説明

2線式負荷制御装置

【課題】2線式負荷制御装置において、低消費電力の負荷が接続された場合であっても、負荷のオンからオフへの制御を適切に行う。
【解決手段】2つの入力端子の間に接続されたスイッチ素子12と、スイッチ素子12が非導通状態のときに動作するオフ電源部14と、スイッチ素子12が導通状態のときに動作するオン電源部17と、スイッチ素子12の導通及び非導通を制御する制御部20とを備える。制御部20は、オン電源部17から出力される直流電力を監視して、スイッチ素子12が導通状態で直流電力が所定の閾値未満となったとき、スイッチ素子12を導通状態から非導通状態に切り替え制御しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置などの負荷のオン及びオフを制御するための2線式負荷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トライアックなどの半導体スイッチ素子を用いた負荷制御装置が知られている。このような半導体スイッチ素子を用いた負荷制御装置のうち、2線式の負荷制御装置は、交流電源と負荷の間に直列に接続されるため、配線工事が簡単である。その反面、負荷がオフされているときでも半導体スイッチ素子や制御回路(CPUなど)を駆動するための電源を確保する必要がある。そのために、半導体スイッチ素子に並列に整流回路を接続し、負荷がオフのときでも、実際には負荷がオン又は誤動作しない程度の微弱電流を流し、整流された電流をバッファコンデンサに充電し、負荷がオフしているときの電源(オフ電源部)を確保している。また、負荷がオンしているときも、整流回路により整流された電流を用いて、負荷がオンしているときの電源(オン電源部)を確保している(特許文献1参照)。
【0003】
オフ電源部は、例えば電流を制限する抵抗と、電圧をクランプするツェナーダイオード(定電圧ダイオード)と、トランジスタなどで構成された定電圧回路(ブートストラップ回路)であり、整流回路により全波整流された脈流が入力される。オフ電源回路から出力される電流の一部は制御部に流れ、CPUなどを駆動するために用いられる。また、残りの電流は、バッファコンデンサを充電する。整流回路により全波整流された脈流の電圧がツェナー電圧よりも低いときは、バッファコンデンサが電源となるため、バッファコンデンサは充放電を繰り返す。そのため、上記のように本来負荷がオフの状態であっても、ツェナーダイオード及び整流回路を介して負荷に微弱な電流が流れる。これに伴い、オン電源回路にも微弱な電流が流れ、バッファコンデンサが充電される。
【0004】
一方、負荷をオンさせるには、例えば、制御部からスイッチ素子に駆動信号を入力し、スイッチ素子をオンさせる。スイッチ素子には、トライアックなどの半導体スイッチ素子の他、ラッチ式リレーなど、機械的に駆動される接点を備えたスイッチ素子等が適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−97535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような2線式負荷制御装置において、負荷をオンからオフに切り替えるとき、制御部からスイッチ素子に入力する駆動電圧が不足すると、スイッチ素子が適切に動作することができず、負荷の誤動作が発生する虞がある。特に、スイッチ素子として動作に大きな電力を必要とするラッチ式リレーが適用されている負荷制御装置において、LED(Light Emitting Diode)電球等の低消費電力の負荷が接続された場合に、負荷のオンからオフへの制御を適切に行うことができない虞がある。低消費電力の負荷が接続された場合、オン電源回路から出力される電力も低下する傾向にあるからである。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、低消費電力の負荷が接続された場合であっても、負荷のオンからオフへの制御を適切に行うことができる2線式負荷制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る2線式負荷制御装置は、
交流電源及び負荷にそれぞれ接続される2つの入力端子と、
前記2つの入力端子の間に接続されたスイッチ素子及び電流変成器の直列回路と、
前記スイッチ素子の開閉部の両端に並列に接続され、前記スイッチ素子が非導通状態のときに、前記交流電源から前記負荷を介して流れる交流電流を用いて、前記スイッチ素子が非導通状態のときの直流電力を出力するオフ電源部と、
