説明

2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸単独の製造方法、又はその硫黄含有アナログとの混合物としての製造方法、及びそれらの栄養食品としての使用、特に動物用の栄養食品としての使用

本発明は、3−メチルセレノプロピオン−アルデヒドから、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸を製造するための新規プロセスに関する。2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸は、単独で又はその硫黄含有アナログとの混合物として得られる。本発明はまた、組成物、特に、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸及び2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の混合物、並びに生理学的に許容可能な溶媒を含む栄養組成物に関する、そして食品成分としてのこの混合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸単独の製造方法、又はその硫黄含有アナログとの混合物としての製造方法、及びそれらの栄養食品としての使用、特に動物用の栄養食品としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
セレンは、哺乳動物、特にヒトにとって、必須の微量栄養素である。セレンは、グルタチオン過酸化酵素、チオレドキシン還元酵素及びセレノタンパク質Pといった、セレノタンパク質の生合成に、L(+)−セレノシステイン又はL(+)−セレノメチオニンとして関与する。FDA−RDAによれば、ヒトが1日に必要とするセレンの量は、子供で10〜30μg、青年期成人で40〜70μgの間と様々であり、これらのレベルは、妊娠中(65μg/日)及び授乳中(75μg/日)の女性では、特に高くなる。授乳中の女性に、L(+)−セレノメチオニンを補完(セレンに換算して2.7μmol)することで、乳汁中のセレン濃度が顕著に増加する。
【0003】
欠乏症、疾患又は放射線曝露といったいくつかの状況で、セレン栄養補完食品は、非常に有用であることが証明された。フェニルケトン尿症又は高フェニルアラニン血症といった遺伝子病を患う子供は、低タンパク量の食事を採っており、このことは、特にそのような子供に当てはまる。別の分野では、ビタミン類に関連して、ヒトの場合、L(+)−セレノメチオニンといった有機形態のセレンは、UV放射に対する保護効果を有する。最後に、L(+)−セレノメチオニンは、高エネルギーの電離放射線からの有害な生物学的影響から保護する。
【0004】
本出願人のフランス特許出願(FR 2 873376)は、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸及びその誘導体、並びにそれらの合成について、初めて報告している。さらにその硫黄含有アナログであり、液体メチオニンとも呼ばれる2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸は、動物食品用のメチオニン前駆体として公知である(WO9636598)。この出願により、一年あたり数十万トン規模で工業的に生産されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、L(+)−セレノメチオニンの前駆体である2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸、と同様にL(+)−セレノメチオニンの前駆体である2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸は、動物の栄養食品の中でも大きな関心のある化合物である。それゆえ、容易に工業化できる合成方法、すなわち大容量で行われうる合成方法を、最も簡単な手法で得られることが重要であり、その活用とそのための費用は、主要な痛手とはならない。
【0006】
本出願人は、これらの基準に合致しており、既存の方法よりも多くの利点を有する合成方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、第一の局面において、本発明は、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸の製造方法に関し、以下の工程:
式(II):
【0008】
【化1】

【0009】
の化合物である、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブチロニトリルを導くために、
式(I):
【0010】
【化2】

【0011】
の3−メチルセレノプロピオンアルデヒドを、プロトン性極性溶媒中、好ましくは式MHSO(式中、Mは、アルカリ金属原子を表す)の亜硫酸水素アルカリの存在下で、式MCN(式中、Mは、アルカリ金属原子を表す)のシアン化アルカリと反応させる工程、
【0012】
式(II)の化合物を、プロトン性極性溶媒中、熱濃強酸溶媒で加水分解して式(IV):
【0013】
【化3】

【0014】
(ここで、生理学的に許容可能な塩基を添加した後に、その塩のうちの一つに転換されていてもよい。)
で予期された化合物を導く工程を含むことで、特徴付けられる。
【0015】
先に記載した方法とは別の方法において、式(II)の化合物は、式(III):
【0016】
【化4】

