説明

2次元通信システム

【課題】受信側の通信装置が受光する赤外線の強度を高くでき、配置の自由度を高めることができる2次元通信システムを提供する。
【解決手段】通信装置2は、1個の通信装置によってのみ赤外線ビームを検出可能な最大ビーム幅以下のビーム幅を有する赤外線ビームを用いて自己に対する通信装置3の存在方向を検出し、ビーム幅が最大ビーム幅以下に設定され、かつ、送信データによって変調された赤外線ビームを通信装置3の存在方向へ向けて2次元通信シート1中へ出射する。そして、通信装置3は、2次元通信シート1を介して赤外線ビームを受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2次元通信システムに関し、特に、赤外線ビームを用いて通信を行なう2次元通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の受光機へ同時に送信データを送信する赤外線リモートコントロールシステムが知られている(特許文献1)。
【0003】
この赤外線リモートコントロールシステムは、パソコンに接続された携帯電話端末と、各々がパソコンに接続された複数の受光機とを備える。
【0004】
携帯電話端末は、パソコンから送信データを受け、その受けた送信データを赤外線によって複数の受光機へ送信する。複数の受光機は、携帯電話端末から送信された赤外線を受光し、その受光した赤外線によって表される送信データを対応するパソコンへ出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−080140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された赤外線リモートコントロールシステムにおいては、携帯電話端末が送信データを赤外線によって同時に複数の受光機へ送信するため、各受光機が受光する赤外線の強度が低くなるという問題がある。
【0007】
また、赤外線送受信部を対向させて配置しないと通信できないという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、受信側の通信装置が受光する赤外線の強度を高くでき、配置の自由度を高めることができる2次元通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によれば、2次元通信システムは、2次元通信シートと、第1および第2の通信装置とを備える。2次元通信シートは、略平板形状からなり、赤外線ビームを伝搬する。第1の通信装置は、2次元通信シートの平面に接して平面上に配置される。第2の通信装置は、2次元通信シートに接して配置される。そして、第1の通信装置は、1個の通信装置によってのみ赤外線ビームを検出可能な最大ビーム幅以下のビーム幅を有する赤外線ビームを用いて自己に対する第2の通信装置の存在方向を検出し、ビーム幅が最大ビーム幅以下に設定され、かつ、送信データによって変調された赤外線ビームを第2の通信装置の存在方向へ向けて2次元通信シート中へ出射する。第2の通信装置は、2次元通信シートを介して赤外線ビームを受信する。
【0010】
好ましくは、第2の通信装置は、第1の発光部と、第1の受光部とを含む。第1の発光部は、赤外線ビームを2次元通信シート中へ出射する。第1の受光部は、赤外線ビームを2次元通信シートから受光する。第1の通信装置は、回転鏡と、プリズムと、第2の受光部と、制御部と、第2の発光部とを含む。回転鏡は、2次元通信シートの平面内における回転である第1の回転と2次元通信シートの平面に平行な軸の回りへの回転である第2の回転とを行なうとともに赤外線ビームを反射する。プリズムは、2次元通信シートの平面に接して配置される。第2の受光部は、プリズムを介して2次元通信シートから回転鏡へ入射し、かつ、回転鏡が第1および第2の回転を行ないながら反射した赤外線ビームを受光し、その受光した赤外線ビームの強度を検出する。制御部は、第2の受光部が検出した赤外線ビームの強度が最大になるときの第1の回転における回転角と第2の回転における回転角度である仰角とを検出し、その検出した最適回転角と最適仰角とによって決定される方向を第2の通信装置の存在方法と決定し、回転鏡の第1の回転における回転角を最適回転角に保持し、かつ、回転鏡の第2の回転における仰角を最適仰角に保持するように回転鏡を制御する。第2の発光部は、最適回転角および最適仰角に保持された回転鏡とプリズムとを介して赤外線ビームを2次元通信シート中へ出射する。
【0011】
好ましくは、第2の通信装置は、2次元通信シートの平面に接して平面上に配置される。第1の発光部は、2次元通信シートの平面に接して配置される。第1の受光部は、第1の光透過部材と、第1の受光器とを含む。第1の光透過部材は、2次元通信シートの平面に接して配置され、2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する。第1の受光部は、第1の光透過部材に接して配置され、2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを第1の光透過部材を介して受光する。第1の通信装置は、第2の光透過部材と、第2の受光器とをさらに含む。第2の光透過部材は、2次元通信シートの平面に接して配置され、2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する。第2の受光器は、第2の光透過部材に接して配置され、2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを第2の光透過部材を介して受光する。
【0012】
好ましくは、第2の通信装置は、2次元通信シートの側面に接して配置される。第1の通信装置は、第2の光透過部材と、第2の受光器とをさらに含む。第2の光透過部材は、2次元通信シートの平面に接して配置され、2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する。第2の受光器は、第2の光透過部材に接して配置され、2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを第2の光透過部材を介して受光する。
【0013】
