説明

EL照明器具

【課題】ELモジュールを有するEL照明器具において、ELモジュールに外部電力を供給するコネクタ部に荷重が加えられても、ELモジュールのELパネルが破損し難くする。
【解決手段】EL照明器具1は、複数のELモジュール2、及びこのELモジュール2が取り付けられる格子状の器具本体3を備える。ELモジュール2は、面状のELパネル4と、電力供給する回路基板6と、回路基板6へ外部電力を供給する受け入れ側コネクタ部5aと、ELパネル4及び回路基板6が取り付けられるケース部7とを有する。ケース部7は、その周縁が器具本体3上に配置される。受け入れ側コネクタ部5aは、ELモジュール2が器具本体3に取り付けられた状態において平面視で器具本体3とオーバーラップする位置にある。これにより、荷重作用点と荷重を支持する器具本体3との間の平面距離が小さくなり、ELパネル4に作用する曲げモーメントが小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EL(エレクトロルミネッセンス)によって発光するELモジュールを有するEL照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のELモジュールを有するEL照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。ELモジュールを有するEL照明器具に外部電力を供給する構成について、図6及び図7(a)(b)を参照して説明する。図6に示されるように、EL照明器具100は、開口132を有する器具本体103上に複数のELモジュール102が取り付けられる。各々のELモジュール102は、エレクトロルミネッセンスによって発光する面状のELパネル104を有する。ELパネル104に電力供給する回路基板は、ELパネル104と並べて設けると、回路基板の分だけEL照明器具100の発光面積が小さくなる。発光面積を大きくするため、ELパネル104の背面側に回路基板106を設けると、回路基板106へ外部電力を供給するコネクタ部105は、ELモジュール102の中央部付近に配置される。
【0003】
図7(a)に示されるように、外部電力を供給する配線の端子108がコネクタ部105に差し込まれる。コネクタ部105の下方にELパネル104がある。ELパネル104の下には、ELパネル104から出射された光を通すため、器具本体103の開口132がある。図7(b)に示されるように、端子108を差し込むときにELモジュール102に加えられる荷重F1と、荷重F1を支持する器具本体103からの反力F2によって、ELモジュール102に曲げモーメントが発生する。荷重F1の荷重作用点と荷重を支持する器具本体103との間の平面距離Lが大きいため、曲げモーメントが大きくなる。ELパネル104は、この曲げモーメントによって撓みを生じ、破損する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−536708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するものであり、ELモジュールを有するEL照明器具において、ELモジュールに外部電力を供給するコネクタ部に荷重が加えられても、ELモジュールのELパネルが破損し難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のEL照明器具は、複数のELモジュール、及びこのELモジュールが取り付けられる格子状の器具本体を備え、前記ELモジュールは、基板に形成された発光部及び電極端子を有する面状のELパネルと、前記電極端子に電気的に接続されて前記発光部に電力供給する回路基板と、この回路基板へ外部電力を供給する受け入れ側コネクタ部と、前記ELパネル及び回路基板が取り付けられるケース部と、を有するものであって、前記ケース部は、その周縁が前記器具本体上に配置され、前記受け入れ側コネクタ部は、前記ELモジュールが前記器具本体に取り付けられた状態において平面視で器具本体とオーバーラップする位置にあることを特徴とする。
【0007】
このEL照明器具において、前記ELモジュールは、前記受け入れ側コネクタ部から供給された外部電力の一部を他のELモジュールに送出する送り側コネクタ部を有し、前記受け入れ側コネクタ部又は送り側コネクタ部は、前記ケース部のコーナー近傍に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、受け入れ側コネクタ部に荷重が加えられても、その時の荷重作用点と荷重を支持する器具本体との間の平面距離が小さいので、ELパネルに作用する曲げモーメントが小さくなり、ELパネルが破損し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るEL照明器具の平面図。
