説明

6−アルキル−5−アリールスルホニル−ジヒドロフェナントリジンの製造方法

合成方法は、式(I):


[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、本明細書中の定義と同じである]で示される化合物の製造方法を提供する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出典明示によりその全体として本明細書の記載とする、2004年6月18日に出願された米国仮出願番号60/580,849の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一つには、6−アルキル−5−アリールスルホニル−ジヒドロフェナントリジンのようなアリールスルホニル−ジヒドロフェナントリジン、およびそれらのエナンチオ選択的製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
6−アルキル−5−アリールスルホニル−ジヒドロフェナントリジン化合物は、エストロゲンと関連している望ましくない増殖性副作用がないエストロゲン受容体(ER)に対するリガンドとして有用であると考えられる。これらおよび構造的に関連する化合物の代替合成法が望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の概要)
本発明は、エストロゲン受容体に対するリガンドとしての機能を果たすことができるが、古典的エストロゲンのプロフィールよりも有益なプロフィールを示す化合物に関する。いくつかの実施態様では、本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、独立して、水素、アルキル、ハロゲンまたはアリールであり;
5は、C1〜C12アルキルまたはC6〜C20アリールであり;
11およびR12は、独立して、水素、C1〜C12アルキルまたはOP1(ここで、P1は、水素またはフェノール保護基である)、スルファメートまたはアルキルカーボネートである]
で示される化合物、またはその医薬上許容される塩、またはそのプロドラッグに関する。ある好ましい実施態様では、R11およびR12の一方はOP1であり、他方はHである。これらの実施態様のあるものでは、R12はOP1である。
【0005】
いくつかの態様では、本発明は、式Iで示される化合物の合成方法に関する。一の好ましい方法は、(a)一般式(II):
【化2】

[式中、Pは、水素またはアミノ保護基である]
で示されるキラル非ラセミ化合物を準備すること;(b)任意のアミノ保護基Pを除去して非保護化合物を生成すること;および(c)非プロトン溶媒中でのアルキルホスフィンまたはアリールホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジアリールまたはアゾジカルボン酸ジアルキルの存在下におけるようなMitsunobu条件下にて該キラル非保護化合物を環化することを含む。
【0006】
式IIで示されるキラル化合物は、好ましくは、式(III):
【化3】

で示される化合物をキラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体で還元することによって得られる。
【0007】
本発明の別の好ましい態様は、キラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体の存在下にて式(IV):
【化4】

で示される化合物を式(V):
【化5】

で示されるアリールスルホニルクロリドと反応させることによる式Iで示される化合物の合成方法に関する。
【0008】
さらに別の好ましい態様では、本発明は、式(VI):
【化6】

で示される化合物を式(V):
【化7】

で示されるアリールスルホニルクロリドと反応させることによる式Iで示される化合物の合成方法に関する。
【0009】
式(VI):
【化8】

で示されるキラル化合物は、好ましくは、式(IV):
【化9】

で示される化合物をキラルトリアシルオキシ水素化ホウ素ナトリウム還元剤で還元することによって得られる。
【0010】
他の好ましい実施態様では、式(VI):
【化10】

で示されるキラル化合物は、式(IV):
【化11】

で示される化合物を水素化ホウ素金属およびハロトリアルキルシランの存在下にてキラル還元剤で還元することによって得られる。
【0011】
他の態様では、本発明は、本明細書に記載される方法によって調製される式Iで示される化合物に関する。
【0012】
(詳細な説明)
好ましい方法では、化合物Iは、任意のアミノ保護基を除去し、該脱保護化合物をアルキルホスフィンまたはアリールホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジアリールまたはアゾジカルボン酸ジアルキルの存在下にて環化することによって、式IIで示されるキラル非ラセミ化合物から製造され得る。この後者の工程は、好ましくは、非プロトン溶媒中にて行われる。いくつかの態様では、環化工程は、周囲温度〜70℃の温度でテトラヒドロフラン中にて行われる。
【0013】
いくつかの態様では、アルキルホスフィンまたはアリールホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。さらに他の態様では、アゾジカルボン酸ジアリールまたはアゾジカルボン酸ジアルキルは、アゾジカルボン酸ジエチルまたはアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチルである。
【0014】
ある方法は、R1、R2、R3、R4、R6、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が各々水素である化合物に関する。他の方法では、R11およびR12は独立してOHであるか、またはR11およびR12は独立してOP1(ここで、P1はフェノール保護基である)である。他の方法では、R11およびR12は、独立して、水素、C1〜C12アルキル、スルファメートまたはアルキルカーボネートである。さらに他の方法では、R7は、C1〜C12アルキル、C6〜C20アリールまたはハロゲンであり;R5は、C1〜C12アルキルまたはC6〜C20アリールである。ある好ましい組成物では、R5はメチルであり、R7はフルオロである。
【0015】
いくつかの実施態様では、式(II)で示される化合物は、式(III):
【化12】

で示される化合物をキラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体で還元することによって得られる。ある実施態様では、キラル還元剤は、(S)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールまたは[(+)−B−クロロジイソピノカンフェニルボラン]である。
【0016】
さらに別の態様では、本発明は、(a)式(IV):
【化13】

で示される化合物を式(V):
【化14】

で示されるアリールスルホニルクロリドと反応させること;および(b)工程(a)からの混合物をキラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体に添加することによる式Iで示される化合物の合成に関する。
【0017】
ある態様では、工程(a)は、ジクロロメタンまたはトルエンのような非プロトン溶媒中にて行われる。他の態様では、キラル還元剤は、(R)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールである。
【0018】
ある実施態様では、R1、R2、R3、R4、R6、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は各々水素である。いくつかの実施態様では、R11およびR12の一方はOHである。他の実施態様では、R11およびR12の一方はOP1である。他の実施態様では、R11およびR12は、独立して、水素、C1〜C12アルキル、スルファメートまたはアルキルカーボネートである。さらに他の実施態様では、R7は、C1〜C12アルキル、C6〜C20アリールまたはハロゲンである。ある組成物では、R7はフルオロである。いくつかの組成物では、R5はC1〜C12アルキルである。ある好ましい組成物では、R5はメチルである。
【0019】
化合物Iはまた、式(VI):
【化15】

で示される化合物を式(V):
【化16】

で示されるアリールスルホニルクロリドと反応させることによって生成され得る。
【0020】
いくつかの態様では、該反応は、ジクロロメタンまたはトルエンのような非プロトン溶媒中にて行われる。
【0021】
ある実施態様では、R1、R2、R3、R4、R6、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は各々水素である。いくつかの実施態様では、R11およびR12は独立してOHである。他の実施態様では、R11およびR12は独立してOP1である。他の実施態様では、R11およびR12は、独立して、C1〜C12アルキル、スルファメートまたはアルキルカーボネートである。さらに他の実施態様では、R7は、C1〜C12アルキル、C6〜C20アリールまたはフルオロである。いくつかの組成物では、R5はアルキルである。ある好ましい組成物では、R5はメチルである。
【0022】
式(VI):
【化17】

で示されるキラル化合物は、好ましくは、式(IV):
【化18】

で示される化合物をキラルトリアシルオキシ水素化ホウ素ナトリウム還元剤で還元することによって得られる。
【0023】
いくつかの態様では、還元は、ジクロロメタンまたはトルエンのような非プロトン溶媒中にて行われる。他の態様では、キラル還元剤は、ナトリウム(S)−ヒドロトリス[1−(2−メチルプロピル)1,2−ピロリジンジカルボキシラト−O2]ボラート(1−)である。
【0024】
ある実施態様では、R1、R2、R3、R4、R6、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は各々水素である。いくつかの実施態様では、R11およびR12は独立してOHである。他の実施態様では、R11およびR12は独立してOP1である。他の実施態様では、R11およびR12は、独立して、水素、C1〜C12アルキル、スルファメートまたはアルキルカーボネートである。さらに他の実施態様では、R7は、C1〜C12アルキル、C6〜C20アリールまたはフルオロである。いくつかの組成物では、R5はC1〜C12アルキルである。ある好ましい組成物では、R5はメチルである。
【0025】
他の好ましい実施態様では、式(VI):
【化19】

