説明

DTMF信号検出装置、DTMF信号検出方法およびDTMF信号検出プログラム

【課題】単位時間内で処理可能なセッション数を大幅に向上することを可能とするDTMF信号検出装置等を提供する。
【解決手段】DTMF信号検出装置10は、入力された音声信号中のDTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を分析する周波数分析手段12と、周波数分析手段の分析結果から音声信号に含まれるDTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類を判定してこれらを出力するDTMF信号判定手段13と、該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて周波数分析手段に対して動作の抑制を指示する周波数分析制御手段14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DTMF信号検出装置、DTMF信号検出方法およびDTMF信号検出プログラムに関し、特に多くのセッション数を処理可能であるDTMF信号検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号は、電話機のプッシュボタンを操作者が押す操作に応じて生成されるアナログ音声信号である。一般的にトーン信号と呼ばれることも多い。このDTMF信号は、電話交換機に通話先の電話番号を送信するだけでなく、たとえばコールセンター、テレフォンバンキング、(チケットなどの)自動予約システムなどのような音声サービスを提供するIVR(Interactive Voice Response、音声自動応答)システムで、ID番号や処理内容など、ユーザが選択した内容を入力するためにも多く使用される。
【0003】
DTMF信号は、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) Q.24で国際規格として定められている。この規格によると、DTMF信号は低群周波数である697Hz、770Hz、852Hz、941Hzの中からいずれか1つ、高群周波数である1209Hz、1336Hz、1447Hz、1644Hzの中からいずれか1つの周波数を選択して、この低群周波数の正弦波と高群周波数の正弦波とを合成して出力される音声信号である。
【0004】
これによって、DTMF信号は「0」〜「9」の数字と「*」「#」「A」「B」「C」「D」という16種類の信号を表すことができる。一般的な電話機端末では、この中の「A」「B」「C」「D」を除いた12種類(即ち「0」〜「9」の数字と「*」「#」)のキーが設けられており、ユーザがキーを押せばこれに対応した周波数を合成したDTMF信号がアナログ音声信号として電話交換機やDTMF信号検出装置に対して送出される。
【0005】
前述のようなIVRシステムで、サービス提供者は「○○を選択される方は1番、××を選択される方は2番を押してください」などのように選択肢を含んだ音声ガイダンスをユーザに対して送出し、これに対応してユーザが操作する電話機端末から受信した音声信号に含まれるDTMF信号をDTMF信号検出装置によって検出して、検出された信号の種類(即ちユーザが押したキーの種類)に応じた処理を行うように当該IVRシステムを構成して運用する。
【0006】
このITU−T Q.24では、DTMF信号の周波数や最低継続時間などが規定されている。日本国内で一般的なNTT方式の場合、最低継続時間などについて具体的に以下のように定められている。
(1)DTMF信号の最低継続時間は40ms(DTMF信号は40ms以上継続して送信する必要がある)
(2)最大中断時間は10ms(10ms以下の中断があっても同一の信号として扱う必要がある)
(3)DTMF信号間の最低休止時間は30ms(2つのDTMF信号間には最低30msの休止を挟む必要がある)
(4)信号速度は120ms/digit(1つの信号の送信時間+休止時間を120ms以上にする必要がある)
【0007】
図31は、特許文献1などに記載されたDTMF信号検出装置910の構成について示す説明図である。このDTMF信号検出装置910は、入力された音声信号に含まれる、DTMF信号で使用される周波数の強度を分析する複数の周波数偏差分析器(以後単に周波数分析器という)911a〜bと、周波数分析器の分析結果をもとにDTMF信号を受信したか否かを判定するDTMF信号判定器912とから構成される。
【0008】
周波数分析器911a〜bは、入力された音声信号の一定時間分のデータに対して、互いに異なる周波数の成分について離散フーリエ変換(DFT)を行い、これによってDTMF信号で使用される各周波数成分の強度を検出する。DTMF信号判定器912は、周波数分析器911a〜bで検出された各周波数成分の強度から、DTMF信号を受信したか否かを判定すると同時に、受信したDTMF信号の種類(即ちユーザが押したキーの種類)を判別して、これを出力する。
【0009】
図32は、図31に示した周波数分析器911a〜bの動作について示すタイムチャートである。この図32で、横軸は時刻、タイムライン上の両矢印は、周波数偏差分析器911aおよび911bの分析区間を表す。この周波数偏差分析器911a〜bでは、複数の周波数分析器911a〜bを使用することで、周波数分析区間に重なりを持たせることが可能となり、分析区間(具体的には18.75ms)を長くし、分析周期(具体的には13.125ms)を短くして、短時間のDTMF信号に対する検出精度の向上を図っている。
【0010】
また、これ以外にDTMF信号検出装置に関連する技術として、次の各々がある。その中でも、特許文献2には、DTMF信号が検出されない継続時間を検出して、誤検出を防止するというDTMF信号検出装置について記載されている。特許文献3には、DFTによるDTMF信号の検出で、その標本数と周波数点の設定について記載されている。
【0011】
特許文献4には、DTMF信号をまず粗周波数分析器によって分析し、その分析結果からそのDTMF信号を異なる個検出器に出力して分析することによって、その分析に要する演算量を抑制するというトーン(DTMF)信号検出装置について記載されている。特許文献5には、複数のトーン判定部によって異なるタイミングでトーン(DTMF)信号を検出するというトーン検出器について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−324519号公報
【特許文献2】特開2001−112033号公報
【特許文献3】特開2002−223460号公報
【特許文献4】特開2002−252675号公報
【特許文献5】特開2003−174522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
DTMF信号検出装置、またはこれを利用したIVRシステムは、前述したように、コールセンター、テレフォンバンキング、自動予約システムなどのような音声サービスで利用が広まっている。当然、1台のDTMF信号検出装置で、より多くの接続先(電話機)からの接続(セッション)を処理できること、即ち処理可能なセッション数の向上が求められる。また、電話機を操作するユーザの利便性を向上するために、DTMF信号に対して実用に耐えうる検出精度を保ちつつ、持続時間(即ち、ユーザが1つのキーを押し続ける秒数)の短いDTMF信号を検出可能とすることも求められる。
【0014】
そのために、前述の特許文献1のように、各々のセッションに対して常に複数の周波数分析器を用いることは有用である。
【0015】
しかしながら、これだと各々の周波数分析器に対する処理の負荷が大きくなる。特に、複数のセッションに対する処理を行う周波数分析器を1台のコンピュータによって実現する場合、その処理の負荷が大きいので、同時に処理可能なセッション数を多くすることに限界がある。
【0016】
前述の特許文献2〜5に記載の技術は、そもそも同時に処理可能なセッション数を増加させることを目的としていないし、またそのために利用可能なものでもない。従って、特許文献1〜5に記載の技術を全て組み合わせたとしても、この問題を解決しうる技術とはならない。
【0017】
本発明の目的は、単位時間内で処理可能なセッション数を大幅に向上することを可能とするDTMF信号検出装置、DTMF信号検出方法およびDTMF信号検出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係るDTMF信号検出装置は、入力された音声信号から、互いに異なる2つの周波数成分からなるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置であって、音声信号中のDTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を分析する周波数分析手段と、周波数分析手段の分析結果から音声信号に含まれるDTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類を判定してこれらを出力するDTMF信号判定手段と、該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて周波数分析手段の動作の抑制を指示する周波数分析制御手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するため、入力された音声信号から互いに異なる2つの周波数成分からなるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置にあって、音声信号中のDTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を周波数分析手段が分析し、周波数分析手段の分析結果から音声信号に含まれるDTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類をDTMF信号判定手段が判定してこれらを出力し、該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて周波数分析制御手段が周波数分析手段の動作の抑制を指示することを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明に係るDTMF信号検出プログラムは、入力された音声信号からDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置にあって、DTMF信号検出装置が備えるコンピュータに、音声信号中のDTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を分析する手順、周波数分析手段の分析結果から音声信号に含まれるDTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類を判定してこれらを出力する手順、および該DTMF信号の有無および種類の判定結果に応じて検出動作の抑制を指示する手順を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、上記したように、周波数分析制御手段がDTMF信号判定手段の判定結果に応じて必要な検出精度を判定して、その検出精度に応じて周波数分析手段に必要最小限の動作をさせるように構成したので、計算量を大きく削減することができる。これによって、単位時間内で処理可能なセッション数を大幅に向上することが可能であるという優れた特徴を持つDTMF信号検出装置、DTMF信号検出方法およびDTMF信号検出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るDTMF信号検出装置の構成について示す説明図である。
