説明

3次元物体を製造する装置

【課題】高粘性の液状材料の滴が高い運動エネルギーを有する場合にも、優れた密閉性をもち信頼性をもって作動する、硬化可能な材料から成る3次元物体を製造する装置を創作する。
【解決手段】本発明に従う装置は、硬化可能な材料を材料蓄積器(12)から放出ユニット(13)を介して構成空間(17)に向かう方向へ非連続的な滴(15)の形で放出するために、硬化可能な材料を液相へ調製するための少なくとも1つの調製ユニット(11)を有する。本発明に従う閉鎖手段が弾性的に変形可能な固体連結部(24)を有することにより、前記放出のために必要な全体的な条件が満たされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元物体を製造する装置に関し、特に請求項1の上位概念部(前置部)に記載した、硬化可能な材料から成る3次元物体を製造する装置に関する。かかる装置は、具体例としては、出発状態において液相であるか又は液化することのできる硬化可能な材料から成る3次元物体を該材料の滴の順次的な放出により製造する装置であって、前記物体を作り上げるための少なくとも1つの構成空間と、硬化可能な材料を液相へ調製するための少なくとも1つの調製ユニットと、硬化可能な材料を、間欠作動可能な閉鎖手段を備えた出口開口部を通じ、前記構成空間に向かう方向へ非連続的な滴の形で放出するための少なくとも1つの放出ユニットを備えた、液相のための少なくとも1つの材料蓄積器と、該材料蓄積器内の液相に対して圧力を生成するための少なくとも1つの圧力生成ユニットとを有する装置である。
【背景技術】
【0002】
プラスチック部品製造では、射出成形又は押出し成形により大ロット規模且つ大量生産で部品を製造することが知られている。プラスチック射出成形の長所は、主として複雑な部品(幾何学)形状の高精度の製造に基づき、この際、射出成形法の機能多様性は、最適な方式で、プラスチック部品の安価で且つ経済的な生産に対する要求を網羅している。
【0003】
同時に例えば、極めて短期の提供の要求を伴い且つ射出成形された部品の特性と類似の特性を有するマスタ部品(ないしサンプル部品)のような、個数1個且つ小ロット規模でのプラスチック部品の需要が益々と増えている。そのような部品を製造するためには、プロトタイピングとの概念で広く知られている製作法がある。そのような部品の製造は、多くの場合、3Dデータから(幾何学)形状を生成することに基づいている。これらの(幾何学)形状は、極めて異なる形式により、例えばレーザを用いた熱導入による粉末層の溶融のような適切な手段や、粉末部材の異なる結合形式での圧力法のような生成システムや、或いは所謂溶融押出し成形法によっても製造される。
【0004】
請求項1の上位概念部の基礎となる特許文献1からは、射出成形技術において公知である可塑化ユニットが、材料の液相のためもので圧力下におくことのできる材料蓄積器に連結されるという装置が知られている。構成空間内の目的物支持体上に物体を生成するために前記材料は放出開口部を介して滴の形で放出され、この際、該材料の付着力に基づき、高圧と多くの場合は高温も加えられなくてはならない。この際、それらの滴は0.01〜0.5mmの大きさを有する。放出ノズル(ないし放出オリフィス)の開口時間は、好ましくはミリ秒よりも短い範囲であり、放出開口部の直径は10分の1ミリメートルよりも小さい範囲にある。
【0005】
特許文献2からは、材料から個々の滴が作り出される、インクジェットプリンティングに類似する原理が知られている。滴の作り出しは、公知のピエゾ変換器の使用のもと行われ、この際、該材料は「サイフォン状に(ないしサイフォンを通じて)」貯蔵容器から追加供給される。従って、圧力ヘッドのところに留まる材料は圧力下にはない。
【0006】
上記の原理と類似の原理で作動するものには、特許文献3及び特許文献4に記載の方法があり、この方法では、フォトポリマー材料がインクジェットプリンティングの原理により加圧され、引き続き感光される。この技術については多数の特許出願があり、これらの特許出願は、付属の圧力ヘッドの構成や、その際に発生する問題点の解消に従事している(例えば、特許文献5〜特許文献16)。
【0007】
出来るだけ同じ粒子サイズの最善の単分散の滴をピエゾ電気振動発生器により生成することが如何にできるかについての原理は、特に特許文献17及び特許文献18、又は特許文献19及び特許文献20に記載されている。しかしこのことは、プラスチック技術的な滴の生成と共通することではない。
【0008】
尚、上記特許文献1〜20の全開示内容はそれらの引用をもって本書に組込み記載されているものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP 1 886 793 A1
【特許文献2】WO 95/05943
【特許文献3】US 6,850,334 B1
【特許文献4】US 6,658,314 B1
【特許文献5】US 6,259,962 B1
【特許文献6】WO 00/52624 A1