前記電流変成器の2次側に接続され、前記電流変成器の2次側に流れる交流電流を用いて、前記スイッチ素子が導通状態のときの直流電力を出力するオン電源部と、
前記オフ電源部及び前記オン電源部から出力される直流電力によって駆動され、外部から入力される操作情報に基づいて、前記スイッチ素子の導通及び非導通を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記オン電源部から出力される直流電力を監視して、該直流電力が所定の閾値未満であるとき、所定の電力不足対応処理を実行することを特徴とする。
【0009】
この発明において、前記制御部は、前記オン電源部から出力される直流電力が所定の閾値未満であるとき、前記スイッチ素子の導通から非導通への切り替え制御しないことが好ましい。
【0010】
この発明において、時間を計数する計数部をさらに備え、
前記制御部は、前記スイッチ素子を非導通から導通に切り替えた後、前記計数部が所定の時間を計数する間、前記オン電源部から出力される直流電力を監視しない、又は前記電力不足対応処理を実行しないことが好ましい。
【0011】
この発明において、前記制御部は、前記オン電源部から出力される直流電力が所定の閾値未満であるとき、2線式負荷制御装置が有する一部の機能を一時的に制限することが好ましい。
【0012】
この発明において、前記オン電源部の出力電力が不足している旨を報知する報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記オン電源部から出力される直流電力が所定の閾値未満であるとき、前記報知部に前記報知を実行させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の2線式負荷制御装置によれば、制御部が、オン電源部から出力される直流電力を監視して、該直流電力が所定の閾値未満であるとき、所定の電力不足対応処理を実行する。これにより、低消費電力の負荷が接続された場合等において、スイッチ素子に入力する駆動電力が不足するときであっても、電力不足対応処理によって該直流電力を回復させて、負荷の誤動作を抑制できる。従って、負荷のオンからオフへの制御を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る2線式負荷制御装置のブロック構成を示す図。
【図2】上記2線式負荷制御装置の具体的構成を示す回路図。
【図3】上記2線式負荷制御装置に消費電力の大きい負荷が接続され、スイッチ素子を非導通状態から導通状態に切り替えるときの、2線式負荷制御装置の各部の電圧等の波形を示す図。
【図4】上記2線式負荷制御装置(機能制限なし)に消費電力の小さい負荷が接続され、スイッチ素子を非導通状態から導通状態に切り替えるときの、2線式負荷制御装置の各部の電圧等の波形を示す図。
【図5】上記2線式負荷制御装置(機能制限あり)に消費電力の小さい負荷が接続され、スイッチ素子を非導通状態から導通状態に切り替えるときの、2線式負荷制御装置の各部の電圧等の波形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る2線式負荷制御装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る2線式負荷制御装置1の基本的なブロック構成を示し、図2は具体的な回路構成を示す。この2線式負荷制御装置1は、交流電源2及び負荷3にそれぞれ接続される2つの入力端子11a,11bと、2つの入力端子11a,11bの間に接続されたスイッチ素子12及び電流変成器13の直列回路を備えている。スイッチ素子12は、トライアックなどの半導体スイッチ素子であってもよいし、ラッチ式リレーなどの機械的に駆動される接点を備えたスイッチ素子であってもよい。
【0016】
スイッチ素子12の開閉部の両端子12a,12bには、交流電源2から負荷3を介して流れる交流電流を用いて、スイッチ素子12が非導通状態のときの直流電力を出力するオフ電源部14が接続されている。より具体的には、スイッチ素子12の開閉部の両端子12a,12bには、ダイオードブリッジなどで構成され、交流電源2から負荷3を介して流れる交流電流を直流電流(脈流)に変換する第1整流回路15が並列に接続されている。第1整流回路15には、例えば、電流を制限する抵抗と、電圧をクランプするツェナーダイオード(定電圧ダイオード)と、トランジスタなどで構成された定電圧回路(ブートストラップ回路)16が接続されている。これら第1整流回路15と、定電圧回路16とでオフ電源部14を構成する。図2に示す回路構成では、オフ電源部14は、例えば駆動電圧が24Vの高電圧系統と、駆動電圧が12Vの低電圧系統の、2つの電圧系統を有している。