【図2】図1に示した周波数分析手段の1セッション分のより詳しい構成について示す説明図である。
【図3】図2で示した周波数分析手段で、周波数強度分析部が2個の場合に、制御通信部がこれらの周波数強度分析部に対して指示する周波数強度分析の開始時刻と終了時刻の例を示す説明図である。
【図4】図2で示した周波数分析手段で、各周波数強度分析部が分析するDTMF信号の周波数について示す表である。
【図5】図1に示したDTMF信号判定手段における周波数の判定方法の一例を示す説明図である。
【図6】図1に示した周波数分析制御手段の構成を表すブロック図である。
【図7】図6に示したDTMF信号検出状態テーブルのより詳しい内容について示す説明図である。
【図8】図1に示したDTMF信号検出装置の動作について示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS104で、判定結果受信部がDTMF信号検出状態テーブルを更新する動作について示す表である。
【図10】図1に示したDTMF信号検出装置のより具体的な構成について示す説明図である。
【図11】図10に示すDTMF信号検出装置の具体的な実施例であるサーバ装置で、制御通信部が各々の周波数強度分析部に指示する周波数強度分析の動作について示す説明図である。
【図12】図11に示した周波数強度分析部による周波数強度分析の動作で、DTMF信号が検出された場合の動作について示す説明図である。
【図13】図12に示した周波数強度分析部による周波数強度分析で「7」に対応するDTMF信号が検出されて更新されたDTMF検出状態テーブルの例について示す説明図である。
【図14】図12に示した周波数強度分析部による周波数強度分析でDTMF信号が「未検出」となって更新されたDTMF検出状態テーブルの例について示す説明図である。
【図15】図11に示した周波数強度分析部による周波数強度分析で、DTMF信号が検出されなくなった後の動作について示す説明図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係るDTMF信号検出装置の構成について示す説明図である。
【図17】図16に示した周波数分析制御手段のより詳しい構成について示す説明図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る音声自動応答装置の構成について示す説明図である。
【図19】図18に示したDTMF信号検出装置のより詳しい構成について示す説明図である。
【図20】図19で示した周波数分析制御手段のさらに詳しい構成について示す説明図である。
【図21】図18に示したDTMF信号検出装置の動作について示すフローチャートである。
【図22】図21のステップS304で示した周波数分析制御手段(周波数分析精度決定部)が周波数分析精度を決定する動作の詳細について示す表である。
【図23】図18に示した音声自動応答装置で、DTMF信号検出装置で決定される周波数分析精度について示すタイムチャートである。
【図24】本発明の第4の実施形態に係るDTMF信号検出装置の構成について示す説明図である。
【図25】図24に示した周波数分析手段のより詳しい構成について示す説明図である。
【図26】図24に示した周波数分析制御手段のより詳しい構成について示す説明図である。
【図27】図24〜26に示したDTMF信号検出装置の動作について示すタイムチャートである。
【図28】図24〜26に示したDTMF信号検出装置の動作について示すフローチャートである。
【図29】図24に示したDTMF信号検出装置のより具体的な構成について示す説明図である。
【図30】図24に示したDTMF信号検出装置のより具体的な動作について示すタイムチャートである。
【図31】特許文献1などに記載された、一般的なDTMF信号検出装置の構成について示す説明図である。
【図32】図31に示した周波数分析器の動作について示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態の構成について添付図1,2,6に基づいて説明する。
最初に、本実施形態の基本的な内容について説明し、その後でより具体的な内容について説明する。
本実施形態に係るDTMF信号検出装置10は、入力された音声信号から互いに異なる2つの周波数成分からなるDTMF信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置である。このDTMF信号検出装置10は、音声信号中のDTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を分析する周波数分析手段12と、周波数分析手段の分析結果から音声信号に含まれるDTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類を判定してこれらを出力するDTMF信号判定手段13と、該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて周波数分析手段の動作の抑制を指示する周波数分析制御手段14とを備える。
【0024】
ここで周波数分析手段12は、DTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数ごとに信号強度を検出する周波数強度分析部22と、周波数分析制御部から指示された周波数強度分析の頻度と長さに応じて各周波数強度分析手段に信号強度検出処理の開始時刻と終了時刻を指示する制御通信部24とを備えること。
【0025】
また、周波数分析制御手段14は、DTMF信号判定手段から出力されたDTMF信号が検出中であるか否かを示す検出情報を受信する判定結果受信部31と、受信された検出情報を予め備えられた記憶手段に検出状態テーブル(DTMF信号検出状態テーブル35)として保存する判定結果保存部32と、検出状態テーブルの内容に応じて必要なDTMF信号の検出精度を決定する周波数分析精度決定部33と、決定された検出精度を周波数分析手段に対して送信する指示送信部34とを備える。
【0026】
そして周波数分析制御手段14は、DTMF信号判定手段13が現在DTMF信号を検出した場合、その直後にDTMF信号の検出精度の抑制を周波数分析手段に対して指示する。
【0027】
以上の構成を備えることにより、本実施形態のDTMF信号検出装置10は、DTMF信号の検出に係る計算量を削減して、同時に多くのセッション数を処理することが可能となる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るDTMF信号検出装置10の構成について示す説明図である。DTMF信号検出装置10は、受信した音声信号がデジタル音声信号の場合に音声コーデックのデコードなどを行い、アナログ音声信号の場合にはサンプリングを行ってPCM(Pulse Code Modulation)などのようなサンプリングデータに変換する音声信号受信手段11a、11b、…、11nと、音声信号受信手段11から出力されるサンプリングデータに対してDTMF信号で使用される周波数の強度を分析する周波数分析手段12a、12b、…、12nとを備える。
【0029】
DTMF信号検出装置10はさらに、周波数分析手段12で分析された周波数の強度から受信したDTMF信号の種類を判定するDTMF信号判定手段13a、13b、…、13n、およびDTMF信号判定手段13の判定結果(これをDTMF信号検出情報という)をもとに周波数分析手段12の動作を制御する周波数分析制御手段14も備える。ここで、音声信号受信部、周波数分析部、DTMF信号判定部は、通信セッション(n系統、nは1以上の整数)ごとに存在するものであり、これら各々を総称して音声信号受信手段11、周波数分析手段12、DTMF信号判定手段13という。
【0030】
図2は、図1に示した周波数分析手段12の1セッション分のより詳しい構成について示す説明図である。周波数分析手段12は、音声信号受信手段11から出力されたサンプリングデータを受信するサンプリングデータ受信部21と、受信されたサンプリングデータから取り出した一定期間のデータに含まれるDTMF信号で使用される各周波数の強度を分析する周波数強度分析部22a、22b、…、22m(m系統、mは1以上の整数、以後これらを総称して周波数強度分析部22という)とを備える。
【0031】
そして周波数分析手段12はさらに、周波数強度分析部22による周波数強度分析結果をDTMF信号判定手段13へ送信する分析結果送信部23、および周波数分析制御手段14からの指示に基づいて周波数強度分析部22に周波数強度分析の開始時刻と終了時刻を指示する制御通信部24も備える。
【0032】
周波数分析制御手段14から周波数分析手段12への指示は、周波数強度分析の頻度と長さで構成され、制御通信部24はこの指示をもとに各々の周波数強度分析部22に開始時刻と終了時刻を指示する。たとえば、周波数分析制御手段14から「頻度10ms、長さ20ms」という指示があった場合、制御通信部24は、各々の周波数強度分析部22に対して、「開始時刻0ms終了時刻20ms」、「開始時刻10ms終了時刻30ms」、…と指示する。このとき、制御通信部24は、各周波数強度分析部22の開始時刻および終了時刻が重複しないように、開始時刻および終了時刻を指示する。
【0033】
