60リットル内袋複合容器及び薬液排出チューブ
【課題】煩雑作業の低減を図ることが可能である60リットル内袋複合容器を提供し、及び該60リットル内袋複合容器用薬液排出チューブを提供する。
【解決手段】樹脂製であり、高清浄度が要求される薬液を60リットル収容し、液出入口部112を設けた内装容器110と、鋼製であり、胴体121に地板122を巻き締めて形成した収納部120aの内面に沿って上記内装容器を収納し、さらに天板123を上記胴体に巻き締めて成形される外装容器120と、を備えた。
【解決手段】樹脂製であり、高清浄度が要求される薬液を60リットル収容し、液出入口部112を設けた内装容器110と、鋼製であり、胴体121に地板122を巻き締めて形成した収納部120aの内面に沿って上記内装容器を収納し、さらに天板123を上記胴体に巻き締めて成形される外装容器120と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製の外側容器内に樹脂製の内側容器を設けた、容量60リットルの内袋複合容器、及び該60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば食品や薬液を収納するための鋼製容器では、上記食品や薬液が直接に鋼製容器内面に接触することによる腐食等の発生を防止するため、上記食品や薬液を収納する樹脂製の内側容器を鋼製の外側容器内に収納した、図11に示すような、内袋複合容器10の形態が採られる。
【0003】
該内袋複合容器10では、内側容器1は、本体部1aがポリエチレン製で袋状にて形成され、その上部には充填物を出入するための出入口1bが容器本体部と一体的に形成されている。尚、出入口1bの外周面は、雄ネジ形状に成形されている。
【0004】
一方、内袋複合容器10の外側容器2は、円筒状の鋼板にてなる胴体2aと、鋼板にてなる地板2bとが巻き締められて収納部が形成される。
そして、上記収納部内に、上記内側容器1を装填した後、鋼板製の天板2cに形成した開口から上記出入口1bを突出させた状態で、胴体2aと天板2cとが巻き締められ、鋼製の外側容器2内に樹脂製の内側容器1を収納した内袋複合容器10が作製される。このような内袋複合容器10に対して充填物を注入した後、天板2cから突出した出入口1bには、キャップ3が螺合され、充填物の密閉が図られる。
【0005】
上記薬液の例として、例えば半導体分野では、例えばCMPスラリー、フォトレジスト、現像液、エッチング液、洗浄液等であり、液晶分野では、フォトレジスト、カラーレジスト、カラーフィルタ材料等である。また、これらの薬液の中には遮光を要するものもあり、鋼製にてなる外側容器2は遮光性を有することから、内袋複合容器10の使用は、この点でも有利である。
【0006】
半導体分野等における薬液を扱う場合には、内側容器1は勿論のこと、内装複合容器10には高い清浄度が要求される。さらに薬液の排出に当たっても高い清浄性が要求され、排出方法として、上記キャップ3を取り外して取り付けられ排出用チューブを有するディスペンサーを用いて排出する方法が採られる。これには、薬液をポンプで吸い上げるポンプアップ方式、あるいは、缶内に窒素ガス等を注入して加圧することで薬液を押し出す加圧方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−45429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような、半導体分野等で使用される薬液用の内袋複合容器としては、その内容量が20リットルの、いわゆるペール缶を利用したものが広く使用されている。一方、上述のように、薬液の排出にはディスペンサーを用いた方法が採られることから、ほぼ20リットルの薬液を排出する度に、容器に対して上記ディスペンサーの着脱を行う必要があり、非常に煩雑な作業が強いられている。
【0009】
また、半導体分野等で使用される薬液は、非常に高価であり、コスト面から、内袋複合容器内における残液量を可能な限り低減したいという、ユーザー側の要望もある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、煩雑作業の低減を図ることが可能である、60リットル内袋複合容器を提供すること、及び、該60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の第1態様における60リットル内袋複合容器は、樹脂製であり、取り扱いに高清浄度が要求される薬液を収容し、その収容量が60リットルであり、天面に液出入口部を設けた内装容器と、
鋼製であり、筒状の胴体に地板が巻き締められて成形された収納部の内面に沿って上記内装容器を収納し、さらに上記液出入口部が突出可能な口部用開口を形成した天板を上記胴体に巻き締めて成形される外装容器と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記内装容器の上記液出入口部は、該液出入口部の外周面に、当該液出入口部の軸方向に沿って保持用ネジとキャップ用ネジとを同心円状に2段にて有し、上記保持用ネジは、上記天面に近接して成形され、上記外装容器の上記口部用開口を通過する直径を有し、当該液出入口部を上記天板に保持するハンガーを螺合するためのネジであり、上記キャップ用ネジは、上記天面より離れて成形され、上記保持用ネジよりも小径であり、上記液出入口部の口部を閉止するキャップを螺合するためのネジで構成してもよい。
【0013】
また、上記天板は、上記口部用開口の周囲において、上記口部用開口から当該天板の中央を超えた領域まで窪みを形成してもよい。
【0014】
また、上記外装容器は、塗装を省略可能な電気亜鉛メッキ鋼板にて成形され、上記薬液は、半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液であり、上記内装容器は、薬液用仕様による高密度ポリエチレン樹脂製であり高品質管理下にてブロー成形して構成してもよい。
【0015】
また、本発明の第2態様における薬液排出チューブは、上記第1態様における60リットル内袋複合容器に備わる内装容器における液出入口部に装着可能であり、上記内装容器に収容した薬液を容器外部へ排出する、上記60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブであって、
可撓性で耐薬液性の樹脂製であり、吸液口近傍の先端部分に、薬液排出用の容器内加圧に伴い上記60リットル内袋複合容器の地板に生じる変形部分へ上記吸液口を配向させる錘を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1態様における60リットル内袋複合容器によれば、その収容量は、60リットルであることから、従来の20リットルに対して収容量が増え、薬液排出に関する煩雑作業の低減を図ることができる。
【0017】
また、上述のような60リットル内袋複合容器において、内装容器の液出入口部に保持用ネジ及びキャップ用ネジを形成した。よって、天板の口部用開口より突出する、内装容器の液出入口部は、保持用ネジに螺合させたハンガーにて、突出した状態で天板に保持することができる。よって、キャップ用ネジに螺合するキャップの着脱を容易に行うことができ、薬液排出作業に関する作業性を向上させることができる。
【0018】
また、天板には口部用開口の周囲に窪みを形成した。よって、薬液排出のために容器内を加圧する場合でも、天板の膨れを防止あるいは抑制することができる。一方、地板には、耐加圧用の工夫は施していない。よって、上記窪みとの相乗効果により、地板、特に地板中央部は、上記加圧により容器外側へ膨らむことができる。この結果、薬液排出終了間際には、上記膨らんだ変形部分に残液を集めることができ、効率的な薬液排出が可能となり、かつ残液量の低減を図ることも可能となる。
【0019】
また、内装容器を高密度ポリエチレン樹脂で成形することで、耐薬液性及び高いクリーン度を有することができる。また、薬液が半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液であり、それに見合う品質管理下にてブロー成形される。よって、内装容器は、高清浄度を有し、半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液の取り扱いに適している。さらに、外装容器についても、電気亜鉛メッキ鋼板にて成形することで、外面塗装を省略することができる。よって、容器内への異物混入等の可能性を低減させ、内装容器のみならず、容器全体において高清浄度を達成することが可能である。