で示されるキラル化合物は、式(IV):
【化20】

で示される化合物を水素化ホウ素金属およびハロトリアルキルシランの存在下にてキラル還元剤で還元することによって得られる。
【0026】
いくつかの態様では、還元は、テトラヒドロフランまたはトルエンのような非プロトン溶媒中にて行われる。他の態様では、キラル還元剤は(R)−2−メチル−CBS−オキサアザボロリジンであり、水素化ホウ素金属は水素化ホウ素リチウムであり、ハロトリアルキルシランはクロロトリメチルシランである。
【0027】
ある実施態様では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は各々水素である。いくつかの実施態様では、R11およびR12は独立してOHである。他の実施態様では、R11およびR12は独立してOP1である。他の実施態様では、R11およびR12は、独立して、水素、C1〜C12アルキル、スルファメートまたはアルキルカーボネートである。さらに他の実施態様では、R7は、C1〜C12アルキル、C6〜C20アリールまたはフルオロである。いくつかの組成物では、R5はC1〜C12アルキルである。ある好ましい組成物では、R5はメチルである。
【0028】
「保護基」なる用語は、当業者には十分に理解されるであろう。特に、アミン保護基、窒素保護基、フェノール保護基または酸素保護基として使用するための種々の保護基が当業者に知られている。本明細書では、本明細書に記載の特定の化学反応に適合するこれらの基のいずれもが使用され得る。フェノール保護基を包含する保護基は、例えば、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis” (1991)に記載されている。フェノール保護基の特定の例としては、メチル、ベンジル、ベンジルオキシメチルまたはアリルが挙げられる。アミノ保護基の例としては、テトラヒドロフランのような溶媒中にてフッ化テトラブチルアンモニウムまたは類似の作用物質によって容易に除去することができるメトキシエチル(トリメチルシリル)またはメトキシエトキシメチルが挙げられる。
【0029】
本発明の化合物が塩基性部分を含んでいる場合には、有機酸および無機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸および同様に知られている許容される助剤から医薬上許容される塩が形成され得る。また、本発明の化合物が酸性部分を含んでいる場合には、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、リチウムまたはカリウム)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、炭素原子1〜6個を含有するアルキルアンモニウム塩、または各アルキル基が炭素原子1〜6個を含有するジアルキルアンモニウム塩、および各アルキル基が炭素原子1〜6個を含有するトリアルキルアンモニウム塩のような有機塩基および無機塩基から塩が形成され得る。
【0030】
本明細書では、「アルキル」なる用語は、単独で使用されるか別の基の一部として使用されるかに関わらず、置換または非置換脂肪族炭化水素鎖をいい、他に明示しない限り、炭素原子1〜12個、好ましくは炭素原子1〜6個を含有する直鎖および分枝鎖が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルが「アルキル」なる用語に包含される。具体的には、置換されていてもよいこれらの脂肪族炭化水素鎖は、この「アルキル」の定義内に包含される。
【0031】
本明細書における定義で使用する炭素数は、炭素骨格および炭素分枝に言及しており、アルコキシ置換などのような置換基の炭素原子は含まれない。
【0032】
本明細書では「アルケニル」なる用語は、単独で使用されるか別の基の一部として使用されるかに関わらず、置換または非置換脂肪族炭化水素鎖をいい、炭素原子2〜8個を有し、少なくとも1つの二重結合を含有する直鎖および分枝鎖が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アルケニル部分は、1または2つの二重結合を有する。かかるアルケニル部分は、E配座またはZ配座で存在することができ、本発明の化合物は、両方の配座を包含する。具体的には、置換されていてもよいこれらの脂肪族炭化水素鎖は、この「アルケニル」の定義内に包含される。アルケニルと結合しているO、SまたはN−Rのようなヘテロ原子は、二重結合に結合している炭素原子と結合してはいない。
【0033】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アリール」とは、炭素原子約6〜約20個(およびその中の炭素原子の範囲および特定数の全ての組み合わせおよびサブコンビネーション)(好ましくは、炭素原子約6〜約10個)を有する、置換されていてもよい単環式、二環式、三環式または他の多環式芳香環系をいう。非限定的な例としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニルが挙げられる。
【0034】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アルコキシ」とは、基R−O−(ここで、Rは、本明細書で定義するアルキル基である)をいう。
【0035】
本明細書では、「アルコキシアルコキシ」なる用語は、単独で使用されるか別の基の一部として使用されるかに関わらず、基Ra−O−Ra−O−(ここで、Raは、本明細書で定義するアルキル基である)をいう。
【0036】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アルコキシアルキル」なる用語は、本明細書で定義するアルコキシ基によって置換された本明細書で定義するアルキルをいう。アルコキシアルキル部分の一例はメトキシエチルである。
【0037】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アルコキシカルボニル」とは、基R−O−C(=O)−(ここで、Rは、炭素原子1〜6個のアルキル基である)をいう。
【0038】
「アルキルアルコキシ」なる用語は、単独で使用されるか別の基の一部として使用されるかに関わらず、本明細書で定義するアルコキシ基で置換された本明細書で定義するアルキル基をいう。
【0039】
本明細書では、「アルキルアリール」なる用語は、単独で使用されるか別の基の一部として使用されるかに関わらず、基−Rb−Ra(ここで、Rbは、本明細書で定義するアルキル基であるRaによって置換された本明細書で定義するアリール基である)をいう。
【0040】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アルキルチオ」とは、基R−S−(ここで、Rは、本明細書で定義するアルキル基である)をいう。
【0041】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アルキニル」とは、1つまたはそれ以上の三重結合を有する少なくとも2つの炭素原子のアルキル基をいう(ここで、アルキルは本明細書で定義するとおりである)。アルキニル基は、置換されていてもよい。
【0042】
単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アリールアルキル」なる用語は、特に明記しない限り、いずれもの開放環位置がアルキル部分で適当に置換されている本明細書で定義するアリールと定義される(ここで、アルキル鎖は、(C1〜C6)飽和炭化水素部分である)。アリールアルキル部分の例としては、化学基、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、ジフェニルメチル、3−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、フルオレニルメチルならびに同族体および異性体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない
【0043】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アリールオキシ」とは、基R−O−(ここで、Rは、本明細書で定義するアリール基である)をいう。
【0044】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「シクロアルキル」とは、炭素原子3〜約20個(およびその中の炭素原子の範囲および特定数の全ての組み合わせおよびサブコンビネーション)(好ましくは、炭素原子3〜約10個)を有する、構造中に1つまたはそれ以上の環を有する置換されていてもよいアルキル基をいう。多環式構造は、架橋または縮合環構造であり得る。基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、2−[4−イソプロピル−1−メチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル]、2−[1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレニル]およびアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
単独でまたは他の用語と組み合わせて使用されるハロゲンなる用語としては、臭素、塩素、フッ素およびヨウ素が挙げられる。
【0046】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「ヘテロアリール」とは、少なくとも1個(好ましくは、1〜約4個)の硫黄、酸素または窒素ヘテロ原子環メンバーを含む、置換されていてもよい、単環式、二環式、三環式または他の多環式芳香環系をいう。ヘテロアリール基は、例えば、炭素原子約3〜約20個(およびその中の炭素原子の範囲および特定数の全ての組み合わせおよびサブコンビネーション)(好ましくは、炭素原子約4〜約10個)を有することができる。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、例えば、ピリル(pyrryl)、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリルおよびイソオキサゾリルが挙げられる。置換基としては、アリール基について上記したものが挙げられる。
【0047】
本明細書では、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「ヘテロアリールオキシ」とは、基R−O−(ここで、Rは、本明細書で定義するヘテロアリール基である)をいう。
【0048】
単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「ヒドロキシアルキル」なる用語は、特に明記しない限り、ヒドロキシ基によって置換された本明細書で定義するアルキルと定義される。
【0049】
置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、フェニルまたはヘテロアリールは、1つまたはそれ以上の置換基で置換され得る。適当な任意の置換基は、独立して、ニトロ、シアノ、−N(R15)(R16)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオ、−S(O)2−N(R15)(R16)、−C(=O)−N(R15)(R16)、(R15)(R16)N−アルキル、(R15)(R16)N−アルコキシアルキル、(R15)(R16)N−アルキルアリールオキシアルキル、−S(O)s−アリール(ここで、sは、0〜2の整数である)または−S(O)s−ヘテロアリール(ここで、sは、0〜2の整数である)から選択され得る。本発明のある実施態様では、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルについての好ましい置換基としては、ニトロ、シアノ、−N(R15)(R16)、ハロ、ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アルコキシアルキルおよびアルコキシカルボニルが挙げられる。本発明のある実施態様では、アリールおよびヘテロアリールについての好ましい置換基としては、−N(R15)(R16)、アルキル、ハロ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキルおよびアルキルアリールが挙げられる。R15およびR16は、独立して、水素またはアルキルと定義される。
【0050】
アルキルまたはアルケニル部分が置換されている場合、例えば、それらは、典型的には、一置換、二置換、三置換または過置換されていてよい。ハロゲン置換基についての例としては、1−ブロモビニル、1−フルオロビニル、1,2−ジフルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル、1,2,2−トリフルオロビニル、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジフルオロエタン、1−フルオロ−2−ブロモエタン、CF2CF3およびCF2CF2CF3などが挙げられる。
【0051】
本発明の化合物は、インターロイキン−1β(IL−1β)誘発性核因子κB(NF−κB)ルシフェラーゼレポーター活性、またはヒト内皮細胞におけるER依存様式のインターロイキン−6(IL−6)発現を遮断することによって、それらの望ましい作用を発揮する。ある化合物は、インビボでエストロゲンと関連する子宮組織および乳房組織に対する増殖作用を示さないと考えられる。このエストロゲン副作用がないことは、古典的エストロゲン応答遺伝子であるクレアチンキナーゼ(CK)の発現がないことによりインビトロで確認されると考えられる。かかる化合物は、古典的エストロゲンについて見られる子宮細胞増殖および乳房細胞増殖を刺激することなく慢性炎症性疾患の治療および予防に有用であることが立証されるはずである。
【0052】
当業者は、数多くの合成経路が本発明の化合物に提供されると認識するであろう。かかる経路には、以下のものを含むものがある:
a)一般構造(II):
【化21】

[式中、Pは水素またはアミノ保護基、例えば、メトキシエチル(トリメチルシリル)またはメトキシエトキシメチルである]
で示されるキラル非ラセミα−アルキル置換ベンジルアルコールを準備すること;
b)任意のアミノ保護基Pを除去すること;および
c)周囲温度〜70℃の範囲の温度でテトラヒドロフランのような非プロトン溶媒中にてアルキルホスフィンまたはアリールホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン)およびアゾジカルボン酸ジアリールまたはアゾジカルボン酸ジアルキル(例えば、アゾジカルボン酸ジエチルまたはアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル)と反応させることによって該キラルアルコール(II)を環化して所望の化合物(I)にすること。
【0053】
一般構造(II)で示されるキラルアルコールは、好都合には、一般構造(III)
【化22】

で示される対応するケトンを(S)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールのような適当なキラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体または[(+)−B−クロロジイソピノカンフェニルボラン]と反応させることによって得ることができる。
【0054】
本発明の他の実施態様は、式Iで示されるキラル化合物の製造のための合成方法であって、
a)一般構造(IV):
【化23】

で示されるアキラルフェナントリジンを準備する工程;
b)ジクロロメタンまたはトルエン中にて(IV)を一般構造(V):
【化24】

で示されるアリールスルホニルクロリドと混合する工程;
c)工程(b)からの混合物を室温で(R)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールのような適当なキラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体に添加する工程
を含む方法を提供する。
【0055】
本発明の別の実施態様は、式(VI):
【化25】

で示される化合物を式(V):
【化26】

で示されるアリールスルホニルクロリドと反応させることを含む、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が上記定義と同じである一般構造(I)で示されるキラル化合物の製造を提供する。
【0056】
本発明の実施態様では、式(VI):
【化27】

で示されるキラル化合物は、好都合には、式(IV):
【化28】

で示される化合物をキラルトリアシルオキシ水素化ホウ素ナトリウム還元剤で還元することによって製造される。
【0057】
本発明の別の実施態様では、式(VI):
【化29】

