説明

2,6−ナフチル単位とイソマンニトール単位とを含有する重合性キラル化合物、およびそのキラルドーパントとしての使用

本発明は、一般式(I)の化合物であって、式中、Wは、集合体(Y4−T2−)s(Y3−A2−)t2−Z2であり、Z1およびZ2は、本発明の説明においてより正確に定義するように、互いに独立して、非反応性基または重合を促進するための反応性基であり、A1およびA2は、本発明の説明においてより正確に定義するように、互いに独立してスペーサであり、Y1〜Y5は、本発明の説明においてより正確に定義するように、結合単位であり、Y6は、化学的単結合または−CO−であり、T1およびT2は、本発明の説明においてより正確に定義するように、互いに独立して、飽和もしくは不飽和の、場合によっては置換され、かつ場合によっては縮合された2価の同素環式基もしくは複素環式基であり、Qは、本発明の説明においてより正確に定義するように、置換基を示し、rおよびtは、互いに独立して0または1であり、sは、0、1、2、または3であり、qは、0、1、2、3、または4である化合物に関する。本発明は、さらに、少なくとも1つの式(I)の化合物を含む液晶組成物と、式(I)の化合物のキラルドーパントとしての使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式I
【化1】

[式中、
Wは、(Y4−T2−)s(Y3−A2−)t2−Z2部分であり、
1およびZ2は、それぞれ独立して、水素、炭素鎖がエーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、または非隣接イミノ基もしくはC1−C4−アルキルイミノ基によって中断されていてもよい、場合によっては置換されたC1−C20−アルキル、またはそれによって重合をもたらしうる反応性基であり、
1およびA2は、それぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有し、かつ炭素鎖がエーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、または非隣接イミノ基もしくはC1−C4−アルキルイミノ基によって中断されていてもよいスペーサであり、
1およびY2は、それぞれ独立して、化学的単結合、酸素、硫黄、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−、または−CO−NR−であり、
3は、s>0の場合、Y1およびY2とは無関係に、これらについて定義したとおりであるか、または−O−COO−であり、
s=0の場合、化学的単結合または−CO−であり、
4は、化学的単結合、酸素、硫黄、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−、または−CO−NR−であるが、ただしY4は、イソマンニトール単位の酸素原子と結合する場合、化学的単結合または−CO−であり、
5は、r=1の場合、化学的単結合、酸素、硫黄、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−、または−CO−NR−であり、
r=0の場合、化学的単結合または−CO−であり、
6は、化学的単結合または−CO−であり、
Rは、水素またはC1−C4−アルキルであり、
1およびT2は、それぞれ独立して、飽和もしくは不飽和の、場合によっては置換され、かつ場合によっては縮合された2価の同素環式基もしくは複素環式基であり、
Qは、ハロゲン、NO2、NO、CN、CHO、L1、CO−L1、X1−CO−L1、X1−SO−L1、X1−SO2−L1、X1−L1’、CO−X1−L1’、O−CO−X1−L1’、SO−X1−L1’、またはSO2−X1−L1’であり、このとき、
1は、C1−C20−アルキル、C2−C20−アルケニル、C2−C20−アルキニル、C6−C10−アリール、2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール、C6−C10−アリール−C1−C20−アルキル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルケニル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルキニル、それぞれヘテロアリール基中に2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール−C1−C20−アルキル、ヘテロアリール−C1−C20−アルケニル、もしくはヘテロアリール−C1−C20−アルキニルであり、このときC1−C20炭素鎖は、エーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、非隣接イミノ基、C1−C20−アルキルイミノ基、および/またはカルボニル基によって中断されていてもよく、またC6−C10−アリールおよびヘテロアリールの両方は、ハロゲン、NO2、NO、CN、CHO、L2、CO−L2、X2−CO−L2、X2−SO−L2、X2−SO2−L2、X2−L2’、CO−X2−L2’、O−CO−X2−L2’、SO−X2−L2’、およびSO2−X2−L2’からなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
1’は、水素、またはL1とは無関係に、L1について定義したとおりであり、
2は、C1−C20−アルキル、C2−C20−アルケニル、C2−C20−アルキニル、C6−C10−アリール、2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール、C6−C10−アリール−C1−C20−アルキル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルケニル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルキニル、それぞれヘテロアリール基中に2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール−C1−C20−アルキル、ヘテロアリール−C2−C20−アルケニル、もしくはヘテロアリール−C2−C20−アルキニルであり、
2’は、水素、またはL2とは無関係に、L2について定義したとおりであり、
1およびX2は、それぞれ独立して、酸素、硫黄、またはNL1’またはNL2’であり、
rおよびtは、それぞれ独立して0または1であり、
sは、0、1、2、または3であり、
このときs>1の場合、個々の置換基T2およびY4は、互いに同一であっても、または互いに異なっていてもよく、
qは、0、1、2、3、または4である]の化合物に関する。
【0002】
本発明は、さらに、少なくとも1つの本発明の化合物を含む液晶組成物と、本発明のキラル化合物のドーパントとしての使用とに関する。
【0003】
多くの化合物は、加熱したときに、分子の明確な短距離および長距離秩序を有する結晶状態から、液体(無秩序状態)に直接変換されず、分子は移動できるが分子軸は秩序構造を形成する液晶相を通過する。細長い分子は、分子の縦軸の平行配列による長距離配向を特徴とするネマチック液晶相をしばしば形成する。このようなネマチック相がキラル化合物またはキラル分子部分を含む場合、らせん状上部構造を特徴とするキラルネマチック相またはコレステリック相を形成しうる。
【0004】
液晶材料、特にネマチック材料、キラルネマチック材料、またはコレステリック材料は、それらの著しい光学特性により、光学的もしくは電気光学的応用例を含む応用例において関心が高い。しかし、多くの場合、液晶相が生じる温度範囲は、所望の適用温度外であるか、あるいは狭い温度範囲にしか及ばない。さらに、キラルネマチック相を確立するためには、ネマチックホスト層との非常に良好な相溶性を有し、十分に大きいねじれ、すなわち十分に大きい「らせんねじれ力」(「HTP」)をもたらすキラル化合物/ドーパントが必要とされる。
【0005】
液晶秩序構造を固体状態で固定しようとする場合、さまざまな可能性が考えられる。冷却過程における液晶状態からのガラス状固化だけでなく、ポリマーネットワークへの重合、あるいは液晶化合物および適切な場合にはドーパントが重合性基を含む場合、液晶化合物および適切な場合にはドーパント自体の重合が可能である。
【0006】
さらに、液晶材料の複屈折性が最大限であることがしばしば望ましい。この状況を考慮すると、2,6−ナフチル基を含む液晶材料はとりわけ有望であると考えられる。しかしながら、このような液晶材料の場合、所望の場合には、例えば十分な相幅を有するキラルネマチック相を確立することもできるように、適切なドーパントも使用できなければならない。
【0007】
イソマンニトール基を含むまたは含んでもよい重合性ドーパントは、例えば、国際出願第95/16007(A1)号、欧州特許第0 750 029(A2)号、およびドイツ特許第198 43 724(A1)号の文書によって開示されているが、冒頭に記載したような本発明の化合物は、これらの文書では言及されておらず、示唆もされていない。
【0008】
したがって本発明の目的は、比較的高いHTPを有し、液晶組成物の製造に適しており、さらにネマチックホスト相とキラルドーパントとの広い混合範囲において安定な組成物を形成し、それにより脱混合または相分離しにくいさらなるキラル化合物を提供することであった。
【0009】
その結果、冒頭に記載した式Iの化合物を発見した。
【0010】
式I中の置換基Z1およびZ2に関して、C1−C20炭素鎖がエーテル官能基中の酸素原子によって中断されていてもよいC1−C20−アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、ヘプト−3−イル、オクチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、3,5,5,7−テトラメチルノニル、イソトリデシル(上記の用語イソオクチル、イソノニル、イソデシル、およびイソトリデシルは慣用名であり、オキソ法によって得られるアルコールに由来する。これに関しては、Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie、第4版、第7巻、第215〜217頁、および第11巻、第435および436頁を参照)、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、メトキシメチル、2−エチルヘキソキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−プロポキシエチル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシエチル、2−もしくは3−メトキシプロピル、2−もしくは3−エトキシプロピル、2−もしくは3−プロポキシプロピル、2−もしくは3−ブトキシプロピル、2−もしくは4−メトキシブチル、2−もしくは4−エトキシブチル、2−もしくは4−プロポキシブチル、2−もしくは4−ブトキシブチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、4,8−ジオキサノニル、3,7−ジオキサオクチル、3,7−ジオキサノニル、4,7−ジオキサオクチル、4,7−ジオキサノニル、4,8−ジオキサデシル、3,6,8−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル、または3,6,9,12−テトラオキサテトラデシルであってよく、対応するC1−C20炭素鎖がチオエーテル官能基中の硫黄原子、非隣接イミノ基、C1−C20−アルキルイミノ基、および/またはカルボニル基によって中断されていてもよいC1−C20−アルキルは、酸素原子を硫黄原子、非隣接イミノ基、C1−C20−アルキルイミノ基、および/またはカルボニル基に置き換えることにより、一例として上記に挙げた酸素を含む基から形式的に誘導することができる。
【0011】
それによって重合をもたらしうる適切な反応性基Z1およびZ2は、例えば、
【化2】