【0020】
さらに本発明の第2態様における薬液排出チューブによれば、上記第1態様の60リットル内袋複合容器に装着可能であり、当該薬液排出チューブの先端部分に錘を有する。よって、薬液排出チューブの吸液口を外装容器の地板における変形部分に配向させることが可能となり、上述の、天板の窪み形成と相まって、さらに効率的な薬液排出が可能となり、かつ残液量の低減を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態における60リットル内袋複合容器の構造を示す、一部断面を含む図である。
【図2】図1に示す60リットル内袋複合容器の平面図である。
【図3】図1に示す60リットル内袋複合容器の斜視図である。
【図4】図1に示す60リットル内袋複合容器の内装容器の液出入口部に関する断面図である。
【図5】図1に示す60リットル内袋複合容器を逆さまにして薬液を排出したときの残液状態を示す図である。
【図6】図1に示す60リットル内袋複合容器に備わる内装容器の変形例の一例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は矢視Bによる側面図、(C)は矢視Cによる側面図である。
【図7】図1に示す60リットル内袋複合容器に備わる内装容器の他の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図8】図1に示す60リットル内袋複合容器に備わる内装容器の別の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図9】図1に示す60リットル内袋複合容器に装着可能な、薬液排出チューブ及びディスペンサー機構を示す図である。
【図10】図1に示す60リットル内袋複合容器に適用可能な傾斜台を示す斜視図である。
【図11】従来の20リットル内袋複合容器の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態である60リットル内袋複合容器について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0023】
図1から図4には、本実施形態における60リットル内袋複合容器100の構成が示されている。60リットル内袋複合容器100においても、従来の20リットル内袋複合容器と同様に、樹脂製の内装容器110と、該内装容器110を収納する鋼製の外装容器120とを備える。
【0024】
内装容器110は、本体部111が高密度ポリエチレン樹脂製で袋状にブロー成形され、その容量が60リットルであり、本体部111の天面111aには、薬液を出入するための液出入口部112が本体部111と一体的に形成されている。液出入口部112は、本体部111のブロー成型の際に同時に成型されても良いし、別途成型され、本体部111に融着等にて取り付けられてもよい。また、液出入口部112の外周面には、図4に示すように、当該液出入口部112の軸方向112aに沿って保持用ネジ1121とキャップ用ネジ1122とが同心円状に2段にて、雄ネジ形状で成形されている。
【0025】
保持用ネジ1121は、天面111aに近接して成形される雄ネジで、外装容器120の天板123に形成された口部用開口123aを通過する直径を有し、液出入口部112を外装容器120の天板123に保持するハンガー113を螺合するためのネジである。
キャップ用ネジ1122は、上述の保持用ネジ1121よりも小径の雄ネジであり、上記軸方向112aにおいて保持用ネジ1121よりも上側に位置し、液出入口部112の口部112bを閉止するキャップ115を螺合するためのネジである。
【0026】
内装容器110に収容される薬液は、収容時も含めて、取り扱いに高清浄度が要求される薬液であり、例えば、半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液が相当する。上述したように、半導体分野での薬液としては、例えばCMPスラリー、フォトレジスト、現像液、エッチング液、洗浄液等であり、液晶分野では、フォトレジスト、カラーレジスト、カラーフィルタ材料等である。
【0027】
このような薬液を収容することから、内装容器110には、高い清浄性が要求され、そのため上述のように、内装容器110は、薬液用仕様による高密度ポリエチレン樹脂製で、高品質管理の下で作製される。作製後、直ちに、液出入口部112の口部112bには内栓114が施されて内部が密閉され、さらに、キャップ用ネジ1122にキャップ115が螺合され内栓114を封止する。
尚、後述するように、収容している薬液を排出するときには、キャップ115及び内栓114が外され、図9に示すようにディスペンサー機構200を構成するプラグ本体201がキャップ用ネジ1122に螺合される。
【0028】
60リットル内袋複合容器100の外装容器120は、円筒状の鋼板にてなる胴体121と、鋼板にてなる地板122及び天板123とを有する。上述のように、当該60リットル内袋複合容器100の収容物は、取り扱いに高清浄度が要求される薬液であることから、外装容器120についても、汎用品に比べて高い清浄度による製造が要求される。よって、外装容器120の胴体121、地板122、及び天板123は、電気亜鉛メッキ鋼板を使用し、外面塗装を省略可能としている。これにより、容器内への異物混入等の可能性を低減させ、内装容器110のみならず、60リットル内袋複合容器100全体において高清浄度を達成している。
【0029】
胴体121は、その両端の直径が同じである。このような胴体121と地板122とを巻き締めることで収納部120aが形成され、収納部120a内には、上述の内装容器110が装填される。尚、収納部120aの大きさは、60リットルの収容量を有する内装容器110に見合ったサイズであり、内装容器110は、収納部120aの内面に沿ってかつ接触して収納される。収納後、内装容器110の上記液出入口部112の保持用ネジ1121が通過可能な大きさにてなる口部用開口123aを形成した天板123が胴体121に巻き締められる。このとき、上記液出入口部112は、天板123の口部用開口123aより容器外部へ突出させ、上記ハンガー113を上記保持用ネジ1121に螺合することで、液出入口部112をハンガー113にて天板123に保持させる。
【0030】
ハンガー113は、樹脂又は金属製で例えば板状の部材であり、液出入口部112の保持用ネジ1121と係合する雌ネジ113aを内周面に形成した貫通穴が開けられ、天板123の口部用開口123aを超える大きさの外周部113bを有する。よって、天板123の口部用開口123aより容器外側へ突出している保持用ネジ1121に対して、容器外側からハンガー113の雌ネジ113aを螺合させることで、ハンガー113の外周部113bが天板123に当接し、ハンガー113は、内装容器110の液出入口部112を外装容器120の天板123に保持する。尚、ハンガー113の形状は、図示する形状に限定されるものではない。
【0031】
さらに天板123には、図2及び図3に、より明確に図示されるように、上記口部用開口123aの周囲において、天板123を容器外側から内側へ一様に凹ませた窪み123bが形成されている。また、窪み123bと天板123とは、斜面123dにて接続しているが、これに限定するものではなく、例えば円弧状等であってもよい。このような窪み123bは、口部用開口123aの近傍から天板123の中央を超えた領域123cまで形成される。これは、以下に説明する容器内加圧により、天板123では中央部分が最も変形し易いからである。また、本実施形態では、窪み123bは、図示のように、上記液出入口部112部分に比べて上記領域123c部分が狭いほぼ卵形形状であるが、該形状に限定されるものではなく、例えば、領域123c部分においても液出入口部112部分と同等の大きさを有する長円形状等であってもよい。
【0032】
従来の内袋複合容器と同様に、本実施形態における60リットル内袋複合容器100においても、収容物である上記薬液の排出は、容器100内への不活性ガスの注入による加圧により行うことができる。上記窪み123bは、上記加圧時における天板123の膨れ変形を防止又は抑制するためのものであり、また、以下に記すように、地板122に変形部分129を生じさせるものでもある。
【0033】
