説明

ATSCデジタルテレビ信号デコードのための受信器およびパケット整形器

先進テレビシステム委員会(ATSC)標準と互換な標準ストリームと堅牢ストリームとを有するデュアルビットストリーム信号を受信することのできるテレビ受信器において使用するパケット整形器。該パケット整形器は、(1)前記デュアルビットストリーム信号を受信し、堅牢ストリームと関連付けられたヘッダビットおよびパリティビットをそこから除去してそれにより第一の出力信号を生成することができる第一の処理ブロック、ならびに、(2)前記第一の出力信号を受信し、そこから前記堅牢ストリームに関連付けられた重複ビットを除去してそれにより当該パケット整形器のデータ路出力から出力される第二の出力信号を生成することができる第二の処理ブロック、とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にはテレビ受信器に、詳細にはデュアルビットストリームATSCデジタルテレビ(DTV)信号をデコードするための受信器アーキテクチャおよびパケット整形器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先進テレビシステム委員会(ATSC: Advanced Television Systems Committee)は8残留側波帯(8-VSB: 8 Vestigial Sideband)をデジタルテレビ(DTV: Digital Television)信号の地上波放送のための標準として採用した。システムのパフォーマンスを改善し、複数ビットストリーム伝送に関する柔軟性についての放送事業者の要求を満たすため、フィリップス・リサーチUSAは既存の標準ビットストリーム中に堅牢なビットストリームを上位互換な仕方で埋め込む送信システムを提案している。そのシステムは「堅牢なATSC 8−VSBビットストリームを生成するための装置および方法」と題する米国特許出願第[整理番号703910]号および「8−VSB標準データパケットストリームにおけるパケットベースの低レートデータ送信のシステムおよび方法」と題する米国特許出願第09/781,486号において開示されている。出願第[整理番号703910]号および第09/781,486号における開示はここに参照によってあたかもここにそっくり記載されているがごとく本出願に組み込まれる。新送信システムはデータレートと堅牢性を勘案する能力、上位互換のパリティバイト発生器を含めるオプション、異なる変調方式から選択するオプションなどを有している。
【0003】
図1は、従来技術の代表例としての実施形態に基づく、従来式の8レベル残留側波帯(8−VSB)受信器100を示すブロック図である。従来式の8−VSB受信器100は、アンテナ105、チューナー110、フィルタおよび同期検出器ブロック115、NTSC阻止フィルタ120、等化器125、位相追跡器130および同期およびタイミングブロック135を有している。受信器100はまた、前方誤り訂正(forward error correction)部140を有する。FEC部140はトレリスデコーダ150、データインターリーブ解除器155、リード・ソロモン(RS)デコーダ160およびデータランダム化解除器165を有している。さまざまなメーカーからの受信器はこの基本的な構成とは、特に搬送波復元部(すなわち、チューナー110)、タイミング復元部(すなわち、同期およびタイミングブロック135)および等化器部において異なるが、受信器100の前方誤り訂正(FEC)はたいていの受信器において典型的に見られる。
【0004】
チューナー110は入来RF信号をアンテナ105から受信する。チューナー110は受信したRF信号を中間周波数(IF: intermediate frequency)信号にダウンコンバートする。フィルタおよび同期検出器ブロック115はIF信号をフィルタ処理して、該IF信号をデジタル形式に変換する。フィルタおよび同期検出器ブロック115の出力では、検出された信号はデータシンボルのストリームをなす。ここで、各シンボルが8レベルシンボル配位図(constellation)中のあるレベルを表す。同期およびタイミングブロック135はこのシンボルストリームから同期およびタイミング信号を生成する。NTSC阻止フィルタ120はこのシンボルストリームをフィルタ処理する。NTSC阻止フィルタ120からのフィルタ処理された出力は等化器125で等化を、位相追跡器130で位相追跡を受ける。トレリスデコーダ150は位相追跡器130からの復元されたエンコードされたデータシンボルをデコードし、データインターリーブ解除器155がデコードされたデータバイトをインターリーブ解除する。RSデコーダ160はインターリーブ解除されたデータバイトをデコードする。最後に、RSデコーダ160の出力がランダム化解除器165によってランダム化解除され、従来式8−VSB受信器100に向けて元来送信されたMPEG互換のデータパケットを生成する。
【0005】
トレリスデコーダ150は、12個のトレリスデコーダブロックを並列して有しており、各トレリスデコーダは12番目ごとのデータシンボルを見ることになる。12個のトレリスデコーダブロックは位相追跡器130からシンボルを受信し、該データシンボルをデコードして先に符号化された畳み込みエンコードされたビットを取り戻す。デコードされたビットは次にバイトごとにグループ化され、データインターリーブ解除器155に渡される。データインターリーブ解除器155は、送信器の畳み込みインターリーブ器の逆の処理を実行する畳み込みインターリーブ解除回路を有する。畳み込みデータインターリーブ解除器155の出力は、(207バイト、187バイト)t=10 RSデコーダ160に送られる。RSデコーダ160はパケットあたり最大10バイトの誤りを訂正することができる。RSデコーダ160は次に訂正されたデータパケットを(パリティバイトを除いて)データランダム化解除器165に渡す。ランダム化解除器165は送信器におけるデータランダム化器によって実行される処理の逆を行い、それによりトランスポートストリームパケットを復元する。ランダム化解除器165はフィールド同期信号と同期される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィリップス・リサーチUSAによって提案された新しい柔軟な送信システムは二つのビットストリームを同一の物理チャネルにおいて同時に送信することができる。この新送信器は、放送事業者によって修正することができるMODE、TR、NRP、NRSなどといったいくつかの信号パラメータを含む。MODEは新しいストリームに使われる変調の種類を定義し、TRは使用される追加的な符号化レートを定義し、NRPはフィールドあたりの新ストリームパケットの数を定義し、NRSは上位互換のパリティバイト発生器(BCPBG: backward-compatible parity byte generator)の存在を定義する。新ATSC送信器によって送信される信号をデコードするよう設計されたいかなる受信器も、異なるビットストリームのシンボルおよびバイトを識別し、追跡する機構を有する必要がある。そのような受信器はまた、実装の制約条件内で最適に二つのビットストリームをデコードすることができることが望ましい。これらの要求は、図1における受信器100の従来式構成が新しい制御および信号処理ブロックを含むよう修正しなければならないということを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の新デュアルビットストリーム送信器の要求を満たすため、本発明は新しいATSC受信器を導入する。それは新しいパケット整形器、新しい堅牢データインターリーブ解除器および新しいデータランダム化解除器を含む。本発明の原理に基づく受信器はソフトウェアと同様にハードウェアにおいても実装しうる(すなわち、デジタル信号プロセッサの実施形態)。デュアルストリームVSB受信器は、新ATSC送信器によって送信される標準的なビットストリームおよび堅牢ストリームをデコードすることができる。デュアルストリームVSB受信器はまた、既存の送信器によって送信される従来式ATSC信号もデコードできる。新受信器はまた、8−VSBビットストリームのパフォーマンスを改善するために擬似2−VSBビットストリームも利用する。
