説明

E.coli易熱性毒素のB−サブユニット、抗原およびアジュバントを含むワクチン組成物

本発明は、E. coli 易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体と複合体化している抗原およびアジュバントを含むワクチン組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたワクチン組成物、その作製方法、および医薬におけるそれらの使用を提供する。特に、本発明は、MHCクラスIによる抗原提示を改良し得る薬剤を含むアジュバント化ワクチン組成物、およびアジュバントと共に処方された抗原を提供する。
【背景技術】
【0002】
細胞性応答の著しい誘導を要するワクチンの開発は、依然として難問として残っている。というのも、細胞性免疫応答の主要なエフェクター細胞であるCD8+ T細胞は、病原体感染細胞にて合成される抗原を認識することから、良好なワクチン接種は、ワクチン接種を受けた細胞にて免疫原性抗原の合成を必要とするためである。これは、弱毒性生ワクチンを用いることによって達成することが可能であるが、それにも重大な制限がある。第1に、ワクチンを受ける側が免疫抑制されているか、または病原体そのものが免疫抑制を引き起こし得る場合(例えば、ヒト免疫不全ウイルス)、感染の危険性がある。第2に、病原体のうちのいくつかは、細胞培養にて増殖させることが困難であるか、または不可能である (例えば、C 型肝炎ウイルス)。不活性化した全細胞ワクチンまたはalumアジュバント化した、組換えタンパク質サブユニットワクチンなどの他の既存のワクチンは、CD8反応の誘導能が著しく乏しい。
【0003】
これらの理由から、以下のような代替的なアプローチが開発されている:ベクター生ワクチン、プラスミドDNAワクチン、合成ペプチドまたは特異的アジュバント。ベクター生ワクチンは、強い細胞性応答を誘導する際には都合が良いが、当該ベクターに対する既存(例えば、アデノウイルス)のまたはワクチンにより誘導された免疫は、さらなるワクチンの効果を損ない得る(非特許文献1)。また、プラスミドDNAワクチンは、細胞性応答を誘導することはできるが(非特許文献1)、ヒトにおいては依然として不十分であり(非特許文献2)、抗体反応は非常に乏しい。さらに、合成ペプチドは現在、臨床試験にて調べられているが(非特許文献3)、限定された数のT細胞エピトープをコードするこのようなワクチンの有効性は、ワクチンを免れる変異体の出現またはHLA適合患者の第1選択の必要性によって、妨げられ得る。
【0004】
MHCクラスIによる提示を改善することを目的とした代替的なアプローチも、非生ベクターの使用による抗原送達に基づき、記載されている。いくつかの非生ベクターは、細菌毒素、例えば、Anthrax LFn毒素(非特許文献4)、B. pertussisアデニル酸シクラーゼ毒素(非特許文献5)、Pseudomonas Exotoxin A (非特許文献6)またはE. coli 易熱性毒素(非特許文献7)に由来する。
【非特許文献1】Casimiroら、JOURNAL OF VIROLOGY, June, p. 6305-6313 (2003)
【非特許文献2】Mc Conkeyら、Nature Medicine 9, 729-735, (2003)
【非特許文献3】Khongら、J Immunother, 27, 472-477, (2004)
【非特許文献4】Ballardら、PNAS USA 93, pp12531-12534, (1996)
【非特許文献5】Fayolleら、J. Immunology 156, p 4697-4706, (1996)
【非特許文献6】Donnellyら、PNAS USA 90, pp 3530-3534, (1993)
【非特許文献7】Partidosら、Immunology 89, pp 483-487, (1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワクチン抗原および送達系が限られていることから、新たなワクチン組成物が求められている。本願発明者らは、細菌毒素由来の非生ベクターを含む組成物中にアジュバントを含めることによって、生じた免疫応答、特に、CD8特異的反応において有益な効果を生じ得ることを見出した。この有益な効果は、MHC1経路を標的とする薬剤によってもたらされる付加的なアジュバント効果によるというよりも、当該アジュバントによってもたらされた免疫反応の活性化と、MHC1経路を標的とする薬剤によってもたらされた抗原の正確な送達との組合せによるものであると考えられる。アジュバントと共に投与されるLT B-サブユニットおよび抗原を含むワクチン組成物を用いたこれまでの研究は、免疫反応の強度に対して相乗的効果を示すものではなかった(McCluskieら2000 Mol Medicine 6 pp 867-877; McCluskieら(2001)ワクチン19 pp 3759-3768)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、抗原と複合体化しているE. coli 易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体、さらにアジュバントを含むワクチン組成物を提供する。
【0007】
さらなる実施形態において、E. coli 易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体は、GM1受容体に結合することができる。さらなる実施形態において、E. coli 易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体は、第2.1節に記載される方法によって調べられるように、抗原をMHCクラスI経路に向けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書中で用いられる場合、「ワクチン組成物」という用語は、疾患から生物を防御または治療するために、組成物中の抗原に対して免疫反応を誘発するために用いられる組成物と規定される。
本発明との関連において、毒素という用語は、解毒化されており、もはやヒトにとって有毒ではない毒素、またはヒトにおいて有毒な活性を実質的に有していない毒素サブユニットもしくはその断片を意味するものと意図される。
【0009】
解毒化された毒素に基づく好ましい非生ベクターは、E.coli 易動性毒素(LT)由来のBサブユニットである。好ましい実施形態において、非生ベクターは、E. coli 易動性毒素I 型(LTI)由来のBサブユニットである。
【0010】
解毒化された毒素に基づくさらなる非生ベクターとしては、炭疽菌の致死因子 (LF)、P. aeruginosa外毒素AおよびB. pertussis由来のアデニル酸シクラーゼ Aのアミノ末端ドメインを含む。例えば、この非生ベクターは、AB5ファミリーの1ファミリーである毒素、例えば、コレラ毒素(CT)、Bordatella Pertussis毒素(PT)および近年同定されたサブチラーゼ(subtilase )細胞毒素 (Patonら、J Exp Med 2004, Vol 200 pp 35-46)に由来する。
【0011】
E. coliの易動性毒素(LT) は、2つのサブユニット、すなわち、五量体のBサブユニットおよび単量体のAサブユニットからなる。Aサブユニットは、毒性に関与し、一方Bサブユニットは、細胞への輸送に関与する。LTは、GM1 ガングリオシド受容体に結合する。
【0012】
90%以上の相同性を有するE. coli熱易動性毒素の誘導体は、アミノ酸レベルで90%を超える相同性を有する。別の実施形態において、当該タンパク質は、95%以上、例えば、96、97、98または99%の相同性を有する。例えば、アミノ酸の欠失が、機能に影響することなく生じ得る。さらなる実施形態において、誘導体も、GM1 ガングリオシド受容体に結合することができる。さらなる実施形態において、誘導体も、第2.1節に記載される方法によって調べられるように、複合抗原に対して免疫反応を誘発することが可能である。ベクターまたはその等価物が、GM1受容体に結合できるか、否かについては、例えば、以下の実施例1.4に示されたプロトコルに従って調べることができる。
【0013】
B. Anthracis (anthrax) LF由来のアミノ末端ドメインは、LFnとして知られている。これは、LFのN末端の255個のアミノ酸である。LFは、防御抗原(PA)に結合するため、および転座を仲介するために必要な情報を含んでいることが見出されている。このドメインのみは、致死能力を欠いており、それは推定上の酵素的カルボキシ末端部によるものである (AroraおよびLeppla (1993) J. Biol Chem 268 pp 3334-3341)。さらに、LFn ドメインと外来性抗原との融合タンパク質は、PAの非存在下においても、CD8 T細胞免疫応答を誘発できることが近年見出された (Kushnerら(2003), PNAS 100 pp 6652-6657)。このことは、LFnが、担体としてPAを用いることなく、細胞基質に抗原を輸送するために使用できることを示唆している。
【0014】
Donnellyら(上記)によって、毒性ドメインを、P. aeroginosaから除去でき、その毒素以外の部分によっても細胞への抗原の輸送を仲介できることが示された。さらに、完全長の毒素からaaを欠失すると、細胞基質に入る能力が損なわれることなく、毒性がなくなる。それはこの変異によって、ADPリボシル化活性が除去されるためである。この変異を基に、様々なサイズの抗原配列をコードする、キメラを構築することができる(Fitzgerald, J Biol Chem, Vol. 273, Issue 16, 9951-9958, April 17, 1998)。
【0015】
アデニル酸シクラーゼ毒素は、樹状細胞の表面にあるCD11b受容体に結合する。CD8+ T細胞エピトープを有する組換えトキソイドは、マウスにおいて特異的なCTL反応を誘導することができ、実験的腫瘍に対する防御を示した (Fayolleら、J Immunol 1999, 162 pp 4157-4162)。送達されたエピトープの表面提示は、古典的MHCクラスI経路を介して生じる。
【0016】
他のベクターは、ファージディスプレイライブラリーをスクリーニングするために、細菌毒素が結合することが知られている受容体または受容体模倣体を使用することによって得ることができる。このような手法によって、細菌毒素と同じ受容体に結合できるが、毒素との配列類似性はほとんど有さないペプチド (例えば、およそ20アミノ酸長まで)を得ることができる。この手法は、GB3受容体 (MiuraらBiochimica et Biphysica Acta 1673 (2004) pp 131 - 138)およびGM1受容体 (MatsubaraらFEBS letters 456 (1999) 253-256)に結合するペプチドの効果的な作製方法として示された。このようなペプチドは、同じ受容体に結合する細菌毒素と同じ様に、ベクターとして作用し得ると思われる。このようなペプチドは、細菌毒素が結合するのと同じ受容体におけるスクリーニングによって得られる場合、定義される「細菌毒素由来のベクター」に該当すると考えられる。しかし、一実施形態において、「細菌毒素由来」の本発明のベクターは実際、細菌毒素またはその免疫学的に機能的等価物である。
【0017】
Gb3受容体に結合することができる非生ベクターまたはその免疫学的に機能的等価物は、本発明の範囲内に含まれない。ベクターまたはその等価物がGb3受容体に結合するか否かは、例えば、以下の第1.5節に示したプロトコルによって調べることができる。
【0018】
本発明の組成物は、本発明のタンパク質と複合体化している抗原に対するCD8特異的免疫反応を向上することができる。当該向上は、本発明のタンパク質と複合体化している抗原およびアジュバントを含む本発明の組成物に対する反応を、本発明のタンパク質と複合体化している抗原を含むがアジュバントは含まない組成物に対する反応、または抗原とアジュバントとを含む製剤に対する反応と比較して調べることによって、調べる。向上とは、免疫応答のレベルアップ、より低濃度の抗原による同程度の免疫反応の発生、免疫応答の質の向上、免疫応答の持続性の向上、またはそれらの組合せとして定義することができる。このような向上は、最初の免疫付与の後、および/または続くその後の免疫付与の後に見ることができる。
【0019】
特定のアジュバントは、金属塩、水中油型エマルジョン、Toll様受容体リガンド (特に、Toll様受容体 2リガンド、Toll様受容体 3リガンド、Toll様受容体 4リガンド、Toll様受容体 7リガンド、Toll様受容体 8リガンドおよびToll様受容体 9リガンド)、サポニンならびにそれらの組み合わせ、からなる群から選択される。一実施形態において、Toll様受容体リガンドは受容体アゴニストである。別の実施形態において、Toll様受容体リガンドは、受容体アンタゴニストである。本明細書および特許請求の範囲において用いられる場合「リガンド」という用語は、受容体に結合することができ、その受容体の活性をアップレギュレートまたはダウンレギュレートする効果を有するエンティティを意味するものと意図される。
【0020】