一方、図1に示すように、地板122には、窪み123bのような変形防止用の工夫は施しておらず平板のままである。また、地板122及び天板123は、同じ材料で同じ板厚の鋼板を使用する。よって、上記加圧時には、上記窪み123bによる天板123の変形困難さにより、上記窪み123bを設けない場合に比べて、地板122全体、特に地板122の中央部は、容器外側へより膨らむことができる。このように膨らんだ部分を、説明上、変形部分129(図9)とする。この結果、薬液排出終了間際には、地板122における変形部分129に残液を集めることができる。よって、効率的な薬液排出が可能となり、かつ残液量の低減を図ることも可能となる。この観点から、窪み123bは、地板122に変形部分129を形成させるためのもの、さらには残液量低減を図るためのものとも言える。
【0034】
尚、本実施形態では上述のように窪み123bを設けることで、天板123の変形防止及び地板122の変形促進を図ったが、これらの目的達成のためには窪み123bに限定されることはなく、例えば天板123にリブを設ける等の手段を施してもよい。
【0035】
また、図1及び図3に明確に示されるように、当該60リットル内袋複合容器100の上端101に対して、天板123は1段低く位置し、さらに窪み123bにより、ハンガー113の取り付け位置はさらに1段低くなっている。よって、窪み123bを設けることで、図1に明示されるように、液出入口部112のキャップ用ネジ1122にキャップ115をねじ込んだ状態では、キャップ115の上面を、60リットル内袋複合容器100の上端101以下に位置させることができる。これにより、例えば当該60リットル内袋複合容器100を積み重ねるような場合においても、キャップ115の損傷等を防止できるという効果がある。
【0036】
また、天板123の外面には、図2及び図3に示すように、容器取り扱い用の取っ手124が少なくとも2つ取り付けられている。図2では、取っ手124を2箇所に設けた場合、図3では3箇所に設けた場合を図示している。
【0037】
また、図1に示すように、胴体121の表面にも、天板側と地板側との2箇所に、胴体121の剛性を高め胴体121の変形を防止、抑制するための輪帯121aを、胴体121の周方向に沿って形成している。
【0038】
このようにして、鋼製の外装容器120内に樹脂製の内装容器110を収納した60リットル内袋複合容器100が作製される。
このような60リットル内袋複合容器100に対して、天板123から突出した上記液出入口部112を介して内装容器110内へ上記薬液が注入される。注入後、液出入口部112の口部112bに内栓114が施され、さらにキャップ115がキャップ用ネジ1122に螺合され、薬液の密閉が図られる。
【0039】
このように構成された60リットル内袋複合容器100を使用することで、従来の20リットルに対する収容量の増加により、薬液排出作業頻度は減り、煩雑作業の低減を図ることができる。
【0040】
60リットル内袋複合容器100に収容された上記薬液の排出は、重量及び作業性の観点から、通常、容器内を加圧することにより行われるが、薬液残量が極少量になった場合等、上記液出入口部112を下へ容器100を反転させて行うことも考えられる。しかしながら、こうした場合であっても、液出入口部112の近傍の内装容器110の肩部には、図5に示すように、薬液108が残留し易い。
【0041】
このような薬液残留を極力する無くすために、内装容器は、以下の構成を採ってもよい。即ち、図6に示す内装容器110−1のように、液出入口部112の近傍の内装容器110−1の肩部には、内装容器110−1の外側から内側へ凹んだ凹部130を設けた。尚、図6において、(A)は内装容器110−1の平面図、(B)は(A)における矢印B方向から見た側面図、(C)は(A)における矢印C方向から見た側面図である。また、内装容器110−1の天面111aに形成される斜面に131、132を付番する。
【0042】
凹部130は、天面111aの肩部分であって、かつ天面111aの中心と液出入口部112の中心とを通る線分の両側に設けられている。このような凹部130は、内装容器110−1を成型するときのブロー成型によって容易に形成可能である。
【0043】
このような凹部130を設けることで、容器を傾けて薬液を排出する場合、薬液が滞留していた部分に凹部130が形成されているので、薬液は滞留せず、液出入口部112から排出され、残液量を削減することが可能となる。
【0044】
天面111aと凹部130とを接続する斜面132の角度は、約45度である。60リットル内袋複合容器100の落下時、あるいは容器内の液圧により、天面111aと凹部130との接続部は、強度的に弱くなるが、この部分を斜面132にすることにより、衝撃を緩和することができる。斜面132の上端と下端のそれぞれを円弧状に形成するのが好ましい。該円弧状の形成により、天面111aと凹部130の接続部の強度が高まり、内装容器110の損傷を防止、低減することができる。
【0045】
平面形状において、凹部130の角部130a、130b、130cも円弧状に形成するのが好ましい。このように構成することにより、天面111aと凹部130との接続部の強度が一層高まる。
【0046】
図示しないが、外装容器120と内装容器110−1における凹部130との隙間部分には、スペーサが設けられるのが好ましい。スペーサとして、例えばポリスチレン発泡体が使用可能である。凹部130を設けると内装容器110−1の強度低下が懸念されるが、上記隙間部分にスペーサを介在させることにより、補強される。
【0047】
また、凹部130の変形例として、図7に示す凹部135を構成することもできる。尚、図7の(A)は、内装容器110−2の平面図、(B)は側面図である。凹部135は、液出入口部112の近傍の内装容器110−2の肩部(点線部分)を面取りし、斜面状に形成してなる。凹部135によっても、残液量を削減させることができる。また斜面に限らず、肩部分における円弧部を従来よりも大きくすることによっても、相当の効果を奏する。
【0048】
さらにまた、凹部130の変形例として図8に示す構成を採ることもできる。尚、図8の(A)は、内装容器110−3の平面図、(B)は側面図である。内装容器110−3では、液出入口部112を内装容器110−3の側壁側に近づけ、天面111aの中心と液出入口部112の中心とを通る線分の延長線上の肩部分を、従来の肩部分(点線)の円弧Rより大きくし、当該60リットル内袋複合容器100を傾けて薬液を排出するときに、薬液が肩部分に滞留しないように構成する。このような構成においても残液量を削減することができる。なお、円弧Rを大きくする代わりに、この部分を斜面にしてもよい。尚、この例の場合、液出入口部112が内装容器110−3の側壁側に近づけられているので、外装容器120の形状はそれに応じて変える必要がある。
【0049】
次に、上述のように構成される60リットル内袋複合容器100の液出入口部112に装着可能であり、内装容器110内に収容されている薬液を容器外へ排出する薬液排出チューブについて、図9を参照して以下に説明する。
【0050】
薬液排出チューブ150は、可撓性で耐薬液性の樹脂製であり、例えばテフロン(登録商標)から成形され、例えば直径8mm程度で、液出入口部112からの容器内での長さについて、地板122に接する内装容器110の底部111bに、先端に位置する吸液口151が接し、さらに吸液口151が当該60リットル内袋複合容器100における地板122の中央部にまで位置する程度の長さを有する。また、吸液口151は、本実施形態では図示するように、薬液排出チューブ150の軸方向に対して、薬液排出チューブ150の直径方向の全てにわたり斜めに交差した断面にてなる。尚、吸液口151は、薬液排出チューブ150の上記直径方向の一部分のみが、あるいは複数の箇所が斜めにカットされた断面にて形成してもよい。
【0051】
さらに薬液排出チューブ150は、吸液口151近傍の先端部分152に、薬液排出用の容器内加圧に伴い容器外側へ地板122が膨れた、地板122の変形部分129へ、重力作用により吸液口151を配向させる錘153を有する。錘153は、容器内に収容される薬液と化学的に反応しない金属材料製であり、例えば方形状あるいは円形状の板材でその中央部に薬液排出チューブ150を嵌合可能な貫通穴が形成された部材、又は円筒状の部材にて形成されており、薬液排出チューブ150の弾力にて上記先端部分152に保持される。また、錘153の形状及び取付位置は、錘153を取り付けることで、錘153の厚み分、吸液口151が内装容器110の底部111bから離れる結果にならないように、適宜選択される。一例として本実施形態では、錘153は、円筒形状であり、内径部分に薬液排出チューブ150を挿通して、吸液口151の近傍に取り付けている。また、錘153の重さは、好ましくは55〜65g程度であり、本実施形態では60gである。
