説明

4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の製造方法

式(II)の4−アミノピペリジン誘導体又は前記化合物の酸付加塩を、式(III)の化合物の存在で反応させることを有する、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体並びに前記化合物の酸付加塩の製造方法及びこのように製造された式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の、光の作用から無生物の有機材料を保護するための使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の製造方法に関する。さらに、本発明は、4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の単離及び後処理方法に関する。さらに、本発明は、光の作用から無生物の有機材料を保護するための4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の使用に関する。本発明の他の実施態様は、特許請求の範囲、明細書及び実施例から推知することができる。本発明の主題の前記された特徴及び次にさらに説明される特徴は、それぞれ具体的に挙げられた組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく他の組み合わせでも使用可能であると解釈される。
【0002】
4−ホルミルアミノピペリジン誘導体(4−N−ホルミル化された4−アミノピペリジン誘導体)は、4−アミノピペリジン誘導体をギ酸又はギ酸エステルと反応させることにより製造されることは公知である。EP 0 316 582 A1は、特に前記ギ酸のメチルエステル又はエチルエステルの使用を開示している。EP 0 316 582 A1によると、前記方法の場合に触媒を用いて又は触媒を用いずに行うことができる。触媒として、EP 0 316 582 A1の場合には、ルイス酸、特にチタンオルトエステル及び特にチタンオルトブチラートが挙げられている。
【0003】
4−ホルミルアミノピペリジン誘導体、例えば4−アミノ−2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン誘導体は、EP 0 316 582 A1に記載されているように、ポリマーの光安定剤として使用される。
【0004】
US 4,789,757-Aには、ギ酸のN−ホルミル化が開示されている。前記ホルミル化は、ホルムアミド中のアミノカルボン酸の懸濁液の50〜100℃の温度での加熱により行われる。N−ホルミル化するこの方法は、不活性雰囲気で、ホルムアミドの高い過剰量で、80〜100%の転化率で実施される。
【0005】
さらに、DD 230527 Aからは、ギ酸又はギ酸塩の存在でのホルムアミドによるアニリンのホルミル化が公知である。前記ホルムアニリドは、70%より高い転化率で得られる。
【0006】
US 3,347,916は、N−ホルミル化合物の製造を記載している。第1級又は第2級の、脂肪族又は芳香族アミンの前記ホルミル化は、前記アミンのホルムアミドとの反応により行われる。触媒として、ホルムアミドに対して10質量%のホウ酸が使用される。前記転化率は、ホルムアミドに対して25〜26%で比較的低く、生じるホルミル化生成物は手間をかけて後処理しなければならない。
【0007】
簡単な反応操作が可能でかつ高い収率を可能にする、4−ホルミルアミノピペリジン誘導体のための改善された方法が常に必要とされている。さらに、できる限り純粋な4−ホルミルアミノピペリジン誘導体が得られる方法が必要とされている。
【0008】
従って、本発明の課題は、4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の製造方法を開発することであった。他の課題は、潜在的に腐食性の物質、例えばギ酸を使用せずに4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の製造を可能にすることであった。部分的課題は、簡単な反応操作及び高い収率の方法を見出すことであった。本発明の他の課題は、できる限り純粋な反応生成物の製造を可能にする方法を見出すことであった。
【0009】
前記課題及び本発明の開示内容から明らかな他の課題は、次に記載されている本発明による方法の多様な実施態様により解決される。
【0010】
従って、式(I)
【化1】

[式中、
nは、1又は2であり、
1、R2、R3及びR4は、相互に無関係に、同じ又は異なり、C1〜C4−アルキルを表すか、又はR1及びR2又はR3及びR4は一緒になってテトラメチレン基又はペンタメチレン基を表し、
5は、水素又はC1〜C4−アルキルを表し、
6は、水素、酸素、C1〜C22−アルキル、C3〜C22−アルケニル、C1〜C22−アルコキシ、非置換又は置換されたC7〜C12−フェニルアルキル、C1〜C22−アルカノイル、C2〜C3−シアンアルキル、C1〜C22−ヒドロキシアルキル又はC2〜C22−アミノアルキルを表し、及び
n=1の場合に、
Yは、水素、C1〜C22−アルキル、C3〜C22−アルケニル、C3〜C12−シクロアルキル又はビシクロアルキル、シアン、ヒドロキシ又はC1〜C4−アルコキシにより置換されたC2〜C22−アルキル、エーテル酸素、窒素又は硫黄により中断されたC4〜C22−アルキル、非置換又は置換されたC7〜C22−フェニルアルキル又はジフェニルアルキル、非置換又は置換されたフェニル、次の式の基
【化2】

又は複素環式基を含有するC1〜C22−アルキルを表すか、又は
n=2の場合に、
Yは、C2〜C22−アルキレン、C5〜C22−シクロアルキレン、C8〜C14−フェニルアルキレン、フェニレン又はエーテル酸素、窒素、硫黄又は5員又は6員のヘテロサイクレンにより中断されたC4〜C30−アルキレンを表す]の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体並びに前記化合物の酸付加塩の製造方法において、式(II)