好ましくは、第2の通信装置は、第3および第4の通信装置を含む。第3の通信装置は、2次元通信シートの平面に接して平面上に配置される。第4の通信装置は、2次元通信シートの側面に接して配置される。第3の通信装置の第1の発光部は、2次元通信シートの平面に接して配置される。第3の通信装置の第1の受光部は、第1の光透過部材と、第1の受光器とを含む。第1の光透過部材は、2次元通信シートの平面に接して配置され、2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する。第1の受光器は、第1の光透過部材に接して配置され、2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを第1の光透過部材を介して受光する。第1の通信装置は、第2の光透過部材と、第2の受光器とをさらに含む。第2の光透過部材は、2次元通信シートの平面に接して配置され、2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する。第2の受光器は、第2の光透過部材に接して配置され、2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを第2の光透過部材を介して受光する。
【0014】
好ましくは、第4の通信装置は、有線ケーブルによってネットワークに接続され、アクセスポイントとして機能する。
【発明の効果】
【0015】
この発明による2次元通信システムにおいては、第1の通信装置は、1個の通信装置によってのみ赤外線ビームを検出可能な最大ビーム幅以下のビーム幅を有する赤外線ビームを用いて自己に対する第2の通信装置の存在方向を検出し、ビーム幅が最大ビーム幅以下に設定され、かつ、送信データによって変調された赤外線ビームを第2の通信装置の存在方向へ向けて2次元通信シート中へ出射する。そして、第2の通信装置は、2次元通信シートを介して赤外線ビームを受信する。その結果、第1および第2の通信装置は、1対1の直接通信を行なう。
【0016】
したがって、この発明によれば、受信側の通信装置における赤外線ビームの強度を高くでき、配置の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1による2次元通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す2次元通信シートの構成図である。
【図3】図1に示す通信装置の構成図である。
【図4】図3に示す回転鏡の構成を詳細に示す構成図である。
【図5】図3に示す発光部および受光部を詳細に説明するための模式図である。
【図6】送信側の通信装置に対する受信側の通信装置の存在方向を検出する実施の形態1における方法を説明するための模式図である。
【図7】送信側の通信装置から受信側の通信装置へ送信データを送信するときの実施の形態1における模式図である。
【図8】実施の形態2による2次元通信システムの概略図である。
【図9】図8に示すシートモジュールの構成図である。
【図10】送信側の通信装置に対する受信側の通信装置の存在方向を検出する実施の形態2における方法を説明するための模式図である。
【図11】送信側の通信装置から受信側の通信装置へ送信データを送信するときの実施の形態2における模式図である。
【図12】実施の形態3による2次元通信システムの構成図である。
【図13】この発明の実施の形態における他の通信装置の構成図である。
【図14】この発明の実施の形態におけるさらに他の通信装置の構成図である。
【図15】図14に示す液体プリズムの詳細図である。
【図16】図15に示す線XVI−XVI間における液体プリズムの断面図である。
【図17】液体プリズムの使用方法を説明するための図である。
【図18】2次元通信システムの応用例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による2次元通信システムの概略図である。図1を参照して、実施の形態1による2次元通信システム10は、2次元通信シート1と、通信装置2,3とを備える。
【0020】
2次元通信シート1は、屈折率が空気よりも大きい透明なアクリルからなり、略平板形状を有する。そして、2次元通信シート1は、通信装置2,3から出射された赤外線ビームを伝搬させる。
【0021】
通信装置2,3の各々は、2次元通信シート1の上面1Aに接して上面1A上に配置される。そして、通信装置2,3の各々は、自己が送信側である場合、後述する方法によって、自己に対する通信相手の存在方向を検出し、その検出した存在方向へ向けて赤外線ビームを2次元通信シート1中へ出射する。
【0022】
また、通信装置2,3の各々は、通信相手から出射された赤外線ビームを2次元通信シート1を介して受信する。
【0023】
図2は、図1に示す2次元通信シート1の構成図である。図2を参照して、2次元通信シート1は、光透過部材11と、反射部材12とを含む。
【0024】
光透過部材11は、上述した透明なアクリルからなる。そして、光透過部材11は、通信装置2,3から出射された赤外線ビームを伝搬させる。
【0025】
反射部材12は、金属からなり、光透過部材11の側面および底面に接して配置される。そして、反射部材12は、光透過部材11中を伝搬する赤外線ビームを反射する。
【0026】
図3は、図1に示す通信装置2の構成図である。図3を参照して、通信装置2は、プリズム21と、回転鏡22と、ハーフミラー23と、制御部24と、受光部25,28と、発光部26,27とを含む。
【0027】
プリズム21は、2次元通信シート1の上面1Aに平行な平面において略四角形の平面形状を有し、発行部27および受光部28の周囲に配置される。そして、プリズム21は、通信装置2が2次元通信シート1の上面1A上に配置された場合、2次元通信シート1の光透過部材11に接する。
【0028】
プリズム21は、2次元通信シート1の光透過部材11中を伝搬する赤外線ビームがプリズム21と光透過部材11との界面で屈折して入射した赤外線ビームを屈折して回転鏡22に導く。
【0029】
また、プリズム21は、回転鏡22によって反射された赤外線ビームを2次元通信シート1の光透過部材11中へ出射する。
【0030】
回転鏡22は、台座221と、支持部材222,223と、回転軸224と、鏡225とを含む。
【0031】
