説明

2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物

【課題】新規な構造を有し、液晶ディスプレイ分野で有用な1,3−ジオキサン骨格を有する2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表される2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物である。


及びRは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、Aは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、Xは、ハロゲン原子、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はアリールオキシ基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な構造を有し、液晶ディスプレイ分野で有用な1,3−ジオキサン骨格を有する2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
1,3−ジオキサン骨格を有する化合物は、一般的にジオールとアルデヒドから容易に合成され、有機合成化学上ではカルボニル基の保護基としての有用性が広く知られている。一方、材料としては、液晶化合物、医薬中間体としても重要な位置を占めている。
近年、特に、薄型のディスプレイに用いられる液晶化合物としての有用性が認められるようになり、例えば特許文献1及び特許文献2では、ネマチック相の広い温度範囲、低粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性を有する液晶組成物が開示されている。また、特許文献3では、Δnが小さく、液晶相温度範囲が広く、低電圧駆動が可能なΔεが大きく、かつ信頼性に優れたアクティブマトリクス型液晶表示素子が開示されている。
このような用途に用いる上において、前記1,3−ジオキサン骨格を有する化合物は液晶性化合物を合成する際のビルディングブロックとして有用である。このようなビルディングブロックとしては1,3−ジオキサン骨格上の2位にシクロヘキシル基を有し、かつ、5位に置換基を有するものは液晶性化合物を開発する上で重要であり、2位のシクロヘキシル基の4位がオキシメチル基で置換されていることは液晶性化合物を開発する上で更に重要であるが、このような置換基を有する化合物は、これまでほとんど知られていなかったのが現状である。
【0003】
【特許文献1】特開2006−199941号公報
【特許文献2】特開2006−169472号公報
【特許文献3】特開2006−70080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来における前記課題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、1,3−ジオキサン骨格を有する液晶性化合物を合成する上で、ビルディングブロックとして有用な、2位に1位及び4位が置換基で置換されたシクロヘキシル基を有し、かつ5位に置換基を有する新規な2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(I)で表されることを特徴とする2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物である。
【化2】

ただし、前記一般式(I)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていいてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基のいずれかを表し、該アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。
Aは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基のいずれかを表し、該アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基は更に置換基により置換されていてもよい。
Xは、ハロゲン原子、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びアリールオキシ基のいずれかを表し、該アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びアリールオキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。
<2> Rが、置換又は無置換のアルキル基である前記<1>に記載の2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物である。
<3> Rが、水素原子及びハロゲン原子のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物である。
<4> Aが、水素原子及びハロゲン原子のいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物である。
<5> 液晶化合物として用いられる前記<1>から<4>のいずれかに記載の2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、基本的な有機化学反応を用いて液晶性化合物として有用な2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物は、下記一般式(I)で表される。
【化3】

【0008】
前記一般式(I)において、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていいてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基のいずれかを表し、該アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。
【0009】
前記R及びRにおけるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0010】
前記R及びRにおけるアルキル基としては、総炭素数1〜12の直鎖、分枝、もしくは環状の、置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、などが挙げられる。また、アルキル基の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、置換アルキル基としては、例えば4−プロピルシクロヘキシル基、4−ブチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−ペンチルシクロヘキシル基、4−ヘキシルシクロヘキシル基、2−メトキシエチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
【0011】
前記R及びRにおけるアルケニル基としては、総炭素数2〜7の直鎖、分枝、もしくは環状の、置換もしくは無置換のアルケニル基が好ましく、無置換のアルケニル基としては、例えばエテニル基、2−プロペン−1−イル基、2−ブテン−1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、などが挙げられる。また、アルケニル基の置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、置換アルケニル基としては、例えば2,3,3−トリフルオロ−2−プロペン−1−イル基、2−メトキシエテン−1−イル基などが挙げられる。
【0012】
前記R及びRにおけるアルキニル基としては、総炭素数2〜7の直鎖、分枝、もしくは環状の、置換もしくは無置換のアルキニル基が好ましく、アルキニル基の置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、無置換のアルキニル基としては、例えばエチニル基、1−プロピン−1−イル基、2−ブチン−1−イル基などが挙げられる。