【化3】

の4−アミノピペリジン誘導体又は前記化合物の酸付加塩を
式(III)
【化4】

[式中、
7、R8は、相互に無関係に、同じ又は異なり、水素、C1〜C22−アルキル、C3〜C22−アルケニル、非置換又は置換されたC7〜C12−フェニルアルキル、又はC1〜C22−アルカノイルを表す]の化合物の存在で反応させる方法が見出された。
【0011】
a〜Cbの形式の表現は本発明の範囲内で、所定の数の炭素原子を有する化合物又は置換基を表す。炭素原子の数は、a及びbを含めてa〜bの全ての範囲から選択することができ、aは少なくとも1であり、bは常にaより大である。前記化合物又は前記置換基のさらなる特定は、Ca〜Cb−Vの形式の表現により行われる。Vは、この場合、化合物の種類又は置換基の種類、例えばアルキル化合物又はアルキル置換基を表す。
【0012】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表し、有利にフッ素、塩素又は臭素を表し、特に有利にフッ素又は塩素を表し、殊に塩素を表す。
【0013】
詳細には、多様な置換基について記載された集合概念は次の意味を有する:
a〜Cb−アルキル:a〜b個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基。
【0014】
1〜C4−アルキル:4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、例えばC1〜C2−アルキル又はC3〜C4−アルキル、有利にC1〜C2−アルキル、例えばメチル、エチル、特にメチル、又はC3〜C4−アルキル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルエチル。
【0015】
1〜C22−アルキル:22個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、有利にC4〜C22−アルキル、例えばC1〜C10−アルキル又はC11〜C22−アルキル、有利にC1〜C10−アルキル、例えばC1〜C3−アルキル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はC4〜C6−アルキル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、又はC7〜C10−アルキル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル又はデシル並びにこれらの異性体。
【0016】
3〜C22−アルケニル:3〜22個の炭素原子を有しかつ任意の位置に1つの二重結合を有する不飽和の直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、例えばC3〜C10−アルケニル又はC11〜C22−アルケニル、有利にC3〜C10−アルケニル、例えばC3〜C4−アルケニル、例えば1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、又はC5〜C6−アルケニル、例えば1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、4−メチル−1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−1−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、3,3−ジメチル−1−ブテニル、3,3−ジメチル−2−ブテニル、1−エチル−1−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル又は1−エチル−2−メチル−2−プロペニル、並びにC7〜C10−アルケニル、例えばヘプテニル、オクテニル、ノネニル又はデセニルの異性体。
【0017】
7〜C12−フェニルアルキル:フェニル基で置換された、全体で7〜12個の炭素原子を有するC1〜C6−アルキル、例えばC7〜C10−フェニルアルキル、又はC11〜C12−フェニルアルキル、有利にC7〜C10−フェニルアルキル、例えばベンジル。置換されたC7〜C12−フェニルアルキルは、付加的にフェニル基が置換されている。
【0018】
7〜C22−フェニルアルキル又はジフェニルアルキル:1個又は2個のフェニル基で置換された、全体で7〜22個の炭素原子を有するC1〜C16−アルキル又はC1〜C10−アルキル、例えばC7〜C10−フェニルアルキル又はC13〜C16−ジフェニルアルキル又はC11〜C22−フェニルアルキル又はC17〜C22−ジフェニルアルキル。置換されたC7〜C22−フェニルアルキル又はジフェニルアルキルは、付加的にフェニル基の一方又は両方が置換されている。
【0019】
1〜C22−アルカノイル:1〜22個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基(前記のような)が、カルボニル基(−CO−)を介して結合している、例えばC1〜C11−アルカノイル又はC12〜C22−アルカノイル、有利にC1〜C11−アルカノイル、例えばC1〜C5−アルカノイル、例えばアセチル、n−又はiso−プロピオニル、n−、iso−、sec−又はtert−ブタノイル、n−、iso−、sec−又はtert−ペンタノイル、又はC9〜C12−アルカノイル、例えばn−又はiso−ノナノイル、又はn−デカノイル。
【0020】
2〜C3−シアンアルキル:全体で2〜3個の炭素原子を有する、CN基で置換されたC1〜C2−アルキル。例えば、2−シアンエチル。
【0021】
1〜C22−ヒドロキシアルキル:1〜22個の炭素原子を有する、ヒドロキシ基で任意の位置が置換されたC1〜C22−アルキル。
【0022】
2〜C22−アミノアルキル:2〜22個の炭素原子を有する、アミノ基で任意の位置が置換されたC1〜C22−アルキル。
【0023】
3〜C12−シクロアルキル:3〜12個の炭素環原子を有する単環式の飽和炭化水素基、有利にC3〜C8−シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル。
