説明

2−アザアダマンタン化合物

【課題】 アルコール化合物の酸化触媒等として有用な新規な化合物を提供する。
【解決手段】
下記式(1):
【化1】


(式中、N-AはN-H、N-C(=O) R4、N-O・、N-OHまたはN+(=O)X-を表し、X-はF-、Cl-、Br-等を表し、R1は、水素原子、ハロゲン原子等を表し、R2はNH2またはNHCOR3を表し、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基またはフェニル基を表す。)で表される2−アザアダマンタン化合物およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-アザアダマンタン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の2-アザアダマンタン化合物を酸化触媒として用いるアルコールの酸化反応が知られている。
【特許文献1】国際特許出願公開WO2006/001387号パンフレット
【特許文献2】国際特許出願公開WO2009/066735号パンフレット
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc, 2006, 128, 8412
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来知られている、2-アザアダマンタン化合物は、触媒の回収、再利用の点などで課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アミノ基の置換した2-アザアダマンタン化合物が、触媒の回収、再利用の点で優れた性質を有することを見いだし、発明を完成させた。
【0005】
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0006】
〔1〕式(1):
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、N-AはN-H、N-C(=O) R4、N-O・、N-OHまたはN+(=O)X-を表し、X-はF-、Cl-、Br-、I-、ClO2-、ClO4-、IO4-、NO2-、NO3-、SO42-、BF4-、PF6-、SbCl6-、SbF6-、XeF3-、(CF3SO2)2N-、CH3CO2-、CF3CO2-、4-CH3C6H4SO2O-またはCF3SO2O-を表し、
R1は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル基、C3-12シクロアルキル基、(C1-12アルキル)オキシ基、(C3-12シクロアルキル)オキシ基、(C1-12アルキル)チオ基、(C3-12シクロアルキル)チオ基、(C1-12アルキル)アミノ基、(C3-12シクロアルキル)アミノ基、ジ(C1-6アルキル)アミノ基、ジ(C3-6シクロアルキル)アミノ基、C1-12アルキルカルボニル基、C3-12シクロアルキルカルボニル基、(C1-12アルキル)オキシカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)オキシカルボニル基、(C1-12アルキル)チオカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)チオカルボニル基、(C1-12アルキル)アミノカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)アミノカルボニル基、ジ(C1-6アルキル)アミノカルボニル基、ジ(C3-6シクロアルキル)アミノカルボニル基、(C1-12アルキル)カルボニルオキシ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルオキシ基、(C1-12アルキル)カルボニルチオ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルチオ基、(C1-12アルキル)カルボニルアミノ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルアミノ基、ジ(C1-12アルキルカルボニル)アミノ基、ジ(C3-12シクロアルキルカルボニル)アミノ基、C1-6ハロアルキル基、C3-6ハロシクロアルキル基、C2-6アルケニル基、C3-6シクロアルケニル基、C2-6ハロアルケニル基、C3-6ハロシクロアルケニル基、C2-6アルキニル基、C2-6ハロアルキニル基、Raで置換されていてもよいベンジル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルアミノ基、Raで置換されていてもよいジ(ベンジルカルボニル)アミノ基、Raで置換されていてもよいアリール基、Raで置換されていてもよいアリールオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールチオ基、Raで置換されていてもよいアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルアミノ基、Raで置換されていてもよいジ(アリールカルボニル)アミノ基から選ばれる1以上の置換基を表し、置換基の数が2以上である場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよく、
R2はNH2またはNHCOR3を表し、
R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、Raで置換されていてもよいC1-6アルキル基またはRaで置換されていてもよいフェニル基を表し、
Raは、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフェニルC1-6アルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、C1-6アルキルスルフェニル基、C1-6アルキルスルフィニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6ハロアルキルスルフェニル基、C1-6ハロアルキルスルフィニル基、C1-6ハロアルキルスルホニル基、C2-6アルケニル基、C2-6ハロアルケニル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6ハロアルケニルオキシ基、C2-6アルケニルスルフェニル基、C2-6アルケニルスルフィニル基、C2-6アルケニルスルホニル基、C2-6ハロアルケニルスルフェニル基、C2-6ハロアルケニルスルフィニル基、C2-6ハロアルケニルスルホニル基、C2-6アルキニル基、C2-6ハロアルキニル基、C2-6アルキニルオキシ基、C2-6ハロアルキニルオキシ基、C2-6アルキニルスルフェニル基、C2-6アルキニルスルフィニル基、C2-6アルキニルスルホニル基、C2-6ハロアルキニルスルフェニル基、C2-6ハロアルキニルスルフィニル基、C〜Cハロアルキニルスルホニル基、NO、CN、ホルミル基、OH、SH、NH、SCN、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルカルボニル基、C1-6ハロアルキルカルボニル基、C1-6アルキルカルボニルオキシ基、フェニル基、C1-6アルキルアミノ基またはジC1-6アルキルアミノ基であって、置換するRaの数は1〜5個であり、Raが2個以上の場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよい。)で表される2-アザアダマンタン化合物。

