説明

2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテートの殺生物組成物および使用方法

2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート、および、臭素化ニトロアルカノール、2−ハロ−2−(ハロメチル)グルタロニトリル、および2−フェノキシエタノールからなる群から選択される非ホルムアルデヒド放出性殺生物化合物を含む、殺生物組成物を提供する。該組成物は、水性系および水を含有する系における微生物を制御するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、殺生物組成物、および、水性系および水を含有する系において微生物を制御するためのその使用方法に関する。組成物は、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールを第2の殺生剤とともに含む。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
水性系物質は、しばしば、保存期間中および使用中の微生物分解および/または損傷からの保護を必要とする。防腐剤を用いて、水性物質中での微生物分解および/または損傷を制御する。しかし、これらは、高い使用濃度であっても、広範囲の微生物に亘る効果的な制御ができない場合がある。加えて、防腐剤は、しばしば、製品の高コストの成分である。種々の殺生剤の組合せを用いて、特定の最終使用環境において微生物の全体的な制御を与える場合があるが、種々の株の微生物に対して向上した活性を有する殺微生物剤の更なる組合せの必要性が存在する。環境的および経済的な利益のために、より低レベルの個別の殺微生物剤を利用する組合せの必要もまた存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の簡単な要約
一側面において、本発明は、殺生物(すなわち防腐剤)組成物を提供する。組成物は、水性系または水を含有する系において微生物を制御するのに有用である。本発明の組成物は、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテートを、臭素化ニトロアルカノール、2−ハロ−2−(ハロメチル)グルタロニトリル、および2−フェノキシエタノールからなる群から選択される非ホルムアルデヒド放出性殺生物化合物とともに含む。第2の側面において、本発明は、水性系または水を含有する系における微生物を制御する方法を提供する。該方法は、本明細書に記載する殺生物組成物で系を処理することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0004】
発明の詳細な説明
上記したように、本発明は、殺生物組成物および微生物の制御におけるこれらの使用方法を提供する。組成物は、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート(「ジメトキサン」)を、臭素化ニトロアルカノール、2−ハロ−2−(ハロメチル)グルタロニトリル、および2−フェノキシエタノールからなる群から選択される非ホルムアルデヒド放出性殺生物化合物とともに含む。驚くべきことに、本明細書に記載するジメトキサンと非ホルムアルデヒド放出性殺生物化合物との組合せは、特定の質量比で、水性または水を含有する媒体における微生物制御に用いる場合に、相乗的であることを見出した。すなわち、組合せの物質は、個別の性能に基づいて他に予期されるのと比べて、改善された殺生物特性をもたらす。観察される相乗性は、許容できる殺生物特性を実現するために用いる低減された量の物質を可能にし、よって、環境的な影響および材料コストを潜在的に低減する。
【0005】
本明細書の目的のために、「微生物」の意味としては、これらに限定するものではないが、バクテリア、菌類、藻類、およびウイルスが挙げられる。用語「制御」および「制御する」は、これらの意味を包含するように広く解釈すべきであり、これらに限定するものではないが、微生物の生育または増殖を阻害すること、微生物を殺すこと、殺菌、および/または防腐である。
【0006】
本発明の第1の態様において、非ホルムアルデヒド放出性殺生物化合物は、臭素化ニトロアルカノールである。好ましくは、臭素化ニトロアルカノール化合物は、式I:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R1は、水素、C1−C12アルキル、またはフェニル−C1−C12−アルキル−であり;R3は、水素、またはR1およびR3が、これらが付いている炭素とともにC5−C7シクロアルキル環を形成し;そしてR2は、水素、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、または臭素である)
のものである。
【0009】
式Iに係る好ましいニトロアルカノールとしては、R1が水素またはC2−C11アルキルである化合物が挙げられる。更に好ましくは、R1がメチル、エチル、nープロピル、nーブチル、またはn−ヘキシルである化合物である。R1およびR3が、これらが付いている炭素とともにシクロヘキシル環を形成する化合物もまた好ましい。
【0010】
