説明

3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジン、4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール、および(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールの製造方法

本発明は、式14の化合物3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンの製造方法であって、ここで
a)式6の化合物3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジン、および式13の化合物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールを非プロトン性溶媒に溶解し、その後アルコキシド塩基を加えて、式14の化合物をもたらす、上記方法を提供する。
本発明はまた、3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンおよび(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬力学的に有用なmGluR5アンタゴニストである3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンの、ラージスケールでの新規な製造方法に関する。本発明はまた、3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンの製造工程における中間体化合物である、3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンおよび(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールの、ラージスケールでの新規製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンは、mGluR5受容体のアンタゴニストである。従って、この化合物は、神経学的障害、精神医学的障害、胃腸障害、ならびに慢性および急性疼痛性障害のようなmGluR5受容体媒介性障害の治療に非常に適切であると思われる。本化合物および類似化合物は特許文献1および特許文献2に開示されている。さらに特許文献2は、3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンの、3段階の製造方法を記載する。特許文献1は、(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールの6段階の製造方法、ならびに最終生成物3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンの合成を開示する。
【0003】
特許文献1および特許文献2の方法は、ラボスケールに適した複雑な多段階プロセスである。従って、ラージスケールで実施することが可能であり、理想的には単純で、コスト効率がよくかつ環境に有害な影響を与えない改良プロセスが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2009/051556
【特許文献2】WO2005/080356
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の局面において、本発明は、式14の化合物3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジン
【化1】

の製造方法であって、ここで
a)式6の化合物3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジン
【化2】

および式13の化合物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノール
【化3】

を非プロトン性溶媒に溶解し、その後塩基を加えて式14の化合物を得る方法を提供する。
【0006】
本発明に従い有用であろう非プロトン性溶媒の例は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、DMSO、アセトニトリル、スルホランまたは酢酸イソプロピルである。
【0007】
本発明に従い有用であろう塩基の例は、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−アミラート、ナトリウムtert−アミラートもしくはカリウムtert−アミラートのようなアルコキシド塩基、または水素化ナトリウムもしくは水素化カリウムのような水素化物塩基である。
【0008】
好ましくは、3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンは、酢酸イソプロピルからの結晶化により精製される。
【0009】
第2の局面において、本発明は、式5の化合物4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール
【化4】

の製造方法であって、
i) 第1の溶媒にニコチン酸ヒドラジドを溶解する工程;
ii) 変換が完了するまで、工程i)の溶液にイソシアネートを添加する工程;
iii) 工程ii)で生じた混合物に塩基を加え、式4の化合物4−メチル−5−ピリジン−3−イル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン
【化5】

をもたらす工程;
iv) 工程iii)の反応混合物にヨウ化メチルを加える工程;
を含み、ここで
工程i)−v)を、中間体の単離なしに行ない;
式5の化合物4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾールをもたらす、方法を提供する。
【0010】
好ましくは、この第1の溶媒は、n−ブタノールおよび水の群より選択される。
【0011】
好ましくは、このイソシアネートはメチルイソシアネートである。
【0012】
好ましくは、この塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびトリブチルアミンの群より選択される。
【0013】
特に好ましい実施態様において、第一の溶媒はn−ブタノールであり、イソシアネートはメチルイソシアネートであり、塩基はトリブチルアミンである。
【0014】
好ましい実施態様において、工程v)の後に以下の、
vi)式5の化合物4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾールを酸水溶液に溶解する工程;
vii)タングステートナトリウム二水和物のようなタングステン酸塩を加えて、そのタングステートを式5の4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾールと反応させる工程;
viii)反応のpHを上げて式4の化合物3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンの沈殿物を生じさせ、その後回収する工程;
を行なう。
【0015】
好ましい実施態様において、該酸性水溶液は希硫酸溶液である。
【0016】
好ましくは、工程vii)は、過酸化水素の存在下で行なう。反応が完了したときに、過剰な過酸化物をクエンチするために、亜硫酸ナトリウムのようなスルファイトを加えることもまた好ましい。工程viii)において水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような強塩基を加えることによりpHを上げることもまた好ましい。工程ix)において濾過または遠心分離により3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンを回収することもまた好ましい。
【0017】
第3の局面において、本発明は式13の化合物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールの製造方法であって:
【化6】