であり、
重合は、ポリマーの分子量を増加させる全ての反応、すなわち連鎖反応としての付加重合、段階反応としての付加重合、および縮合重合を意味するものと理解される。
【0012】
一例として上記に示した反応性基の置換基R’は、水素、またはC1−C4−アルキル、すなわちメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、またはtert−ブチルであり、これらは同一であっても異なってもよい。
【0013】
シアネート基を有する化合物は、相当するシアヌレートに自発的に三量化されてもよく、またシアノ基を有する化合物は、特に酸、例えば塩酸、または塩基による触媒作用によって、相当するトリアジンに三量化されてもよい。エポキシド基、チイラン基、アジリジン基、イソシアネート基、およびイソチオシアネート基を有する化合物は、典型的には、重合のために相補的反応性基を有するさらなる化合物を必要とする。例えば、イソシアネートはアルコールと重合してウレタンを、アミンと重合して尿素誘導体を生じうる。この状況は、チイランおよびアジリジンの場合も同様である。相補的反応性基は、第1の化合物と混合される第2の本発明の化合物中に含まれていてもよく、あるいは2つ以上のこれらの相補的基を含む補助化合物によって、重合混合物中に導入することもできる。このような化合物がそれぞれこれらの反応性基のうちの2つを含む場合、主に熱可塑性の特性を有する線状ポリマーが形成される。化合物が2つ以上の反応性基を含む場合、機械的に特に安定な架橋されたポリマーが形成される。マレイミド基は、スチレンなどのオレフィン化合物との遊離ラジカル共重合に特に適している。
【0014】
本発明の化合物中の好適な反応性基Z1およびZ2は、
【化3】

からなる群から選択される。
【0015】
特に好適な反応性基Z1およびZ2は、
【化4】

である。
【0016】
本発明の化合物中の好適な反応性部分Z1−Y1およびZ2−Y2は、
【化5】

からなる群から選択される。
【0017】
これに関連して特に好適な反応性部分Z1−Y1およびZ2−Y2は、
【化6】

である。
【0018】
架橋部Y1〜Y5中に含まれる置換基Rは、水素に加えて、C1−C4−アルキル、すなわちメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、またはtert−ブチルでもある。
【0019】
有用なスペーサA1およびA2は、この目的で既知の全ての基である。スペーサは、1〜30個、好ましくは3〜12個の炭素原子を含み、主に直鎖状の脂肪族基からなる。これらは、鎖中で、例えば非隣接の酸素原子もしくは硫黄原子、またはイミノ基もしくはC1−C4−アルキルイミノ基、例えばメチルイミノ基によって中断されていてもよい。スペーサ鎖の可能な置換基には、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、およびエチルが含まれる。
【0020】
代表的なスペーサA1およびA2は、例えば、
【化7】

[式中、mは1〜3であり、pは1〜12である]である。
【0021】
1基およびT2基は、2価の飽和もしくは不飽和の同素環式基もしくは複素環式基である。これらは、1つの環からだけではなく、互いに縮合した複数の環からなっていてもよい。例えば、T1およびT2は、2価のキノリン基、デカリン基、またはナフタレン基も含む。
【0022】
好ましくは、式Iの化合物中のT1基およびT2基は、
【化8】

からなる群から選択された2価の基であり、
このとき基
【化9】

は、式Iにおける2,6−ナフチル基のQ置換基の特定の選択に関係なく、最大4個(q=0、1、2、3、または4)の同一のまたは異なる既に上記に示した一般的定義のQ置換基で置換されていてもよく、

【化10】

は、式Iにおける2,6−ナフチル基のQ置換基の特定の選択に関係なく、最大3個(q=0、1、2、または3)の同一のまたは異なる既に上記に示した一般的定義のQ置換基で置換されていてもよく、

【化11】

は、式Iにおける2,6−ナフチル基のQ置換基の特定の選択に関係なく、最大2個(q=0、1、または2)の同一のまたは異なる既に上記に示した一般的定義のQ置換基で置換されていてもよく、

【化12】

は、式Iにおける2,6−ナフチル基のQ置換基の特定の選択に関係なく、最大1個(q=0または1)の既に上記に示した一般的定義のQ置換基で置換されていてもよい。
【0023】
とりわけ、式Iの化合物中のT1基およびT2基は、
【化13】