【0008】
従来技術の上記した欠点に取り組むため、本発明の主要な目的は、先進テレビシステム委員会(ATSC)標準と互換な標準ストリームと堅牢ストリームとを有するデュアルビットストリーム信号を受信することのできるテレビ受信器において使用するパケット整形器を提供することである。本発明のある有利な実施形態によれば、パケット整形器は、(1)前記デュアルビットストリーム信号を受信し、堅牢ストリームと関連付けられたヘッダビットおよびパリティビットをそこから除去してそれにより第一の出力信号を生成することができる第一の処理ブロック、ならびに、(2)前記第一の出力信号を受信し、そこから前記堅牢ストリームに関連付けられた重複ビットを除去してそれにより当該パケット整形器のデータ路出力から出力される第二の出力信号を生成することができる第二の処理ブロック、とを有する。
【0009】
本発明のある実施形態によれば、パケット整形器は標準ストリームに関連付けられたバイトを、該標準ストリームのバイトを所定の遅延時間だけ遅延させたのちに当該パケット整形器のデータ路出力に渡す。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、パケット整形器は堅牢ストリーム中のパリティビットの位置を決定することのできる第三の処理ブロックを有する。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記第三の処理ブロックはさらに、堅牢ストリームにおけるヘッダビットの位置を決定することができる。
【0012】
本発明のもう一つ別の実施形態によれば、前記第三の処理ブロックは探索表を有している。
【0013】
本発明のあるさらなる実施形態によれば、パケット整形器は、当該パケット整形器に続く後続処理ブロックによって使われるパケット識別情報を生成し、出力する。
【0014】
本発明のもう一つの主要な目的は、先進テレビシステム委員会(ATSC)標準と互換な標準ストリームと堅牢ストリームとを有するデュアルビットストリーム信号を受信することのできるテレビ受信器において使用するデータランダム化解除器を提供することである。本発明のある有利な実施形態によれば、データランダム化解除器は、(1)標準ストリームに関連付けられたバイトをランダム化解除することのできる標準的なランダム化解除器、および、(2)堅牢ストリームに関連付けられたバイトをランダム化解除することのできる堅牢ランダム化解除器、を有する。
【0015】
以下の本発明の詳細な説明にとりかかる前に、本特許文書を通じて使用されるある種の語句の定義を述べておくのが有益となりうる。「含む」および「有する」の語、またその活用形は、限定することのない包含を意味する。「または」は包含的である、すなわち「および/または」を意味する。「…に関連付けられた」「それに関連した」といった句、またその派生形は、含む、…に含まれる、…と相互につながりがある、包含する、…に包含される、…につながりがある、…とつながりがある、…に関連する、…と関連する、…と連絡がある、…と協働する、インターリーブする、…に並置する、…に近い、…に結びついている、…と結びついている、有する、…の性質を有する、などといったことを意味しうる。「コントローラ」の語は少なくとも一つの処理を制御する何からの装置、システムまたはその一部を意味し、そのような装置がハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはその少なくとも二つの何らかの組み合わせのいずれで実装されているかを問わない。いかなる特定のコントローラに関連付けられた機能も中央処理のこともあれば、分散処理のこともあり、ローカルなこともあれば、リモートのこともあることを注意しておく。ある種の語句についての定義はこの特許文書の随所で与えられており、通常の技量を有する当業者はそのような定義が、そのように定義された語句のその後の使用のみならず定義に先立つ使用例においても、ほとんどとは言わないまでも多くの場合にあてはまることを理解することであろう。
【0016】
本発明およびその利点のより完全な理解のため、これから以下の説明を付属の図面とともに見ていく。図面では、同様の数字は同様の対象を指示する。
【0017】
以下に議論する図2から図7、そして本特許文書において本発明の原理を説明するのに使われるさまざまな実施形態は、解説のためだけのものであって、いかなる形であれ本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、本発明の原理は、好適に構成されたいかなるATSCデジタルテレビ受信器においても実装されうることを理解することであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図2は、本発明の代表例としての実施形態に基づく、8レベル残留側波帯(8−VSB)受信器200の前方誤り訂正(FEC)部の選択的な部分を示すブロック図である。受信器200の受信器フロントエンドは図1における従来式受信器100の受信器フロントエンドと同様である(すなわち、チューナー110、フィルタおよび同期検出器115、NTSC阻止フィルタ120、等化器125など)。図2に示されている唯一の受信器フロントエンド要素は等化器210である。簡明のため、新8−VSB受信器200のフロントエンドの残りの部分の説明はここでは示さない。
【0019】
受信器200の前方誤り訂正(FEC)部はトレリスデコーダ220、畳み込みインターリーブ解除器230、パケット整形器240、堅牢インターリーブ解除器250、リード・ソロモン(RS)デコーダ260およびデータランダム化解除器270を有している。受信器200のFEC部はさらに、同期検出器272、td_hd_sd生成ブロック274、同期ヘッダデコードブロック276およびps_hd_sd生成ブロック278を有している。受信器200のFEC部は、前記の新デュアルビットストリームVSB送信器によって送信される信号をデコードすることができる。図2に示すように、信号処理路(またはデータ路)における機能ブロックのほとんどは従来技術の受信器100の既存のアーキテクチャから導かれている。これらのブロックの機能は2つのビットストリームのデコードをサポートするよう向上させられる。これに加えて、新しい信号処理ブロックが堅牢ビットストリームパケットを処理するために追加されている。制御路にあるブロックは、同期検出器272、td_hd_sd生成ブロック274、同期ヘッダデコードブロック276およびps_hd_sd生成ブロック278である。データ路にあるブロックは、トレリスデコーダ220、畳み込みインターリーブ解除器230、パケット整形器240、堅牢インターリーブ解除器250、リード・ソロモン(RS)デコーダ260およびデータランダム化解除器270である。図2では、制御信号路281〜290は点線で示され、データ路291〜297は実線で示されている。等化器210、トレリスデコーダ220および同期検出器272はシンボルクロック上で動作する一方、データ路にある残りの機能ブロックはバイトクロック上で動作することを注意しておく。同期検出器272は、フィールド同期信号およびセグメント同期信号を検出する。図2の機能ブロックはすべて、フィールド同期信号およびセグメント同期信号と同期される。
【0020】
同期ヘッダデコードブロック276はフィールド同期ヘッダ情報をデコードしてMODE、TR、NRS、NRPパラメータを抽出する。これらのパラメータは制御信号路283上に出力される。デコードされたMODE、TR、NRP、NRSパラメータは制御路信号283を通じてtd_hd_sd生成ブロック274、トレリスデコーダ220およびps_hd_sd生成ブロック278に送られる。同期ヘッダデコードブロック276はまた、受信信号が新デュアルビットストリームATSC送信器によって送信されたのか従来技術の送信器によって送信されたのかを判別する。
【0021】