【0052】
上記先端部分152とは反対側の薬液排出チューブ150の他端は、例えば図9に示すようなディスペンサー機構200に接続される。ディスペンサー機構200は、内装容器110内に収容されている薬液を容器外へ排出する機構であり、図9では、60リットル内袋複合容器100内に窒素ガス等の不活性ガスを注入して加圧することで薬液を押し出す加圧方式の構成を示している。薬液をポンプ等の吸引装置で吸い上げるポンプアップ方式を採ることもできる。
【0053】
加圧方式のディスペンサー機構200は、大きく分けて、円筒状のプラグ本体201と、加圧した不活性ガスを内装容器110内へ供給するガス供給装置202と、上述の薬液排出チューブ150とを有する。
【0054】
プラグ本体201は、上述したキャップ115を外した後、液出入口部112に取り付けられる、例えば樹脂製のプラグであり、カップリングリング201rと、プラグシェル201sと、シールリング2012とで構成される。カップリングリング201rは、円筒形状の部材であり、一端が円形に開口しており、この開口の内周面には、液出入口部112に形成されたキャップ用ネジ1122に係合する雌めじ2011を形成している。よって、プラグ本体201のカップリングリング201rは、液出入口部112のキャップ用ネジ1122に螺合でき、また、カップリングリング201rの外周には、筋目ローレットが形成されており、プラグ本体201を液出入口部112に確実にねじ結合できる。
【0055】
また、カップリングリング201rの他端も円形に開口しており、この開口には、カップリングリング201rに対して回転可能にプラグシェル201sが嵌め込まれる。即ち、プラグシェル201sは、フランジを形成した円板状の部材であり、カップリングリング201rの一端側の開口から挿入され上記フランジがカップリングリング201rに当接して、カップリングリング201rの上記他端の開口に嵌め込まれる。また、カップリングリング201rにシールリング2012を装着して、上述のようにカップリングリング201rを液出入口部112のキャップ用ネジ1122に螺合することで、シールリング2012は、液出入口部112の口部112bを密封し、かつ、プラグシェル201sの上記フランジは、シールリング2012とカップリングリング201rとの間に挟まれる。これにより、シールリング2012は、カップリングリング201rとプラグシェル201sとの境界の通気をも封止する。
【0056】
上記プラグシェル201sには、薬液排出チューブ150の他端を着脱自在に固定する合成樹脂製の第1ジョイント203と、ガス供給装置202を接続するための第2ジョイント204とがねじ込まれる。
【0057】
第1ジョイント203は、市販のストレートタイプのホルダを利用でき、プラグ本体201に対して薬液排出チューブ150をその軸方向に沿ってスライド可能に保持し、かつナットを締め込むことで固定することができる。よって、第1ジョイント203を用いて、薬液排出チューブ150の吸液口151が、上述のように、地板122の中央部にまで位置するように長さ及び位置調整が可能である。
【0058】
第2ジョイント204は、プラグ本体201のカップリングリング201rにおける開口2013に接続するL字形(エルボ形)の合成樹脂製のジョイントであり、市販のエルボ形クイック継手を使用可能である。
【0059】
ガス供給装置202に接続したホースを第2ジョイント204に接続することで、ガス供給装置202は、内装容器110の内部へ、加圧した不活性ガスを供給することができる。
【0060】
以上のように構成されるディスペンサー機構200を使用することで、ガス供給装置202によって内装容器110の内部が例えば約100Kpaから約150Kpa程度までの範囲に加圧され、内装容器110に収容されている薬液を、薬液排出チューブ150を通して容器外部へ押し出し、排出することが可能となる。
【0061】
さらにまた、ディスペンサー機構200を使用して薬液を容器外部へ排出するとき、60リットル内袋複合容器100を載置し傾斜させる、以下に説明するような傾斜台を用いることもできる。
即ち、図10に示す傾斜台250は、本体251と、一対の転倒防止ポール252とを備える。本体251は、ステンレス板などの金属板から形成され、水平面となる床面に対して10から15度程度に傾斜した斜面251aを形成している。斜面251aには、60リットル内袋複合容器100の液出入口部112を斜面251aの低い方に配向するようにして、60リットル内袋複合容器100が載置される。ここで、傾斜角度が15度を超えると、液こぼれが発生する可能性が高くなり、好ましくない。
また、一対の転倒防止ポール252は、ステンレスなどの金属製丸棒からなり、斜面251aの低い方に立設している。
【0062】
上述のような傾斜台250を用いて、液出入口部112を低い方に配向して60リットル内袋複合容器100を傾斜させることで、薬液排出時に内装容器110内の薬液を液出入口部112側に集めることができ、上述の、錘153を設けた薬液排出チューブ150との相互作用により、残液量の低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、鋼製の外側容器内に樹脂製の内側容器を設けた、容量60リットルの内袋複合容器、及び該60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブに適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
100…60リットル内袋複合容器、
110…内装容器、111a…天面、112…液出入口部、112b…口部、
113…ハンガー、115…キャップ、
120…外装容器、120a…収納部、121…胴体、122…地板、
123…天板、123a…口部用開口、123b…窪み、
150…薬液排出チューブ、151…吸液口、153…錘、
1121…保持用ネジ、1122…キャップ用ネジ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製の外側容器内に樹脂製の内側容器を設けた、容量60リットルの内袋複合容器、及び該60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば食品や薬液を収納するための鋼製容器では、上記食品や薬液が直接に鋼製容器内面に接触することによる腐食等の発生を防止するため、上記食品や薬液を収納する樹脂製の内側容器を鋼製の外側容器内に収納した、図11に示すような、内袋複合容器10の形態が採られる。
【0003】
該内袋複合容器10では、内側容器1は、本体部1aがポリエチレン製で袋状にて形成され、その上部には充填物を出入するための出入口1bが容器本体部と一体的に形成されている。尚、出入口1bの外周面は、雄ネジ形状に成形されている。
【0004】
一方、内袋複合容器10の外側容器2は、円筒状の鋼板にてなる胴体2aと、鋼板にてなる地板2bとが巻き締められて収納部が形成される。
そして、上記収納部内に、上記内側容器1を装填した後、鋼板製の天板2cに形成した開口から上記出入口1bを突出させた状態で、胴体2aと天板2cとが巻き締められ、鋼製の外側容器2内に樹脂製の内側容器1を収納した内袋複合容器10が作製される。このような内袋複合容器10に対して充填物を注入した後、天板2cから突出した出入口1bには、キャップ3が螺合され、充填物の密閉が図られる。
【0005】
上記薬液の例として、例えば半導体分野では、例えばCMPスラリー、フォトレジスト、現像液、エッチング液、洗浄液等であり、液晶分野では、フォトレジスト、カラーレジスト、カラーフィルタ材料等である。また、これらの薬液の中には遮光を要するものもあり、鋼製にてなる外側容器2は遮光性を有することから、内袋複合容器10の使用は、この点でも有利である。
【0006】
半導体分野等における薬液を扱う場合には、内側容器1は勿論のこと、内装複合容器10には高い清浄度が要求される。さらに薬液の排出に当たっても高い清浄性が要求され、排出方法として、上記キャップ3を取り外して取り付けられ排出用チューブを有するディスペンサーを用いて排出する方法が採られる。これには、薬液をポンプで吸い上げるポンプアップ方式、あるいは、缶内に窒素ガス等を注入して加圧することで薬液を押し出す加圧方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−45429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような、半導体分野等で使用される薬液用の内袋複合容器としては、その内容量が20リットルの、いわゆるペール缶を利用したものが広く使用されている。一方、上述のように、薬液の排出にはディスペンサーを用いた方法が採られることから、ほぼ20リットルの薬液を排出する度に、容器に対して上記ディスペンサーの着脱を行う必要があり、非常に煩雑な作業が強いられている。
