説明

3−O−置換−カテキン類誘導体の新規製造方法

【課題】カテキン類のフラバン骨格における3位の水酸基に、様々なアシル基、アルキル基が置換した3−O−置換−カテキン類誘導体の新規な製造方法を提供する。
【解決手段】カテキン類のフェノール水酸基のみを選択的に保護して、カテキン類のフラバン骨格の3位における水酸基に、様々なアシル基、アルキル基を選択的に導入することからなる、次式(IV):
【化1】


で示される3−O−置換−カテキン類誘導体の、簡便なで、高純度、かつ収率の良い製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテキン類のフラバン骨格における3位の水酸基に様々なアシル基、アルキル基が置換した3−O−置換−カテキン類誘導体の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェノール化合物の一種であるフラバン−3−オール類の代表的な化合物であるカテキン類は、(−)−エピカテキン、(−)−エピガロカテキン、又はこれらの没食子酸エステルである(−)−エピカテキン ガレート、(−)−エピガロカテキン ガレートの4種類が主なものである。
カテキン類には、抗酸化作用、抗菌作用、消臭作用、血中コレステロール抑制作用、α−アミラーゼ活性阻害作用等の様々な化学的・生理的活性作用が知られている。また、最近、3−アシルカテキン類に子宮頸ガンの抑制作用(特許文献1)、DNA合成阻害作用(特許文献2)があることが開示された。しかし、これらカテキン類は難溶性物質であるため、注射剤として開発することが困難であり、吸収効率の向上を目的にDPI製剤化を検討する場合、大量の化合物が必要となるため大量合成が可能な3−O−置換−カテキン類誘導体の新規な合成法の開発が望まれていた。
【0003】
カテキン類は、主にツバキ科に属する茶樹の葉、茎、木部、樹皮、根、実、種子のいずれかから水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒等により抽出することにより得られる。カテキン類の精製物に関しては、例えば、茶葉を上記の溶媒で抽出して得られた抽出物を、有機溶媒分画や吸着樹脂等を用いて、所望の程度に精製することができる(特許文献3)。
【0004】
一方、カテキン類のフラバン骨格における3位の水酸基に置換基を導入する方法としては、遊離型カテキンの存在下エステル化合物にカルボキシエステラーゼを作用させ、3−アシル化カテキンとする製造方法(特許文献4)、公知の3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オール(非特許文献1)の3位の水酸基にアシル基を導入し、得られた3−アシル化3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバンの保護基であるベンジル基を脱保護して、3−アシル化3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オールを製造する方法(例えば、特許文献1)、ホウ素化合物を用いたカテキン誘導体の合成法(特許文献5、6)、トリフルオロ酢酸と酸塩化物を用いる方法(非特許文献2)、リパーゼを用いる方法(非特許文献3)等が開示されている。
【0005】
しかしながら、従来の合成法は、例えば、3’,4’,5,7−テトラ−O−ベンジル−フラバン−3−オールを用いる場合、ベンジル基の保護基を水素雰囲気化、パラジウム等の触媒を加えベンジル基を脱保護するため、安全性の研鑽を要することに加え、副反応物の生成による分離精製等の操作性や、再現性の問題から大量合成しにくい等の問題があった。また、前記特許文献4の製法は、酵素としてエステラーゼを用いるため操作が煩雑であった。
【0006】
また、フェノール性水酸基を保護することなくアシルクロライドと反応させ、3位に選択的にアシル基を導入する方法が開示されているが、反応副生成物が多く、分離精製が非常に煩雑であり、大量合成するには実用的とはいえず、より簡便な、大量合成できる改良された製造方法の出現が望まれていた。
【0007】
本発明者らは、カテキン類のフェノール性水酸基とアルコール性水酸基が保護されていない出発原料のカテキン類に、極性溶媒中、シリル化剤を反応させることによりフェノール性水酸基のみが選択的に高収率でシリル化されることを見出した。
このシリル化物、例えば、3’,4’,5,7−テトラ−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキンは、文献公知の化合物である(特許文献7)が、その製造方法は、最初に(−)エピカテキン ガレートの水酸基を全てシリル基で保護し、次いで、テトラヒドロフラン溶媒中、水素化リチウムアルミニウムを反応させ、3位のみのシリル基を脱離して得る方法であり、フェノール性水酸基のみに、選択的に直接シリル保護基を導入することについては記載がない。