図3は、本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信器200のtd_hd_sd生成ブロックを示している。td_hd_sd生成ブロック274は、hd_sd_in生成ブロック310、畳み込みビットインターリーブ器315およびトレリスインターリーブ器320を有している。これらのブロックの機能は送信器における対応するブロックと非常に似通っている。td_hd_sd生成ブロック274は、トレリスデコーダ220および等化器210によって使用するためのtd_hd_sd制御信号を制御信号路281上に生成する。td_hd_sd制御信号はシンボルごとに変化し、等化器210およびトレリスデコーダ220におけるシンボルが標準ストリームのものか、新デュアルビットストリームのものかを判別するのに使われる。td_hd_sd制御信号はフィールド同期信号と同期される。
【0022】
hd_sd_in生成ブロック310は、制御信号路283上で受信されるパラメータMODE、TR、NRP、NRSに基づいてパケットレベルで制御情報を生成する。hd_sd_in生成ブロック310の出力は、当該パケットが新ストリーム(NS: new stream)のものであれば論理レベル1にセットされ、当該パケットが標準ストリーム(SS: standard stream)のものであれば論理レベル0に等しい。hd_sd_in生成ブロック310は、バックエンドロックが得られ、フィールド同期信号およびセグメント同期信号と同期されているときにのみ始動する。
【0023】
畳み込みビットインターリーブ器315は標準規格に規定されている畳み込みバイトインターリーブ器と同様であるが、メモリ単位が1バイトでなく1ビットであるという点で異なっている。畳み込みビットインターリーブ器315は、データ路の畳み込みインターリーブ器を通じて2つのビットストリームに属するバイトを追跡する。畳み込みビットインターリーブ器315はhd_sd_in生成ブロック310の出力をインターリーブする。
【0024】
トレリスインターリーブ器320は、12シンボルのトレリスインターリーブ器回路を実装する。トレリスインターリーブ器の出力は、制御信号路281上のtd_hd_sd制御信号である。td_hd_sd制御信号は、トレリスデコーダ220の入力シンボル(または等価器210の出力シンボル)が新ストリーム(NS)のものであるときに0より大きくなる(すなわち、1、2、3のいずれか)。td_hd_sd制御信号は、トレリスデコーダ220の入力シンボルが標準ストリーム(SS)のものであるときに0になる。等化器210はtd_hd_sd制御信号を使ってシンボルのよりよい推定を得、トレリスデコーダ220はtd_hd_sd制御信号を計量計算において使う。td_hd_sdブロック生成ブロック274の出力は、トレリスデコーダ220への入力と完全に同期されることが望ましい。該出力は、トレリスデコーダ220の入力に最初の有効なデータシンボルが現れる時点までに生成されることが望ましい。
【0025】
ps_hd_sd生成ブロック278は制御信号路285上にps_hd_sd制御信号を生成する。ps_hd_sd生成ブロック278はブロック310におけるhd_sd_in生成ブロック310と同様だが、ps_hd_sd生成ブロック278は畳み込みインターリーブ解除器230出力同期信号と同期されている点が異なる。ps_hd_sd生成ブロック278は、各フィールド上で、インターリーブ解除器230の開始/リセット信号に基づいてリセットされる。ps_hd_sd制御信号はデータ路における畳み込みインターリーブ解除器230に続くブロックの処理を制御するのに用いられる。
【0026】
トレリスデコーダ220はビタビアルゴリズムに基づいており、畳み込みエンコードされたシンボルをデコードするのに使われる。トレリスデコーダ220は等化器210から等化されたシンボルを受信し、同期ヘッダデコードブロック276から制御信号路283上でMODE、TR、NRP、NRS制御信号を受信する。トレリスデコーダ220は受信したシンボルをデコードするのに軟判定復号を使う。従来式(従来技術)の受信器100のトレリスデコーダはレート2/3トレリスエンコードされたシンボルに対応するビットをデコードするだけでよかった。新デュアルビットストリーム受信器200では、トレリスデコーダ220は標準ビットストリームのビットと並んで堅牢ビットストリームのビットをもデコードできなければならない。堅牢ビットストリームのビットは擬似2−VSB、E−VSBなどといった異なるエンコード方式を使ってエンコードされる。堅牢ストリームについてのパフォーマンスの利得のほとんどは堅牢符号化を通じて得られる。トレリスデコーダ220はすべてのビットストリームをパフォーマンスの損失なしにデコードする。
【0027】
従来式の受信器におけるのと同様、トレリスデコーダ220は12個のトレリスデコーダ回路を並列に有しており、各デコーダは12番目ごとのシンボルを見ることになる。トレリスデコーダ220は、受信したシンボルが標準ストリームのシンボルとしてエンコードされているか堅牢ストリームのシンボルとしてエンコードされているかを判定するためにtd_hd_sd制御信号を使う。トレリスデコーダ220は、異なる動作モードについては異なる計量計算法を使用する。デコードされたビットはバイトごとにまとめられて、それから畳み込みインターリーブ解除器230へと渡される。
【0028】
畳み込みインターリーブ解除器230は従来技術の受信機における畳み込みインターリーブ解除器と同じ機能を実行する。畳み込みインターリーブ解除器230はトレリスデコーダ220からデータ路293および制御信号路286を通じてデータ信号および制御信号を受信する。畳み込みインターリーブ解除器230は、標準ストリーム(SS)のバイトおよび新ストリーム(NS)のバイトを同じアルゴリズムを使ってインターリーブ解除する(すなわち、畳み込みインターリーブ解除器230はSSバイトとNSバイトとの区別をしない)。インターリーブ解除されたデータおよび遅延された制御信号は次いでパケット整形器240にそれぞれデータ路294および制御信号路287を通じて送られる。畳み込みインターリーブ解除器230からの制御信号は、制御信号路284を通じてps_hd_sd生成ブロック278にも送られる。
【0029】
図4Aは、本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信機200のパケット整形器240ブロックをより詳細に示すブロック図である。パケット整形器240はヘッダおよびパリティ・プレースホルダー(PPH: parity place holder)除去処理ブロック410、PPH計算器/探索表(LUT: look-up table)処理ブロック420および重複ビット除去処理ブロック430を有する。受信器200におけるパケット整形器240は送信器パケット整形器(TxPF: transmitter packet formatter)の逆の処理を実行する。ATSC送信器では、送信器パケット整形器は堅牢パケットのビットを重複させることで、送信器内のトレリスエンコーダのために情報ビットが常にLSB位置(6、4、2、0)に置かれるようにする。この変換のため、各堅牢情報パケットは二つの堅牢パケットに転換される。上位互換性の要求(すなわち、NRS=1の場合)を満たすため、TxPFはまた、重複ステップ後にそれぞれの新堅牢パケット内に追加的な23バイトを挿入する。
【0030】
受信パケット整形器240(RxPF: receiver packet formatter)はデータ路で畳み込みインターリーブ解除器230のあとに置かれる。表1はパラメータMODE、TR、NRSの異なる組み合わせについてパケット整形器240の機能を示している。新ストリーム(NS)というのは、堅牢ビットストリーム(MODE=2または3の場合)、あるいは埋め込みビットストリーム(MODE=1の場合)を指す。パケット整形器240は新ストリーム(NS)に属するバイトおよびパケットを再整形するのみであり、標準ストリーム(SS)に属するバイトは適切な遅延を加えて単に素通りさせられる。パケット整形器240はまた、データ路における後続の処理ブロックが使うためのパケット識別のための制御情報を生成する。以下の記述ではMODE=2または3についての処理を論じる。新ストリームは堅牢情報(RI: robust information)パケットおよび堅牢NULL(RN: robust NULL)パケットからなる。ps_hd_sd制御信号が当該バイトが標準ストリーム(SS)のものであるか新ストリーム(NS)のものであるかを判別する。
【0031】
【表1】

