説明

2つのセラミック製部材を相互に接合する方法、およびセラミック製部材

【課題】良好な密着性が得られるセラミック製部材の接合方法。
【解決手段】第1および第2のセラミック成形体を準備する工程と、前記第1のセラミック成形体の一面に、添加物質を設置する工程であって、前記添加物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる無機物質主成分との間で、第1の温度以上の温度で液相を形成する第2の無機物質を含む、工程と、前記第1および第2のセラミック成形体を焼成して、第1および第2のセラミック製部材を形成する工程と、前記第1および第2のセラミック製部材を、前記第1のセラミック製部材の前記一面が、前記第2のセラミック製部材の一面と接触するように配置して、これを前記第1の温度以上の第2の温度に保持する工程と、を有する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセラミック製部材を相互に接合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のセラミック製部材を相互に接合する技術は、様々な分野で重要である。特に、最終セラミック製品が大型であったり、複雑形状であったりする場合には、複数のセラミック製部材を相互に接合する方法でしか、そのような製品を構成することができないことがしばしばある。
【0003】
通常、セラミック製品を接合により製作する際には、
(i)まず、所定形状の複数の焼結セラミック製部材が準備され、
(ii)焼結セラミック製部材の被接合面に、接着材が設置され、
(iii)各セラミック製部材の被接合面同士が接着材を介して相互に押し付けられ、両者が接合される。
【0004】
なお、通常の場合、セラミック製品は、高温で使用されるため、接着材は、そのような使用温度で耐熱性を有する必要があり、接着材としては、例えば、ろう材などが使用される。
【0005】
また、最近では、アルミナ部材同士の接合に、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)を主成分とする接着材を使用することが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−335583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のような、接着材を介してセラミック製部材同士を接合する方法では、材料特性等の違いにより、セラミック製部材と接着材との間に、良好な密着性が得られず、セラミック製部材の接合の際あるいは接合体の使用中に、セラミック製部材に剥離が生じるおそれがある。例えば、セラミック製部材と接着材との間で、熱膨張係数などの材料特性が大きく異なる場合、熱応力環境下では、セラミック製部材に剥離が生じる危険性は、極めて高くなる。
【0008】
なお、特許文献1のように、被接合部材としてアルミナを使用し、接着材としてYAGを主成分とする材料を使用した場合、両者の熱膨張係数は、比較的近くなる。しかしながら、この場合も、セラミック製部材と接着材の間に、明確な界面が生じる構成は同じであり、このため、この方法においても、依然として、セラミック製部材と接着材の界面での密着性に関する問題が残る。
【0009】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べて、セラミック製部材同士の間に良好な密着性が得られる、セラミック製部材の接合方法を提供することを目的とする。また、本発明では、そのような接合の際に使用され得るセラミック製部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、
同じ無機物質主成分を含む2つのセラミック製部材を相互に接合する方法であって、
(a)前記無機物質主成分を含む第1および第2のセラミック成形体を準備する工程と、
(b)前記第1のセラミック成形体の少なくとも一つの面に、添加物質を設置する工程であって、
前記添加物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、第1の温度以上の温度で液相を形成する第2の無機物質を含む、工程と、
(c)前記第1および第2のセラミック成形体を焼成して、第1および第2のセラミック製部材を形成する工程と、
(d)前記第1および第2のセラミック製部材を、前記第1のセラミック製部材の前記一つの面が、前記第2のセラミック製部材の一つの面と接触するように配置して、組立体を構成する工程と、
(e)前記組立体を、第2の温度に保持する工程であって、前記第2の温度は、前記第1の温度以上の温度である工程と、
を有し、
これにより、前記第1のセラミック製部材の前記一つの面において、融液が生成し、前記第1および第2のセラミック製部材が相互に接合されることを特徴とする方法が提供される。
【0011】
ここで、本発明による方法において、前記添加物質の第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、前記第1の温度を共晶点とする共晶を形成し、または前記添加物質の第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、前記第1の温度を包晶点とする包晶を形成しても良い。
【0012】
また、本発明による方法において、前記添加物質は、さらに、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分と同じ物質を含んでも良い。