図3は、図2で示した周波数分析手段12で、周波数強度分析部22が2個の場合に、制御通信部24がこれらの周波数強度分析部22aおよび22bに対して指示する周波数強度分析の開始時刻と終了時刻の例を示す説明図である。この例では、周波数分析制御手段14からの指示が「頻度10ms、長さ20ms」であり、これに対して制御通信部24は周波数強度分析の周期を10ms異なるものとして、開始時刻および終了時刻が重複しないようにしている。
【0034】
図4は、図2で示した周波数分析手段12で、各周波数強度分析部22が分析するDTMF信号の周波数について示す表である。周波数強度分析部22a、22b、…、22hは、制御通信部24から指示された開始時刻と終了時刻の間のサンプリングデータに対して、図4で示した8種類の周波数の強度を分析する。
【0035】
前述したように、DTMF信号の仕様はITU−T Q.24などで規定されており、低群周波数である697Hz、770Hz、852Hz、941Hzから1つ、高群周波数である1209Hz、1336Hz、1447Hz、1644Hzから1つの周波数を選択し、それらの周波数の正弦波を合成し、16種類の信号を表すものである。
【0036】
DTMF信号判定手段13は、この信号周波数の分析によって、操作者が押したボタンの種類(0〜9、*、#、A〜D)を検出することができる。たとえば、697Hzと1209Hzの正弦波を合成したものは「1」を表し、941Hzと1477Hzを合成したものは「#」を表す。
【0037】
各周波数信号の強度は、サンプリングデータを離散コサイン変換することで得られる。一般的には、前述の特許文献1にも記載されているGoertzelアルゴリズムが用いられる。
【0038】
なお、DTMF信号には図4に示す8種類の周波数が使用されるが、周波数が変更もしくは追加などされて運用されることもありうる。その場合にも、周波数強度分析部22で強度を分析する周波数を変更するだけで対応できる。
【0039】
図5は、図1に示したDTMF信号判定手段13における周波数の判定方法の一例を示す説明図である。DTMF信号判定手段13は、周波数分析手段12から出力された開始時刻と終了時刻の間のサンプリングデータに対する周波数強度の分析結果から、DTMF信号を受信したか否か、またそのDTMF信号の種類を判定して、DTMF信号検出情報を出力する。
【0040】
音声信号にDTMF信号が含まれる場合、図5に示される例のように低群と高群のそれぞれ1つずつの周波数の強度が極端に大きくなる。DTMF信号判定手段13はこの性質を利用して、周波数の強度に閾値を設け、低群と高群それぞれ1つずつの強度が閾値を超えた場合に、DTMF信号を受信したと判定する。なお、図5はDTMF信号判定手段13によるDTMF信号の判定方法の一例を示すものであり、これ以外の判定方法を利用してもよい。
【0041】
図6は、図1に示した周波数分析制御手段14の構成を表すブロック図である。周波数分析制御手段14は、DTMF信号判定手段13からDTMF信号検出情報を受信する判定結果受信部31と、判定結果受信部31で受信したDTMF信号検出情報をDTMF信号検出状態テーブル35として保存する判定結果保存部32と、判定結果受信部31で受信したDTMF信号検出情報とDTMF信号検出状態テーブル35に保存された情報をもとに周波数分析精度を決定する周波数分析精度決定部33と、周波数分析精度決定部33で決定した分析精度に応じて周波数分析手段12に周波数強度分析の頻度と長さの指示を送信する指示送信部34から構成される。
【0042】
図7は、図6に示したDTMF信号検出状態テーブル35のより詳しい内容について示す説明図である。DTMF信号検出状態テーブル35は、セッションID35a、ステータス35b、検出開始時刻35c、検出終了時刻35dという各データ項目を含む。セッションID35aは、各セッションに一意に与えられるIDである。ステータス35bは、各セッションの状態を示し、「未検出」または「検出中」が格納される。また「検出中」の場合には、検出しているDTMF信号の種類(即ちユーザが押したキーの種類)も保存される。図7に示した例では、検出しているDTMF信号の種類はカッコ内に(5)などのように示されている。
【0043】
検出開始時刻35cおよび検出終了時刻35dには、ステータス35bが「未検出」の場合には、直前に受信したDTMF信号の検出開始時刻および検出終了時刻が各々保存される。セッション開始後、DTMF信号を一度も受信していない場合には、検出開始時刻35cおよび検出終了時刻35dはいずれも空欄となる。一方、ステータス35bが「検出中」の場合には、検出開始時刻35cには現在検出しているDTMF信号の検出開始時刻が保存され、検出終了時刻35dは空欄となる。
【0044】
周波数分析制御手段14の周波数分析精度決定部33における、分析精度の決定方法について説明する。離散コサイン変換による周波数の強度分析は、分析に使用するデータ数を増やすほど精度が向上する。ステータス35bが「未検出」の場合、次に送信されてくるDTMF信号の種類およびタイミングが未知であるので、周波数分析精度決定部33は、DTMF信号の周波数を高精度に分析できるよう、可能分析頻度を高く、長さを長くする。このような周波数分析手段12の動作状態を、高精度モードという。
【0045】
一方、ステータス35bが「検出中」の場合、同一のDTMF信号が継続されているか否かが判定できればよいので、分析頻度を低く、長さを短くすることができる。このような周波数分析手段12の動作状態を、低精度モードという。
【0046】
高精度モード、低精度モードそれぞれの頻度と長さは、周波数分析精度決定部33にあらかじめ設定しておく。また、高精度モード、低精度モードでDTMF信号判定手段13で使用する閾値や、判定アルゴリズムを変更してもよい。
【0047】
図8は、図1に示したDTMF信号検出装置10の動作について示すフローチャートである。まず、通話セッション開始後、音声信号受信手段11が通信先端末からの音声信号の受信を開始し、受信した音声信号をPCMなどのサンプリングデータに変換して周波数分析手段12に渡す(ステップS101)。
【0048】
これを受けた周波数分析手段12は、制御通信部24によって周波数分析制御手段14から指示された周波数分析の頻度と長さをもとに、各周波数強度分析の開始時刻と終了時刻を計算し、周波数強度分析部22へ周波数分析を指示する(ステップS102)。指示を受けた周波数強度分析部22は受信した音声信号の周波数強度を分析し、その分析結果を分析結果送信部23からDTMF信号判定手段13に渡す。DTMF信号判定手段13は、受け取った周波数強度の分析結果から、DTMF信号の有無とその種類を判定する(ステップS103)。
【0049】
これに引き続いて、DTMF信号判定手段13は判定結果であるDTMF信号検出情報を周波数分析制御手段14に渡す。周波数分析制御手段14は、受け取ったDTMF信号検出情報から、周波数分析精度を決定する(ステップS104)。これと同時に、周波数分析制御手段14の判定結果受信部31は、受け取ったDTMF信号検出情報をもとに、判定結果保存部32のDTMF信号検出状態テーブル35を更新する。
【0050】
図9は、図8のステップS104で、判定結果受信部31がDTMF信号検出状態テーブル35を更新する動作について示す表である。ステータス35bが「未検出」で、かつDTMF信号検出情報が「検出」であれば、判定結果受信部31はステータス35bを「検出中」とし、検出開始時刻35cをステップS102の周波数強度分析の開始時刻としてDTMF信号検出状態テーブル35を更新する。
【0051】
また、ステータス35bが「検出中」で、かつDTMF信号検出情報が「未検出」であれば、判定結果受信部31はステータス35bを「未検出」とし、検出終了時刻35dをステップS102の周波数強度分析の終了時刻としてDTMF信号検出状態テーブル35を更新する。これら以外の場合では、判定結果受信部31はDTMF信号検出状態テーブル35を更新しない。
【0052】
そして、ステップS104で周波数分析制御手段14の周波数分析精度決定部33は、ステータス35bが「未検出」の場合には高精度モード、「検出中」の場合には低精度モードを各々選択し、指示送信部34から選択されたモードに応じて周波数強度分析の頻度と長さを指示する。
【0053】
上記のステップS101〜S104は、セッションが継続している間繰り返して継続し、セッションが切断されたら処理を終了する(ステップS105)。
【0054】
(第1の実施形態のより具体的な実施例)
次に、本実施形態のより具体的な実施例について説明する。図10は、図1に示したDTMF信号検出装置10のより具体的な構成について示す説明図である。DTMF信号検出装置10は、ネットワークインタフェース111(LANポート)とCPU(Central Processing Unit、主演算制御手段)112と外部記憶装置113(ハードディスクドライブなど)を備えるサーバ装置110によって実現される。
【0055】
音声信号受信手段11a、11b、…、11nは、CPU112で実行されるプログラムがネットワークインタフェース111を制御することで実現される。サーバ装置110は、ネットワークインタフェース111およびIPネットワーク122を介して複数台のIP(Internet Protocol)電話機121a、121b、…と接続される。
【0056】
IP電話機121a、121b、…は、通話音声およびDTMF信号を含むアナログ音声信号をデジタル信号に変換し、さらにG.711などのようなコーデックを利用してエンコードし、RTP(Real-time Transport Protocol)ヘッダを付加してからネットワーク112を介してサーバ装置110(DTMF信号検出装置10)に対して送信する。
【0057】
また、IP電話機121a、121b、…を、通常のアナログ電話機131aおよび変換装置132の組に置換することもできる。この場合、アナログ電話機131aから出力されるアナログ音声信号を、変換装置132が上記と同様の処理でエンコードおよびRTPヘッダを付加されたデジタル信号に変換してから、ネットワーク112を介してサーバ装置110(DTMF信号検出装置10)に対して送信する。即ち、IP電話機121a、121b、…、121nの機能を、アナログ電話機131aおよび変換装置132に分割したものであるとも言える。変換装置132は、一般的に「VoIPアダプタ」と呼ばれる。
【0058】
さらに、IP電話機や変換装置を使用せず、アナログ電話機131bから出力されるアナログ音声信号を、IPネットワークとは異なるアナログ通話網133を経由してサーバ装置110(DTMF信号検出装置10)に接続することもできる。この場合、アナログ電話機131bは、ネットワークインタフェース111ではなく音声インタフェース114を経由して、音声信号受信手段11に接続されることとなる。