台座221は、発光部27および受光部28の上に配置される。そして、台座221は、2次元通信シート1の上面1A内において360度回転可能である。より具体的には、台座221は、制御部24からの制御によって、上面1A内で回転し、または上面1A内において所定の回転角度だけ回転した位置で停止する。
【0032】
支持部材222は、一方端が台座221に固定され、他方端が回転軸224の一方端に連結される。支持部材223は、一方端が台座221に固定され、他方端が回転軸224の他方端に連結される。
【0033】
回転軸224は、鏡225が回転軸224の回りに回転可能に鏡225を貫通し、一方端が支持部材222に連結され、他方端が支持部材223に連結される。
【0034】
鏡225は、回転軸224を介して支持部材222,223によって支持される。そして、鏡225は、制御部24からの制御によって、2次元通信シート1の上面1Aから上面1Aの法線方向への回転角度である仰角が変化するように、回転軸224の回りを回転するとともに、所定の仰角の位置で停止する。
【0035】
また、鏡225は、プリズム21からの赤外線ビームをハーフミラー23へ反射するとともに、ハーフミラー23からの赤外線ビームをプリズム21へ反射する。
【0036】
ハーフミラー23は、回転鏡22からの赤外線ビームを受光部25へ反射するとともに、発光部26からの赤外線ビームを回転鏡22へ透過する。
【0037】
制御部24は、回転鏡22の台座221が2次元通信シート1の上面1A内における回転角が変化し、回転鏡22の鏡225が仰角が変化するように回転鏡22を制御する。
【0038】
また、制御部24は、受光部25から赤外線ビームの複数の強度を受け、その受けた複数の強度に基づいて、最大の強度が得られるときの回転角および仰角を検出する。そして、制御部24は、その検出した回転角および仰角をそれぞれ最適回転角および最適仰角とし、台座221が最適回転角の位置で停止し、鏡225が最適仰角の位置で停止するように回転鏡22を制御する。
【0039】
さらに、制御部24は、送信データを生成し、その生成した送信データを発行部26へ出力する。
【0040】
さらに、制御部24は、受光部28から電圧を受け、その受けた電圧に基づいて、他の通信装置から送信された送信データを得る。
【0041】
さらに、制御部24は、通信装置3に対する通信装置2の存在方向を検出するとき、赤外線ビームを出射するように発光部27を制御する。
【0042】
受光部25は、ハーフミラー23を介して赤外線ビームを受け、その受けた赤外線ビームの強度を検出する。そして、受光部25は、赤外線ビームの強度を制御部24へ出力する。
【0043】
発光部26は、制御部24から送信データを受け、その受けた送信データに従って赤外線ビームを変調し、その変調された赤外線ビームをハーフミラー23へ出射する。
【0044】
発光部27は、受光部28の内側に配置される。そして、発光部27は、通信装置2が2次元通信シート1の上面1A上に配置された場合、2次元通信シート1の光透過部材11に接する。
【0045】
また、発光部27は、制御部24からの制御に従って赤外線ビームを2次元通信シート1の光透過部材11中へ出射する。
【0046】
受光部28は、プリズム21と発光部27との間に配置される。そして、受光部28は、通信装置2が2次元通信シート1の上面1A上に配置された場合、2次元通信シート1の光透過部材11に接する。
【0047】
また、受光部28は、2次元通信シート1の光透過部材11中を伝搬する赤外線ビームを後述する方法によって受光し、その受光した赤外線ビームを電圧に変換して制御部24へ出力する。
【0048】
なお、図1に示す通信装置3も、図3に示す通信装置2と同じ構成からなる。
【0049】
図4は、図3に示す回転鏡22の構成を詳細に示す構成図である。図4を参照して、回転鏡22は、台座221、支持部材222,223、回転軸224および鏡225に加え、回転軸226およびモータ227,228を含む。
【0050】
回転軸226は、一方端が台座221に連結され、他方端がモータ227に連結される。モータ227の回転軸は、回転軸226に連結される。そして、モータ227は、制御部24からの制御に従って台座221を矢印ARW1の方向へ回転させる。すなわち、モータ227は、2次元通信シート1の上面1A内において台座221を360度回転させる。
【0051】
また、モータ227は、制御部24からの制御に従って台座221を最適回転角だけ回転させ、台座221を最適回転角だけ回転させた位置で保持する。この場合、たとえば、支持部材223から支持部材222へ向かう方向DR1を上面1A内における回転角の0度とし、モータ227は、この0度の回転角を基準として台座221を最適回転角だけ回転させ、台座221を最適回転角だけ回転させた位置で保持する。
【0052】
モータ228の回転軸は、回転軸224に連結される。そして、モータ228は、制御部24からの制御に従って、鏡225を矢印ARW2の方向へ回転させる。すなわち、モータ228は、2次元通信シート1の上面1Aから上面1Aの法線方向への角度である仰角の方向へ鏡225を回転させる。
【0053】
また、モータ228は、制御部24からの制御に従って鏡225を最適仰角だけ回転させ、鏡225を最適仰角だけ回転させた位置で保持する。この場合、たとえば、2次元通信シート1の上面1Aに含まれる方向DR2を仰角の0度とし、モータ228は、この0度の仰角を基準として鏡225を最適仰角だけ回転させ、鏡225を最適仰角だけ回転させた位置で保持する。
【0054】
図5は、図3に示す発光部27および受光部28を詳細に説明するための模式図である。図5を参照して、発光部27は、複数の受光部28の内側に配置される。複数の受光部28は、発光部27の周囲に同心円状に配置される。そして、複数の受光部28の各々は、三角形の断面形状を有し、光透過部材281と、受光器282とを含む。
【0055】
光透過部材281は、2次元通信シート1の光透過部材11と同じ屈折率を有する。そして、角∠ABCは、60度〜80度の範囲である。
【0056】
受光器282は、光透過部材281の辺BCに接して配置される。そして、受光器282は、光透過部材281中へ入射した赤外線ビームを受光するとともに、その受光した赤外線ビームを電圧に変換し、その変換した電圧を制御部24へ出力する。
【0057】
