説明

3次元形状反射板

【課題】本発明は、均一で高輝度、且つ、軽量性を有した面光源を容易に製造することができる反射板、及び、その製造方法を提供する。
【解決手段】微細気泡を有した3次元形状の樹脂成形体からなる反射板とする。樹脂成形体は熱可塑性ポリエステルを50〜100重量%含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や電飾看板等に用いられる面光源に特に好適な反射板に関するものである。更に詳しくは、微細気泡を有した3次元形状の樹脂成形体からなることにより均一で高輝度、且つ、軽量性を有した、面光源を容易に製造することができる反射板及びこれを用いた光学装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や電飾看板は、表示を行う液晶パネル、文字・模様パネル等自体が発光体ではないために、背面部に面光源が備えられる。面光源は、液晶パネルや文字・模様パネルに対して背面より全面に渡って表示光を供給して所望の表示機能を発現させる。このような面光源には、光源の位置により直下型及びサイドライト型があるが、近年、増加している大型の液晶表示装置や電飾看板には、主として直下型が用いられている。
直下型では、線光源や点光源からの光束が、直接、或いは反射板により反射された後に、光を拡散させる効果がある拡散板に照射され、面光源となる。この際、明るさや色ムラの無い表示を行う為に、高輝度、且つ、均一輝度を有する面光源であること、及び軽量、薄型であることが望まれる。
【0003】
通常、線光源や点光源の光を面光源とするためには、光を乱反射させる拡散板と呼ばれる材料が用いられるが、更に、より均一、且つ、高輝度とするためには、拡散板の性能を向上させると共に、反射板の性能を向上させることが望ましい。
従来の反射板としては、断面が波板形状の白色塗装されたアルミ板製の反射板を用いる提案がある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この技術では塗料やアルミ板によって光が吸収されるとともに拡散反射性が不十分であるために、十分な輝度を得ることができないばかりか、輝度ムラを抑制することも困難である。
【0004】
このような不具合を改善するために、薄い発泡ポリエチレンテレフタレート等の高反射シートを張り合わせた金属板をプレス成形して波板形状の反射板として用いる提案等がある(例えば、特許文献2〜4参照)。しかしながら、この方法では金属版にシートを貼り合せ、しかも、プレス成形等の成形を行う必要があるために、複数の材料が必要となってコストアップとなったり、取付け作業の煩雑さ、振動試験等による量産化の弊害が発生する。また、薄い発泡ポリエチレンテレフタレート反射シートは、伸度が低いために折り曲げることはできるものの、3次元形状とすることは極めて困難である。
【0005】
拡散反射性の良好なシート単体を用いる方法として、発泡ポリエチレンテレフタレートシートに、蛍光管に平行な切込みを入れて折り曲げた、波型形状の反射板を用いる提案もある(例えば、特許文献5、6参照)。しかしながら、該提案では発泡シートを波板形状等に折り曲げることしかできないため、他の部品と組み合わせて使用する必要がある。また、部品を組み合わせた隙間から光が漏れて輝度が低下したり、切り目を入れたり、折り曲げたり、組み合わせたりといった煩雑な作業が発生する。また、組み合わせた際にできる角部が光の暗部となることを避けられない。
【0006】
この他の提案としては、5倍発泡、240℃の耐熱性を有したポリエチレンテレフタレートの微細発泡シートを熱成形して屈曲面を有した反射シートを用いる提案もある(例えば、特許文献7参照)。しかしながら、該提案のように240℃の耐熱性を有したシートを、気泡を維持しながら熱成形することは到底できるとは考えられず、具体的なシートの製造法及び成形法に関する記載は全く無い。
【0007】
また、仮に出来たとしても、折り曲げと同程度の2次元形状が限界と思われ、十分な輝度及び均一性を達成することは到底できないと考えられる。
このように、これまでの技術では、均一で高輝度、且つ、軽量、薄型の面光源を容易に製造することができる反射板を得ることはできない。
【特許文献1】特開平10−106342号公報
【特許文献2】特開平10−177805号公報
【特許文献3】特開2005−267852号公報
【特許文献4】特開2001−13880号公報
【特許文献5】特開2004−138715号公報
【特許文献6】特開2006−30423号公報
【特許文献7】特開2001−297613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、均一で高輝度、且つ、軽量性を有した、面光源を容易に製造することができる反射板、及びこの反射板を用いた光学装置等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、微細気泡を有した3次元形状の樹脂成形体からなる反射板とすることにより前記課題を達成できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
(1)微細気泡を有した3次元形状の樹脂成形体からなる反射板。
(2)3次元形状の樹脂成形体が、シート状成形体を一体成形したものである(1)に記載の反射板。