【0059】
周波数分析手段12a、12b、…、12nと、DTMF信号判定手段13a、13b、…、13nと、周波数分析制御手段14(DTMF信号検出状態テーブル35を除く)は、いずれもCPU112で実行されるコンピュータプログラムである。周波数分析手段12のサンプリングデータ受信部21、周波数強度分析部22a、22b、…、22h、分析結果送信部23、制御通信部24は、いずれもCPU112で実行されるプログラムである周波数分析手段12の内部モジュールである。
【0060】
周波数分析制御手段14のうち、判定結果受信部31、判定結果保存部32、周波数分析精度決定部33、指示送信部34はCPU112で実行されるプログラムである周波数分析制御手段14の内部モジュールであり、DTMF信号検出状態テーブル35は外部記憶装置113に保存される。
【0061】
また、周波数分析手段12を、周波数分析を行うためのハードウェアに置換することもできる。その場合、周波数分析を行う拡張ボードをサーバ装置であるDTMF信号検出装置10に搭載し、サンプリングデータ受信部21、分析結果送信部23、制御通信部24はいずれもサーバ装置10との間のバス、周波数強度分析部22は周波数分析用のDSP(Digital Signal Processor、デジタル信号プロセッサ)である。
【0062】
このサーバ装置110で、ネットワークを介して接続された電話機のうちの1台との間でセッション(これをセッションAという)が開始されると、このセッションAに対応する音声信号受信手段11、周波数分析手段12、DTMF信号判定手段13が決定される。ここでは、セッションAに音声信号受信手段11a、周波数分析手段12a、DTMF信号判定手段13aが各々使用される。
【0063】
次に、周波数分析制御手段14は周波数分析手段12aに対して、周波数強度分析の頻度と長さを指示する。本実施例では、高精度モードでは「頻度5ms、長さ20ms」であり、低精度モードでは「頻度を10ms、長さを10ms」とあらかじめ定義されている。セッションAの開始時点では「高精度モード」で動作するので、周波数分析制御手段14は周波数分析手段12aに対して「頻度5ms、長さ20ms」での動作を指示する。
【0064】
音声信号受信手段11aは、通信先端末から音声データの格納されたRTP(Real-Time Transport Protocol)パケットを受信し、IPヘッダとUDPヘッダの情報(IPアドレスやポート番号)をもとにしてどのセッションのパケットであるかを識別した後、RTPヘッダの情報をもとにパケットの並べ替えやロスしたパケットの復元を行い、G.711などの音声コーデックのデコードを行って8kHzのサンプリングデータに変換し、周波数分析手段12aへ送信する。
【0065】
周波数分析手段12aの制御通信部24は、サンプリングデータの受信を開始すると、CPU112内に4個の周波数強度分析部22a〜dを動作させて、それぞれに対して周波数強度分析の開始時刻と終了時刻を指示する。図11は、図10に示すDTMF信号検出装置10の具体的な実施例であるサーバ装置110で、制御通信部24が各々の周波数強度分析部22a〜dに指示する周波数強度分析の動作について示す説明図である。
【0066】
周波数強度分析部22a〜dは、制御通信部24の指示に基づいて、指示された開始時刻と終了時刻でサンプリングデータの離散コサイン変換の動作を行い、DTMF信号で使用される各周波数の強度を分析し、その分析結果を分析結果送信部23を介してDTMF信号判定手段13に渡す。
【0067】
DTMF信号判定手段13は、周波数強度分析部22a〜dから受け取った結果のそれぞれに対して、各周波数の中で強度が閾値を超えているものを抽出し、低群と高群がそれぞれ1つずつの場合にDTMF信号であると判定し、判定結果(DTMF信号検出情報)を周波数分析制御手段14に渡す。
【0068】
周波数分析制御手段14は、判定結果受信部31でDTMF信号判定手段13からDTMF信号検出情報を受信すると、判定結果保存部32でDTMF検出状態テーブル35を必要に応じて更新する。セッションAの開始時点では、DTMF検出状態テーブル35はステータス35bが「未検出」、検出開始時刻35cおよび検出終了時刻35dはいずれも空欄であり、DTMF信号が検出されるまではこのDTMF検出状態テーブル35が更新されることはない。
【0069】
ここで、DTMF信号が検出された場合の動作について説明する。図12は、図11に示した周波数強度分析部22a〜dによる周波数強度分析の動作で、DTMF信号が検出された場合の動作について示す説明図である。この図12に示す例では、周波数強度分析部の中の1台である周波数強度分析部22aがタイミング(1)の周波数分析の結果、DTMF信号を検出したという例を示している。また、DTMF信号を検出したタイミングを、縦の破線として示している。
【0070】
周波数強度分析部22aからDTMF信号判定手段13aを介してDTMF信号「検出済」の報告を受けた周波数分析制御手段14の判定結果受信部31は、判定結果保存部32によってDTMF検出状態テーブル35のステータス35bを「検出中」とし、検出開始時刻35cを現在検出しているDTMF信号の検出開始時刻、即ち図12の縦の破線の時刻とし、検出終了時刻35dを空欄とする。図13は、図12に示した周波数強度分析部22aによる周波数強度分析で「7」に対応するDTMF信号が検出されて更新されたDTMF検出状態テーブル35の例について示す説明図である。
【0071】
これに引き続いて、周波数分析精度決定部33は、低精度モードである「頻度10ms、長さ10ms」での動作を周波数分析手段12aに指示する。この指示を受けた周波数分析手段12aの制御通信部24は、それまで動作していた周波数強度分析部22b〜dの動作を止めて、周波数強度分析部22aのみ「頻度10ms、長さ10ms」で動作を継続するように周波数強度分析の開始時刻と終了時刻を指示する。
【0072】
この分析結果はDTMF信号判定手段13aへ送信され、そこでの判定結果は周波数分析制御手段14へ送信される。同一のDTMF信号を受信し続けているとDTMF信号判定手段13aが判定した場合には、周波数分析制御手段14から周波数分析手段12aへの指示は変更されない。
【0073】
ここで、DTMF信号が検出されなくなった場合の動作について説明する。図12に示した例で、周波数強度分析部22aがタイミング(2)の周波数分析の結果、DTMF信号が「未検出」となった場合、周波数分析制御手段14の判定結果受信部31は、判定結果保存部32によってDTMF検出状態テーブル35のステータス35bを「未検出」とし、検出終了時刻35dを周波数強度分析の終了時刻とする。図14は、図12に示した周波数強度分析部22aによる周波数強度分析でDTMF信号が「未検出」となって更新されたDTMF検出状態テーブル35の例について示す説明図である。
【0074】
引き続いて、周波数分析精度決定部33は、周波数分析手段12aに対して高精度モードの「頻度5ms、長さ20ms」での動作を指示する。この指示を受けた周波数分析手段12aの制御通信部24は、周波数分析器22a〜dに対して、「頻度5ms、長さ20ms」になるように周波数強度分析の開始時刻と終了時刻を指示する。図15は、図11に示した周波数強度分析部22a〜dによる周波数強度分析で、DTMF信号が検出されなくなった後の動作について示す説明図である。図15では、DTMF信号が検出されなくなったタイミングを縦の一点鎖線として示している。
【0075】
以上に示したように、本実施形態に係るDTMF信号検出装置10、およびその具体的な実施例であるサーバ装置110では、DTMF信号の受信状況から高精度な周波数分析が必要か否かを判断して、高精度な周波数分析が必要ではない状況においては同時に動作させる周波数分析器の数を少なくしている。
【0076】
より具体的には、新たなDTMF信号を検出する時には、未知の入力信号に対して周波数を特定する必要があるので、「高精度モード」として4つの周波数分析部の動作が必要である。それに対して、同じDTMF信号が継続しているか否かを検出する時には、周波数は既知であるので、「低精度モード」として1つのみの周波数分析部を動作させればよい。
【0077】
これによって、動作する必要のなくなった周波数分析器の分のリソースを、他のセッションに振り向けることができる。従って、DTMF信号の検出で同時に動作可能なセッションの数を増加させることが可能となる。
【0078】
(第1の実施形態の全体的な動作)
次に、上記の実施形態の全体的な動作について説明する。
本実施形態に係るDTMF信号検出方法は、入力された音声信号から互いに異なる2つの周波数成分からなるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置10にあって、音声信号中のDTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を周波数分析手段が分析し(図8・ステップS101〜102)、周波数分析手段の分析結果から音声信号に含まれるDTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類をDTMF信号判定手段が判定してこれらを出力し(図8・ステップS103)、該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて周波数分析制御手段が周波数分析手段の動作の抑制を指示する(図8・ステップS104)。
【0079】
ここで、上記各動作ステップについては、これをコンピュータで実行可能にプログラム化し、これらを前記各ステップを直接実行するDTMF信号検出装置10に実行させるようにしてもよい。本プログラムは、非一時的な記録媒体、例えば、DVD、CD、フラッシュメモリ等に記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
この動作により、本実施形態は以下のような効果を奏する。
【0080】
本実施形態によれば、DTMF信号の受信状況から、このDTMF信号に対して必要な分析精度について判断して、これに応じた動作モードを周波数分析部に対して指示する。これによって、「高精度モード」の動作が必要ない場合には、周波数分析部の動作を「低精度モード」として、動作する周波数分析器のリソースを削減することが可能となるので、削減された分のリソースを他のセッションに振り向けることが可能となり、従ってDTMF信号の検出で同時に動作可能なセッションの数を増加させることが可能となる。