【0013】
前記R及びRにおけるアリール基としては、総炭素数6〜11の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、アリール基の置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、置換アリール基としては、例えば4−メトキシフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、4−シアノフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−ブトキシフェニル基などが挙げられる。
【0014】
前記R及びRにおけるアルコキシカルボニル基としては、総炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、無置換のアルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などが挙げられる。置換アルコキシカルボニル基としては、例えば2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基などが挙げられる。
【0015】
前記R及びRにおけるアルコキシ基としては、総炭素数1〜7のアルコキシ基が好ましく、無置換のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。また、アルコキシ基の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アルキル基が好ましく、置換のアルコキシ基としては、例えばトリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基などが挙げられる。
【0016】
前記R及びRにおけるアリールオキシ基としては、総炭素数6〜11の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましく、アリールオキシ基の置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、無置換のアリールオキシ基としては、フェノキシ基などが挙げられる。また、置換のアリールオキシ基としては、例えば4−メトキシフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−プロピルフェノキシ基などが挙げられる。
【0017】
これらの中でも、Rとしては、置換又は無置換のアルキル基が好ましい。Rとしては、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、該ハロゲン原子としてはフッ素原子がより好ましい。
【0018】
前記一般式(I)において、Aは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基のいずれかを表し、該アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基は更に置換基により置換されていてもよい。
前記ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基としては、前記R及びRで挙げたものと同じであるが、Aとしては、水素原子又はハロゲン原子がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0019】
前記一般式(I)において、Xは、ハロゲン原子、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びアリールオキシ基のいずれかを表し、該アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びアリールオキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。
【0020】
前記Xにおけるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0021】
Xにおけるアシルオキシ基としては、総炭素数2〜11の置換もしくは無置換のアシルオキシ基が好ましく、この場合の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。無置換のアシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ブチロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、などが挙げられる。また、置換のアシルオキシ基としては、例えば2,3−ジフルオロベンゾイルオキシ基、3,4,5−トリフルオロベンゾイルオキシ基、4−エトキシベンゾイルオキシ基、4−エチルシクロヘキサンカルボニルオキシ基、4−ブトキシシクロヘキサンカルボニルオキシ基、4−シアノベンゾイルオキシ基、などが挙げられる。
【0022】
Xにおけるスルホニルオキシ基としては、総炭素数1〜11の置換もしくは無置換のスルホニルオキシ基が好ましく、この場合の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。無置換のスルホニルオキシ基としては、例えばメタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、などが挙げられる。また、置換のスルホニルオキシ基としては、例えば4−クロロベンゼンスルホニルオキシ基などが挙げられる。
【0023】
Xにおけるアルコキシ基としては、総炭素数1〜7の置換もしくは無置換のアルコキシ基が好ましく、この場合の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。無置換のアルコキシ基としては例えばメトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。また、置換のアルコキシ基としては、例えば2,2,2−トリフルオロエトキシ基などが挙げられる。
【0024】
Xにおけるアルキルチオ基としては、総炭素数1〜7の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましく、この場合の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。無置換のアルキルチオ基のとしては、例えばエチルチオ基、ブチルチオ基、シクロヘキシルチオ基などが挙げられる。
【0025】
Xにおけるアリールチオ基としては、総炭素数6〜11の置換もしくは無置換のアリールチオ基が好ましく、この場合の置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。無置換のアリールチオ基としては、例えばフェニルチオ基、などが挙げられる。置換アリールチオ基としては、例えば4−メトキシフェニルチオ基、4−ブチルフェニルチオ基、などが挙げられる。
【0026】
Xにおけるアリールオキシ基としては、総炭素数6〜11の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましく、この場合の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。無置換のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基などが挙げられる。また、置換のアリールオキシ基としては、例えば4−エトキシフェノキシ基、3,4−ジフルオロフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、4−ペンチルフェノキシ基、などが挙げられる。
【0027】
前記Xとしては、ハロゲン原子、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、及びアリールオキシ基が特に好ましい。
【0028】
以下、本発明の下記一般式(I)で表される2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物についての具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化4】