aa)(S)−2−メチル−CBS−オキサボロリジンおよびボランまたはボラン錯体を、適した溶媒に溶解し;その後
bb) 式12の化合物1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノンをその混合物に加えて;
式13の化合物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールをもたらす、方法を提供する。
【0018】
好ましくは、前記工程aa)におけるボランまたはボラン錯体は、ボラン−ジメチルスルフィド錯体である。ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−トリメチルアミン錯体およびボラン−N,N−ジエチルアニリン錯体のような代替的なボラン源が本方法中で用いられ得る。好ましくは、適した溶媒はテトラヒドロフランまたは2−メチルテトラヒドロフランである。
【0019】
(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールの形成が完了した後、メタノールのようなアルコールを加えることによって過剰なボランをクエンチすることが好ましい。
【0020】
好ましくは、化合物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールは、この反応物を水溶液で抽出することにより回収される。好ましくは、前出の水溶液は塩酸の水溶液である。
【0021】
あるいは、化合物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールは、アルコール脱水素酵素ならびにNADHおよびNADPHの群より選択される補因子(これらの補因子は前出のアルコール脱水素酵素に適切である)を用いて酵素学的に生成され得、以下の工程を包含する:
AA) 1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノンならびにNADHおよびNADPHの群より選択される適切な補因子を提供する工程;
BB) 該1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノンおよび該適切な補因子を、より低級なアルコールと水性緩衝溶液の懸濁液とに溶解させる工程;
CC) 適切なアルコール脱水素酵素の沈殿物を加え、得られた混合物のpHを4.9−8.0の範囲内に維持する工程;
DD) tert−ブチルメチルエーテルのような有機溶媒を加える工程;および
EE) その有機相から(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールを回収する工程。
【0022】
好ましい実施態様において、前出のより低級なアルコールはイソプロパノールである。緩衝溶液が塩酸トリエタノールアミンおよび塩化マグネシウムを含有することもまた好ましい。
【0023】
好ましい実施態様において、前出のアルコール脱水素酵素はIEP GmbH、DEによって製造されているIEP Ox58と呼ばれるアルコール脱水素酵素であり、DSM pharmaceutical products、Geleen、NLより入手可能である。しかし、補因子としてNADHまたはNADPHを有し、1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールの(R)異性体を生成し得るアルコール脱水素酵素(EC 1.1.1.1、CAS9031−72−5)は全て用いることができる。好ましくは、この酵素はまたイソプロパノールをアセトンに酸化することによって、1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノンの還元の間に消費される補因子を再利用することができるはずである。
【0024】
工程dd)における有機溶媒は、好ましくはtert−ブチル−メチルエーテルであるが、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランおよびジエチルエーテルのような他のエーテルもまた用いることができる。
【0025】
あるいは、(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールは、以下の工程を包含する非対称性の水素付加によって製造され得る:
1) 溶媒および触媒量の遷移金属ベースの触媒(例えばベンゼンルテニウム(II)クロリドダイマーをS−Xyl−BINAPおよびS−DAIPENと組み合わせてか、またはS−Xyl−SegphosをS−DAIPENと組み合わせてか、またはRR−Cyl−C*−ThunefosをS−DAIPENと組み合わせて)を含む適切な反応培地に、2−プロパノールに溶かしたカリウムtert−ブトキシドのような強塩基の存在下で1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノンを加える工程
2) 1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノンを高圧下で水素と反応させる工程。
【0026】
本発明の詳細な説明
従って、本発明は3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンの製造方法を提供する。この方法は、それぞれ中間体3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンおよび(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールを導く2つの別々の部分に分けられる。本方法の最終工程において、これらの中間体は互いに反応して、3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンを形成する。
【0027】
3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンの合成は、以下のスキーム1に概説される:
【化7】