発光部27および受光部28が2次元通信シート1の上面1A上に配置された場合、受光部28の光透過部材281は、2次元通信シート1の光透過部材11に接する。そして、光透過部材281は、上述したように光透過部材11と同じ屈折率を有する。したがって、光透過部材11中を伝搬する赤外線ビームは、光透過部材281中へ入射し易くなる。その結果、受光部28は、光透過部材11中を伝搬する赤外線ビームを吸い込むように受光する。
【0058】
図6は、送信側の通信装置に対する受信側の通信装置の存在方向を検出する実施の形態1における方法を説明するための模式図である。
【0059】
なお、図5においては、通信装置2を送信側の通信装置とし、通信装置3を受信側の通信装置とする。
【0060】
図5を参照して、通信装置2に対する通信装置3の存在方向を検出する場合、受信側の通信装置3は、発光部27によって赤外線ビームを2次元通信シート1の光透過部材11中へ出射する。より具体的には、通信装置3の制御部24は、赤外線ビームを出射するように発光部27を制御し、発光部27は、制御部24からの制御に従って赤外線ビームを光透過部材11中へ出射する。
【0061】
この場合、発光部27は、光透過部材11に接するため、発光部27から出射された赤外線ビームは、損失なく光透過部材11中へ出射される。
【0062】
また、発光部27から出射された赤外線ビームは、2次元通信シート1の長辺における一方端から他方端まで伝搬したときのビームの広がり幅であるビーム幅が1個の通信装置のみによって検出可能な最大ビーム幅以下のビーム幅を有する。具体的には、赤外線ビームは、2次元通信シート1の長辺における一方端から他方端まで伝搬したときのビームの広がり幅であるビーム幅が10度であるビーム幅を有する。
【0063】
通信装置3の発光部27から光透過部材11中へ出射された赤外線ビームは、光透過部材11の底面11Aおよび上面11Bに対して浅い角度で入射するため、底面11Aおよび上面11Bで反射されながら、光透過部材11中を伝搬する。
【0064】
一方、送信側の通信装置2の制御部24は、台座221を回転角の方向(図4の矢印ARW1の方向)へ回転させ、仰角方向(図4の矢印ARW2の方向)へ鏡225を回転させるように回転鏡22を制御する。そして、通信装置2の回転鏡22は、制御部24からの制御に従って、上述した方法によって台座221を回転角の方向へ回転させ、かつ、鏡22を仰角方向へ回転させる。
【0065】
そうすると、通信装置2のプリズム21は、光透過部材11中を伝搬する赤外線ビームを受け、その受けた赤外線ビームを鏡225へ導く。
【0066】
そして、通信装置2の鏡225は、プリズム21から受けた赤外線ビームをハーフミラー23へ反射する。ハーフミラー23は、鏡225から受けた赤外線ビームを受光部25へ反射する。
【0067】
通信装置2の受光部25は、ハーフミラー23から受けた赤外線ビームを受光し、その受光した赤外線ビームの強度を検出して制御部24へ出力する。
【0068】
この場合、通信装置2の受光部25が検出する赤外線ビームの強度は、鏡225が赤外線ビームの伝搬方向を向いているとき、最も強くなり、鏡225が向いている方向が赤外線ビームの伝搬方向から回転角の方向および/または仰角方向へずれるに伴って低下する。
【0069】
したがって、鏡225の回転角および仰角が順次変えられたときに、受光部25が検出した赤外線ビームの複数の強度のうち、最大の強度が得られたときの回転角および仰角は、鏡225が赤外線ビームの伝搬方向を向いたときの回転角および仰角に等しくなる。
【0070】
そこで、制御部24は、受光部25が検出した赤外線ビームの複数の強度のうち、最大の強度が得られたときの回転角および仰角をそれぞれ最適回転角および最適仰角として検出する。
【0071】
そして、制御部24は、その検出した最適回転角および最適仰角だけ鏡225を回転させるように回転鏡22を制御し、回転鏡22は、制御部24からの制御に従って、上述した方法によって、鏡225を最適回転角および最適仰角だけ回転し、その位置で鏡225を保持する。
【0072】
これによって、鏡225は、通信装置2に対する通信装置3の存在方向へ向き、通信装置2の受光部25は、通信装置3から出射された赤外線ビームを最大強度で受光する。
【0073】
図7は、送信側の通信装置から受信側の通信装置へ送信データを送信するときの実施の形態1における模式図である。
【0074】
通信装置2が通信装置3へ送信データを送信する場合、通信装置2の制御部24は、送信データを生成し、その生成した送信データを発光部26へ出力する。
【0075】
そして、通信装置2の発光部26は、送信データを制御部24から受けるとともに、その受けた送信データによって赤外線ビームを変調し、その変調した赤外線ビームをハーフミラー23へ出射する。
【0076】
その後、通信装置2のハーフミラー23は、発光部26からの赤外線ビームを回転鏡22へ透過し、回転鏡22は、ハーフミラー23からの赤外線ビームをプリズム21の方向へ反射する。
【0077】
そして、通信装置2のプリズム21は、回転鏡22からの赤外線ビームを屈折して2次元通信シート1の光透過部材11中へ出射する。
【0078】
そうすると、赤外線ビームは、通信装置3の方向へ光透過部材11中を伝搬し、通信装置3の複数の受光部28に照射される。
【0079】
そして、通信装置3の複数の受光部28は、赤外線ビームを吸い込むように受光し、その受光した赤外線ビームを電圧に変換して制御部24へ出力する。
【0080】
その後、通信装置3の制御部24は、複数の受光部28から受けた電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換し、その変換したデジタル信号を復調して送信データを取得する。
【0081】
これによって、通信装置2から通信装置3へ送信データを送信する動作が終了する。
【0082】
なお、上記においては、通信装置2から通信装置3へ送信データを送信する場合について説明したが、通信装置3から通信装置2へ送信データを送信する場合も、上述した方法と同じ方法が用いられる。
【0083】
この場合、通信装置3は、通信装置3に対する通信装置2の存在方向を上述した方法によって検出し、その検出した存在方向を向くように回転鏡22を固定し、その固定した回転鏡22を用いて、通信装置2における方法と同じ方法によって、送信データを通信装置2へ送信する。