式Iに係る好ましいニトロアルカノールとしては、R3がHである化合物が更に挙げられる。
【0011】
加えて好ましい、式Iに係るニトロアルカノールは、R2がヒドロキシメチルである化合物である。
【0012】
式Iに係る好ましい化合物としては:C25CH(OH)CHBrNO2;CH2(OH)CBrNO2CH2OH;nC37CH(OH)CHBrNO2;CH3CH(OH)CBrNO2CH2OH;CH3CH(OH)CHBrNO2;(CH32CHCH(OH)CBr2NO2;nC511CH(OH)CHBrNO2;nC613CH(OH)CHBrNO2;CH3CH(OH)CNO2BrCH3;1−(ブロモニトロメチル)シクロヘキサノール;CH3CH(OH)CBr2NO2;C1123CH(OH)CHBrNO2;CH2(OH)CHBrNO2;nC49CH(OH)CHBrNO2;C25CH(OH)CNO2BrCH3;CH2(OH)CNO2BrC25;C25CH(OH)CBr2NO2が挙げられる。特に好ましい、式Iのニトロアルカノールは、CH2(OH)CBrNO2CH2OH(2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール)である。
【0013】
好ましくは、本発明の第1の態様において、ジメトキサンの、臭素化ニトロアルカノールに対する質量比は、約1000:1〜約1:1000であり、より好ましくは約500:1〜約1:500であり、更により好ましくは約100:1〜約1:100である。特に好ましい態様において、ジメトキサンの、臭素化ニトロアルカノールに対する質量比は、約45:1〜約1:2である。
【0014】
式Iの臭素化ニトロアルカノールは、市販で入手可能であり、および/または当業者が周知の方法を用いて容易に製造できる(例えば、米国特許第3,558,788号(参照により本明細書に組入れる)を参照のこと)。ジメトキサンは市販で入手可能である。
【0015】
本発明の第2の態様において、非ホルムアルデヒド放出性殺生物化合物は、2−ハロ−(ハロメチル)グルタロニトリル化合物である。好ましくは、化合物は式II:
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、Xは臭素または塩素である)のものである。特に好ましいグルタロニトリル化合物は、2−ブロモ−2−(ブロモメチル)グルタロニトリルである。
【0018】
好ましくは、本発明の第2の態様において、ジメトキサンの、ジハロメチルグルタロニトリルに対する質量比は、約100:1〜約1:100であり、より好ましくは約50:1〜約1:50であり、更により好ましくは約50:1〜約1:1である。更に好ましい態様において、質量比は、約39:1〜約2:1である。
【0019】
式IIのグルタロニトリルは、市販で入手可能、および/または当業者が周知の方法を用いて容易に製造できる(例えば、米国特許第3,877,922号を参照のこと)。
【0020】
第3の態様において、非ホルムアルデヒド放出性殺生物化合物は、フェノキシエタノールである。好ましくは、本発明の第3の態様において、ジメトキサンの、フェノキシエタノールに対する質量比は、約100:1〜約1:100であり、より好ましくは約50:1〜約1:50であり、更により好ましくは約1:1〜約1:30である。更に好ましい態様において、質量比は、約1:6〜約1:29である。
【0021】
本発明の組成物は、種々の水性系および水を含有する系における微生物生育の制御にて有用である。このような系の例としては、これらに限定するものではないが、塗料およびコーティング、水性エマルション、ラテックス、接着剤、インク、顔料分散物、家庭用および工業用のクリーナー、洗剤、食器用洗剤、ミネラルスラリーポリマーエマルション、コーキングおよび接着剤、テープジョイントコンパウンド、殺菌剤、消毒剤、金属作動流体、構造物、パーソナルケア製品、テキスタイル流体,例えばスピン仕上げ、工業プロセス水(例えば、油田水、パルプおよび紙の水、冷却水)、油田機能性流体,例えば掘削汚水および破砕流体、ならびに燃料が挙げられる。好ましい水性系は、洗剤、パーソナルケア、家庭用および工業用の製品、ならびに塗料/コーティングである。特に好ましくは、塗料およびコーティング、洗剤、ならびにテキスタイル流体、例えばスピン仕上げである。
【0022】
当業者は、過度の実験を伴わずに、任意の特別な用途において用いるべき組成物の濃度を容易に決定できる。例として、好適な活性物質濃度(ジメトキサンおよび第2の殺生剤についての合計)は、典型的には、殺生剤を含む水性系または水を含有する系の総質量基準で0.001〜1質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%である。
【0023】
組成物の成分は、水性系または水を含有する系に、別個に、または添加前に前ブレンドして、添加できる。当業者は、適切な添加方法を容易に決定できる。組成物は、他の添加剤、例えば、これらに限定するものではないが、界面活性剤、イオン性/非イオン性のポリマーおよびスケール、腐食防止剤、酸素捕捉剤、および/または追加の殺生剤とともに系中で使用できる。
【0024】
以下の例は、本発明の例であり、その範囲を制限することを意図しない。
【0025】