【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
<合成方法>
本発明の前記一般式(I)で表される2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物に至る合成経路は、いくつか考えられるが、入手容易な1,4−シクロヘキサンジメタノール又はそのモノビニルエーテルを原料として容易に合成可能であり、この方法を応用することで本発明のいずれの2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物の原料とすることが可能である。
【0033】
本発明の一般式(I)で表される2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物の合成経路の概略を以下に示す。下記のスキームから分かるように、いずれの反応も基本的な有機化学反応を用いて合成できる。
【0034】
【化5】

【0035】
<用途>
本発明の前記一般式(I)で表される2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物は、液晶化合物、並びに液晶化合物及び種々の誘導体を合成する上でのビルディングブロックとして有用であり、更には、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAなどのモードを有する液晶表示素子への適用も可能である。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、下記の合成例及び実施例におけるnmrは、AV−400NMR(Bruker社製)を用いて、測定した。
【0037】
(合成例1)
<4−(ベンゼンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒド、4−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒド、及び4−(メチルスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドの合成>
(1−1)ベンゼンスルホン酸4−(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチルエステルの合成
170.3gの4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル(ビニル)エーテル(和光純薬工業株式会社製:320−22695)を1Lのトルエンに溶解し、134mLの塩化ベンゼンスルホニルを加え撹拌した。この混合物にピリジン88mLをゆっくり滴下し、1晩放置した。この後、水500mLを加え、分液して有機相を濃縮して、粗ベンゼンスルホン酸4−(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチルエステルを得た。
【0038】
(1−2)ベンゼンスルホン酸4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルエステルの合成
前記(1−1)で合成した化合物全量をテトラヒドロフラン1L、水100mL、p−トルエンスルホン酸一水和物20gを加えて2晩放置した。テトラヒドロフランを減圧留去したのち、酢酸エチルを加えて分液抽出を行った。有機相は濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ベンゼンスルホン酸4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルエステル202gを得た(収率70.3%)。
【0039】
(1−3)4−(ベンゼンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドの合成
前記(1−2)のベンゼンスルホン酸4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルエステル199gを塩化メチレン800mLに溶解し、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシドラジカル)2gと3%臭化ナトリウム水溶液200mLを加えて室温で撹拌した。これに2%の炭酸水素ナトリウムを含む次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素5%)を25〜30℃に保って滴下した。原料の消失を確認後、有機相を分液し、水洗、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄したのち、50%程度濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行った。目的物は粘稠な油状物として得られた(収量151.5g、収率76.7%)。
【0040】
〔nmrの結果〕
(ベンゼンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒド(シス、トランス混合物)のnmrスペクトルデータ(CDCl):9.65(0.25H,s)、9.60(0.75H,d,J=1.5Hz)、7.94−7.87(2H,m)、7.70−7.63(1H,m)、7.60−7.52(2H,m)、3.88(1.5H,d,J=6.3Hz)、3.81(0.5H,d,J=6.8Hz)、2.43(0.25H,m)、2.16(0.75H,m)、2.07−1.50(5H,m)、1.32−1.17(2H,m)、1.10−0.95(2H,m)
【0041】
〔nmrの結果〕
(4−ベンゼンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドと同様にして(即ち、塩化ベンゼンスルホニルの代わりに塩化p−トルエンスルホニル、及び塩化メチルスルホニルをそれぞれ用いて)、4−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒド、及び4−(メチルスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを合成した。
〔nmrの結果〕
4−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドのnmrスペクトルデータ(CDCl):9.60(1H,d,J=1.5Hz)、7.78(2H,d,J=8.0Hz)、7.34(2H,d,J=8.0Hz)、3.84(2H,d,J=6.3Hz)、2.45(3H,s)、2.15(1H,m)、2.09−1.52(5H,m)、1.30−1.18(2H,m)、1.09−0.95(2H,m)
【0042】
〔nmrの結果〕
4−(メチルスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドのnmrスペクトルデータ(CDCl):9.64(1H,d,J=1.2Hz)、4.07(2H,d,J=6.3Hz)、3.02(3H,s)、2.22(1H,m)、2.08(2H,m)、1.95(2H,m)、1.95(2H,m)、1.72(2H,m)、1.30(2H,m)、1.12(2H,m)
【0043】
(合成例2)
<4−(クロロメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドの合成>
(2−1)4−(クロロメチル)シクロヘキサンメタノールの合成
500gの1,4−シクロヘキサンジメタノール(和光純薬工業株式会社製:033−15405)と、500gの濃塩酸を混合し、100℃で10時間反応を行った。冷却後、1Lの水を加え、炭酸水素ナトリウムで中和を行ったのち、酢酸エチルを加えて抽出を行った。有機相を水洗後、濃縮したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、4−(クロロメチル)シクロヘキサンメタノール220gを油状物として得た(収率39.0%)。
【0044】