【0024】
ビシクロアルキル:二環式の飽和又は不飽和炭化水素系、例えばノルボルニル又はノルベニル。
【0025】
1〜C22−アルコキシ:1〜22個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基(前記のような)が酸素原子(−O−)を介して結合している、例えばC1〜C10−アルコキシ又はC11〜C22−アルコキシ、有利にC1〜C10−アルキルオキシ、特に有利にC1〜C4−アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシを表す。
【0026】
a〜Cb−アルキレン:a〜b個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基。
【0027】
2〜C22−アルキレン:2〜22個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、例えばC2〜C10−アルキレン又はC11〜C22−アルキレン、有利にC2〜C10−アルキレン、特にテトラメチレン、ペンタメチレン又はヘキサメチレン。
【0028】
5〜C22−シクロアルキレン:3〜12個の炭素環原子を有する、有利に5〜8個の炭素環原子を有する単環式の飽和炭化水素基を有する、5〜22個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基。
【0029】
8〜C14−フェニルアルキレン:1つのフェニレン基を有する8〜14個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、その際、前記フェニレン基を除く前記炭化水素基は飽和である。
【0030】
ヘテロサイクレン:5員〜12員の、有利に5員〜9員の、特に有利に5員〜6員の、酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子、場合により複数の環を有する環系、例えばフリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はtert−ブチルチオフェニル。例えば、ピペリジニル、ピロリジニル。
【0031】
5員又は6員のヘテロサイクレン:5員又は6員の、酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する環系、例えばフリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、ピペリジニル、ピロリジニル。
【0032】
本発明による方法の範囲内で、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体、並びに前記化合物の酸付加塩の製造は、式(II)の4−アミノピペリジン誘導体を、式(III)の化合物の存在で、有利にジメチルホルムアミド又はホルムアミド、特にホルムアミドの存在で反応させることにより行われる。式(II)の4−アミノピペリジン誘導体及び式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体は、本発明による方法において、それぞれの化合物の酸付加塩としても存在もしくは製造することができる。もちろん、本発明による方法を用いて、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の混合物を、式(II)の4−アミノピペリジン誘導体からなる混合物の式(III)の化合物の存在での反応により得ることができる。有利に、本発明による方法の場合に、式(III)の化合物として純粋なホルムアミド又は不活性の溶剤中のホルムアミド溶液が使用される。純粋なホルムアミドが特に有利に使用される。もちろん、本発明による方法は、式(III)の化合物又はホルムアミドの他の使用形態で、例えば懸濁液又は分散液で実施することもできる。前記式(III)の化合物の概念は、式(III)の化合物の全ての使用形態の代わりに使用される。
【0033】
有利に、n=2の式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の製造は、n=2の式(II)の4−アミノピペリジン誘導体から行われる。前記製造の副生成物は、n=2に対して主に低い割合の簡単に反応されたモノアミドだけである。本発明による方法を用いて、全体の転化率に対して2mol%より低いモノアミド割合を維持することができる。有利に、前記モノアミド割合は1.5mol%より低い。本発明による方法により、従って、n=2の式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体が高い純度で得られる。
【0034】
有利に、式(I)及び(II)中でR1、R2、R3及びR4は相互に無関係に、同じ又は異なり、C1〜C4−アルキルである。特に、R1、R2、R3及びR4はメチルであるのが有利である。
【0035】
有利に、R5は水素である。
【0036】
6が置換されたC7〜C12−フェニルアルキルである場合、前記置換基は有利にC1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ及び/又はジ−C1〜C4−アルキルアミノである。有利に、R6は水素、C1〜C22−アルキル又はC3〜C22−アルケニルを表す。特に有利に、R6は水素又はC1〜C22−アルキルであり、さらに特に有利に、R6は水素を表す。意外にも、本発明による方法によって、R6が水素を表す場合に、ホルミル化は主に4−アミノピペリジン化合物の4−アミノ−位置でだけ行われることが見出された。ピペリジン環中の前記N−H基は、主に変化されないままである。
【0037】
Yは、n=1である際に、置換されたC7〜C12−フェニルアルキル又はジフェニルアルキルである場合に、前記置換基は有利にC1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ及び/又はジ−C1〜C4−アルキルアミノである。Yは、n=1である際に、置換されたフェニルである場合、前記置換基は有利にC1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシである。
