説明

B細胞の白血病及びリンパ腫の治療のためのLTB4インヒビターの使用

本発明は、B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)、B細胞前リンパ球性白血病(B-PLL)又はB細胞リンパ腫の治療のための医薬の製造における、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターの使用に関する。好ましくは、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターは、5-LOのインヒビターのBWA4C、又はFLAPのインヒビターのMK-886である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
この発明は、B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)、B細胞前リンパ球性白血病(B-PLL)又はB細胞リンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)の治療方法に関するもので、該方法は、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビター(例えば、ロイコトリエンB(LTB)の生合成のインヒビター及び/又はBLT1レセプターのアンタゴニスト)を利用するものである。
【0002】
(背景及び従来技術)
ロイコトリエン類(LTs)は、アラキドン酸の生物学的に活性な代謝産物である。ホスホリパーゼA(E.C.3.1.1.4)によりひとたび遊離されると、アラキドン酸は、プロスタグランジン類、トロンボキサン類及びロイコトリエン類に転換され得る。ロイコトリエン生合成における重要な酵素は5-リポキシゲナーゼ(5-LO)(E.C.1.13.11.34)であり、これは2工程反応で、アラキドン酸からのロイコトリエンA(LTA)の生成を触媒する。さらに、LTAは、LTA加水分解酵素(E.C.3.3.2.6)により触媒される反応で、ロイコトリエンB(LTB)に代謝され得る。細胞内でのロイコトリエンの生合成は、アラキドン酸に結合し、5-リポキシゲナーゼ反応を容易にする膜結合タンパク質の5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)に依存する。
【0003】
ほとんど全てのタイプの細胞により産生されるプロスタグランジン類と対照的に、アラキドン酸からのロイコトリエン類の生成は、ヒトの体内では数種の細胞タイプに限られている。ロイコトリエン類の生合成は、主として骨髄細胞及びB-リンパ球で生じる。LTBの産生及び骨髄細胞に対するこの化合物の生物学的効果は、よく特徴付けされており、LTBは非常に低濃度で好中球の輸送及び活性化を刺激する。
しかしながら、Bリンパ球によるロイコトリエン類の生合成及び機能は、あまり特徴付けされていない。骨髄細胞とは対照的に、無傷のB細胞は、カルシウムイオノフォアA23187のみを用いた暴露後にはLTBを生成しない。無傷のB細胞におけるロイコトリエン生合成の活性化のメカニズムは明らかではないが、細胞の酸化還元状態がロイコトリエン類の生合成のための重要なパラメータであるという多くの証拠が存在する。さらに、p38分裂促進因子活性化プロテインキナーゼがまたB細胞中でのストレス誘発性ロイコトリエン合成に関与していると思われる。
【0004】
Tリンパ球が5-リポキシゲナーゼを含み、ロイコトリエン類を生成し得ることを裏付ける説得力のある報告はない。しかしながら、Tリンパ球はFLAPを発現するが、T細胞中でのこのタンパク質の機能は知られていない。
【0005】
ロイコトリエン類に対するLTBの作用は、好中球及び単球で発現される高親和性のG共役型LTBレセプターのBLT1により主に媒介される。BLT1はまた活性化Tリンパ球、細胞傷害性CD8+細胞及びCD4+細胞の双方において発現し、また末梢のヒト非活性化Bリンパ球では弱く発現する。低い基質親和性と広い組織分布を有する第2のLTBレセプターもまた特徴付けされている。
【0006】
LTBは免疫調節物質であり、この化合物は、B細胞、T細胞及びNK細胞を活性化させる(Int. J. Immunopharmacol. 14, 441 (1992)を参照)。LTBは、扁桃線Bリンパ球における活性化、増殖及び抗体生成を高め(J. Immunol. 143, 1996 (1989); Cell Immunol. 156, 124 (1994);及びJ. Immunol. 145, 3406 (1990)を参照)、種々のT-細胞機能を刺激する。LTBはTリンパ球の活性化にとって非常に強力な走化性化合物であり、BLT1-レセプター欠損マウスは、活性化したCD8細胞及びCD4細胞の輸送障害を有する。さらに、LTBは、NK細胞活性及び細胞傷害性T細胞機能も高める。
【0007】
B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)は、西半球で1年間に3/100000の発生率を有する、成人で最も頻発する白血病である。B-CLLの治療法は病気の進行段階で異なる。進行したB-CLLに対するの現在の治療法には、クロラムブシル、プリン類似体(例えばフルダラビン)、モノクローナル抗体(例えばアレムツズマブ及びリツキシマブ)、及び他の化学療法(例えば、シクロホスファミド、クロラムブシル又はリツキシマブ)とフルダラビンの併用が含まれる。
B細胞前リンパ球性白血病(B-PLL)は、通常、高齢の男性に見られる白血病の珍しい形態であり、化学治療剤で治療される。しかしながら、B-PLLを患っている患者の予後は乏しく、ほとんどが診断から48ヶ月以内に死亡する。
【0008】
リンパ腫(ホジキン及び非ホジキンリンパ腫;HL及びNHL)は、血液悪性腫瘍の最も大きな群を構成する。治療法の選択肢には、成り行きを見守る(緩慢性NHLを患っている患者)、放射線照射(限定された病気)、化学療法(最も多くの患者が併用化学療法を受けるであろう)、生物学的治療、及び幹細胞/骨髄移植が含まれる。侵襲性NHLに対しては、CHOPを、リツキシマブ(CD20抗原に対するモノクローナル抗体)、時折はエトポシド(若い患者)、しばしば顆粒球コロニー刺激因子補助剤と併用することが普及している。
しかしながら、上述した白血病は治療不能のままである。さらに、明らかに治療法が進歩しているにもかかわらず、B細胞リンパ腫を患っているほとんどの患者は、それらの病気か又は治療に関連した合併症により死亡している。よって、B-CLL、B-PLL及び/又はB細胞リンパ腫を治療可能なさらなる化学治療剤が必要とされている。
【0009】
リポキシゲナーゼにより触媒される活性をブロックする薬剤は、発癌予防剤として潜在的に有用であることは知られている(例えば、Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention 8, 467 (1998)を参照)。
実際、FLAPのインヒビターのMK-886は、急性又は慢性の骨髄性白血病を患っている患者のヒト肺癌細胞及び悪性細胞に対して抗増殖効果を有することが知見されている(J. Clin. Invest. 97, 806 (1996), Anticancer Res. 16, 2589 (1996)、Leukemia Res. 22(1), 49 (1998)及びLeukemia Res. 17(9), 759 (1993)を参照)。
しかしながら、上述したように、Bリンパ球中でのロイコトリエン類の機能は十分には理解されておらず、B細胞は、それらがLTBを生成する条件に関し、骨髄細胞とは大きく異なる。よって、本出願人の知る限りでは、上述のいずれの文献にも、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療に、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターを使用することは、開示も示唆もされていない。
【0010】
(発明の概要)
我々は、意外にも、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターが、B-CLLを患っている患者からのB細胞に対して抗増殖効果を有しており、よってB-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療において有用性を有していることを見出した。
したがって、本発明の第1の態様によれば、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療方法であって、このような治療を必要とする患者に、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターを投与することを含む方法が提供される。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療のための医薬の調製における、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターの使用が提供される。
B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療は、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターではない癌化学療法剤(すなわち、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療において異なる作用機序を有する薬剤)を同時投与することにより、なされ得る。
この点で、本発明の第3の態様によれば、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療方法であって、このような治療を必要とする患者に、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターを投与することを含み、該患者には異なる作用機序を有する癌化学療法剤が投与される方法が提供される。
【0012】
また本発明の第4の態様によれば、異なる作用機序を有する癌化学療法剤が投与される患者のB-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療のための医薬の調製における、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターの使用が提供される。
【0013】
逆に、本発明の第5及び第6の態様によれば、
(a)B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療方法において、このような治療を必要とする患者に、唯一の癌化学療法剤として、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターを投与することを含む方法と;
(b)B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫を治療するための医薬の調製における、唯一の癌化学療法剤としての、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターの使用;
が提供される。
【0014】
さらに、本発明の第7の態様によれば:
(a)LTBの生合成及び/又は機能のインヒビター、又はそれらの薬学的に許容可能な誘導体と;
(b)異なる作用機序を有する癌化学療法剤、又はそれらの薬学的に許容可能な誘導体;
を含有し、成分(A)及び(B)の各々が薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液又は担体と混合されて製剤化される組合せ品が提供される。
このような組合せ品は、その製剤の少なくとも一つがLTBの生合成及び/又は機能のインヒビター/誘導体を含有し、少なくとも一つが他の癌化学療法剤を含有する、別々の製剤として提供されてもよいし、又は複合製剤として(つまり、成分(A)及び(B)を含む単一製剤として提供されるもの)提供(すなわち製剤化)されてもよい。
本発明のこの態様の特定の実施態様では、成分(A)は、LTBの生合成のインヒビター、又はそれらの薬学的に許容可能な誘導体である。
【0015】
(定義)
ここで使用される場合、「LTBの生合成のインヒビター」なる用語には、5-LOのインヒビター、FLAPのインヒビター及び/又はロイコトリエンA(LTA)加水分解酵素のインヒビターが言及される。LTBの生合成の好ましいインヒビターには、5-LOのインヒビター及びFLAPのインヒビター、例えば以下に記載する特異的インヒビター(特に5-LOインヒビターBWA4C及び/又はFLAPインヒビターMK-886)が含まれる。
この点に関し、LTBの生合成のインヒビターは、BWA4C又はMK-886であってもよいしそうでなくてもよい。
ここで使用される場合、「LTBの機能のインヒビター」なる用語には、LTBのレセプターに拮抗する化合物、例えばBLT1レセプターのアンタゴニストが言及される。
【0016】
よって、本発明の好ましい実施態様によれば、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療方法は、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療を必要とする患者に、LTBの生合成のインヒビター及び/又はBLT1レセプターのアンタゴニストを投与することを含む。
さらに、本発明のより好ましい実施態様によれば、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療方法は、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療を必要とする患者に、LTBの生合成インヒビター(例えば5-LO及び/又はFLAPインヒビター)を投与することを含む。特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、5-LOインヒビター(例えばBWA4C)又はFLAPインヒビター(例えばMK-886)を患者に投与することを含む。
【0017】
ある化合物が、5-LO、FLAP及び/又はLTA加水分解酵素のインヒビター、及び/又はBLT1レセプターのアンタゴニストであるかどうかは、当業者に知られている技術によって決定することができる。例えば:
(i)5-LOの阻害は、アラキドン酸と共にインキュベートした超音波処理白血球において決定することができる;
(ii)FLAPの阻害は、カルシウムイオノフォアA23187で刺激された無傷の白血球をモニターすることにより決定することができる(インヒビターは、アラキドン酸と共にインキュベートされた超音波処理細胞において、ロイコトリエン類の生成をブロックしない);
(iii)LTA加水分解酵素のインヒビターは、全細胞中で又は精製LTA加水分解酵素と共に合成LTAの代謝をモニターすることにより決定することができる;
(iv)BLT1レセプターの拮抗作用は、BLT1のLTA-誘発活性をブロックする化合物の能力をモニター(FLEX stationにより細胞内カルシウムの増加を測定)することにより決定することができる。
【0018】
典型的には、5-LO、FLAP及び/又はLTA加水分解酵素のインヒビターは、1μM以下、好ましくは100nM以下のその標的酵素に対するIC50を有するであろう。同様に、BLT1レセプターのアンタゴニストは、5μM以下、好ましくは250nM以下のBLT1に対するIC50を有するであろう。全ての場合、引用されたIC50値は、好ましくはインビトロの細胞ベースアッセイ(例えば上述のアッセイの一つ)により決定されるものである。
【0019】
挙げることのできる5-LOの特異的インヒビターには、以下のものが含まれる。
(1)例えば、欧州特許第0279263号、米国特許第4873259号、 Int. J. Immunopharmacol. 14, 505 (1992), Br. J. Cancer 74, 683 (1996)及びAm. J. Resp. Critical Care Med. 157, Part 2, 1187 (1998)に記載されているジレウトン(同義語: A-64077、ABT077、ジフロ(Zyflo)(登録商標))。

