説明

2液型構造用アクリル接着剤組成物

【課題】接着力の減少や、混合比が不安定になる等の副次的問題を発生させることなく、十分な粘度を確保する。
【解決手段】アクリレートもしくはメタクリレートモノマー、またはアクリル化もしくはメタクリル化オリゴマーの1種また2種以上と、0〜15重量パーセントの量で存在するアクリル酸またはメタクリル酸とを含有する接着剤第1液と、アクリル酸およびメタクリル酸化合物の重合を引き起こすフリーラジカル発生剤を含有する活性剤第2液とからなる、2液型構造用アクリル接着剤組成物を対象とし、接着剤第1液に平板状シリカを含有させ、接着剤第1液と活性剤第2液とを混合した直後の未硬化状態における粘度が25℃で300〜600Pa・sとなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2液型構造用アクリル接着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車ガラス用接着剤は、自動車用ガラスに対し、インナーミラー取付用ブラケットや、モール、プロテクター、位置決め用基準ピン、ヒンジ等の各部材を取り付けるために使用されているものである。自動車ガラス用接着剤は、接着後、直射日光の照射、ガラス面の結露、運転中の振動等に曝される等するため、ガラスに対する強固な接着力と共に、耐振動性、耐候性、耐衝撃性、耐水性、耐熱性等の各種特性が要求され、通常、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、変性シリコーン系等の接着剤が使用されている。
【0003】
また、このような古くから実績あるウレタン組成物やシリコーン組成物の多くは湿気硬化タイプの為、硬化までの養生時間が長く、また、短縮する為にある一定環境下に設定した乾燥室を必要とし、いずれにしても広大な養生スペースを確保する必要があるため、近年では、前記各種特性を満足し、硬化の早さ、接着力、弾性という観点から、SGA接着剤と呼ばれる構造用アクリル接着剤が注目されている。
【0004】
しかしながら、構造用アクリル接着剤の多くは低粘度であり、接着後早期に振動等の外力が加わると位置ズレが発生してしまうといった問題点があった。例えば、フロントガラスに位置決め用基準ピンを取り付ける工程では、まず、ガラスを略水平に置いて位置決め用基準ピンを取付け、その後、ガラスを垂直に立てた状態で次の工程へ搬送するという手順を踏むことがある。また、この際パレット等に立てかけられ、フォークリフトなどによって運搬される為、振動も発生する。このような場合に構造用アクリル接着剤を用いると、その粘度の低さゆえに、ガラスを垂直に立てたときに位置決め用基準ピンが取付け位置からズレてしまう。そのため、渋滞の構造用アクリル接着剤は、接着ズレを発生させるような外力が接着後早期に加わるような工程では使用できなかった。
【0005】
他方、この問題点を解決する方法としては、公知の増粘剤、例えば炭酸カルシウム、シリカ等の無機系フィラーやポリ酢酸ビニル、ポリビニールアルコール等の有機高分子などの使用が考えられたが、このような公知の増粘剤を用いた場合、粘度を上昇させることはできるが、多量に添加しなければ所望の粘度が得られなかった。また、このような接着に寄与しない成分が多量に接着剤中に存在すると、結果的に接着力が減少したり、2液接着剤の正確であるべき混合比が不安定・不正確になる等の副次的問題が発生することも問題であった。
【特許文献1】特開平11−92735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、2液型構造用アクリル接着剤において、接着力の減少や、混合比が不安定になる等の副次的問題を発生させることなく、十分な粘度を確保しうる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1>
アクリレートもしくはメタクリレートモノマー、またはアクリル化もしくはメタクリル化オリゴマーの1種また2種以上と、0〜15重量パーセントの量で存在するアクリル酸またはメタクリル酸とを含有する接着剤第1液と、アクリル酸およびメタクリル酸化合物の重合を引き起こすフリーラジカル発生剤を含有する活性剤第2液とからなる、2液型構造用アクリル接着剤組成物であって、
前記接着剤第1液に平板状シリカを含有し、前記接着剤第1液と前記活性剤第2液とを混合した直後の未硬化状態における粘度が25℃で300〜600Pa・sであることを特徴とする、2液型構造用アクリル接着剤組成物。
【0008】
(作用効果)
