説明

4−ニトロジフェニルアミンの製造方法

【課題】反応混合物の後処理が簡便に行える、連続合成が可能な4−ニトロジフェニルアミンの製造方法を提供する。
【解決手段】4−ニトロジフェニルアミンの製造方法であって、固定床流通方式で固体触媒の存在下にアニリンとニトロベンゼンとを反応させることを特徴とする。固体触媒としては、担体にアルカリ金属フッ化物が担持されてなる担持アルカリ金属フッ化物及び複合酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニリンとニトロベンゼンから4−ニトロジフェニルアミンを製造する方法に関する。4−ニトロジフェニルアミンは、アゾ染料の原料として有用である。また、4−ニトロジフェニルアミンを水素化することにより4−アミノジフェニルアミンに変換し、この4−アミノジフェニルアミンをアルキル化することにより、天然ゴムや合成ゴムの酸化防止剤として有用な4−アルキルアミノジフェニルアミンを得ることができる。
【背景技術】
【0002】
4−ニトロジフェニルアミンを製造する方法として、例えば、特許文献1には、バッチ反応方式で、水酸化テトラメチルアンモニウム二水和物等の水酸化第四級アンモニウムの存在下に、アニリンとニトロベンゼンとの反応を行う方法が開示されており、特許文献2には、バッチ反応方式で、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物及び塩化テトラメチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩の存在下に、アニリンとニトロベンゼンとの反応を行う方法が開示されており、特許文献3〜5には、バッチ反応方式で、水酸化カリウムの存在下に固体触媒としてモンモリロナイト、ハイドロタルサイトまたはルテニウム担持アルミナを使用してジメチルスルホキシド溶媒中、アニリンとニトロベンゼンとの反応を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平6−508630号公報
【特許文献2】特表2005−515163号公報
【特許文献3】特開2007−176811号公報
【特許文献4】特開2007−176812号公報
【特許文献5】特開2007−302588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の方法では、アルカリ金属水酸化物、水酸化第四級アンモニウム、第四級アンモニウム塩といった反応後の反応混合物中に溶解しうる化合物を大量に使用しなければならず、それらの化合物の分離及び回収や、目的生成物にそれらの化合物を残留させないための精製といった反応混合物の後処理に煩雑な工程、操作が必要となる等の問題があり、工業的に好ましくない。また、バッチ反応方式であるため、1バッチ毎に反応器への原料の投入、反応器からの反応混合物の取り出し及び固体触媒の濾過を行う必要があり、多大な時間を要し、連続合成が行えず生産効率が低くなるといった問題があるという点からも、工業的に好ましくなく、より簡便な合成法の開発が望まれている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、反応後に得られる反応混合物の後処理が簡便に行える、連続合成が可能な4−ニトロジフェニルアミンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、反応混合物の後処理を簡略化でき、4−ニトロジフェニルアミンの連続合成が可能となる反応系を見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、固定床流通方式で固体触媒の存在下にアニリンとニトロベンゼンとを反応させることを特徴とする4−ニトロジフェニルアミンの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、反応後に得られる反応混合物の後処理を簡略化して、連続的に4−ニトロジフェニルアミンを製造することができるため、工業的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の4−ニトロジフェニルアミンの製造方法の一実施形態を模式的に示す概略説明図である。
【図2】本発明の4−ニトロジフェニルアミンの製造方法の他の実施形態を模式的に示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、固定床流通方式で固体触媒の存在下にアニリンとニトロベンゼンとを反応させることにより、4−ニトロジフェニルアミンを製造する。
【0011】
本発明で使用される固体触媒としては、固体塩基触媒、担体に遷移金属が担持されてなる触媒等が挙げられ、中でも、固体塩基触媒が好ましい。固体塩基触媒としては、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属酸化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を担体に担持した担持アルカリ金属水酸化物;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を担体に担持した担持アルカリ金属;担持アルカリ金属フッ化物;複合酸化物;陰イオン交換樹脂;ハイドロタルサイト等を挙げることができる。これらの中でも、担持アルカリ金属フッ化物、複合酸化物が好ましい。固体塩基触媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。担体に遷移金属が担持されてなる触媒における遷移金属としては、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、白金、金等が挙げられ、中でもルテニウムが好ましい。