(3)表面積が投影面積の1.1〜10倍である(1)又は(2)に記載の反射板。
(4)見かけ密度が0.05〜1.25g/cm、平均気泡サイズが0.01〜100μmである樹脂成形体からなる(1)〜(3)のいずれか1つに記載の反射板。
(5)気泡の面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/Tが0.05〜10である(4)に記載の反射板。
(6)樹脂成形体が、熱可塑性ポリエステルを50〜100重量%含有する樹脂組成物から構成される(1)〜(5)のいずれかの1つに記載の反射板。
(7)熱可塑性ポリエステルの50〜100重量%がポリトリメチレンテレフタレートである(6)に記載の反射板。
【0010】
(8)樹脂成形体が、微細気泡を有するシート状成形体を熱成形したものである(1)〜(7)のいずれか1つに記載の反射板。
(9)微細気泡を有するシート状成形体が押出発泡成形されたものである(1)〜(8)のいずれかの1つに記載の反射板
(10)面光源用である(1)〜(9)のいずれか1つに記載の反射板
(11)上記(10)に記載の反射板を用いた面光源ユニット。
(12)上記(11)に記載の面光源ユニットを用いた液晶表示装置。
(13)上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の反射板を用いた電飾看板。
(14)上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の反射板を用いた照明。
【発明の効果】
【0011】
本発明の反射板は、微細気泡を有した3次元形状の樹脂成形体からなることにより、均一で高輝度、且つ、軽量性を有した面光源を容易に製造することができる。このため、液晶テレビ、特に大型の液晶テレビや、電飾看板、更には、屋外用の照明等等様々な用途へ有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の反射板は、微細気泡を有した、3次元形状の樹脂成形体からなる反射板である。
ここで3次元形状とは、折り曲げ部や曲率部等を展開しても平坦なシート状とならないものをいう。別の言い方をすると、平行な2箇所の切断面において、断面長さが異なる部位が存在し、球やラグビーボール状、円錐、三角錐等の一部を取り込んだような形状である。ここで厚みのある樹脂成形体の断面長さとは、切断した部位の表面長さをいう。このような形状とすることにより、光の進行方向を変えるだけではなく、ロスを最小限に抑えて光を集めたり、散らせたりすることが容易となり、均一で高輝度の面光源を製造することが容易になる。
【0013】
具体的な形状としては、蛍光管のような線光源を用いる場合では、蛍光管と平行に折り曲げるだけではなく、蛍光管の長さ方向の輝度ムラに応じて距離を変えた、断面積が長さ方向によって異なる半円筒状の形状やラグビーボールを半割したような形状が挙げられる。発行ダイオード(以下、「LED」、と略す)のような点光源では、すり鉢状や半球形と平面とを組み合わせた形状や、複数のLEDを包み込むようなラグビーボールを半分に割ったような形状が挙げられる。もちろんこれ以外に、光源の形状や要求に応じて適宜設計することができる。
このような3次元形状の樹脂成形体は、シート状成形体を一体成形したものであることが好ましく、接着・接合部や切り目、ノッチが無いことがより好ましい。このようにすることで、製造工程を短縮できるとともに、光漏れや光の吸収を抑えることが容易になる。
【0014】
ここでシート状とは、厚みに対して面方向に広がっていて、厚みが全面に渡って大きく異ならない形状をいう。最大厚みと最小厚みの比は3以下が好ましく、より好ましくは2以下である。平均厚みは0.1〜10mmであることが好ましい。平均厚みを0.1mm以上とすることにより取扱いが容易になり、10mm以下とすることにより製造が容易となる。厚みは0.2mm〜5mmがより好ましく、0.5mm〜3mmが更に好ましく、1mm〜2mmが最も好ましい。
また、鋭角的に曲げられていない曲面で構成された形状が好ましい。この場合の鋭角的でないとは、半径1mm以上、好ましくは半径2mm以上の曲面で構成されていることをいう。
【0015】
本発明に用いられる樹脂成形体は、表面積が投影面積の1.1〜10倍の範囲であることが好ましく、1.2〜5倍がより好ましく、1.3〜3倍が更に好ましく、1.5〜2倍が最も好ましい。この範囲とすることにより、成形が容易になると共に、均一で高輝度の反射板とすることが容易となる。なお、表面積は実測困難な場合は、金型の寸法より幾何学的に求めて代用する。
本発明の反射板は微細気泡を有した樹脂成形体である必要がある。
微細気泡を有することにより、気泡と樹脂の界面で光が乱反射されるために拡散反射することができるとともに反射率を向上させることができる。この結果、均一で輝度ムラのない面光源を得ることが容易になる。また、成形体の靭性も向上し、取扱いも容易になる。
【0016】
