説明

DVDプレイヤの拡張

拡張されたDVDシステムは、拡張されたアプリケーション機能を持つディスク(6)を再生することが可能なDVDプレイヤ(2)を含む。ディスクを挿入すると、プラットフォーム非依存の実行環境(18)からDVDビデオ仮想マシン(VM)(20)が起動され、前記ディスクからビデオコンテンツを読み取り、該コンテンツに基づきオーディオビジュアル表示を提供する。DVDビデオVM(20)は特定のイベントがいつ発生するかを決定し、プラットフォーム非依存の実行環境(18)へコールバックする。これにより、DVDディスク6に保存された別個のアプリケーションのようなコマンドが実行されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVDプレイヤ及びDVDプレイヤを動作させる方法に関し、より詳細には、拡張された機能を持つDVDを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)は、幾つかの異なるタイプのデータを含み得る。とりわけ、DVDビデオ(DVD−V)データは、ユニバーサル・データ・フォーマット(UDF)ファイルで保存され得る。DVDビデオデータは、多くの数のビデオオブジェクトユニットを持つ、標準的なフォーマットでディスクに保存される。ビデオオブジェクトユニットはセルを構成し、セルはDVD−Vディスク上の1以上のタイトルとして合わせてグループ化される。該フォーマットは当業者には良く知られているため、ここでは更なる詳細は提供されない。
【0003】
DVDビデオデータは、従来のスタンドアロン型のDVDビデオプレイヤで再生され得る。DVDビデオコンテンツは多くがオーディオビジュアルであるが、DVDビデオはユーザがDVDのコンテンツを閲覧することを可能とする限られたインタラクティブなメニューの機能をも含む。DVDプレイヤに実装された仮想マシン(VM)上で命令が実行される。しかしながら、DVD VM内で利用可能な命令は比較的制約されており、これらの命令を用いて複雑なアプリケーションを生成することは不可能である。
【0004】
DVDディスクはまた、DVDビデオ以外のフォーマットでデータを保存し得る。とりわけ、DVDディスクは、ISO/UDFフォーマットでコンピュータシステム用のファイルを保存するために広く利用されている。これらのファイルは、コンピュータシステムに保存され得るいずれのファイルをも含み得る。従ってDVDは、該DVD上にISO/UDFファイルシステムで保存された実行形式ファイルを含み得る。これら実行形式ファイルは、とりわけDVDリーダを備えたコンピュータのような機器によって読み取られ得る。コンピュータによって読み取られる場合には、前記実行形式ファイルは該コンピュータ上で実行されることができる。
【0005】
他の規格は、インタラクティブな放送マテリアル向けのマルチメディア・ホーム・プラットフォーム(MHP)である。該規格は既に世界中の幾つかの国に導入されており、該規格においては、オーディオビジュアルコンテンツと共に、Java(登録商標)コードで記述された高度なアプリケーションが放送され得る。MHPアプリケーションを信号送信するため、アプリケーション情報テーブルが放送される。しかしながら該規格は、DVDのような保存されたコンテンツの問題に対処していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Zouらに発行された米国特許出願公開US2002/0141741は、DVDのようなディスクにアプリケーションを実装する方法を記載している。自動実行(autorun playback)プログラムがディスクに保存され、該ディスクがプレイヤに挿入されると自動的に起動される。自動再生プログラムは自動的に起動し、その後メディアコンテンツにアクセスし該メディアコンテンツを再生するために利用される。かようなプログラムをディスク自体に備えることにより、コピー保護が促進される。なぜなら、コピー保護ソフトウェアが前記プログラムに統合されることができるからである。前記プレイヤはまた、DVDに再生プログラムを保存しない従来のDVDディスクを再生するための、従来のDVD VMも含む。本文献は、拡張されたプレイヤにおける付加的な機能を提供しつつ、従来のプレイヤにおける従来のDVD再生機能をも依然として提供する、バックワードコンパチブルなDVDディスクを記載していない。米国特許出願US2002/0141741におけるコピー保護に対する焦点を鑑みると、従来のプレイヤにおける拡張されたDVDを再生する能力の欠如が望ましいものと考えられていた。