【0028】
この方法は、ニコチン酸ヒドラジド(1)およびイソチオシアネート(例えばメチルイソチオシアネート)(2)を、水および低級アルコール(例えばn−ブタノール)の群より選択される溶媒に加えることによって開始される。反応が完了したら、生じたカルバジド(3)を、中間体を単離することなくアルカリ条件に曝露させることで4−メチル−5−ピリジン−3−イル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン(4)が形成される。次いでヨウ化メチルを、中間体を単離することなく得られた反応物に加えることで、3−[4−メチル−5−(メチルチオ)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−ピリジン(5)を形成がされ、次の工程前に単離される。
【0029】
溶媒として水が用いられる場合には、水酸化ナトリウムがpHを増加させるためにカルバジド(3)を含む反応混合物に加えられる。スルフィド(5)は、単離され、ジクロロメタンでの抽出および引き続くn−ヘプタン中での沈殿により精製される。より好ましい実施態様において、n−ブタノールが溶媒として用いられる。この場合においては、反応混合物を含有するカルバジド(3)のpHは、トリブチルアミンを加えることにより上げられる。さらに、スルフィド(5)は、任意のアンチソルベントを加えることなくその反応混合物から直接的に沈殿され、濾過により単離することができる。
【0030】
スルフィド(5)は、硫酸水溶液に加えられてタングステン酸ナトリウム二水和物のようなタングステートと反応する。この溶液が過酸化水素も含有していることが好ましい。この反応が完了したら、過剰な過酸化水素は亜硫酸水素ナトリウムのようなビスルファイトを加えることによりクエンチされる。その後、得られた反応媒体のpHはNaOHなどのアルカリ剤を加えることによりpH3−4に調節される。このpH調製により、3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジン(6)が沈殿する。
【0031】
(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールの製造方法は、以下のスキーム2に開示される:
【化8】

【0032】
1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノン(12)の形成までの最初の工程は、米国仮出願60/981,294に開示されている。m−トルイジン(7)、亜硫酸ナトリウムおよび酢酸ナトリウムがエタノール、水および塩酸の混合物中に5℃未満の温度で溶解される。次いで、エチル2−クロロ−アセトアセテート(8)が加えられ、m−トルイジン(7)と室温で反応される。生じたエチル(2Z)−クロロ−[(3−メチルフェニル)−ヒドラゾノ]アセテート(9)は、2−メチルテトラヒドロフランでの抽出により得られ、メチルテトラヒドロフラン相は、中間体の単離をすることなくそれ自体次の工程に用いられる。水酸化アンモニウムの水溶液は、2−メチルテトラヒドロフラン相と接触してエチル(2Z)−アミノ−[(3−メチルフェニル)−ヒドラゾノ]−アセテート(10)を形成する。この水相は廃棄され、中間化合物(10)は、アンチソルベントとしてn−ヘプタンを用いて2−メチルテトラヒドロフラン相より沈殿される。前出のエチル(2Z)−アミノ−[(3−メチルフェニル)−ヒドラゾノ]−アセテート(10)は、2−メチルテトラヒドロフランと酢酸の混合物中に溶解され、得られた混合物は亜硝酸ナトリウム水溶液と接触され、エチル2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−カルボキシレート(11)を形成する。この水相は廃棄され、トルエン/テトラヒドロフランに溶かした臭化メチルマグネシウムとトリエチルアミンの混合物が有機相に加えられて1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テ
トラゾール−5−イル]−エタノン(12)が形成する。この反応混合物は酢酸の2−メチルテトラヒドロフラン溶液によってクエンチされ、その後水と炭酸カリウム水溶液で洗浄される。この水相は廃棄され、有機相は濃縮されて中間化合物(12)が沈殿される。次いで、中間化合物(12)は(S)−2−メチル−CBSオキサボロリジンとボランまたはボラン錯体との混合物に加えられ、(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノール(13)がその反応物から回収される。
【0033】
あるいは、1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノン(12)およびNADHは、イソプロパノールのようなより低級のアルコールと、pHを4.9−8.0の範囲に維持することのできる水性緩衝溶液との混合物に加えられる。アルコール脱水素酵素(EC1.1.1.1、CAS9031−72−5)製剤(好ましくは、IEP GmbH、DEによって製造され、DSM pharmaceutical products、Geleen、NLより入手されるIEP Ox58と呼ばれる製剤)が加えられ、(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノール(13)が形成される。この生成物は、tert−ブチルメチルエーテルまたは同様のエーテルのような有機溶媒での抽出により回収され、水相は廃棄され、最終的には有機溶媒はエバポレーションにより除去される。
【0034】
3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンの製造方法は、以下のスキーム3に図示される:
【化9】