【0008】
【特許文献1】特開2006−249056号公報
【特許文献2】特開2006−249057号公報
【特許文献3】特公平1−44232号公報
【特許文献4】特開平6−279430号公報
【特許文献5】特開昭57−118580号公報
【特許文献6】特開昭57−120584号公報
【特許文献7】米国特許公開公報2007−21384号公報
【非特許文献1】木材学会誌、1991,37,488−493頁
【非特許文献2】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2000,10,1673−1675頁
【非特許文献3】Journal of Molecular Catalysis B:Enzymatic,2000,10,577−582頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明は、カテキン類のフラバン骨格における3位の水酸基に様々なアシル基又はアルキル基が置換した、3−O−置換−カテキン類誘導体の新規な製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、市販の出発原料であるカテキン類のフェノール性水酸基のみを、シリル基で選択的に保護することに成功し、保護されていない3位の水酸基にアシル基又はアルキル基を選択的に導入した後、次いでシリル基を脱保護することにより、目的とする3−O−置換−カテキン類誘導体が高収率で得られることを見出し本発明に至った。
【0011】
したがって本発明は、次式(I):
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Raは水素原子又は水酸基を表す)
で表されるカテキン類に、塩基の存在下、次式:
A−X
(式中、Aは水酸基の保護基を表し、Xは活性残基を表す)
で示される化合物と反応させ、式(I)のフェノール性水酸基に選択的に保護基を導入した次式(II):
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、Rcは水素原子又は基:OAを表し、Aは前記定義と同一である)
で表される化合物とし、次いで下記式(V):
R−Y (V)
[式中、Rは炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基、又はRbC(=O)−基で表されるアシル基(Rbは炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基を表す)を表し、Yは活性残基を表す]
で表される化合物と反応させ、下記式(III):
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、A、Ra及びRは前記定義と同一である)
で表される化合物とした後、脱保護をすることを特徴とする下記式(IV):
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、Ra及びRは前記定義と同一である)
で表される3−O−アシル又はアルキル置換−カテキン類誘導体の製造方法である。
【0020】
より具体的には、本発明は、式中Aがシリル保護基であり、特にシリル保護基が、t−ブチルジメチルシリル基である上記の製造方法である。
【0021】
また本発明は、具体的には、上記の式(III)の化合物から式(IV)の化合物への脱保護を、溶媒中、酢酸の存在下、テトラブチルアンモニウムフルオリドを用いて行うことを特徴とする製造方法である。
【0022】
さらにまた本発明は、上記の式(II)の化合物を単離することなく式(III)への誘導をワンポットで反応させる製造方法である。
【0023】
また本発明は上記の製造方法における中間化合物の製造方法であり、具体的には、上記の式(I)の化合物におけるフェノール性水酸基に選択的に保護基を導入した式(II)で示される化合物の製造方法であり、また、式(IV)で示される化合物の製造方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明が提供する製造方法により、カテキン類のフラバン骨格における3位の水酸基に、選択的に様々なアシル基又はアルキル基を導入することができ、その結果、種々の3−O−アシル置換又は3−O−アルキル置換−カテキン類誘導体を簡便で、純度良く、かつ収率の良く製造できる方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明が提供する製造方法は、具体的には、次式に示す反応式で表すことができる。
【0026】
【化5】