【0012】
前記担持アルカリ金属フッ化物は、担体にアルカリ金属フッ化物が担持されてなる担持アルカリ金属フッ化物である。アルカリ金属フッ化物としては、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等が挙げられ、中でも、フッ化カリウムが好ましい。アルカリ金属フッ化物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
担体に遷移金属が担持されてなる触媒、担持アルカリ金属水酸化物、担持アルカリ金属及び担持アルカリ金属フッ化物における担体としては、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、活性炭等が挙げられ、中でも、アルミナが好ましい。担体は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記担持アルカリ金属フッ化物のアルカリ金属フッ化物担持量に特に制限はないが、通常1〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。アルカリ金属フッ化物を2種以上併用する場合は、合計の担持量が前記範囲となるようにすればよい。
【0015】
前記担持アルカリ金属フッ化物としては、その製造方法には特に制限はなく、市販の担持アルカリ金属フッ化物や市販の担持アルカリ金属フッ化物を成形したものを用いることができ、必要に応じて焼成が施される。
【0016】
前記焼成は、不活性ガス、酸化性ガス又は還元性ガス雰囲気下で行うことができる。前記不活性ガスとしては、例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられ、必要に応じて水蒸気で希釈される。不活性ガスは、中でも、窒素が好ましい。前記酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば酸素含有ガス等が挙げられ、この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスや水蒸気で希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。前記還元性ガスとは、還元性物質を含むガスであり、例えば水素含有ガス、一酸化炭素含有ガス、炭化水素含有ガス等が挙げられ、その濃度は、例えば、不活性ガスや水蒸気で調整される。還元性ガスは、中でも、水素含有ガス、一酸化炭素含有ガスが好ましい。
【0017】
前記焼成における焼成温度は、通常、100〜1000℃、好ましくは200〜800℃である。
【0018】
前記複合酸化物は、2種以上の金属元素を構成元素とする複合酸化物であり、該金属元素としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、ランタン、カリウム、ニッケル、マンガン、亜鉛、スズ、鉛、リン等が挙げられる。前記複合酸化物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの複合酸化物の中でも、カルシウム及びジルコニウムを含有する複合酸化物が好ましい。カルシウム及びジルコニウムを含有する複合酸化物としては、酸化カルシウム−酸化ジルコニウム複合酸化物が挙げられる。複合酸化物は、市販の複合酸化物や市販の複合酸化物を成形したものを用いることができ、必要に応じて焼成が施される。また、所謂共沈法によって製造することもできる。具体的には、複合酸化物を構成する各金属の水溶性の塩を溶解した混合水溶液を調製し、これをpH調整して共沈物を得、次いで焼成する方法等が挙げられる。
【0019】
これら固体触媒の形状は特に制限されるものではなく、粉末状、粒状およびタブレット状などの各種形状で使用することができる。取り扱いの点から、粒状またはタブレット状に成形したものが推奨される。
【0020】
本発明の反応形式は、固定床流通方式が採用される。使用される固定床反応器としては、反応器に原料供給口と反応液取り出し口が設けられた流通式の各種固定床反応器を使用することができる。反応管の本数は特に限定されるものではなく、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができる。また、断熱方式又は熱交換方式の固定床反応器が使用可能である。
【0021】
前記固体触媒を充填した固定床流通式反応器に、アニリン及びニトロベンゼンを流通させて反応を行う際の固定床流通式反応器における固体触媒の充填量は、固体触媒1kgあたりのアニリン及びニトロベンゼンの流通速度(kg/h)、すなわち空間速度WHSV(h−1)で表すと、0.1〜30h−1が好ましく、1〜10h−1がより好ましい。アニリン及びニトロベンゼンの流れとしてはアップフロー、ダウンフローのいずれでもよい。
【0022】
原料であるアニリン及びニトロベンゼンの固定床流通式反応器への供給方法は特に制限はなく、例えば、アニリン及びニトロベンゼンをそれぞれ別々のフィードラインで別々の固定床流通式反応器入口から供給する方法、アニリン及びニトロベンゼンをそれぞれ別々のフィードラインでフィードし、固定床流通式反応器入口の前でフィードラインを合流させアニリン及びニトロベンゼンを混合して固定床流通式反応器入口から供給する方法、アニリン及びニトロベンゼンの混合物を予め調製し、該混合物をフィードラインを通して固定床流通式反応器入口から供給する方法等が挙げられる。
【0023】