【0007】
しかしながら、多数の既存の装備されたDVDプレイヤを鑑みると、コンテンツプロバイダは、既存のプレイヤで再生され、且つ拡張されたプレイヤにおいても拡張された機能を提供するDVDビデオディスクを供給したいと欲する見込みが高い。
【0008】
従って、より高度なアプリケーションがDVD上に配布されることを可能とし、該アプリケーションがバックワードコンパチブルな方法で従来のDVDビデオコンテンツに統合されるような標準的なDVD−Vへの拡張並びに再生方法及び装置に対するニーズが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、DVDビデオコンテンツ及びDVDビデオでないアプリケーションコンテンツを含むディスクに保存されたオーディオビジュアルコンテンツを表示する方法であって、外部アプリケーションを実行するステップと、オーディオビジュアルコンテンツ及びDVDビデオメニューを含むDVDビデオコンテンツを再生するために、DVDビデオ仮想マシンを起動するステップと、DVDビデオ仮想マシンにおいて、前記ディスクからDVDビデオコンテンツを読み取り、該コンテンツに基づきオーディオビジュアル表示を提供するステップと、前記DVDビデオ仮想マシンにおいて特定のイベントがいつ発生するかを決定し、1以上の前記特定のイベントが発生した場合に前記DVDビデオ仮想マシンから前記外部アプリケーションにコールバックするステップと、発生した前記イベントによって起動されたアプリケーションコマンドを実行するステップとを有する方法が提供される。
【0010】
イベントによって起動されるアプリケーションは、単に最初に起動された外部アプリケーションであっても良い。代替として、前記アプリケーションは、DVD VM又は外部アプリケーションのような他のアプリケーションによって直接起動される別個のアプリケーションであっても良い。
【0011】
好ましくは、プラットフォーム非依存の実行環境が起動され、前記外部アプリケーションが該環境において実行される。
【0012】
重要なことに、DVD VMは従来のDVD−Vコンテンツのような保存されたオーディオビジュアルコンテンツを解釈するために利用される。かくして、DVD−VMは、オーディオビジュアルコンテンツ及びメニューの両方を含むDVD−videoを完全に処理することが可能であるべきである。前記拡張された機能は、特定のイベントが発生した場合にプラットフォーム非依存の実行環境において提供される。
【0013】
標準的なオーディオビジュアルコンテンツを表示するために広く利用されているDVD VMを利用することにより、拡張されたディスクの従来のプレイヤとの互換性を保証することが非常に容易となる。従来のプレイヤは単に、DVD−videoを通常のものとして解釈する。従来のプレイヤは一般に、該プレイヤの従来のDVD VMを単に実行する。従来のDVD VMはイベントを登録すること、前記イベントが発生したときに呼び出し元ルーチンをコールバックすること、又はデータ構造を操作することを実現することが可能ではないが、DVD−Vデータを単に拡張された機能のない従来のDVD−Vとして再生する。
【0014】
DVD−VMは便利にも、プラットフォーム非依存の実行環境で記述される。
【0015】
前記プラットフォーム非依存の実行環境は、プレイヤへのDVDの挿入に応じて自動的に起動されることが、特に好ましい。このことを達成するための幾つかの方法がある。
【0016】
1つのアプローチにおいては、ディスクが、DVDのISO/UDFファイルシステムにおける全てのクラス及びリソースを含む、例えばstart.jarのような標準的な名前を持つJava(登録商標)アーカイブファイル(jarファイル)を含む。該ファイルは、オートスタート(autostart)アプリケーションの位置及び該アプリケーションの起動パラメータを含む標準的なmanifest.mfファイルを含む。
【0017】
代替のアプローチにおいては、0x06(プライベートデータ)のストリームタイプを持つ、又は0x80乃至0xFFの範囲(ユーザデータ)のストリームタイプを持つ、付加的な基本ストリームがディスクに含まれる。前記付加的な基本ストリームは、パケット化された基本ストリーム(PES)パケットにパックされたJava(登録商標)アーカイブファイルのコンテンツを含む。先頭のパケットはアプリケーション情報テーブル(AIT)データを含む。
【0018】