【特許文献7】WO 00/76772 A1
【特許文献8】WO 01/26023 A1
【特許文献9】WO 01/53105 A2
【特許文献10】WO 2004/044816 A1
【特許文献11】WO 2004/050323 A1
【特許文献12】WO 2004/096514 A2
【特許文献13】WO 2004/096527 A2
【特許文献14】WO 2005/053928 A2
【特許文献15】EP 1 637 307 A2
【特許文献16】DE 199 31 112 A1
【特許文献17】DE 100 13 451 A1
【特許文献18】DE 100 13 450 B4
【特許文献19】DE 196 26 428 A1
【特許文献20】DE 200 05 997 U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
溶融されたプラスチックのような高粘性の液状材料が、数マイクログラムを下回るまでの、離散的な個々の部分(ないしポーション)における最小量として、高圧下にあり場合により高温下にある材料蓄積器(ないし材料スペース)から処理されるという解決手段においては、特に、放出された当該部分が付着力を克服することができ、装置から離れ、滴として飛び去るほどの高い運動エネルギーを該部分がもつような場合には、即座に密閉(ないしシーリング)するという問題が発生する。
【0011】
上記背景技術から出発し、本発明の基礎を成す課題は、上記の条件のもとでも信頼性をもって作動する、3次元物体を製造する装置を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一視点により以下の装置が提供される。該装置は、出発状態において液相であるか又は液化することのできる硬化可能な材料から成る3次元物体を該材料の滴の順次的な放出により製造する装置であって、前記物体を作り上げるための少なくとも1つの構成空間と、硬化可能な材料を液相へ調製するための少なくとも1つの調製ユニットと、硬化可能な材料を、間欠作動可能な閉鎖手段を備えた出口開口部を通じ、前記構成空間に向かう方向へ非連続的な滴の形で放出するための少なくとも1つの放出ユニットを備えた、液相のための少なくとも1つの材料蓄積器(ないし材料スペース)と、該材料蓄積器内の液相に対して圧力を生成するための少なくとも1つの圧力生成ユニットとを有する装置である。該装置において、前記閉鎖手段は、弾性的に変形可能な固体連結部(ないし連接構造部(Festkoerpergelenk))を有する。(基本構成:形態1)
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記基本構成により、上記課題に対応する効果、即ち高粘性の液状材料の滴が高い運動エネルギーを有する場合にも、優れた密閉性(ないしシーリング機能)をもち信頼性をもって作動する、3次元物体を製造する装置を達成することができる。更に、上記基本構成に付加的な下記の好ましい各形態により、付加的な効果が各々につき達成される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従う装置の好ましい形態を記載する。尚、以下の各形態は、本願の特許請求の範囲において記載する各々の構成要件にも対応している。
(形態1)上記基本構成のとおり。
(形態2)前記出口開口部は、前記閉鎖手段のノズル針により閉鎖可能であり、該ノズル針は、前記固体連結部を介して該ノズル針の支承部と結合されていることが好ましい。
(形態3)前記固体連結部は、同時に前記材料蓄積器のための密閉手段として形成されていることが好ましい。
(形態4)前記ノズル針は、アクチュエータを介して単方向のみで操作可能であり、該アクチュエータは、前記材料蓄積器に対して離間して配置されていることが好ましい。
(形態5)前記アクチュエータは、予張力状態において手動で又は制御式で位置調節可能であることが好ましい。
(形態6)センサ機構が設けられていて、該センサ機構の信号が、前記アクチュエータの位置を前記材料蓄積器内の稼動条件に応じて再調整することが好ましい。
(形態7)前記アクチュエータは、稼動点における前記固体連結部の予張力状態を測定し且つ再調整するために、力測定要素として形成されていることが好ましい。
(形態8)前記アクチュエータは、ピエゾエレメントであることが好ましい。
(形態9)前記センサ機構及び/又は前記力測定要素の信号を検知するための調整兼制御装置が設けられていること、及び、検知された信号に基づき前記アクチュエータのための設定値が決定可能又は規定可能であることが好ましい。
(形態10)前記材料蓄積器ないし前記材料蓄積器の流出流路内の圧力を受ける面が、前記出口開口部の反対側において前記出口開口部の範囲におけるよりも大きいことが好ましい。
(形態11)前記調製ユニットは、同時に前記材料蓄積器を形成することが好ましい。