からなる群から選択された2価の基であり、
このときこれらの基は、式Iにおける2,6−ナフチル基のQ置換基の特定の選択に関係なく、最大4個(q=0、1、2、3、または4)の同一のまたは異なる既に上記に示した一般的定義のQ置換基で置換されていてもよい。
【0024】
1−C20炭素鎖がエーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、非隣接イミノ基、C1−C20−アルキルイミノ基、および/またはカルボニル基によって中断されていてもよいC1−C20−アルキルとして定義される場合の置換基Qの定義中に含まれる置換基L1およびL1’の例、ならびにC1−C20−アルキルとして定義される場合の置換基L2およびL2’の例は、置換基Z1およびZ2について一例として既に上記に挙げたものである。
【0025】
2−C20炭素鎖がエーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、非隣接イミノ基、C1−C20−アルキルイミノ基、および/またはカルボニル基によって中断されていてもよいC2−C20−アルケニルとして定義される場合の置換基Qの定義中に含まれる置換基L1およびL1’の例、ならびにC2−C20−アルケニルとして定義される場合の置換基L2およびL2’の例は、特にC2−C20−アルキ−1−エニル基である。これらの基は、置換基Z1およびZ2について一例として上記に挙げた適切な基から、隣接する炭素原子上に位置する2個の水素原子を別の1個の炭素‐炭素結合に形式的に置き換えることによって誘導することができる。
【0026】
2−C20炭素鎖がエーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、非隣接イミノ基、C1−C20−アルキルイミノ基、および/またはカルボニル基によって中断されていてもよいC2−C20−アルキニルとして定義される場合の置換基Qの定義中に含まれる置換基L1およびL1’の例、ならびにC2−C20−アルキニルとして定義される場合の置換基L2およびL2’の例は、特にC2−C20−アルキ−1−イニル基である。これらの基は、置換基Z1およびZ2について一例として上記に挙げた適切な基から、隣接する炭素原子上に位置する4個の水素原子を別の2個の炭素‐炭素結合に形式的に置き換えることによって誘導することができる。
【0027】
1−C20炭素鎖が、エーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、非隣接イミノ基、C1−C20−アルキルイミノ基、および/またはカルボニル基によって中断されていてもよい、C6−C10−アリール−C1−C20−アルキル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルケニル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルキニル、それぞれヘテロアリール基中に2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール−C1−C20−アルキル、ヘテロアリール−C2−C20−アルケニル、およびヘテロアリール−C2−C20−アルキニルとして定義される場合の置換基Qの定義中に含まれる置換基L1およびL1’の例、ならびにC6−C10−アリール−C1−C20−アルキル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルケニル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルキニル、それぞれヘテロアリール基中に2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール−C1−C20−アルキル、ヘテロアリール−C2−C20−アルケニル、およびヘテロアリール−C2−C20−アルキニルの定義における置換基L2およびL2’の例は、特に置換基Z1およびZ2について一例として上記に挙げた基から、末端水素原子を2〜12個の炭素原子を有するC6−C10−アリールまたはヘテロアリールに形式的に置き換えることによって誘導することができる基である。
【0028】
置換基Qの定義中に含まれる置換基L1およびL1’ならびにL2およびL2’に関しては、C6−C10−アリールは、特にフェニルおよびナフチルである。
【0029】
置換基Qの定義中に含まれる置換基L1およびL1’ならびにL2およびL2’に関しては、2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリールは、例えばピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、1H−アゼピン、2H−アゼピン、オキサゾール、チアゾール、1,2,3−、1,2,4−、もしくは1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−、1,2,4−、もしくは1,3,4−チアジアゾール、ならびに適切な場合にはベンゾ縮合環またはジベンゾ縮合環、例えばキノリン、イソキノリン、インドール、ベンゾ[b]フラン(クマロン)、ベンゾ[b]チオフェン(チオナフテン)、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、1H−インダゾール、インドキサゾール、ベンゾ[d]イソチアゾール、アントラニル、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、またはフェナジンに由来する基を含む。
【0030】
置換基Qの定義中に含まれる置換基L1およびL1’の場合、2〜12個の炭素原子を有するC6−C10−アリールもしくはヘテロアリールは、1つ以上の置換基のハロゲン、NO2、NO、CN、CHO、L2、CO−L2、X2−CO−L2、X2−SOL2、X2−SO2−L2、X2−L2’、CO−X2−L2’、O−CO−X2−L2’;SO−X2−L2’、およびSO2−X2−L2’で置換されていてもよい。
【0031】
置換基Qの定義中に含まれるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、特にフッ素または塩素である。
【0032】
置換基Qの定義中に含まれる置換基X1およびX2は、それぞれ独立して、酸素、硫黄、またはNL1’もしくはNL2’である。
【0033】
また、式Iの置換基Wにおける(Y4−T2−)sが式Ia
【化14】

[式中、
Q’は、式Iにおける2,6−ナフチル基のQ置換基の特定の選択に関係なく、同一のまたは異なる既に上記に示した一般的定義のQ置換基であり、
q’は、0、1、2、3、または4であり、
s’は、0、1、または2であり、
このとき置換基Y4およびT2は、既に上記で述べたものと同様の定義を有し、s’>0の場合の置換基Y4およびs’>1の場合の置換基T2は、互いに同一であっても、または互いに異なってもよい]の部分に相当する化合物も好適である。
【0034】
したがって、これらの好適な化合物において、置換基Wは、下記に示す式Ib:
【化15】

に相当し、
すなわち、この種の好適な本発明の化合物は、下記に示す式Ic:
【化16】

[式中、G1およびG2は、それぞれZ1−Y1−A1−O−COO−部分および−(Y3−A2−)t2−Z2部分を表わす]に相当する。
【0035】
上記の好適な形態を考慮すると、特に好適なものは、式Iの化合物および上記に示した式Icの化合物[式中、tが1の値をとり、かつY3が、‐O‐COO‐基に相当する]である。
【0036】
上記の好適な形態を考慮すると、式Icの化合物は:
【化17】

[式中、G1およびG2’は、それぞれZ1−Y1−A1−O−COO−部分および−OOC−O−A2−Y2−Z2部分であり、uおよびu’は、それぞれ独立して0または1であり、Arは、独立して、場合によってはQ置換基で置換された2価の1,4−フェニレン基または2価の2,6−ナフチル基に相当し、QおよびQ’ならびにqおよびq’は、それぞれ上記に定義したとおりである]である。
【0037】
この例には、化合物
【化18】

[式中、G1およびG2’は、それぞれZ1−Y1−A1−O−COO−および−OOC−O−A2−Y2−Z2である]が含まれる。
【0038】
上記の好適な形態を考慮すると、さらなる好適な化合物において、tは1の値をとり、Z1−Y1−A1−部分および−A2−Y2−Z2部分は同一である。
【0039】
上記の好適な形態を考慮すると、Z1基およびZ2基のうちの少なくとも1つが反応性基である、式Iの化合物およびIcの化合物は特に好適である。
【0040】
このとき、上記の好適な形態を考慮すると、反応性のZ1基およびZ2基のうちの少なくとも1つが、
【化19】

である化合物が好ましい。
【0041】
さらに、上記の好適な形態を考慮すると、Z1−Y1およびZ2−Y2が、同一の反応性部分
【化20】

である化合物も好適である。
【0042】
このとき、上記の好適な形態を考慮すると、化合物
【化21】

[式中、G1およびG2が、それぞれH2C=CH−COO−A1−O−COO−および−OOC−O−A2−OOC−CH=CH2であるか、あるいはそれぞれH2C=C(CH3)−COO−A1−O−COO−および−OOC−O−A2−OOC−C(CH3)=CH2である]が特に挙げられる。
【0043】
本発明は、少なくとも1つの式Iの化合物および前述の好適な形態を含む液晶組成物をさらに提供する。
【0044】
本発明の液晶組成物は、本質的に、非重合性かあるいは重合可能かのいずれであってもよい。
【0045】
重合可能あるいは非重合性の本発明の液晶組成物は、非常に一般的には、その1つ以上の成分自体が既に(対象温度範囲で)液晶特性を有する組成物を単に意味するだけではないと理解されるべきであり、その代わり、これは構成成分を混合することによって、あるいは単に本発明の化合物(例えばリオトロピック系)を添加することによって、はじめて液晶挙動を有する組成物も意味すると理解されるべきである。さらに、本発明の式Iの化合物およびそれらの好適な実施形態は、すでにそられ自体が液晶挙動を有してもよいが、この特性を必ずしも有する必要はない。
【0046】
非重合性の本発明の組成物は、具体的には、常用の重合条件下で、自立した重合生成物もしくは縮合生成物を形成することができない組成物である。この組成物は、例えば、適切な市販の液晶材料、例えばディスプレイ技術におけるアクティブLC層に使用される液晶材料と、1つ以上の本発明の式Iの化合物またはそれらの好適な実施形態とを混合することによって製造することができる。後者が1個または2個の反応性基Z1およびZ2を含む化合物である場合、それらは、本発明の組成物中に、相応して密に架橋された自立した重合生成物もしくは縮合生成物を生成するには不十分な濃度で含まれる。
【0047】
重合性の本発明の組成物は、具体的には、成分のうちの少なくとも1つが、常用の重合条件下で、重合生成物または縮合生成物を形成することができる組成物、およびそれ自体が重合可能であり、重合または縮合して自立した生成物を形成することができる組成物である。
【0048】
重合性の液晶組成物の成分中の反応性基の数によって、重合または縮合の完了時に所望の重合度、架橋度、および/または縮合度を達成することができる。この組成物は、適切な材料を1つ以上の本発明の化合物と混合することによって、容易に製造することができる。これらの材料は、それ自体が重合可能または非重合性であり、液晶性または非液晶性である。
【0049】
適切な重合性液晶材料は、例えば、国際出願第95/22586(A1)号、第95/24454(A1)号、第95/24455(A1)号、第96/04351(A1)号、第96/24647(A1)号、第97/00600(A2)号、第97/34862(A1)号、第98/47979(A1)号、および第2006/120220(A1)号の文書、さらに欧州特許第1 134 270(A1)号、およびドイツ特許第198 35 730(A1)号の文書に記載されている化合物であり、概略構造P−Y−A−Y−M−Y−A−Y−P(式中、置換基P、Y、およびAは、式Iにおける置換基Z1およびZ2、Y1、Y2、Y3、ならびにA1およびA2と同様に定義され、Mはメソゲン単位を示し、メソゲンM単位と結合する連結Y基は、本出願の式I中の−O−COO−基に指定される)に実質的に相当する。
【0050】
ドイツ特許第100 25 782(A1)号の文書において、文中に記載されている液晶物質混合物の構成成分B)として挙げられている反応性化合物は、さらなるモノマーとして本発明の液晶組成物に添加してもよい。これらの通常はそれ自体安価な化合物は、一般に液晶挙動を示さないが、これらを添加することによって、液晶挙動に著しい影響を与えることなく、本発明の組成物中の高価な成分の比率を低下させる可能性が広がる。さらに、このような反応性モノマーを利用すると、組成物の特性、例えば架橋度、粘度、弾性などを制御された形で調節することが可能である。適切な反応性モノマーの選択は、適切な場合には予備試験の実施後、当業者によって容易に行なうことができる。ここで留意すべきことは、このような反応性化合物が、上記に記載した意味で(補助)化合物としての機能も果たしうることである。
【0051】
ネマチック化合物と本発明の化合物とを混合すると、特定の光学的特性、例えば視野角に依存する色彩効果、スペクトル領域のIRもしくはUV波長域での反射などを有する、キラルネマチックもしくはコレステリックの本発明の組成物が得られる。
【0052】
また、本発明の液晶化合物は、さらなる添加剤を含んでいてもよい。有用なこのような添加剤には、光開始剤、希釈剤、増粘剤、消泡剤および脱気剤、潤滑助剤およびレベリング助剤、熱硬化助剤もしくは放射線硬化助剤、基板湿潤助剤、湿潤助剤および分散助剤、疎水化剤、接着促進剤および耐引掻性を改善するための助剤、染料および顔料、ならびに光安定剤、熱安定剤、および/または酸化安定剤の群から選択される添加剤が含まれる。これらの添加剤の化学的性質および物理的性質は、国際出願第00/47694(A1)の文書において詳細に記載されている。
【0053】
重合性の本発明の液晶組成物をオリゴマー化または重合することによって、オリゴマーまたはポリマーを製造することが可能であるが、これはとりわけ膜の形態、すなわち均一な厚みの自立した層の形態でも得ることができる。この膜は、適切な手段によって容易に除去し、永久的に配置するために別の基板に移動することができるような基板上に配置することができる。このようなフィルムは、例えば、フィルムコーティングの分野、および積層法において使用することができる。
【0054】
さらに、その特性が特定の最終用途に適合されたこのようなフィルムは、さまざまな分野で使用することができる。例えば、これらは視覚情報を表示する装置において使用することができる。このような装置は、例えば、ビデオプロジェクタもしくはオーバーヘッドプロジェクタ、電気泳動表示装置、交通表示機、コンピュータモニタに使用するLCD、テレビ、プリンタもしくは台所用電気製品の視覚表示装置、ならびに広告パネル、電飾、および情報パネル、さらに携帯型視覚表示装置、例えば携帯電話、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、自動車の視覚表示装置、およびバスまたは電車上の目的地表示機である。これらのフィルムは、このような装置において、さまざまな機能で含まれてよく、例えば波長選択的光もしくは広帯域偏光を発生させるためのカラーフィルタもしくはフィルムとして含まれていてよい。
【0055】
さらに、本発明の重合性液晶組成物を用いて、この組成物を基板に塗布し、続いてそれを重合することによって、基板をコーティングまたは印刷することも可能である。
【0056】
液晶材料で基板を印刷またはコーティングするための手順に関しては、国際出願第96/02597(A2)号の文書を必要な変更を加えて参考にする。さらに、そのような手順を用いて製造された、元の基板表面を部分的または完全に被覆する重合層も基板とみなすべきであり、したがって多重印刷および/またはコーティングされた基板の製造も可能である。
【0057】
ここでさらに留意すべきことは、「印刷」とは、典型的には基板表面の不完全な被覆を意味し、「コーティング」とは、基板表面の完全な被覆を意味すると理解されることである。
【0058】
紙および厚紙製品以外の有用な基板、例えば手提げ袋、雑誌、パンフレット、消費者向け商品用、消耗品用、および高級品用の贈答用包装資材および包装資材のための基板には、さらにフィルム、例えば装飾的もしくは非装飾的包装のためのフィルム、さらに各種の繊維製品および皮革がある。さらに、有用な基板には、銀行券、有価証券、入場券などを作製するために使用する材料もある。
【0059】