このような微細気泡を有した樹脂成形体は、見かけ密度が0.05〜1.25g/cm、且つ、平均気泡サイズが0.01〜100μmであることが好ましい。この範囲の密度、気泡サイズとすることにより、優れた光反射性、特に拡散反射性を有し、軽量性にも優れ、気泡の潰れが発生しにくいので軽量性を維持することが容易になる。ここで気泡の平均サイズは、シート断面を走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」、と略す)を用いて観察した断面画像より画像解析ソフトを用いて用いて計算した円相当径として求める。見かけ密度は0.1〜1g/cmであることが好ましく、0.15〜0.8g/cmがより好ましく、0.2〜0.7g/cmが最も好ましい。平均気泡サイズは0.05〜50μmであることが好ましく、0.1〜30μmがより好ましく、0.2〜20μmが最も好ましい。
【0017】
優れた光反射性を付与する上で、平均気泡サイズは、シート厚みの1/5以下であることが好ましく、1/10以下がより好ましく、1/50以下が更に好ましく、1/100以下が最も好ましい。
更に、本発明の発泡シート中の気泡は扁平でないことが好ましい。扁平でないことで気泡が潰れにくくなったり、折り目やキズが付きにくくなる。扁平でないことの指標としては、気泡の面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/Tを用いることができ、S/Tは0.05〜10が好ましく、0.1〜10であることがより好ましく、更に好ましくは0.5〜5、更に好ましくは0.7〜3、最も好ましくは1〜2である。
【0018】
本発明の樹脂成形体は、500〜700nmにおける平均光反射率が80%以上であることが好ましい。このような反射率とすることにより光学反射板としてより適するようになる。反射率は85%以上であることがより好ましく、90%以上が最も好ましい。なお、ここで光反射率とは、硫酸バリウム白色板の反射率を100%とした時の相対的な値を示す。
更に、本発明の樹脂成形体は色調が良好であることが好ましい。色調は、明度を表す指標であるL*が80以上であることが好ましく、85以上がより好ましく、90以上が最も好ましい。L*の上限は特に存在しないが、通常100以下となる。また黄色度を表す指標であるb*は−5〜10であることが好ましく、−3〜8がより好ましく、−2〜5が最も好ましい。
【0019】
本発明の樹脂成形体を高温環境で使用するためには、熱可塑性ポリエステル成分が結晶化していることが好ましい。この結果、高温での変形を抑えることができる。結晶化の程度としては、入力補償型示差熱量計(以下、「DSC」、と略す)にて熱分析を行った際に0〜150℃の間に観察される結晶化に由来する発熱ピークが5J/g以下であることが好ましく、3J/g以下がより好ましく、1J/g以下が更に好ましく、全く観察されないことが最も好ましい。
本発明の樹脂成形体を構成する樹脂としては、熱可塑性ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等の熱可塑性ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、熱可塑性のアクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイト等、及びこれらの共重合樹脂等が挙げられ、これらのうち、熱成形性を有し、熱変形温度が60℃以上のものが好ましい。
【0020】
このような樹脂のうち、本発明の樹脂成形体を構成する樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステルを50〜100重量%含有することが好ましい。ここで熱可塑性ポリエステルとは、熱により可塑化するポリエステルをいう。耐熱性及び樹脂成形体製造の容易性の観点から、熱可塑性ポリエステルの割合は70〜100重量%であることが好ましく、80〜100重量%がより好ましく、90〜100重量%が最も好ましい。
【0021】
本発明の熱可塑性ポリエステルとしては、耐熱性及び成形体製造の容易性に優れている点を考慮すると、テレフタル酸又はナフタレンジガルボン酸と、アルキレングリコールからなるポリアルキレンテレフタレート、及びポリアルキレンナフタレートが好ましく、この中でもポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」、と略す)、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、「PTT」、と略す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」、と略す)がより好ましい。これらの中でも、微細発泡を有した樹脂成形体を製造することが容易であり、熱成形性を有し、真空成形等の熱成形をすることにより優れた耐熱性、耐薬品性、耐候性を有する樹脂成形体を得ることのできるという観点から、熱可塑性ポリエステルの50〜100重量%がポリトリメチレンテレフタレートであることが特に好ましい。これは、第一に、PTT固有の適度な結晶化速度、第二に、化学的な反応性の低い飽和ポリエステルの一種であるというPTTの分子構造からくる化学的な安定性、第三に、ジグザグの分子骨格構造からくる結晶に由来すると考えられる。
【0022】
本発明の熱可塑性ポリエステルの重合度は固有粘度[η]を指標として0.5〜4dl/gの範囲であることが好ましい。固有粘度を0.5dl/g以上とすることにより発泡成形体を製造することが容易になるとともに、気泡サイズを微細にすることが容易になり、優れた強度、靭性を有する発泡成形体とすることが容易になる。一方、固有粘度を4dl/g以下とすることにより、樹脂組成物を成形することが容易になる。固有粘度[η]は0.7〜3dl/gの範囲がより好ましく、0.9〜2.5dl/gの範囲が更に好ましく、1.0〜2dl/gの範囲が最も好ましい。