概略.
殺生剤.以下の殺生剤をこれらの例で試験する。
【0026】
2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート(ジメトキサンまたは「DMX」)は、BIOBANTM DXN,87%活性物質(The Dow Chemical Companyから入手可能)として用いる。
【0027】
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(「BNPD」)は、BIOBANTM BP−30,30%活性物質BNPD(The Dow Chemical Companyから入手可能)として用いる。
【0028】
2−ブロモ−2−(ブロモメチル)グルタロニトリル(「DBGN」)は、Alfa Aesarから得る。
【0029】
2−フェノキシエタノール(2−PE)は、DOWANOLTM EPh(The Dow Chemical Companyから入手可能)として用いる。
【0030】
相乗性計算.報告される相乗性指数は、下記式を用いて測定および計算する。この方法において、相乗性指数1は、相加性を示す。該指数が1未満である場合、相乗性が生じ、一方、相乗性指数1超は、拮抗を示す。
【0031】
相乗性指数=CA/Ca+CB/Cb
a=4log10殺微生物を与える、抗微生物剤Aのみの最小濃度
b=4log10殺微生物を与える、抗微生物剤Bのみの最小濃度
AおよびCB=必要な殺微生物(特定の例で特記がない限り4log10殺微生物)を与える、抗微生物剤AおよびBの組合せの濃度
【0032】
例1
スピン仕上げエマルション中のジメトキサン/2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの評価
この例では、ジメトキサン(DMX)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(BNPD)およびDMXとBNPDとの組合せの抗微生物プロファイルを、スピン仕上げエマルション中で評価する。スピン仕上げエマルションは、防腐剤効果評価の開始前に微生物汚染がないように評価する。スピン仕上げエマルションは、1部のスピン仕上げ油を9部の蒸留水に添加した後30分間混合することによって調製する。
【0033】
実験手順.試験は、全ての評価について、96−ディープウエルブロックフォーマット内で、総サンプル体積300〜600μlを用いて行う。これらのサンプルにおいて、総体積の10%以下が、殺生剤および生物溶液からなり、全ての非マトリクスの添加は、全てのサンプルについて規格化する。各実験の96−ウエルブロックは、殺生剤処理されたサンプル、および殺生剤を含まない対照サンプルを収容する。
【0034】
微生物.24時間トリプシン大豆ブロス培地を、最終濃度5×107CFU/mlでの配合物接種用に等量部で組合せる。生物を、96−ウエルブロックの各サンプルに添加し、均一になるまで混合する。加えて、スピン仕上げサンプルのバクテリア試験は、28日試験期間の0日、2日、7日、および14日で行う。用いる生物は:Pseudomonas aeruginosa(ATCC#15442),Pseudomonas aeruginosa(ATCC#10145),Enterobacter aerogenes(ATCC#13048),Escherichia coli(ATCC# 11229),Klebsiella pneumoniae(ATCC#8308),Staphylococcus aureus(ATCC#6538),Salmonella choleraesuis(ATCC#10708)である。
【0035】
生存生物の計数.生き残っている微生物を計数するために、既定の時点でサンプルのアリコートを取り出す。殺生剤濃度は、防腐剤を含まない対照と比べて、≧6log10の殺微生物をもたらし、生存生物の顕著な低減が認められ、従って、相乗性指数値を計算するために用いる。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
例2.
塗料中のジメトキサン/2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの評価
この例では、ジメトキサン(DMX)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(BNPD)ならびにDMXおよびBNPDの組合せ、の抗微生物プロファイルを、市販(interior eggshell)の水系ラテックス塗料配合物(pH7.4)中で評価する。塗料配合物は、防腐剤効果評価の開始前に微生物汚染がないように評価する。
【0038】
実験手順.試験は、全ての評価について、96−ディープウエルブロックフォーマット内で、総サンプル体積600μlを用いて行う。これらのサンプルにおいて、総体積の10%以下が、殺生剤および生物溶液からなり、全ての非マトリクスの添加は、全てのサンプルについて規格化する。各実験の96−ウエルブロックは、殺生剤処理されたサンプル、および殺生剤を含まない対照サンプルを収容する。
【0039】
微生物.24時間トリプシン大豆ブロス培地を、最終濃度5×106CFU/mlでの配合物接種用に等量部で組合せる。生物を、96−ウエルブロックの各サンプルに添加し、均一になるまで混合する。加えて、塗料サンプルのバクテリア試験は、28日試験期間の0日、2日、7日、および14日で行う。用いる生物は:Pseudomonas aeruginosa(ATCC#15442),Pseudomonas aeruginosa(ATCC#10145),Enterobacter aerogenes(ATCC#13048),Escherichia coli(ATCC#11229),Klebsiella pneumoniae(ATCC#8308),Staphylococcus aureus(ATCC#6538),Salmonella choleraesuis(ATCC#10708)である。
【0040】
生存生物の計数.生き残っている微生物を計数するために、既定の時点でサンプルのアリコートを取り出す。以下に列挙するデータ表の数値は、微生物添加後の特定の時点および殺生剤濃度で個別サンプルから回収されるlog10生菌を表す。殺生剤濃度は、防腐剤を含まない対照と比べて、≧4log10の殺微生物をもたらし、生存生物の顕著な低減が認められ、従って、相乗性指数値を計算するために用いる。結果を表2および3に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
1740ppmの活性のジメトキサン(単独で用いる場合)が、4つの微生物試験の後に≧4log10殺微生物を実現するために必要である。300ppmのBNPD(単独で用いる場合)が、同じ試験条件で≧4log10殺微生物を実現するために必要である。種々の濃度比のBNPDおよびジメトキサンの使用は、殺生物活性の相乗的な組合せを示す同じ試験条件下で、生菌において、より大きいlog10低減をもたらす。
【0044】
例3.
洗濯洗剤中のジメトキサン/2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの評価
洗濯洗剤のサンプルを、ジメトキサン、BNPD、およびこれらの組合せで処理する。サンプルに、4週間に亘って5×106コロニー形成単位毎ミリリットル(CFU/ml)接種材料(Pseudomonas aeruginosa ATCC#9027,Enterobacter gergoviae ATCC#33028 Pseudomonas putida ATCC#49128,Salmonella choleraesuis ATCC#10708,Pseudomonas aeruginosa ATCC#10145,Pseudomonas aeruginosa ATCC#15442,Escherichia coli ATCC#11229,およびStaphylococcus aureus ATCC#6538を含む)を4回接種する。サンプルを、0、2、7、および14日に接種し、バクテリア量について0、1、2、3、6、8、13、15、20、および27日で分析する。バクテリア濃度は、連続希釈(1:10)によって、生育終点に到達するまで評価する。サンプルを、生育終点に到達するのに必要な連続希釈の数に基づいて0〜8点で採点する。例えば、サンプルが、バクテリアの生育が失われる前に4回の1:10希釈を必要とする場合には、サンプルには4点が付けられ、これは5×104〜5×105の生存生物を表す。結果を表4および5に示す。
【0045】
【表4】