さらなる基板は、(娯楽)電子機器、例えば音楽カセット(MC)、SVHSおよびVHSカセット、ミニディスク(MD)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、および対応する再生および/または記録装置、テレビ、ラジオ、電話/携帯電話、コンピュータなどのためのもの、またレジャー、スポーツ、家庭、およびゲーム部門のもの、例えば自転車、子供用の乗り物、スキー、スノーボードおよびサーフボード、ならびにインラインスケート、ローラースケート、およびアイススケート、さらに家庭用電気製品である。さらに、このような基板は、例えば筆記具および眼鏡フレームも意味すると理解されるべきである。
【0060】
さらなる基板には、光学部品または電気光学部品中に、あるいはそれらの製造に使用されるさまざまなフィルムもある。そのようなフィルムは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリイミド(PI)、ポリケイ皮酸ビニル(PVC)、またはポリオレフィン、例えばポリノルボルネンからなり、例えば、(広帯域)偏光子、LCDにおける背面照明用の導光素子(いわゆる「光導体」)、配光のためのフィルム(いわゆる「BEF」、すなわち「輝度上昇フィルム」)、およびLCDにおいて偏光を発生させるためのフィルム(いわゆる「DBEF」、すなわち「二重輝度上昇フィルム」)であってよい。これに関連して、さらなる基板は、LCDの一定の構造群、例えばガラス板またはポリマー板であってもよく、これらは適切な場合には、透明の導電性コーティング、例えば酸化インジウムスズ(ITO)を有してもよい。
【0061】
光導体またはBEFは、例えば、本発明の重合性キラルネマチック組成物を用いて適当な基板をコーティングし、その後それを重合することによって製造することができる。コーティング作業を、事実上しばしば、同一のまたは異なる組成の本発明の組成物を用いて繰り返し、それにより相当する光学部品、例えば位相差フィルム、(広帯域)偏光子、および光学フィルタが得られる。これによって、相応してよりコンパクトな構造の光学部品をLCD中に作製することができる。
【0062】
本発明は、光学部品を製造するための、本発明の液晶組成物または本発明のオリゴマーもしくはポリマーの使用をさらに提供する。これらの例には、LCDおよびその部品、例えば(広帯域)偏光子、光学フィルタ、位相差フィルム、およびBEFがある。
【0063】
重合性液晶材料に基づくそのような部品の製造に関しては、例えば国際出願第00/37585(A1)号の文書を必要な変更を加えて参考にする。
【0064】
(広帯域)偏光子を製造するための本発明の重合性キラルネマチック組成物の使用に関しては、例えば、米国特許第6,421,107号、米国特許第6,417,902号、米国特許第6,061,108号、米国特許第6,099,758号、米国特許第6,016,177号、米国特許第5,948,831号、米国特許第5,793,456号、米国特許第5,691,789号、および米国特許第5,506,704号の文書を必要な変更を加えて参考にする。
【0065】
また、本発明の液晶組成物は、ポリマー分散液晶(PDLC)中の分散液晶相としても使用することができる。このようなPDLCは、原則的に、等方性のポリマーマトリクスと巨視的等方性および異方性の両分散液晶相を有するか、あるいは異方性のポリマーマトリクスと巨視的等方性および異方性の両分散液晶相を有してよく、この巨視的等方相は、微視的異方性領域のランダム分布からもたらされる。
【0066】
一般的に、このようなPDLCは、(一般に光学的異方性の)ポリマーフィルムから出発して製造されるが、このポリマーフィルム中には、液晶相が、典型的にはマイクロメートルまたはマイクロメートル以下のサイズ範囲の微細含有物の形態で、均一に分散されて存在する。ポリマーフィルムの延伸は、ポリマーマトリクスおよび分散相の双方に、異方性の光学的挙動を強いる。本発明の重合性液晶組成物を使用する場合、分散相の異方性状態は重合によって固定され、したがって例えば著しく優れた熱/熱サイクリング安定性を達成することができる。ここで使用するポリマーマトリクスは、通常はポリビニルアルコールである。
【0067】
さらに、本発明の重合性キラルネマチック組成物は、例えば、米国特許第5,235,443号および米国特許第5,050,966の文書に記載されているような光学部品を製造するためにも使用することができる。
【0068】
さらに可能な基板には、建築分野で見られる表面、例えば建物の壁あるいは窓ガラスなどもある。窓ガラスの場合、装飾的効果に加え、機能的効果も望まれるであろう。したがって、個々の層が異なる化学的特性および物理的特性を有する複数の層を窓材上に得ることが可能である。例えば本発明のキラル化合物および相当する光学対掌体を使用して、逆方向のねじれを有する重合された液晶組成物の個々の層を適用する場合、あるいは、さまざまな濃度の本発明のキラル化合物の添加によって、同じ向きの回転であるがそれぞれ異なるピッチであり、したがって異なる反射特性の重合された液晶組成物の個々の層を適用する場合、制御された形で、光スペクトルの一定の波長または波長領域を反射することが可能である。このようにして、例えばIR反射性もしくはUV反射性の窓コーティングが可能である。
【0069】
したがって、重合性の本発明の液晶組成物、またはそれから得ることができるオリゴマーもしくはポリマーを使用して、750nmを上回る赤外波長領域、とりわけ751nm〜約2000nmの波長領域において、入射光の少なくとも40%、とりわけ少なくとも45%を反射する1つ以上のコレステリック層を含む断熱コーティングを製造することができる。
【0070】
重合性の本発明の液晶組成物のこの態様について、特に断熱コーティングに関しては、国際出願第99/19267(A1)号の文書も必要な変更を加えて参考にする。
【0071】
本発明の液晶組成物は、さらに、液晶着色剤としても、または液晶着色剤を製造するためにも使用することができる。着色剤としての使用は、組成物がすでにそれ自体着色されている場合に可能である。この色は、含まれるキラルネマチック相の干渉作用、および/または含まれる染料および/または顔料の吸収作用に基づいていてよい。さらに、組成物は、着色されているかどうかに関わらず、着色剤の製造にも使用することができる。液晶着色剤の製造、および基板を印刷またはコーティングするためのその使用に関しては、国際出願第96/02597(A2)号の文書を必要な変更を加えて参考にする。
【0072】
本発明の組成物は、さらに、好ましくは水をベースとする分散液およびエマルジョンの製造にも使用することができる。液晶材料を用いたこのような分散液およびエマルジョンの製造については、これに関連して国際出願第96/02597(A2)号および国際出願第98/47979(A1)号の文書を参考にする。また、このような分散液およびエマルジョンは、一例として上記にすでに記載したように、基板の印刷およびコーティングにも使用することができる。
【0073】
本発明の組成物は、さらに、顔料の製造にも使用することができる。このような顔料の製造は公知であり、例えば国際出願第99/11733(A1)号の文書において包括的に記載されている。さらに、形状およびサイズを予め調節した顔料を、印刷技術を使用して、または隙間に重合性組成物が配置されたネットワークを用いて製造することができる。それに続く液晶組成物の重合または縮合のあと、この場合、基板またはネットワークからの除去または浸出が行なわれる。これらの手順は、国際出願第96/02597(A1)号、国際出願第97/27251(A1)号、国際出願第97/27252(A1)号の文書、および欧州特許第0 931 110(A1)号の文書において詳細に記載されている。
【0074】
これらの顔料は、単層を有しても、あるいは多層構造を有してもよい。多層構造を有する顔料は、典型的には、連続して順に重ねられた複数の層を得て、最終的に機械粉砕するコーティング法を用いる場合にのみ製造可能である。
【0075】
前述の本発明の液晶組成物の液晶着色剤としての使用または液晶着色剤を製造するための使用については、分散液およびエマルジョンの製造において、また顔料の製造において、重合性組成物を使用することが好ましい。
【0076】
実施例:
1)合成単位:
1.1)6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸
【化22】