(形態12)前記調製ユニットは、可塑化された材料又は可塑化可能な材料としての硬化可能な材料を調製するための、射出成形技術において公知である可塑化ユニットであり、前記材料は、液相において所謂前面層流を有すること、及び、前記可塑化ユニットは、圧力下におくことのできる前記材料蓄積器と、前記材料蓄積器内へ前記材料の液相を取り入れるために連結されていることが好ましい。
(形態13)前記アクチュエータは、前記材料蓄積器から絶縁されていることが好ましい。
【0015】
上記の条件のもと、本発明に従う放出装置は配量ユニットとして外界に対して出来るだけ少ない密閉部(ないしシーリング部)を有する。この理由から閉鎖手段は、弾性的に変形可能な固体連結部を有する。それにより、好ましくはノズル針として形成されている該閉鎖手段が一方では操作可能であり、他方ではアクチュエータが材料蓄積器内部の過酷な条件にさらされることはない。従って、材料蓄積器の充填開口部及び放出ノズル(ないし放出オリフィス)の充填開口部以外、別の密閉部は不必要である。それに加え、固体連結部は、その適切な(幾何学)立体形状構成により、外方から作用するアクチュエータに対して(当該固体連結部の弾性に基づき)ほぼ一体としての(quasi integriert)復元力を有するので、材料蓄積器(ないし材料スペース)に対するアクチュエータの接続は、最小の接触面をもって且つ力作用に関しては単方向のみ(einseitig)で行われる。
【0016】
以下、図面に図示された好ましい実施例について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に従う装置の一実施例の部分断面側面図である。
【図2】放出ユニットの範囲における図1の拡大断面図である。
【図3】閉鎖手段の断面図と立体図である。
【図4】図2に従う放出ユニットを付属の制御装置と接続された状態で示す図である。
【0018】
本発明の実施例について詳細に説明する前に、本発明が以下の実施例に示す装置の各々の構成部材並びに各々の方法ステップに限定されないことを付言する。これはそれらの構成部材及び方法が変更可能なためである。またここで使用される概念は、特に実施例を説明するために定められていて、限定として扱われるものではない。つまり、以下の実施例は、本発明の理解の容易化のためのものであって、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者により実施可能な付加や置換、開示された各要素の選択ないし選択的組合せ等を排除することを意図するものではない。また、本明細書及び本願の特許請求の範囲における構成部材の記載は、特定の表現のない場合には単数及び複数の双方の意味を含むものとする。尚、本願の特許請求の範囲に付記されている図面参照符号も、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、本発明を以下の実施例に限定するものではないことを付言する。
【実施例】
【0019】
図1は、出発状態において液相であるか又は液化することのできる硬化可能な材料から成る3次元物体16を該材料の滴の順次的(ないしシーケンシャル)な放出により製造する装置を示している。この製造は、例えば、層毎に前記3次元物体即ち目的物16が構成空間17内の目的物支持体14上に得られるまで、不連続な個々の滴15(図2)が放出ユニット13から順次的に放出されることにより行われる。硬化可能な材料は、例えばシリコーン(樹脂)のような可塑化された材料や、プラスチックのような可塑化可能な材料や、又は粉状の材料でもよく、この際、硬化可能な材料が出発状態において、流動性を有する状態にあること、典型的には液相であるか又は液化することのできる状態にあることが本質的に重要である。該材料は、熱により可逆的に溶融可能あり、従って再利用(ないしリサイクル)可能な材料とすることもできる。材料が可塑化可能であり、とりわけ少なくとも1つの放出ユニット13により放出可能である限り、任意の他の材料を使用することもできる。
【0020】
硬化可能な材料は、液相において所謂前面層流(laminarer Quellfluss)を有する。この前面層流内へ特に壁部における溶融物の付着部が入り込む。このことは、射出成形技術の認識を一瞥することで最も明らかになる。簡単な矩形の流路の型充填時には、溶融物は所謂注入口(Angusspunkt)を介して射出注入され、このポイントから、閉じた流動前面(Fliessfronten)をもって円形状に拡がり始め、キャビティの全幅を満たすに至る。その後の多少の時間の後、流入部分と流動前面の間は、ほぼ充填(且つ形成)されたものとしてみることができる。流動前面自体には特別な流れ状況、即ち「前面層流」があり、その理由は、この範囲における流線が、同時移動する座標系に関して見ると、わき水(Quelle)のように現れるためである。キャビティ表面に近接し、即座に凝固した2つの材料層(ないし質量体層)の間の部分では溶融物が流動し、この際、該溶融物はキャビティの中央においてより大きな速度をもって流動前面に向かって進んでいく。該溶融物が流動前面に到達する直前には、その流動方向における速度成分が減少し、該溶融物は該壁部に対して斜めに流れていって壁部に当たる。