【図2】同EL照明器具におけるELモジュールを光照射側から見た斜視図。
【図3】同ELモジュールを背面側から見た斜視図。
【図4】同ELモジュールの分解斜視図。
【図5】(a)は上記EL照明器具のコネクタ部に端子が差し込まれる前の図1のX−X線断面図、(b)は同コネクタ部に端子が差し込まれた時の同断面図。
【図6】従来のEL照明器具の平面図。
【図7】(a)は同EL照明器具のコネクタ部に端子が差し込まれる前の図6のY−Y線断面図、(b)は同コネクタ部に端子が差し込まれた時の同断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係るEL照明器具を図1乃至図5を参照して説明する。図1に示されるように、EL照明器具1は、複数のELモジュール2、及びこのELモジュール2が取り付けられる格子状の器具本体3を備える。器具本体3は、ELモジュール2を位置決めするための複数の突起31と、複数の開口32とを有する。各々のELモジュール2は、面状のELパネル4を有する。ELパネル4から出射された光は、開口32を通って照射される。器具本体3は、配線33によって外部電力が供給される。外部電力は、受け入れ側コネクタ部5a及び送り側コネクタ部5b(以下、総称してコネクタ部5という)を介して複数のELモジュール2に供給される。なお、このEL照明器具1は、3×3=9個のELモジュール2を有するものを示しているが、ELモジュール2の数はこれに限定されない。
【0011】
図2乃至図4に示されるように、ELモジュール2は、ELパネル4に加え、コネクタ部5(5a、5b)と、回路基板6と、ケース部7とを有する。ELパネル4は、基板41に形成された発光部42及び電極端子43を有する。回路基板6は、電極端子43に電気的に接続されて発光部42に電力供給する。受け入れ側コネクタ部5aは、回路基板6へ外部電力を供給する配線を接続する部品である。送り側コネクタ部5bは、受け入れ側コネクタ部5aから供給された外部電力の一部を他のELモジュール2に送出する配線を接続する部品である。ケース部7は、ELパネル4及び回路基板6が取り付けられる。
【0012】
ELパネル4の基板41は、ガラス板又はプラスチックフィルム等から成る透明な基板である。基板41上に発光部42が形成される。発光部42は、有機EL素子又は無機EL素子等の面状光源である。発光部42は、発光層及び電極層を有する。電極層は、電極端子43に接続される。発光部42は、シート状の銅等によって封止される。
【0013】
回路基板6は、長尺状の3枚の基板を結合し、平面視でH形状に形成される。回路基板6の中央部付近に電源回路61が設けられる。回路基板6の4つの端部にコネクタ部5(5a、5b)が設けられる。受け入れ側コネクタ部5aは、外部電力が供給される。供給された外部電力は、電源回路61に入力されると共に、一部が送り側コネクタ部5bを介して送出される。電源回路61の出力は、給電ワイヤ62を介してELパネル4に給電される。給電ワイヤ62は、ワイヤボンディングによって電極端子43に接続される。
【0014】
ケース部7は、ケース7a、及びケース7aと嵌合するカバー7bを有する。回路基板6は、ケース7aにおけるカバー7bに臨む側に取り付けられる。ELパネル4は、ケース7aにおけるカバー7bに臨まない側に取り付けられる。コネクタ部5は、カバー7bから露出する。ケース部7は、位置決めするための突起と係合する切欠き71が四隅に形成される。回路基板6に実装される回路素子との干渉を避けるため、カバー7bの中央部に凸部72が形成され、カバー7b内面に対応する凹部が形成される。回路素子を小型化し、凸部72を省略してもよい。
【0015】
ケース部7は、その周縁が格子状の器具本体3上に配置される(図1参照)。受け入れ側コネクタ部5aは、ELモジュール2が器具本体3に取り付けられた状態において平面視で器具本体3とオーバーラップする位置にある。すなわち、受け入れ側コネクタ部5aは、少なくともその一部が、平面視で格子状の器具本体3と重なるように配置される。
【0016】
送り側コネクタ部5bは、受け入れ側コネクタ部5aと同様に、ELモジュール2が器具本体3に取り付けられた状態において平面視で器具本体3とオーバーラップする位置にある。