【0038】
さらに特に有利に、n=2の際に、式(I)及び(II)において、R1、R2、R3、R4、R6はメチルを表し、R5は水素を表し、YはC6−アルキレンを表す。式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の製造は、この有利な場合には、例えばUS 4,331,586, EP 508 940, EP 302020, JP 07304737及びUS 4,605,743に記載されている当業者に周知の方法により行われる。例えば、前記の製造は、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリドンの存在で、Pd、Pt、Ni、Coのような水素化触媒の使用下で水素の存在で、物質中でか又は溶剤を用いてヘキサメチレンジアミンの還元的アルキル化により行われる。同様に、式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の多くは相応するアミンから4−ピペリドンとの関連で得ることができる。式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の他の製造方法は、先行技術から当業者に周知である。
【0039】
本発明による方法の範囲内で、式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の反応は、溶剤の存在で、又は「物質中で」行うことができる。物質中の前記反応とは、主に本発明の方法において溶剤が添加されていないことを意味する。
【0040】
「溶剤」の概念は、本発明の範囲内で、希釈剤の代わりに用いられる。溶けた材料は、溶剤中に溶解して、懸濁して、分散された形で又は乳化された形で存在する。この溶剤の概念は、溶剤混合物をも含む。溶剤は、本発明による方法の反応条件下で液状である。この溶剤の概念は、式(III)の化合物を含まない。
【0041】
物質中での前記反応は、式(II)の4−アミノピペリジン誘導体が本発明による方法の反応条件下で、式(III)との関連において可溶性であるか、懸濁可能であるか、分散可能であるか又は乳化可能である場合に有利に行うことができる。本発明の場合に、物質中での前記反応は、式(II)の4−アミノピペリジン誘導体が本発明による方法の反応条件下で液状である場合にも行うことができる。
【0042】
物質中の反応の際に使用することができる式(III)の化合物の量は、例えば式(III)との関連で式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の可溶性の理由から、広範囲にわたり可変である。一般に、式(III)の化合物は、式(II)の4−アミノピペリジン誘導体に関して等モル〜15倍のモル過剰までで使用される。有利に、本発明による方法の範囲内で、等モル〜5倍のモル量が適用される。物質中での前記反応は、有利に80℃〜180℃の温度範囲で行われる。特に有利に、前記反応は100℃〜160℃の範囲内で行われる。前記反応は、減圧で、常圧で、加圧下で実施することができる。有利に、前記反応は常圧又は軽度の加圧で実施される。
【0043】
本発明による方法の実施態様の場合に、溶剤、特に不活性溶剤が使用される。不活性溶剤は、本発明による方法の反応条件下で安定である。つまり、前記不活性溶剤は、分解されず、それ自体又は出発物質又は前記反応の生成物と反応しない。特に、不活性溶剤は式(III)の化合物、アミン又はアンモニアに対して安定である。有利に、溶剤として芳香族有機炭化水素、例えばトルエン、キシレン、ジクロロベンゼン、Solvesso(登録商標) 100, 150又は200(置換された芳香族化合物混合物)が使用される。更に有利に、溶剤としてキシレン又はトルエンが使用される。使用された溶剤の量は使用材料の溶解度に依存し、広範囲にわたり可変である。本発明の方法において溶剤の量の適切な選択により、一方で不所望な副作用、例えば少なすぎる溶剤の使用の場合の式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の不十分な溶解度が避けられ、他方で例えば多すぎる溶剤の使用の場合の冷却又は加熱工程のための著しく高いエネルギー費用が避けられる。一般に、溶剤の量は、式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の量に対して10〜700質量%である。有利に、10〜500質量%の溶剤が使用される。更に有利に、20〜400質量%の溶剤が使用される。
【0044】
前記反応温度の選択は、本発明による方法が物質中で又は溶剤の使用下で行われるかどうかに依存する。1実施態様の場合に、前記反応温度は溶剤の沸点又は溶剤混合物の沸騰範囲に依存する。本発明による方法の場合、一般に式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の沸点よりも低い沸点を有する溶剤が選択される。溶剤の使用下での前記反応は、一般に100℃〜180℃の温度範囲で行われる。有利に、前記反応は120℃〜160℃の範囲内で行われる。前記反応は、減圧で、常圧で、軽度の加圧下で実施することができる。
【0045】
本発明による方法がほぼ完全な反応を達成する間での時間は、それぞれの使用材料及び反応条件に依存して広範囲に可変である。本発明による方法の時間は例えば1〜48時間である。有利に、本発明による方法の時間は24時間よりも短い。
【0046】
本発明による方法の1実施態様の場合に、前記反応は少なくとも1種のプロトン酸又は少なくとも1種のルイス酸の存在で行われる。プロトン酸からなる混合物又はルイス酸からなる混合物並びにプロトン酸とルイス酸との混合物を使用することももちろん同様に可能である。一般に、少なくとも1種のプロトン酸又はルイス酸の存在で、前記反応の前記反応速度は高められる、つまり、プロトン酸又はルイス酸は触媒として作用する。
【0047】