本発明の主たるポイントは、増粘剤として平板状シリカを用いたことにある。この場合、配合量を従来の公知の増粘剤と比べて著しく少なくしても十分な粘度増加を図ることができる。またそのため、接着力の減少や、混合比が不安定になる等の副次的問題を発生させることもなくなり、構造用アクリル接着剤の持ち味である硬化速度の速さや接着力の高さを損ねずに使用できるようになる。
【0009】
<請求項2>
前記接着剤第1液は、前記平板状シリカを1〜5重量パーセント含み、かつ前記接着剤第1液と前記活性剤第2液とを5:1〜20:1の範囲で混合した直後の未硬化状態における粘度が25℃で300〜600Pa・sである、請求項1記載の2液型構造用アクリル接着剤組成物。
【0010】
(作用効果)
平板状シリカの含有量および第1液及び第2液の混合比は適宜定めることができるが、通常の場合、本項記載の範囲内にあるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、本発明によれば接着力の減少や、混合比が不安定になる等の副次的問題を発生させることなく、十分な粘度を確保しうる2液型構造用アクリル接着剤となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について詳説する。
(接着剤第1液について)
先ず、本発明の組成物を構成する接着剤第1液部分の好適なアクリレートまたはメタクリレートモノマーとしては、アクリル酸及びメタクリル酸のテトラエチレングリコール、イソデシル、ヒドロキシエチル並びにヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸のブチル、イソデシル、メチル、テトラヒドロフルフリル、イソボルニル並びに2−エリルヘキシルエステル、ブチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールA、ペンタエリトリトール及びその他のジアクリレート、ジメタクリレート、トリアクリレート、トレメタクリレート、テトラアクリレート、並びにテトラメタクリレート等を挙げることができる。
【0013】
好適なアクリル化またはメタクリル化オリゴマーはそれらが所望の最終用途の適切な接着性を有し、アクリレートまたはメタクリレート官能価を有する限りにおいては広範囲の物質から製造できる。このようなオリゴマーは既知であり、当分野において用いられている。特に好適なアクリル化またはメタクリル化オリゴマーは、アクリレート官能価によりキャップされたポリウレタン主鎖を有するもの、たとえば、ポリエステルポリオールまたはポリ(アルキレンオキシド)ポリオールと過剰のジイソシアネートとの反応により形成され、次いでさらにヒドロキシ基含有アクリレートまたはメタクリレート、例えばヒドロキシエチルアクリレートと反応したものである。以下では、このようなオリゴマーを、ウレタン/アクリレートオリゴマーまたはアクリル化もしくはメタクリル化オリゴマーという。
【0014】
好適なジイソシアネートとしては、トルエン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。好適なポリエステルポリオールとしては、当分野では既知の、ラクトンまたはカルボン酸と多価ヒドロキシ化合物の反応により形成されたものを挙げることができる。この反応に用いる好適なラクトンの例としてはカプラクトンを挙げることができ、好適なカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸を挙げることができる。またこの反応に用いる好適なヒドロキシ化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(エチレンオキシド/プロピレオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール、1,6−ヘキサンジオール−イソフタレート ジオール、1,6−ヘキサンジオール−アジペートジオール及び1,6−ヘキサンジオール−エチレングリコール−アジペートジオールを挙げることができる。
【0015】
