説明

7置換‐ヘプト‐6‐エン酸、ヘプタン酸及び誘導体並びにそれらの中間体の製法

【発明の詳細な説明】
本発明は7−置換されたヘプト−6−エン酸及び−ヘプタン酸並びにその誘導体及び中間体に関する。
1.目的 本発明は式I

式中、Xは−CH2CH2−または−CH=CH−であり;
R1は反応条件に不活性なエステル基であり;そしてRは還元条件下で不活性である基を有する有機基である、の化合物の製造方法に関する。
また本発明は従来の中間体(式V a及びVII、下記参照)の製造方法からなる。
これらの種々な製造工程に関する共通の特徴は、コレステロール生合成阻害剤である7−置換された−ヘプト−6−エン酸及び−ヘプタン酸目的生成物並びにその誘導体の製造における種々な工程で全ての改善をもたらすことである。この関連を1つの特定なコレステロール生合成阻害剤、即ち、ラセミまたは光学的に純粋な型;遊離酸、エステルもしくはδ−ラクトン、即ち、分子内エステル型におけるエリスロー(E)−3,5−ジヒドロキシ−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)−インドル−2−イル]ヘプト−6−エン酸の製造に関する特定の具体例について以下に述べる。
式Iの化合物の製造に対する本発明の方法は式II

式中、R、R1及びXは上に定義したとおりであり、そしてZ1及びZ2の1つは酸素であり、他はヒドロキシ及び水素である、のラセミまたは光学的に純粋な化合物を立体選択的に還元し、式Iの対応する化合物を製造することからなる。
式Iから明らかなように、該化合物はシン、即ち、エリスロ立体配置を有する。
式の始めまたは名称中に示す記号(E)は二重結合がトランス立体配置であることを示す。
また本発明はエリスロ対スレオ異性体の比が99.1:0.9またはこれ以上、好ましくは99.5:0.5またはこれ以上;特に99.7:0.3またはこれ以上であるような光学的に純粋な状態における上に定義した式Iの化合物からなる。
エステルである式Iの化合物並びに対応する遊離酸、塩及び環式エステル(δ−ラクトン)は殊にHMG−CoA還元酸素阻害剤、即ち、コレステロール生合成阻害剤としての薬剤であり、従つて、該化合物は過コレステリン血症、高リポタンパク質血症及びアテローム性動脈硬化症の処置に対する用途を示している。
2.好ましい意味 エステル基R1は好ましくは、所望の目的生成物がエステルである場合、生理学的に許容し得る且つ加水分解され得るエステル基である。
「生理学的に許容し得る且つ加水分解され得るエステル基」なる用語は、結合した−COO−基と一緒になつて、生理学的に許容し得る且つ生理学的条件下で加水分解されて対応する式Iの化合物のカルボン酸(即ち、R1が水素で置換される)及びそれ自体生理学的に許容し得る、即ち所望の投薬量レベルで無毒性なアルコールを生成する基、好ましくは不斉中心を含まぬ基を意味する。
R1は好ましくはR2であり、ここでR2はC1〜4アルキルまたはベンジル、特にR2′であり、ここで、R2′はC1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルまたはベンジル、例えばエチル、好ましくはイソプロピルまたはt−ブチル、特にt−ブチルである。
Xは好ましくはX′であり、ここで、X′は−CH=CH−、好ましくは(E)−CH=CH−である。
Rは好ましくは次の如き基A、B、C、D、Ea、Eb、Ec、F、G、H、J、K、L、MまたはNから選ばれる:A R1a、R2a及びR3a、または−OR4aで置換されたフエニル、ここで、R1a、R2a及びR3aは独立に、水素;ハロ;C1〜4アルキル;C1〜4ハロアルキル;フエニル;ハロ、C1〜4アルコキシ、C2〜8アルカノイルオキシ、C1〜4アルキルまたはC1〜4ハロアルキルで置換されたフエニルであり;R4aは水素、C2〜8アルカノイル、ベンゾイル、フエニル、ハロフエニル、フエニル(C1〜3アルキル)、C1〜9アルキル、シンナミル、C1〜4ハロアルキル、アリル、シクロアルキル(C1〜3アルキル)、アダマンチル(C1〜3アルキル)または置換されたフエニルであり、該置換基はハロ、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル及びC1〜4ハロアルキルから選ばれ;ここで、ハロゲン原子はフルオロまたはクロロであり、そしてシクロアルキルにはシクロヘキシルが含まれ;


式中、R1b及びR2bは一緒になつて、式

の基を形成し;
R3bは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;R4bは水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R5bは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
条件として、R4b及びR5bの多くて1つがトリフルオロメチルであり、R4b及びR5bの多くて1つがフエノキシであり、そしてR4b及びR5bの多くて1つがベンジルオキシであるものとする;
R6bは水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロであり;
R7bは水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R8bは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
条件として、R7b及びR8bの多くて1つがトリフルオロメチルであり、R7b及びR8bの多くて1つがフエノキシであり、そしてR7b及びR8bの多くて1つがベンジルオキシであり;
更に条件として、環Ba及びBbにおける遊離原子価は各々相互にオルトである;


式中、R1c及びR2cの1つはR5c、R6c及びR7cで置換されたフエニルであり、そして他はC1〜3アルキル、n−ブチルまたはi−ブチルであり;
R3cは水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R4cは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
条件として、R3c及びR4cの多くて1つがトリフルオロメチルであり、R3c及びR4cの多くて1つがフエノキシであり、そしてR3c及びR4cの多くて1つがベンジルオキシであり;
R5cは水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R6cは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
条件として、R5c及びR6cの多くて1つがトリフルオロメチルであり、R5c及びR6cの多くて1つがフエノキシであり、そしてR5c及びR6cの多くて1つがベンジルオキシであり、R7cは水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロである;


式中、R1dは水素または不斉炭素原子を含まぬ第一もしくは第二C1〜6アルキルであり;
R2dは不斉炭素原子を含まぬ第一もしくは第二C1〜6アルキルであるか、またはR1d及びR2dは一緒になつて、−(CH2)m−または(Z)−CH2−CH=CH−CH2−であり、ここで、mは2、3、4、5または6であり、R3bは水素、C1〜6アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり、R4dは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり、条件として、R2d及びR3dの多くて1つがトリフルオロメチルであり、R2d及びR3dの多くて1つがフエノキシであり、そしてR2d及びR3dの多くて1つがベンジルオキシである;
R5dは水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり、R6dは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり、条件として、R5d及びR6dの多くて1つがトリフルオロメチルであり、R5d及びR6dの多くて1つがフエノキシであり、そしてR5d及びR6dの多くて1つがベンジルオキシであり、R7dは水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロである;


式中、R1e、R2e及びR3eの各々は独立に、フルオロ、クロロ、水素またはC1〜4アルキルであり、R1eは好ましくはメチルである;


式中、R1fは不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキルであり、R2f及びR5fの各々は独立に、水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり、R3f及びR6fの各々は独立に、水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり、そしてR4f及びE7fの各々は独立に、水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロであり、条件として、R2f及びR3fの多くて1つがトリフルオロメチルであり、R2f及びR3fの多くて1つがフエノキシであり、R2f及びR3fの多くて1つがベンジルオキシであり、R5f及びR6fの多くて1つがトリフルオロメチルであり、R5f及びR6fの多くて1つがフエノキシであり、そしてR5f及びR6fの多くて1つがベンジルオキシであり;
条件として、(i) ピラゾール環の遊離原子価は4−または5−位置であり、そして(ii) R1f基及び遊離原子価は相互にオルトである;


式中、RagはXに対する単結合であり、RbgはR2gであり、RcgはR3gであり、RdgはR4gであり、Kは

またはTagはR1gであり、RbgはXに対する単結合であり、RcgはR2gであり、RdgはR3gであり、そしてKはO、Sまたは

R1g、R2g、R3g及びR4gは独立に、不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキルまたはR5g、R6g及びR7gで置換されたフエニルであるか、或いはR3g及びR4gの場合、追加的に水素であるか、またはKがOまたはSである場合である場合のR3gに対して、XはX′、追加的にGaであり、Gaは−C(R17g)=C(R18g)R19gであり、ここでR17gは水素またはC1〜3アルキルであり、そしてR18g及びR19gは独立に、水素、C1〜3アルキルまたはフエニルであり、各R5gは独立に、水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フエニル、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
各R6gは独立に、水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;そして各R7gは独立に、水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロであり、条件として、トリフルオロメチル、各フエニル環においてR5g、R6g及びR7gで置換されたフエノキシ及びベンジルオキシの各1個のみが存在するものとする;


式中、R1hは不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、アダマンチル−1またはR4h、R5h及びR6hで置換されたフエニルであり;
R2hは不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、アダマンチル−1またはR7h、R8h及びR9hで置換されたフエニルであり;
R3hは水素、不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、アダマンチル−1、スチリルまたはR10h、R11h及びR12hで置換されたフエニルであり、各R4h、R7h及びR10hは独立に、水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フエニル、フエノキシまたはベンジルオキシであり、各R5h、R8h及びR11hは独立に、水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、−COOR17h、−N(R19h)、フエノキシまたはベンジルオキシであり、ここで、R17hは水素、R18hまたはMであり、ここで、R18hはC1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルまたはベンジルであり、そしてMは上に定義したとおりであり、各R19hは独立に、不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキルであり、各R6h、R9h及びR12hは独立に、水素、C1〜C2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロであり、条件として、各フエニル環における置換基の多くとも1つが独立に、トリフルオロメチルであり、各フエニル環における置換基の多くとも1つが独立にフエノキシであり、その各フエノキシ環における置換基の多くとも1つが独立にベンジルオキシである;


式中、R1j及びR2jの各々は独立に、不斉炭素原子を含まぬC1アルキル、C3〜6シクロアルキルまたはフエニル−(CH2)m−であり、ここで、mは0、1、2または3であり、そしてフエニル基は未置換またはR3j、R4j及びR5jのいずれかで置換され、ここでR3j、R4j及びR5hは下に定義したとおりであり;
R2jは−Yj−ベンジル、−N(R8j)またはJaであり、ここで、Yjは−O−または−S−であり;
各R8jは独立に、不斉炭素原子を含まぬC1〜C4アルキルであるか、または5−、6−もしくは7−員環Jbの部分を形成することができ、環Jbは置換されるか、または未置換であり、そしてまた随時1個またはそれ以上のヘテロ原子を含んでいてもよく;そしてJaはJa′またはJa″であり、ここで、Ja′は複素環式基であり、該基は未置換であるか、または1個もしくは2個C1〜2アルキルまたはC1〜2アルコキシ基で置換され、そしてJa″はJa″aまたはJa″b

であり、ここで、R3jは水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり、R4jは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはペンジルオキシであり、そしてR5jは水素、C1〜2アルキル、C1〜3アルコキシ、フルオロまたはクロロであり;
条件として、R3j及びR4jの多くとも1つがトリフルオロメチルであり、R3j及びR4jの多くとも1つはフエノキシであり、そしてR3j及びR4jの多くとも1つがベンジルオキシである;


式中、各R1k及びR2kは独立に、(a) R5k、R6k及びR7kで置換されたフエニル、ここでR5kは水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R6kは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、フルオロまたはクロロであり;そしてR7kは水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロであり;
(b) 水素、または不斉炭素原子を含まぬ第一もしくは第二C1〜6アルキル;
(c) C3〜6シクロアルキル;または(d) フエニル−(CH2)m−、ここで、mは1、2または3である、である;


式中、Ylは−CH=CH−CH=N−、−CH=CH−N=CH−、−CH=N−CH=CH−または−N=CH−CH=CH−であり、R1lは不斉炭素原子を含まぬ第一C1〜6アルキル;またはイソプロピルであり;
R2lは次のものである:a)R5l、R6l及びR7lで置換されたフエニル、ここで、R5lはt−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R6lは水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
条件として、R5l及びR6lの多くとも1つがトリフルオロメチルであり、R5l及びR6lの多くとも1つがフエノキシであり、そしてR5l及びR6lの多くとも1つがベンジルオキシであり、R7lは水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロであり、b)不斉炭素原子を含まぬ第一または第二C1〜6アルキル、c)C3〜6シクロアルキル、或いはd)フエニル−(CH2)m−、ここで、mは1、2または3である;


式中、R1mは不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、(C5〜7シクロアルキル)メチル、フエニル−(CH2)m−、ピリジル−2、ピリジル−3、ピリジル−4、チエニル−2、チエニル−3、またはR3m、R6m及びR7mで置換されたフエニルであり;
R2mは不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキル、C5〜7シクロアルキル、(C5〜7シクロアルキル)メチル、フエニル−(CH2)m−、ピリジル−2、ピリジル−3、ピリジル−4、チエニル−2、チエニル−3またはR8m、R9m及びR10mで置換されたフエニルであり、条件として、R1m及びR2mの多くとも1つがピリジル−2、ピリジル−3、ピリジル−4、チエニル−2、チエニル−3、R5m、R6m及びR7mで置換されたフエニル並びにR8m、R9m及びR10mで置換されたフエニルからなる基の一員である;
R3mは不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキル、C5〜7シクロアルキルまたはR11m、R12m及びR13mで置換されたフエニルであり;
R4mは不斉炭素原子を含まぬC1〜6アルキル、C5〜7シクロアルキルまたはR14m、R15m及びR16mで置換されたフエニルであり:ここで各R5m、R8m、R11m及びR14mは独立に、水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、フエニル、フエノキシまたはベンジルオキシであり、各R6m、R9q、R12m及びR15mは独立に、水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり、そして各R7m、R10m、R13m及びR16mは独立に、水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロであり、条件として、各フエニル環における置換基の多くとも1つが独立に、トリフルオロメチルであり、各フエニル環における置換基の多くとも1つが独立に、フエノキシであり、そして各フエニル環における置換基の多くとも1つが独立に、ベンジルオキシである;