【0013】
また、本発明による方法において、前記無機物質主成分は、アルミナであっても良い。
【0014】
また、本発明による方法において、前記第2の無機物質は、イットリア、ジルコニア、およびシリカからなる群から選定されても良い。
【0015】
また、本発明による方法は、さらに、
(b2)前記第2のセラミック成形体の少なくとも一つの面に、前記添加物質を設置する工程を有しても良い。
【0016】
また、本発明による方法において、前記第1の温度は、1600℃よりも高い温度であっても良い。
【0017】
さらに、本発明では、
同じ無機物質主成分を含む2つのセラミック製部材を相互に接合する際に使用される一方のセラミック製部材であって、
少なくとも一つの表面に、第2の無機物質を有し、
前記第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、第1の温度以上の温度で液相を形成し、
前記第1の温度は、当該セラミック製部材が他方のセラミック製部材と接合される際に保持される第2の温度以下の温度であることを特徴とするセラミック製部材が提供される。
【0018】
ここで、本発明によるセラミック製部材において、前記第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、前記第1の温度を共晶点とする共晶を形成し、または前記第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、前記第1の温度を包晶点とする包晶を形成しても良い。
【0019】
また、本発明によるセラミック製部材において、前記無機物質主成分は、アルミナであっても良い。
【0020】
また、本発明によるセラミック製部材において、前記第2の無機物質は、イットリア、ジルコニア、およびシリカからなる群から選定されても良い。
【0021】
また、本発明によるセラミック製部材において、前記第1の温度は、1600℃よりも高い温度であっても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、従来に比べて、セラミック製部材同士の間に良好な密着性が得られる、セラミック製部材の接合方法を提供することができる。また、そのような接合の際に使用され得るセラミック製部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による接合方法の概略的なフローの一例を示した図である。
【図2】アルミナとイットリアの二元系状態図である。
【図3】アルミナとシリカの二元系状態図である。
【図4】アルミナとジルコニアの二元系状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
前述のように、通常、セラミック製品を接合する際には、
(i)まず、所定形状の複数の焼結セラミック製部材が準備され、
(ii)焼結セラミック製部材の被接合面に、接着材が設置され、
(iii)各セラミック製部材の被接合面同士が接着材を介して相互に押し付けられ、両者が接合される。
【0025】
しかしながら、このような接合方法では、材料特性等の違いにより、セラミック製部材と接着材との間に、良好な密着性が得られず、接合処理の際や使用中に、セラミック製部材に剥離が生じるおそれがある。例えば、セラミック製部材と接着材との間で、熱膨張係数などの材料特性が大きく異なる場合、熱応力環境下では、セラミック製部材に剥離が生じる危険性は、極めて高くなる。
【0026】
これに対して、本発明による方法では、従来の(ii)のような、焼結後のセラミック製部材の被接合面に、新たに接着材を設置する工程を有さない。
【0027】
その代わり、本発明では、焼成前の第1のセラミック成形体の被接合面に、添加物質を設置する工程を有する。この添加物質は、第1のセラミック成形体に含まれる無機物質主成分との間で、比較的高い温度(例えば1600℃以上の温度:以下、「第1の温度」と称する)で液相を形成する、第2の無機物質を有する。液相は、例えば、無機物質主成分と第2の無機物質との間で、共晶または包晶を形成することにより生じても良い。
【0028】
また、本発明では、その後、添加物質が設置された第1のセラミック成形体が焼成され、第1のセラミック製部材が形成される。この焼成の際に、前述の添加物質は、第1のセラミック製部材の被接合面に固定され、第1のセラミック製部材と一体化される。
【0029】
次に、この第1のセラミック製部材は、別の(第2の)セラミック製部材と、第1のセラミック製部材の被接合面が、第2のセラミック製部材の被接合面と接触するように配置された状態で、接合温度(以下、「第2の温度」という)まで加熱される。第2のセラミック製部材は、第1のセラミック製部材と同じ無機物質を主成分とする。
【0030】
第2の温度は、第1の温度以上の温度に選定される。従って、この処理により、
(I)第1のセラミック製部材の被接合面において、第1のセラミック製部材に含まれる無機物質主成分と、第2の無機物質との間に、融液が生成するとともに、
(II)第2のセラミック製部材の被接合面において、第2のセラミック製部材に含まれる無機物質主成分と、第2の無機物質との間に、融液が生成する。
【0031】
この融液は、接着材としての役割を果たし、降温後には、融液が凝固するため、最終的に、第1のセラミック製部材の被接合面と第2のセラミック製部材の被接合面が強固に接合された接合体が得られることになる。
【0032】