上記アクリル化またはメタクリル化オリゴマーを得るための反応に用いるポリ(アルキレンオキシド)ポリオールとしては、通常、環式エーテル、たとえばアルキレンオキシド、ジオキソラン及びテトラヒドロフランのブロック共重合を含む重合、グリコールの縮合または環式エーテルとグリコールの縮合から得られるものを用いることができる。それらは周知のものであり、また市販もされており、ポリアルキレンエーテルグリコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシドグリコール、ポリグリコール及びポリオキシアルキレングリコールとも呼ばれるものである。これらの化合物は、式HO(RO)nH(式中、Rはアルキレン基、nは少なくとも2である)で表される。アルキレン基は、単一の鎖または互いにエーテル酸素原子により分離している2またはそれよりも多いアルキレン鎖からなることもできる。好ましいポリ(アルキレンオキシド)ポリオールは、各々、対の酸素原子で分離しているアルキレン鎖において1〜9、好ましくは1〜6炭素原子を有し、約100〜約4000、好ましくは約100〜約2500の範囲の数平均分子量を有する。すべてのアルキレン単位が同じである必要はない。
【0016】
また、上記アクリル化またはメタクリル化オリゴマーを得るための反応に用いる好適なヒドロキシ基含有アクリルモノマーとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができ、これは接着剤液部分において20〜50重量パーセントの量で存在することになる。アクリル酸またはメタクリル酸は任意に存在してもよく、もし存在するとすれば、組成物の接着剤第1液部の1〜20重量パーセントが好ましい。
【0017】
(活性剤第2液について)
本発明の活性剤第2液は、触媒の反応性を向上させる他の成分を含む、または含まない重合触媒であり、アクリル酸およびメタクリル酸化合物の重合を引き起こすフリーラジカル発生剤である。そのような触媒としては、過酸化物、ヒドロペルオキシド、ペルエステル、過酸、たとえば紫外線などの放射エネルギーや熱によりフリーラジカルを発生させるものを用いることができる。これらの触媒の具体例としては、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、第三級ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジクミル、過酸化第三級ブチルアセテート、過安息香酸第三級ブチル、ジ第三級ブチルアゾジイソブチロニトリルなどを挙げることができる。これらのフリーラジカル生成触媒は、接着剤組成物の重量に基づいて約0.01〜約10重量パーセントの量で使用される。好ましくは、触媒は約0.05〜約3重量パーセントの量で使用される。
【0018】
触媒の反応性を向上させる他の成分は開始剤または活性剤および助触媒である。開始剤および活性剤としては、第三級アミンおよびアルデヒド−アミン反応生成物等を用いることができる。有用な第三級アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジエチルトルイジンなどを挙げることができる。アルデヒド−アミン反応生成物は、ブチルアルデヒド−アニリンおよびブチルアルデヒド−ブチルアミン組成物などの組成物を含む。
【0019】
助触媒としては、ナフテン酸コバルト、ニッケル、マンガンまたは鉄、オクチル酸銅、アセチルアセトン酸銅、ヘキシル酸鉄、またはプロピオン酸鉄などの、遷移金属の有機塩を用いることができる。
【0020】
開始剤または活性剤は使用する場合、接着剤の重量に基づいて最大約15重量パーセントの量で添加するのが好ましい。特に好ましい使用量は0.01〜約5重量パーセントである。助触媒は好ましくは最大約0.5重量パーセント、特に好ましくは約1ppm〜約0.5重量パーセントの量で使用される。
【0021】
本発明の活性剤第2液成分にはエポキシ樹脂等の重合助剤等も使用できる。このエポキシ樹脂としては、平均して1分子当り2個以上のエポキシ基を有するものが好適に使用できる。エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、カテコール、レゾルシノール等の多価フェノール、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル:p−ヒドロキシ安息香酸、β−ヒドロキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル:フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル:さらにはエポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、環式脂肪族エポキシ樹脂、その他ウレタン変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0022】