【0035】
最終工程において、3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンおよび(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールは、テトラヒドロフランに溶解される。テトラヒドロフランに溶かしたカリウムtert−ブトキシドが加えられ、最終生成物3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジン(14)が形成される。これは、通常、例えば再結晶によりさらに精製される。この場合における適切な溶媒は、酢酸イソプロピルである。
【実施例】
【0036】
ここで、本発明を以下の実施例を参照しながら明らかにする。これらの実施例は参考の目的であり、本発明の範囲を限定する意図ではない。
【0037】
参照実施例1: 1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノン(化合物12)の製造
m−トルイジン(6.86g、63.38mmol)(7)を、エタノール(20ml)、水(7ml)および37%の塩酸(13ml、158mmol)に溶解し、その溶液を−5℃に冷却した。水(14ml)中の亜硝酸ナトリウム(4.96g、69.72mmol)溶液を、反応温度を5℃未満に維持しながら反応混合物に加え、次いで水(31ml)中の酢酸ナトリウム(15.60g、190.14mmol)溶液を、反応温度を0℃未満に維持しながら加えた。エチル2−クロロアセトアセテート(10.87g、63.38mmol)(8)を加え、反応混合物を27℃で一晩攪拌した。2−メチルテトラヒドロフラン(27ml)を加え、反応温度を40℃に調整し、下部の水相を廃棄して、エチル(2Z)−クロロ−[(3−メチルフェニル)−ヒドラゾノ]アセテート(9)の溶液それ自体を次の工程に用いた。
水酸化アンモニウム(25%水溶液、29ml、393mmol)を0℃で加え、それから混合物を17℃に2時間加温した。水相を廃棄し、2−メチルテトラヒドロフラン(14ml)を加えた。同体積の溶媒を、減圧下50℃にて蒸留した。この手順を21mlの2−メチルテトラヒドロフランを用いて繰り返し、溶液を27mlに濃縮した。温度を30℃に調整した後、n−ヘプタン(27ml)を加え、溶液を4時間で5℃に冷却し、その上に別のn−ヘプタン(27ml)を、生じたスラリーに加えた。生成物を濾過により単離し、n−ヘプタン(27ml)で洗浄し、減圧下40℃で乾燥させて11.19gのエチル(2Z)−アミノ−[(3−メチルフェニル)−ヒドラゾノ]−アセテート(10)を黄褐色粉末として2工程で72%の収率で得た。
【0038】
水(22ml)中の亜硝酸ナトリウム(3.94g、46.17mmol)溶液を、1時間かけて70℃に維持した2−メチルテトラヒドロフラン(112ml)および酢酸(11ml、185mmol)中のエチル(2Z)−アミノ−[(3−メチルフェニル)−ヒドラゾノ]−アセテート(10)(11.19g、48.70mmol)溶液に滴下して加えた。溶液を35℃に冷却し、水相を廃棄した。有機相を、水(22ml)で洗浄し、引き続き水(45ml)に溶かした炭酸カリウム(15.95g、115.44mmol)で洗浄した。有機相を減圧下50℃で50%だけ濃縮した。エチル2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−カルボキシレート(11)を含有する溶液それ自体を次の工程に用いた。
【0039】
トルエン/THF(3/1)(59.4ml、83.11mmol)中の臭化メチルマグネシウム1.4Mに、トリエチルアミン(35ml、249mmol)を周囲温度(ambient temperature)で加えた。混合物を−20℃に冷却し、内部温度を−10℃未満に保ちながら上述のエチル2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−カルボキシレート(11)の溶液に滴下して加えた。この混合物を、反応温度を0℃未満に保ちながら2−メチルテトラヒドロフラン(45ml)中の酢酸(26ml、462mmol)に、加えることにより、反応混合物をクエンチした。添加が完了した後、混合物を50℃に温め、水相を廃棄した。有機相を、水(45ml)で洗浄し、引き続き水(45ml)に溶かした炭酸カリウム(10.2g、73.9mmol)で洗浄した。有機相を減圧下で50℃にて20mlに濃縮し、イソプロパノール(60ml)を加え、次いで4時間に亘って5℃に冷却した。生成物を濾過により単離し、冷却したイソプロパノール(22ml)で洗浄し、減圧下40℃で乾燥させて1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノン(12)、5.46gを2工程で57%の収率で得た。
【0040】
実施例2: (1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノール(化合物13)を得るための1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノンの酵素還元