【0017】
一方、電流変成器13の2次側には、電流変成器13の2次側に流れる交流電流を用いて、スイッチ素子12が導通状態のときの直流電力を出力するオン電源部17が接続されている。より具体的には、ダイオードブリッジなどで構成され、交流電源2から負荷3を介して流れる交流電流を直流電流(脈流)に変換する第2整流回路18が接続されている。第2整流回路18には、コンデンサ及びツェナーダイオードなどで構成された定電圧回路19が接続されている。オン電源部17も、例えば駆動電圧が24Vの高電圧系統と、駆動電圧が12Vの低電圧系統の、2つの電圧系統を有している。オフ電源部14の高電圧系統の出力端子とオン電源部17の高電圧系統の出力端子は、それぞれ逆流防止用のダイオードを介して接続されている。同様に、オフ電源部14の低電圧系統の出力端子とオン電源部17の低電圧系統の出力端子は、それぞれ逆流防止用のダイオードを介して接続されている。
【0018】
制御部20は、ソフトウェア等に基づいて動作し、例えば壁面に設けられた操作ハンドルやリモコン装置などの入力部25をユーザが操作したときに、その操作情報に応じてスイッチ素子12の導通及び非導通を制御する。制御部20は、例えばCPUなどで構成され、低電圧(例えば3V)で駆動される第1制御部21と、高電圧(例えば24V)で駆動される第2制御部22を備えている。第1制御部21は、レギュレータを介して、オフ電源部14及びオン電源部17の低電圧系統の出力端子に接続されている。レギュレータは、低電圧系統の駆動電圧12Vをさらに低電圧の3Vに降圧させるためのものである。第2制御部22は、スイッチ素子12が、例えばラッチ式リレーである場合に、電磁石装置などを駆動するための大電力を出力する。
【0019】
さらに、レギュレータを介して、オフ電源部14及びオン電源部17の低電圧系統の出力端子と第1制御部21の間には、CPU動作用の補助電源部23が接続されている。また、オフ電源部14及びオン電源部17の高電圧系統の出力端子と第2制御部22の間には、スイッチ素子12の接点開閉用の補助電源部24が接続されている。CPU動作用の補助電源部23及び接点開閉用の補助電源部24は、いずれも、バッファコンデンサなどで構成されている。
【0020】
また、本実施形態に係る負荷制御装置1は、オン電源部17の定電圧回路19の出力電圧を検出する電圧検出回路30をさらに備える。電圧検出回路30は、分圧抵抗とコンデンサ等によって構成される。電圧検出回路30によって検出されたオン電源部17の出力電圧は、制御部20の電力監視部2Aに入力される。
【0021】
制御部20は、電力監視部2Aと、電力不足対応部2Bと、電力不足報知部2Cと、タイマ(計数部)2Dをさらに備える。電力監視部2Aは、A/D変換回路等によって構成され、電圧検出回路30によって検出された電圧を所定の閾値と比較することにより、オン電源部17の出力電力を監視する。電力不足対応部2Bは、オン電源部17の出力電圧(すなわち電圧検出回路30によって検出される電圧)が所定の閾値未満となったとき、所定の電力不足対応処理を実行する。電力不足対応処理の例としては、スイッチ素子の導通から非導通への切り替え制御しないこと、電力不足報知部2Cによる報知を行うこと、後述する負荷制御装置1の機能に制限を設けること等が挙げられる。電力不足報知部2Cは、報知用のLED40に駆動電圧を印加することにより、オン電源部17の出力電力が不足している旨を報知する。報知用のLED40に加えて又は報知用のLED40の替わりに、電力不足報知部2Cに別途接続されたスピーカ(図示せず)を駆動することにより、報知音を出力してもよい。タイマ2Dは、後述するマスク期間等の時間を計数する。タイマ2Dは、制御部の外部に設けられていてもよい。
【0022】
次に、本実施形態に係る負荷制御装置1の動作について説明する。はじめに、スイッチ素子12が非導通であり、負荷3はオフ状態であるとする。スイッチ素子12の開閉部の両端子12a,12bには、第1整流回路15が接続されているので、スイッチ素子12が非導通であったとしても、交流電源2、負荷3、第1整流回路15の直列回路には微弱な電流が流れる。このときの電流は、負荷3が誤動作しない程度の微小電流であり、オフ電源部14のインピーダンスが高くなるように設定されている。第1整流回路15から全波整流された脈流が入力されると、ツェナーダイオードのツェナー電圧により、オフ電源部14からの出力の電圧波形は略台形状となる。オフ電源部14から出力される電流の一部はレギュレータによって降圧され、第1制御部21に供給される。それと平行して、補助電源部23のバッファコンデンサを充電する。第1整流回路15により全波整流された脈流の電圧がツェナー電圧よりも低いときは、補助電源部23のバッファコンデンサが電源となって、レギュレータを介して第1制御部21に電力を供給する。そのため、負荷3がオフ状態のとき、補助電源部23のバッファコンデンサは充放電を繰り返す。同様に、オフ電源部14から出力される電流の一部は、第2制御部22に供給されると共に、それと平行して、補助電源部24のバッファコンデンサを充電する。