【0023】
本発明の熱可塑性ポリエステルは、熱可塑性ポリエステル成分に対してカルボキシル末端基濃度が0〜80eq/トンであることが好ましい。この範囲にあると、成形体の耐候性、耐薬品性、耐加水分解性、及び耐熱性をより高めることができる。カルボキシル末端基濃度は0〜50eq/トンがより好ましく、0〜30eq/トンが更に好ましく、0〜20meq/kgが最も好ましく、低ければ低いほどよい。
【0024】
同様の理由より、熱可塑性ポリエステルのグリコール成分は、エーテル結合を介して結合したグリコール二量体成分の含有率が0〜2重量%であることが好ましい。グリコール二量体成分としては、PTTの場合は、ビス(3-ヒドロキシプロピル)エーテル成分(構造式:-OCHCHCHOCHCHCHO-、以下、「BPE」、と略す)、PETの場合はビス(ヒドロキシエチル)エーテル成分(構造式:-OCHCHOCHCHO-、以下、「BEE」、と略す)等がある。これらは0.1〜1.5重量%であることがより好ましく、0.15〜1.2重量%であることが最も好ましい。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル以外に各種の有機物質や無機物質及び各種添加剤を含んでいる場合も含む。このような場合でも、熱可塑性ポリエステルの割合は前記した範囲であることが好ましい。熱可塑性ポリエステルの割合は、溶媒としてHFIP:CDCl3=1:1を用いた1Hの核磁気共鳴スペクトル(以下、「NMR」、と略す)を用いた分析により求めることができる。この際、環状二量体を始めとした各種の熱可塑性ポリエステルオリゴマー(未反応モノマーを含む)や各種のグリコール二量体成分は熱可塑性ポリエステルの割合の中に含めて計算する。
【0026】
熱可塑性ポリエステル以外の有機物質としては、環状や線状の熱可塑性ポリエステルオリゴマー、熱可塑性ポリエステルを構成する酸成分やグリコール成分のモノマー及びこれらに由来する低分子量反応物、熱可塑性ポリエステル以外の樹脂、及び各種添加剤が挙げられる。
【0027】
これらの熱可塑性ポリエステル以外の物質は、粒子として存在する場合やポリマー分子と相溶して存在する場合があるが、本発明では、平均粒径が0.01〜100μmの粒子が熱可塑性ポリエステルに対して0.1〜30重量%含まれていることが好ましい。このような粒子が存在することにより微細な気泡を多数有することが容易になる。粒子は真球よりは扁平な板状や針状のものが好ましく、突起を有することも好ましい。粒子は熱可塑性ポリエステルとの相溶性が低く、接着性も低い材質でできたものが好ましい。具体的には、タルク、ポリテトラメチレンに代表されるフッ素系の樹脂、フッ素雲母、板状のアルミナ、層状ケイ酸塩等からなる粉体が挙げられ、このうち特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0028】
次に、本発明の3次元形状を有した樹脂成形体の製造方法について説明する。
本発明の樹脂成形体は、樹脂組成物から発泡シートを得た後、該シートを真空成形等の熱成形を行って得ることができる。
熱成形に用いる発泡シートは、熱可塑性ポリエステルを用いる場合、その結晶化度が20%以下であることが好ましい。結晶化度が20%以下の場合、熱成形を行うことがより容易になる。結晶化度は、広角X線回折により得られた回折図の結晶ピーク面積の総面積に対する比率より求めることができる。結晶化度は15%以下であることがより好ましく、10%以下が更に好ましく、5%以下が更により好ましく、0%(結晶ピークが全く観察されない)が最も好ましい。
【0029】
シートの厚みは、目的とする反射板の形状や厚みに応じて適宜選択することができる。
熱成形に用いる発泡シートの製造方法は特に限定されないが、例えば、溶融した樹脂組成物を、樹脂組成物の溶融温度で、常圧にて気体状態である特定の物質を特定量注入して混合・溶解した後、特定の条件にて口金より押出して成形するとともに注入した物質を発泡させ、すみやかに冷却固化する、「特殊溶融押出発泡法」により得ることができる。なお、ここで溶融物とは、樹脂組成物が流動性を有する状態になっていることをいい、溶融温度とは、樹脂組成物が流動開始する温度をいう。この場合、全ての成分が溶融している必要は無い。
【0030】
50〜100重量%が熱可塑性ポリエステルからなる樹脂組成物は、公知の方法により得ることができる。例えば、PTT組成物は、テレフタル酸ジメチルとトリメチレングリコール、及び必要に応じて他の共重合成分を原料とし、チタンテトラブトキシドを触媒として常法によって、常圧、180〜260℃の温度でエステル交換反応を行った後、減圧下、220〜270℃に重縮合反応を行うことにより得ることができる。
【0031】
発泡シートを製造する上で必要な添加物は、重合時に添加する方法、重合後に溶融混練等をして添加する方法、これらを組み合わせる方法等によって添加することができ、添加物の種類や量、要求される性能等により適宜選択することができる。溶融混練して各種の添加剤を添加する場合は、重合して得た樹脂組成物を冷却固化した後、或いは溶融状態のまま一軸、あるいは二軸の押出機等に各種添加剤とともに投入して行うことができる。