エポキシ樹脂等の重合助剤使用する場合、接着剤の重量に基づいて最大約10重量パーセントの量で添加するのが好ましい。特に好ましい使用量は0.1〜約4重量パーセントである。
【0023】
また、本発明の活性剤第2液成分には可塑剤等も使用できる。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ジブチルベンジルフタレート(BBP)、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、トリオクチルフォスフェート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、エポキシステアリン酸アルキル、エポキシ化大豆油等を挙げることができ、これらは単独または混合して使用することができる。
【0024】
可塑剤を使用する場合、接着剤の重量に基づいて最大約5重量パーセントの量で添加するのが好ましい。特に好ましい使用量は0.5〜約3重量パーセントである。
【0025】
本発明の活性剤第2液成分には顔料及び染料等も使用することができる。顔料には、無機顔料と有機顔料とがあるが、本発明ではいずれも使用できる。無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ等の金属酸化物、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム等の硫黄物、塩酸塩、硫酸塩等を使用することができ、有機顔料としては、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等を使用することができる。
【0026】
(本発明の特徴成分)
さて、本発明は、前述のとおり接着剤第1液に平板状シリカを混合分散することを特徴とするものである。平板状シリカとはアルカリ、アルカリ土類金属、アルミニウムなどを含有する層状ケイ酸塩を意味し、例えばカオリン鉱物、雲母粘土鉱物、スメクタイトを用いることができる。カオリン鉱物としては、カオリナイト、デイッカイト、ナクライト、ハロイサイト、蛇文石等を用いることができる。雲母粘土鉱物としては、パイロフィライト、タルク、白雲母、膨潤性合成フッ素雲母、セリサイト、緑泥石が挙げられる。スメクタイトとしては、スメクタイト、バーミキュライト、膨潤性合成弗素バーミキュライト等を用いることができる。
【0027】
上記平板状シリカのなかで特に好ましいのは、膨潤性とイオン交換性を有するスメクタイトである。スメクタイトは比較的少量の使用量で高粘度を得ることができる。スメクタイトには天然物と合成物とがあるが、いずれも本発明に用いることができる。天然物の例としては、モンモリナイトとバイデライトがあり、これらはベンナイト、酸性白土などとよばれている粘土として得られるものである。スメクタイトは、例えば、コープケミカル(株)のルーセンタイトSTN、SAN、SWN、SWFとして商品化されている。
【0028】
平板状シリカの添加量としては、混合分散する接着剤第1液の粘度、被着体の形状や面積に応じて適宜定めることができ、特に限定されるものではない。本発明では、平板状シリカを配合し、最終的に接着剤第1液と接着剤第2液とを混合した後の未硬化状態の粘度が300〜600Pa・sとなれば問題はない。300Pa・s以下であると、位置ズレは生じやすく、600Pa・s以上であると接着剤第一部と接着剤第2部で混合に不都合を生じやすく、吐出できないなどの問題点が起こる。ただし、通常の場合、平板状シリカは接着剤第1液の重量に対して最大5重量パーセントの量で添加するのが好ましく、1.5〜3.5重量パーセントであると特に好ましい。
【0029】
平板状シリカの添加方法としては、公知の高粘度用攪拌機や十分セン断力をもつ高速攪拌機、例えばホモミキサー、インペラー等を用いて、接着剤第1液を攪拌しながら、平板状シリカを少量ずつ添加して分散する方法が好ましい。
【0030】
本発明の接着剤組成物は接着剤第1液及び活性剤第2液からなる2種類の液体として調製され、使用する直前に、第1液及び第2液を混合し、これを被着体の少なくとも一方の接着面に塗布して使用する。また、触媒を含む液を一方の被着体の接着面に塗布し、活性剤を含む液をもう一方の被着体の接着面に塗布して使用することもできる。この場合、触媒を含む液および活性剤を含む液は、被着体の接着面相互を押し付けることにより混合され、結果として接着が行われる。塗布のし易さの観点では、前者が好ましい。具体的には、2液混合塗布カートリッジシステム(例えば、MIX PAC社のカートリッジシステム200、400シリーズ、Ratio-Pak社からカートリッジシステム)を用いることもできる。この場合、混合させるノズルも内径や、全長、エレメントの数により、種々のものが選択できる。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