【0023】
入力部25から負荷3をオンさせる操作情報が入力されると、第2制御部22は、スイッチ素子12を非導通状態から導通状態に切り替えるために、駆動電力を出力する。この駆動電力は、例えば補助電源部24のバッファコンデンサを放電することによって賄われる。
【0024】
図3は、負荷3として白熱電球などの消費電力の大きい負荷が接続され、スイッチ素子12を非導通状態から導通状態に切り替えるときの、各部の電圧等の波形を示す。横軸は、時間の経過を示す。時間の経過(時刻)は、タイマ2Dによって計数される。時刻t0において入力部25が操作されてオン電源部17の出力電力が上昇し、閾値を超えた後、マスク期間が経過(時刻t1)する前に飽和する。ここで、マスク期間とは、制御部20の電力監視部2Aによる電力監視機能がマスクされる(無効とされる)期間、すなわち電力監視部2Aが、オン電源部17から出力される直流電力を監視しない期間である。スイッチ素子12が非導通状態から導通状態に切り替えられたときに、タイマ2Dによってマスク期間の計数が開始される。マスク期間は、スイッチ素子12が非導通状態から導通状態に切り替えられた直後(すなわちオン電源部17の出力電力が閾値を超える前)において、ユーザによって入力部25が操作されたとき、制御部20がその操作入力を受け付けるために設定される。ここでは、請求項1に記載の所定の電力不足対応処理として、タイマ2Dによってマスク期間が計数されるまでの間、オン電源部17から出力される直流電力を監視しないことが実行される。なお、電力監視部2Aによる電力監視機能をマスクすることにより、オン電源部17の出力電力が閾値を超える前にスイッチ素子12を駆動する際には、補助電源部24のバッファコンデンサに貯えられた電荷が用いられる。
【0025】
時刻t0の以前は、オフ電源部14から制御部20に電力が供給され、制御部20からスイッチ素子12に制御信号が送信(駆動電圧が印加)可能である。時刻t0〜時刻t1の間はマスク期間に相当し、制御部20は、オン電源部17から出力される直流電力を監視しないので、オン電源部17の出力電力が閾値を超える前であっても、制御部20の第2制御部22からスイッチ素子12に制御信号が送信可能である。そして、オン電源部17の出力電力が閾値を超えた後(時刻t1以降を含む)は、第2制御部22からスイッチ素子12に制御信号が送信可能である。従って、図3に示す場合、第2制御部22からスイッチ素子12に対して制御信号を常に送信可能な状態とされる。また、電力不足報知部2C及びLED40を介した電力不足の報知はなされない。
【0026】
図4は、負荷3としてLED電球などの消費電力の小さい負荷が接続されたときの、各部の電圧等の波形を示す。この図4においては、オン電源部17から出力される直流電力が所定の閾値未満であっても、制御部20は、2線式負荷制御装置1が有する機能を制限しないものとする。消費電力の小さい負荷が接続された場合は、オン電源部17から出力される直流電力の上昇は緩やかで、かつ、閾値を超える前に飽和する。従って、オン電源部17から出力される直流電力が閾値を超えることがないが、マスク期間が経過する時刻t1までは、制御部20からスイッチ素子12に制御信号が送信可能である。時刻t1でマスク期間が経過すると、制御部20は、オン電源部17から出力される直流電力の監視を開始する。これに伴い、オン電源部17から出力される直流電力が閾値未満であることが制御部20によって検出され、電力不足対応処理が実行される。すなわち、制御部20はスイッチ素子12の導通から非導通への切り替え制御しないモードになり、制御部20の第2制御部22からスイッチ素子12に制御信号が送信できなくなる。また、これに伴い、電力不足報知部2C及びLED40を介した電力不足の報知がなされる。ここでは、請求項1に記載の所定の電力不足対応処理として、スイッチ素子12の導通から非導通への切り替え制御しないこと、及び電力不足報知部等を介したオン電源部17から出力される直流電力が不足している旨の報知が実行される。いずれか一方の処理のみを実行してもよい。