ここで、本発明による方法では、第1および第2のセラミック製部材は、それぞれ、自身の有する無機物質主成分と、添加物質中の第2の無機物質との反応により生じた融液により、「in−situ」で他方と接合される。このため、接合面は、いわば「溶融接合」された状態になっており、2つのセラミック製部材の接合面には、従来のような明確な界面は、存在しない。むしろ、接合面は、いわば傾斜化された状態にあり、微視的には、第1および第2のセラミック製部材と、第2の無機物質(または共晶成分もしくは包晶成分)とが混在された組織となる。
【0033】
このため、本発明による方法では、従来に比べて、セラミック製部材間に良好な密着性を有する接合体を得ることができる。従って、本発明による方法では、接合後に、接合面で部材の剥離が生じる危険性が有意に抑制される。
【0034】
(本発明による接合方法)
以下、図面を参照して、本発明によるセラミック製部材の接合方法について、詳しく説明する。
【0035】
図1には、本発明による接合方法の概略的なフローの一例を示す。
【0036】
図1に示すように、本発明による接合方法は、
(a)無機物質主成分を含む第1および第2のセラミック成形体を準備する工程(ステップS110)と、
(b)前記第1のセラミック成形体の少なくとも一つの面に、添加物質を設置する工程であって、
前記添加物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、第1の温度以上の温度で液相を形成する第2の無機物質を含む、工程(ステップS120)と、
(c)前記第1および第2のセラミック成形体を焼成して、第1および第2のセラミック製部材を形成する工程(ステップS130)と、
(d)前記第1および第2のセラミック製部材を、前記第1のセラミック製部材の前記一つの面が、前記第2のセラミック製部材の少なくとも一つの面と接触するように配置して、組立体を構成する工程(ステップS140)と、
(e)前記組立体を、第2の温度に保持する工程であって、前記第2の温度は、前記第1の温度以上の温度である工程(ステップS150)と、
を有する。
【0037】
以下、各ステップについて説明する。
【0038】
(ステップS110)
まず、第1および第2の2つのセラミック成形体が準備される。2つのセラミック成形体は、同じ無機物質を主成分とする。例えば、2つのセラミック成形体は、アルミナまたは炭化珪素等を主成分とするセラミック成形体であっても良い。
【0039】
なお、本願において、「主成分」という用語は、セラミックス成形体が焼成されて得られる焼結セラミック部材中に、50wt%以上の割合で含まれる無機成分を言う。
【0040】
セラミック成形体の製作方法は、特に限られない。セラミック成形体は、例えば、セラミックの粉末を直接金型成形して製作しても良い。あるいは、セラミック成形体は、少なくとも、「主成分」となる無機物質の粒子と、バインダと、溶媒とを含むペーストを成形した後、これを乾燥固化させることにより、製作されても良い。
【0041】
なお、第1および第2のセラミック成形体は、同じ無機物質を主成分とする限り、同じ組成であっても、異なる組成であっても良い。
【0042】
(ステップS120)
次に、第1のセラミック成形体の少なくとも一つの面(後に第1のセラミック製部材の被接合面となる面、以下「セラミック成形体の被接合面」という)に、添加物質が設置される。
【0043】
添加物質は、第2の無機物質を有する。
【0044】
ここで、この第2の無機物質は、第1のセラミック成形体に含まれる「主成分」との間で、第1の温度以上の温度で液相を形成する無機材料から選定される。
【0045】
例えば、第2の無機物質は、第1のセラミック成形体に含まれる「主成分」との間で、第1の温度を共晶点とする共晶を形成する無機材料から選定される。あるいは、第2の無機物質は、第1のセラミック成形体に含まれる「主成分」との間で、第1の温度を包晶点とする包晶を形成する無機材料から選定されても良い。
【0046】
表1には、そのような「主成分」と、第2の無機物質との組み合わせの一例を示す。
【0047】
【表1】

例えば、第1のセラミック成形体の「主成分」がアルミナの場合、第2の無機物質は、イットリア、ジルコニア、またはシリカであっても良い。
【0048】
図2〜図4には、それぞれ、アルミナ−イットリア、アルミナ−シリカ、およびアルミナ−ジルコニアの二元系状態図を示す。
【0049】
イットリアは、アルミナ:イットリアが約80:20(mol%)の組成において、共晶を形成する。共晶点は、約1860℃である(出典:米国セラミックス学会状態図集Fig.311)。ジルコニアは、アルミナ:ジルコニアが約58:42(質量%)の組成において、共晶を形成する。共晶点は、約1710℃である(出典:米国セラミックス学会状態図集Fig.4377)。シリカは、アルミナ:シリカが約10:90(質量%)の組成において、共晶を形成する。共晶点は、約1670℃である。また、シリカは、アルミナ:シリカが約75:25(質量%)の組成において、包晶を形成する。包晶点は、約1880℃である(出典:米国セラミックス学会状態図集Fig.313)。
【0050】
あるいは、第1のセラミック成形体の「主成分」が炭化珪素の場合、第2の無機物質は、炭化ホウ素であっても良い。炭化ホウ素は、炭化珪素:炭化ホウ素が約35:65(mol%)の組成において、共晶を形成する。共晶点は、約2250℃である(出典:Jen-Der Hong et al.,Mat.Res,Bull.Vol.14,pp.775-783,1979)。
【0051】