で示されるキラル化合物は、式(IV):
【化30】

で示される化合物を水素化ホウ素金属およびハロトリアルキルシランの存在下にてキラル還元剤で還元することによって製造される。
【0058】
本発明はまた、ヒトまたは他の哺乳動物におけるアテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、うっ血性心不全、関節炎および炎症性腸疾患の治療方法を提供する。かかる方法は、一般に、ヒトまたは他の哺乳動物に本発明の化合物の有効量を投与することを含む。
【0059】
本発明の化合物の有効な投与量は、使用される特定の化合物、投与方法、治療される症状およびその重篤度、ならびに治療される個体に関する種々の身体的因子に依存して変動してよいことは理解される。アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、うっ血性心不全、関節炎および/または炎症性腸疾患の治療に関しては、必要とする個体に本発明の化合物を体重1kgあたり約0.1mg〜約1mgの1日量で投与する、好ましくは、1日2〜6回の分割投与でまたは持続放出型で投与する場合に一般に好結果が得られる。ほとんどの大型哺乳動物については、総1日用量は、約3.5mg〜約140mg、好ましくは、約3.5〜約5mgである。70kgの成人の場合、総1日量は、一般に、約7mg〜約70mgであり、最適な治療結果が得られるように調節することができる。
【0060】
錠剤、丸剤およびカプセル剤などはまた、トラガカントガム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;およびシュークロース、ラクトースまたはサッカリンのような甘味料を含有することもできる。投与単位形態がカプセル剤である場合、それは、上記の物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含有することができる。コーティングとして、または投与単位の物理的形態を変更するように種々の他の物質が存在することができる。例えば、錠剤は、セラック、シュガーまたはその両方でコーティングすることができる。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味料としてシュークロース、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、染料およびチェリーまたはオレンジフレーバーのような香味料を含有することができる。
【0061】
これらの活性化合物はまた、非経口投与されてもよい。これらの活性化合物の液剤または懸濁剤は、水(適当には、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤を混合したもの)で調製することができる。分散液はまた、油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物で調製することができる。通常の貯蔵および使用状況下では、これらの調製物は、微生物の増殖を予防するために保存剤を含有する。
【0062】
注射用途に適している医薬形態としては、滅菌水溶液または分散液、および滅菌水溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。如何なる場合でも、該形態は無菌でなければならず、注射容易性が存在する程度に流動性がなければならない。それは、製造および貯蔵の条件下にて安定でなければならず、細菌および真菌類のような微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であり得る。
【0063】
代表的な合成方法
スキームIの好ましい方法に従って、ジクロロメタンのような非プロトン溶媒中、トリエチルアミンまたはピリジンのような有機塩基の存在下にて、2−ヨードアニリンを4−メトキシベンゼンスルホニルクロリドで処理することによりスルホンアミド(VII)に変換した。該スルホンアミドをメトキシエチル(トリメチルシリル)のような窒素保護基で保護した。次いで、該保護中間体(VIII)をn−ブチルリチウムのような有機金属試薬で処理し、次いで、ボロン酸トリメチルまたはボロン酸トリイソプロピルのようなボロン酸トリアルキルで処理することにより対応するアリールボロン酸(IX)に変換した。次いで、パラジウム(0)触媒(好ましくは、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))および無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム)を使用して該アリールボロン酸(IX)と2−ブロモ−5−フルオロアセトフェノン(下記参照)をカップリングした。生じたケトン(X)を、(S)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールのようなキラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体を使用してエナンチオマー制御下で還元した。生じたベンジルアルコール(XI)から窒素保護基を除去して(XIII)を得、次いで、標準的なMitsunobu条件を用いて環を閉じて(XIII)を得、酸素保護基を最終に除去して、R7がフッ素であり、R5がメチルであり、R12がメトキシである所望の化合物(I)を得た。
【0064】
スキームI
【化31】


スキームIの続き
【化32】

【0065】
上記中間ケトン(X、R7=F)の形成における反応物である2−ブロモ−5−フルオロアセトフェノンは、スキームIIに示すように、公表された方法(PCT特許出願公開WO 95/16682およびWO 00/77010を参照)に実質的に従って製造した。かくして、2−ブロモ−5−フルオロトルエンの酸化によって得られた安息香酸(XIV)を、標準的なペプチド合成プロトコールを使用してWeinrebアミド(XV)に変換し、次いで、該Weinrebアミド(XV)を臭化メチルマグネシウムで処理して2−ブロモ−5−フルオロアセトフェノンを得た。
【0066】
スキームII
【化33】

【0067】
関連する、R7が水素である化合物Iの製造の別法をスキームIIIに示す。ジクロロメタンのような非プロトン溶媒中、トリエチルアミンまたはピリジンのような有機塩基の存在下にて2−ブロモアニリンを4−メトキシベンゼンスルホニルクロリドで処理することによりスルホンアミド(XVI)に変換した。該スルホンアミドおよびアリールボロン酸(XVII)を、パラジウム(0)触媒(好ましくは、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))および無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム)を使用してカップリングした。次いで、該ケトン(XVIII)を、(S)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールのようなキラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体を使用してエナンチオマー制御下で還元した。生じたベンジルアルコール(XIX)を、標準的なMitsunobu条件を使用してスルホンアミドにて環化し、最後に、(XIII)の酸素保護基を除去して、R7が水素であり、R5がメチルであり、R12がヒドロキシである所望の化合物(I)を得た。
【0068】
スキームIII
【化34】


スキームIIIの続き
【化35】

【0069】
別法として、R7がフッ素である化合物(I)はまた、スキームIVに示した方法によって合成され得る。適当に置換されたフェナントリジン(XX)およびスルホニルクロリドをジクロロメタン溶液としてキラル還元剤に添加して、所望の(S)−8−フルオロ−5−[(4−メトキシフェニル)スルホニル]−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン(XIII)を直接得た。酸素保護基を除去して、R7がフッ素であり、R5がメチルであり、R12がヒドロキシである所望の生成物(I)を得た。
【0070】
スキームIV
【化36】

【0071】
上記にて示した合成の出発物質である8−フルオロ−6−メチルフェナントリジン(XX)は、下記の代替スキームVおよびVIによって合成され得る。第1の経路(スキームV)は、フェノール(XXI)をトリフラート(XXII)に変換し、次いで、水を消失させながら該トリフラートと2−ヨードアニリンをカップリングして所望の生成物(XX)を形成することを含む二段法であった。第二の経路(スキームVI)は、2−ヨードアニリンおよび4−フルオロフェニルボロン酸をカップリングし、生じたビアリールアミン(XXIII)をアシル化し、アミド(XXIV)をポリリン酸で脱水して所望の生成物(XX)を得ることを含む三段法であった。
【0072】
スキームV
【化37】

【0073】
スキームVI
【化38】

【0074】
別の好ましい方法をスキームVIIに例示する。R7がフッ素である所望の化合物(I)は、スキームVIのフェナントリジン(XX)を、還元剤として種々のキラルトリアシルオキシ水素化ホウ素ナトリウムで(K. Yamada, Chem. Pharm. Bull., 31, 70(1983)およびJ. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 265(1983)を参照)、好ましくは、ナトリウム(S)−ヒドロトリス[1−(2−メチルプロピル)1,2−ピロリジンジカルボキシラト−O2]ボラート(1−)[S. Atarashi et al., J. Heterocyclic Chem., 28, 329(1991)の方法に従って水素化ホウ素ナトリウムおよび(S)−N−イソブチルオキシカルボニルプロリンから製造される]でジクロロメタンのような非プロトン溶媒中にて不斉還元することによって、2つの工程で高度のエナンチオ選択性をもって合成され得ることが判明した。次いで、生じたキラルジヒドロフェナントリジン(XXV)を適当に置換されたフェニルスルホニルクロリドと反応させて、スルホンアミド(XIII)を得た。適当な溶媒系、好ましくは、トルエン:エタノール(3:7、v/v)から再結晶することによってエナンチオマー過剰率が増大した。スキームIIIの方法で脱保護して、R7がフッ素であり、R5がメチルであり、R12がOHである(I)を得た。
【0075】
スキームVII
【化39】

【0076】
別法として、適当に置換されたフェナントリジン(XX)の還元における高度なエナンチオ選択性がまた、トルエン、テトラヒドロフランおよびジクロロメタンの混合液のような非プロトン溶媒中、ハロトリアルキルシラン、好ましくは、クロロトリメチルシラン(A. Giannis and K. Sandhoff, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 28, 218(1989))の存在下にて、(R)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールのようなキラル還元剤および水素化ホウ素金属(好ましくは、水素化ホウ素リチウムまたは水素化ホウ素ナトリウム)で達成されることが見出された(スキームVIII)。次いで、ジヒドロフェナントリジン(XXV)を、スキームVIIに概略記載した工程によって、R5がメチルであり、R7がフッ素であり、R12がOHである所望の化合物(I)に変換する。
【0077】
スキームVIII
【化40】