〔2〕式(2):
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R1およびR3は前記と同じ意味を表す)で表されるN-アシル-5-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン化合物を酸触媒存在下、下記式
R3-CN
(式中、R3は前記と同じ意味を表す。)
で表されるニトリル化合物と反応させることによる〔1〕記載の式(3):
【0011】
【化4】

【0012】
(式中、R1、R3およびR4は前記と同じ意味を表す。)で表されるN-アシル-5-アシルアミノ-2-アザアダマンタン化合物の製造方法。
〔3〕R1が水素原子、C1-4アルキル基、ハロゲン原子またはヒドロキシル基であり、
R3およびR4がそれぞれ独立にC1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、ベンジル基またはフェニル基である〔1〕記載の化合物。
〔4〕R1が水素原子、C1-4アルキル基、ハロゲン原子またはヒドロキシル基であり、
R3およびR4がそれぞれ独立にC1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、ベンジル基またはフェニル基である〔2〕記載の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の2−アザアダマンタン化合物は、酸化触媒としての高い性能を有する。また、アミノ基をある種の残基を有する樹脂等に吸着させることにより、不均一触媒を製造し、それを回収再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明で用いる多環式化合物は、上記した式(1)で表される。式(1)における各基の表記方法は以下の通りである。
【0015】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。尚、本明細書中「ハロ」の表記もこれらのハロゲン原子を表す。
【0016】
本明細書におけるCa〜Cbアルキルとは、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖の炭化水素基を表し、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0017】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルキルとは、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖の炭化水素基を表し、このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えばフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ブロモフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、ブロモクロロフルオロメチル基、ジブロモフルオロメチル基、2-フルオロエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2-クロロ-2-フルオロエチル基、2,2-ジクロロエチル基、2-ブロモ-2-フルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル基、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、2-ブロモ-2,2-ジフルオロエチル基、2-ブロモ-2-クロロ-2-フルオロエチル基、2-ブロモ-2,2-ジクロロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエチル基、2-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、1,2-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロエチル基、2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、2-フルオロプロピル基、2-クロロプロピル基、2-ブロモプロピル基、2-クロロ-2-フルオロプロピル基、2,3-ジクロロプロピル基、2-ブロモ-3-フルオロプロピル基、3-ブロモ-2-クロロプロピル基、2,3-ジブロモプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-ブロモ-3,3-ジフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,3-ジクロロ-1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2-フルオロ-1-メチルエチル基、2-クロロ-1-メチルエチル基、2-ブロモ-1-メチルエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基、4-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル基、2-フルオロ-2-メチルプロピル基、2-クロロ-1,1-ジメチルエチル基、2-ブロモ-1,1-ジメチルエチル基、5-クロロ-2,2,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0018】
本明細書におけるCa〜Cbシクロアルキルとは、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環または複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよい。例えばシクロプロピル基、1-メチルシクロプロピル基、2-メチルシクロプロピル基、2,2-ジメチルシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0019】
本明細書におけるCa〜Cbハロシクロアルキルとは、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環または複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、ハロゲン原子による置換は環構造部分であっても、側鎖部分であっても、或いはそれらの両方であってもよく、さらに、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えば2,2-ジフルオロシクロプロピル基、2,2-ジクロロシクロプロピル基、2,2-ジブロモシクロプロピル基、2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジクロロ-1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジブロモ-1-メチルシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロブチル基、2-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基、3-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基、4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0020】
本明細書におけるCa〜Cbアルケニルとは、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖で、且つ分子内に1個または2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、例えばビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチルエテニル基、2-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、2-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2-エチル-2-プロペニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、2-ヘキセニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2,4-ジメチル-2,6-ヘプタジエニル基、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0021】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルケニルとは、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖で、且つ分子内に1個または2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表す。このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えば2,2-ジクロロビニル基、2-フルオロ-2-プロペニル基、2-クロロ-2-プロペニル基、3-クロロ-2-プロペニル基、2-ブロモ-2-プロペニル基、3-ブロモ-2-プロペニル基、3,3-ジフルオロ-2-プロペニル基、2,3-ジクロロ-2-プロペニル基、3,3-ジクロロ-2-プロペニル基、2,3-ジブロモ-2-プロペニル基、2,3,3-トリフルオロ-2-プロペニル基、2,3,3-トリクロロ-2-プロペニル基、1-(トリフルオロメチル)エテニル基、3-クロロ-2-ブテニル基、3-ブロモ-2-ブテニル基、4,4-ジフルオロ-3-ブテニル基、3,4,4-トリフルオロ-3-ブテニル基、3-クロロ-4,4,4-トリフルオロ-2-ブテニル基、3-ブロモ-2-メチル-2-プロペニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0022】
本明細書におけるCa〜Cbシクロアルケニルとは、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の、且つ1個または2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環または複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、さらに、二重結合はendo-またはexo-のどちらの形式であってもよい。例えば2-シクロペンテン-1-イル基、3-シクロペンテン-1-イル基、2-シクロヘキセン-1-イル基、3-シクロヘキセン-1-イル基、ビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0023】
本明細書におけるCa〜Cbハロシクロアルケニルとは、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の、且つ1個または2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環または複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、さらに、二重結合はendo-またはexo-のどちらの形式であってもよい。また、ハロゲン原子による置換は環構造部分であっても、側鎖部分であっても、或いはそれらの両方であってもよく、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていても良い。例えば2-クロロビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0024】
本明細書におけるCa〜Cbアルキニルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖で、且つ分子内に1個または2個以上の三重結合を有する不飽和炭化水素基を表し、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、2-ペンチニル基、1-メチル-2-ブチニル基、1,1-ジメチル-2-プロピニル基、2-ヘキシニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0025】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルキニルとは、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖または分岐鎖で、且つ分子内に1個または2個以上の三重結合を有する不飽和炭化水素基を表す。このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていても良い。例えば2-クロロエチニル基、2-ブロモエチニル基、2-ヨードエチニル基、3-クロロ-2-プロピニル基、3-ブロモ-2-プロピニル基、3-ヨード-2-プロピニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0026】
Raで置換されていてもよいアリール基として、フェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-クロルフェニル基、m-クロルフェニル基、p-クロルフェニル基、o-フルオロフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-シアノフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、o-ビフェニリル基、m-ビフェニリル基、p-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ピラニル基、3−ピラニル基、4−ピラニル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、2−ベンゾチエニル基、3−ベンゾチエニル基、4−ベンゾチエニル基、5−ベンゾチエニル基、6−ベンゾチエニル基、7−ベンゾチエニル基、1−イソベンゾチエニル基、4−イソベンゾチエニル基、5−イソベンゾチエニル基、2−クロメニル基、3−クロメニル基、4−クロメニル基、5−クロメニル基、6−クロメニル基、7−クロメニル基、8−クロメニル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジニル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基、5−ピリミジニル基、3−ピリダジニル基、4−ピリダジニル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、5−インドリジニル基、6−インドリジニル基、7−インドリジニル基、8−インドリジニル基、1−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−インダゾリル基、2−インダゾリル基、3−インダゾリル基、4−インダゾリル基、5−インダゾリル基、6−インダゾリル基、7−インダゾリル基、1−プリニル基、2−プリニル基、3−プリニル基、6−プリニル基、7−プリニル基、8−プリニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、1−フタラジニル基、5−フタラジニル基、6−フタラジニル基、2−ナフチリジニル基、3−ナフチリジニル基、4−ナフチリジニル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル基、5−キナゾリニル基、6−キナゾリニル基、7−キナゾリニル基、8−キナゾリニル基、3−シンノリニル基、4−シンノリニル基、5−シンノリニル基、6−シンノリニル基、7−シンノリニル基、8−シンノリニル基、2−プテニジニル基、4−プテニジニル基、6−プテニジニル基、7−プテニジニル基および3−フラザニル基が挙げられ、