【0009】
また、半導体分野等で使用される薬液は、非常に高価であり、コスト面から、内袋複合容器内における残液量を可能な限り低減したいという、ユーザー側の要望もある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、煩雑作業の低減を図ることが可能である、60リットル内袋複合容器を提供すること、及び、該60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の第1態様における60リットル内袋複合容器は、樹脂製であり、取り扱いに高清浄度が要求される薬液を収容し、その収容量が60リットルであり、天面に液出入口部を設けた内装容器と、
鋼製であり、筒状の胴体に地板が巻き締められて成形された収納部の内面に沿って上記内装容器を収納し、さらに上記液出入口部が突出可能な口部用開口を形成した天板を上記胴体に巻き締めて成形される外装容器と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記内装容器の上記液出入口部は、該液出入口部の外周面に、当該液出入口部の軸方向に沿って保持用ネジとキャップ用ネジとを同心円状に2段にて有し、上記保持用ネジは、上記天面に近接して成形され、上記外装容器の上記口部用開口を通過する直径を有し、当該液出入口部を上記天板に保持するハンガーを螺合するためのネジであり、上記キャップ用ネジは、上記天面より離れて成形され、上記保持用ネジよりも小径であり、上記液出入口部の口部を閉止するキャップを螺合するためのネジで構成してもよい。
【0013】
また、上記天板は、上記口部用開口の周囲において、上記口部用開口から当該天板の中央を超えた領域まで窪みを形成してもよい。
【0014】
また、上記外装容器は、塗装を省略可能な電気亜鉛メッキ鋼板にて成形され、上記薬液は、半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液であり、上記内装容器は、薬液用仕様による高密度ポリエチレン樹脂製であり高品質管理下にてブロー成形して構成してもよい。
【0015】
また、本発明の第2態様における薬液排出チューブは、上記第1態様における60リットル内袋複合容器に備わる内装容器における液出入口部に装着可能であり、上記内装容器に収容した薬液を容器外部へ排出する、上記60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブであって、
可撓性で耐薬液性の樹脂製であり、吸液口近傍の先端部分に、薬液排出用の容器内加圧に伴い上記60リットル内袋複合容器の地板に生じる変形部分へ上記吸液口を配向させる錘を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1態様における60リットル内袋複合容器によれば、その収容量は、60リットルであることから、従来の20リットルに対して収容量が増え、薬液排出に関する煩雑作業の低減を図ることができる。
【0017】
また、上述のような60リットル内袋複合容器において、内装容器の液出入口部に保持用ネジ及びキャップ用ネジを形成した。よって、天板の口部用開口より突出する、内装容器の液出入口部は、保持用ネジに螺合させたハンガーにて、突出した状態で天板に保持することができる。よって、キャップ用ネジに螺合するキャップの着脱を容易に行うことができ、薬液排出作業に関する作業性を向上させることができる。
【0018】
また、天板には口部用開口の周囲に窪みを形成した。よって、薬液排出のために容器内を加圧する場合でも、天板の膨れを防止あるいは抑制することができる。一方、地板には、耐加圧用の工夫は施していない。よって、上記窪みとの相乗効果により、地板、特に地板中央部は、上記加圧により容器外側へ膨らむことができる。この結果、薬液排出終了間際には、上記膨らんだ変形部分に残液を集めることができ、効率的な薬液排出が可能となり、かつ残液量の低減を図ることも可能となる。
【0019】
また、内装容器を高密度ポリエチレン樹脂で成形することで、耐薬液性及び高いクリーン度を有することができる。また、薬液が半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液であり、それに見合う品質管理下にてブロー成形される。よって、内装容器は、高清浄度を有し、半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液の取り扱いに適している。さらに、外装容器についても、電気亜鉛メッキ鋼板にて成形することで、外面塗装を省略することができる。よって、容器内への異物混入等の可能性を低減させ、内装容器のみならず、容器全体において高清浄度を達成することが可能である。
【0020】
さらに本発明の第2態様における薬液排出チューブによれば、上記第1態様の60リットル内袋複合容器に装着可能であり、当該薬液排出チューブの先端部分に錘を有する。よって、薬液排出チューブの吸液口を外装容器の地板における変形部分に配向させることが可能となり、上述の、天板の窪み形成と相まって、さらに効率的な薬液排出が可能となり、かつ残液量の低減を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態における60リットル内袋複合容器の構造を示す、一部断面を含む図である。
【図2】図1に示す60リットル内袋複合容器の平面図である。
【図3】図1に示す60リットル内袋複合容器の斜視図である。
【図4】図1に示す60リットル内袋複合容器の内装容器の液出入口部に関する断面図である。
【図5】図1に示す60リットル内袋複合容器を逆さまにして薬液を排出したときの残液状態を示す図である。
【図6】図1に示す60リットル内袋複合容器に備わる内装容器の変形例の一例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は矢視Bによる側面図、(C)は矢視Cによる側面図である。
【図7】図1に示す60リットル内袋複合容器に備わる内装容器の他の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図8】図1に示す60リットル内袋複合容器に備わる内装容器の別の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図9】図1に示す60リットル内袋複合容器に装着可能な、薬液排出チューブ及びディスペンサー機構を示す図である。
【図10】図1に示す60リットル内袋複合容器に適用可能な傾斜台を示す斜視図である。
【図11】従来の20リットル内袋複合容器の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態である60リットル内袋複合容器について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0023】
図1から図4には、本実施形態における60リットル内袋複合容器100の構成が示されている。60リットル内袋複合容器100においても、従来の20リットル内袋複合容器と同様に、樹脂製の内装容器110と、該内装容器110を収納する鋼製の外装容器120とを備える。
【0024】
内装容器110は、本体部111が高密度ポリエチレン樹脂製で袋状にブロー成形され、その容量が60リットルであり、本体部111の天面111aには、薬液を出入するための液出入口部112が本体部111と一体的に形成されている。液出入口部112は、本体部111のブロー成型の際に同時に成型されても良いし、別途成型され、本体部111に融着等にて取り付けられてもよい。また、液出入口部112の外周面には、図4に示すように、当該液出入口部112の軸方向112aに沿って保持用ネジ1121とキャップ用ネジ1122とが同心円状に2段にて、雄ネジ形状で成形されている。
【0025】
保持用ネジ1121は、天面111aに近接して成形される雄ネジで、外装容器120の天板123に形成された口部用開口123aを通過する直径を有し、液出入口部112を外装容器120の天板123に保持するハンガー113を螺合するためのネジである。