水中に100mMのトリエタノールアミンおよび2mMの塩化マグネシウムを含む緩衝溶液を調製し、NaOH水溶液でpHを8.0に調整した。
20gの1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノン(12)および12mgのNADHを40mlのイソプロパノールに混合し、50mlの緩衝溶液(上述参照)を加えた。次いで、5mlの酵素製剤IEP Ox58(IEP GmbHにより製造され、DSM pharmaceutical products、Geleen、NLより入手可能)を加えて、形成した懸濁液のpHを1MのNaOHを加えることにより8.0に調整した。懸濁液を25℃で一晩、変換が完了するまで攪拌した。混合物を375mlのtert−ブチルメチルエーテルで希釈し、125mlの水を加えた。混合物を攪拌し、水相を廃棄した。有機相を水中の3wt% NaCl 125mlで4回洗浄した。有機相をハイフロ(Hyflo)の床を通して濾過し、50mlのtert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。有機相を真空で濃縮し、19.9g、99%の所望生成物を褐色オイルとして単離した。
【0041】
実施例3: 水中の4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール(化合物5)の製造
ニコチン酸ヒドラジド(900g、6.56モル、1当量)、メチルイソチオシアネート(480g、6.56モル、1当量)および水(4.15L、5相対体積)を10Lの反応器に入れ、その混合物を、完全な変換が得られるまで60℃で攪拌した。水酸化ナトリウム(45%w/w)(700g、7.88モル、500ml、1.2当量)を30分間で加え、形成したスラリーが溶液状態にし、その溶液を2時間60℃に保った後、20時間冷却した。ヨウ化メチル(1123g、7.91mol、1.21当量)を反応混合物に加え、1時間の反応時間後に完全な変換が得られた。次いで、ジクロロメタン(2.7L、3相対体積)を加え、混合物を30分間攪拌した。有機相を分離し、水相をジクロロメタン(2x2.7L)で二度洗浄した。有機相を合わせて、水相を廃棄した。有機相を減圧下40℃で総体積4Lに濃縮し、温度を0℃まで調整した。n−ヘプタン(1.8L、2相対体積)を2時間で加え、スラリーを8時間攪拌し、n−ヘプタン(2.7L、3相対体積)の第2の部分を加えた。スラリーを1時間熟成し(aged)、生成物を濾過により単離した。濾過ケークをヘプタン(2x1L)で二度洗浄し、生成物を減圧下40℃で乾燥させて820gが得られ、64%および95.8%の質量パーセント濃度(%w/w strength)ならびに98%のクロマトグラフ純度であった。
【0042】
実施例4: n−ブタノール中の4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール(化合物5)の製造
ニコチン酸ヒドラジド(80g、583mmol)のn−ブタノール(280ml)温溶液に、メチルイソチオシアネート(43.5g、583mmol)のn−ブタノール(120ml)溶液をゆっくりと加えた。反応混合物を、3時間80℃に維持し、チオカルバジドへ完全に変換させた。反応混合物にトリブチルアミン(171ml、700mmol)を加え、反応混合物を、チオンへの完全な変換が見られるまで、80℃に9時間維持した。反応混合物を20℃に冷却し、ヨウ化メチルをゆっくりと加え、反応混合物を1時間攪拌した。スルフィドへの完全な変換後、スラリーを4時間に亘って0℃に冷却し、沈殿を濾過により単離し、酢酸イソプロピル(2*320ml)で洗浄し、減圧下乾燥して4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール(91.6g、76% 収率)を白色固体として得た。
【0043】
実施例5: 4−メチル−3−メチルスルホニル−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール(化合物6)の製造
4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール(10g、48.48mmol)を、タングステン酸ナトリウム二水和物(0.31g、0.97mmol)、水(40ml)および硫酸(2.63ml、48.48mmol)と混合した。混合物を50℃に温め、過酸化水素(9.13ml、106.66mmol)を5時間かけて加えた。39%の亜硫酸水素ナトリウム水(1.93ml、9.7mmol)を加えて過剰な過酸化物をクエンチした場合は、溶液を完了まで攪拌し続けた。水(40ml)およびメタノール(10ml)を加えた後、30分間で45%のNaOH(4.33ml、82.42mmol)を加えた。生じた透明の溶液に、4−メチル−3−メチルスルホニル−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール(100mg)の種結晶を入れ、45%の水酸化ナトリウム(0.39ml、7.27mmol)を30分間にわたって加えた場合は、50℃で1時間維持した。混合物をさらに5時間50℃で維持し、その後10時間で10℃に冷却した。生成物を単離し、水(20ml)で洗浄し、その後イソプロパノール(20ml)で洗浄して4−メチル−3−メチルスルホニル−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール(8.16g、70%収率)を白色固体として得た。