(2)例えば、Anticancer Res. 14, 1951 (1994)に記載されているA-63162。

(3)A-72694。

(4)例えば、Curr. Opin. Invest. Drugs 2, 69 (1993)に記載されているA-78773。

(5)例えば、Carcinogenesis 19, 1393 (1998)及びJ. Med. Chem. 40, 1955 (1997)に記載されているA-79175(A78773のR-エナンチオマー)。

(6)A-80263。

(7)A-81834。

(8)A-93178。

(9)例えば、211th Am. Chem. Soc. Meeting. 211: abstr. 246, 3月24日(1996)に記載されているA-121798。
(10)例えば、Exp. Opin. Therap. Patents 5 127 (1995)に記載されているアトレロイトン(Atreleuton)(同義語:ABT-761及びA-85761)。

(11)例えば、Curr. Opin. Anti-Inflamm. & Immunomod. Invest. Drugs 1, 468 (1999)に記載されているMLN-977(同義語:LPD-977及びCMI-977)。この化合物並びに類似化合物は米国特許第5703093号に記載されている。

(12)例えば、215th Am. Chem. Soc. Meeting. 215: abstr. MEDI 004, 3月29日(1998)に記載されているCMI-947。この化合物並びに類似化合物は米国特許第5792776号に記載されている。

(13)例えば、211th Am. Chem. Soc. Meeting. 211: abstr. 205, 3月24日(1996)に記載されているCMI-568。

(14)例えば、Pharmacol. Res. 44, 213 (2001)に記載されているLDP392(同義語:CMI392)。

(15)例えば、Int. J. Immunopharmacol. 22, 123 (2000)に記載されているリネタスチン(Linetastine)(同義語:リナゾラスト(linazolast)、TMK688、YM257)。

(16)例えば、Pharm. Res. 9, 1145 (1992)に記載されているロナパレン(Lonapalene)(同義語:RS43179)。

(17)例えば、Ann. N.Y. Acad. Sci. (Immunosuppressive and Antiinflammatory Drugs) 696, 415 (1993)に記載されているLY-221068。

(18)例えば、Agents and Actions 42, 67 (1994)に記載されているLY269415。

(19)例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 14, 2265 (2004)に記載されている、ヒスタミンHレセプターアンタゴニスト活性を有する5-LOインヒビター、例えば次の化合物。

(20)BF-389。

(21)例えば、J. Pharmacol. Exp. Therap. 265, 483 (1993)に記載されている、BIL226及びBIL357。

(22)例えば、J. Antibiotics 46, 705 (1993)に記載されている、BU4601A、BU4601B及びBU4601C。

(23)例えば、J. Pharm. Exp. Therap. 277, 17 (1996)に記載されているBW755C。

(24)例えば、Eur. J. Biochem. 267, 3633 (2000)に記載されているBW-A4C。

(25)例えば、Br. J. Pharmacol. 108 (Suppl), 186P (1993)に記載されているBWB70C。

(26)CBS1108。

(27)例えば、Inflamm. Res. 44 (Suppl. 2) 147 (1995)に記載されているCGS26529。

(28)例えば、J. Med. Chem. 38, 68 (1995)に記載されている、CGS25667、CGS25997及びCGS25998。


(29)例えば、J. Med. Chem. 36, 3580 (1993)に記載されているCGS-23885。

(30)CI-986。

(31)例えば、J. Med. Chem. 35, 3153 (1992)に記載されているCT3(同義語:アジュメル酸(ajumelic acid)、DMH-11C、HU239)。

(32)例えば、Ann. Oncol. 11, 1165 (2000)に記載されているCV6504。

(33)例えば、Arthritis and Rheumatism 42 (Suppl.) 404 (1999)、同書 42 (Suppl.) 81 (及びポスター) (1999)及びJ. Med. Chem. 37, 322 (1994)に記載されているダルブフェロン(Darbufelone)(同義語:CI-1004、PD136095-0073)及びその類似体。

(34)例えば、Int. Arch. Allergy and Immunol. 100, 178 (1993)及びBiochim. Biophys. Acta 713, 470 (1982)に記載されている、ドセベノン(Docebenone)(同義語:AA861)及びその類似体。

(35)例えば、J. Med. Chem. 33, 360 (1990)に記載されているDuP654。

(36)例えば、BTG International Inc. Company Communication 15 10月(1999)、及びBioorg. Med. Chem. 3, 1255 (1995)に記載されているXA547。
(37)E-3040。

(38)例えば、Res. Commun. Mol. Pathol. Pharmacol. 86, 75 (1994)に記載されているE6080。

(39)E6700。

(40)例えば、J. Antibiotics 46, 25 (1993)に記載されており、ストレプトミセス・アヌラタスT688-8から単離された化合物であるエポカルバゾリン(Epocarbazolin)A。

(41)例えば、Inflamm. Res. 47, 375 (1998)に記載されているER34122。

(42)例えば、Exp. Dermatol. 2, 165 (1993)に記載されているETH615。

(43)例えば、XV International Congress of Allergology and Clinical Immunology (Suppl 2) 325 (1994)に記載されているF1322。

(44)例えば、Allergy (Suppl.) 47, 47 (1992)に記載されている、フレザラスチン(Flezalastine)(同義語:D18024、IDB18024)。

(45)例えば、Int. Arch. Allergy and Applied Immunol. 90, 285 (1989)に記載されているアゼラスチン。

(46)例えば、Agents and Actions 30, 432 (1990)に記載されているFPL62064。

(47)例えば、Am. Rev. Resp. Dis. 145, A614 (1992)に記載されているFR110302。

(48)例えば、J. Med. Chem. 39, 246 (1996)に記載されている、HP977及びP10294。

(49)P-8977。

(50)例えば、Rinsho Iyaku. 11, 1577 & 1587 (1995)に記載されているHX-0835。

(51)例えば、J. Med. Chem. 36 3904 (1993)に記載されているHX-0836。

(52)Bioorg. Med. Chem. Lett. 6, 93 (1996)に記載されている次の化合物。

(53)例えば、Arzneimittel-Forschung (Drug Research) 39, 1242 & 1246 (1989)に記載されているイコデュリニウム(Icodulinium)(同義語:CBS113A、イコデュリン(icoduline))。

(54)例えば、Eur. Resp. J. 7 (Suppl. 18), 48 (1994)に記載されているKC-11404。

(55)KC-11425。

(56)KME4。

(57)例えば、Adv. Prostaglandin, Thromboxane and Leukotriene Res. 17, 554 (1987)に記載されているL651392。

(58)L651896。

(59)L652343。

(60)L653150。

(61)例えば、J. Gastroenterol. Hepatol. 11, 922 (1996)に記載されているL-656224。

(62)例えば、J. Med. Chem. 37, 512 (1994)に記載されているL-702539。

(63)L-670630。

(64)例えば、Curr. Opin. Invest. Drugs 2, 683 (1993)に記載されているL-691816。

(65)例えば、J. Med. Chem. 38, 4538 (1995)に記載されているL699333。

(66)L739010。

(67)例えば、J. Antibiotics 46, 900 (1993)に記載されているラグナマイシン(Lagunamycin)

(68)例えば、Eur. J. Pharm. 453, 131 (2002)及びJ. Med. Chem. 37, 1894 (1994)に記載されているリコフェロン(Licofelone)(同義語:ML3000)。

(69)PD145246。

(70)R840(同義語:S26431)。

(71)例えば、Arch. Dermatol. 128, 993 (1992)に記載されているR68151。

(72)例えば、Skin Pharmacol. 9, 307 (1996)に記載されているR85355。

(73)例えば、J. Allergy Clin. Immunol. 91, 214 (1993)に記載されているREV5901(同義語:PF5901、レブロン(Revlon)5901、RG5901)。

(74)例えば、214th Am. Chem. Soc. Nat. Meeting. abstr. MEDI 091 (1997)に記載されているRWJ63556。

(75)例えば、Mediators of Inflammation 8 (Suppl. 1), 134 & 135 (1999)に記載されているS19812。

(76)例えば、J. Allergy and Clin. Immunol. 89, 208 (1992)に記載されているSC45662。

(77)SC-41661A。

(78)SCH40120。

(79)SKF-86002。

(80)SKF104351及びSKF105809。

(81)例えば、J. Med. Chem. 39, 5035 (1996)に記載されているSKF-107649。

(82)例えば、Jap. J. Pharmacol. 66, 363 (1994)に記載されているT0757及びT0799。

(83)例えば、Naunyn-Schmiedeberg's Arch. Pharmacol. 358 (Suppl. 2) 737 (1998)に記載されているTA270。

(84)例えば、Jap. J. Pharmacol. 65, 19 (1994)及び同書, 64 (Suppl. 1), 312 (1994)に記載されているタゴリジン(Tagorizine)(同義語:AL3264)。

(85)例えば、J. Pharmacol. Exp. Therap. 271, 1399 (1994)に記載されているテポキサリン(Tepoxalin)(同義語:ORF20485、RWJ20485)。

(86)例えば、Inflamm. Res. 44 (Suppl. 3), 273 (1995)に記載されているUPA780。

(87)VUFB19363。

(88)例えば、Arzneimittel-Forschung (Drug Research) 25, 155 (1995)に記載されているVZ564。

(89)J. Med. Chem. 40, 819 (1997)に記載されている次の化合物。

(90)WAY120739。

(91)例えば、Agents and Actions 39 (Spec. issue C1) C30 (1993)及びExp. Opin. Invest. Drugs 6, 279 (1997)に記載されているWAY121520。

(92)例えば、Inflamm. Res. 44 (Suppl. 2), 170 (1995)に記載されているWAY-126299A。

(93)例えば国際公開第04/004773号に記載されているWAY-125007。

(94)例えば、216th Am. Chem. Soc. Nat. Meeting. abstr. MEDI 363 (1998)に記載されているWHIP97。

(95)例えば、J. Med. Chem. 38, 1473 (1995)に記載されているWY28342。

(96)例えば、Eur. J. Pharmacol. 236, 217 (1993)に記載されているWY50295(WY49232のS-エナンチオマー)。

(97)例えば、Asthma 95: Theory to Treatment 15 (1995)及びTrends in Pharm. Sci. 13, 323 (1992)に記載されているZD2138(同義語:ICI D2138)。

(98)例えば、Inpharma 660, 9 (1994)に記載されているZM230487(同義語:ICI230487)。

(99)例えば、欧州特許第0623614号に記載されている、ZD4007及びZD4407。

(100)例えば、欧州特許第0462813号に記載されているZD7717。

(101)ZM-216800。

(102)例えば、Bioorg. Med. Chem. 11, 3879 (2003)に記載されている、CJ-12918及びその類似体。

(103)Bioorg. Med. Chem. Lett. 12, 779 (2002)において、混合5-LO/COX-2インヒビターとして記載されている化合物、例えば次の化合物。

(104)例えば、Br. J. Pharmacol. 117, 615 (1996)及びEur. J. Biochem. 256, 364 (1998)に記載されている、AKBA(アセチル-11-ケト-β-ボスウェル酸)。

(105)Eur. J. Med. Chem. 22, 147 (1997)、及びArzneimittel-Forschung (Drug Research) 35, 1260 (1985)において、5-LO及びCOX二重インヒビターとして記載されている化合物、例えば2-アセチルチオフェン-2-チアゾリルヒドラゾン(CBS-1108)及びN-フェニルベンズアミドラゾン。


(106)例えば、Fifth Chemical Congress of North America, Abstract 01/1351 (1997)、及び同書. Abstract 01/1350 (1997)に記載されているボスエリン(Boswellin)(ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)抽出物)。
(107)例えば、米国特許第5985937号において5-LOインヒビターとして記載されている2,4,6-トリヨードフェノール。
(108)例えば、Curr. Opin. Invest. Drugs 4, 83 (2003)に記載されているニカラベン(Nicaraven)。