アジュバントは好ましくは、以下:サポニン、リピドAまたはその誘導体、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、アルキルグルコサミニドホスフェート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらに好ましいアジュバントは、別のアジュバントと組み合わせた金属塩である。アジュバントは、Toll様受容体リガンド、特に、Toll様受容体 2、3、4、7、8もしくは9のリガンド、またはサポニン、特に、Qs21であることが好ましい。アジュバント系は、上記リストの中の2種またはそれ以上のアジュバントを含むことが、さらに好ましい。特に、この組合せは好ましくは、サポニン(特に、Qs21)アジュバントおよび/またはCpGもしくはCpR(Rは、非天然のグアノシンヌクレオチドである)などの他の免疫賦活性モチーフを含有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドなどのToll様受容体 9リガンドを含む。他の好ましい組合せは、サポニン (特に、QS21)およびモノホスホリルリピドAもしくはその3脱アシル化誘導体(3D-MPL)などのToll様受容体 4リガンド、またはサポニン (特に、QS21)およびアルキルグルコサミニドホスフェートなどのToll様受容体 4リガンドを含む。他の好ましい組合せは、TLR 3または4リガンドと組み合わせてTLR 8または9リガンドを含む。
【0021】
特に好ましいアジュバントは、3D-MPLおよびQS21 (EP 0 671 948 B1)、3D-MPLおよびQS21を含有する水中油型エマルジョン(WO 95/17210, WO 98/56414)、または他の担体を用いて作製した3D-MPL (EP 0 689 454 B1)からなる組合せである。他の好ましいアジュバント系は、3D MPL、QS21およびUS6558670、US6544518に記載されているようなCpG オリゴヌクレオチドの組合せを含む。
【0022】
一実施形態において、アジュバントは、Toll様受容体 (TLR) 4リガンド、好ましくはリピドA誘導体、特にモノホスホリルリピドA、より具体的には3脱アシル化モノホスホリルリピドA (3D-MPL)などのリガンドである。
【0023】
3D-MPLは、GSKバイオロジカルズよりMPL(登録商標)の製品名で販売されており、IFN-g (Th1)表現型を有するCD4+ T細胞の反応を主に促す。3D-MPLは、GB 2 220 211 Aに記載されている方法によって作製することができる。化学的には、3、4、5または6位がアシル化された鎖を有する3-脱アシル化モノホスホリルリピドA の混合物である。好ましくは、本発明の組成物には粒子サイズが小さな3D-MPLを用いる。粒子サイズが小さな3D-MPLは、0.22μmフィルターを通してろ過滅菌することが可能な粒子サイズである。このような調製物は、国際公開第WO 94/21292号に記載されている。リピドAの合成誘導体は公知であり、限定されることはないが、以下のものを含むTLRリガンドであると考えられる:
OM174 (2-デオキシ-6-O-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-O-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルジヒドロジェンホスフェート), (WO 95/14026);
OM 294 DP (3S, 9R)-3--[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(ジヒドロジェノホスフェート) (WO99 /64301およびWO 00/0462 );
OM 197 MP-Ac DP (3S-, 9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-ジヒドロジェノホスフェート 10-(6-アミノヘキサノエート) (WO 01/46127)。
【0024】
用いることができる他のTLR4リガンドは、アルキルグルコサミニドホスフェート (AGP)(例えば、WO9850399もしくはUS6303347 (AGPの作製方法も開示されている)に記載されているようなもの)または医薬的に受容可能なAGPの塩(例えば、US6764840に開示されているようなもの)である。AGPのいくつかは、TLR4アゴニストであり、またいくつかはTLR4アンタゴニストである。これらは共に、アジュバントとして有用であると考えられる。
【0025】
本発明に用いられる別の好ましい免疫賦活剤は、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは、南米の樹木であるQuilaja Saponaria Molina より単離されるサポニン製剤であり、アジュバント活性を有するとしてDalsgaardらによって1974年に初めて記載された(“Saponin adjuvants”, Archiv. fuer die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)。Quil Aの精製された断片がHPLCによって単離され(例えば、QS7およびQS21 (QA7およびQA21としても知られる))、これはQuil A (EP 0 362 278)に関連する毒性を有することなくアジュバント活性を保持している。QS-21は、Quillaja saponaria Molinaの樹皮に由来する天然のサポニンであり、これはCD8+ 細胞傷害性T細胞 (CTL)、Th1細胞およびIgG2a優勢の抗体反応を誘導し、本発明との関連において好ましいサポニンである。
【0026】
特定のQS21製剤が記載されており、特に好ましいこれらの製剤はさらに、ステロールを含む(WO96/33739)。本発明の一部を形成するサポニンは、ミセルの形態(混合ミセル)(好ましくは、完全ではないが胆汁塩のみ)に分離しても良いし、ISCOMマトリクス (EP 0 109 942 B1)、リポソームまたは関連しているコロイド構造の形態、例えば、虫様もしくは環状の複合体または脂質/層状構造およびラメラ(コレステロールおよび脂質を用いて処方される場合)、あるいは水中油型エマルジョンの形態(例えば、WO 95/17210に記載されているような)であっても良い。サポニンは好ましくは、金属塩、例えば、水酸化アルミニウムまたはアルミニウムホスフェート (WO 98/15287)と結合させても良い。好ましくは、サポニンは、リポソーム、ISCOMまたは水中油型エマルジョンの形態で存在する。
【0027】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたはその他のToll様受容体 (TLR) 9リガンドもまた、使用することができる。本発明のアジュバントまたはワクチンに使用するのに好ましいオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを含有する、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも6つまたはそれ以上のヌクレオチドによって分離されている2またはそれ以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含有するCpGである。CpGモチーフは、シトシンヌクレオチド、その後続くグアニンヌクレオチドからなる。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、一般的にデオキシヌクレオチドである。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチド中のインターヌクレオチドは、ホスホロジチオエート、またはより好ましくはホスホロチオエート結合であるが、リン酸ジエステルおよび他のインターヌクレオチド結合も本発明の範囲内である。混合インターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドも、本発明の範囲内に含まれる。ホスホロチオエート オリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートの作製方法は、US5,666,153、US5,278,302およびWO95/26204に記載されている。
【0028】
好ましいオリゴヌクレオチドの例は、以下の配列を有する。これらの配列は好ましくは、ホスホロチオエート改変インターヌクレオチド結合を含む:
OLIGO 1(配列番号1): TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826)
OLIGO 2 (配列番号2): TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758)
OLIGO 3(配列番号3): ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG
OLIGO 4 (配列番号4): TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006)
OLIGO 5 (配列番号5): TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668)
OLIGO 6 (配列番号6): TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456)。
【0029】
代替的なCpG オリゴヌクレオチドは、上記の好ましい配列中に、重要ではない欠失または付加を有する配列を含み得る。
【0030】
代替的な免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、当該ヌクレオチドへの改変を含み得る。例えば、WO0226757およびWO03507822は、CpG含有免疫賦活性オリゴヌクレオチドのCおよびG部分の改変について開示している。
【0031】
本発明に用いられる免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、当該分野で公知であるいずれかの方法によって合成することができる(例えば、EP 468520を参照のこと)。好都合なことに、このようなオリゴヌクレオチドは、自動合成機を使用して合成することができる。
【0032】
TLR 2リガンドの例としては、ペプチドグリカンまたはリポタンパクを含む。イミダゾキノリン(例えば、ImiquimodおよびResiquimod)は公知のTLR7リガンドである。一本鎖RNAもまた公知のTLRリガンド (ヒトのTLR8およびマウスのTLR7)であり、一方、二本鎖RNAおよびポリIC (ポリイノシン酸−ポリシチジル酸−ウイルスRNAの市販の合成模倣体)は、TLR 3リガンドの例である。3D-MPLは、TLR4リガンドの一例であり、一方、CPGは、TLR9リガンドの一例である。
【0033】
細菌毒素またはその免疫学的に機能的な等価物由来の非生ベクターおよび抗原を、一緒に複合体化することができる。複合体化とは、細菌毒素またはその免疫学的に機能的な等価物由来の非生ベクターおよび抗原が、物理的に結合している、例えば、静電結合、疎水性相互作用、または共有結合などを介して結合していることを意味する。好ましい実施形態において、細菌毒素またはその免疫学的に機能的な等価物由来の非生ベクターは、融合タンパク質として共有結合しているか、例えば、システイン残基を介して化学的に結合している。本発明の実施形態において、1よりも多い抗原が、各非生ベクターまたはその免疫学的に機能的な等価物に、例えば、1ベクターごとに2、3、4、5または6個の抗原分子が結合している。1よりも多い抗原が存在する場合、これらの抗原は全て同一であっても良いし、1つ以上のものが他のものと異なっていてもよく、また全ての抗原が、互いにそれぞれ異なっていても良い。
【0034】
抗原自体は、目的のエピトープを1つ以上含むペプチドまたはタンパク質であり得る。好ましい実施形態において、抗原は、本発明によって意図される方法によって製剤化される場合に、HIV、結核、クラミジア、HBV、HCVおよびインフルエンザなどの細胞内病原体に対する免疫を生じるように選択する。本発明はまた、良性および増殖性疾患(例えば、癌)に対して、関連のある免疫応答を生じることができる抗原を用いた用途を見出した。
【0035】
好ましくは、本発明のワクチン製剤は、ヒト病原体に対して免疫反応を誘発することができる抗原または抗原性組成物を含み、かかる抗原または抗原性組成物は以下のものに由来する:HIV-1(例えば、gagまたはその断片、例えば、p24、tat、nef、gp120もしくはgp160などのエンベロープまたはこれらのうちのいずれかのエンベロープ)、ヒトヘルペスウイルス(例えば、gDもしくはその誘導体またはHSV1もしくはHSV2由来のICP27などの前初期タンパク質)、サイトメガロウイルス((espヒト)(例えば、gBもしくはその誘導体)、レトロウイルス抗原、エプスタイン・バーウイルス(例えば、gp350もしくはその誘導体)、水痘帯状疱疹ウイルス(例えば、gpI、gpIIおよびIE63)またはB型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルス由来の抗原(例えば、B型肝炎ウイルス表面抗原またはその誘導体)、またはA型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルス由来の抗原または他のウイルス性病原体、例えば、パラミクソウイルス:呼吸器合胞体ウイルス (例えば、F GおよびN タンパク質またはその誘導体)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス (例えば、HPV 6, 11, 16, 18, )、フラビウイルス (例えば、黄熱ウイルス、デングウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)または精製したインフルエンザウイルスもしくはその組換えタンパク質(例えば、HA、NP、NAもしくはMタンパク質)またはそれらの組み合わせ)に由来し;N. gonorrheaおよびN. meningitidis 含むNeisseria spp (例えば、トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、PilC、アドヘシン); S. pyogenes (例えば、 M タンパク質またはその断片、C5Aプロテアーゼ)、S. agalactiae、S. mutans; H. ducreyi; Branhamella