反応溶媒は必要に応じて使用することができ、反応溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、t−ブタノール、トルエン等が挙げられる。反応溶媒は、アニリン及びニトロベンゼンのそれぞれのフィードラインとは別のフィードラインを通し、アニリン及びニトロベンゼンのそれぞれを供給する固定床流通式反応器入口とは別の固定床流通式反応器入口を通して供給してもよいし、アニリン及びニトロベンゼンのそれぞれのフィードラインとは別のフィードラインを通してフィードし、固定床流通式反応器入口の前でフィードラインを合流させることによりアニリン及びニトロベンゼンと混合して固定床流通式反応器入口から供給してもよいし、アニリン、ニトロベンゼン及び反応溶媒の混合物を予め調製し、該混合物をフィードラインを通して固定床反応器入口から供給してもよいし、アニリン及びニトロベンゼンをそれぞれ別々のフィードラインでフィードする際に、アニリン及び/又はニトロベンゼンに反応溶媒を混合することにより供給してもよい。
【0024】
原料であるアニリン及びニトロベンゼンの使用割合は、アニリン:ニトロベンゼン(モル比)として、通常1:30〜30:1であり、好ましくは1:10〜10:1である。
【0025】
反応温度は通常100〜300℃であり、140〜250℃が好ましい。反応圧力は絶対圧で通常0.1〜5.0MPaである。
【0026】
固定床流通式反応器には、反応に不活性なガスをアニリン及びニトロベンゼンと共に供給することができる。不活性なガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、空気、アルゴン等が挙げられる。
【0027】
反応により得られる反応混合物の後処理操作については、必要により洗浄した後、蒸留、分配、晶析等の分離精製操作に付せばよい。固定床流通方式を採用することで、濾過といった固体触媒の分離操作を必要とすることなく反応混合物の取出しを容易に行うことができ、4−ニトロジフェニルアミンを連続的に製造できるため本発明の製造方法は工業的に有利である。また、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム二水和物等の水酸化第四級アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩といった化合物を使用しないで反応を行うので、反応混合物からのアルカリ金属水酸化物、水酸化第四級アンモニウム、第四級アンモニウム塩といった化合物の分離及び回収の必要がなく、目的生成物にアルカリ金属水酸化物、水酸化第四級アンモニウム、第四級アンモニウム塩といった化合物を残留させないための精製工程が不要となり、後処理が簡略化される点で本発明の製造方法は工業的に有利である。
【0028】
以下、図1を参照して、本発明にかかる4−ニトロジフェニルアミンの製造方法の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1において、反応装置10は、固体触媒が充填された固定床流通式反応器1と、原料であるアニリン及びニトロベンゼンを固定床流通式反応器1に供給するフィードポンプ2a及び2bと、反応圧力を測定する圧力計3と、反応混合物を冷却する冷却器4と、反応圧力を調整する調圧弁5とを備えている。
【0029】
原料のアニリン及びニトロベンゼンは、原料フィードポンプ2a及び2bにより、所定の反応温度に加熱された固体触媒を充填した固定床流通式反応器1の原料供給口から供給されて、調圧弁5により所定の圧力に調整された後、原料が固体触媒と接触することにより反応が進行する。反応生成物である4−ニトロジフェニルアミンと未反応の原料とからなる反応混合物は固定床流通式反応器1の出口より連続的に導出され、これを冷却器4によって適宜冷却する。こうして、4−ニトロジフェニルアミンが連続的に製造される。反応混合物からの4−ニトロジフェニルアミンの回収は、蒸留等によってまず未反応原料を留分として回収し、次いで4−ニトロジフェニルアミンを留分として回収し高沸点副生成物を残渣として分離することにより行うことができる。このような分留によって、目的物である4−ニトロジフェニルアミンを容易に得ることができる。また、未反応原料が含まれる反応混合物や、留分として回収された未反応原料は、リサイクルすることができる。反応混合物は、そのまま、あるいは蒸留等によって未反応原料を留分として回収した後に、4−アミノジフェニルアミンを製造するための水素化に付してもよい。
【0030】
本発明の製造方法で用いることのできる反応装置はこれらに限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、任意に設計変更することは可能である。
【実施例】
【0031】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0032】
4−ニトロジフェニルアミンの分析は、高速液体クロマトグラフィーにより行い、4−ニトロジフェニルアミンの生成速度(mol/h)を求めた。
【0033】
参考例1(触媒Aの調製)
フッ化カリウム担持アルミナ(Aldrich製、フッ化カリウム含有量:40重量%)を油圧式プレス機で50MPaの圧力をかけてプレスし、得られた固形物を粉砕し、8メッシュの篩(目開き2.36mm)と16メッシュの篩(目開き1.00mm)を使用することにより篩い分けして8〜16メッシュの粒状に成型し、触媒Aを調製した。
【0034】
参考例2(触媒Bの調製)
酸化カルシウム−酸化ジルコニウム複合酸化物(第一稀元素化学工業(株)製、Z−1043)を油圧式プレス機で50MPaの圧力をかけてプレスし、得られた固形物を粉砕し、8メッシュの篩(目開き2.36mm)と16メッシュの篩(目開き1.00mm)を使用することにより篩い分けして8〜16メッシュの粒状に成型し、触媒Bを調製した。