【0081】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るDTMF信号検出装置150は、第1の実施形態の構成に加えて、周波数分析制御手段154が、DTMF信号判定手段13が現在DTMF信号を検出しておらず、かつDTMF信号の直前の検出終了時刻からの経過時間が予め与えられた値以下である場合、DTMF信号の検出精度の抑制を周波数分析手段に対して指示するように構成した。
【0082】
この構成によって、第1の実施形態と同一の効果が得られるのに加えて、周波数分析手段をDTMF信号の検出精度の低い動作(低精度モード)で動作させる時間をさらに長くすることができるので、第1の実施形態よりもさらにDTMF信号の検出で同時に動作可能なセッションの数を増加させることが可能となる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0083】
図16は、本発明の第2の実施形態に係るDTMF信号検出装置150の構成について示す説明図である。DTMF信号検出装置150の構成は、前述した第1の実施形態に係るDTMF信号検出装置10とハードウェア的には全く同一であり、ソフトウェア的にも周波数分析制御手段14が別の周波数分析制御手段154に置き換えられている。これ以外の要素については、DTMF信号検出装置10と同一であるので、同一の名称と参照番号でいう。
【0084】
図17は、図16に示した周波数分析制御手段154のより詳しい構成について示す説明図である。周波数分析制御手段154は、周波数分析精度決定部33が別の周波数分析精度決定部163に置換されている以外は、前述した第1の実施形態に係る周波数分析制御手段14と同一である。これ以外の要素については、DTMF信号検出装置10と同一であるので、同一の名称と参照番号でいう。
【0085】
図17に示す周波数分析精度決定部163は、第1の実施形態に係る周波数分析精度決定部33がDTMF検出状態テーブル35のステータス35bが「未検出」か「検出済」かによって周波数分析手段12の動作が高精度モードか低精度モードかを切り替えるのに加えて、前述したDTMFの規定を利用して周波数分析手段12の動作が高精度モードか低精度モードかを切り替えている。
【0086】
前述のように、ITU−T Q.24では、DTMF信号について以下のように規定されている(NTT方式の場合)。
(1)DTMF信号の最低継続時間は40ms(DTMF信号は40ms以上継続して送信する必要がある)
(2)最大中断時間は10ms(10ms以下の中断があっても同一の信号として扱う必要がある)
(3)DTMF信号間の最低休止時間は30ms(2つのDTMF信号間には最低30msの休止を挟む必要がある)
(4)信号速度は120ms/digit(1つの信号の送信時間+休止時間を120ms以上にする必要がある)
【0087】
上記(3)の規程より、DTMF信号停止後、最低30msは新たなDTMF信号が送信されない。従って、ステータスが「未検出」で、検出終了時刻から30ms以内の時間では、DTMF信号を受信していないことのみを確認すればよいため、低精度モードにすることができる。
【0088】
また、上記(4)の規程より、DTMF信号の送信開始から次のDTMF信号の送信開始まで最低120msの間隔がある。従って、ステータス35bが「未検出」で検出開始時刻から120ms以内の時間でも、低精度モードにすることができる。
【0089】
従って、第1の実施形態に係る周波数分析精度決定部33は、ステータス35bが「検出中」の場合にのみ「低精度モード」での動作を周波数分析手段12に対して指示していたが、本実施形態ではステータス35bが「検出中」から「未検出」になっても検出終了時刻もしくは検出開始時刻から予め定められた時刻の間だけ「低精度モード」での動作を周波数分析手段12に継続させるので、周波数分析手段12が低精度モードで動作する時間をより長くすることができる。従って、第1の実施形態よりもさらに同時に多くのセッション数を処理することが可能となる。
【0090】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るDTMF信号検出装置210は、第1の実施形態の構成に加えて、別に備えられた音声ガイダンス送信装置220からユーザが入力可能な選択肢についての情報を含む音声ガイダンスを送出する前の状態である旨の選択肢再生情報を受信した場合、DTMF信号の検出精度の抑制を周波数分析手段に対して指示するように構成した。
【0091】
この構成によって、第1および第2の実施形態と同一の効果が得られるのに加えて、周波数分析手段をDTMF信号の検出精度の低い動作(低精度モード)で動作させる時間をさらに長くすることができるので、第1および第2の実施形態よりもさらにDTMF信号の検出で同時に動作可能なセッションの数を増加させることが可能となる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0092】
図18は、本発明の第3の実施形態に係る音声自動応答装置201の構成について示す説明図である。音声自動応答装置201は、入力された音声信号からDTMF信号を検出するDTMF信号検出装置210と、検出したDTMF信号の種類に応じた処理を実行する処理装置230と、処理装置230からの指示に応じた音声ガイダンス信号を発信元の電話機に対して送信する音声ガイダンス送信装置220と、発信元の電話機から音声信号(DTMF信号を含む)を受信して音声ガイダンス信号を送信する通信装置240とで構成される。
【0093】
音声ガイダンス送信装置220は、処理装置230からの指示に応じた音声ガイダンス信号を通信装置240を介して送信すると同時に、送信中の音声ガイダンス信号についての情報をDTMF信号検出装置210に通知する。通信装置240は、発信元の電話機から受信した音声信号(DTMF信号を含む)を、DTMF信号検出装置210に渡す。
【0094】
図19は、図18に示したDTMF信号検出装置210のより詳しい構成について示す説明図である。DTMF信号検出装置210は、概ね図1に示した第1の実施形態に係るDTMF信号検出装置10と同一の構成を備える。相違点は、周波数分析制御手段14が別の周波数分析制御手段214に置き換えられている点である。これ以外の要素については、DTMF信号検出装置10と同一であるので、同一の名称と参照番号でいう。
【0095】
図20は、図19で示した周波数分析制御手段214のさらに詳しい構成について示す説明図である。周波数分析制御手段214は、音声ガイダンス送信装置220から送信される音声ガイダンス信号についての情報を受信するガイダンス情報受信部236を有する。また、周波数分析精度決定部33が別の周波数分析精度決定部233に置換されている。
【0096】
周波数分析精度決定部233は、判定結果受信部31および判定結果保存部32からの情報に加えて、ガイダンス情報受信部236から受信した情報をもとに周波数分析精度を決定する。これ以外の要素については、第1の実施形態に係る周波数分析制御手段14と同一であるので、同一の名称と参照番号でいう。
【0097】
図21は、図18に示したDTMF信号検出装置210の動作について示すフローチャートである。図21に示された動作は、図8に示したDTMF信号検出装置10の動作と概ね同一であるが、周波数分析制御手段214(周波数分析精度決定部233)が周波数分析精度を決定する(ステップS304)動作のみが図8と異なる。これ以外の動作は図8と同一であるので、同一の名称でいう。
【0098】
図22は、図21のステップS304で示した周波数分析制御手段214(周波数分析精度決定部233)が周波数分析精度を決定する動作の詳細について示す表である。周波数分析精度決定部233は、ガイダンス情報受信部236から受信した選択肢再生情報と、判定結果受信部31がDTMF信号判定手段13から受信したDTMF信号検出情報とから、周波数分析手段12に指示する周波数分析精度を「高精度モード」および「低精度モード」から選択して決定する。
【0099】
選択肢再生情報は、音声ガイダンス送信装置220からガイダンス情報受信部236が受信した情報であり、「未再生」もしくは「再生済」の2通りの値を持つ。「未再生」とは、音声ガイダンス送信装置220が、ユーザが操作ボタンで選択する選択肢についての音声情報をまだ送出していないことを意味する。「再生済」は、この音声情報を既に送出済であることを意味する。
【0100】
DTMF信号検出情報は、第1の実施形態のDTMF信号検出装置10と同じく、DTMF信号が「未検出」もしくは「検出済」の2通りの値を持つ。周波数分析精度決定部233は、選択肢再生情報が「未再生」であれば、DTMF信号検出情報に関わらず「低精度モード」を選択する。選択肢再生情報が「再生済」でかつDTMF信号検出情報が「未検出」であれば周波数分析精度決定部233は「高精度モード」を選択し、そして選択肢再生情報が「再生済」でかつDTMF信号検出情報が「検出済」であれば周波数分析精度決定部233は「低精度モード」を選択する。
【0101】
第1の実施形態のDTMF信号検出装置10では、DTMF信号が「未検出」の場合は高精度モード、DTMF信号が「検出中」の場合は低精度モードとした。しかしながら、選択肢が「未再生」の場合には、事前に選択肢を知っている端末(ユーザ)でない限り、DTMF信号を入力することはない。従って、本実施形態では、DTMF信号が「未検出」であっても選択肢が「未再生」の場合には、周波数分析手段12の動作を低精度モードとすることができる。
【0102】
従って、本実施形態では、音声ガイダンス送信装置220から受信する選択肢再生情報を利用して、第1の実施形態よりもさらに、周波数分析手段12が低精度モードで動作する時間を増加させることができる。なお、本実施の形態におけるDTMF信号検出装置10は、選択肢再生情報を音声ガイダンス送信装置220から受信するように記述しているが、他の機器から受信してもよい。
【0103】
(第3の実施形態のより具体的な実施例)
次に、本実施形態のより具体的な実施例について説明する。音声自動応答装置201は、サーバ装置であるDTMF信号検出装置210と、音声ガイダンス送信装置220と、処理装置230と、通信部240とを、イーサネット(登録商標)によって相互に接続して構成することができる。DTMF信号検出装置210の各要素は、第1の実施形態のDTMF信号検出装置10と同様に、CPU112で実行されるコンピュータプログラムによって構成することができる。
【0104】