(2−2)4−(クロロメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドの合成
162.7gの4−(クロロメチル)シクロヘキサンメタノールを800mLの塩化メチレンに溶解し、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシドラジカル)2gと3%臭化ナトリウム水溶液200mLを加えて室温で撹拌した。これに2%の炭酸水素ナトリウムを含む次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素5%)を25〜30℃に保って滴下した。原料の消失を確認後、有機相を分液し、水洗、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄したのち、50%程度濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行った。目的物は油状物140.1gとして得た(収率87.2%)。
得られた化合物を更にシリカゲルクロマトグラフィーで慎重に精製を行った。溶出液はヘキサン/酢酸エチル=19/1を用い、シス体がより早く溶出した。
【0045】
〔nmrの結果〕
トランス体のnmr(CDCl):9.632(1H,d,J=1.32Hz)、3.423(2H,d,J=6.18)、2.203(1H,m)、2.029(4H,m)、1.642(1H,m)、1.319(2H,m)、1.124(2H,m)
シス体のnmr(CDCl):9.700(1H,s)、3.360(2H,d,J=4.92)、2.452(1H,m)、2.157(2H,m)、2.041(1H,m)、1.764(2H,m)、1.615(2H,m)、1.130(2H,m)
【0046】
(合成例3)
−4−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−1−フルオロ−1−シクロヘキサンカルボアルデヒドの合成−
20gの4−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを300mLのテトラヒドロフランに溶解し、7.8gのL−プロリンを加えた。この混合液に氷水で冷却しながら、25gのN−フルオロベンゼンスルホンイミド/テトラヒドロフラン溶液を滴下した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、テトラヒドロフランを減圧下で留去したのち、酢酸エチルで抽出を行った。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。各フラクションをnmrで確認し、ホルミル基と4位置換基がトランスのものを分取した。収量3.3g、収率11.0%であった。
【0047】
(実施例1)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号01)の合成−
5gの合成例2の4−(クロロメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを200mLのトルエンに溶解し、4.2gの2−メチル−1,3−プロパンジオール、0.3gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、脱水条件下で反応を行った。nmrで反応の進行を確認した。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号01)を4.3g得た(収率59.4%)。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.17(1H,d,J=3.9Hz)、4.02(2H,dd,J=3.3Hz,8.7Hz)、3.37(2H,d,J=4.8Hz)、3.25(2H,dd,J=8.4Hz)、2.04(1H,m)、1.90(4H,m)、1.58(1H,m)、1.11(2H,m)、0.98(2H,m)、0.69(3H,d,J=5.1Hz)
【0048】
(実施例2)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号05)の合成−
7.2gの合成例2に準じて合成した4−(ブロモメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを150mLのトルエンに溶解し、5.0gの2−プロピル−1,3−プロパンジオール、0.34gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、脱水条件下で反応を行った。nmrで反応の進行を確認した。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号05)の油状物7.4gを得た(収率68.7%)。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.17(1H,d,J=3.9Hz)、4.06(2H,dd,J=3.3Hz,8.7Hz)、3.37(2H,d,J=4.8Hz)、3.27(2H,dd,J=8.4Hz)、1.90(5H,m)、1.68−1.4(3H,m)、1.4−1.2(2H,m)、1.12(2H,m)、0.98(2H,m)、0.88(3H,t,J=5.1Hz)
【0049】
(実施例3)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号08)の合成−
3.84gの合成例2に準じて合成した4−(ブロモメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを150mLのトルエンに溶解し、4.5gの2−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,3−プロパンジオール、0.18gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、断水条件下で反応を行った。nmrで反応進行を確認し、反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行った。更にアセトニトリルより再結晶を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号08)の結晶3.1gを得た(収率42.7%)。得られた化合物の融点は184℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.15(2H)、4.14(1H,d,5.6Hz)、3.38(2H,dd,J=11.2Hz)、3.27(2H,d,6.4Hz)、1.93(2H,m)、1.87(2H,m)、1.74(3H,m)、1.65(2H,m)、1.59(1H,m)、1.46(1H,m)、1.2−0.9(12H)、0.86(3H,t)、0.83(2H,m)
【0050】
(実施例4)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号09)の合成−
3.67gの合成例2に準じて合成した4−(ブロモメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを150mLのトルエンに溶解し、4.6gの2−(4−ブチルシクロヘキシル)−1,3−プロパンジオール、0.17gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、断水条件下で反応を行った。nmrで反応進行を確認し、反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行った。更にアセトニトリルより再結晶を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号09)の結晶2.93gを得た(収率40.8%)。得られた化合物の融点は180℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.15(2H)、4.14(1H,d,5.4Hz)、3.38(2H,dd,J=11.4Hz)、3.31(2H,d,6.6Hz)、1.90(4H,m)、1.8−1.4(8H)、1.2−0.75(18H)