【0078】
本発明の化合物を以下の標準的な薬理試験法で評価し、本発明の化合物の抗炎症活性を立証した。使用した試験法および得られた結果を以下に簡単に記載する。
【0079】
インビトロ試験法
細胞
100%集密的HAECT−1細胞(不死化ヒト大動脈内皮細胞)を入れたT−175フラスコをHBSS(HEPES緩衝生理食塩溶液)8mLで洗浄し、Ad5−wt−hERαウィルス(ヒトERαのCMVプロモーター駆動性発現を媒介するアデノウィルストランスフェクションベクター)の、0.25%ウシ血清アルブミン(EBM−BSA)を含有するフェノールレッド不含内皮細胞基本培地(Clonetics、カリフォルニア州サンディエゴ、カタログ番号CC−3129)での1:10希釈液6mLで4時間感染させた。4時間後、細胞をEBM−BSAで洗浄し、同培地中にて一夜インキュベートした。一夜インキュベートした後、細胞をEBM−BSAで洗浄し、Ad5−3×(NFκB)Lucウィルス(5'からチミジンキナーゼプロモーターまでのMHC NFκb部位の3つの繰り返し単位によって駆動するアデノウィルスルシフェラーゼ発現ベクター)の、EBM−BSAでの1:10希釈液6mLで2時間感染させた。2時間後、細胞を洗浄し、34℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、トリプシン処理し、計数し、4×106細胞/mLの濃度で95%FBS/5%ジメチルスルホキシドに再懸濁し、クリオバイアル中にてアリコート1mLまたは5mLを冷凍し、−150℃で貯蔵した。対照(ER感染無し)細胞をAd5−wt−hERαウィルス感染させずに上記と同様に処理した。
【0080】
IL−6およびクレアチンキナーゼ試験法
ERα感染HAECT−1細胞または対照細胞を解凍し、加温したEBM−BSAで42倍希釈し、1ウェルあたり0.1mLで96ウェルプレートにプレーティングし、34℃で4時間インキュベートした。2ng/mLのIL−1β(R&D Systems)を含有するEBM−BSA中の2つの貯蔵液として該細胞に試験化合物を添加し、プレートをインキュベーター(34℃)へ戻した。15〜20時間後、培地のアリコート100μLを細胞から除去し、BioSourceヒトIL−6ELISAキットを使用してIL−6含量についてアッセイした。次いで、細胞をDulbeccoリン酸緩衝生理食塩溶液300μLで洗浄し、Cell Culture Lysis Reagent(Promega)50μLに溶解した。ルシフェラーゼは、溶解物10μLを使用し、Promega Luciferase Assay試薬100μLと混合してWallac Victor2 Luminometer(Gaithersburg、メリーランド州)にて測定した。クレアチンキナーゼは、細胞溶解物の残りにCKアッセイ試薬(Sigma、カタログ番号47−10)100μLを添加した後のA340の増加率から測定した。
【0081】
データ解析
IC50およびEC50の算出のために、化合物濃度のlog10に対するIL−6、ルシフェラーゼまたはCK値の平均値を四パラメーターロジスティック方程式にあてはめた。IC50/EC50値、「ヒル勾配」、曲線の上限および下限を繰り返して評価した。
【0082】
マウス
卵巣摘出したC57BL/6マウス(16〜20g)(Taconic)を8匹ずつの群に分けた。5〜7日の静養の後、マウスに食餌またはアテローム形成性食餌(脂肪15.75%、コレステロール1.25%およびコール酸ナトリウム0.5%)(Purina diet #21539)を与えた。EEまたは試験化合物をメチルセルロース/tweenビヒクル(マウス1匹につき0.1ml)中にて胃管栄養法により1日1回、5週間投与した。試験期間の終わりに、肝臓を回収し、子宮の湿重量を記録した。
【0083】
RNA分析
Trizol試薬(BRL)を用いて肝臓の全RNAを調製した。NF−κB標的遺伝子のエストロゲンおよび化合物制御を、ABI PRISM 7700 Sequence Detection Systemを製造者のプロトコール(Applied Biosystems)に従って使用してリアルタイムRT−PCRによって確認した。該データをSequence Detector v1.7ソフトフェア(Applied Biosystems)を使用して解析し、Applied Biosystemsプライマーセットを使用してGAPDHに対して正規化した。
【0084】
インビトロ結果
Ad5−wt−ER感染細胞におけるHAECT−1 NF−κB、IL−6およびクレアチンキナーゼアッセイにおいて本明細書に記載されている実施例8の化合物およびその異性体について得られた結果を表1にまとめ、非感染細胞におけるHAECT−1 NF−κBおよびクレアチンキナーゼアッセイにおいて同化合物について得られた結果と比較する。
【0085】
【表1】

【0086】
E2は、Ad5−wt−ER感染HAECT−1細胞におけるNF−κBおよびIL−6発現を約1nMのIC50値で阻害し、同細胞におけるクレアチンキナーゼの発現を同様の効力(5.8nM)で誘発する(表1)。対照的に、本発明の化合物は、Ad5−wt−ER感染HAECT−1細胞におけるNF−κBおよびIL−6発現を強力かつ有効に阻害するが、ER依存様式ではCK発現を誘発しない(表1)。本発明の化合物がCK活性を誘発することなくNF−κBおよびIL−6発現を阻害する能力(表1)は、古典的エストロゲン活性の不在下での抗炎症活性と一致する。
【0087】
インビボ活性
試験化合物での処置は結果としてEEに関連する望ましくない活性である子宮湿重量増加の有意な誘発を引き起こすとは考えられなかった(表2)。
【0088】
【表2】