【0027】
図5は、負荷3としてLED電球などの消費電力の小さい負荷が接続されたときの、各部の電圧等の波形を示す。この図5においては、オン電源部17から出力される直流電力が所定の閾値未満であるとき、制御部20は、2線式負荷制御装置1が有する一部の機能を一時的に制限するものとする。ここで制限される2線式負荷制御装置1が有する機能としては、例えば、ワイヤレスのリモコン装置(図示せず)や外部機器との間でなされる無線送信機能又は無線受信機能などであるが、電力を消費する機能であれば、特に限定されない。
【0028】
図4に示すような、2線式負荷制御装置1が有する機能に制限を設けない場合、オン電源部17から出力される直流電力の不足が所定時間以上継続すると、制御部20の仕様によっては、ソフトウェアによる動作がリセット/再起動されることがある。このような場合において、ソフトウェアによる動作のリセット及び再起動の無限ループを回避するために、本実施形態の2線式負荷制御装置1にあっては、一部の機能を制限し(一時的に無効とする)、2線式負荷制御装置1の消費電力を低減する。ここでは、請求項1に記載の所定の電力不足対応処理として、2線式負荷制御装置1が有する一部の機能を一時的に制限することが実行される。
【0029】
図5において、時刻t1が経過するまでの動作は、図4と同様である。時刻t1が経過すると、機能制限が開始され、電力不足報知部2C及びLED40を介した電力不足の報知がなされる。機能制限が開始すると、2線式負荷制御装置1にて消費される電力が少なくなるので、電圧検出回路30によって検出される電圧が上昇し、時刻t2において閾値を超える。これにより、再び制御部20からスイッチ素子12に制御信号が送信可能となる。また、機能制限と電力不足の報知が解除される。機能制限が解除されると、2線式負荷制御装置1の動作によって電力が消費され、電圧検出回路30によって検出される電圧が下降し、時刻t3において閾値を下回る。電圧検出回路30によって検出される電圧が閾値未満となる時刻t3以降は、2線式負荷制御装置1の機能制限と電力不足の報知が再開され、電圧検出回路30によって検出される電圧が上昇する。以下、閾値の上下近傍で同様の動作を繰り返す。
【0030】
以上のように、本実施形態の2線式負荷制御装置1によれば、制御部20の電力監視部2Aが、オン電源部17から出力される直流電力を監視して、直流電力が所定の閾値未満となったとき、所定の電力不足対応処理を実行する。これにより、例えばLED電球のような低消費電力の負荷3が接続された場合等において、スイッチ素子12に入力する駆動電力が不足するときであっても、電力不足対応処理によって該直流電力を回復させて、負荷3の誤動作を抑制できる。従って、負荷3のオンからオフへの制御を電力状況に応じて適切に行うことができる。
【0031】
電力不足対応処理の一例として、スイッチ素子12の導通から非導通への切り替え制御しない構成では、スイッチ素子12に入力する駆動電力が不足する場合、スイッチ素子12に駆動電力が付与されない。従って、電力不足に伴うスイッチ素子12の動作不良が抑制される。
【0032】
また、スイッチ素子12を非導通から導通に切り替えた後、タイマ2Dが計数するマスク期間の間は、電力監視部2Aがオン電源部17から出力される直流電力を監視しない。これにより、電流変成器13や負荷3の応答の遅れ等によってオン電源部17からの出力電力の上昇に時間がかかるときに、入力部25が操作された場合であっても、スイッチ素子12の開閉制御が適切に行われる。
【0033】
また、オン電源部17から出力される直流電力が所定の閾値未満である場合、制御部20は、2線式負荷制御装置1が有する一部の機能を一時的に制限する。これにより、2線式負荷制御装置1の消費電力が低減され、電圧検出回路30によって検出される電圧が上昇する。また、制御部20の動作のリセット及び再起動の無限ループ等の不具合を回避することができる。
【0034】
また、電力不足報知部2CがLED40を介してオン電源部17から出力される直流電力が不足している旨報知するので、管理者やユーザが、オン電源部17から出力される直流電力が不足していることを知ることができる。これにより、管理者やユーザが迅速に適切な対応を行い、電力不足を解消することが可能となる。