キャップ用ネジ1122は、上述の保持用ネジ1121よりも小径の雄ネジであり、上記軸方向112aにおいて保持用ネジ1121よりも上側に位置し、液出入口部112の口部112bを閉止するキャップ115を螺合するためのネジである。
【0026】
内装容器110に収容される薬液は、収容時も含めて、取り扱いに高清浄度が要求される薬液であり、例えば、半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液が相当する。上述したように、半導体分野での薬液としては、例えばCMPスラリー、フォトレジスト、現像液、エッチング液、洗浄液等であり、液晶分野では、フォトレジスト、カラーレジスト、カラーフィルタ材料等である。
【0027】
このような薬液を収容することから、内装容器110には、高い清浄性が要求され、そのため上述のように、内装容器110は、薬液用仕様による高密度ポリエチレン樹脂製で、高品質管理の下で作製される。作製後、直ちに、液出入口部112の口部112bには内栓114が施されて内部が密閉され、さらに、キャップ用ネジ1122にキャップ115が螺合され内栓114を封止する。
尚、後述するように、収容している薬液を排出するときには、キャップ115及び内栓114が外され、図9に示すようにディスペンサー機構200を構成するプラグ本体201がキャップ用ネジ1122に螺合される。
【0028】
60リットル内袋複合容器100の外装容器120は、円筒状の鋼板にてなる胴体121と、鋼板にてなる地板122及び天板123とを有する。上述のように、当該60リットル内袋複合容器100の収容物は、取り扱いに高清浄度が要求される薬液であることから、外装容器120についても、汎用品に比べて高い清浄度による製造が要求される。よって、外装容器120の胴体121、地板122、及び天板123は、電気亜鉛メッキ鋼板を使用し、外面塗装を省略可能としている。これにより、容器内への異物混入等の可能性を低減させ、内装容器110のみならず、60リットル内袋複合容器100全体において高清浄度を達成している。
【0029】
胴体121は、その両端の直径が同じである。このような胴体121と地板122とを巻き締めることで収納部120aが形成され、収納部120a内には、上述の内装容器110が装填される。尚、収納部120aの大きさは、60リットルの収容量を有する内装容器110に見合ったサイズであり、内装容器110は、収納部120aの内面に沿ってかつ接触して収納される。収納後、内装容器110の上記液出入口部112の保持用ネジ1121が通過可能な大きさにてなる口部用開口123aを形成した天板123が胴体121に巻き締められる。このとき、上記液出入口部112は、天板123の口部用開口123aより容器外部へ突出させ、上記ハンガー113を上記保持用ネジ1121に螺合することで、液出入口部112をハンガー113にて天板123に保持させる。
【0030】
ハンガー113は、樹脂又は金属製で例えば板状の部材であり、液出入口部112の保持用ネジ1121と係合する雌ネジ113aを内周面に形成した貫通穴が開けられ、天板123の口部用開口123aを超える大きさの外周部113bを有する。よって、天板123の口部用開口123aより容器外側へ突出している保持用ネジ1121に対して、容器外側からハンガー113の雌ネジ113aを螺合させることで、ハンガー113の外周部113bが天板123に当接し、ハンガー113は、内装容器110の液出入口部112を外装容器120の天板123に保持する。尚、ハンガー113の形状は、図示する形状に限定されるものではない。
【0031】
さらに天板123には、図2及び図3に、より明確に図示されるように、上記口部用開口123aの周囲において、天板123を容器外側から内側へ一様に凹ませた窪み123bが形成されている。また、窪み123bと天板123とは、斜面123dにて接続しているが、これに限定するものではなく、例えば円弧状等であってもよい。このような窪み123bは、口部用開口123aの近傍から天板123の中央を超えた領域123cまで形成される。これは、以下に説明する容器内加圧により、天板123では中央部分が最も変形し易いからである。また、本実施形態では、窪み123bは、図示のように、上記液出入口部112部分に比べて上記領域123c部分が狭いほぼ卵形形状であるが、該形状に限定されるものではなく、例えば、領域123c部分においても液出入口部112部分と同等の大きさを有する長円形状等であってもよい。
【0032】
従来の内袋複合容器と同様に、本実施形態における60リットル内袋複合容器100においても、収容物である上記薬液の排出は、容器100内への不活性ガスの注入による加圧により行うことができる。上記窪み123bは、上記加圧時における天板123の膨れ変形を防止又は抑制するためのものであり、また、以下に記すように、地板122に変形部分129を生じさせるものでもある。
【0033】
一方、図1に示すように、地板122には、窪み123bのような変形防止用の工夫は施しておらず平板のままである。また、地板122及び天板123は、同じ材料で同じ板厚の鋼板を使用する。よって、上記加圧時には、上記窪み123bによる天板123の変形困難さにより、上記窪み123bを設けない場合に比べて、地板122全体、特に地板122の中央部は、容器外側へより膨らむことができる。このように膨らんだ部分を、説明上、変形部分129(図9)とする。この結果、薬液排出終了間際には、地板122における変形部分129に残液を集めることができる。よって、効率的な薬液排出が可能となり、かつ残液量の低減を図ることも可能となる。この観点から、窪み123bは、地板122に変形部分129を形成させるためのもの、さらには残液量低減を図るためのものとも言える。
【0034】
尚、本実施形態では上述のように窪み123bを設けることで、天板123の変形防止及び地板122の変形促進を図ったが、これらの目的達成のためには窪み123bに限定されることはなく、例えば天板123にリブを設ける等の手段を施してもよい。
【0035】
また、図1及び図3に明確に示されるように、当該60リットル内袋複合容器100の上端101に対して、天板123は1段低く位置し、さらに窪み123bにより、ハンガー113の取り付け位置はさらに1段低くなっている。よって、窪み123bを設けることで、図1に明示されるように、液出入口部112のキャップ用ネジ1122にキャップ115をねじ込んだ状態では、キャップ115の上面を、60リットル内袋複合容器100の上端101以下に位置させることができる。これにより、例えば当該60リットル内袋複合容器100を積み重ねるような場合においても、キャップ115の損傷等を防止できるという効果がある。
【0036】
また、天板123の外面には、図2及び図3に示すように、容器取り扱い用の取っ手124が少なくとも2つ取り付けられている。図2では、取っ手124を2箇所に設けた場合、図3では3箇所に設けた場合を図示している。
【0037】
また、図1に示すように、胴体121の表面にも、天板側と地板側との2箇所に、胴体121の剛性を高め胴体121の変形を防止、抑制するための輪帯121aを、胴体121の周方向に沿って形成している。
【0038】
このようにして、鋼製の外装容器120内に樹脂製の内装容器110を収納した60リットル内袋複合容器100が作製される。
このような60リットル内袋複合容器100に対して、天板123から突出した上記液出入口部112を介して内装容器110内へ上記薬液が注入される。注入後、液出入口部112の口部112bに内栓114が施され、さらにキャップ115がキャップ用ネジ1122に螺合され、薬液の密閉が図られる。
【0039】
このように構成された60リットル内袋複合容器100を使用することで、従来の20リットルに対する収容量の増加により、薬液排出作業頻度は減り、煩雑作業の低減を図ることができる。
【0040】
60リットル内袋複合容器100に収容された上記薬液の排出は、重量及び作業性の観点から、通常、容器内を加圧することにより行われるが、薬液残量が極少量になった場合等、上記液出入口部112を下へ容器100を反転させて行うことも考えられる。しかしながら、こうした場合であっても、液出入口部112の近傍の内装容器110の肩部には、図5に示すように、薬液108が残留し易い。
【0041】
このような薬液残留を極力する無くすために、内装容器は、以下の構成を採ってもよい。即ち、図6に示す内装容器110−1のように、液出入口部112の近傍の内装容器110−1の肩部には、内装容器110−1の外側から内側へ凹んだ凹部130を設けた。尚、図6において、(A)は内装容器110−1の平面図、(B)は(A)における矢印B方向から見た側面図、(C)は(A)における矢印C方向から見た側面図である。また、内装容器110−1の天面111aに形成される斜面に131、132を付番する。