を国際出願第2006/120220(A1)号(第30頁、「A」)に従って製造した。
【0077】
1.2)化合物(1)
【化23】

の製造
175.4g(1.2mol)のイソマンニトールと138.1g(1.0mol)の4−ヒドロキシ安息香酸とを、8.2g(0.04mol)のp−トルエンスルホン酸一水和物を加えた500mlのキシレンとともに初期装填し、140℃まで加熱した。形成された反応水をこの混合物から分離した。次に、1:1の水/メタノール1Lをゆっくりと添加することによって、反応混合物からキシレンを除去した。これにより、約320mlの水/メタノール混合物も分離した。水分離が完了すると、さらに1000mlの水を添加し、この混合物を室温で一晩攪拌した。下記に示す化合物(2)を副生成物として含む茶色の固体が反応溶液から析出し、これを吸引濾別した。所望の生成物は濾液中に含まれ、これを濃縮して一晩放置した。黄色がかった固体が析出し、これを濾別して、熱水に溶解し、シリカゲルを通して濾過し、減圧下、60℃で一晩乾燥させた。68.3gの上記の化合物(1)を得た。
【0078】
1.3)化合物(2)
【化24】

の製造
131.5g(0.9mol)のイソマンニトールと273.5g(1.98mol)の4−ヒドロキシ安息香酸とを、400gのトルエン中に初期装填し、85℃まで加熱した。この温度で、3.9g(0.039mol)の98%硫酸を添加した。次に、この混合物をさらに加熱して還流させ、形成した反応水を分離した。水分離後、162mlの水に溶解した10.2gの炭酸ナトリウムを計量供給し、この混合物をさらに10分間攪拌した。その後、400mlの熱水をゆっくりと添加することによって、溶媒を水に交換した。交換が完了すると、90℃から開始して、400mlのn−プロパノールを添加した。その後、この混合物を室温まで冷却した。砂色の固体が反応溶液から析出した。これを吸引濾別し、300mlの水で洗浄し、乾燥させた。201.5g(58%)の上記の化合物(2)を得た。
【0079】
1.4)化合物(3)
【化25】

の製造
化合物(3)を化合物(1)と同じように製造した。ただし、4−ヒドロキシ安息香酸の代わりに、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を使用した。
【0080】
1.5)化合物(4)
【化26】

の製造
7.3g(50mmol)のイソマンニトールと18.5g(110mmol)の4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸とを90gのトルエン中に初期装填し、100℃まで加熱した。この温度で、0.12mlの濃硫酸を添加した。次に、この混合物をさらに加熱して還流させ、形成した反応水を濾別した。水分離後、125℃で45mlのメタノールを計量供給し、この混合物をさらに10分間攪拌した。その後、9.1mlの水に溶解した0.57gの炭酸ナトリウムを計量供給し、この混合物をさらに30分間攪拌した。その後、新たに33mlのメタノールと50mlの水とを添加し、この混合物をさらに30分間攪拌した。この反応溶液を再び65℃まで加熱し、シリカゲルを通して濾過した。濾液を4gの活性炭と混合し、還流下で1時間煮沸し、高温濾過した。濾液を濃縮し、200mlの水中で析出させ、一晩乾燥させた。この生成物を吸引濾別し、減圧下で一晩乾燥させたあと、5.7g(26%)の所望の化合物を得た。
【0081】
1.6)化合物(5)
【化27】

の製造
44.7g(0.3mol)のイソマンニトールと130.8g(0.66mol)の4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息香酸(シリンガ酸)を536.7gのキシレン中に初期装填し、100℃まで加熱した。この温度で、0.73mlの濃硫酸を添加した。次に、この混合物をさらに加熱して還流させ、形成した反応水を濾別した。水分離後、125℃で271.5mlのメタノールを計量供給し、この混合物をさらに10分間攪拌した。その後、54.3mlの水に溶解した3.4gの炭酸ナトリウムを計量供給し、この混合物をさらに30分間攪拌した。次に、149.3gのメタノールと299mlの水とを添加し、この混合物をさらに30分間攪拌した。次にこの混合物を室温で一晩放置した。生成物が析出した。これを吸引濾別した。濾別した物質を65℃で1000mlのメタノールに溶解し、シリカゲルを通して濾過した。濾液を4gの活性炭と混合し、還流下で2時間煮沸し、高温濾過した。固体が濾液から析出した。これを吸引濾別し、減圧下で乾燥させたあと、54.5g(36%)の所望の化合物を得た。
【0082】
1.7)化合物(6)
【化28】

の製造
7.4g(20mmol)の6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸を30mlの塩化オキサリル中で、7mgのKerobit BHTと4滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を40mlのエチレングリコールジメチルエーテルに溶解し、37.6g(200mmol)の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸と、8.6g(66mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、250mlのN,N−ジメチルアセトアミドとからなる溶液に0〜5℃で滴加した。この混合物を0〜5℃でさらに1時間、室温で週末中攪拌した。次に混合物を1Lの水中で析出させた。得られた析出物を250mlのメタノール中で攪拌し、吸引濾別し、乾燥させた。6.7g(62%)の所望の化合物を得た。
【0083】
2)本発明の化合物
本発明の化合物と下記に示す式:
【化29】

(製造は国際出願第97/00600(A2)号、第29/30頁、実施例6を参照)
のネマチック化合物との混合物のHTP値をCano法で測定した。
【0084】
2.1)化合物
【化30】

の製造
12.2g(33mmol)の6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸を75mlの塩化オキサリル中で、10mgのKerobit BHTと5滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を65mlのエチレングリコールジメチルエーテルに溶解し、2.2g(15mmol)のイソマンニトールと、9.0g(71mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、50mlのN,N−ジメチルアセトアミドとからなる溶液に、0〜5℃で滴加してから、0〜5℃でさらに30分間攪拌した。次にこの反応混合物を40℃で3時間攪拌した。この混合物を一晩で室温まで冷却した。翌朝、この混合物を400gの氷/水と15mlの濃塩酸の中で析出させ、3時間攪拌し、その後吸引濾過した。得られた濾別した物質を400mlのメタノール中で攪拌し、さらに4時間攪拌してから、カラムクロマトグラフィー(SiO2、1:1の石油エーテル/酢酸エチル)によって精製した。0.9g(<10%)の所望の化合物を得た。
【0085】
2.2)化合物
【化31】

の製造
21.0g(57mmol)の6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸と21mgの4−メトキシフェノールとを、31.5mgのエチレングリコールジメチルエーテル中に初期装填し、45℃で溶解した。次に、0.14gのDMFを添加し、7.6g(59mmol)の塩化オキサリルを最大温度50℃で滴加した。攪拌を45〜50℃で2時間継続したあと、9.7g(25mmol)の化合物(2)と、2mgの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ヒドロキシ−TEMPO)と、15.2g(119mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(31.5gのN,N−ジメチルアセトアミド中)とからなる溶液に、調製した酸塩化物を0〜2℃で滴加した。この混合物を0℃でさらに1時間攪拌したあと、40℃まで加熱し、この温度で3時間攪拌した。室温まで冷却したあと、11.8ml(74mmol)の20%塩酸と150mlのメタノールとを添加し、この混合物をさらに4時間攪拌した。析出した生成物を吸引濾別し、100mlの水で洗浄し、乾燥させた。24.5g(92%)の所望の生成物を得た。
HTP=34μm-1
【0086】
2.3)化合物
【化32】

の混合物の製造
13.8g(37mmol)の6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸と11.8g(37mmol)の4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルオキシ)安息香酸(国際出願第97/00600(A2)号に従って製造)との混合物を160mlの塩化オキサリル中で、24mgのKerobit BHTと11滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を100mlの塩化メチレンに溶解し、4.7g(32mmol)のイソマンニトールと、19g(150mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、100mlの塩化メチレンとからなる溶液に0〜5℃で滴加した。この混合物を0〜5℃で30分間、室温で一晩攪拌した。次にこの反応混合物を40℃で5時間攪拌した。室温まで冷却したあと、この溶液をまず酸性水(pH3)で、次に水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、部分的に濃縮した。残った濃縮溶液を100mlのメタノールとともに濾過し、一晩攪拌した。得られた生成物を吸引濾別してから、再び1:1のメタノール/水150ml中で攪拌し、その後濾過した。濾別した物質を100mlの塩化メチレンに溶解し、10gのシリカゲルと混合し、短時間攪拌したあと濾過した。濾液を半量まで濃縮し、150mlのn−ヘキサンで析出させ、一晩攪拌した。この生成物を吸引濾別し、減圧下、40℃で一晩乾燥させた。3.4g(14%)の所望の化合物を得た。
【0087】
2.4)化合物
【化33】