Raで置換されていてもよいベンジル基として、ベンジル基、o-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、p-メチルベンジル基、o-クロルベンジル基、m-クロルベンジル基、p-クロルベンジル基、o-フルオロベンジル基、p-フルオロベンジル基、o-メトキシベンジル基、p-メトキシベンジル基、p-ニトロベンジル基、p-シアノベンジル基が挙げられる。
【0027】
本発明の式(1)で表される2-アザアダマンタン化合物の好ましい置換基は下記の通りである。
R1としては、例えば、水素原子、C1-4アルキル基、ハロゲン原子およびヒドロキシル基等が好ましい。
R2としては、アミノ基およびR3で置換されたアミノ基が好ましい。
R3としては、例えばC1-4アルキル基、トルフルオロメチルやトリクロロメチル等のC1-4ハロアルキル基、ベンジル基およびフェニル基等が好ましい。
R4としては、例えばC1-4アルキル基、トルフルオロメチルやトリクロロメチル等のC1-4ハロアルキル基、ベンジル基およびフェニル基等が好ましい。
【0028】
本発明の式(1)で表される2-アザアダマンタン化合物を触媒として用いて、各種アルコールを基質として、酸化反応を行うことができる。
【0029】
酸化されるアルコール化合物としては、特に制限されるものではなく、各種のものが挙げられる。これらアルコール化合物の例としては、なかでも、メントール、4−メトキシベンジルアルコール等が好ましい。
【0030】
本発明の式(1)で表される2-アザアダマンタン化合物としては、例えば5-アミノ−2−アザアダマンタン−N−オキシル(5-NH2-AZADO)、5-アセチルアミノ−2−アザアダマンタン−N−オキシル(5-NHAc-AZADO)等が挙げられる。
【0031】
本発明の式(1)で表される2-アザアダマンタン化合物をアルコールの酸化触媒として用いる場合、用いる 2-アザアダマンタン化合物の量は、基質のアルコールに対して好ましくは0.001モル%〜50モル%、より好ましくは0.1モル%ないし10モル%である。
【0032】
かかる酸化反応の酸化剤としては、酸素酸化の場合は酸素ガス(100%の酸素)または空気、酸素ガスと窒素等の不活性ガスとの混合ガスを用いることができる。また次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩などの次亜ハロゲン酸アニオンを用いることができる。
【0033】
かかる酸素酸化の際は、亜硝酸化合物を共存させても良い。そのような亜硝酸化合物としては、例えば、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸銀等の亜硝酸塩、亜硝酸エチル、亜硝酸イソアミル、亜硝酸イソブチル、亜硝酸ターシャリーブチル、亜硝酸 ノルマルブチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸ノルマルプロピル、亜硝酸アダマンチル等の亜硝酸エステル等が挙げられる。なかでも、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ターシャリーブチルが好ましい。
【0034】
用いる亜硝酸化合物の量としては、基質のアルコールに対して1mol%ないし100mol%、好ましくは、例えば1mol%ないし50mol%である。
【0035】
なお、亜硝酸化合物の代わりに硝酸を用いても良い。その場合、用いる硝酸の量は、亜硝酸化合物の量に準じる。
【0036】
酸化剤として次亜塩素酸、次亜臭素酸などの次亜ハロゲン酸アニオンを用いる場合、その当量は、アルコールのヒドロキシ基1つに対して0.1〜10当量、好ましくは1〜2当量である。
【0037】
かかる酸化反応は、穏和な条件で実施できることが特徴であり、反応温度としては、室温で行うこともできるが、必要により、10℃〜40℃の範囲、0℃〜100℃の範囲、さらには、−10℃〜200℃で実施できる。また、反応圧力として、常圧(大気圧)で充分であるが、必要に応じて、0.01〜10MPaの範囲の減圧状態でも加圧状態でも実施できる。
【0038】
反応時間は用いる基質であるアルコール化合物および反応条件により必ずしも一定しないが、通常1分〜100時間であり、好ましくは5分〜24時間である。
【0039】
かかる酸化反応では、必要に応じて溶媒が使用できる。溶媒としては、反応の進行を阻害しないものであれば制限はなく、水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールやオクタノール等)、セロソルブ類(例えばメトキシエタノールやエトキシエタノール等)、非プロトン性極性有機溶媒類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N−メチルピロリドンやN,N-ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフランやジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えばペンタン、ヘキサン、c−ヘキサン、オクタン、デカン、デカリンや石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンやテトラリン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンや四塩化炭素等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンやメチルイソブチルケトン等)、低級脂肪族酸エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルやプロピオン酸メチル等)、アルコキシアルカン類(例えばジメトキシエタンやジエトキシエタン等)およびニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリルやブチロニトリル等)、カルボン酸(酢酸等)等の溶媒が挙げられ、その中でも、例えば、ジクロロメタンおよび酢酸が好ましい。また、基質のアルコールを溶媒として用いることもできる。
【0040】
溶媒として、あるいは添加物として酢酸を用いると、酸化反応が進行し難い、アミノ置換基を有するアルコールを基質として用いることもできる。
【0041】
基質であるアルコール化合物の溶媒中の濃度は、アルコールを溶媒として用いる場合以外は、好ましくは1〜99質量%である。
【0042】
かかる酸化反応において、基質であるアルコールの消失と、アルデヒド体、ケトン体またはカルボン酸の生成を確認したあと、溶媒の留去、抽出、再結晶、濾過、デカント、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製操作により、目的とするアルデヒド、ケトンまたはカルボン酸化合物を単離することができる。