【0021】
前面層流は、構成空間17上へ「配向」された滴15の生成にとって、その層状形成に基づき一方では長所と言えるが、他方では、中でも小さい滴の形成時には、正にここでも、射出成形技術から公知である装置及び材料を用いた組み替えを困難にする問題がある。つまり、好ましくは1mmと同じ又はそれよりも小さい範囲にある所望の小さい容積と、所望の飛散速度とを有する滴を材料(ないし質量体(Masse))が形成することを壁部粘着が難しくし、他方では、材料の適切な高粘性は、非連続的な滴において適切な滴の形を形成するために正に重要である。
【0022】
このことは、使用される材料を既知の蝋材(ないしワックス)からも区別する。蝋材はその粘性に基づき、通常のサーマルプリンティング法又はインジェクション法において放散され、即ち、溶融された滴の圧力差を伴うことのない純粋に運動学的な無圧の加速によってである。ここで使用される材料は、その粘度数が10の1〜複数倍べき乗分(10〜10)だけ高いことにより既にここでは区別される。つまり、硬化可能な材料の動的な粘度数は100Paと10000Paの間にあり、この際、硬化可能な材料は、好ましくは射出成形技術では慣例のプラスチック又は樹脂である。このことは、圧力下におくことのできる材料蓄積器からの処理を必要とし、その理由は、10MPaよりも大きいところから100MPaに至るまで(100〜1000bar)の圧力が、特に、小さい滴容積を達成するために小さい放出開口部が使用される場合にはいずれにせよ必要不可欠なためである。
【0023】
好ましくは、滴15の所望の容積は、特に0.01〜0.5mmの範囲、好ましくは0.05〜0.3mmの範囲、そして特に好ましくはほぼ0.1mmの範囲にある。出口開口部20の直径は、特に1mmと同じ又はそれよりも小さく、好ましくはほぼ0.1mmである。0.1mmの直径を有する所謂注入口(Punktanguss)を通じて材料(ないし質量体)を送る、100cm/sの慣例の射出速度では、面による容積流において10000m/sの値が得られる。このことは、液相に対し、10000m/sに至るまでの流動速度を有する前面層流を導くことになる。
【0024】
本装置は、本装置の放出ユニットを用い、溶融されたプラスチックのような高粘性の液状材料を、数マイクログラムを下回るまでの最小量として、高圧下にあり場合により高温下にもある材料蓄積器12から放出する役割を有する。材料の最小量/滴15は、離散的な個々の部分(ないしポーション)として放散され、この際、該部分のサイズは本装置により影響可能である。放出された該部分は、該部分が、構成空間17内で目的物支持体14上に目的物16を作り上げるために、付着力を克服することができ、本装置から離れ、滴15として飛び去るほどの高い運動エネルギーをもっている。
【0025】
付着力が高く且つ重量が小さく、液状であるが高粘性の材料に関するので、その運動エネルギーは、材料蓄積器12と、構成空間17内に形成されている滴15用の飛散空間との間の圧力差を用いて伝えられる。滴状への細分化、ないし部分化(ないしポーション化)は、閉鎖手段としてノズル針21を備えた、間欠作動されるノズル(ないしオリフィス)を用いて行われる。該部分の要求される寸法にも、粘性特性にも起因し、慣例どおり100MPa(1000bar)以上の範囲内の圧力、0.1mmよりも小さい閉鎖ノズル(ないし閉鎖オリフィス)、そして0.001sよりも短い閉鎖時間が必要である。材料は、多くの場合はプラスチックであるので、材料蓄積器12内は450℃に至るまでの温度となっている。
【0026】
上記の条件のもと、本装置は、外界に対して出来るだけ少ない密閉部/接触部を有する配量ユニットとして実現されなくてはならない。そのために、図2及び図3に従い、弾性的に変形可能な固体連結部24を有する閉鎖手段が形成される。特に図3の断面図は、固体連結部24が、可撓性を有するようにリング状に形成された薄肉部であってノズル針21とリング状の支承部21aをつなぐ材料ブリッジの意味における固定接続部であり、該固定接続部が他方では、アクチュエータ26により適切に弾性的にバネのように弾力をもって操作される状態にあることを示している。閉鎖手段としては、支承部21aを有するノズル針21が使用される。中央のノズル針21の側方において該ノズル針21の材料が固体連結部24を形成するために薄くされる。ノズル針21の反対側では当接面21bにおいてアクチュエータ26が直接的に又は中間要素を介して係合(ないし当接)する。当接面21bの反対側にはリング状の凹部21cが形成されている。図3において固体連結部24は、好ましい配置個所として、ノズル針21の軸方向において支承部21aのほぼ真ん中に配置されている。しかしノズル針21の軸方向における固体連結部24の位置はその位置に限定されるものではなく、それよりも上側又は下側とすることもできる。閉鎖機構は、ノズル針21を用いて放出ノズル(ないし放出オリフィス)27を閉鎖する。
