H); 1.55 (t, J = 9.0 Hz, 3 H)。
【0162】
mp = 152℃
【0163】
調製例8a:中間体の単離/精製を行わない、ジベンザルアジンから3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製(4工程、アジンからのワンポットシークエンス)
ジベンザルアジン(25.0 g, 120 mmol)を100 mLのトルエンに懸濁させた。その懸濁液を50℃に加熱して、全てのアジンを溶液にした。Me2SO4(22.7 g, 180 mmol)を加えて、溶液を85℃に加熱して、その温度で一晩(16 h)攪拌を継続した。その間、生成物は黄色沈殿物として分離した。その混合液を40℃に冷却し、200 mLの水中のNaOH(9.6 g, 240 mmol)を加えた。その二相混合液を60℃に加熱し、3時間攪拌した。その溶液を室温に冷却して、相を分離し、水相をトルエン(60 mL)で洗浄した。その有機相を合わせて次の工程で用いた。上記の調製した溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(24.0 g, 108 mmol)、p-TsOH(1.03 g, 5.4 mmol)及び水(1.95 g, 108 mmol)を加えた。その混合液を、60℃に3時間加熱した(その際、GCは完全な変換を示した)。室温に冷却後、その有機相を飽和NaHCO3溶液(60 mL)で抽出した。その有機相に、10% KOH(121 g)を加えて、二相混合液を60℃で3時間加熱して、室温で一晩攪拌した(翌日、GCはエステルの完全なけん化を示した)。その相を分割し、有機相を60 mLの水で分離した。合わせた水相を55℃に加温し、30% H2SO4(71.0 g) を加えた。その温度で1時間攪拌後、溶液を5℃に冷却して、沈殿した酸をろ過にて分離し、氷冷水で洗浄した(2×25 mL)。その生成物を減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(12.5 g, 71.0 mmol, アジンに対して収率59%)。
【0164】
純度(HPLCによる計算): 97.4%(iso-DFP酸なし)
【0165】
調製例8b:中間体の単離/精製を行わない、4-アニスアルデヒドアジンから3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製(4工程、アジンからのワンポットシークエンス)
4-アニスアルデヒドアジン(32.2 g, 120 mmol)を100 mLのトルエンに懸濁させた。その懸濁液を50℃に加熱して、Me2SO4(22.7 g, 180 mmol)を加えた。その溶液を85℃に加熱して、その温度で一晩(16 h)攪拌を継続した。その間、生成物は黄色沈殿物として分離した。その混合液を40℃に冷却し、200 mLの水中のNaOH(9.6 g, 240 mmol)溶液を加えた。その二相混合液を60℃に加熱し、3時間攪拌した。その溶液を室温に冷却し、相を分離して、水相をトルエン(60 mL)で洗浄した。その有機相を混合して次の工程で用いた。上記の調製した溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(24.0 g, 108 mmol)、p-TsOH(1.03 g, 5.4 mmol)及び水(1.95 g, 108 mmol)を加えた。その混合液を、60℃で3時間加熱した(その際、GCは完全な変換を示した)。室温に冷却後、その有機相を飽和NaHCO3溶液(60 mL)で抽出した。その有機相に10% KOH(121 g)を加えて、二相混合液を60℃で3時間加熱して、室温で一晩攪拌した(翌日、GCはエステルの完全なけん化を示した)。その相を分割し、有機相を60 mLの水で分離した。合わせた水相を55℃に加温し、30% H2SO4(71.0 g)を加えた。その温度で1時間攪拌後、溶液を5℃に冷却して、沈殿した酸をろ過にて分離し、氷冷水で洗浄した(2×25 mL)。その生成物を減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(13.5 g, 76.4.0 mmol, アジンに対して収率64%)。
【0166】
純度(HPLCによる計算): 93.4%(iso-DFP酸なし)
【0167】
調製例9a:中間体の単離/精製を行わない、ベンズアルデヒドから3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製(5工程、ヒドラジンからのワンスポットシークエンス)
ベンズアルデヒド(24.0 g, 226 mmol)を240 mLのトルエンに溶解した。ヒドラジン水和物(5.0 g, 100 mmol)を滴下した後、その溶液を90℃に加熱して、3時間攪拌を継続した。続いて、Dean-Stark装置を取り付け、共沸蒸留で水を留去した。その後、溶液を70℃に冷却し、Me2SO4(18.9 g, 150 mmol)を加えた。その溶液を85℃にして一晩加熱した。その間、黄色沈殿が生成した。その混合液を40℃に冷却して、100 mLのトルエンを加えた後、170 gの水中のNaOH(8.0 g, 200 mmol)溶液を加えた。その二相混合液を60℃に加熱して、その温度でさらに3時間攪拌した。その溶液を室温に冷却し、相を分離し、水相をトルエン(50 mL)で洗浄した。その有機相を合わせ、次の工程で用いた。上記の調製した溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(20.0 g, 90.0 mmol)、p-TsOH(0.9 g, 4.5 mmol)及び水(1.62 g, 90.0 mmol)を加えた。その混合液を60℃で3時間加熱した(その際、GCは完全な変換を示した)。室温に冷却後、有機相を飽和NaHCO3溶液(60 mL)で抽出した。その有機相に10% KOH(101 g)を加え、二相混合液を60℃で3時間加熱し、室温で一晩攪拌した(翌日、GCはエステルの完全なけん化を示した)。その相を分割し、有機相を50 mLの水で分離した。合わせた水相を55℃に加温して、30% H2SO4(59.0 g)を加えた。その温度で1時間攪拌した後、溶液を5℃に冷却して、沈殿した酸をろ過にて分離し、氷冷水で洗浄した(2×25 mL)。その生成物を減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(11.2 g, 63.5 mmol, ヒドラジンに対して収率64%)。
【0168】
純度(HPLCによる計算): 96.7%(iso-DFP酸なし)
【0169】