図23は、図18に示した音声自動応答装置201で、DTMF信号検出装置210で決定される周波数分析精度について示すタイムチャートである。図23は、音声ガイダンス送信装置220から送出された音声ガイダンスの内容と、音声ガイダンス装置220からDTMF信号検出装置210に通知される選択肢再生情報と、これに応じて周波数分析精度決定部233が決定する周波数分析精度について示している。
【0105】
音声ガイダンス装置220はまず、時刻t0〜t1で第1の設問についての事前の説明メッセージを送出し、時刻t1〜t2で第1の設問の第1の選択肢を送出し、時刻t2〜t3で第1の設問の第2以降の選択肢を音声ガイダンスとして送出する。その後、音声ガイダンス装置220は時刻t3〜t4で音声ガイダンスを一時的に休止した後、時刻t4から第2以降の設問をこれと同様に継続する。
【0106】
この場合、操作者は選択肢が全く送出されていない状態では、選択肢にあるボタンを押してDTMF信号を音声自動応答装置201を入力する可能性はほとんどない。第1の設問の第1の選択肢が送出された後であれば、第1の選択肢を選択しようとしていたユーザが、その選択肢のDTMF信号を入力する可能性がある。
【0107】
従って、この時、音声ガイダンス装置220からDTMF信号検出装置210に通知される選択肢再生情報は、時刻t0〜t2は「未再生」であり、第1の選択肢が送出された後の時刻t2〜t4が「再生済」となる。従って、周波数分析精度決定部233が決定する周波数分析精度は、時刻t0〜t2については「低精度モード」である。時刻t2〜t4については、第1の実施形態と同様の動作により「高精度モード」もしくは「低精度モード」が選択される。時刻t4以降も、第2以降の設問についてこれと同様に継続する。
【0108】
以上で説明した本実施形態によれば、音声ガイダンス装置220から通知される選択肢再生情報に応じて周波数分析手段12を「低精度モード」で動作させることができるので、第1および第2の実施形態よりもさらに周波数分析手段12が「低精度モード」で動作する時間をさらに長くすることができる。従って、第1および第2の実施形態よりもさらに同時に多くのセッション数を処理することが可能となる。
【0109】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係るDTMF信号検出装置310は、第1の実施形態の構成に加えて、周波数分析手段312が、過去において入力されたDTMF信号を記憶するDTMF信号記憶部325を備え、周波数分析制御手段314が周波数分析手段312に対してDTMF信号の検出精度を抑制しつつ間欠的に動作することを指示すると共に、DTMF信号判定手段313が、周波数分析手段の前回の動作と今回の動作との間でDTMF信号が変化したことを検出した場合に、周波数分析手段312に対して、DTMF信号の変化が検出された時間帯に入力されたDTMF信号を検出精度を抑制せずに分析することを指示するように構成した。
【0110】
この構成によっても、第1の実施形態と同一の効果が得られるのに加えて、周波数分析手段を全く動作させない時間帯を作ることができるので、第1の実施形態よりもさらにDTMF信号の検出で同時に動作可能なセッションの数を増加させることが可能となる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0111】
図24は、本発明の第4の実施形態に係るDTMF信号検出装置310の構成について示す説明図である。DTMF信号検出装置310の構成は、前述した第1の実施形態に係るDTMF信号検出装置10とハードウェア的には全く同一であり、ソフトウェア的にも周波数分析手段12、DTMF信号判定手段13および周波数分析制御手段14が各々別の周波数分析手段312、DTMF信号判定手段313および周波数分析制御手段314に置き換えられている。これ以外の要素については、DTMF信号検出装置10と同一であるので、同一の名称と参照番号でいう。
【0112】
図25は、図24に示した周波数分析手段312のより詳しい構成について示す説明図である。周波数分析手段312は、サンプリングデータ受信部21が受信したDTMF信号を予め定められた時間だけ記憶するDTMF信号記憶部325を備えており、かつ周波数強度分析部22が制御通信部24からの命令に応じて過去に遡ってDTMF信号記憶部325に記憶されたDTMF信号を読み出してこのDTMF信号の分析を行うことのできる別の周波数強度分析部322(322a、322b、…)に置換されている。この点を除いては、前述した第1の実施形態に係る周波数分析手段312と同一である。
【0113】
図26は、図24に示した周波数分析制御手段314のより詳しい構成について示す説明図である。周波数分析制御手段314は、周波数分析精度決定部33が別の周波数分析精度決定部333に置換されている以外は、前述した第1の実施形態に係る周波数分析制御手段14と同一である。これ以外の要素については、DTMF信号検出装置10と同一であるので、同一の名称と参照番号でいう。
【0114】
周波数分析精度決定部333は、動作開始時には周波数分析手段312をまず低精度モードで動作させる。低精度モードでは、一定の周期で周波数分析手段312の動作を停止させて周波数強度分析を行わない時間帯を作る。即ち、周波数分析手段312を間欠的に動作させる。以下、このことをより詳細に説明する。
【0115】
図27は、図24〜26に示したDTMF信号検出装置310の動作について示すタイムチャートである。図27の横軸は時刻を示す。開始時刻をt0とし、そこからの経過時刻をt1、t2、t3、…とする。周波数分析制御手段314は、時刻t0〜t1、t2〜t3、t4〜t5、t6〜t7、…の時間帯を各々、周波数分析手段312を低精度モードでリアルタイムにその時点で入力されるDTMF信号の分析をさせる時間帯とする。
【0116】
そして周波数分析制御手段314は、これ以外の時刻t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t6〜t7、…の時間帯を各々、周波数分析手段312にリアルタイムにその時点で入力されるDTMF信号の分析を行わせない時間帯とする。図28は、図24〜26に示したDTMF信号検出装置310の動作について示すフローチャートである。
【0117】
周波数分析制御手段314の周波数分析精度決定部333は、セッションが生成されるとまず、周波数分析手段312の動作モードについて初期設定を行う。初期状態では、周波数分析手段312を低精度モードで動作させ(ステップS401)、この低精度モードでは頻度が長さより大きくなるように設定する。
【0118】
ここでいう「頻度」および「長さ」の定義は、本明細書の段落0033および図3として説明した通りである。即ち、「頻度」を「長さ」より長くすることによって、信号周波数分析手段312の動作が停止して周波数分析が行われない時間帯が発生する。これが、図27で示した、時刻t0〜t1、t2〜t3、t4〜t5、t6〜t7、…で周波数分析手段312が低精度モードで動作し、他の時間帯で周波数分析を行わずにDTMF信号をDTMF信号記憶部325に記憶するという動作となる。
【0119】
周波数分析手段312は、ステップS401で周波数分析精度決定部333から指示された通りの頻度と長さで周波数強度分析を行い、各周波数の強度をDTMF信号判定手段13に通知する(ステップS402)。DTMF信号判定手段313は、通知された各周波数の強度からDTMF信号の種類について判定してその結果を周波数分析制御手段314に出力する(ステップS403)。
【0120】
そしてDTMF信号判定手段313は、信号周波数分析手段312の現在の動作におけるDTMF信号の検出結果と1つ前の動作におけるDTMF信号の検出結果が等しいか否かについて判断する(ステップS404)。周波数分析手段312の現在と1つ前の動作におけるDTMF信号の検出結果が同一であれば(ステップS404がノー)、現在と1つ前の動作の間の時間帯においてもDTMF信号は変化していないと判断して、そのまま後述のステップS406に処理を進める。
【0121】
その現在と1つ前の動作におけるDTMF信号の検出結果が異なっていれば(ステップS404がイエス)、現在と1つ前の動作の間の時間帯にDTMF信号が変化したと推定し、DTMF信号記憶部325に記憶されたその変化が発生したと推定される時間帯のDTMF信号を追加で分析する(本実施形態ではこれを高精度モードという)よう、DTMF信号判定手段313が周波数分析制御手段314を介して周波数分析手段312に指示する(ステップS405)。この指示を受けた周波数分析手段312は、指示された時間帯に入力されたDTMF信号をDTMF信号記憶部325から読み出し、分析する。
【0122】
DTMF信号判定手段313は、そのDTMF信号の分析結果を外部に向けて出力し(ステップS406)、以上の処理をセッションが継続している間繰り返して継続し、セッションが切断されたら処理を終了する(ステップS407)。ステップS404でDTMF信号が変化していないと判断された場合には、ステップS406で「変化無し」、即ち前回動作と同一の判断結果をDTMF信号判定手段313が出力する。
【0123】
図27に示した例では、時刻t0〜t1、および時刻t2〜t3の時間帯には、いずれもDTMF信号が検出されていないので、その間の時刻t1〜t2の時間帯においてもDTMF信号が検出されない状態が継続していたものと判断できる。また、時刻t4〜t5、および時刻t6〜t7の時間帯には、信号種類「1」に対応するDTMF信号が継続的に検出されたので、その間の時刻t5〜t6の時間帯においても同じ信号種類「1」のDTMF信号が継続していたものと判断することができる。
【0124】
これに対して、時刻t2〜t3の時間帯にはDTMF信号が検出されず、時刻t4〜t5の時間帯にはDTMF信号「1」が検出されている。この場合、時刻t3〜t4の時間帯は、DTMF信号が検出されていないのか、それともDTMF信号「1」が検出されたのかを判断できない。
【0125】
そこで、DTMF信号判定手段313は、この時刻t3〜t4の時間帯に入力されたDTMF信号をDTMF信号記憶部325から読み出して分析するよう、周波数分析制御手段314を介して周波数分析手段312に指示する。DTMF信号判定手段313は、この周波数分析手段312の出力を受けて初めて、時刻t3〜t4の時間帯で入力されたDTMF信号が「1」であると判定できる。
【0126】