【0027】
少なくとも1つの調製ユニットが、硬化可能な材料を液相へ調製するために設けられていて、該調製ユニットから、調整された材料が、少なくとも1つの放出ユニット13を備えた少なくとも1つの材料蓄積器12に到達する。該材料は放出ユニット13から、間欠作動可能な閉鎖手段を備えた出口開口部20を通じ、構成空間17に向かう方向へ非連続的な滴(ないし液滴)15の形で放出される。必要な境界条件を確実にするために、液相に対して圧力を生成するための圧力生成ユニットが材料蓄積器12内に設けられている。材料蓄積器12は、本実施例におけるように、可塑化ユニットにより形成されている調製ユニット11の一部分としてもよい。この際、前記圧力生成ユニットは、例えば図1に図示の搬送ウォーム28又は類似の搬送手段として構成される。
【0028】
ノズル針21は、弾力的な固体連結部24に直接的に(一体部材として)懸架しており、固体連結部24は、材料の液相のための材料蓄積器12を、外方に向かい(操作用)アクチュエータ26に対して閉鎖している。従って、材料蓄積器12の充填開口部及び放出ノズル27の充填開口部以外、別の密閉部(ないしシーリング部)は不必要である。固体連結部24はその適切な(幾何学)立体形状構成により、外側で当接面21bに作用するアクチュエータ26に対して(当該固体連結部24の弾性に基づき)ほぼ一体としての復元力を有するので、高圧高温下にある材料蓄積器12に対するアクチュエータ26の接続は、最小の接触面をもって且つ力作用に関しては単方向のみ(einseitig)で行われる。
【0029】
同時に固体連結部24は、アクチュエータ26に向かう方向において材料蓄積器12のための密閉手段として用いられ、アクチュエータ26を介しては、図2に従うノズル針21が単方向のみ(einseitig)で操作可能である。アクチュエータ26は、図4に示唆されているように、好ましくは絶縁要素により材料蓄積器12から絶縁され、材料蓄積器12に対して離間して配置されている。
【0030】
上記のように形成される固体連結部24については、極めて様々な(幾何学)立体形状構成の形態が可能であり、例えば、放出ノズル27が受動的(ないし従動的)に閉じられている又は受動的に開いているように予張力を備えた状態のものとして形成することができる。また固体連結部24は、耐圧耐熱性の任意の材料から製造することができ、該材料は、金属に限らず、例えば繊維強化された軽量構成材料でもよい。材料蓄積器12ないし材料蓄積器12の流出流路12b内の圧力を受ける面は、出口開口部20の反対側において出口開口部20の範囲におけるよりも大きい。上述の構成の下でノズル針21は受動的に開くことができる。このことは、アクチュエータ26が出口開口部20を能動的に押し閉める、なしい出口開口部20がアクチュエータ26の非通電により開くことを意味する。即ち、アクチュエータ26の駆動によりノズル針21を従動的に開又は閉とすることができる。
【0031】
アクチュエータ26は、ローターエキセンやダイレクトマグネットやピエゾエレメントとして形成することができる。好ましくはアクチュエータ26は、予張力下において手動で又は制御式で位置調節可能である。同様に図4に従い、センサ機構19を設けることができ、センサ機構19の信号は、アクチュエータ26の位置を、材料蓄積器12内の稼動条件、従って稼動点に応じて再調整し、このことは、高圧及び高温膨張に基づき補償のために必要である。図4に従い、例えば操作要素内の力が検知され、制御装置18及びレギュレータ22を介して力目標値へ再調整される。従って、材料蓄積器12内の適切な圧力センサ及び温度センサにより、固体連結部24の予張力を、自動アクチュエータ位置調整機能を用い、材料蓄積器12内の稼動条件に応じて再調整することが可能である。
【0032】
そのために好ましくは、稼動点における固体連結部24の予張力を測定し且つ再調整するために、アクチュエータ26は力測定要素として形成されている。アクチュエータ26がピエゾエレメントであると有利である。この種のセンサ機構19及び制御装置18を用い、目標を定めアクチュエータ26を用いて固体連結部24における行程曲線/力曲線に従って作動させ、それにより目標を定め且つ意識的に、例えば滴の形の放出すべき材料の形に影響を及ぼすことも可能である。
【0033】
尚、本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施例ないし実施形態の変更、調整が可能である。また、本発明の特許請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。即ち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想に従って当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
11 調製ユニット
12 材料蓄積器
12b 流出通路
13 放出ユニット
14 目的物支持体
15 材料の滴