式中、R1n、R2n及びR3nは独立に、炭素原子1〜4個のアルキル;またはフエニルであり、該フエニルは未置換であるか、或いは炭素原子1〜3個のアルキルまたはアルコキシ基1個または2個、クロロで、または1個のフルオロ、ブロモもしくはトリフルオロメチル置換基で置換されていてもよく;
R4nは水素または炭素原子1〜3個のアルキル、例えばメチルであり;
R5nは水素、低級アルキルまたはアルコキシ;ハロ、トリフルオロメチル;或いはフエニル、ベンジルまたはベンジルオキシであり、ここで、芳香族部分は未置換であるか、また2個までの基、その1つはフルオロ、ブロモもしくはトリフルオロメチル;低級アルキルまたはアルコキシであつてもよい1個または2個の基、またはクロロで置換されていてもよく;
R6nは水素、低級アルキルもしくはアルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;そしてR7nは水素、低級アルキルもしくはアルコキシ、ハロまたはトリフルオロメチルであり;
R4n+R5n、R5n+R6n、またはR6n+R7nのいずれかは−CH=CH−CH=CH−または−CH2−は構成し、環を形成することができ、該環は水素;ハロまたは低級アルキルもしくはアルコキシであるR8nで置換され;
条件として、分子においてトリフルオロメチル基の多くとも1個、そしてブロモ置換基の多くとも2個の置換基が存在する。
式Iの化合物をRの意味に応じて13群、即ち、群I A〜I Nに分けることができる、即ち: R=Aの場合、I A、 R=Bの場合、I B、 R=Cの場合、I C、 R=Dの場合、I D、 R=Ea、EbまたはEcの場合、I E、 R=Fの場合、I F、 R=Gの場合、I G、 R=Hの場合、I H、 R=Jの場合、I J、 R=Kの場合、I K、 R=Lの場合、I L、 R=Mの場合、I M及び R=Nの場合、I N。
3.立体化学 一般に、式IIのヒドロキシ−ケト化合物を式Iのジヒドロキシ化合物に還元する場合、追加の不斉中心を生ずる。従つて、式IIのラセミ化合物を用いる場合、生ずる式Iの化合物と4種の立体異性体(エナンチオマーの2対、即ち、エリスロエナンチオマーの対及びスレオエナンチオマーの対からなる)を生成する。また、式IIの化合物の光学的に純粋な化合物を用いる場合、式Iの化合物の2種のジアステレオ異性体(即ち、1つのエリスロ及び1つのスレオ異性体)、例えば3R、5S及び3S、5Sジアステレオ異性体を生成し、これらのものは5SLヒドロキシ化合物の還元により生ずる。ジアステレオ異性体を普通の方法によつて、例えば分別結晶、カラムクロマトグラフイー、分取薄層クロマトグラフイーまたはHPLCによつて分離することができる。これらの方法によつて得られるエリスロ対スレオ異性体の割合は通常変わり、例えば約98:1までであることができる。
本発明の立体選択的方法により、式IIのラセミ化合物を用いる場合、生ずる式Iの化合物の2種の立体異性体のみ(エナンチオマーのエリスロ対からなる)をほとんど排他的に生ずる。また、式IIの光学的に純粋な化合物を用いる場合、式Iの化合物の1つのエナンチオマーのみをほとんど排他的に生成し、このエナンチオマーは対応するエリスロエナンチオマーである。例えば3R,5SエナンチオマーはXが−CH=CH−である5Sヒドロキシ化合物の還元によつて得られる。
本発明の方法によつて得られるエリスロ対スレオ異性体の割合は約99.1:0.9またはこれ以上、殊に約99.5:0.5またはこれ以上、特に、約99.7:0.3またはこれ以上である。
本明細書に用いた如き「立体選択的」なる用語は、エリスロ対スレオ型の割合が99.1:0.9またはこれ以上であることを意味する。
本発明によるXが−CH=CH−である式Iの化合物の立体異性体は3R,5S及び3S,5R異性体並びにこれらの双方からなるラセミ体であり、その3R,5S異性体及びラセミ体が好ましい。
本発明によるXが−CH2CH−である式Iの化合物の立体異性体は3R,5S及び3S,5S異性体並びにこれらの双方からなるラセミ体であり、その3R,5S異性体及びラセミ体が好ましい。
4.技術分野 式IIの化合物のケト基の還元に対する普通の方法で、不活性有機溶媒、例えば低級アルカノール中で温和な還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムまたはt−ブチルアミン及びボランの錯体を用い、光学に純粋な出発化合物からジアステレオマー型の混合物、また、ラセミ出発物質からラセミ性ジアステレオマーを生成させる。
三工程の部分的立体選択的還元法を用い、ラセミ性出発物質から主としてエリスロラセミ体を得る。第一工程において、式IIの化合物を、アルコール及びテトラヒドロフラン(THF)からなる反応媒質中で、トリアルキルボラン化合物または式III R4O−B−(R3 (III)
式中、R4はアリルまたは好ましくは第三でない炭素原子1〜4個を有する低級アルキルであり、そしてR3は好ましくは第三でない炭素原子2〜4個を有する第一または第二アルキルである、の化合物と接触させる。かかる方法の第二工程において、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を反応媒質に加え、反応がケト基の還元と共に進行し、そしてまた、式Iの化合物の環式ボロネートまたはボラン錯体を生成する。第三工程において、ボロン錯体及び/または環式ボロネートエステルを含む反応混合物をメタノールまたはエタノールと共沸させるか、或いはまた、有機溶媒中にてパーオキシ化合物、例えば過酸化物、例えば、過酸化水素、または過ホウ素、酸塩、例えば過ホウ素酸ナトリウムで処理し、式Iの化合物を生成させる。上記の方法は例えばスレオ異性体に関する約98%選択性を有するエリスロラセミ体を提供する[チン(Chen)等、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)28、155(1987)]。
5.詳細な説明 本発明の方法は、式Iのエリスロ異性体をほとんど排他的に得るために、式IIのラセミ性及び光学的に純粋な化合物を立体選択的に還元する方法からなる。有利には、式IIの化合物のケト基の還元が実際に即座に起こる。式Iの化合物、即ち、エリスロ異性体が追加的に化学的純度の増加した状態で得られ、更に、簡単な再結晶化によつて約99%の化学的純度に高めることができる。
本発明の方法は第一工程[工程(a)]に従い、式IIIの化合物を、アルコール及びテトラヒドロフランからなる反応媒質中で水素化ホウ素ナトリウムNaBH4と混合する。
第二工程[工程(a)]において、式IIの化合物を適当な条件下で、工程(a)で得られた混合物で処理し、式IV(a)


の環式ボロネート化合物及び/または式IV(b)


式中、R、R1、R3及びXは上に定義したとおりである、のホウ素錯体が得られる。反応停止前は後者が主である。しかしながら、反応停止はホウ素錯体をボロネートエステルに転化する。
第三工程[工程(c)]において、式Iの対応する化合物を得るために、工程(b)で得られた生成物を開裂させる。
工程(a)は好ましくは本質的に無水条件下で、好ましくは不活性雰囲気下にて約−100℃乃至+30℃、好ましくは約−80℃乃至−60℃、特に、−78℃乃至−70℃で行われる。工程(a)に用いる反応媒質はアルコール及びテトラヒドロフランの混合物からなり、ここで、アルコールは式AlkOHであり、Alkは炭素原子1〜4個のアルキル、例えばメチルまたはエチルであり、好ましくは第三ではない。
工程(a)の生成物の1つは、用いた式IIIの化合物に由来するR4OHである。しかしながら、Alkの全てまたは一部がR4と同一であることは必要でない。一般に、水素化ホウ素ナトリウムは式IIの化合物と少なくとも等モル量で存在すべきであり、好ましくはやや過剰量、例えばケトン1モル当りNaBH4約1.1〜1.5モルである。式IIIの化合物対式IIの化合物のモル比は少なくとも約0.5:1、より好ましくは、ケトン1モル当り、ボラン化合物約0.7:1乃至1.5:1である。
また工程(b)は好ましくは低温で行われ、内部温度を約−100℃乃至−40℃、特に約−78℃乃至−70℃に保持する。式IIの化合物は好ましくは溶媒、例えばアルコール/THFまたはTHF中にある。好ましくは、工程(a)の反応媒質及び工程(b)で加える式IIの化合物の溶媒は、アルコール対テトラヒドロフランの比(v/v)が約1:3乃至1:6、特に約1:3乃至1:4になるように選ぶ。ケト基の還元は発熱的であり、速かに起こり、従つて、ケト化合物の添加を約−78℃乃至−70℃の範囲に内部温度を保持するように行うことが望ましい。還元は殆んど即座に起こり、次に反応混合物に例えば水性重炭酸ナトリウム、塩化アンモニウムまたは酢酸を加えて反応を止め、そして所望の環式ボロネート中間体の混合物が得られる。
工程(c)において、工程(b)の反応生成物を本質的に無水条件下にて、例えば約60℃乃至80℃でメタノールまたはエタノールと共に共沸蒸留する。またそして好ましくは、殊にXが−CH=CH−である場合、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)の添加によつて中和した生成物を有機溶媒、例えば酢酸エチルに溶解し、最初に低温、例えば約+10℃で、次に適度な温度、例えば約20℃乃至30℃に加温しながら、水性(例えば30%)過酸化水素または水性過ホウ素酸ナトリウム(NaBO3・4H2O)で処理し、式Iの対応する化合物が得られる。
また、工程(b)による環式ボロネートエステルを有機溶媒、例えば酢酸エチルで抽出し、次にパーオキシ化合物の水溶液、例えば30%過酸化水素水溶液または過ホウ素酸ナトリウム水溶液で直接処理し、式Iの対応する化合物が得られる。
還元条件が本発明を実行する際に起こるために、Rとして用いた基における置換基または官能基は不活性であること、即ち、かかる条件下で反応性または変化しやすい置換基または官能基を、例えばかかる官能基をマスキングまたは保護するか、或いは該官能基を後の段階で導入する公知の方法によつて含ませぬことは理解できよう。
式Iの化合物、対応するδ−ラクトン、遊離酸及び塩、R1が1つの意味を有する式Iの化合物のR1が異なる意味を有する対応する化合物及び/または対応するδ−ラクトン、遊離酸または塩への転化方法は公知である。
式Iの化合物を、必要に応じて、普通の方法によつて対応する遊離酸または塩型に、即ち、R1を水素またはカチオン、例えばアルカリ金属カチオンまたはアンモニウム、好ましくはナトリウムまたはカリウム、特にナトリウムで置換する場合、他のエステル型に、或いは対応するδ−ラクトン、即ち、分子内エステルに転化することができる。
上記の如く、本発明の方法に従つて得られる式Iの化合物は薬剤である。しかしながら、更に具体例において、本発明の方法をまた例えば式II u

式中、uはトリフエニルメチル(トリチル)であり、そしてRuはアリルまたは反応条件下で不活性なエステルを生成する基、好ましくはアリルまたはC1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルもしくはベンジル、特にt−ブチルであり、そしてZ1及びZ2は上に定義したとおりである、のラセミ体または光学的に純粋な化合物を立体選択的に還元することにより、例えば式I u

式中、u及びRuは上に定義したとおりである、のキラル中間体の製造に適用することができる。
かかるキラル中間体は例えばヨーロツパ特許第244364号に記載されている。該中間体は薬剤を製造する際に用い得ることが指示されている。
6.出発物質 本発明の方法において出発物質として用いる式IIIの(第一または第二C1〜4アルコキシまたはアリルオキシ)−ジ−(第一C2〜4アルキル)ボランは公知である[コスター(Kostre)等、Ann.(1975)、352;Chen等、Tetrahedron Letters 28、155(1987);及びChen等、ケミストリイ−レターズ(Chemistry Letters)(1987)、1923〜1926]。しかしながら、これらのものは対応するトリ−(第一または第二C2〜4アルキル)ボランから、第一または第二C1〜4アルカノールまたはアリルアルコールとの反応によつてその場で製造することができ、後者中の前者の濃度は好ましくは約0.2M乃至1.2M、特に約0.5Mである。
式IIの化合物は公知であるか、或いは例えば米国特許第4739073号(例えばZ2=酸素)またはヨーロツパ特許第216875号(例えばZ1=酸素)に記載された如くして、式IIの公知の化合物と同様にして製造することができる。
かくして、Z2が酸素である式IIの化合物は式V R−X−CHO (V)
式中、R及びXは上に定義したとおりである、の化合物と式VI CH3−CO−CH2−COOR1 (VI)
式中、R1は上に定義したとおりである、の化合物のジアニオンとの反応によつて標準的に製造される。
7.更にこれまでの中間体に関する具体例 また式V及びVIの化合物は公知である。しかしながら、更に具体例においては、また本発明は式VII (E)−OHC−CH=CH−N(R12)R13 (VII)
式中、R12はC1〜3アルキル、フエニルまたは1〜3個の置換基で置換されたフエニルであり、該置換基の各々は独立に、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはニトロであり、2個のニトロ基が最大であり;そしてR13は独立にR12に対して上に示した意味を有する、の化合物の亜群から出発して、式Vの化合物の亜群、即ち、式V a