表1 さまざまなパラメータの組み合わせについてのパケット整形器240の機能

NRS=1の場合、PPH計算器/探索表処理ブロック420は上位互換パリティバイト発生器(BCPBG)によって挿入された追加的なパリティバイトおよびヘッダバイトの位置を識別する。次いでヘッダおよびPPH除去処理ブロック410がその追加的なパリティバイトおよびヘッダバイトを除去する。次いで重複ビット除去処理ブロック430がすべての堅牢バイトから重複ビットを除去する。
【0032】
図4Bは、本発明の代表例としての実施形態に基づく、パケット整形器240におけるヘッダおよびパリティ・プレースホルダー(PPH)除去処理ブロック410の例示的な動作を示すブロック図である。ヘッダおよびPPH除去処理ブロック410はパリティ・プレースホルダー(PPH)バイトおよびヘッダ(HDR: header)バイトを堅牢パケット441と、堅牢パケット442と、堅牢パケット443の一部とから除去してパケット444およびパケット445を生成する。次いで、重複ビット除去処理ブロック430がパケット444およびパケット445から重複ビットを除去して堅牢情報(RI)パケット446を生成する。
【0033】
図4Bは、NRP=162(1100)についての動作を示している。ヘッダおよびPPH除去処理ブロック410はNRS=1の場合にのみ有効である。ヘッダおよびPPH除去処理ブロック410は、PPH計算器/探索表処理ブロック420からの情報を使って入力バイトがデータストリームのものか、追加的ヘッダバイトのものか、あるいはBCPBGパリティバイトのものかを判別する。入力堅牢パケットの最初の3バイトは追加的なヘッダバイトであり、したがってパケットから除去される。パリティ・プレースホルダー(PPH)位置番号は、フレーム内におけるNSパケットの位置に依存する。PPH位置番号はパケット内での入力バイトの位置と比較される。もし位置番号と入力バイト位置とが一致すれば、当該バイトは落とされ、比較は探索表(LUT)における次の位置へと進む。探索表はフレーム内のさまざまなパケット位置についてのPPH位置番号を含んでいる。
【0034】
図4Cは、本発明の代表例としての実施形態に基づく、パケット整形器240における重複ビット除去処理ブロック430の動作を示すブロック図である。MODE=2または3であれば、すべての場合について重複ビット除去処理ブロック430が呼び出される。ヘッダおよびPPH除去処理ブロック410が追加的な3つのヘッダバイトおよび20のパリティバイトを除去したのち、パケット444(パケット0)およびパケット445(パケット1)の残りのバイトが重複ビット除去処理ブロック430に送られる。図4Cは、代表例としてTR=0の場合について重複ビット除去処理ブロック430の動作を示している。この例では、重複ビット除去処理ブロック430によるパケット0およびパケット1の処理は、バイトの対を組み合わせ(たとえば、バイト00とバイト01)、各バイト対からLSB(ビット6、4、2、0)を選択することによって行われる。
【0035】
次に、重複ビット除去処理ブロック430はこうして形成されたバイト(バイト0など)をグループ化して207バイトの堅牢情報(RI)パケットとし、各RIパケットをNULLパケットとともにデータ路にある後続のブロックへと送る。NULLパケットは値が0のバイトからなる。NULLパケットヘッダはのちにランダム化解除器207によって修正され、MPEGデコーダにNULLパケットとして見えるようになる。パケット整形器240の出力における堅牢情報パケットおよびNULLパケットの順序を、NRS=1の場合について表2に示す。このパターンは、NSパケット9つ(すなわち、4つのRIパケット+5つのNULLパケット)ごとに反復される。
【0036】
【表2】