(109)例えば、欧州特許第0156603号、米国特許第4556672号、Arthritis Rheum. 31, Suppl. S52 (1988)及びP. Katzら, 同書. S52に記載されているテニダップ(Tenidap)。

(110)J. Med. Chem. 39, 3938 (1996)において、5-LOインヒビターとして記載されている環状ヒドラジド類、例えばフェニドン(phenidone)、1-フェニル-2H-テトラヒドロピリダジン-3-オン、及び1-フェニルペルヒドロ-1,2,4-テトラヒドロピリダジン-3-オン。

(111)例えば、J. Med. Chem. 34, 1028 (1991)に記載されているICI207968。

(112)例えば、J. Med. Chem. 34, 2176 (1991)に記載されているICI211965、及び他の(メトキシアルキル)チアゾール類。

(113)J. Med. Chem. 32, 1006 (1989)に記載されている、2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラノール類、例えば次の化合物。

(114)Bioorg. Med. Chem. 11, 4207 (2003)に記載されている、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール誘導体、例えばテブフェロン(tebufelone)、R-830及びS2474。

(115)J. Med. Chem. 41, 1112 (1998)において、5-LO/COX-2インヒビターとして記載されている7-tert-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベンゾフラン類、例えばPGV-20229。

(116)Eur. J. Med. Chem. 35, 1897 (2003)において、5-LO/COX二重インヒビターとして記載されている化合物、例えば次の化合物。

(117)例えば、Biochem. Pharm. 62, 903 (2001)に記載されている、キク科のいくつかの植物種から単離できるセスキテルペンラクトンであるヘレナリン(Helenalin)。
(118)例えば、Int. J. Immunopharmacol. 22, 483 (2000)に記載されている、AS-35、つまり(9-[(4-アセチル-3-ヒドロキシ-2-n-プロピルフェノキシ)メチル]-3-(1H-テトラゾール-5-イル)-4H-ピリド[1,2-α]ピリミジン-4-オン)。

(119)例えば、Planta Medica 65, 222 (1999)に記載されているマグノロール。

(120)例えば、Arch. Allergy and Immunol. 110, 278 (1996)に記載され、漢方薬から抽出されるホノキオール(Honokiol)。

(121)クリサロビン。

(122)E-3040。

(123)例えば、Chirality 16, 1 (2004)に記載されているフロブフェン(Flobufen)。

(124)例えば、Eur. J. Pharmacol. 404, 375 (2000)に記載されているYPE-01。

(125)BW-A137C

(126)LY-233569

(127)PD-138387

(128)SB-210661

(129)DuP-983

(130)BTS-71321

(131)例えば、Toxicon. 24, 614 (1986)に記載されているピリポスト(Piripost)。
(132)例えば、Eur J Pharmacol 205, 259 (1991)に記載されているMK-866。
(133)例えば、Chest 123, 371S (2003)に記載されているUCB62045。
(134)例えば、J. Immunol. 140, 2361 (1988)に記載されているONO-LP-049。
(135)3323W、L-697198、L-7080780、FR-122788、CMI-206、FPL-64170及びPD-089244。
【0020】
挙げることのできる他の特異的5-LOインヒビターには、概説論文Prog. Med. Chem., G. P. Ellis及びD. K. Luscombe, Elsevier 29, 1 (1992)、及びJ. Med. Chem. 14, 2501 (1992)に記載されているものが含まれる。
挙げることのできるFLAPの特異的インヒビターには、次のものが含まれる。
(a)例えば、Mol. Pharmacol. 40, 22 (1991)に記載されている、L-674573及び関連FLAPインヒビター(例えばL-655238)。

(b)例えば、J. Med. Chem. 38, 4538 (1995)に記載されているL-674636。

(c)例えば、Mol. Pharmacol. 41, 267 (1992)に記載されている、L-689037、及び光親和性類似体[125I]-669083及び[125I]-691678。

(d)例えば、J. Med. Chem. 38, 4538 (1995)に記載されているL-705302。

(e)例えば、米国特許第5081138号、Am. Rev. Resp. Dis. 147, 839 (1993)、Eur. J. Pharmacol. 267, 275 (1994)、The Search for Anti-Inflammatory Drug. 233 (1995) V. J. Merluzzi及びJ. Adams編, Boston, Birkhauserに記載されているMK-886(同義語:L663536、MK0886)。

(f)例えば、国際公開第93/16069号、米国特許第5308850号及び国際公開第94/13293号に記載されている、MK-886に構造的に関連した化合物。
(g)例えば、J. Physiol. Pharmacol. 70, 799 (1992)及びJ. Lipid Mediators 6, 239(1993)に記載されているキフラポン(Quiflapon)(同義語:MK-591、L686708)。

(h)例えば、Thorax 52, 342 (1997)に記載されているBAYX1005。

(i)例えば、Arthritis and Rheumatism 39, 515 (1996)及びDrug & Market Devel. 7, 177 (1996)に記載されているBAYY105。

(j)例えば、Pharmacologist 39, 33 (1997)に記載されているVML530(同義語:ABT080)。

【0021】
挙げることのできるLTA加水分解酵素のインヒビターには、次のものが含まれる。
(A)米国特許第5455271号及び国際公開第94/00420号においてLTA加水分解酵素のインヒビターとして記載されている化合物、例えば次のもの。


(B)J. Med. Chem. 36, 211 (1993)及びJ. Am. Chem. Soc. 114, 6552 (1992)において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えば次の化合物。

(C)国際公開第00/50577号の請求項24の方法により同定可能な化合物。
(D)米国特許第6506876号においてLTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えばSC-56938。

(E)例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 12, 3383 (2002)に記載されているSC-56938の類似体。
(F)米国特許第5719306号においてLTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えば次のもの。

(G)国際公開第96/11192号においてLTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えば次のもの。

(H)米国特許第6265433号及び国際公開第98/40364号においてLTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えば次のもの。


(I)米国特許第6506876号及び国際公開第96/10999号においてLTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えば次のもの。

(J)国際公開第98/40370号においてLTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えば次のもの。

(K)国際公開第98/40354号においてLTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物。
(L)欧州特許第0360246号においてLTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物(3-オキシラニル安息香酸)、例えば次のもの。

(M)例えば日本国特許公報第01211549A2号に記載されている20,20,20-トリフルオロロイコトリエンB4誘導体、例えば次の化合物。

(N)欧州特許第1165491号及び国際公開第00/059864号において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えば2-アミノ-6-(4-ベンジルフェノキシ)ヘキサン酸。

(O)米国特許第6436973号及び国際公開第00/017133号において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えば(2S,3R)-2-アミノ-3-(ベンジルオキシ)ブタン-1-チオール。

(P)Bioorg. Med. Chem. 3, 969 (1995)において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えば次のもの。

(Q)独国特許出願公開第4121849A1号において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている[4-(ω-アリールアルキル)フェニル]アルカン酸、例えば次のもの。

(R)独国特許出願公開第4118173A1号において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されているアラルキルチエニルアルカノアート類、例えば次のもの。

(S)独国特許出願公開第4118014A1号において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されているω-[(4-アリールアルキル)チエン-2-イル]アルカノアート類、例えば次のもの。

(T)J. Med. Chem. 35, 3156 (1992)において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている化合物、例えばRP64966。

(U)J. Med. Chem. 35, 3170 (1992)に記載されており、RP66153に構造的に関連した化合物。
(V)独国特許出願公開第4314966A1号において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている2-ヒドロキシフェニル置換イソオキサゾール類、例えば次のもの。

(W)例えば、J. Nat. Cancer Institute 95,1053 (2003)に記載されているベスタチン。

(X)例えば、J. Med. Chem. 43, 721 (2000)に記載されているSC-22716(1-[2-(4-フェニルフェノキシ)エチル]ピロリジン)。

(Y)例えば、J. Med. Chem. 45, 3482 (2002)及びCurr. Pharm. Design 7, 163 (2001)に記載されているSC57461A。

(Z)Med. Chem. Lett. 13, 1137 (2003)において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されているイミダゾピリジン類及びプリン類。
(AA)例えば、FASEB Journal 16, 1648 (2002)に記載されているカプトプリル。