この他にも、様々な組み合わせが考えられる。
【0052】
添加物質の設置方法は、特に限られない。添加物質は、例えば、第2の無機物質粒子を含むペーストまたはゾルの形態で、第1のセラミック成形体の被接合面に設置されても良い。あるいは、添加物質は、例えば、第2の無機物質を含む粉末を、直接、第1のセラミック成形体の被接合面に塗布することにより、設置されても良い。後者の場合、通常、第1のセラミック成形体の被接合面は、上向きにされ、これにより、第2の無機物質を含む粉末が、被接合面から脱落することが回避される。
【0053】
なお、一般に、第1の温度は、1600℃よりも高温であることが好ましい。通常の場合、第1のセラミック成形体の焼成温度は、1500℃を超える高温である場合が多い。第1の温度を1600℃よりも高温にすることにより、以降の工程(ステップS130)において、第1のセラミック成形体を焼成する際に、添加物質が溶融することを回避することができる。
【0054】
なお、添加物質は、第2の無機物質に加えて、さらに、第1のセラミック成形体の「主成分」を含んでも良い。この場合、添加物質中に、液相を形成する物質組(例えば、共晶反応または包晶反応を生じる物質組)が既に含まれているため、以降の接合工程(ステップS150)において、液相の形成反応(例えば、共晶反応または包晶反応)をより促進することが可能になる。
【0055】
また、第2のセラミック成形体の少なくとも一つの面にも、同様に、添加物質を設置しても良い。この添加物質の設置面は、後に、第2のセラミック製部材の被接合面となる面であっても、それ以外の面であっても良い。後者の場合は、通常、第2のセラミック製部材の添加物質設置面に、さらに第3のセラミック製部材が接合される。
【0056】
さらに、必要な場合、添加物質は、液相量に傾斜化が生じるように構成しても良い。例えば、添加物質が、第2の無機物質と第1のセラミック成形体の「主成分」とを含む場合、両者の組成を、添加物質の最表面から厚さ方向に沿って変化させ、例えば、添加物質の最表面では、共晶組成に近い組成とし、第1のセラミック成形体の側では、共晶組成から幾分離れた組成にしても良い。この場合、以降のステップS150において、第1のセラミック製部材と第2のセラミック製部材の被接合面で生じる液相量は、接触面の側から第1のセラミック製部材の内側に向かって、徐々に変化(低下)するようになり、液相量の傾斜化が生じる。
【0057】
(ステップS130)
次に、第1および第2のセラミック成形体が焼成処理され、これにより、第1および第2のセラミック製部材が構成される。
【0058】
前述のように、第1のセラミック成形体の被接合面には、添加物質が設置されている。このため、第1のセラミック成形体の被接合面では、焼成処理により、添加物質が骨格物質(主成分)と一体化され、この場所に固定される。
【0059】
同様に、第2のセラミック成形体の被接合面に添加物質が設置されていた場合、第2のセラミック製部材の被接合面にも、添加物質が固定される。
【0060】
なお、操作の煩雑さの点から、この段階では、添加物質による共晶反応または包晶反応のような液相生成反応は、未だ生じないことが好ましい。ただし、この段階での液相生成反応の発生有無は、本発明の本質ではないことに留意する必要がある。
【0061】
(ステップS140)
次に、得られた第1のセラミック製部材は、被接合面で第2のセラミック製部材と接触するようにして配置される。
【0062】
その後、この組立体は、熱処理炉等の高温容器内に配置される。
【0063】
(ステップS150)
次に、前記組立体が接合処理され、第1のセラミック製部材と第2のセラミック製部材とが、被接合面で接合される。
【0064】
接合処理は、第2の温度で実施される。第2の温度は、前述の第1の温度(すなわち共晶温度または包晶温度)以上の温度である。
【0065】
このため、組立体が第2の温度まで加熱されると、第1のセラミック製部材の被接合面、すなわち第1および第2のセラミック製部材の接触面において、第2の無機物質と、第1および第2のセラミック製部材に含まれる主成分との間で、液相生成反応が生じる。またこれにより、この位置で融液が形成される。
【0066】
形成した融液は、その後の降温過程で凝固するため、これにより、第1および第2のセラミック製部材同士を、被接合面で接合することができる。
【0067】
この接合工程では、第2の無機物質の働きにより、第1および第2のセラミック製部材に含まれる主成分が被接合面で溶融し、これにより、2つのセラミック製部材同士が接合される。従って、接合面は、いわば「溶融接合」された状態になっており、2つのセラミック製部材同士の間に、良好な密着性が得られる。
【0068】
なお、前述のように、添加物質自身が第1および第2のセラミック製部材に含まれる主成分を含んでいる場合、第1および第2のセラミック製部材から主成分を供給する必要がなくなるため、より迅速な接合が可能となる。
【0069】
なお、以上のフローでは、2つのセラミック成形体を準備して、2つのセラミック製部材が接合された接合体を得るまでの一連の工程(すなわちステップS110〜ステップS150まで)について説明した。
【0070】
しかしながら、本発明による方法では、前記ステップS110〜ステップS150の全てを一度に行う必要はない。例えば、ステップS110〜ステップS130までの工程により、少なくとも一つの面に、添加物質を有するセラミック製部材を得ることができる。
【0071】
そのようなセラミック製部材は、後に、別の場所で、および/または別のタイミングで、ステップS140〜ステップS150までの工程に使用され、これにより、2つのセラミック製部材が接合された接合体が製作されても良い。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0073】
(実施例1)
以下の方法により、2つのアルミナ部材の接合体を製作した。
【0074】
まず、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)を金型で成形して、直径20mmφ、長さ20mmの成形体を得た。
【0075】
次に、この成形体の円形状の一つの表面(以下、「第1の面」と称する)に、添加物質として、0.2gの混合粉末を振りかけた。混合粉末は、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)と、イットリア粉末(平均粒径0.5μm)とを、アルミナ:イットリア=82:18(mol%)となるように混合して調製した。なお、この混合比は、アルミナ−YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット(3Y・5Al))の共晶組成の近傍の組成である。また、この混合粉末の液相生成温度は、1860℃である。
【0076】
次に、この成形体を、1ton/cmの圧力でCIP成形した。また、この成形体を1600℃で2時間保持し、第1の面に添加物質を有する第1のアルミナ焼結部材を得た。
【0077】
さらに、添加物質の設置工程を除き、同様の処理により、第2のアルミナ焼結部材を得た。従って、第2のアルミナ焼結部材の第1の面には、添加物質は設置されていない。
【0078】
次に、第1のアルミナ焼結部材の添加物質が設置された第1の面を、第2のアルミナ焼結部材の第1の面に突き合わせた状態で、接合処理(大気雰囲気)を行った。処理温度は、1880℃とし、保持時間は、2時間とした。これにより、降温後に、2つのアルミナ焼結部材が強固に接合された接合体が得られた。
【0079】
目視観察の結果、接合部には、外観上、特に異常は認められなかった。また、インクチェックの結果、接合部の内部にインクは浸透せず、接合部に欠陥や隙間が生じていないことが確認された。
【0080】
(実施例2)
以下の方法により、2つのアルミナ部材の接合体を製作した。
【0081】
まず、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)を金型で成形して、直径20mmφ、長さ20mmの成形体を得た。
【0082】
次に、この成形体を1200℃で1時間仮焼きし、仮焼き成形体を得た。
【0083】
次に、この仮焼き成形体の円形状の一つの表面、すなわち「第1の面」に、添加物質として、イットリアゾル(日産化学社製)を塗布した。
【0084】
次に、この仮焼き成形体を1600℃で2時間保持し、第1の面に添加物質を有する第1のアルミナ焼結部材を得た。
【0085】
さらに、添加物質の設置工程を除き、同様の処理により、第2のアルミナ焼結部材を得た。従って、第2のアルミナ焼結部材の第1の面には、添加物質は設置されていない。
【0086】
次に、第1のアルミナ焼結部材の添加物質が設置された第1の面を、第2のアルミナ焼結部材の第1の面に突き合わせた状態で、接合処理(大気雰囲気)を行った。処理温度は、1850℃とし、保持時間は、2時間とした。これにより、降温後に、2つのアルミナ焼結部材が強固に接合された接合体が得られた。
【0087】
目視観察の結果、接合部には、外観上、特に異常は認められなかった。また、インクチェックの結果、接合部の内部にインクは浸透せず、接合部に欠陥や隙間が生じていないことが確認された。
【0088】
(実施例3)
以下の方法により、2つのアルミナ部材の接合体を製作した。
【0089】
まず、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)を金型で成形して、直径20mmφ、長さ20mmの成形体を得た。
【0090】
次に、この成形体の円形状の一つの表面、すなわち「第1の面」に、添加物質として、
第1のシート材および第2のシート材を、この順に積層した。
【0091】
第1のシート材は、以下のようにして形成した。
【0092】
アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)とイットリア粉末(平均粒径0.5μm)とを、アルミナ:イットリア=90:10(mol%)となるように混合し、混合粉末を調製する。この混合粉末100gを、トルエンとブタノールを3:1の重量比で混合した溶剤200g中に加える。さらに、溶剤中に、バインダーとしてのポリビニルブチラール樹脂(混合粉末に対して10wt%)と、少量の可塑剤とを添加して、スラリーを調製する。
【0093】
このスラリーをドクターブレード法により成形し、乾燥後、厚さ50μmの第1のシート材を得た。
【0094】
また、第2のシート材は、以下のようにして形成した。
【0095】
アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)とイットリア粉末(平均粒径0.5μm)とを、アルミナ:イットリア=82:18(mol%)となるように混合し、混合粉末を調製する。この混合粉末100gを、トルエンとブタノールを3:1の重量比で混合した溶剤200g中に加える。さらに、溶剤中に、バインダーとしてのポリビニルブチラール樹脂(混合粉末に対して10wt%)と、少量の可塑剤とを添加して、スラリーを調製する。
【0096】
このスラリーをドクターブレード法により成形し、乾燥後、厚さ50μmの第2のシート材を得た。
【0097】
次に、この2枚のシート材が置載された成形体を、大気下、600℃で保持し、バインダーを除去した後、成形体を、1ton/cmの圧力でCIP成形した。また、この成形体を1600℃で2時間保持し、第1の面に添加物質を有する第1のアルミナ焼結部材を得た。
【0098】
同様の方法で、第1の面に添加物質を有する第2のアルミナ焼結部材を得た。
【0099】
次に、第1のアルミナ焼結部材の添加物質が設置された第1の面を、第2のアルミナ焼結部材の添加物質が設置された第1の面に突き合わせた状態で、接合処理(大気雰囲気)を行った。処理温度は、1880℃とし、保持時間は、2時間とした。
【0100】
これにより、降温後に、2つのアルミナ焼結部材が強固に接合された接合体が得られた。また、目視観察の結果、接合部には、外観上、特に異常は認められなかった。また、インクチェックの結果、接合部の内部にインクは浸透せず、接合部に欠陥や隙間が生じていないことが確認された。
【0101】
なお、組成上、第1のシート材は、1860℃〜2010℃の温度範囲において、アルミナと液相が存在する半溶融状態となる。一方、第2のシート材は、1860℃を超えるとほぼ完全に溶融状態となる。従って、2枚のシート材を積層させた第1および第2のアルミナ焼結部材では、接合面に液相量の傾斜構造が得られることになる。
【0102】
実際に、接合処理後の接合体の接合部には、液相量の傾斜構造の痕跡が認められた。
【0103】
(実施例4)
以下の方法により、2つのアルミナ部材の接合体を製作した。
【0104】
まず、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)を金型で成形して、直径20mmφ、長さ20mmの成形体を得た。
【0105】
次に、この成形体の円形状の一つの表面、すなわち「第1の面」に、添加物質として、
0.2gの混合粉末を振りかけた。混合粉末は、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)と、シリカ粉末(平均粒径0.7μm)とを、アルミナ:シリカ=70:30(重量%)となるように混合して調製した。なお、この混合比は、シリカリッチなムライトの組成である。この混合粉末の液相生成温度は、約1670℃である。
【0106】
次に、この成形体を、1ton/cmの圧力でCIP成形した。また、この成形体を1700℃で2時間保持し、第1の面に添加物質を有する第1のアルミナ焼結部材を得た。
【0107】
さらに、添加物質の設置工程を除き、同様の処理により、第2のアルミナ焼結部材を得た。従って、第2のアルミナ焼結部材の第1の面には、添加物質は設置されていない。
【0108】
次に、第1のアルミナ焼結部材の添加物質が設置された第1の面を、第2のアルミナ焼結部材の第1の面に突き合わせた状態で、接合処理(大気雰囲気)を行った。処理温度は、1850℃とし、保持時間は、2時間とした。これにより、降温後に、2つのアルミナ焼結部材が強固に接合された接合体が得られた。
【0109】
目視観察の結果、接合部には、外観上、特に異常は認められなかった。また、インクチェックの結果、接合部の内部にインクは浸透せず、接合部に欠陥や隙間が生じていないことが確認された。
【0110】
(実施例5)
以下の方法により、2つのアルミナ部材の接合体を製作した。
【0111】
まず、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)を金型で成形して、直径20mmφ、長さ20mmの成形体を得た。
【0112】
次に、この成形体の円形状の一つの表面、すなわち「第1の面」に、添加物質として、
0.2gの混合粉末を振りかけた。混合粉末は、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)と、シリカ粉末(平均粒径0.7μm)とを、アルミナ:シリカ=75:25(重量%)となるように混合して調製した。なお、この混合比は、包晶組成に近い組成である。この混合粉末の液相生成温度は、約1880℃である。
【0113】
次に、この成形体を、1ton/cmの圧力でCIP成形した。また、この成形体を1600℃で2時間保持し、第1の面に添加物質を有する第1のアルミナ焼結部材を得た。
【0114】
さらに、添加物質の設置工程を除き、同様の処理により、第2のアルミナ焼結部材を得た。従って、第2のアルミナ焼結部材の第1の面には、添加物質は設置されていない。
【0115】
次に、第1のアルミナ焼結部材の添加物質が設置された第1の面を、第2のアルミナ焼結部材の第1の面に突き合わせた状態で、接合処理(大気雰囲気)を行った。処理温度は、1900℃とし、保持時間は、2時間とした。これにより、降温後に、2つのアルミナ焼結部材が強固に接合された接合体が得られた。
【0116】
目視観察の結果、接合部には、外観上、特に異常は認められなかった。また、インクチェックの結果、接合部の内部にインクは浸透せず、接合部に欠陥や隙間が生じていないことが確認された。
【0117】
(実施例6)
以下の方法により、2つのアルミナ部材の接合体を製作した。
【0118】
まず、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)を金型で成形して、直径20mmφ、長さ20mmの成形体を得た。
【0119】
次に、この成形体を1200℃で1時間仮焼きし、仮焼き成形体を得た。
【0120】
次に、この仮焼き成形体の円形状の一つの表面、すなわち「第1の面」に、添加物質として、シリカゾル(日産化学社製)を塗布した。
【0121】
次に、この仮焼き成形体を1600℃で2時間保持し、第1の面に添加物質を有する第1のアルミナ焼結部材を得た。
【0122】
さらに、添加物質の設置工程を除き、同様の処理により、第2のアルミナ焼結部材を得た。従って、第2のアルミナ焼結部材の第1の面には、添加物質は設置されていない。
【0123】
次に、第1のアルミナ焼結部材の添加物質が設置された第1の面を、第2のアルミナ焼結部材の第1の面に突き合わせた状態で、接合処理(大気雰囲気)を行った。処理温度は、1670℃とし、保持時間は、2時間とした。これにより、降温後に、2つのアルミナ焼結部材が強固に接合された接合体が得られた。
【0124】
目視観察の結果、接合部には、外観上、特に異常は認められなかった。また、インクチェックの結果、接合部の内部にインクは浸透せず、接合部に欠陥や隙間が生じていないことが確認された。
【0125】
(実施例7)
以下の方法により、2つのアルミナ部材の接合体を製作した。
【0126】
まず、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)を金型で成形して、直径20mmφ、長さ20mmの成形体を得た。
【0127】
次に、この成形体の円形状の一つの表面、すなわち「第1の面」に、添加物質として、
0.2gの混合粉末を振りかけた。混合粉末は、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)と、ジルコニア粉末(平均粒径0.4μm)とを、アルミナ:ジルコニア=58:42(重量%)となるように混合して調製した。なお、この混合比は、共晶組成に近い組成である。この混合粉末の液相生成温度は、約1710℃である。
【0128】
次に、この成形体を、1ton/cmの圧力でCIP成形した。また、この成形体を1600℃で2時間保持し、第1の面に添加物質を有する第1のアルミナ焼結部材を得た。
【0129】
さらに、添加物質の設置工程を除き、同様の処理により、第2のアルミナ焼結部材を得た。従って、第2のアルミナ焼結部材の第1の面には、添加物質は設置されていない。
【0130】
次に、第1のアルミナ焼結部材の添加物質が設置された第1の面を、第2のアルミナ焼結部材の第1の面に突き合わせた状態で、接合処理(大気雰囲気)を行った。処理温度は、1740℃とし、保持時間は、2時間とした。これにより、降温後に、2つのアルミナ焼結部材が強固に接合された接合体が得られた。
【0131】
目視観察の結果、接合部には、外観上、特に異常は認められなかった。また、インクチェックの結果、接合部の内部にインクは浸透せず、接合部に欠陥や隙間が生じていないことが確認された。
【0132】
(実施例8)
以下の方法により、2つのアルミナ部材の接合体を製作した。
【0133】
まず、アルミナ粉末(平均粒径0.6μm)を金型で成形して、直径20mmφ、長さ20mmの成形体を得た。
【0134】
次に、この成形体を1200℃で1時間仮焼きし、仮焼き成形体を得た。
【0135】
次に、この仮焼き成形体の円形状の一つの表面、すなわち「第1の面」に、添加物質として、ジルコニアゾル(日産化学社製)を塗布した。
【0136】
次に、この仮焼き成形体を1600℃で2時間保持し、第1の面に添加物質を有する第1のアルミナ焼結部材を得た。
【0137】
さらに、添加物質の設置工程を除き、同様の処理により、第2のアルミナ焼結部材を得た。従って、第2のアルミナ焼結部材の第1の面には、添加物質は設置されていない。
【0138】
次に、第1のアルミナ焼結部材の添加物質が設置された第1の面を、第2のアルミナ焼結部材の第1の面に突き合わせた状態で、接合処理(大気雰囲気)を行った。処理温度は、1740℃とし、保持時間は、2時間とした。これにより、降温後に、2つのアルミナ焼結部材が強固に接合された接合体が得られた。
【0139】
目視観察の結果、接合部には、外観上、特に異常は認められなかった。また、インクチェックの結果、接合部の内部にインクは浸透せず、接合部に欠陥や隙間が生じていないことが確認された。
【0140】
(実施例9)
以下の方法により、2つの炭化珪素部材の接合体を製作した。
【0141】
まず、炭化珪素粉末(平均粒径0.5μm)を金型で成形して、直径20mmφ、長さ20mmの成形体を得た。
【0142】
次に、この成形体の円形状の一つの表面、すなわち「第1の面」に、添加物質として、
0.2gの混合粉末を振りかけた。混合粉末は、炭化珪素粉末(平均粒径0.5μm)と、炭化ホウ素粉末(平均粒径4μm)とを、炭化珪素:炭化ホウ素=35:65(mol%)となるように混合して調製した。なお、この混合比は、共晶組成に近い組成である。この混合粉末の液相生成温度は、約2350℃である。
【0143】
次に、この成形体を、1ton/cmの圧力でCIP成形した。また、この成形体を1600℃で2時間保持し、第1の面に添加物質を有する第1の炭化珪素焼結部材を得た。
【0144】
さらに、添加物質の設置工程を除き、同様の処理により、第2の炭化珪素焼結部材を得た。従って、第2の炭化珪素焼結部材の第1の面には、添加物質は設置されていない。
【0145】
次に、第1の炭化珪素焼結部材の添加物質が設置された第1の面を、第2の炭化珪素焼結部材の第1の面に突き合わせた状態で、接合処理(大気雰囲気)を行った。処理温度は、2400℃とし、保持時間は、2時間とした。これにより、降温後に、2つの炭化珪素焼結部材が強固に接合された接合体が得られた。