ディスクプレイヤのブートローダが前記付加的な基本ストリームを識別し、前記先頭のPESパケットがAITを含むか否かをチェックする。そうであれば、jarファイルが前記付加的な基本ストリームのPESパケットから構築され、前記AITに規定されたアプリケーションが起動される。
【0019】
通常のディスクプレイヤは、単にプライベートな基本ストリームを無視する。
【0020】
好ましくは、DVD VMと外部のプラットフォーム非依存アプリケーションとの間の通信は、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)を通して提供される。従って、従来のDVD再生システムとは異なり、好適な実施例におけるDVD VMは、外部アプリケーションによる制御のためのAPIを含む。ここで該アプリケーションは、前記APIにより特定のイベントを登録するために前記プラットフォーム非依存の実行環境からAPIを呼び出し、登録されたイベントが発生した場合に前記VMから前記プラットフォーム非依存の実行環境にコールバックする機能を実装する。
【0021】
従来のDVD再生システムは、DVDを起動し、ポーズさせ及び巻き戻すためのメディア制御APIを持つ。しかしながら、これらのAPIはDVDプレイヤの従来の動作制御のみをカバーする。DVD VMは認識されず従ってアクセス不可能であり、DVD VMの内部処理にアクセスする可能性はない。
【0022】
好適な実施例においては、DVD VMのAPIは、外部アプリケーションが、例えばメニューのようなVMデータ構造を操作するためにAPIを呼び出すことを可能とする。このことは、前記外部アプリケーションが、例えば特定のイベントの1つが発生した後に、必要に応じて異なるメニューの選択肢を提供することを可能とする。
【0023】
前記外部アプリケーションが前記イベントを処理した後、更なるオーディオビジュアルコンテンツを再生するため、又は更新されたメニューを表示しユーザ入力を待機するため、処理をDVD VMに返しても良い。
【0024】
前記外部アプリケーションは、イベントの後に制御が前記外部アプリケーションに戻った場合に必要とされるいずれの処理を実行しても良い。例えば、前記外部アプリケーションは、ユーザが適切なビデオゲームをプレイすることを可能としても良く、前記ゲームの結果に依存して、前記外部アプリケーションがDVD VMに異なる後続するオーディオビジュアルコンテンツを表示させるようにしても良い。
【0025】
DVDは好ましくはMPEGストリーム記述子を含み、前記方法は、例えば前記外部アプリケーションをビデオにおけるイベントと同期させるために、MPEGストリーム記述子を認識するステップを含む。
【0026】
前記プラットフォーム非依存の実行環境のための前記外部アプリケーションは好ましくは、Java(登録商標)、MHEG、OpenTV(登録商標)、MediaHighway(登録商標)又はこれらの組み合わせのような、プラットフォーム非依存のコードで記述される。このことは、適切なコンピュータ上でしか実行されることができないISO又はUDFファイルシステムでアプリケーションを保存する従来のDVDの問題を回避する。
【0027】
本発明はまた、DVDプレイヤに上述したような方法を実行させるためのコードに関する。
【0028】
他の態様においては、本発明はまた、上述した方法を用いてDVDディスクを再生するDVDプレイヤに関する。従って、本発明はまた、DVDプレイヤであって、DVDビデオデータを表示するためのDVD仮想マシンを実装するコード有し、前記DVD仮想マシンは更に、コードを含むアプリケーションプログラミングインタフェースを含み、前記コードによって、前記DVD仮想マシンを起動又は停止するため、特定のイベントを登録するため、及び特定のイベントが発生した場合に呼び出し側のアプリケーションをコールバックするため、外部アプリケーションが前記アプリケーションプログラミングインタフェースを呼び出すことができ、前記DVDプレイヤは更に、挿入されたDVDディスクに保存された外部アプリケーションを、前記外部アプリケーションが存在する場合に自動的に実行するためのオートスタートシステムを有し、これにより前記外部アプリケーションが前記DVD上のコンテンツを再生するためにDVD仮想マシンのアプリケーションプログラミングインタフェースを呼び出すDVDプレイヤに関する。
【0029】