【0089】
子宮湿重量の誘発が見られなかったので、これらの結果は試験化合物が活性における所望の選択性をもって炎症遺伝子発現を遮断する能力の点から見ると試験化合物の抗炎症的役割を示唆している。
【0090】
以下に記載の実施例は、本発明の範囲を限定するためではなく例示するためのものである。
【実施例】
【0091】
実施例1
N−(2−ヨードフェニル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド
2−ヨードアニリン(24.82g、113.3mmol)の無水ピリジン(36mL)中撹拌溶液に4−メトキシベンゼンスルホニルクロリド(23.42g、113.3mmol)を添加した。黒ずんだ溶液を80℃で1時間加熱した。反応混合物を真空蒸発させ、残留物を氷/水混合物上に注いだ。水性相をデカントし、油性残留物を150mLずつの水で数回トリチュレートした。得られた固体を濾過により回収し、水およびヘキサンで洗浄した。粗物質を空気流下で3時間乾燥させた。エタノールから再結晶して、標記化合物の黄褐色結晶(39.0g、81.71mmol、72%)を得た。アセトンからの再結晶により分析的に純粋な試料を調製した。
MS [(−ESI),m/z]:388 [M−H]-
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:9.54(d,J=8.2Hz,1H)、7.82(dd,J=7.8,1.4Hz,1H)、7.62(d,J=8.9Hz,2H)、7.29(t,J=7.4Hz,1H)、7.07(d,J=9.0Hz,2H)、7.00(d,J=7.9Hz,1H)、6.95(t,J=7.6Hz,1H)、3.81(s、3H);
1312INO3Sについての分析計算値:C 40.12、H 3.11、N 3.60。測定値:C 40.01、H 3.07、N 3.73。
【0092】
実施例2
N−(2−ヨードフェニル)−4−メトキシ−N−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}ベンゼンスルホンアミド
0℃に冷却した水素化ナトリウム(1.17g、29.25mmol、油中60%)の無水テトラヒドロフラン(40mL)中撹拌懸濁液にテトラヒドロフラン(20mL)中のN−(2−ヨードフェニル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(9.36g、19.6mmol)を添加した。添加が完了した後、冷却浴を外し、該混合物を室温で90分間撹拌した。テトラヒドロフラン(20mL)中の2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(4.25g、25.5mmol)を滴下し、反応混合物をさらに16時間撹拌した。水(10mL)を添加し、該混合物を真空濃縮した。残留物を酢酸エチルと水との間で分配させた。有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相を濾過し、濾液を真空蒸発させて、無色油状物として粗標記化合物を得た。ヘキサン−酢酸エチル(10:1)で溶離することによるシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製して無色油状物として標記化合物を得た。ヘキサンでトリチュレートして、白色固体として標記化合物を得た(8.55g、16.5mmol、84%)。融点69〜70℃。
MS [(ESI)m/z]:537 [M+NH4]+
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.94(d,J=7.9Hz,1H)、7.65(d,J=8.9Hz,2H)、7.37(t,J=7.6Hz,1H)、7.09−7.14(m,3H)、6.94(d,J=7.9Hz,1H)、5.18(d,J=11.1Hz,1H)、4.66(d,J=11.0Hz,1H)、3.84(s,3H)、3.44−3.51(m,2H)、0.77(m,2H)、−0.08(s,9H);
1926INO4SSiについての分析計算値:C 43.93、H 5.04、N 2.70。測定値:C 43.75、H 4.98、N 2.59。
【0093】
実施例3
2−([(4−メトキシフェニル)スルホニル]{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}アミノ)フェニルボロン酸
アルゴン下でのN−(2−ヨードフェニル)−4−メトキシ−N−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}ベンゼンスルホンアミド(8.50g、16.4mmol)の無水ジエチルエーテル(125mL)中撹拌溶液を−78℃に冷却し、2.5Nブチルリチウムのヘキサン中溶液(7.85mL、19.6mmol)をシリンジによって2分間にわたって滴下した。ホウ酸トリイソプロピル(5.6mL、24mmol)を添加し、反応混合物を室温に加温した。30分後、反応混合物を0℃に冷却し、1N塩酸を添加した(10mL)。該混合物を酢酸エチルで希釈した。有機層を水および塩化ナトリウム飽和水溶液の両方で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相を濾過し、濾液を真空蒸発させて、無色油状物として粗標記化合物を得た。ヘキサン−酢酸エチル(3:1〜2:1)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィー処理により精製して、無色油状物として標記化合物を得た(6.50g、14.9mmol、91%)。
MS [(ESI)m/z]:436 [M−H]-
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.82(m,2H)、7.58(d,J=7.2Hz,1H)、7.54(d,J=8.9Hz,2H)、7.25−7.32(m,2H)、7.05(d,J=7.9Hz,2H)、6.69(d,J=7.6Hz,1H)、5.01(s,2H)、3.83(s,3H)、3.49(t,J=8.4Hz,2H)、0.81(t,J=8.2Hz,2H)、−0.06(s,9H);
1928BNO6SSi・0.10C614についての分析計算値:C 52.78、H 6.64、N 3.14。測定値:C 53.03、H 6.43、N 3.23。
【0094】
実施例4
N−(2'−アセチル−5'−フルオロ−1,1'−ビフェニル−2−イル)−4−メトキシ−N−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}ベンゼンスルホンアミド
アルゴン下での2−([(4−メトキシフェニル)スルホニル]{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}アミノ)フェニルボロン酸(3.31g、7.57mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.87g、0.76mmol)のジメトキシエタン(30mL)中溶液にエタノール(1mL)中の1−(2−ブロモ−5−フルオロフェニル)エタノン(1.86g、8.57mmol)を添加した。炭酸ナトリウム水溶液(2M、40mL)を添加し、反応混合物を90℃で14時間加熱した。溶媒を真空除去し、残留物を水と酢酸エチルとの間で分配させた。有機層を水および塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、有機相を濾過し、濾液を真空蒸発させて、油状物として粗標記化合物を得た。ヘキサン−酢酸エチル(5:1)で溶離することによるシリカゲルカラムクロマトグラフィー処理により精製して、薄黄色油状物として標記化合物を得、それを放置して結晶化した(2.22g、4.19mmol、55%)。融点94〜95℃。
MS [(ESI),m/z]:528 [M−H]-
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ 7.70(s,J=7.0Hz,1H)、7.64(d,J=8.9Hz,2H)、7.59(m,1H)、7.44(m,1H)、7.34(m,2H)、7.18(d,J=7.2Hz,1H)、7.12(d,J=8.6Hz,2H)、6.92(d,J=7.6Hz,1H)、4.40−4.90(m,2H)、3.86(s,3H)、3.14(m,2H)、2.27(s,3H)、0.64(m,2H)、−0.13(s,9H);
2732FNO5SSiの分析計算値:C 61.22、H 6.09、N 2.64。測定値:C 61.12、H 6.01、N 2.44。
【0095】
実施例5
N−{4'−フルオロ−2'−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1,1'−ビフェニル−2−イル}−4−メトキシ−N−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}ベンゼンスルホンアミド
アルゴン下にて0℃での(R)−2−メチル−CBS−オキサアザボロリジン(0.11mL、トルエン中1.0M、0.11mmol)およびボラン−メチルスルフィド錯体(0.067mL、ジメチルスルフィド中10M、0.67mmol)中溶液にN−(2'−アセチル−5'−フルオロ−1,1'−ビフェニル−2−イル)−4−メトキシ−N−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]−メチル}ベンゼンスルホンアミド(0.30g、0.56mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液を30分間にわたって滴下した。該溶液を室温に加温し、4時間撹拌した。該溶液を0℃に冷却し、水を添加し、混合物を室温に加温し、30分間撹拌した。該溶液を0℃に冷却し、塩酸(1mL、1N水溶液)を添加した。該混合物を1時間撹拌した。該溶液をジエチルエーテル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。該混合物をシリカゲルパッドに通して(ヘキサン:酢酸エチル(5:1))、黄色油状物として標記化合物(0.286g、96%)を得た。1H NMRスペクトルは、回転異性体の1:1混合物と一致した。
MS [(−ESI),m/z]:590 [M+CH3CO2]-
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ −0.15(s,9H、Si−CH3)、3.85(s,3H、O−CH3
2734FNO5SSiについての分析計算値:C 60.99、H 6.45、N 2.63。測定値:C 61.28、H 6.56、N 2.39。
【0096】
実施例6
N−{4'−フルオロ−2'−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1,1'−ビフェニル−2−イル}−4−メトキシベンゼンスルホンアミド
N−{4'−フルオロ−2'−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1,1'−ビフェニル−2−イル}−4−メトキシ−N−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}ベンゼンスルホンアミド(0.28g、0.51mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、テトラヒドロフラン中のフッ化テトラブチルアンモニウム(1.0M、0.76mL、0.76mmol)を添加した。該溶液を還流させながら6時間加熱した。該溶液を真空濃縮し、該混合物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄した。該溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空除去した。該生成物をシリカゲルプラグに通して(ヘキサン:酢酸エチル(5:1)、次いで、ヘキサン:酢酸エチル(1:1))、固体として標記化合物を得た(0.135g、66%)。融点137〜138℃。標記化合物のNMRスペクトルは、回転異性体と一致した。1H NMRスペクトルにおける個々の回転異性体に起因するピークは90℃で1つになった。
MS [(−ESI),m/z]:400 [M−H]-
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ 9.06(s,0.4H)、8.70(s,0.6H)、7.63(d,J=8.7Hz,0.8H)、7.47(d,J=8.6Hz,1.2H)、7.32(m,4H)、7.16(d,J=4.0Hz,1.2H)、7.01(m,2.2H)、6.90(t,J=8.4Hz,0.6H)、6.77(t,J=5.8Hz,0.4H)、6.42(t,J=5.8Hz,0.6H)、5.15(m,0.6H)、5.03(m,0.4H)、4.44(m,0.4H)、4.26(q,J=6.3Hz,0.6H)、3.82(s,3H)、1.15(d,J=6.3Hz,1.25H)、1.11(d,J=6.3Hz,1.75H);
2120FNO4Sについての分析計算値:C 62.83、H 5.02、N 3.49。測定値:C 62.75、H 4.93、N 3.41。
【0097】
実施例7
(S)−8−フルオロ−5−[(4−メトキシフェニル)スルホニル]−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン
N−{4'−フルオロ−2'−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1,1'−ビフェニル−2−イル}−4−メトキシベンゼン−スルホンアミド(0.12g、0.29mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.31g、1.2mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、アゾジカルボン酸ジエチル(0.21g、0.19mL、1.2mmol)を添加した。該溶液を室温で一夜撹拌した。該溶液を真空濃縮し、該混合物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗生成物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー処理(ヘキサン:酢酸エチル(3:1))により精製して、結晶性固体として標記化合物を得た(0.085g、79%)。融点181〜182℃。
溶離溶媒としてヘキサン:イソプロパノール(90:10)を流速1mL/分で使用するRainin Auto−Prep Systemでのキラル固定相HPLC分析(Chiralpak AD−25×5cmカラム)により、この化合物が光学純度99.6%であることが判明した。最初のピークは標記化合物であった。
Rt(多量、Sエナンチオマー)=9.5分
Rt(少量、Rエナンチオマー)=12.1分;
[α]D25=+251.8°(c=1%溶液、CHCl3);
MS [(+ESI),m/z]:384 [M+H]+
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.75(dd,J=7.7,1.1Hz,1H)、7.61(m,1H)、7.48(dd,J=8.6,5.4Hz,1H)、7.43(m,1H)、7.38(m,1H)、7.16(dd,J=9.2,2.8Hz,1H)、6.98−6.92(m,3H)、6.59(d,J=8.8Hz,2H)、5.43(q,J=7.0Hz,1H)、3.64(s,3H)、1.13(d,J=7.0Hz,3H)。
*絶対配置は、単結晶X線分析によって決定した。
【0098】
実施例8
4−[(S)−8−フルオロ−6−メチル−6H−フェナントリジン−5−スルホニル]−フェノール
(S)−8−フルオロ−5−(4−メトキシ−ベンゼンスルホニル)−6−メチル−5,6−ジヒドロ−フェナントリジン(1.26g、3.29mmol)をシクロヘキセン(6.0mL、59mmol)に懸濁した。三臭化ホウ素(20mL、ジクロロメタン中1.0M溶液)を室温で滴下した。該溶液を20時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(300mL)を滴下し、次いで、該混合物をジクロロメタン(6×20mL)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー処理(酢酸エチル:ヘキサン(1:19〜1:4))により精製し、次いで、再結晶して(ジクロロメタン−ヘキサン)、白色結晶として標記化合物を得た(1.1g、90%)。融点193℃。
[α]D25=+267.2°(c=1%溶液、CHCl3);
MS [(−ESI),m/z]:368 [M−H]-
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ: 10.24(br s,1H)、7.76(dd,J=7.6,1.5Hz,1H)、7.60(dd,J=7.8,1.4Hz,1H)、7.52(dd,J=8.7,5.0Hz,1H)、7.41(m,1H)、7.37(m,1H)、7.17(dd,J=9.2,2.7Hz,1H)、6.96(td,J=8.7、2.7Hz,1H)、6.86(d,J=8.9Hz,2H)、6.38(d,J=8.9Hz,2H)、5.41(q,J=7.0Hz,1H)、1.13(d,J=7.0Hz,3H);
2016FNO3Sについての分析計算値:C 65.03、H 4.37、N 3.79。測定値:C 64.82、H 4.47、N 3.71。
【0099】
実施例9
N−(2'−アセチル−ビフェニル−2−イル)−4−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド
N−(2−ブロモ−フェニル)−4−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド(0.34g、0.99mmol)をジメトキシエタン(4mL)に溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.23g、0.2mmol)を添加した。エタノール(1mL)に溶解した2−アセチルフェニルボロン酸(0.16g、0.99mmol)を添加し、次いで、炭酸ナトリウム水溶液(4.2mL、2M)を添加した。反応混合物を100℃で14時間加熱した。該混合物を塩化ナトリウム飽和水溶液(200mL)で希釈し、ジクロロメタン(4×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、残留物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理(酢酸エチル:ヘキサン(1:9〜3:7))により精製して、標記生成物を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:9.20(s,1H)、7.76−7.00(m,10H)、6.89(d,2H)、3.81(s,3H)、2.14(s,3H)。
【0100】
実施例10
N−[(R)−2'−(1−ヒドロキシ−エチル)−ビフェニル−2−イル]−4−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド
N−(2'−アセチル−ビフェニル−2−イル)−4−メトキシ−ベンゼンスルホンアミドをジクロロメタン(5mL)に溶解し、別個に−20℃に冷却しておいた(S)−2−メチル−CBS−オキサアザボロリジン(0.1mL、トルエン中1.0M溶液)およびボラン−メチルスルフィド錯体(0.06mL、メチルスルフィド中10M溶液)の撹拌溶液に滴下した。該混合物を−20℃で5時間撹拌し、−5℃に加温し、さらに36時間撹拌した。メタノール(20mL)を添加し、次いで、真空除去した(×3)。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理(酢酸エチル:ヘキサン(1:9〜2:3))により精製して、回転異性体の混合物として生成物(0.05g、N−(2−ブロモ−フェニル)−4−メトキシ−ベンゼンスルホンアミドから26%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:8.95(s,0.3H)、8.61(s,0.7H)、7.59(m,1.7H)、7.39(m,2.3H)、7.32(m,1.3H)、7.18(m,2H)、7.06(m,1.7H)、6.99(m,2H)、6.74(dd,0.3H)、6.32(dd,0.7H)、5.1(br s,0.7H)、4.91(br s,0.3H)、4.46(q,0.3H)、4.25(q,0.7H)、3.83(s,3H)、1.15(m,3H)。
【0101】
実施例11
(S)−5−(4−メトキシ−ベンゼンスルホニル)−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン
N−[(R)−2'−(1−ヒドロキシ−エチル)−ビフェニル−2−イル]−4−メトキシ−ベンゼンスルホンアミド(0.04g、0.10mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(0.05g、0.21mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.06g、0.21mmol)を添加した。4時間後、さらにアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(0.05g、0.21mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.06g、0.21mmol)を添加した。該混合物を室温に加温し、36時間撹拌した。トリフルオロ酢酸(2.5mL)を添加し、該混合物を2時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100mL)を添加し、得られた混合物をジエチルエーテル(5×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して油状物を得た。得られた油状物を放置して固化させた。標記化合物を、溶離溶媒としてヘキサン:イソプロパノール(90:10)を流速0.8mL/分で使用するRainin Auto−Prep Systemでのキラル固定相HPLC(Chiralpak AD−25×0.46cmカラム)によって評価した。HPLC分析により、該生成物が、多量の生成物がSエナンチオマーであるエナンチオマーの95:5混合物であることが判明した。
Rt(多量、Sエナンチオマー)=9.7分;
Rt(少量、Rエナンチオマー)=11.9分;
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:7.76(dd,J=7.5,1.8Hz,1H)、7.60(m,1H)、7.46−7.33(m,3H)、7.25−7.08(m,3H)、6.92(d,J=8.9Hz,2H)、6.52(d,J=8.9Hz,2H)、5.40(q,J=7.0Hz,1H)、3.60(s,3H)、1.12(d,J=7.0Hz,3H)。
【0102】
実施例12
4−[(S)−6−メチル−6H−フェナントリジン−5−スルホニル]−フェノール
三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1M溶液)およびシクロヘキセンを使用して4−[(S)−8−フルオロ−6−メチル−6H−フェナントリジン−5−スルホニル]−フェノール(実施例8)と同様の方法で標記化合物を製造した。
【0103】
実施例13
(S)−8−フルオロ−5−[(4−メトキシフェニル)スルホニル]−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン
8−フルオロ−6−メチルフェナントリジン(0.5g、2.4mmol)および4−メトキシベンゼンスルホニルクロリド(0.514g、2.49mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液をボラン−メチルスルフィド(0.142mL、1.42mmol、メチルスルフィド中10M溶液)および(R)−2−メチル−CBS−オキサアザボロリジン(0.47mL、0.4734mmol、トルエン中1.0M溶液)の乾燥ジクロロメタン(6mL)中溶液に室温で3時間にわたって添加した。反応混合物を12時間撹拌し、次いで、水酸化ナトリウム水溶液(10mL、1N)を添加した。水性層をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機層を合わせ、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を真空除去して、橙色の固体として粗生成物を得た。該粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理(酢酸エチル:ヘキサン(1:10))により精製して、白色の固体として標記化合物を得た(0.489g、1.28mmol、54%)。
【0104】
標記化合物を、溶離溶媒としてヘキサン:イソプロパノール(90:10)を流速15mL/分で使用するRainin Auto−Prep Systemでのキラル固定相HPLC(Chiralpak AD−25×5cmカラム)によって評価した。キラル固定相HPLC分析により、該生成物がエナンチオマーの90:10混合物であることが判明した。
[α]D25=+155.2°(c=1%溶液、CHCl3);
Rt(多量、Sエナンチオマー)=10.0分;
Rt(少量、Rエナンチオマー)=12.8分;
MS [(+ESI)m/z]:384 [M+H]+
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.75(d,J=7.6Hz,1H)、7.60(d,J=7.8Hz,1H)、7.49(d,J=8.7Hz,1H)、7.44−7.36(m,2H)、7.17(d,J=9.2Hz,1H)、6.97(d,J=8.7Hz,2H)、6.93(d,J=8.9Hz,1H)、6.59(d,J =8.8Hz,2H)、5.43(q,J=7.0Hz,1H)、3.64(s,3H)、1.13(d,J=6.9Hz,3H);
2118FNO3S・0.10H2Oについての分析計算値:C 65.78、H 4.73、N 3.65。測定値:C 65.47、H 4.76、N 3.64。
【0105】
実施例14
トリフルオロメタンスルホン酸2−アセチル−4−フルオロフェニル
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(8.6mL、51mmol)を5'−フルオロ−2'−ヒドロキシ−アセトフェノン(6.4g、41mmol)のピリジン(62mL)中撹拌溶液に0℃で滴下した。該反応物を0℃〜周囲温度で一夜撹拌した。反応溶液をジエチルエーテル(500mL)で希釈した。有機層を1N塩酸水溶液(1×300mL)で洗浄し、次いで、塩化ナトリウム飽和水溶液(2×300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、えび茶色の液体(11.9g、100%)を得た。該生成物をKugel−Rohr蒸留によりさらに精製して、黄色油状物を得、それを放置して固化させた。
MS [(EI)m/z]:286 [M]+
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:8.02(dd,J=8.6、2.9Hz,1H)、7.60−7.66(m,2H)、2.62(s,3H);
IR(ニート)ν:3115、3080、1700、1590、1480、1420、1410、1200、1140、860、830cm-1
9644Sについての分析計算値:C 37.77、H 2.11。測定値:C 38.10、H 2.09。
【0106】
実施例15
8−フルオロ−6−メチルフェナントリジン
2−ヨードアニリン(5.1g、23mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(6.4g、25mmol)、酢酸カリウム(7.4g、75mmol)、およびジクロロメタンと複合した[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1:1)(0.8g、0.9mmol)の固体混合物を脱ガスした(5×)。該反応物にN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)を添加し、生じた暗褐色の懸濁液を脱ガスした(5×)。反応混合物を85℃で2時間加熱した。反応物を1H NMRおよびTLCにより分析し、出発物質(2−ヨードアニリン)は存在していなかった。反応混合物にトリフルオロメタンスルホン酸2−アセチル−4−フルオロフェニル(7.9g、28mmol)を炭酸ナトリウム水溶液(2M、61mL、122mmol)およびさらなるジクロロメタンと複合した[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1:1)(1.0g、1.22mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)と一緒に添加した。反応混合物を数回脱ガスし、85℃で18時間加熱した。該混合物を室温に冷却し、水(250mL)中に注いだ。該懸濁液をジエチルエーテル(2×250mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、茶色の油状物を得た。カラムクロマトグラフィー処理(酢酸エチル:ヘキサン(1:4))により精製して、薄黄色の固体として生成物を得た(1.33g、27%)。
MS [(+ESI),m/z]:212 [M+H]+
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:8.90(dd,J=9.0,5.5Hz,1H)、8.72(dd,J=8.0,1.4Hz,1H)、8.07(dd,J=10.1、2.6Hz,1H)、8.00(dd,J=8.0,1.3Hz,1H)、7.79−7.84(m,1H)、7.64−7.75(m,2H)、2.93(s,3H);
1410FNについての分析計算値:C 79.60、H 4.77、N 6.63。測定値:C 79.39、H 4.93、N 6.52。
【0107】
実施例16
N−(4'−フルオロビフェニル−2−イル)−アセトアミド
2−ヨードアニリン(32.6g、149mmol)および4−フルオロベンゼンボロン酸(20.8g、149mmol)のテトラヒドロフラン(1.5L)中溶液にジクロロメタンと複合した[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(2.20g、2.69mmol)を添加し、次いで、水酸化ナトリウム水溶液(60mL、5N)を添加した。反応混合物を還流させながら12時間加熱し、周囲温度に冷却し、テトラヒドロフランを真空除去した。酢酸エチル(250mL)および塩化ナトリウム飽和水溶液(100mL)を添加した。有機相および水性相を分取し、水性相を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。得られた茶色の油状物をシリカゲルプラグで濾過した(酢酸エチル:ヘキサン(1:4))。真空濃縮後、得られた不純物含有4'−フルオロ−ビフェニル−2−イルアミンをジクロロメタン(75mL)に溶解した。ピリジン(27.7mL、343mmol)、無水酢酸(15.5mL、164mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.55g、4.5mmol)を添加した。該混合物を周囲温度で12時間撹拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液(250mL)を添加し、層を分取した。水性相をジクロロメタン(3×75mL)で抽出し、合わせた有機相を0.1N塩酸(2×50mL)および炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(1×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、茶色の油状物を得た。トルエンを添加し、真空除去して(×3)、茶色の固体を得、これを酢酸エチル−ヘキサンから再結晶した(19.0gを得た)。母液を濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー処理(酢酸エチル:ヘキサン(1:4))により精製して、さらなる物質(5.0g)を得た。得られた純粋な標記化合物は無色の結晶性固体であった(24.0g、70%)。融点123〜124℃。
MS [(ESI),m/z]:230 [M+H]+
1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:9.24(s,1H)、7.44−7.23(m,8H)、1.87(s,3H);
1412FNOについての分析計算値:C 73.35、H 5.28、N 6.11。測定値:C 73.09、H 5.20、N 5.89。
【0108】
実施例17
8−フルオロ−6−メチルフェナントリジン
N−(4'−フルオロビフェニル−2−イル)−アセトアミド(18.5g、80.7mmol)をポリリン酸(250g)と混合し、次いで、強く撹拌しながら120℃に48時間加熱した。熱い反応混合物を氷上に注ぎ、均一になるまで強く撹拌した。濃水酸化アンモニウムをpH>9になるまで添加した。白色沈殿物が生じた。該混合物を濾過し、該白色固体を酢酸エチル(250mL)に溶解し、濾過した。濾液を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下にて減少させて、茶色の固体を得た。該固体を酢酸エチル−ヘキサンからの再結晶により精製して、白色結晶として8−フルオロ−6−メチルフェナントリジンを得た(15.9g、94%)。融点92〜93℃。
MS [(ESI),m/z]:212 [M+H]+
1H NMR(500 MHz、CDCl3)δ:8.63(dd,J=9.0,5.4Hz,1H)、8.49(dd,J=8.2,1.0Hz,1H)、8.10(dd,J=8.1,1.1Hz,1H)、7.84(dd,J=9.6,2.6Hz,1H)、7.71(m,1H)、7.65−7.57(m,2H)、3.01(s,3H);
1410FN・0.10H2Oについての分析計算値:C 78.93、H 4.83、N 6.57。測定値:C 78.90、H 4.57、N 6.58。
【0109】
実施例18
(S)−8−フルオロ−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン
窒素下にて0℃に保持した水素化ホウ素ナトリウム(9.28 g、0.245mol)の無水テトラヒドロフラン(372mL)中撹拌懸濁液に(S)−N−イソブチルオキシカルボニルプロリン(160g、0.743mol;S. Atarashi et al., J. Heterocyclic Chem. 28, 329(1991)に従って製造した)の無水テトラヒドロフラン(372mL)中溶液を滴下した。反応混合物を室温で一夜撹拌した後、溶媒を除去して、固体泡沫体(168g)を得た。この物質をジクロロメタン(272mL)に溶解し、該溶液を0℃に冷却し、窒素下にて8−フルオロ−6−メチルフェナントリジン(17.3g、0.082mol)のジクロロメタン(100mL)中溶液で滴下処理した。反応の進行をNMRによってモニターした。室温で4日後、変換は50%に達した。さらなるS−ヒドリドトリス[1−(2−メチルプロピル)1,2−ピロリジンジカルボキシラト−O2]ボラート(1−)(上記に従って水素化ホウ素ナトリウム4.7gおよび(S)−N−イソブチルオキシカルボニルプロリン81.6gから新しく製造した)のジクロロメタン(150mL)中溶液を0℃で滴下した。室温で7日後、変換は100%に達した。反応混合物を0℃に冷却し、10%クエン酸水溶液を滴下した(200mL)。該混合物を室温にし(80分間にわたって)、次いで、酢酸エチル(1.2L)で希釈した。有機層を10%クエン酸水溶液で洗浄し、次いで、リン酸二水素カリウム飽和水溶液で洗浄した(2×200mL)。有機層を3つに分け、各々を連続して炭酸水素ナトリウム飽和水溶液/水(1:1(v/v))(2×400mL)、水(1×400mL)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液/水(1:1(v/v))(2×400mL)、水(1×400mL)およびブライン(1×400mL)で洗浄して(S)−N−イソブチルオキシカルボニルプロリンを除去した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させて、茶色の油状物26.57gを得、これをそれ以上精製せずにすぐに次工程に使用した。
【0110】
実施例19
(S)−8−フルオロ−5−[(4−メトキシフェニル)スルホニル]−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン
アルゴン下にて0℃に保持した実施例18からの粗(S)−8−フルオロ−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン(26.57g)のジクロロメタン(221mL)中撹拌溶液にトリエチルアミン(13.7mL)を添加し、次いで、4−メトキシフェニルスルホニルクロリド(16.9g)のジクロロメタン(126mL)中溶液を滴下した。該反応混合物を室温に加温し、一夜撹拌した後、酢酸エチル(600mL)で希釈した。該溶液をリン酸二水素カリウム飽和水溶液(2×200mL)およびブライン(1×200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去して、茶色の油状物(37.86g)を得、これを、ヘキサン20%酢酸エチルを用いてフラッシュシリカゲルプラグ(300g)で濾過して、エナンチオマーの86:14混合物であることが示された生成物27.3g(86.9%)を得た。この物質をエタノール中30%熱トルエン(約5mL/g)136mLに溶解した。該熱溶液をシード添加処理し、ゆっくりと室温に到達させた。針状結晶を回収し、エタノール中30%トルエン(4×3mL)ですすぎ、次いで、ヘキサン(2×20mL)ですすぎ、乾燥させて、標記化合物15.5g((S)−8−フルオロ−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジンに基づいて49%)を得た。融点181〜185℃。該化合物を、移動相としてヘキサン−イソプロパノール(90:10)を流速1mL/分で使用するHP−1100でのキラル固定相HPLC(Chiralpak AD−25×0.46cmカラム)により分析した。該分析により、該物質がエナンチオマーの99.75:0.25混合物であることが判明した。
[a]D25=+239.5(c=1、CHCl3
Rt(多量、Sエナンチオマー)=9.284分
Rt(少量、Rエナンチオマー)=12.243分
MS [(+)ESI,m/z]:384.10 [M+H]+
2118FNO3Sについての分析計算値:C 65.78、H 4.73、N 3.65。測定値:C 65.44、H 4.70、N 3.44。
【0111】
実施例20
(S)−8−フルオロ−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン
窒素下にて0℃に保持した水素化ホウ素リチウム(8.25g、0.378mol)のトルエン(94.7mL)およびテトラヒドロフラン(9.46mL)の混合液中撹拌懸濁液にクロロトリメチルシラン(96.1mL)を滴下した。さらにテトラヒドロフラン(30mL)およびトルエン(105mL)を添加してガラス器具をすすいだ。室温で(R)−2−メチル−CBS−オキサアザボロリジン(56.8mL)を滴下した。該混合物を0℃に冷却し、固体8−フルオロ−6−メチルフェナントリジン(40g、0.189mol)を2つに分けてそれぞれ10分間および5分間にわたって添加した。冷却浴を外し、フラスコ壁をトルエン(60mL)ですすぎ、茶色のスラリーを室温で撹拌した。一定間隔でアリコートを採取し、反応の進行をモニターした。8日後、変換は97%に達した。該反応混合物を0℃に冷却し、発泡を制御するために強く撹拌しながら10%クエン酸水溶液(100mL)で滴下処理した。酢酸エチルを添加し(800mL)、次いで、さらに10%クエン酸水溶液(300mL)を添加し、次いで、メタノール(300mL)を添加して、沈殿物を再溶解した。層を分取し、有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させて、標記化合物38.4g(収率95%)を得た。
MS [(+)ESI,m/z]:214.08 [M+H]+
【0112】
実施例21
(S)−8−フルオロ−5−[(4−メトキシフェニル)スルホニル]−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン
実施例20の(S)−8−フルオロ−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジン(38.4g)および4−メトキシフェニルスルホニルクロリド(37.2g)から出発して、実施例19の方法に従って標記化合物を製造した。粗生成物(65.6g)を、20〜25%ヘキサン−酢酸エチルで溶離するフラッシュシリカゲルプラグ(1Kg)での濾過により精製して、生成物54.1(収率78.4%)を得た。該物質(54.1g)をエタノール中30%熱トルエンから2回再結晶した。該溶液をシード添加処理し、室温に冷却した。約3時間後、結晶性固体を回収し、エタノール中30%トルエン(1×15mL)およびヘキサン(2×15mL)ですすぎ、乾燥させて、標記化合物27.1g((S)−8−フルオロ−6−メチル−5,6−ジヒドロフェナントリジンに基づく収率39.3%)を得た。該化合物を、移動相としてヘキサン−イソプロパノール(90:10)を流速1mL/分で使用するHP1100でのキラル固定相HPLC(Chiralpak AD−25×0.46cmカラム)により分析した。該分析により、該物質がエナンチオマーの98.7:1.3混合物であることが判明した。
[a]D25=+246.74(c=1、CHCl3
Rt(多量、Sエナンチオマー)=7.854分
Rt(少量、Rエナンチオマー)=9.027分
MS [(+)ESI,m/z]:384.07 [M+H]+
【0113】
実施例22
4−{[(6S)−8−フルオロ−6−メチルフェナントリジン−5(6H)−イル]スルホニル}フェニルスルファメート
0℃に冷却した4−{[(6S)−8−フルオロ−6−メチルフェナントリジン−5(6H)−イル]スルホニル}フェノール(1.11g、3.0mmol)のジメチルアセトアミド(10mL)中撹拌溶液に塩化スルファモイル(1.39g、12.0mmol)を添加した。該混合物を室温に加温し、16時間撹拌を続けた。水(100mL)を添加し、反応容器の内側に白色沈殿物が沈着した。水を除去し、フラスコをさらに水で洗浄した。白色固体をジクロロメタンに溶解し、ヘキサン中30%〜50%メチルtert−ブチルエーテルの勾配液で溶離するシリカゲル(90g)を予め充填したBiotage(登録商標)40 Miカラムでの分取液体クロマトグラフィー処理により精製して、白色固体として標記化合物(1.16g、87%)を得た。融点165.5〜167.3℃
MS [(+ESI),m/z]:449 [M+H]+
MS [(−ESI),m/z]:447 [M−H]-
HRMS [(+ESI),m/z]:449.06289 [M+H]+。C2017FN252についての計算値:449.06357;
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:1.16(d,J=7.0Hz,3H)、5.49(q,J=7.0Hz,1H)、6.97(m,3H)、7.14(ddd,J=9.2,2.9,2.5Hz,2H)、7.20(dd,J=9.2,2.7Hz,1H)、7.45(m,3H)、7.63(dd,J=7.8,1.3Hz,1H)、7.77(dd,J=7.6,1.7Hz,1H)、8.13(s,2H);
2017FN252についての分析計算値:C 53.56;H 3.82;N 6.25。測定値:C 53.47;H 3.82;N 6.10。
[α]D25=+211°(c=10.0g/mL、CHCl3
【0114】
本発明の好ましい化合物は、古典的エストロゲンについて見られる子宮および乳房細胞増殖を刺激することなく慢性炎症性疾患の治療および予防に有用な選択的抗炎症性化合物である。
【0115】
好ましい化合物は、骨粗鬆症の治療または阻害、および個々の新しい骨組織の形成と古い組織の吸収の不均衡に起因して正味の骨量損失に至る骨脱灰の阻害に有用である。かかる骨の減少は、様々な個体、特に、閉経後の女性、両側の卵巣を摘出した女性、長期に及ぶコルチコステロイド療法を受けているかまたは受けた個体、性腺発育障害を持っている個体、およびクッシング症候群にかかっている個体に生じる。歯および口腔の骨を含む骨の置換に対する特別なニーズはまた、骨折した個体、骨構造に欠陥のある個体および骨に関する外科手術および/またはプロテーゼの移植を受けている個体においてこれらの化合物を使用して取り組まれ得る。好ましい用途としては、変形性関節症、低カルシウム血症、高カルシウム血症、パジェット病、骨軟化症、骨石灰質脱失、多発性骨髄腫、および骨組織に有害な影響を及ぼす他の癌の形態の治療または阻害が挙げられる。
【0116】
本発明の好ましい化合物はまた、脳において活性であり、したがって、アルツハイマー病、認識衰退、性欲減退、老年性認知症、神経変性障害、うつ病、不安、不眠症、統合失調症および不妊症の阻害または治療に有用である。かかる化合物は、好ましくは、糸球体硬化、前立腺肥大、子宮平滑筋腫、乳癌、強皮症、線維腫症、子宮内膜症、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、良性乳房疾患、腺筋症、卵巣癌、黒色腫、前立腺癌、結腸の癌、CNS癌、例えば、神経膠腫または星状芽細胞腫を包含する良性または悪性異常組織増殖の治療または阻害に有用でもある。
【0117】
本発明の好ましい化合物は、心保護的であり、抗酸化剤であり、コレステロール、トリグリセリド、Lp(a)およびLDLレベルの低下;高コレステロール血症、高脂血症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、再狭窄および血管痙攣の阻害または治療、ならびに免疫介在性血管疾患に至る細胞事象からの血管壁損傷の阻害に有用である。
【0118】
好ましい用途はまた、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、病型不定型大腸炎)、関節炎(関節リウマチ、脊椎関節症、変形性関節症)、胸膜炎、虚血/再灌流障害(例えば、脳卒中、移植片拒絶反応、心筋梗塞など)、喘息、巨細胞性大動脈炎、前立腺炎、ブドウ膜炎、乾癬、多発性硬化症、全身性エリテマトーデスおよび敗血症を包含する、炎症または自己免疫疾患に関連する障害の治療を含む。
【0119】
好ましい化合物のさらなる代表的用途としては、白内障、ブドウ膜炎および黄斑変色を包含する眼疾患の治療または阻害、ならびに老化、脱毛症および座瘡のような皮膚状態の治療が挙げられる。
【0120】
本発明の化合物はまた、II型糖尿病のような脂質代謝の代謝障害、食欲(例えば、拒食症および過食症)の治療または阻害;遺伝性出血性毛細管拡張症、機能不全性子宮出血のような出血性障害の治療または阻害、および出血性ショックとの戦い;および/または白血病、子宮内膜切除、慢性腎もしくは肝疾患または凝固疾患もしくは障害のような無月経が有利である病態において有用である。
【0121】
本明細書で引用した全ての特許、刊行物および他の文献は、出典明示によりその全体として本明細書の記載とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、独立して、水素、C1〜C12アルキル、ハロゲンまたはC6〜C20アリールであり;
5は、C1〜C12アルキルまたはC6〜C20アリールであり;
11およびR12は、独立して、水素、C1〜C12アルキルまたはOP1(ここで、P1は、水素またはフェノール保護基である)、スルファメートまたはアルキルカーボネートである]
で示される化合物の合成方法であって、
式(II):
【化2】