【0146】
目視観察の結果、接合部には、外観上、特に異常は認められなかった。また、インクチェックの結果、接合部の内部にインクは浸透せず、接合部に欠陥や隙間が生じていないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、複数のセラミック製部材を相互に接合する技術に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ無機物質主成分を含む2つのセラミック製部材を相互に接合する方法であって、
(a)前記無機物質主成分を含む第1および第2のセラミック成形体を準備する工程と、
(b)前記第1のセラミック成形体の少なくとも一つの面に、添加物質を設置する工程であって、
前記添加物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、第1の温度以上の温度で液相を形成する第2の無機物質を含む、工程と、
(c)前記第1および第2のセラミック成形体を焼成して、第1および第2のセラミック製部材を形成する工程と、
(d)前記第1および第2のセラミック製部材を、前記第1のセラミック製部材の前記一つの面が、前記第2のセラミック製部材の一つの面と接触するように配置して、組立体を構成する工程と、
(e)前記組立体を、第2の温度に保持する工程であって、前記第2の温度は、前記第1の温度以上の温度である工程と、
を有し、
これにより、前記第1のセラミック製部材の前記一つの面において、融液が生成し、前記第1および第2のセラミック製部材が相互に接合されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記添加物質の第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、前記第1の温度を共晶点とする共晶を形成し、または
前記添加物質の第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、前記第1の温度を包晶点とする包晶を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記添加物質は、さらに、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分と同じ物質を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記無機物質主成分は、アルミナであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記第2の無機物質は、イットリア、ジルコニア、およびシリカからなる群から選定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
さらに、
(b2)前記第2のセラミック成形体の少なくとも一つの面に、前記添加物質を設置する工程を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の温度は、1600℃よりも高い温度であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
同じ無機物質主成分を含む2つのセラミック製部材を相互に接合する際に使用される一方のセラミック製部材であって、
少なくとも一つの表面に、第2の無機物質を有し、
前記第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、第1の温度以上の温度で液相を形成し、
前記第1の温度は、当該セラミック製部材が他方のセラミック製部材と接合される際に保持される第2の温度以下の温度であることを特徴とするセラミック製部材。
【請求項9】
前記第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、前記第1の温度を共晶点とする共晶を形成し、または
前記第2の無機物質は、前記第1のセラミック成形体に含まれる前記無機物質主成分との間で、前記第1の温度を包晶点とする包晶を形成することを特徴とする請求項8に記載のセラミック製部材。
【請求項10】
前記無機物質主成分は、アルミナであることを特徴とする請求項8または9に記載のセラミック製部材。
【請求項11】
前記第2の無機物質は、イットリア、ジルコニア、およびシリカからなる群から選定されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一つに記載のセラミック製部材。
【請求項12】
前記第1の温度は、1600℃よりも高い温度であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一つに記載のセラミック製部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−62223(P2012−62223A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208121(P2010−208121)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「省エネルギー技術開発プログラム/革新的部材産業創出プログラム/革新的省エネセラミックス製造技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】