の製造
17.0g(46mmol)の6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸を65mlの塩化オキサリル中で、15mgのヒドロキシ−TEMPOと9滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を90mlの塩化メチレンに溶解し、5.3g(20mmol)の化合物(1)と、11.7g(90mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、90mlの塩化メチレンとからなる溶液に0〜5℃で滴加した。この混合物を0〜5℃で30分間、室温で一晩攪拌した。次にこの反応混合物を40℃で6.5時間攪拌した。室温まで冷却したあと、この溶液をまず200mlの酸性水(pH3)で、次に200mlの水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。300mlのメタノールを添加することによって、濾液を結晶化した。この混合物を一晩攪拌し、翌朝吸引濾過した。精製するために、濾別した物質を塩化メチレンに溶解し、シリカゲルを通して濾過してから濃縮した。残りの残留物を少量のn−ヘキサンと混合し、メタノールで析出させ、一晩攪拌した。得られた生成物を吸引濾別し、減圧下、40℃で一晩乾燥させた。0.7g(4%)の所望の化合物を得た。
HTP=35μm-1
【0088】
2.5)化合物
【化34】

の製造
合成を2段階で実施した。
【0089】
第1段階:
4.8g(15mmol)の4(4−アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルオキシ)安息香酸を35mlの塩化オキサリル中で、5mgのヒドロキシ−TEMPOと3滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を45mlの塩化メチレンに溶解し、4.4g(17mmol)の化合物(1)と、6.4g(50mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、45mlの塩化メチレンとからなる溶液に0〜5℃で滴加してから、この混合物を0〜5℃で1.5時間攪拌した。この混合物をまず125mlの弱酸性水(pH5)で、次に125mlの水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、シリカゲルを通して濾過した。濾液をフラスコに移し、再び0〜5℃まで冷却した。
【0090】
第2段階:
7.4g(20mmol)の6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸を30mlの塩化オキサリル中で、7mgのヒドロキシ−TEMPOと4滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を40mlの塩化メチレンに溶解し、既に調製した第1段階の濾液に0〜5℃で滴加し、9.0g(70mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと混合した。この混合物を0〜5℃で1時間攪拌し、室温で一晩攪拌した。この混合物をまず125mlの弱酸性水(pH5)で、次に125mlの水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、シリカゲルを通して濾過した。濾液を100mlのメタノールで析出させた。得られた生成物を吸引濾別し、乾燥させた。1.4g(10%)の所望の化合物を得た。
HTP=32μm-1
【0091】
2.6)化合物
【化35】

の混合物の製造
17.0g(46mmol)の6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸を90mlの塩化オキサリル中で、20mgのKerobit BHTと9滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を90mlの塩化メチレンに溶解し、3.9g(10mmol)の化合物(2)と、2.7g(10mmol)の化合物(1)と、11.5g(90mmol)のN.N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、90mlの塩化メチレンとからなる溶液に0〜5℃で滴加し、続いて0〜5℃で30分間、室温で一晩攪拌した。次にこの反応混合物を40℃で5時間攪拌したあと、シリカゲルを通して濾過し、450mlのメタノールで析出させた。この混合物を室温で週末中攪拌した。得られた生成物を吸引濾別した。これを100mlの塩化メチレンに溶解し、200mlのメタノールで再析出させて精製を行なった。2時間後、生成物を吸引濾別し、その後再び水に加えて攪拌し、再び吸引濾別した。減圧下、40℃で一晩乾燥させたあと、9.1gの所望の混合物を得た。
HTP=30μm-1
【0092】
2.7)化合物
【化36】

の製造
合成を2段階で実施した。
【0093】
第1段階:
2.9g(9mmol)の4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルオキシ)安息香酸を20mlの塩化オキサリル中で、3mgのKerobit BHTと2滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を26mlの塩化メチレンに溶解し、3.2g(10mmol)の化合物(3)と、3.7g(29mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、26mlの塩化メチレンとからなる溶液に0〜5℃で滴加し、その後0〜5℃で2時間攪拌した。
【0094】
第2段階:
5.8g(18mmol)の4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルオキシ)安息香酸を40mlの塩化オキサリル中で、6mgのKerobit BHTと4滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を52mlの塩化メチレンに溶解し、既に調製した第1段階の溶液に0〜5℃で滴加し、7.7g(60mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと混合した。この混合物を0〜5℃で1時間、室温で一晩攪拌した。次にこの混合物を40℃まで加熱し、この温度で5時間攪拌した。次に、この混合物をまず250mlの弱酸性水(pH5)で、次に250mlの水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、シリカゲルを通して濾過した。濾液を部分的に濃縮してから、150mlのメタノールで析出させた。この生成物を室温でさらに1時間攪拌してから吸引濾別し、乾燥させた。1.8g(9%)の所望の化合物を得た。
HTP=31μm-1
【0095】
2.8)化合物
【化37】

の製造
11.1g(31mmol)の6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸を45mlの塩化オキサリル中で、150mgのヒドロキシ−TEMPOと5滴のTMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を45mlの塩化メチレンに溶解し、6.5g(15mmol)の化合物(4)と、4.9g(39mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、45mlの塩化メチレンとからなる溶液に0〜5℃で滴加した。この混合物を0〜5℃で2時間、続いて室温で一晩攪拌した。次にこの反応混合物を40℃で6時間、室温で週末中攪拌した。次にこの溶液をまず500mlの酸性水(pH3)で、次に500mlの水で洗浄した。有機相を30gの硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮した状態で、カラムクロマトグラフィー(SiO2;3:1のトルエン/酢酸エチル)によって精製した。
【0096】
2.9)化合物
【化38】

の製造
17.1g(48mmol)の6−(4−アクリロイルオキシブトキシカルボニルオキシ)−2−ナフトエ酸を65mlの塩化オキサリル中で、200mgのヒドロキシ−TEMPOと8滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物を70mlの塩化メチレンに溶解し、10.0g(20mmol)の化合物(5)と、7.7g(61mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、70mlの塩化メチレンとからなる溶液に0〜5℃で滴加した。この混合物を0〜5℃で2時間、室温で一晩攪拌した。次にこの反応混合物を40℃で6時間攪拌した。室温まで冷却したあと、この溶液をまず500mlの酸性水(pH3)で、次に500mlの水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。この生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、1:2の石油エーテル/酢酸エチル〜2:1の石油エーテル/酢酸エチル)によって精製した。1.0g(4%)の所望の化合物を得た。
HTP=19μm-1
【0097】
2.10)化合物
【化39】