表2 NRS=1の場合のパケット番号に基づく堅牢パケットの分類

受信器パケット整形器240の処理は次の例によってより明確に説明される。パラメータがMODE=3、TR=0、NRS=1、NRP=54の場合を考える。表3は、このパラメータセットについて、送信器パケット整形器(TxPF)への入力(I/P: input)、受信器パケット整形器240(RxPF)への入力、およびRxPFの出力(O/P: output)におけるパケットの並びを示している。表3で、「RI」は堅牢情報パケットを示し、「RN」はNULLパケットを示し、「Std」は標準(standard)ストリームパケットを示し、「Rob」はエンコードされた堅牢(robust)パケットを示している。パケット0はフィールド同期信号後の最初のパケットに対応している。
【0037】
【表3】

表3 選択されたパラメータについて送信器および受信器内の異なる点における例示的なパケットの並び

NRP=54というのは、TxPFへの入力における各フィールドで、RIパケット数が54×4/9=24で、RNパケット数が54−24=30であることを示している。TxPFはRIパケットおよびRNパケットを整形して堅牢パケット(「Rob」と称する)を形成する。受信器はこれらのパケットを「I/P to RxPF」の列に示されている順に受信する。RI0における情報はRob0、Rob1、Rob2パケットに拡散されるので、受信器パケット整形器240はパケットRob2を受信するまでRI0を再現することができない。したがって、Rob0およびRob1の期間の間、パケット整形器240はNULL(全部0)パケットを送り出す。ひとたび受信器200がパケットRob8を入手すれば、受信器200はRI3を再現できる。これで9つの堅牢パケットを4つのRIパケットに変換する処理が完了する。次いでパケット整形器240は次の堅牢パケットのグループの処理を開始する。列「O/P of RxPF」がパケット整形器240の出力における堅牢情報パケットの順序を示している。
【0038】
受信器パケット整形器240は、堅牢情報パケットに2堅牢パケットの固定遅延を導入する。堅牢パケット間の間隔が固定でないため、この遅延はパケット数で見れば変動がある。表4は異なるNRPの値についての遅延を示している。この遅延はデータ路を下ったところにあるランダム化解除器に影響することになる。以下の節では修正されたランダム化解除方式を説明するが、それはRxPFによって導入された遅延を考慮に入れる。
【0039】
【表4】

表4 異なるNRP値についてパケット整形器240によって導入される遅延

図5は、本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信器200の堅牢インターリーブ解除器250をより詳細に示す論理図である。堅牢インターリーブ解除器250は、堅牢ストリームに属するバイトのみを処理する新規の信号処理ブロックである。堅牢インターリーブ解除器250の構造は標準的なインターリーブ解除器と同様である。堅牢インターリーブ解除器250は、行数69でブロックサイズ3の畳み込みインターリーブ解除器を有している。図5に示されている例では、M=3、B=69、N=207である。堅牢インターリーブ解除器250はデータ路295および制御信号路288を通じてパケット整形器240からそれぞれデータおよび制御信号を受信する。堅牢インターリーブ解除器250は堅牢情報(RI)パケットに属するバイトのみを処理し、他のすべてのバイト(NULLパケットおよびSSに属するもの)は適切に遅延させる(遅延処理)。当該信号が送信器において堅牢インターリーブ器なしでエンコードされていた場合は、堅牢インターリーブ解除器250をバイパスモードで動作させるオプションが提供される。堅牢インターリーブ解除器250は堅牢ストリームについての可変量の初期遅延を導入する。この遅延はNRPパラメータに依存する。堅牢インターリーブ解除器250はフィールド同期信号およびパケット整形器240出力制御信号を使って当該フィールド内の最初のRIパケットの最初のデータバイトに同期する。堅牢インターリーブは標準的なインターリーブの上に行われるので、堅牢ビットストリームはバースト誤りに対して誤り耐性が高い。
【0040】
図6は、本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信器200の堅牢インターリーブ解除器250をより詳細に示すブロック図である。堅牢インターリーブ解除器250は、デマルチプレクサ(De−MUX)610、メモリ620、マルチプレクサ(MUX)630、遅延探索表(LUT)640および開始信号生成処理ブロック650を有している。堅牢インターリーブ解除器250はパケット整形器240からデータ信号および制御信号を受信し、インターリーブ解除されたデータ信号および制御信号をRSデコーダ260に送り出す。堅牢インターリーブ解除器250は、ps_hd_sd制御信号(制御信号路285)およびrob_pac_cnt制御信号(制御信号路288)を使って入力データを多重化解除する。ps_hd_sd制御信号は、入力バイトが新ストリーム(NS)のものか標準ストリーム(SS)のものかを判別する。rob_pac_cnt制御信号は、当該バイトがNS内のRIパケットのものかRNパケットのものかを判別する。堅牢インターリーブ解除器250は、制御信号から当該バイトがRIパケットのものと判別されれば入力データバイトをメモリ620に送る。そうでなければ、そのデータは変更なしで素通りさせられる。マルチプレクサ630はps_hd_sd制御信号およびrob_pac_cnt制御信号を使ってRIパケット、StdパケットおよびRNパケットを多重化する。マルチプレクサ630は、ps_hd_sd制御信号およびrob_pac_cnt制御信号から当該バイトがRIパケットのものだと判別されればメモリ620からデータを読み込み、そうでなければマルチプレクサ630はデマルチプレクサ610の出力からデータを読み込む。
【0041】
堅牢インターリーブ解除器250は、フィールド中の最初のRIパケットの最初のデータバイトの位置を示す信号を生成しなければならない。フィールド中の最初のRIデータバイトの位置は二つの要因に依存する:堅牢インターリーブ器のサイズとパラメータTR、NRS、NRPである。堅牢インターリーブ器のサイズは固定で、RIパケット数で見て固定された遅延を生じる。この遅延(バイト単位)は、次式によって計算できる。
【0042】
rd_size=3×((n−1)×n/2)×2
ここで、n=69となる。この遅延はまた、207バイトのパケット単位では68RIパケットとして表すこともできる。
【0043】
新ATSC送信器におけるパケット挿入機構によって、2つの相続くRIパケットの間にパラメータTR、NRS、NRPに依存する可変量の遅延が導入される。したがって、堅牢インターリーブ解除器250はまた、フィールド同期と最初のRIデータバイトとの間に、実際のパケット数(すなわち、RI+Std+RNを合わせた数)で見て可変量の遅延を導入する。この遅延は次のアルゴリズムを使って計算できる。
【0044】
ステップ1:パラメータTR、NRS、NRPに対応した堅牢パケット間の間隔(表4参照)をmとする。mの値は1、2、4のいずれかである。
【0045】
ステップ2:各フィールド中の堅牢情報パケットの数をNRIとする。NRI=NRP×4/9。
【0046】
ステップ3:68 mod NRIとしてRI_dlyを計算する。このNRIは、当該フィールドの先頭からのRIパケットの数を与えるものである。この数には、パケット整形器240によって導入される2堅牢パケットの遅延(TR=0、NRS=1の場合)を考慮に入れるためオフセット2を加えることができる。
【0047】
ステップ4:RI_dlyの値を使って当該フィールド中でのパケット番号を次式により決定する:
init_dl=RI_delay×9×m/4
この初期遅延値に基づいて開始信号生成ブロック650によって開始信号289を生成することができ、これは堅牢インターリーブ解除器250がリセットされない限り312パケットごとに生成を続けるようフライホイールされうる。init_dly値は事前に計算し、図6に示すような遅延探索表(LUT)640に保存しておくことができる。表5は、TR=0、NRS=1の場合において、NRPの異なる値について上記のアルゴリズムを使ってinit_dlyの値を計算したところを示している。
【0048】
【表5】