式中、R5は水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C3〜6シクロアルキル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R6は水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;条件として、R5及びR6の多くとも1つはトリフルオロメチルであり、R5及びR6の多くとも1つがフエノキシであり、そしてR5及びR6の多くとも1つがベンジルオキシであり;
R7及びR8の1つはR8、R10及びR11で置換されたフエニルであり、そして他は不斉炭素原子を含まぬ第一または第二C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキルまたはフエニル−(CH2)m−であり、ここで、R9は水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;R10は水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;R11は水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロであり、そしてmは1、2または3であり;
条件として、R9及びR10の多くとも1つがトリフルオロメチルであり、R9及びR10の多くとも1つがフエノキシであり、そしてR9及びR10の多くとも1つがベンジルオキシである、の化合物の新規な製造方法並びに式VIIの化合物自体の新規な製造方法からなる。
式VIIの化合物の製造方法を以下に「方法A」として示し、そして式V aの化合物の製造方法を以下に「方法B」として示す。
式V a、VII及びXVII(後記の7.2.参照)の化合物は、なかでも、米国特許第4739073号により公知であり、これにはR12がC1〜3アルキルである式VIIの化合物及び式V aの化合物の合成に対するその用途、式XVIIの化合物、並びにHMG−CoA還元酵素阻害剤として用途を示すメバロノラクトンのインドール同族体及びその誘導体の合成に対する式V aの化合物の用途が開示されている。これらの化合物はコレステロール合成を阻害するために、該化合物は血中コレステロールレベルを降下し、従つて、過コレステリン血症、高リポタンパク質血症及びアテローム性動脈硬化症の処置における用途を示唆している。
また式VIIの化合物及びその合成は英国特許第945536号及びチエコスロバキア国特許第90045号に開示されている。しかしながら、これに開示された方法は、例えばシユウ酸誘導体よりもむしろ、ホスゲンまたは三塩化リン、五塩化リンもしくはオキシ塩化リンの使用に関して、方法Aとは異なる。
7.1.方法A(式VIIの化合物の製造)
式VIIの化合物の製造方法(方法A)は、(i) 式(VII)
OHC−N(R12)R13 (VIII)
式中、R12及びR13は上に定義したとおりである、の化合物を随時不活性な無水有機媒質中で式IX X a−CO−CO−X a (IX)
式中、X aは1価の離脱性基である、の化合物と反応させて対応する式X X a−CH=N+(R12)R13 X a- (X)
式中、X a、R12及びR13は上に定義したとおりである、の化合物を生成させ、(ii) 式Xの化合物を随時不活性な無水有機媒質中で式(XI)
R14O−CH=CH2 (XI)
式中、R14はこれが結合している酸素原子を不活性化しない1価の基である、の化合物と反応させて対応する式XII (E)−R14O−CH=CH−CH=N+(R12)R13 X a- (XII)
式中、R12、R13、R14及びX aは上に定義したとおりである、の化合物を生成させ、そして(iii) 遊離塩基または酸付加塩型における式VIIに対応する化合物を得るために、式XIIの化合物を加水分解し、そして酸付加塩型の場合、酸付加塩を塩基で中和する、ことからなる。
方法Aにおいて、工程(iii)を省略し、式XIIの化合物を例えば方法Bにおいて直接用いることができる。
工程(i)及び(ii)を同時に行うことができるか、または工程(i)に続いて工程(ii)を行うことができる;工程(ii)に続いて工程(iii)を行い、そして工程(iii)に続いて、用いる場合、工程(iv)(後記参照)を行う。
R12はR12a、但し、R12aはC1〜3アルキルである;またはR12bであり、R12bはC1〜3アルキルを除いて、R12に対して上に示した意味を有する(即ち、フエニルまたは1〜3個の置換基で置換されたフエニルであり、該置換基の各々は独立に、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはニトロであり、2個のニトロ基が最大である)。
R12aは好ましくはC1〜2アルキル、最も好ましくはメチルである。
R12bは好ましくはR12b′、但し、R12b′はフエニルまたは各々独立にC1〜3アルキル、C1〜2アルコキシまたはクロロである1または2個の置換基で置換されたフエニルである、より好ましくはR12b″はフエニルまたは1個もしくは2個のメチル基で置換されたフエニルである、そして最も好ましくはフエニルである。
R13は好ましくはC1〜2アルキル、最も好ましくはメチルである。
R14は好ましくはC1〜6アルキル、好ましくは第一または第二C2〜4アルキル、より好ましくはn−C2〜4アルキル、最も好ましくはエチルまたはn−ブチルである。
各X aは好ましくはクロロまたはブロモ、特にクロロである。各X a-は好ましくはクロライドまたはブロマイド、特にクロライドである。工程(iii)の加水分解または中和に用いる塩基は好ましくは無機塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであり、最も好ましくは炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムである。
方法Aに対する好ましい条件は次のとおりである:工程(i)[工程(ii)の前に行う場合]: 温度:20℃乃至+50℃ 時間:1.5〜5時間 反応媒質:液体のハロゲン化した低級アルカン、例えば1,2−ジクロロエタン及び塩化メチレン;またはアセトニトリル;塩化メチル及びアセトニトリルが最も好ましい 反応体のモル比:VII1モル当りIX1〜1.5モル工程(ii)[工程(i)に続いて行う場合]: 温度:10℃乃至60℃、10℃乃至40℃が最も好ましい 時間:0.5〜3時間 反応媒質:工程(i)と同様 反応体のモル比:工程(i)に用いたVIII1モル当りXI1〜1.5モル工程(i)及び(ii)[同時に行う場合]: 温度:−15℃乃至+35℃ 時間:2〜6時間 反応媒質:工程(ii)の前に行う場合、工程(i)に同じ 反応体のモル比:VIIIの1モル当りIX1〜1.5モル及びXI1〜1.5モル工程(iii): 温度:0℃乃至65℃ 時間:0.5〜3時間 反応媒質:水または水と工程(ii)に用いた反応媒質との混合物 反応のモル比:工程(i)に用いたIX1モル当り塩基2〜4当量 工程(iii)の加水分解を塩基によつて行うことが好ましい。
工程(i)及び(ii)に体する反応媒質は、また及び好ましくは、ニート(neat)な試薬、即ち、いずれの溶媒も含まぬ試薬、即ち、工程(i)に対しては式VII及びIXの化合物、そして工程(ii)に対しては式X及びXIの化合物からなる。このことは例えば生態学的観点から極めて有利であり、その理由は、廃水中のアセトニトリルの如き溶媒の存在または例えば塩化メチレンの蒸気の大気中への発散がこれによつて避けられるためである。それぞれ式VIII及びIXまたはX及びXIの化合物を溶媒なしに反応させることができ、その理由は、これらの化合物は一緒にした場合、固体ブロツクをつくらず、驚くべきことに、懸濁液を生ずるためである。
方法AをR12及びR13の意味に応じて、2つのサブプロセス(subproces)に分けることができる。
(1) R12及びR13は独立に、C1〜3アルキルである(サブプロセスAa)及び(2) R12及びR12の少なくとも1つがC1〜3アルキル以外のものである(サブプロセスAb)。
サブプロセスAaの工程(iii)の生成物は、式VIIの得られた化合物に応じて、式XIIIの化合物の認められるほどの量をしばしば含んでおり、式VIIの化合物対式XIIIの化合物のモル比は典型的に約2:1である。勿論、普通の分離法によつて式XIIIの化合物から式VIIの化合物を分離することができるが、工程(iii)の生成物、即ち、式VIIの粗製の化合物(式VIIの化合物と対応する式XIIIの化合物との混合物)を工程(iv)に付すことが好ましい、即ち、(iv) 式VII a (E)−OHC−CH=CH−N(R12a)R13 (VII a)
式中、R12a及びR13は上に定義したとおりである、の化合物を含む粗製の混合物を対応する式XIV H−N(R12a)R13 (XIV)
式中、R12a及びR13は上に定義したとおりである、の化合物で処理し、これに存在する式XIIIの化合物を式VII aの追加の化合物に転化する。
サブプロセスAaにおける好ましい反応体は次のものである:(a) 但し、R12aがC1〜2アルキルであり、R13がC1〜2アルキルであり、R14が第一または第二C2〜4アルキルであり、各X aがクロロであり、そして各X a-がクロライドである;
(b) (a)と同様、但し、R14はn−C2〜4アルキルである;
(c) (b)と同様、但し、R12aはメチルであり、R13はメチルであり、そしてR14はエチルである;
(d)〜(f) (a)〜(c)と同様、但し、工程(iii)に用いた塩基は炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムである;そして(g)〜(i) (d)〜(f)と同様、但し、工程(iii)に用いた塩基は炭酸カリウムである。
サブプロセスAaに対する好ましい反応条件は、殊に、反応体が亜群(a)、(d)及び(g)である場合、更に反応体が亜群(b)、(e)及び(h)である場合、そして特に、反応体が亜群(c)、(f)及び(i)である場合、次のとおりである:工程(i): 温度:0℃乃至20℃、0℃乃至15℃が好ましく、そして5℃乃至15℃がより好ましい 時間:1.5〜4時間 反応媒質:液体のハロゲン化した低級アルカンまたはアセトニトリル、または混ぜ物のない試薬;塩化メチレンまたは混ぜ物のない試薬が最も好ましい 反応体のモル比:VIIIの1モル当りIX1〜1.2モル、VIII1モル当りIX1.1〜1.2モルがより好ましい;
工程(ii): 工程:25℃乃至40℃ 時間:0.7〜2.5時間 反応媒質:工程(i)と同様 反応体のモル比:工程(i)に用いたVIII1モル当りXI1〜1.2モル、VII1モル当りIX1.1〜1.2モルが最も好ましい;
工程(iii): 温度:20℃乃至65℃、20℃乃至30℃がより好ましい 時間:0.75〜2時間 反応媒質:水性 反応体のモル比:工程(i)に用いたIX1モル当り塩基2〜4当量;
工程(iv): 温度:0℃乃至20℃、10℃乃至20℃がより好ましい 時間:0.3〜1時間 反応媒質:C1〜4アルカノール、メタノールが最も好ましい 反応体のモル比:工程(i)に用いたVIII1モル当XIV0.15〜1モル。
サブプロセスAaにおいて、好ましい工程(ii)を工程(i)の後に行う。
好ましくは、サブプロセスAaは次の工程からなる:(i) N,N−ジメチルホルムアミド(R12及びR13がメチルである式VIIIの化合物)をニートで、または塩化メチレン中にて0℃乃至15℃の温度で塩化オキザリル(X aがクロロである式IXの化合物と反応させて式X a Cl−CH=X+(CH3 Cl- (X a)
の化合物を生成させ、(ii) 式X aの化合物をニートでまたは塩化メチレン中にて25℃乃至40℃の温度でエチルビニルエーテル(R14がエチルである式XIの化合物)と反応させて式XII a (E)−C2H5O−CH=CH−CH=N+(CH3 Cl- (XII a)
の化合物を生成させ、(iii) 式XII aの化合物を20℃乃至30℃の温度で、水性媒質中にて炭酸カリウムで加水分解して式VIII aa (E)−OHC−CH=CH−N(CH3 (VII aa)
及び式VIII a (E)−OHC−CH=CH−OC2H5 (XIII a)
の化合物の混合物を生成させ、(iv) 式VII aa及びXIII aの化合物の混合物を10℃乃至20℃の温度で、メタノール中にてジメチルアミン(R12a及びR13がメチルである式XIVの化合物)で処理して式XIII aの化合物を式VII aaの追加の化合物に転化する。
更に好ましくは、サブプロセスAaにおいて、(1) 工程(i)における塩化オキザリル対N,N−ジメチルホルムアミドのモル比は1:1〜1.2:1であり、そして工程(i)を温度が5℃乃至15℃に保持されるような速度で、1.5〜4時間にわたつて塩化オキザリルをニートでN,N−ジメチルホルムアミドまたは塩化メチレン中の溶液に加えることによつて行う;
(2) 工程(ii)において、工程(i)に用いるエチルビニルエーテル対N,N−ジメチルホルムアミドのモル比は1:1〜1.2:1であり、そして工程(ii)を温度が30℃を越えないような速度で0.4〜1.5時間にわたつて、エチルビニルエーテルを反応混合物に加え、添加終了後、反応混合物を35℃乃至40℃で0.3〜1時間還流させ、そして指示があれば、45℃を越えない温度で可能な限り塩化メチレンを回収することによつて行う。
(3) 工程(iii)において、工程(i)に用いた炭酸カリウム対塩化オキザリルのモル比は1:1〜2:1であり、そして工程(iii)を、20℃乃至30℃に撹拌された工程(ii)の生成物に水を加え、温度を45℃乃至60℃に上昇させ、この温度を水の添加の残り時間中及び更に0.3〜1時間保持し、この反応混合物を15℃乃至25℃に冷却し、この温度で0.3〜1.25時間にわたつて炭酸カリウムの水溶液を加え、混合物を塩化メチレンで抽出し、45℃を越えない温度で可能な限り塩化メチレンを留去することによつて行う;
(4) 工程(iv)において、工程(i)で用いたジメチルアミン対N,N−ジメチルホルムアミドのモル比は0.15:1〜0.4:1であり、そして工程(iv)を、10℃乃至20℃で撹拌されたメタノール中の工程(iii)の生成物の溶液に、温度が20℃を越えないような速度で無水ジメチルアミンに加え、そして120℃を越えない温度で溶媒及び過剰量のジメチルアミンを留去することによつて行われる。
サブプロセスAbに好ましい反応体は次のものである:(a) R12bがR12b′であり、R13がC1〜2アルキルであり、R14が第一または第二C2〜4アルキルであり、各X aがクロロであり、そして各X a-がクロライドであり;
(b) (a)と同様、但し、R12bはR12b″であり、そしてR14はn−C2〜4アルキルである;
(c) (b)と同様、但し、R12bはフエニルであり、R13はメチルであり、そしてR14はエチルまたはn−ブチル、特にn−ブチルである;
(d)〜(f) (a)〜(c)と同様、但し、工程(iii)に用いた塩基は炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムである、そして(g)〜(i) (d)〜(f)と同様、但し、工程(iii)に用いた塩基は炭酸ナトリウムである。
サブプロセスAbに対する好ましい反応条件は、殊に、反応体が亜群(a)、(d)及び(g)の場合、更に反応体が亜群(b)、(e)及び(h)の場合、そして特に反応体が亜群(c)、(f)及び(i)の場合、次のとおりである:工程(i)[工程(ii)の前に行う場合]: 温度:−20℃乃至+45℃ 時間:1.5〜5時間 反応媒質:液体のハロゲン化した低級アルカンまたはアセトニトリル、塩化メチレン及びアセトニトリルがより好ましく、そしてアセトニトリルが最も好ましいか;または最も好ましくは、ニートの試薬;
反応対のモル比:VIII1モル当りIX1〜1.2モル、VIII1モル当りIX1.1〜1.2モルがより好ましい;
工程(ii)[工程(i)に続いて行う場合]: 温度:10℃乃至40℃ 時間:0.5〜3時間 反応媒質:工程(i)と同様 反応体のモル比:工程(i)に用いたVIII1モル当りXI1〜1.3モル、VIII1モル当りXI1.1〜1.25モルがより好ましい;
工程(i)及び(ii)[同時に行う場合]: 温度:−15℃乃至+35℃ 時間:2〜6時間 反応媒質:工程(ii)の前に行う場合、工程(i)と同様 反応体のモル比:VIII1モル当りIX1〜1.5モル及びXI1〜1.5モル工程(iii): 温度:0℃乃至35℃、0℃乃至30℃がより好ましい 時間:0.5〜1.5時間 反応媒質:水及び工程(ii)の反応媒質の混合物 反応体のモル比:工程(i)に用いるIX1モル当り塩基2〜4当量。
サブプロセスAbに3つの好ましい方法、即ち、Ab1、Ab2及びAb3がある。方法Ab1において、R14はエチルであり、工程(i)及び(ii)に体する反応媒質は塩化メチレンまたは、好ましくはニートな試薬であり、そして方法Ab2及びAb3においては、R14はn−ブチルであり、そして工程(i)及び(ii)に対する反応媒質はアセトニトリルまたは、好ましくはニートの試薬である。方法Ab1及びAb2において、工程(ii)を工程(i)の後に行い、方法Ab3においては、工程(i)及び(ii)を同時に行う;各方法において、工程(iii)は工程(i)及び(ii)の後に続いて行う。
サブプロセスAbの方法Ab1は好ましくは次の工程からなる:(i) N−メチルホルムアニリド(R12がフエニルであり、そしてR13がメチルである式VIIIの化合物)を15℃乃至45℃の温度でニートまたは塩化メチレン中の塩化オキザリル(X aがクロロである式IXの化合物)と反応させて式X b Cl−CH=N+(C6H5)CH3 Cl- (X b)
の化合物を生成させ、(ii) 式X bの化合物を15℃乃至40℃の温度でニートまたは塩化メチレン中のエチルビニルエーテル(R14がエチルである式XIの化合物)と反応させて式XII b1 (E)−C2H5O−CH=CH−CH=N+(C6H5)CH3 Cl- (XII b1)
の化合物を生成させ、(iii) 式XII b1の化合物を20℃乃至30℃の温度で塩化メチレン及び水の混合物中にて炭酸ナトリウムで加水分解して式VII a (E)−OHC−CH=CH−N(C6H5)CH3 (VII b)
の化合物が得られる。
より好ましくは、サブプロセスAbの方法Ab1において、(1) 工程(i)における塩化オキザリル対N−メチルホルムアニリドのモル比は1:1〜1.2:1であり、そして工程(i)を、15℃乃至20℃の温度で1〜2時間にわたつて、塩化オキザリルをニートまたは塩化メチレン中の溶液におけるN−メチルホルムアニリドに加え、添加終了後、反応混合物の温度を0.75〜1.25時間にわたつて40℃乃至45℃に徐々に上昇させ、次に混合物を0.75〜1.25時間還流させることによつて行い;
(2) 工程(ii)において、工程(i)で用いたエチルビニルエーテル対N−メチルホルムアニリドのモル比は1:1〜1.3:1であり、工程(ii)を、工程(i)の生成物を15℃乃至20℃に冷却し、温度が30℃を越えないような速度でエチルビニルエーテルを0.5〜1.5時間にわたつて加え、添加終了後、反応混合物を0.3〜0.7時間還流させることによつて行い;そして(3) 工程(iii)において、工程(i)に用いた炭酸ナトリウム対塩化オキザリルのモル比は1:1〜1.2:1であり、そして工程(iii)を、工程(ii)の生成物を15℃乃至20℃に冷却し、0.5〜1時間にわたり炭酸ナトリウム水溶液を、反応混合物の温度が20℃乃至30℃であるような速度で加え、添加終了後、混合物を20℃乃至30℃で0.2〜0.5時間撹拌し、混合物を2相に分離させ、2相を分離し、そして有機相から生成物を回収することによつて行う。サブプロセスAbの方法Ab2は好ましくは次の工程からなる:(i) ニートまたはアセトニトリル中にて−20℃乃至+20℃の温度でN−メチルホルムアニリドを塩化オキザリルと反応させれ式X bの化合物を生成させ、(ii) 式X bの化合物とn−ブチルビニルエーテル(R14がn−ブチルである式XIの化合物)とをニートまたはアセトニトリル中にて10℃乃至40℃の温度で反応させて式XII b2 (E)−n−C4H9O−CH=CH−CH=N+(C6H5)CH3 Cl- (XII b2)
の化合物を生成させ、そして(iii) アセトニトリル及び水の混合物中で0℃乃至25℃の温度で式XII b2の化合物を炭酸ナトリウムで加水分解して式VII bの化合物を得る。より好ましくはサブプロセスAbの方法Ab2において、(1) 工程(i)における塩化オキザリル対N−メチルホルムアニリドのモル比は1:1〜1.2:1であり、そして工程(i)を、−18℃乃至+8℃の温度で1〜2時間にわたつて、塩化オキザリルをニートまたはアセトニトリル中の溶液におけるN−メチルホルムアニリドに加え、添加終了後、反応混合物の温度を12℃乃至20℃に0.4〜0.75時間にわたつて徐々に上昇させ、次にこの温度で0.2〜0.4時間撹拌することによつて行い;
(2) 工程(ii)において、工程(i)で用いたn−ブチルビニルエーテル対N−メチルホルムアニリドのモル比は1:1〜1.2:1であり、そして工程(ii)を、n−ブチルビニルエーテルを12℃乃至20℃で撹拌された工程(i)の生成物に温度が30℃を越えない速度で0.5〜1.5時間にわたつて加え、添加終了後、反応混合物を25℃乃至35℃で0.3〜0.7時間撹拌することによつて行い;そして(3) 工程(iii)において、工程(i)で用いた炭酸ナトリウム対塩化オキザリルのモル比は1:1〜1.3:1であり、そして工程(iii)を、工程(ii)の生成物を0℃乃至5℃に冷却し、炭酸ナトリウム水溶液を反応混合物の温度が5℃乃至15℃であるような速度で0.5〜1.2時間にわたつて加え、添加終了後、トルエンを加え、混合物を15℃乃至25℃で0.2〜0.5時間撹拌し、混合物を2相に分離させ、2相を分離し、有機相から生成物を回収することによつて行う。
サブプロセスAbの方法Ab3は(i)及び(ii)からなり、n−ブチルビニルエーテルの存在下において−10℃乃至+30℃の温度でN−メチルホルムアニリドと塩化オキザリルとをニートまたはアセトニトリル中で反応させて式X bの化合物を生成させ、次に該化合物を反応混合物中でn−ブチルビニルエーテルと反応させて式XII b2の化合物を生成させ、そして(iii) 式XII b2の化合物をアセトニトリル及び水の混合物中にて0℃乃至25℃の温度で炭酸ナトリウムで加水分解して式VII bの化合物が得られる。
より好ましくは、サブプロセスAbの方法Ab3において、(1) 工程(i)及び(ii)において、各々塩化オキザリル対N−メチルホルムアニリドのモル比は1:1〜1.2:1であり、そして工程(i)及び(ii)を、ニートのN−メチルホルムアニリド及びn−ブチルビニルエーテルまたはアセトニトリル中の溶液を−10℃乃至+10℃で撹拌されたニートの塩化オキザリルまたはアセトニトリル中の溶液に2〜3時間にわたつて加え、添加終了後、反応混合物の温度を0.4〜1.5時間にわたつて徐々に20℃乃至30℃に上昇させ、次に反応混合物をこの温度で0.5〜1.5時間撹拌することによつて行い;そして(2) 工程(iii)において、工程(i)で用いた炭酸ナトリウム対塩化オキザリルのモル比は1:1〜1.3:1であり、そして工程(iii)を、工程(ii)の生成物を0℃乃至5℃に冷却し、反応混合物の温度が0℃乃至12℃であるような速度で炭酸ナトリウム水溶液を0.5〜1.2時間にわたつて加え、添加終了後、トルエンを加え、混合物を15℃乃至25℃で0.2〜0.5時間撹拌し、混合物を2相に分離させ、2相を分離し、そして有機相から生成物を回収することによつて行う。
サブプロセスAbの工程(iii)の生成物をサブプロセスAaの工程(iv)と同様に工程(iv)に付すことができる。
7.2.方法B(式VII cの化合物から式V aの化合物の製造)
式V aの化合物の製造方法(方法B)は、(i) 式VII c (E)−OHC−CH=CH−N(R12b)R13 (VII c)
式中、R12b及びR13は上に定義したとおりである、の化合物を式XV PO(Xb (XV)
式中、Xbはクロロまたはブロモである、の化合物或いは塩化または臭化オキザリル;ホスゲンまたは臭化カルボニル;
三塩化または三臭化リン;五塩化または五臭化リン;及び塩化または臭化アルキル−またはアリールスルホニル、例えば塩化もしくは臭化p−トルエンスルホニルまたは塩化もしくは臭化メタンスルホニルから選んだ化合物と反応させて式XVI (E)−Xb−CH=CH−CH=NH(R12b)R13 (XVI)
の対応する化合物及び対応するアニオン、例えば−PO2(Xb、但し、Xb、R12b及びR13は上に定義したとおりである、を生成させ、(ii) 式XVIの化合物を式XVII