(AB)国際公開第99/40910号において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されているヒドロキサム酸誘導体、例えば次のもの。

(AC)例えば、日本国特許第11049675A2号に記載されているAB5366。
(AD)例えば、国際公開第96/27585号、Life Sci. 64, PL51-PL56 (1998)、及びEur. J. Pharmacol. 346, 81 (1998)に記載されているSA6541。

(AE)日本国特許公報第10265456A2号において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている、N-メルカプトアシルプロリン類を含む化合物、例えば次のもの。

(AF)例えば、Biochem. J. 328, 225 (1997)に記載されている14,15-デヒドロロイコトリエンA4。
(AG)例えば、J. Natural Products 59, 962 (1996)に記載されており、ストレプトミセス・ジアスタティクス(Streptomyces diastaticus)により生成される8(S)-アミノ-2(R)-メチル-7-オキソノナン酸。

(AH)例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 5, 2517 (1995)に記載されている、ヒドロキサム酸含有ペプチドケラトルファン(kelatorphan)。
(AI)Bioorg. Med. Chem. 3, 1405 (1995)において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されているアミノヒドロキサム酸、例えば次のもの。

(AJ)J. Pharmacol. Exp. Therap. 275, 31 (1995)において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されている、α-ケト-β-アミノエステル及びチオアミン類。
(AK)日本国特許公報第05310668A2号において、LTA加水分解酵素インヒビターとして記載されているN-(フェニルブタノイル)ロイシン類。

挙げることのできる他の特異的LTA加水分解酵素インヒビターには、概説論文Curr. Pharm. Design 7, 163 (2001)及びCurr. Med. Chem. 4, 67 (1997)に記載されているものが含まれる。
【0022】
挙げることのできる(BLT1等の)LTBレセプターのアンタゴニストには、次のものが含まれる。
(i)米国特許第6291530号において、LTBレセプターアンタゴニストとして記載されている化合物、例えば(E)-[5-(2-ジエチルカルバモイル-1-メチルビニル)-2-(2,6-ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]酢酸。

(ii)米国特許出願公開第2002/0128315号において、LTBレセプターアンタゴニストとして記載されている化合物、例えば4-(4-フェニルピペリジニルメチル)安息香酸4-アミジノフェニルエステル及び4-(2-フェニルイミダゾリルメチル)安息香酸4-アミジノフェニルエステル。

(iii)米国特許出願公開第2004/0053962号において、LTBレセプターアンタゴニストとして記載されている化合物、例えば2-(2-プロピル-3-(3-(2-エチル-4-(4-フルオロフェニル)-5-ヒドロキシフェノキシ)プロポキシ)フェノキシ)安息香酸。

(iv)例えば、J. Pharmacol. Exp. Therap. 297, 458 (2001)及び国際公開第02/055065号に記載されているBIIL。

(v)例えば、J. Pharmacol. Exp. Therap. 285, 946 (1998)に記載されている、CP105696及びCP195543。

(vi)LY210073

(vii)LY223982(同義語:CGS23131、SKF107324)。

(viii)例えば、Eur. J. Pharmacol. 223, 57 (1992)に記載されている、LY255283(同義語:CGS23356、LY177455)。

(ix)LY292728。

(x)例えば、Drugs of the Future 21, 610 (1996)、Clin. Cancer Res. 8, 3232 (2002)及び国際公開第01/085166号に記載されている、LY293111(同義語:VML295)。

(xi)LTB019。
(xii)例えば、Exp. Opin. Therap. Patents 5, 127 (1995)に記載されている、モキシルバント(Moxilubant)(同義語:CGS25019C)。

(xiii)例えば、Drugs of the Future 18, 794 (1993)に記載されているオロパチジン(Olopatidine)(同義語:アレロック(allelock)、ALO4943A、KW4679、パタノール(Patanol)(登録商標))。

(xiv)例えば、Gastroenterology 110 (Suppl.), 110 (1996)に記載されている、ONO4057(同義語:LB457)。

(xv)例えば、J. Pharm. Exp. Therap. 271, 1418 (1994)に記載されているオンタゾラスト(Ontazolast)(同義語:BIRM270)。

(xvi)例えば、Eur. J. Pharmacol. - Enviromental Toxicology and Pharmacology Section 293, 369 (1995)に記載されているPF10042。

(xvii)例えば、Pharmacologist 34, 205 (1992)に記載されているRG14893。

(xviii)例えば、ISSX Proceedings 6, 232 (1994)に記載されているRO254094。

(xix)RP66153。

(xx)RP66364。

(xxi)RP69698。

(xxii)例えば、Thorax 53, 137 (1998)に記載されているSB201146。

(xxiii)例えば、J. Med. Chem. 36, 2703 (1993)に記載されているSB201993。

(xxiv)例えば、J. Pharmacol. Exp. Therap. 269, 917 (1994)に記載されているSC41930。

(xxv)SC50605。

(xxvi)SC51146。

(xxvii)例えば、Inflammation Res. 44 (Suppl. 2), 143 (1995)に記載されているSC53228。

(xxviii)例えば、Adv. Prostaglandin Thromboxane and Leukotriene Res. 23, 275 (1995)に記載されている、チコルバント(Ticolubant)(同義語:SB209247)。

(xxix)例えば、Adv. Prostaglandin Thromboxane and Leukotriene Res. 23, 275 (1995)に記載されているU75302(同義語:U75485、U77692、U78489)。

(xxx)例えば、Inflammation Res. 44, (Suppl. 3) 268 (1995)に記載されているVM301(同義語:OAS1000、シュードプテロシン(pseudopterosin)Aメチルエーテル)。
(xxxi)例えば、Inpharma 1094, 9 (1997)に記載されているZD158252。
(xxxii)例えば、Inpharma 1094, 9 (1997)に記載されているZK158252。