表5 TR=0、NRS=1の場合における異なるNRPの値についての初期遅延(init_dly)の値

新受信器200におけるRSデコーダ260は、ランダム化解除器270のための2つの出力開始信号を生成して、標準的なランダム化解除器回路および堅牢ランダム化解除回路がそれぞれ正しい瞬間に開始されるようにする。RSデコーダ260は堅牢インターリーブ解除器250からデータ信号および制御信号を受信し、すべてのパケットを(NSのものもSSのものも)デコードする。RSデコーダ260は207バイトの入力データパケットから187バイトのデータパケットを生成する。
【0049】
図7は、本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信機200のランダム化解除器270をより詳細に示す図である。ランダム化解除器270は、標準的なランダム化解除器710、堅牢ランダム化解除器720、マルチプレクサ(MUX)730、探索表(740)および凍結信号生成ブロック750を有する。標準的なランダム化解除器710および堅牢ランダム化解除器720は構造的には同様の標準的なランダム化解除器である。標準的なランダム化解除器710は標準ストリーム(SS)に対応するバイトをランダム化解除するために使われ、堅牢ランダム化解除器720は新ストリーム(NS)に対応するバイトをランダム化解除するために使われる。標準的なランダム化解除器710および堅牢ランダム化解除器720はRSデコーダ260から同じデータ入力を受け取るが、開始信号は異なる。標準的なランダム化解除器710の出力は有効な標準トランスポートストリームパケットを含む。堅牢ランダム化解除器720の出力は有効な堅牢トランスポートストリームパケットを含んでいる。ランダム化解除器270は、標準ストリームおよび/または堅牢ストリームを出力し、他方のストリームに対応する位置にはNULLパケットを置くようプログラムすることができる。
【0050】
ランダム化解除器710および720はRSデコーダ260から誤り訂正されたバイトを受信し、該データを擬似ランダム二進シーケンス(PRBS: pseudo-random binary sequence)を使ってデータをランダム化解除する。PRBSは送信器側と同様のフィードバックおよび取り出しタップを用いて送信器側と同一になるように生成される。PRBSは次の生成多項式をもつ16ビットシフトレジスタによって生成される:
G(16)=X16+X13+X12+X11+X7+X6+X3+X+1
シフトレジスタは十六進F180に初期化され、フィールド同期信号および開始信号と同期される。ランダム化解除器710および720は入力データバイトのランダム化解除器バイト(ビットD7からD0から形成される)の2を法とする加算を実行する。ランダム化解除器710および720は、データバイトの相対位置がフィールド同期信号に対して変わっていなければ誤りなく動作する。あるフィールド内では、該フィールド中の特定の位置におけるデータバイトは常に同じランダム化解除バイトによってランダム化解除される。
【0051】
新デュアルビットストリーム受信器200にパケット整形器240および堅牢インターリーブ解除器250が取り入れられたことで、NSデータバイトには遅延が導入される。この遅延はパラメータTR、NRS、NRPに依存する。この遅延のため、NSデータバイトのフィールド同期に対する相対位置が変化する。したがって、当該フィールド内での最初のRIデータバイトの位置を指示する開始信号を生成する必要がある。堅牢インターリーブ解除器250は上述したアルゴリズムに基づいてこの信号を生成する。表6はTR=0、NRS=1の場合について、当該フィールド中の最初のRIパケットの位置を示している。列「フィールド同期からのオフセット」は、受信器パケット整形器240によってもたらされた2堅牢パケットの遅延を含んでいる。
【0052】
【表6】

表6 TR=0、NRS=1の場合における異なるNRP値についてのフィールド中の最初のRIパケットの位置

開始信号が適正に同期されていれば、堅牢パケット間の間隔が同じである限りすべてのRIパケットは正しくランダム化解除される。新ATSC送信器におけるパケット挿入機構はあらゆるNRP値についてこの要求を満たすわけではない。場合によっては、あるフィールドの最終パケットと次のフィールドの最初のパケットとの間の間隔が堅牢パケット間の間隔(通例1、2、4のうちのいずれか)とは異なることもある。表7はこの様子をTR=0、NRS=1、NRP=54について示している。この場合、堅牢パケット間の間隔は4であるが、フィールドの最終パケットと次のフィールドの最初のパケットとの間の間隔は312−212=100パケットとなっている。
【0053】
【表7】

表7 TR=0、NS=1、NRP=54の場合のランダム化解除器の入力におけるフィールド中でのRIパケットの位置(フィールド番号,パケット番号)