【0027】
[上記反応式中、Raは水素原子又は水酸基を表し、Rcは水素原子又は基:−OAを表し、Aは水酸基の保護基を表し、Xは活性残基を表し、Rは炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基、又はRbC(=O)−基で表されるアシル基(Rbは炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基を表す)を表し、Yは活性残基を表す]
【0028】
以下、本発明における用語及び各工程について説明する。
本発明が提供する製造方法において、出発原料として用いるカテキン類(I)としては、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン等が挙げられ、天然又は合成品として文献公知の方法により、例えばカテキンは茶樹より得ることができる。
また、茶以外の植物からも、茶の場合と同様の方法により製造することができる。
これらのカテキン類は市販されており、例えば三井農林(株)製「ポリフェノン」、太陽化学(株)製「サンフェノン」、(株)伊藤園製「テアフラン」等を挙げることができる。
【0029】
本発明において、置換基「Ra」は水素原子、又は水酸基を表す。したがって、式(I)で示されるカテキン類における2−位のフェニル基は、具体的には、例えば、3,4−ジヒドロキシフェニル、3,4,5−トリヒドロキシフェニル等を挙げることができる。
【0030】
置換基「A」で示される水酸基の保護基としては、好ましくはシリル保護基であり、具体的には、メチルシリル、エチルシリル、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリt−ブチルシリル、ジメチルt−ブチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、ジフェニルエチルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジフェニルt−ブチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニルシリル基等のシリル保護基を挙げることができる。そのなかでも、t−ブチルジメチルシリル基が最も好ましい。
「X」は活性残基を示し、具体的にはハロゲン原子、トリフラート、N−メチルトリフルオロアセトアミド、イミダゾール等の、常法として用いられる活性残基を挙げることができる。そのなかでも、ハロゲン原子が好ましい。
【0031】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲンであり、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
したがって、式A−Xで表される化合物としては、例えば、市販のt−ブチルジメチルシリルクロライド(式:TBDM−Xで表される)を好ましく使用することができる。
【0032】
本発明の製法によれば、例えば、適当な溶媒、好ましくは特定の混合溶媒中、塩基の存在下、カテキン類とt−ブチルジメチルシリルクロライド(TBDM−X)とを反応させることにより、フェノール性水酸基に選択的にシリル保護基を導入することができる。
なお、式(I)のカテキン類において置換基Raが水酸基の場合には、当該水酸基はフェノール水酸基であることから、上記の反応により、シリル保護基で保護されることとなる[式(II)の化合物において、置換基Rcが基:−OAである化合物]。
【0033】
また本発明の製造方法において、式(II)の化合物と反応する次式(V):
R−Y (V)
で示される化合物において、例えば、式:
Rb(=CO)−Y
で表されるアシル活性体としては、Rbが炭素数2〜22であるものであり、例えばブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、ベヘノイル等のアシル基又はRbが鎖上に複数の不飽和結合を有していてもよい炭素数が2〜22の不飽和脂肪酸基、例えばオレイル、ゲラニル又は飽和脂肪酸基が炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよいイソステアロイル等のアシル基である活性体を挙げることができる。
【0034】
また、式:R−YにおけるRとしての炭素数1〜22のアルキル基としては、例えばブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デカン基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の無置換のアルキル基、又は鎖上に複数の不飽和結合有する炭素数が2〜22の不飽和アルキル基、例えばオレイル基、ゲラニル基、又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されているアルキル基を挙げることができる。
【0035】
基「Y」活性残基であり、前記「X」と同一の活性残基等、常法用いられるものを挙げることができる。好ましくは前記したハロゲン原子を挙げることができ、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、又は通常用いられるカルボン酸誘導体の活性残基を挙げることができる。
【0036】
本発明の製造方法における式(III)の化合物より式(IV)の化合物へ誘導する水酸基の保護基の脱保護は、公知の方法(T. W. Green, "Protective Groups in Organic Synthesis", A Wiley-Interscience, New York, 1999, p.113-148)により行うことができる。
具体的には、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等の酸性条件下に式(III)の化合物を脱保護試薬、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド[テトラヒドロフラン(以下THFという)1M溶液]と処理することにより、行うことができる。
反応は、溶媒の存在下に行うことが好ましく、そのような溶媒としては、反応に関与しないものであれば如何なるものも使用でき、好ましくは、THF、トルエン等が用いられる。当該脱保護反応は、−20℃から100℃の範囲で円滑に進行する。
【0037】
以下本発明の製造方法について、後記実施例1の製造法を代表例として、より具体的に説明する。
なお、下記各製造工程で使用する反応溶媒、例えばTHF、ジクロロメタン、酢酸エチル等は、特に断らない限り常法により乾燥したものを用いた。
本発明の製造方法は、以下の3工程からなる製造方法であるが、以下は、式(I)で示されるカテキン類として、次式:
【0038】
【化6】

