説明

DRAM型メモリシステムおよびメモリ管理制御方法

【課題】DRAM型メモリを用いてデータの効率的な連続読み出しおよび書き込みをを実現し、FIFO形式でのデータの取り扱いを可能にするDRAM型メモリシステムおよびメモリ管理制御方法を提供する。
【解決手段】DRAM型メモリ(4)とインタフェース回路(1)とをそれぞれ含む複数のメモリ部(#01−#04)と、複数のメモリ部に対してライトデータを与えリードデータを取り出すデータ入出力部(5,8)と、複数のメモリ部の各々を同一の固定サイクル長で動作させライトデータの書き込みおよびリードデータの読み出しがそれぞれ連続実行されるようにメモリ部間で固定サイクル長の開始タイミングを設定するメモリ管理制御部(6)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置における通信データ等を一時蓄積するためのメモリシステムに係り、特にDRAM(Dynamic Random Access Memory)型メモリシステムとDRAM型メモリの管理制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭における光回線による高速インターネットの普及や携帯電話(スマートフォンやデータ通信端末)のデータ通信の高速化に伴い、ハイエンドルータやパケットスイッチなどのインターネット関連機器は、急増するトラフィックに対応するためにデータパケット通信処理回路の高機能化の他にデータを一時蓄積するための外部メモリの容量を増大させることが必要となる。外部メモリは、データの宛先や不正データのチェックを行うための一時保存メモリとして、あるいはアクセス回線側(WAN側)に送信するパケットが帯域上限を超えない様に一時的に蓄積するメモリとして使用されるものであり、その処理に必要な容量を満たす事が必要となる。
【0003】
この外部メモリとしては、一般的に、QDRSRAM(Quad Data Rate Static Random Access Memory)に代表されるSRAM型メモリが使用される。しかしながら、SRAM型メモリは、DDR2SDRAM(Double Date Rate 2 Synchronous DRAM)に代表されるDRAM型メモリと比較して、メモリの記憶容量の増加がデータ通信の急増化に追いつかない状況にあり、データ通信のトラフィック増加で求められる記憶容量を十分に満たす事ができない可能性がある。
【0004】
他方、トラフィックの増加に対応するためにDRAM型メモリを使用した場合、記憶容量は満たす事は可能であるが、次のような問題がある。すなわち、DRAM型メモリでは、リード要求あるいはライト要求に対し必ず活性化と一定時間のレイテンシが発生すること、一定間隔のリフレッシュサイクルが必要となること、QDRSRAMメモリのようなデータの先入・先出(First In First Out:FIFO)形式のデータの取扱いができないこと、さらに、常時連続するリード動作、連続するライト動作を必要とする条件下では、DRAM型メモリへアクセスするデータ通信処理のスループットが低下すること、などである。
【0005】
DRAM型メモリあるいはSRAM型メモリは、構造的にデータの入力と出力が双方向となるバスで構成されているため、データの先入・先出のようにデータの入力と出力を同時に行う動作ができない。また、DRAM型メモリでは、リード・ライトを行う場合、リード・ライト動作前に活性化が必要であり、またリード・ライトコマンド発行後にレイテンシが必要であるために、待ち時間が必要となる。したがって、リード動作からライト動作への動作遷移あるいはライト動作からリード動作への動作遷移を行う場合に、DRAM型メモリのデータバスDQ上で何も動作していないアイドル時間が発生する。また、DRAM型メモリでは一定のサイクル間隔でリフレッシュ動作を実行する必要があり、このリフレッシュ時間中もDRAM型メモリのデータバスDQで何も動作していない状態となる。
【0006】
以下、図6および図7を参照して、DRAM型メモリとしてDDR2SDRAMを用いた場合の動作について簡単に説明する。
【0007】
図6において、通信データを一時蓄積するためのメモリシステムは、メモリ部、メモリ部の管理制御を行うメモリ管理制御回路9、データ入出力バス8、および、これらの回路を動作させるクロック7から構成される。メモリ部内のメモリインタフェース回路1は、データ入出力バス8とメモリ部内DRAM型メモリ4との間のデータのフォーマット変換を行う。コマンド制御2は、メモリ管理制御回路9からのDRAM型メモリ4のライト動作とリード動作とリフレッシュ動作の制御に従い、DRAM型メモリ4のバンク活性化コマンド(ACT)、ライトコマンド(W)、リードコマンド(R)、リフレッシュコマンド(REF)を発行する。アドレス制御3は、メモリ管理制御回路9からのDRAM型メモリ4のアドレス管理に従い、DRAM型メモリ4のアドレス制御を行う。DRAM型メモリ4は、メモリインタフェース回路1、コマンド制御2、アドレス制御3により制御されライト動作、リード動作、リフレッシュ動作を実施する。
【0008】
メモリ管理制御回路9は、メモリ部のライト動作、リード動作、リフレッシュ動作のタイミングの制御を行う回路である。ここで、DRAM型メモリ4は4バンクを持つものとする。また、DRAM型メモリ4の使用条件は、4バーストを20回実行し合計4バースト×20回実行=80回(DRAM型メモリ4のクロックサイクル数的には40サイクル時間)のリード動作またはライト動作を実施するものとする。
【0009】
図7において、1サイクルで書込みのためのバンク活性化コマンド(ACT21)が発行され、6サイクルからライトコマンド(W1〜W19)22が1サイクルおきに発行され、10サイクルから49サイクルまでの40サイクル時間中にメモリ部のデータバスDQ上のデータが書き込まれる。ライトコマンド(W20)23はライト動作終了時にバンクをアイドル状態に戻すために必要な動作である。
【0010】
50サイクルから59サイクルまでプリチャージ時間の経過を待ち、60サイクルで読込のための活性化コマンド(ACT25)が発行され、65サイクルからリードコマンド(R1〜R19)26が1サイクルおきに発行され、70サイクルから109サイクルまでの40サイクル時間中にメモリ部のデータバスDQ上に読み出しデータが出力される。リードコマンド(R20)28はリード動作終了時にバンクをアイドル状態に戻すために必要な動作である。そして、110サイクルから152サイクルまではリフレッシュコマンド(REF)31によるリフレッシュ動作を実行する。
【0011】
以上の動作の結果、図7に示すように、ライト動作開始時のACTコマンド発行後の9サイクル時間、ライト動作完了からリード動作開始までの20サイクル時間、およびリフレッシュ動作中の43サイクル時間がDRAM型メモリ4のデータバスDQが有効活用されないアイドル時間となる。
【0012】
なお、DRAM型メモリ制御の効率化については、これまで多くの提案がされている。たとえば特許文献1に開示されたメモリ制御回路は、複数のマスタが並列に複数のSDRAMのデータ転送帯域を使用することで、データの書き込みおよび読み出しの連続実行を図っている。また、特許文献2に開示されたメモリシステムは、アクティブコマンド実行の度にアディティブレイテンシを変更することで、コマンドキューデザインを先入先出方式で制御し、データの連続読み出しを図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−250727号公報
【特許文献2】特開2007−183959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1、2に開示されたメモリ制御方法は、上述したDRAM型メモリにおける待ち時間、すなわちリード動作とライト動作との間の動作遷移時やリフレッシュ時間中に、DRAM型メモリのデータバスDQ上に何も動作していないアイドル時間が発生することをそもそも考慮していないために、データの連続読み出しおよび書き込みをより効率的に実行することができない。
【0015】
そこで、本発明の目的は、DRAM型メモリを用いてデータの効率的な連続読み出しおよび書き込みを実現し、FIFO形式でのデータの取り扱いを可能にするDRAM型メモリシステムおよびメモリ管理制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によるDRAM型メモリシステムは、DRAM型メモリと、そのライトデータおよびリードデータをそれぞれ入出力するインタフェース回路と、をそれぞれ含む複数のメモリ手段と、前記複数のメモリ手段に対してライトデータを与え、前記複数のメモリ手段からリードデータを取り出すデータ入出力手段と、前記複数のメモリ手段の各々を同一の固定サイクル長で動作させ、前記ライトデータの書き込みおよび前記リードデータの読み出しがそれぞれ連続実行されるように、前記複数のメモリ手段の間で前記固定サイクル長の開始タイミングを設定するメモリ管理制御手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明によるDRAM型メモリシステムにおけるメモリ管理制御方法は、前記メモリシステムがDRAM型メモリと、そのライトデータおよびリードデータをそれぞれ入出力するインタフェース回路と、をそれぞれ含む複数のメモリ手段を有し、前記複数のメモリ手段の各々を同一の固定サイクル長で動作させ、前記ライトデータの書き込みおよび前記リードデータの読み出しがそれぞれ連続実行されるように、前記複数のメモリ手段の間で前記固定サイクル長の開始タイミングを設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、DRAM型メモリを用いてデータの効率的な連続読み出しおよび書き込みを実現できFIFO形式でのデータの取り扱いが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の一実施形態によるDRAM型メモリシステムの機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図2(A)は本実施形態におけるメモリ部#01のメモリマップを示す模式図、図2(B)は各メモリ部のメモリマップを示す模式図である。
【図3】図3は本実施形態によるメモリ管理制御動作を示すタイムチャートである。
【図4】図4は本実施形態によるメモリ管理制御方法におけるメモリ部#01へのアクセスのサイクル数1〜98までの動作とメモリ部#02へのアクセスのサイクル数1〜58までの動作を示すタイムチャートである。
【図5】図5は本実施形態によるメモリ管理制御方法におけるメモリ部#01へのアクセスのサイクル数99〜160までの動作とメモリ部#02へのアクセスのサイクル数59〜120までの動作を示すタイムチャートである。
【図6】図6は一般的なDRAM型メモリシステムの機能的構成を示すブロック図である。
【図7】図7は図6に示すDRAM型メモリシステムのメモリ管理制御動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によるDRAM型メモリシステムは、並列接続されたDRAM型メモリをメモリ管理制御回路により一元管理し、各DRAM型メモリを固定サイクルで動作させることによりFIFO型メモリのように連続したライト動作およびリード動作を実現することができる。以下、DRAM型メモリとしてDDR2SDRAMを用いたメモリシステムを例示し、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0021】
1.構成
図1に示すように、本発明の一実施形態によるDRAM型メモリシステムは、複数個のメモリ部#01〜#04と、各メモリ部の管理制御を行うメモリ管理制御回路6と、データ入出力バス8からの32bitデータをメモリ部#01〜04のライトデータに分岐するバスと、メモリ部#01〜#04からの32bitリードデータを多重してデータ入出力バスへ出力する選択回路5と、これらの回路を動作させるクロック7と、を有する。
【0022】
メモリ部#01〜#04は同一の回路構成を有するので同一の参照番号を付している。以下、メモリ部内の構成を説明する。
【0023】
メモリ部内のメモリインタフェース回路1は、データ入出力バス8とDRAM型メモリ4との間のデータのフォーマット変換(32bitデータフォーマットと16bitデータフォーマットとの相互変換)を行い、データ入出力バス8のライトデータをメモリインタフェース回路1のWRに入力し、DRAM型メモリ4からのリードデータをメモリインタフェース回路1のRDからデータ入出力バス8へ出力し、DQにてDRAM型メモリ4との双方向16ビットバスを接続する。さらに、メモリインタフェース回路1は、メモリ管理制御回路6からの制御により、16bitデータバスDQでのライトデータとリードデータとの切替を行う。
【0024】
メモリ部内のコマンド制御2は、メモリ管理制御回路6からライト動作、リード動作およびリフレッシュ動作の制御に従い、DRAM型メモリ4に対するアクティブコマンド(ACT)、ライトコマンド(W)、リードコマンド(R)およびリフレッシュコマンド(REF)を発行する。
【0025】
メモリ部内のアドレス制御3は、メモリ管理制御回路6からアドレス管理に従い、DRAM型メモリ4のアドレス制御を行う。DRAM型メモリ4は汎用的なDDR2SDRAMデバイスであり、メモリインタフェース回路1、コマンド制御2およびアドレス制御3により制御され、ライト動作、リード動作およびリフレッシュ動作を実施する。ここで、DRAM型メモリ4は4バンクを持つものとする。また、DRAM型メモリ4の使用条件は、4バーストを20回実行し合計4バーストx20回実行=80回(DRAM型メモリ4のクロックサイクル数的には40サイクル時間)のリード動作またはライト動作を実施するものとする。
【0026】
選択回路5は各メモリ部のメモリインタフェース回路1のRDからのリードデータをそれぞれ入力し、そのうちの1本のリードデータをメモリ管理制御回路6の制御に従って選択してデータ入出力バス8へ出力する。
【0027】
メモリ管理制御回路6は、たとえば図2に示すメモリ部#01のメモリマップ51に従って当該メモリ部#01におけるDRAM型メモリ4のロウアドレスの通りに、バンク0からバンク3に対してカラム52〜52に示す優先度1から優先度64毎にライトデータの書き込みまたはリードデータの読み出しを行う。メモリ部#02〜#04についても同様である。また、メモリ管理制御回路6は、図2のメモリ部#01〜#04のメモリマップ53に従って、メモリ部#01〜#04の動作を順次制御する。図2の例によれば、メモリ部#01に対するデータは方路1から方路4の何れか、メモリ部#02に対するデータは方路5から方路8の何れか、メモリ部#03に対するデータは方路9から方路12の何れか、メモリ部#04に対するデータは方路13から方路16の何れかにより書き込みあるいは読み出しされるように順番にメモリ部#01〜#04の動作を制御する。
【0028】
このように、メモリ管理制御回路6はメモリ部#01〜#04を一括管理すると共に、メモリ部#01〜#04の各々を同一の固定サイクル長で動作させ、その固定サイクル長の開始位置を時間的に調整することでメモリ部とデータ入出力バス8との間で連続したデータのライトおよびリードを可能としている。
【0029】
さらに、メモリ管理制御回路6は、データ入出力バス8からの連続したライトデータをメモリ部#01〜#04へ分岐させて書込む制御と、各メモリ部からのリードデータを選択回路5を通してデータ入出力バス8上の連続したリードデータとして出力する制御と、を実行する。
【0030】
なお、クロック7は上述した回路の動作のための基準クロックであり、データ入出力バス8は本実施形態を使用するためのインタフェース箇所である。また、メモリ管理制御回路6は、図示しないプログラム制御プロセッサ上で図示しないメモリに格納されたプログラムを実行することにより同じ機能を実現することもできる。
【0031】
2.動作
上述したように、メモリ管理制御回路6の制御により、メモリ部#01〜#04の各々は同一の固定サイクル長で動作し、その固定サイクル長の開始位置が時間的に調整されることでメモリ部とデータ入出力バス8との間で連続したデータのライトおよびリードが可能となる。
【0032】
具体的には、データ入出力バス8からメモリ部#01〜#04へ書き込まれるライトデータは常時連続して出力されており、そのデータをメモリ管理制御回路6による制御のもと、固定された書込みサイクルに従ってメモリ部#01〜#04の各DRAM型メモリ4へ順番にデータの書込み処理が実施される。逆に、メモリ部#01〜#04のデータを読み出す場合は、書込み時と同様にメモリ管理制御回路6による制御のもと、固定された読み込みサイクルに従ってメモリ部#01〜#04の中の各DRAM型メモリ4から順番にデータの読み込みが実施され、データ入出力バス8上に連続したリードデータとして出力される。こうしてデータ入出力バス8上に連続したライトデータ及び連続したリードデータとしてFIFO型のメモリのような常時データ書込みおよび読み込みが実施される。
【0033】
以下、図3〜図5を参照しながら本実施形態によるメモリ管理制御の具体例を詳細に説明する。
【0034】
以下、DRAM型メモリ4として使用される汎用的なDDR2SDRAMデバイスのデバイス仕様として、DDR2SDRAMのキャスレイテンシ(CL)=5、アクティブ・リード・オア・ライトコマンド・ディレイ(tRCD)=5,ラスプリチャージタイム(tRP)=5、リードレイテンシ(RL)=5(CL=5,アディティブレイテンシ(AL)=0)とし、図3のタイムチャートは667MHz動作のメモリをバスクロック333MHz動作にて使用した場合のメモリ管理制御回路6による動作例を示している。
【0035】
なお、図3におけるサイクル数はメモリ部#01のDRAM型メモリ4の動作クロック数を示している。また、メモリ部#01〜#04のそれぞれのDQは各メモリ部内のDRAM型メモリ4の16bitデータバスを示し、ライトデータはデータ入出力バス8からメモリ部への連続した書き込みデータを、リードデータはメモリ部#01〜#04のリードデータを選択回路5において多重した状態を、それぞれ示している。
【0036】
メモリ部#01のDQに着目すると、書込み動作(ライトデータ1)、読み込み動作(リードデータ1)、リフレッシュ動作(リフレッシュ)、コマンドなし(NOP)以外は、データバス上にデータの存在しない空白の区間(アイドル状態)である。また、メモリ部#01を固定のサイクルで動作させるため、DRAM型メモリ4の一動作サイクルは次のように定義されている:書込みまでのtRCD+ライトレイテンシ(WL)時間として9サイクル(9c);書込み時間と読み込み時間として40サイクル(40c);書込みから読み込み動作に移行するまでの時間としてライトリカバリタイム(tWR)+tRP+tRCD+RL時間として20サイクル(20c);リフレッシュ時間として43サイクル(43c);NOP時間としてリフレッシュ動作時は8サイクル(8c)またはリフレッシュ動作なしの時は51サイクル、以上合計160サイクル(160c)である。
【0037】
メモリ部#02〜#04の各々も上述したメモリ部#01と同様の固定サイクル長で動作させる。メモリ管理制御部6は、メモリ部#01〜#04の各々を固定サイクルで動作させることにより、DRAM型メモリ4のアイドル区間が既知であるから、各メモリ部のアイドル区間による影響でデータ入出力バス8上のライトデータの取りこぼしとリードデータの無効区間が発生しないように、メモリ部#01〜#04の動作開始タイミングを調整する。
【0038】
具体的には動作開始タイミングを40cの固定した時間差を設けることで実現している。図3では、メモリ部#01のライト動作から回路の動作を開始させ、40c目のライトデータ1の書込み完了のタイミングでメモリ部#02へのライトデータ2の書込みが開始可能になるように、メモリ部#02のライト動作をメモリ部#01から40c遅らせて開始させる。メモリ部#03、メモリ部#04についても同様に、メモリ部#02から40c遅らせてメモリ部#03を、メモリ部#03から40c遅らせてメモリ部#04を各々動作開始させる。この結果、メモリ部#04のライトデータ4の書込み完了時にはメモリ部#01の160cの一回目の固定サイクル動作が完了しており、メモリ部#01の2回目のライトデータ1の書込み動作に移行することが可能になり、データ入出力バス8からのデータを連続して書き込み可能とする動作となる。
【0039】
リード動作については、メモリ部#01の40cのライト動作完了後、合計20cのアイドル期間経過後に40cのリード動作を開始する。メモリ部#02〜#04の動作についてはライト側の動作と同様に40cのリード開始の時間差を設けることでメモリ部#01〜#04のリードデータが連続してデータ入出力バス8上に出力され、メモリ部#04のリード動作完了時にはメモリ部#01がリード動作可能な状態となり、結果的に、データ入出力バス8上にはメモリ部からの常時連続したリードデータとして出力される。
【0040】
リフレッシュ動作については、汎用DDR2SDRAMデバイスであれば約7.8us毎にリフレッシュ時間(tRFC)=最小127.5ns時間のリフレッシュを実施することが必要であり、図3では、メモリ部#01のリード動作完了後にtRFC時間を満たすリフレッシュサイクルを実施している。メモリ部#01の一動作サイクルである160c中ではリフレッシュ時間として約43cのサイクルを必要とするので、リフレッシュ動作は前記の160cの一連の固定サイクルを1回とした場合に15回に1回のリフレッシュを実行すれば良い計算となり、残り14回についてはリフレッシュコマンドの代わりにNOPとすることで160cの固定サイクルを満たすように調整する。
【0041】
メモリ部#02〜#04については、メモリ部#01と同様にリフレッシュサイクルを実行している。メモリ部#01がリフレッシュサイクル実行中、あるいは、リフレッシュの変わりにNOPとしているサイクル期間中は、メモリ部#02〜#04がライト動作あるいはリード動作を実行しており、データ入出力バス8上に無効なアイドル期間が発生する事はなく、リフレッシュ期間が連続したデータのリード、ライト動作の阻害要因とはならないことを示している。
【0042】
図4および図5は図1のメモリ部#01を固定サイクル長で動作させた場合のタイムチャートを示しており、2つの図に渡って動作が継続していることを示している。図4および図5では、メモリ部#01のサイクル数を基準にサイクル数1から書込みのためのバンク活性化コマンド(ACT21)の発行に続けて、6サイクルからライトコマンド22が1サイクルおきにW1からW20まで発行され、10サイクルから49サイクルまでの40サイクル時間中にメモリ部のデータバスDQ上のデータを書き込む。ライトコマンド23はライト(オートプリチャージ付)で、ライト動作終了時にバンクをアイドル状態に戻すために必要な動作である。50サイクルから59サイクルまでプリチャージ時間の経過を待ち、60サイクルで読込のための活性化コマンド(ACT25)を発行し、65サイクルからリードコマンド26が1サイクルおきにR1からR20まで発行され、70サイクルから図5の109サイクルまでの40サイクル時間中にメモリ部のデータバスDQ上にデータを出力する。図4のライトコマンド28は、リード(オートプリチャージ付)で、リード動作終了時にバンクをアイドル状態に戻すために必要な動作である。図5の110サイクルから152サイクルまでは、リフレッシュ時間を満足させるためのリフレッシュコマンド31によるリフレッシュ動作を実行する。メモリ部#02の動作は、40サイクルから160サイクルの固定長サイクル動作を開始することを示している。
【0043】
以上の図4および図5のタイムチャートが図1に示す本実施形態の構成にて示したメモリ部#01の160サイクルの固定サイクルの動作となる。メモリ部#02は、メモリ管理制御回路6からの制御によりメモリ部#01に対して図4の40サイクル時間後の41サイクルからメモリ部#02に対する160サイクルの固定サイクル動作を開始する。図4では、41サイクルからメモリ部#02へのライト動作を開始する例と49サイクルからメモリ部#01のライト動作完了後メモリ部#02のライト動作が開始することを示している。
【0044】
また、図5では、100サイクルからメモリ部#02へのリード動作を開始する例と109サイクルからメモリ部#01のリード動作完了後メモリ部#02のリード動作が開始することと、110サイクルからメモリ部#02へのリフレッシュ動作を開始することを示している。メモリ部#03については、図5の動作例のメモリ部#02の固定サイクル動作開始後の40サイクル後から160サイクルの固定サイクル動作を開始し、メモリ部#04についてはメモリ部#03の固定サイクル動作開始後の40サイクル後から160サイクルの固定サイクル動作を開始する。その結果、図1のデータ入出力バス8からの連続したライトデータが図5のメモリ部#01〜#04のDQで分散して連続的に書き込みされ、また、リードデータに示す常時連続したデータが図1のデータ入出力バス8上に出力される。
【0045】
3.効果
以上説明したように、本実施形態によれば、DRAM型メモリを使用することによりメモリの容量の増加を容易にし、また、データ入出力バス8からデータの流れを見た場合、ライトデータは常時連続して書き込み処理がされることとリードデータとして常時連続してデータが出力されるように動作することで、QDRSRAMのようにFIFO型メモリにアクセスしているような動作を行うことができる。
【0046】
4.他の実施形態
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば、DRAM型メモリ4の容量は使用方法により任意の容量が選択可能であり、メモリ部#01〜#04は、4個に限定されるものでなく、回路を実装するための物理的制約、消費電力による制約、コスト的な制約による使用方法やメモリ管理方法によりm個のメモリ部(mは2以上の所望の整数)で構成可能である。また、メモリ部内のDRAM型メモリ4はメモリ部内に一つである制約はなく、データ入出力バス8上のデータの処理帯域に合わせて複数を実装することが出来、例えば64bitであればメモリ部内のDRAM型メモリ4として16bitのメモリを2個使用することで対応可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のDRAM型メモリシステムは、通信装置であるルータ、パケット交換機、SONET/SDH装置等で用いられる一時蓄積外部回路に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
#01−#04 メモリ部
1 メモリインタフェース回路
2 コマンド制御
3 アドレス制御
4 DRAM型メモリ(DDR2SDRAM)
5 選択回路
6 メモリ管理制御回路
7 クロック
8 データ入出力バス
9 メモリ管理制御回路
21 書込みのためのバンク活性化コマンド(ACT)
21 書込みのためのバンク活性化コマンド(ACT)
22 ライトコマンド
23 ライトコマンド(オートプリチャージ付)
24 書込みデータ
25 読込のためのバンク活性化コマンド(ACT)
25 読込のためのバンク活性化コマンド(ACT)
26 リードコマンド
26 リードコマンド
27 読込データ
27 読込データ
28 リードコマンド(オートプリチャージ付)
31 リフレッシュコマンド
31 リフレッシュコマンド
51 メモリ部#01のメモリマップ
52 バンク0のメモリマップ
52 バンク1のメモリマップ
52 バンク2のメモリマップ
52 バンク3のメモリマップ
53 メモリ部#01、メモリ部#02、メモリ部#03、メモリ部#04のバンクと方路の設定

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)型メモリを用いたメモリシステムであって、
DRAM型メモリと、そのライトデータおよびリードデータをそれぞれ入出力するインタフェース回路と、をそれぞれ含む複数のメモリ手段と、
前記複数のメモリ手段に対してライトデータを与え、前記複数のメモリ手段からリードデータを取り出すデータ入出力手段と、
前記複数のメモリ手段の各々を同一の固定サイクル長で動作させ、前記ライトデータの書き込みおよび前記リードデータの読み出しがそれぞれ連続実行されるように、前記複数のメモリ手段の間で前記固定サイクル長の開始タイミングを設定するメモリ管理制御手段と、