【0035】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られることはない。少なくともオフ電源部14と、オン電源部17と、制御部20とを備え、制御部20は、オン電源部17から出力される直流電力を監視して所定の閾値未満となったとき、所定の電力不足対応処理を実行するように構成されていればよい。また、所定の電力不足対応処理は、上述したスイッチ素子12の導通から非導通への切り替え制御をしないこと等に限られず、オン電源部17から出力される直流電力が不足したときに、スイッチ素子12の導通制御に関して有効な他の処理であってもよい。
【0036】
また、本発明は種々の変形が可能である。例えば、タイマ2Dによって計数されるマスク期間にあっては、電力監視部2Aによる電力監視機能を無効にする代替手段として、電力不足対応処理を無効とするように構成されていてもよい。この電力不足対応処理を無効とすることにより、マスク期間において、第2制御部22がスイッチ素子12に制御信号を送信することができ、電力不足報知部2Cによる報知動作が回避される。
【0037】
また、上記実施形態では、補助電源部23,24としてバッファコンデンサ(蓄電素子)を用いたが、補助電源部23,24はこれに限定されるものではなく、充電可能な二次電池を用いてもよい。その場合、バッファコンデンサを用いた場合と同様に、電池の交換が不要になる。
【符号の説明】
【0038】
1 2線式負荷制御装置
2 交流電源
3 負荷
11a,11b 入力端子
12 スイッチ素子
13 電流変成器
14 オフ電源部
15 第1整流回路
16 定電圧回路
17 オン電源部
18 第2整流回路
19 定電圧回路
20 制御部
21 第1制御部
22 第2制御部
23 CPU動作用の補助電源部
24 接点開閉用の補助電源部
2A 電力監視部2A
2B 電力不足対応部
2C 電力不足報知部
2D タイマ(計数部)
30 電圧検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源及び負荷にそれぞれ接続される2つの入力端子と、
前記2つの入力端子の間に接続されたスイッチ素子及び電流変成器の直列回路と、
前記スイッチ素子の開閉部の両端に並列に接続され、前記スイッチ素子が非導通状態のときに、前記交流電源から前記負荷を介して流れる交流電流を用いて、前記スイッチ素子が非導通状態のときの直流電力を出力するオフ電源部と、
前記電流変成器の2次側に接続され、前記電流変成器の2次側に流れる交流電流を用いて、前記スイッチ素子が導通状態のときの直流電力を出力するオン電源部と、
前記オフ電源部及び前記オン電源部から出力される直流電力によって駆動され、外部から入力される操作情報に基づいて、前記スイッチ素子の導通及び非導通を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記オン電源部から出力される直流電力を監視して、該直流電力が所定の閾値未満であるとき、所定の電力不足対応処理を実行することを特徴とする2線式負荷制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記オン電源部から出力される直流電力が所定の閾値未満であるとき、前記スイッチ素子の導通から非導通への切り替え制御しないことを特徴とする請求項1に記載の2線式負荷制御装置。
【請求項3】
時間を計数する計数部をさらに備え、
前記制御部は、前記スイッチ素子を非導通から導通に切り替えた後、前記計数部が所定の時間を計数する間、前記オン電源部から出力される直流電力を監視しない、又は前記電力不足対応処理を実行しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の2線式負荷制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記オン電源部から出力される直流電力が所定の閾値未満であるとき、2線式負荷制御装置が有する一部の機能を一時的に制限することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の2線式負荷制御装置。
【請求項5】
前記オン電源部の出力電力が不足している旨を報知する報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記制御部は、前記オン電源部から出力される直流電力が所定の閾値未満であるとき、前記報知部に前記報知を実行させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の2線式負荷制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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