【0039】
で示される3’,4’,5,7−テトラヒドロキシ−(+)カテキン、すなわち、(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール(化合物1)を使用して説明する。
【0040】
本発明の製造方法における製造工程1は、カテキン類のフェノール性水酸基に、選択的に保護基としてTBDMSが導入された(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリルフラバン−3−オール(化合物2)を製造する工程である。
【0041】
具体的には、適当な溶媒に、式(1)で示される(+)−カテキン(化合物1)と、イミダゾール、ピリジン、トリエチルアミン等の群から選ばれる少なくとも1種以上の塩基、好ましくはイミダゾールを添加し、氷冷下、t−ブチルジメチルシリルクロライドのTHF溶液を撹拌しながら滴下し、反応溶液中に生じた沈殿をジクロロメタンに溶かし、1〜20時間、室温で撹拌することにより行われる。
【0042】
この製造工程1において用いられる溶媒としては、THF、ジクロロメタン、THF−ジクロロメタン混合溶媒、酢酸エチル等が挙げられる。好ましくは、THF、THF−ジクロロメタン混合溶媒であり、より好ましくは、THF−ジクロロメタン混合溶媒である。
THF−ジクロロメタン混合溶媒100重量部あたりのTHFの含量(重量部)は、好ましくは37〜99.9重量部であり、より好ましくは42〜99.9重量部、さらに好ましくは60〜90重量部、特に好ましくは、70〜80重量部である。
【0043】
反応終了後常法に従って、例えば反応溶媒を減圧下除去し、残分にジクロロメタンを加えて抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム等で乾燥する。ろ過、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル)で分離精製し、フェノール性水酸基が選択的にシリル基により保護された、3’,4’,5,7−テトラ−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン(化合物2)を無色液体として得ることができる。
【0044】
上記保護基の導入反応(シリル化)に用いる式:A−Xで示されるシリル化剤の使用量は、カテキン類の置換されていないフェノール性水酸基の数に対応して設定することができる。
具体的に設定する使用量は、水酸基の数1に対し、1〜1.1倍量の範囲である。例えば、置換されていないフェノール性水酸基4個を有するカテキンの場合、シリル化剤の使用量は少なくとも4モルである。シリル化は乾燥状態で、例えば乾燥した不活性気体で置換された雰囲気下の反応容器で行う方が好ましい。
【0045】
反応温度は、出発原料のカテキンの量、反応時間、反応温度等により異なり特に限定できるものではないが、通常は、氷冷下から常温の範囲で行うことができる。
反応収率は、例えばカテキン1モルに対し、4.4モルのシリル化剤を用いた場合、シリル化物を単離精製した場合でも収率良く得ることができる。実用上は、カテキン1モルに対し、シリル化剤を4モルとし、さらに得られるシリル化物を単離精製しないで、例えば減圧下濃縮し、残分をそのまま次の製造工程に用いることによりさらに収率を向上させることができる。
【0046】
また、この製造工程に用いられる塩基としては、前記した塩基以外に、通常のシリル化反応に用いることができる有機又は無機の塩基も、特に制限なく使用することもできる。
さらにこの製造工程に用いられる溶媒としては、前記した溶媒以外にも、反応に関与しないものであれば特に制限はなく用いることができる。例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、好ましくはジクロロメタンが用いられる。
【0047】
製造工程2は、その一つとして、製造工程1で得られたフェノール性水酸基が保護された式(II)で示されるカテキン類の3−位の水酸基に、アシル基を導入し、式(III)で示される化合物を得る工程である。
具体的には、例えば、3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物3)を製造する工程で説明する。
【0048】
本製造工程2は、先ず、前記製造工程1で得られた3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン(化合物2)を、ジクロロメタン等の溶媒に溶かし、氷冷下、トリエチルアミン等の塩基の存在下、ミリストイルクロライド等のアシル活性体、及びN,N−ジメチルアミノピリジンを加え、例えば室温下1〜5時間攪拌することにより実施される。
反応終了後、常法に従って、例えばジクロロメタン等で抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル)で分離精製し、目的とする3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物3)を得ることができる。
【0049】
この製造工程に用いられる塩基としては、前記塩基の他にも、通常のアシル化反応に用いることができる有機又は無機の塩基であれば特に制限はない。
また、この製造工程に用いられる溶媒としては、前記極性溶媒の他にも、反応に関与しないものであれば特に制限されない。例えば、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;DMF、DMSO等が用いられ、好ましくは、THF、ジオキサン、ジクロロメタン又はこれらの混合溶媒である。反応温度は、特に制限はないが、好ましくは氷冷下〜室温である。
【0050】
本製造工程2は、また別に、製造工程1で得られたフェノール性水酸基が保護された式(II)で示されるカテキン類の3−位の水酸基にアルキル基を導入した式(III)で示された化合物を得る工程でもある。
当該製造工程は、例えば、製造工程1で得られたフェノール性水酸基が保護された式(II)で示されるカテキン類を、ジメチルホルムアミド等の極性溶媒中に溶解させ、水素化ナトリウム又は水素化カリウム等の塩基の存在下、アルキルハライドと反応させることにより実施される。
反応時間は、反応させる量、溶媒等により異なり特に限定されないが、通常、1〜5時間であり、反応終了後、自体公知の方法により処理され、式(III)で示されるカテキン類の3−位の水酸基にアルキル基を導入した化合物を得ることができる。