16 3次元物体(ないし目的物)
17 構成空間
18 制御装置
19 センサ機構
20 出口開口部
21 ノズル針
21a 支承部
21b アクチュエータ26のための当接面
21c 凹部
22 レギュレータ
24 固体連結部(Festkoerpergelenk)
25 絶縁要素
26 アクチュエータ
27 放出ノズル(ないし放出オリフィス)
28 搬送ウォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発状態において液相であるか又は液化することのできる硬化可能な材料から成る3次元物体を該材料の滴の順次的な放出により製造する装置であって、
− 前記物体(16)を作り上げるための少なくとも1つの構成空間(17)と、
− 硬化可能な材料を液相へ調製するための少なくとも1つの調製ユニット(11)と、
− 硬化可能な材料を、間欠作動可能な閉鎖手段を備えた出口開口部(20)を通じ、前記構成空間(17)に向かう方向へ非連続的な滴(15)の形で放出するための少なくとも1つの放出ユニット(13)を備えた、液相のための少なくとも1つの材料蓄積器(12)と、
− 該材料蓄積器(12)内の液相に対して圧力を生成するための少なくとも1つの圧力生成ユニットと
を有する装置において、
前記閉鎖手段は、弾性的に変形可能な固体連結部(24)を有すること
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記出口開口部(20)は、前記閉鎖手段のノズル針(21)により閉鎖可能であり、該ノズル針(21)は、前記固体連結部(24)を介して該ノズル針(21)の支承部(21a)と結合されていること
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固体連結部(24)は、同時に前記材料蓄積器(12)のための密閉手段として形成されていること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ノズル針(21)は、アクチュエータ(26)を介して単方向のみで操作可能であり、該アクチュエータ(26)は、前記材料蓄積器(12)に対して離間して配置されていること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記アクチュエータ(26)は、予張力状態において手動で又は制御式で位置調節可能であること
を特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
センサ機構(19)が設けられていて、該センサ機構(19)の信号が、前記アクチュエータ(26)の位置を前記材料蓄積器(12)内の稼動条件に応じて再調整すること
を特徴とする、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記アクチュエータ(26)は、稼動点における前記固体連結部(24)の予張力状態を測定し且つ再調整するために、力測定要素として形成されていること
を特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記アクチュエータ(26)は、ピエゾエレメントであること
を特徴とする、請求項4〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記センサ機構(19)及び/又は前記力測定要素の信号を検知するための調整兼制御装置(18)が設けられていること、及び、検知された信号に基づき前記アクチュエータ(26)のための設定値が決定可能又は規定可能であること
を特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記材料蓄積器(12)ないし前記材料蓄積器(12)の流出流路(12b)内の圧力を受ける面が、前記出口開口部(20)の反対側において前記出口開口部(20)の範囲におけるよりも大きいこと
を特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記調製ユニット(11)は、同時に前記材料蓄積器(12)を形成すること
を特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記調製ユニット(11)は、可塑化された材料又は可塑化可能な材料としての硬化可能な材料を調製するための可塑化ユニットであり、前記材料は、液相において前面層流を有すること、及び、前記可塑化ユニットは、圧力下におくことのできる前記材料蓄積器(12)と、前記材料蓄積器(12)内へ前記材料の液相を取り入れるために連結されていること
を特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記アクチュエータ(26)は、前記材料蓄積器(12)から絶縁されていること
を特徴とする、請求項4〜12のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate