説明

D−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼ及びその生産菌

【課題】 ペプチド鎖内のD−アスパラギン酸を認識しそのC末端側を特異的に切断する新規な微生物由来酵素を提供することにあり、またそのような酵素を生産し得る新規な微生物を提供すること。
【解決手段】 D−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼを生産する微生物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、D−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼ、およびそれを生産する微生物に関するものであり、更に詳しくは、ペプチド鎖内のD−アスパラギン酸を認識しそのC末端側を特異的に切断する新規なD−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼ、およびそれを生産する新規な微生物に関するものでものである。
【背景技術】
【0002】
タンパク質は老化によりその構造に変化をきたし、あるものはプロテオームやリソソームなどで分解されアミノ酸となって再利用される。一方、老化タンパク質中のD−アスパラギン酸(D-Asp)については疫病との関連が報告されている。具体的には、アルツハイマー病ではアミロイドβタンパク質、動脈硬化症ではエラスチンやコラーゲン、白内障ではαA−クリスタリンなどのタンパク質中に含まれるL−アスパラギン酸が老化によりD-Aspに変化することが疫病の因子と考えられている(例えば、アルツハイマー病について非特許文献1及び2、動脈硬化症について非特許文献3及び4、白内障について非特許文献5及び6を参照。)。
【0003】
そこで、D-Aspを特異的に認識してその残基を切断する新規酵素を見出すことにより、これら疫病の早期発見用の臨床診断試薬開発、疫病タンパク質の除去、さらには食用肉類中の老化タンパク質の検出など多方面での応用が期待される。
【0004】
しかしながら、本発明者等が調査した結果、ほ乳類由来のD-Asp特異的エンドペプチダーゼに関する報告はあったものの(非特許文献7を参照。)、該報告は極最近なされたものであり他にほ乳類由来酵素の報告例は認められず、更に、微生物由来酵素にあっては報告例は見出されなかった。かかる状況下においては、上記期待に応えるべく更なる新規なD−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼの開発が望まれる。
【非特許文献1】Racemization of Asp23 residue affects the aggregation properties of Alzheimer amyloid β protein analogues; Takami Tomiyama, Satoshi Asano, Yoshiko Furiya. Takuji Shirasawa, Noriaki Endo, Hiroshi Mori; J. Biol. Chem. 269, 10205-10208 (1994).
【非特許文献2】Structural alterations in the peptide backbone of β-amyloid core protein may account for its deposition and stabilization in Alzheimer's disease; Roher A. R., Lowenson J. D., Clarke S., Wokow C., Wang R., Cotter R. J., Reardon I. M., Zurher-Neely H. A., Heinrikson R. L., Ball M. J., Greenberg B. D., J. Biol. Chem. 268, 3072-3083 (1993).
【非特許文献3】Accumulation of D-aspartic acid with age in the human brain. Man. E. H., Sandhouse M. E., Burg J., Fisher G. H.; Science 220, 1407-1408 (1983).
【非特許文献4】D-Aspartic acid in the purified myelin and myelin basic protein. Fisher G. H., Garcia N. M., Payan I. L. Cadilla-Perezios R., Sheremata W. A. Man E. H.; Biochem. Biophys. Res. Commun, 135, 683-687 (1986).
【非特許文献5】Simultaneous stereoinversion and isomerrization at specific aspartic acid residues in alpha A-crystallin from human lens. Fujii N., Satoh K., Harada K., Ishibashi Y.; J. Biochem. 116, 663-669 (1994)
【非特許文献6】Simultaneous racemization and isomerization at specific aspartic acid residues in alpha B-crystallin from aged human lens; Fujii N., Ishibashi Y., Satoh K., Fujino M., Harada K.; Biochem, Biophys. Acta 1204, 157-163 (1994).
【非特許文献7】Mammalian D-aspartyl endopeptidase: a scavenger for noxious racemized proteins in aging; Tadatoshi Kinouchi, Shoichi Ishiura, Yoko Mabuchi, Yasuko Urakami-Manaka, Hideki Nishio, Yuji Nishiuchi, Masahiko Tsunemi, Kastumi Takata, Masatomo Watanabe, Masashi Ikeda, Hisao Matsui, Shigeo Tomioka, Hiroyuki Kawahara, Toshiro Hamamoto, Koichi Suzuki, Yasuo Kagawa; Biochem. Biophys. Res. Commun. 314, 730-736 (2004).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記事情に鑑み開発されたものであり、その課題とするところは、ペプチド鎖内のD−アスパラギン酸を認識しそのC末端側を特異的に切断する新規な微生物由来酵素を提供することにあり、またそのような酵素を生産し得る新規な微生物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、特異的基質であるサクシニル−D−アスパラギン酸p−ニトロアニリド(Suc-[D-Asp]-pNA)を考案し、これを用いて土壌由来菌類のスクリーニングを行い、目的とする酵素生産菌の分離に成功した。
【0007】
すなわち、本発明により、D-Asp特異的エンドペプチダーゼを生産する微生物が提供される。
【0008】
該微生物は、16s rRNA 遺伝子の塩基配列から、パエニバチラス(Paenibacillus)sp. B 38 株と同定され、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにARIF−B38(FERM P−20321)として寄託されている。
【0009】
また、本発明により、前記微生物にて生産されたD−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼが提供される。
【0010】
該酵素はPaenibacillus sp. B38株由来であることよりPaenidase(パエニダーゼもしくはパエニデイス)と命名され、具体的には、本発明に係る生産菌は2種類のD-Asp特異的エンドペプチダーゼを生産することから、それらはPaenidase I (P-I) 及びPaenidase (P-II)と命名された。
【0011】
Paenidase I は、下記理化学的性質を有するD-Asp特異的エンドペプチダーゼである。
【0012】
1)作用
ペプチド鎖内のD−アスパラギン酸を認識しそのC末端側を特異的に切断する;
2)基質特異性
a)pNA基質特異性において、サクシニル−D−アスパラギン酸p−ニトロアニリド(Suc-[D-Asp]-pNA)に対する活性を100%とした場合の、Ac-Asp-pNA, Asp-pNA, [D-Ala]-pNA, [D-Leu]-pNA, [D-Phe]-pNA, Ala-pNA, Leu-pNA, Phe-pNA, Arg-pNA, Glu-pNA, Gly-pNA, His-pNA, Ile-pNA, Lys-pNA, Met-pNA, Pro-pNA, Val-pNA, Pyr-pNA, Suc-AAA-pNA, Suc-APA-pNAに対する相対活性は0.5%未満である;
b)Suc-[D-Asp]-pNAに対するKm値は1.03mMである;
c)MCA基質特異性において、サクシニル−D−アスパラギン酸メチルクマリルアミド(Suc-[D-Asp]-MCA)に対する活性を100%とした場合の、Arg-MCA, Bz-Arg-MCA, Boc-Gln-Ala-Arg-MCA, Pro-Phe-Arg-MCA, Ac-Tyr-Val-Ala-Asp-MCA, Ac-Val-Glu-Ile-Asp-MCAに対する相対活性は1%未満であり、Ac-Asp-Glu-Val-Asp-MCA, Ac-Leu-Glu-His-Asp-MCAに対する相対活性は10%未満である;
d)Suc-[D-Asp]-MCAに対するKm値は1.25mMである;
3)至適pH
Suc-[D-Asp]-pNAを基質としたときの至適pHは7.5〜8.5である;
4)熱安定性
50℃、30分間の熱処理で50%以上の活性を保持する;
5)分子量
34,000(SDS−PAGE法);
6)金属塩の影響
Suc-[D-Asp]-MCAを基質として用いた場合において、1mMのCa2+、Mg2+では阻害を受けず、1mMのCo2+、Mn2+により半減し、1mMのZn2+により完全に失活する;
7)阻害剤の影響
Suc-[D-Asp]-MCAを基質として用いた場合において、セリンプロテアーゼ阻害剤、チオールプロテアーゼ阻害剤、金属プロテアーゼ阻害剤では阻害を受けず、ペプスタチン、iDAEP、アンピシリンによる阻害を受ける。
【0013】
更に、Paenidase I のN末端20残基のアミノ酸配列は、NH2-Thr-Ile-Arg-Ile-Gln-Thr-Asp-Ala-Val-Thr-Lys-Tyr-Gly-Lys-Glu-Asp-Ala-Ala-Ile-Asp- (配列表配列番号1参照)である。
【0014】
Paenidase II は、下記理化学的性質を有するD-Asp特異的エンドペプチダーゼである。
【0015】
1)作用
ペプチド鎖内のD−アスパラギン酸を認識しそのC末端側を特異的に切断する;
2)基質特異性
a)pNA基質特異性において、サクシニル−D−アスパラギン酸p−ニトロアニリド(Suc-[D-Asp]-pNA)に対する活性を100%とした場合の、Ac-Asp-pNA, Asp-pNA, [D-Ala]-pNA, [D-Leu]-pNA, [D-Phe]-pNA, Ala-pNA, Leu-pNA, Phe-pNA, Arg-pNA, Glu-pNA, Gly-pNA, His-pNA, Ile-pNA, Lys-pNA, Met-pNA, Pro-pNA, Val-pNA, Pyr-pNA, Suc-AAA-pNA, Suc-APA-pNAに対する相対活性は0.5%未満である;
b)Suc-[D-Asp]-pNAに対するKm値は1.26mMである;
c)MCA基質特異性において、Suc-[D-Asp]-MCA に対する活性を100%とした場合の、Arg-MCA, Bz-Arg-MCA, Boc-Gln-Ala-Arg-MCA, Pro-Phe-Arg-MCA, Ac-Tyr-Val-Ala-Asp-MCA, Ac-Val-Glu-Ile-Asp-MCAに対する相対活性は1%未満であり、Ac-Asp-Glu-Val-Asp-MCA, Ac-Leu-Glu-His-Asp-MCAに対する相対活性は5%未満である;
d)Suc-[D-Asp]-MCAに対するKm値は1.00mMである;
3)至適pH
Suc-[D-Asp]-pNAを基質としたときの至適pHは7.5〜8.5である;
4)熱安定性
50℃、30分間の熱処理で50%以上の活性を保持する;
5)分子量
33,000(SDS−PAGE法);
6)金属塩の影響
Suc-[D-Asp]-MCAを基質として用いた場合において、1mMのCa2+、Mg2+では阻害を受けず、1mMのCo2+、Mn2+により半減し、1mMのZn2+により完全に失活する;
7)阻害剤の影響
Suc-[D-Asp]-MCAを基質として用いた場合において、セリンプロテアーゼ阻害剤、チオールプロテアーゼ阻害剤、金属プロテアーゼ阻害剤では阻害を受けず、ペプスタチン、iDAEP、アンピシリンによる阻害を受ける。
【0016】
更に、Paenidase II のN末端5残基のアミノ酸配列は、NH2-Thr- Asp-Ala-Val-Thr-(配列表配列番号2参照)である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のD-Asp特異的エンドペプチダーゼ(Paenidase)は、D-Asp含有ペプチド類の検出酵素としての応用が期待され、また、有害D-Asp含有ペプチド類の除去手段として有用である。
すなわち、生体内や各種動植物、微生物由来組織のD-Aspを含有するペプチドやタンパク質等にPaenidaseを作用させることによりD-Asp特異的切断を起こさせ、それを電気泳動、液体クロマトグラフィーや酵素抗体法などで検出することにより、D-Asp含有の有無を判別することが可能となる。
また、生態の病変細胞や組織中のD-Asp含有ペプチド類にPaenidaseを作用させることにより、変異タンパク質のみを分解除去することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではないことはもとよりである。
【0019】
(実施例1)D-Asp特異的エンドペプチダーゼ生産菌の分離及びB38株の同定
特異的基質であるSuc-[D-Asp]-pNAを考案し、(株)ペプチド研究所(大阪府箕面市)に依頼合成したものを用いて、目的とするD-Asp特異的エンドペプチダーゼ生産菌のスクリーニングを行った。
【0020】
(1)培地と緩衝液
本実施例及び実施例2において用いた培地と緩衝液を以下に示す。
【0021】
培地A:1%グルコース、1%肉エキス、1%ペプトン、0.3%NaCl、pH7.0
緩衝液A:50mM Tris-HCl, pH8.0
緩衝液B:50mM Tris-HCl, pH8.0, 0.02% Tween 20, 0.02% NaN3
緩衝液C:50mM Tris-HCl, pH8.0, 0.15 M NaCl, 0.02% NaN3
(2)D-Asp特異的エンドペプチダーゼ生産菌のスクリーニング
土壌より分離した放線菌及び細菌類を培地Aで30℃において6日間振トウ培養した。その培養上清を用いてSuc-[D-Asp]-pNA分解活性を指標としてスクリーニングを行った。スクリーニングは、前記培養上清20μlに80μlの基質溶液[DMSOに溶解した5μlの10mM Suc-[D-Asp]-pNA及び75μlの緩衝液Bの混合液]を加え、37℃で24時間反応後、遊離したパラニトロアニリンの吸光度を405nmで測定することにより行った。放線菌約2000株、細菌約400株の培養上清を用いて検討した結果、目的とする酵素を生産する細菌(B38株)を取得した。なお、B38株由来酵素の生産曲線を図1に示す。
【0022】
(3)B38株の同定
PCR法にて16srRNAをコードする遺伝子約1500塩基対を増幅し、その配列を決定した。得られた配列をもとにデータベースで相同性を検討した結果、16srRNAの部分配列は、Paenibacillus agaridevorans 16srRNAに最も相同性が高く、また、Paenibacillus sp. 448-L516srRNAとも高い相同性のあることが認められた。このことより、本菌をPaenibacillus sp.38株と同定した(図2を参照)。
【0023】
本菌は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにARIF−B38(FERM P−20321)として寄託されている。
【0024】
(実施例2)酵素の精製
実施例1で分離・選抜した本発明に係る酵素生産菌 B38株を培地Aにて30℃で6日間振トウ培養し、その上清を以下に示す酵素精製に用いた。なお、本発明に係る分離細菌B38株の生産するD-Asp特異的エンドペプチダーゼを、Paenibacillus sp. B38株由来であることよりPaenidase (パエニダーゼもしくはパエニデイス、Paenibacillus D-Aspartyl endopeptidase)と命名した。
【0025】
(1)酵素の精製
酵素の精製は、原則として4℃の低温室で行った。酵素活性測定にはSuc-[D-Asp]-MCAを基質として用い、また、タンパク質の定量は、牛血清アルブミンを標準としてピアス社製のBCAタンパク質定量キッドを用いて定量した。
【0026】
ステップ1:培養液の調製
実施例1で分離・選抜したPaenibacillus sp.38の培養液を20,000xgで30分間遠心分離し、その上清1250mlを回収した。
【0027】
ステップ2:硫安分画
上記培養液に80%飽和になるように硫安を加え、4℃にて一夜放置した。遠心分離にて沈殿を回収し、少量の緩衝液Aに溶解し、同緩衝液にて一夜透析した。
【0028】
ステップ3:DEAE-Sephaose FFバッチ処理
透析した酵素溶液沈殿を遠心除去し、上清(200ml)を予め緩衝液Bで平衡化しておいたDEAE-Sephaose FF(50ml)にバッチ法で吸着させた。ゲルを充分に緩衝液Bで洗浄後、酵素を0.2M NaCl を含む200mlの緩衝液Aにて溶出した。これを限外ろ過膜(Amicon PM-10)で25mlに濃縮した。
【0029】
ステップ4:Sepahcryl S100 HR カラムクロマトグラフィー
上記濃縮液を緩衝液Cで平衡化しておいたSepahcyl S100 HR (5x80 cm)に添加した。カラムクロマトグアフィーの流速は、60ml/時 程度とし、10mlずつ分画した。酵素活性を含む画分を集め、緩衝液Bに対して透析した。
【0030】
ステップ5:DEAE-Sephaose FFカラムクロマトグラフィー
透析した酵素溶液を予め緩衝液Aにて平衡化しておいたDEAE-Sephaose FFカラム(1.5x10 cm)に添加した。吸着した酵素は、0Mから0.2M NaClの直線濃度勾配を用いて溶出した。流速は20ml/時とし、合計400mLの緩衝液で濃度勾配を作成した。酵素活性を含む画分を集め、緩衝液Bに対して透析した。
【0031】
ステップ6:1回目のMono Q FPLC
透析溶液を0.02% Tween 20 を含む緩衝液Aにて平衡化しておいたMono Qカラムに添加し、0Mから0.2M NaClの直線濃度勾配を用いて溶出した。流速は1 ml/分とし、30分間で塩濃度勾配を終了した。このカラムクロマトグラフィーにおいて活性は2つのピークとなり溶出された。そこで、カラムから溶出した順にPaenidase I (パエニダーゼ I)及びPaenidase II (パエニダーゼ II)とした。
【0032】
ステップ7:2回目のMono Q FPLC
Paenidase I (パエニダーゼ I)及びPaenidase II (パエニダーゼ II)を緩衝液Bに透析し、それぞれの酵素を1回目のMono Q FPLCと同一の条件でクロマトグラフィーを行い、精製標品を得た。
【0033】
(2)上記精製方法により、1250mlのPaenibacillus sp. B38株培養上清から、活性収率6.8%、精製倍率約8,000倍で43μgのPaenidase I を、また、活性収率12.5%、精製倍率約9,900倍で65μgのPaenidase IIを取得した。結果を表1に示す。得られた標品は、それぞれSDS-ポリアクリルアミド電気泳動で単一であることが示された(図3を参照)。
【表1】

【0034】
(実施例3)精製酵素の性質
実施例2で得られたPaenidase I(P-I)及びPaenidase II(P-II)の理化学的性質を以下に示す。
【0035】
(1)分子量
P-I及びP-IIの分子量を、以下に示すSDS−ポリアクリルゲル電気泳動(SDS-PAGE)並びに未変性状態でのゲル濾過クロマトグラフィーにより求めた。その結果、P-I及びP-IIの分子量は、SDS電気泳動でそれぞれ34,000及び33,000と求められた(図3を参照。)また、未変性状態のゲル濾過での分子量は、いずれも約35,000と求められた。
【0036】
・SDS−ポリアクリルゲル電気泳動(SDS-PAGE):SDS-PAGEは、Laemmliの方法(Laemmli, U.K., (1970) Nature, 270, 650-658 を参照)を用いて電気泳動を行い、電気泳動後、タンパク質はコマジーブリリアントブルー(Coomassie brilliant Blue)R-250にて染色した。また、標準タンパク質として、ポスフォリラーゼB(97.0 kDa)、牛血清アルブミン(66 kDa)、オボアルブミン(45 kDa)、大豆トリプシンインヒビター(20.1 kDa)及びリゾチーム(14.1 kDa)を用いた。
【0037】
・Superdex 75による未変性状態でのゲル濾過クロマトグラフィー:予め0.02%アジ化ナトリウムを含む緩衝液Cにて平衡化しておいたSuperdex 75に0.2mlの試料を添加し、同緩衝液で1.0ml/分の流速で溶出した。0.5mlずつ分画し、タンパク質の定量と酵素活性の測定を行った。
【0038】
(2)至適pH
37℃においてSuc-[D-Asp]-pNAを基質とし、pH5.5からpH 9.5の範囲でP-I及びP-IIのpH特性を測定した。結果を図4に示す。P-I及びP-IIはいずれもpH7.5からpH8.5の範囲に至適pHを持つことがわかった。
【0039】
(3)熱安定性
pH8.0においてSuc-[D-Asp]-MCAを基質とし、20℃から70℃の温度範囲でP-I及びP-IIの温度特性を測定した。結果を図5に示す。P-I及びP-IIはいずれも50℃、30分間の熱処理で50%以上の活性を保持した。
【0040】
(4)パラニトロアニリド(pNA)基質を用いた基質特異性の検討及び反応動力学定数
(i)上記Suc-[D-Asp]-pNA以外に20種類の合成基質:Ac-Asp-pNA (Bacham), L-Asp-pNA (ペプチド研究所), [D-Ala]-pNA (Bacham), [D-Leu]-pNA (Bacham), [D-Phe]-pNA (Bacham), L-Ala-pNA ((株)ペプチド研究所), L-Leu-pNA ((株)ペプチド研究所), L-Phe-pNA (Bacham), L-Arg-pNA (Bacham), L-Glu-pNA ((株)ペプチド研究所), Gly-pNA (Bacham), L-His-pNA (Bacham), L-Ile-pNA (Bacham), L-Lys-pNA (Bacham), L-Met-pNA (Bacham), L-Pro-pNA (Bacham), L-Val-pNA (Bacham), Pyr-pNA (Bacham), Suc-L-Ala-L-Ala-L-Ala-pNA ((株)ペプチド研究所), Suc-L-Ala-L-Pro-L-Ala-pNA ((株)ペプチド研究所)を用いて基質特異性を検討した。
【0041】
酵素溶液(20U/mlのP-I もしくはP-II)20μlに80μlの基質溶液(1.25mMとなるように基質を緩衝液Bに溶解したもの)を加え、37℃で60分間反応後、遊離したパラニトロアニリンの吸光度を405nmで測定した。Suc-[D-Asp]-pNAを用いた場合の活性を100%として他の基質について相対活性を求めた。また、活性が認められたSuc-[D-Asp]-pNAを用いて反応動力学的定数を求めた。
【0042】
(ii)結果:表2に示すように、上記21種類の合成基質の中で、P-I及びP-IIで分解を認めたのは、いずれの場合もSuc-[D-Asp]-pNAのみであった。また、表3に示すように、Suc-[D-Asp]-pNAを基質として用いた場合のP-I及びP-IIの反応動力学的定数において、両酵素のKm, kcat, kcat/Km値には大きな相違は認められなかった。
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
(5)メチルクマリルアミド(MCA)基質を用いた基質特異性の検討及び反応動力学定数
(i)前記Suc-[D-Asp]-MCA以外に8種類の合成基質:L-Arg-MCA, Bz-L-Arg-MCA, Boc-L-Gln-L-Ala-L-Arg-MCA, L-Pro-L-Phe-L-Arg-MCA, Ac-L-Tyr-L-Val-L-Ala-L-Asp-MCA, Ac-L-Asp-L-Glu-L-Val-L-Asp-MCA, Ac-L-Val-L-Glu-L-Ile-L-Asp-MCA, Ac-L-Leu-L-Glu-L-His-Asp-MCA(いずれも(株)ペプチド研究所より入手)を用いて基質特異性を検討した。
【0045】
酵素溶液(10U/mlのP-I もしくはP-II)20μlに80μlの基質溶液(DMSOに溶解した5μlの10mM MCA基質と75μlの緩衝液Bとの混合液)を加え、37℃で30分間反応後、400μlの10%酢酸を添加し、酵素反応を停止した。その後、励起波長380nm及び蛍光波長460nmにて遊離したMCA量を測定した。 Suc-[D-Asp]-MCAを用いた場合の活性を100%として他の基質についての相対活性も求めた。また、活性が認められたSuc-[D-Asp]-MCAを用いて反応動力学的定数を求めた。
【0046】
(ii)結果:表4に示すように、P-I及びP-IIのSuc-[D-Asp]-MCAに対する相対活性を100%とした場合、L-Arg-MCA, Bz-L-Arg-MCA, Boc-L-Gln-L-Ala-L-Arg-MCA, L-Pro-L-Phe-L-Arg-MCA, Ac-L-Tyr-L-Val-L-Ala-L-Asp-MCA 及び Ac-L-Val-L-Glu-L-Ile-L-Asp-MCA では1%以下の活性しか認められなかった。また、Ac-L-Asp-L-Glu-L-Val-L-Asp-MCAを用いた場合、P-I及びP-IIは各々1.8%と1.2%の活性を示し、Ac-L-Leu-L-Glu-L-His-Asp-MCAを用いた場合には、各々8.4%と4.7%の活性を示した。しかしながら、10%以上の活性を示す基質は無く、P-I及びP-IIは共に合成基質を用いた場合、D-Aspを強く認識して、そのC末端側を切断することが判明した。また、表5に示すように、Suc-[D-Asp]-MCAを基質として用いた場合のP-I及びP-IIの反応動力学的定数においては、Suc-[D-Asp]-pNAを用いた場合と同様に、両酵素のKm, kcat, kcat/Km値には大きな相違は認められなかった。
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
(6)Paenidase 活性に及ぼす各種阻害剤の影響
(i) 10μlの酵素溶液(20U/mlのP-IもしくはP-II)に10μlの各種阻害剤溶液と80μlの基質溶液(DMSOに溶解した5μlの10mM Suc-[D-Asp]-MCA及び75μlの緩衝液Aの混合液)を37℃で30分間反応後、400μlの10%酢酸を添加し、酵素反応を停止した。その後、励起波長380nm及び蛍光波長460nmにて遊離したMCA量を測定した。阻害剤無添加の活性を100%とし相対活性を求めた。
【0049】
(ii) 表6に示すように、P-I及びP-IIはいずれも、セリンプロテアーゼ阻害剤[フェニルメタンスルフォイルフルオリド(PMSF)、ジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)、大豆トリプシンインヒビター(SBTI)、ロイペプシン(Leupeptin)、]、チオールプロテアーゼ阻害剤[N−エチルマレイミド(NEM)、p−クロロメルクリオ安息香酸(PCMB)]、金属プロテアーゼ阻害剤[エチレンジアミン−N−N−N´−N´]では阻害を受けず、ペプスタチン(アスパルティックプロテアーゼの阻害剤)、iDAEP、アンピシリンによる阻害が認められた。
【表6】

【0050】
(7)Paenidase 活性に及ぼす金属の影響
(i) 10μlの酵素溶液(20U/mlのP-IもしくはP-II)に10μlの各種阻害剤溶液と80μlの基質溶液(DMSOに溶解した5μlの10mM Suc-[D-Asp]-MCA及び75μlの緩衝液Aの混合液)を37℃で30分間反応後、400μlの10%酢酸を添加し、酵素反応を停止した。その後、励起波長380nm及び蛍光波長460nmにて遊離したMCA量を測定した。阻害剤無添加の活性を100%とし相対活性を求めた。
【0051】
(ii) 表7に示すように、1mMのCa2+、Mg2+では阻害を受けず、1mMのCo2+、Mn2+により半減し、1mMのZn2+により完全に失活した。
【表7】

【0052】
(8)正常アミロイドβペプチドに対するPaenidaseの作用
(i) 正常アミロイドβタンパク質のN末端から10残基のペプチドNH2-Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Gly-Ser-Tyr-COOHは、(株)バイオロジカ(名古屋市)に合成依頼したものを用いた。100μlのペプチド溶液(1mg/mlとなるようにペプチドを緩衝液Bに溶解させた溶液)に20μlの酵素溶液(20U/mlのPaenidase I)を加え、37℃で24時間反応させた。反応溶液を逆相高速液体クロマトグラフィーで以下に示す条件にて分析した。
【0053】
・逆相高速液体クロマトグラフィーによるアミロイドβペプチド分解の解析
蒸留水で平衡化しておいたJ sphere ODS-L80カラム(150x4.6mm, YMC)に10μlの試料を添加し、0から100%アセトニトリルの直線濃度勾配でペプチド類を溶出した。流速は1ml/分とし、210nmの吸光度をモニターした。
【0054】
(ii) 正常アミロイドβペプチド単独及び正常アミロイドβペプチドにPaenidase I を作用させた場合の逆相高速液体クロマトグラフィーのパターンを図6のC及びDに示した。いずれの場合においても、緩衝液と基質のピークのみが認められた。このことから、Paenidase Iは、正常アミロイドβペプチドに作用しないことが明らかとなった。
【0055】
(9)異常アミロイドβペプチドに対するPaenidaseの作用
(i) 7番目のL-AspをD-Aspに変異させた異常アミロイドβタンパク質のN末端から10残基のペプチドNH2-Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-[D-Asp]-Gly-Ser-Tyr-COOHは、(株)フナコシ(東京都)に合成依頼したものを用いた。100μlのペプチド溶液(1mg/mlとなるようにペプチドを緩衝液Aに溶解させた溶液)に20μlの酵素溶液(20U/mlのPaenidase I)を加え、37℃で24時間反応させた。反応溶液を逆相高速液体クロマトグラフィー上記条件にて分析した。
【0056】
(ii) 7番目のL-AspをD-Aspに変異させた異常アミロイドβペプチドにPaenidase Iを作用させた場合の逆相高速液体クロマトグラフィーのパターンを図6Bに示した。変異ペプチド単独の場合には、図6Aに示すように、緩衝液と基質の2つのピークが認められた。一方、図6Bに示すようにPaenidase Iを作用させた場合には、図6Aに示したピーク以外に新たな2つのピークが認められた。N末端構造解析の結果、両ピークのアミノ酸配列は、NH2-Gly-Ser-Tyr-COOH及びNH2-Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-X(XはAspと判読可能であるが、実際はD-Aspであるため、便宜上、Xとした。)と同定された。従って、Paenidase Iが異常アミロイドβペプチドに作用してD-AspのC末端側を特異的に切断することが明らかとなった。
【0057】
(10)Paenidase I 及びIIのN末端配列解析
(i) SDS−PAGE後にポリビニルピロリドン膜に転写したPaenidase I 及びIIを試料として気相ペプチドシーケンサー(Procise 494 HT, アプライドバイオシステムズ)にてN末端からのアミノ酸配列を解析した。
【0058】
(ii) Paenidase-Iは、N末端からのアミノ酸配列がNH2-Thr-Ile-Arg-Ile-Gln-Thr-Asp-Ala-Val-Thr-Lys-Tyr-Gly-Lys-Glu-Asp-Ala-Ala-Ile-Asp- (配列表配列番号1)である。
【0059】
本配列について相同性の高い酵素は見つからず、新規の酵素であると判断される。
【0060】
(iii) Paenidase-IIは、N末端からのアミノ酸配列がNH2-Thr- Asp-Ala-Val-Thr-(配列表配列番号2参照)である。
【0061】
Paenidase-Iと同様、本配列について相同性の高い酵素は見つからず、新規の酵素であると判断される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】B38株のPaenidase 生産曲線を示すグラフ。
【図2】16sリボソームDNA解析によるB38株の同定結果を示すデータ。
【図3】精製PaenidaseのSDS電気泳動パターンを示す写真。
【図4】Paenidase活性に及ぼすpHの影響を示すグラフ。
【図5】Paenidaseの温度安定性を示すグラフ。
【図6】A及びBは異常アミロイドβペプチド単独又はPaenidase Iを作用させた場合の逆相高速液体クロマトグラフィーのパターンであり、C及びDは正常アミロイドβペプチド単独又はPaenidase Iを作用させた場合の逆相高速液体クロマトグラフィーのパターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
D−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼを生産する微生物。
【請求項2】
パエニバチラス sp. B 38(Paenibacillus sp. B38)株である、請求項1に記載の微生物。
【請求項3】
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P−20321として寄託されている、請求項1又は2に記載の微生物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の微生物にて生産されたD−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼ。
【請求項5】
下記理化学的性質を有する請求項4に記載のD−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼ。
1)作用
ペプチド鎖内のD−アスパラギン酸を認識しそのC末端側を特異的に切断する;
2)基質特異性
a)pNA基質特異性において、サクシニル−D−アスパラギン酸p−ニトロアニリド(Suc-[D-Asp]-pNA)に対する活性を100%とした場合の、Ac-Asp-pNA, Asp-pNA, [D-Ala]-pNA, [D-Leu]-pNA, [D-Phe]-pNA, Ala-pNA, Leu-pNA, Phe-pNA, Arg-pNA, Glu-pNA, Gly-pNA, His-pNA, Ile-pNA, Lys-pNA, Met-pNA, Pro-pNA, Val-pNA, Pyr-pNA, Suc-AAA-pNA, Suc-APA-pNAに対する相対活性は0.5%未満である;
b)Suc-[D-Asp]-pNAに対するKm値は1.03mMである;
c)MCA基質特異性において、サクシニル−D−アスパラギン酸メチルクマリルアミド(Suc-[D-Asp]-MCA)に対する活性を100%とした場合の、Arg-MCA, Bz-Arg-MCA, Boc-Gln-Ala-Arg-MCA, Pro-Phe-Arg-MCA, Ac-Tyr-Val-Ala-Asp-MCA, Ac-Val-Glu-Ile-Asp-MCAに対する相対活性は1%未満であり、Ac-Asp-Glu-Val-Asp-MCA, Ac-Leu-Glu-His-Asp-MCAに対する相対活性は10%未満である;
d)Suc-[D-Asp]-MCAに対するKm値は1.25mMである;
3)至適pH
Suc-[D-Asp]-pNAを基質としたときの至適pHは7.5〜8.5である;
4)熱安定性
50℃、30分間の熱処理で50%以上の活性を保持する;
5)分子量
34,000(SDS−PAGE法);
6)金属塩の影響
Suc-[D-Asp]-MCAを基質として用いた場合において、1mMのCa2+、Mg2+では阻害を受けず、1mMのCo2+、Mn2+により半減し、1mMのZn2+により完全に失活する;
7)阻害剤の影響
Suc-[D-Asp]-MCAを基質として用いた場合において、セリンプロテアーゼ阻害剤、チオールプロテアーゼ阻害剤、金属プロテアーゼ阻害剤では阻害を受けず、ペプスタチン、iDAEP、アンピシリンによる阻害を受ける。
【請求項6】
N末端からのアミノ酸配列がNH2-Thr-Ile-Arg-Ile-Gln-Thr-Asp-Ala-Val-Thr-Lys-Tyr-Gly-Lys-Glu-Asp-Ala-Ala-Ile-Asp- (配列表配列番号1)である、請求項4又は5に記載のD−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼ。
【請求項7】
下記理化学的性質を有する請求項4に記載のD−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼ。
1)作用
ペプチド鎖内のD−アスパラギン酸を認識しそのC末端側を特異的に切断する;
2)基質特異性
a)pNA基質特異性において、サクシニル−D−アスパラギン酸p−ニトロアニリド(Suc-[D-Asp]-pNA)に対する活性を100%とした場合の、Ac-Asp-pNA, Asp-pNA, [D-Ala]-pNA, [D-Leu]-pNA, [D-Phe]-pNA, Ala-pNA, Leu-pNA, Phe-pNA, Arg-pNA, Glu-pNA, Gly-pNA, His-pNA, Ile-pNA, Lys-pNA, Met-pNA, Pro-pNA, Val-pNA, Pyr-pNA, Suc-AAA-pNA, Suc-APA-pNAに対する相対活性は0.5%未満である;
b)Suc-[D-Asp]-pNAに対するKm値は1.26mMである;
c)MCA基質特異性において、Suc-[D-Asp]-MCA に対する活性を100%とした場合の、Arg-MCA, Bz-Arg-MCA, Boc-Gln-Ala-Arg-MCA, Pro-Phe-Arg-MCA, Ac-Tyr-Val-Ala-Asp-MCA, Ac-Val-Glu-Ile-Asp-MCAに対する相対活性は1%未満であり、Ac-Asp-Glu-Val-Asp-MCA, Ac-Leu-Glu-His-Asp-MCAに対する相対活性は5%未満である;
d)Suc-[D-Asp]-MCAに対するKm値は1.00mMである;
3)至適pH
Suc-[D-Asp]-pNAを基質としたときの至適pHは7.5〜8.5である;
4)熱安定性
50℃、30分間の熱処理で50%以上の活性を保持する;
5)分子量
33,000(SDS−PAGE法);
6)金属塩の影響
Suc-[D-Asp]-MCAを基質として用いた場合において、1mMのCa2+、Mg2+では阻害を受けず、1mMのCo2+、Mn2+により半減し、1mMのZn2+により完全に失活する;
7)阻害剤の影響
Suc-[D-Asp]-MCAを基質として用いた場合において、セリンプロテアーゼ阻害剤、チオールプロテアーゼ阻害剤、金属プロテアーゼ阻害剤では阻害を受けず、ペプスタチン、iDAEP、アンピシリンによる阻害を受ける。
【請求項8】
N末端からのアミノ酸配列がNH2-Thr- Asp-Ala-Val-Thr-(配列表配列番号2)である、請求項4又は7に記載のD−アスパラギン酸特異的エンドペプチダーゼ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−271275(P2006−271275A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96326(P2005−96326)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(591108178)秋田県 (126)
【Fターム(参考)】