catarrhalisとしても知られているM catarrhalis を含むMoraxella spp (例えば、高分子および低分子量のアドヘシンおよびインベイシン); B.pertussis(例えばpertactin, pertussistoxinまたはその誘導体filamenteous hemagglutinin, adenylate cyclase,fimbriae), B.parapertussisおよびB.bronchisepticaを含むBordetella spp.; M.tuberculosis(例えばESAT6、抗原85A,BまたはC)、M.bovis, M.leprae, M.avium, M.paratuberculosis, M.smegmatisを含むMycobacterium spp.; L.pneumophilaを含むLegionella spp.; enterotoxic E.coli(例えばコロニー形成因子、熱不安定毒素またはその誘導体、熱安定毒素またはその誘導体)、enterohemorragic E.coli, enteropathogenic E.coliを含むEscherichia spp.; V.cholera(例えばコレラ毒素またはその誘導体)を含むVibrio spp.; S.sonnei, S.dysenteriae, S.flexneriiを含むShigella spp.; Y.enterocolitica(例えばYopプロテイン)、Y.pestis, Y.pseudotuberculosisを含むYersinia spp.; C.jejuni(例えば毒素、付着因子およびインベーシン)およびC.coliを含むCampylobacter spp.; S.typhi, S.paratyphi, S.choleraesuis, S.enteritidisを含むSalmonella spp.; L.monocytogenesを含むListeria spp.; H.pylori(例えばウレアーゼ、カタラーゼ、空胞毒素)を含むHelicobacter spp.; P.aeruginosaを含むPseudomonas spp.; S.aureus, S.epidermidisを含むStaphylococcus spp.; E.faecalis,E.faeciumを含むEnterococcus spp.; C.tetani(例えば破傷風毒素およびその誘導体)、C.botulinum(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)、C.difficile(例えばクロストリジウム毒素A
またはBおよびその誘導体)を含むClostridium spp.; B.anthracis(例えばボツリヌス毒素およびその誘導体)を含むBacillus spp.; C.diphtheriae(例えばジフテリア毒素およびその誘導体)を含むCorynebacterium spp.; B.burgdorferi(例えばOspA,OspC,DbpA,DbpB), B.garinii(例えばOspA, OspC, DbpA, DbpB), B.afzelii(例えば、OspA,OspC,DbpA,DbpB),B.andersonii(例えばOspA,OspC,DbpA,DbpB),B.hermssiを含むBorrelia spp.;E.equiおよびHuman Granulocytic Ehrlichiosisの病原体を含むEhrlichia spp.; R.rickettsiiを含むRichettsia spp.; C.trachomatis(例えばMOMP、ヘパリン結合プロテイン)、C.pneumoniae(例えばMOMP、ヘパリン結合プロテイン)、C.psittaciを含むChlamydia spp.; L.interrogansを含むLeptospira spp.; T.pallidum(例えば希少な外膜プロテイン)、T.denticola, T.hyodysenteriaeを含むTreponema spp.などの細菌性病原体由来の抗原に由来し、又はP.falciparumを含むPlasmodium spp.; T.gondii(例えばSAG2,SAG3,Tg34)を含むToxoplasma spp.; E.histolyticaを含むEntamoeba spp.; B.microtiを含むBabesia spp.; T.cruziを含むTrypanosoma spp.; G.lambliaを含むGiardia spp.; L.majorを含むLeshmania spp.; P.cariniiを含むPneumocystis spp.; T.vaginalisを含むTrichomonas spp.; S.mansoniを含むSchisostoma spp.; などの寄生生物に由来し;又はC.albicansを含むCandida spp.;C.neoformansを含む
Cryptococcus spp.などの酵母に由来する。
M. tuberculosisの他の好ましい特異的抗原は、例えば、Tb Ra12、Tb H9、Tb Ra35、Tb38-1、Erd 14、DPV、MTI、MSL、mTTC2およびhTCC1 (WO 99/51748)である。また、M. tuberculosisのタンパク質は、融合タンパク質およびその変異体を含み、それはM. tuberculosisの少なくとも2つ、好ましくは3つのポリペプチドが融合し、より大きなタンパク質となったものである。好ましい融合体としては、Ra12-TbH9-Ra35、Erd14-DPV-MTI、DPV-MTI-MSL、Erd14-DPV-MTI-MSL-mTCC2、Erd14-DPV-MTI-MSL、DPV-MTI-MSL-mTCC2、およびTbH9-DPV-MTI (WO 99/51748)が挙げられる。
【0036】
クラミジアの最も好ましい抗原としては例えば、高分子量タンパク質 (HMW) (WO 99/17741)、ORF3 (EP 366 412)および推定膜タンパク質 (Pmp)が挙げられる。ワクチン製剤のための他のクラミジア抗原は、WO 99/28475に記載されている群から選択することができる。
【0037】
好ましい細菌性ワクチンは、S. pneumoniaeを含むStreptococcus spp 由来の抗原(例えば、PsaA、PspA、ストレプトリジン、コリン結合タンパク質)およびタンパク質抗原Pneumolysin (Biochem Biophys Acta, 1989, 67, 1007; Rubinsら、Microbial Pathogenesis, 25, 337-342)ならびにそれらの無毒化した変異誘導体 (WO 90/06951; WO 99/03884)を含む。他の好ましい 細菌性ワクチンは、H.インフルエンザB型、分類不可能な H.インフルエンザを含むHaemophilus spp.由来の抗原、例えば、OMP26、高分子量アドヘシン、P5、P6、タンパク質 Dおよびリポタンパク D、ならびにフィンブリンおよびフィンブリン由来のペプチド (US 5,843,464)または多重コピー変異体あるいはそれらの融合タンパク質を含む。
B型肝炎ウイルス表面抗原の誘導体は、当該分野で周知であり、とりわけ、欧州特許出願EP-A-414 374; EP-A-0304 578およびEP 198-474に列挙されている、これらのPreS1、PreS2 S抗原を含む。1つの好ましい態様において、本発明のワクチン製剤は、特にCHO細胞にて発現される場合、HIV-1抗原、すなわちgp120を含む。 さらなる実施形態において、本発明のワクチン製剤は、本明細書中上記にて定義したようなgD2tを含む。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、ワクチン組成物は、陰部疣贅の原因であると考えられるヒトパピローマウイルス (HPV) (HPV 6またはHPV 11およびその他)、ならびに子宮頸癌の原因であるHPV ウイルス(HPV16、HPV18およびその他)に由来する抗原を含む。
【0039】
陰部疣贅を予防または治療するためのワクチンの特に好ましい形態は、L1 タンパク質、ならびにHPV タンパク質E1、E2、E5、E6、E7、L1、およびL2から選択される抗原を1つ以上含んでなる融合タンパク質を含む。
【0040】
融合タンパク質の最も好ましい形態は、WO 96/26277に開示されているようなL2E7およびWO99/10375に開示されているようなタンパク質D(1/3)-E7である。
【0041】
HPVによる頸部感染または癌を予防または治療するための好ましいワクチン組成物は、HPV 16抗原またはHPV 18抗原を含むことができる。
【0042】
特に好ましいHPV 16抗原は、HPV 16由来の初期タンパク質E6もしくはE7がタンパク質 D担体と融合して形成されるタンパク質 D-E6もしくはE7融合体、またはそれらの組み合わせ;あるいはE6もしくはE7とL2との組合せ(WO 96/26277)を含む。
【0043】
あるいは、HPV 16またはHPV 18の初期タンパク質E6およびE7は、単一分子上に存在することができ、好ましくはタンパク質 D-E6/E7融合体であり得る。このようなワクチンは必要に応じて、HPV 18由来のE6およびE7 タンパク質のいずれかまたはその両方を含んでも良く、好ましくはタンパク質 D-E6またはタンパク質 D-E7 融合タンパク質またはタンパク質 D E6/E7 融合タンパク質の形態であり得る。
【0044】
本発明のワクチンはさらに、他のHPV株、好ましくはHPV 31株またはHPV 33株由来の抗原を含んでも良い。
【0045】
本発明のワクチン組成物はさらに、マラリアを引き起こす寄生体由来の抗原、例えば、スポロゾイト周囲のタンパク質 (CS タンパク質)、RTS、S、MSP1、MSP3、LSA1、LSA3、AMA1およびTRAPを含むPlasmodia falciparum由来の抗原を含む。RTSは、B型肝炎ウイルス表面抗原のpreS2部分の4つのアミノ酸を介して、B型肝炎ウイルスウイルスの表面(S)抗原に結合しているP.falciparumのスポロゾイト周囲の(CS) タンパク質の実質的に全てのC末端部分を含むハイブリッドタンパク質である。その全体構造は、国際特許出願PCT/EP92/02591(公開番号WO 93/10152、英国特許出願第9124390.7号の優先権を主張する)に開示されている。リポタンパク粒子として酵母RTSが発現される場合、およびHBV由来のS抗原と共発現される場合、RTS、Sとして知られる混合粒子を生じる。TRAP抗原は、国際特許出願PCT/GB89/00895(公開番号WO 90/01496)に記載されている。多期のマラリアワクチンの成分候補となり得るPlasmodia抗原は、P. falciparum MSP1、AMA1、MSP3、EBA、GLURP、RAP1、RAP2、Sequestrin、PfEMP1、Pf332、LSA1、LSA3、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27/25、Pfs16、Pfs48/45、Pfs230およびそれらのPlasmodium sppにおける類似体である。本発明の一実施形態はマラリアワクチンであり、当該ワクチンにおいて、抗原調製物は、RTS、SもしくはCS タンパク質またはそれらの断片(例えば、RTS,SのCS 部分)と1つ以上のさらなるマラリア抗原との組合せを含み、これらのいずれかまたはいずれも本発明のShiga毒素Bサブユニットに結合することができる。1つ以上のさらなるマラリア抗原は、例えば、MPS1、MSP3、AMA1、LSA1またはLSA3からなる群から選択することができる。
【0046】
上記製剤はまた、抗腫瘍抗原を含み、癌の免疫療法に有用であり得る。例えば、アジュバント製剤は、前立腺癌、胸部癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌または黒色腫の腫瘍拒絶抗原で有用である。例示的な抗原としては、MAGE 1およびMAGE 3もしくは他のMAGE抗原 (黒色腫の治療用)、PRAME、BAGEまたはGAGE (RobbinsおよびKawakami, 1996, Current Opinions in Immunology 8, pps 628-636; Van den Eyndeら、 International Journal of Clinical & Laboratory Research (1997年投稿); Correaleら(1997), Journal of the National Cancer Institute 89, p293)が挙げられる。実際に、これらの抗原は、様々な腫瘍型(例えば、黒色腫、肺癌腫、肉腫および膀胱癌腫)において発現される。他の腫瘍特異的抗原が、本発明のアジュバントと共に使用するのに好適であり、当該抗原としては、限定はしないが、腫瘍特異的ガングリオシド、前立腺特異的抗原(PSA)もしくはHer-2/neu、KSA (GA733)、PAP、マンマグロビン、MUC-1、癌胎児性抗原(CEA)またはp501S (prostein)が挙げられる。したがって、本発明の一実施形態において、本発明のアジュバント組成物および腫瘍拒絶抗原を含むワクチンが提供される。
【0047】
本発明の特に好ましい態様において、ワクチンは、前立腺癌、胸部癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、卵巣癌または黒色腫などの腫瘍抗原を含む。したがって、この製剤は、腫瘍関連抗原、および腫瘍を支持する機構 (例えば、血管新生、腫瘍の浸潤)に関連する抗原を含み得る。さらに、癌治療のワクチンに特に関係のある抗原はまた、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、チロシナーゼ、スルビビン、NY-ESO1、プロスターゼ、PS108 (WO 98/50567)、p501S (prostein)、RAGE、LAGE、HAGEを含む。さらに、当該抗原は、自己ペプチドホルモンであり、これは例えば、10個のアミノ酸から成る短いペプチドである、全長ゴナドトロピンホルモン放出ホルモン (GnRH, WO 95/20600)であり、多くの癌の治療または免疫去勢に有用である。