【0032】
「特殊溶融押出発泡法」において、樹脂組成物は、押出機の供給部に供給され、スクリューの回転により溶融され、口金より押出される。押出機としては、一軸あるいは二軸押出機、これらを2台以上直列につないだタンデム押出機等を用いることができる。押出機のスクリューは、適用する樹脂組成物の性質、注入する物質の性質に応じて最適なものを用いることが好ましい。押出機は、未溶融物が残らず、且つ、組成物の熱分解が抑制できる温度に設定することが望ましく、おおよそ樹脂組成物の融点+0〜30℃とすることが好ましく、融点+0〜20℃とすることがより好ましく、融点+0〜15℃とすることが最も好ましい。
【0033】
特殊溶融押出発泡法の場合、溶融物に、溶融温度の常圧にて気体状態である物質を注入する。注入する物質は、取扱いの容易さを考えると、常温、常圧でも気体状態であることが好ましい。具体的な例としては、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン、水等不活性化合物発泡剤、プロパン、ブタン、等脂肪族炭化水素系発泡剤、フロン(R−11、R−12)、代替フロン(R−134a)、CFC−11、CFC−12、CFC−113、CFC−114等のCFCシリーズのフロン(フレオン)ハロゲン化炭化水素系発泡剤等が挙げられる。これらのうち、シートの結晶化を進めないこと、及び気泡サイズを小さくするという観点からは窒素、ヘリウム、アルゴン、水が好ましく、特に窒素が好ましい。
【0034】
このような物質の注入量は、気泡を微細化させることとシートの表面状態を良好にするといった観点より0.01〜3重量%とすることが好ましい。注入量は0.02〜1重量%がより好ましく、0.05〜0.5重量%が最も好ましい。注入する方法は、押出機から口金の間であれば、いずれの時期でもよいが、押出機にて注入することが物質を均一に溶融物中に注入できるので好ましい。
樹脂組成物は、次いで口金より押出されてシート状の形状に成形されるとともに、圧力が開放されて注入した物質により発泡する。口金としては、Tダイ、Iダイと呼ばれるような直線状のスリットを用いることが好ましい。口金入口におけるの溶融物の圧力は5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上がより好ましい。
【0035】
特殊溶融押出発泡法では、シート状に成形され発泡した溶融物は、次いで、すみやかに冷却して固化させる。ここですみやかにとは、前記したシートの熱的特性を有するように冷却することを指し、具体的には、口金より押出してから結晶化温度以下にシートを冷却する時間を60秒以内とすることが好ましく、40秒以内とすることがより好ましく、20秒以内とすることが最も好ましい。非晶のシートを得る場合は、特にすみやかに冷却固化させることが重要となる。このような冷却固化を達成させる方法としては、溶融物を金属ロール上にキャストし、次いで水中にてすみやかに冷却固化する。接触させる固体や液体の温度は0〜50℃がより好ましく、0〜30℃が更に好ましく、0〜20℃が特に好ましい。口金より押出してから固体や液体に接触させるまでの時間は0.05〜10秒とすることが好ましく、0.1〜5秒がより好ましく、0.2〜2秒が最も好ましい。
【0036】
本発明の樹脂成形体は、前記したような発泡シートを熱成形することにより得ることができる。
成形体の形状は光源の形状や用途に応じて適宜設計する。
このような成形体を熱成形する方法としては、プレス成形、ストレート成形、ドレープ成形、プラグアシスト成形、真空成形、真空圧空成形、圧空成形等が挙げられるが、このうち真空圧空成形がより好ましい。
【0037】
以下、真空圧空成形における例を示す。
成形を行う際は、まずシートを30℃〜100℃の温度にヒーター輻射あるいは加熱板等の手段により加熱することが好ましい。シートを加熱することにより、シートを結晶化させずに軟化させることが容易になり、成形性や転写性が向上する。温度は35〜90℃がより好ましく、40〜80℃が更に好ましく、45〜70℃が最も好ましい。
【0038】
次に、シートを金型と接触させて成形する。この際の金型温度は60℃〜180℃とすることが好ましい。本発明においては、発泡シートは成形性を確保するために賦形時においてほぼ非晶状態であるが、賦形後は耐熱性を確保するために、成形体を結晶化させることが好ましい。そのためには、金型温度をある温度範囲にコントロールして成形体を結晶化させることが好ましい。成形体に十分な耐熱性を与えるために金型温度は65℃以上が好ましく、成形後に金型からの離形あるいは気泡の潰れを抑制するためには180℃以下とすることが好ましい。金型温度は80〜160℃がより好ましく、100〜150℃が最も好ましい。金型に接触させる時間としては1〜600秒であることが好ましく、2〜300秒がより好ましく、5〜200秒が更に好ましく、10〜100秒が最も好ましい。
【0039】
本発明の3次元形状の樹脂成形体からなる反射板は、様々な用途に使用することができるが、特に、液晶表示装置用のバックライトや電飾看板等の面光源に適している。