【0042】
凹部130は、天面111aの肩部分であって、かつ天面111aの中心と液出入口部112の中心とを通る線分の両側に設けられている。このような凹部130は、内装容器110−1を成型するときのブロー成型によって容易に形成可能である。
【0043】
このような凹部130を設けることで、容器を傾けて薬液を排出する場合、薬液が滞留していた部分に凹部130が形成されているので、薬液は滞留せず、液出入口部112から排出され、残液量を削減することが可能となる。
【0044】
天面111aと凹部130とを接続する斜面132の角度は、約45度である。60リットル内袋複合容器100の落下時、あるいは容器内の液圧により、天面111aと凹部130との接続部は、強度的に弱くなるが、この部分を斜面132にすることにより、衝撃を緩和することができる。斜面132の上端と下端のそれぞれを円弧状に形成するのが好ましい。該円弧状の形成により、天面111aと凹部130の接続部の強度が高まり、内装容器110の損傷を防止、低減することができる。
【0045】
平面形状において、凹部130の角部130a、130b、130cも円弧状に形成するのが好ましい。このように構成することにより、天面111aと凹部130との接続部の強度が一層高まる。
【0046】
図示しないが、外装容器120と内装容器110−1における凹部130との隙間部分には、スペーサが設けられるのが好ましい。スペーサとして、例えばポリスチレン発泡体が使用可能である。凹部130を設けると内装容器110−1の強度低下が懸念されるが、上記隙間部分にスペーサを介在させることにより、補強される。
【0047】
また、凹部130の変形例として、図7に示す凹部135を構成することもできる。尚、図7の(A)は、内装容器110−2の平面図、(B)は側面図である。凹部135は、液出入口部112の近傍の内装容器110−2の肩部(点線部分)を面取りし、斜面状に形成してなる。凹部135によっても、残液量を削減させることができる。また斜面に限らず、肩部分における円弧部を従来よりも大きくすることによっても、相当の効果を奏する。
【0048】
さらにまた、凹部130の変形例として図8に示す構成を採ることもできる。尚、図8の(A)は、内装容器110−3の平面図、(B)は側面図である。内装容器110−3では、液出入口部112を内装容器110−3の側壁側に近づけ、天面111aの中心と液出入口部112の中心とを通る線分の延長線上の肩部分を、従来の肩部分(点線)の円弧Rより大きくし、当該60リットル内袋複合容器100を傾けて薬液を排出するときに、薬液が肩部分に滞留しないように構成する。このような構成においても残液量を削減することができる。なお、円弧Rを大きくする代わりに、この部分を斜面にしてもよい。尚、この例の場合、液出入口部112が内装容器110−3の側壁側に近づけられているので、外装容器120の形状はそれに応じて変える必要がある。
【0049】
次に、上述のように構成される60リットル内袋複合容器100の液出入口部112に装着可能であり、内装容器110内に収容されている薬液を容器外へ排出する薬液排出チューブについて、図9を参照して以下に説明する。
【0050】
薬液排出チューブ150は、可撓性で耐薬液性の樹脂製であり、例えばテフロン(登録商標)から成形され、例えば直径8mm程度で、液出入口部112からの容器内での長さについて、地板122に接する内装容器110の底部111bに、先端に位置する吸液口151が接し、さらに吸液口151が当該60リットル内袋複合容器100における地板122の中央部にまで位置する程度の長さを有する。また、吸液口151は、本実施形態では図示するように、薬液排出チューブ150の軸方向に対して、薬液排出チューブ150の直径方向の全てにわたり斜めに交差した断面にてなる。尚、吸液口151は、薬液排出チューブ150の上記直径方向の一部分のみが、あるいは複数の箇所が斜めにカットされた断面にて形成してもよい。
【0051】
さらに薬液排出チューブ150は、吸液口151近傍の先端部分152に、薬液排出用の容器内加圧に伴い容器外側へ地板122が膨れた、地板122の変形部分129へ、重力作用により吸液口151を配向させる錘153を有する。錘153は、容器内に収容される薬液と化学的に反応しない金属材料製であり、例えば方形状あるいは円形状の板材でその中央部に薬液排出チューブ150を嵌合可能な貫通穴が形成された部材、又は円筒状の部材にて形成されており、薬液排出チューブ150の弾力にて上記先端部分152に保持される。また、錘153の形状及び取付位置は、錘153を取り付けることで、錘153の厚み分、吸液口151が内装容器110の底部111bから離れる結果にならないように、適宜選択される。一例として本実施形態では、錘153は、円筒形状であり、内径部分に薬液排出チューブ150を挿通して、吸液口151の近傍に取り付けている。また、錘153の重さは、好ましくは55〜65g程度であり、本実施形態では60gである。
【0052】
上記先端部分152とは反対側の薬液排出チューブ150の他端は、例えば図9に示すようなディスペンサー機構200に接続される。ディスペンサー機構200は、内装容器110内に収容されている薬液を容器外へ排出する機構であり、図9では、60リットル内袋複合容器100内に窒素ガス等の不活性ガスを注入して加圧することで薬液を押し出す加圧方式の構成を示している。薬液をポンプ等の吸引装置で吸い上げるポンプアップ方式を採ることもできる。
【0053】
加圧方式のディスペンサー機構200は、大きく分けて、円筒状のプラグ本体201と、加圧した不活性ガスを内装容器110内へ供給するガス供給装置202と、上述の薬液排出チューブ150とを有する。
【0054】
プラグ本体201は、上述したキャップ115を外した後、液出入口部112に取り付けられる、例えば樹脂製のプラグであり、カップリングリング201rと、プラグシェル201sと、シールリング2012とで構成される。カップリングリング201rは、円筒形状の部材であり、一端が円形に開口しており、この開口の内周面には、液出入口部112に形成されたキャップ用ネジ1122に係合する雌めじ2011を形成している。よって、プラグ本体201のカップリングリング201rは、液出入口部112のキャップ用ネジ1122に螺合でき、また、カップリングリング201rの外周には、筋目ローレットが形成されており、プラグ本体201を液出入口部112に確実にねじ結合できる。
【0055】
また、カップリングリング201rの他端も円形に開口しており、この開口には、カップリングリング201rに対して回転可能にプラグシェル201sが嵌め込まれる。即ち、プラグシェル201sは、フランジを形成した円板状の部材であり、カップリングリング201rの一端側の開口から挿入され上記フランジがカップリングリング201rに当接して、カップリングリング201rの上記他端の開口に嵌め込まれる。また、カップリングリング201rにシールリング2012を装着して、上述のようにカップリングリング201rを液出入口部112のキャップ用ネジ1122に螺合することで、シールリング2012は、液出入口部112の口部112bを密封し、かつ、プラグシェル201sの上記フランジは、シールリング2012とカップリングリング201rとの間に挟まれる。これにより、シールリング2012は、カップリングリング201rとプラグシェル201sとの境界の通気をも封止する。
【0056】
上記プラグシェル201sには、薬液排出チューブ150の他端を着脱自在に固定する合成樹脂製の第1ジョイント203と、ガス供給装置202を接続するための第2ジョイント204とがねじ込まれる。
【0057】
第1ジョイント203は、市販のストレートタイプのホルダを利用でき、プラグ本体201に対して薬液排出チューブ150をその軸方向に沿ってスライド可能に保持し、かつナットを締め込むことで固定することができる。よって、第1ジョイント203を用いて、薬液排出チューブ150の吸液口151が、上述のように、地板122の中央部にまで位置するように長さ及び位置調整が可能である。
【0058】
第2ジョイント204は、プラグ本体201のカップリングリング201rにおける開口2013に接続するL字形(エルボ形)の合成樹脂製のジョイントであり、市販のエルボ形クイック継手を使用可能である。
【0059】
ガス供給装置202に接続したホースを第2ジョイント204に接続することで、ガス供給装置202は、内装容器110の内部へ、加圧した不活性ガスを供給することができる。