式中、R5、R6、R7及びR8は上に定義したとおりである、の化合物と反応させて式XVIII

の対応する化合物及び対応するアニオン、例えば−PO2(Xb、但し、R5、R6、R7、R8、R12b、R13及びXbは上に定義したとおりである、を生成させ、そして(iii) 式XVIIIの化合物を加水分解して対応する式V aの化合物を得ることからなる。
方法Aに対して述べた如く、工程(i)において、方法Aに従つて得られた式XIIの化合物を式VII cの化合物の代りに直接用いることがでかる。
R12b及びR13に対する好ましい意味は上に述べた、そしてR5、R6、R7及びR8に対する好ましい意味は米国特許第4739073号においてそれぞれR0、R、R2及びR3に対して述べられたものである。Xbは好ましくはクロロである。
式VII cの化合物を好ましくは式XVの化合物と反応させる。
工程(i)及び(ii)を好ましくは不活性の無水有機媒質中で行う。
好ましい反応体(及び目的生成物)は次のものである:(a)〜(d) 反応体、但し、R12bはR12b′であり、R13はC1〜2アルキルであり、各Xbはクロロであり、そしてR5〜R8は米国特許第4739073号の群(i)、(ii)、(xxi)及び(xxii)の対応する可変の意味を有し;
(e)〜(h) (a)〜(d)の反応体、但し、R12bはR12b″であり、そしてR5〜R8は米国特許第4739073号の群(v)、(vi)、(xxv)及び(xxvi)の対応する可変の意味を有し;
(i)及び(j) (e)及び(f)の反応体、但し、R7はC1〜3アルキルであり、R8はフエニル、メチルフエニル、フルオロフエニル、ジメチルフエニルまたはメチル−フルオロフエニルであり、R5は水素、C1〜3アルキルまたは4−もしくは6−ベンジルオキシであり、そしてR6は水素またはメチルであり;
(k)及び(l) (g)及び(h)の反応体、但し、R7はフエニル、メチルフエニル、フルオロフエニル、ジメチルフエニルまたはメチル−フルオロフエニルであり、R8はC1〜3アルキルであり、R5は水素、C1〜3アルキルまたは4−もしくは6−ベンジルオキシであり、そしてR6は水素またはメチルであり;
(m)〜(p) (i)〜(l)の反応体、但し、R5は水素であり、そしてR6は水素であり;
(q)〜(t) (m)〜(p)の反応体、但し、R12bはフエニルであり、そしてR13メチルであり;
(u)(q)の反応体、但し、R7は1−メチルエチルであり、そしてR8は4−フルオロフエニルであり;そして(v) (s)の反応体、但し、R7は4−フルオロフエニルであり、そしてR8は1−メチルエチルである。
最も好ましくは、R5及びR6は水素であり、R7は1−メチルエチルであり、そしてR8はp−フルオロフエニルである。
工程(i)に用いて式VII cの化合物は遊離塩基型であるか、或いは、好ましくは、酸付加塩型、例えば炭酸塩酸付加塩型であることができる。
工程(iii)に対する好ましい塩基は無機水酸化物、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、特に水酸化カリウムである。しかしながら、下記の如く、工程(iii)に塩基を用いぬことが最も好ましい。
方法Bに対する好ましい反応条件は次のとおりである:工程(i)
温度:−10℃乃至+25℃、−10℃乃至+10℃がより好ましい 時間:0.1〜1.2時間、0.5〜1時間がより好ましい 反応媒質:低級アルキルニトリル、アセトニトリルが最も好ましい 反応対のモル比:VII c1モル当りXV1〜1.5モル、VII c1モル当りXV1.1〜1.3モルがより好ましい工程(ii)
温度:60℃乃至100℃、65℃乃至85℃がより好ましい 時間:2〜30時間、3〜24時間がより好ましい 反応媒質:工程(i)と同様 反応対のモル比:XVII1モル当りXVII1〜5モル、XVII1モル当りXVII1〜3モルがより好ましい(各場合に仮定した工程(i)における100%収率)
工程(iii)
温度:塩基を用いる場合、10℃乃至40℃、そして塩基を用いぬ場合、35℃乃至60℃ 時間:塩基を用いる場合、0.1〜1時間、塩基を用いぬ場合、2〜4時間 溶媒:水及び工程(ii)の反応媒質 反応体のモル比:塩基を用いる場合、工程(i)に用いたXV1モル当り塩基好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム4〜8当量。
方法Bに対する更に好ましい反応条件は、殊に、反応体及び目的生成物が亜群(a)〜(v)、特に亜群(i)、(j)、(m)、(n)、(q)、(r)及び(u)である場合、次のとおりである:工程(i): 温度:−10℃乃至+10℃ 時間:0.75〜1時間 反応媒質:アセトニトリル 反応体のモル比:VII c1モル当りXV1.1〜1.3モル工程(ii): 温度:65℃乃至85℃、80℃乃至83℃がより好ましい 時間:3〜16時間、3〜10時間がより好ましい 反応媒質:アセトニトリル 反応体のモル比:XVII1モル当りXVI2〜3モル、XVII1モル当りXVI2.1〜2.5モルがより好ましい(各場合に仮定した工程(i)における100%収率)
工程(iii): 温度:20℃乃至55℃;塩基を用いる場合、25℃乃至35℃が好ましく、そして塩基を用いぬ場合、35℃乃至55℃が好ましい 時間:塩基を用いる場合、0.3〜0.7時間、そして塩基を用いぬ場合、2〜3時間 反応媒質:水及び工程(ii)の反応媒質 反応体のモル比:塩基を用いる場合、工程(i)に用いたXV1モル当り塩基、好ましくは水酸化ナトリウム4〜6当量。
工程(iii)において塩基を用いぬことが最も好ましい。
8.全ての方法に適用し得る一般的な条件 本明細書に列挙したモル量(比)のほとんどは単なる例示であり、当該分野に精通せる者にとつては明らかな如く、変えることができる。
方法A(サブプロセスAa及びAb並びにその変法を含む)の工程(i)及び(ii)、方法Bの工程(i)及び(ii)並びに、好ましくはサブプロセスAaを好ましくは無水条件及び不活性雰囲気下で、好ましくは乾燥ヘリウム、アルゴンまたは窒素或いはその混合物、通常乾燥窒素下で行う。方法A(サブプロセスAa及びAb並びにその変法を含む)の工程(iii)をしばしば、但し、必要ではないが、不活性雰囲気下で行う。
同様に、上記の温度範囲のほとんどが単なる例である。全ての温度は、特記せぬ限り、内部温度である。「反応媒質」なる用語には液体の混合物が含まれ、そして反応媒質が所望の反応温度で液体であることを意味する。従つて、特定の工程に示した液体の全てが全体の列挙した反応温度に利用し得ぬことを理解すべきである。また反応媒質は用いた反応条件下で、使用した反応体、生成した中間体及び目的生成物に対して少なくとも実質的に不活性でなければならないことを理解すべきである。反応温度は、還流冷却器または密閉系(反応ボンベ)を用いる場合、反応体または反応媒質の沸点を越え得ることを理解すべきである。
また上記の反応時間は単なる例であつて、そして変えることができる。
また普通の処理方法を用い得ることも理解できよう。本明細書に用いた如き「溶媒」なる用語には溶媒の混合物が含まれ、そして反応溶媒が所望の反応温度で液体であることを意味する。特記せぬ限り、全ての溶媒混合物は容量による。「不活性雰囲気」なる用語は、反応体、中間体または目的生成物のいずれとも反応せぬか、或いは反応を妨害せぬ雰囲気を意味する。
必要に応じて、各方法の生成物を普通の方法、例えば再結晶化、クロマトグラフイーまたは分留によつて精製することができる。
全ての温度は℃であり、室温は、特記せぬ限り、20℃乃至30℃、通常20℃乃至25℃である;蒸発を最少限の加熱を用いて真空下で行い、有機相の乾燥を無水硫酸マグネシウム上で行い、そして特記せぬ限り、全てのカラムクロマトグラフイーに対してシリカゲルを用いた。
本発明によつて開示した種々な方法は公知の同様な方法よりも改善されることが明白である;例えば普通の方法で得られるよりもより容易に、または例えば化学的もしくは光学的純度のよい高い状態で所望の目的生成物、即ち、7−置換された−ヘプト−6−ヘプト−6−エン酸及び−ヘプタン酸並びにその誘導体を得るために本方法を用いることができる。
上記の種々な方法を普通の方法と一緒に個々に、或いは必要に応じてまたは指示した場合には、組み合わせて使用し、所望の目的生成物を得ることができる。
9.特定の具体例 上記の種々な方法の基本となる一般的な発明の概念の特定の実例は、上記の種々な方法の全て、即ち、方法A、B及び式IIの化合物の立体選択的還元を用いる多工程法において、ラセミまたは光学的に純粋な型;遊離酸、塩、エステルまたはδ−ラクトン、即ち、分子内エステル型における式I a