(xxxiii)例えば、Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol. 2004, Mar 11[印刷より早い電子版]に記載されているU-75509。
(xxxiv)例えば、Br. J. Pharmacol. 139, 388 (2003)に記載されているCP-105696。
(xxxv)例えば、Clin. Cancer Res. 8, 3232 (2002)に記載されているLY293111。
【0023】
上に列挙され又は言及された化合物は、商業的に入手可能であり、商業的に入手可能な材料から当業者に知られている技術により調製することができ、及び/又は上述した文献を介して特定できる方法(すなわち、その文献又はそこで特定された文献において詳述されている方法)により調製することができる。よって、LTBの合成及び/又は機能を阻害する特定の化合物について記載している上述の文献の開示は出典明示によりここに援用する。
【0024】
本発明の方法による治療を必要とする患者(例えばヒト患者)には、標準的な診断方法で、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫を患っていると決定(例えば、患者が熱、貧血、発汗及び/又は疲労を感じているかどうかの決定−また例えば:Epidemiol. Rev. 20, 187 (1998); Blood 87, 4990 (1996); J. Clin. Oncol. 17, 3835 (1999); Cancer 48, 198 (1981); 及びBlood 46, 219 (1975)を参照)された患者が含まれる。
【0025】
ここで使用される場合、「異なる作用機序を有する癌化学療法剤」なる用語には、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビター以外で、癌を治療するために使用することができる任意の化合物が含まれる。
よって、その用語には、次の薬剤が含まれる。
(a)(i)ナイトロジェンマスタード、例えばメクロレタミン(HN)、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)及びクロラムブシル;
(ii)エチレンイミン類及びメチルメラミン類、例えばヘキサメチルメラミン、チオテパ;
(iii)アルキルスルホナート類及びチオスルホナート類、例えばブスルファン、メタンスルホン酸メチル(MMS)及びメタンチオスルホン酸メチル;
(iv)ニトロソ尿素類及びニトロソグアニジン類、例えばカルムスチン(BCNU)、ロリムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)、ストレプトゾシン(ストレプトゾトシン)及びN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG);及び
(v)トリアゼン類、例えばダカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミダゾールカルボキシアミド);
を含むアルキル化剤。
(b)(i)葉酸類似体、例えばメトトレキセート(アメトプテリン);
(ii)ピリミジン類似体、例えばフルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FUdR)及びシタラビン(シトシンアラビノシド);及び
(iii)プリン類似体及び関連インヒビター、例えばメルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)及びペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン);
を含む代謝拮抗剤。
(c)(i)ビンカアルカロイド類、例えばビンブラスチン(VLB)及びビンクリスチン;
(ii)エピポドフィロトキシン類(epipodophyllotoxins)、例えばエトポシド及びテニポシド;
(iii)抗生物質、例えばダクチノマイシン(アクチノマイシンA、C、D又はF)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン(rubidomycin))、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、及びマイトマイシン(マイトマイシンA、B又はC);
(iv)酵素、例えばL-アスパラギナーゼ;及び
(v)生物学的応答調節物質、例えばインターフェロンアルフェノームズ(alphenomes);
を含む天然産物。
(d)(i)白金配位錯体、例えばシスプラチン(cis-DDP)及びカルボプラチン;
(ii)アントラセンジオン、例えばミトキサントロン及びアントラサイクリン;
(iii)ヒドロキシ尿素;
(iv)メチルヒドラジン誘導体、例えばプロカルバジン(N-メチルヒドラジン、MIH);
(v)副腎皮質抑制剤、例えばミトタン(o,p'-DDD)及びアミノグルテチミド;
(vi)タキソール及び類似体/誘導体;
(vii)ホルモンアゴニスト/アンタゴニスト、例えばフルタミド及びタモキシフェン;
(viii)光活性化される化合物(例えばソラレン);
(ix)DNAトポイソメラーゼインヒビター(例えば、m-アムサクリン及びカンプトセシン);
(x)抗血管新生剤(例えば、SU6668、SU5416、コンブレタスタチン(combretastatin)A4、アンジオスタチン及びエンドスタチン);及び
(xi)免疫療法剤(例えば放射標識抗体、例えばベグザーTM及びセラギン(Theragyn)TM(ペムツモマブ(Pemtumomab)TM));
を含む種々の薬剤。
【0026】
本発明の第3及び第4の態様に関し、「投与される」なる用語には、他の癌化学療法剤(すなわち、異なる作用機序を有する薬剤)を、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターを用いた患者の治療前、治療中及び/又は治療後に投与することが含まれる。他の癌化学療法剤の投与は、好ましくは、この医薬を用いた治療の48時間前から48時間後の期間(例えば、24時間前から24時間後の期間内)になされる。特に好ましいのは、治療の12時間前から12時間後の期間(例えば、6時間前から6時間後の期間内)、特に治療の3時間前から3時間後の期間内、又は治療の2から5時間前の期間内に投与がなされることである。また、他の癌化学療法剤及び/又はLTBの生合成及び/又は機能のインヒビターを複数回投与することも考慮される。
そのような場合、上述の相対的時間スケールは、他の癌化学療法剤とLTBの生合成及び/又は機能のインヒビターの隣接用量の投与間の時間分離に関連している。
【0027】
「薬学的に許容可能な誘導体」なる用語には、塩(薬学的に許容可能な無毒の有機又は無機酸付加塩)及び溶媒和物が含まれる。
ここで記載された方法は、B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療において、従来から知られている類似の方法(治療法)よりも、医者及び/又は患者にとってより簡便で、より効果があり、より毒性が少なく、より広範囲の活性を有し、より強力で、副作用の発生がより少なく、あるいは他の有用な薬理学的性質を有しうるという効果を奏しうる。
【0028】
(生物学的試験)
材料及び方法
試薬及び細胞株:
カルシウムイオノフォアA23187を、カルバイオケム-ベーリング社(Calbiochem-Behring)(ラ・ホーヤ、カルフォルニア、U.S.A.)から購入した。HPLC溶媒をラスバーン・ケミカルズ(Rathburn chemicals)(ウォーカーバーン(Walkerburn)、U.K.)から、LTB及びプロスタグランジン(PG)Bの合成標準体をバイオモール(Biomol)(プリマス・ミーティング(Plymouth meeting)、Pa、U.S.A.)から得た。BWA4Cはローリー・ジー・ガーランド(Lawrie G Garland)、ウェルカム・リサーチ(Wellcome Research)研究所、UKから、MK-886はジリー・エフ・エバンス(Jilly F.Evans)、治療法研究のためのメルク・フロスト・センター(Merck Frosst Centre)、CAからの贈与品である。アゾジカルボン酸ビス(ジメチルアミド)(ジアミド)はシグマ社(Sigma)(ストックホルム、SE)から購入した。活性化のために、ヒトCD40Lを形質移入したマウス線維芽L細胞(CD40LL細胞)を、またコントロールとして形質移入していないL細胞(CD40L)を使用した(J. Exp. Med. 182, 1265 (1995)を参照)。
【0029】
細胞の単離:
直前の6週間内に化学療法を受けていない、B-CLL又はB細胞前リンパ球性白血病(B-PLL)を患っている患者から、B細胞を単離した(以下の表1を参照)。