[式中、Pは、水素またはアミノ保護基である]
で示される対応するキラル非ラセミ化合物を非プロトン溶媒中にてアルキルホスフィンまたはアリールホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジアリールまたはアゾジカルボン酸ジアルキルで環化させて式(I)で示される化合物を得る(ただし、Pがアミノ保護基である場合には、環化の前に該アミノ保護基を除去して式IIA:
【化3】

で示される脱保護化合物を得る)ことを含む方法。
【請求項2】
環化工程が周囲温度〜70℃の温度でテトラヒドロフラン中にて行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アルキルホスフィンまたはアリールホスフィンがトリフェニルホスフィンである、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
アゾジカルボン酸ジアリールまたはアゾジカルボン酸ジアルキルがアゾジカルボン酸ジアルキルである、請求項1〜3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
アゾジカルボン酸ジアルキルがアゾジカルボン酸ジエチルまたはアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチルである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
1、R2、R3、R4、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14が各々水素である、請求項1〜5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
5がメチルである、請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
12がOH、OCH3、スルファメートまたはアルキルカーボネートである、請求項1〜7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
7がC1〜C12アルキル、C6〜C20アリールまたはフルオロである、請求項1〜8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
5がメチルであり、R7がフルオロであり、R11がHであり、R12がOP1である、請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
Pがメトキシエチル(トリメチルシリル)またはメトキシエトキシメチルであるアミノ保護基であり;該保護基がTHF中にて式(II)で示される化合物をフッ化テトラブチルアンモニウムと反応させることによって除去される、請求項1〜10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
式(II)で示される化合物が式(III):
【化4】