のエリスロ−(E)−3,5−ジヒドロキシ−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)インドル−2′−イル]−ヘプト−6−エン酸に関し、そして次の工程からなる:−方法Aに従い:a)式VIII A OHC−N(R12b)R13 (VIII a)
式中、R12b及びR13は上に定義したとおりである、の化合物を随時不活性な無水有機媒質中で式IXの化合物と反応させて対応する式X c Xa−CH=N+(R12b)R13 Xa- (Xc
式中、Xa、R12b及びR13は上に定義したとおりである、の化合物を生成させ;
b)式X cの化合物を、随時不活性な無水有機媒質中で式XIの化合物と反応させて対応する式XII c (E)−R14O−CH=CH−CH=N+(R12b)R13 Xa- (XII c)
式中、R12b、R13、R14及びXaは上に定義したとおりである、の化合物を生成させ;
c)式XII cの化合物を加水分解し、遊離塩基または酸付加塩型における対応する式VII cの化合物を生成させ、そして酸付加塩型における場合、酸付加塩を塩基によつて中性にし;
−方法Bに従い:d)式VII cの化合物を式XVの化合物或いは 塩化または臭化オキザリル;ホウゲンまたは臭化カルボニル;三塩化または三臭化リン;五塩化または五臭化リン;及び塩化または臭化アルキル−もしくはアリールスルホニル、例えば塩化または臭化p−トルエンスルホニル或いは塩化または臭化メタンスルホニルから選ばれる化合物と反応させて対応する式XVIの化合物及び対応するアニオン、例えば−PO2(Xbを生成させ;
e)式XVIの化合物を3−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドール(R5及びR6が水素であり、R7が1−メチルエチルであり、そしてR8がp−フルオロフエニルである式XVIIの化合物と反応させて対応する式XVIII a

の化合物及び対応するアニオン、例えば−PO2(Xb、但し、R12b、R13及びXbは上に定義したとおりである、を生成させ;
f)式XVIII aの化合物を加水分解して(R)−3−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−ルメチメチルエチル)−1H−インドル−2′−イネル]−プロプ−2−エナール(R5及びR6が水素であり、R7が1−メチルエチルであり、そしてR8がp−フルオロフエニルであり式V aの化合物)を生成させ;
g)式V aの化合物を式CH3COCH2COOR1、但し、R1は上に定義したとおりである、のアセト酢酸エステルのジアニオンと反応させてラセミまたは光学的に純粋な型における対応する式II a