TR=0、NRS=1、NRP=54の場合を考える。このパラメータセットについては、堅牢インターリーブ解除器250はパケット番号188において開始信号を生成する。表7はRIパケットについてのフィールド番号とパケット番号を示している。堅牢インターリーブ解除器250によって導入される遅延のため、フィールドPのパケットRI0はフィールドPのパケット番号188において現れる。この時点で堅牢ランダム化解除器270がリセットされ、よってRIパケット0、1、2、3は正しくランダム化解除されることになる。しかし、RI3はフィールドPの最後の堅牢パケット位置に現れ、RI4はフィールドP+1の3番目の堅牢パケット位置に現れるため、RIパケット3と4との間には不連続がある。この期間の間、ランダム化解除器270はいまだアクティブであり、したがってRI3に続くRIパケットを正しくない形でランダム化解除してしまう。この種のシナリオを回避するため、ランダム化解除器270は凍結信号生成処理ブロック750によってしばらくの時間の間凍結される。
【0054】
凍結の期間と位置はパラメータTR、NRS、NRPに依存する。凍結期間の開始位置および終了位置は次のアルゴリズムを使うことによって決定することができる。
【0055】
ステップ1:パラメータTR、NRS、NRPに対応した堅牢パケット間の間隔をmとする。mの値は1、2、4のいずれかである。
【0056】
ステップ2:各フィールド中の堅牢情報パケットの数をNRIとする。NRI=NRP×4/9。
【0057】
ステップ3:68 mod NRIとしてRI_dlyを計算する。このNRIは、当該フィールドの先頭からのRIパケットの数を与えるものである。この数には、パケット整形器240によって導入される2堅牢パケットの遅延(TR=0、NRS=1の場合)を考慮に入れるためオフセット2を加えることができる。
【0058】
ステップ4:‘rem_rp’を(NRI−RI_dly)として計算する。
【0059】
ステップ5:rem_rp<NRIであれば、ステップ6に進む。他の場合には、start_countおよびend_countを0にセットする。
【0060】
ステップ6:凍結の開始点をstart_count=(rem_rp×9/4)×m−2×mとして計算する。
【0061】
ステップ7:凍結の終了点をend_count=(312−NRP×4)+start_countとして計算する。
【0062】
start_countとend_countの値は事前に計算して探索表(LUT)740に保存しておくことができる。凍結信号生成処理ブロック750は探索表740からのこれら2つの値を使って凍結信号を生成する。凍結信号生成処理ブロック750は開始信号上のパケットカウンタをリセットし、凍結信号生成処理ブロック750が受信する新たなパケットのたびにこのカウンタをインクリメントする。パケットカウンタが‘start_count’と‘end_count’の間にあれば、堅牢ランダム化解除器270は凍結される。
【0063】
提案されているパケット挿入機構については、フィールドあたり要求される凍結期間は一回だけであるが、必要とあらば追加的な凍結期間を加えるよう論理を拡張することができる。凍結が解除されたのちもランダム化解除器270は動作を続け、開始信号が受信された時点で該ランダム化解除器270が初期化される。このことにより、すべてのRIパケットが正しくランダム化解除されることが保証される。表8は、TR=0、NRS=1の場合について前記アルゴリズムによって決定される‘start_count’と‘end_count’の値を含んでいる。
【0064】
【表8】