5-NH2-AZADOは、例えば、下記のスキームで表される方法で製造することができる。

【0043】
5-NHAc-AZADOは、例えば、下記のスキームで表される方法で製造することができる。

【0044】
なお、出発物質となる5-ヒドロキシ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン(5-OH-N-CF3CO-AZAD)は、例えば、下記のスキームで表される方法で製造することができる。

【実施例】
【0045】
以下、本願発明を実施例に基づいて説明するが、本願発明はこれによって限定されるものではない。
参考例1 5-ヒドロキシ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン)および
5, 7-ジヒドロキシ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタンの製造
N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン (500 mg,2.14 mmol)のCCl4−MeCN−H2O (1.65 M;1.3 mL−1.1 M;1.9 mL−1.1 M;1.9 mL) 溶液に、NaIO4(1.05 g,4.90 mmol)、RuCl3(44 mg,0.214 mmol)を順次加え、70 ℃で20時間激しく攪拌した。その後、飽和 NaHCO3水溶液、NaSO3水溶液を順次加え、AcOEtにより抽出した。有機層をMgSO4で乾燥した。その後、減圧下溶媒を留去した。残渣はシリカゲルクロマトグラフィーにより処理しAcOEt−ヘキサン(1:2 v/v)の流分として白色固体の5-ヒドロキシ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン(341 mg,1.37 mmol,64%)を得た。また同時に、白色固体の5,7-ジヒドロキシ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン(70 mg,0.26 mmol,12%)と原料N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン(138 mg,0.59 mmol,28%)を得た。
5-ヒドロキシ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン
IR(neat):ν =3425,1681 cm-1
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):δ=4.97(br., 1H), 4.43(br., 1H), 2.04(br, 1H), 1.92-1.79(m, 8H), 1.73-1.68(s, 2H), 1.63(br. d, J=13.0 Hz, 1H).
13C-NMR(100 MHz, CDCl3):
MS:m/z=249(M+),249(100%).HRMS Calcd. for C12H16F3NO2(M+):249.0977,Found.:249.0956.

5,7-ジヒドロキシ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン
MS:m/z=265(M+),265(100%).