前述したように、DTMF信号が変化した場合には周波数分析手段312の高精度モードの動作が必要であるが、同一種類のDTMF信号が継続している場合には、周波数分析手段312を間欠的に動作させて動作しない時間帯を作る低精度モードでよい。これにより、動作する周波数強度分析部のリソースをさらに削減させて、DTMF信号の検出で同時に動作可能なセッションの数をさらに増加させることが可能となる。
【0127】
そのために、周波数分析手段312に、DTMF信号を予め定められた時間だけ記憶するDTMF信号記憶部325を設け、DTMF信号を過去に遡って分析することが可能な構成としている。DTMF信号記憶部325の記憶容量は、時刻t4〜t5の時点で、時刻t3〜t4の時間帯で入力されたDTMF信号を分析できればよいので、少なくとも前述の「頻度」1周期分のDTMF信号を記憶できればよい。
【0128】
それより前に検出されたDTMF信号の種類については、DTMF信号判定手段313が周波数分析手段312の前回動作時の検出結果を記憶する機能を備えるようにしてもよい。また、過去の検出結果は周波数分析制御手段314のDTMF信号検出状態テーブル35に記憶されているので、この記憶結果を周波数分析制御手段314を介して読み出すようにしてもよい。
【0129】
(第4の実施形態のより具体的な実施例)
次に、本実施形態のより具体的な実施例について説明する。図29は、図24に示したDTMF信号検出装置310のより具体的な構成について示す説明図である。DTMF信号検出装置310は、図10に示した第1の実施形態の具体的な実施例であるサーバ装置110と同一のハードウェア構成を備えるサーバ装置510によって実現される。
【0130】
図25に示した周波数分析手段312は、サーバ装置510のCPU112で実行されるコンピュータプログラムとして実現される。ただし、周波数分析手段312のうちのDTMF信号記憶部325のみが、外部記憶装置113上に確保された記憶領域として実現される。DTMF信号判定手段313および周波数分析制御手段314は、図10に示したサーバ装置110と同様に、DTMF信号検出状態テーブル35のみが外部記憶装置113上の記憶領域として、他はCPU112で実行されるコンピュータプログラムとして実現される。
【0131】
図30は、図24に示したDTMF信号検出装置310のより具体的な動作について示すタイムチャートである。ここでは、周波数分析精度決定部333が、周波数分析手段312の動作で、頻度を「20ms」、長さを「10ms」と決定する(図28・ステップS401)。即ち、周波数分析手段312は、見かけ上、動作しない時間帯が10msおきに生じる。
【0132】
即ち、図30は、図27でt0=0、t1=10ms、t2=20ms、…以下10msごとにt3、t4、t5、t6、t7、…とした場合と同一である。DTMF信号記憶部325は、「頻度」1周期分、即ち過去20msの間に入力されたDTMF信号を記憶することが可能である。
【0133】
低精度モードで動作を開始した周波数分析手段312は、時刻t=t0〜t1=0〜10msで音声信号受信手段11からサンプリングデータ受信部21を介して入力されたDTMF信号に対して、各周波数の強度を求め、DTMF信号判定手段313に通知する。DTMF信号判定手段313は、各周波数の強度からDTMF信号判定を行う。ここでは、DTMF信号は特に検出されなかったので、時刻t=t0〜t1=0〜10msにおける判定結果は「未検出」となる(図28・ステップS402〜403)。
【0134】
この時点ではまだ、1つ前の動作におけるDTMF信号の検出結果は無いので、DTMF信号判定手段313は「未検出」を出力して、図28のフローでそのまま2周目に進む(図28・ステップS404〜407)。
【0135】
周波数分析手段312は、時刻t=t1〜t2=10〜20msにおいては動作せず、入力されたDTMF信号をそのままDTMF信号記憶部325に記憶する。
【0136】
そして周波数分析手段312は、時刻t=t2〜t3=20〜30msで入力されたDTMF信号に対して、各周波数の強度を求め、DTMF信号判定手段313に通知する。DTMF信号判定手段313は、各周波数の強度からDTMF信号判定を行う。ここでも、DTMF信号は特に検出されなかったので、時刻t=t2〜t3=20〜30msにおける判定結果は「未検出」となる(図28・ステップS402〜403)。
【0137】
ここで、DTMF信号判定手段313は、1つ前の動作におけるDTMF信号の検出結果と今回の検出結果とを比較する(図28・ステップS404)。この時点では「未検出」のまま変化していないので、DTMF信号判定手段313は、時刻t1〜t2=10〜20ms、t2〜t3=20ms〜30msの「未検出」を出力して、そのまま3周目に進む(図28・ステップS406〜407)。
【0138】
周波数分析手段312は、時刻t=t3〜t4=30〜40msにおいては動作せず、入力されたDTMF信号をそのままDTMF信号記憶部325に記憶する。そして周波数分析手段312は、時刻t=t4〜t5=40〜50msで入力されたDTMF信号に対して、各周波数の強度を求め、DTMF信号判定手段313に通知する。
【0139】
ここで、DTMF信号判定手段313は、DTMF信号「1」と判定し、1つ前の動作におけるDTMF信号の検出結果と今回の検出結果とを比較する(図28・ステップS404)。この時点では「未検出」から「1」に変化したので、時刻t=t3〜t4=30〜40msが「未検出」であったのか「1」であったのかを判定できない。そこで、周波数分析手段312に、時刻t=t3〜t4=30〜40msで入力されたDTMF信号を分析する高精度モードを指示する(図28・ステップS405)。
【0140】
周波数分析手段312は、時刻t=t3〜t4=30〜40msで入力されたDTMF信号をDTMF信号記憶部325から読み出して分析し、検出された周波数をDTMF信号判定手段313に報告する。ここでは「697Hz」と「1209Hz」の周波数成分が検出されたので、DTMF信号判定手段313は信号種類=「1」と判定し、これを時刻t=t3〜t4=30〜40msにおける判定結果として出力する(図28・ステップS406)。
【0141】
その後、時刻t=t4〜t5=40〜50msの判定結果である「1」を出力する。
【0142】
周波数分析手段312は、ここで低精度モードの動作に戻り(図28・ステップS401)、時刻t=t5〜t6=50〜60msにおいては動作せず、入力されたDTMF信号をそのままDTMF信号記憶部325に記憶する(図28・ステップS406)。そして周波数分析手段312は、時刻t=t6〜t7=60〜70msで入力されたDTMF信号に対して、各周波数の強度を求め、DTMF信号判定手段313に通知する(図28・ステップS402〜403)。
【0143】
DTMF信号判定手段313は、各周波数の強度からDTMF信号判定を行う。ここで、前回動作と同一の信号種類=「1」のDTMF信号が検出されたので、時刻t=t6〜t7=60〜70msにおける判定結果としてそのまま「1」を出力する(図28・ステップS404〜406)。以後、セッション終了まで、DTMF信号検出装置310はこの動作をこれと同様に繰り返す(図28・ステップS407)。
【0144】
以上で説明したように、周波数分析手段312は時刻t=t3〜t4=30〜40msの間だけ、高精度モードで動作する。これ以外の、時刻t=0〜10,20〜30,40〜50,60〜70msの間については周波数分析手段312は低精度モードで動作する。
【0145】
即ち、前後の判定結果が異なっている時刻t=t3〜t4=30〜40msの時間帯以外は、周波数分析手段312は低精度モードでの動作となるので、周波数分析に必要なリソースをさらに抑制することができる。
【0146】
このDTMF信号検出装置310では、DTMF信号が入力されてからその判別結果が出力されるまで、最長で「頻度」1周期分=20ms分の遅延が発生しうる。即ち、この遅延の秒数は、判別結果を受けての電話交換機やIVRシステム等の動作に特に影響しない範囲に最初から設定されたものである。
【0147】
これまで本発明について図面に示した特定の実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができる。
【0148】
上述した実施形態について、その新規な技術内容の要点をまとめると、以下のようになる。なお、上記実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0149】
(付記1) 入力された音声信号から、互いに異なる2つの周波数成分からなるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置であって、
前記音声信号中の前記DTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を分析する周波数分析手段と、
前記周波数分析手段の分析結果から前記音声信号に含まれる前記DTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類を判定してこれらを出力するDTMF信号判定手段と、
該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて前記周波数分析手段の動作の抑制を指示する周波数分析制御手段と
を備えることを特徴とするDTMF信号検出装置。
【0150】
(付記2) 前記周波数分析手段が、
前記DTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数ごとに信号強度を検出する周波数強度分析部と、
前記周波数分析制御部から指示された周波数強度分析の頻度と長さに応じて前記各周波数強度分析手段に前記信号強度検出処理の開始時刻と終了時刻を指示する制御通信部と
を備えることを特徴とする、付記1に記載のDTMF信号検出装置。
【0151】
(付記3) 前記周波数分析制御手段が、
前記DTMF信号判定手段から出力された前記DTMF信号が検出中であるか否かを示す検出情報を受信する判定結果受信部と、
受信された前記検出情報を予め備えられた記憶手段に検出状態テーブルとして保存する判定結果保存部と、
前記検出状態テーブルの内容に応じて必要な前記DTMF信号の検出精度を決定する周波数分析精度決定部と、
決定された前記検出精度を前記周波数分析手段に対して送信する指示送信部と
を備えることを特徴とする、付記2に記載のDTMF信号検出装置。
【0152】
(付記4) 前記周波数分析制御手段が、前記DTMF信号判定手段が現在前記DTMF信号を検出した場合、その直後に前記DTMF信号の検出精度の抑制を前記周波数分析手段に対して指示することを特徴とする、付記1に記載のDTMF信号検出装置。