一般に、任意のプロトン酸又はルイス酸が本発明による方法の場合に使用できる。プロトン酸として、有機カルボン酸、例えば酢酸又はプロピオン酸又は鉱酸、例えば塩酸、硝酸又は硫酸が使用される。腐食性が少ないプロトン酸、例えば酢酸が有利である。ルイス酸として、ホウ酸又は亜鉛塩、例えば酢酸亜鉛又は塩化亜鉛が使用される。ルイス酸としてホウ酸を使用するのが有利である。プロトン酸又はルイス酸の濃度は広範囲に可変である。有利に、プロトン酸の濃度は、式(II)の4−アミノピペリジン誘導体に対して4質量%〜40質量%である。4質量%〜20質量%の濃度範囲が特に有利である。更に、5質量%〜10質量%が特に有利である。ルイス酸の濃度は、有利に式(II)の4−アミノピペリジン誘導体に対して0.1質量%〜2.5質量%である。0.2質量%〜1.2質量%の濃度範囲が特に有利である。更に、0.3質量%〜1.0質量%が特に有利である。
【0048】
本発明による方法の有利な実施態様の場合に、前記反応を上記の濃度範囲での少なくとも1種のプロトン酸又は少なくとも1種のルイス酸の存在で行われる。
【0049】
本発明による方法の他の有利な実施態様の場合に、前記反応を上記の濃度範囲での少なくとも1種のプロトン酸及び少なくとも1種のルイス酸の存在で行われる。
【0050】
有利な実施態様の場合に、本発明による方法は、溶剤としてキシレン中で触媒として酢酸(酢)及びホウ酸の存在で行われる。
【0051】
1実施態様の場合に、前記反応は本発明による方法の範囲内で式(II)の4−アミノピペリジン誘導体に対して少なくとも1質量%の含水量で行われる。前記含水量は0.5質量%より低いのが有利である。更に、本質的に水不含で作業するのが有利である。本発明による方法の1実施態様の場合に、前記使用物質を精製して、含水量が全体で式(II)の4−アミノピペリジン誘導体に対して1質量%より低くする。例えば、式(III)の化合物は頻繁に吸湿性であることに留意すべきである。前記含水量が必要な限界値を上回る場合、式(III)の化合物は使用の前に精製される。前記精製は、一般に当業者に公知の方法、例えば蒸留によって行われる。更に、溶剤の含水量を使用前に測定し、場合により上回る場合には式(III)の化合物の場合と同様に行うことができる。同様に、場合による他の材料、例えばプロトン酸又はルイス酸でも行われる。本発明による方法は、低い含水量により生成物の高い純度と同時に高い転化率が可能となる。
【0052】
1実施態様の場合に、前記反応は本発明による方法の範囲内で本質的に酸素遮断下で行われる。この酸素の遮断は、一般に当業者に公知の方法により達成される。例えば、本発明による方法を実施する装置を、前記反応の初めから不活性ガス、例えば窒素でパージして、酸素を追い出す。前記反応は有利にわずかな窒素超過圧で行われる。例えば、この窒素超過圧は5〜50mbarである。有利に、この窒素超過圧は10〜40mbarである。
【0053】
他の実施態様の場合には、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の本発明による製造方法は一般に、時間的に前後するか又は同時に進行することができる1つ以上の方法工程からなる。例えば本発明による方法は次の方法工程を有する:式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の式(III)の化合物の存在での反応による式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の合成、場合による過剰量の式(III)の化合物の除去、場合による溶剤及び式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の分離、場合による式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の単離、場合による式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の後処理。有利に、この工程は時間的に前後して次の順序で行われる:合成、場合による除去、場合による分離、場合による単離及び場合による後処理。
【0054】
前記反応の完了後に、つまり前記合成がほぼ完全に完了した後に、本発明の方法の範囲内で、存在する場合に、過剰量の式(III)の化合物を除去することもできる。
【0055】
本発明による方法の有利な実施態様の場合には、存在する場合に、式(III)の過剰量の化合物を失活させる。この場合による失活は、一般に加水分解により行われる。この加水分解は、例えば水及び/又は水性のアルカリ液又は水性の酸を用いて行うことができる。有利に前記加水分解は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水性アルカリ液を用いて行われる。更に特に有利に、前記加水分解は水性苛性ソーダ液の存在で実施される。
【0056】
本発明による方法の他の有利な実施態様の場合には、存在する場合に、式(III)の過剰量の化合物を蒸留により除去する。
【0057】
式(III)の過剰量の化合物の、例えば失活又は蒸留による除去は、しかしながら方法工程として全く行わなくてもよい。
【0058】
本発明による方法の1実施態様の場合に、式(III)の過剰量の化合物の場合による失活の後に、存在する溶剤を分離する。前記溶剤の分離は、一般に当業者に周知の方法で行われる。有利に、前記分離は蒸留により行うことができる。更に有利に、前記溶剤の分離は共沸水蒸気蒸留により行われる。前記溶剤は、後処理の後に再び使用することができる。有利に溶剤の再使用の前に残留水を除去する。
【0059】
1実施態様の場合に、前記溶剤、特にキシレンは、反応及び式(III)の過剰量の化合物の加水分解が行われた後に、場合により水を添加した後に、共沸で留去し、再使用される。有利に、前記溶剤、特にキシレンの再使用の前に残留水を分離する。
【0060】