で示される対応する化合物を還元することによって得られる、請求項1〜11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
還元が式(III)で示される化合物をキラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体と反応させることにより行われる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
キラル還元剤が(S)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールまたは[(+)−B−クロロジイソピノカンフェニルボラン]である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
さらに、フェノール保護基を除去してOP1をOHに変換することを含む、請求項1〜14いずれか1項記載の方法。
【請求項16】
式I:
【化5】

[式中、
1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、独立して、水素、C1〜C12アルキル、ハロゲンまたはC6〜C20アリールであり;
5は、C1〜C12アルキルまたはC6〜C20アリールであり;
11およびR12は、独立して、水素またはOP1(ここで、P1は、水素またはフェノール保護基である)、スルファメートまたはアルキルカーボネートである]
で示される化合物の合成方法であって、
式(IV):
【化6】

で示される化合物を式(V):
【化7】

[式中、R1〜R14は上記定義と同じである]
で示されるアリールスルホニルクロリドと反応させることによって中間体を形成すること;
および
該中間体をキラル還元剤およびボラン−メチルスルフィド錯体と反応させて式(I)で示される化合物を得ること
を含む方法。
【請求項17】
中間体がジクロロメタン中にて形成される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
還元剤が(R)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールである、請求項16または請求項17記載の方法。
【請求項19】
1、R2、R3、R4、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14が各々水素である、請求項16〜18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
5がメチルである、請求項16〜19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
12がOH、OCH3、スルファメートまたはアルキルカーボネートである、請求項16〜20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
7がC1〜C12アルキル、C6〜C20アリールまたはフルオロである、請求項16〜21いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
5がメチルであり、R7がフルオロであり、R11がHであり、R12がOP1である、請求項16〜18いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
さらに、フェノール保護基を除去してOP1をOHに変換する、請求項16〜23いずれか1項記載の方法。
【請求項25】
式I:
【化8】

[式中、
1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、独立して、水素、C1〜C12アルキル、ハロゲンまたはC6〜C20アリールであり;
5は、C1〜C12アルキルまたはC6〜C20アリールであり;
11およびR12は、独立して、水素またはOP1(ここで、P1は、水素またはフェノール保護基である)、スルファメートまたはアルキルカーボネートである]
で示される化合物の合成方法であって、
式:
【化9】

で示される化合物をキラル還元剤と反応させて、式:
【化10】

で示される中間化合物を生成すること;
該中間化合物を式(V):
【化11】

[式中、R1〜R14は上記定義と同じである]
で示されるアリールスルホニルクロリドと反応させて式Iで示される化合物を生成すること
を含む、方法。
【請求項26】
中間化合物が非プロトン溶媒の存在下にて生成される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
非プロトン溶媒がジクロロメタンである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
還元剤がキラルトリアシルオキシ水素化ホウ素ナトリウムである、請求項25〜27いずれか1項記載の方法。
【請求項29】
1、R2、R3、R4、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14が各々水素である、請求項25〜28いずれか1項記載の方法。
【請求項30】
5がメチルである、請求項25〜29いずれか1項記載の方法。
【請求項31】
12がOH、OCH3、スルファメートまたはアルキルカーボネートである、請求項25〜30いずれか1項記載の方法。
【請求項32】
7がC1〜C12アルキル、C6〜C20アリールまたはフルオロである、請求項25〜31いずれか1項記載の方法。
【請求項33】
7がフルオロである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
さらに、フェノール保護基を除去してOP1をOHに変換することを含む、請求項25〜33いずれか1項記載の方法。
【請求項35】
式I:
【化12】

[式中、
1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、独立して、水素、C1〜C12アルキル、ハロゲンまたはC6〜C20アリールであり;
5は、C1〜C12アルキルまたはC6〜C20アリールであり;
11およびR12は、独立して、水素またはOP1(ここで、P1は、水素またはフェノール保護基である)、スルファメートまたはアルキルカーボネートである]
で示される化合物の合成方法であって、
式:
【化13】

で示される化合物をキラル還元剤、水素化ホウ素金属およびハロトリアルキルシランと反応させて式:
【化14】

で示される中間化合物を生成すること;
該中間化合物を式(V):
【化15】

[式中、R1〜R14は、上記定義と同じである]
で示されるアリールスルホニルクロリドと反応させて式Iで示される化合物を生成すること
を含む、方法。
【請求項36】
中間化合物が非プロトン溶媒の存在下にて生成される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
非プロトン溶媒がジクロロメタンである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
キラル還元剤が(R)−テトラヒドロ−1−メチル−3,3−ジフェニル−1H,3H−ピロロ[1,2−c][1,3,2]オキサアザボロールである、請求項35〜37いずれか1項記載の方法。
【請求項39】
水素化ホウ素金属が水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素リチウムである、請求項35〜38いずれか1項記載の方法。
【請求項40】
キラル還元剤との反応がハロトリアルキルシランの存在下にて行われる、請求項35〜39いずれか1項記載の方法。
【請求項41】
ハロトリアルキルシランがクロロトリメチルシランである、請求項40記載の方法。
【請求項42】
1、R2、R3、R4、R6、R8、R9、R10、R11、R13およびR14が各々水素である、請求項35〜41いずれか1項記載の方法。
【請求項43】
5がメチルである、請求項35〜42いずれか1項記載の方法。
【請求項44】
12がOH、OCH3、スルファメートまたはアルキルカーボネートである、請求項35〜43いずれか1項記載の方法。
【請求項45】
7がC1〜C12アルキル、C6〜C20アリールまたはフルオロである、請求項35〜44いずれか1項記載の方法。
【請求項46】
7がフルオロである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
さらに、フェノール保護基を除去してOP1をOHに変換することを含む、請求項35〜46いずれか1項記載の方法。
【請求項48】
請求項1〜47いずれか1項記載の方法によって生成される式I:
【化16】

[式中、
1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、独立して、水素、C1〜C12アルキル、ハロゲンまたはC6〜C20アリールであり;
5は、C1〜C12アルキルまたはC6〜C20アリールであり;
11およびR12は、独立して、水素またはOP1(ここで、P1は、水素またはフェノール保護基である)、スルファメートまたはアルキルカーボネートである]
で示される化合物。

【公表番号】特表2008−503482(P2008−503482A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516770(P2007−516770)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/021434
【国際公開番号】WO2006/009831
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】