液晶表示装置は、2枚の透明基盤の間に液晶を封入し、電圧を印加することにより液晶分子の向きを変えて光透過率を変化させて所定の画像を光学的に表示する。この際、液晶自体が発光体ではないために、液晶パネルの背面部に光源として機能するバックライトと呼ばれる面光源が備えられる。本発明の3次元形状を有した樹脂成形体は、一次光源、拡散板と組み合わせることによってバックライトとすることができる。この際、成形体は、光を放出する側にある拡散板以外の部分を除いて、一次光源を囲むように、拡散板と対向する部分、及び側面に設置する。この結果、従来の平坦な反射板や折り曲げた反射板を用いた場合に比べて、高輝度、且つ、均一輝度を有すること、軽量、薄型とすることが容易になり、明るさや色ムラの無い表示を行うことが容易になる。
電飾看板の場合も、バックライト同様にして、本発明の成形体を反射板として設置し、光源、及び拡散板と組み合わせて作ることができる。
【実施例】
【0040】
本発明を実施例に基づいて説明する。
本発明に用いられる測定法は以下のとおりである。
(1)見かけ密度
成形体やシートを50℃で乾燥し、恒量値に達した時の重量を体積で除して求める。体積はシートを水中に浸漬して求める。
(2)平均気泡サイズ、及び面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/T
気泡の平均サイズ、及び面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/Tは、直行する2方向の成形体、又はシートの断面を走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」、と略す)を用いて観察した断面画像より画像解析ソフトを用いて求める。画像解析ソフトとして、株式会社プラネトロン社製のimage−Pro Plus ver.4.0を用いる。気泡の平均径は、気泡の断面を楕円に近似した相当楕円の長軸と単軸に投影された長さの平均値を、直行する2方向について平均して求める。SとTは、気泡の外接四角形(気泡全体を完全に囲み、シートの面方向と並行する辺を有する最小の矩形の、高さ、及び、幅の平均値を、直行する2方向について平均して求める。
【0041】
(3)平均光反射率
平均光反射率は、島津製作所製UV−2200を用い、入射角を8°ずらして500〜700nmの全反射率を10nm毎に測定し、その単純平均値を計算して求める。この際、硫酸バリウム粉末を100%として測定装置を調整する。
(4)色調色調(L値、b*値)
スガ試験機(株)のカラーコンピューターを用いて測定する。
(5)結晶化由来の発熱ピーク
結晶化由来の発熱ピークの有無、及び発熱ピーク面積は、成形体を、DSCにより0℃で3分間保持した後、10℃/minの設定昇温速度にて0℃から260℃まで昇温して熱分析を行って観察する。
【0042】
(6)熱可塑性ポリエステル含有率、PTT含有率、グリコール二量体成分の含有率
各成分の含有率(重量%)は、組成物100mgをHFIP:CDCl3=1:1に溶解させ、不溶成分をMEMBRANE FILTER(1μm、PTFE)で濾過した後の溶液を用いて、1H−NMR測定により求める。測定機は、FT−NMR DPX−400(Bruker社製)を用いる。濾過して取り除いた不溶成分は真空乾燥後重量を測定し、含有率を求める際に用いる。
(7)固有粘度[η]
固有粘度[η]は、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中での比粘度ηspと濃度C(g/100ミリリットル)の比ηsp/Cを濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求める。
[η]=lim (ηsp/C)
C→0
【0043】
(8)カルボキシル末端基濃度
組成物1gをベンジルアルコール25mlに溶解し、その後、クロロホルム25mlを加えた後、1/50Nの水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定を行い、滴定値VA(ml)とPTT組成物が無い場合のブランク値V0より、以下の式に従って求める。
カルボキシル末端基濃度(eq/トン)=(VA−V0)×20
(9)熱可塑性ポリエステルの結晶化度
結晶化度は、広角X線回折により得られた回折図の結晶ピーク面積の総面積に対する比率より求めた。ここで広角X線回折は以下の方法にて行う。
測定装置 : 広角X線回折装置ロータフレックス RU-200(理学電機株式会社(現株式会社リガク)製)
測定方法 : 反射法
X線強度 : 40kv、120mA
X線源 : CuKα線
スリット間隔 : DS=0.6、RS=0.3、SS=1
ゴニオメーター : 理学電機株式会社(現株式会社リガク)製
検出器 : シンチレーションカウンター
計数記録装置 : RINT2000、オンラインデータ処理システム
スキャン範囲 : 2θ=5〜40°
サンプリング間隔: 0.03°
積算時間 : 1秒
回折強度は、サンプルを測定して得た回折強度と空気散乱強度より以下の式に従って求めた真の回折強度を用いる。
真の回折強度 = サンプルの回折強度 − 空気散乱強度
【0044】
[実施例1]
固有粘度[η]が1.3dl/g、カルボキシル末端基濃度が10eq/トン、BPE含有率が0.9重量%のPTT99重量部に対して平均粒径5μmのPTFE1重量部を添加した融点225℃の樹脂組成物を、235℃に設定した50mmφの一軸押出機に供給して溶解した後、押出機と同じ温度に加熱した流路を通じて、口金として幅600mm、間隔が0.5mmのTダイより線速5m/分にて押出してシート状に成形した。