式(III)の過剰量の化合物の場合による失活及び前記溶剤の場合による分離後に、本発明による方法の範囲内で、残りの反応混合物から式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の場合による単離が行われる。反応混合物の概念は、本発明による方法の個々の方法工程の間に生じる物質混合物を含む。例えば反応混合物は、出発材料、生成物、溶剤及び触媒からなる混合物を表す。特に、反応混合物の概念は、溶剤と接触した及び溶剤中に溶解した化合物とも接触した、本発明による方法において生じた固体も含む。
【0061】
本発明による方法の有利な実施態様の場合に、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の単離の際に、反応混合物から蒸留により除去される。
【0062】
本発明による方法の他の有利な実施態様の場合に、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体は、不足する溶解度のために水相から分離される。水相は、本発明による方法の実施の際に、例えば式(III)の化合物を水性アルカリ液を用いて加水分解することにより及び場合により共沸水蒸気蒸留により溶剤を除去する場合に生じる。前記水相は、しかしながら他の方法、例えば水又は主に水溶液を反応混合物に添加することにより製造することができる。有利に、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の水相からの単離は晶析により行われる。前記水相は、この場合に母液として表される。
【0063】
本発明による方法の実施態様の範囲内で、単離、例えば晶析は、加水分解において高めた水量を使用することによるか又は反応後であるが例えば加水分解による失活の前に、溶剤、例えばキシレンを添加することにより促進又は改善することができる。
【0064】
式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の他の場合による後処理は、本発明の範囲内で、一般に当業者に周知の技術で行われる。例えば、濾過工程、洗浄工程及び乾燥工程の順番が記載される。これとは別に、例えば遠心分離工程、洗浄工程及び乾燥工程の順序を実施することができる。液状の生成物の場合に、単離及び後処理は、例えば通常の当業者に周知に蒸留工程により行われる。
【0065】
本発明による方法の1実施態様の場合には前記反応混合物を反応の後に濾過する。この濾過は、1つ以上の濾過工程からなり、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体は固体の濾過残分中に残留する。本発明による方法により式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の高い純度を保証するために、一般に濾過の後に1つ以上の洗浄工程が引き続く。前記濾過残分は、有利に水で洗浄される。式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の単離及び後処理は、しかし本発明による方法の範囲内で、他の技術により実施することもできる。
【0066】
本発明による方法の他の実施態様の場合に、前記反応混合物に液状又は不活性溶剤中に溶解された、乳化された又は懸濁された添加剤を添加する。
【0067】
反応混合物への添加剤の添加は、基本的に任意の時点で、例えば式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の本発明による反応の前、反応の間及び/又は反応の後に行うことができる。有利に、前記添加は反応の間及び/又は反応の後に行われる。更に有利に、液状又は不活性溶剤中に溶解された、乳化された又は懸濁された添加剤の添加は前記反応の後に行われる。
【0068】
有利に、前記添加剤は、0.01〜1.5質量%、特に有利に0.01〜0.75質量%、更に特に有利に0.01〜0.25質量%の量で添加される。前記添加剤は、有利に、例えば"Plastics Additives Handbook", Verlag Carl Hanser, ISBN 978-3-446-19579-0に記載されているようなプラスチック添加剤の種類からの添加剤である。特に有利に、前記プラスチック添加剤は、酸化防止剤、金属失活剤、他の光保護剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、蛍光増白剤又は着色剤の種類からなる化合物である。特に、前記プラスチック添加剤は、ホワイトオイル、例えばPionier(登録商標) 2071又は1115 (Fa. Pionier, CAS 8042-47-5), Tudalen(登録商標) 3036(CAS 64741-89-5)又はWinog(登録商標) 70 (Fa. H&R, CAS 8012-95-1), Enerpar(登録商標) M006又はM002 (Fa. BP, CAS 8042-47-5), Primol(登録商標) 382 (Exxon Mobile, CAS 8012-95-1), Ondina Oel G17 (Fa. Esso, CAS 8042-47-5)が有利である。
【0069】
この本発明による方法は、前記の(任意の)方法工程の実施を行うことができる任意の装置中で実施することができる。これを実施するための装置、例えば式(II)の4−アミノピペリジン誘導体を、式(III)の化合物の存在で反応させ、過剰量の式(III)の化合物を場合により失活し、溶剤及び式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体を場合により分離し、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体を場合により単離するか、又は式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体を場合により後処理することによる、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の合成のための装置は、当業者に一般に公知である。
【0070】