【0044】
実施例6: 3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジン(化合物14)の製造
4−メチル−3−メチルスルホニル−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール(12.2g、51.0mmol)および(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノール(10.0g、48.6mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)中の混合物に、25℃で1Mのカリウム テトラヒドロフラン(51ml、48.6mmol)中のtert−ブトキシド溶液を1時間かけて加えた。反応混合物を出発物質の消費が完了するまで維持し、水(30ml)中の塩化ナトリウム(6.0g)および37% 塩酸(0.4ml)の溶液を加えることによってその混合物をクエンチした。水相を廃棄し、有機相をさらなるNaCl溶液(30mlの水中6.0g)で2度洗浄した。相対体積が約3になるまで有機相を濃縮し、酢酸イソプロピル(80ml)を加えて、溶液を相対体積が約3になるまで濃縮した。酢酸イソプロピル(70ml)を加え、温度を70℃に調整し、溶液を濾過して固体不純物を除去した。溶液を50℃に冷却し、表題化合物(10mg 0.1w/w%)の種結晶を入れた。溶液を50℃で1時間維持し、その後5時間に亘って10℃に冷却した。生成物を単離し、酢酸イソプロピル(20ml)で洗浄し、減圧下40℃で乾燥して3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジン(14.4g、80%収率)を得た。
【0045】
実施例7: (1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノール)(化合物13)の非酵素的製造
(S)−2−メチル−CBS−オキサボロリジン(16.3ml(16.3mmol、トルエンに溶かした1M溶液)およびボランジメチルスルフィド(9.25ml 97.5mmol)を混合して18mlの2−メチルテトラヒドロフランで希釈した。生じた溶液を45℃に加熱した。1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノン(32.8g、162.3mmol)を395mlの2−メチルテトラヒドロフランに溶かした溶液を、CBS−ボラン溶液に約3.5時間かけて加えた。反応はケトン溶液の添加後に完全な変換に到達した。次いで内部温度を15℃に設定し、41mlのメタノールを加えて過剰なボランをクエンチした。次いでクエンチした反応混合物を42mlの6M HClで抽出した。温度を25℃に調整し、その後115mlの水を加え、相を分離して、水相を廃棄した。有機相を120mlの水で抽出し、相を分離するにまかせ水相を廃棄し、有機相を減圧下で濃縮して、31.7gの所望生成物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノール)を84%eeで得た。
【0046】
実施例8: 流通反応器を用いた1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル)]−エタノン(化合物12)の製造
反応は、Alfa Laval(アルファ・ラバル)製のPL37/3−12プレートを備えたART PR37で行なった。
図1は、それぞれ以下に記載されるような溶液1、2および3の各々が、どのようにPL37/3−12プレートを備えるART PR37に供給されるかを示しており、N1−N8が入口ポートである。最終生成物は出口の「採取」にて採取される。
【0047】
3つの出発溶液は以下を用いた:
溶液1:
エチル2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−カルボキシレート(27.0g、115.0mmol、12.4wt%)、トリエチルアミン(56.1ml、402.5mmol、18.9wt%)および2−メチルテトラヒドロフラン(68.7wt%)を、15.2g/minの流量で、ポートP1で注入した。
溶液2
1.4Mの臭化メチルマグネシウム溶液(98.6ml、138.0当量)を、7.1g/minの流量で、ポートN1で注入した。
溶液3:
酢酸(308ml、1.79mol、36.1wt%)、2−メチルテトラヒドロフラン(29.5wt%)、水(34.4wt%)を、21.6g/minの流量で、ポートN8で注入した。
【0048】