【0046】
ジメトキサンとBNPDの幾つかの相乗的な組合せがこの検討にて見出される。例えば、20日では、単独で、1160ppmのジメトキサンまたは99ppmのBNPDが、4log10殺バクテリアを実現するのに必要である。344ppmジメトキサン/44ppmBNPDは、相乗比0.740を与える。相乗的な組合せは下記表5に示す。
【0047】
【表5】

【0048】
例4.
洗濯洗剤中のジメトキサン/ジブロモグルタロニトリルの評価
洗濯洗剤のサンプルを、ジメトキサン、ジブロモグルタロニトリル、およびこれらの組合せで処理する。サンプルに、4週間に亘って5×106コロニー形成単位毎ミリリットル(CFU/ml)接種材料(Pseudomonas aeruginosa ATCC#9027,Enterobacter gergoviae ATCC#33028,Pseudomonas putida ATCC#49128,Salmonella choleraesuis ATCC#10708,Pseudomonas aeruginosa ATCC#10145,Pseudomonas aeruginosa ATCC#15442,Escherichia coli ATCC#11229,およびStaphylococcus aureus ATCC#6538を含む)を4回接種する。サンプルを、0、2、7、および14日に接種し、バクテリア量について0、1、2、3、6、8、13、15、20、および27日で分析する。バクテリア濃度は、連続希釈(1:10)によって、生育終点に到達するまで評価する。サンプルを、生育終点に到達するのに必要な連続希釈の数に基づいて0〜8点で採点する。例えば、サンプルが、バクテリアの生育が失われる前に4回の1:10希釈を必要とする場合には、サンプルには4点が付けられ、これは5×104〜5×105生存生物を表す。2点以下は合格と考えられる。下記の表6および7は、ジメトキサンとジブロモグルタロニトリル(DBGN)の相乗的な組合せが見出される時点を纏める。
【0049】
【表6】

【0050】
【表7】

【0051】
例5.
洗濯洗剤中のジメトキサンおよび2−フェノキシエタノール(2−PE)の評価
この例では、洗濯洗剤のサンプルを、ジメトキサン、2−フェノキシエタノール(2−PE)、およびこれらの組合せで処理する。例4において概説したのと同じ実験手順を用いる。下記表8および9は、見出される相乗的な組合せを纏める。
【0052】
【表8】