【0035】
実施例1
図2に示す実験装置を使用して反応を行った。図2において、反応装置20は、固体触媒が充填された固定床流通式反応管6と、原料であるアニリン及びニトロベンゼンを固定床流通式反応管6に供給するフィードポンプ2a及び2bと、アニリン及びニトロベンゼンを予熱する予熱器7と、反応圧力を測定する圧力計3と、窒素の流量を制御するマスフローコントローラー8と、反応混合物を冷却する冷却器4と、冷却された反応混合物を捕集する受器9とを備えている。固定床流通式反応管6(SUS316製、内径18mm、長さ400mm)に、参考例1で調製した触媒Aを10.20g充填し、100℃に加熱した。窒素をマスフローコントローラー8を使用して50Nml/minの流量で固定床流通式反応管6に供給し、フィードポンプ2a及び2bを使用して、アニリンを0.50g/min(320mmol/h)、ニトロベンゼンを0.58g/min(290mmol/h)の流量でフィードし、100℃に加熱した予熱器7を通して固定床流通式反応管6に連続的に供給し、反応温度100℃、反応圧力0.1MPa(絶対圧)にて反応を開始した。固定床流通式反応管6の出口より導出された反応混合物は、冷却器4を通して冷却した後、受器9に捕集した。反応開始から30分間経過した時点で、冷却器4を通して冷却された反応混合物のサンプリングを10分間行った。サンプリング後、反応管温度及び予熱器温度を150℃とし、反応温度150℃、反応圧力0.1MPa(絶対圧)にて30分間流通反応を行い、次いで冷却器4を通して冷却された反応混合物のサンプリングを10分間行った。それぞれの反応温度でサンプリングした反応混合物を分析したところ、反応温度100℃では、4−ニトロジフェニルアミンの生成速度は0.0065mmol/hであり、反応温度150℃では、4−ニトロジフェニルアミンの生成速度は0.61mmol/hであった。
【0036】
実施例2
ニトロベンゼンの流量を0.24g/min(118mmol/h)にした以外は、実施例1と同様に反応を行った。サンプリングした反応混合物を分析した結果、反応温度100℃では、4−ニトロジフェニルアミンの生成速度は0.038mmol/hであり、反応温度150℃では、4−ニトロジフェニルアミンの生成速度は0.54mmol/hであった。
【0037】
実施例3
アニリンの流量を0.20g/min(130mmol/h)にした以外は、実施例1と同様に反応を行った。サンプリングした反応混合物を分析した結果、反応温度100℃では、4−ニトロジフェニルアミンの生成速度は0.045mmol/hであり、反応温度150℃では、4−ニトロジフェニルアミンの生成速度は0.53mmol/hであった。
【0038】
実施例4
触媒Aに代えて、触媒Bを10.51g使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。サンプリングした反応混合物を分析した結果、反応温度100℃では、4−ニトロジフェニルアミンの生成速度は0.010mmol/hであり、反応温度150℃では、4−ニトロジフェニルアミンの生成速度は0.050mmol/hであった。
【0039】
比較例1
触媒Aを充填しなかった以外は、実施例1と同様に反応を行った。サンプリングした反応混合物を分析した結果、反応温度100℃及び150℃のどちらの場合においても、4−ニトロジフェニルアミンは検出されなかった。
【符号の説明】
【0040】
10,20:反応装置、1:固定床流通式反応器、2a,2b:フィードポンプ、3:圧力計、4:冷却器、5:調圧弁、6:固定床流通式反応管、7:予熱器、8:マスフローコントローラー、9:受器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定床流通方式で固体触媒の存在下にアニリンとニトロベンゼンとを反応させることを特徴とする4−ニトロジフェニルアミンの製造方法。
【請求項2】
前記固体触媒が、担体にアルカリ金属フッ化物が担持されてなる担持アルカリ金属フッ化物及び複合酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属フッ化物が、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム及びフッ化セシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記担体が、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア及び活性炭からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記複合酸化物が、カルシウム及びジルコニウムを含有する複合酸化物である請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
アニリンとニトロベンゼンとのモル比が、アニリン:ニトロベンゼン=1:30〜30:1である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
反応温度が100〜300℃である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−246378(P2011−246378A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120184(P2010−120184)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】