本発明の好適な実施例は、添付する図を参照しながら、単に例としてのみ、以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の第1の実施例によるDVDビデオプレイヤ2は、プレイヤ2に挿入されたDVDディスク6を読み取るためのDVDリーダ4を含む。DVDビデオプレイヤ2はまた、プロセッサ10及びメモリ12を含む。前記DVDビデオプレイヤはまた、スタンドアロン型のプレイヤの場合におけるリモートコントローラ14のような、幾つかの他の構成要素を持っていても良い。そうではなくDVDビデオプレイヤ2が従来のパーソナルコンピュータにおいて実装される場合には、リモートコントローラ14はキーボード及びマウス、又は良く知られた他のデータ入力システムによって置き換えられても良い。
【0031】
DVDビデオプレイヤ2は、従来のテレビジョンのような、オーディオビジュアル再生システム16に接続される。当業者には良く理解されるであろうように、前記オーディオビジュアル再生システムは単純なテレビジョンよりも複雑なものであっても良く、サラウンド音声デコーダ、マルチチャネル増幅器及び他の多くのタイプの構成要素を含んでも良い。
【0032】
メモリ12は、DVDビデオプレイヤ2におけるプラットフォーム非依存の仮想マシンを実装するためのコード18を含む。「仮想マシン」とは、プラットフォーム非依存の形態でプログラムが実装されることを可能とするための、標準的な命令を実装することが可能なシステムを意味する。ここで説明される本例においては、前記仮想マシンは、前記DVDビデオプレイヤがJava(登録商標)コードを実行することを可能とする、Java(登録商標)仮想マシン18である。しかしながら、当業者は理解するであろうように、例えばMHEG、OpenTV(登録商標)、MediaHighway(登録商標)等のように、他のプラットフォーム非依存のコードが存在し、これらが代替として又は付加的に利用されても良い。
【0033】
メモリ12はまた、DVD−V仮想マシンを実装するコード20を含む。該コードの機能の多くは標準的なものであり、DVDビデオプレイヤ2が単にオーディオビジュアルDVDビデオコンテンツを再生すること、リモートコントローラ14を利用してメニューにアクセスすること、及びDVDビデオプレイヤの全ての標準的な機能を実行することを可能とする。
【0034】
好適な実施例においては、DVD VM20は、プラットフォーム非依存の仮想マシン18のプラットフォーム非依存コードに実装される。このことは、DVD VM20とプラットフォーム非依存の仮想マシン18で動作する外部アプリケーションとの間の通信を単純にする。しかしながら当業者は、同一のDVDプレイヤ中の異なるアプリケーション上で動作するプロセス間の通信の方法を認識するであろう。従って、DVD VMが同一のプラットフォーム非依存の仮想マシン18において動作することは必須ではない。
【0035】
DVD VM20はまた、DVDビデオプレイヤ2に拡張された機能を与えるアプリケーションプログラミングインタフェース(API)30を含む。
【0036】
API30はDVDビデオデータ及び仮想マシンの構造を呈し、APIへの呼び出しがデータにアクセスするために利用されることができる。前記データには、セル、ビデオオブジェクト及びDVDビデオデータの種々の他の標準的な部分が含まれる。前記APIへの呼び出しは、図3に模式的に示される以下の機能を実行するために利用されることができる。
(1)VMの起動(32)。即ちDVDビデオのデコードの開始。
(2)VMの停止(34)。
(3)VMを用いた特定のイベント、例えば到達されたセル又は特定のメニューにおいて選択された特定の選択肢のようなDVDビデオデータ中の特定の位置の記録(36)。
(4)例えばVMによって表示されるべきメニューの変更するための、データ構造の操作(38)。
【0037】
前記APIは、特定のイベントが発生したときに呼び出されるDVD VMからのコールバックを登録する機能を提供する。一般にこれらイベントは、前記APIへの呼び出しにより予め登録されるが、例えばDVDビデオデータの末尾への到達のような、他のイベントがコールバックを引き起こしても良い。
【0038】
拡張された機能を持つDVD6が、図2に模式的に示される。
【0039】
前記DVDはDVDビデオデータ22を含み、加えてDVDのUDF/ISOファイルシステムに保存された、例えばstart.jarのような標準的な名前を持つJava(登録商標)アーカイブファイル(.jarファイル)24を含む。前記アーカイブファイルは、Java(登録商標)アーカイブにおいては一般的であるように、META_INF/MANIFEST.MFと呼ばれるマニフェストファイル26を含む幾つかのファイルを、オートスタートアプリケーションファイル29と共に保存する。更に、MHPアプリケーションを信号送信するためにMHP放送環境において利用されるようなアプリケーション情報テーブル(AIT)27の表現を含むように拡張される。前記AITは、主外部アプリケーション27及び起動パラメータを識別する。