圧力を17barに設定し、マントル温度は0℃であった。これによりポートN2において10℃の温度がもたらされた。反応溶液を、約9.6g、41.2mmolのエチル2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−カルボキシレートが反応した、約5分間で集めた。反応溶液をHPLCにより254nmで分析して、以下の結果をもたらした:
1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル)]−エタノン:84.3面積%、tert−アルコール副生成物:13面積%およびアルドール副生成物:2.4面積%。
【0049】
水相を廃棄し、有機相を水(50ml)で洗浄して、その後pHを飽和炭酸カリウム溶液でpH7に調整した。水相を廃棄し、有機相を減圧下28gに濃縮した。その濃縮液にイソプロパノール(74ml)を加え、混合物を55℃に加熱すると透明な溶液を生じ、それを3時間20℃に冷却した。生成物を濾過によって単離し、イソプロパノール(25ml)で洗浄し、減圧下40℃で乾燥させて1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル)]−エタノンを6.45g、76%の収率で生じた。
【0050】
実施例9: (1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールを得るための、1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノンの触媒エタンチオ選択的水素付加
不活性雰囲気下でジメチルアミド中の8mMのベンゼンルテニウム(II)クロリドダイマー(65μl、0.5μmol)を、トルエン/テトラヒドロフラン(10:6)中の27.5mMの1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノン(43μl)、R−Xyl−BINAP(0.7mg、1.0μmol)およびジメチルホルムアミド(100μl)と混合した。混合物を100℃で1時間攪拌し、その後30℃に冷却した。混合物にトルエン中の22mMのR−DAIPEN(45.5μl、1.0μmol)を加えた。イソプロパノール中のカリウムtert−ブトキシド(450μl、5mg/ml)を加えた場合は、混合物を30℃で1時間攪拌した。2分後、1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノン(20.0mg、98.9μmol)を加え、反応混合物を50barの水素圧に加圧し、1時間攪拌した。反応液をサンプリングすると、99%のエナンチオ選択性で(1S)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールの形成を示した。
【0051】
R−Xyl−SegphosおよびR−DAIPENの組み合わせにより、99%のエナンチオ選択性で(1S)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールをもたらした。
【0052】
R ax、SS−Xyl−C*−ThunefosおよびR−DAIPENの組み合わせにより、99%のエナンチオ選択性で(1S)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールをもたらした。
【0053】
CTH−C3−ThunefosおよびR,R−DACHの組み合わせにより、98%のエナンチオ選択性で(1S)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールをもたらし。
【0054】
R−Xyl−BINAPおよびR−DPENの組み合わせにより、97%のエナンチオ選択性で(1S)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールをもたらした。
【0055】
R−Xyl−BINAPおよびR,R−DACHの組み合わせにより、97%のエナンチオ選択性で(1S)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールをもたらした。
【0056】
R−Xyl−SegphosおよびR−DPENの組み合わせにより、97%のエナンチオ選択性で(1S)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールをもたらした。
【0057】
触媒の他のエナンチオマーの使用は、(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノールをもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】特定の溶液1、2および3の各々がどのようにPL37/3−12プレートを備えるART PR37に供給されるかを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式14の化合物3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジン
【化1】