【0017】
の化合物を導くために、プロトン性極性溶媒中、熱濃硫酸溶媒で加水分解される。式(III)の化合物は、それ自身が熱濃強酸溶媒で加水分解して、式(IV)の化合物を導く。
【0018】
本発明の方法の有利な実施態様に従って、シアン化アルカリ試薬は、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、及びシアン化リチウムから選択される。
【0019】
例えば、水のようなプロトン性極性溶媒中で操作する。
【0020】
一連の反応は、その対応する塩に転換されていてもよい式(IV)の化合物と共に行われてもよく、当業者に公知の標準的な条件下にて行われる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の方法は、従来技術(FR 2 573 376)の方法と同様に、有機金属化合物のような錯体試薬、あるいは、アルキル化試薬のような毒性試薬のどちらも必要としないことに利点がある。さらに本発明の方法は、大容量で、例えば水のような非毒性溶媒中にて行われうる。実現可能な見地のみならず、これらの利点により、活用にかかる費用もかなり安くなる。
【0022】
本発明の方法を適用するための基質として使用される式(I)の化合物は、公知であり、その入手方法は、特にSynthesis、1988、616〜619ページに記載されている。
【0023】
上記式(IV)の化合物の硫黄含有アナログである2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸は、特に同じ栄養学の分野において広く認識されている点で利点がある(上記参照)。
【0024】
この化合物及び式(IV)の化合物の同時投与は、活用と効率の点で、申し分のない利点を有する。工業化の要請にこたえるには、これら化合物両方を混合物の形で、簡単に入手することができ、さらにこれら誘導体両方の相対的な割合を、互いに相対的に制御できることが重要である。同時投与あるいは別々の投与であったとしても、製剤内に定められた割合でのこれらの投与もまた、有意な利点を提供する。
【0025】
本発明及び前記製造方法は、硫黄含有化合物及びセレン含有化合物という2種類の混合物を同時に導くために使用されうることを当該活用は示しており、これにより工業生産性がかなり増大される。
【0026】
従って、第二の局面において、本発明は、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸及び2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の混合物を、定められた割合で製造する方法に関する。本発明は、以下の工程:
式(II)の2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブチロニトリル及び式(IIa)の2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニトリル:
【0027】
【化5】

【0028】
の混合物を導くために、
式(I)の3−メチルセレノプロピオンアルデヒド及び式(Ia)の3−メチルチオプロピオンアルデヒド(3−methylthioprionaldehyde):
【0029】
【化6】

【0030】
の混合物を、プロトン性極性溶媒中、好ましくは式MHSO(式中、Mは、アルカリ金属原子を表す)の亜硫酸水素アルカリの存在下、式MCN(式中、Mは、アルカリ金属原子を表す)のシアン化アルカリと反応させる工程、
【0031】
式(II)及び式(IIa)の化合物を、プロトン性極性溶媒中、熱濃強酸溶媒で加水分解して、式(IV)及び(IVa):
【0032】
【化7】

【0033】
(ここで、生理学的に許容可能な塩基を添加した後に、これらの塩の混合物に転換されていてもよい)、で予期された化合物である、2つの化合物の混合物を導く工程を含むことで、特徴付けられる。
【0034】
化合物(IV)及び(IVa)両方の相対割合については、当該方法の最初に、化合物(I)及び(Ia)の相対量により設定されており、前記製造方法の全体にわたって変わりないことが理解される。
【0035】
有利な局面において、シアン化アルカリ試薬は、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム及びシアン化リチウムから選択される。
【0036】
例えば、水のようなプロトン性極性溶媒内で操作する。
【0037】
先に記載したように、本発明の方法において、式(IV)及び(IVa)の2つの化合物の相対割合は、計画された適用に従って制御されてもよい。特に、化合物(IV)及び化合物(IVa)の比率は、0.01重量%〜1重量%の間で、好ましくは0.05重量%〜0.5重量%の間で変化する。
【0038】
セレノメチオニン及びメチオニンそれぞれの前駆体である、式(IV)及び(IVa)の化合物を同時に得ることにより、これらの化合物の扱いが簡単になることから、この混合物を含む組成物の製造を意図することも可能になる。
【0039】
従って、本発明の対象はまた、組成物、特に活性成分としての、式(IV)の2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸及び式(IVa)の2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の混合物、並びに生理学的に許容可能な溶媒を含む、栄養組成物である。化合物(IV)及び化合物(IVa)間の比率は、特に0.01重量%〜1.0重量%の間であり、好ましくは0.05重量%〜0.5重量%の間に含まれる。
【0040】
本発明の文脈において、生理学的に許容可能な溶媒とは、特に以下から選択される媒体を意味する:
*水溶液、アルコール溶液、又は油剤、
*水/油又は油/水エマルジョン、マイクロエマルジョン、
*水性ゲル、
*ビヒクル、マイクロカプセル、マイクロ粒子又はナノ粒子の分散物、
*ビタミン類、天然の抗酸化剤、鉱物塩類、単糖類、二糖類又は多糖類、特に葉酸、ビタミンB、E又はC、ラクトース、デンプン、から選択されてもよい、1種以上の添加物及び/又は賦形剤からなる固形溶媒。上記に定義した1種以上の添加物及び/又は賦形剤を含んでなる、そして一般式(I)の少なくとも一つの化合物を含む、この固形溶媒は、ゼラチンカプセル剤、錠剤又は粉末剤として製剤化されてもよい。これらの組成物の、式(IV)及び(IVa)の化合物以外の異なる構成成分の量は、種々の適用で示されたように通常使用されている量である。
【0041】
これらの媒体は、単に説明の目的で挙げられたものであり、それゆえに本発明の範囲をいかなる手段によっても制限するものではない非限定の例としては、食用ミルク、フルーツジュース、シロップ、また乳幼児用ミルクのような栄養液体、あるいは非経口溶液、食卓塩、又は制御された方法でセレンを補完した任意の一般的な食品であってもよい。
【0042】
本発明はまた、食品成分、食品補完物又は食品添加物としての、式(IV)の2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸及び式(IVa)の2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の混合物の使用に関する。
【0043】
式(II):
【0044】
【化8】

【0045】
の2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブチロニトリル化合物は新規であり、そのエナンチオマーと同様に本発明の一部である。
【0046】
本発明の文脈において、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム又は水酸化亜鉛といった鉱物塩基、ナトリウム、リチウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム又は亜鉛の炭酸塩、及びそれらの重炭酸塩といったアルカリ又はアルカリ土類金属の炭酸塩、あるいはメチルアミン、プロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノエタン、エタノールアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、モルホリン、プロセイン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、N−メチルグルカミンといった有機塩基、あるいはさらに、アルキルホスホニウム塩、アリールホスホニウム塩、アリールアルキルホスホニウム塩、アルケニルアリールホスホニウム塩といったそのホスホニウム塩、あるいはテトラ−n−ブチル−アンモニウム塩のような4級アンモニウム塩が、生理学的に許容可能な塩として挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
式(II)の化合物は、式(IV)の化合物を得るための合成中間体として、本発明の範囲内にて使用される。そして式(IV)の化合物は、セレノメチオニンに変換されうる。例えば、本発明の対象はまた、ヒト又は動物におけるセレノメチオニン及び/又はセレン源としての、先に定義した式(II)の化合物、あるいはそのエナンチオマーの使用である。
【0048】
これにより、式(II)の上記化合物の使用は、特に以下の意味がある:
−L(+)−セレノメチオニン前駆体。直接、あるいは酵素的加水分解後いずれかの、インビボにおける酸化及びトランスアミノ化;
あるいは:
−セレンの部分的又は全体的な欠乏を補完するためのセレン源として;
あるいは:
−動物(特に、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ネコ及びイヌ並びに家畜)食品用の栄養組成物を製造するための食品成分、食品補完物又は食品添加物として。
【0049】
以下の実施例は、単なる説明の目的で挙げられたものであり、いかなる手段においても本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0050】
実施例1:2−ヒドロキシ−4−(メチルセレノ)ブチロ−ニトリルの製造
【0051】
【化9】

【0052】
468mg(3.1mmol)の3−メチルセレノプロピオンアルデヒド(R.Dieden et L.Hevesi,Synthesis 1988,616〜619)を、1.2mL水中、291mg(2.8mmol)の重亜硫酸ナトリウム水溶液に加える。混合物を、室温で10分間勢いよく攪拌し、次いで155mg(3.16mmol)のシアン化ナトリウムを加える。室温で2時間攪拌後、5mLのジクロロメタンを加えて、有機相をデカンテーションする。水相を5mLのジクロロメタンで2回抽出する。有機相を回収し、次いで乾燥(NaSO)、ろ過及び蒸発させた後、所望の化合物を無色油状物として得る。この化合物は、以下工程に従って用いられうる。
(SiO,シクロヘキサン/酢酸エチル、50/50):0.22.
RMN−H(CDCl,300MHz):
δ(ppm)=2.06(s,3H);2.27(m,2H);2.73(m,2H);3.20(bs,1H,OH);4.74(t,J=8Hz,α−H).
MS(IE,70eV):m/z(%)=179(80,M+);164(90);153(100);123(50);109(80).
【実施例2】
【0053】
実施例2:2−ヒドロキシ−4−(メチルセレノ)−ブチロニトリルの加水分解による、D,L−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ−酪酸の製造
【0054】
【化10】

【0055】
実施例1に記載の化合物390mg(2.1mmol)を、1.7mLの濃塩酸及び3.6mLの水の混合液に加える。混合物を還流しながら6時間加熱して、次いで室温で14時間攪拌する。次に、水相を3×10mLのtert−ブチルメチルエーテルで抽出する。乾燥(NaSO)、ろ過及び蒸発させた後、所望の化合物を油状物として得る。この化合物は、冷却すると結晶化する。
(SiO,シクロヘキサン/酢酸エチル、50/50+1%CFCOOH):0.26.
RMN−H(CDCl,300MHz):
δ(ppm)=2.02(s,3H,SeCH);2.08(m,1H);2.22(m,1H);2.70(m(sym.),2H);4.41(dd,J=8Hz,J=4Hz,1H,α−H).
【実施例3】
【0056】
実施例3:D,L−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ−酪酸アミドの製造
【0057】
【化11】

【0058】
実施例1における、262mg(1.47mmol)の2−ヒドロキシ−4−(メチルセレノ)ブチロニトリルを、0.13mLの水と、0.5mLの濃硫酸との混合物に加える。混合物を45℃で2時間加熱し、次いで5mLの水と5mLのジクロロメタンを加える。有機相をデカンテーションし、水相を5mLのジクロロメタンで2回抽出する。有機相を回収し、次いで乾燥(NaSO)、ろ過及び蒸発させた後、所望の化合物(48mg)を粘性のある無色油状物として得る。
(SiO,シクロヘキサン/メタノール、90/10):0.13.
RMN−H(CDCl,300MHz):
δ(ppm)=2.06(s,3H,SeCH);2.08(m,1H);2.30(m,1H);2.75(m(sym.),2H);3.25(bs,1H,OH);4.36(dd,J=8Hz,J=4Hz,1H,α−H);5.5(bs,1H,NH);
6.5(bs,1H,NH).
MS(IC,NH):m/z(%)=215(40,M+NH;198(100,M+H);181(20);102(25).
【実施例4】
【0059】
実施例4:本発明に記載の混合物の製造
【0060】
工程A:2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)−ブチロニトリル及び2−ヒドロキシ−4−(メチルセレノ)−ブチロニトリルの混合物の製造
【0061】
【化12】

【0062】
120mg(0.8mmol)の3−メチルセレノ−プロピオンアルデヒド(R.Dieden and L Hevesi,Synthesis 1988,616−619)及び273mg(2.5mmol)の3−メチルチオ−プロピオンアルデヒドを、1.2mLの水中、312mg(3mmol)の重亜硫酸ナトリウム溶液に加える。混合物を、室温で10分間勢いよく攪拌し、次いで164mg(3.3mmol)のシアン化ナトリウムを加える。室温で2時間攪拌した後、5mLのジクロロメタンを加えて、有機相をデカンテーションする。水相を5mLのジクロロメタンで2回抽出する。有機相を回収し、次いで乾燥(NaSO)、ろ過及び蒸発させた後、2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)−ブチロニトリル及び2−ヒドロキシ−4−(メチルセレノ)−ブチロニトリルの混合物を、3:1の割合で黄色がかった油状物として得る。この化合物は、そのまま次の工程に用いられうる。
RMN−H(CDCl,300MHz):
δ(ppm)=2.06(s,SeCH);2.16(s,SCH),2.10−2.35(m);2.50−2.65(m);2.64−2.90(m);3.20(bs,OH);4.74(t,J=8Hz,2−H,Se混成);4.76(t,J=8Hz,2−H,S混成).
【0063】
工程B:D,L−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸及びD;L−2−ヒドロキシ−4−メチル−チオ酪酸の混合物の製造:
【0064】
【化13】

【0065】
工程Aで記載した生成物105mgを、0.6mLの濃塩酸及び1.3mLの水の混合液中に加える。混合液を還流しながら5時間加熱して、次いで水相を2×10mLのtertブチルメチルエーテルで抽出する。乾燥(NaSO)、ろ過及び蒸発させた後、2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)酪酸及び2−ヒドロキシ−4−(メチルセレノ)酪酸が3:1の割合の混合物を、黄色がかった油状物として得る。
ES(LC−MS):t=1.69分:148.9(M[C10S]−H);
=2.24分:196.8(M[C10Se]−H).
【実施例5】
【0066】
実施例5:本発明に記載の組成物の製造
【0067】
実施例5.A:ゼラチンカプセルは、以下の組成に記載の標準的な方法で製造した
L−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸 0.2mg
L−2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸 200mg
賦形剤及び外皮**
合計1000mgのゼラチンカプセル
コーンスターチ、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、
**ゼラチン、二酸化チタン、着色剤)。
【0068】
実施例5.B:ゼラチンカプセルは、以下の組成に記載の標準的な方法で製造した
L−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸 0.05mg
L−2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸 50mg
賦形剤及び外皮**
合計1000mgのゼラチンカプセル
コーンスターチ、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトナトリウム、
**ゼラチン、二酸化チタン、着色剤)。
【0069】
実施例5.C:ゼラチンカプセルは、以下の組成に記載の標準的な方法で製造した
L−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸 10mg
L−2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸 10g
水 合計1000mL

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むことを特徴とする、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸の製造方法:
(式(II):
【化1】


の化合物である、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブチロ−ニトリルを導くために、
式(I):
【化2】


の3−メチルセレノプロピオンアルデヒドを、プロトン性極性溶媒中、好ましくは式MHSO(式中、Mは、アルカリ金属原子を表す)の亜硫酸水素アルカリの存在下で、式MCN(式中、Mは、アルカリ金属原子を表す)のシアン化アルカリと反応させる工程、
式(II)の化合物を、プロトン性極性溶媒中、熱濃強酸溶媒で加水分解して、式(IV)で予期された化合物を導く工程:
【化3】


(ここで、生理学的に許容可能な塩基を添加した後に、その塩のうちの一つに転換されていてもよい))。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、式(II)の化合物が、式(III):
【化4】


の化合物を導くために、プロトン性極性溶媒中、熱濃硫酸溶媒で加水分解され、式(III)の化合物は、それ自身が熱濃強酸溶媒で加水分解して、式(IV)の化合物を導くことを特徴とする方法。
【請求項3】
シアン化アルカリ試薬が、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、及びシアン化リチウムから選択されることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
プロトン性極性溶媒が水であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸及び2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の混合物の製造方法であって、以下の工程:
式(II)の2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブチロニトリル及び式(IIa)の2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニトリル:
【化5】


の混合物を導くために、
式(I)の3−メチルセレノ−プロピオンアルデヒド及び式(Ia)の3−メチル−チオプロピオンアルデヒド:
【化6】


の混合物を、プロトン性極性溶媒中、好ましくは式MHSO(式中、Mは、アルカリ金属原子を表す)の亜硫酸水素アルカリの存在下、式MCN(式中、Mは、アルカリ金属原子を表す)のシアン化アルカリと反応させる工程、
式(II)及び式(IIa)の化合物を、プロトン性極性溶媒中、熱濃強酸溶媒で加水分解して、式(IV)及び(IVa):
【化7】


(ここで、生理学的に許容可能な塩基を添加した後に、これらの塩の混合物に転換されていてもよい)で予期された化合物である、2つの化合物の混合物を導く工程
(化合物(IV)及び(IVa)両方の相対割合については、当該方法の最初に、化合物(I)及び(Ia)の相対量により設定されており、前記製造方法の全体にわたって変わりないことが理解される)を含むことを特徴とする、方法。
【請求項6】
シアン化アルカリ試薬が、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム及びシアン化リチウムから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
プロトン性極性溶媒が水であることを特徴とする、請求項5又は6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
化合物(IV)及び化合物(IVa)の比率が、0.01重量%〜1.0重量%の間であり、好ましくは0.05重量%〜0.5重量%の間で変化することを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
式(II):
【化8】


の2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブチロニトリル化合物、並びにそのエナンチオマー。
【請求項10】
ヒト又は動物における、セレノメチオニン及び/又はセレン源としての、請求項9に定義した式(II)の化合物、あるいはそのエナンチオマーの使用。
【請求項11】
活性成分としての、式(IV)の2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸及び式(IVa)の2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の混合物、並びに生理学的に許容可能な溶媒を含む、栄養組成物。
【請求項12】
化合物(IV)及び化合物(IVa)間の比率が、0.01重量%〜1.0重量%の間であり、好ましくは0.05重量%〜0.5重量%の間で変化することを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
食品成分、食品補完物又は食品添加物としての、式(IV)の2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ酪酸及び式(IVa)の2−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の混合物の使用。

【公表番号】特表2010−507630(P2010−507630A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533870(P2009−533870)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061567
【国際公開番号】WO2008/049927
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(507022330)
【氏名又は名称原語表記】TETRAHEDRON
【Fターム(参考)】