【0040】
DVDディスク6が挿入されると、Java(登録商標)アーカイブファイル24が復元され、前記マニフェストが適切なパラメータでオートスタートアプリケーション29を実行するために利用される。オートスタートアプリケーション29がJava(登録商標)で係れていることを仮定すると、該オートスタートアプリケーション29は、DVDビデオプレイヤ2におけるJava(登録商標)仮想マシン18上で動作する。
【0041】
オートスタートアプリケーション29は、イベントを登録するためにDVDビデオAPIを呼び出す。
【0042】
イベントを登録した後、オートスタートアプリケーション29は次いでDVDビデオAPIを呼び出し、DVD VM20のDVDビデオデータ22の再生を開始させる。DVD VM20が登録されたイベントの1つを通過した場合、DVD VM20からオートスタートアプリケーション29へと制御が戻され、オートスタートアプリケーション29が前記イベントを処理することを可能とする。
【0043】
異なるイベントは異なる処理を必要とする。説明されるアプローチは、柔軟であり、異なるコンテンツが供給されることを許容するように意図されている。API30は、メニュー構造を更新するために、DVD VMへ呼び出しが為されることを可能とし、このことは、幾つかのイベントについては、必要とされる全てであり得る。代替として、他のイベントについては、複雑なインタラクティブなプログラムが起動され、例えばコンピュータゲームアプリケーション27のようなオートスタートアプリケーション29によって実行されても良い。幾つかの場合においては、DVD VMを停止することが望ましく、このことはオートスタートアプリケーション29からDVD VM APIへの適切な呼び出しによって実行されることができる。他の場合においては、DVD VMが単に続行することが望ましい。
【0044】
本例においては、オートスタートアプリケーション29及びDVD VMの外部で動作する他のアプリケーション27のようなアプリケーションは、外部アプリケーション27及び29と呼ばれる。
【0045】
幾つかの場合においては、メニューアイテムが、或るイベント及びイベントとして登録された該メニューアイテムの選択並びにDVD VMに戻された処理に応じて、外部アプリケーション27及び29によって追加されても良い。次いで、前記メニューが到達されアイテムが選択されると、前記アプリケーションは、例えばDVDビデオ再生の停止及びゲームの開始のような、適切な動作を実行することができる。
【0046】
前記イベントの処理の後に、DVDビデオAPIを用いて制御がDVD VMに戻され、引き続きのDVDビデオ再生を可能としても良い。
【0047】
かくして本アプローチは、適切なプレイヤ2におけるオートスタートアプリケーション29を用いて、DVDディスク6がオートスタートすることを可能とする。しかしながら、DVDディスク6が従来のプレイヤに挿入された場合には、該プレイヤにおける従来のDVD VMが起動しDVDディスク6が通常どおり再生されるが、外部アプリケーション27及び29におけるイベント処理によって提供される、又はこれらアプリケーションによって呼び出される付加的な機能は用いられない。
【0048】
Java(登録商標)アーカイブファイル24がDVDディスク上に供給される外部基本ストリームに保存される、適切なオートスタートアプリケーションを提供するための代替のアプローチが提供されても良い。例えば前記アーカイブファイルは、プライベートエリアを表す0x06のストリームタイプを持つ、又は0x80乃至0xFFのユーザエリア領域(例えば0xBS又は0xBF)のストリームタイプを持つストリーム中に提供されても良い。前記アーカイブファイルはパケットに分割され、先頭のパケットがAITデータを含む。
【0049】
DVDプレイヤ2へのDVDディスク6の挿入に応じて、ブートローダが前記外部基本ストリームを識別し、先頭のパケットがAITを含むか否かをチェックする。そうであれば、該ブートローダが前記ストリームからjarファイルを構築し、該ファイルをパスに追加して前記AITに規定されたアプリケーションを起動する。
【0050】
通常のDVDプレイヤは単に前記外部ストリームを無視する。
【0051】
本代替のアプローチは、外部アプリケーション27及び29がDVDのスクランブリングシステムによって保護されることができるという大きな利点を持つ。
【0052】
外部アプリケーションがDVDビデオ中のイベントと同期することを可能とするために、DVDビデオストリーム中にMPEGストリーム記述子が含まれても良い。例えば、このことをサポートするメカニズムは、DSMCC(digital storage media-command and control)のStreamEventオブジェクトを、前記外部アプリケーションから可視のファイルシステムに配置するステップから成っても良い。MHPアプリケーションの場合には、DSMCCのStreamEventオブジェクトにコールバックを登録するためorg.dvb.dsmccAPIを利用する。該APIは、特定のストリーム記述子についてのDVDビデオストリームの監視をシステムに開始させる。前記記述子がデコードされるとコールバックが発生する。本メカニズムは、UDFファイルシステムをDVDにマウントすること以上のことを必要とすることに留意されたい。UDFの最上部におけるエミュレーション層か、又はディスクに別個に保存されたDSMCCファイルシステム用のデコーダのいずれかが必要とされる。
【0053】
DVDビデオファイルシステムは前記APIを通して呈示され、このことは前記外部アプリケーションのDVDビデオへの優れた統合を可能とすることにも、留意に値する。
【0054】
前記外部アプリケーションからのDVD VMの制御は、Java(登録商標)メディアフレームワーク(JMF)を通して提供されても良い。
【0055】
オートスタートアプリケーション29はJava(登録商標)アプリケーションとして説明されたが、MHEG、OpenTV(登録商標)及びMediaHighway(登録商標)のような、他の多くのプラットフォーム非依存の規格が存在する。前記オートスタートアプリケーションは、1以上のこれら規格で、少なくとも部分的に記述されても良い。例えばどの種のプレイヤ2においてDVDディスク6が動作させられるかが知られている場合のような特定の場合においては、代替としてプラットフォーム非依存ではないコードが提供されても良い。かようなプラットフォーム非依存ではないコードは、幾つかのタイプのマシンに付加的な機能を実装するために利用されても良い。
【0056】
本発明は、いずれの適切なプレイヤに提供されても良い。
【0057】
本開示を読むことにより、当業者には他の変形及び変更が明らかであろう。かような変形及び変更は、DVDの設計、製造及び使用において既に知られた同等の及び他の特徴を含んでも良く、ここで説明された特徴に加えて、又は該特徴の代わりに利用されても良い。本出願においては、請求項が特徴の特定の組み合わせに表現されているが、本開示の範囲は、本発明が軽減するものと同一の技術的な問題のいずれか又は全てを軽減するか否かにかかわらず、ここで明確に又は暗黙的に開示された特徴のいずれの新規な特徴若しくはいずれの新規な組み合わせ又はその一般化をも含むことは理解されるべきである。本出願人はここで、本出願又は本出願から派生する更なる出願の中間処理の間に、いずれかのかような特徴及び/又はかような特徴の組み合わせに新たな請求項が表現され得ることを言及しておく。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明によるDVDプレイヤを示す。
【図2】本発明によるディスクの図を示す。
【図3】本発明を実装するAPIの略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DVDディスクであって、
DVDビデオフォーマットで保存された、オーディオビジュアルコンテンツ及び少なくとも1つのメニューを含むコンテンツと、
DVDビデオでないプラットフォーム非依存のフォーマットのアプリケーションコードと、
起動されたイベントに対応するアプリケーションコードを実行するために拡張されたDVDプレイヤを起動するための、DVDビデオフォーマットで保存されたコンテンツの再生の間に発生するイベントを識別するための、前記ディスクに保存された手段と、
を含むDVDディスク。
【請求項2】
DVDビデオコンテンツ及びDVDビデオでないアプリケーションコンテンツを含むディスクに保存されたオーディオビジュアルコンテンツを表示する方法であって、
前記ディスクに保存された外部アプリケーションを実行するステップと、
オーディオビジュアルコンテンツ及びDVDビデオメニューを含むDVDビデオコンテンツを実行するために、DVDビデオ仮想マシンを起動するステップと、