【0048】
本発明のワクチンは、アレルギーの予防または治療のために使用することができる。このようなワクチンは、アレルゲン特異的抗原、例えば、Der p1を含み得る。
【0049】
各ワクチン投与における抗原の量は、ワクチンを受ける一般的な被験体において重大な副作用を生じることなく、免疫防御反応を誘発する量から選択される。このような量は、どのような特異的免疫原が用いられるのか、またそれがどのように提示されるのかによって変わり得る。
【0050】
一般的に、ヒトにおける各投与量は、0.1〜1000μg、好ましくは0.1〜500μg、好ましくは0.1〜100μg、最も好ましくは0.1〜50μgの抗原を含むことが意図される。特定のワクチンの最適量は、ワクチンを接種した被験体における適切な免疫応答を観察することを含む標準的な研究によって、確かめることができる。最初のワクチン接種の後、被験体は適当な間隔で、1または複数回の追加免疫を受けても良い。このようなワクチン製剤は、初回または追加免疫におけるワクチン接種計画において、哺乳動物の粘膜表面に適用することができ、あるいは、例えば、経皮的経路、皮下経路または筋肉内経路を介して全身的に投与することができる。筋肉内投与が好ましい。
【0051】
用いられる3 D MPLの量は一般的に少量であるが、ワクチン製剤に応じて、1用量あたり1〜1000μg、好ましくは1〜500μg、最も好ましくは1〜100μgの範囲であり得る。
【0052】
本発明のアジュバントまたはワクチンにおけるCpGまたは免疫賦活性オリゴヌクレオチドの量は一般的に少量であるが、ワクチン製剤に応じて、1用量あたり1〜1000μg、好ましくは1〜500μg、最も好ましくは1〜100μgの範囲であり得る。
【0053】
本発明の組成物中に用いられるサポニンの量は、1用量あたり1〜1000μg、好ましくは1〜500μg、より好ましくは1〜250μg、最も好ましくは1〜100μgの範囲であり得る。
【0054】
本発明の製剤は、予防および治療の両方の目的で用いられ得る。したがって、本発明は、医薬に使用するための、本明細書中に記載されるワクチン組成物を提供する。
【0055】
さらなる実施形態において、本発明は、疾患に罹りやすいまたは疾患を罹患している個体を、本明細書中に実質的に記載されているように組成物を投与することによって、治療する方法を提供する。
また本発明は、感染性の細菌性疾患およびウイルス性疾患、寄生虫によって生じる疾患(特に、細胞内病原体による疾患)、増殖性疾患(例えば、前立腺癌、胸部癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、卵巣癌または黒色腫)、非癌性慢性疾患、アレルギー からなる群から選択される疾患から個体を防御する方法であって、当該個体に本明細書中に実質的に記載されているように組成物を投与することを含む上記方法を提供する。
【0056】
さらに、本発明は、哺乳動物においてCD8+抗原特異的免疫応答を誘発する方法であって、当該哺乳動物に本発明の組成物を投与することを含む上記方法に関する。さらに、本発明は、非生ベクターまたはその免疫学的に機能的等価物と組み合わせた抗原とアジュバントとを混合することを含む、ワクチンの製造方法を提供する。
【0057】
本発明の組合せに使用される、医薬的に受容可能な好適な賦形剤の例としては、特に、水、リン酸緩衝生理食塩水、等張緩衝液が挙げられる。
【0058】
本発明を、以下の実施例および図面によって例示する。全ての図面において、adeno-ova (OVAタンパク質を含むアデノウイルスベクター)を、初回の注射においてポジティブコントロールとして用いた。P/B (初回/追加)とは、最初にポジティブコントロールとして、Adeno-Ovaを注射し、第二回目に追加免疫としてAS A中のOvaを注射することである。
【実施例】
【0059】
実施例1:試薬および培地
1.1 LTB, LTB-cysおよびLTB-siinfekl 組換え体の作製
LTB、LTB-cys (配列番号7)およびLTB-siinfekl (配列番号8)をコードする配列を、PCR によって増幅し、E Coli.にて発現させるためにpET発現ベクターにクローニングした。全タンパク質抽出物を、Frenchプレスを使用して、OD(620) 60にて細菌のペレットより回収した。15000gにて30分間遠心分離した後、上清を回収し、(NH4)2SO4 (4.95 g /10 ml)を添加して沈殿し、そして少なくとも4時間、4℃にてインキュベートした。タンパク質のペレットを遠心分離後回収し、PBS中に溶解し(4倍濃縮する)、そしてPBSに対して透析した。不溶画分を遠心分離および0.22μmろ過によって除去した。清澄した上清を、15 ml PBSで予め平衡化した固定化D-ガラクトース樹脂(Calbiochem)を含有するXK16/15cm長のカラムにロードし、光学密度が基準レベルに低下するまでPBSで洗浄した。結合しているタンパク質は、PBS中1M ガラクトースを用いて溶出した。透析後、回収したタンパク質を、SDS Page、Coomassie染色およびウェスタンブロッテイングによって可視化した。このD-ガラクトース樹脂を使用したタンパク質の精製法を用いて、目的のタンパク質がGM1受容体に結合しているのか調べることもできる。
【0060】
配列番号7
ATGAATAAAGTAAAATGTTATGTTTTATTTACGGCGTTACTATCCTCTCTATGTGCATACGGAGCTCCCCAGTCTATTACAGAACTATGTTCGGAATATCGCAACACACAAATATATACGATAAATGACAAGATACTATCATATACGGAATCGATGGCAGGCAAAAGAGAAATGGTTATCATTACATTTAAGAGCGGCGCAACATTTCAGGTCGAAGTCCCGGGCAGTCAACATATAGACTCCCAAAAAAAAGCCATTGAAAGGATGAAGGACACATTAAGAATCACATATCTGACCGAGACCAAAATTGATAAATTATGTGTATGGAATAATAAAACCCCCAATTCAATTGCGGCAATCAGTATGGAAAACTGCTAA

配列番号8
ATGAATAAAGTAAAATGTTATGTTTTATTTACGGCGTTACTATCCTCTCTATGTGCATACGGAGCTCCCCAGTCTATTACAGAACTATGTTCGGAATATCGCAACACACAAATATATACGATAAATGACAAGATACTATCATATACGGAATCGATGGCAGGCAAAAGAGAAATGGTTATCATTACATTTAAGAGCGGCGCAACATTTCAGGTCGAAGTCCCGGGCAGTCAACATATAGACTCCCAAAAAAAAGCCATTGAAAGGATGAAGGACACATTAAGAATCACATATCTGACCGAGACCAAAATTGATAAATTATGTGTATGGAATAATAAAACCCCCAATTCAATTGCGGCAATCAGTATGGAAAACAGCCAGCTTGAGAGTATAATCAACTTTGAAAAACTGACTGAATGGCGCGGCCGCTAG
LTBおよびLTB-cys ベクター(配列番号7)を、以下の節に記載されているように、市販の完全長トリOvalbumin抗原に結合し、そしてASA、ASHまたはASGのいずれか中に調製した。
【0061】
LTB-siinfekl (配列番号8) 組換え体を、下記のアジュバント系A中に直接調製した。
【0062】
LTB/OVA結合体の作製
市販の完全長トリOvalbumin抗原(5 mg)を、SH基を曝らすために、室温にて2時間のDTT処理によって還元した。DTTを、PD10 (Sephadex G-25, Amersham) カラム(2 mM リン酸緩衝液pH 6.8を用いて溶出、画分1ml)を使用して除去した。上記LTB ベクター (8 mg)を、1時間、室温にて、10倍モル過剰のSGMBSを使用して活性化した。過剰量のSGMBSを、PD10 カラム(100 mM リン酸緩衝液pH 7.2で溶出、画分1ml)を使用して除去した。
結合するために、等モル量の還元したOvalbumin (OVA-SH)および活性化したLTBを1時間、室温にて反応させた。得られた結合体を、S-300 HR Sephacryl カラム(100 mM リン酸緩衝液pH 6.8を用いて溶出、画分1ml)による分子ろ過によって精製した。
【0063】
次に、LTB/OVA結合体を、下記のアジュバント系A中に調製した。これをグラフ中LT-ovaと示す。
【0064】
LTB-cys/OVA結合体の作製
市販の完全長トリOvalbumin抗原(10 mg)を、80倍モル過剰のSGMBSを1時間、室温にて使用して活性化した。過剰量のSGMBSを、PD10 カラム(1ml画分のDPBS緩衝液(NaCl 136.87 mM, KCl 2.68 mM, Na2HPO4 8.03 mM, KH2PO4 1.47 mM pH 7.5) を用いて溶出、画分1ml) を使用して除去した。
【0065】
結合するために、等モル量のLTB-cysおよび活性化したOvalbuminを、1時間、室温にて反応させた。得られた結合体を、S-300 HR Sephacryl カラム(DPBS緩衝液を用いて溶出、画分4 ml)における分子ろ過によって精製した。
【0066】
次に、LTB-cys/OVA結合体を、下記のアジュバント系A中に調製した。これをグラフ中LTcys-ovaと示す。
【0067】
E. coli溶解物由来のLTBサブユニットの精製法
DPBS w/o CaMg緩衝液中1Lの細菌ペレット(OD(620) 50)を、Frenchプレスによって抽出し、5000gにて30分間の遠心分離の後、上清を回収し、そして50000 uベンゾナーゼを用いて1時間、室温にて処理する。不溶画分は、15000gにて30分間の遠心分離および0.22μmろ過によって除去する。清澄した上清を、20 ml DPBS w/o CaMg緩衝液を用いて予め平衡化した固定化ガラクトース樹脂を含有するXK16/20 カラムにロードし、そして同じ緩衝液を用いて、ODが基準レベルに低下するまで洗浄する。LTBを、DPBS w/o CaMg緩衝液中1 M ガラクトースによって溶出する。最後に、LTBをDPBS w/o CaMg緩衝液に対して透析する。
【0068】
内毒素は、Acticlean樹脂とのインキュベーションによって除去する。
【0069】
アジュバント化STxB -Ovaの作製
完全長トリオボアルブミンに結合しているSTxB:STxBの所定の受容体部位にタンパク質が化学結合できるように、システインを野生型タンパク質のC末端に付加し、STxB-Cysを得た。組換え変異体であるSTxB-Cys タンパク質を、これまでに記載されているように作製した(Haicheurら; 2000, J. Immunol.165, 3301)。Limulusアッセイ検定によって測定した内毒素の濃度は、0.5 EU/mlを下回っていた。STxB-ovaについては、これまでHAICHEURら、 2003, Int. Immunol.,15, 1161-1171に記載されており、Ludger JohannesおよびEric Tartour (Curie Institute)より頂いた。
【0070】
1.2 LFn-siinfeklおよびLFn-OVA161-291 組換え体の作製
2つの合成遺伝子を作製し、これらは、6 x HisテイルおよびSiinfeklコード配列 またはエピトープ (断片161-291)を含有する大きなオボアルブミン断片(それぞれ、配列番号 9および10)のいずれかによってはさまれた、Anthrax LF毒素由来のアミノ末端の255アミノ酸を含んでいた。得られた産物を、E. coli.にて発現させるために、pET発現ベクターにクローニングした。細胞を、遠心分離によって回収し、濃縮し(25〜40×)、そしてFrenchプレスを使用して溶解した。凝集物を6 M尿素中にて一晩、4℃にて解離した。組換えタンパク質を精製するために、5 mlの予め平衡化したNi-NTA樹脂(Qiagen)を上記溶解物に添加し、回転ホイール上にて2時間、4℃にてインキュベートし、ポリプレップ使い捨てカラム(BioRad)にロードした。カラムを、15 mlの300mM NaCl, 6 M 尿素, 5 mM イミダゾール, 50 mM リン酸緩衝液(pH8)を用いて3回洗浄し、その後、500 mM イミダゾールを含有する同一の緩衝液2 mlを用いて4回溶出した。回収したタンパク質を、SDS Page、Coomassie染色およびウェスタンブロッテイングによって可視化し、そして尿素を透析によって除去した。
【0071】
配列番号 9
ATGGGCCACCATCACCATCACCATTCTTCTGGTGCGGGCG 40
GTCATGGTGATGTAGGTATGCACGTAAAAGAGAAAGAGAA 80
AAATAAAGATGAGAATAAGAGAAAAGATGAAGAACGAAAT 120
AAAACACAGGAAGAGCATTTAAAGGAAATCATGAAACACA 160
TTGTAAAAATAGAAGTAAAAGGGGAGGAAGCTGTTAAAAA 200
AGAGGCAGCAGAAAAGCTACTTGAGAAAGTACCATCTGAT 240
GTTTTAGAGATGTATAAAGCAATTGGAGGAAAGATATATA 280
TTGTGGATGGTGATATTACAAAACATATATCTTTAGAAGC 320
ATTATCTGAAGATAAGAAAAAAATAAAAGACATTTATGGG 360
AAAGATGCTTTATTACATGAACATTATGTATATGCAAAAG 400
AAGGATATGAACCCGTACTTGTAATCCAATCTTCGGAAGA 440