式中、R1は上に定義したとおりである、の化合物を生成させ;
−立体選択的還元法に従い:h)第一工程[=上記5.の工程(a)]において、式IIIの化合物をアルコール及びテトラヒドロフランからなる反応媒質中で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)と混合し;
第二工程[=上記5.の工程(b)]において、ラセミまたは光学的に純粋な型における式II aの化合物を適当な条件下にて上記の混合物で処理して式IV aの環式ボロネート化合物及び/または式IV bのボロン錯体、但し、Rは[3−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドル]−2−イルであり、Xは−CH=CH−であり、R1及びR2は上に定義したとおりである、を含む混合物を生成させ;
第三工程[=上記5.の工程(c)]において、第二工程で得られる生成物を開裂させてラセミまたは光学的に純粋な型における式I aの化合物を得るために、式II aのラセミまたは光学的に純粋な化合物を立体選択的に還元し;そしてi)必要に応じて、エステル型における式I aの化合物を普通の方法によつて遊離酸型、塩型、更に、エステル型またはδ−ラクトン、即ち、分子内エステル型に転化する。
式I aの化合物は遊離酸、塩、エステルまたはδ−ラクトン、即ち、分子内塩型であることができる。好ましくは、該化合物は遊離酸または塩、好ましくはアルカリ塩、特にナトリウム塩型である。好ましくは該化合物はラセミ型である。式I aから明らかな如く、その型はエリスロ型である。
9.で説明した特定の具体例は本発明による開示された方法に従つて、またある工程に対しては、該当該において公知の方法に従つて行われることが理解されよう。
かくして、−工程a)、b)及びc)はサブプロセスAb、特にその工程(i)、(ii)及び(iii)に対して7.1.に述べた如くして、例えばサブプロセスAbの方法Ab1、Aa2及び/またはAb3に従つて行われる;かくして、工程a)及びb)を方法Aに対して上に述べた方法と同様にして行うことができる;
−工程d)、e)及びf)は方法B、特にその工程i)、ii)及びiii)に好ましくて上記7.2.に述べた如くして行われる;
−工程g)は例えば米国特許第4739070号、特にコラム8における反応式及びそのコラム47における実施例5、工程5に従つて行れる;
−工程h)は上記5.に述べた如くて行うわれる。
−工程i)は普通の方法において普通の方法において、例えば米国特許第4739073号に、特にコラム9における反応式I(反応C、D及びE);コラム11における反応式II(反応L);コラム16における反応式(VIII)(反応EE)に記載された如して行われ;そしてそのコラセム49.50.52及び53における実施例6(a)、6(b)、6(c)、8及び9において、THFをエタノールに有利に取り替えることができる。
上記の立体選択的還元工程h)の第二部分において、好ましくは、R1がイソプロピルまたは、特に、t−ブチルである式II aの化合物を用い、これによつて、基R1が例えばメチルであるものよりも、式Iのより比較的純粋な化合物の単離が促進される。更に、驚くべきことに、これによつて得られる式Iの化合物は完全に無色であり、一方、従来の合成法で得られるものは常に淡黄色である。
すでに述べた如く、上記の工程h)による立体選択的還元を式II aのラセミまたは光学的に純粋な化合物を用いて行うことができる。式II aの光学的に純粋な化合物は、例えば工程g)で得られる式II aのラセミ化合物のクロマトグラフ的分割または、好ましくは、不斉合成によつて得られる。また、分割を次の工程で、またはラセミ性の目的生成物において行うことができる。
また本発明の特定の具体例に対する出発物質は公知であるか、或いは公知の方法に従つて製造することができる。3−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドール[式XVIIの化合物、上記の工程e)参照]は、フルオロベンゼンから出発して、コラム44及び45において実施例5、工程1〜3として米国特許第4739073号に開示されている。
勿論、また本発明は、特に上に述べてない普通の方法との組み合わせにおいて式I aの化合物の製造に適用する場合の上記方法A、B及び立体選択的還元法に個々に関する。
10.実施例 以下の実施例は本発明を説明するものである。全ての温度は0℃である。光学的純度を%として示し、かくして、「純度99.9%エリスロ異性体」は得られる化合物中に多くとも0.9%スレオ型が存在することを意味する。
10.1.式Iの化合物を得るための式IIの化合物の立体選択的還元に対する実施例実施例1:(±)−エリスロ−(E)−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)インドル−2′−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸tert.−ブチルエステル[式I:R=3−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)インドル−2−イル;X=(E)−CH=CH−;R1=t−ブチル;ラセミ型]
(a) 水素化ホウ素ナトリウム47.67g(1.26モル)を窒素下にて約−77℃で、乾燥テトラヒドロフラン(THF)1.32■及びメタノール356mlからなる溶媒に加えた。得られた溶液にTHF中の50%(4.09M)ジエチルメトキシボラン102mlを15分間にわたつて加え、生じた混合物を更に10分間撹拌した。
(b) THF104ml及びメタノール26ml中の純度71.88%の(±)−(E)−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)インドル−2′−イメ]−5−ヒドロキシ−3−オキソヘプト−6−エン酸tert.−ブチルエステル300.5g(0.464モル)を約−74℃乃至−77℃の温度で1.5時間にわたり、(a)が得られた混合物に滴下し、生じた混合物を更に30分間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液720ml及びヘプタン1.75■を加えて反応を止めた。次に酢酸エチル500mlを加え、生じた混合物を15分間撹拌しながら水3.5■で希釈し、混合物の温度は約10℃であつた。上部の有機層を分離し、合計2.4■のpH値7.5の飽和塩化ナトリウム溶液で数回洗浄し、有機層を最大外部温度約45℃にて20〜30mmHgで濃縮した。有機残渣にトルエン375mlを加え、溶媒を最大外部温度約45℃にて20〜30mmHgで蒸留した。
(c) 得られた濃い油(主として環式ボロネート)に酢酸エチル3.73■を加えた。次に25〜30℃の内部温度を保持しながら、酢酸エチル溶液に30%過酸化水素溶液500ml(4.41モル)を加え(添加は最初に発熱的であつた)、薄層クロマトグラフイーによつてボロネートの存在が示されなくなるまで、反応混合物を20乃至25℃で約2時間撹拌した。上部有機層を合計2.22■のpH値7.5の飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄した。次に有機層を分離し、内部温度25℃を保持しながら、合計2.61■の10%亜硫酸ナトリウムで3回(有機層が過酸化物を含まなくなるまで)洗浄した。次に上部有機層を合計1.72■のpH値7.5の飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、溶媒を最大外部温度約45℃にて20〜30mmHgで蒸留した。残渣を還流している酢酸エチル1.17■に溶解し、混合物を熱時濾過し、濾液を20℃乃至25℃で18時間撹拌した。固体を濾過によつて捕集し、減圧下(約20〜30mmHgにて25℃で乾燥し、酢酸エチル/ヘプタン(1:4)550mlで洗浄し、酢酸エチル880mlに再溶解し、周囲温度で18時間撹拌した。固体を濾過によつて捕集し、酢酸エチル/ヘプタン(1:2)480mlで洗浄した。固体を減圧下で乾燥し、生成物114.5gを得た(融点135〜137℃)。
母液から第二の収穫物が得られた、合計収量は149.5gとなつた。この生成物は化学的純度99.44%を有し、純度99.6%のエリスロ異性体であつた。このものを2種の光学的活性エナンチオマー、3R、5S及び3S、5Rに分割することができ、この中で前者が好ましい。
またそして好ましくは工程a)において、水素化ホウ素ナトリウムの示した量の半分を用いることができる。
また、工程(c)において、30%過酸化水素溶液の代りに、過ホウ素酸ナトリウム水溶液を用いることができる。
実施例2:(±)−エリスロ−(E)−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)インドル−2′−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸メチルエステル[式I:R、X=実施例1と同様;R1=メチル;ラセミ型]
(a) 水素化ホウ素ナトリウムを実施例1、工程(a)に述べた方法と同様にして、但し、THF中の15%ジエチルメトキシボランを用いて処理した。
(b) (±)−(E)−[7−(3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)インドル−2′−イル]−5−ヒドロキシ−3−オキソヘプト−6−エン酸メチルエステル118.5g(0.28モル)を実施例1、工程(b)と同様にして処理するが、但し、希釈を3.5■の水単独の代りに、水1.42■及びヘプタン1.185■で行った。
(c) 有機残渣(主に環式ボロネート)に酢酸エチル2.375■を加え、混合物を30%過酸化水素264ml(2.328モル)で処理し、実施例1、工程(c)に述べた如くして処理した。残渣をイソプロパノール130mlに溶解した。混合物を還流温度に加熱した。熱時、ホウ酸14gを加え、撹拌を15分間続けた。次に混合物を濾過し、濾液を20℃乃至25℃で18時間撹拌した。固体を濾過によつて捕集し、イソプロパノール100mlで洗浄し、減圧下で乾燥し、生成物110g(収率80%)を得た。生成物をメタノールに再溶解し、そして再結晶させた(融点124〜126℃)。生成物は純度99.07%のエリスロラセミ体であり、このものを2種の光学的エナンチオマー、3R,5S及び3S,5Rに分割することができ、この中で前者が好ましい。
実施例3:(±)−エリスロ−(E)−3,5−ジヒドロ−7−[1′−(4″−フルオロフエニル)−4−(1″−メチルエチル)−2′−フエニル−1H−イミダゾル−5′−イル]−ヘプト−6−エン酸tert.−ブチルエステル[式I:R=1−(4′−フルオロフエニル)−4−(1′−メチルエチル)−2−フエニル−1H−イミダゾル−5−イル;
X=(E)−CH=CH−;R1=tert−ブチル;(3R,5S)−エナンチオマー型]
(a) 水素化ホウ素ナトリウム10.27g(0.27モル)を窒素下にて約−76℃で乾燥THF1.67■及びメタノール513mlからなる溶媒に加えた。生じた溶液に、内部温度を−77.5℃以下に保持しながら、THF中の15%ジエチルメトキシボラン387mlを30分間にわたつて加え、生じた混合物を更に5分間撹拌した。
(b) THF304ml及びメタノール76ml中の(5S)−(E)−7−[1′−(4″−フルオロフエニル)−4′−(1″−メチルエチル)−2′−フエニル−1H−イミダゾル−5′−イル]−5−ヒドロキシ−3−オキソヘプト−6−エン酸tert.−ブチルエステル110g(0.223モル)を約−74℃乃至−77℃の温度で2時間にわたり、(a)が得られた混合物に滴下し、生じた黄色溶液を−76.5℃で6時間撹拌した。次に飽和塩化ンモニウム425mlを加えて反応を止め、温度を約−65℃に保持した。酢酸エチル950ml、ヘキサン950ml及び水1.13■を加え、混合物の温度は約5℃であり、混合物を15分間撹拌し、混合物の生じた温度は約5℃であつた。上部の有機層を分離し、合計1.4■の飽和塩化ナトリウム溶液(pH値7.5)で続けて洗浄し、溶媒を最大外部温度約45℃にて20〜30mmHgで蒸留した。
(c) 得られた油(主として環式ボロネート)に酢酸エチル3.25■を加えた。次に内部温度が20℃乃至25℃に保持されるようにして、30%過酸化水素340ml(3モル)を徐々に加え、反応混合物を20℃乃至25℃で、薄層クロマトグラフイーによつてボロネートの存在が示されなくなるまで、約3時間撹拌した。上部の有機層を合計1.6■のpH値7.5の飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄した。次に上部の有機層を分離し、内部温度を25℃を保持しながら、合計1.5■の10%亜硫酸ナトリウム溶液で3回(約10分間)(有機層が過酸化物を含まなくなるまで)洗浄した。上部の有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(pH値7.5)600mlで洗浄した。溶媒を最大外部温度約45℃にて20〜30mmHgで蒸留した。粗製の物質106gが得られた。粗製のジヒドロキシエステル0.68gの粗製を、溶離剤として酢酸エチル/ヘキサン(1:2)を用いてカラムクロマトグラフイーによつて行い、490mgが得られ、このものはNMR分析により、純度98.7%でエリスロ異性体を含むことが示された(スレオ異性体は存在しなかつた);
▲[α]20D▼=+6.49゜(c=0.77、CH2Cl2)。
実施例4:(3R,5S)−エリスロ−ジヒドロキシ−6−トリチルオキシヘキサン酸tert−ブチルエステル[式I u:トリチル;Ru=t−ブチル;(−)−エナンチオマー型]
(a) 水素化ホウ素ナトリウム5.61g(148.4ミリモル)を窒素下にて約−76℃で乾燥THF990ml及びメタノール280mlからなる溶媒に加えた。温度が約−74℃に上昇した。生じた溶液にTHF中の15%ジエチルメトキシボラン129.7mlを20分間にわたつて滴下し、生じた混合物を−77℃乃至−76℃で更に10分間撹拌した。
(b) THF165ml及びメタノール41ml中の(S)−5−ヒドロキシ−6−トリチルオキシ−3−オキソ−ヘキサン酸t−ブチルエステル56g(0.122ミリモル)を約−77℃乃至−75℃の温度で40分間にわたり、(a)で生じた混合物を滴下し、生じた混合物を−77℃乃至−75℃で更に2時間撹拌した。飽和塩化アンモニイウム溶液156mlを加えて反応を止めた。次に酢酸エチル500ml、ヘプタン500ml及び水500mlを加えた。上部の有機層を分離し、合計600mlの飽和塩化ナトリウム溶液(pH値7.5)で洗浄し、有機層を最大外部温度約45℃にて20〜30mmHgデ濃縮した。
(c) 得られた有機残渣(主に環式ボロネートを含む)に酢酸エチル793mlを加えた。次に30%過酸化水素79ml(0.7モル)を徐々に加え、反応混合物を、薄層クロマトグラフイーがボロネートの存在を示さなくなるまで、約3時間撹拌した。上部の有機層を合計400mlのpH値7.5の飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。次に上部の有機層を分離し、内部温度を25℃に保持しながら、合計576mlの10%亜硫酸ナトリウム溶液で3回(各10分間)洗浄した(有機層が過酸化物を含まなくなるまで)。次に上部の有機層を合計200mlのpH値7.5の飽和塩化ナトリウム溶液で順次洗浄し、溶媒を最大外部温度約45℃にて20〜30mmHgで蒸留した。粗製のジヒドロキシ化合物(融点84〜86℃)54.3gが得られ、このものは99.19%エリスロ異性体を含んでいた;▲[α]20D▼=−5.59゜(c=1.6、CH2Cl2)。
10.2.方法Aによる式VIIの中間体の製造に対する実施例実施例5:3−(N,N−ジメチルアミノ)アクロレイン[=(E)−3−(N,N−ジメチルアミノ)プロプ−2−エナール]
[式VII:R12,R13=メチル]
[サブプロセスAa]
工程(i):撹拌機、塩水−充填した冷却器、温度計、苛性スクラツバー、添加ロート及び冷却浴を備えた容量12■の4つ朽ち丸底フラスコに、窒素雰囲気下で塩化メチレン4.0及びN,N−ジメチルホルムアミド438g(5.99モル)を入れた。この溶液を7℃に冷却し、塩化オキザリル860g(6.8モル)を2.5時間にわたり、反応混合物の温度を5℃乃至10℃に保持しながら、少量または全く溶媒及び/または試薬が冷却器に吹き払われないような速度で加えた。白色固体を生じた。
工程(ii):エチルビニルエーテル483g(6.7モル)を、最大温度25℃乃至28℃を保持しながら30〜60分間にわたつて加え、添加は極めて発熱的であつた。反応混合物を37℃乃至38℃に30分間加熱し、還流が起こった。塩化メチレンを45℃にて30〜40mmHgで蒸留によつてできるだけ回収し、蒸留が終了した後、反応混合物を45℃にて30mmHgで30分間保持し、暗褐色の撹拌可能な油を得た。
工程(iii):反応混合物を20℃に冷却し、水450mlを約30分間にわたつて加えた;発熱反応が温度を60℃に上昇させ、この温度を残りの添加中保持した。混合物を50℃乃至60℃で30分間撹拌し、そして冷却した。水3.6■中の無水炭酸カリウム1.71kgの溶液を、温度を20℃乃至22℃に保持しながら、30〜45分間にわたつて加えた。水層を塩化メチレン4■で抽出し、底の塩化メチレン層を分離し、上部の水層を塩化メチレン各1■で4回抽出した。5回の塩化メチレン層を合液し、無水硫酸ナトリウム500g上で乾燥し、濾過し、固体分を塩化メチレン各250mlで2回洗浄した。洗液及び濾液を合液し、塩化メチレンを45℃にて20〜40mmHgで蒸留によつてできるだけ回収し、濃い撹拌可能な油を得た。
工程(iv):この油を20℃に冷却し、メタノール500mlを加え、この混合物を10℃に冷却し、最高温度20℃を保持しながら無水ジメチルアミン60g(1.33モル)を加えた。溶媒を20〜30mmHg及び70℃で蒸留によつてできるだけ回収し、圧力を3〜4mmHgに降下させ、温度が120℃になるまで徐々に上昇させながら蒸留を続け、蒸気温度が115℃になり、油として純度89.7%の生成物を得た[412g;収率62%;純粋な生成物の沸点271℃〜272.8℃]。
実施例6:3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)アクロレイン[=(E)−3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)プロプ−2−エナール]
[式VII:R12=フエニル;R13=メチル]
[サブプロセスAb、方法Ab1]
工程(i):撹拌機、塩水−充填した冷却器、温度計、苛性スクラツバー、添加ロート及び冷却浴を備えた容量12■の4つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で塩化メチレン3.0及びN−メチルホルムアニリド1.02kg(7.4モル)を入れた。溶液を15℃に冷却し、塩化オキザリル1.10g(8.67モル)を1.5時間にわたり、温和な還流下にて温度を15℃乃至17℃に保持しながら、少量または全く溶媒及び/または試薬が冷却器に吹き払われないような速度で加えた。反応混合物を1時間にわたつて徐々に43℃に加温し、43℃乃至45℃で1時間還流させ、透明な黄色溶液が得られ、これを15℃に冷却した。
工程(ii):最大温度28℃乃至29℃に保持しながら、エチルビニルエーテル648g(8.99モル)を40〜60分間にわたつて加え、反応は極めて発熱的であつた。生じた褐−赤色溶液を38℃乃至39℃に30分間加熱し、還流が起こり、これを15℃に冷却した。
工程(iii):水4.5■中の無水炭酸ナトリウム960g(9.05モル)の溶液を、22℃乃至30℃の温度を保持しながら、40〜60分間にわたつて加え、添加は極めて発熱的であつた。混合物を22゜乃至25℃で15分間撹拌し、15分間放置して2相に分離させた。有機相を分離し、水相を塩化メチレン1.25■で抽出した。塩化メチレン抽出液を前の有機相を合液し、合液した溶液を水1■で抽出した。水性抽出液を塩化メチレンで250mlで逆抽出し、この塩化メチレン抽出液を前の有機相と合液した。塩化メチレンを20〜40mmHg及び60℃で蒸留によつてできるだけ回収し、残った油を20〜30mmHg及び60℃乃至65℃で4時間加熱し、油として純度83.5%の生成物が得られ[1.295g;収率90.7%;純粋な生成物の沸点244℃(分解);イソプロパノール/ホキサン1:1から再結晶した純粋な生成物の融点46〜47℃]。