調製例9b:中間体の単離/精製を行わない、4-アニスアルデヒドから3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製(5工程、ヒドラジンからのワンスポットシークエンス)
4-アニスアルデヒド(40.8 g, 300 mmol)を240 gのトルエンに溶解した。ヒドラジン水和物(5.0 g, 100 mmol)を滴下した後、その溶液を90℃に加熱して、4時間攪拌を継続した。続いて、Dean-Stark装置を取り付け、水及び90 gのトルエンを共沸蒸留で留去した。その後、溶液を75℃に冷却し、Me2SO4(18.9 g, 150 mmol)を加えた。その溶液を85℃に一晩加熱した。その間、橙色沈殿が生成した。その混合液を40℃に冷却して、100 mLのトルエンを加えた後、170 gの水中のNaOH(8.0 g, 200 mmol)溶液を加えた。その二相混合液を60℃に加熱し、その温度でさらに3時間攪拌した。その溶液を室温に冷却し、相を分離し、水相をトルエン(50 g)で洗浄した。その有機相を合わせ、次の工程で用いた。上記の調製した溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(20.0 g, 90.0 mmol)、p-TsOH(0.9 g, 4.5 mmol)及び水(1.62 g, 90.0 mmol)を加えた。その混合液を60℃で3時間加熱した(その際、GCは完全な変換を示した)。室温に冷却後、有機相を飽和NaHCO3溶液(60 mL)で抽出した。その有機相に10% KOH(101 g)を加え、二相混合液を60℃で3時間加熱し、室温で一晩攪拌した(翌日、GCはエステルの完全なけん化を示した)。その相を分割し、有機相を50 mLの水で分離した。合わせた水相を55℃に加温して、30% H2SO4(59.0 g)を加えた。その温度で1時間攪拌した後、溶液を5℃に冷却して、沈殿した酸をろ過にて分離し、氷冷水で洗浄した(2×25 mL)。その生成物を減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(8.0 g, 45.4 mmol, ヒドラジンに対して収率45%)。
【0170】
純度(HPLCによる計算): 93.4%(iso-DFP酸なし)
【0171】
調製例9c:中間体の単離/精製を行わない、4-クロロベンズアルデヒドから3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製(5工程、ヒドラジンからのワンスポットシークエンス)
4-クロロベンズアルデヒド(30.9 g, 220 mmol)を240 gのトルエンに溶解した。ヒドラジン水和物(5.0 g, 100 mmol)を滴下した後、その溶液を90℃に加熱して、3時間攪拌を継続した。続いて、Dean-Stark装置を取り付け、水及びトルエン(90 g)を共沸蒸留で留去した。その後、溶液を75℃に冷却し、Me2SO4(18.9 g, 150 mmol)を加えた。その溶液を85℃に一晩加熱した。その間、橙色沈殿が生成した。その混合液を40℃に冷却して、100 mLのトルエンを加えた後、170 gの水中のNaOH(8.0 g, 200 mmol)溶液を加えた。その二相混合液を60℃に加熱し、その温度でさらに3時間攪拌した。その溶液を室温に冷却し、相を分離し、水相をトルエン(50 g)で洗浄した。その有機相を合わせ、次の工程で用いた。上記の調製した溶液に、エチルα-エトキシメチレン-4,4-ジフルオロ-3-オキソブチレート(20.0 g, 90.0 mmol)、p-TsOH(0.9 g, 4.5 mmol)及び水(1.62 g, 90.0 mmol)を加えた。その混合液を60℃で3時間加熱した(その際、GCは完全な変換を示した)。室温に冷却後、有機相を飽和NaHCO3溶液(60 mL)で抽出した。その有機相に10% KOH(101 g)を加え、二相混合液を60℃で3時間加熱し、室温で一晩攪拌した(翌日、GCはエステルの完全なけん化を示した)。その相を分割し、有機相を50 mLの水で分離した。合わせた水相を55℃に加温して、30% H2SO4(59.0 g)を加えた。その温度で1時間攪拌した後、溶液を5℃に冷却して、沈殿した酸をろ過で分離し、氷冷水で洗浄した(2×25 mL)。その生成物を減圧下で一晩乾燥したところ(p<20 mbar, 50℃)、生成物を黄色粉末として得た(4.3 g, 24.2 mmol, ヒドラジンに対して収率24%)。
【0172】
純度(HPLCによる計算): 90.7%(0.6%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、Xは水素、分岐又は非分岐のC1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル又はC3-C8-アルキニル;C3-C8-シクロアルキル、アリール又はヘタリール、ここで、アリール又はヘタリールは非置換であるか、C1-C8-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-ハロアルキルチオ、C3-C8-シクロアルキル、アルケニル及びアリール、カルボニトリル並びにカルボン酸エステルからなる群より互いに独立して選択される1以上の置換基を含んでいてもよい;又はCX1X2X3基(式中、X1、X2及びX3は互いに独立して、水素、フッ素又は塩素であり、X1はC1-C6-アルキル又はC1-C4-ハロアルキルであってもよい)である;
R6は分岐又は非分岐のC1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル又はC3-C8-アルキニル;C3-C8-シクロアルキル、アリール又はヘタリールであり、ここで、アリール又はヘタリールは非置換であるか、ハロゲン、ヒドロキソ、アミノ、メルカプト、C1-C8-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-ハロアルキルチオ、C3-C8-シクロアルキル、アルケニル、アリール、カルボニトリル、カルボン酸エステル及びアルデヒドからなる群より互いに独立して選択される1以上の置換基を含んでいてもよい;
R8は水素、メチル、ヒドロキシメチレン、ハロゲン、CHO、CN、NO2又はCO2R8a基(式中、R8aはC5-C6-シクロアルキル、置換されていてもよいフェニル又はC1-C6-アルキルであって、C1-C4-アルコキシ、フェニル又はC3-C6-シクロアルキルで置換されていてもよい)である)
の1,3-二置換ピラゾール化合物の調製方法であって、以下の工程を含む前記方法:
(i)式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させる工程
【化2】