【0045】
この際、組成物に対して0.1重量%の窒素を押出機の中間より注入して溶融物と混合・溶解させた。Tダイ入り口での溶融物の圧力は12MPaであった。Tダイより押出した溶融物は50mm離れた金属製の回転ロール上にキャストした後、冷却水中に導入して冷却固化させて発泡シートを得た。この際、回転ロール及び冷却水は10℃になるようにコントロールし、溶融物を押出してから回転ロールに接触させるまでの時間は0.6秒、該組成物の結晶化温度である68℃以下に冷却されるまでの時間は20秒以内であった。
【0046】
得られた発泡シートは厚みが1mm、幅550mmであり、広角X線回折にて結晶に由来する回折ピークは観察されず、結晶化度は0%であった。
得られた発泡シートを真空圧空成形法にて成形して、縦400mm、横600mmの平板に、底面の直径が50mm、高さ(深さ)50mmの円錐状の窪みが縦7個、横11個、計77個並んでいる成形品を得た。なお、円錐の底面部分の角は半径2mmの曲面とし、円錐の頂点部分は光源を出すための直径5mmの穴を後加工にてあけた。
このような成形体を得るための成形は、先ず、シートを55℃にヒーター輻射にて加熱した後、120℃に加熱したアルミニウム製の金型に真空度720mmH、加圧圧力0.2MPaにて接触させて賦型し、そのまま120秒間保持して結晶化させることによって行った。
【0047】
得られた発泡成形体は、固有粘度[η]が1.15dl/g、カルボキシル末端基濃度が15eq/トン、BPE含有率が0.5重量%、密度が0.6g/cm 、平均気泡径が20μmであり、S/Tが1.3と微細にて扁平でない気泡を有しており、光反射率も91%と優れていた。DSC評価において0〜150℃の間に結晶化に由来する発熱ピークが観察されず(1J/g以下)、高い結晶性を有していた。成形体の投影面積と表面積の比は1.8であった。
【0048】
[実施例2]
PTT、他の条件のシート
平均粒径3μmのPTFE3重量部を添加した樹脂組成物を用い、押出量を増やすことにより吐出圧17に高め、線速8m/分にて押出した以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。
得られた発泡シートは厚みが1mm1mm、幅550mmであり、広角X線回折にて結晶に由来する回折ピークは観察されず、結晶化度は0%であった。得られた発泡シートを実施例1と同様にして成形して成形体を得た。
得られた発泡成形体は、固有粘度[η]が1.18dl/g、カルボキシル末端基濃度が15eq/トン、BPE含有率が0.5重量%、密度が0.65g/cm、平均気泡径が12μmであり、S/Tが1.3と実施例1より更に微細にて扁平でない気泡を有しており、光反射率も95%と優れていた。DSC評価において0〜150℃の間に結晶化に由来する発熱ピークが観察されず(1J/g以下)、高い結晶性を有していた。成形体の投影面積と表面積の比は1.8であった。
【0049】
[実施例3] 他の成形体
実施例2で得られた発泡シートを真空成形法にて成形して、縦300mm、横300mmの平板に、底面の直径が50mm、長さ(高さ)250mmの円柱を縦方向に半分に切った溝状の窪みが5個平行に並んだ成形品を得た。なお、溝の両サイドの、円柱の上下面にあたる部分と長手方向の曲面とが直行する角の部分は半径2mmの曲面とし、溝の両サイドには光源を出すための直径10mmの穴を後加工にてあけた。
このような成形体を得るための成形は、先ず、シートを55℃にヒーター輻射にて加熱した後、120℃に加熱したアルミニウム製の金型に真空度720mmH、加圧圧力0.1MPaにて接触させて賦型し、そのまま120秒間保持して結晶化させることによって行った。
【0050】
得られた発泡成形体は、固有粘度[η]が1.18dl/g、カルボキシル末端基濃度が15eq/トン、BPE含有率が0.5重量%、密度が0.65g/cm、平均気泡径が12μmであり、S/Tが1.3と微細にて扁平でない気泡を有しており、光反射率も95%と優れていた。DSC評価において0〜150℃の間に結晶化に由来する発熱ピークが観察されず(1J/g以下)、高い結晶性を有していた。成形体の投影面積と表面積の比は2.6であった。
【0051】
[実施例4]
PET
固有粘度[η]が0.8dl/g、カルボキシル末端基濃度が30eq/トン、BPE含有率が0.5重量%のPET97重量部に対して平均粒径5μmのPTFE3重量部を添加した融点255℃の樹脂組成物を用いた、押出機の温度を280℃とした以外は実施例1と同様にしてシート状に成形した。
得られた発泡シートは厚みが1mm、幅550mmであり、広角X線回折にて結晶に由来する回折ピークは観察されず、結晶化度は0%であった。
得られた発泡シートを用いて、実施例1と同様な形状の成形体を得た。
【0052】
このような成形体を得るための成形は、先ず、シートを100℃にヒーター輻射にて加熱した後、30℃のアルミニウム製の金型に真空度720mmH、加圧圧力0.2MPaにて接触させて賦型し、そのまま30秒間保持して行った。
得られた発泡成形体は、固有粘度[η]が0.79dl/g、カルボキシル末端基濃度が30eq/トン、BPE含有率が0.5重量%、密度が0.7g/cm、平均気泡径が60μmであり、S/Tが1.2のやや大きいものの扁平でない気泡を有しており、光反射率は81%とやや低いものの、使用可能なものであった。なおDSC評価において0〜150℃の間に結晶化に由来する発熱ピークが30J/g観察され、結晶性は低いものであった。成形体の投影面積と表面積の比は1.8であった。