実施例7:3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)アクロレイン[=(E)−3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)プロプ−2−エナール]
[式VII:R12,R13=実施例6と同様]
[サブプロスAb、方法Ab]
工程(i):撹拌機、塩水−充填した冷却器、温度計、苛性スクラツバー、添加ロート及び冷却浴を備えた容量5■の4つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下でアセトニトリル350ml及びN−メチルホルムアニリド425g(3.8モル)を入れた。この溶液を−15℃に冷却し、塩化オキザリル440g(3.46モル)を1.5時間にわたり、温和な還流下にて温度を−15℃乃至−10℃に保持しながら、少量または全ての溶媒及び/または試薬が冷却器に吹き払われないような速度で加えた。反応混合物を30分間にたつて徐々に15℃に加温し、15℃乃至18℃で15分間撹拌した。
工程(ii):n−ブチルビニルエーテル339.5g(3.39モル)を最大温度28℃乃至30℃を保持しながら、45分間にわたつて加え、反応は極めて発熱的であつた。反応混合物を30℃乃至35℃で30分間撹拌し、赤−褐色の溶液が得られ、この溶液を0℃に冷却した。
工程(iii):水1.75■中の無水炭酸ナトリウム395g(3.73モル)の溶液を、温度8℃乃至10℃に保持しながら、40〜60分間にわたつて加え、添加は極めて発熱的であつた。トルエン1.75■を加え、混合物を20℃乃至22℃で15分間撹拌し、15分間放置して2相に分離させた。有機相を分離し、水各150mlで2回洗浄した。トルエンを20〜80mmHg及び60℃乃至90℃で蒸留によつてできるだけ回収し、残った油を20〜30mmHgで89℃乃至90℃に30分間加熱し、油として純度86.6%の生成物が得られた[492g;収率85.7%;純粋な生成物の沸点244℃(分解);イソプロパノール/ヘキサン1:1から再結晶させた純粋な生成物の融点46〜47℃]。
反応混合物を30℃乃至35℃の代りに、28℃乃至30℃で撹拌した場合、純度92.3%の生成物が収率90.7%で得られた。
実施例7a:3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)アクロレイン[=(E)−3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)プロプ−2−エナール]
[式VII:R12,R13=実施例6と同様]
[サブプロセスAb、方法Ab2、ニート試薬]
工程(i):実施例7、工程(i)の如く備えた容量2.5■の4つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下でN−メチルホルムアニリド223.2ml(1.81モル)を入れた。溶液を15℃に冷却し、塩化オキザリル177.6ml(2.07モル)を、同一温度を保持しながら、20分間にわたつて加えた。自然のガス発生が起こり、橙色の均等溶液が生じた。
工程(ii):n−ブチルビニルエーテル278.4ml(2.16モル)を、内部温度を25℃乃至30℃に保持しながら、45分間にわたつて加え、反応は発熱的であつた。有機懸濁液を40℃乃至45℃で30分間撹拌し、そして0℃に冷却した。
工程(iii):工程(ii)の生成物に温度が5℃を越えないようにして、4N NaOH溶液を約90分間にわたつて徐々に加えた。混合物を室温まで加温し、更に60分間撹拌した。有機層を容量3■のロートに移し、水相をn−ブタノール100mlで抽出した。合液した有機層を塩水200mlで2回洗浄し、溶媒を80℃/15Torrで2時間にわたつて留去し、濃い褐−黒色の油を得た[295g;収率92%;化学的純度>98%;純粋な生成物の沸点244℃(分解);イソプロパノール/ヘキサン1:1から再結晶した純粋な生成物の融点46〜47℃]。
実施例8:3(N−メチル−N−フエニルアミノ)アクロレイン[=(E)−3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)プロプ−2−エナール]
[式VII:R12,R13=実施例6と同様]
「サブプセスAb、方法Ab3]
工程(i)及び(ii):撹拌機、塩水−充填した冷却器、温度計、苛性フクラツバー、添加ロート及び冷却浴を備えた容量12■の4つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下にて塩化オキザリル1.056kg(8.15モル)及びアセトニトリル480mlを入れた。この溶液を−10℃に冷却し、N−メチルホルムアニリド1.02g(7.395モル)、n−ブチルビニルエーテル816g(7.98モル)及びアセトニトリル360mlの混合物を2.5時間にわたり、温和な還流下にて温度を−10℃乃至−5℃に保持しながら、少量または全ての溶媒及び/または試薬が塩水−充填した冷却器(−25℃乃至−20℃に保持した)の底に吹き払われないような速度で加えた。生じた均等の橙色反応混合物を30分間にわたつて20℃の温度に徐々に加温した;やさ発熱的で、30分間にわたつて温度が28℃に上昇した。反応混合物を28℃乃至30℃で1時間撹拌し、褐色の均等混合物が得られ、このものを0℃に冷却した。
工程(iii):水4.20■中の無水炭酸ナトリウム948g(8.94モル)の溶液を、8℃乃至10℃の温度を保持しながら、45〜60分間にわたつて加え、添加は最初に極めて発熱的であつた。トルエン3.60■を加え、混合物を20℃乃至22℃で15分間撹拌し、15分間放置して2相に分離させた。有機相を分離し、水各360mlで2回洗浄した。トルエンを20〜80mmHg及び60℃乃至90℃で蒸留によつてできるだけ回収し、残った油を20〜300mmHgで89℃乃至90℃に30分間加熱し、油として純度89.1%の生成物が得られた[1.16kg;収率86.6%;純粋な生成物の沸点244℃(分解);イソプロパノール/ヘキサンから再結晶した純粋な生成物の融点46〜47℃]。
10.3.方法Bによる式V aの中間体の製造に対する実施例実施例9:(E)−3−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)−1H−インドル−2′−イル]プロプ−2−エナール[式V a:R5,R6=H;R7=1−メチルエチル;R8=4−フルオロフエニル]
(i) 撹拌機、冷却器、温度計、添加ロート及び冷却浴を備えた容量5■の4つ口丸底フラスコに、乾燥窒素雰囲気下にて、乾燥アセトニトリル100ml及びオキシ塩化リン174.4g(1.14モル)を入れ、混合物を−5℃に冷却し、乾燥アセトニトリル156ml中の純度83.5%の3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)アクロレイン(実施例6〜8の生成物)184g(0.96モル)を、温度−5℃乃至+5℃に保持しながら、45分間にわたつた加えた。反応混合物を0℃乃至5℃で10分間撹拌した。
(ii) 1−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−イントール(式XVIIの化合物)115.2g(0.45モル)を、温度を焼く5℃に保持しながら、20分間にわたつて加えた。反応混合物を83℃で9時間還流させ、そして10分間に冷却した。
(iii) 水2.0■中の水酸化ナトリウム228g(5.7モル)の溶液を、温度を25℃乃至30℃に保持しながら、30分間にわたつて徐々に加え、添加は極めて発熱的であつた。トルエン1.6■を加え、混合物を25℃で30分間撹拌し、フイルターパツドを通して濾過した。フイルターケーキをトルエン100mlで洗浄し、洗液を前の濾液と合液した。有機層を分離し、濃塩基93.4g及び水2■の混合物、次に飽和塩化ナトリウム溶液400mlを加えた。混合物を25℃で30分間撹拌し、生じたスラリをフイルターパツドを通して濾過した。このタールをトルエン100mlで洗浄し、洗液を濾液を合液した。有機層を分離し、脱イオン水2■で2回洗浄し、フイルターパツドを通して濾過した。トルエンを30〜50mmHg及び内部温度60゜乃至65℃で蒸留によつてできるだけ回収し、濃い撹拌可能な油が得られた。95%エタノール100mlを加え、エタノールを30〜80mmHg及び60℃乃至65℃で蒸留によつてできるだけ回収し、この操作を2回くり返し行った。95%エタノール180mlを加え、混合物を78℃で15分間還流させ、2時間にわたつて20℃に徐々に冷却し、約55℃で結晶化が開始した。このスラリを30分間にわたつて0℃乃至5℃に徐々に冷却し、0℃乃至2℃に1時間保持し、そして濾過した。フイルターケーキを冷(0℃乃至5℃)95%エタノール各50mlで3回洗浄し、60℃乃至65℃で16時間真空乾燥して一定重量にし、純度98.7%の生成物を得た(101g;収率71.3%;融点127℃〜128℃)。
別法として、95%エタノールの代りにイソプロパノールを用いた。
実施例10:(E)−3−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)−1H−インドル−2′−イル]プロプ−2−エナール[式V a:R5,R6,R7,R8=実施例9と同様]
[方法B、変法]
i) 撹拌機冷却器、温度計、添加ロート及び冷却浴を備えた容量5■の4つ丸底フラスコに、乾燥窒素雰囲気下にて、乾燥アセトニトリル263ml及びオキシ塩化リン454g(2.96モル)を入れ、混合物を−5℃に冷却し、乾燥アセトニトリル406ml中の純度85.5%の3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)アクロレイン471.6g(2.49モル)の溶液を、温度5℃乃至7℃を保持しながら、45分間にわたつて加えた。反応混合物を5℃乃至7℃で10分間撹拌した。
ii) 3−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドール(式XVIIの化合物)300g(1.18モル)を、約7℃の温度に保持しながら、10分間にわたつて加えた。反応混合物を83℃で3時間還流させ、そして22℃に冷却した。
iii) 水2.7■を、22℃乃至35℃の温度を保持しながら、15分間にわたつて加え、添加は発熱的であつた。反応混合物を35℃乃至50℃で30分間撹拌し、50℃乃至55℃に1.5時間加熱し(完全な加水分解のために長期間の加熱を必要とする)、22℃に冷却し、22℃に15分間保持し、そして濾過した。フイルターケーキを水各600mlで3回洗浄し、アスピレーターによる減圧下で6〜16時間吸引乾燥した(N−メチルアニリンを合液した水層及び洗液から回収することができた)。湿ったフイルターケーキを最初の5■フラスコに移し、トルエン2.5■及び20μ粉末セルロース180gを加え、混合物を50℃乃至55℃に1.5時間加熱し、22℃に冷却し、22℃に15分間保持し、随時ロ布で覆われた70〜230メツシユA.S.T.M.シリカゲル91gのパツドを通して濾過した。セルロース及びシリカゲルのパツドをトルエン各200mlで洗浄した。トルエン濾液及び洗液を合液し、トルエンを30〜50mmHg及び50℃乃至65℃(外部温度)で蒸留によつてできるだけ回収した。残った濃い油に95%エタノール280mlを加え、エタノールを20〜30mmHg及び60℃乃至65℃で蒸留し、95%エタノール280mlを加え、エタノールを30〜80mmHg及び60℃乃至65℃で可能な限り蒸留した。95%エタノール700mmHgを加え、混合物を78℃で15分間還流させ、1時間にわたつて徐々に20℃に冷却し、約55℃で結晶化を開始した。生じたスラリを30分間にわつて0℃乃至5℃に冷却し、0℃乃至2℃に30分間保持し、固体を濾過によつて捕集し、冷(0℃乃至5℃)95%エタノール各120mで3回洗浄し、一定重量になるまで、60℃乃至65℃で16時間真空乾燥し、純度99.4%の生成物を得た(276.6g;収率75.5%;融点129℃〜130℃)。
変法として、95%エタノールの代りに、イソプロパノールを用いた。
シリカゲルのパツドを省略すること、即ち、粉末セルロースを含む液体を簡単な濾過に付し、これによる残渣をトルエン各200mlで3回洗浄することが好ましい。
実施例10a:(E)−3−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)−1H−インドル−2′−イル]プロプ−2−エナール[式V a:R5,R6,R7,R8=実施例9と同様]
[方法B、変法]
(i) 実施例10、工程(i)に述べた如く装備した容量1.5■のフラスコに、乾燥窒素雰囲気下にて室温で乾燥アセトニトリル170ml及び3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)アクロレイン塩酸塩105.3gを入れた。この混合物に5分間にわたつてオキシ塩化リン96.6gを加えた。暗色の溶液が得られた。
ii) 3−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドール(式XVIIの化合物)90gを約30℃で加えた。混合物を4.5時間75℃乃至83℃に過熱して還流させ、次に22℃に冷却した。
iii) 水250mlを5℃で加え、次に室温で15分間にわたつて水500mlを加えた。混合物を35℃乃至50℃で30分間撹拌し、次に50℃乃至50℃に1.5時間加熱した。暗色のスラリが得られた。この混合物を30℃に冷却し、30℃に15分間保持し、褐色のスラリを濾過した。フイルターケーキを合計540mlの水で3回洗浄した。フイルターケーキを真空下で約4時間吸引乾燥した。固体を最初の1.5■フラスコに移し、トルエン750ml及び20μ粉末セルロース54gを加え、続いての処理を実施例10、工程(iii)に述べた如くして行い、生成物を得た(89g;収率81%;融点123〜129℃)。
10.4.特定の具体例に対する実施例実施例11:(±)−エリスロ−(E)−3,5−ジヒドロ−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)インドル−2′−イル]ヘプト−6−エン酸ナトリウム塩[式I a:ラセミ型;ナトリウム塩型]
工程(a)、(b)及び(c):方法A、サブプロセスAbに従つて、N−メチルホルムアニリドを塩化オキザリル及びエチルまたはn−ブチルビニルエーテルと反応させ、実施例6、7、7aまたは8[工程(i)、(ii)及び(iii)]に述べた如くして3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)アクロレインを製造した。
工程(d):上記の生成物、3−(N−メチル−N−フエニルアミノ)アクロレインを、実施例9、10または10a、工程(i)に述べた如く、オキシ塩化リンと反応させ、X aがクロロであり、R12bがフエニルであり、そしてR13がメチルである式XVIの化合物を製造した。
工程(e):上記式XVIの化合物を、実施例9、10または10a、工程(ii)に述べた如く、3(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドールと反応させ、X aがクロロであり、R12bがフエニルであり、そしてR13がメチメである式XVIII aの化合物を製造した。
工程(f):上記式XVIII aの化合物を、実施例9、10または10a、工程(iii)に述べた如くして加水分解し、(E)−3−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドル−2−プロプ−2−エナールを製造した。
工程(g):窒素雰囲気下にて、反応器にテトラヒドロフラン0.5■を入れ、溶液を−10℃に冷却し、水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散体)60gを注意して加えた。次に温度を2℃以下に保持しながら、THF250ml中のアセト酢酸t−ブチル237.3gを45分間にわたつて注意して加えた。生じた溶液を−10℃乃至20℃で1時間撹拌した。混合物を−10℃に冷却し、ヘキサン中のn−ブチルリチウムの1.6M溶液を938mlを、温度が0℃を越えないような速度で加えた(約60分間にわたつた)。混合物をこの温度で10分間撹拌し、次に−10℃に冷却し、THF650ml中の上記の工程(f)の生成物230gの溶液を、温度が0℃を越えないような速度で加えた(約70分間にわたつた)。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、濃塩酸248ml及び氷2.5kgの混合物中にはげしく撹拌しながら5〜10分間にわたつて注いだ。混合物を更に15分間はげしく撹拌し、有機相を分離し、飽和NaCl溶液各500mlで2回洗浄し、減圧下(約25mmHg)で濃縮した。残渣にトルエン200mlを加え、この溶液を再濃縮した。得らたれ粗製の(±)−(E)−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)インドル−2′−イル]−5−ヒドロキシ−3−オキソヘプト−6−エン酸t−ブチルエステル(R1がt−ブチルである式II aの化合物、ラセミ型)(503.6g;純度70.04%)を更に精製させずに次の工程に用いた。
工程(h):上記の粗製の生成物を実施例1、工程(a)、(b)及び(c)に述べた如して立体選択的に還元し、(±)−エリスロ−(E)−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)インドル−2′−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6−エン酸t−ブリルエステルを製造した。
工程(i):THF275ml中の上記(h)で得られたエステル42.5gに、温度を10℃に保持しながら、1N水酸化ナトリウム90mlを5分間にわたつて加えた。この溶液を室温で1時間撹拌し、メタノール275mlを加え、混合物を25mmHg及び45℃で濃縮し、次に脱イオン水300mlを加え、蒸留を残りの容量140mlになるまで続け、次に脱イオン水380mlを再び加え、溶液を合計640mlのn−ブチルメチルエーテルで3回に分けて洗浄した。水層を25mmHg及び45℃で約300mlの容量に濃縮し、脱イオン水220mlを加え、透明な水溶液を3日間凍結乾燥した。表題の化合物が得られた(35.9g;収率91%;化学的純度98.9%;純粋なエリスロ異性体99.9%;ホウ素濃度は検出限界以下)。
工程(i)に対する別法:エタノール175ml中の上記工程(h)で得られたエgに、温度を12℃以下に保持しながら、1N水酸化ナトリウム溶液74mlを5分間にわたり撹拌しながら加えた。この溶液を1時間撹拌し、混合物を25mmHg及び45℃で濃縮し、次に脱イオン水250mlを加え、蒸留を残りの容量が115mlになるまで続け、次に脱イオン水315mlを加え、この溶液を合計525mlのt−ブチルメチルエーテルで3回に分けて洗浄した。水層を25mmHg及び45℃で約245mlの容量に濃縮し、脱イオン水185mlを加え、透明な水溶液を3日間凍結乾燥した。表題の化合物が得られた(29.75g;純白色;収率91%;融点204〜207℃(分解);化学的純度100%;純粋なエリスロ異性体99.61%;ホウ素濃度3.96ppm)。
実施例12:(±)−エリスロ−(E)−3,5−ジヒドロキシ−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″メチルエチル)インドル−2′−イル]ヘプト−6−エン酸ナトリウム塩[式I a:ラセミ型;ナトリウム塩型]
表題の化合物が、次のことを除いて、実施例11と同様の方法で得られた:−工程(g)において、アセト酢酸t−ブチルの代りにアセト酢酸メチルのジアニオンとの反応により、メチルエステルを製造し;
−工程(h)を実施例2、工程(a)、(b)及び(c)に述べた如くして行い;
−工程(i)を、米国特許第4739073号、コラム50における実施例6(b)に記載された如く、工程(h)で得られたメチルエステルを加水分解することによつて行った。
本発明の特徴及び代表的な態様は次のとおりである。
1.式I