(式中、X、R6及びR8は、各々式Iで定義した通りである;
R1、R2、R3、R3a、R4、R5及びR7は、互いに独立して、水素、分岐又は非分岐のC1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル又はC3-C8-アルキニル;C3-C8-シクロアルキル、アリール又はヘタリールであり、ここで、アリール又はヘタリールは非置換であるか、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、C1-C8-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-ハロアルキルチオ、C3-C8-シクロアルキル、アルケニル、アリール、カルボニトリル、カルボン酸エステル及びアルデヒドからなる群より互いに独立して選択される1以上の置換基を含んでいてもよい;
Yは酸素、NRy1基又は[NRy2Ry3]+Z-基(式中、Ry1、Ry2及びRy3は、互いに独立して、C1-C8-アルキル、C3-C8-シクロアルキル、置換されていてもよいフェニル又は置換されていてもよいフェニル-C1-C4-アルキルであるか、Ry2及びRy3は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、N-結合、5〜8員、飽和の、置換されていてもよい複素環であって、該複素環は、窒素原子の他に、環原子としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子をさらに含んでいてもよく、Z-はアニオンである)である;
R9はハロゲン、OR9a、SR9a又はNR9bR9c基(式中、R9a、R9b及びR9cは、互いに独立して、C1-C8-アルキル、C3-C8-シクロアルキル、置換されていてもよいフェニル又は置換されていてもよいフェニル-C1-C4-アルキルであるか、R9b及びR9cは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、N-結合、5〜8員、飽和の、置換されていてもよい複素環であって、該複素環は、窒素原子の他に、環原子としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子をさらに含んでいてもよい);又はCX1X2X3基(式中、X1、X2及びX3は、互いに独立して、水素、フッ素又は塩素であり、X1はC1-C8-アルキル又はC1-C4-ハロアルキルであってもよい)である;
R10は水素、ハロゲン又はC1-C8-アルキルである);
(ii)水の存在下又は非存在下で、得られた反応生成物を酸で処理する工程。
【請求項2】
Yが酸素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
XがCX1X2X3基(式中、X1及びX2は、各々フッ素であり、X3は水素、フッ素又は塩素である)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
R8がCOOR8a基(式中、R8aは上記で定義した通りである)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
R6がC1-C8-アルキル又はC3-C8-シクロアルキルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
R6がC1-C3-アルキルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
R6がメチルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
以下の工程を含む、式Iaのピラゾールカルボン酸を調製する方法:
【化3】