【0153】
(付記5) 前記周波数分析制御手段が、前記DTMF信号判定手段が現在前記DTMF信号を検出しておらず、かつ前記DTMF信号の直前の検出終了時刻からの経過時間が予め与えられた値以下である場合、前記DTMF信号の検出精度の抑制を前記周波数分析手段に対して指示することを特徴とする、付記4に記載のDTMF信号検出装置。
【0154】
(付記6) 前記周波数分析制御手段が、別に備えられた音声ガイダンス送信装置からユーザが入力可能な選択肢についての情報を含む音声ガイダンスを送出する前の状態である旨の選択肢再生情報を受信した場合、前記DTMF信号の検出精度の抑制を前記周波数分析手段に対して指示することを特徴とする、付記1に記載のDTMF信号検出装置。
【0155】
(付記7) 前記周波数分析手段が、過去において入力された前記DTMF信号を記憶するDTMF信号記憶部を備え、
前記周波数分析制御手段が前記周波数分析手段に対して前記DTMF信号の検出精度を抑制しつつ間欠的に動作することを指示すると共に、
前記DTMF信号判定手段が、前記周波数分析手段の前回の動作と今回の動作との間で前記DTMF信号が変化したことを検出した場合に、前記周波数分析手段に対して、前記DTMF信号の変化が検出された時間帯に入力された前記DTMF信号を検出精度を抑制せずに分析することを指示することを特徴とする、付記1に記載のDTMF信号検出装置。
【0156】
(付記8) 入力された音声信号から互いに異なる2つの周波数成分からなるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置にあって、
前記音声信号中の前記DTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を周波数分析手段が分析し、
前記周波数分析手段の分析結果から前記音声信号に含まれる前記DTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類をDTMF信号判定手段が判定してこれらを出力し、
該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて周波数分析制御手段が前記周波数分析手段の動作の抑制を指示する
ことを特徴とするDTMF信号検出方法。
【0157】
(付記9) 入力された音声信号からDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置にあって、
前記DTMF信号検出装置が備えるコンピュータに、
前記音声信号中の前記DTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を分析する手順、
前記周波数分析手段の分析結果から前記音声信号に含まれる前記DTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類を判定してこれらを出力する手順、
および該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて検出動作の抑制を指示する手順
を実行させることを特徴とするDTMF信号検出プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、電話機から送出されるDTMF信号を検出してこのDTMF信号で示される電話番号に対して通話を取り次ぐ電話交換機、あるいはこのDTMF信号に反応して動作するIVRシステムに対して適用可能である。
【符号の説明】
【0159】
10、150、210、310 DTMF信号検出装置
11、11a、11b、11c、11n 音声信号受信手段
12、12a、12b、12c、12n、312、312a、312b、312c、312n 周波数分析手段
13、13a、13b、13c、13n、313、313a、313b、313c、313n DTMF信号判定手段
14、154、214、314 周波数分析制御手段
21 サンプリングデータ受信部
22、22a、22b、22m、322、322a、322b、322m 周波数強度分析部
23 分析結果送信部
24 制御通信部
31 判定結果受信部
32 判定結果保存部
33、163、233、333 周波数分析精度決定部
34 指示送信部
35 DTMF信号検出状態テーブル
35a セッションID
35b ステータス
35c 検出開始時刻
35d 検出終了時刻
110、510 サーバ装置
111 ネットワークインタフェース
112 CPU
113 外部記憶装置
114 音声インタフェース
121a、121b IP電話機
122 IPネットワーク
131a、131b アナログ電話機
132 変換装置
133 アナログ通話網
201 音声自動応答装置
220 音声ガイダンス送信装置
230 処理装置
236 ガイダンス情報受信部
240 通信装置
325 DTMF信号記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された音声信号から、互いに異なる2つの周波数成分からなるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置であって、
前記音声信号中の前記DTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を分析する周波数分析手段と、
前記周波数分析手段の分析結果から前記音声信号に含まれる前記DTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類を判定してこれらを出力するDTMF信号判定手段と、
該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて前記周波数分析手段の動作の抑制を指示する周波数分析制御手段と
を備えることを特徴とするDTMF信号検出装置。
【請求項2】
前記周波数分析手段が、
前記DTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数ごとに信号強度を検出する周波数強度分析部と、
前記周波数分析制御部から指示された周波数強度分析の頻度と長さに応じて前記各周波数強度分析手段に前記信号強度検出処理の開始時刻と終了時刻を指示する制御通信部と
を備えることを特徴とする、請求項1に記載のDTMF信号検出装置。
【請求項3】
前記周波数分析制御手段が、
前記DTMF信号判定手段から出力された前記DTMF信号が検出中であるか否かを示す検出情報を受信する判定結果受信部と、
受信された前記検出情報を予め備えられた記憶手段に検出状態テーブルとして保存する判定結果保存部と、
前記検出状態テーブルの内容に応じて必要な前記DTMF信号の検出精度を決定する周波数分析精度決定部と、
決定された前記検出精度を前記周波数分析手段に対して送信する指示送信部と
を備えることを特徴とする、請求項2に記載のDTMF信号検出装置。
【請求項4】
前記周波数分析制御手段が、前記DTMF信号判定手段が現在前記DTMF信号を検出した場合、その直後に前記DTMF信号の検出精度の抑制を前記周波数分析手段に対して指示することを特徴とする、請求項1に記載のDTMF信号検出装置。
【請求項5】
前記周波数分析制御手段が、前記DTMF信号判定手段が現在前記DTMF信号を検出しておらず、かつ前記DTMF信号の直前の検出終了時刻からの経過時間が予め与えられた値以下である場合、前記DTMF信号の検出精度の抑制を前記周波数分析手段に対して指示することを特徴とする、請求項4に記載のDTMF信号検出装置。
【請求項6】
前記周波数分析制御手段が、別に備えられた音声ガイダンス送信装置からユーザが入力可能な選択肢についての情報を含む音声ガイダンスを送出する前の状態である旨の選択肢再生情報を受信した場合、前記DTMF信号の検出精度の抑制を前記周波数分析手段に対して指示することを特徴とする、請求項1に記載のDTMF信号検出装置。
【請求項7】
前記周波数分析手段が、過去において入力された前記DTMF信号を記憶するDTMF信号記憶部を備え、
前記周波数分析制御手段が前記周波数分析手段に対して前記DTMF信号の検出精度を抑制しつつ間欠的に動作することを指示すると共に、
前記DTMF信号判定手段が、前記周波数分析手段の前回の動作と今回の動作との間で前記DTMF信号が変化したことを検出した場合に、前記周波数分析手段に対して、前記DTMF信号の変化が検出された時間帯に入力された前記DTMF信号を検出精度を抑制せずに分析することを指示することを特徴とする、請求項1に記載のDTMF信号検出装置。
【請求項8】
入力された音声信号から互いに異なる2つの周波数成分からなるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置にあって、
前記音声信号中の前記DTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を周波数分析手段が分析し、
前記周波数分析手段の分析結果から前記音声信号に含まれる前記DTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類をDTMF信号判定手段が判定してこれらを出力し、
該DTMF信号判定手段の判定結果に応じて周波数分析制御手段が前記周波数分析手段の動作の抑制を指示する
ことを特徴とするDTMF信号検出方法。
【請求項9】
入力された音声信号からDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の有無を検出して検出された当該DTMF信号の種類を出力するDTMF信号検出装置にあって、
前記DTMF信号検出装置が備えるコンピュータに、
前記音声信号中の前記DTMF信号の規格として予め定められた各使用周波数の強度を分析する手順、
前記周波数分析手段の分析結果から前記音声信号に含まれる前記DTMF信号の有無および当該DTMF信号の種類を判定してこれらを出力する手順、
および該DTMF信号の有無および種類の判定結果に応じて検出動作の抑制を指示する手順
を実行させることを特徴とするDTMF信号検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2013−9281(P2013−9281A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148628(P2011−148628)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】