本発明により製造する4−ホルミルアミノピペリジン誘導体は、無生物の有機材料を、光の作用から保護するために、特にUV線の有害な作用に対する光保護剤として使用することができる。例えば、これはポリマー用の光保護剤として使用される。ポリマーとは、任意のプラスチック、有利に熱可塑性プラスチック、特にシート、繊維又は任意の形状の成形品であると解釈される。前記ポリマーは、例えばポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリルニトリル、ポリカーボネート、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、又はポリエステルである。ポリマーは、コポリマー、上記ポリマーの混合物又はブレンドであってもよい。有利なポリマーはポリオレフィン、特にポリエチレン又はポリプロピレンである。更に有利なポリマーはポリスチレン又はABSである。同様に、有利なポリマーはポリアミドである。
【0071】
本発明による方法は、4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の製造が可能である。本発明による方法の範囲内で、腐食性の物質、例えばギ酸の使用は回避することができる。本発明による方法は、4−ホルミルアミノピペリジン誘導体を高い純度で高い転化率で得ることができる簡単な反応操作を特徴とする。
【0072】
本発明による方法の前記の実施態様及び次の実施例は、本発明を例示的に説明する。しかしながら、特許請求の範囲の範囲を逸脱せずに、前記方法の多くの他のバリエーション及び本発明による方法の特徴の組合せは当業者にとって考慮できる。
【0073】
実施例:
生成物の純度はガスクロマトグラフィーを用いて決定した。
【0074】
実施例1:溶剤:キシレンを用いた、N,N′−1,6−ヘキサンジイルビス[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ホルムアミドの製造
キシレン60mlに、ホルムアミド40ml、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン170g及びホウ酸0.9gを添加する。酢酸20mlを添加し、不活性ガス雰囲気下で還流温度に加熱する。約10時間の反応時間の後に、前記反応混合物を90〜95℃に冷却し、撹拌しながら水40mlをつぎ足す。引き続き更に撹拌しながら十分に水性の苛性ソーダ液を過剰量のホルムアミドの失活のために添加する。この反応混合物を新たに沸騰させ、キシレンを共沸で留去する。引き続き、約60℃に冷却し、もう1回水を添加し、生じた固体の生成物残留物を分離する。この生成物残留物を水で後洗浄し、次いで乾燥する。乾燥後に、生成物約185g(収率95%)が99%より高い純度で得られる。この生成物の融点は、157〜158℃である。
【0075】
実施例2:溶剤なしでの、N,N′−1,6−ヘキサンジイルビス[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ホルムアミドの製造
ホルムアミド72gに、酢酸25g、ホウ酸0.5g、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン157gを添加し、約6時間約160℃で撹拌する。還流しかつ蒸発冷却しながら、水150ml及び十分な水性苛性ソーダ液を過剰量のホルムアミドの失活のために滴加し、更に2時間約95℃で撹拌し、その際、生成物が微細に晶析する。室温に冷却した後に、前記生成物残留物を分離し、この生成物残留物を水で洗浄する。この生成物は99.6%の純度で、89%の収率で得られる。
【0076】
実施例3:N−シクロヘキシル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−ホルムアミドの製造
N−シクロヘキシル−N−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン19.1gにホルムアミド50g、ホウ酸0.12g及び酢酸1mlを添加し、不活性ガス雰囲気下で約12時間約160℃で撹拌する。引き続き、約100℃で水50ml及び1時間内に十分な水性苛性ソーダ液を過剰量のホルムアミドの失活のために添加し、1時間約90℃で後撹拌する。室温に冷却した後、前記生成物残留物を分離し、乾燥する。無色の生成物11.5gが純度99.8%で得られる。
【0077】
実施例4:N−ブチル,2,2,6,6 テトラメチル−4−ピペリジンアミノホルムアミドの製造
N−ブチル,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン43.4g、キシレン100ml、ホルムアミド18g、ホウ酸1g及び酢酸10gを約6時間不活性ガス雰囲気下で還流しながら撹拌する。室温に冷却後に2相が得られ、これを真空中で蒸留する。前記生成物は180〜182℃/21mbarで留出する。純度99.5%の透明な液体45g(92%)が得られる。
【0078】
実施例5:ホルムアミド72gに、酢酸25g、ホウ酸0.5g、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン157gを添加し、8.5時間約160℃で撹拌する。引き続き、この生成物に対して0.3質量%の鉱物性ホワイトオイルのPionier(登録商標) 2071を添加する。還流しかつ蒸発冷却しながら、水150ml及び十分な水性苛性ソーダ液を過剰量のホルムアミドの失活のために滴加し、更に2時間約95℃で撹拌し、その際、生成物が微細に晶析する。室温に冷却した後に、前記生成物残留物を分離し、この生成物残留物を水で洗浄する。この生成物は99.6%の純度で、96.5%の収率で得られる。
【0079】
実施例6:キシレン60mlに、ホルムアミド40ml及びN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミン170gを添加する。酢酸20mlを添加し、不活性ガス雰囲気下で還流温度に加熱する。約10時間の反応時間の後に、前記反応混合物を90〜95℃に冷却し、撹拌しながら水40mlをつぎ足す。引き続き更に撹拌しながら十分に水性の苛性ソーダ液を過剰量のホルムアミドの失活のために添加する。この反応混合物を新たに沸騰させ、キシレンを共沸で留去する。引き続き、約60℃に冷却し、もう1回水を添加し、生じた固体の生成物残留物を分離する。この生成物残留物を水で入念に後洗浄し、次いで乾燥する。乾燥後に、この生成物が収率94.5%で純度99.9%で得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
