説明

3−(メチルチオ)チオフェンを生成する過程

(i)少なくともアルキルリチウム、1つまたは複数のアルカン、及びエーテルを配合し、第1配合物を形成することと、(ii)約−30℃から約−25℃の温度で、少なくとも約30分間以上、第1配合物へエーテルで希釈した3−ブロモチオフェンを添加し、第2配合物を形成することと、(iii)約−25℃から約−20℃の温度で、少なくとも第2配合物と二硫化ジメチルを配合することと、(iv)少なくとも3−(メチルチオ)チオフェンを産することにより3−(メチルチオ)チオフェンを生成するための過程が提供される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
3−(メチルチオ)チオフェンは電子産業で使用され、例えば3−(メチルチオ)チオフェンはAPIの合成の中間体として使用することができる(例えば、国際公報第WO2005040110号参照)。それはまた、オリゴチオフェン(J.Org.Chem.1996,61,8285及び本明細書参照)を産するために使用され、オリゴマーは、化学的安定性、官能性を持たせることの容易さ、及び使用する特性の豊富さの点で大きく注目を集める。
【背景技術】
【0002】
本化合物の合成は、既に記載されている(例えば、Tetrahedron Letters 1994,Vol.35,No.22,pp.3673−3674及び、国際公報第WO2005/040110号参照)。テトラヒドロフラン(「THF」)が溶媒として使用される際、記載される過程は、通常ヘキサン中に−40℃で3−ブロモチオフェンとブチルリチウムを混合することを含む。THFを添加し、3−リチオチオフェンを生産するメタルハロゲン交換を介して3−リチオチオフェンを−40℃で産し、続いて、室温、例えば20℃で3−リチオチオフェンと求電子試薬を反応させる。その後、二硫化ジメチルを添加し、3−(メチルチオ)チオフェンを、例えば収量71%で得る。
【0003】
しかし、市販に適用するには不適切な発熱性が−40℃(−40℃のドライアイスバスを用いて+9℃)で、THFの添加上で観察される。
【0004】
そのため、3−(メチルチオ)チオフェンを生成する市販に適した方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(i)少なくともアルキルリチウム、1つまたは複数のアルカン、及び第1エーテルを配合し、第1配合物を形成することと、(ii)約−30℃から約−25℃の温度で、少なくとも約30分間以上、第1配合物へ第2エーテルで希釈した3−ブロモチオフェンを添加し、第2配合物を形成することと、(iii)約―25℃から約−20℃の温度で、少なくとも第2配合物と二硫化ジメチルを配合することと、(iv)少なくとも3−(メチルチオ)チオフェンを産することとを含む方法を提供することにより、上記ニーズを満たす。第1エーテルと第2エーテルは同じであっても異なってもよい。例えば、本発明に係る方法は、(i)少なくともブチルリチウム、1つまたは複数のアルカン、約0.6当量のTHFを配合し、第1配合物を形成することと、(ii)約−30℃から約−25℃の温度で、少なくとも約30分間以上、第1配合物へ第2エーテルで希釈した3−ブロモチオフェンを添加し、第2配合物を形成することと、(iii)約―25℃から約−20℃の温度で、少なくとも第2配合物と二硫化ジメチルを配合することと、(iv)少なくとも3−(メチルチオ)チオフェンを産することとを含む過程を提供することとを含み得る。
【0006】
実践的で、独創的な過程が発展されており、それは例えば3−ブロモチオフェンから3−(メチルチオ)チオフェンを例えば76%の収量で合成することに使用することができる。ブチルリチウム、ヘキサン、ヘプタン、及び0.6当量のTHFの−30℃混合した上での0.6当量THFで希釈した3−ブロモチオフェンの添加は3−リチオチオフェンの形成を導き、続いて二硫化ジメチルと反応し、3−(メチルチオ)チオフェンを産する。
【0007】
本発明に係る過程は、1つまたは複数の適したアルカン、及び別の適した(第1)エー
テルを用い、適したアルキルリチウムの混合物中への適した量の適した(第2)エーテルで希釈した3−ブロモチオフェンの積極的な添加を含む。添加時間は少なくとも約30分であり得、少なくとも約30分から最大約90分であり得る。第1及び第2エーテルは同じであっても異なってもよい。適したエーテルはTHF、MTBE、2−メチルTHF、メチルシクロペンチルエーテルなどを含む。本発明に係る特定の過程での使用に適したエーテルの量は、本明細書の教えを与えた当業者により決定され得る。例えば、0.6当量のTHFを第2エーテルとして使用することができ、0.6当量のTHFを第2エーテルとして使用することもできる。適したアルキルリチウムはブチルリチウム、及びヘキシルリチウムなどを含む。適したアルカンはヘキサン、ヘプタン、及びメチルシクロヘキサンなどを含む。ブチルリチウムは通常、ヘキサン中の混合物として販売される。−
40℃で−40℃のドライアイスバスを用いて我々は本発明に係る過程間の温度の上昇を検出しており(発熱性はより一層扱いやすくなることを意味する)、二硫化ジメチルの添加後、2−(メチルチオ)チオフェンの濃度が一貫してGCで0.5%領域以下であることが観察されている。我々はまた、少し高く不純物が含有していても(3−(メチルチオ)チオフェンの0℃、GCでの84.8%領域(溶媒を除く)対−30℃、93%(溶媒を除く))、−30℃、−20℃、または0℃でも本反応が進行する可能性を試験している。蒸留後、最適化されていない全収量の -76%(>GCでの99%範囲)で純度の高い化合物を得ており、それは、蒸留工程間の損失を最小化することにより改善することができる。
【0008】
本発明に係る過程を以下の例示的な図解により説明することができる。
【化1】