【0060】
以上のように構成されるディスペンサー機構200を使用することで、ガス供給装置202によって内装容器110の内部が例えば約100Kpaから約150Kpa程度までの範囲に加圧され、内装容器110に収容されている薬液を、薬液排出チューブ150を通して容器外部へ押し出し、排出することが可能となる。
【0061】
さらにまた、ディスペンサー機構200を使用して薬液を容器外部へ排出するとき、60リットル内袋複合容器100を載置し傾斜させる、以下に説明するような傾斜台を用いることもできる。
即ち、図10に示す傾斜台250は、本体251と、一対の転倒防止ポール252とを備える。本体251は、ステンレス板などの金属板から形成され、水平面となる床面に対して10から15度程度に傾斜した斜面251aを形成している。斜面251aには、60リットル内袋複合容器100の液出入口部112を斜面251aの低い方に配向するようにして、60リットル内袋複合容器100が載置される。ここで、傾斜角度が15度を超えると、液こぼれが発生する可能性が高くなり、好ましくない。
また、一対の転倒防止ポール252は、ステンレスなどの金属製丸棒からなり、斜面251aの低い方に立設している。
【0062】
上述のような傾斜台250を用いて、液出入口部112を低い方に配向して60リットル内袋複合容器100を傾斜させることで、薬液排出時に内装容器110内の薬液を液出入口部112側に集めることができ、上述の、錘153を設けた薬液排出チューブ150との相互作用により、残液量の低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、鋼製の外側容器内に樹脂製の内側容器を設けた、容量60リットルの内袋複合容器、及び該60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブに適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
100…60リットル内袋複合容器、
110…内装容器、111a…天面、112…液出入口部、112b…口部、
113…ハンガー、115…キャップ、
120…外装容器、120a…収納部、121…胴体、122…地板、
123…天板、123a…口部用開口、123b…窪み、
150…薬液排出チューブ、151…吸液口、153…錘、
1121…保持用ネジ、1122…キャップ用ネジ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製であり、取り扱いに高清浄度が要求される薬液を収容し、その収容量が60リットルであり、天面(111a)に液出入口部(112)を設けた内装容器(110)と、
鋼製であり、筒状の胴体(121)に地板(122)が巻き締められて成形された収納部(120a)の内面に沿って上記内装容器を収納し、さらに上記液出入口部が突出可能な口部用開口(123a)を形成した天板(123)を上記胴体に巻き締めて成形される外装容器(120)と、
を備えたことを特徴とする60リットル内袋複合容器。
【請求項2】
上記内装容器の上記液出入口部は、該液出入口部の外周面に、当該液出入口部の軸方向(112a)に沿って保持用ネジ(1121)とキャップ用ネジ(1122)とを同心円状に2段にて有し、上記保持用ネジは、上記天面に近接して成形され、上記外装容器の上記口部用開口を通過する直径を有し、当該液出入口部を上記天板に保持するハンガー(113)を螺合するためのネジであり、上記キャップ用ネジは、上記天面より離れて成形され、上記保持用ネジよりも小径であり、上記液出入口部の口部(112b)を閉止するキャップ(115)を螺合するためのネジである、請求項1記載の60リットル内袋複合容器。
【請求項3】
上記天板は、上記口部用開口の周囲において、上記口部用開口から当該天板の中央を超えた領域(123c)まで窪み(123b)を形成した、請求項1又は2記載の60リットル内袋複合容器。
【請求項4】
上記外装容器は、塗装を省略可能な電気亜鉛メッキ鋼板にて成形され、上記薬液は、半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液であり、上記内装容器は、薬液用仕様による高密度ポリエチレン樹脂製であり高品質管理下にてブロー成形される、請求項1から3のいずれかに記載の60リットル内袋複合容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の60リットル内袋複合容器に備わる内装容器(110)における液出入口部(112)に装着可能であり、上記内装容器に収容した薬液(108)を容器外部へ排出する、上記60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブ(150)であって、
可撓性で耐薬液性の樹脂製であり、吸液口(151)近傍の先端部分(152)に、薬液排出用の容器内加圧に伴い上記60リットル内袋複合容器の地板(122)に生じる変形部分(129)へ上記吸液口を配向させる錘(153)を有することを特徴とする薬液排出チューブ。
【請求項1】
樹脂製であり、取り扱いに高清浄度が要求される薬液を収容し、その収容量が60リットルであり、天面(111a)に液出入口部(112)を設けた内装容器(110)と、
鋼製であり、筒状の胴体(121)に地板(122)が巻き締められて成形された収納部(120a)の内面に沿って上記内装容器を収納し、さらに上記液出入口部が突出可能な口部用開口(123a)を形成した天板(123)を上記胴体に巻き締めて成形される外装容器(120)と、
を備えたことを特徴とする60リットル内袋複合容器。
【請求項2】
上記内装容器の上記液出入口部は、該液出入口部の外周面に、当該液出入口部の軸方向(112a)に沿って保持用ネジ(1121)とキャップ用ネジ(1122)とを同心円状に2段にて有し、上記保持用ネジは、上記天面に近接して成形され、上記外装容器の上記口部用開口を通過する直径を有し、当該液出入口部を上記天板に保持するハンガー(113)を螺合するためのネジであり、上記キャップ用ネジは、上記天面より離れて成形され、上記保持用ネジよりも小径であり、上記液出入口部の口部(112b)を閉止するキャップ(115)を螺合するためのネジである、請求項1記載の60リットル内袋複合容器。
【請求項3】
上記天板は、上記口部用開口の周囲において、上記口部用開口から当該天板の中央を超えた領域(123c)まで窪み(123b)を形成した、請求項1又は2記載の60リットル内袋複合容器。
【請求項4】
上記外装容器は、塗装を省略可能な電気亜鉛メッキ鋼板にて成形され、上記薬液は、半導体分野及び液晶分野の少なくとも一方にて使用される薬液であり、上記内装容器は、薬液用仕様による高密度ポリエチレン樹脂製であり高品質管理下にてブロー成形される、請求項1から3のいずれかに記載の60リットル内袋複合容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の60リットル内袋複合容器に備わる内装容器(110)における液出入口部(112)に装着可能であり、上記内装容器に収容した薬液(108)を容器外部へ排出する、上記60リットル内袋複合容器用の薬液排出チューブ(150)であって、
可撓性で耐薬液性の樹脂製であり、吸液口(151)近傍の先端部分(152)に、薬液排出用の容器内加圧に伴い上記60リットル内袋複合容器の地板(122)に生じる変形部分(129)へ上記吸液口を配向させる錘(153)を有することを特徴とする薬液排出チューブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−35884(P2012−35884A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179260(P2010−179260)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(595100598)株式会社ジャパンペール (7)
【出願人】(000198802)積水成型工業株式会社 (66)
【出願人】(501423861)JFE協和容器株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(595100598)株式会社ジャパンペール (7)
【出願人】(000198802)積水成型工業株式会社 (66)
【出願人】(501423861)JFE協和容器株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]