公知の高粘度真空攪拌脱泡機を用いて、構造用アクリル接着剤(商品名:MA320/Plexsus社製)の接着剤第1液500gに対して、平板状シリカ(商品名:ルーセンタイトSTN/コープケミカル製)を10g分散混合し、本発明に係る平板状シリカ含有構造用アクリル接着剤第1液を作製した。
【0032】
この接着剤第1液と、構造用アクリル接着剤(商品名:MA320、Plexsus社製)の活性剤第2液とを、2液混合塗布カートリッジ(接着剤第1液:活性剤第2液=10:1、MIX PAC社製)にそれぞれ充填し、先端にはスタチックミキサーノズル(商品名MC05−18/MIX PAC社製)を装着した。
【0033】
次にこのカートリッジを専用のエアーガンに装着した。エアーガンの操作により各カートリッジから接着剤第1液及び活性剤第2液を押し出し、ノズル内で混合した後、自動車用位置決め用基準ピン(6−ナイロン製)の接着面(接着面積約198mm2)に対して所定量を塗布した。続いて、接着剤を塗布した基準ピンを自動車ガラスに接着させ、接着直後にガラスを垂直にし、位置ズレを確認した。また、約2時間後に接着強度も確認した。
【0034】
また、ノズルから接着剤を吐出させ、粘度測定器(BROOKFIELD社製DV−II+pro、測定ローター:No.6、ローター回転数:10rpm)で粘度を測定した。測定環境は、温度25℃、湿度65%RHとした。
【0035】
(実施例2)
平板状シリカの配合量を15gとした以外は、実施例1と同様に試料を作製し、同様の評価を行なった。
【0036】
(比較例1)
平板状シリカを添加していない構造用アクリル接着剤(商品名:MA320/Plexsus社製)を用いた以外は、実施例1と同様に試料を作製し、同様の評価を行なった。
【0037】
(比較例2)
平板状シリカに替えて、非平板状の一般的なシリカ(商品名:サイリシア440/富士シリシア化学製)を用い、第1液及び第2液混合後の未硬化状態の粘度が350Pa・sとなるように接着剤第1液を作製した以外は、実施例1と同様に試料を作製し、同様の評価を行なった。なお、本比較例1におけるシリカ添加量は第1液500gに対し、41gとなった。
【0038】
(実験結果)
評価結果を表1に記す。表1から明らかなように、構造用アクリル接着剤の接着剤第1液に平板状シリカを混合分散させることで、配合量が微量であっても、振動等により位置ズレが発生し難くなり、しかも構造用アクリル接着剤の持ち味である硬化速度の速さや接着力の高さを維持できることが判明した。
【0039】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、自動車用ガラスに対し、インナーミラー取り付け用ブラケットや、モール、プロテクター、位置決め用基準ピン、ヒンジ等の各部材を接着する用途に好適であるが、他の接着用途にも使用できることはいうまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリレートもしくはメタクリレートモノマー、またはアクリル化もしくはメタクリル化オリゴマーの1種また2種以上と、0〜15重量パーセントの量で存在するアクリル酸またはメタクリル酸とを含有する接着剤第1液と、アクリル酸およびメタクリル酸化合物の重合を引き起こすフリーラジカル発生剤を含有する活性剤第2液とからなる、2液型構造用アクリル接着剤組成物であって、
前記接着剤第1液に平板状シリカを含有し、前記接着剤第1液と前記活性剤第2液とを混合した直後の未硬化状態における粘度が25℃で300〜600Pa・sであることを特徴とする、2液型構造用アクリル接着剤組成物。
【請求項2】
前記接着剤第1液は、前記平板状シリカを1〜5重量パーセント含み、かつ前記接着剤第1液と前記活性剤第2液とを5:1〜20:1の範囲で混合した直後の未硬化状態における粘度が25℃で300〜600Pa・sである、請求項1記載の2液型構造用アクリル接着剤組成物。

【公開番号】特開2006−2012(P2006−2012A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178785(P2004−178785)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(391015443)堀硝子株式会社 (19)
【Fターム(参考)】