TTATGTAGAAAATACTGAAAAGGCACTGAACGTTTATTAT 480
GAAATAGGTAAGATATTATCAAGGGATATTTTAAGTAAAA 520
TTAATCAACCATATCAGAAATTTTTAGATGTATTAAATAC 560
CATTAAAAATGCATCTGATTCAGATGGACAAGATCTTTTA 600
TTTACTAATCAGCTTAAGGAACATCCCACAGACTTTTCTG 640
TAGAGTTCTTGGAACAAAATAGCAATGAGGTACAAGAAGT 680
ATTTGCGAAAGCTTTTGCATATTATATCGAGCCACAGCAT 720
CGTGATGTTTTACAGCTTTATGCACCGGAAGCTTTTAATT 760
ACATGGATAAATTTAACGAACAAGAAATAAATCTATCCGG 800
ATCCCAGCTTGAGAGTATAATCAACTTTGAAAAACTGACT 840
GAATGGTGA 849

配列番号 10
ATGGGCCACCATCACCATCACCATTCTTCTGGTGCGGGCG 40
GTCATGGTGATGTAGGTATGCACGTAAAAGAGAAAGAGAA 80
AAATAAAGATGAGAATAAGAGAAAAGATGAAGAACGAAAT 120
AAAACACAGGAAGAGCATTTAAAGGAAATCATGAAACACA 160
TTGTAAAAATAGAAGTAAAAGGGGAGGAAGCTGTTAAAAA 200
AGAGGCAGCAGAAAAGCTACTTGAGAAAGTACCATCTGAT 240
GTTTTAGAGATGTATAAAGCAATTGGAGGAAAGATATATA 280
TTGTGGATGGTGATATTACAAAACATATATCTTTAGAAGC 320
ATTATCTGAAGATAAGAAAAAAATAAAAGACATTTATGGG 360
AAAGATGCTTTATTACATGAACATTATGTATATGCAAAAG 400
AAGGATATGAACCCGTACTTGTAATCCAATCTTCGGAAGA 440
TTATGTAGAAAATACTGAAAAGGCACTGAACGTTTATTAT 480
GAAATAGGTAAGATATTATCAAGGGATATTTTAAGTAAAA 520
TTAATCAACCATATCAGAAATTTTTAGATGTATTAAATAC 560
CATTAAAAATGCATCTGATTCAGATGGACAAGATCTTTTA 600
TTTACTAATCAGCTTAAGGAACATCCCACAGACTTTTCTG 640
TAGAGTTCTTGGAACAAAATAGCAATGAGGTACAAGAAGT 680
ATTTGCGAAAGCTTTTGCATATTATATCGAGCCACAGCAT 720
CGTGATGTTTTACAGCTTTATGCACCGGAAGCTTTTAATT 760
ACATGGATAAATTTAACGAACAAGAAATAAATCTATCCGG 800
ATCCGTCCTTCAGCCAAGCTCCGTGGATTCTCAAACTGCA 840
ATGGTTCTGGTTAATGCCATTGTCTTCAAAGGACTGTGGG 880
AGAAAACATTTAAGGATGAAGACACACAAGCAATGCCTTT 920
CAGAGTGACTGAGCAAGAAAGCAAACCTGTGCAGATGATG 960
TACCAGATTGGTTTATTTAGAGTGGCATCAATGGCTTCTG 1000
AGAAAATGAAGATCCTGGAGCTTCCATTTGCCAGTGGGAC 1040
AATGAGCATGTTGGTGCTGTTGCCTGATGAAGTCTCAGGC 1080
CTTGAGCAGCTTGAGAGTATAATCAACTTTGAAAAACTGA 1120
CTGAATGGACCAGTTCTAATGTTATGGAAGAGAGGAAGAT 1160
CAAAGTGTACTTACCTCGCATGAAGATGGAGGAAAAATGA 120
次に、LFn-siinfekl (配列番号 9)およびLFn-OVA161-291 (配列番号 10) 組換え体を、下記のアジュバント系A中に調製した。
【0072】
LFn-siinfeklは、グラフ中LFsiinfeklと示す。
【0073】
1.3 ExoA-siinfekl 組換え体の作製
外毒素 Aの非毒性形態(E553の欠失体)に対応する合成遺伝子を作製した(以下の配列番号 11を参照のこと)。当該遺伝子中には、Siinfekl エピトープが導入され、殆どのIbドメイン、すなわち毒素が置換される。得られた産物をpET発現ベクターにクローニングし、E. coliにて発現させた。次に、この組換えタンパク質を、封入体より抽出し、原則的にFitzGeraldら、J Biol Chem 273, 9951, 1998に記載されているように精製した。
【0074】
配列番号11
ATGGCCGAGGAAGCCTTCGACCTCTGGAACGAATGCGCCAAAGCCTGCGTGCTCGACCTCAAGGACGGCGTGCGTTCCAGCCGCATGAGCGTCGACCCGGCCATCGCCGACACCAACGGCCAGGGCGTGCTGCACTACTCCATGGTCCTGGAGGGCGGCAACGACGCGCTCAAGCTGGCCATCGACAACGCCCTCAGCATCACCAGCGACGGCCTGACCATCCGCCTCGAAGGCGGCGTCGAGCCGAACAAGCCGGTGCGCTACAGCTACACGCGCCAGGCGCGCGGCAGTTGGTCGCTGAACTGGCTGGTACCGATCGGCCACGAGAAGCCCTCGAACATCAAGGTGTTCATCCACGAACTGAACGCCGGCAACCAGCTCAGCCACATGTCGCCGATCTACACCATCGAGATGGGCGACGAGTTGCTGGCGAAGCTGGCGCGCGATGCCACCTTCTTCGTCAGGGCGCACGAGAGCAACGAGATGCAGCCGACGCTCGCCATCAGCCATGCCGGGGTCAGCGTGGTCATGGCCCAGACCCAGCCGCGCCGGGAAAAGCGCTGGAGCGAATGGGCCAGCGGCAAGGTGTTGTGCCTGCTCGACCCGCTGGACGGGGTCTACAACTACCTCGCCCAGCAACGCTGCAACCTCGACGATACCTGGGAAGGCAAGATCTACCGGGTGCTCGCCGGCAACCCGGCGAAGCATGACCTGGACATCAAACCCACGGTCATCAGTCATCGCCTGCACTTTCCCGAGGGCGGCAGCCTGGCCGCGCTGACCGCGCACCAGGCTTGCCACCTGCCGCTGGAGACTTTCACCCGTCATCGCCAGCCGCGCGGCTGGGAACAACTGGAGCAGTGCGGCTATCCGGTGCAGCGGCTGGTCGCCCTCTACCTGGCGGCGCGGCTGTCGTGGAACCAGGTCGACCAGGTGATCCGCAACGCCCTGGCCAGCCCCGGCAGCGGCGGCGACCTGGGCGAAGCGATCCGCGAGCAGCCGGAGCAGGCCCGTCTGGCCCTGACCCTGGCCGCCGCCGAGAGCGAGCGCTTCGTCCGGCAGGGCACCGGCAACGACGAGGCCGGCGCGGCCAACCTGCACTGCCAGCTTGAGAGTATAATCAACTTTGAAAAACTGACTGAATGGTGCATGCAGGGCCCGGCGGACAGCGGCGACGCCCTGCTGGAGCGCAACTATCCCACTGGCGCGGAGTTCCTCGGCGACGGCGGCGACGTCAGCTTCAGCACCCGCGGCACGCAGAACTGGACGGTGGAGCGGCTGCTCCAGGCGCACCGCCAACTGGAGGAGCGCGGCTATGTGTTCGTCGGCTACCACGGCACCTTCCTCGAAGCGGCGCAAAGCATCGTCTTCGGCGGGGTGCGCGCGCGCAGCCAGGACCTCGACGCGATCTGGCGCGGTTTCTATATCGCCGGCGATCCGGCGCTGGCCTACGGCTACGCCCAGGACCAGGAACCCGACGCACGCGGCCGGATCCGCAACGGTGCCCTGCTGCGGGTCTATGTGCCGCGCTCGAGCCTGCCGGGCTTCTACCGCACCAGCCTGACCCTGGCCGCGCCGGAGGCGGCGGGCGAGGTCGAACGGCTGATCGGCCATCCGCTGCCGCTGCGCCTGGACGCCATCACCGGCCCCGAGGAGGAAGGCGGGCGCCTGACCATTCTCGGCTGGCCGCTGGCCGAGCGCACCGTGGTGATTCCCTCGGCGATCCCCACCGACCCGCGCAACGTCGGCGGCGACCTCGACCCGTCCAGCATCCCCGACAAGGAACAGGCGATCAGCGCCCTGCCGGACTACGCCAGCCAGCCCGGCAAACCGCCGCGCGAGGACCTGAAGTGA
次に、ExoA-siinfekl 組換え体(配列番号11)を、下記のアジュバント系A中に調製した。
【0075】
1.4 ガラクトース結合アッセイ
LT 毒素のBサブユニットによって選択的に認識されるGM1受容体は、細胞表面モノシアロガングリオシド (Gal(β1-3)GalNAc(β1-4)(NeuAc(α2-3))Gal(β1-4)Glc(β1-1)セラミド)(Galはガラクトース、GalNAcはN-アセチルガラクトサミン、NeuAcはアセチルノイラミン酸、Glcはグルコースである)である。下記の方法は、市販のガラクトース結合アガロースゲル(Pierce)におけるアフィニティークロマトグラフィーを含む。ガラクトースは、GM1のオリゴ糖部分の末端糖質部分であり、LT毒素のBサブユニットによって認識される最小構造を示すと考えられる(SixmaらNature 355 (1992), p. 561)。本方法を用いて、LT毒素のBサブユニットをE. coli溶解物から直接精製する(下記参照)。したがって、ガラクトース結合アッセイは、GM1受容体に結合するタンパク質を同定するために用いることができると思われる。
【0076】
目的のタンパク質 (DPBS w/o CaMg緩衝液中の)を、同一の緩衝液中で予め平衡化した12mlの固定化D-ガラクトース樹脂(Pierce)を充填したXK16/20 カラム(Amersham Biosciences)にポンプを用いてロードした。次に、少なくとも総容積の3倍のDPBS w/o CaMg緩衝液を、操作流速0.5ml/minにてカラムを通過させる。洗浄後、結合しているタンパク質を、1MのD-ガラクトース(DPBS w/o CaMg緩衝液中)を流して、樹脂より溶出する。洗浄および溶出の間に回収した1 ml 画分を、SDS page、Coomassie染色およびウェスタンブロッテイングによって分析する。これらの分析法によって、当該タンパク質がガラクトースに結合しているか否か、すなわちGM1受容体に結合できるのか確認することができる。目的のタンパク質を含有する画分をプールし、そしてDPBS w/o CaMg緩衝液に対して透析し、D-ガラクトースを除去することができる。
【0077】
1.5 ガラビオース結合アッセイ
Shiga毒素のBサブユニットによって選択的に認識されるGb3受容体は、細胞表面グリコスフィンゴリピド, グロボトリアオシルセラミド (Galα1-4Galβ1-4 グルコシルセラミド)(Galはガラクトースである)である。下記の方法は、Tarrago-Trani (Protein Extraction and Purification 38, pp 170-176, 2004)によって記載された方法に基づいており、市販のガラビオース結合アガロースゲル(calbiochem)でのアフィニティークロマトグラフィーを含む。ガラビオース (Galα1->4Gal)は、Gb3のオリゴ糖部分の末端糖質部分であり、Shiga 毒素のBサブユニットによって認識される最小の構造を示すと考えられる。本方法を都合よく用いて、E. coli溶解物より直接Shiga毒素を精製する。したがって、この部分に結合するタンパク質は、Gb3受容体に結合すると考えることができる。
【0078】
PBS緩衝液(500μl)中の目的のタンパク質を、同一の緩衝液中で予め平衡化した100μlの固定化ガラビオース樹脂(Calbiochem)と混合し、そして回転ホイールにおいて30分〜1時間、4℃にてインキュベートする。まず、5000rpmにて1分間遠心分離した後、ペレットをPBSを用いて2回洗浄する。次に、結合している物質を、2 x 500μlの100 mMグリシン(pH 2.5)中にペレットを再懸濁することによって、2回溶出する。次に、フロースルー、プールした洗浄液、およびプールした溶出液に相当するサンプルを、SDS Page、Coomassie染色およびウェスタンブロッテイングによって分析する。これらの分析法によって、タンパク質が、ガラビオースに結合しているか否か、すなわちGb3受容体に結合し得るか否かを確認することが可能である。
【0079】
1.6 アジュバント系の作製
1.6.1 アジュバント系A:QS21および3D-MPLの作製
有機溶媒中の脂質 (例えば、卵黄由来または合成したホスファチジルコリン)およびコレステロールおよび3 D-MPLの混合物を、減圧下 (または不活性ガスの気流下)にて乾燥した。次に、水溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)を加え、そしてその容器を、全ての脂質が懸濁するまで撹拌した。次に、この懸濁液を、リポソームのサイズが、約100 nmに縮小するまでマイクロフルイダイズ(microfluidise)し、そして0.2μmフィルターを通してろ過滅菌した。この工程は、エクストルージョン(extrusion)またはソニケーションと代えることが可能である。