式中、Xは−CH2CH2−または−CH=CH−であり;
R1は反応条件に不活性なエステル基であり;そしてRは還元条件下で不活性である基を有する有機基である、の化合物を製造するにあたり、第一工程[工程(a)]に従つて、式III R4O−B−(R3 (III)
式中、R4はアリルまたは炭素原子1〜4個を有する低級アルキルであり、そしてR3は炭素原子2〜4個を有する第一または第二アルキルである、の化合物をアルコール及びテトラヒドロフランを含有してなる反応媒質中の水素化ホウ素ナトリウムNaBH4と混合し、第二工程[工程(b)]において、式II

式中、R、R1及びXは上に定義したとおりであり、そしてZ1及びZ2の1つは酸素であり他はヒドロキシ及び水素である、のラセミまたは光学的に純粋な化合物を適当な条件下にて、工程(a)で得られる混合物で処理し、式IV(a)


の環式ボロネート化合物及び/または式IV(b)


式中、R、R1、R3及びXは上に定義したとおりである、のホウ素錯体を含む混合物を生成させ、そして第三工程[工程(c)]において、工程(b)で得られる生成物を開裂させて対応する式Iの化合物を得ることを特徴とする該式IIのラセミまたは光学的に純粋な化合物の立体選択的還元による上記式Iの化合物の製造方法。
2.式II u

式中、uはトリフエニルメチル(トリチル)であり、そしてRuはアリルまたは反応条件下で不活性なエステルを生成する基、好ましくはアリルまたはC1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルもしくはベンジル、特にベンジルであり、そしてZ1及びZ2は前記1に定義したとおりである、のラセミ体または光学的に純粋な化合物を立体選択的に還元することによる式I u

式中、u及びRuは上に定義したとおりである、の化合物を製造する前記1に記載の方法。
3.ラセミまたは光学的に純粋な型;遊離酸、塩、エステルまたはδ−ラクトン、即ち、分子内エステル型における式I a

の化合物を製造する前記1に記載の方法。
4.エリスロ対スレオ異性体の比が99.1:0.9またはそれ以上であるような光学的に純粋な状態である前記1に定義した如き式Iの化合物。
5.式VII (E)−OHC−CH=CH−N(R12)R13 (VII)
式中、R12はC1〜3アルキル、フエニルまたは1〜3個の置換基で置換されたフエニルであり、該置換基の各々は独立に、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはニトロであり、ここで該ニトロは2個のニトロ基が最大であり;そしてR13は独立にR12に対して上に示した意味を有する、の中間体を製造するにあたり、(i) 式(VIII)
OHC−N(R12)R13 (VIII)
式中、R12及びR13は上に定義したとおりである、の化合物を、随時不活性な無水有機媒質中で式IX Xa−CO−CO−X a (IX)
式中、X aは1価の離脱性基である、の化合物と反応させて対応する式X X a−CH=N+(R12)R13 X a-1 (X)
式中、X a、R12及びR13は上に定義したとおりである、の化合物を生成させ、(ii) 式Xの化合物を随時不活性な無水有機媒質中で式(XI)
R14O−CH=CH2 (XI)
式中、R14はこれが結合している酸素原子を不活性化しない1価の基である、の化合物と反応させて対応する式XII (E)−R14O−CH=CH−CH=N+(R12)R13 X a- (XII)
式中、R12、R13、R14及びX aは上に定義したとおりである、の化合物を生成させ、(iii) 遊離塩基または酸付加塩型における式VIIに対応する化合物を得るために、式XIIの化合物を加水分解し、そして酸付加塩型の場合、酸付加塩を塩基で中和することを特徴とする上記式VIIの中間体の製造方法。
6.工程(iii)を省略し、そして更なる処理をするために、式XIIの化合物を式VIIの化合物の代りに直接用いる前記5に記載の方法。
7.工程(i)及び(ii)を同時に行う前記5に記載の方法。
8.R12及びR13が独立にC1〜3アルキルである前記5に記載の方法。
9.R12及びR13の少なくとも1つがC1〜3アルキル以外のものである前記5に記載の方法。
10.工程(i)及び/または(ii)において、試剤をニートで用いる前記5に記載の方法。
11.式XIIの化合物が酸付加塩型である前記5に記載の方法。
12.式VIIの粗製の化合物を工程(iv)、即ち、(iv) 式VII a (E)−OHC−CH=CH−N(R12a)R13 (VII a)
式中、R12a及びR1〜3アルキルであり、そしてR13は請求の範囲5に定義したとおりである、の化合物を含む粗製の混合物を対応する式XIV H−N(R12a)R13 (XIV)
式中、R12aは上に定義したとおりである、そしてR13は前記5に定義したとおりである、の化合物で処理し、その中に存在する式XIIIの化合物を式VII aの追加の化合物に変える工程に付す前記8に記載の方法。
13.式V a

式中、R5は水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C3〜6シクロアルキル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R6は水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルであり;
条件として、R5及びR6の1つ以下はトリフルオロメチルであり、R5及びR6の1つ以下がフエノキシであり、そしてR5及びR6の1つ以下がベンジルオキシであり;
R7及びR8の1つはR9、R10及びR11で置換されたフエニルであり、そして他は不斉炭素原子を含まぬ第一または第二C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキルまたはフエニル−(CH2)m−であり、ここで、R9は水素、C1〜3アルキル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、C1〜3アルコキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R10は水素、C1〜3アルキル、C1〜3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フエノキシまたはベンジルオキシであり;
R11は水素、C1〜2アルキル、C1〜2アルコキシ、フルオロまたはクロロであり、そしてmは1、2または3であり;
条件として、R9及びR10の1つ以下がトリフルオロメチルであり、R9及びR10の1つ以下がフエノキシであり、そしてR9及びR10の1つ以下がベンジルオキシである、の中間体を製造するにあたり、(i) 式VII c (E)−OHC−CH=CH−N(R12b)R13 (VII c)
式中、R12bは、C1〜3アルキルを除いて、R12に対して請求の範囲5に示した意味を有し、そしてR13は前記5に定義したとおりである、の化合物を式XV PO(Xb (XV)
式中、Xbはクロロまたはブロモである、の化合物或いは塩化または臭化オキザリル;ホスゲンまたは臭化カルボニル;三塩化または三臭化リン;五塩化または五臭化リン;及び塩化または臭化アルキル−またはアリールスルホニル、例えば塩化もしくは臭化p−トルエンスルホニルまたは塩化もしくは臭化メタンルスホニルから選んだ化合物と反応させて式XVI (E)−Xb−CH=CH−CH=N+(R12b)R13 (XVI)
の対応する化合物及び対応するアニオン、例えば−PO2(Xb、但し、Xb及びR12bは上に定義したとおりである、そしてR13は前記5に定義したとおりである、を生成させ、(ii) 式XVIの化合物を式XVII

式中、R5、R6、R7及びR8は上に定義したとおりである、の化合物と反応させて式XVIII

の対応する化合物及び対応するアニオン、例えば−PO2(Xb、但し、R5、R6、R7、R8、R12b及びXbは上に定義したとおりであり、そしてR13は前記5に定義したとおりである、を生成させ、そして(iii)式XVIIIの化合物を加水分解して対応する式V aの化合物を得ることを特徴とする上記式V aの中間体の製造方法。
14.式XVIIの化合物が3−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドールである前記13に記載の方法。
15.方法Aに従い、a)式VIII a OHC−N(R12b)R13 (VIII a)
式中、R12bは前記13に定義したとおりであり、そしてR13は前記5に定義したとおりである、の化合物を随時不活性な無水有機媒質中で式IXの化合物と反応させて対応する式X c X a−CH=N+(R12b)R13 X a- (X c)
式中、X a及びR13は前記5に定義したとおりであり、そしてR12bは前記13に定義したとおりである、の化合物を生成させ;
b)式X cの化合物を、随時不活性な有機媒質中で式XIの化合物と反応させて対応する式XII c (E)−R14O−CH=CH−CH=N+(R12b)R13 X a- (XII c)
式中、R12bは前記13に定義したとおりであり、そしてR13、R14及びXaは前記5に定義したとおりである、の化合物を生成させ;
c)式XII cの化合物を加水分解し、遊離塩基または酸付加塩型における対応する式VII cの化合物を生成させ、そして酸付加塩型における場合、酸付加塩を塩基によつて中性にし;
−方法Bに従い:d)式VII cの化合物を式XVの化合物或いは塩化または臭化オキザリル;ホスゲンまたは臭化カルボニル;三塩化または三臭化リン;五塩化または五臭化リン;及び塩化または臭化アルキル−もしくはアリールスルホニル、例えば塩化または臭化p−トルエンスルホニル或いは塩化または臭化メタンスルホニルから選ばれる化合物と反応させて対応する式XVIの化合物及び対応するアニオン、例えば−PO2(Xbを生成させ;
e)式XVIの化合物を3−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドール(R5及びR6が水素であり、R7が1−メチルエチルであり、そしてR8がp−フルオロフエニルである式XVIIの化合物と反応させて対応する式XVIII a

の化合物及び対応するアニオン、例えば−PO2(Xb、但し、R12bは前記13に定義したとおりであり、そしてR13及びXaは請求の範囲5に定義したとおりである、を生成させ;
f)式XVIII aの化合物を加水分解して(R)−3−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)−1H−インドール−2′−イネル]−プロプ−2−エナール(R5及びR6が水素であり、R7が1−メチルエチルであり、そしてR8がp−フルオロフエニルである式V aの化合物)を生成させ;
g)式V aの化合物を式CH3COCH2COOR1、但し、R1は前記1に定義したとおりである、のアセト酢酸エステルのジアニオンと反応させてラセミまたは光学的に純粋な型における対応する式II a

式中、R1は前記1に定義したとおりである、の化合物を生成させ;
−立体選択的還元法に従い:h)第一工程において、前記1に定義した如き式IIIの化合物をアルコール及びテトラヒドロフランを含有してなる反応媒質中で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)と混合し;
第二工程において、ラセミまたは光学的に純粋な型における式II aの化合物を適当な条件下にて上記の混合物で処理して式IV(a)の環式ボロネート化合物及び/または式IV(b)のホウ素錯体、但し、Rは[3−(4′−フルオロフエニル)−1−(1′−メチルエチル)−1H−インドル]−2−イルであり、Xは−CH=CH−であり、R1及びR3は前記1に定義したとおりである、を含む混合物を生成させ;
第三工程において、第二工程で得られる生成物を開裂させてラセミまたは光学的に純粋な型における式I aの化合物を得るために、式IIのラセミまたは光学的に純粋な化合物を立体選択的に還元し;そしてi)必要に応じて、エステル型における式I aの化合物を普通の方法によつて遊離酸型、塩型、更に、エステル型またはδ−ラクトン、即ち、分子内エステル型に転化する、ことからなることを特徴とするラセミまたは光学的に純粋な型;遊離酸、塩、エステルまたはδ−ラクトン、即ち、分子内エステル型における式I a

のエリスロ−(E)−3,5−ジヒドロキシ−7−[3′−(4″−フルオロフエニル)−1′−(1″−メチルエチル)インドル−2′−イル]ヘプト−6−エン酸を製造するための前記1、5及び13に記載の方法。
16.式I aの化合物をラセミ型で得る前記15に記載の方法。
17.式I aの化合物を(3R,5S)エナンチオマー型で得る前記15に記載の方法。
18.式I aの化合物をナトリウム塩型で得る前記15に記載の方法。
19.R12bがフエニルであり、そしてR13がメチルである前記15に記載の方法。
20.R1がt−ブチルである前記15に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】式I

式中、Xは−CH2CH2−または−CH=CH−であり;
R1は反応条件に不活性なエステル基であり;そしてRは還元条件下で不活性である基を有する有機基である、但し、Rがトリフエニルメチルである場合には、R1はさらにアリル基を含み、そしてXは−OCH2−である、の化合物を製造するにあたり、第一工程[工程(a)]に従つて、式IIIR4O−B−(R3 (III)
式中、R4はアリルまたは炭素原子1〜4個を有する低級アルキルであり、そしてR3は炭素原子2〜4個を有する第一または第二アルキルである、の化合物をアルコール及びテトラヒドロフランを含有してなる反応媒質中の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)と混合し、第二工程[工程(b)]において、式II

式中、R、R1及びXは上に定義したとおりであり、そしてZ1及びZ2の1つは酸素であり他はヒドロキシ及び水素である、のラセミまたは光学的に純粋な化合物を適当な条件下にて、工程(a)で得られる混合物で処理し、式IV(a)


の環式ボロネート化合物及び/または式IV(b)


式中、R、R1、R3及びXは上に定義したとおりである、のホウ素錯体を含む混合物を生成させ、そして第三工程[工程(c)]において、工程(b)で得られる生成物を開裂させて対応する式Iの化合物を得て、必要により、式(I)の得られた化合物を常法により遊離酸もしくは塩に転化するか、あるいはさらにエステルもしくはδ−ラクトンに転化する、ことを特徴とする該式IIのラセミまたは光学的に純粋な化合物の立体選択的還元による上記式Iの化合物の製造方法。
【請求項2】式II u

式中、uはトリフエニルメチルであり、そしてRuはアリルまたは反応条件下で不活性なエステルを生成する基であり、そしてZ1及びZ2は請求項1に定義したとおりである、のラセミ体または光学的に純粋な化合物を立体選択的に還元することによる式I u

式中、u及びRuは上に定義したとおりである、の化合物を製造するための請求項1に記載の方法。
【請求項3】必要により、別の形態で得られた式(I a)の化合物を、常法により遊離酸、塩、エステルまたはδ−ラクトン、即ち、分子内エステル型に転化することを含む、ラセミまたは光学的に純粋な型;遊離酸、塩、エステルまたはδ−ラクトン、即ち、分子内エステル型にある式I a

の化合物を製造するための請求項1に記載の方法。
【請求項4】式I aの化合物をナトリウム塩型で得る請求項3に記載の方法。
【請求項5】R1がt−ブチルである請求項3に記載の方法。
【請求項6】エリスロ対スレオ異性体の比が99.5対0.5またはそれ以上であるような状態にある請求項3に記載されている式I aの化合物。

【特許番号】第2853227号
【登録日】平成10年(1998)11月20日
【発行日】平成11年(1999)2月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−510605
【出願日】平成1年(1989)10月11日
【公表番号】特表平3−501735
【公表日】平成3年(1991)4月18日
【国際出願番号】PCT/EP89/01201
【国際公開番号】WO90/03962
【国際公開日】平成2年(1990)4月19日
【審査請求日】平成8年(1996)10月11日
【出願人】(999999999)ノバルテイス・アクチエンゲゼルシヤフト
【参考文献】
【文献】特開 昭63−22056(JP,A)
【文献】Chem.Lett.(1987),p.1923−1926