【0084】
そして、通信装置2は、通信装置3から送信された赤外線ビームを検出し、その検出した赤外線ビームに基づいて、通信装置3における方法と同じ方法によって送信データを取得する。
【0085】
なお、上記においては、1個の通信装置2と1個の通信装置3との間における送信データの送受信について説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、1個の通信装置2と、複数の通信装置との間で送信データが送受信されてもよい。
【0086】
この場合、複数の通信装置の各々は、通信装置2,3と同じように2次元通信シート1の上面1Aに接して配置される。そして、通信装置2は、上述した方法によって、送信データを時分割で複数の通信装置へ送信する。
【0087】
その結果、複数の通信装置へ送信データを送信するときの衝突が回避され、2次元通信システムのスループットを向上できる。
【0088】
上述したように、送信側の通信装置2は、1個の通信装置のみによって検出可能な最大ビーム幅以下のビーム幅を有する赤外線ビームを受信側の通信装置3が存在する方向へ向けて出射することにより送信データを通信装置3へ送信し、受信側の通信装置3は、通信装置2から送信された赤外線ビームを受光して送信データを取得する。
【0089】
したがって、実施の形態1によれば、受信側の通信装置3における赤外線ビームの強度を最大にでき、送信側の通信装置2および受信側の通信装置3を自由に配置できる。
【0090】
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2による2次元通信システムの概略図である。図8を参照して、実施の形態2による2次元通信システム10Aは、図1に示す2次元通信システム10の通信装置3をシートモジュール4に代えたものであり、その他は、2次元通信システム10と同じである。
【0091】
シートモジュール4は、2次元通信シート1の側面1Bに接して配置される。より具体的には、シートモジュール4は、2次元通信シート1の光透過部材11に接して配置される。そして、シートモジュール4と光透過部材11との接触領域以外の領域に反射部材12が設けられている。
【0092】
図9は、図8に示すシートモジュール4の構成図である。図9を参照して、シートモジュール4は、ハーフミラー41と、発光部42と、制御部43と、受光部44とを含む。
【0093】
ハーフミラー41は、発光部42から出射された赤外線ビームを2次元通信シート1の光透過部材11中へ透過する。また、ハーフミラー41は、2次元通信シート1の光透過部材11から赤外線ビームを受け、その受けた赤外線ビームを受光部44へ反射する。
【0094】
発光部42は、制御部43からの制御に従って赤外線ビームを生成し、その生成した赤外線ビームをハーフミラー41へ出射する。また、発光部42は、制御部43から送信データを受け、その受けた送信データによって赤外線ビームを変調し、その変調した赤外線ビームをハーフミラー41へ出射する。
【0095】
制御部43は、赤外線ビームを出射するように発光部42を制御する。また、制御部43は、送信データを生成し、その生成した送信データを発光部42へ出力する。さらに、制御部43は、受光部44から電圧を受け、その受けた電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換し、その変換したデジタル信号に基づいて、送信データを復調する。
【0096】
受光部44は、ハーフミラー41から赤外線ビームを受け、その受けた赤外線ビームを電圧に変換する。そして、受光部44は、その変換した電圧を制御部43へ出力する。
【0097】
図10は、送信側の通信装置に対する受信側の通信装置の存在方向を検出する実施の形態2における方法を説明するための模式図である。
【0098】
図10においては、通信装置2は、送信側の通信装置であり、シートモジュール4は、受信側の通信装置である。
【0099】
通信装置2に対するシートモジュール4の存在方向を検出する場合、シートモジュール4の発光部42は、制御部43からの制御に従って、赤外線ビームを生成し、その生成した赤外線ビームをハーフミラー41を介して2次元通信シート1の光透過部材11中へ出射する。
【0100】
そして、光透過部材11中へ入射された赤外線ビームは、光透過部材11中を伝搬する。
【0101】
通信装置2は、上述した方法によって、回転鏡22を回転角の方向および仰角方向に回転しながら赤外線ビームの強度を検出し、その検出した強度が最大になるときの回転角および仰角をそれぞれ最適回転角および最適仰角として検出する。そして、通信装置2は、鏡225を最適回転角および最適仰角だけ回転し、その位置で保持する。
【0102】
図11は、送信側の通信装置から受信側の通信装置へ送信データを送信するときの実施の形態2における模式図である。
【0103】
通信装置2がシートモジュール4へ送信データを送信する場合、通信装置2は、上述した方法によって、送信データによって変調された赤外線ビームをシートモジュール4の存在方向へ向けて2次元通信シート1中へ出射する。
【0104】
そうすると、シートモジュール4のハーフミラー41は、2次元通信シート1の光透過部材11中を伝搬する赤外線ビームを受け、その受けた赤外線ビームを受光部44へ反射する。
【0105】
そして、シートモジュール4の受光部44は、ハーフミラー41から受けた赤外線ビームを電圧に変換し、その変換した電圧を制御部43へ出力する。シートモジュール4の制御部43は、受光部44からの電圧に基づいて、上述した方法によって送信データを得る。
【0106】
なお、上記においては、通信装置2からシートモジュール4へ送信データを送信する場合について説明したが、シートモジュール4から通信装置2へ送信データを送信する場合も、上述した方法と同じ方法が用いられる。
【0107】
この場合、シートモジュール4は、送信データによって変調された赤外線ビームを発光部42によって通信装置2へ送信する。
【0108】
そして、通信装置2は、シートモジュール4から送信された赤外線ビームを検出し、その検出した赤外線ビームに基づいて、上述した方法によって送信データを取得する。
【0109】