一般に、コレステロール:ホスファチジルコリンの比率は、1:4 (w/w)であり、水溶液を加えて、コレステロールの終濃度を5〜50 mg/mlとした。
【0080】
リポソームはおよそ100 nmほどのサイズである。リポソーム自体は、長期にわたり安定であり、融合能を有さない。リポソームの滅菌バルクを、QS21水溶液と、chol/QS21の比率が5/1 (w/w)となるように混合した。この混合物を、DQMPLinと称する。次に、DQMPLinをPBS中に希釈し、3D-MPLの終濃度が10μg/mlとなるようにする。PBS 組成物は、PO4: 50 mM;; NaCl: 100 mM pH 6.1.であった。次に、非生ベクターを加えた。構成成分を添加するごとに、中間生成物を5分間撹拌した。pHをチェックし、必要な場合には、NaOHまたはHClを用いて6.1 +/- 0.1に調整した。
【0081】
注入量50μlは、特定の抗原量(以下の表に記載される高用量)、0.5μgの3 D-MPLおよびQS21ならびに5μgのCpGに相当した。次に、これらの製剤を、3D-MPLおよびQS21の溶液(それぞれ濃度は10μg/ml)中に希釈し、表に記載される抗原用量範囲を得た。
【表1】

【0082】
1.6.2アジュバント系G: CpG2006
滅菌バルク CpGをPBSまたはNaCl 150 mM溶液に加え、終濃度が100μg/mlとなるようにした。
【0083】
次に、抗原を添加し、終濃度が10μg/mlとなるようにした。
【0084】
用いたCpGは以下の配列を有する24 merのものであった: 5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)。構成成分を添加するごとに、中間生成物を5分間撹拌した。pHをチェックし、必要な場合には、NaOHまたはHClを用いて6.1 +/- 0.1に調整した。
【0085】
注入量50μlは、0.5μg の各結合ベクター(LT-OVAおよびStX-OVA)および5μgのCpG に相当した。データは、図35および36に示す。
【0086】
1.6.3 アジュバント系H:QS21、3D-MPLおよびCpG2006
滅菌バルク CpGをPBS溶液に添加し、終濃度が100μg/mlとなるようにした。PBS 組成物は、PO4: 50 mM; NaCl: 100 mM pH 6.1であった。次に、抗原を、終濃度が20μg/mlとなるように添加した。最後に、QS21および3 D-MPLを、3 D-MPLおよびQS21を含有する滅菌バルクリポソームのプレミックス(DQMPLinと称される)として加え、3D-MPLおよびQS21の終濃度が10μg/mlとなるようにした。用いたCpGは、以下の配列を有する24 merのものであった: 5’-TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT-3’ (配列番号4)。構成成分を添加するごとに、中間生成物を5分間撹拌した。pHをチェックし、必要な場合には、 NaOHまたはHClを用いて6.1 +/- 0.1に調整した。
【0087】
注入量50μlは、1μgの結合ベクター (LT-OVAおよびSTX-OVA)、0.5μgの3 D-MPLおよびQS21ならびに5μgのCpGに相当する。次に、これらの製剤を、3D-MPL/QS21およびCpGの溶液に希釈し(それぞれ10、10および100μg/mlの濃度)、0.5、0.1および0.02μg用量の抗原を得た (これらの製剤を図35および36に示す実験に用いた)。
【0088】
実施例2:本発明のワクチンを用いたC57/B6マウスのワクチン接種
上記製剤を用いて、6〜8週齢のC57BL/B6 (H2Kb)、メスマウス(各群10匹)にワクチン接種した。マウスは14日間隔で2回注射され、グラフに示されているように1週〜12週の特定の時点にて採血した。マウスの筋肉に、ex-tempo製剤をワクチン接種した(左側の腓腹筋(gastrocnemien muscle)に終量50μlを注射)。抗原性組換えアデノウイルスを、108〜5.108VP用量にて注射した。免疫付与後、複数の時点において、免疫学的解読(immunological read-out)を下記のように実施した。
【0089】
2.1 免疫アッセイ:
技術原理
テトラマーの原理:
テトラマーアッセイは、フローサイトメトリーによって、エピトープ特異的TCD8の度数を測定する。この方法は、in vitro培養工程を用いることなくリンパ系細胞を分析することができる利点を有する。リンパ系細胞を、共に蛍光標識されている、抗CD8抗体およびペプチド/MHCテトラマー(H-2Kbテトラマーに結合している免疫優性SIINFEKLペプチドからなる、特異的TCR結合が可能な複合体)とインキュベートする。結果は、TCD8+細胞集団内の、テトラマー+ CD8+ Tリンパ球の度数として表す。
【0090】
ICSの原理:
ICS (Intracellular Cytokine Staining:細胞内サイトカインの染色法)は、サイトカイン産生に基づいて、抗原特異的Tリンパ球を定量することができる方法である。
【0091】
リンパ系細胞を、分泌インヒビター (ブレフェルジン)の存在下にて、18時間、in vitroにてペプチドを用いて再刺激する。
【0092】
次に、これらの細胞を、蛍光抗体 (CD4、CD8、IFNg、IL2およびTNFa)を使用する従来の免疫蛍光法によって処理する。
結果を、CD4 T細胞およびCD8 T細胞内のサイトカイン陽性細胞の度数として表す。
【0093】
CMCの原理:
CMC in vivo (Cell Mediated Cytotoxicity detected in vivo: in vivoにて検出される細胞媒介性細胞毒性)は、エフェクター細胞を何ら操作することなく、抗原特異的細胞傷害性活性を調べるアッセイである。CFSE標識した2つの細胞集団(コントロール標的細胞およびMHCクラスIに結合している、抗原由来のペプチドを用いてパルスした標的細胞)をワクチン接種した動物の血流に静脈注射することによる(Aicheleら1997)。
【0094】
標的は、未処理のマウスに由来するリンパ系細胞であり、これらは2つの異なる濃度のCFSEによって標識されている。標的細胞を注射してから18時間後に、マウスを屠殺し、ワクチン接種したマウスより血液サンプルを回収する。次に、PBLをフローサイトメトリーを使用して分析する。
【0095】
細胞傷害性活性の割合を、非特異的コントロール標的と比較して、残存している抗原特異的標的の数を調べることによって算出する。
【0096】
より正確には、FACS分析のヒストグラムより、M1およびM2などのパラメータが得られ、これらはそれぞれ非特異的標的 (-)および特異的標的(+)の数を示す。
【0097】
ペプチド特異的溶解の割合は以下のように算出される
【数1】

【0098】
詳細なプロトコル (Ovaモデル)
器官の採取
PBLの単離
血液を眼窩後(retro orbital)静脈より採血し(マウス1匹あたり50μl、各群10匹のマウス)、RPMI + ヘパリン 1/10 (LEO) 培地に直接希釈した。PBLを、リンホプレップグラディエント(CEDERLANE)を通して単離した。次に、細胞を洗浄し、計数し、最終的に、適当な緩衝液中に適当な希釈率で再懸濁した(下記参照のこと)。
【0099】
脾臓細胞の単離
簡単にいうと、全細胞を、脾臓を破砕することによって抽出し、次に細胞を大量のRPMI中に再懸濁する(35 ml中に5つの脾臓)。脾臓細胞を、リンホプレップグラディエント (CEDERLANE)を通して単離する。次に、リンパ球を洗浄し、計数し、最終的に、適当な緩衝液中に適当な希釈率で再懸濁した(下記参照のこと)。
【0100】
リンパ節細胞の単離
簡単にいうと、全細胞を、流入領域リンパ節を破砕することによって抽出する。これらの細胞を慎重に2回洗浄し、計数し、最終的に、適当な緩衝液中に適当な希釈率で再懸濁した(下記参照のこと)。
【0101】
免疫学的解読
テトラマー
PBLの単離およびテトラマーの染色法は以下のとおり:血液を眼窩後静脈より採血し(マウス1匹あたり50μl、各群10匹のマウス)、RPMI + ヘパリン (LEO)培地中に直接希釈した。PBLを、リンホプレップグラディエント (CEDERLANE)を通して単離した。次に、細胞を洗浄し、計数し、最終的に、1〜5×105細胞を、1/50の終濃度 (f.c.)にてCD16/CD32抗体(BD Biosciences)を含有する50μlのFACS緩衝液(PBS, FCS1%, 0.002%NaN3)中に再懸濁した。10分後、50μl のテトラマーミックスを細胞懸濁液に添加した。テトラマーミックスは、Immunomics Coulter製の1μlのsiinfekl-H2Kbテトラマー-PEを含む。抗CD8a-PercP (1/100 f.c.)抗体および抗CD4-APC (1/200 f.c.) (BD Biosciences) 抗体も、検定に加えた。次に細胞を10分間、37℃に放置し、その後、1度洗浄し、そしてCELLQuestTM ソフトを備えたFACS CaliburTMを使用して分析した。生きているCD8のゲート内の3000イベントが、各試験につき得られる。
【0102】
細胞内サイトカイン染色(ICS)
上記のように採血した血液サンプルにおいて、ICSを実施した。このアッセイは、ex vivo刺激と染色との2工程を含む。Ex vivoにおけるリンパ球刺激を、完全培地、すなわち、5% FCS (Harlan, Holland)、それぞれ1μg/ml (mix:1/500)の抗マウス抗体 CD49dおよびCD28 (BD, Biosciences)、2 mM L-グルタミン、1 mM ピルビン酸ナトリウム、10 μg/ml ストレプトマイシン硫酸塩、10単位/ml ペニシリンGナトリウム (Gibco)、10 μg/ml ストレプトマイシン、50μM B-メルカプトエタノールおよび100倍希釈した非必須アミノ酸(これら全ての添加物は、Gibco Life technologies製である)を添加したRPMI 1640 (Biowitaker)中で実施する。ペプチド刺激は常に、37℃、5% CO2下にて実施した。
【0103】
1. Ex vivo刺激:
Ovaモデル:5〜10×105個のPBLを、それぞれ1μg/mlの濃度(すなわち、ミックス中1/5000)で存在する17種の15 mer ovaペプチドのプール(11種の異なるMHCクラスI拘束性ペプチドおよび6種のMHCクラスII拘束性ペプチドを含む−本明細書中プール17と称する)を添加した完全培地中に再懸濁した。2時間後、1μg/ml (ミックス中1/50)のBrefeldin-A (BD, Biosciences)を16時間添加し、合計して18時間後、細胞を回収した。
2. 染色:
細胞を1度洗浄し、次に、抗マウス抗体(全てBD, Biosciencesより購入)を用いて染色した。さらなる全ての工程は氷上で実施した。細胞をまず、50μlのCD16/32溶液 (1/50 f.c., FACS緩衝液)中にて10分間インキュベートした。50μlのT細胞表面マーカーミックスを加え (1/100 f.c. CD8a perCp, 1/100 f.c.CD4 APC Cy7)、そして細胞を20分間インキュベートした後、洗浄した。細胞を、200μlのperm/fix溶液(BD, Biosciences)中にて固定および透過処理し、perm/wash緩衝液(BD, Biosciences)中で一度洗浄し、その後抗IFNg-APC (1/50)、抗TNFa-PE(1/100)および抗IL2-FITC (1/50)を用いて、4℃にて、2時間または一晩染色した。データは、CELL QuestTMソフトウェアを備えるFACS CaliburTMを使用して分析した。
【0104】
生きているCD8のゲート内の15000イベントが、試験ごとに得られる。
【0105】
IN VIVOにて検出される細胞介在性細胞傷害性活性(CMC in vivo)
siinfekl特異的細胞毒性を調べるために、免疫化マウスおよびコントロールマウスに、パルスした標的およびパルスしていない標的の混合物を注射した。標的パルスは、抗原性モデルにより明らかに異なっているが、標的標識は、全ての抗原性モデルについて同一である。
【0106】
Ovaモデル:標的の混合物は、個別にCFSE標識された同系脾細胞およびリンパ節の2つの集団からなり、1ng/mlのsiinfeklペプチド(免疫優性クラスI拘束性エピトープとして知られる8 merのペプチド)で負荷されているか、またはされていない。
【0107】
個別に標識するために、カルボキシフルオレセインスクシニミジルエステル(CFSE; Molecular Probes - Palmoskiら; 2002, J. Immunol. 168, 4391-4398)を、0.2μMまたは2.5μMの濃度で用いた。両方の標的型を、1/1の比率でプールし、108標的/ mlの濃度で再懸濁した。200μlの標的ミックスを、所定の時点で各マウスの尾静脈に注射した。細胞毒性を、標的を注射してから18時間後に屠殺した動物から採取した血液 (頸静脈)または脾臓のいずれかにおいてFACSR分析によって調べた。siinfekl負荷した標的細胞の平均溶解率を、抗原陰性コントロールに関連して、以下の式を用いて算出した:
【数2】

【0108】
Ag特異的抗体力価(全IgGについてのプールした血清または個々の血清の分析): ELISA
2回目の注射から15日後、血清学的分析を行った。マウス(各群10匹)は、眼窩後を穿刺し採血した。
用いられるプレートは、96穴プレート (NUNC,免疫吸着プレート)であり、そのコーティングは、抗原モデルによって異なっている。
【0109】
抗ovaおよび抗LTcys全IgGは、ELISAによって測定した。96穴プレートは、抗原を用いて、一晩、4℃にてコーティングした(各ウェルにつき、それぞれ、PBS中にova 10μg/mlおよびLTxB-cys 2μg/mlを含有する50μlの抗原溶液)。
【0110】