(式中、X及びR6は、各々式Iで定義した通りである)
a)本発明の方法により式Iのピラゾール化合物を提供する工程;
b)化合物Iを式Iaの1,3-二置換ピラゾールカルボン酸に変換する工程。
【請求項9】
式V
【化4】

(式中、X及びR6は、各々式Iの化合物で定義した通りであり、
Mはハロゲン置換基を有していてもよいチエニル又はフェニルであり;
Qは直接結合、シクロプロピレン、縮合したビシクロ[2.2.1]ヘプタン又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環であり;
R11は水素、ハロゲン、C1-C8-アルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、置換されていてもよいC2-C6-アルキニル、モノ〜トリ置換フェニル、ここで、該置換基は、互いに独立して、ハロゲン及びトリフルオロメチルチオから選択される、又は置換されていてもよいシクロプロピルである)
の化合物を調製する方法であって、以下の工程を含む前記方法:
(i)本発明の方法により式Iのピラゾール化合物を提供する工程;
(ii)化合物Iを式Ia
【化5】

(式中、X及びR6は各々上記で定義した通りである)の1,3-二置換ピラゾールカルボン酸に変換する工程;
(iii)適宜化合物Iaをその酸ハロゲン化物に変換する工程;及び
(iv)式Iaの化合物又はその酸ハロゲン化物を式IV
【化6】

(式中、M、Q及びR6は各々式Vで定義した通りである)のアミン化合物と反応させる工程、あるいは
(i') 本発明の方法により式I(式中、R8はHである)のピラゾール化合物を提供する工程;
(ii') 式I(式中、R8はHである)の化合物を塩素化剤又は臭素化剤と反応させて、式Ib
【化7】

(式中、X及びR6は各々上記で定義した通りであり、R8bは塩素又は臭素である)のピラゾール化合物を得る工程;
(iii´) パラジウム触媒の存在下で、式Ibの化合物を一酸化炭素及び式IVのアミン化合物と反応させる工程。

【公表番号】特表2013−510111(P2013−510111A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537348(P2012−537348)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066372
【国際公開番号】WO2011/054732
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】