(診断時における患者のデータ及びRai病期(Rai stadium)。生存期間は診断からの月数として測定する(+は患者がまだ生存していることを意味する)。患者3及び6は治療を受けていなかった。他の患者は1から6の異なる治療法で数種の治療コースを受けていた。)
【0030】
インフォームド・コンセント後に地方の倫理委員会の承認を得て、末梢血液試料を得た。血液試料を、フィコール・イソペーク(Ficoll-Isopaque)で精製し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。その後、細胞を、50%のヒトAB血清及び10%のジメチルスルホキシドを含むPBS中で凍結させるか、又は新鮮なまま分析した。凍結した細胞試料を解凍し、分析前に、氷冷されたウシ胎児血清と続いてPBSで洗浄した。2人の患者からの細胞を、新鮮に単離された細胞と、類似した結果の凍結後の双方で、2回使用した。しかしながら、類似した結果が得られた(データは示さず)。単離された細胞の純度は、フローサイトメトリー分析(FACS Calibur、ベクトン・ディッキンソン、マウンテンビュー、CA)により推定した。メイ-グリューネバルト(May-Grunewald)/ギームザ溶液を用いて染色した後に、形態学的分析を実施した。B-CLL及びB-PLL細胞の純度は>98%であった。
【0031】
無傷のB-CLL細胞のインキュベーション:
10×10の細胞を1mLのPBS中に懸濁させ、アラキドン酸(40μM)及び/又はカルシウムイオノフォアA23187(1μM)で刺激する前に、ジアミドと略したアゾジカルボン酸ビス(ジメチルアミド)(100μM)と共に/これを伴わずに2分間プレインキュベートした。細胞を37℃で5分間刺激し、1mLのメタノールを用いてインキュベーションを終了させた。
【0032】
超音波処理したB-CLL細胞のインキュベーション:
10×10の細胞を、EDTA(2mM)を含むカルシウム非含有のPBS1ml中に再懸濁させ、5秒で3回、超音波処理した。塩化カルシウム(2mM)及びアラキドン酸(40μM)を添加する前に、ATP(1mM)の存在下で、細胞を2分間プレインキュベートした。37℃でのインキュベーションの5分後に、1mLのメタノールを用いて反応を終了させた。
【0033】
ロイコトリエン類の分析:
試料に0.5mlのPBS及び内部標準PGB(100pmol)を添加した後、細胞を遠心分離(2500rpm、5分)した。続いて、上清をクロマボンド(Chromabond)C18カラム(200mg、マシュレ&ナーゲル(Macherey & Nagel))での固相抽出にかけた。メタノール溶出液をウォーターズ・アライアンス(Waters Alliance)2695逆相HPLCで分析し、ウォーターズPDA996を用いて検出した。移動相として、メタノール:水:トリフルオロ酢酸(70:30:0.007、v/v)を流量1.2mL/分で使用した。合成標準体の保持時間との比較によって定性分析を行い、溶出ピークの面積のコンピュータでの積分によって定量を実施した。
【0034】
BLT1の発現:
正常なドナーからの新鮮な血液試料と患者からの新鮮な試料を、フィコール・イソペークで分離し、PBSで洗浄した。健常なドナーからの全血白血球(顆粒球を含む)を分析するために、細胞をPBSで洗浄し、FACS溶解溶液(ベクトン・ディッキンソン)を用いて溶解させ、PBSで洗浄した。凍結した患者試料(B-CLL及びB-PLL)を(上述したようにして)解凍し、PBSで洗浄した。100μLのPBS中に細胞を再懸濁させた後、製造者の使用説明書に従って抗体を添加し、室温で10分間、インキュベートした。細胞を2mLのPBSで洗浄し、セルクエスト(CellQuest)ソフトウェアを使用したFACS Calibur(ベクトン・ディッキンソン)で分析する前に、1%のパラホルムアルデヒドで固定した。
この研究では、フローサイトメトリーで使用する全ての抗体は、フルオレセインイソチオニン(FITC)、フィコエリトリン(Pe)又はペリディニン(peridinin)クロロフィルタンパク質(PerCP)と、直接結合させた。
BLT1抗体7B1 FITCを社内で産生した(Biochem. Biophys. Res. Commun. 279, 520 (2000)を参照)。IgG1-FITC、IgG1-Pe、IgG1 Percp、CD4-Pe、CD5-Pe、CD8-Percp、CD14-FITC、CD14-Pe、CD19-FITC、CD19-Pe、CD20-Percp、CD22-Pe、CD33-FITC、CD33-Pe、IgG2a-FITC(ベクトン・ディッキンソン)。
【0035】
DNA合成:
精製されたB-CLL細胞を、10%のFCS、2mMのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンが補填されたRPMI1640培地で培養し、5%のCO雰囲気下、37℃でインキュベートした。2×10のB-CLL細胞を、96-ウェルプレート中で200μLの培地に播種した。インヒビターの存在下、放射線照射(15000Rad)されたCD40L発現L(CD40L-L)細胞又はコントロールL(L)細胞と同時培養する前に、B-CLL細胞を、MK-886(特異的FLAPインヒビター)(10−6〜10−9M)又はBWA4C(特異的5-LOインヒビター)(10−7〜10−9M)を用いて30分、前処理した。LTB(10−7M)は標示された培養物中に存在していた。各試料は3組を代表する。1μCiH-チミジンは、96時間の培養の最後の8時間の間、ウェル中に存在していた。細胞をガラス繊維フィルター上に収集し、放射能を液体シンチレーションカウンターで測定した。
【0036】
CD23、CD54及びCD150の発現のフローサイトメトリー分析:
(上述したようにして)培養されたB-CLL細胞を収集し(プラスチックに付着したL細胞は用いず)、FACS検出に使用した。表面マーカーの発現を間接的な免疫蛍光測定により検出した。100万の細胞/試料を、1%のFCS及び0.1%のアジ化ナトリウムを含む冷PBSで洗浄し、ついで関連抗体に暴露した。細胞を洗浄し、RPE結合二次抗体と共にインキュベートした。全てのインキュベーションは4℃で行った。
試料を、ベクトン・ディッキンソンFACScanフローサイトメーター(ベクトン・ディッキンソン、マウンテンビュー、CA)に流した。セルクエストソフトウェア(ベクトン・ディッキンソン)を、試料の取得と分析の双方に使用した。1万の事象をFACScanフローサイトメーターで収集し、セルクエスト(ベクトン・ディッキンソン)ソフトウェアを使用して結果を分析した。
【0037】
生存細胞のみを、その光散乱(FSC/SSC)特性に基づいた分析用に考慮した。次の抗体を使用した:MAb MHM-6(抗CD23、Dr. M. Rowe、ウェールズ大学、カーディフ、UK)、MAb LB-2(抗CD54、E.A. Clark、ワシントン大学、シアトル、WA)、MAb IPO-3(抗SLAM、S. Sidorenkoからの贈与品、ウクライナ科学アカデミー、キエフ、ウクライナ)及びRPE結合ウサギ抗マウスIg F(ab')(ダコ(Dako)、コペンハーゲン、デンマーク)を二次抗体として使用した。
【0038】
結果
ロイコトリエン類を産生するB-CLL細胞の能力を調べた。細胞を、カルシウムイオノフォアA23187、アラキドン酸、又はカルシウムイオノフォアとスアラキドン酸併用のいずれかに暴露した。カルシウムイオノフォアA23187又はアラキドン酸のみへの暴露では、いずれの細胞クローンも検出可能な量のロイコトリエン類を生成しなかった。カルシウムイオノフォアA23187とアラキドン酸を併用した細胞の活性化により、LTBの生成に至った(平均2.6±0.8pmol/10細胞)。カルシウムイオノフォアとアラキドン酸を添加する前に、チオール反応性剤ジアミドと共に無傷細胞をプレインキュベートすることにより、未処理の無傷細胞と比較して、LTBの顕著な生成増に至った(平均33.5±1.2pmol/10細胞)(図1)。これらの結果は先の報告と一致する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 3521 (1992) 及びEur. J. Biochem. 242, 90 (1996)を参照)。同様の量のLTB(平均34.8±1.7pmol/10細胞)が、アラキドン酸と共にインキュベートした破壊細胞調製物中に生成された。ロイコトリエン類を生成する能力と病気の臨床段階との間には明白な相関関係はなかった(データは示さず)。総合すれば、これらの結果は、調べたB-CLLクローンの全てがLTBを生成する能力を有しており、全てのB-CLLクローンは、所定条件下で活性化され得る実質的な量の5-リポキシゲナーゼを含んでいることを証明している。
【0039】
BLT1の発現:
BLTR1の発現に対して、健常なドナーからの末梢血白血球をFACSで分析した。顆粒球、リンパ球及び単球のゲートを、前方及び側方散乱光に基づいて設定した。顆粒球にゲートをかけた(及びCD33陽性の)実質的に全ての細胞がBLT1を発現した(図2)。単球ゲート(CD14陽性)の細胞は、同じパターンのBLT1発現を示した(データは示さず)。リンパ球ゲートでは、活性化されていない末梢CD4陽性又はCD8陽性Tリンパ球では、BLT1の発現は観察されなかった(図2b及び2c)。これらの結果は、活性化されていない天然のマウスTリンパ球がBLT1を発現しないという観察と一致する(Nat. Immunol. 4, 982 (2003)を参照)。対照的に、30−50%のCD19、CD20及びCD22発現末梢Bリンパ球は、BLT1に対してポジティブに染色された(図2d)。末梢Bリンパ球でのBLT1の発現は顆粒球及び単球における場合よりも弱く、末梢Bリンパ球集団内において、徐々に増加する発現パターンを示した。同様の結果が近年報告されている(Int. Immunopharmacol. 3, 1467 (2003)を参照)。
【0040】
B-CLLを患っている5人の患者とB細胞前リンパ球性白血病(B-PLL)を患っている2人の患者からのB細胞を、BLT1の発現についてFACSで分析した。FACSで分析したBLT1の発現は、5つのB-CLLクローンにおいて約15%から85%と様々であった(平均42%)(図2e)。B-PLLグループでは、2つの調査クローンで、BLT1の平均発現度は74%であった。
【0041】
B-CLL細胞中でのDNA合成に対するロイコトリエン合成インヒビターの効果:
ロイコトリエン類がB-CLLの増殖にとって重要であるかどうかを解明するために、細胞を、ロイコトリエン生合成インヒビターの存在下で培養した。MK-886(特異的FLAPインヒビター)又はBWA4C(特異的5-リポキシゲナーゼインヒビター)の不存在下又は存在下で、96時間、B-CLL細胞を、CD40L発現L細胞又はコントロールL細胞と同時培養した。CD40-CD40L相互作用によりB-CLL細胞は活性化した結果、4日間の培養の最後の8時間の間でのH-チミジン取り込みとして測定して、DNA合成が増加した(図3)。100nM濃度のMK-886は、CD40-リガンド刺激により誘導されるDNA合成を顕著に阻害した(図3A)。血清タンパク質に対するMK-886の比較的高い結合性のため(Can. J. Physiol. Pharmacol. 67, 456 (1989)を参照)、DNA合成に対する1μMのMK-886の効果も所定の実験において調べた。インヒビターのこの濃度は、DNA合成の阻害をほんの少しより顕著に生じさせた。チミジン取り込みに対する1μM及び100nMのMK-886の阻害作用は、それぞれ46及び38%であった。ロイコトリエンB(最終濃度、150nM)は、CD40誘発性チミジン取り込みを増幅しなかった。しかしながら、外因性に加えられたLTB(150nM)は、チミジン取り込みに対するMK-886の阻害効果をほとんど完全に逆転させた。特異的5-リポキシゲナーゼインヒビターBWA4Cは、DNA合成をブロックするのに、MK-886よりも強力なインヒビターである(図3B)。チミジン取り込みに対するBWA4Cの有意な阻害効果は10nMで観察された。MK-866での結果と一致して、LTB(150nM)の外因性の添加により、チミジン取り込みに対する100nMのBWA4Cの阻害作用が、ほとんど完全に逆転した(図3B)。4日の培養後の細胞生存率は、インヒビター又はLTBの不存在下又は存在下の双方で、CD40L-Lで刺激された全てのB-CLL培養物で約80%であった(データは示さず)。総合すれば、ロイコトリエン合成のこれらの特異的インヒビターは、DNA合成の顕著な阻害を低濃度で生じさせ、これは、LTBの外因性の添加により逆転させることができる。
【0042】
B-CLL細胞中でのCD23、CD54及びCD150発現に対するロイコトリエン生合成インヒビター及びLTBの効果
CD23の発現は、B細胞の活性化のマーカーである。CD54(ICAM-1)は、多くのB-CLLクローンで様々な程度で発現する重要な付着分子である。CD150は、T細胞及びB細胞の双方向刺激に関与している抗原であり、活性化されたB細胞でアップレギュレートされる。FACS分析により、CD40-CD40L相互作用が3種全ての抗原の発現を増加させる原因であることが証明された(図4)。100nM濃度のMK-886及びBWA4Cは、CD40により誘発されるCD23、CD54及びCD150の発現増加に対して顕著に逆作用した。ロイコトリエンBは、調べた抗原の発現に対して、単独では如何なる有意な効果も生じさせなかった。しかしながら、150nMのLTB4の添加は、抗原発現に対するインヒビターの阻害効果をほとんど完全に逆転させた(図4)。これらの結果は、LTBが、B-CLL細胞の活性化及び組織浸潤に関連したこれらの抗原の発現に関与していることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は種々の条件下でのB-CLL細胞によるLTBの生合成レベルを示す。B-CLL細胞(10×10)は、カルシウムイオノフォアA23187(最終濃度、1μM)と共に37℃で5分間インキュベートし;アラキドン酸(AA)(最終濃度、40μM)と共に37℃で5分間インキュベートし;A23187(1μM)及びアラキドン酸(40μM)と共に37℃で5分間インキュベートし;超音波処理し、続いてATP(1mM)、塩化カルシウム(2mM)及びアラキドン酸(40μM)と共に37℃で5分間インキュベートし;あるいはジアミド(100μM)と共に2分間プレインキュベート(無傷細胞)し、続いてA23187(1μM)及びアラキドン酸(40μM)で刺激した。図1に示した値は、6回の独立した実験の平均±標準偏差である。
【図2a】図2はヒト白血球でのBLTR1の発現を示す。発現BLTR1をFACSにより種々の白血球において分析した。特定の白血球は、A)PMNL;B)末梢CD8T-細胞;C)末梢CD4T-細胞であった。図2に示される全てのグラフにおいて、大パネルは細胞特異的抗原とBLTR1の発現を示し、小パネルは陰性のコントロール抗体を用いた結果を示す。図は6回のうちの一つの典型的な実験を示す。
【図2b】図2はヒト白血球でのBLTR1の発現を示す。発現BLTR1をFACSにより種々の白血球において分析した。特定の白血球は、D)正常な末梢B細胞;E)B-CLL細胞;F)B-PLL細胞であった。図2に示される全てのグラフにおいて、大パネルは細胞特異的抗原とBLTR1の発現を示し、小パネルは陰性のコントロール抗体を用いた結果を示す。図は、B-PLL(2回の実験)を除いて、6回のうちの一つの典型的な実験を示す。
【図3】図3は、B-CLL細胞中でのCD40L誘導性チミジン取り込みに対するロイコトリエン生合成インヒビターの効果を示す。B-CLL細胞(2×10)を、放射線照射されたL細胞単独(L)、放射線照射されたCD40L-L細胞又は放射線照射されたCD40L-L細胞と標示したインヒビターのいずれかとともに、96時間同時培養した。インヒビターを使用する場合は、B-CLL細胞を、L細胞又はCD40L-L細胞との同時培養の30分前に、インヒビターで前処理した。使用したインヒビターは、A)MK886(10−6〜10−9M(10−6Mは3回の実験でのみ使用));又はB)BWA4C(10−7〜10−9M)であり、3組、96時間で、LTB(10−7M)のある場合とない場合であった。図において報告されているコントロールの結果は、放射線照射されたCD40L-L細胞単独と共に同時培養されたB-CLL細胞を表す。H-チミジン(1μCi)は最後の8時間の間、存在していた。CD40L-L処理されたB-CLL細胞の活性化は、種々の実験において3580と15369cpmの間の(H-チミジン)取り込み(コントロール)を生じさせた。これを各実験において100%とした。結果は、8回の別々の実験(2人の患者からのB-CLL細胞を2回分析した)の平均±標準偏差を示す。スチューデントt検定を使用して統計、すなわちコントロール対コントロールプラス標示化合物(類)を算出した(**P<0.01,***P<0.001)。
【図4】図4は、CD40L活性化B-CLLでのCD23、CD54及びCD150の発現に対するロイコトリエン生合成インヒビターの効果を示す。精製されたB-CLL細胞を、MK886(10−7M)、BWA4C(10−7M)、及び/又はLBT(10−7M)のある場合とない場合において、96時間、L細胞又はCD40L-L細胞と共に同時培養した。インヒビターを使用する場合は、B-CLL細胞を、L細胞又はCD40L-L細胞との同時培養の30分前に、インヒビターで前処理した。B-CLL細胞を収集し、CD23、CD54又はCD150に対する抗体を用いたFACSにより分析した。図は6回のうちの一つの典型的な実験を表す。種々の試料中での標示抗原の異なった発現度合いをより明確に証明するために、挿入した破線は、CD40L-L単独で刺激されたB-CLL細胞中での標示抗原の発現を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療方法において、該治療を必要とする患者に、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターを投与することを含んでなる方法。
【請求項2】
LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターが、患者に投与される唯一の癌化学療法剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
LTBの機能のインヒビターが、BLT1レセプターのアンタゴニストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
LTBの生合成のインヒビターが、5-LOのインヒビター、FLAPのインヒビター、及び/又はLTA加水分解酵素のインヒビターである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
5-LOのインヒビター又はFLAPのインヒビターを患者に投与することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
5-LOのインヒビターがBWA4Cであり、又はFLAPのインヒビターがMK-886である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫の治療方法において、該治療を必要とする患者に、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターを投与することを含み、該患者には、異なる作用機序を有する癌化学療法剤が投与されている方法。
【請求項8】
患者がヒトである、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
(A)LTBの生合成及び/又は機能のインヒビター、又はその薬学的に許容可能な誘導体と;
(B)異なる作用機序を有する癌化学療法剤、又はその薬学的に許容可能な誘導体;
を含有し、各成分(A)及び(B)が薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液又は担体と混合されて製剤化される組合せ品。
【請求項10】
B-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫を治療するための医薬の調製における、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターの使用。
【請求項11】
LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターが、医薬の調製に使用される唯一の癌化学療法剤である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
異なる作用機序を有する癌化学療法剤が投与されている患者のB-CLL、B-PLL又はB細胞リンパ腫を治療するための医薬の調製における、LTBの生合成及び/又は機能のインヒビターの使用。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−536359(P2007−536359A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512321(P2007−512321)
【出願日】平成17年5月5日(2005.5.5)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001724
【国際公開番号】WO2005/107725
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(505347558)バイオリポックス エービー (26)
【Fターム(参考)】