【0051】
次いで、製造工程3により、かくして製造された式(III)で示される化合物のフェノール性水酸基の保護基を脱離し、目的とする式(V)で示される3−O−アシル又はアルキル置換−カテキン類誘導体を得る。
具体的には、本製造工程は、例えば、前記製造工程2で得られた3’,4’,5,7−テトラ−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物3)を、適当な溶媒、例えばTHF等に溶解させ、酢酸を加え、撹拌後、氷冷下、撹拌しながらテトラブチルアンモニウムフルオリド(THF−1M溶液)を加え、室温で1〜4時間撹拌することにより実施される。
【0052】
反応後、常法に従って、例えばジエチルエーテル等で抽出し、有機層を1規定塩酸水溶液、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。ろ過、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル)で分離精製し、濃縮残分をn−ヘキサン、酢酸エチル混液を用いて再結晶することにより、目的とする(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物4)を得ることができる。
【0053】
本製造工程で用いられる溶媒としては、前記溶媒の他にも、反応に関与しないものであれば特に制限されず、好ましくは、酢酸、THF等の極性溶媒を使用することもできる。
【0054】
なお、式(III)で示されるカテキン類の3−位の水酸基にアルキル基が導入された化合物の脱保護反応も、上記の方法に準じて実施することができる。
【0055】
本発明が提供する製造方法においては、出発原料のカテキン類のフェノール性水酸基のみを、選択的に保護することができ、かかる化合物は、反応系から単離することなく、続くアシル化或いはアルキル化をワンポット反応で行い、目的とする3位の水酸基がアシル化若しくはアルキル化された化合物を得ることができる。
したがって、より少ない製造工程数、反応操作により、高収率かつ高純度で簡便に製造することができる利点を有している。
【実施例】
【0056】
以下に製造例、試験例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、以下の実施例を図1に化学反応式で示した。
【0057】
実施例1:
(製造工程1)3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン;[(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリルフラバン−3−オール](化合物2)の製造方法:
【0058】
(+)−カテキン「(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール」(化合物1)(50g、0.172mol)とイミダゾール(104.5g、1.519mol)をTHF200mLに溶かし、氷冷下、t−ブチルジメチルシリルクロライド(114.4g、0.759mol)をTHF100mLに溶かした溶液を撹拌しながら滴下した。生じた沈殿をジクロロメタン100mLに溶かし、18時間室温で撹拌した。反応終了後THFを減圧下蒸発させ、残分にジクロロメタンを加えて抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル/10:1)で分離精製し、3’,4’,5,7−テトラ−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン(化合物2)を無色液体として得た(122.5g、0.164mol、収率94.6%)。
【0059】
H−NMR(400MHz,CDCl):6.70(1H,s),6.68(1H,s),6.67(1H,s),5.92(1H,d,J=2.2),5.78(1H,d,J=2.2),4.45(1H,d,J=3.9),3.81(1H,m),2.79(1H,dd,J=5.6,16.4),2.40(1H,dd,J=8.7,16.2)0.84−0.56(36H,m),0.10−(−0.19)(24H,m)
【0060】
(製造工程2)3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン−3−ミリストエート;[(2R,3S)−3’,4’,5,7テトラ−O−t−ブチルジメチルシリルフラバン−3−ミリストエート](化合物3)の製造方法:
前記製造工程1で得た3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン(化合物2)(73.8g,0.099mol)をジクロロメタン200mLに溶かし、氷冷下トリエチルアミン(30.0g,0.296mol)、ミリストイルクロライド(36.6g,0.148mol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(50mg)を加え、室温下3時間攪拌した。反応終了後ジクロロメタンで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル/3:1)で分離精製し、3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物3)を黄色液体として得た(93.0g,0.097mol、収率98.3%)。
【0061】
H−NMR(400MHz,CDCl):6.61(1H,s),6.58(2H,s),5.94(1H,d,J=1.1),5.76(1H,d,J=1.2),5.07(1H,d,J=1.4),4.80(2H,d,J=2.9),2.54(1H,dd,J=5.1,16.6),2.44(1H,dd,J=5.9,16.8),2.03−1.99(2H,m)1.62−0.93(2H,m)1.62−0.93(23H,m),0.72−0.55(36H,m),0.06−(−0.11)(24H,m)
【0062】
(製造工程3)(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物4)の製造:
前記製造工程2で得られた3’,4’,5,7−テトラ−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物3)(93.0g,0.097mol)をTHF100mLに溶かし、酢酸(35.0g,0.583mol)を加え、5分間撹拌した後、氷冷下、撹拌しながらテトラブチルアンモニウムフルオリド(THF−1M溶液)(466mL,0.466mol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後ジエチルエーテルで抽出し、有機層を1規定塩酸、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル/1:1)で分離精製し、濃縮残分をn−ヘキサン、酢酸エチル混液を用いて再結晶することにより、(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物4)を白色固体として得た(25.8g,0.052mol、収率53.3%)。
【0063】
H−NMR(400MHz,CDCOCD):6.86(1H,d,J=2.2),6.80(1H,d,J=8.3),6.73(1H,d,J=8.3),6.04(1H,d,J=2.2),5.93(1H,d,J=2.2),5.22(1H,m),4.95(2H,d,J=6.1),2.80(1H,dd,J=5.4,16.4),2.60(1H,dd,J=7.0,16.3),2.22−2.16(2H,m)1.46−1.42(2H,m)1.32−1.25(20H,m),0.93−0.84(3H,m)
【0064】
実施例2:
前記実施例1の各製造工程に準拠して、下記化合物を合成した。
置換基Rが、−C(O)(CH)=(CH)CH (cis体)で表される化合物。
(1)製造工程2の収率(100.0%)、
(2)製造工程3の収率(36.4%)(酢酸添加し、反応させた)。
製造工程3で得られた化合物はH−NMRにて同定した。
【0065】
H−NMR(400MHz,CDOD):6.69(1H,d,J=2.0),6.65(1H,d,J=4.0),6.58(1H,d,J=2.0),5.84(1H,d,J=2.4),5.79(1H,d,J=2.0),5.26−5.23(2H,m),5.21(1H,m),4.74(1H,m),2.71(1H,dd,J=5.2,16.4),2.50(1H,dd,J=7.2,16.4),2.11(2H,t,J=3.6)1.95−1.92(4H,m),1.38−1.31(2H,m),1.19−1.04(20H,m),0.89−0.78(3H,m)
【0066】
実施例3:
前記実施例1の各製造工程に準拠して、下記化合物を合成した。
置換基Rが、−C(O)(CH)CH で表される化合物。
(1)製造工程2の収率(86.9%)、
(2)製造工程3の収率(16.6%)(酢酸無添加の条件下で反応させた)。
製造工程3で得られた化合物はH−NMRにて同定した。
【0067】
H−NMR(400MHz,CDOD):7.15(1H,d,J=2.0),7.11(1H,d,J=2.7),7.03(1H,d,J=2.0),6.31(1H,d,J=2.4),6.25(1H,d,J=2.4),5.58−5.53(1H,m),5.20(1H,m),3.16(1H,dd,J=5.4,16.3),2.96(1H,dd,J=6.9,16.3),2.58−2.50(2H,m)1.81−1.74(2H,m),1.67−1.48(14H,m),1.27−1.20(3H,m)
【0068】
実施例2〜3の結果から、脱保護の工程では、脱保護を溶媒中、酢酸の存在下、テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF−1M溶液)を用いて行うことにより、さらに効率よく目的とする3−O−アシル置換−カテキン類が得られることが判明する。
【0069】
実施例4:3−O−アルキル置換−カテキン誘導体の製造方法
(製造工程1)
前記実施例1の製造工程1で得られた化合物を出発原料として用いた。
【0070】
(製造工程2)3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン−3−テトラデカンエーテル;[(2R,3S)−3’,4’,5,7テトラ−O−t−ブチルジメチルシリルフラバン−3−テトラデカンエーテル]の製造方法:
前記製造工程1で得られた3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン(3.0g,0.004mol)をDMF50mLに溶かし、氷冷下60%NaH(0.250g,0.006mol)、テトラデカンクロライド(1.191g,0.006mol)を加え、室温下3時間攪拌した。反応終了後ジクロロメタンを加え、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した。有機層から得られた生成物、及び析出した固体の精製は行わず、黒色固体を得た(収量8.12g)
【0071】
(製造工程3)
前記製造工程2で得られた黒色固体をTHF100mL、酢酸(3.10g,0.052mol)を加え、5分間撹拌した後、氷冷下、撹拌しながらテトラブチルアンモニウムフルオリド(THF−1M溶液)(41.3mL,0.413mol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後ジエチルエーテルで抽出し、有機層を1規定塩酸、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル/1:1)で分離精製し、濃縮残分をn−ヘキサン、酢酸エチル混液を用いて再結晶することにより、(+)−カテキン−3−テトラデカンエーテルを黒色固体として得た(0.447g,0.002mol、製造工程2〜3の収率50.0%)。
【0072】
H−NMR(400MHz,CDCOCD):6.79(1H,d,J=2.0),6.68(1H,d,J=2.0),6.66(1H,d,J=1.6),5.89(1H,d,J=2.4),5.80(1H,d,J=2.4),4.51(1H,d,J=7.2),3.92(1H,m),2.93(2H,t,J=8.4),2.63(1H,dd,J=7.6,16.2),2.27(1H,dd,J=8.2,16.2),1.37−1.33(2H,m),1.21−0.74(25H,m)
【0073】
実施例5〜7:
前記実施例1の製造工程1において反応溶媒の種類と組合せを変化させた以外は実施例1の製造工程に準拠して3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン(化合物2)を調製した。
その結果は表1に示すとおりであった。
【0074】
【表1】