【0051】
(実施例5)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号10)−
4.49gの特開平9−278698号公報記載の方法に従って合成した4−(ブロモメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを150mLのトルエンに溶解し、4.9gの2−(4−エチルシクロヘキシル)−1,3−プロパンジオール、0.21gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、断水条件下で反応を行った。nmrで反応進行を確認し、反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行った。更にヘキサンより再結晶を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号10)を2.9g結晶として得た(収率35.5%)。得られた化合物の融点は168℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.16(2H)、4.14(1H,d,5.6Hz)、3.38(2H,dd,J=11.2Hz)、3.27(2H,d,6.4Hz)、1.93(2H,m)、1.87(2H,m)、1.78−1.7(3H)、1.65(2H,m)、1.59(1H,m)、1.46(1H,m)、1.2−0.9(10H)、0.85(3H,t)、0.83(2H,m)
【0052】
(実施例6)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号13)の合成−
5.0gの合成例2の4−(クロロメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを150mLのトルエンに溶解し、5.5gの2−ペンチル−1,3−プロパンジオール、0.3gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、脱水条件下で反応を行った。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号13)の油状物5.5g得た(収率61.1%)。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.17(1H,d,J=5.4Hz)、4.07(2H,dd,J=3.6Hz,8.1Hz)、3.37(2H,d,J=6.3Hz)、3.27(2H,dd,J=11.1Hz)、1.90(5H,m)、1.7−1.0(14H)、0.89(3H)
【0053】
(実施例7)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号14)の合成−
5.0gの合成例2の4−(クロロメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを150mLのトルエンに溶解し、5.0gの2−ブチル−1,3−プロパンジオール、0.3gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、脱水条件下で反応を行った。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号14)の油状物5.6g得た(収率は65.4%)。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.17(1H,d,J=5.4Hz)、4.07(2H,dd,J=3.6Hz,8.1Hz)、3.37(2H,d,J=6.3Hz)、3.27(2H,dd,J=11.1Hz)、1.90(5H,m)、1.7−1.0(14H)、0.89(3H)
【0054】
(実施例8)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号17)の合成−
3.3gの合成例2の4−(クロロメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを150mLのトルエンに溶解し、4.9gの2−(4−プロピルシクロヘキシル)−1,3−プロパンジオール、0.19gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、脱水条件下で反応を行った。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行ったのち、アセトニトリルより再結晶し、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号17)を2.6g得た(収率37.2%)。得られた化合物の融点は175℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.15(2H)、4.14(1H,d,5.4Hz)、3.38(2H,dd,J=11.3Hz)、3.37(2H,d,6.3Hz)、1.88(4H,m)、1.8−1.4(8H)、1.27(2H,m)、1.2−0.9(9H)、0.87(3H,t)、0.8(2H)
【0055】
(実施例9)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号18)の合成−
3.0gの合成例2の4−(クロロメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを150mLのトルエンに溶解し、4.8gの2−(4−ブチルシクロヘキシル)−1,3−プロパンジオール、0.18gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、脱水条件下で反応を行った。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行ったのち、ヘキサンより再結晶し、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号18)を2.0g得た(収率30.0%)。得られた化合物の融点は180℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.15(2H)、4.14(1H,d,5.1Hz)、3.38(2H,dd,J=11.3Hz)、3.37(2H,d,6.3Hz)、1.90(4H,m)、1.8−1.4(7H)、1.4−0.7(19H)
【0056】
(実施例10)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号19)の合成−
3.5gの合成例2の4−(クロロメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを150mLのトルエンに溶解し、4.9gの2−(4−エチルシクロヘキシル)−1,3−プロパンジオール、0.21gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、脱水条件下で反応を行った。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行ったのち、ヘキサンより再結晶し、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号19)を2.6g得た(収率36.1%)。得られた化合物の融点は164℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.13(3H)、3.37(2H,dd,J=10.6Hz)、3.36(2H,d,6.2Hz)、1.90(4H,m)、1.8−1.4(7H)、1.2−0.9(10H)、0.88(3H,t,J=Hz)、0.87(2H,m)
【0057】
(実施例11)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号25)の合成−