を有することを特徴とするDRAM型メモリシステム。
【請求項2】
前記メモリ管理制御手段は、前記複数のメモリ手段の各々をバンク活性化コマンド(ACT)、ライトコマンド(W)、リードコマンド(R)およびリフレッシュコマンド(REF)の順で動作させ、前記固定サイクル長の開始タイミングが相前後する第1メモリ手段と第2メモリ手段に対して、前記第1メモリ手段のライトコマンドの終了に続いて前記第2メモリ手段のライトコマンドを開始するように、前記固定サイクル長の開始タイミングを設定する、ことを特徴とする請求項1に記載のDRAM型メモリシステム。
【請求項3】
前記データ入出力手段は、前記ライトデータを分岐して前記複数のメモリ手段の各々へ出力する分岐手段と、前記複数のメモリ手段からのリードデータから1つのリードデータを選択する選択手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載のDRAM型メモリシステム。
【請求項4】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)型メモリを用いたメモリシステムにおけるメモリ管理制御方法であって、
前記メモリシステムがDRAM型メモリと、そのライトデータおよびリードデータをそれぞれ入出力するインタフェース回路と、をそれぞれ含む複数のメモリ手段を有し、
前記複数のメモリ手段の各々を同一の固定サイクル長で動作させ、前記ライトデータの書き込みおよび前記リードデータの読み出しがそれぞれ連続実行されるように、前記複数のメモリ手段の間で前記固定サイクル長の開始タイミングを設定することを特徴とするメモリ管理制御方法。
【請求項5】
前記複数のメモリ手段の各々をバンク活性化コマンド(ACT)、ライトコマンド(W)、リードコマンド(R)およびリフレッシュコマンド(REF)の順で動作させ、
前記固定サイクル長の開始タイミングが相前後する第1メモリ手段と第2メモリ手段に対して、前記第1メモリ手段のライトコマンドの終了に続いて前記第2メモリ手段のライトコマンドを開始するように、前記固定サイクル長の開始タイミングを設定する、
ことを特徴とする請求項4に記載のメモリ管理制御方法。
【請求項6】
分岐手段が前記ライトデータを分岐して前記複数のメモリ手段の各々へ出力し、選択手段が前記複数のメモリ手段からのリードデータから1つのリードデータを選択することを特徴とする請求項4または5に記載のメモリ管理制御方法。
【請求項7】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)型メモリを用いたメモリシステムにおけるプログラム制御プロセッサをメモリ管理制御装置として機能させるプログラムであって、
前記メモリシステムがDRAM型メモリと、そのライトデータおよびリードデータをそれぞれ入出力するインタフェース回路と、をそれぞれ含む複数のメモリ手段を有し、
前記複数のメモリ手段の各々を同一の固定サイクル長で動作させ、前記ライトデータの書き込みおよび前記リードデータの読み出しがそれぞれ連続実行されるように、前記複数のメモリ手段の間で前記固定サイクル長の開始タイミングを設定する、
ように前記プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記複数のメモリ手段の各々をバンク活性化コマンド(ACT)、ライトコマンド(W)、リードコマンド(R)およびリフレッシュコマンド(REF)の順で動作させ、
前記固定サイクル長の開始タイミングが相前後する第1メモリ手段と第2メモリ手段に対して、前記第1メモリ手段のライトコマンドの終了に続いて前記第2メモリ手段のライトコマンドを開始するように、前記固定サイクル長の開始タイミングを設定する、
ように前記プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
分岐手段が前記ライトデータを分岐して前記複数のメモリ手段の各々へ出力し、選択手段が前記複数のメモリ手段からのリードデータから1つのリードデータを選択するように前記プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とする請求項7または8に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−203767(P2012−203767A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69324(P2011−69324)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】