【0075】
実施例8:ワンポット合成(製造工程1及び2をワンポットによる実施)
3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物3)の製造方法:
(+)−カテキン:[(2R,3S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3−オール](化合物1)(50g、0.172mol)とイミダゾール(104.5g、1.519mol)をTHF200mLに溶かし、氷冷下、t−ブチルジメチルシリルクロライド(114.4g、0.759mol)をTHF100mLに溶かした溶液を撹拌しながら滴下した。生じた沈殿をジクロロメタン100mLに溶かし、18時間室温で撹拌した(このときの3’,4’,5,7−テトラ−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキンの収率94.6%)。次いで、氷冷下トリエチルアミン(17.4g,0.172mol)、ミリストイルクロライド(42.5g,0.172mol)、及び、N,N−ジメチルアミノピリジン(50mg)を加え、室温下3時間攪拌した。反応終了後ジクロロメタンで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル/3:1)で分離精製し、3’,4’,5,7−テトラ−O−t−ブチルジメチルシリル−(+)−カテキン−3−ミリストエート(化合物3)を黄色液体として得た(収率93%)。
【0076】
上記の各実施例の結果から、製造工程1において用いられる溶媒としては、THF、ジクロロメタン、THF−ジクロロメタン混合溶媒、酢酸エチル等が挙げられる。
好ましくは、THF、THF−ジクロロメタン混合溶媒であり、より好ましくは、THF−ジクロロメタン混合溶媒である。
THF−ジクロロメタン混合溶媒の場合には、混合溶媒100重量部あたりのTHFの含量(重量部)は、好ましくは37〜99.9重量部であり、より好ましくは42〜99.9重量部、さらに好ましくは60〜90重量部、特に好ましくは、70〜80重量部である。
そのTHF−ジクロロメタンの混合相関を図2に示した。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の製造方法により、カテキン類のフラバン骨格における3位の水酸基に、様々なアシル基、アルキル基を選択的に導入した3−O−置換−カテキン類誘導体を、簡便な製造方法で高純度、かつ収率で提供することができる。
本発明の製造方法は、脱保護基の製造工程で従来のような還元設備等特別の装置を用いることなく、目的物を得ることができるので、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1を具体的反応式で示した図である。
【図2】本発明の製造工程1におけるシリル保護基の導入に用いる溶媒と、目的物の収率との関係を示す図である。 図中、横軸はTHF−ジクロロメタン混合溶媒100重量部に対するTHFの含量を示し、縦軸は目的物の収率(%)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