の製造方法であって、ここで
a)式6の化合物3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジン
【化2】

および式13の化合物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]−エタノール
【化3】

を非プロトン性溶媒に溶解し、その後塩基を加えて式14の化合物をもたらす、
上記方法。
【請求項2】
非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、DMSO、アセトニトリル、スルホラン、または酢酸イソプロピルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩基がアルコキシド塩基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アルコキシド塩基が、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−アミラート、ナトリウムtert−アミラートまたはカリウムtert−アミラートのうちのいずれか1つより選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
塩基が水素化物塩基である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
水素化物塩基が水素化ナトリウムまたは水素化カリウムである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酢酸イソプロピルからの結晶化により式14の化合物3−{4−メチル−5−[(1R)−1−(2−(3−メチルフェニル−2H−テトラゾール−5−イル)−エトキシ]−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル}−ピリジンを精製する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式5の化合物4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール
【化4】

の製造方法であって:
i) 第1の溶媒にニコチン酸ヒドラジドを溶解する工程;
ii) 変換が完了するまで、工程i)の溶液にイソシアネートを添加する工程;
iii) 工程ii)で生じた混合物に塩基を加え、式4の化合物4−メチル−5−ピリジン−3−イル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン
【化5】

をもたらす工程;
iv) 工程iii)の反応混合物にヨウ化メチルを加える工程;
を含み;ここで
工程i)−v)を、中間体の単離なしに行ない;
式5の化合物4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾールをもたらす、上記方法。
【請求項9】
第1の溶媒がn−ブタノールまたは水である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
イソシアネートがメチルイソシアネートである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびトリブチルアミンからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
第1の溶媒がn−ブタノールであり、イソシアネートがメチルイソシアネートであり、そして塩基がトリブチルアミンである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
工程v)の後に以下の、
vi)式5の化合物4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾールを酸水溶液に溶解する工程;
vii)タングステートを加えて、式5の化合物4−メチル−3−メチルチオ−5−(3−ピリジル)−1,2,4−トリアゾールと反応させる工程;
viii)反応のpHを上げて式4の化合物3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンの沈殿物を生じさせ、その後回収する工程;
を行なう、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
タングステートがタングステン酸ナトリウム二水和物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
酸性水溶液が希硫酸溶液である、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法であって、
工程vii)を過酸化水素の存在下に行なうこと;
反応が完了したとき、過剰な過酸化物をクエンチするために亜硫酸ナトリウムのようなスルファイトを加えること;
工程viii)において水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような強塩基を加えることによりpHを上げること;および
式5の化合物3−(5−メタンスルホニル−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−ピリジンを濾過により回収すること;
を特徴とする、上記方法。
【請求項17】
式13の化合物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールをもたらす方法であって:
【化6】

aa)(S)−2−メチル−CBS−オキサボロリジンおよびボランまたはボラン錯体を、適した溶媒に溶解し;その後
bb) 式12の化合物1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノンをその混合物に加えて;
式13の化合物(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールをもたらす、方法。
【請求項18】
工程aa)におけるボランまたはボラン錯体が、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−トリメチルアミン錯体およびボラン−N,N−ジエチルアニリン錯体の群より選択され、そして適した溶媒がテトラヒドロフランまたは2−メチルテトラヒドロフランである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールの形成が完了した後、アルコールを加えることによって過剰なボランをクエンチする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アルコールがメタノールである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
反応物を水溶液で抽出することにより、(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールを回収することを特徴とする、請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
水溶液が塩酸の水溶液である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
水の存在下または非存在下で、単一の結晶化溶媒として、または任意の組み合わせで、以下:
芳香族炭化水素(例えばトルエンおよびキシレン)、エーテル(例えば2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびtert−ブチルメチルエーテル)、アルカン(例えばn−ヘプタンおよびシクロヘキサン)、極性非プロトン性溶媒(例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド)
からなる群より選択される溶媒または溶媒混合物からの結晶化によって、(1R)−1−[2−(3−メチルフェニル)−2H−テトラゾール−5−イル]エタノールをさらに精製することを特徴とする、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−512868(P2012−512868A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542062(P2011−542062)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051406
【国際公開番号】WO2010/071559
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】