説明

2ピストン圧縮機用アキュームレータ

【課題】従来構成の2ピストン圧縮機用アキュームレータでは、内管から吸入孔までの流路長さを同一にするために、アキュームレータの内管高さに差異が生じていた。その場合においては、アキュームレータ内の液戻り防止高さを確保するために、余分な胴シェル材料を要しており、コストの増加に繋がっていた。さらに、内管の共振が騒音の増加を引き起こしていた。
【解決手段】本構成の2ピストン圧縮機用アキュームレータでは、内管5、6の形状を螺旋形状とし、両内管の吸入位置高さを同一とすることで、慣性効果を高め圧縮機の高性能化を実現しながら、コスト削減、騒音防止、および圧縮機吸入口オーバーフローを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和器や冷蔵庫等の冷凍機器に用いられる圧縮機として使用される2ピストン圧縮機用アキュームレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の圧縮機用アキュームレータは、一般的に、上蓋と下蓋と胴シェルによって構成される密閉容器と、前記密閉容器の上端部中央を貫通する冷媒吸入管と、前記密閉容器の下端部を貫通して密閉容器内部に向かって直立する内管と、前記冷媒吸入管と内管との間配置された仕切板と、前記仕切板に設けられた複数の冷媒流通孔とを有する。この従来の圧縮機用アキュームレータにおいて、図2に示されるように冷媒が吸入される時点での圧力損失の度合いを同一にし、慣性効果を高めることで高効率化を実現するために、2本の内管のうち長い内管をもう1本の短い内管と同じ流路長さにする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。圧縮機運転時には冷媒がアキュームレータ内に配置された各々の内管上部から導入され、圧縮機吸入孔へと導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−101253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の圧縮機用アキュームレータでは、各々の内管の吸入位置高さが異なっており、圧縮機吸入孔への液戻り防止高さを確保するために、余分な胴シェル材料を要しており、コストの増加に繋がっていた。さらには、内管の共振が騒音の増加を引き起こすという課題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、2本の内管内での圧力損失を等価とすることで、慣性効果を高め圧縮機の高性能化を実現しながら、コスト削減、騒音防止、および圧縮機吸入口オーバーフローを防止する2ピストン圧縮機用アキュームレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の2ピストン圧縮機用アキュームレータは、密閉容器と、前記密閉容器の上端部中央を貫通する冷媒吸入管と、前記密閉容器の下端部を貫通して密閉容器内部に向かって伸びる内管と、前記冷媒吸入管と内管との間に配置された仕切板とを有する2ピストン圧縮機用アキュームレータにおいて、両内管の形状が螺旋形状であり、両内管の吸入位置高さが同一である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来構成での効果を有しながら、各々の内管の吸入位置高さの差異を解消し、余分な胴シェル材料を用いることがないので、コスト削減になる。また、内管に螺旋状の部位を有することで、内管の剛性が向上するので、共振が起こりにくくなり、圧縮機の騒音増加を防止することができる。さらに、アキュームレータ内の冷媒とオイルによるフォーミング現象時には、両内管の螺旋形状が抵抗となり、圧縮機吸入孔へのオーバーフローが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態における圧縮機用アキュームレータの断面図
【図2】従来技術における圧縮機用アキュームレータの断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、密閉容器と前記密閉容器の上端部中央を貫通する冷媒吸入管と、前記密閉容器の下端部を貫通して密閉容器内部に向かって伸びる内管と、前記冷媒吸入管と内管との間に配置された仕切板と、前記仕切板に設けられた複数の冷媒流通孔を有する2ピストン圧縮機用アキュームレータにおいて、両内管の形状を螺旋状形状とし、両内管の吸入位置高さが同一である。これにより、2本の内管内での圧力損失を等価とすることで、慣性効果を高め圧縮機の高性能化を実現しながら、各々の内管の吸入位置高さの差異を解消し、余分な胴シェル材料を用いることがないので、コストの削減となる。また、内管に螺旋状の部位を有することで、内管の剛性が向上するので、共振が起こりにくくなり、圧縮機の騒音増加を防止することができる。さらに、アキュームレータ内の冷媒とオイルによるフォーミング現象時には、両内管の螺旋形状が抵抗となり、圧縮機吸入孔へのオーバーフローが防止される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、使用する冷媒にHFC32とHFC125の混合冷媒を用いた2ピストン圧縮機用アキュームレータである。これにより、第1の発明と同様の効果が得られる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態)
図1は本実施の形態における圧縮機用アキュームレータの模式図である。図1においてアキュームレータ1は、上蓋2と下蓋4と胴シェル3によって構成される密閉容器と前記密閉容器の上端部中央を貫通する冷媒吸入管11と、密閉容器の下端部を貫通して密閉容器内部に向かって伸びる内管5、6と、前記冷媒吸入管と内管との間に配置された仕切板8とを有する2ピストン圧縮機用アキュームレータにおいて、内管5、6の形状に螺旋形状部位を有し、両内管の吸入位置高さを同一にする。
【0013】
これにより、従来構成での効果を有しながら、各々の内管の吸入位置高さの差異を解消し、余分な胴シェル材料を用いることがないので、コストの削減になる。また、内管に螺旋状の部位を有することで、内管の剛性が向上するので、共振が起こりにくくなり、圧縮機の騒音増加を防止することができる。さらに、アキュームレータ内の冷媒とオイルによるフォーミング現象時には、両内管の螺旋形状が抵抗となり、圧縮機吸入孔へのオーバーフローが防止されるので、さらに信頼性の高い圧縮機用アキュームレータを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
以上のように、本発明における圧縮機用アキュームレータは、その大小に拘らず、あらゆる密閉型電動圧縮機のアキュームレータに適用可能である。
【符号の説明】
【0015】
1 アキュームレータ
2 上蓋
3 胴シェル
4 下蓋
5 内管
6 内管
8 仕切板
11 冷媒吸入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器と、前記密閉容器の上端部中央を貫通する冷媒吸入管と、前記密閉容器の下端部を貫通して密閉容器内部に向かって伸びる内管と、前記冷媒吸入管と内管との間に配置された仕切板とを有する2ピストン圧縮機用アキュームレータにおいて、両内管の形状を螺旋状形状とし、両内管の吸入位置高さが同一であることを特徴とする2ピストン圧縮機用アキュームレータ。
【請求項2】
使用する冷媒にHFC32とHFC125の混合冷媒を用いた、請求項1に記載の2ピストン圧縮機用アキュームレータ。

【図1】
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【図2】
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