なお、上記においては、1個の通信装置2と1個のシートモジュール4との間における送信データの送受信について説明したが、実施の形態2においては、これに限らず、1個の通信装置2と、複数のシートモジュールとの間で送信データが送受信されてもよい。
【0110】
この場合、複数のシートモジュールの各々は、シートモジュール4と同じように2次元通信シート1の側面1Bに接して配置される。そして、通信装置2は、上述した方法によって、送信データを時分割で複数のシートモジュールへ送信する。
【0111】
その結果、複数のシートモジュールへ送信データを送信するときの衝突が回避され、2次元通信システムのスループットを向上できる。
【0112】
上述したように、送信側の通信装置2は、1個の通信装置のみによって検出可能な最大ビーム幅以下のビーム幅を有する赤外線ビームを受信側のシートモジュール4が存在する方向へ向けて出射することにより送信データをシートモジュール4へ送信し、受信側のシートモジュール4は、通信装置2から送信された赤外線ビームを受光して送信データを取得する。
【0113】
したがって、実施の形態2によれば、受信側のシートモジュール4における赤外線ビームの強度を最大にでき、送信側の通信装置2を自由に配置できる。
【0114】
[実施の形態3]
図12は、実施の形態3による2次元通信システムの構成図である。図12を参照して、実施の形態3による2次元通信システム10Bは、図1に示す2次元通信システム10にシートモジュール4を追加したものであり、その他は、2次元通信システム10と同じである。
【0115】
シートモジュール4については、実施の形態2において説明したとおりである。
【0116】
2次元通信システム10Bにおいては、通信装置2および通信装置3は、実施の形態1において説明した方法によって、2次元通信シート1を介して相互に通信を行う。
【0117】
また、2次元通信システム10Bにおいては、通信装置2または通信装置3は、実施の形態2において説明した方法によって、シートモジュール4との間で2次元通信シート1を介して相互に通信を行う。
【0118】
さらに、2次元通信システム10Bにおいては、シートモジュール4は、有線ケーブルを介してインターネット等のネットワーク(図示せず)に接続される。そして、シートモジュール4は、ネットワークを介して他の通信システムを構成する通信装置から受信したデータを2次元通信シート1を介して通信装置2または通信装置3へ送信する。また、シートモジュール4は、2次元通信シート1を介して通信装置2または通信装置3からデータを受信し、その受信したデータをネットワークを介して他の通信システムを構成する通信装置へ送信する。このように、シートモジュール4は、アクセスポイントとして機能する。
【0119】
上述した各通信においては、1個の通信装置のみによって検出可能な最大ビーム幅以下のビーム幅を有する赤外線ビームを用いて送信データが送受信される。
【0120】
したがって、実施の形態3によれば、受信側の通信装置2,3またはシートモジュール4における赤外線ビームの強度を最大にでき、受信側の通信装置2または通信装置3を自由に配置できる。
【0121】
なお、2次元通信システム10Bにおいては、シートモジュールを複数個設けてもよい。この場合、複数のシートモジュールの各々がアクセスポイントとして機能するようにしてもよい。
【0122】
[変形例]
図13は、この発明の実施の形態における他の通信装置の構成図である。この発明の実施の形態においては、図13に示す通信装置20が用いられてもよい。
【0123】
図13を参照して、通信装置20は、図3に示す通信装置2に太陽電池29を追加したものであり、その他は、通信装置2と同じである。
【0124】
太陽電池29は、光吸収層291と、発電層292とを含む。光吸収層291は、2次元通信シート1の光透過部材11と同じ屈折率を有する。そして、光吸収層291は、太陽電池29の最下面に配置される。
【0125】
発電層292は、光吸収層291に接して配置される。そして、発電層292は、p型半導体とn型半導体とを接触させたp−n接合の構造からなる。p型半導体およびn型半導体の各々は、赤外線ビームを吸収可能なバンドギャップを有する半導体からなる。
【0126】
光吸収層291は、上述したように、2次元通信シート1の光透過部材11と同じ屈折率を有するため、光透過部材11中を伝搬する赤外線ビームを吸収して発電層292へ導く。
【0127】
発電層292は、光吸収層291から赤外線ビームを受け、その受けた赤外線ビームを電気に変換し、その変換した電気を回転鏡22のモータ227,228、制御部24、受光部25および発光部26へ供給する。
【0128】
そして、回転鏡22のモータ227,228、制御部24、受光部25および発光部26は、太陽電池29から電気を受け、その受けた電気によって駆動される。
【0129】
このように、通信装置20は、2次元通信シート1中を伝搬する赤外線ビームによって発電した電気を用いて駆動される。
【0130】
したがって、2次元通信シート1中を伝搬する赤外線ビームを有効に用できる。
【0131】
この発明の実施の形態においては、上述した2次元通信システム10,10A,10Bは、通信装置2,3に代えて通信装置20を備えていてもよい。
【0132】
図14は、この発明の実施の形態におけるさらに他の通信装置の構成図である。この発明の実施の形態においては、図14に示す通信装置200が用いられてもよい。
【0133】
図14を参照して、通信装置200は、図3に示す通信装置2の回転鏡22を光路調整器210に代えたものであり、その他は、通信装置2と同じである。
【0134】
光路調整器210は、反射鏡211と、液体プリズム212とを含む。反射鏡211は、略円錐形状を有し、その表面が反射鏡面からなる。そして、反射鏡211は、発光部27および受光部28の上に配置される。
【0135】
液体プリズム212は、導電性の金属イオンを含む水溶液2121と、絶縁性の油2122とを含む。水溶液2121は、たとえば、銅からなる金属イオンを含む。そして、液体プリズム212は、ハーフミラー23と、反射鏡211との間に配置される。
【0136】
図15は、図14に示す液体プリズム212の詳細図である。また、図16は、図15に示す線XVI−XVI間における液体プリズム212の断面図である。
【0137】