実施例1 5-(2-クロロアセタミド)-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタンの合成
5-OH-N-CF3CO-AZADのクロロアセトニトリル溶液(8ml)に硫酸(1.0eq)を加え、90℃で2時間撹拌した。冷却後、トルエン(20ml)と水(10ml)、飽和重曹水をpH8になるまで加え、分液した。さらに水層をトルエンで2回抽出した。得られた有機層を濃縮し、褐色液体(1.26g)を得た。得られた液体をシリカゲルにてカラム精製(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)し、無色液体の5-(2-クロロアセタミド)-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン(0.99g)を得た。
実施例2 5-アミノ-2-アザアダマンタンの合成
5-(2-クロロアセタミド)-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタンとチオウレア(1.2eq)のエタノール(7.5ml)/酢酸(2.5ml)溶液を80℃で1時間撹拌した。冷却後、6N-NaOH水溶液(10ml)を加え、50℃で撹拌した。反応終了後、トルエンで3回抽出し、減圧下溶媒を留去して白色固体の5-アミノ-2-アザアダマンタン(387mg)を得た。
実施例3 5-NH2-AZADOの合成
60℃に加熱した5-アミノ-2-アザアダマンタン(387mg)、NaHCO3(0.3eq)、t-ブタノール(3ml)の溶液中に、過酸化水素水(10eq)を滴下し、さらに60℃で1時間加熱した。反応終了後、トルエン、6N-NaOH水溶液で分液し、水層をトルエンで2回抽出した。有機層を減圧下濃縮し、赤褐色液体の5-NH2-AZADO(326mg)を得た。
実験例4 5-アセチルアミノ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタンの合成
5-OH-N-CF3CO-AZAD、硫酸(2eq)、アセトニトリル(8ml)の溶液を90℃で1時間加熱した。硫酸(2eq)を加え、80℃で2時間したのち、さらに硫酸(4eq)を加えて90℃で4時間加熱した。冷却後、6N-NaOH水溶液(4ml)を加えてトルエンにて3回抽出した。減圧下溶媒を留去し、白色固体の5-アセチルアミノ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン(953mg)を得た。
実施例5 5-アセチルアミノ-2-アザアダマンタンの合成
5-アセチルアミノ-N-トリフルオロアセチル-2-アザアダマンタン(953mg)、エタノール(4ml)、6N-NaOH水溶液(4ml)を50℃で1時間撹拌した。冷却後、トルエンで洗浄し、ついで水層をジクロロメタンで3回抽出した。減圧下溶媒を留去し、白色固体の5-アセチルアミノ-2-アザアダマンタン(824mg)を得た。
実施例6 5-NHAc-AZADOの合成
5-アセチルアミノ-2-アザアダマンタン(824mg)、重曹(0.4eq)のt-ブタノール溶液を70℃に加熱し、過酸化水素水(10eq)を加え2時間撹拌した。冷却後、トルエンで抽出し、さらに水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を減圧下濃縮し、褐色固体の5-NHAc-AZADO(572mg)を得た。
実施例7 アルコールの酸化
L-メントール(1.56g、10mmol)、触媒/0.1Mトルエン溶液(0.1mol%)、アセトニトリル(15.6g)、5%重曹水(7.8g)を5℃に冷却した。ついで次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1.4eq)を1時間かけて滴下してL-メントンへの酸化を行った。滴下終了150分後、ガスクロマトグラフにて転化率を測定した。触媒として5-NH2-AZADOを用いた場合、転化率は96.6%、5-NHAc-AZADOを用いた場合は100%であった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に従えば、各種のアルコールの酸化を、加熱や有毒な重金属化合物を必要とせずに、穏和な条件でほぼ選択的に行って、アルデヒド化合物、ケトン化合物および/またはカルボン酸化合物を製造することが可能であり、工業的に極めて有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】