【0053】
[実施例5]
PTT/PC
実施例1で用いたPTT80重量部と三菱エンジニアリングプラスチック(株)製のポリカーボネートであるユーピロンS2000 20重量部を用いた以外は実施例1と同様にしてシート状に成形し、次いで、成形体を得た。
発泡シートの結晶化度は0%、密度が0.7g/cm、平均気泡径が40μmであり、S/Tが1.2の扁平でない気泡を有しており、光反射率は87%であった。DSC評価において0〜150℃の間に結晶化に由来する発熱ピークは観察されず(J/g以下)高い結晶性は有していた。
【0054】
[比較例1]
延伸PET、賦型できず
実施例4で用いたのと同じPET85重量部にポリメチルペンテン10重量部、分子量2万のポリエチレングリコール5重量部加えたものを用い、気体を注入しない以外は実施例1と同様にして厚さ1mmの非晶シートを得た後、バッチ式の逐次二軸延伸機を用いて縦方向に3倍、横方向に3倍伸ばして、延伸発泡シートを得た。得られたシートを用いて実施例1と同様に真空圧空成形機を用いて成形しようとしたが成形することが出来なかった。
【0055】
[実施例6、比較例2]
バックライト
実施例6では、実施例1にて得られた3次元形状の微細発泡成形体よりなる反射板の凹側穴部分より白色LED光源が出るようにし、LED光源の先端部より50mmのところにアクリル製の拡散板を配置した箱型の面光源ユニットを作成した。また同じシートを熱プレス機を用いて120℃、10分熱プレスし、実施例1と同様に穴あけ加工した平板状の反射板を用いて実施例6と同様にして面光源ユニットを作成した。
実施例6の面光源ユニットは比較例2の面光源ユニットに比べて約10%正面輝度が高く、また、比較例2ではLEDに対応する輝度ムラが見られた。両面光源ユニットの上に液晶表示装置を配置して画像を比較したところ、実施例2の方が明るく、ムラのない画像が見られた。
【0056】
[比較例2]
白色PET製賦型 輝度ムラ、輝度不足
実施例4で用いたPET90重量部に酸化チタン10重量部を加え、気体を注入しなかった以外は比較例4と同様にして厚さ1mmの白色PETシートを得た。得られたシートを比較例4と同様に真空成形して3次元形状に賦型された発泡していない成形体を得た。
このシートを用いて実施例6同様にして面光源ユニットを作成した。
得られた発泡していない白色PETよりなる反射板を用いた面光源ユニットは比較例2のものより輝度が低いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の3次元形状の樹脂成形体からなる反射板は、均一で高輝度、且つ、軽量性を有した面光源を容易に製造することができる。このため、液晶テレビ、特に大型の液晶テレビや、電飾看板、更には、屋外用の照明等等様々な用途へ有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細気泡を有した3次元形状の樹脂成形体からなる反射板。
【請求項2】
3次元形状の樹脂成形体が、シート状成形体を一体成形したものである請求項1記載の反射板。
【請求項3】
表面積が投影面積の1.1〜10倍である請求項1又は2記載の反射板。
【請求項4】
見かけ密度が0.05〜1.25g/cm、平均気泡サイズが0.01〜100μmである樹脂成形体からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射板。
【請求項5】
気泡の面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/Tが0.05〜10である請求項4記載の反射板。
【請求項6】
樹脂成形体が、熱可塑性ポリエステルを50〜100重量%含有する樹脂組成物から構成される請求項1〜5のいずれかの1項に記載の反射板。
【請求項7】
熱可塑性ポリエステルの50〜100重量%がポリトリメチレンテレフタレートである請求項6記載の反射板。
【請求項8】
樹脂成形体が、微細気泡を有するシート状成形体を熱成形したものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射板。
【請求項9】
微細気泡を有するシート状成形体が押出発泡成形されたものである請求項1〜8のいずれか1項に記載の反射板
【請求項10】
面光源用である請求項1〜9のいずれか1項に記載の反射板。
【請求項11】
請求項10に記載の反射板を用いた面光源ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の面光源ユニットを用いた液晶表示装置。
【請求項13】
請求項1〜10いずれか1項に記載の反射板を用いた電飾看板。
【請求項14】
請求項1〜9いずれか1項に記載の反射板を用いた照明。

【公開番号】特開2008−58669(P2008−58669A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236232(P2006−236232)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】