図15および図16を参照して、液体プリズム212は、容器2120と、電極2130,2140,2150〜2153,2160,2170,2180,2190〜2193,2200とをさらに含む。
【0138】
容器2120は、略八角形の平面形状を有する八角柱の外形からなり、赤外線ビームを透過する。電極2130,2140,2150〜2153,2160,2170,2180,2190〜2193,2200は、容器2120の外側面に配置される。この場合、電極2170,2180,2190,2200は、それぞれ、電極2130,2140,2150,2160に対向するように配置される。
【0139】
電極2150〜2153は、容器2120の高さ方向に配置され、電極2190〜2193は、容器2120の高さ方向に配置される。
【0140】
そして、電極2130,2140,2150〜2153,2160,2170,2180,2190〜2193,2200の各々は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜からなり、赤外線ビームを透過する。
【0141】
なお、電極2130,2140,2160,2170,2180,2200の下側にも、電極2150〜2153,2190〜2193と同じように3個の電極が配置されている。
【0142】
容器2120は、水溶液2121と、油2122とを保持する。電極2130,2140,2150〜2153,2160,2170,2180,2190〜2193,2200は、制御部24から電圧を受け、その受けた電圧を水溶液2121および油2122に印加する。
【0143】
図17は、液体プリズム212の使用方法を説明するための図である。図17を参照して、電圧が電極2150,2151,2190に印加されず、電極2152,2153,2191〜2193に印加された場合、水溶液2121と油2122との境界面BD1が形成される(図17の(a)参照)。
【0144】
また、電圧が電極2150〜2152,2190に印加されず、電極2153,2191〜2193に印加された場合、水溶液2121と油2122との境界面BD2が形成される(図17の(b)参照)。
【0145】
したがって、電極2130,2140,2150〜2153,2160,2170,2180,2190〜2193,2200のうち、電圧が印加される電極を変えることによって、水溶液2121と油2122との境界面を各種のパターンに変更できる。
【0146】
なお、境界面BD1,BD2は、図17においては、直線で示されているが、容器2120の外側面に設けられた32個の電極のうち、電圧が印加される電極を立体的に変更するので、境界面BD1,BD2は、実際には、曲面からなる。
【0147】
このように、水溶液2121と油2122との境界面を各種のパターンに変更することにより、水溶液2121と油2122との境界面における赤外線ビームの屈折パターンを各種のパターンに変更でき、通信装置200に入射する赤外線ビームおよび通信装置200から出射される赤外線ビームの光路を各種変更できる。
【0148】
したがって、通信装置200に入射する赤外線ビームの光路を各種変更して赤外線ビームを受光部25で受け、その受けた赤外線ビームの強度が最大になるときの電極パターンを決定すれば、通信装置200は、通信相手から最大の強度で赤外線ビームを受光できる。
【0149】
なお、通信装置200においては、上述した太陽電池29をさらに含んでいてもよい。
【0150】
この発明の実施の形態においては、上述した2次元通信システム10,10A,10Bは、通信装置2,3に代えて通信装置200を備えていてもよい。
【0151】
図18は、2次元通信システムの応用例を示す概念図である。図18を参照して、AV機器300は、AV機器400の上に配置される。AV機器300は、通信装置301,303と、2次元通信シート302とを備える。AV機器400は、通信装置401,403と、2次元通信シート402とを備える。
【0152】
通信装置301,303,401,403の各々は、通信装置2と同じ構成からなり、2次元通信シート302,402の各々は、2次元通信シート1と同じ構成からなる。
【0153】
2次元通信シート302は、AV機器300の天板に配置される。通信装置301は、AV機器300の脚部に配置される。通信装置303は、2次元通信シート302の裏面に配置される。
【0154】
2次元通信シート402は、AV機器400の天板に配置される。通信装置401は、AV機器400の脚部に配置される。通信装置403は、2次元通信シート402の裏面に配置される。
【0155】
通信装置403は、上述した方法によって2次元通信シート402を介して通信装置301へデータを送信する。
【0156】
また、通信装置301は、上述した方法によって2次元通信シート402を介して通信装置403へデータを送信する。
【0157】
このように、この発明の実施の形態においては、積層されたAV機器300,400間において、2次元通信システムを用いてデータを送受信できる。
【0158】
なお、AV機器の通信装置303は、AV機器300の上に別のAV機器が配置された場合、その配置されたAV機器の脚部に配置された通信装置と上述した方法によってデータを送受信する。
【0159】
また、通信装置401は、AV機器300,400が2次元通信シート1上に配置された場合、その2次元通信シート1の上面1Aに配置された通信装置2(図10参照)または2次元通信シート1の側面に配置されたシートモジュール4と上述した方法によってデータを送受信する。
【0160】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0161】
この発明は、受信側の通信装置が受光する赤外線の強度を高くでき、配置の自由度を高めることができる2次元通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0162】