(式中、N-AはN-H、N-C(=O) R4、N-O・、N-OHまたはN+(=O)X-を表し、X-はF-、Cl-、Br-、I-、ClO2-、ClO4-、IO4-、NO2-、NO3-、SO42-、BF4-、PF6-、SbCl6-、SbF6-、XeF3-、(CF3SO2)2N-、CH3CO2-、CF3CO2-、4-CH3C6H4SO2O-またはCF3SO2O-を表し、
R1は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、直鎖または分岐鎖であるC1-12アルキル基、C3-12シクロアルキル基、(C1-12アルキル)オキシ基、(C3-12シクロアルキル)オキシ基、(C1-12アルキル)チオ基、(C3-12シクロアルキル)チオ基、(C1-12アルキル)アミノ基、(C3-12シクロアルキル)アミノ基、ジ(C1-6アルキル)アミノ基、ジ(C3-6シクロアルキル)アミノ基、C1-12アルキルカルボニル基、C3-12シクロアルキルカルボニル基、(C1-12アルキル)オキシカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)オキシカルボニル基、(C1-12アルキル)チオカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)チオカルボニル基、(C1-12アルキル)アミノカルボニル基、(C3-12シクロアルキル)アミノカルボニル基、ジ(C1-6アルキル)アミノカルボニル基、ジ(C3-6シクロアルキル)アミノカルボニル基、(C1-12アルキル)カルボニルオキシ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルオキシ基、(C1-12アルキル)カルボニルチオ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルチオ基、(C1-12アルキル)カルボニルアミノ基、(C3-12シクロアルキル)カルボニルアミノ基、ジ(C1-12アルキルカルボニル)アミノ基、ジ(C3-12シクロアルキルカルボニル)アミノ基、C1-6ハロアルキル基、C3-6ハロシクロアルキル基、C2-6アルケニル基、C3-6シクロアルケニル基、C2-6ハロアルケニル基、C3-6ハロシクロアルケニル基、C2-6アルキニル基、C2-6ハロアルキニル基、Raで置換されていてもよいベンジル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジベンジルアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいベンジルカルボニルアミノ基、Raで置換されていてもよいジ(ベンジルカルボニル)アミノ基、Raで置換されていてもよいアリール基、Raで置換されていてもよいアリールオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールチオ基、Raで置換されていてもよいアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールチオカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいジアリールアミノカルボニル基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルオキシ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルチオ基、Raで置換されていてもよいアリールカルボニルアミノ基、Raで置換されていてもよいジ(アリールカルボニル)アミノ基から選ばれる1以上の置換基を表し、置換基の数が2以上である場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよく、
R2はNH2またはNHCOR3を表し、
R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、Raで置換されていてもよいC1-6アルキル基またはRaで置換されていてもよいフェニル基を表し、
Raは、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルキルスルフェニルC1-6アルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、C1-6アルキルスルフェニル基、C1-6アルキルスルフィニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6ハロアルキルスルフェニル基、C1-6ハロアルキルスルフィニル基、C1-6ハロアルキルスルホニル基、C2-6アルケニル基、C2-6ハロアルケニル基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6ハロアルケニルオキシ基、C2-6アルケニルスルフェニル基、C2-6アルケニルスルフィニル基、C2-6アルケニルスルホニル基、C2-6ハロアルケニルスルフェニル基、C2-6ハロアルケニルスルフィニル基、C2-6ハロアルケニルスルホニル基、C2-6アルキニル基、C2-6ハロアルキニル基、C2-6アルキニルオキシ基、C2-6ハロアルキニルオキシ基、C2-6アルキニルスルフェニル基、C2-6アルキニルスルフィニル基、C2-6アルキニルスルホニル基、C2-6ハロアルキニルスルフェニル基、C2-6ハロアルキニルスルフィニル基、C〜Cハロアルキニルスルホニル基、NO、CN、ホルミル基、OH、SH、NH、SCN、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルカルボニル基、C1-6ハロアルキルカルボニル基、C1-6アルキルカルボニルオキシ基、フェニル基、C1-6アルキルアミノ基またはジC1-6アルキルアミノ基であって、置換するRaの数は1〜5個であり、Raが2個以上の場合は、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよい。)で表される2-アザアダマンタン化合物。
【請求項2】
式(2):
【化2】


(式中、R1およびR3は前記と同じ意味を表す)で表されるN-アシル-5-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン化合物を酸触媒存在下、下記式
R3-CN
(式中、R3は前記と同じ意味を表す。)
で表されるニトリル化合物と反応させることによる請求項1記載の式(3):
【化4】


(式中、R1、R3およびR4は前記と同じ意味を表す。)で表されるN-アシル-5-アシルアミノ-2-アザアダマンタン化合物の製造方法。
【請求項3】
R1が水素原子、C1-4アルキル基、ハロゲン原子またはヒドロキシル基であり、
R3およびR4がそれぞれ独立にC1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、ベンジル基またはフェニル基である請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1が水素原子、C1-4アルキル基、ハロゲン原子またはヒドロキシル基であり、
R3およびR4がそれぞれ独立にC1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、ベンジル基またはフェニル基である請求項2記載の製造方法。


【公開番号】特開2012−229163(P2012−229163A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204377(P2009−204377)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】