次に、プレートを洗浄緩衝液(PBS / 0.1% Tween 20 (Merck))中で洗浄し、そして100μlまたは200μlの浸透緩衝液(PBS / 0.1% Tween 20 / 1% BSA / 10% FCS)を用いて、1時間、37℃にて浸透させた。洗浄緩衝液中で3回さらに洗浄した後、50μlまたは100μl (モデルによる)のマウスの希釈した血清を加え、60分間、37℃にてインキュベートした。さらに3回洗浄した後、プレートを、さらに1時間、37℃にて、浸透緩衝液中に1000倍に希釈したビオチン化抗マウス全IgGと共にインキュベートした。浸透した後、96穴プレートを下記のようにさらに洗浄した。
【0111】
A. 抗Ova ELISAの顕色
次に、プレートを洗浄緩衝液(PBS / 0.1% Tween 20 (Merck))中で洗浄し、100μlまたは200μlの浸透緩衝液(PBS / 0.1% Tween 20 / 1% BSA / 10% FCS)を用いて1時間、37℃にて浸透した。洗浄緩衝液中でさらに3回洗浄した後、50μl (モデルによる)のマウスの希釈した血清を加え、60分間、37℃にてインキュベートした。さらに3回洗浄した後、プレートをさらに1時間、37℃にて、浸透緩衝液中に1000倍に希釈したビオチン化抗マウス全IgGと共にインキュベートした。浸透した後、96穴プレートを上記のように、さらに洗浄した。浸透緩衝液中に1000倍に希釈したストレプトアビジンペルオキシダーゼ (Amersham)の溶液を、各ウェルに50μl加えた。最後の洗浄は、洗浄緩衝液中で5回洗浄した。
【0112】
最後に、各ウェルに50μlのTMB (酸性緩衝液中の3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン-H2O2の濃度は0.01%である- BIORAD製)を加え、プレートを暗所にて、室温で10分間、保持した。
【0113】
反応を停止するために、各ウェルに50μlのH2SO4 0.4Nを加えた。波長450/630 nmにおける吸光度をElisaプレートリーダー(BIORAD製)によって調べた。結果は、softmax-proソフトウェアを使用して算出した。
【0114】
B. 抗 LTxBcys ELISAの顕色
次に、プレートを、洗浄緩衝液(PBS / 0.1% Tween 20 (Merck))中で洗浄し、100μlまたは200μlの浸透緩衝液(PBS / 0.1% Tween 20 / 1% BSA / 10% FCS)を用いて、1時間、37℃にて浸透した。さらに洗浄緩衝液中で3回洗浄した後、100μlのマウスの希釈した血清を加え、60分間、37℃にてインキュベートした。さらに3回洗浄した後、プレートをさらに1時間、37℃にて、浸透緩衝液中に1000倍に希釈したビオチン化抗マウス全IgGと共にインキュベートした。浸透した後、96穴プレートを上記のように、さらに洗浄した。浸透緩衝液中に2000倍に希釈したストレプトアビジンペルオキシダーゼ (Amersham)の溶液を、各ウェルに100μl加えた。最後の洗浄は、洗浄緩衝液中で5回洗浄した。
【0115】
最後に、各ウェルに100μl OPDA (37.5μl ml Citrate de Na - 0.05% tween - pH4.5 + 15 mg OPDA + 37.5μl H2O2 (適量))を加え、プレートを暗所にて、室温で20分間、保持した。
【0116】
反応を停止するために、各ウェルに100μlのH2SO4 2Nを加えた。波長490/630 nmにおける吸光度をElisaプレートリーダー(BIORAD製)によって調べた。結果は、softmax-proソフトウェアを使用して算出した。
3. 結果
下記の結果は、LT-ova、LTcys-ovaまたはLTsiinfeklのいずれかを、アジュバント系A, HまたはGと組み合わせて使用することによって、CD8反応を誘導する非生ベクター系の効率が、向上し得ることを示す。
【0117】
アジュバント系Aを用いた反応の評価
図 1〜5および19〜22は、ASAアジュバントの存在下および非存在下にてLTまたはLTcysに結合しているOvaに対するCD8+反応を示す。グラフは、アジュバント化していないベクター化オボアルブミンまたはアジュバント系Aと共に投与した非ベクター化オボアルブミンを用いて見られた反応と比較して、アジュバントとの組合せにおいてLTBまたはLTBcys ベクターと結合している場合に、Ovaに対する向上した免疫反応が見られたことを示す。この向上した反応は、LT-ovaの最初の注射から6日後(図1および19)、LTcys- ovaの最初の注射から14日後(図2および20)、そして2回目の注射から88日後まで (図3〜5および21〜22)見られる。
【0118】
図 6〜9および23〜26は、抗原特異的サイトカイン産生CD8+ T細胞の度数が、結合しているオボアルブミンのみまたはアジュバント系Aと共に投与された非ベクター化オボアルブミンによって誘導された反応と比べて、オボアルブミンがLTBまたはLTBcys ベクターと結合しており、アジュバント ASAと組み合わせて注射された場合、増加していることを示す。この向上は、2回目の注射から6〜60日後が最も顕著である(図7および8)。
【0119】
図10〜13および27〜30は、ベクター化抗原をASAと組み合わせて用いた場合、非ベクター化または非アジュバント化組成物と比べて、向上したCD4+ T細胞を示す。Ova特異的CD4+ T細胞の最も向上したパーセンテージは、最初の注射から14日後 (図10および28)ならびに2回目の注射から6日後(図11および29)に見られる。
【0120】
図14、31および32は、抗原がベクター化され、アジュバントと共に投与される場合、最初の注射から21日後(図31)または2回目の注射から12日後 (図14)もしくは65日後(図32)に試験したとき、in vivoにて検出されるSiinfekl特異的細胞傷害性活性が向上していること示す。
【0121】
図15、17および33は、2回目の注射から14日後の、Ovaに対する液性反応を示す。ベクター化抗原がアジュバント化された場合のみ、ovaに対する抗体反応が検出される。抗原が、LTまたはLTcysに結合しており、ASA と共に投与される場合、アジュバント化され結合していないオボアルブミンと比べて、ovaに対する向上した抗体反応は見られない。
【0122】
図16、18および34は、抗LT 抗体反応がアジュバント化ベクター化抗原によって生じたことを示す。
【0123】
ガラクトース精製したLTcys-ovaに対する反応の評価
結合生成物は一般に不均一であり、例えば、GM1受容体に対する結合能を失っているLT結合体を様々な量で含み得る。図19〜26は、分子ろ過によって精製したLTcys-ova 結合体をさらにガラクトースアフィニティーによって精製することができること、およびそれでも非結合体化アジュバント化オボアルブミンと比べて向上したCD8反応を示すこと(最初の注射から14日後によくわかる(図20))を示す。
【0124】
さらに、図31および32は、このような精製した結合体が、アジュバントと共に投与される場合、最初の注射から21日後(図31)または2回目の注射から65日後(図32)に試験したとき、in vivo にて検出される向上したSiinfekl特異的細胞傷害性活性を誘導することを示す。
【0125】
図33は、抗原をLTまたはLTcysに結合し、ASAと共に投与した場合、アジュバント化した非結合体化オボアルブミンと比べて、ovaに対して向上した抗体反応がみられなかったことを示す。
【0126】
図34は、ベクター化抗原をアジュバント化した場合、抗LT 抗体反応が生じたことを示す。
【0127】
アジュバント系HおよびGを用いた反応の評価
図35および36は、アジュバント系A, HおよびGの存在下および非存在下におけるStxB-ovaおよびLT-ovaを比較する。このデータは、3種のアジュバント系と共に投与した場合(図35)、および異なる濃度でASHと共に投与した場合(図36)、StxBまたはLT-Bのいずれかに結合している抗原に対する反応が増加することを、明確に示す。このデータは上記の結果と共に、いずれかのアジュバント系を含むことによって、LT-ova、同様にStxB-Ovaに対する反応を増大させることを示す。したがって、WO 2005/112991に挙げられたアジュバントを加えることによって、LTB(同様に、StxB)に結合している抗原による免疫反応が向上することが、特許出願WO2005/112991を参照して、推定することができる。
【0128】
代替的な非生ベクターおよびアジュバント系Aを使用した反応の評価
これらの結果(上記1.1-3にて実施された方法) は、最初の注射から7日後に測定されており、ASによりアジュバント化したLT-siinfeklを用いることによって、アジュバント化した非ベクター化SiinfeklまたはLT-siinfeklのみを用いた場合と比べて、CD8反応が増大していること示す(図37)。0.1μgのように低濃度のLT-siinfeklにおいてもこの向上は見られる。LF-siinfekl (図40)およびExoA-siinfekl (図42)についても同様である。しかし、最初の投薬から15日後の測定では、この向上は見られない (図38および41)。
【0129】
2回目の注射から7日後については、LT-siinfekl (図39)、LF-siinfekl およびExoA-siinfekl (図42) をアジュバント系Aと組み合わせて用いた場合、非ベクター化SiinfeklアジュバントまたはSiinfekl LFnあるいはアジュバントを伴わないLTまたはExoA のいずれかと比べて、再び向上していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応-テトラマー: 1回目の注射から6日後 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%)。
【図2】図2は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応-テトラマー: 1回目の注射から14日後 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図3】図3は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応-テトラマー: 2回目の注射から6日後 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図4】図4は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応-テトラマー: 2回目の注射から60日後 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図5】図5は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応-テトラマー: 2回目の注射から88日後 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図6】図6は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - ICS: 1回目の注射から14日後 - ova特異的サイトカイン産生CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図7】図7は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - ICS: 2回目の注射から6日後 - ova特異的サイトカイン産生CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図8】図8は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - ICS: 2回目の注射から60日後 - ova特異的サイトカイン産生CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図9】図9は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - ICS: 2回目の注射から88日後 - ova特異的サイトカイン産生CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図10】図10は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD4反応 - ICS: 1回目の注射から14日後 - ova特異的サイトカイン産生CD4 度数 (CD4+内の%) 。
【図11】図11は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD4反応 - ICS: 2回目の注射から6日後 - ova特異的サイトカイン産生CD4 度数 (CD4+内の%) 。
【図12】図12は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD4反応 - ICS: 2回目の注射から60日後 - ova特異的サイトカイン産生CD4 度数 (CD4+内の%) 。
【図13】図13は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD4反応 - ICS: 2回目の注射から88日後 - ova特異的サイトカイン産生CD4 度数 (CD4+内の%) 。
【図14】図14は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - in vivoにて検出される細胞傷害性活性: 標的を注射してから18時間後: 2回目の注射から12日後 - siinfekl特異的溶解 (%)。