の製造
5.3g(10mmol)の化合物(6)を45mlの塩化オキサリル中で、4mgのKerobit BHTと4滴のDMFとを添加して1時間攪拌した。次に、過剰の塩化オキサリルを留去した。残留物180mlの塩化メチレンに溶解し、0.63g(4.3mmol)のイソマンニトールと、4.2g(33mmol)のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、20mlの塩化メチレンとからなる溶液に0〜5℃で滴加した。この混合物を0〜5℃で30分間、室温で週末中攪拌した。次にこの反応混合物を40℃で5.5時間攪拌した。室温まで冷却したあと、この溶液をまず200mlの酸性水(pH3)で、次に200mlの水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、実質的に濃縮した。残りの溶液を1:1のメタノール/水200mlで析出させ、吸引濾別し、乾燥させた。1.3g(26%)の所望の化合物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、
Wは、(Y4−T2−)s(Y3−A2−)t2−Z2部分であり、
1およびZ2は、それぞれ独立して、水素、炭素鎖がエーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、または非隣接イミノ基もしくはC1−C4−アルキルイミノ基によって中断されていてもよい、場合によっては置換されたC1−C20−アルキル、または重合をもたらしうる反応性基であり、
1およびA2は、それぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有し、かつ炭素鎖がエーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、または非隣接イミノ基もしくはC1−C4−アルキルイミノ基によって中断されていてもよいスペーサであり、
1およびY2は、それぞれ独立して、化学的単結合、酸素、硫黄、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−、または−CO−NR−であり、
3は、s>0の場合、Y1およびY2とは無関係に、これらについて定義したとおりであるか、または−O−COO−であり、
s=0の場合、化学的単結合または−CO−であり、
4は、化学的単結合、酸素、硫黄、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−、または−CO−NR−であるが、ただしY4は、イソマンニトール単位の酸素原子と結合する場合、化学的単結合または−CO−であり、
5は、r=1の場合、化学的単結合、酸素、硫黄、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR−CO−、または−CO−NR−であり、
r=0の場合、化学的単結合または−CO−であり、
6は、化学的単結合または−CO−であり、
Rは、水素またはC1−C4−アルキルであり、
1およびT2は、それぞれ独立して、飽和もしくは不飽和の、場合によっては置換され、かつ場合によっては縮合された2価の同素環式基もしくは複素環式基であり、
Qは、ハロゲン、NO2、NO、CN、CHO、L1、CO−L1、X1−CO−L1、X1−SO−L1、X1−SO2−L1、X1−L1’、CO−X1−L1’、O−CO−X1−L1’、SO−X1−L1’、またはSO2−X1−L1’であり、このとき、
1は、C1−C20−アルキル、C2−C20−アルケニル、C2−C20−アルキニル、C6−C10−アリール、2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール、C6−C10−アリール−C1−C20−アルキル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルケニル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルキニル、それぞれヘテロアリール基中に2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール−C1−C20−アルキル、ヘテロアリール−C1−C20−アルケニル、もしくはヘテロアリール−C1−C20−アルキニルであり、このときC1−C20炭素鎖は、エーテル官能基中の酸素原子、チオエーテル官能基中の硫黄原子、非隣接イミノ基、C1−C20−アルキルイミノ基、および/またはカルボニル基によって中断されていてもよく、また前記C6−C10−アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、NO2、NO、CN、CHO、L2、CO−L2、X2−CO−L2、X2−SO−L2、X2−SO2−L2、X2−L2’、CO−X2−L2’、O−CO−X2−L2’、SO−X2−L2’、およびSO2−X2−L2’からなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
1’は、水素、またはL1とは無関係に、L1について定義したとおりであり、
2は、C1−C20−アルキル、C2−C20−アルケニル、C2−C20−アルキニル、C6−C10−アリール、2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール、C6−C10−アリール−C1−C20−アルキル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルケニル、C6−C10−アリール−C2−C20−アルキニル、それぞれヘテロアリール基中に2〜12個の炭素原子を有するヘテロアリール−C1−C20−アルキル、ヘテロアリール−C2−C20−アルケニル、もしくはヘテロアリール−C2−C20−アルキニルであり、
2’は、水素、またはL2とは無関係に、L2について定義したとおりであり、
1およびX2は、それぞれ独立して、酸素、硫黄、またはNL1’またはNL2’であり、
rおよびtは、それぞれ独立して0または1であり、
sは、0、1、2、または3であり、
このときs>1の場合、前記個々の置換基T2およびY4は、互いに同一であっても、または互いに異なっていてもよく、
qは、0、1、2、3、または4である]の化合物。
【請求項2】
前記置換基T1およびT2が、それぞれ独立して、
【化2】

であり、
このとき前記基
【化3】

は、
請求項1の式Iにおける2,6−ナフチル基の前記Q置換基の特定の選択に関係なく、最大4個(q=0、1、2、3、または4)の同一のまたは異なる請求項1に記載の一般的定義を有するQ置換基で置換されていてもよく、
前記基
【化4】

は、
請求項1の式Iにおける2,6−ナフチル基の前記Q置換基の特定の選択に関係なく、最大3個(q=0、1、2、または3)の同一のまたは異なる請求項1に記載の一般的定義を有するQ置換基で置換されていてもよく、
前記基
【化5】

は、
請求項1の式Iにおける2,6−ナフチル基の前記Q置換基の特定の選択に関係なく、最大2個(q=0、1、または2)の同一のまたは異なる請求項1に記載の一般的定義を有するQ置換基で置換されていてもよく、
前記基
【化6】

は、
請求項1の式Iにおける2,6−ナフチル基の前記Q置換基の特定の選択に関係なく、最大1個(q=0または1)の請求項1に記載の一般的定義を有するQ置換基で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記置換基T1およびT2が、それぞれ独立して、
【化7】

であり、
このとき前記基は、請求項1の式Iにおける2,6−ナフチル基の前記Q置換基の特定の選択に関係なく、最大4個(q=0、1、2、3、または4)の同一のまたは異なる請求項1に記載の一般的定義を有するQ置換基で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式Iの前記置換基Wにおける(Y4−T2−)sが、式Ia
【化8】

[式中、
Q’は、請求項1の式Iにおける2,6−ナフチル基のQ置換基の特定の選択に関係なく、同一のまたは異なる請求項1に記載の一般的定義Qの置換基であり、
q’は、0、1、2、3、または4であり、
s’は、0、1、または2であり、
このとき前記置換基Y4およびT2は、前述の請求項におけるものと同じ定義を有し、またs’>0の場合の前記置換基Y4およびs’>1の場合の前記置換基T2は、互いに同一であっても、または互いに異なってもよい]の部分に相当する、請求項1〜3の1つ以上に記載の化合物。
【請求項5】
tが1であり、Y3が−O−COO−基に相当する、請求項1〜4の1つ以上に記載の化合物。
【請求項6】
前記Z1およびZ2基のうちの少なくとも1つが反応性基である、請求項1〜5の1つ以上に記載の化合物。
【請求項7】
前記Z1およびZ2基のうちの少なくとも1つが反応性基
【化9】

である、請求項1〜5の1つ以上に記載の化合物。
【請求項8】
前記Z1およびZ2基のうちの少なくとも1つが、反応性基
【化10】

である、請求項1〜5の1つ以上に記載の化合物。
【請求項9】
tが1であり、前記Z1−Y1−A1−部分および−A2−Y2−Z2部分が同一である、請求項1〜5の1つ以上に記載の化合物。
【請求項10】
1−Y1およびZ2−Y2が、同一の反応性部分
【化11】

である、請求項1〜5および9の1つ以上に記載の化合物。
【請求項11】
1−Y1およびZ2−Y2が、同一の反応性部分
【化12】

である、請求項1〜5および9の1つ以上に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜11の1つ以上に記載の少なくとも1つの式Iの化合物を含む、液晶組成物。
【請求項13】
請求項1〜11の1つ以上に記載の式Iの化合物のキラルドーパントとしての使用。

【公表番号】特表2011−525482(P2011−525482A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513978(P2011−513978)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056857
【国際公開番号】WO2009/153168
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】