【0053】
【表9】

【0054】
本発明をその好ましい態様に従って上記してきたが、本開示の精神および範囲の中で改変が可能である。従って本件は、本明細書で開示する一般原理を用いた本発明の任意の変更、使用、または適合を網羅することを意図する。更に、本件は、本発明が属する分野での公知または一般的な実施の範囲内となり、そして特許請求の範囲の限定の範囲内となるような本開示からの逸脱を網羅することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート;ならびに
臭素化ニトロアルカノール、2−ハロ−2−(ハロメチル)グルタロニトリル、および2−フェノキシエタノールからなる群から選択される非ホルムアルデヒド放出性殺生物化合物;
を含む、組成物。
【請求項2】
臭素化ニトロアルカノール殺生物化合物が、式I:
【化1】

(式中、R1は、水素、C1−C12アルキル、またはフェニル−C1−C12−アルキル−であり、R3は、水素、またはR1およびR3が、これらが付いている炭素とともにC5−C7シクロアルキル環を形成し、そしてR2は、水素、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、または臭素である)
のものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1が、水素またはC2−C11アルキルである、請求項1〜2に記載の組成物。
【請求項4】
3が、Hである、請求項1〜3に記載の組成物。
【請求項5】
2が、ヒドロキシメチルである、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
臭素化ニトロアルカノールが:C25CH(OH)CHBrNO2;CH2(OH)CBrNO2CH2OH;nC37CH(OH)CHBrNO2;CH3CH(OH)CBrNO2CH2OH;CH3CH(OH)CHBrNO2;(CH32CHCH(OH)CBr2NO2;nC511CH(OH)CHBrNO2;nC613CH(OH)CHBrNO2;CH3CH(OH)CNO2BrCH3;1−(ブロモニトロメチル)シクロヘキサノール;CH3CH(OH)CBr2NO2;C1123CH(OH)CHBrNO2;CH2(OH)CHBrNO2;nC49CH(OH)CHBrNO2;C25CH(OH)CNO2BrCH3;CH2(OH)CNO2BrC25;C25CH(OH)CBr2NO2である、請求項1〜5に記載の組成物。
【請求項7】
臭素化ニトロアルカノールが、CH2(OH)CBrNO2CH2OH(2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール)である、請求項1〜6に記載の組成物。
【請求項8】
2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテートの、臭素化ニトロアルカノールに対する質量比が、約1000:1〜約1:1000である、請求項1〜7に記載の組成物。
【請求項9】
2−ハロ−2−(ハロメチル)グルタロニトリル化合物が、式II:
【化2】

(式中、Xが臭素または塩素である)
のものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
2−ハロ−2−(ハロメチル)グルタロニトリル化合物が、2−ブロモ−2−(ブロモメチル)グルタロニトリルである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテートの、ジハロメチルグルタロニトリルに対する質量比が、約100:1〜約1:100である、請求項1、および9〜10に記載の組成物。
【請求項12】
非ホルムアルデヒド放出性殺生物化合物が、2−フェノキシエタノールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテートの、2−フェノキシエタノールに対する質量比が、約100:1〜約1:100である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
界面活性剤、イオン性/非イオン性ポリマーおよびスケール、腐食防止剤、酸素捕捉剤または追加の殺生剤の1種以上を更に含む、請求項1〜13に記載の組成物。
【請求項15】
水性系または水を含有する系において微生物を制御する方法であって、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物で系を処理することを含む、方法。
【請求項16】
水性系または水を含有する系が、塗料およびコーティング、水性エマルション、ラテックス、接着剤、インク、顔料分散物、家庭用および工業用のクリーナー、洗剤、食器用洗剤、ミネラルスラリーポリマーエマルション、コーキングおよび接着剤、テープジョイントコンパウンド、殺菌剤、消毒剤、スピン仕上げ;金属作動流体、構造物、パーソナルケア製品、テキスタイル流体,例えばスピン仕上げ、工業プロセス水(例えば、油田水、パルプおよび紙の水、冷却水)、油田機能性流体,例えば掘削汚水および破砕流体、ならびに燃料から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
水性系または水を含有する系が、パーソナルケア、家庭用および工業用の製品、テキスタイル流体、ならびに塗料およびコーティングから選択される、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2012−521367(P2012−521367A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501109(P2012−501109)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/CN2009/071023
【国際公開番号】WO2010/108323
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】