【0017】
上記のように構成されたEL照明器具1において、図5(a)に示されるように、外部電力を供給する配線の端子8がコネクタ部5に差し込まれる。図5(b)に示されるように、端子8を差し込むときにELモジュール2に加えられる荷重の荷重作用点P1は、コネクタ部5のほぼ中心である。この荷重を支持する支持点P2は、器具本体3上にある。ELパネル4に直交する断面において、コネクタ部5の少なくとも一部は、器具本体3の上方に位置するので、荷重作用点P1と支持点P2の間の平面距離(図5(b)における横方向の距離)が小さい。したがって、荷重によってELモジュール2に発生する曲げモーメントが小さくなり、ELパネル4に作用する曲げモーメントも小さくなる。本実施形態では、荷重作用点P1と支持点P2の間の平面距離を0とし、曲げモーメントを0としている。このように、コネクタ部5に荷重が加えられても、その時の荷重作用点P1と荷重を支持する器具本体3との間の平面距離が小さいので、ELパネル4に作用する曲げモーメントが小さくなり、ELパネル4が破損し難くなる。
【0018】
複数のELモジュール2は、受け入れ側コネクタ部5a及び送り側コネクタ部5b間の配線によって電気的に接続される(図1参照)。受け入れ側コネクタ部5aと送り側コネクタ部5bは、ケース部7のコーナー近傍に配置される。このため、複数のELモジュール2を器具本体3に取り付けた状態において、ELモジュール2相互間の電気的接続が近接位置で行われることになり、電気的接続が容易になる。
【0019】
回路基板6は、平面視でH形状に形成され、H形状の端部にコネクタ5が設けられるので(図4参照)、コネクタ部5をケース部7のコーナー近傍に配置した場合、矩形の回路基板と比べて基板面積を小さくすることができ、低コストとなる。また、回路基板6は、長尺状の3枚の基板を結合して形成されるので、1枚の基板をH形状に切り出すよりも低コストとなる。
【0020】
また、回路基板6は、ELパネル4の背面側、すなわち光が出射されない側に設けられ、ELパネル4と並んでいない。このため、複数のELモジュール2を器具本体3に取り付けた状態において、ELパネル4の発光面の間隔を均一にすることができ、EL照明器具1の意匠性が向上する。
【0021】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、受け入れ側コネクタ部5a及び送り側コネクタ部5bを同じ構造のコネクタ部5とし、そのコネクタ部5を、ELモジュール2外との配線に応じて受け入れ側コネクタ部5a又は送り側コネクタ部5bとして機能させてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 EL照明器具
2 ELモジュール
3 器具本体
4 ELパネル
41 基板
42 発光部
43 電極端子
5 コネクタ部
5a 受け入れ側コネクタ部
5b 送り側コネクタ部
6 回路基板
7 ケース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のELモジュール、及びこのELモジュールが取り付けられる格子状の器具本体を備え、前記ELモジュールは、基板に形成された発光部及び電極端子を有する面状のELパネルと、前記電極端子に電気的に接続されて前記発光部に電力供給する回路基板と、この回路基板へ外部電力を供給する受け入れ側コネクタ部と、前記ELパネル及び回路基板が取り付けられるケース部と、を有するEL照明器具であって、
前記ケース部は、その周縁が前記器具本体上に配置され、
前記受け入れ側コネクタ部は、前記ELモジュールが前記器具本体に取り付けられた状態において平面視で器具本体とオーバーラップする位置にあることを特徴とするEL照明器具。
【請求項2】
前記ELモジュールは、前記受け入れ側コネクタ部から供給された外部電力の一部を他のELモジュールに送出する送り側コネクタ部を有し、
前記受け入れ側コネクタ部又は送り側コネクタ部は、前記ケース部のコーナー近傍に配置されることを特徴とする請求項1に記載のEL照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−222225(P2011−222225A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88767(P2010−88767)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】