21.5gの合成例1の4−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを200mL、15.0gの2−(4−エチルシクロヘキシル)−1,3−プロパンジオール、0.5gのp−トルエンスルホン酸一水和物、500mLのトルエンを混合し、nmrで反応を追跡しながら共沸脱水反応を行った。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒から再結晶を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号25)を10.4g得た(収率31.8%)。得られた化合物の融点は153〜155℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):7.77(2H,d,J=8.0Hz)、7.33(2H,d,J=8.0Hz)、4.14(2H,dd,J=4.4Hz,11.2Hz)、3.80(2H,d,J=6.8Hz)、3.36(2H,dd,11.2Hz)、2.45(3H,s)、1.82−0.76(26H)
【0058】
(実施例12)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号26)の合成−
11.7gの合成例1の4−(メチルスルホニルオキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒドを300mLのトルエンに溶解し、8.4gの2−ブチル−1,3−プロパンジオール、0.5gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、nmrで反応進行を追跡しながら共沸脱水反応を行った。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒から再結晶を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号26)を2.7g得た(収率15.2%)。得られた化合物の融点は92〜93℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.17(1H,d,J=5.1Hz)、4.07(2H,dd,J=4.5Hz,11.7Hz)、4.02(2H,d,6.6Hz)、3.27(2H,dd,J=11.4Hz)、2.99(3H,s)、2.0−0.93(17H)、0.88(3H,t,J=4.8Hz)
【0059】
(実施例13)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号27)の合成−
14.6gの“Macromolecules 1992,25, 3362-3364”に記載の方法で合成した4−(アセトキシメチル)シクロヘキサンカルボアルデヒド11.6gの2−ブチル−1,3−プロパンジオール、500mLのトルエン、0.5gのp−トルエンスルホン酸一水和物を混合し、共沸脱水反応を行った。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、更にヘキサンから2度再結晶を行って、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号27)を1.8g得た(収率7.6%)。得られた化合物の融点は50.5〜52℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):4.16(1H,d,J=5.2Hz)、4.07(2H,dd,J=4.8Hz,11.6Hz)、3.87(2H,d,J=6.4Hz)、3.27(2H,dd,J=11.6Hz)、2.05(3H,s)、1.26(1H,m)、1.87(2H)、1.80(2H)、1.58(2H,m)、1.48(2H,m)、1.25(4H,m)、1.10(2H,m)、1.05−0.9(2H)、0.879(3H,t,J=7.2Hz)
【0060】
(実施例14)
−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号30)の合成−
合成例3の4−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−1−フルオロ−1−シクロヘキサンカルボアルデヒド2.8g、30mLのトルエン、2.0gの2−ペンチル−1,3−プロパンジオール、触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を混合し、共沸脱水反応を行った。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒から再結晶を行い、シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物(化合物番号30)を1.2g得た(収率30.4%)。得られた化合物の融点は125〜128℃であった。
〔nmrの結果〕
nmrスペクトルデータ(CDCl):7.78(2H,d,J=6.0Hz)、7.33(2H,d,J=6.0Hz)、4.32(1H,d,J=5.4Hz)、4.09(2H,dd,J=3.3Hz,8.7Hz)、3.82(2H,d,J=5.1Hz)、3.30(2H,dd,J=8.4Hz)、2.45(3H,s)、1.93(3H,m)、1.8−1.2(13H)、1.02(2H,m)、0.87(3H,t,J=5.1Hz)
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の新規な2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物は、種々の誘導体合成のビルディングブロックに用いられ、特に液晶性化合物として有用であり、また、液晶性化合物の中間体として利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されることを特徴とする2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物。
【化1】

ただし、前記一般式(I)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていいてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基のいずれかを表し、該アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。
Aは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基のいずれかを表し、該アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基は更に置換基により置換されていてもよい。
Xは、ハロゲン原子、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びアリールオキシ基のいずれかを表し、該アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びアリールオキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。
【請求項2】
が、置換又は無置換のアルキル基である請求項1に記載の2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物。
【請求項3】
が、水素原子及びハロゲン原子のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物。
【請求項4】
Aが、水素原子及びハロゲン原子のいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物。
【請求項5】
液晶化合物として用いられる請求項1から4のいずれかに記載の2−シクロヘキシル−1,3−ジオキサン化合物。

【公開番号】特開2009−215261(P2009−215261A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63032(P2008−63032)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】