DVDビデオ仮想マシンにおいて、前記ディスクからDVDビデオコンテンツを読み取り、該コンテンツに基づきオーディオビジュアル表示を提供するステップと、
前記DVDビデオ仮想マシンにおいて特定のイベントがいつ発生するかを決定し、1以上の前記特定のイベントが発生した場合に前記DVDビデオ仮想マシンから前記外部アプリケーションにコールバックするステップと、
発生した前記イベントによって起動されたアプリケーションコマンドを実行するステップと、
を有する方法。
【請求項3】
プラットフォーム非依存の実行環境を起動するステップと、前記環境において前記外部アプリケーションを実行するステップとを更に有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ディスクを適切なプレイヤに挿入するステップと、前記プラットフォーム非依存の実行環境をオートスタートするステップとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記DVD仮想マシンは、前記プラットフォーム非依存の実行環境からの制御のためのアプリケーションプログラミングインタフェースを含み、前記方法は、前記プラットフォーム非依存の実行環境から前記アプリケーションプログラミングインタフェースを呼び出し前記アプリケーションプログラミングインタフェースにより特定のイベントを登録するステップと、前記登録された特定のイベントが発生した場合に、前記ビデオ仮想マシンから前記プラットフォーム非依存の実行環境へとコールバックするステップとを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記外部アプリケーションからビデオ仮想マシンのデータ構造を操作するために前記アプリケーションプログラミングインタフェースを呼び出すステップを含む、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ビデオ仮想マシンのデータ構造はメニューである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記DVDビデオ仮想マシンにおける特定のイベントの発生の決定を起動するため、DVDビデオコンテンツを識別する前記DVDに保存されたMPEGストリーム記述子を認識するステップを含む、請求項2乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
DVDプレイヤであって、
DVDビデオデータを表示するためのDVD仮想マシンを有し、前記DVD仮想マシンは更に、コードを含むアプリケーションプログラミングインタフェースを含み、前記コードによって、前記DVD仮想マシンを起動又は停止するため、特定のイベントを登録するため、及び特定のイベントが発生した場合に呼び出し側のアプリケーションをコールバックするため、外部アプリケーションが前記アプリケーションプログラミングインタフェースを呼び出すことができ、
前記DVDプレイヤは更に、挿入されたDVDディスクに保存された外部アプリケーションを、前記外部アプリケーションが存在する場合に自動的に実行するためのオートスタートシステムを有し、これにより前記外部アプリケーションが前記DVD上のコンテンツを再生するためにDVD仮想マシンのアプリケーションプログラミングインタフェースを呼び出すDVDプレイヤ。
【請求項10】
前記DVD仮想マシンのアプリケーションプログラミングインタフェースはまた、DVDデータ構造を操作するための前記アプリケーションプログラミングインタフェースの呼び出しを実装する、請求項9に記載のDVDプレイヤ。
【請求項11】
請求項2乃至8のいずれか一項に記載の方法のステップをDVDプレイヤに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
データ担体に記録された、請求項11に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−513442(P2007−513442A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530652(P2006−530652)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001563
【国際公開番号】WO2004/102562
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】