(式中、Raは水素原子又は水酸基を表す)
で表されるカテキン類に、塩基の存在下、次式:
A−X
(式中、Aは水酸基の保護基を表し、Xは活性残基を表す)
で示される化合物と反応させ、式(I)のフェノール性水酸基に選択的に保護基を導入した次式(II):
【化2】

(式中、Rcは水素原子又は基:OAを表し、Aは前記定義と同一である)
で表される化合物とし、次いで下記式(V):
R−Y (V)
[式中、Rは炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基、又はRbC(=O)−基で表されるアシル基(Rbは炭素数1〜22の置換されていてもよいアルキル基を表す)を表し、Yは活性残基を表す]
で表される化合物と反応させ、下記式(III):
【化3】

(式中、A、Rc及びRは前記定義と同一である)
で表される化合物とした後、脱保護をすることを特徴とする下記式(IV):
【化4】

(式中、Ra及びRは前記定義と同一である)
で表される3−O−アシル又はアルキル置換−カテキン類誘導体の製造方法。
【請求項2】
下記式(II):
【化5】

(式中、A及びRcは、前記請求項1の定義と同一である)
で表される化合物と、下記式(V):
R−Y (V)
(式中、R及びYは前記請求項1の定義と同一である)
で表される化合物と反応させ、下記式(III):
【化6】

(式中、A、Rc及びRは前記請求項1の定義と同一である)
で表される化合物とした後、次いで脱保護をすることを特徴とする下記式(IV):
【化7】

(式中、Ra及びRは前記請求項1の定義と同一である)
で表される3−O−アシル又はアルキル置換−カテキン類誘導体の製造方法。
【請求項3】
下記式(I):
【化8】

(式中、Raは水素原子又は水酸基を表す)
で表されるカテキン類に、塩基の存在下、次式:
A−X
(式中、A及びXは前記請求項1の定義と同一である)
で示される化合物と反応させ、式(I)のフェノール性水酸基に選択的に保護基を導入した次式(II):
【化9】

(式中、A及びRcは前記請求項1の定義と同一である)
で表される化合物とし、次いで下記式:
R−Y
(式中、R及びYは前記請求項1の定義と同一である)
で表される化合物と反応させることを特徴とする、下記式(III):
【化10】

(式中、A、Rc及びRは前記請求項1の定義と同一である)
で表される化合物の製造方法。
【請求項4】
下記式(I):
【化11】

(式中、Raは水素原子又は水酸基を表す)
で表されるカテキン類に、塩基の存在下、次式:
A−X
(式中、A及びXは前記請求項1の定義と同一である)
で示される化合物と反応させ、式(I)のフェノール性水酸基に選択的に保護基を導入した次式(II):
【化12】

(式中、A及びRcは、前記請求項1の定義と同一である)
で表される化合物の製造方法。
【請求項5】
式中、Aがシリル保護基である請求項1〜4に記載の製造方法。
【請求項6】
シリル保護基が、t−ブチルジメチルシリル基である請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
式(III)の化合物から式(IV)の化合物への脱保護を、溶媒中、酢酸の存在下、テトラブチルアンモニウムフルオリドを用いて行うことを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項8】
式(II)の化合物を単離することなく式(III)への誘導をワンポットで反応させる請求項1又は3に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−7272(P2009−7272A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168786(P2007−168786)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年3月5日 社団法人 日本薬学会発行の「日本薬学会第127回年会 講演要旨集」に発表
【出願人】(000236920)富山県 (197)
【出願人】(594105224)東亜薬品株式会社 (15)
【Fターム(参考)】