【発明を実施するための形態】
【0009】
実施例
以下の実施例は、本発明の原理を説明する。本発明が本明細書中に例示される1つの特定の実施形態に限定されることはなく、本特許出願の実施例または残りの内にあることを理解されたい。
【0010】
実施例1
本発明の実施例において、以下に結果を得る過程を示す。
1. ヘプタン(214.5ml)及び2.5Mブチルリチウム(127ml)をフラスコに注いだ。
2. 反応物(すなわちフラスコの内容物)を−30℃まで冷却した。
3. THF(11.3g)をフラスコに添加した。
4. THF(11.3g)と3−ブロモチオフェン(42.9g)の混合物を調製した。
5. THF/3−ブロモチオフェン混合物を−25℃から−30℃の間で、30分以上フラスコ内の反応混合物に添加した。
6. 反応混合物を1時間撹拌した。
7. 二硫化ジメチル(29.76g)を−25℃から−20℃の間で45分以上添加した。
8. 反応混合物を1時間撹拌した。
9. 反応混合物を0℃まで加熱した。
10. 水(170ml)を反応混合物に添加し、反応混合物を30分間撹拌した。
11. 有機層アップ(フェーズカット)を行った。
12. 水(60ml)を反応混合物に添加し、15分間撹拌した。
13. 有機層アップ(フェーズカット)を行った。
14. THF溶媒を減圧下40℃で蒸留した。
15. 所望の生成物、3−(メチルチオ)チオフェンを80及び40mbar下で90から100℃の間で蒸留した。
16. 3−(メチル)チオフェンを25.7g得、収量76%を得た。
【0011】
本明細書または請求の範囲のいずれにおいても、単数形または複数形で述べられていても、化学名または化学式により述べる反応物質及び構成要素が、化学名または化学的種類により述べられる別の物質(例えば、別の反応物質、溶媒など)と組み合わせるまたは接触をもつ前に存在するように特定されることを理解されたい。化学交換、変換及び/または反応がもしあれば反応配合物または溶液または反応中間物を生むことが、特定の反応物質及び/または構成要素が本開示に従って称される状況下で共にもたらされる自然な結果であることは問題ではない。それゆえ、反応物質及び構成要素は所望の化学反応を行う結合、または所望の反応を導くことにおいて使用される配合物の形成を互いにもたらす材料として識別される。従って、以下の請求の範囲が現在の時制(「含む」、「である」など)で基質、構成要素、材料を述べているとしても、本開示で記載される1つまたは複数の基質、構成要素、及び/または材料と始めに接触、配合、融合、混合するちょうど前の時間に存在したような基質、構成要素、または材料を述べる。もしあれば反応として生体位で起こる交換がいかに行われようとも、請求の範囲は包含される。それゆえ、実際に基質、構成要素、または材料が接触の過程の間に化学反応、または交換を介してその元の同一性を失い得ることは、本開示に従い、一般的な感覚、化学者の独自の技術の適用に従い行われても、配合、融合、混合の操作は従って、本開示及び請求の範囲の基質及び真実の意味の正しい理解及び評価に完全に重要ではない。当業者に周知であるように、本明細書で使用される用語「配合された」、「配合する」などは「配合された」または1つが「配合する」構成要素を互いに容器内に入れることを意味する。同様に構成要素の「配合物」は容器内に互いに入れられている構成要素を意味する。
【0012】
本発明は1つまたは複数の好ましい実施形態の用語で記載され、他の変形は本発明の範囲を逸脱することなく、作成され得、以下の請求の範囲で明らかとなることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアルキルリチウム、第1エーテル及び1つまたは複数のアルカンを配合し、第1配合物を形成することと、
約−30℃から約−25℃の温度で、少なくとも約30分間以上、前記第1エーテルと同じであっても異なってもよい第2エーテルで希釈した3−ブロモチオフェンを第1配合物に添加し、第2配合物を形成することと、
約−25℃から約−20℃の温度で、少なくとも前記第2配合物を二硫化ジメチルと配合することと、
少なくとも3−(メチルチオ)チオフェンを産すること、とを含む過程。
【請求項2】
前記アルキルリチウムがブチルリチウムまたはヘキシルリチウムを含む請求項1に記載の過程。
【請求項3】
前記1つまたは複数のアルカンがヘキサン、ヘプタン、またはメチルシクロヘキサンを含む請求項1に記載の過程。
【請求項4】
前記第1エーテルがTHF、MTBE、2−メチルTHF、またはメチルシクロペンチルエーテルを含み、前記第2エーテルがTHF、MTBE、2−メチルTHF、またはメチルシクロペンチルを含む請求項1に記載の過程。
【請求項5】
前記第1エーテルと前記第2エーテルが同一である請求項1に記載の過程。
【請求項6】
前記第1エーテルがTHFを含み、前記第2エーテルがTHFを含む請求項1に記載の過程。
【請求項7】
少なくともヘキサン中のブチルリチウム、ヘプタン、及び約0.6当量のテトラヒドロフランを配合し、第1配合物を形成することと、
約−30℃から約−25℃の温度で、少なくとも約30分間以上、テトラヒドロフランで希釈した3−ブロモチオフェンを前記第1配合物に添加し、第2配合物を形成することと、
約−25℃から約−20℃で、少なくとも前記第2配合物と二硫化ジメチルを配合することと、
少なくとも3−(メチルチオ)チオフェンを産すること、とを含む過程。

【公表番号】特表2013−505933(P2013−505933A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530942(P2012−530942)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/049105
【国際公開番号】WO2011/041126
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)