表8 TR=0、NS=1の場合における異なるNRP値についてのstart_countおよびend_countの値

標準的なランダム化解除器710は有効なSSトランスポートパケットを生成し、堅牢ランダム化解除器720は有効なNSトランスポートパケットを生成する。この2つのストリームはユーザー設定に依存してさまざまな構成において多重化されうる。マルチプレクサ730の動作は、hd_sd制御信号、rob_pac_cnt制御信号およびユーザー調節可能なoutput_sw制御信号の組み合わせである選択信号によって制御される。マルチプレクサ730は、hd_sdおよびrob_pac_cntがNULLパケットを指示しているときにはパケットに3バイトのNULLヘッダを加える。ソースデコーダは該NULLパケットは捨てる。
【0065】
本発明について詳細に説明してきたが、当業者はここに開示された発明にはさまざまな変更、置換、変異、改善、微妙な差異、段階付け、簡略形、改変、修正、改良および模倣を本発明の最も広範な形の精神と範囲から外れることなくなしうることを理解することであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】従来技術の代表的な実施形態に基づく従来式の8レベル残留側波帯(8−VSB)受信器を示す図である。
【図2】本発明の代表例としての実施形態に基づく、8レベル残留側波帯(8−VSB)受信器の前方誤り訂正(FEC)ブロックを示す図である。
【図3】本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信器のtd_hd_sd生成ブロックをより詳細に示すブロック図である。
【図4A】本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信機のパケット整形器ブロックをより詳細に示すブロック図である。
【図4B】本発明の代表例としての実施形態に基づく、パケット整形器ブロックにおけるヘッダおよびパリティ・プレースホルダー除去処理ブロックの動作(ある特定のパラメータセットについて)を示すブロック図である。
【図4C】本発明の代表例としての実施形態に基づく、パケット整形器における重複ビット除去処理ブロックの動作を示すブロック図である。
【図5】本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信器の堅牢インターリーブ解除器ブロックをより詳細に示す論理図である。
【図6】本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信器の堅牢インターリーブ解除器ブロックをより詳細に示すブロック図である。
【図7】本発明の代表例としての実施形態に基づく、8−VSB受信機のランダム化解除器ブロックをより詳細に示す図である。
【符号の説明】
【0067】
100 受信器
105 アンテナ
110 チューナー(搬送波復元部)
115 フィルタおよび同期検出器ブロック
120 NTSC阻止フィルタ
125 等化器
130 位相追跡器
135 同期およびタイミングブロック(タイミング復元部)
140 前方誤り訂正部
150 トレリスデコーダ
155 インターリーブ解除器
160 RSデコーダ
165 ランダム化解除器
200 受信器
210 等化器
220 トレリスデコーダ
230 畳み込みインターリーブ解除器
240 パケット整形器
250 堅牢インターリーブ解除器
260 RSデコーダ
270 ランダム化解除器
272 同期検出器
274 td_hd_sd生成ブロック
276 同期ヘッダデコードブロック
278 ps_hd_sd生成ブロック
281〜290 制御信号路
291〜297 データ路
310 hd_sd_in生成ブロック
315 畳み込みビットインターリーブ器
320 トレリスインターリーブ器
410 ヘッダおよびパリティー・プレースホルダー(PPH)除去処理ブロック
420 PPH計算器/探索表
430 重複ビット除去処理ブロック
441 堅牢パケット
442 堅牢パケット
443 堅牢パケット
444 パケット0
445 パケット1
446 堅牢情報パケット
610 デマルチプレクサ
620 メモリ
630 マルチプレクサ
640 遅延探索表
650 開始信号生成処理ブロック
710 標準的なランダム化解除器
720 堅牢ランダム化解除器
730 マルチプレクサ
740 start_countおよびend_countの探索表
750 凍結信号生成ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先進テレビシステム委員会(ATSC)標準と互換な標準ストリームと堅牢ストリームとを有するデュアルビットストリーム信号を受信することのできるテレビ受信器において使用するパケット整形器であって:
前記デュアルビットストリーム信号を受信し、前記堅牢ストリームと関連付けられたヘッダビットおよびパリティビットをそこから除去してそれにより第一の出力信号を生成することができる第一の処理ブロックと、
前記第一の出力信号を受信し、そこから前記堅牢ストリームに関連付けられた重複ビットを除去してそれにより当該パケット整形器のデータ路出力から出力される第二の出力信号を生成することができる第二の処理ブロック、
とを有することを特徴とするパケット整形器。
【請求項2】
前記パケット整形器が前記標準ストリームに関連付けられたバイトを該標準ストリームのバイトを所定の遅延時間によって遅延させたのちに当該パケット整形器の前記データ路出力に渡すことを特徴とする、請求項1記載のパケット整形器。
【請求項3】
前記パケット整形器が前記堅牢ストリームにおける前記パリティビットの位置を決定することのできる第三の処理ブロックを有することを特徴とする、請求項2記載のパケット整形器。
【請求項4】
前記第三の処理ブロックがさらに、前記堅牢ストリームにおける前記ヘッダビットの位置を決定することができることを特徴とする、請求項3記載のパケット整形器。
【請求項5】
前記第三の処理ブロックが探索表を有していることを特徴とする、請求項4記載のパケット整形器。
【請求項6】
当該パケット整形器が、当該パケット整形器に続く後続処理ブロックによって使われるパケット識別情報を生成し、出力することを特徴とする、請求項5記載のパケット整形器。
【請求項7】
請求項1記載のパケット整形器のデータ路出力から出力される第二の出力信号を有する信号。
【請求項8】
先進テレビシステム委員会(ATSC)標準と互換な標準ストリームと堅牢ストリームとを有するデュアルビットストリーム信号を受信することのできるテレビ受信器において使用するために前記デュアルビットストリーム信号を整形する方法であって:
パケット整形器において前記デュアルビットストリーム信号を受信し、前記堅牢ストリームと関連付けられたヘッダビットおよびパリティビットをそこから除去してそれにより第一の出力信号を生成し、
前記第一の出力信号から前記堅牢ストリームに関連付けられた重複ビットを除去してそれにより当該パケット整形器のデータ路出力から出力される第二の出力信号を生成する、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記標準ストリームに関連付けられたバイトを所定の遅延時間によって遅延させたのちに該遅延された標準ストリームのバイトを当該パケット整形器の前記データ路出力上で出力するステップをさらに有することを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記堅牢ストリームにおける前記パリティビットの位置を決定するステップをさらに有することを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記堅牢ストリームにおける前記ヘッダビットの位置を決定するステップをさらに有することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記パリティビットの位置を決定する前記ステップが、該パリティビットの位置を探索表から決定するステップを有することを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
当該パケット整形器に続く後続処理ブロックによって使われるパケット識別情報を生成し、出力するステップをさらに有することを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項8記載のように当該パケット整形器のデータ路出力から出力される第二の出力信号を有する信号。
【請求項15】
先進テレビシステム委員会(ATSC)標準と互換な標準ストリームと堅牢ストリームとを有するデュアルビットストリーム信号を受信し、ダウンコンバートし、それによりベースバンド信号を生成することのできる受信器フロントエンド回路、ならびに、
前記ベースバンド信号を前記受信器フロントエンド回路から受け取ることができ:
前記ベースバンド信号に関連付けられた前記標準ストリームおよび前記堅牢ストリームを受信し、前記堅牢ストリームと関連付けられたヘッダビットおよびパリティビットをそこから除去してそれにより第一の出力信号を生成することができる第一の処理ブロックと、
前記第一の出力信号を受信し、そこから前記堅牢ストリームに関連付けられた重複ビットを除去してそれにより当該パケット整形器のデータ路出力から出力される第二の出力信号を生成することができる第二の処理ブロック、
とを有するパケット整形器を有することを特徴とするテレビ受信器。
【請求項16】
前記パケット整形器が前記標準ストリームに関連付けられたバイトを該標準ストリームのバイトを所定の遅延時間によって遅延させたのちに当該パケット整形器の前記データ路出力に渡すことを特徴とする、請求項15記載のテレビ受信器。
【請求項17】
前記パケット整形器が前記堅牢ストリームにおける前記パリティビットの位置を決定することのできる第三の処理ブロックを有することを特徴とする、請求項16記載のテレビ受信器。
【請求項18】
前記第三の処理ブロックがさらに、前記堅牢ストリームにおける前記ヘッダビットの位置を決定することができることを特徴とする、請求項17記載のテレビ受信器。
【請求項19】
前記第三の処理ブロックが探索表を有していることを特徴とする、請求項18記載のテレビ受信器。
【請求項20】
前記パケット整形器が、当該パケット整形器に続く後続処理ブロックによって使われるパケット識別情報を生成し、出力することを特徴とする、請求項19記載のテレビ受信器。
【請求項21】
先進テレビシステム委員会(ATSC)標準と互換な標準ストリームと堅牢ストリームとを有するデュアルビットストリーム信号を受信することのできるテレビ受信器において使用するデータランダム化解除器であって:
前記標準ストリームに対応するバイトをランダム化解除することができる標準ランダム化解除器と、
前記堅牢ストリームに対応するバイトをランダム化解除することができる堅牢ランダム化解除器、
とを有することを特徴とするデータランダム化解除器。
【請求項22】
前記堅牢ストリームに付随するフィールド同期信号に関する遅延を決定するための遅延計算回路をさらに有することを特徴とする、請求項21記載のデータランダム化解除器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2007−527137(P2007−527137A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518430(P2006−518430)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051037
【国際公開番号】WO2005/002229
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】