nは、1又は2、
1、R2、R3及びR4は、相互に無関係に、同じ又は異なり、C1〜C4−アルキルを表すか、又はR1及びR2又はR3及びR4は一緒になってテトラメチレン基又はペンタメチレン基を表し、
5は、水素又はC1〜C4−アルキルを表し、
6は、水素、酸素、C1〜C22−アルキル、C3〜C22−アルケニル、C1〜C22−アルコキシ、非置換又は置換されたC7〜C12−フェニルアルキル、C1〜C22−アルカノイル、C2〜C3−シアンアルキル、C1〜C22−ヒドロキシアルキル又はC2〜C22−アミノアルキルを表し、及び
n=1の場合に、
Yは、水素、C1〜C22−アルキル、C3〜C22−アルケニル、C3〜C22−シクロアルキル又はビシクロアルキル、シアン、ヒドロキシ又はC1〜C4−アルコキシにより置換されたC2〜C22−アルキル、エーテル酸素、窒素又は硫黄により中断されたC4〜C22−アルキル、非置換又は置換されたC7〜C22−フェニルアルキル又はジフェニルアルキル、非置換又は置換されたフェニル、次の式の基
【化2】

又は複素環式基を有するC1〜C22−アルキル、又は
n=2の場合に、
Yは、C2〜C22−アルキレン、C5〜C22−シクロアルキレン、C8〜C14−フェニルアルキレン、フェニレン又はエーテル酸素、窒素、硫黄又は5員又は6員のヘテロサイクレンにより中断されたC4〜C30−アルキレンを表す]の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体並びに前記化合物の酸付加塩の製造方法において、
式(II)
【化3】

の4−アミノピペリジン誘導体又は前記化合物の酸付加塩の
式(III)
【化4】

[式中、
7、R8は、相互に無関係に、同じ又は異なり、水素、C1〜C22−アルキル、C3〜C22−アルケニル、非置換の又は置換されたC7〜C12−フェニルアルキル、又はC1〜C22−アルカノイルを表す]の化合物の存在での反応を有する、4−ホルミルアミノピペリジン誘導体並びに前記化合物の酸付加塩の製造方法。
【請求項2】
前記反応を、式(III)の化合物、アミン又はアンモニアに対して不活性な溶剤の存在で行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記反応を溶剤の存在なしで行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記反応を少なくとも1種のプロトン酸又は少なくとも1種のルイス酸又は少なくとも1種のプロトン酸と少なくとも1種のルイス酸の存在で行うことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
溶剤として芳香族有機炭化水素を使用することを特徴とする、請求項2又は4記載の方法。
【請求項6】
前記反応の間に酸素を本質的に排除したままにすることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記反応の間に、本質的に水不含で作業することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項1記載の式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の前記反応の完了後に、式(III)の過剰量の化合物を失活することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1記載の式(II)の4−アミノピペリジン誘導体の前記反応の完了後に、式(III)の過剰量の化合物を蒸留により除去することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
溶剤を水の添加後に共沸で留去する、請求項2又は4から9までのいずれか1項記載の方法により製造された式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体を分離する方法。
【請求項11】
前記反応混合物に更に液状の又は請求項2により不活性の溶剤中に溶解した、乳化した又は懸濁した添加物を添加する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記添加剤はプラスチック添加剤の種類からなる添加剤である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記プラスチック添加剤は、酸化防止剤、金属失活剤、光保護剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、蛍光増白剤又は着色剤の種類からなる化合物である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載の方法により製造された、98.5%より大きい純度の、式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体。
【請求項15】
光の作用に対して無生物の有機材料を保護するための、請求項10から14までのいずれか1項記載の方法により製造された式(I)の4−ホルミルアミノピペリジン誘導体の使用。

【公表番号】特表2010−528087(P2010−528087A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509816(P2010−509816)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056550
【国際公開番号】WO2008/145673
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】