1,302,402 2次元通信シート、1A,11B 上面、1B 側面、2,3,301,303,401,403 通信装置、4 シートモジュール、10,10A,10B 2次元通信システム、11,281 光透過部材、11A 底面、12 反射部材、21 プリズム、22 回転鏡、23,41 ハーフミラー、24,43 制御部、25,28,44 受光部、26,27,42 発光部、29 太陽電池、210 光路調整器、211 反射鏡、212 液体プリズム、221 台座、222,223 支持部材、224,226 回転軸、225 鏡、227,228 モータ、282 受光器、291 光吸収層、292 発電層、300,400 機器、2121水溶液、2122 油、2120 容器、2130,2140,2150〜2153,2160,2170,2180,2190〜2193,2200 電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平板形状からなり、赤外線ビームを伝搬する2次元通信シートと、
前記2次元通信シートの平面に接して前記平面上に配置された第1の通信装置と、
前記2次元通信シートに接して配置された第2の通信装置とを備え、
前記第1の通信装置は、1個の通信装置によってのみ赤外線ビームを検出可能な最大ビーム幅以下のビーム幅を有する赤外線ビームを用いて自己に対する前記第2の通信装置の存在方向を検出し、前記ビーム幅が前記最大ビーム幅以下に設定され、かつ、送信データによって変調された赤外線ビームを前記第2の通信装置の存在方向へ向けて前記2次元通信シート中へ出射し、
前記第2の通信装置は、前記2次元通信シートを介して前記赤外線ビームを受信する、2次元通信システム。
【請求項2】
前記第2の通信装置は、
前記赤外線ビームを前記2次元通信シート中へ出射する第1の発光部と、
前記赤外線ビームを前記2次元通信シートから受光する第1の受光部とを含み、
前記第1の通信装置は、
前記2次元通信シートの平面内における回転である第1の回転と前記2次元通信シートの平面に平行な軸の回りへの回転である第2の回転とを行なうとともに前記赤外線ビームを反射する回転鏡と、
前記2次元通信シートの平面に接して配置されたプリズムと、
前記プリズムを介して前記2次元通信シートから前記回転鏡へ入射し、かつ、前記回転鏡が前記第1および第2の回転を行ないながら反射した赤外線ビームを受光し、その受光した赤外線ビームの強度を検出する第2の受光部と、
前記第2の受光部が検出した赤外線ビームの強度が最大になるときの前記第1の回転における回転角と前記第2の回転における回転角度である仰角とを検出し、その検出した最適回転角と最適仰角とによって決定される方向を前記第2の通信装置の存在方法と決定し、前記回転鏡の前記第1の回転における回転角を前記最適回転角に保持し、かつ、前記回転鏡の前記第2の回転における仰角を前記最適仰角に保持するように前記回転鏡を制御する制御部と、
前記最適回転角および前記最適仰角に保持された回転鏡と前記プリズムとを介して前記赤外線ビームを前記2次元通信シート中へ出射する第2の発光部とを含む、請求項1に記載の2次元通信システム。
【請求項3】
前記第2の通信装置は、前記2次元通信シートの平面に接して前記平面上に配置され、
前記第1の発光部は、前記2次元通信シートの平面に接して配置され、
前記第1の受光部は、
前記2次元通信シートの平面に接して配置され、前記2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する第1の光透過部材と、
前記第1の光透過部材に接して配置され、前記2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを前記第1の光透過部材を介して受光する第1の受光器とを含み、
前記第1の通信装置は、
前記2次元通信シートの平面に接して配置され、前記2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する第2の光透過部材と、
前記第2の光透過部材に接して配置され、前記2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを前記第2の光透過部材を介して受光する第2の受光器とをさらに含む、請求項2に記載の2次元通信システム。
【請求項4】
前記第2の通信装置は、前記2次元通信シートの側面に接して配置され、
前記第1の通信装置は、
前記2次元通信シートの平面に接して配置され、前記2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する第2の光透過部材と、
前記第2の光透過部材に接して配置され、前記2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを前記第2の光透過部材を介して受光する第2の受光器とをさらに含む、請求項2に記載の2次元通信システム。
【請求項5】
前記第2の通信装置は、
前記2次元通信シートの平面に接して前記平面上に配置された第3の通信装置と、
前記2次元通信シートの側面に接して配置された第4の通信装置とを含み、
前記第3の通信装置の前記第1の発光部は、前記2次元通信シートの平面に接して配置され、
前記第3の通信装置の前記第1の受光部は、
前記2次元通信シートの平面に接して配置され、前記2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する第1の光透過部材と、
前記第1の光透過部材に接して配置され、前記2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを前記第1の光透過部材を介して受光する第1の受光器とを含み、
前記第1の通信装置は、
前記2次元通信シートの平面に接して配置され、前記2次元通信シートの屈折率と同じ屈折率を有する第2の光透過部材と、
前記第2の光透過部材に接して配置され、前記2次元通信シート中を伝搬する赤外線ビームを前記第2の光透過部材を介して受光する第2の受光器とをさらに含む、請求項2に記載の2次元通信システム。
【請求項6】
前記第4の通信装置は、有線ケーブルによってネットワークに接続され、アクセスポイントとして機能する、請求項5に記載の2次元通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−239504(P2010−239504A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86871(P2009−86871)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(508237591)有限会社エポックメッシュ (3)
【Fターム(参考)】