【図15】図15は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。液性反応 - ELISA - プールした血清: 抗ova特異的抗体力価(2回目の注射から14日後) 。
【図16】図16は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。液性反応 - ELISA - プールした血清: 抗LTcys特異的抗体力価(2回目の注射から14日後) 。
【図17】図17は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。液性反応 - ELISA - 個々の血清: 抗ova特異的抗体力価 (2回目の注射から14日後) 。
【図18】図18は、LT-ovaおよびLTcys-Ovaに対する免疫応答におけるアジュバント系Aの効果を示す。液性反応 - ELISA -個々の血清: 抗LTcys特異的抗体力価 (2回目の注射から14日後)。
【図19】図19は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応-テトラマー: 1回目の注射から6日後 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%)。
【図20】図20は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応-テトラマー: 1回目の注射から14日後 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図21】図21は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応-テトラマー: 2回目の注射から6日後 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図22】図22は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応-テトラマー: 2回目の注射から58日後 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図23】図23は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - ICS: 1回目の注射から6日後 - ova特異的サイトカイン産生CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図24】図24は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - ICS: 1回目の注射から14日後 - ova特異的サイトカイン産生CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図25】図25は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - ICS: 2回目の注射から6日後 - ova特異的サイトカイン産生CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図26】図26は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - ICS: 2回目の注射から58日後 - ova特異的サイトカイン産生CD8 度数 (CD8+内の%) 。
【図27】図27は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD4反応 - ICS: 1回目の注射から6日後 - ova特異的サイトカイン産生CD4 度数 (CD4+内の%) 。
【図28】図28は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD4反応 - ICS: 1回目の注射から14日後 - ova特異的サイトカイン産生CD4 度数 (CD4+内の%) 。
【図29】図29は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD4反応 - ICS: 2回目の注射から6日後 - ova特異的サイトカイン産生CD4 度数 (CD4+内の%) 。
【図30】図30は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD4反応 - ICS: 2回目の注射から58日後 - ova特異的サイトカイン産生CD4 度数 (CD4+内の%) 。
【図31】図31は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。CD8反応 - in vivoにて検出される細胞傷害性活性: 標的を注射してから18時間後: 1回目の注射から21日後 - siinfekl特異的溶解 (%)。
【図32】図32は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。: CD8反応 - in vivoにて検出される細胞傷害性活性 標的を注射してから18時間後: 2回目の注射から65日後 - siinfekl特異的溶解 (%)。
【図33】図33は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。液性反応 - ELISA - プールした血清:抗ova特異的抗体力価(2回目の注射から22日後) 。
【図34】図34は、LT-ovaおよび精製したLTcys-Ovaの両方に対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。液性反応 - ELISA - プールした血清:抗LTcys特異的抗体力価(2回目の注射から22日後)。
【図35】図35は、StxB-ovaおよびLT-Ovaに対する免疫反応におけるアジュバント系A、HおよびGの効果を示す。CD8反応速度 -異なる時点(1回目の注射から7日後、1回目の注射から14日後、2回目の注射から6日後、2回目の注射から58日後) - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%)におけるテトラマー分析。
【図36】図36は、StxB-ovaおよびLT-Ovaに対する免疫反応におけるアジュバント系A、HおよびGの効果を示す。CD8反応速度 -両ベクター(LT vs STxB)の用量範囲についての異なる時点(1回目の注射から7日後, 1回目の注射から14日後、2回目の注射から6日後、2回目の注射から58日後)におけるテトラマー分析 - siinfekl特異的CD8 度数 (CD8+内の%)。
【図37】図37は、代替的なベクターに結合しているSiinfeklに対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。1回目のAS A LTSiinfekl ワクチン注射から7日後の、PBLにおけるSiinfekl特異的CD 8 度数。
【図38】図38は、代替的なベクターに結合しているSiinfeklに対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。1回目のAS A LTSiinfekl ワクチン注射から15日後の、PBLにおけるSiinfekl特異的CD 8 度数。
【図39】図39は、代替的なベクターに結合しているSiinfeklに対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。2回目のAS A LTSiinfekl ワクチン注射から7日後の、PBLにおけるSiinfekl特異的CD 8 度数。
【図40】図40は、代替的なベクターに結合しているSiinfeklに対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。1回目のExo-A-Siinfekl AS AまたはLF-Siinfekl AS A ワクチン注射から7日後の、PBLにおけるSiinfekl特異的CD 8 度数。
【図41】図41は、代替的なベクターに結合しているSiinfeklに対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。1回目のExo-A-Siinfekl AS AまたはLF-Siinfekl AS A ワクチン注射から14日後の、PBLにおけるSiinfekl特異的CD 8 度数。
【図42】図42は、代替的なベクターに結合しているSiinfeklに対する免疫反応におけるアジュバント系Aの効果を示す。2回目のExo-A-Siinfekl AS AまたはLF-Siinfekl AS A ワクチン注射から7日後の、PBLにおけるSiinfekl特異的CD 8 度数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原と複合体化しているE. coli易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体およびアジュバントを含む、ワクチン組成物。
【請求項2】
E. coli易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体がGM1受容体に結合する、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項3】
アジュバントが、金属塩、水中油型エマルジョン、Toll様受容体リガンド、サポニンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項4】
アジュバントがToll様受容体リガンドである、請求項3記載のワクチン組成物。
【請求項5】
Toll様受容体リガンドがアゴニストである、請求項4記載のワクチン組成物。
【請求項6】
抗原とE. coli易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体とが、共有結合している、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項7】
抗原とE. coli易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体とが、融合タンパク質として結合している、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項8】
アジュバントが、金属塩、サポニン、リピドAまたはその誘導体、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート、免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項9】
サポニンが免疫刺激複合体(Iscom)として、水中油型エマルジョン中にまたはリポソームをともなって、存在している、請求項8記載のワクチン組成物。
【請求項10】
サポニンがQS21である、請求項8または9記載のワクチン組成物。
【請求項11】
リピドA誘導体が、モノホスホリルリピドA、3脱アシル化モノホスホリルリピドA、OM 174、OM 197、およびOM 294 から選択される、請求項8記載のワクチン組成物。
【請求項12】
アジュバントが、以下の群:
i)サポニン、
ii)Toll様受容体4のリガンド、および
iii)Toll様受容体9のリガンド
の中の二つからなる少なくとも一つの組み合わせである、
請求項1〜11のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項13】
サポニンがQS21であり、Toll様受容体 4のリガンドが3脱アシル化モノホスホリルリピドAであり、Toll様受容体 9のリガンドがCpG含有免疫賦活性オリゴヌクレオチドである、請求項12記載のワクチン組成物。
【請求項14】
抗原が、細胞内病原体または増殖性疾患より選択される疾患群に対する免疫をもたらす抗原群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項15】
細菌毒素またはそれらの免疫学的に機能的な誘導体由来の非生ベクターと共に抗原およびアジュバントを含む、薬剤に使用するためのワクチン組成物。
【請求項16】
疾患を予防または治療するためのワクチン製造における、抗原と複合体化しているGM1受容体と結合するE. coli易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体およびアジュバントの使用。
【請求項17】
抗原特異的CD8反応を引き起こすための、請求項16記載の使用。
【請求項18】
疾患に罹患しているか、または疾患にかかりやすい患者に、請求項1〜14のいずれか1項記載のワクチン組成物を投与することを含む、疾患を治療または予防するための方法。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれか1項記載のワクチンを患者に投与することを含む、抗原特異的CD 8免疫反応を引き起こすための方法。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のワクチンを製造するための方法であって、GM1受容体と結合するE. coli易熱性毒素のB-サブユニットまたはそれと90%以上の相同性を有する誘導体と複合体化している抗原を、アジュバントと混合する、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公表番号】特表2008−540625(P2008−540625A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511791(P2008−511791)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001832
【国際公開番号】WO2006/123155
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】